説明

医用画像処理装置及びプログラム

【課題】照射野外領域がない放射線画像であっても画像データ量を低減できるようにする。
【解決手段】撮影用コンソール5の制御部51は、医用画像を解析することにより、医用画像の照射野領域の一部領域であって、診断対象部位を含む画像領域を医用画像から切り出す画像領域として決定し、決定した画像領域を切り出すことにより医用画像より画像サイズの小さい画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体に保存すべき放射線画像の画像データ量を少なくするために、照射野を認識して切り取る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−187980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、もともと照射野外領域がない放射線画像では、画像データ量を少なくすることは困難である。
【0005】
本発明の課題は、照射野外領域がない放射線画像であっても画像データ量を低減できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
人体の診断対象部位を被写体として放射線撮影することにより得られた放射線画像に画像処理を施す医用画像処理装置であって、
前記放射線画像を解析することにより、前記放射線画像の照射野領域の一部領域であって、前記診断対象部位を含む画像領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する領域決定手段と、
前記決定された画像領域を切り出すことにより前記放射線画像より画像サイズの小さい画像を生成するトリミング手段と、
を備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記領域決定手段は、前記放射線画像の照射野領域内に当該放射線画像から切り出す画像領域の候補領域を設定し、当該設定された候補領域が前記診断対象部位の欠損がない画像領域であるか否かを判定し、当該候補領域が前記診断対象部位の欠損がない画像領域であると判定した場合に、当該候補領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記領域決定手段は、前記放射線画像の照射野領域内に当該放射線画像から切り出す画像領域の候補領域を設定し、当該設定された候補領域が前記診断対象部位の欠損がない画像領域であるか否かを判定し、当該候補領域が前記診断対象部位の欠損がない画像領域であると判定した場合に、前記設定された候補領域より更に小さい領域を順次候補領域として設定して前記診断対象部位の欠損がない画像領域であるか否かを判定していき、前記診断対象部位の欠損があると判定された候補領域の直前に設定された候補領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記領域決定手段は、前記放射線画像を解析することにより前記放射線画像の照射野領域から前記診断対象部位を認識し、認識した診断対象部位を含む画像領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する。
【0010】
請求項5に記載の発明のプログラムは、
人体の診断対象部位を被写体として放射線撮影することにより得られた放射線画像に画像処理を施す医用画像処理装置に用いられるコンピュータを、
前記放射線画像を解析することにより、前記放射線画像の照射野領域の一部領域であって、前記診断対象部位を含む画像領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する領域決定手段、
前記決定された画像領域を切り出すことにより前記放射線画像より画像サイズの小さい画像を生成するトリミング手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、照射野外領域がない放射線画像であっても画像データ量を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る医用画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図2】撮影用コンソールの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】撮影用コンソールの制御部により実行される撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS11において撮影用コンソールの制御部により実行されるトリミング処理を示すフローチャートである。
【図5】送信プレビュー画面の一例を示す図である。
【図6A】設定されたトリミングサイズがフリーサイズである場合に設定されるトリミング候補領域の一例を示す図である。
【図6B】図6Aのトリミング候補領域からトリミングサイズを縮小した例を示す図である。
【図6C】トリミング候補領域を縮小していった結果、被写体に欠損が生じていると判定された例を示す図である。
【図6D】図6Cより一段階前のトリミング候補領域がトリミングによって切り出された例を示す図である。
【図7】図4のステップS102において、撮影用コンソールの制御部により実行される被写体欠損判定処理を示すフローチャートである。
【図8A】トリミング枠に接する部分領域を説明するための図である。
【図8B】特徴量が算出される小領域を説明するための図である。
【図9】ポジショニング判定に用いる各特徴量を軸とした空間に、予め肺野の欠損があるか否かが既知の複数の画像(サンプル画像)から算出された特徴量をプロットしたグラフである。
【図10】下端判定器の作成過程を模式的に示す図である。
【図11】トリミングサイズがフリーサイズに設定された場合の、トリミングによって切り出す画像領域決定後の送信プレビュー画面の一例を示す図である。
【図12】トリミングサイズがカセッテサイズに設定された場合の、トリミングによって切り出す画像領域決定後の送信プレビュー画面の一例を示す図である。
