説明

医用画像撮影装置及び放射線治療装置

【課題】画像精度低下の要因となる天板の撓み量を求めることができる医用画像撮影装置を提供する。
【解決手段】医用画像撮影装置1Aにおいて、被検体が載置される天板5を有する寝台2と、天板5上の被検体に対し、医用画像を撮影する撮影動作を行う撮影部3と、天板5に設けられ、天板5の撓み量Tに応じて抵抗値が変化する抵抗体7と、抵抗体7の抵抗値を測定する測定部9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像撮影装置及び放射線治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用機器として、医用画像を撮影する医用画像撮影装置や放射線による治療を行う放射線治療装置等が開発されている。また、医用画像撮影装置としては、例えば、X線CT装置(X線断層撮影装置)やX線透視撮影装置等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような医用機器は、被検体が載置される天板を有する寝台や、被検体に対する撮影又は治療を行う装置等を備えている。寝台の天板は片持ち構造や両持ち構造等により支持されており、片持ち構造の天板は水平方向に移動可能に形成されている。
【特許文献1】特開平9−56711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のような天板は、被検体が載置されると、その荷重により撓んでしまう。特に、片持ち構造の天板を用いた場合には、その天板の撓み量が両持ち構造の天板に比べて大きくなってしまう。また、天板の撓み量は、天板がせり出し方向に移動する移動量に応じて増加してしまう。このような天板の撓みにより、被検体の体軸が傾くため、正確な断層画像を得ることが困難になり、画像精度が低下してしまう。さらに、画像精度が低下した断層画像を治療計画画像として用いるため、治療精度も低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像精度低下の要因となる天板の撓み量を求めることができる医用画像撮影装置及び放射線治療装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、医用画像撮影装置において、被検体が載置される天板を有する寝台と、天板上の被検体に対し、医用画像を撮影する撮影動作を行う撮影部と、天板に設けられ、天板の撓み量に応じて抵抗値が変化する抵抗体と、抵抗体の抵抗値を測定する測定部とを備えることである。
【0007】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、放射線治療装置において、被検体が載置される天板を有する寝台と、天板上の被検体に対し、放射線を照射する治療動作を行う治療部と、天板に設けられ、天板の撓み量に応じて抵抗値が変化する抵抗体と、抵抗体の抵抗値を測定し、天板の撓み量を求める測定部とを備えることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像精度低下の要因となる天板の撓み量を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図6を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る医用画像撮影装置1Aは、患者等の被検体が載置される寝台2と、その寝台2上の被検体に対し、医用画像を撮影する撮影動作を行う撮影部3と、その撮影部3を駆動制御する情報処理装置4とを備えている。このような医用画像撮影装置1Aとしては、例えば、被検体の医用画像を断層撮影するX線CT装置(X線断層撮影装置)が挙げられる。
【0011】
寝台2は、被検体を載せる天板5と、その天板5を支持して水平方向及び鉛直方向に移動させる天板移動部6とにより構成されている。この寝台2は、天板移動部6により天板5を移動させ、天板5上の被検体を所定の位置に位置付ける。
【0012】
天板5は、被検体を寝かして載せるため、例えば長方形状に形成されており、水平方向及び鉛直方向に移動可能に天板移動部6上に設けられている。この天板5の水平移動方向は、撮影部3に向かってせり出すせり出し方向(図1中の左方向)と、撮影部3から元の位置に戻る戻り方向(図1中の右方向)との2方向である。なお、せり出し方向は天板5が撮影部3に近づく近接方向であり、戻り方向は天板5が撮影部3から離反する離反方向である。
【0013】
