説明

医用画像出力システム及び医用画像出力方法

【課題】フィルムの出力形態が異なる医用画像出力装置が混在する環境において、各医用画像出力装置から出力されるフィルムの出力形態を統一する。
【解決手段】制御装置20では、医用画像のフィルム出力の指示情報が読影端末30から受信されると、出力形態テーブルから出力先として指定された医用画像出力装置50又は50bの出力形態情報を読み出すとともに、標準形態テーブルから標準形態情報を読み出す。次いで、これら読み出された情報に基づいて、標準形態となるように医用画像を反転する反転処理の有無及び各医用画像の出力順を入れ替えて設定し、これら設定情報を出力指示情報として出力対象の医用画像とともに医用画像出力装置50a又は50bに送信する。医用画像出力装置50a又は50bでは、出力指示情報に従って医用画像及び付帯情報の反転処理が実行され、設定された出力順で反転処理された医用画像のフィルム出力が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像をフィルム上に形成して出力する医用画像出力システム及び医用画像出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、検査撮影により得られた医用画像を医用画像出力装置によりフィルムに出力し、このフィルムを読影医が観察することにより診断が行われる。従来から、フィルム出力に係る作業の効率化を図るために、複数患者の医用画像を出力する際には患者毎に連続出力されるように医用画像の出力順を入れ替えてフィルム出力する方法(例えば、特許文献1参照)が開示されている。また、フィルムは支持体上に感光材料を含有する乳剤が塗布されて感光層が形成されており、その材質によっては支持体側の面又は感光層側の面に光沢が発生することがあるため、読影医の好みに応じて選択されたフィルム面で読影を行うことができるように医用画像を反転してフィルム出力することができる方法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
医用画像出力装置には、医用画像が形成されたフィルムを排出するトレイが装置本体の側面に設けられたタイプ(以下、側面タイプという)と、装置本体の上部に設けられたタイプ(以下、上部タイプという)のものがある。
【0004】
何れのタイプにおいても、支持体上に感光材料を含有する乳剤が塗布されてなるフィルムに対し、その乳剤面側から露光が行われるので、常に乳剤面が画像形成面となる。従って、図13(a)に示すように、側面タイプの場合、画像形成面が下となってトレイ上にフィルムが排出される。トレイ上に蓄積されたフィルム群をオペレータがフィルム上方のA方向から見ると、フィルムの支持体面がオペレータ側に位置するので、フィルム上の医用画像は、図13(b)に示すように左右反転した鏡像となる。
【0005】
また、医用画像のフィルム出力はデータが入力された順に行われるので、読影する順番に医用画像が入力されると、読影順が早い方から先にフィルム出力され、その上に読影順が遅いものが蓄積されるため、各フィルムの医用画像の並び順が読影順とは逆になってしまう。実際にフィルムをシャーカステン上に並べて読影する場合には、図13(c)に示すように、医用画像が正立像の状態で左から右に読影する順番で並べるので、フィルムの出力形態はフィルムに形成された医用画像が正立像で、かつ各フィルムの医用画像の並び順が読影順と一致しているとフィルムを並べる操作が容易となる。そのためには出力されたフィルム群をトレイから取り出した後、まとめて裏返す(表裏を逆にする)操作が必要となる。
【0006】
一方、上部タイプの場合、図14(a)に示すように、画像形成面が上となってトレイ上にフィルムが排出される。トレイ上に蓄積されたフィルム群をオペレータがAの方向から見ると、フィルムの画像形成面がオペレータ側に位置するので、図14(b)に示すようにフィルム上の医用画像は正立像となる。また、側面タイプの場合と同様に医用画像はそのデータが入力された順にフィルム出力されるので、読影する順番に医用画像が入力されると、各フィルムの医用画像の並び順が読影順と逆になってしまう。上述したように、フィルム上の医用画像をシャーカステンに並べて読影する際には、図14(c)に示すようにフィルムに形成された医用画像が正立像で、かつ各フィルムの医用画像の並び順が読影順と一致することが好ましい。そのためには出力されたフィルム群をトレイから取り出した後、一旦フィルムの順番を入れ替えるか、或いはフィルム群をまとめて裏返し、上から1枚づつフィルムを裏返しながらシャーカステンに並べる操作が必要となる。
【特許文献1】特開平9−114903号公報
【特許文献2】特許第2844281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、フィルムの出力形態が異なる医用画像出力装置が混在すると、側面タイプではフィルムを裏返し、上部タイプではフィルムの順番を入れ替える、といったようにオペレータのフィルム操作も切り替えなければならない。これでは、作業が混乱しやすく、煩雑である。特にフィルムを裏返す操作を忘れる等の作業ミスが発生すると、フィルムは略透明で表裏どちらからでも医用画像が観察できるため、右手、左手等、左右対称の撮影部位が撮影された医用画像が形成されていた場合、一見どちらが左手でどちらが右手なのか、判別が困難である。
【0008】
なお、医用画像がどの患者のものであるかその区別を容易にするために、患者の患者IDや氏名が医用画像に関する付帯情報としてフィルムの右下部分等、被写体領域と重ならない位置にオーバーレイされることが多い。また、一患者について複数枚フィルム出力する場合は、「1/2」、「2/2」等、「読影順/総出力枚数」を示す数字等が付帯情報として患者ID等とともにオーバーレイされる。付帯情報は正立像のときは右下、鏡像のときは左下に位置するので、このような付帯情報の位置や患者氏名等のテキストが反転しているかどうかにより医用画像が正立像であるのか鏡像であるのかを判別することができる。しかしながら、大量の医用画像を連続出力した場合、1枚づつフィルムを取り出しながら付帯情報の位置やテキストを調べなければならないのは煩雑である。
【0009】
これらの問題に対し、医用画像を反転させて出力する、或いは出力順を入れ替えて出力する等の対応策が考えられるが、特許文献2に記載の画像反転方法は読影医からの選択指示に応じて、或いは記録媒体の種類に応じて反転させて出力する技術であり、異なる出力形態の医用画像出力装置が混在する状況下において、それら異なる出力形態に合わせて自動的に反転させることはできない。また、特許文献1に記載のフィルム出力方法では、患者単位で出力順を入れ替えることができても、例えば同一患者について撮影された複数の医用画像を過去から現在の順番で読影したい等、同一患者内で出力順を入れ替えなければならない状況には対応できない。
【0010】