【図13】四肢の何れかを被写体とした医用画像における被写体の欠損の解析手法を説明するための図である。
【図14】四肢の何れかを被写体とした場合に表示される送信プレビュー画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る医用画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
【0014】
(医用画像撮影システムの構成)
まず、本実施の形態における医用画像撮影システム100の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る医用画像撮影システム100の全体構成例を示す図である。医用画像撮影システム100は、人体の診断対象部位(撮影部位)を被写体として放射線を照射し、被写体の静止画像を撮影するシステムである。図1では、医用画像撮影システム100が撮影室Rm内に構築されている場合が示されている。
【0015】
撮影室Rmには、例えば、立位撮影用のブッキー装置1と、臥位撮影用のブッキー装置2と、放射線源3と、撮影用コンソール5と、操作卓6と、アクセスポイントAPと、が備えられている。撮影室Rmには前室Raと撮影実施室Rbが設けられ、前室Raに撮影用コンソール5及び操作卓6が備えられることで、撮影技師等の操作者の被曝を防止するようになっている。
【0016】
以下、撮影室Rm内の各装置について説明する。
ブッキー装置1は、立位での撮影時にFPD(Flat Panel Detector)9を保持して撮影を行うための装置である。ブッキー装置1は、FPD9を保持するための保持部12aと、保持部12aに装着されたFPD9のコネクターを接続するためのコネクター12bとを有する。コネクター12bは、保持部12aに装着されたFPD9との間でデータ送受信を行ったり、FPD9に電力を供給したりする。また、ブッキー装置1は、アクセスポイントAPを介して撮影用コンソール5等の外部機器と通信ケーブルを介してデータ送受信を行うためのインターフェースや、保持部12aを垂直方向又は水平方向に移動させるためのフットスイッチ等を備える。
【0017】
ブッキー装置2は、臥位での撮影時にFPD9を保持して撮影を行うための装置である。ブッキー装置2は、FPD9を保持するための保持部22aと、保持部22aに装着されたFPD9のコネクターを接続するためのコネクター22bとを有する。コネクター22bは、保持部22aに装着されたFPD9との間でデータ送受信を行ったり、FPD9に電力を供給したりする。また、ブッキー装置2は、アクセスポイントAPを介して撮影用コンソール5等の外部機器と通信ケーブルを介してデータ送受信を行うためのインターフェースや、被写体を載置するための被写体台26を備える。
【0018】
放射線源3は、例えば、撮影室Rmの天井から吊り下げられており、撮影時には撮影用コンソール5からの指示に基づいて起動され、図示しない駆動機構によりにより所定の位置、向きに調整されるようになっている。そして、放射線の照射方向を変えることで、立位用のブッキー装置1又は臥位用のブッキー装置2に装着されたFPD9に対して放射線を照射することができるようになっている。また、放射線源3は、操作卓6からの放射線照射指示に従って放射線を1回照射し、静止画像の撮影を行う。
【0019】
撮影用コンソール5は、放射線源3やFPD9を制御することにより撮影を制御するとともに、撮影により生成された医用画像(放射線画像)に画像処理を施す医用画像処理装置である。撮影用コンソール5は、LAN(Local Area Network)を介してHIS/RIS(Hospital Information System/ Radiology Information System)7、診断用コンソール8、サーバー装置10等に接続されており、HIS/RIS7から送信された撮影オーダー情報に基づいて、放射線源3及びFPD9を起動させる等の制御をして撮影を行わせる。
【0020】
図2に、撮影用コンソール5の要部構成例を示す。図2に示すように、撮影用コンソール5は、制御部51、記憶部52、入力部53、表示部54、通信I/F55、ネットワーク通信部56等を備えて構成されており、各部はバス57により接続されている。
【0021】
制御部51は、CPU、RAM等により構成される。制御部51のCPUは、記憶部52に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
例えば、制御部51は、所定時間毎にネットワーク通信部56を介してHIS/RIS7に問い合わせを行い、新たにHIS/RIS7で登録された撮影オーダー情報を取得する。
また、例えば、制御部51は、後述する撮影制御処理を実行し、HIS/RIS7から取得した撮影オーダー情報に基づいて、撮影用コンソール5は放射線源3及びFPD9を制御して撮影を行わせる。
【0022】
記憶部52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリー等で構成されている。
記憶部52には、各種のプログラム及びデータが記憶されている。
例えば、記憶部52には、上述の撮影制御処理を実行するための各種のプログラムが記憶されているほか、医用画像の画像データを部位毎の診断に適した画質に調整するための画像処理パラメーター(階調処理に用いる階調曲線を定義したルックアップテーブル、周波数処理の強調度等)等が記憶されている。
【0023】
また、記憶部52には、撮影部位に対応付けて撮影条件(放射線照射条件及び画像読取条件)が記憶されている。放射線照射条件は、例えば、X線管電流の値、X線管電圧の値、フィルタ種、SID(Source to Image−receptor Distance)等である。
また、記憶部52には、FPD9の特性情報が記憶されている。ここで、特性情報とは、FPD9の検出素子やシンチレータパネルの特性等である。
