医用画像観察支援システム
【課題】医用画像を観察する医用画像観察装置において、所望の医用画像データを効率良く読み込んで表示することが可能な医用画像観察支援システムを提供する。
【解決手段】医用画像観察支援システムのレポート記憶手段は、読影レポートを、当該読影レポートに関連する過去検査の医用画像データに対応付けて保管する。医用画像保管手段は、過去検査の医用画像データと該過去検査の医用画像データの画像生成条件とを対応付けて保管する。画像生成条件抽出手段は、前記過去検査の医用画像の前記画像生成条件を抽出する。画像生成手段は、医用画像診断装置から受けた医用画像データに、前記抽出された画像生成条件に基づいて画像処理を施すことにより、処理後の医用画像データを生成する。
【解決手段】医用画像観察支援システムのレポート記憶手段は、読影レポートを、当該読影レポートに関連する過去検査の医用画像データに対応付けて保管する。医用画像保管手段は、過去検査の医用画像データと該過去検査の医用画像データの画像生成条件とを対応付けて保管する。画像生成条件抽出手段は、前記過去検査の医用画像の前記画像生成条件を抽出する。画像生成手段は、医用画像診断装置から受けた医用画像データに、前記抽出された画像生成条件に基づいて画像処理を施すことにより、処理後の医用画像データを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用画像観察支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置やMRI装置などの医用画像診断装置によって取得された医用画像データは、ネットワークを介して接続された医用画像管理システム(PACS)において管理される。この医用画像管理システム(PACS)は、ネットワークを介して病院情報システム(HIS)や放射線情報システム(RIS)と接続されている。医師などの操作者は、ネットワーク上のクライアント端末を用いて、医用画像管理システムから所望の医用画像データを読み出すことによって、医用画像を読影することができる(例えば特許文献1)。
【0003】
なお、医用画像診断装置により取得された複数の医用画像データは、DICOM規格に従って、患者ごとに分類され、患者ごとの分類は更に検査ごとに分類されている。検査は医用画像データのシリーズから成り立っており、シリーズには複数の医用画像データが含まれている。このような構造で複数の医用画像データを分類すると、患者を頂点とし、その患者にある検査が実施され、その検査は医用画像データのシリーズからなり、シリーズは複数の医用画像データを含むことになる。
【0004】
クライアント端末においては、患者に対して新たに行った検査(以下、「新検査」と称する場合がある)において取得された医用画像と、その患者に対して過去に行われた検査(以下、「過去検査」と称する場合がある)において取得された医用画像とを比較して読影する場合がある。この場合、クライアント端末は、新検査のシリーズに含まれる全ての医用画像データを医用画像管理システムから読み込み、それら全ての医用画像データに基づいて、過去検査の医用画像と比較すべき医用画像を生成していた。
【0005】
例えば、過去検査で取得された医用画像データにMPR処理(Multi Planar Reconstruction)が施された場合、そのMPR処理によって生成されたMPR画像データ(任意断面の画像データ)が医用画像保管システムに保管される。そして、その過去検査において生成されたMPR画像と、新検査のMPR画像とを比較して読影する場合、新検査において取得された複数の医用画像データに基づいてMPR画像データを生成する必要がある。例えば、断面位置が過去検査のMPR画像と一致する新検査のMPR画像データを生成することで、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像とを比較して読影する。
【0006】
クライアント端末において新検査のMPR画像データを生成するために、従来においては、新検査において取得された全ての医用画像データを医用画像管理システムからクライアント端末に読み込んでいた。そして、クライアント端末において、読み込んだ複数の医用画像データに基づいて、比較読影すべきMPR画像データを生成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−81156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は上記の問題を解決するものであり、医用画像を観察する医用画像観察装置において、所望の医用画像データを効率良く読み込んで表示することが可能な医用画像観察支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態は、レポート記憶手段と、医用画像保管手段と、画像生成条件抽出手段と、画像生成手段と、を備える。レポート記憶手段は、読影レポートと、当該読影レポートに関連する過去検査の医用画像データを対応付けて保管する。医用画像保管手段は、 過去検査の医用画像データと該過去検査の医用画像データの画像生成条件とを対応付けて保管する。画像生成条件抽出手段は、前記過去検査の医用画像の前記画像生成条件を抽出する。画像生成手段は、医用画像診断装置から受けた医用画像データに、前記抽出された画像生成条件に基づいて画像処理を施すことにより、処理後の医用画像データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る医用画像診断支援システムのブロック図である。
【図2】読影レポートのデータ構造を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要を示すシーケンス図である。
【図4】第1実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る医用画像診断支援システムのブロック図である。
【図6】第2実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要を示すシーケンス図である。
【図7】医用画像観察装置が読み込む画像データの容量を示すテーブルである。
【図8】過去検査のキー画像と新検査の医用画像を示す図である。
【図9】新検査の医用画像データから画像データを抽出する範囲を説明するための模式図である。
【図10】過去検査のキー画像と新検査の医用画像を示す図である。
【図11】新検査の医用画像データから画像データを抽出する範囲を説明するための模式図である。
【図12】第2実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
第1実施形態に係る医用画像診断支援システムについて、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムのブロック図である。
【0012】
図1に示すように、病院内システムにおいては、ネットワークNを介して、医用画像保管装置(医用画像サーバ)1と、医用画像観察装置(クライアント端末)100と、レポート保管装置(レポートサーバ)200と、レポート作成装置300と、医用画像診断装置400とが接続されている。
【0013】
医用画像保管装置1は通信機能を有するコンピュータを備え、ネットワークNを介してデータ通信が可能となっている。医用画像保管装置1は、医用画像データの登録処理や医用画像データの記憶先を通知する管理機能を有しており、医用画像データを複数の画像記憶装置に記憶させて医用画像データを管理している。
【0014】
医用画像診断装置400は、被検体内を画像化することで、医用画像データを取得する。医用画像診断装置400は、超音波を送受信することで被検体内を映像化する超音波診断装置、X線を曝射することで被検体内を映像化するX線診断装置やX線CT装置、又は、磁場を発生させて被検体内を映像化するMRI装置などである。医用画像診断装置400は、通信機能を有するコンピュータを備え、ネットワークNを介してデータ通信が可能となっている。例えば、医用画像診断装置400は、所定方向に沿った複数の2次元画像データ(断層像データ)を取得する。第1実施形態では1例として、医用画像診断装置400が、所定方向に沿った複数の断層像データを取得する場合について説明する。
【0015】
この病院内システムは、DICOM規格に従って、医用画像データ及びその付帯情報の通信を行ない、病院などの医療施設内に設けられた院内LANなどを利用して構築されている。
【0016】
医用画像診断装置400は、医用画像データにその付帯情報を付帯させて出力する。ここでは、付帯情報が付帯された医用画像データを、「DICOM画像データ」と称することとする。付帯情報は、DICOM規格に従って、検査日時情報、患者名情報、患者ID、検査ID、シリーズID、医用画像固有の識別情報であるイメージID、撮影条件情報、画像生成条件情報、及び画像属性情報を含んで構成されている。
【0017】
患者名情報、患者ID、検査ID、シリーズID、イメージID、撮影条件情報、画像生成条件情報、及び画像属性情報などの情報は、DICOM規格に従って規格化されている。患者名情報は、撮影された患者の患者名を示す情報である。患者IDは、撮影された患者を特定する情報である。検査IDは、検査内容を特定するための情報である。シリーズIDは、撮影した部位ごと、画像発生時刻、スライス厚、又は造影剤の有無などで分類するために用いられる情報である。
【0018】
患者に対して複数の検査が実施されている場合は、それぞれの検査で取得された医用画像データに、それぞれの検査を示す検査IDが付されて、検査ごとに分類される。また、複数の部位を撮影するなどして、検査に複数のシリーズが含まれている場合は、それぞれのシリーズについて取得された医用画像データに、それぞれのシリーズを示すシリーズIDが付されて、シリーズごとに分類される。すなわち、ある患者IDが付帯された複数の医用画像データは、検査IDによって検査ごとに分類され、さらに、個々の検査では、シリーズIDによってシリーズごとに分類される。
【0019】
撮影条件情報は、医用画像診断装置400にて行われた撮影の条件を示す情報である。例えば、撮影条件情報は、撮影された患者の部位を示す撮影部位情報と、医用画像データが撮影された位置を示す撮影位置情報(座標情報)とを含む。撮影部位情報は、患者の胸部や腹部などの部位を示す情報である。撮影位置情報(座標情報)は、例えば、医用画像診断装置400の寝台の所定位置を基準位置として規定される。
【0020】
画像生成条件情報は、医用画像データが生成された条件を示す情報である。1例として、断層像データ(2次元画像データ)の画像生成条件情報について説明する。画像生成条件情報は、断層像データが生成された断面の位置を示す断面位置情報(断面の座標情報)、断層像の方向を示す方向情報、断層像の厚さを示す厚さ情報、施された画像処理の内容を示す画像処理情報などを含む。断面位置情報(断面の座標情報)は、例えば、医用画像診断装置400の寝台の所定位置を基準位置として規定される。また、断層像の方向を示す方向情報は、その断層像が撮影された方向、又はその断層像が生成された方向を示している。画像処理としては、MPR処理、MIP処理、又はMinIP処理などが該当する。例えば、生成された医用画像データが、2次元の断面に沿って生成されたMPR画像データの場合、画像生成条件情報には、そのMPR画像の断面の位置を示す断面位置情報(断面の座標情報)、MPR画像の方向を示す方向情報、MPR画像の厚さを示す厚さ情報などが含まれる。
【0021】
MPR画像データは、例えば、後述する医用画像観察装置100や、2Dワークステーションや3Dワークステーションなどの画像生成装置(図示しない)によって生成される。そして、医用画像観察装置100や画像生成装置にて、画像生成条件情報がMPR画像データに付帯情報として付帯される。
【0022】
画像属性情報は、医用画像の種別を特定するための情報である。画像属性情報は、例えば、モダリティ名、ステーションネーム、製造者モデル名、モダリティの製造者、施設名、実装版名、画像のタイプ、AEタイトル、ソフトウェア版、SOPクラスUID、プロトコル名、装置シリアル番号、又は検査対象の部位を特定する情報などが該当する。
【0023】
医用画像観察装置100は、医用画像保管装置1から所望の患者、所望の検査、又は所望のシリーズに含まれる医用画像データを受けて、表示装置に医用画像を表示させる。
【0024】
レポート保管装置200は、読影レポートを保管する。読影レポートは、読影医などが作成したレポートであり、検査によって得られる医用画像を読影してその内容が記される。ここで、読影レポートのデータ構造について図2を参照して説明する。図2は、読影レポートのデータ構造を示す図である。図2に示すように、読影レポートは、レポート210に検索情報212が付帯して構成されている。
【0025】
レポート210は、ドキュメント形式のデータであり、所見などのレポートの内容を示す文字列が含まれる。レポート210には、参照した医用画像の所在を示す画像リンク情報211(ハイパーリンク)が埋め込まれる。以下では、レポートを作成する際に参照した医用画像を、「キー画像」と称する場合がある。画像リンク情報211は、レポート210内の文字列とネットワークN上のパスとをリンク付けする。このパスは、読影レポート内の医用画像が保管されている場所(記憶位置情報)を示す。なお、この実施形態における「キー画像」が「特定医用画像」の1例に相当する。
【0026】
検索情報212は、読影レポートの属性を示す情報であり、医用画像に付帯する付帯情報と同様に、検査日時情報、読影レポートの情報主体である患者の患者名を示す患者名情報、患者ID、読影レポートを作成した検査を示す検査ID、及び、レポート内の医用画像(キー画像)のIDを示すイメージIDなどが含まれている。
【0027】
なお、この実施形態におけるイメージID又は画像リンク情報が、「特定情報」の1例に相当する。
【0028】
レポート作成装置300は、読影レポートの作成を支援する。レポート作成装置300は、入力装置を用いた所見の入力に対応して、文字列を配列してレポート210のデータを生成し、さらに画像リンク情報211を作成し、レポート210に検索情報212を付す。
【0029】
なお、ネットワークNに2Dワークステーションや3Dワークステーションなどの画像生成装置(図示しない)を接続しても良い。この画像生成装置は、医用画像診断装置400にて取得された医用画像データにレンダリング処理などの画像処理を施すことで、3次元画像データやMPR画像データ(任意断面の画像データ)などの医用画像データを生成する。なお、この第1実施形態では、医用画像観察装置100に画像処理機能を持たせることで、医用画像観察装置100にて、レンダリング処理やMPR処理などの画像処理を行っても良い。
【0030】
この第1実施形態においては、医用画像保管装置1と医用画像観察装置100とレポート保管装置200とによって、医用画像診断支援システムの1例を構成する。
【0031】
(動作の概要)
ここで、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要について、図3を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要を示すシーケンス図である。
【0032】