本発明の課題は、フィルムの出力形態が異なる複数種類の医用画像出力装置が混在する環境において、各医用画像出力装置から出力されるフィルムの出力形態を統一することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、
患者の医用画像をフィルム上に形成し、当該医用画像が形成されたフィルムを異なる出力形態で出力する複数の医用画像出力装置が混在する医用画像出力システムにおいて、
前記複数の医用画像出力装置におけるフィルムの出力形態に関する出力形態情報を記憶する出力形態記憶手段と、
標準の出力形態を規定した標準形態情報を記憶する標準形態記憶手段と、
前記記憶された各医用画像出力装置の出力形態情報及び標準形態情報に基づいて、前記各医用画像出力装置から出力されるフィルムが標準の出力形態で出力されるように、出力対象の医用画像を正立像又は鏡像に反転する反転処理及び/又は医用画像の出力順を入れ替える入替処理を実行させて、各医用画像出力装置からフィルム出力させる出力制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像出力システムにおいて、
前記標準の出力形態は、各医用画像出力装置により出力されたフィルムをその上方から見たときに、当該フィルム上に形成された医用画像が正立像であり、かつそれら医用画像が形成されたフィルムが当該医用画像の読影順に重ねられた状態であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医用画像出力システムにおいて、
前記出力制御手段は、前記医用画像とともにその付帯情報をフィルム出力させることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の医用画像出力システムにおいて、
前記フィルムは、その両面における光沢の程度が略一致であることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の医用画像出力システムにおいて、
前記光沢の程度が略一致のフィルムは、略透明な支持体上に感光層を有する熱現像用フィルムであることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、
医用画像が形成されたフィルムを異なる出力形態で出力する複数の医用画像出力装置が混在する医用画像出力システムにおける医用画像出力方法であって、
前記複数の医用画像出力装置におけるフィルムの出力形態に関する出力形態情報を出力形態記憶手段に記憶する工程と、
標準の出力形態を規定した標準形態情報を標準形態記憶手段に記憶する工程と、
前記記憶された各医用画像出力装置の出力形態情報及び標準形態情報に基づいて、前記各医用画像出力装置から出力されるフィルムが標準の出力形態で出力されるように、出力対象の医用画像を正立像又は鏡像に反転する反転処理及び/又は医用画像の出力順を入れ替える入替処理を実行し、各医用画像出力装置からフィルム出力する工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、6に記載の発明によれば、異なる出力形態である複数の医用画像出力装置が混在する環境下であっても、各医用画像出力装置で出力されたフィルムの出力形態を標準の出力形態に統一することができる。従って、オペレータのフィルムの操作方法を統一化することができ、作業の効率化を図ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、出力されたフィルム上に形成された医用画像が正立像であり、かつ医用画像が形成されたフィルムが読影順に重ねられた出力形態に統一化することができる。従って、オペレータは出力されたフィルムを取り出してそのまま上から順に1枚づつフィルムをシャーカステンに並べるだけで読影順に正立像の医用画像を並べることができ、作業の効率化を図ることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、医用画像とともにその付帯情報をフィルム出力することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、フィルムはその両面における光沢の程度が略一致のものを使用する。医用画像を反転した場合、画像が形成された面が必ずしも読影を行う面になるとは限らないが、光沢差が少ないフィルムを使用することにより何れの面から読影を行うことになっても読影医に違和感を与えることがない。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、光沢の程度が略一致のフィルムとして熱現像用のフィルムを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施の形態では、フィルムの出力形態が異なる医用画像出力装置を複数含むシステムにおいて、何れの医用画像出力装置においても、予め標準の出力形態として設定された標準形態(トレイ上に排出された状態でフィルムを見たときにフィルム上に形成された医用画像が正立像であり、かつ複数の医用画像が連続出力された場合には各フィルムに形成された医用画像の並び順が医用画像の読影順と一致する出力形態)となるように、医用画像の反転処理及び医用画像の出力順の入れ替え処理を制御してフィルムの出力形態を統一化する例を説明する。
【0023】
なお、フィルムは材質によっては支持体面又は画像形成面である乳剤面に光沢が発生することがあり、読影医によって光沢の程度が大きい方が好まれたり、少ない面が好まれたりと様々である。本発明では、各医用画像出力装置のフィルムの出力形態に応じて標準形態となるように医用画像が反転された鏡像又は反転されない正立像がフィルム出力されるため、必ずしも画像形成面側から読影が行われるとは限らず、支持体面側から読影が行われる場合もある。つまり、フィルムの両面に光沢差があると読影医の好みに応じた光沢を有する面から読影を行うことができるとは限らず、読影医の要望に応えられない場合もある。従って、両面で光沢の差が少ないフィルムを使用する場合に本発明を適用すると、支持体面又は画像形成面の何れから読影を行ってもフィルムの光沢の程度は略一致であるので、光沢の有無に拘わらずそのフィルムの出力形態を自由に制御することができる。本実施形態では、そのような光沢の程度が略一致のフィルムとして、熱現像用のフィルムを使用して医用画像の出力を行う乾式の医用画像出力装置(いわゆるドライイメージャ)を例に説明する。
【0024】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における医用画像出力システム100のシステム構成を示す。
図1に示すように、医用画像出力システム100は、モダリティ10、制御装置20、画像サーバ25、読影端末30、医用画像出力装置50a、50bが通信ネットワークNを介して相互にデータ通信可能に接続されている。なお、図1は本発明を適用した医用画像出力システム100の一例であり、各構成装置の設置台数及び設置場所等は特に限定しない。