また、記憶部52には、所定時間毎にHIS/RIS7から送信される撮影オーダー情報が記憶される。
【0024】
入力部53は、文字入力キー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部51に出力する。
【0025】
表示部54は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えて構成されており、制御部51から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
なお、表示部54の画面上に、透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネル(図示せず)を形成し、表示部54と入力部53とが一体に構成されるタッチスクリーンとしてもよい。この場合、タッチパネルは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号が操作信号として制御部51に出力されるように構成される。なお、表示部54は、一般的なPC(Personal Computer)
に用いられるモニターよりも高精細のものであってもよい。
【0026】
通信I/F55は、ブッキー装置1、ブッキー装置2、放射線源3、FPD9とアクセスポイントAPを介して接続し、無線、または有線によりデータ送受信を行うためのインターフェースである。本実施の形態において、通信I/F55はアクセスポイントAPを介して必要に応じてFPD9に対してポーリング信号を送信する。
【0027】
ネットワーク通信部56は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介して通信ネットワークNに接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0028】
操作卓6は、撮影室内の放射線源に接続され、放射線照射指示を入力するための入力装置である。
【0029】
HIS/RIS7は、問診結果等に基づくオペレータによる登録操作に応じて撮影オーダー情報を生成する。撮影オーダー情報は、例えば被写体となる患者の氏名、性別、年齢、身長、体重等の患者情報や、撮影部位、撮影方向、体位(立位、臥位)、撮影方法等の撮影予約に関する情報等を含んでいる。なお、撮影オーダー情報はここに例示したものに限定されず、これ以外の情報を含んでいてもよいし、上記に例示した情報のうちの一部でもよい。
【0030】
診断用コンソール8は、サーバー装置10から医用画像を取得し、取得した画像を表示して医師が読影診断するためのコンピュータ装置である。
【0031】
FPD9は、制御部、検出部、記憶部、コネクター、バッテリー、無線通信部等を備えて構成される放射線検出器である。
FPD9の検出部は、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線源3から照射されて少なくとも被写体を透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子が二次元状に配列されている。検出素子は、フォトダイオード等の半導体イメージセンサーにより構成される。各検出素子は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部に接続され、スイッチング部により電気信号の蓄積及び読み出しが制御される。
【0032】
FPD9の制御部は、撮影用コンソールから入力された画像読取条件に基づいて検出部のスイッチング部を制御して、各検出素子に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、検出部に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データ(静止画像)を生成する。そして、制御部は、生成した画像データをコネクター及びブッキー装置1又は2を介して撮影用コンソール5に出力する。なお、生成された静止画像を構成する各画素は、検出部の各検出素子のそれぞれから出力された信号値(ここでは、濃度値と呼称する)を示す。
FPD9のコネクターは、ブッキー装置1、2側のコネクターと接続し、ブッキー装置1又は2とのデータ送受信を行う。また、FPD9のコネクターは、ブッキー装置1又は2のコネクターから供給される電力を各機能部へ供給する。なお、バッテリーを充電する構成としても良い。
また、FPD9は、ブッキーに装填されない単体使用時には、バッテリー駆動及び無線通信する構成であり、ブッキー装置1又は2に装填時には、コネクター接続により、バッテリー/無線方式から、有線/電力供給方式に切り替えることができる。従い、複数の患者を連続的に静止画撮影する場合に於いても、バッテリー切れを気にする必要がなくなる。
【0033】
サーバー装置10は、撮影用コンソール5から送信された医用画像の画像データや読影レポートを撮影オーダー情報に対応付けて記憶するデータベースを備える。また、サーバー装置10は、診断用コンソール8からの要求に応じてデータベースから医用画像を読み出して診断用コンソール8に送信する。
【0034】
(撮影動作)
次に、医用画像撮影システム100における撮影動作について説明する。
図3に、撮影用コンソール5において実行される撮影制御処理の流れを示す。図3の撮影制御処理は、撮影用コンソール5の制御部51と記憶部52に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0035】
まず、撮影技師等の操作者は、ブッキー装置1又はブッキー装置2にFPD9をセットする。次いで、撮影用コンソール5の入力部53を操作して撮影オーダー情報の一覧を表示する撮影オーダーリスト画面を表示部54に表示させる。そして、入力部53を操作することにより撮影オーダーリスト画面から撮影対象の撮影オーダー情報と撮影に使用するブッキーIDを指定する。
【0036】
