説明

医用画像表示システム及びプログラム

【課題】比較読影作業の効率化を図る。
【解決手段】読影端末4の制御部41は、表示部43に表示されている医用画像についての検査結果情報と、表示されている医用画像と同一患者かつ同一検査条件の過去検査の医用画像及びその検出結果情報とを画像サーバ3から取得し、取得された検出結果情報に基づいて、表示されている医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像及び過去検査の医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像を抽出し、抽出された画像を経時的に並べて表示部43に一覧表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像表示システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、女性の乳癌の罹患率の上昇に伴い、乳癌検診への関心が高まっている。乳癌検診では、乳房を撮影した医用画像を医師が読影し、異常の有無を診断している。しかしながら、診断を行う読影医の数は不足しており、診断が滞る問題が発生している。
【0003】
このような問題を改善すべく、診断精度の向上、又は診断作業の効率化を目的として、医用画像から乳癌等の病変の特徴を示す異常陰影候補を自動的に検出する異常陰影候補検出装置(CAD装置(Computer-Aided Detection))が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、検査医用画像及び複数枚の医用画像の各画像についての異常の種類を検出し、検査医用画像と同じ異常の種類の医用画像を選択し、選択された医用画像を検査医用画像とともに表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−36935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、読影の手法の一つとして、異常陰影候補の経時的な変化を把握するため、読影対象の医用画像と、過去の検査により取得された医用画像とを並べて読影する、所謂比較読影が行われている。比較読影を行うためには、医師は同一患者、同一検査条件(同一部位、同一側性(左右)、同一方向)の過去検査の医用画像をデータベース等から検索し、その中から比較対象として表示すべき医用画像を選択する作業を行っている。しかしながら、この作業は煩雑である。
【0007】
また、比較読影においては、検査時期の異なる複数の医用画像を経時的に並べて表示部に表示する必要があるが、医用画像、特に、乳房を被写体とした乳房画像は高精細な画像であるため、1枚あたり100MBを超える画像サイズを有する。そのため、一度に画面上に表示できる表示枚数が制限され、表示するのにも時間がかかる。
【0008】
一方、CAD装置によって得られる異常陰影候補の検出結果情報は、個々の医用画像の読影に際して活用されているが、比較読影作業の効率化のためには有効に活用されていない。
【0009】
本発明の課題は、比較読影作業の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の医用画像表示システムは、
医用画像と、当該医用画像に関する患者情報及び当該医用画像に関する検査日及び検査条件を含む検査情報と、当該医用画像から検出された異常陰影候補の検出結果情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている医用画像の中から読影対象の医用画像を選択するための操作手段と、
前記操作手段により選択された医用画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されている医用画像についての検査結果情報と、前記表示されている医用画像と同一患者かつ同一検査条件の過去検査の医用画像及びその検出結果情報とを前記記憶手段から取得し、前記取得された検出結果情報に基づいて、前記表示されている医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像及び前記過去検査の医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像を抽出し、当該抽出された画像を経時的に並べて前記表示手段に一覧表示させる制御手段と、
を備える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記操作手段は、前記表示手段に表示されている医用画像上から異常陰影候補を選択可能に構成され、