【0025】
以下、各装置について説明する。
モダリティ10は、患者を撮影した医用画像のデジタルデータを生成する画像生成手段である。モダリティ10としては、X線を照射して撮影を行うとともに、撮影により輝尽性蛍光体プレートに記録されたX線画像を読み取り、デジタルデータとして生成するCR(Computed Radiography)、CT(Computed Tomography)等の撮影読取装置、或いはX線に限らず、MRI(Magnetic Resonance Imaging)や超音波撮影装置等の撮影読取装置が適用可能である。
【0026】
また、輝尽性蛍光体プレートではなく、フラットパネルディテクタ(以下、FPD;Flat Panel Detectorという)を用いた撮影読取装置も適用可能である。FPDは、例えば特開平6−342098号公報に記載されているように、照射された放射線の強度に応じた電荷を生成する放射線検出素子と、この放射線検出素子により生成された電荷を蓄積するコンデンサとが2次元的に配列されたものであり、被写体のX線画像を撮像して電気信号として出力する。
【0027】
なお、他の画像生成手段として、輝尽性蛍光体プレートを内蔵するカセッテを用いて撮影が行われた場合に当該カセッテに記録されたX線画像を読み取ってデジタルデータとして生成するカセッテ専用の読取装置を医用画像表示システム1において設置することとしてもよい。フィルムに出力された医用画像をスキャンしてデジタルデータとして読み取りフィルムディジタイザ等も適用可能である。
【0028】
モダリティ10は、患者が撮影された医用画像の読み取り、デジタルデータを生成する読取処理を実行し、当該生成された医用画像のヘッダ領域に、個々のモダリティを識別するための識別情報として自己のモダリティに付与されたモダリティ番号の情報を書き込んで制御装置20に送信する。
【0029】
制御装置20は、モダリティ10による医用画像の生成処理を制御して、当該生成された医用画像を取得し、医用画像が撮影された患者に関する患者情報や撮影に関する撮影情報等の各種情報を医用画像のヘッダ領域に書き込み、付帯情報として医用画像に付帯させる。また、医用画像出力装置50a、50bによる医用画像のフィルム出力に関する出力指示情報を生成し、当該出力指示情報を出力対象の医用画像とともに医用画像出力装置50a、50bに送信して各医用画像出力装置50a、50bのフィルム出力形態を制御する。
【0030】
制御装置20は、検査撮影毎に発行される撮影オーダ情報を記憶しており、この撮影オーダ情報に基づいて医用画像の生成から保存までに係る処理動作を制御する。撮影オーダ情報とは、撮影対象の患者に関する患者情報や、撮影条件等を示す撮影情報等、撮影に対するオーダ(依頼)が規定されたものであり、医師の依頼により病院情報管理システム(以下、HIS;Hospital Information Systemという)や放射線科情報管理システム(以下、RIS;Radiology Information System)等において生成され、病院内LAN(Local Area Network)等を介して制御装置20に送信されるものである。制御装置20は、医用画像をDB化する際に、モダリティ10から取得された医用画像と対応する撮影オーダ情報を検索し、当該医用画像のヘッダ領域に検索された撮影オーダ情報と同一内容の情報を書き込み、医用画像と撮影オーダ情報とを対応付けてから保存する。これは、各医用画像を他の医用画像と識別するためであり、また医用画像が撮影された患者、その際の撮影条件等が判別できるようにするためである。
【0031】
図2に、制御装置20の内部構成を示す。
図2に示すように、制御装置20は、制御部21、記憶部22、通信部23、画像メモリ24から構成されている。
【0032】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部22に記憶されるシステムプログラム、本発明に係る出力制御処理プログラム等をRAMに展開し、当該展開された各プログラムに従って各部を集中制御する。
【0033】
出力制御処理では、医用画像のフィルム出力の指示情報が読影端末30から受信されると、記憶部22に記憶された出力形態テーブル221(内容については後述する)を参照し、出力先として指定された医用画像出力装置50a又は50bの出力形態に関する情報(以下、出力形態情報という)を読み出すとともに、標準形態テーブル222(内容については後述する)を参照し、標準の出力形態として設定された出力形態(以下、標準形態という)の情報(以下、標準形態情報という)を読み出す。次いで、これら読み出された情報に基づいて、フィルムの出力形態が標準形態となるように医用画像及び付帯情報の反転処理の有無及び出力順を設定する。そして、反転処理の有無及び出力順の設定情報を出力指示情報として出力対象の医用画像とともに、出力先として指定された医用画像出力装置50a又は50bに通信部23を介して送信させる。すなわち、制御部21と出力制御処理プログラムとの協働により出力制御手段を実現することができる。
【0034】
記憶部22は、磁気的又は光学的記録媒体、若しくは半導体メモリ等により構成され、システムプログラム、出力制御処理プログラム等の各種制御プログラム及びそれら制御プログラムで処理されたデータ等を記憶する。また、各種処理において使用するパラメータや処理結果のデータ等を記憶する。
【0035】
また、記憶部22は、出力形態テーブル221、標準形態テーブル222を記憶している。出力形態テーブル221は、医用画像出力システム100に接続されている各医用画像出力装置50a、50bの出力形態情報が記憶されたテーブルである。出力形態テーブル221には、図3に示すように、各医用画像出力装置50a、50bを識別するために固有に付与された装置ID(例えば医用画像出力装置50aに付与された“501A”等)に対応付けて、各医用画像出力装置50a、50bにおける出力形態情報が記憶されている。出力形態情報としては、トレイの設置位置(例えば“側面”、“上部”等)、トレイ上に排出されたフィルムの画像形成面(フィルムにおいて医用画像が形成された方の面)の方向(例えば画像形成面が上の方向に位置するよう排出される場合は “上”、画像形成面が下の方向に位置するよう排出される場合は“下”)、トレイ上に排出された状態でフィルムをその上方から見たときにそのフィルムに形成されている像(例えば正立像であれば“正立像”、鏡像であれば“鏡像”)、複数枚連続出力された場合における当該医用画像の並び順(フィルム群の上からの順番であり、これをフィルム順という。例えば医用画像の読影順と一致する場合は“読影順と一致”、読影順と逆の順番となる場合は“読影順と逆”)等の情報が含まれる。すなわち、記憶部22は出力形態記憶手段である。