まず、医用画像診断装置400にて、患者に対して新たな検査(新検査)を実施することで、新検査のDICOM画像データを生成する(ステップS100)。医用画像診断装置400は、新検査のDICOM画像データを医用画像保管装置1に送信する(ステップS101)。
【0033】
医用画像保管装置1は、新検査のDICOM画像データを保管する(ステップS102)。医用画像保管装置1は、新検査のDICOM画像データに付帯されている患者IDを抽出する(ステップS103)。そして、医用画像保管装置1は、その患者IDをレポート保管装置200に送信する(ステップS104)。
【0034】
レポート保管装置200にて、その患者IDが付帯されている過去検査の読影レポートを検索する(ステップS105)。さらに、レポート保管装置200にて、その過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報212を抽出する(ステップS106)。または、レポート保管装置200にて、その過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージIDを取得する(ステップS106)。そして、レポート保管装置200は、キー画像の画像リンク情報212、又はキー画像のイメージIDを医用画像保管装置1に送信する(ステップS107)。
【0035】
医用画像保管装置1にて、画像リンク情報212に対応する医用画像データ(キー画像データ)を検索する(ステップS108)。または、イメージIDが付された医用画像データ(キー画像データ)を検索する(ステップS108)。そして、医用画像管理装置1にて、キー画像データに付帯されている付帯情報に含まれる画像生成条件情報を抽出する(ステップS109)。そして、医用画像管理装置1にて、その画像生成条件に従って、新検査のDICOM画像データに画像処理を施す(ステップS110)。医用画像管理装置1にて、新たに生成されたDICOM画像データを保管する(ステップS111)。そして、医用画像観察装置100にて、新たに生成されたDICOM画像データの要求があると、医用画像保管装置1は、要求されたDICOM画像データを医用画像観察装置100に送信する(ステップS112)。
【0036】
次に、医用画像保管装置1、医用画像観察装置100、及びレポート保管装置200の構成について説明する。
【0037】
(医用画像保管装置1の構成)
まず、医用画像保管装置1の構成について説明する。医用画像診断装置400によって医用画像データが生成されると、付帯情報が付帯された医用画像データ(DICOM画像データ)が医用画像診断装置400から医用画像保管装置1にネットワークNを介して送信される。例えば、医用画像診断装置400によって所定方向に沿った複数の断層像データが生成されると、付帯情報が付帯された断層像データが医用画像保管装置1に送信される。
【0038】
医用画像保管装置1の送受信部2は、ネットワークNを介して送信されたDICOM画像データを受信する。送受信部2は、受信したDICOM画像データを画像データ登録部3に出力する。送受信部2は、例えばLANやモデムなどのネットワークアダプタで構成され、ネットワークNに接続する医用画像観察装置100、レポート保管装置200、レポート作成装置300、及び医用画像診断装置400にデータを送信し、又は、それら装置からデータを受信する。
【0039】
画像データ登録部3は、受信したDICOM画像データを画像データ保管部5に出力し、DICOM画像データの付帯情報をデータベース4に登録する。
【0040】
データベース4は、医用画像データに付帯されている付帯情報と、DICOM画像データの画像記憶装置への記憶先を特定する記憶位置情報とを対応させて格納する。例えば、データベース4は、患者名情報と、患者IDと、検査IDと、シリーズIDと、イメージIDと、撮影条件情報と、画像生成条件情報と、画像属性情報と、記憶位置情報とを対応させて格納する。
【0041】
また、2Dワークステーションや3Dワークステーションなどの画像生成装置によって複数のMPR画像データが生成されると、それら複数のMPR画像データは、送受信部2を介して画像データ登録部3に出力される。画像データ登録部3は、それら複数のMPR画像データを画像データ保管部5に出力し、各MPR画像データに付帯されている付帯情報と記憶位置情報とを対応させてデータベース4に登録する。
【0042】
画像データ保管部5は、複数のHDDやNAS(Network Attached Storage)などで構成される画像記憶装置を備え、画像データ登録部3からDICOM画像データを受け取り、所定の画像記憶装置に記憶させる。画像データ保管部5は、データベース4と通信を行ない、DICOM画像データの記憶先を示す記憶位置情報をデータベース4に通知する。データベース4は、画像データ保管部5から記憶位置情報を受けて、付帯情報と記憶位置情報とを対応させて格納する。また、画像データ保管部5は、DICOM画像データが削除されたり、変更されたりした場合、データベース4と通信して、記憶位置情報を修正する。なお、画像データ保管部5が、「医用画像保管手段」の1例に相当する。
【0043】
画像データ検索部6は、医用画像観察装置100などのクライアント端末からの要求に応じて、その要求に対応するDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出して送受信部2に出力する。送受信部2は、画像データ検索部6によって読み出されたDICOM画像データを要求元のクライアント端末に送信する。
【0044】
レポート検索条件抽出部9は、新たに行われた検査(新検査)に属するDICOM画像データを受けて、そのDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者IDを抽出する。この患者IDは、過去の検査について作成されたレポートを検索するときに用いられる検索キーとなる。送受信部2は、その患者IDをレポート保管装置200に送信する。なお、上述したように、画像データ登録部3は、新検査のDICOM画像データを画像データ保管部5に出力し、新検査のDICOM画像データの付帯情報をデータベース4に登録する。
【0045】
レポート保管装置200は、その患者IDが付帯している読影レポートを検索し、その読影レポートに埋め込まれているキー画像データのイメージID、又はキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1に送信する。このレポート保管装置200の構成については後述する。
【0046】
送受信部2は、レポート保管装置200から送信されたイメージID、又は画像リンク情報(記憶位置情報)を受信する。そして、送受信部2は、キー画像のイメージID、又はキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を画像データ検索部6に出力する。
【0047】
画像データ検索部6は、送受信部2からイメージIDを受けた場合に、データベース4からそのイメージIDが付されたDICOM画像データの記憶位置情報を取得し、その記憶位置情報が示す場所に記憶されているDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出す。そして、画像データ検索部6は、読み出したDICOM画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0048】
また、画像データ検索部6は、送受信部2から画像リンク情報(記憶位置情報)を受けた場合に、その画像リンク情報(記憶位置情報)が示す場所に記憶さているDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出しても良い。そして、画像データ検索部6は、読み出したDICOM画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0049】
画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から、そのキー画像データの画像生成条件情報(以下、「過去検査の画像生成条件情報」と称する場合がある)を抽出する。上述したように、画像生成条件情報には、断面の位置を示す断面位置情報、医用画像の方向を示す方向情報、医用画像の厚さを示す厚さ情報、及び画像処理情報などが含まれている。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した過去検査の画像生成条件情報を画像生成部8に出力する。さらに、画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から撮影条件情報(過去検査の撮影条件情報)を抽出し、その過去検査の撮影条件情報を画像生成部8に出力する。なお、この実施形態において、過去検査の画像生成条件が「特定画像生成条件」の1例に相当する。
【0050】
また、画像生成条件抽出部7が画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出する代わりに、画像データ検索部6が、データベース4にて管理されているキー画像データの画像生成条件情報と撮影条件情報を取得して画像生成部8に出力しても良い。
【0051】
画像生成部8は、画像生成条件抽出部7によって抽出された過去検査の画像生成条件情報が示す画像生成条件に従って、新検査に属するDICOM画像データに画像処理を施す。まず、新たなDICOM画像データ(新検査に属するDICOM画像データ)が送受信部2によって受信されると、その新検査に属するDICOM画像データは画像生成部8に出力される。画像生成部8は、新検査に属するDICOM画像データに対して、過去検査の画像生成条件情報が示す画像生成条件に従って画像処理を施す。すなわち、画像生成部8は、新検査のDICOM画像データに付された患者IDと同じ患者IDが付されたキー画像データの画像生成条件に従って、新検査のDICOM画像データに画像処理を施す。
【0052】
例えば、画像生成部8は、過去検査の画像生成条件情報が示す断面位置、方向、及び厚さなどの条件に従って、新検査に属する複数の断層像データにMPR処理を施す。これにより、過去検査のMPR画像データと同じ画像生成条件で、新検査のMPR画像データが生成される。なお、画像生成部8は、患者名情報、患者ID、検査ID、シリーズID、イメージID、撮影条件情報、画像生成条件情報、及び画像属性情報を付帯情報として新検査のMPR画像データに付帯させる。
【0053】
また、画像生成部8は、キー画像データが生成された断面位置を基準位置とし、その基準位置を中心に、所定範囲に含まれる新検査のMPR画像データを生成しても良い。例えば、画像生成部8は、基準位置を中心として、前後に任意の枚数の新検査のMPR画像データを生成しても良い。MPR画像の枚数やMPR画像間の間隔は、予め画像生成部8に設定しておく。また、操作者がユーザインターフェース(図示しない)を用いて、作成すべき枚数や画像の間隔を指定するようにしても良い。さらに、操作者がユーザインターフェースを用いて、過去検査の画像生成条件に含まれる厚さを任意の厚さに変更できるようにしても良い。
【0054】
また、画像生成部8は、画像生成条件抽出部7から過去検査の撮影条件情報を取得し、新検査で撮影された患者の部位と、過去検査で撮影された患者の部位とを比較して、撮影部位が一致するか否かを判断する。具体的には、画像生成部8は、新検査のDICOM画像データに付帯されている撮影部位情報(新検査の撮影部位情報)が示す部位と、過去検査の撮影条件情報に含まれる撮影部位情報が示す部位とを比較して、撮影部位が一致するか否かを判断する。
【0055】
そして、新検査の撮影部位と過去検査の撮影部位とが同じ場合、画像生成部8は、新検査のDICOM画像データに画像処理を施す。撮影部位が同じであれば、比較読影が可能だからである。例えば、過去検査の撮影部位が胸部であり、新検査の撮影部位が胸部であった場合、撮影部位が一致するため、画像生成部8は新検査のDICOM画像データに画像処理を施す。
【0056】
一方、新検査の撮影部位と過去検査の撮影部位とが異なる場合、画像生成部8は、新検査のDICOM画像データに画像処理を施さない。部位が異なる場合は、比較読影には用いられないからである。例えば、過去検査の撮影部位が胸部であり、新検査の撮影部位が腹部であった場合、撮影部位が異なるため、画像生成部8は新検査のDICOM画像データに画像処理を施さない。
【0057】
そして、画像生成部8は、生成した新検査のMPR画像データを画像データ登録部3に出力する。画像データ登録部3は、新検査のMPR画像データを画像データ保管部5に出力し、MPR画像データの付帯情報をデータベース4に登録する。
【0058】
また、画像生成部8は新検査のMPR画像の一覧表を作成し、画像データ保管部5に出力する。画像データ保管部5は、その一覧表を保管する。そして、医用画像観察装置100から医用画像取得の要求を受けると、医用画像保管装置1は、その一覧表を医用画像観察装置100に送信する。これにより、医用画像観察装置100にて、その一覧表が表示され、新検査のMPR画像が既に生成されて医用画像保管装置1に保管されていることが操作者に認識される。
【0059】
なお、画像データ登録部3、画像データ検索部6、画像生成条件抽出部7、画像生成部8、及びレポート検索条件抽出部9は、それぞれCPUと、ROM、RAMなどの記憶部(図示しない)とを備えて構成されている。その記憶部には、画像データ登録部3の機能を実行するためのプログラム、画像データ検索部6の機能を実行するためのプログラム、画像生成条件抽出部7の機能を実行するためのプログラム、画像生成部8の機能を実行するためのプログラム、及びレポート検索条件抽出部9の機能を実行するためのプログラムが記憶されている。CPUが、記憶部に記憶されている各プログラムを実行することで、各部の機能を実行する。
【0060】
なお、この実施形態において、送受信部2、画像データ検索部6、画像生成条件抽出部7、及び画像生成部8が、「第2の抽出手段」の1例に相当する。
【0061】
(レポート保管装置200)
次に、レポート保管装置200の構成について説明する。レポート保管装置200は、送受信部201、レポート記憶部202、レポート検索部203、及びキー画像検索部204を備えている。
【0062】
レポート記憶部202は、読影レポートを記憶している。例えば、レポート記憶部202は、図2を参照して説明したように、画像リンク情報211(記憶位置情報)と検索情報212を含むレポート210を記憶している。なお、検索情報212には、上述したように、検査日時情報、患者名情報、患者ID、検査ID、及びイメージIDなどが含まれている。
【0063】
送受信部201は、医用画像保管装置1から送信された読影レポートの検索要求を受信する。例えば、送受信部201は、医用画像保管装置1から送信された患者IDを受信し、その患者IDをレポート検索部203に出力する。送受信部201は、例えばLANやモデムなどのネットワークアダプタで構成されている。
【0064】
レポート検索部203は、レポート記憶部202を検索して読影レポートを読み出す。レポート検索部203は、医用画像保管装置1から送信された検索キーを取得し、この検索キーと合致する検索情報212を有する読影レポートをレポート記憶部202から読み出す。例えば、検索キーとして患者IDが医用画像保管装置1から送信された場合、レポート検索部203は、その患者IDと合致する検索情報212を有する読影レポートをレポート記憶部202から読み出す。そして、レポート検索部203は、読み出した読影レポートをキー画像検索部204に出力する。なお、レポート検索部203は、過去検査の読影レポートのうち最新の読影レポートを読み出す。また、レポート検索部203は、撮影部位や日時などの指定を受けて、指定された条件に合致する読影レポートを読み出しても良い。