前記制御手段は、前記表示されている医用画像の前記選択された異常陰影候補の部分の画像及び前記過去検査の医用画像における前記選択された異常陰影候補に対応する部分の画像を抽出し、当該抽出された画像を経時的に並べて前記表示手段に一覧表示させる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記制御手段は、前記抽出された画像を同一の拡大率で前記表示手段に一覧表示させる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記操作手段は、前記一覧表示をする際の表示条件及びレイアウトをユーザ毎に設定可能に構成され、
前記制御手段は、ログインしたユーザについて設定されている前記表示条件及びレイアウトに基づいて、前記抽出された画像を前記表示手段に一覧表示させる。
【0014】
請求項5に記載の発明のプログラムは、
コンピュータを、
医用画像と、当該医用画像に関する患者情報及び当該医用画像に関する検査日及び検査条件を含む検査情報と、当該医用画像から検出された異常陰影候補の検出結果情報とを対応付けて記憶する記憶手段に記憶されている医用画像の中から読影対象の医用画像を選択するための操作手段、
前記操作手段により選択された医用画像を表示する表示手段、
前記表示手段に表示されている医用画像についての検査結果情報と、前記表示されている医用画像と同一患者かつ同一検査条件の過去検査の医用画像及びその検出結果情報とを前記記憶手段から取得し、前記取得された検出結果情報に基づいて、前記表示されている医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像及び前記過去検査の医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像を抽出し、当該抽出された画像を経時的に並べて前記表示手段に一覧表示させる制御手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、比較読影作業を効率化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態における医用画像表示システムの全体構成例を示す図である。
【図2】図1の画像サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の記憶部に記憶される一覧表示設定テーブルのデータ格納例を示す図である。
【図4A】CAD情報(CADアウトライン)が表示された医用画像の一例を示す図である。
【図4B】CAD情報(CADマーク)が表示された医用画像の一例を示す図である。
【図5】図1の読影端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】図1の読影端末と画像サーバにより実行される医用画像表示処理の流れを示す図である。
【図7A】一覧表示対象の異常陰影候補が選択された場合に表示部43に表示される一覧表示の一例を示す図である。
【図7B】一覧表示対象の異常陰影候補が指定されていない場合に表示部43に表示される一覧表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(医用画像表示システム100の構成)
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図1に、本実施の形態における医用画像表示システム100のシステム構成を示す。
医用画像表示システム100は、医用画像を撮影し、当該医用画像から異常陰影候補を検出し、医用画像とともにその検出結果情報を読影医に提供するシステムである。
【0018】
図1に示すように、医用画像表示システム100は、画像生成装置1、異常陰影候補検出装置2、画像サーバ3、読影端末4を備えて構成されている。これら各装置1〜4は、LAN(Local Area Network)等の医療機関内で構築された通信ネットワークNを介して相互にデータを送受信可能に接続されている。通信ネットワークNは、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格が適用されている。
【0019】
以下、各構成装置1〜4について説明する。
画像生成装置1は、人体を撮影し、その撮影画像(医用画像)のデジタルデータを生成するものであり、例えばCR(Computed Radiography)、FPD(Flat Panel Detector
)、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、カセッテ専用の読取装置、フィルムディジタイザ等のモダリティを適用可能である。本実施形態では、画像生成装置1として、左右乳房のX線撮影を行う乳房専用のCRを適用し、乳房画像の画像データが生成されるものとする。
【0020】