【0036】
一方、標準形態テーブル222は、標準形態が規定されたテーブルである。標準形態とは、出力形態が異なる各医用画像出力装置50a、50bの出力形態を統一化する際に、目的とする出力形態をいう。標準形態テーブル222には、図4に示すように、トレイ上に排出された状態でフィルムをその上方から見たときのフィルムに形成されている像(例えば正立像となるように設定された場合は“正立像”、鏡像となるように設定された場合は“鏡像”)、複数枚連続出された場合に排出されたフィルム群を、それらフィルムに形成された医用画像が正立像となるように見たときのフィルム順(例えば医用画像の読影順と一致するように設定された場合は“読影順と一致”、読影順と逆の順番となるように設定された場合は“読影順と逆”)の各設定情報が記憶されている。なお、標準形態の内容は適宜設定可能であるとする。すなわち、記憶部22は標準形態記憶手段である。
【0037】
通信部23は、NIC(Network Interface Card)、モデム等からなり、モダリティ10、画像サーバ25、読影端末30、医用画像出力装置50a、50b等の通信ネットワークN上の各装置とデータ通信を行う。
【0038】
画像サーバ25は、大容量のメモリ等からなる画像記憶手段を備え、この画像記憶手段に各モダリティ10により読み取られ、制御装置20により付帯情報が付帯された医用画像をデータベース(以下、DB;Data Base)化して記憶させて画像DBを構築し、医用画像の管理を行う。
【0039】
読影端末30は、読影医が医用画像を観察するための端末である。読影端末30は、表示手段を備えて、画像サーバ25に問い合わせを行い、読影医により表示指示された医用画像を取得して前記表示手段上に表示する。また、読影医によりフィルムに出力する医用画像が読影を行う順に指定されると、指定された順番で医用画像を出力する旨を指示する指示情報を生成して制御装置20に送信する。
【0040】
医用画像出力装置50a、50bは、医用画像のデータに基づいてフィルム上に医用画像を形成して出力するものである。医用画像出力装置50aは、図5(a)に示すように装置本体の側面にトレイ61が設置された側面タイプのものであり、医用画像出力装置50bは、図5(b)に示すように装置本体の上部にトレイ61が設置された上部タイプのものである。
【0041】
なお、医用画像出力装置50a、50bは、トレイ61の設置位置が異なるのみで各構成部の機能は同一であるので、各構成部に同一の符号を付して説明する。すなわち、感光性及び感熱性の感光材料(以下、感光感熱材料という)からなるフィルム1を収容し供給するフィルム収容部55、フィルム1上にレーザ光を照射して露光を行い、医用画像の潜像を形成する露光部57、露光後のフィルム1を加熱し、露光により形成された潜像を可視化する(現像する)現像部58、現像され、排出されたフィルム1を保持及び蓄積するトレイ61から構成されている。
【0042】
フィルム1は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の支持体(これを支持層という)上に感光感熱材料を含有する乳剤が塗布されて、感光層が形成されたものである。なお、感光層の上面にさらに保護層を設けることとしてもよい。
【0043】
フィルム1上に医用画像を形成する際には、感光層が形成された面に露光が行われる、つまり感光層の面に常に医用画像が形成される(以下、医用画像が形成された感光層の面を画像形成面という)。よって、図5(a)に示す医用画像出力装置50aの場合、フィルム1が装置内部を約1周して排出されるようにその搬送経路が構成されているため、フィルム1の画像形成面が下となってトレイ61上に排出される。一方、図5(b)に示す医用画像出力装置50bの場合、フィルム1が装置内部を約1周した後、反転して排出されるようにその搬送経路が構成されているため、フィルム1の画像形成面が上となってトレイ61上に排出される。
【0044】
以下、図6を参照して医用画像出力装置50a、50bの内部構成について説明するが、上述したように医用画像出力装置50a、50bの各構成部は同一であるので、図6においても同一の符号を付し、医用画像出力装置50aを代表としてその各構成部の説明を行う。
図6に示すように、医用画像出力装置50aは、制御部51、記憶部52、画像メモリ53、通信部54、フィルム収容部55、搬送機構56、露光部57、現像部58、排出部59から構成されている。
【0045】
制御部51は、記憶部52に記憶された各種制御プログラムや本発明に係るフィルム出力処理プログラムを読み出し、当該制御プログラムに従って各部の動作を集中制御する。
【0046】
フィルム出力処理では、制御装置20から通信部54を介して出力対象の医用画像が出力指示情報とともに入力されると、出力指示情報に従って、反転処理が無効に設定されている場合は反転処理を行わず、反転処理が有効に設定されている場合は入力された医用画像及びその付帯情報を正立像又は鏡像に反転する反転処理を実行する。また、設定された出力順で出力されるように入力された医用画像の出力順を入れ替える入替処理を実行する。本実施形態では制御装置20において設定された出力順に医用画像が入力されるので、入替処理の必要は無い。そして、設定された出力順で反転された(又は反転されていない)医用画像及び付帯情報を所定の出力フォーマットに従って配置した出力用画像データを生成して露光部57に出力するとともに、各部にフィルムへの画像形成を指示して医用画像及び付帯情報のフィルム出力を行わせる。
【0047】
記憶部52は、磁気的又は光学的記録媒体、半導体メモリ等から構成され、各種制御プログラムや処理中に使用されるパラメータ、処理結果等のデータを記憶する。
【0048】
画像メモリ53は、通信部53を介して入力された出力対象の医用画像のデータを記憶する。
【0049】
通信部54は、NIC、モデム等の通信用インターフェイスからなり、モダリティ10、制御装置20、読影端末30、医用画像出力装置50a、50b等の通信ネットワークN上の各装置とデータ通信を行う。通信部54は、制御装置20と通信を行い、出力対象の医用画像のデータを受信すると、当該医用画像データを画像メモリ53に出力する。
【0050】
フィルム収容部55は、未露光のフィルム1を重ねて収容したトレイ及びトレイからフィルム1をピックアップして搬送経路に送り出すピックアップ機構を備え、制御部51からの指示に応じて当該トレイに収容されたフィルム1を搬送経路に送り出す。
【0051】
搬送機構56は、フィルム1の搬送経路沿いに複数の搬送ローラ対を備え、フィルム収容部55から搬送経路上に送り出されたフィルム1を露光部57、現像部58、排出部59に所定の速度で順次搬送する。
【0052】