撮影用コンソール5においては、入力部53により撮影対象の撮影オーダー情報及びブッキーIDが指定されると(ステップS1)、放射線源3及びFPD9が起動され、使用されるブッキー装置に応じて放射線源3の向き及び位置が調整される。撮影技師により被写体に応じてFPD9やブッキー装置の位置等が調整されると、それに応じて放射線源3の向き及び位置が調整される(ステップS2)。また、記憶部52から撮影する部位に応じた放射線照射条件及び画像読取条件が読み出され、放射線源3に放射線照射条件が設定されるとともに、ブッキー装置を介してFPD9に画像読取条件が設定される(ステップS3)。撮影準備が整った時点で、技師は操作卓6を操作して放射線照射指示を入力する。
【0037】
操作卓6からの放射線照射指示が入力されると(ステップS4;YES)、撮影に使用される放射線源3及びFPD9が制御され、被写体の撮影が行われる(ステップS5)。具体的には、ステップS3で設定された条件で被写体の静止画像である医用画像及びオフセット補正用の1または数枚のダーク画像が撮影される。撮影により生成された医用画像及びダーク画像の画像データは、FPD9からブッキー装置を介して撮影用コンソール5に入力され、記憶部52に記憶される。
【0038】
次いで、撮影により得られた医用画像に対して補正処理や画像処理が行われ(ステップS6)、処理はステップS9に移行する。ステップS8においては、記憶部52に記憶されたFPD9の特性情報に基づいて、上述のダーク画像を用いたオフセット補正処理、ゲイン補正処理、欠陥画素補正処理、ラグ(残像)補正処理等の補正処理が必要に応じて行われる。また、画像処理としては、撮影部位に応じた階調処理、周波数強調処理や粒状抑制処理等が行われる。
なお、FPD9が複数存在する場合には、各FPD9の識別IDに対応付けて特性情報を記憶部52に記憶しておき、使用されているブッキー装置を介してFPD9から識別IDを取得し、取得した識別IDに対応する特性情報に基づいて補正処理や画像処理を行うようにすればよい。
【0039】
次いで、補正処理及び画像処理済みの医用画像が表示された画像確認画面が表示部54に表示される(ステップS7)。画像確認画面は、特に図示しないが、例えば、再撮影を指示するための再撮影ボタン、サーバー装置10への画像送信を指示するための出力ボタン等が設けられている。
撮影技師等の操作者は、画像確認画面を参照し、被写体である診断対象部位に欠損がない画像であるか、体動がない画像であるか、放射線照射線量は適切であるか、画像処理条件は適切であるか等、表示されている医用画像が診断に適した画像であるか否かを判定する。そして、表示されている医用画像が診断に適した画像ではないと判定した場合、入力部53により再撮影ボタンを押下し、再撮影を指示する。表示されている医用画像が診断に適した画像であると判定した場合、入力部53により出力ボタンを押下し、サーバー装置10への画像出力を指示する。
【0040】
入力部53により再撮影の指示が入力されたと判断されると(ステップS8;YES)、記憶部52から医用画像が削除され(ステップS9;YES)、処理はステップS2に戻る。入力部53により出力の指示が入力されたと判断されると(ステップS8;NO、ステップS10;YES)、出力対象の医用画像(画像処理済みの医用画像)にトリミング処理が実行される(ステップS11)。
【0041】
図4に、図3のステップS11において実行されるトリミング処理の一例を示す。トリミング処理は、制御部51と記憶部52に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0042】
まず、表示部54に送信プレビュー画面541が表示され、当該画面から入力部53によりトリミングサイズの設定が行われる(ステップS100)。ここで、トリミングサイズとは、トリミングによって切り出される画像領域のサイズである。
図5に、図4のステップS100において表示される送信プレビュー画面541の一例を示す。図5に示すように、送信プレビュー画面541には、画像表示領域541aと、トリミングサイズ設定領域541bと、が設けられている。画像表示領域541aは、医用画像を表示するための領域である。トリミングサイズ設定領域541bは、トリミングサイズを設定するためのボタン群が表示された領域である。トリミングサイズ設定領域541aには、例えば、トリミングサイズをカセッテサイズに設定するためのカセッテサイズボタンB1〜B6、被写体に欠損のない最小のサイズに設定するためのフリーサイズボタンB7等が表示されている。カセッテサイズボタンB1〜B6は、それぞれ「六切」「四切」「大四切」「大角」「半切」「17×17」等のカセッテサイズが表示されており、入力部53により押下されたボタンに表示されたカセッテサイズを初期のトリミングサイズに設定することができる。
【0043】
次いで、設定されたトリミングサイズに基づいて、出力対象の医用画像に、トリミングによって切り出される画像領域の候補領域(トリミング候補領域と呼ぶ)が設定される(ステップS101)。図6Aに、設定されたトリミングサイズがフリーサイズである場合のステップS101の処理を模式的に示す。図6Aに示すように、例えば、出力対象の画像の照射野領域の上端、下端、右端、左端からそれぞれ予め定められた距離(画素数)内側の領域がトリミング候補領域T1として設定される。設定されたトリミングサイズがカセッテサイズである場合は、カセッテサイズボタンB1〜B6のうち選択されたボタンに対応するカセッテサイズの領域がトリミング候補領域として設定される。トリミング候補領域は、出力対象の医用画像の照射野領域内の一部領域に設定される。なお、照射野領域は、例えば、画像の輪郭から内側に連続して画素の信号値がほぼ最小(即ち、放射線量が最小)の領域を検出する等により認識することができる。
【0044】
次いで、設定されたトリミング候補領域を切り出すようにトリミングした場合に被写体の欠損が生じるか否かを判定する被写体欠損判定処理が実行される(ステップS102)。