【0065】
キー画像検索部204は、レポート検索部203にて読み出された読影レポートを受けて、その読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージID、又は、キー画像の画像リンク情報211(記憶位置情報)を取得する。そして、キー画像検索部204は、キー画像のイメージID、又は、キー画像の画像リンク情報211(記憶位置情報)を送受信部201に出力する。
【0066】
送受信部201は、キー画像検索部204にて取得されたキー画像のイメージID、又は、キー画像の画像リンク情報211(記憶位置情報)を医用画像保管装置1に送信する。
【0067】
なお、レポート検索部203は、過去の読影レポートをレポート記憶部202から読み出し、その読影レポートが参照している過去の読影レポートをレポート記憶部202から更に読み出しても良い。例えば、過去の読影レポートに別の読影レポートの記憶位置情報などが埋め込まれている場合、レポート検索部203は、その記憶位置情報に基づいて、レポート記憶部202から参照されている過去の読影レポートを読み出す。この場合、キー画像検索部204は、参照されている過去の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、キー画像のイメージIDを取得する。そして、送受信部201は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、イメージIDを医用画像保管装置1に出力する。
【0068】
なお、レポート検索部203とキー画像検索部204は、それぞれCPUと、ROM、RAMなどの記憶部(図示しない)とを備えて構成されている。その記憶部には、レポート検索部203の機能を実行するためのプログラムと、キー画像検索部204の機能を実行するためのプログラムが記憶されている。CPUが記憶部に記憶されている各プログラムを実行することで、各部の機能を実行する。
【0069】
なお、この実施形態において、送受信部201、レポート検索部203、及びキー画像検索部204が「第1の抽出手段」の1例に相当する。
【0070】
(医用画像観察装置100)
次に、医用画像観察装置100の構成について説明する。医用画像観察装置100は、ユーザインターフェース101、送受信部102、制御部103、記憶部104、及び画像生成部105を備えている。
【0071】
ユーザインターフェース(UI)101は、表示部と操作部を備えている。表示部は、CRTや液晶ディスプレイで構成され、医用画像を表示する。操作部は、マウスやキーボードなどの入力装置で構成され、操作者からの入力を受け付ける。医用画像保管装置1から所望の患者のDICOM画像データを取得するために、操作者はユーザインターフェース101を用いて、所望の患者を特定する患者IDを入力する。また、患者IDに加えて、検査IDやシリーズIDを入力することで、特定の検査に含まれるDICOM画像データや、特定のシリーズに含まれるDICOM画像データを取得するようにしても良い。
【0072】
送受信部102は、ユーザインターフェース101から患者IDを受け、その患者IDを医用画像保管装置1に送信する。そして、送受信部102は、医用画像保管装置1から送信されたDICOM画像データを受信する。送受信部102は、例えばLANやモデムなどのネットワークアダプタで構成され、ネットワークNに接続する医用画像保管装置1にデータを送信し、又、医用画像観察装置100からデータを受信する。
【0073】
制御部103は、医用画像観察装置100の各部に接続されて、各部の動作を制御する。例えば、制御部103は、送受信部102が医用画像保管装置1から受信したDICOM画像データを記憶部104に記憶させる。また、制御部103は、記憶部104からDICOM画像データを読み込んで、そのDICOM画像データに基づく医用画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。例えば、制御部103は、過去検査のMPR画像データに基づくMPR画像と、新検査のMPR画像データに基づくMPR画像とを並べてユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0074】
なお、制御部103は、いわゆるCPUと、ROM、RAMなどの記憶装置(図示しない)を備えて構成されている。その記憶装置には制御プログラムが記憶されている。CPUが、その制御プログラムを実行することで、医用画像観察装置100の各部の動作を制御する。
【0075】
画像生成部105は、記憶部104からDICOM画像データを読み込んで、そのDICOM画像データにMPR処理やボリュームレンダリングなどの画像処理を施すことで、MPR画像データや3次元画像データなどの医用画像データを生成する。制御部103は、画像生成部105によって生成さえた医用画像データを記憶部104に記憶させる。なお、第1実施形態においては、画像生成部105を医用画像観察装置100に設けなくても良い。
【0076】
画像生成部105は、いわゆるCPUと、ROM、RAMなどの記憶装置(図示しない)を備えて構成されている。その記憶装置には、画像生成部105の機能を実行するための画像生成プログラムが記憶されている。CPUが、その画像生成プログラムを実行することで、DICOM画像データにMPR処理などの画像処理を施す。
【0077】
(動作)
次に、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作について図4を参照して説明する。図4は、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【0078】
(ステップS01)
まず、医用画像診断装置400にて撮影を行うことで、新検査のDICOM画像データを生成する。例えば、医用画像診断装置400は、所定方向に沿った複数の断層像データを取得する。医用画像診断装置400は、新検査のDICOM画像データ(断層像データ)を医用画像保管装置1に送信する。医用画像保管装置1の送受信部2は、医用画像診断装置400から新検査のDICOM画像データを受信し、画像データ登録部3に出力する。画像データ登録部3は、新検査のDICOM画像データを画像データ保管部5に出力し、さらに、付帯情報と記憶位置情報とを対応させてデータベース4に登録する。
【0079】
(ステップS02)
レポート検索条件抽出部9は、新検査のDICOM画像データに付帯情報として付帯されている患者IDを抽出する。この患者IDは、レポート保管装置200において、過去検査の読影レポートを検索する際の検索キーとして用いられる。
【0080】
(ステップS03)
医用画像保管装置1の送受信部2は、レポート検索条件抽出部9にて抽出された患者IDをレポート保管装置200に送信する。
【0081】
(ステップS04)
レポート保管装置200の送受信部201は医用画像保管装置1から患者IDを受信し、その患者IDをレポート検索部203に出力する。レポート検索部203は、その患者IDと合致する検索情報を有する読影レポートをレポート記憶部202から取得し、その読影レポートをキー画像検索部204に出力する。この読影レポートが過去検査の読影レポートに相当する。
【0082】
(ステップS05)
キー画像検索部204は、過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を抽出する。または、キー画像検索部204は、過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージIDを抽出する。
【0083】
(ステップS06)
送受信部201は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1に送信する。または、送受信部201は、キー画像のイメージIDを医用画像保管装置1に送信する。
【0084】
(ステップS07)
医用画像保管装置1の送受信部2は、レポート保管装置200から送信された画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、イメージIDを受信し、画像データ検索部6に出力する。画像データ検索部6は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)が示す場所に記憶されている医用画像データ(キー画像データ)を画像データ保管部5から読み出す。または、画像データ検索部6は、イメージIDに対応する記憶位置情報をデータベースから取得し、その記憶位置情報が示す場所に記憶されている医用画像データ(キー画像データ)を画像データ保管部5から読み出す。そして、画像データ検索部6は、読み出した医用画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0085】
(ステップS08)
画像生成条件抽出部7は、キー画像データの付帯情報に含まれる過去検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出し、過去検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を画像生成部8に出力する。
【0086】
(ステップS09)
画像生成部8は、新検査のDICOM画像データ(断層像データ)を送受信部2から受けて、その新検査の断層像データに付帯されている撮影部位情報が示す部位と、過去検査の撮影条件情報に含まれる撮影部位情報が示す部位とを比較して、部位が一致するか否かを判断する。撮影された部位が一致する場合、画像生成部8は、新検査の複数の断層像データに対して、過去検査の画像生成条件情報が示す画像生成条件に従って画像処理を施す。例えば、画像生成部8は、過去検査の画像生成条件情報が示す断面位置、方向、及び厚さなどの条件に従って、新検査の複数の断層像データにMPR処理を施す。これにより、過去検査のMPR画像データと同じ画像生成条件で、新検査のMPR画像データが生成される。さらに、画像生成部8は、キー画像データが生成された断面位置を基準位置として、その基準位置を中心に、前後に任意の枚数のMPR画像データを生成しても良い。そして、画像生成部8は、生成した新検査のMPR画像データを画像データ登録部3に出力する。
【0087】
(ステップS10)
画像データ登録部3は、画像生成部8にて生成されたMPR画像データを画像データ保管部5に出力し、MPR画像データの付帯情報と記憶位置情報をデータベース4に登録する。
【0088】
そして、医用画像観察装置100において、操作者がユーザインターフェース101を用いて新検査のMPR画像のイメージIDを入力すると、送受信部102はそのイメージIDを医用画像保管装置1に送信する。画像データ検索部6はそのイメージIDに対応するMPR画像データを画像データ保管部5から読み出し、送受信部2はそのMPR画像データを医用画像観察装置100に送信する。制御部103は、送受信部102を介してそのMPR画像データを受け付け、そのMPR画像データに基づくMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0089】
例えば、画像生成部8は新検査のMPR画像の一覧表を作成し、画像データ保管部5に出力する。画像データ保管部5は、その一覧表を保管する。そして、医用画像観察装置100から医用画像取得の要求を受けると、医用画像保管装置1は、その一覧表を医用画像観察装置100に送信する。医用画像観察装置100の制御部103は、新検査のMPR画像のリストをユーザインターフェース101の表示部に一覧表として表示させる。これにより、医用画像観察装置100において、新検査のMPR画像が既に生成されて医用画像保管装置1に保管されていることが操作者に認識される。
【0090】
そして、操作者がユーザインターフェース101を用いて、一覧表のなかから所望のMPR画像を指定すると、送受信部102は、そのMPR画像のイメージIDを医用画像保管装置1に送信する。医用画像保管装置1の画像データ検索部6は、そのイメージIDのMPR画像データを画像データ保管部5から読み出し、送受信部2はそのMPR画像データを医用画像観察装置100に送信する。医用画像観察装置100の制御部103は、そのMPR画像データに基づくMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0091】
また、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像を比較読影する場合、操作者はユーザインターフェース101を用いて、過去検査のMPR画像のイメージIDと新検査のMPR画像のイメージIDを入力する。医用画像保管装置1は、イメージIDに対応する過去検査のMPR画像データと新検査のMPR画像データを医用画像観察装置100に送信する。医用画像観察装置100の制御部103は、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像とを並べて、ユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0092】
以上のように、比較読影の際に参照される可能性がある医用画像を予め医用画像保管装置1で生成しておくことで、比較読影の際には、予め生成された医用画像を医用画像観察装置100に送信すれば済む。そのことにより、比較読影の際に参照される医用画像を生成するための複数の医用画像データを医用画像観察装置100に送信する必要がない。そのため、送信すべき医用画像データのデータ量を最小限に抑えることができ、医用画像データの送信に要する時間を削減することが可能となる。すなわち、比較読影に必要な新検査の医用画像データのみを、医用画像観察装置100に送信することが可能となるため、送信に要する時間を削減して、読影などを効率良く行うことが可能となる。また、大容量のメモリを医用画像観察装置100に設置しなくても済む。
【0093】
例えば、キー画像に対応する新検査のMPR画像は比較読影の対象となる可能性があるため、その新検査のMPR画像データを予め作成しておくことで、比較読影に必要な新検査のMPR画像データのみを、医用画像観察装置100に送信することが可能となる。そのことにより、画像データの送信に要する時間を削減して、読影などを効率良く行うことが可能となる。すなわち、比較読影時に、医用画像観察装置100において、新検査のMPR画像データを読み込んで、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像を素早く表示することが可能となる。
【0094】
また、医用画像観察装置100において、比較読影するための医用画像データを生成する必要がないため、その手間が省けるという効果を奏する。そのことにより、操作者の負担を軽減することが可能となる。例えば、MPR画像データを生成するために、所望の断面を指定する必要がないため、その手間が省け、操作者の負担が軽減される。
【0095】