露光部57は、フィルム1上に照射するレーザ光を発振するレーザ発振器、レーザ発振器から発振されるレーザ光の光量を可視化すべき医用画像のデータに従って変更させる光量変調部、レーザ光をフィルム1上で走査させるポリゴンミラー及び精密送り機構、レーザ光を集光する集光レンズやfθレンズ等の光学系等から構成されている。
【0053】
フィルム1がフィルム収容部55から露光部57に搬送されると、レーザ発振器からレーザ光が発振されるとともに光量変調部に医用画像のデータが入力され、光量変調部では医用画像のデータに従ってレーザ光の変調が行われる。変調されたレーザ光が所定の速度で回転するポリゴンミラーに入光すると、レーザ光は反射によりフィルム1の搬送方向と直交する方向に所定の周期で走査される。この走査方向を主走査方向という。一方でフィルム1は精密送り機構により搬送方向に所定の速度で搬送されるのでフィルム1の全面にレーザ光が走査されることとなる。このフィルム1の搬送方向における走査方向を上記主走査方向に対して副走査方向という。
【0054】
現像部58は、露光部57により露光されたフィルム1を加熱するヒートローラ、ヒートローラ上にフィルム1を密着させるための対向ローラ等から構成されている。ヒートローラはヒータを内蔵し、円筒状に形成されてその外周にフィルム1を所定の熱現像時間、所定の最低熱現像温度以上に維持することによって、露光によりフィルム1上に形成された潜像を可視画像として形成する。
【0055】
排出部59は、トレイ61や図示しないフィルム送り機構を備えて構成され、現像部58において熱現像されたフィルム1を搬送し、トレイ61に排出する。トレイ61に排出されたフィルム1は先にフィルム出力されたフィルム1の上に順次蓄積されていく。
【0056】
次に、上記医用画像出力システム100における動作について説明する。
まず、医用画像出力システム100において医用画像が生成されてから保存されるまでの処理の流れについて述べる。
医用画像の撮影時には、制御装置20において撮影オーダ情報が一覧表示される。撮影技師は撮影しようとする撮影オーダ情報を選択入力して撮影対象の患者及び撮影条件を確認後、モダリティ10により当該患者の撮影を当該撮影条件に従って行う。モダリティ10では撮影が行われるとともに、医用画像のデータが生成され、制御装置20に送信される。制御装置20では、モダリティ10から医用画像が取得されると、当該医用画像のヘッダ領域に選択された撮影オーダ情報と同一内容の情報が書き込まれ、画像サーバ25に保存される。
【0057】
このようにして画像サーバ25では検査撮影により得られた医用画像が保存されて蓄積されていく。読影端末30では、画像サーバ25に保存された医用画像の表示が行われる。そして、オペレータにより出力対象の医用画像が読影順に選択され、当該医用画像の出力先として医用画像出力装置50a、50bの何れかが選択された後、フィルム出力の指示操作が為されると、出力指示された医用画像を読影順として指定された順番で、かつ指定された医用画像出力装置50a、50bにより出力するよう指示する指示情報が生成され、制御装置20に送信される。例えば一患者について撮影された4枚の医用画像を医用画像出力装置50aで出力するよう指示操作された場合、指示情報には、出力対象の医用画像の画像ID、それらの読影順、患者ID、医用画像出力装置50aの装置ID等の情報が含まれる。
【0058】
以下、図7を参照して、フィルム出力の指示情報を受信した制御装置20により実行される出力制御処理について説明する。
図7に示す出力制御処理では、まず標準形態テーブル222から標準形態情報が読み出されるとともに、読影端末30から受信された指示情報に基づいて出力先として指定された医用画像出力装置の装置IDが読み出され、当該装置IDに対応する出力形態情報が出力形態テーブル221から読み出される(ステップS1)。そして、読み出された出力形態情報に基づいて出力先として指定された医用画像出力装置は側面タイプと上部タイプの何れであるかが判別される(ステップS2)。
【0059】
最初に、上部タイプであると判別された場合について説明する。
読み出された出力形態情報からトレイの設置位置が“上部”、画像形成面が“上”、フィルムの像が“正立像”であり、出力先は上部タイプであると判別された場合(ステップS2;上部タイプ)、指示情報に基づいて出力対象として指定された医用画像のデータが画像サーバ25から取得される。取得された医用画像が同一患者のものかどうかは医用画像のヘッダ領域に書き込まれた患者ID、患者氏名の付帯情報に基づいて判別される。そして、標準形態テーブル222から読み出された標準形態情報及び前記読み出された出力形態情報に基づいて、上部タイプの医用画像出力装置50bによりフィルム出力された際にそのフィルムの出力形態が標準形態となるように反転処理の有無が設定される。本実施形態では、標準形態としてフィルムが排出された状態における像は正立像に設定されているので、上部タイプの出力形態の特性に応じて医用画像及びその付帯情報が正立像となるように反転処理が無効に設定される(ステップS3)。つまり、上部タイプの場合、反転は行われない。
【0060】
反転処理の有無が設定されると、医用画像の読影順として指定された順番と逆の順番となるように医用画像の出力順を示すパラメータnが各医用画像に対して設定され(ステップS4)、ステップS7の処理に移行する。
【0061】
次に、出力先が側面タイプである場合について説明する。
ステップS1において、読み出された出力形態情報からトレイの設置位置が“上部”、画像形成面が“上”、フィルムの像が“正立像”であり、出力先の医用画像出力装置が側面タイプであると判別された場合(ステップS2;側面タイプ)、指示情報に基づいて出力対象として指定された医用画像のデータが画像サーバ25から取得される。そして、標準形態テーブル222から読み出された標準形態情報及び前記読み出された出力形態情報に基づいて、側面タイプの医用画像出力装置50aによりフィルム出力された際にそのフィルムの出力形態が標準形態となるように反転処理の有無が設定される。本実施形態では、標準形態としてフィルムが排出された状態における像は正立像と設定されているので、側面タイプの出力形態の特性に応じて医用画像及びその付帯情報が正立像となるように反転処理が有効に設定される(ステップS5)。つまり、側面タイプの場合、反転が行われる。
【0062】
反転処理の有無が設定されると、医用画像の読影順として指定された順番と逆の順番となるように医用画像の出力順を示すパラメータnが各医用画像に対して設定され(ステップS6)、ステップS7の処理に移行する。
【0063】
ステップS7では、各医用画像に設定された反転処理の有無及び出力順nの情報が出力指示情報として、出力対象の医用画像のデータとともに、出力先として指定された各医用画像出力装置50a又は50bに送信され、本処理を終了する。
【0064】
次に、制御装置20から医用画像が受信された医用画像出力装置50a、50bにおいて実行されるフィルム出力処理について説明する。図8は側面タイプの医用画像出力装置50aにおけるフィルム出力処理のフローチャートであり、図10は上部タイプの医用画像出力装置50bにおけるフィルム出力処理のフローチャートである。