以下、図4のステップS102において実行される被写体欠損判定処理の一例について説明する。ここでは、一実施形態として、胸部正面を撮影した医用画像において診断対象部位である肺野に欠損があるか否かを判定する処理について説明する。
図7に、図4のステップS102において実行される被写体欠損判定処理のフローチャートを示す。被写体欠損判定処理は、制御部51と記憶部52に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0045】
先ず、設定されたトリミング候補領域が複数の小領域に分割され、これらの分割された複数の小領域のうち、トリミング枠から所定の範囲にある部分領域に含まれる各小領域から予め指定された特徴量を抽出する処理が行われる(ステップS201)。ステップS201の処理では、具体的には、図8Aに示すように、例えば、トリミング候補領域が8×8のマトリックス状に配置された小領域に分割される。そして、上下のトリミング枠からそれぞれ1行、および、左右のトリミング枠からそれぞれ1列の4つの部分領域(図8Aの上端領域R1、下端領域R2、左端領域R3、右端領域R4)において、各部分領域内に含まれる小領域に含まれる各小領域から特徴量を抽出する。具体的には、図8Aの下端領域R2には、図8Bに示す1〜8の小領域が含まれるので、8の特徴量を算出する。算出結果は、各小領域の位置と特徴量を示すデータ配列として保持される。上端領域R1、左端領域R3、右端領域R4についても同様である。ステップS201で算出される特徴量をここではデータ配列特徴量と呼ぶ。
【0046】
ここで、トリミング枠に接する部分領域を一行または一列のみではなく複数の行または列に分割してデータを取得すれば、複雑な画像パターンの場合にも正確に画像判定を行うことができる。例えば、肺野の下端の更に下部にガスが写りこんでいる場合、肺野の下端に水が溜まっている場合、肺野の下端付近にカテーテルが挿入されている場合などが考えられるが、これらのケースについても、複数行および複数列の小領域のデータに基づいて学習させた判定器51aを用いることにより、適切に判定を行うことができる。
【0047】
ステップS201の処理で抽出される特徴量は、例えば、各小領域内の各画素が有する信号値のうちの最大値(即ち、測定された放射線強度が最大のもの)である。また、他の特徴量としては、各小領域内での信号値の一次微分量の最大値、また、特に、一次微分量のうちトリミング枠に平行な成分の各小領域内における最大値、および、この一次微分量の最大値をとる座標値を利用することができる。或いは、更に、特徴量として、輝度値のパワースペクトルを用いることができる。特に、トリミング枠に平行な方向のパワースペクトル密度や、極大値を取る周波数(波長)の値が利用可能である。
【0048】
上記の特徴量の抽出が行われると、抽出された特徴量を利用して、トリミング枠の各辺ごとに被写体領域の欠損の有無が判定される(ステップS202)。ステップS202における判定は、判定器51aを用いてトリミング枠より外側をトリミング(削除)した場合被写体が欠損するか否かを判定するものである。図8Aの例では、上端領域R1、下端領域R2、左端領域R3、右端領域R4のそれぞれから算出された特徴量が取得され、これらのデータが制御部51の判定器51aに入力され、判定器51aにより肺野がトリミング枠からはみ出して欠損している部分があるかどうかの判定が行われる。
【0049】
この被写体欠損判定に用いられる判定器51aは、所定の学習アルゴリズムを用いて予め学習させたものであり、学習結果に基づいて、肺野がトリミング枠からはみ出して欠損している部分があるかどうかの判定を行うものである。
【0050】
ここで、学習アルゴリズムによる学習と判定の一般的概念について説明する。ここでは、説明を簡単にするため、2つの特徴量を用いて判定を行う場合を例にとり説明する。
図9は、被写体欠損判定に用いる各特徴量を軸とした空間に、予め肺野の欠損があるか否かが既知の複数の画像(サンプル画像)から算出された特徴量をプロットしたグラフである。学習アルゴリズムでは、図9に示すように、複数のサンプル画像から算出された特徴量の分布から、どのような境界線を描けば肺野の欠損のない画像と肺野の欠損のある画像を区別できるかを学習し、特徴量が境界線のどちら側に位置するかによって欠損のない画像であるか欠損のある画像であるかを判定する判定器を作成するものである。そして、作成された判定器に判定対象の画像から算出された特徴量を入力することで、判定器において肺野の欠損のある画像かない画像かを判定する。
【0051】
判定器51aの学習に用いる学習アルゴリズムとしては、特に限られないが、例えば、アダブースト(AdaBoost)が利用される。アダブーストは、予め被写体の欠損があるか否かが既知の画像から抽出された複数の特徴量のデータ配列をそれぞれ多数用意し、被写体の欠損を判別する識別器を重み付けして組み合わせることで最適な判定器を作るアルゴリズムである。
【0052】
ここで、学習による判定器51aの作成及びステップS202における判定について、アダブーストを用いた場合を例にとり説明する。
ステップS202においては、上下左右のトリミング枠の各辺ごとに被写体領域の欠損の有無の判定が行われる。そこで、判定器51aは、上端判定器、下端判定器、左端判定器、右端判定器の4種類の判定器により構成される。
【0053】
(1)判定器51aの作成においては、まず、肺野が欠損している画像と肺野が欠損していない画像をサンプル画像として複数用意する。
(2)次いで、全サンプル画像からステップS201と同様の特徴量を算出する。例えば、図8Aに示す上端領域R1、下端領域R2、左端領域R3、右端領域R4内の4つの部分領域のそれぞれに含まれる各小領域の信号値の特徴量(例えば、最大信号値)を算出する。
【0054】
次いで、上端領域R1、下端領域R2、左端領域R3、右端領域R4のそれぞれについて、上記算出された特徴量を用いて下記の(3)〜(6)を実行することにより、上端判定器、下端判定器、左端判定器、右端判定器を作成する。