なお、レポート保管装置200において、過去の読影レポートに複数のキー画像データが埋め込まれている場合、キー画像検索部204は、全てのキー画像のイメージID、又は、全てのキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を過去の読影レポートから取得しても良い。そして、キー画像検索部204は、全てのキー画像のイメージID、又は、全てのキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を送受信部201に出力する。送受信部201は、全てのキー画像のイメージID、又は、全てのキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1に送信する。医用画像保管装置1の画像データ検索部6は、各キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、各キー画像のイメージIDに基づいて、全てのキー画像データを画像データ保管部5から読み出す。画像生成条件抽出部7は、全てのキー画像データから過去検査の画像生成条件と撮影部位情報を抽出する。そして、画像生成部8は、各画像生成条件に従って、新検査のDICOM画像データに画像処理を施すことで、新検査のMPR画像データを生成しても良い。
【0096】
[第2の実施の形態]
次に、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムについて、図5を参照して説明する。図5は、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムのブロック図である。
【0097】
図5に示すように、第2実施形態に係る病院内システムは、ネットワークNを介して、医用画像保管装置(医用画像サーバ)1Aと、医用画像観察装置(クライアント端末)100Aと、レポート保管装置(レポートサーバ)200と、レポート作成装置300と、医用画像診断装置400とが接続されている。
【0098】
第2実施形態においては、医用画像保管装置1Aと医用画像観察装置100Aとレポート保管装置200とによって、医用画像診断支援システムの1例を構成する。第2実施形態に係る医用画像診断支援システムは、医用画像保管装置1の代わりに医用画像保管装置1Aを備え、医用画像観察装置100の代わりに医用画像観察装置100Aを備えている。ここでは、医用画像保管装置1Aと医用画像観察装置100Aの構成について説明する。レポート保管装置200と医用画像診断装置400は、上述した第1実施形態と同じ構成を備えているため、レポート保管装置200と医用画像診断装置400の構成については説明を省略する。なお、第2実施形態に係る病院内システムは、第1実施形態と同様に、2Dワークステーションや3Dワークステーションなどの画像生成装置を備えていても良い。この第2実施形態では1例として、医用画像診断装置400が所定方向に沿った複数の断層像データを取得する場合について説明する。
【0099】
(動作の概要)
ここで、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要について、図6を参照して説明する。図6は、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要を示すシーケンス図である。
【0100】
まず、医用画像観察装置100Aにて、操作者が所望の患者の患者IDを指定する(ステップS200)。医用画像観察装置100Aは、その患者IDを医用画像保管装置1Aに送信する(ステップS201)。このとき、医用画像保管装置1Aは、読み込み可能なデータ量を示す情報を医用画像保管装置1Aに送信する(ステップS201)。
【0101】
医用画像保管装置1Aは、患者IDと読み込み可能なデータ量の情報を医用画像観察装置100Aから受信し、患者IDをレポート保管装置200に送信する(ステップS202)。レポート保管装置200にて、その患者IDが付帯されている過去検査の読影レポートを検索する(ステップS203)。さらに、レポート保管装置200にて、その過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報212を抽出する(ステップS204)。または、レポート保管装置200にて、その過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージIDを取得する(ステップS204)。そして、レポート保管装置200は、キー画像の画像リンク情報212、又はキー画像のイメージIDを医用画像保管装置1Aに送信する(ステップS205)。
【0102】
医用画像保管装置1Aにて、画像リンク情報212に対応するDICOM画像データ(キー画像データ)を検索する(ステップS206)。または、イメージIDが付されたDICOM画像データ(キー画像データ)を検索する(ステップS206)。そして、医用画像保管装置1Aにて、キー画像データに付帯されている付帯情報に含まれる画像生成条件情報を抽出する(ステップS207)。そして、医用画像保管装置1Aにて、新検査のDICOM画像データに、過去検査のキー画像データに対応するDICOM画像データが含まれているか否かを判断する(ステップS208)。新検査のDICOM画像データに、キー画像データに対応するDICOM画像データが含まれている場合、医用画像保管装置1Aは、対応するDICOM画像データを医用画像観察装置100Aに送信する(ステップS209)。一方、新検査のDICOM画像データに、キー画像データに対応するDICOM画像データが含まれていない場合、医用画像保管装置1Aは、そのキー画像データに対応するDICOM画像データを生成するためのDICOM画像データを医用画像観察装置100Aに送信する(ステップS209)。このとき、医用画像保管装置1Aは、読み込み可能なデータ量に応じたDICOM画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0103】
医用画像観察装置100Aは、過去検査のキー画像データに対応するDICOM画像データを受信した場合、その医用画像を表示部に表示する(ステップS210)。一方、医用画像観察装置100Aは、キー画像データに対応しないDICOM画像データを受信した場合、そのDICOM画像データに基づいて、キー画像データに対応するDICOM画像データを生成し、医用画像を表示する(ステップS211)。
【0104】
次に、医用画像観察装置100A、及び医用画像保管装置1Aの構成について説明する。
【0105】
(医用画像観察装置100Aの構成)
まず、医用画像観察装置100Aの構成について説明する。医用画像観察装置100Aは、ユーザインターフェース101、送受信部102、制御部103、記憶部104、画像生成部105、及びデータ量決定部106を備えている。
【0106】
ユーザインターフェース101、送受信部102、制御部103、記憶部104、及び画像生成部105は、上述した第1実施形態と同じ機能を有している。
【0107】
第2実施形態においては、操作者がユーザインターフェース101を用いて、所望の患者の患者IDを入力する。さらに、操作者は、ユーザインターフェース101を用いて、DICOM画像データの読み込みを指示する。例えば、操作者はユーザインターフェース101を用いて、診察対象の患者の患者IDを入力し、さらに、新検査に含まれるDICOM画像データの読み込みを指示する。送受信部102は、患者IDとDICOM画像データの読み込み指示を医用画像保管装置1Aに送信する。
【0108】
データ量決定部106は、記憶部104の空き容量と、送受信部102による通信速度とに基づいて、医用画像観察装置100Aが読み込むDICOM画像データのデータ量を決定する。例えば、記憶部104の空き容量と、ネットワークの通信速度と、読み込み可能なデータ量の上限とを対応付けたテーブルを記憶部(図示しない)に予め記憶させておく。データ量決定部106は、その記憶部に記憶されているテーブルを参照することで、読み込み可能なデータ量の上限を決定する。ここで、医用画像観察装置100Aが読み込むDICOM画像データのデータ量について、図7を参照して説明する。図7は、医用画像観察装置が読み込む画像データのデータ量を示すテーブルである。
【0109】
例えば、記憶部104の空き容量(メモリ量)が512MB以下で、通信路の速度が10Mbps以下の場合、データ量決定部106は、例えばCT画像に換算して、100枚分のデータ量を読み込み可能なデータ量の上限と決定する。また、記憶部104の空き容量(メモリ量)が1GB以上で、通信路の速度が1Gbps以上の場合、データ量決定部106は、1600枚分のデータ量を読み込み可能なデータ量の上限と決定する。そして、送受信部2は、データ量決定部106によって決定されたデータ量を示す情報を医用画像保管装置1Aに送信する。
【0110】
なお、図7に示す例では、画像枚数はCT画像として換算しているが、例えばMR画像などの他の医用画像で換算したものであっても良い。また、ファイルのデータ容量で換算されたものであっても良い。
【0111】
(医用画像保管装置1Aの構成)
次に、医用画像保管装置1Aの構成について説明する。医用画像保管装置1Aは、送受信部2、画像データ登録部3、データベース4、画像データ保管部5、画像データ検索部6、画像生成条件抽出部7、判断部10、及び画像データ抽出部11を備えている。
【0112】
送受信部2、画像データ登録部3、データベース4、画像データ保管部5、画像データ検索部6、及び画像生成条件抽出部7は、上述した第1実施形態と同じ機能を有している。
【0113】
上述した第1実施形態と同様に、画像データ登録部3は、DICOM画像データを画像データ保管部5に出力し、DICOM画像データの付帯情報をデータベース4に登録する。データベース4は、付帯情報と、医用画像データの記憶位置情報とを対応させて格納する。画像データ保管部5は、画像データ登録部3からDICOM画像データを受け取り、所定の画像記憶装置に記憶させる。
【0114】
送受信部2は、医用画像観察装置100Aから送信された患者IDとDICOM画像データの読み込み指示を受信する。そして、送受信部2は、その患者IDをレポート保管装置200に送信する。さらに、送受信部2は、医用画像観察装置100Aから送信された読み込み可能なデータ量を示す情報を受信し、画像データ検索部6と画像データ抽出部11に出力する。
【0115】
レポート保管装置200は、上述した第1実施形態と同様に、その患者IDが付帯している読影レポートを検索し、その読影レポートに埋め込まれているキー画像データのイメージID、又は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1Aに送信する。このレポート保管装置200の構成は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0116】
送受信部2は、レポート保管装置200から送信されたイメージID、又は画像リンク情報(記憶位置情報)を受信する。そして、送受信部2は、キー画像のイメージID、又はキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を画像データ検索部6に出力する。
【0117】
画像データ検索部6は、送受信部2からキー画像データのイメージIDを受けた場合に、データベース4からそのイメージIDが付されたDICOM画像データの記憶位置情報を取得し、その記憶位置情報が示す場所に記憶されているDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出す。そして、画像データ検索部6は、読み出したDICOM画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0118】
また、画像データ検索部6は、送受信部2から画像リンク情報(記憶位置情報)を受けた場合に、その画像リンク情報(記憶位置情報)が示す場所に記憶さているDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出しても良い。そして、画像データ検索部6は、読み出したDICOM画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0119】
画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から、そのキー画像データの画像生成条件情報(過去検査の画像生成条件情報)を抽出する。上述した第1実施形態と同様に、画像生成条件情報には、断面の位置を示す断面位置情報、医用画像の方向を示す方向情報、医用画像の厚さを示す厚さ情報、及び画像処理情報などが含まれている。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した過去検査の画像生成条件情報を、画像データ検索部6、判断部10、及び画像データ抽出部11に出力する。
【0120】
さらに、画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から撮影条件情報を抽出し、その過去検査の撮影条件情報を判断部10に出力する。
【0121】
また、新検査のDICOM画像データが送受信部2によって受信されると、その新検査のDICOM画像データは画像生成条件抽出部7に出力される。画像生成条件抽出部7は、新検査のDICOM画像データに付帯されている付帯情報から、画像生成条件情報(新検査の画像生成条件情報)を抽出する。さらに、画像生成条件抽出部7は、新検査のDICOM画像データに付帯されている付帯情報から撮影条件情報(新検査の撮影条件情報)を抽出する。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した新検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を判断部10に出力する。
【0122】
また、画像生成条件抽出部7が画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出する代わりに、画像データ検索部6が、データベース4にて管理されているキー画像データや新検査のDICOM画像データの画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出しても良い。
【0123】
判断部10は、新検査のDICOM画像データに、過去検査のDICOM画像データ(キー画像データ)に対応するDICOM画像データがあるか否かを判断する。例えば、判断部10は、過去検査の画像生成条件情報と新検査の画像生成条件情報とを画像生成条件情報抽出部7から取得し、画像生成条件情報が示す断面位置や方向などを比較することで、キー画像データに対応する新検査のDICOM画像データがあるか否かを判断する。
【0124】
ここでは、1例として断層像データについて説明する。画像生成条件情報に含まれる方向情報がコロナル方向を示している場合、その断層像はコロナル方向から撮影されたコロナル像であることを示している。また、方向情報がアキシャル方向を示している場合、その断層像はアキシャル方向から撮影されたアキシャル像であることを示している。また、方向情報がサジタル方向を示している場合、その断層像はサジタル方向から撮影されたサジタル像であることを示している。なお、コロナル方向、アキシャル方向、及びサジタル方向はそれぞれ互いに直交する方向であり、コロナル像、アキシャル像、及びサジタル像はそれぞれ互いに直交する断層像である。