【0065】
まず、側面タイプの医用画像出力装置50aによる処理から説明する。
図8に示すフィルム出力処理では、出力対象の医用画像がその出力指示情報とともに通信部54を介して入力されたか否かが判別され(ステップS11)、出力対象の医用画像及び出力指示情報が入力されたと判別されると(ステップS11;Y)、入力された医用画像は画像メモリ53に一時記憶されるとももに、出力指示情報に従って、各医用画像に設定されている出力順nが初期値であるn=1に設定される(ステップS12)。ここで、出力順nは制御装置20において読影順と逆に設定されているので、読影順が最後の順番の医用画像が出力順の最初の順番に設定されていることとなる。
【0066】
出力順nが設定されると、当該出力順nの医用画像が画像メモリ53から読み出される。そして、出力指示情報が参照され、医用画像及び付帯情報の反転処理が無効に設定されている場合は反転処理は行われず、反転処理が有効に設定されている場合は反転処理が実行される。側面タイプの場合、前述した出力制御処理(図7参照)において、制御装置20により医用画像及び付帯情報の反転処理が有効に設定されているので、反転処理が実行され、医用画像及び付帯情報が反転された鏡像が所定の出力フォーマットに従って所定の位置に配置されて露光処理及び現像処理によりフィルムへの画像形成が行われる(ステップS13)。なお、フィルムに画像形成される付帯情報は、患者ID、患者氏名及びその患者について出力するフィルムの読影順/総出力数を示す数字のテキストである。
【0067】
医用画像及びその付帯情報の鏡像がフィルム1上に形成されると、当該フィルム1が排出部59によりトレイ61上に排出される(ステップS14)。次いで、入力された医用画像の全てについてフィルム出力が終了したか否かが判別される(ステップS15)。全てのフィルム出力が終了していない場合(ステップS15;N)、出力順nのパラメータが1だけインクリメントされ(ステップS16)、ステップS13の処理に戻る。すなわち、全てのフィルム出力が終了するまで順次出力順nのパラメータが繰り上げられ、繰り上げられた出力順nの医用画像のフィルム出力が行われる。そして、全ての医用画像のフィルム出力が終了すると、本処理を終了する。
【0068】
以上のフィルム出力処理によりトレイ61上に排出され、蓄積されたフィルム1の出力形態について、3つの医用画像E、F、Gをフィルム出力した場合を例に図9を参照して説明する。なお、図9において白枠で囲まれているフィルムは、画像形成面と逆の面、つまり支持体面から見た図であることを示し、E、F、G及び付帯情報pのテキストが実線で示されている場合は正立像、点線で示されている場合は鏡像であることを示している。
【0069】
医用画像E、F、Gが、E、F、Gの順に出力するよう指示された場合、標準設定に従うと、図9(a)に示すようにトレイ上に蓄積されたフィルムの医用画像が全て正立像で、かつ連続出力によりトレイ上に蓄積された3枚のフィルム群は上から1枚目が医用画像E、2枚目が医用画像F、3枚目が医用画像Gという、読影順と一致するフィルム順で出力されていなければならない。また、このとき付帯情報pは右下に位置し、そのテキストは正立像である。
【0070】
従来のように無処理で医用画像がフィルム出力された場合、側面タイプの医用画像出力装置50aでは画像形成面が下となってトレイ61上にフィルム1が蓄積されるので、図9(b)に示すようにトレイ61上に蓄積されたフィルム群をその上方から見たとき医用画像が鏡像であるとともに、1枚目が医用画像G、2枚目が医用画像F、3枚目が医用画像Eと、指定された読影順と逆の順番となっている。また、付帯情報pは左下に位置し、そのテキストは反転した鏡像となっている。
【0071】
しかしながら、本発明によれば、医用画像出力装置50aの出力形態の特性に応じて、医用画像及びその付帯情報が反転され、指定された読影順と逆の順番となるように並べ替えられた順番で出力するよう制御されるので、トレイ61上に蓄積されたフィルム群をその上方から見たとき、図9(c)に示すように各フィルムの医用画像が正立像であるとともに、フィルム群の1枚目が医用画像E、2枚目が医用画像F、3枚目が医用画像Gと、読影順と一致する順番で重ねられていることとなる。また、付帯情報pは右下に位置し、そのテキストは正立像である。よって、目的とする標準形態(図9(a)に示す出力形態)と一致している。
【0072】
次に、上部タイプの医用画像出力装置50bにおける処理について説明する。
図10に示すフィルム出力処理では、出力対象の医用画像がその出力指示情報とともに通信部54を介して入力されたか否かが判別され(ステップS101)、出力対象の医用画像及び出力指示情報が入力されたと判別されると(ステップS101;Y)、入力された医用画像は画像メモリ53に一時記憶されるとともに、出力指示情報に従って、各医用画像に設定されている出力順nが初期値であるn=1に設定される(ステップS102)。ここで、出力順nは制御装置20において読影順と逆に設定されているので、読影順が最後の順番の医用画像が出力順の最初の順番に設定されていることとなる。
【0073】
出力順nが設定されると、当該出力順nの医用画像が画像メモリ53から読み出される。そして、出力指示情報が参照され、医用画像及び付帯情報の反転処理が無効に設定されている場合は反転処理は行われず、反転処理が有効に設定されている場合は反転処理が実行される。上部タイプの場合、前述した出力制御処理(図7参照)において、制御装置20により医用画像及び付帯情報の反転処理が無効に設定されているので、反転処理が実行されず、医用画像及び付帯情報の正立像が、所定の出力フォーマットに従って所定の位置に配置されて露光処理及び現像処理によりフィルム上に形成される(ステップS103)。なお、側面タイプの場合と同様にフィルム上に形成される付帯情報は、患者ID、患者氏名及びその患者について出力するフィルムの読影順/総出力数を示す数字のテキストである。
【0074】
医用画像及びその付帯情報の正立像がフィルム1上に形成されると、当該フィルム1が排出部59によりトレイ61上に排出される(ステップS104)。次いで、入力された医用画像の全てについてフィルム出力が終了したか否かが判別される(ステップS105)。全てのフィルム出力が終了していない場合(ステップS105;N)、出力順nのパラメータが1だけインクリメントされ(ステップS106)、ステップS103の処理に戻る。すなわち、全てのフィルム出力が終了するまで順次出力順nのパラメータが繰り上げられ、繰り上げられた出力順nの医用画像のフィルム出力が行われる。そして、全ての医用画像のフィルム出力が終了すると、本処理を終了する。
【0075】