なお、画像生成装置1は、上述したDICOM規格に準拠した装置であり、生成した医用画像に付帯させる各種情報、例えば、患者情報や検査情報を外部から入力可能であるとともに、自動生成することもできる。患者情報には、患者を識別するための患者識別情報(例えば、患者ID)、患者の名前、性別、生年月日等の情報が含まれる。検査情報は、検査を識別するための検査識別情報(例えば、検査ID)、検査日、検査条件(検査部位、側性(左、右)、方向(例えば、上下方向(CC)、斜位方向(MLO))、モダリティ種等の情報が含まれる。画像生成装置1は、生成された医用画像に上記患者情報や検査情報、画像を識別するためのUID(Unique ID)等をヘッダ情報として付加して通信ネットワークNを介して異常陰影候補検出装置2及び画像サーバ3へ送信する。なお、DICOM規格に準拠していない場合には、図示しないDICOM変換装置を用いて付帯情報を画像生成装置1に入力させることも可能である。
【0021】
異常陰影候補検出装置2は、画像生成装置1から供給される医用画像の画像解析を行って異常陰影候補の検出処理を行うコンピュータである。異常陰影候補検出装置2は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)により構成される制御部、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶部、LANカード等の通信部を備える。異常陰影候補検出装置2の記憶部には、検出目的とする異常陰影の種類に応じた検出アルゴリズムの検出プログラムが記憶されており、異常陰影候補検出装置2の制御部は、記憶部に記憶された検出プログラムとの協働により、通信部を介して入力された各医用画像から異常陰影候補を検出する。例えば、乳房画像における腫瘤、微小石灰化クラスタの陰影候補を検出する。
【0022】
異常陰影候補の検出アルゴリズムとしては、公知のものを適用可能である。例えば、乳房画像における腫瘤陰影候補のアルゴリズムとしては、特開平10−91758号公報に開示されているアイリスフィルタを用いた手法や、ラプラシアンフィルタを用いた手法(電気情報通信学会論文誌(D-II),Vol.J76-D-II,no.2,pp.241-249,1993)等が適用可能である。また、微小石灰化クラスタ陰影候補の検出アルゴリズムとしては、例えばモルフォルジーフィルタ(電気情報通信学会論文誌(D-II),Vol.J71-D-II,no.7,pp.1170-1176,1992)、ラプラシアンフィルタ(電気情報通信学会論文誌(D-II),Vol.J71-D-II,no.10,pp.1994-2001,1998)、3重リングフィルタ等を用いた方法等を適用可能である。
【0023】
異常陰影候補検出装置2は、上記検出アルゴリズムによる異常陰影候補の検出処理が終了すると、異常陰影候補の検出結果情報(以下、CAD情報と呼ぶ)を生成する。CAD情報は、例えば、異常陰影候補の有無、異常陰影候補の検出数を示す文字情報、検出された各異常陰影候補の領域(輪郭)の位置情報(CADアウトライン情報と呼ぶ)、検出された各異常陰影候補の代表点(例えば、重心等)の位置情報(CADマーク情報と呼ぶ)等の複数の項目の情報が含まれる。そして、生成されたCAD情報に検出元の医用画像のヘッダ情報を付加して通信部により画像サーバ3に送信する。
【0024】
画像サーバ3は、画像DB351を備え、この画像DB351に、画像生成装置1により生成された医用画像と異常陰影候補検出装置2から受信されたCAD情報を対応付けて記憶し、その入出力を管理する。
【0025】
図2に、画像サーバ3の機能構成例を示す。
図2に示すように、画像サーバ3は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
【0026】
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、記憶部35に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
例えば、制御部31は、後述する医用画像表示処理(図6参照)のサーバ側処理を実行する。
【0027】
操作部32は、文字入力キー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部31に出力する。
【0028】
表示部33は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0029】
通信部34は、LANカード等により構成され、スイッチングハブを介して通信ネットワークNに接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0030】
記憶部35は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリ等で構成されている。記憶部35には、前述のように各種プログラムが記憶されている。また、記憶部35には、画像生成装置1から取り込まれた医用画像及び異常陰影候補検出装置2から取り込まれたCAD情報を格納するための画像DB(Data Base)351が記憶されている。