天板移動部6は、天板5を水平方向に移動可能に支持し、その天板5を水平方向に移動させる水平移動部6aと、その水平移動部6aを支持して鉛直方向に移動させる鉛直移動部6bとにより構成されている。特に、水平移動部6aは、水平方向に移動する天板5を片持ち構造により支持するように形成されている。このような天板移動部6は、鉛直移動部6bにより天板5を鉛直方向に移動させ、さらに、水平移動部6aにより天板5を水平方向、すなわちせり出し方向及び戻り方向に移動させる。
【0014】
天板5の内部には、天板5の撓み量(たわみ量)Tに応じて抵抗値が変化する抵抗体7と、その抵抗体7に電気的に接続された外部接続部材8が設けられている。また、鉛直移動部6bの内部には、抵抗体7の抵抗値を測定する測定部9と、天板5の水平移動量及び鉛直移動量を検出する検出部10とが設けられている。
【0015】
抵抗体7は、線材により形成されており、天板5の内部に埋め込まれている。この抵抗体7は、図2に示すように、天板5の端部H1(図2中の右端部)から天板5の水平移動方向(長手方向)に沿って伸びる第1線部7aと、折り返されてその水平移動方向に沿って伸び、第1線部7a対する離間距離が徐々に変化する第2線部7bとにより構成されている。すなわち、抵抗体7は、天板5の端部H1から対向する端部H2(図2中の左端部)に向かって天板5の水平移動方向に沿って伸び、その途中で折り返して元の端部H1まで伸びるように、天板5の平面に沿ってV字形状に設けられている。このとき、第1線部7aと第2線部7bとの離間距離は、天板5の戻り方向に沿って徐々に広くなる。
【0016】
抵抗体7としては、例えば、直径が0.1mm程度である細線を用いる。また、抵抗体7の材料としては、鉄やニクロム線等の伸びに応じて抵抗値が変化する材料、特に、抵抗値が伸び量に応じてほぼ線形に変化する材料を用いる。ここで、抵抗体7の伸び量は、天板5の撓み量Tと相関関係がある。天板5の撓み量(天板変位量)Tは、図3に示すように、抵抗体7の抵抗値に応じて変化する。したがって、天板5の撓み量Tが増加するほど、抵抗体7の伸び量が増えるので、抵抗体7の抵抗値は増加する。
【0017】
外部接続部材8は、例えばコネクタ等であり、天板5内部の抵抗体7と天板5外部の測定部9とを電気的に接続するための部材である(図2参照)。この外部接続部材8は、天板5の端部H1に2つ設けられている。
【0018】
測定部9は、抵抗体7に電気的に接続されており、抵抗体7の抵抗値を測定する(図2参照)。この測定部9としては、図2に示すように、例えばブリッジ回路等を用いる。このような測定部9は、天板5の水平移動に応じて移動する接続線9aにより天板5の外部接続部材8に接続されている。ここで、抵抗体7はブリッジ回路のブリッジ抵抗(変位抵抗)として機能する。
【0019】
検出部10は、水平移動部6a及び鉛直移動部6bによる天板5の移動量、すなわち水平移動量及び鉛直移動量を検出する。この検出部10としては、例えばエンコーダ等を用いる。このような検出部10は、天板5の基準位置からの水平移動量及び鉛直移動量を検出する。
【0020】
撮影部3は、X線を照射するX線照射部11と、そのX線照射部11に供給する高電圧を発生させる高電圧発生部12と、X線照射部11により照射されたX線を検出するX線検出部13と、そのX線検出部13により検出された投影データの収集を行うデータ収集部14と、X線照射部11及びX線検出部13を対向させて支持する架台15とにより構成されている。ここで、X線照射部11から照射されたX線が通過する面がX線パス面P1である。このX線パス面P1での撓み量Tを得る必要がある。この撓み量Tは、加重(被検体の体重)と天板5の移動量(せり出し量)により決定される。
【0021】
X線照射部11は、X線を出射するX線管11aと、そのX線管11aから出射されたX線を絞るコリメータ11bとを備えている。このX線照射部11は、架台15の内部に設けられている。このようなX線照射部11は、X線管11aによりX線を出射し、そのX線をコリメータ11bにより絞って、寝台2の天板5上の被検体に照射する。
【0022】
高電圧発生部12は、X線照射部11の近傍に位置付けられ、架台15の内部に設けられている。この高電圧発生部12は、X線照射部11に供給する高電圧を発生させる装置であり、情報処理装置4から与えられた電圧を昇圧及び整流し、その電圧をX線照射部11に供給する。なお、情報処理装置4は、X線照射部11に所望のX線を発生させるため、高電圧発生部12に与える電圧の波形、すなわち振幅やパルス幅等の各種条件を制御する。
【0023】