図10(a)〜(d)は、下端判定器の作成過程を模式的に示す図である。図10(a)〜(d)は、特徴量1を縦軸に、特徴量2を横軸として作成した2次元特徴量分布である。ここでは、説明をわかりやすくするために、2つの特徴量を用いて2次元で表現して説明するが、実際はデータ配列特徴量が8あるので、8個の軸をもつ8次元の特徴量空間となる。以下の説明では、図10(a)〜(d)に示す下端判定器の作成過程を模式的に示す図を参照しながら説明するが、上端判定器、左端判定器、右端判定器についても同様の作成過程となる。
【0055】
(3)まず、Decision Stampを用いて複数の弱識別器を作成する。弱識別器は、ある特徴量が予め設定した閾値を超えるか否かで肺野の欠損の有無を判定する識別器であり、各特徴量毎に、閾値を変えたものを複数作成する。
例えば、図10(a)に示すように、特徴量1に対して閾値がd1、d2、d3の3つの弱識別器を作成し、特徴量2に対して閾値がD1、D2、D3の3つの弱識別器を作成する。
【0056】
(4)次いで、肺野の欠損の有無の判定に最も寄与する弱識別器を選択する。例えば、図10(b)に示すように、弱識別器D2は、円Aで囲まれた3つの画像を除く14の画像について正しく判定できており、正しく判定できた画像の割合(画像数)が最も多い(寄与度が高い)。そこで、弱識別器D2を肺野の欠損の有無の判定に最も寄与する弱識別器として選択する。
(5)次いで、判定に失敗した画像の特徴量に重みを付けて、肺野の欠損の有無の判定に最も寄与する弱識別器を選択する。失敗した画像に重み付けることで、先の弱識別器D2で判定に失敗した画像を精度良く判定できる弱識別器を選択することができる。例えば、図10(c)に示すように、図10(b)において判定を失敗した画像(円Aで囲まれた点に対応する画像)の重み付けを重くし、それ以外の重み付けを軽くすると、弱識別器d2の寄与度が最も高くなる。その結果、弱識別器d2が選択される。
(6)上記(5)を失敗画像がなくなるまで繰り返し、各過程で選択された弱識別器を組み合せて判定器を作成する。図10(d)においては、弱識別器D2と弱識別器d2を組み合わせて判定器を作成する。ただし、各弱識別器の寄与度は異なるため、各弱識別器の正答率(正しく判定できた画像の全体画像に占める割合)等に基づいて弱識別器に重み付けを行う。
【0057】
ステップS202においては、上記学習により作成された各判定器(上、下、左、右の4つの判定器)からなる判定器51aを用いて、トリミング枠内の上、下、左、右の各肺野端に肺野の欠損があるか否かを判定する。具体的には、ステップS201において上端領域R1、下端領域R2、左端領域R3、右端領域R4のそれぞれから算出された特徴量を、上端判定器、下端判定器、左端判定器、右端判定器のそれぞれに入力すると、判定器51aは、上・下・左・右のトリミング枠との境界における肺野の欠損の有無を判定する。
【0058】
その他の学習アルゴリズムとしては、例えば、サポートベクタマシンやニューラルネットワークを用いたもの、或いは、K-最近傍識別器が利用可能である。また、判別分析のような統計的手法を適用してもよい(参考文献:C.M. Bishop, “Pattern Recognition and Machine Learning”, Springer-Verlag, New Ed版(2006))。
サポートベクタマシンは、ステップS201の処理で抽出される複数の特徴量の組み合わせ(特徴ベクトル)により示されるデータ点を高次元空間に写像し、写像された高次元空間において、被写体部位の欠損がある画像と欠損がない画像とに最も明確に、即ち、最大のマージンを有するように線形分離する分離面を求める統計的アルゴリズムである。
被写体欠損の有無の判定後、処理は図4のステップS103に移行する。
【0059】
図4のステップS103においては、被写体欠損判定処理において被写体に欠損があると判定されたか否かが判断される。被写体に欠損がないと判定されると(ステップS103;NO)、現在のトリミング候補領域より所定サイズ小さい領域が新たなトリミング候補領域として設定され(ステップS104)、処理はステップS102に戻る。
図6Bに、図6Aのトリミング候補領域T1からトリミングサイズを縮小した例を示す。図6Bに示すように、トリミング候補領域T1でトリミングした場合に被写体に欠損がない場合、トリミング候補領域T1より内側の領域に新たなトリミング候補領域T2が設定される。
【0060】
一方、トリミング候補領域でトリミングした場合に被写体が欠損すると判定された場合(ステップS103;YES)、被写体欠損ありと判定された1段階前のトリミング候補領域がトリミングによって切り出す画像領域として決定される(ステップS105)。
例えば、図6Bに示すトリミング候補領域T2から更に一段階縮小したトリミングサイズのトリミング候補領域T3で被写体欠損判定処理を行った場合に、図6Cに示すように被写体に欠損が生じていると判定された場合、図6Dに示すように、一段階前のトリミング候補領域T2がトリミングによって切り出される画像領域として決定される。なお、最初に設定したトリミング候補領域で被写体が欠損すると判定された場合、トリミング候補領域を照射野内において欠損が生じている方向に段階的にずらしていく(又は拡大していく)処理が行われ、被写体が欠損しないと判定されたトリミング候補領域がトリミングによって切り出す画像領域として決定される。
【0061】
次いで、トリミング枠が表示された医用画像が送信プレビュー画面541に表示される(ステップS106)。
図11に、トリミングサイズがフリーサイズに設定された場合の、トリミングによって切り出す画像領域決定後の送信プレビュー画面541の一例を示す。図11に示すように、画像表示領域541aに表示されている医用画像上に、決定された画像領域を示すトリミング枠Rが表示される。また、何れのトリミングサイズに決定されたかを操作者が認識可能なように、トリミングサイズに対応するボタンが選択状態で表示される。図11においては、トリミングサイズがフリーサイズであることを示している。