【0125】
例えば、過去検査の画像生成条件情報に含まれる方向情報がアキシャル方向を示し、新検査の画像生成条件情報に含まれる方向情報がアキシャル方向を示している場合、判断部10は、方向が一致しているため、キー画像データに対応する新検査のDICOM画像データ(断層像データ)があると判断する。そして、判断部10は、その判断結果を画像データ検索部6に出力する。
【0126】
一方、過去検査の画像生成条件情報に含まれる方向情報がコロナル方向を示し、新検査の画像生成条件情報に含まれる方向情報がアキシャル方向を示している場合、判断部10は、方向が一致しないため、キー画像データに対応する新検査のDICOM画像データ(断層像データ)がないと判断する。そして、判断部10は、その判断結果を画像データ検索部6に出力する。
【0127】
画像データ検索部6は、判断部10から判断結果を受けると、その判断結果に応じて、新検査のDICOM画像データを画像データ保管部5から読み込む。
【0128】
(過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがある場合)
例えば、過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがあると判断された場合、画像データ検索部6は、過去検査の画像生成条件情報を画像生成条件抽出部7から受けて、キー画像データの断面位置に対応する断面位置にて生成された新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。例えば、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置と同じ断面位置にて生成された新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。また、キー画像データの断面位置と同じ断面位置にて生成された新検査の断層像データが存在しない場合は、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置に最も近い断面位置にて生成された新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。
【0129】
さらに、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置を基準位置として、その基準位置を中心に、所定範囲に含まれる新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。例えば、画像データ検索部6は、基準位置を中心に、前後に任意の枚数の新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。このとき、画像データ検索部6は、医用画像観察装置100Aから送信された読み込み可能なデータ量を示す情報に従って、新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。すなわち、画像データ検索部6は、医用画像観察装置100Aが備えるメモリの容量と通信速度に応じたデータ量の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。例えば、記憶部104の空き容量(メモリ量)が512MB以下で、通信路の速度が10Mbps以下の場合、100枚分のデータ量の読み込みが可能であるため、画像データ検索部6は、その枚数分の新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。
【0130】
画像データ検索部6は、読み込んだ新検査の断層像データを送受信部2に出力する。送受信部3は、新検査の断層像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0131】
(過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがない場合)
また、過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがないと判断された場合、画像データ検索部6は、新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込み、それら新検査の断層像データを画像データ抽出部11に出力する。
【0132】
画像データ抽出部11は、過去検査の画像生成条件情報が示す断面位置に基づいて、過去検査のキー画像データに対応する断層像データを生成するための画像データを、新検査に含まれる複数の断層像データから抽出する。すなわち、画像データ抽出部11は、新検査に含まれる複数の断層像データのなかから、キー画像データの断面位置を特定し、その特定した位置の前後の範囲に含まれる画像データを抽出する。
【0133】
ここで、新検査の断層像データから画像データを抽出する範囲について、図8及び図9を参照して説明する。図8は、過去検査のキー画像と新検査の医用画像を示す図である。図9は、新検査の医用画像データから画像データを抽出する範囲を説明するための模式図である。
【0134】
図8(a)に示すキー画像500は、過去検査で取得された断層像である。この例では、キー画像500は、コロナル方向から撮影されたコロナル像である。一方、図8(b)に示す医用画像600は、新検査で取得された断層像である。この例では、医用画像600は、コロナル方向に直交するアキシャル方向から撮影されたアキシャル像である。このように、過去検査と新検査とでは、断層像の撮影方向が異なるため、新検査の断層像データには、過去検査のキー画像500に相当する断層像データは存在しない。
【0135】
そのため、画像データ抽出部11は、新検査の医用画像600(アキシャル像)において、過去検査のキー画像500(コロナル像)の断面位置に対応する位置を特定する。図8(b)に示す例では、新検査の医用画像600において、位置Aがキー画像500の断面位置に対応する位置である。画像データ抽出部11は、キー画像500の断面位置に基づいて、医用画像600の位置Aを特定する。
【0136】
さらに、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて、画像データを抽出する範囲を特定する。例えば、図8(a)に示すように、画像データ抽出部11は、キー画像500(コロナル像)の断面位置に対応する位置Aを基準位置とし、医用画像600(アキシャル像)においてコロナル方向に延びる所定の範囲Bを、画像データを抽出する範囲とする。すなわち、画像データ抽出部11は、範囲Bによってコロナル方向における抽出範囲を特定する。そして、画像データ抽出部11は、新検査の複数の断層像データのそれぞれから、範囲Bに含まれる画像データを抽出して送受信部2に出力する。このとき、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて範囲Bを決定し、その範囲Bに含まれる画像データを抽出する。
【0137】
例えば図9に示すように、新検査の1シリーズにおいて、所定方向(アキシャル方向)に沿って複数の断層像データ(アキシャル像データ)が取得された場合、その1シリーズには医用画像600A〜600N(アキシャル像)が含まれる。画像データ抽出部11は、医用画像600A〜600Nのそれぞれから、斜線で示す範囲Bに含まれる画像データを抽出する。そして、画像データ抽出部11は、範囲Bに含まれる画像データを送受信部2に出力する。送受信部2は、範囲Bに含まれる画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0138】
医用画像観察装置100Aの送受信部102は、医用画像保管装置1Aから送信された範囲Bに含まれる画像データを受信する。制御部103は、その範囲Bに含まれる画像データを記憶部104に記憶させる。そして、画像生成部105は、範囲Bに含まれる画像データに対してMPR処理を施すことにより、過去検査のキー画像の断面位置に対応する断面位置のMPR画像データを生成する。例えば、医用画像保管装置1Aは、過去検査のキー画像の画像生成条件を医用画像観察装置100Aに送信する。医用画像観察装置100Aの画像生成部105は、過去検査の画像生成条件に従って、範囲Bに含まれる画像データに対してMPR処理を施すことで、過去検査のキー画像に対応する新検査のMPR画像データを生成する。制御部103は、そのMPR画像データに基づくMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。さらに、画像生成部105は、範囲Bに含まれる画像データに基づいて、任意の断面に沿ったMPR画像データを生成しても良い。
【0139】
さらに、第1実施形態と同様に、制御部103は、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に並べて表示させても良い。これにより、操作者は過去検査と新検査のMPR画像を比較読影することが可能となる。
【0140】
(キー画像データにアノテーションが付されている場合)
また、キー画像データに、アノテーションによって特定の部位が指定されている場合がある。例えば、注目する部位がアノテーションによって指定される。アノテーションによる特定部位の指定は、例えば、医用画像診断装置400で行われる。ここで、キー画像において、アノテーションによって特定部位が指定されている場合について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、過去検査のキー画像と新検査の医用画像を示す図である。図11は、新検査の医用画像データから画像データを抽出する範囲を説明するための模式図である。
【0141】
図10(a)に示すキー画像700は、過去検査で取得された断層像である。この例では、キー画像700は、コロナル方向から撮影されたコロナル像である。このキー画像700には、アノテーション701によって特定の箇所(部位)が指定されている。キー画像700におけるアノテーション701の位置(座標)、アノテーション701の形状、及び大きさは、アノテーション情報としてキー画像データに付帯されている。画像生成条件情報抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から、画像生成条件情報、撮影条件情報を抽出し、さらに、アノテーション情報を抽出する。画像生成条件抽出部7は、画像生成条件情報とアノテーション情報を画像データ抽出部11に出力する。
【0142】
一方、図10(b)に示す医用画像800は、新検査で取得された断層像である。この例では、医用画像800は、アキシャル方向から撮影されたアキシャル像である。
【0143】
画像データ抽出部11は、新検査の医用画像800(アキシャル像)において、過去検査のキー画像700(コロナル像)の断面位置に対応する位置を特定する。さらに、画像データ抽出部11は、新検査の医用画像800において、キー画像700に付されたアノテーション701が示す箇所を特定する。
【0144】
図10(b)に示す例では、新検査の医用画像800において、位置Aがキー画像700の断面位置に対応する位置である。画像データ抽出部11は、キー画像700の断面位置に基づいて、医用画像800の位置Aを特定する。さらに、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて、画像データを抽出する範囲を特定する。例えば、図10(b)に示すように、画像データ抽出部11は、キー画像700(コロナル像)の断面位置に対応する位置Aを基準位置とし、医用画像800(アキシャル像)においてコロナル方向に延びる処理の範囲Bを、画像データを抽出する範囲とする。
【0145】
さらに、画像データ抽出部11は、新検査の医用画像800(アキシャル像)において、キー画像700(コロナル像)に付されたアノテーション701が示す箇所を特定する。例えば、画像データ抽出部11は、キー画像700において、アキシャル方向に延び、アノテーション701によって特定される箇所が含まれる範囲Cを特定する。図10(a)に示す例では、画像データ抽出部11は、アノテーション701によって特定される箇所に接する範囲Cを特定する。
【0146】
以上のように、画像データ抽出部11は、範囲Bによってコロナル方向における抽出範囲を特定し、範囲Cによってアキシャル方向における抽出範囲を特定する。
【0147】
そして、画像データ抽出部11は、新検査に含まれる複数の断層像データのうち、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを抽出して送受信部3に出力する。
【0148】
例えば図11に示すように、新検査の1シリーズにおいて、所定方向(アキシャル方向)に沿って複数の断層像データ(アキシャル像データ)が取得された場合、その1シリーズにおいては医用画像800A〜800N(アキシャル像)が含まれる。画像データ抽出部11は、医用画像800A〜800Nのそれぞれから、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを抽出する。
【0149】
詳しく説明すると、画像データ抽出部11は、医用画像800A〜800Nのそれぞれから、アキシャル方向に延びる範囲Cに含まれる医用画像データを抽出する。図11に示す例では、画像データ抽出部11は、医用画像800A〜800Nのうち、範囲Cに含まれる医用画像800C〜800Mを抽出する。さらに、画像データ抽出部11は、範囲Cに含まれる医用画像800C〜800Mのそれぞれから、斜線で示す範囲Bに含まれる画像データを抽出する。このように、画像データ抽出部11は、医用画像800A〜800Nのそれぞれから、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを抽出する。そして、画像データ抽出部11は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを送受信部2に出力する。送受信部2は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0150】
医用画像観察装置100Aの送受信部102は、医用画像保管装置1Aから送信された範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを受信する。制御部103は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを記憶部104に記憶させる。そして、画像生成部105は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データに対してMPR処理を施すことにより、過去検査のキー画像の断面位置に対応する断面位置のMPR画像データを生成する。例えば、医用画像保管装置1Aは、過去検査のキー画像の画像生成条件を医用画像観察装置100Aに送信する。医用画像観察装置100Aの画像生成部105は、過去検査の画像生成条件に従って、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データに対してMPR処理を施すことで、過去検査のキー画像に対応する新検査のMPR画像データを生成する。このMPR画像データには、アノテーション701によって指定された箇所に対応する画像が含まれることになる。制御部103は、そのMPR画像データに基づくMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。さらに、画像生成部105は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データに基づいて、任意の断面に沿ったMPR画像データを生成しても良い。