【0031】
画像DB351は、画像DB351に記憶されている各医用画像に関する管理情報を格納する画像管理テーブルを有している。画像管理テーブルには、各医用画像についての管理情報が1レコードとして格納される。管理情報には、UID、患者情報、検査情報、ファイル情報(医用画像及びこれに対応するCAD情報のファイル名、ファイル格納場所、更新日付、ファイルサイズ等)が含まれる。
画像生成装置1からの医用画像が受信されると、受信された医用画像が画像DB351に格納されるとともに、制御部31により、受信された医用画像のヘッダ情報に基づいて管理情報が作成され、画像管理テーブルに格納される。また、異常陰影候補検出装置2からのCAD情報が受信されると、受信されたCAD情報が画像DB351に格納されるとともに、制御部31により、画像管理テーブルからCAD情報とUIDが一致するレコードが検索され、検索されたレコードにCAD情報のファイル名、格納場所等が追加書き込みされる。このようにして、画像DB351には、医用画像と当該医用画像から検出された異常陰影候補の検出結果情報が対応付けて検索可能に記憶される。
【0032】
また、記憶部35には、読影端末4を使用するユーザである読影医毎の読影医ID及びパスワード等のログイン情報352が記憶されている。更に、記憶部35には、一覧表示設定テーブル353が記憶されている。図3に、一覧表示設定テーブル353のデータ格納例を示す。図3に示すように、一覧表示設定テーブル353には、異常陰影候補検出装置2で検出された異常陰影候補の部分の画像をタイル形式で経時的に並べて一覧表示する際の表示条件(表示対象項目及び条件(例えば、異常陰影候補の面積が○cm以上等))及びレイアウトが読影医毎に記憶されている。
【0033】
異常陰影候補の部分の画像を一覧表示する際の表示条件及びレイアウトの設定は、操作部32又は読影端末4の操作部42からの入力により、読影医毎に行うことができる。表示対象項目としては、CADアウトライン又はCADマークの何れかを設定することができる。CADアウトラインは、医用画像から検出された各異常陰影候補の領域を線(輪郭線)で示す描画情報である。図4Aに、CADアウトラインP1の表示例を示す。CADマークは、医用画像から検出された各異常陰影候補の代表点(例えば、異常陰影候補の重心等)の位置を示す描画情報である。図4Bに、CADマークP2の表示例を示す。また、レイアウトとしては、縦と横のそれぞれの画像の配列数(例えば、2×2、2×3等)を設定することができる。
【0034】
操作部32又は操作部42により設定された情報は、ログイン中の読影医IDと対応付けて制御部31により一覧表示設定テーブル353に格納される。
【0035】
図1に戻り、読影端末4は、読影医の操作により指定された医用画像及びこれに対応するCAD情報を画像サーバ3から取得して表示する。
【0036】
図5に、読影端末4の機能構成例を示す。
図5に示すように、読影端末4は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、記憶部45を備えて構成され、各部はバス46により接続されている。
【0037】
制御部41は、CPU、RAM等により構成される。制御部41のCPUは、記憶部45に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
例えば、制御部41は、後述する医用画像表示処理の読影端末側処理を実行する。
【0038】
操作部42は、文字入力キー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部41に出力する。
【0039】
表示部43は、例えば、CRTやLCD等のモニタを備えて構成されており、制御部41から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0040】
通信部44は、LANカード等により構成され、スイッチングハブを介して通信ネットワークNに接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0041】
記憶部45は、例えばHDDや半導体の不揮発性メモリ等で構成されている。記憶部45には、前述のように各種プログラムが記憶されている。また、記憶部45には、医用画像を診断に適した画質に調整するための画像処理パラメータ(階調処理に用いる階調曲線を定義したルックアップテーブル、周波数処理の強調度等)等を記憶している。
【0042】
(医用画像表示システム100の動作)
次に、医用画像表示システム100の動作について説明する。
図6に、画像サーバ3及び読影端末4により実行される医用画像表示処理のフローチャートを示す。医用画像表示処理のサーバ側処理は、制御部31と記憶部35に記憶されているプログラムとの協働により実行される。医用画像表示処理の読影端末側処理は、制御部41と記憶部45に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0043】