図12に、トリミングサイズがカセッテサイズに設定された場合の、トリミングによって切り出す画像領域決定後の送信プレビュー画面541の一例を示す。図12においては、トリミングサイズがカセッテサイズに設定され、最終的に大角サイズがトリミングサイズに決定されたことを示している。
なお、送信プレビュー画面541のトリミングサイズ設定領域541b上において入力部53により再度トリミングサイズを選択し直すことにより、トリミングサイズを変更することができる。
【0062】
送信プレビュー画面541から入力部53により再度トリミングサイズが選択されることによりトリミングサイズの変更が指示されると(ステップS107;YES)、処理はステップS101に戻り、変更後のトリミングサイズに基づいて、ステップS101〜ステップS106の処理が実行される。
【0063】
送信プレビュー画面541からトリミングサイズの変更が指示されず(ステップS107;NO)、決定ボタン541cが押下されると(ステップS108;YES)、トリミングが行われる。即ち、出力対象の医用画像から決定された画像領域が切り出され、撮影により得られた医用画像よりも画像サイズの小さい医用画像(出力画像)が生成される(ステップS109)。そして、処理は図3のステップS12に移行する。トリミングにより、出力する医用画像の画像データ量を小さくすることができる。
【0064】
トリミング処理が終了すると、トリミング後の医用画像の画像データと、ステップS1において指定された撮影オーダー情報が対応付けられ、ネットワーク通信部56によりサーバー装置10に送信され(ステップS12)、撮影制御処理は終了する。サーバー装置10においては、受信された医用画像の画像データが撮影オーダー情報に対応付けてデータベースに保存される。
【0065】
上述のように、撮影用コンソール5においては、撮影された医用画像について、自動的に、診断対象部位である被写体の欠損がない最小のサイズ(又はカセッテサイズ)にトリミングを行うことにより、診断に必要のない余分な画像領域を切り取って画像サイズを小さくしてから医用画像をサーバー装置10に送信する。従って、照射野外領域がない医用画像であっても、画像データ量を低減し、サーバー装置10への画像転送に係る時間を短縮することができる。また、サーバー装置10において保存する画像1枚当たり画像のデータ量を低減することができる。
【0066】
なお、上記トリミング処理は、サーバー装置10において行うこととしてもよい。これにより、サーバー装置10において保存する画像1枚当たりの画像データ量を低減することができ、より多くの画像をデータベースに保存することが可能となる。
【0067】
また、上記実施の形態においては、肺野を被写体とする胸部正面画像を例にとり説明したが、これに限定されず、他の部位を被写体とした医用画像においても本発明を適用することが可能である。他の部位を被写体とする場合は、被写体欠損判定処理のアルゴリズムが異なる。
例えば、四肢の何れかを被写体とした医用画像の場合、被写体の欠損の有無は、以下のアルゴリズムにより判定するができる。
(1)まず、図13に示すように、照射野内の信号値の垂直方向及び水平方向のプロファイルが作成される。照射野は、例えば、画像の輪郭から内側に連続して画素の信号値がほぼ最小(即ち、放射線量が最小)の領域を検出して除外するなどの方法で認識することができる。
(2)次いで、各プロファイルのそれぞれに微分フィルタをかけてプロファイルの変化量の大きさが加算され、加算された変化量が大きい方のプロファイルが構造物の断面を含んだ方向と判定される。
例えば、図13に示す四肢画像の場合、水平方向が構造物の断面を含んだ方向と判定される。
(3)次いで、構造物の断面を含んだ方向のプロファイルを用いて、エッジ抽出が行なわれる。エッジ抽出の手法としては、例えば、構造物の断面を含んだ方向が水平方向である場合、各行において、照射野領域の左右の端部のそれぞれから探索したとき、信号値がプロファイルの最大値と最小値の差分の所定割合値以下となった座標がエッジとして抽出される。また、例えば、構造物の断面を含んだ方向が垂直方向である場合、各列において、照射野領域の上下の端部のそれぞれから探索したとき、信号値がプロファイルの最大値と最小値の差分の所定割合値以下となった座標がエッジとして抽出される。
(4)そして、トリミング候補領域が上記抽出されたエッジより内側である場合、被写体が欠損していると判定する。トリミング候補領域が抽出されたエッジより外側である場合、被写体が欠損していないと判定する。
図14に、四肢画像を被写体とした場合に表示される送信プレビュー画面541の一例を示す。
【0068】
以上説明したように、医用画像撮影システム100によれば、撮影用コンソール5の制御部51は、放射線撮影により得られた医用画像を解析することにより、医用画像の照射野領域の一部領域であって、診断対象部位を含む画像領域を医用画像から切り出す画像領域として決定し、決定した画像領域を切り出すことにより医用画像より画像サイズの小さい画像を生成する。従って、照射野外領域がない医用画像であっても画像データ量を低減することが可能となるので、画像データのサーバー装置10への画像転送時間を短縮したり、サーバー装置10のデータベースに保存する画像データ量を小さくしたりすることができる。
【0069】
例えば、制御部51は、医用画像の照射野領域内に当該医用画像から切り出す画像領域の候補領域を設定し、当該設定された候補領域が診断対象部位の欠損がない画像領域であるか否かを判定し、当該候補領域が診断対象部位の欠損がない画像領域であると判定した場合に、当該候補領域を医用画像から切り出す画像領域として決定する。従って、医用画像から画像領域を切り出すときに診断対象部位が欠損してしまうことを防止することができる。また、診断に不要な領域を医用画像から削除することができる。
【0070】
また、設定された候補領域が診断対象部位の欠損がない画像領域であると判定した場合に、設定された候補領域より更に小さい領域を順次候補領域として設定して診断対象部位の欠損がない画像領域であるか否かを判定していき、診断対象部位の欠損があると判定された候補領域の直前に設定された候補領域を医用画像から切り出す画像領域として決定することで、医用画像の画像データ量を可能な限り低減することができる。