X線検出部13は、X線照射部11に対向させて架台15の内部に設けられている。このX線検出部13は、寝台2の天板5上の被検体を透過したX線から得られるX線投影情報を光学情報に変換し、その光学情報を電気信号に変換してデータ収集部14に送信する。
【0024】
データ収集部14は、X線検出部13の近傍に位置付けられ、架台15の内部に設けられている。このデータ収集部14は、X線検出部13から送信された電気信号を投影データとして収集し、その投影データを情報処理装置4に送信する。
【0025】
架台15は、円筒状に形成されており、被検体の検査のために寝台2の天板5が挿入される貫通孔15aを有している。この架台15は、貫通孔15aを挟むようにX線照射部11及びX線検出部13を対向させて支持しており、さらに、貫通孔15aの周囲を回転可能にX線照射部11及びX線検出部13を支持している。
【0026】
情報処理装置4は、各部を駆動制御する制御部4a、投影データに基づいて画像再構成を含む画像処理を行う画像処理部4b、医用画像等の各種データや各種プログラム等を格納する記憶部4c、医用画像の位置補正を行う補正部4d、操作者による入力操作を受け付ける操作部4e及び画像を表示する表示部4f等を備えている。これらの各部4a〜4fは、バスライン4gにより電気的に接続されている。
【0027】
制御部4aは、天板移動部6や高電圧発生部12等の各部を駆動制御する。また、制御部4aは、測定部9により測定された抵抗体7の抵抗値や検出部10により検出された天板5の移動量(水平移動量及び鉛直移動量)を収集したり、あるいは、記憶部4cの医用画像を表示部4fに表示したりする。
【0028】
画像処理部4bは、データ収集部14から送信された投影データに対し、画像再構成を含む画像処理を行い、その後、医用画像を記憶部4cに保存する。この画像処理部4bとしては、例えばアレイプロセッサ等を用いる。
【0029】
記憶部4cは、各種プログラムや各種データ等を記憶する記憶装置であって、特に、各種データとして、抵抗体7の抵抗値と天板5の撓み量(天板変位量)Tとの関係情報(図3参照)や撮影した医用画像等を記憶する記憶装置である。この記憶部4cとしては、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリ及びハードディスク等を用いる。
【0030】
補正部4dは、求めた天板5の撓み量Tに基づいて、撮影部3により撮影された医用画像を位置補正する。例えば、補正部4dは、医用画像の再構成を行い、再構成後の医用画像に対して位置補正を行ったり、あるいは、医用画像の再構成を行うときに、医用画像の位置補正を行ったりする。この位置補正では、天板5の撓みに起因する医用画像の位置ずれ、例えば被検体の体軸の傾き等を補正する。
【0031】
操作部4eは、操作者により入力操作される入力部である。この操作部4eとしては、例えば、キーボードやマウス等を用いる。操作者は、操作部4eを入力操作して、撮影部3による撮影を行ったり、あるいは、再構成後の複数の医用画像から希望する医用画像を選択表示させたりする。
【0032】
表示部4fは、被検体の医用画像や操作画面等の各種の画像を表示する表示装置である。この表示部4fとしては、例えば、液晶ディスプレイやCRT(ブラウン管)ディスプレイ等を用いる。
【0033】
次に、このような医用画像撮影装置1Aが行う天板5の撓み量測定動作及び撮影動作について説明する。
【0034】
天板5の撓み量測定動作において、まず、所定の荷重を有する人型状の物体が寝台2の天板5上に載置される。その後、医用画像撮影装置1Aは、操作部4eに対する操作者の入力操作に応じて、物体が載置された天板5を天板移動部6によりせり出し方向に移動させながら、測定部9により抵抗体7の抵抗値を順次測定し、さらに、検出部10により天板5の移動量を順次検出し、図3に示すような関係情報に基づいて、天板5の撓み量(X線パス面P1での撓み量)Tを順次求める。これにより、天板5の撓み量Tが天板5の移動に応じて順次求められ、天板5の移動量と関連付けて記憶部4cに記憶される。その結果、図4に示すように、天板5の移動量(天板移動量)と天板5の撓み量(天板変位量)Tとの関係が求められる。この撓み量測定動作が物体の荷重(50kg、100kg及び150kg)を変えて行われる。このようにして、図4に示すような天板5の撓み量情報が記憶部4cに保存される。
【0035】