まず、読影端末4において、表示部43に表示されたログイン画面から操作部42によりユーザIDとしての読影医ID及びパスワードが入力され、ログインが指示されると、通信部44により読影医ID及びパスワードが画像サーバ3に送信される(ステップS1)。画像サーバ3においては、読影医ID及びパスワードが通信部34により受信されると、ユーザ認証が行われる(ステップS2)。そして、認証された読影医IDに対応する設定情報が記憶部35の一覧表示設定テーブル353から読み出され、通信部34により読影端末4に送信される(ステップS3)。
【0044】
読影端末4においては、通信部44によりログインした読影医の設定情報が受信されると、受信された設定情報が制御部41のRAMに記憶される(ステップS4)。
【0045】
次いで、操作部42の操作に応じて読影対象の医用画像の選択が行われ、通信部44により画像サーバ3に選択された医用画像の取得要求が送信される(ステップS5)。
ステップS5においては、まず、操作部42による操作に応じて、表示部43に検索画面が表示される。検索画面において操作部42により患者ID、検査ID等の検索条件が入力されると、通信部44により入力された検索条件及び検索要求が画像サーバ3に送信される。画像サーバ3においては、画像DB351の画像管理テーブルから検索条件に合致した医用画像の管理情報が検索され、検索条件に合致した医用画像のリストデータが作成されて通信部34により読影端末4に送信される。読影端末4においては、通信部44によりリストデータが受信されると、当該リストデータに基づく画像選択画面が表示部43に表示される。画像選択画面は、例えば、検査ID、患者ID、患者氏名、検査日、モダリティ種、検査部位、側性、方向等の項目を有するリストが検査単位で表示され、表示部43への表示対象とする医用画像を操作部42を介して選択可能な構成となっている。操作部42の操作により表示対象の検査の医用画像が選択されると、選択された医用画像の取得要求が通信部44により画像サーバ3に送信される。
【0046】
画像サーバ3においては、通信部34により医用画像の取得要求が受信されると、取得要求された医用画像の画像データ及びCAD情報が医用画像DB351から検索されて読み出され、通信部34により読影端末4に送信される(ステップS6)。
【0047】
読影端末4においては、通信部44により医用画像の画像データ及びCAD情報が受信されると、受信された医用画像の画像データ及びCAD情報がRAMに記憶され(ステップS7)、医用画像が表示部43に表示される(ステップS8)。ステップS8においては、医用画像とともに、異常陰影候補の一覧表示を指示するための一覧表示ボタン等が表示される。また、異常陰影候補の一覧表示の指示は、操作部42により異常陰影候補をクリックすることでも行うことができる。クリックされた異常陰影候補は、一覧表示の対象として選択される。
【0048】
操作部42により一覧表示ボタンが押下されるか又は表示されている医用画像上において異常陰影候補がクリックされる等により異常陰影候補の一覧表示指示が入力されると(ステップS9;YES)、通信部44を介して、表示中の医用画像を特定する情報及び一覧表示用のデータ取得要求が画像サーバ3に送信される(ステップS10)。ここで、表示中の医用画像を特定する情報とは、例えば、画像ID等である。なお、ステップS9において異常陰影候補がクリックされた場合、クリックされた位置情報がRAMに記憶される。
【0049】
画像サーバ3においては、通信部34により表示中の医用画像を特定する情報及び一覧表示用のデータ取得要求が受信されると、表示中の医用画像と同一患者かつ同一検査条件(同一部位、同一側性、同一方向)の過去の検査の医用画像(以下、過去画像と呼ぶ)であって、CAD情報が存在するものが画像DB351から検索される。そして、検索された過去画像の画像データ及びCAD情報が取得され、通信部34により読影端末4に送信される(ステップS11)。
【0050】
読影端末4においては、通信部44により画像データ及びCAD情報が受信されると、受信されたデータがRAMに記憶される(ステップS12)。次いで、ステップS9において一覧表示が指示された際に、一覧表示対象の異常陰影候補が選択されたか否かが判断される(ステップS13)。一覧表示対象の異常陰影候補が選択されたと判断されると(ステップS13;YES)、RAMに記憶されている設定情報が参照され、表示中の医用画像及び過去画像において、一覧表示対象として選択された異常陰影候補に対応する部分の画像が抽出され(ステップS14)、処理はステップS16に移行する。
【0051】