【0151】
なお、この実施形態において、送受信部2、画像データ検索部6、画像生成条件抽出部7、判断部10、及び画像データ抽出部11が、「第2の抽出手段」の1例に相当する。
【0152】
(動作)
次に、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作について図12を参照して説明する。図12は、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【0153】
(ステップS20)
まず、医用画像観察装置100Aにおいて、操作者はユーザインターフェース101を用いて、診察対象の患者の患者IDを入力し、さらに、新検査に含まれる断層像データの読み込みを指示する。送受信部102は、患者IDと断層像データの読み込み指示を医用画像保管装置1Aに送信する。
【0154】
(ステップS21)
そして、医用画像観察装置100Aのデータ量決定部106は、記憶部104の空き容量と送受信部102の通信速度とに基づいて、医用画像観察装置100Aが読み込む断層像データのデータ量を決定する。
【0155】
(ステップS22)
そして、送受信部102は、患者IDと断層像データの読み込み指示を医用画像保管装置1Aに送信する。さらに、送受信部2は、データ量決定部106によって決定されたデータ量を示す情報を医用画像保管装置1Aに送信する。
【0156】
(ステップS23)
医用画像保管装置1Aの送受信部2は、医用画像観察装置100Aから送信された患者ID、読み込み指示、及びデータ量を示す情報を受信し、患者IDをレポート保管装置200に送信する。
【0157】
(ステップS24)
レポート保管装置200の送受信部201は医用画像保管装置1Aから患者IDを受信し、その患者IDをレポート検索部203に出力する。レポート検索部203は、その患者IDと合致する検索情報を有する読影レポートをレポート記憶部202から取得し、その読影レポートをキー画像検索部204に出力する。この読影レポートが過去検査の読影レポートに相当する。
【0158】
(ステップS25)
キー画像検索部204は、過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を抽出する。または、キー画像検索部204は、過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージIDを抽出する。
【0159】
(ステップS26)
送受信部201は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1Aに送信する。または、送受信部201は、キー画像のイメージIDを医用画像保管装置1Aに送信する。
【0160】
(ステップS27)
医用画像保管装置1Aの送受信部2は、レポート保管装置200から送信された画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、画像IDを受信し、画像データ検索部6に出力する。画像データ検索部6は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)が示す場所に記憶されている医用画像データ(キー画像データ)を画像データ保管部5から読み出す。または、画像データ検索部6は、イメージIDに対応する記憶位置情報をデータベースから取得し、その記憶位置情報が示す場所に記憶されている断層像データ(キー画像データ)を画像データ保管部5から読み出す。そして、画像データ検索部6は、読み出した断層像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0161】
(ステップS28)
画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から、過去検査の画像生成条件情報を抽出する。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した過去検査の画像生成条件情報を、画像データ検索部6、判断部10、及び画像データ抽出部11に出力する。また、キー画像データの付帯情報にアノテーション情報が含まれている場合、画像生成条件抽出部7は、アノテーション情報も抽出し、画像データ抽出部11に出力する。さらに、画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から撮影条件情報を抽出し、その過去検査の撮影条件情報を判断部10に出力する。
【0162】
また、画像生成条件抽出部7は、新検査の断層像データに付帯されている付帯情報から、新検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出する。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した新検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を判断部10に出力する。
【0163】
(ステップS29)
判断部10は、過去検査の画像生成条件情報と新検査の画像生成条件情報と比較し、キー画像データに対応する新検査の断層像データがあるか否かを判断する。なお、判断部10は、過去検査の撮影条件情報と新検査の撮影条件情報とを比較して、撮影対象の部位が一致するか否かを判断する。そして、第1実施形態と同様に、撮影部位が一致しなければ、処理は終了する。撮影部位が一致すれば、以降の処理を継続する。
【0164】
(ステップS30)
過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがある場合(ステップS29、Yes)、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置に対応する断面位置にて生成された新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。そして、送受信部2は、その断層像データを医用画像観察装置100Aに送信する。さらに、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置を基準位置として、その基準位置を中心に、前後に任意の枚数の新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。このとき、画像データ検索部6は、医用画像観察装置100Aから送信された読み込み可能なデータ量を示す情報に従って、新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。そして、送受信部2は、新検査の複数の断層像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0165】
(ステップS31)
一方、過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがない場合(ステップS29、No)、画像データ検索部6は、新検査の複数の断層像データを画像データ抽出部11に出力する。
【0166】
(ステップS32)
画像データ抽出部11は、アノテーション情報が抽出されているか否かを判断する。
【0167】
(ステップS33)
アノテーション情報が抽出されている場合(ステップS32、Yes)、画像データ抽出部11は、図10及び図11に示すように、キー画像データの断面位置を基準位置として決定される範囲Bと、アノテーションによって特定される範囲Cとに含まれる画像データを新検査の複数の断層像データから抽出する。このとき、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて範囲Bを決定する。
【0168】
(ステップS34)
一方、アノテーション情報が抽出されていない場合(ステップS32、No)、画像データ抽出部11は、キー画像データの断面位置を基準位置として決定される範囲Bに含まれる画像データを新検査の複数の断層像データから抽出する。このとき、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて範囲Bを決定する。
【0169】
(ステップS35)
送受信部2は、画像データ抽出部11によって抽出された範囲Bの画像データ、又は範囲Bと範囲Cの画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。このとき、送受信部2は、過去検査のキー画像の画像生成条件情報を医用画像観察装置100Aに送信する。
【0170】
(ステップS36)
医用画像観察装置100Aでは、画像生成部105が、範囲Bの画像データ、又は範囲Bと範囲Cの画像データに基づいて新検査のMPR画像データを生成する。画像生成部105は、医用画像保管装置1Aから送信されたキー画像の画像生成条件情報に従って、範囲Bの画像データ、又は範囲Bと範囲Cの画像データに対してMPR処理を行うことで、新検査のMPR画像データを生成する。また、画像生成部105は、範囲Bの画像データ、又は範囲Bと範囲Cの画像データに基づいて、任意断面のMPR画像データを生成しても良い。
【0171】
また、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像を比較読影する場合、操作者はユーザインターフェース101を用いて、過去検査のMPR画像のイメージIDを入力する。医用画像保管装置1Aは、イメージIDに対応する過去検査のMPR画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。医用画像観察装置100の制御部103は、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像を並べて、ユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0172】
以上のように、キー画像データが取得された断面位置やアノテーションによって特定される範囲に基づいて、医用画像観察装置100Aに送信する医用画像データの範囲を決定することで、比較読影に必要な医用画像データのみを医用画像観察装置100Aに送信することが可能となる。そのことにより、医用画像データの送信に要する時間を削減して、読影などを効率良く行うことが可能となる。また、大容量のメモリを医用画像観察装置100Aに設置しなくても良い。
【0173】
また、医用画像観察装置100Aに設置されたメモリの容量やネットワークにおける通信速度に基づいて、医用画像観察装置100Aに送信する医用画像データのデータ量を決定することで、送信する医用画像のデータ量を最小限に抑えることができる。これにより、医用画像データの送信に要する時間を削減することが可能となり、読影などを効率良く行うことが可能となる。また、大容量のメモリを医用画像観察装置100Aに設置しなくても済む。
【0174】
なお、上述した第1実施形態と第2実施形態において、新検査のMPR画像データを生成する代わりに、MIP画像データやMinIP画像データなどを生成しても良い。また、新検査の医用画像データにボリュームレンダリングを施すことで、3次元画像データを生成しても良い。
【0175】
上記第1実施形態および第2実施形態によると、医用画像保管装置において、医用画像診断装置にて取得された医用画像データに、過去検査の医用画像データの画像生成条件に従った画像処理を施すことで新たな医用画像データを生成する。そして、医用画像観察装置から要求があると、医用画像保管装置はその新たな医用画像データを医用画像観察装置に送信する。これにより、医用画像観察装置において、所望の医用画像データを効率良く読み込んで表示することが可能となる。
【0176】
また、医用画像保管装置において、医用画像診断装置にて取得された医用画像データのうち、特定医用画像データが取得された位置を含むデータを抽出して医用画像観察装置に送信する。これにより、医用画像観察装置において、所望の医用画像データを生成するためのデータを効率良く読み込むことが可能となる。
【0177】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0178】
1、1A 医用画像保管装置
2、102、201 送受信部
3 画像データ登録部
4 データベース
5 画像データ保管部
6 画像データ検索部
7 画像生成条件抽出部
8、105 画像生成部
9 レポート検索条件抽出部
100 医用画像観察装置
101 ユーザインターフェース
103 制御部
104 記憶部
200 レポート保管装置
202 レポート記憶部
203 レポート検索部
204 キー画像検索部
300 レポート作成装置
400 医用画像診断装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用画像観察支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置やMRI装置などの医用画像診断装置によって取得された医用画像データは、ネットワークを介して接続された医用画像管理システム(PACS)において管理される。この医用画像管理システム(PACS)は、ネットワークを介して病院情報システム(HIS)や放射線情報システム(RIS)と接続されている。医師などの操作者は、ネットワーク上のクライアント端末を用いて、医用画像管理システムから所望の医用画像データを読み出すことによって、医用画像を読影することができる(例えば特許文献1)。
【0003】
なお、医用画像診断装置により取得された複数の医用画像データは、DICOM規格に従って、患者ごとに分類され、患者ごとの分類は更に検査ごとに分類されている。検査は医用画像データのシリーズから成り立っており、シリーズには複数の医用画像データが含まれている。このような構造で複数の医用画像データを分類すると、患者を頂点とし、その患者にある検査が実施され、その検査は医用画像データのシリーズからなり、シリーズは複数の医用画像データを含むことになる。
【0004】
クライアント端末においては、患者に対して新たに行った検査(以下、「新検査」と称する場合がある)において取得された医用画像と、その患者に対して過去に行われた検査(以下、「過去検査」と称する場合がある)において取得された医用画像とを比較して読影する場合がある。この場合、クライアント端末は、新検査のシリーズに含まれる全ての医用画像データを医用画像管理システムから読み込み、それら全ての医用画像データに基づいて、過去検査の医用画像と比較すべき医用画像を生成していた。
【0005】
例えば、過去検査で取得された医用画像データにMPR処理(Multi Planar Reconstruction)が施された場合、そのMPR処理によって生成されたMPR画像データ(任意断面の画像データ)が医用画像保管システムに保管される。そして、その過去検査において生成されたMPR画像と、新検査のMPR画像とを比較して読影する場合、新検査において取得された複数の医用画像データに基づいてMPR画像データを生成する必要がある。例えば、断面位置が過去検査のMPR画像と一致する新検査のMPR画像データを生成することで、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像とを比較して読影する。