以上のフィルム出力処理によりトレイ61上に排出され、蓄積されたフィルム1の出力形態について、3つの医用画像E、F、Gをフィルム出力した場合を例に図11を参照して説明する。なお、図11において黒枠で囲まれているフィルムは、画像形成面と逆の面、つまり支持体面から見た図であることを示し、E、F、G及び付帯情報pのテキストが実線で示されている場合は正立像、点線で示されている場合は鏡像であることを示している。
【0076】
医用画像E、F、Gが、E、F、Gの順に出力するよう指示された場合、標準設定に従うと、図11(a)に示すようにトレイ上に蓄積されたフィルムの医用画像が全て正立像で、かつ連続出力によりトレイ上に蓄積された3枚のフィルム群は上から1枚目が医用画像E、2枚目が医用画像F、3枚目が医用画像Gという、読影順と一致するフィルム順で出力されていなければならない。また、このとき付帯情報pは右下に位置し、そのテキストは正立像である。
【0077】
従来のように無処理で医用画像がフィルム出力された場合、上部タイプの医用画像出力装置50bでは画像形成面が上となってトレイ61上にフィルムが蓄積されるので、図11(b)に示すようにトレイ61上に蓄積されたフィルム群をその上方から見たとき医用画像が正立像であるとともに、1枚目が医用画像G、2枚目が医用画像F、3枚目が医用画像Eと、指定された読影順と逆の順番となっている。また、付帯情報pは右下に位置し、そのテキストは正立像である。
【0078】
しかしながら、本発明によれば、医用画像出力装置50bの出力形態の特性に応じて、医用画像及びその付帯情報が反転されずに、読影順と逆の順番となるように並べ替えられた順番で出力するよう制御されるので、トレイ61上に蓄積されたフィルム群は、図11(c)に示すように各フィルムの医用画像が正立像であるとともに、フィルム群の1枚目が医用画像E、2枚目が医用画像F、3枚目が医用画像Gと、読影順と一致する順番で重ねられることとなる。また、付帯情報pは右下に位置し、そのテキストは正立像である。よって、目的とする標準形態(図11(a)に示す出力形態)と一致している。
【0079】
以上のように、本実施形態によれば、異なる出力形態である医用画像出力装置50a、50bが混在する場合であっても、各医用画像出力装置50a、50bの出力形態の特性に応じて、出力対象の医用画像を反転させる及び/又は出力順を入れ替えることにより、何れの医用画像出力装置50a、50bでフィルム出力が行われた場合でも、その出力形態を標準形態に一致させることができる。従って、オペレータのフィルム操作方法を統一化することができ、作業の効率化を図ることができる。
【0080】
また、複数の医用画像を連続出力した場合、各フィルムに形成された医用画像が正立像となるように見たときにフィルム群の上からの順番が指定された読影順と一致するように出力順が並び替えられるので、フィルムをシャーカステン上に並べて読影する際には、裏返す等の特別なフィルム操作をせずとも、トレイ61上に蓄積されたフィルム群を取り出して、そのまま上から順に1枚づつフィルムをシャーカステンに並べるだけで指定した読影順に正立像の医用画像を並べることができる。
【0081】
例えばCTの場合、胸部から腹部にかけての複数の断層画像を胸部から腹部の順に並べる等、所定の順番で並べた方が読影し易いが、CTは撮影枚数が多いためフィルムの順番を逐一確認しながらシャーカステンに並べる作業は非常に煩雑である。よって、撮影枚数が多く読影順が特定されるようなCTやMRI等の医用画像を読影する場合には、本発明は特に有効である。また、CRであっても過去と現在の医用画像をフィルム出力して経時変化を見る場合等があり、このように過去から現在の順に並べる場合にも有効である。
【0082】
また、本発明を適用した場合、画像形成面が必ずしも読影を行う面になるとは限らず、支持体面側から読影を行う場合もあり得るが、例えばコニカミノルタ社製SD−P、富士写真フィルム社製DI−HL、DI−AL等の熱現像用フィルムは、従来のウェット処理用(化学処理液を使用する湿式の医用画像出力装置用)のフィルムに比べ、一般的にその両面における光沢差が少なく、画像形成面又は支持体面の何れから読影を行うことになっても読影医に違和感を与えない。
【0083】
なお、本実施形態における記述内容は、本発明を適用した医用画像出力システム100の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0084】
例えば、上述した説明では2タイプの出力形態の医用画像出力装置50a、50bが混在する場合を説明したが、上部タイプや側面タイプ以外の出力形態で出力する医用画像出力装置が混在する場合にも、本発明を適用可能である。この場合、その出力形態情報を制御装置20の出力形態テーブル221において記憶させ、その出力形態に応じて医用画像の反転処理及び/又は出力順の入れ替え処理を制御することにより、標準形態に統一化させることができる。
【0085】
また、上記実施形態では、オペレータがトレイ61上に排出、蓄積されたフィルムを見下ろす方向で見たときに、そのフィルムに記録された医用画像が正立像となるように、かつ複数枚連続出力する場合には医用画像の読影順とフィルム順とが一致する順番となる出力形態を標準設定としたが、オペレータのフィルムの取り扱い方法が統一化されるのであれば標準形態はこれに限らない。例えば、医用画像が鏡像となるように、かつ医用画像の読影順と一致する順番でフィルム群の下から順番に蓄積されるように制御することとしてもよい。医用画像出力装置50a、50bの何れにおいてもこのような出力形態となるように制御することにより、オペレータはトレイからフィルム群を取り出してフィルム群毎裏返すことにより正立像で、かつ上から順に並んだフィルム群を得ることができるので、やはりフィルムの取り扱い方法が統一化される。
【0086】
また、制御装置20により各医用画像出力装置50a、50bにおける出力対象の医用画像の反転処理、出力順の入替処理を制御することとしたが、このような出力制御機能を医用画像出力装置50a、50bに備えることとしてもよい。
【0087】
また、本実施形態では排出されたフィルムを保持、蓄積するトレイ61が一つのみの場合を説明したが、図12に示すように複数トレイ61〜63を備え、排出部59において各トレイ61〜63にフィルムを仕分ける構成であっても本発明を適用可能である。図12(a)は側面タイプの医用画像出力装置50aに複数トレイ61〜63を設置した例、図12(b)は上部タイプの医用画像出力装置50bに複数トレイ61〜63を設置した例を示す図である。
【0088】
複数トレイ61〜63が装着されている場合、仕分け作業の効率化を図るために、例えばトレイ61にはCRで撮影された医用画像を、トレイ62にはCTで撮影された医用画像を、トレイ23にはMRIにより撮影された医用画像を出力するといったように各トレイ61〜63がモダリティと対応付けられている場合がある。或いは、トレイ61には読影医Aが読影対象とする医用画像を、トレイ62には読影医B、Cが読影対象とする医用画像を、トレイ63には読影医Dが読影対象とする医用画像を出力する、といったように各トレイ61〜63が読影医と対応付けられている場合もある。