ステップS14においては、まず、設定情報が参照される。設定情報に表示対象項目としてCADアウトラインが設定されている場合は、表示中の医用画像についてのCAD情報のうち、ステップS9で選択された異常陰影候補についてのCADアウトライン情報が取得され、表示中の医用画像からCADアウトライン情報で示される部分の画像(その部分を含む所定サイズの画像)が抽出される。また、画像サーバ3から受信された各過去画像において、表示中の医用画像から抽出された部分に対応する部分の画像が抽出される。各過去画像において、表示中の医用画像から抽出された部分に対応する部分の画像を抽出するにあったっては、まず、周知の技術を用いて、表示中の医用画像上の位置と各過去画像上の位置の対応付けが行われる。例えば、特開2009−82564号公報に示されるように、乳頭を原点とする極座標系を表示中の医用画像及び各過去画像に設定し、乳頭からの距離及び予め定めた基準線からの角度が一致する位置を対応する位置とする。そして、設定された極座標系に基づいて、各過去画像において、表示中の医用画像から抽出された部分に対応する部分の画像が抽出される。なお、多少の位置ズレも考慮して、過去画像において、表示中の医用画像から抽出された部分の基準位置(例えば、重心位置)から所定範囲内に含まれるCADアウトライン情報が存在する場合は、そのCADアウトライン情報が示す部分を含む画像が抽出される。このようにして、表示中の医用画像において選択された異常陰影候補と同一の異常陰影候補の部分の画像が過去画像から抽出される。表示中の医用画像から抽出された部分の基準位置から所定範囲内に含まれるCADアウトライン情報が存在しない過去画像については、表示中の医用画像から抽出された画像と同位置の画像が抽出される。
一方、表示対象項目としてCADマークが設定されている場合は、表示中の医用画像についてのCAD情報のうち、ステップS9で選択された異常陰影候補についてのCADマーク情報が取得され、表示中の医用画像からCADマーク情報で示される部分の画像(その部分を含む所定サイズの画像)が抽出される。また、画像サーバ3から受信された各過去画像において、表示中の医用画像から抽出された部分に対応する部分の画像が抽出される。各過去画像において、表示中の医用画像から抽出された部分に対応する部分の画像を抽出するにあったっては、まず、上述のように周知の技術を用いて、表示中の医用画像上の位置と各過去画像上の位置の対応付けが行われる。そして、各過去画像において、表示中の医用画像から抽出された部分に対応する部分の画像が抽出される。なお、多少の位置ズレも考慮して、過去画像において、表示中の医用画像から抽出された部分の基準位置(例えば、重心位置)から所定範囲内にCADマーク情報が存在する場合は、そのCADマーク情報が示す部分を含む画像が抽出される。表示中の医用画像から抽出された部分から所定範囲内にCADマーク情報が存在しない過去画像については、表示中の医用画像から抽出された画像と同位置の画像が抽出される。
【0052】
一方、一覧表示対象の異常陰影候補が選択されていないと判断されると(ステップS13;NO)、RAMに記憶されている設定情報が参照され、表示中の医用画像及び受信された過去画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像が抽出され(ステップS15)、処理はステップS16に移行する。
【0053】
ステップS15においては、まず、設定情報が参照され、表示対象項目としてCADアウトラインが設定されている場合は、表示中の医用画像についてのCAD情報のうちCADアウトライン情報が取得される。そして、表示中の医用画像からCADアウトライン情報で示される部分の画像(その部分を含む所定サイズの画像)が抽出される。また、画像サーバ3から受信された各過去画像について、CAD情報のCADアウトライン情報で示される部分の画像(その部分を含む所定サイズの画像)が抽出される。
一方、設定情報において、表示対象項目としてCADマークが設定されている場合は、表示中の医用画像についてのCAD情報のうちCADマーク情報が取得される。そして、表示中の医用画像からCADマーク情報で示される部分の画像(その部分を含む所定サイズの画像)が抽出される。また、画像サーバ3から受信された各過去画像について、CAD情報のCADマーク情報で示される部分の画像(その部分を含む所定サイズの画像)が抽出される。
なお、設定情報に条件(例えば、面積○cm以上等)が設定されている場合は、CAD情報に基づいて、条件に合致する異常陰影候補のみが抽出される。
【0054】
ステップS16においては、ステップS14又はS15で抽出された部分の画像が検査日の降順に並べられ、設定情報のレイアウトに基づいて、抽出された部分の画像が検査日の降順に並べて表示される。また、設定情報の表示項目に基づいて、CADアウトライン又はCADマークが表示される。レイアウトで指定されたタイル数<抽出された画像数である場合は、先頭から順に、レイアウトで指定されたタイル数分の画像が表示される。また、異常陰影候補のサイズの変化を医師が認識できるようにするため、各画像の拡大率は同一で表示される。
【0055】