【0006】
クライアント端末において新検査のMPR画像データを生成するために、従来においては、新検査において取得された全ての医用画像データを医用画像管理システムからクライアント端末に読み込んでいた。そして、クライアント端末において、読み込んだ複数の医用画像データに基づいて、比較読影すべきMPR画像データを生成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−81156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は上記の問題を解決するものであり、医用画像を観察する医用画像観察装置において、所望の医用画像データを効率良く読み込んで表示することが可能な医用画像観察支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態は、レポート記憶手段と、医用画像保管手段と、画像生成条件抽出手段と、画像生成手段と、を備える。レポート記憶手段は、読影レポートと、当該読影レポートに関連する過去検査の医用画像データを対応付けて保管する。医用画像保管手段は、 過去検査の医用画像データと該過去検査の医用画像データの画像生成条件とを対応付けて保管する。画像生成条件抽出手段は、前記過去検査の医用画像の前記画像生成条件を抽出する。画像生成手段は、医用画像診断装置から受けた医用画像データに、前記抽出された画像生成条件に基づいて画像処理を施すことにより、処理後の医用画像データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る医用画像診断支援システムのブロック図である。
【図2】読影レポートのデータ構造を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要を示すシーケンス図である。
【図4】第1実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る医用画像診断支援システムのブロック図である。
【図6】第2実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要を示すシーケンス図である。
【図7】医用画像観察装置が読み込む画像データの容量を示すテーブルである。
【図8】過去検査のキー画像と新検査の医用画像を示す図である。
【図9】新検査の医用画像データから画像データを抽出する範囲を説明するための模式図である。
【図10】過去検査のキー画像と新検査の医用画像を示す図である。
【図11】新検査の医用画像データから画像データを抽出する範囲を説明するための模式図である。
【図12】第2実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
第1実施形態に係る医用画像診断支援システムについて、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムのブロック図である。
【0012】
図1に示すように、病院内システムにおいては、ネットワークNを介して、医用画像保管装置(医用画像サーバ)1と、医用画像観察装置(クライアント端末)100と、レポート保管装置(レポートサーバ)200と、レポート作成装置300と、医用画像診断装置400とが接続されている。
【0013】
医用画像保管装置1は通信機能を有するコンピュータを備え、ネットワークNを介してデータ通信が可能となっている。医用画像保管装置1は、医用画像データの登録処理や医用画像データの記憶先を通知する管理機能を有しており、医用画像データを複数の画像記憶装置に記憶させて医用画像データを管理している。
【0014】
医用画像診断装置400は、被検体内を画像化することで、医用画像データを取得する。医用画像診断装置400は、超音波を送受信することで被検体内を映像化する超音波診断装置、X線を曝射することで被検体内を映像化するX線診断装置やX線CT装置、又は、磁場を発生させて被検体内を映像化するMRI装置などである。医用画像診断装置400は、通信機能を有するコンピュータを備え、ネットワークNを介してデータ通信が可能となっている。例えば、医用画像診断装置400は、所定方向に沿った複数の2次元画像データ(断層像データ)を取得する。第1実施形態では1例として、医用画像診断装置400が、所定方向に沿った複数の断層像データを取得する場合について説明する。
【0015】
この病院内システムは、DICOM規格に従って、医用画像データ及びその付帯情報の通信を行ない、病院などの医療施設内に設けられた院内LANなどを利用して構築されている。
【0016】
医用画像診断装置400は、医用画像データにその付帯情報を付帯させて出力する。ここでは、付帯情報が付帯された医用画像データを、「DICOM画像データ」と称することとする。付帯情報は、DICOM規格に従って、検査日時情報、患者名情報、患者ID、検査ID、シリーズID、医用画像固有の識別情報であるイメージID、撮影条件情報、画像生成条件情報、及び画像属性情報を含んで構成されている。
【0017】
患者名情報、患者ID、検査ID、シリーズID、イメージID、撮影条件情報、画像生成条件情報、及び画像属性情報などの情報は、DICOM規格に従って規格化されている。患者名情報は、撮影された患者の患者名を示す情報である。患者IDは、撮影された患者を特定する情報である。検査IDは、検査内容を特定するための情報である。シリーズIDは、撮影した部位ごと、画像発生時刻、スライス厚、又は造影剤の有無などで分類するために用いられる情報である。
【0018】
患者に対して複数の検査が実施されている場合は、それぞれの検査で取得された医用画像データに、それぞれの検査を示す検査IDが付されて、検査ごとに分類される。また、複数の部位を撮影するなどして、検査に複数のシリーズが含まれている場合は、それぞれのシリーズについて取得された医用画像データに、それぞれのシリーズを示すシリーズIDが付されて、シリーズごとに分類される。すなわち、ある患者IDが付帯された複数の医用画像データは、検査IDによって検査ごとに分類され、さらに、個々の検査では、シリーズIDによってシリーズごとに分類される。
【0019】
撮影条件情報は、医用画像診断装置400にて行われた撮影の条件を示す情報である。例えば、撮影条件情報は、撮影された患者の部位を示す撮影部位情報と、医用画像データが撮影された位置を示す撮影位置情報(座標情報)とを含む。撮影部位情報は、患者の胸部や腹部などの部位を示す情報である。撮影位置情報(座標情報)は、例えば、医用画像診断装置400の寝台の所定位置を基準位置として規定される。
【0020】
画像生成条件情報は、医用画像データが生成された条件を示す情報である。1例として、断層像データ(2次元画像データ)の画像生成条件情報について説明する。画像生成条件情報は、断層像データが生成された断面の位置を示す断面位置情報(断面の座標情報)、断層像の方向を示す方向情報、断層像の厚さを示す厚さ情報、施された画像処理の内容を示す画像処理情報などを含む。断面位置情報(断面の座標情報)は、例えば、医用画像診断装置400の寝台の所定位置を基準位置として規定される。また、断層像の方向を示す方向情報は、その断層像が撮影された方向、又はその断層像が生成された方向を示している。画像処理としては、MPR処理、MIP処理、又はMinIP処理などが該当する。例えば、生成された医用画像データが、2次元の断面に沿って生成されたMPR画像データの場合、画像生成条件情報には、そのMPR画像の断面の位置を示す断面位置情報(断面の座標情報)、MPR画像の方向を示す方向情報、MPR画像の厚さを示す厚さ情報などが含まれる。
【0021】
MPR画像データは、例えば、後述する医用画像観察装置100や、2Dワークステーションや3Dワークステーションなどの画像生成装置(図示しない)によって生成される。そして、医用画像観察装置100や画像生成装置にて、画像生成条件情報がMPR画像データに付帯情報として付帯される。
【0022】
画像属性情報は、医用画像の種別を特定するための情報である。画像属性情報は、例えば、モダリティ名、ステーションネーム、製造者モデル名、モダリティの製造者、施設名、実装版名、画像のタイプ、AEタイトル、ソフトウェア版、SOPクラスUID、プロトコル名、装置シリアル番号、又は検査対象の部位を特定する情報などが該当する。
【0023】
医用画像観察装置100は、医用画像保管装置1から所望の患者、所望の検査、又は所望のシリーズに含まれる医用画像データを受けて、表示装置に医用画像を表示させる。
【0024】
レポート保管装置200は、読影レポートを保管する。読影レポートは、読影医などが作成したレポートであり、検査によって得られる医用画像を読影してその内容が記される。ここで、読影レポートのデータ構造について図2を参照して説明する。図2は、読影レポートのデータ構造を示す図である。図2に示すように、読影レポートは、レポート210に検索情報212が付帯して構成されている。
【0025】
レポート210は、ドキュメント形式のデータであり、所見などのレポートの内容を示す文字列が含まれる。レポート210には、参照した医用画像の所在を示す画像リンク情報211(ハイパーリンク)が埋め込まれる。以下では、レポートを作成する際に参照した医用画像を、「キー画像」と称する場合がある。画像リンク情報211は、レポート210内の文字列とネットワークN上のパスとをリンク付けする。このパスは、読影レポート内の医用画像が保管されている場所(記憶位置情報)を示す。なお、この実施形態における「キー画像」が「特定医用画像」の1例に相当する。
【0026】
検索情報212は、読影レポートの属性を示す情報であり、医用画像に付帯する付帯情報と同様に、検査日時情報、読影レポートの情報主体である患者の患者名を示す患者名情報、患者ID、読影レポートを作成した検査を示す検査ID、及び、レポート内の医用画像(キー画像)のIDを示すイメージIDなどが含まれている。
【0027】
なお、この実施形態におけるイメージID又は画像リンク情報が、「特定情報」の1例に相当する。
【0028】
レポート作成装置300は、読影レポートの作成を支援する。レポート作成装置300は、入力装置を用いた所見の入力に対応して、文字列を配列してレポート210のデータを生成し、さらに画像リンク情報211を作成し、レポート210に検索情報212を付す。
【0029】
なお、ネットワークNに2Dワークステーションや3Dワークステーションなどの画像生成装置(図示しない)を接続しても良い。この画像生成装置は、医用画像診断装置400にて取得された医用画像データにレンダリング処理などの画像処理を施すことで、3次元画像データやMPR画像データ(任意断面の画像データ)などの医用画像データを生成する。なお、この第1実施形態では、医用画像観察装置100に画像処理機能を持たせることで、医用画像観察装置100にて、レンダリング処理やMPR処理などの画像処理を行っても良い。
【0030】
この第1実施形態においては、医用画像保管装置1と医用画像観察装置100とレポート保管装置200とによって、医用画像診断支援システムの1例を構成する。
【0031】
(動作の概要)
ここで、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要について、図3を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要を示すシーケンス図である。
【0032】
まず、医用画像診断装置400にて、患者に対して新たな検査(新検査)を実施することで、新検査のDICOM画像データを生成する(ステップS100)。医用画像診断装置400は、新検査のDICOM画像データを医用画像保管装置1に送信する(ステップS101)。
【0033】
医用画像保管装置1は、新検査のDICOM画像データを保管する(ステップS102)。医用画像保管装置1は、新検査のDICOM画像データに付帯されている患者IDを抽出する(ステップS103)。そして、医用画像保管装置1は、その患者IDをレポート保管装置200に送信する(ステップS104)。
【0034】
レポート保管装置200にて、その患者IDが付帯されている過去検査の読影レポートを検索する(ステップS105)。さらに、レポート保管装置200にて、その過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報212を抽出する(ステップS106)。または、レポート保管装置200にて、その過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージIDを取得する(ステップS106)。そして、レポート保管装置200は、キー画像の画像リンク情報212、又はキー画像のイメージIDを医用画像保管装置1に送信する(ステップS107)。
【0035】
医用画像保管装置1にて、画像リンク情報212に対応する医用画像データ(キー画像データ)を検索する(ステップS108)。または、イメージIDが付された医用画像データ(キー画像データ)を検索する(ステップS108)。そして、医用画像管理装置1にて、キー画像データに付帯されている付帯情報に含まれる画像生成条件情報を抽出する(ステップS109)。そして、医用画像管理装置1にて、その画像生成条件に従って、新検査のDICOM画像データに画像処理を施す(ステップS110)。医用画像管理装置1にて、新たに生成されたDICOM画像データを保管する(ステップS111)。そして、医用画像観察装置100にて、新たに生成されたDICOM画像データの要求があると、医用画像保管装置1は、要求されたDICOM画像データを医用画像観察装置100に送信する(ステップS112)。
【0036】
次に、医用画像保管装置1、医用画像観察装置100、及びレポート保管装置200の構成について説明する。
【0037】
(医用画像保管装置1の構成)
まず、医用画像保管装置1の構成について説明する。医用画像診断装置400によって医用画像データが生成されると、付帯情報が付帯された医用画像データ(DICOM画像データ)が医用画像診断装置400から医用画像保管装置1にネットワークNを介して送信される。例えば、医用画像診断装置400によって所定方向に沿った複数の断層像データが生成されると、付帯情報が付帯された断層像データが医用画像保管装置1に送信される。
【0038】
医用画像保管装置1の送受信部2は、ネットワークNを介して送信されたDICOM画像データを受信する。送受信部2は、受信したDICOM画像データを画像データ登録部3に出力する。送受信部2は、例えばLANやモデムなどのネットワークアダプタで構成され、ネットワークNに接続する医用画像観察装置100、レポート保管装置200、レポート作成装置300、及び医用画像診断装置400にデータを送信し、又は、それら装置からデータを受信する。
【0039】
画像データ登録部3は、受信したDICOM画像データを画像データ保管部5に出力し、DICOM画像データの付帯情報をデータベース4に登録する。
【0040】
データベース4は、医用画像データに付帯されている付帯情報と、DICOM画像データの画像記憶装置への記憶先を特定する記憶位置情報とを対応させて格納する。例えば、データベース4は、患者名情報と、患者IDと、検査IDと、シリーズIDと、イメージIDと、撮影条件情報と、画像生成条件情報と、画像属性情報と、記憶位置情報とを対応させて格納する。