【0089】
モダリティ毎にトレイ61〜63が設定されている場合、読影端末30から出力指示が為されると、制御装置20において出力対象の医用画像のヘッダ領域からモダリティ番号を読み出し、同じモダリティ番号の医用画像の中で指定された読影順と逆になるようにその出力順nを入れ替えて設定する。また、上述したように出力形態情報及び標準形態情報に基づいて医用画像及び付帯情報の反転を制御する。これにより、医用画像出力装置50a、50bでは、モダリティ毎に連続してフィルム出力が行われてそのモダリティに対応付けられたトレイ61〜63に排出され、その出力形態は標準形態と一致することとなる。
【0090】
一方、読影医毎にトレイ61〜63が設定されている場合、読影端末30において出力対象の医用画像の画像IDとともに認証された読影医の情報を制御装置20に送信することとし、制御装置20において各読影医に対応する医用画像の中で指定された読影順と逆になるようにその出力順nを入れ替えて設定する。また、上述したように出力形態情報及び標準形態情報に基づいて医用画像及び付帯情報の反転を制御する。これにより、医用画像出力装置50a、50bでは、読影医毎に連続してフィルム出力が行われてその読影医に対応付けられたトレイ61〜63に排出され、その出力形態は標準形態と一致することとなる。
【0091】
その他、本実施の形態における医用画像出力システム100の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本実施の形態における医用画像出力システム100の内部構成を示す図である。
【図2】制御装置20の内部構成を示す図である。
【図3】出力形態テーブル221のデータ構成例を示す図である。
【図4】標準形態テーブル222のデータ構成例を示す図である。
【図5】(a)は側面タイプの医用画像出力装置50aを示す図であり、(b)は上部タイプの医用画像出力装置50bを示す図である。
【図6】医用画像出力装置50a、50bの内部構成を示す図である。
【図7】制御装置20により実行される出力制御処理を説明するフローチャートである。
【図8】側面タイプの医用画像出力装置50aにより実行されるフィルム出力処理を説明するフローチャートである。
【図9】医用画像出力装置50aによるフィルムの出力形態を示す図である。
【図10】上部タイプの医用画像出力装置50bにより実行されるフィルム出力処理を説明するフローチャートである。
【図11】医用画像出力装置50bによるフィルムの出力形態を示す図である。
【図12】複数トレイを有する構成例を示す図であり、(a)は医用画像出力装置50a、(b)は医用画像出力装置50bを示す図である。
【図13】(a)は従来の側面タイプの医用画像出力装置を示す図であり、(b)、(c)はそのフィルム出力形態を示す図である。
【図14】(a)は従来の上部タイプの医用画像出力装置を示す図であり、(b)、(c)はそのフィルム出力形態を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
100 医用画像出力システム
10 モダリティ
20 制御装置
21 制御部
22 記憶部
221 出力形態テーブル
222 標準形態テーブル
23 通信部
24 画像メモリ
25 画像サーバ
30 読影端末
50a 医用画像出力装置(側面タイプ)
50b 医用画像出力装置(上部タイプ)
51 制御部
52 記憶部
53 画像メモリ
54 通信部
55 フィルム収容部
56 搬送機構
57 露光部
58 現像部
59 排出部
61〜63 トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の医用画像をフィルム上に形成し、当該医用画像が形成されたフィルムを異なる出力形態で出力する複数の医用画像出力装置が混在する医用画像出力システムにおいて、
前記複数の医用画像出力装置におけるフィルムの出力形態に関する出力形態情報を記憶する出力形態記憶手段と、
標準の出力形態を規定した標準形態情報を記憶する標準形態記憶手段と、
前記記憶された各医用画像出力装置の出力形態情報及び標準形態情報に基づいて、前記各医用画像出力装置から出力されるフィルムが標準の出力形態で出力されるように、出力対象の医用画像を正立像又は鏡像に反転する反転処理及び/又は医用画像の出力順を入れ替える入替処理を実行させて、各医用画像出力装置からフィルム出力させる出力制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像出力システム。
【請求項2】
前記標準の出力形態は、各医用画像出力装置により出力されたフィルムをその上方から見たときに、当該フィルム上に形成された医用画像が正立像であり、かつそれら医用画像が形成されたフィルムが当該医用画像の読影順に重ねられた状態であることを特徴とする請求項1に記載の医用画像出力システム。
【請求項3】
前記出力制御手段は、前記医用画像とともにその付帯情報をフィルム出力させることを特徴とする請求項1又は2に記載の医用画像出力システム。
【請求項4】
前記フィルムは、その両面における光沢の程度が略一致であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の医用画像出力システム。
【請求項5】
前記光沢の程度が略一致のフィルムは、略透明な支持体上に感光層を有する熱現像用フィルムであることを特徴とする請求項4に記載の医用画像出力システム。
【請求項6】
医用画像が形成されたフィルムを異なる出力形態で出力する複数の医用画像出力装置が混在する医用画像出力システムにおける医用画像出力方法であって、
前記複数の医用画像出力装置におけるフィルムの出力形態に関する出力形態情報を出力形態記憶手段に記憶する工程と、
標準の出力形態を規定した標準形態情報を標準形態記憶手段に記憶する工程と、
前記記憶された各医用画像出力装置の出力形態情報及び標準形態情報に基づいて、前記各医用画像出力装置から出力されるフィルムが標準の出力形態で出力されるように、出力対象の医用画像を正立像又は鏡像に反転する反転処理及び/又は医用画像の出力順を入れ替える入替処理を実行し、各医用画像出力装置からフィルム出力する工程と、
を含むことを特徴とする医用画像出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−6790(P2006−6790A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191079(P2004−191079)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】