図7Aに、操作部42により一覧表示対象の異常陰影候補が選択された場合にステップS16で表示部43に表示される画面の一例を示す。図7Aに示すように、一覧表示対象として選択された異常陰影候補の部分の画像及び過去画像における対応する異常陰影候補の部分の画像が過去に遡って経時的に並べて一覧表示されるので、医師は、いちいち過去画像を画像サーバ3から取得して表示させる操作や、各画像から異常陰影候補の部分を目視等により抽出する作業をすることなく、容易に異常陰影候補の変化を観察することができる。その結果、医師の読影負担を大幅に低減することが可能となり、読影作業を効率化することが可能となる。なお、図7Aにおいては、表示されている画像内にCADアウトラインの領域又はCADマークの位置が含まれていない場合であっても、画像は表示される。すなわち、現在異常陰影候補がある領域(位置)に病変が発生していない時期があった場合、そのことを医師が認識することが可能となる。
【0056】
図7Bに、操作部42により一覧表示対象の異常陰影候補が選択されていない場合にステップS16で表示部43に表示される画面の一例を示す。この場合、図7Bに示すように、異常陰影候補として検出された部分の画像が過去に遡って経時的に並べて一覧表示さ
れるので、医師は、いちいち過去画像を画像サーバ3から取得して表示させる操作や、各画像から異常陰影候補の部分を目視等により抽出する作業をすることなく、容易に異常陰影候補の部分を観察することができる。
【0057】
また、医用画像、特に乳房画像は高精細な画像であり100MBを超える画像サイズを有するため、表示時に高負荷となり、表示可能画像数が制限されたり、表示に時間がかかったり等の不都合が生じやすいが、図7A、図7Bに示す表示では、選択された異常陰影候補の部分のみに表示領域が限定されるので、表示負荷が低減され、表示枚数の制限や表示処理にかかる時間を低減することが可能となる。
【0058】
操作部42から読影終了の指示が入力されると(ステップS17;YES)、操作部42によりログオフが指示されたか否かが判断され、ログオフが指示されていないと判断されると(ステップS18;NO)、処理はステップS5に戻る。操作部42によりログオフが指示されたと判断されると(ステップS18;YES)、ログオフが行われ(ステップS19)、医用画像表示処理は終了する。
【0059】
以上説明したように、医用画像表示システム100によれば、読影端末4の制御部41は、表示部43に表示されている医用画像についての検査結果情報と、表示されている医用画像と同一患者かつ同一検査条件の過去検査の医用画像及びその検出結果情報とを画像サーバ3から取得し、取得された検出結果情報に基づいて、表示されている医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像及び過去検査の医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像を抽出し、抽出された画像を経時的に並べて表示部43に一覧表示させる。
【0060】
従って、読影医がいちいち過去検査の医用画像を画像サーバ3から検索し、取得、表示する操作、及び表示された各画像から読影医が異常陰影候補の部分を目視により抽出する作業が不要となる。その結果、比較読影作業を効率化することが可能となる。また、一覧表示される画像は異常陰影候補の部分の画像であるので、一度に表示できる画像枚数の制限や表示にかかる時間を低減することができ、比較読影作業を効率化することが可能となる。
【0061】
また、操作部42により表示部43に表示された医用画像上から異常陰影候補がクリック等されることにより選択されると、制御部41は、選択された異常陰影候補の部分の画像及び過去検査の医用画像における選択された異常陰影候補に対応する部分の画像を抽出し、当該抽出された画像を経時的に並べて表示部43に一覧表示させる。従って、読影医は、選択された異常陰影候補の経時的な変化を容易に観察することが可能となる。
【0062】
また、一覧表示される画像は、同一の拡大率で表示されるので、一覧表示された画像間で異常陰影候補のサイズを容易に比較することが可能となる。
【0063】
また、一覧表示をする際の表示条件及びレイアウトを読影医毎に設定できるので、読影医が必要とする画像を見やすいレイアウトで表示することが可能となる。
【0064】
なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態においては、記憶手段としての機能を画像サーバ3に備え、制御手段、表示手段、操作手段としての機能を読影端末4にもたせることとして説明したが、これらの各手段は一つの装置に備えられている構成としてもよい。また、上記実施の形態においては、異常陰影候補検出装置2を画像サーバ3と別体の装置として説明したが、画像サーバ3が異常陰影候補検出装置2の検出プログラムを搭載し、画像サーバ3において異常陰影候補の検出を行う構成としてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態においては、乳房画像を例として説明したが、部位は乳房に限定されない。