撮影動作において、医用画像撮影装置1Aは、操作部4eに対する操作者の入力操作に応じて、被検体が載置された天板5を天板移動部6によりせり出し方向に移動させ、架台15の貫通孔15a内に挿入させ、天板5上の被検体をその体軸方向に移動させる。この天板5の移動とともに、医用画像撮影装置1Aは、撮影部3のX線照射部11及びX線検出部13を天板5上の被検体の回りに沿って回転させながら、そのX線照射部11により天板5上の被検体に対してX線ビームを照射し、X線検出部13により、被検体を透過したX線ビームを検出する。その後、医用画像撮影装置1Aは、X線検出部13からの電気信号をデータ収集部14により投影データとして収集し、その投影データを画像処理部4bにより処理し、処理後の医用画像を表示部4fに表示し、さらに、記憶部4cに保存する。
【0036】
このとき、医用画像は、記憶部4cに記憶された天板5の撓み量情報(図4参照)に基づいて補正部4dにより位置補正されている。例えば、補正部4dは、画像処理部4bによる画像再構成後に、医用画像に対して位置補正を行ったり、あるいは、画像処理部4bによる画像再構成を行うときに、医用画像の位置補正を行ったりする。これにより、寝台2の天板5の撓みに起因する画像精度の低下を防止することができる。
【0037】
また、医用画像は、図5及び図6に示すような断層画像として表示部4fに表示される。これらの断層画像から、抵抗体7の第1線部7aと第2線部7bとの離間距離が広くなるか狭くなるかを視認し、天板5の進行方向を判断することが可能になる。これにより、画像から視覚的に天板5の進行方向を判断することができる。例えば、医用画像が図5に示す断層画像から図6に示す断層画像に変わっていくような場合には、第1線部7aと第2線部7bとの離間距離が広くなっていくので、天板5の進行方向はせり出し方向であり、逆に、医用画像が図6に示す断層画像から図5に示す断層画像に変わっていくような場合には、第1線部7aと第2線部7bとの離間距離が狭くなっていくので、天板5の進行方向は戻り方向であることがわかる。
【0038】
なお、通常、天板5上の被検体がどちらの方向に進んでいるかを画像から視覚的に捕らえることは困難であり、天板5の移動量等を示す画像の付帯情報から判断しているが、医用画像に加え抵抗体7も表示することにより、抵抗体7の第1線部7aと第2線部7bとの離間距離が広くなるか狭くなるかを視認することが可能になるので、医用画像から視覚的に天板5の進行方向を判断することができる。
【0039】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、天板5の撓み量Tに応じて抵抗値が変化する抵抗体7を天板5に設け、その抵抗体7の抵抗値を測定する測定部9を設けることによって、抵抗体7の抵抗値が測定されるので、その抵抗値から画像精度の低下の要因となる天板5の撓み量Tを求めることができる。その結果として、天板5の撓み量Tに基づいて画像の位置補正を行い、正確な断層画像を得ることが可能になるので、寝台2の天板5の撓みに起因する画像精度の低下を防止することができる。特に、天板5の移動量に応じて変化する天板5の撓み量Tを求めることが可能になるので、天板5の移動量(天板移動量)と天板5の撓み量(天板変位量)Tとの関係を求め、その関係情報を画像の位置補正に用いることにより、画像精度を向上させることができる。
【0040】
また、測定した抵抗値に対応する天板5の撓み量Tに基づいて、撮影部3により撮影された医用画像を位置補正する補正部4dを設けることによって、医用画像の位置補正が医用画像撮影装置1Aにより自動的に行われるので、寝台2の天板5の撓みに起因する画像精度の低下を容易に防止することができる。
【0041】
加えて、天板5は、水平方向に移動可能に形成されており、抵抗体7は、天板5の端部H1から天板5の移動方向に沿って伸びる第1線部7aと、折り返されて天板5の移動方向に沿って伸び、第1線部7aに対する離間距離が徐々に変化する第2線部7bとにより構成されていることから、第1線部7aと第2線部7bとの離間距離が、連続する医用画像に応じて広くなるか狭くなるかを視認することにより、天板5の進行方向を判断することが可能になるので、医用画像から視覚的に天板5の進行方向を判断することができ、さらに、容易な進行方向判断が可能になるので、その判断ミスの発生を抑えることができる。
【0042】
さらに、抵抗体7は、天板5の内部に設けられていることから、抵抗体7が天板5の外部から視認されることがなくなるので、美観を保つことができ、さらに、抵抗体7が露出することがなくなるので、塵や埃、液体等から抵抗体7を保護することができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図7を参照して説明する。本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。