【0071】
なお、上記実施の形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、トリミングにより切り出す画像領域を決定する領域決定手段としては、上述の被写体欠損判定処理を利用したもの等に限定されず、例えば、医用画像を解析することにより医用画像の照射野領域から診断対象部位を認識し、認識した診断対象部位を含む画像領域(例えば、診断対象部位に外接する矩形領域)を医用画像から切り出す画像領域として決定することとしてもよい。
【0072】
診断対象部位を認識する手法は、部位毎に異なる。例えば、胸部正面の医用画像の場合、信号値のヒストグラムをとると、高信号側に被写体を透過せずに直接X線が検出された直接X線領域のピークが現れ、低信号側にX線の透過率が低い心臓、骨等の体幹部領域のピークが現れる。それらの間に現れるのが肺を透過した肺野領域である。そこで、トリミング対象の医用画像の信号値のヒストグラムから判別分析等によって体幹部領域と肺野領域の閾値(低信号側の閾値1)、直接X線領域との閾値(高信号側の閾値2)をそれぞれ求め、閾値1と閾値2の間の信号値をもつ領域を肺野領域として認識することができる。
また、診断対象部位が四肢の医用画像である場合は、上述のように医用画像の垂直プロファイルと水平プロファイルとを用いてエッジを抽出し、抽出したエッジ内部の領域を診断対象部位の領域として認識することができる。
【0073】
また、上記実施の形態においては、トリミングサイズをフリーサイズとカセッテサイズから選択することとして説明したが、医用画像の被写体と同一患者の同一部位を撮影した過去画像と同サイズのトリミングサイズとしてもよい。例えば、トリミング処理開始時等に制御部51によりサーバー装置10に対して撮影により取得した出力対象の医用画像と同一患者の同一部位を撮影した過去画像の検索要求を行い、サーバー装置10により検索された過去画像と同一サイズをトリミングサイズとして設定することとしてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態においては、FPDを用いて医用画像を生成する医用画像撮影システムを例にとり説明したが、医用画像を生成する手段としてはこれに限定されず、例えば、CRを用いることとしてもよい。
【0075】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDDや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0076】
その他、医用画像撮影システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0077】
100 医用画像撮影システム
1 ブッキー装置
2 ブッキー装置
3 放射線源
5 撮影用コンソール
51 制御部
52 記憶部
53 入力部
54 表示部
55 通信I/F
56 ネットワーク通信部
57 バス
6 操作卓
7 HIS/RIS
8 診断用コンソール
9 FPD
10 サーバー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の診断対象部位を被写体として放射線撮影することにより得られた放射線画像に画像処理を施す医用画像処理装置であって、
前記放射線画像を解析することにより、前記放射線画像の照射野領域の一部領域であって、前記診断対象部位を含む画像領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する領域決定手段と、
前記決定された画像領域を切り出すことにより前記放射線画像より画像サイズの小さい画像を生成するトリミング手段と、
を備える医用画像処理装置。
【請求項2】
前記領域決定手段は、前記放射線画像の照射野領域内に当該放射線画像から切り出す画像領域の候補領域を設定し、当該設定された候補領域が前記診断対象部位の欠損がない画像領域であるか否かを判定し、当該候補領域が前記診断対象部位の欠損がない画像領域であると判定した場合に、当該候補領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記領域決定手段は、前記放射線画像の照射野領域内に当該放射線画像から切り出す画像領域の候補領域を設定し、当該設定された候補領域が前記診断対象部位の欠損がない画像領域であるか否かを判定し、当該候補領域が前記診断対象部位の欠損がない画像領域であると判定した場合に、前記設定された候補領域より更に小さい領域を順次候補領域として設定して前記診断対象部位の欠損がない画像領域であるか否かを判定していき、前記診断対象部位の欠損があると判定された候補領域の直前に設定された候補領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記領域決定手段は、前記放射線画像を解析することにより前記放射線画像の照射野領域から前記診断対象部位を認識し、認識した診断対象部位を含む画像領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
人体の診断対象部位を被写体として放射線撮影することにより得られた放射線画像に画像処理を施す医用画像処理装置に用いられるコンピュータを、
前記放射線画像を解析することにより、前記放射線画像の照射野領域の一部領域であって、前記診断対象部位を含む画像領域を前記放射線画像から切り出す画像領域として決定する領域決定手段、
前記決定された画像領域を切り出すことにより前記放射線画像より画像サイズの小さい画像を生成するトリミング手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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