【0066】
また、上記実施の形態においては、異常陰影候補検出装置2で作成された検出結果情報の存在する医用画像を一覧表示の対象としたが、読影医が異常陰影候補の位置を描画した描画情報が存在する医用画像を一覧表示の対象に含めてもよい。
【0067】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0068】
その他、医用画像表示システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
100 医用画像表示システム
1 画像生成装置
2 異常陰影候補検出装置
3 画像サーバ
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
36 バス
351 画像DB
352 ログイン情報
353 一覧表示設定テーブル
4 読影端末
41 制御部
42 操作部
43 表示部
44 通信部
45 記憶部
46 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像と、当該医用画像に関する患者情報及び当該医用画像に関する検査日及び検査条件を含む検査情報と、当該医用画像から検出された異常陰影候補の検出結果情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている医用画像の中から読影対象の医用画像を選択するための操作手段と、
前記操作手段により選択された医用画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されている医用画像についての検査結果情報と、前記表示されている医用画像と同一患者かつ同一検査条件の過去検査の医用画像及びその検出結果情報とを前記記憶手段から取得し、前記取得された検出結果情報に基づいて、前記表示されている医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像及び前記過去検査の医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像を抽出し、当該抽出された画像を経時的に並べて前記表示手段に一覧表示させる制御手段と、
を備える医用画像表示システム。
【請求項2】
前記操作手段は、前記表示手段に表示されている医用画像上から異常陰影候補を選択可能に構成され、
前記制御手段は、前記表示されている医用画像の前記選択された異常陰影候補の部分の画像及び前記過去検査の医用画像における前記選択された異常陰影候補に対応する部分の画像を抽出し、当該抽出された画像を経時的に並べて前記表示手段に一覧表示させる請求項1に記載の医用画像表示システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記抽出された画像を同一の拡大率で前記表示手段に一覧表示させる請求項1又は2に記載の医用画像表示システム。
【請求項4】
前記操作手段は、前記一覧表示をする際の表示条件及びレイアウトをユーザ毎に設定可能に構成され、
前記制御手段は、ログインしたユーザについて設定されている前記表示条件及びレイアウトに基づいて、前記抽出された画像を前記表示手段に一覧表示させる請求項1〜3の何れか一項に記載の医用画像表示システム。
【請求項5】
コンピュータを、
医用画像と、当該医用画像に関する患者情報及び当該医用画像に関する検査日及び検査条件を含む検査情報と、当該医用画像から検出された異常陰影候補の検出結果情報とを対応付けて記憶する記憶手段に記憶されている医用画像の中から読影対象の医用画像を選択するための操作手段、
前記操作手段により選択された医用画像を表示する表示手段、
前記表示手段に表示されている医用画像についての検査結果情報と、前記表示されている医用画像と同一患者かつ同一検査条件の過去検査の医用画像及びその検出結果情報とを前記記憶手段から取得し、前記取得された検出結果情報に基づいて、前記表示されている医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像及び前記過去検査の医用画像に含まれる異常陰影候補の部分の画像を抽出し、当該抽出された画像を経時的に並べて前記表示手段に一覧表示させる制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2011−103095(P2011−103095A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258480(P2009−258480)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】