【0044】
図7に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る放射線治療装置1Bは、患者等の被検体が載置される寝台2と、その寝台2上の被検体に対し、放射線を照射する治療動作を行う治療部21と、その治療部21を駆動制御する情報処理装置4とを備えている。なお、第2の実施の形態の情報処理装置4は、画像処理部4bを備えていない。
【0045】
治療部21は、寝台2の天板5上の被検体に対して放射線を照射する放射線照射部21aと、その放射線照射部21aに供給する高電圧を発生させる高電圧発生部21bと、放射線照射部21aを支持する支持アーム部21cと、その支持アーム部21cを回動可能に支持して回動させる支持移動部21dとを備えている。ここで、放射線照射部21aから照射された放射線が通過する面が放射線パス面P2である。この放射線パス面P2での撓み量Tを得る必要がある。この撓み量Tは、加重(被検体の体重)と天板5の移動量(せり出し量)により決定される。
【0046】
放射線照射部21aは、X線又は電子線の放射線を出射する放射源と、その放射源から出射された放射線を絞る絞り装置と(いずれも図示せず)を備えている。この放射線照射部21aは、支持アーム部21cの先端部に固定されて設けられている。このような放射線照射部21aは、放射源により放射線を出射し、その放射線を絞り装置により絞って、寝台2の天板5上の被検体に照射する。
【0047】
高電圧発生部21bは、放射線照射部21aの近傍に位置付けられ、支持アーム部21cの内部に設けられている。この高電圧発生部21bは、放射線照射部21aに供給する高電圧を発生させる装置であり、情報処理装置4から与えられた電圧を昇圧及び整流し、その電圧を高電圧発生部21bに供給する。
【0048】
支持アーム部21cは、例えばL字形状のアームであり、支持移動部21dに回動可能に設けられている。この支持アーム部21cは、そのアームの中心を回動中心として回動可能に形成されている。
【0049】
支持移動部21dは、支持アーム部21cを回動可能に支持する支柱であり、その支持アーム部21cを回動させる回動機構を備えている。この支持移動部21dは、検査室の床面に固定されて設けられている。
【0050】
次に、このような放射線治療装置1Bが行う治療動作について説明する。なお、放射線治療装置1Bが行う天板5の撓み量測定動作は第1の実施の形態と同様である。
【0051】
治療動作において、放射線治療装置1Bは、操作部4eに対する操作者の入力操作に応じて、被検体が載置された天板5を天板移動部6によりせり出し方向に移動させ、放射線照射部21aに対向する位置に天板5上の被検体を位置付ける。その後、放射線治療装置1Bは、支持移動部21dにより支持アーム部21cを回動させ、放射線照射部21aを所望の位置に位置付け、その放射線照射部21aにより天板5上の被検体の所定部位に放射線を照射する。
【0052】
このとき、治療計画画像として用いる医用画像は、記憶部4cに予め記憶されている。ここで、補正部4dは、医用画像を記憶部4cに記憶する前に、天板5の撓み量情報(図4参照)に基づいて医用画像に対して位置補正を行ったり、あるいは、記憶部4cに記録された医用画像を治療計画画像として用いるときに、その医用画像に対して位置補正を行ったりする。これにより、寝台2の天板5の撓みに起因する画像精度の低下を防止することができ、その結果として、希望する部位だけに放射線を正確に当てることが可能になり、治療精度を向上させることができる。
【0053】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。特に、寝台2の天板5の撓みに起因する画像精度の低下を防止することができ、その結果として、画像精度が高い断層画像を治療計画画像として用いることが可能になるので、治療精度を向上させることができる。特に、希望する部位だけに放射線を正確に当てることが可能になるので、治療精度の向上に加え、被検体の治療による負担を軽減することができる。
【0054】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0055】
例えば、前述の実施の形態においては、抵抗体7を天板5の平面に平行にしてV字形状に設けているが、これに限るものではなく、例えば、図7に示すように、U字形状に設けるようにしてもよく、また、コの字形状に設けるようにしてもよく、さらに、一直線状に設けるようにしてもよい。
【0056】
また、前述の実施の形態においては、第1線部7aと第2線部7bとの離間距離を天板5の戻り方向に沿って徐々に広くなるようにしているが、これに限るものではなく、例えば、第1線部7aと第2線部7bとの離間距離を天板5の戻り方向に沿って徐々に狭くなるようにしてもよい。
【0057】
さらに、前述の実施の形態においては、片持ち構造の天板5を用いているが、これに限るものではなく、例えば、両持ち構造の天板を用いるようにしてもよい。この場合には、水平移動部6aは、水平方向に移動する天板5を両持ち構造により支持するように形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る医用画像撮影装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す医用画像撮影装置が備える寝台の天板及び測定部の概略構成を示す模式図である。
【図3】抵抗体の抵抗値と天板変位量(撓み量)との関係を示す説明図である。
【図4】天板移動量と天板変位量(撓み量)との関係を示す説明図である。
【図5】図1に示す医用画像撮影装置が撮影した医用画像である断層画像の一例を示す模式図である。
【図6】図1に示す医用画像撮影装置が撮影した医用画像である断層画像の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る放射線治療装置の概略構成を示す模式図である。
【図8】図2に示す寝台の天板が備える抵抗体の一変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0059】
1A 医用画像撮影装置
1B 放射線治療装置
2 寝台
3 撮影部
4d 補正部
5 天板
7 抵抗体
7a 第1線部
7b 第2線部
9 測定部
21 治療部
T 撓み量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が載置される天板を有する寝台と、
前記天板上の被検体に対し、医用画像を撮影する撮影動作を行う撮影部と、
前記天板に設けられ、前記天板の撓み量に応じて抵抗値が変化する抵抗体と、
前記抵抗体の抵抗値を測定する測定部と、
を備えることを特徴とする医用画像撮影装置。
【請求項2】
測定した前記抵抗値に対応する前記天板の撓み量に基づいて、前記撮影部により撮影された前記医用画像を位置補正する補正部を備えることを特徴とする請求項1記載の医用画像撮影装置。
【請求項3】
前記天板は、水平方向に移動可能に形成されており、
前記抵抗体は、前記天板の端部から前記天板の移動方向に沿って伸びる第1線部と、折り返されて前記移動方向に沿って伸び、前記第1線部に対する離間距離が徐々に変化する第2線部とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の医用画像撮影装置。
【請求項4】
前記抵抗体は、前記天板の内部に設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の医用画像撮影装置。
【請求項5】
被検体が載置される天板を有する寝台と、
前記天板上の被検体に対し、放射線を照射する治療動作を行う治療部と、
前記天板に設けられ、前記天板の撓み量に応じて抵抗値が変化する抵抗体と、
前記抵抗体の抵抗値を測定し、前記天板の撓み量を求める測定部と、
を備えることを特徴とする放射線治療装置。
【請求項6】
測定した前記抵抗値に対応する前記天板の撓み量に基づいて、医用画像を位置補正する補正部を備えることを特徴とする請求項5記載の放射線治療装置。
【請求項7】
前記天板は、水平方向に移動可能に形成されており、
前記抵抗体は、前記天板の端部から前記天板の移動方向に沿って伸びる第1線部と、折り返されて前記移動方向に沿って伸び、前記第1線部に対する離間距離が徐々に変化する第2線部とにより構成されていることを特徴とする請求項5又は6記載の放射線治療装置。
【請求項8】
前記抵抗体は、前記天板の内部に設けられていることを特徴とする請求項5、6又は7記載の放射線治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−36205(P2008−36205A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215575(P2006−215575)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】