【0041】
また、2Dワークステーションや3Dワークステーションなどの画像生成装置によって複数のMPR画像データが生成されると、それら複数のMPR画像データは、送受信部2を介して画像データ登録部3に出力される。画像データ登録部3は、それら複数のMPR画像データを画像データ保管部5に出力し、各MPR画像データに付帯されている付帯情報と記憶位置情報とを対応させてデータベース4に登録する。
【0042】
画像データ保管部5は、複数のHDDやNAS(Network Attached Storage)などで構成される画像記憶装置を備え、画像データ登録部3からDICOM画像データを受け取り、所定の画像記憶装置に記憶させる。画像データ保管部5は、データベース4と通信を行ない、DICOM画像データの記憶先を示す記憶位置情報をデータベース4に通知する。データベース4は、画像データ保管部5から記憶位置情報を受けて、付帯情報と記憶位置情報とを対応させて格納する。また、画像データ保管部5は、DICOM画像データが削除されたり、変更されたりした場合、データベース4と通信して、記憶位置情報を修正する。なお、画像データ保管部5が、「医用画像保管手段」の1例に相当する。
【0043】
画像データ検索部6は、医用画像観察装置100などのクライアント端末からの要求に応じて、その要求に対応するDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出して送受信部2に出力する。送受信部2は、画像データ検索部6によって読み出されたDICOM画像データを要求元のクライアント端末に送信する。
【0044】
レポート検索条件抽出部9は、新たに行われた検査(新検査)に属するDICOM画像データを受けて、そのDICOM画像データの付帯情報に含まれる患者IDを抽出する。この患者IDは、過去の検査について作成されたレポートを検索するときに用いられる検索キーとなる。送受信部2は、その患者IDをレポート保管装置200に送信する。なお、上述したように、画像データ登録部3は、新検査のDICOM画像データを画像データ保管部5に出力し、新検査のDICOM画像データの付帯情報をデータベース4に登録する。
【0045】
レポート保管装置200は、その患者IDが付帯している読影レポートを検索し、その読影レポートに埋め込まれているキー画像データのイメージID、又はキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1に送信する。このレポート保管装置200の構成については後述する。
【0046】
送受信部2は、レポート保管装置200から送信されたイメージID、又は画像リンク情報(記憶位置情報)を受信する。そして、送受信部2は、キー画像のイメージID、又はキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を画像データ検索部6に出力する。
【0047】
画像データ検索部6は、送受信部2からイメージIDを受けた場合に、データベース4からそのイメージIDが付されたDICOM画像データの記憶位置情報を取得し、その記憶位置情報が示す場所に記憶されているDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出す。そして、画像データ検索部6は、読み出したDICOM画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0048】
また、画像データ検索部6は、送受信部2から画像リンク情報(記憶位置情報)を受けた場合に、その画像リンク情報(記憶位置情報)が示す場所に記憶さているDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出しても良い。そして、画像データ検索部6は、読み出したDICOM画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0049】
画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から、そのキー画像データの画像生成条件情報(以下、「過去検査の画像生成条件情報」と称する場合がある)を抽出する。上述したように、画像生成条件情報には、断面の位置を示す断面位置情報、医用画像の方向を示す方向情報、医用画像の厚さを示す厚さ情報、及び画像処理情報などが含まれている。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した過去検査の画像生成条件情報を画像生成部8に出力する。さらに、画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から撮影条件情報(過去検査の撮影条件情報)を抽出し、その過去検査の撮影条件情報を画像生成部8に出力する。なお、この実施形態において、過去検査の画像生成条件が「特定画像生成条件」の1例に相当する。
【0050】
また、画像生成条件抽出部7が画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出する代わりに、画像データ検索部6が、データベース4にて管理されているキー画像データの画像生成条件情報と撮影条件情報を取得して画像生成部8に出力しても良い。
【0051】
画像生成部8は、画像生成条件抽出部7によって抽出された過去検査の画像生成条件情報が示す画像生成条件に従って、新検査に属するDICOM画像データに画像処理を施す。まず、新たなDICOM画像データ(新検査に属するDICOM画像データ)が送受信部2によって受信されると、その新検査に属するDICOM画像データは画像生成部8に出力される。画像生成部8は、新検査に属するDICOM画像データに対して、過去検査の画像生成条件情報が示す画像生成条件に従って画像処理を施す。すなわち、画像生成部8は、新検査のDICOM画像データに付された患者IDと同じ患者IDが付されたキー画像データの画像生成条件に従って、新検査のDICOM画像データに画像処理を施す。
【0052】
例えば、画像生成部8は、過去検査の画像生成条件情報が示す断面位置、方向、及び厚さなどの条件に従って、新検査に属する複数の断層像データにMPR処理を施す。これにより、過去検査のMPR画像データと同じ画像生成条件で、新検査のMPR画像データが生成される。なお、画像生成部8は、患者名情報、患者ID、検査ID、シリーズID、イメージID、撮影条件情報、画像生成条件情報、及び画像属性情報を付帯情報として新検査のMPR画像データに付帯させる。
【0053】
また、画像生成部8は、キー画像データが生成された断面位置を基準位置とし、その基準位置を中心に、所定範囲に含まれる新検査のMPR画像データを生成しても良い。例えば、画像生成部8は、基準位置を中心として、前後に任意の枚数の新検査のMPR画像データを生成しても良い。MPR画像の枚数やMPR画像間の間隔は、予め画像生成部8に設定しておく。また、操作者がユーザインターフェース(図示しない)を用いて、作成すべき枚数や画像の間隔を指定するようにしても良い。さらに、操作者がユーザインターフェースを用いて、過去検査の画像生成条件に含まれる厚さを任意の厚さに変更できるようにしても良い。
【0054】
また、画像生成部8は、画像生成条件抽出部7から過去検査の撮影条件情報を取得し、新検査で撮影された患者の部位と、過去検査で撮影された患者の部位とを比較して、撮影部位が一致するか否かを判断する。具体的には、画像生成部8は、新検査のDICOM画像データに付帯されている撮影部位情報(新検査の撮影部位情報)が示す部位と、過去検査の撮影条件情報に含まれる撮影部位情報が示す部位とを比較して、撮影部位が一致するか否かを判断する。
【0055】
そして、新検査の撮影部位と過去検査の撮影部位とが同じ場合、画像生成部8は、新検査のDICOM画像データに画像処理を施す。撮影部位が同じであれば、比較読影が可能だからである。例えば、過去検査の撮影部位が胸部であり、新検査の撮影部位が胸部であった場合、撮影部位が一致するため、画像生成部8は新検査のDICOM画像データに画像処理を施す。
【0056】
一方、新検査の撮影部位と過去検査の撮影部位とが異なる場合、画像生成部8は、新検査のDICOM画像データに画像処理を施さない。部位が異なる場合は、比較読影には用いられないからである。例えば、過去検査の撮影部位が胸部であり、新検査の撮影部位が腹部であった場合、撮影部位が異なるため、画像生成部8は新検査のDICOM画像データに画像処理を施さない。
【0057】
そして、画像生成部8は、生成した新検査のMPR画像データを画像データ登録部3に出力する。画像データ登録部3は、新検査のMPR画像データを画像データ保管部5に出力し、MPR画像データの付帯情報をデータベース4に登録する。
【0058】
また、画像生成部8は新検査のMPR画像の一覧表を作成し、画像データ保管部5に出力する。画像データ保管部5は、その一覧表を保管する。そして、医用画像観察装置100から医用画像取得の要求を受けると、医用画像保管装置1は、その一覧表を医用画像観察装置100に送信する。これにより、医用画像観察装置100にて、その一覧表が表示され、新検査のMPR画像が既に生成されて医用画像保管装置1に保管されていることが操作者に認識される。
【0059】
なお、画像データ登録部3、画像データ検索部6、画像生成条件抽出部7、画像生成部8、及びレポート検索条件抽出部9は、それぞれCPUと、ROM、RAMなどの記憶部(図示しない)とを備えて構成されている。その記憶部には、画像データ登録部3の機能を実行するためのプログラム、画像データ検索部6の機能を実行するためのプログラム、画像生成条件抽出部7の機能を実行するためのプログラム、画像生成部8の機能を実行するためのプログラム、及びレポート検索条件抽出部9の機能を実行するためのプログラムが記憶されている。CPUが、記憶部に記憶されている各プログラムを実行することで、各部の機能を実行する。
【0060】
なお、この実施形態において、送受信部2、画像データ検索部6、画像生成条件抽出部7、及び画像生成部8が、「第2の抽出手段」の1例に相当する。
【0061】
(レポート保管装置200)
次に、レポート保管装置200の構成について説明する。レポート保管装置200は、送受信部201、レポート記憶部202、レポート検索部203、及びキー画像検索部204を備えている。
【0062】
レポート記憶部202は、読影レポートを記憶している。例えば、レポート記憶部202は、図2を参照して説明したように、画像リンク情報211(記憶位置情報)と検索情報212を含むレポート210を記憶している。なお、検索情報212には、上述したように、検査日時情報、患者名情報、患者ID、検査ID、及びイメージIDなどが含まれている。
【0063】
送受信部201は、医用画像保管装置1から送信された読影レポートの検索要求を受信する。例えば、送受信部201は、医用画像保管装置1から送信された患者IDを受信し、その患者IDをレポート検索部203に出力する。送受信部201は、例えばLANやモデムなどのネットワークアダプタで構成されている。
【0064】
レポート検索部203は、レポート記憶部202を検索して読影レポートを読み出す。レポート検索部203は、医用画像保管装置1から送信された検索キーを取得し、この検索キーと合致する検索情報212を有する読影レポートをレポート記憶部202から読み出す。例えば、検索キーとして患者IDが医用画像保管装置1から送信された場合、レポート検索部203は、その患者IDと合致する検索情報212を有する読影レポートをレポート記憶部202から読み出す。そして、レポート検索部203は、読み出した読影レポートをキー画像検索部204に出力する。なお、レポート検索部203は、過去検査の読影レポートのうち最新の読影レポートを読み出す。また、レポート検索部203は、撮影部位や日時などの指定を受けて、指定された条件に合致する読影レポートを読み出しても良い。
【0065】
キー画像検索部204は、レポート検索部203にて読み出された読影レポートを受けて、その読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージID、又は、キー画像の画像リンク情報211(記憶位置情報)を取得する。そして、キー画像検索部204は、キー画像のイメージID、又は、キー画像の画像リンク情報211(記憶位置情報)を送受信部201に出力する。
【0066】
送受信部201は、キー画像検索部204にて取得されたキー画像のイメージID、又は、キー画像の画像リンク情報211(記憶位置情報)を医用画像保管装置1に送信する。
【0067】
なお、レポート検索部203は、過去の読影レポートをレポート記憶部202から読み出し、その読影レポートが参照している過去の読影レポートをレポート記憶部202から更に読み出しても良い。例えば、過去の読影レポートに別の読影レポートの記憶位置情報などが埋め込まれている場合、レポート検索部203は、その記憶位置情報に基づいて、レポート記憶部202から参照されている過去の読影レポートを読み出す。この場合、キー画像検索部204は、参照されている過去の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、キー画像のイメージIDを取得する。そして、送受信部201は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、イメージIDを医用画像保管装置1に出力する。
【0068】
なお、レポート検索部203とキー画像検索部204は、それぞれCPUと、ROM、RAMなどの記憶部(図示しない)とを備えて構成されている。その記憶部には、レポート検索部203の機能を実行するためのプログラムと、キー画像検索部204の機能を実行するためのプログラムが記憶されている。CPUが記憶部に記憶されている各プログラムを実行することで、各部の機能を実行する。
【0069】
なお、この実施形態において、送受信部201、レポート検索部203、及びキー画像検索部204が「第1の抽出手段」の1例に相当する。
【0070】
(医用画像観察装置100)
次に、医用画像観察装置100の構成について説明する。医用画像観察装置100は、ユーザインターフェース101、送受信部102、制御部103、記憶部104、及び画像生成部105を備えている。
【0071】
ユーザインターフェース(UI)101は、表示部と操作部を備えている。表示部は、CRTや液晶ディスプレイで構成され、医用画像を表示する。操作部は、マウスやキーボードなどの入力装置で構成され、操作者からの入力を受け付ける。医用画像保管装置1から所望の患者のDICOM画像データを取得するために、操作者はユーザインターフェース101を用いて、所望の患者を特定する患者IDを入力する。また、患者IDに加えて、検査IDやシリーズIDを入力することで、特定の検査に含まれるDICOM画像データや、特定のシリーズに含まれるDICOM画像データを取得するようにしても良い。
【0072】
送受信部102は、ユーザインターフェース101から患者IDを受け、その患者IDを医用画像保管装置1に送信する。そして、送受信部102は、医用画像保管装置1から送信されたDICOM画像データを受信する。送受信部102は、例えばLANやモデムなどのネットワークアダプタで構成され、ネットワークNに接続する医用画像保管装置1にデータを送信し、又、医用画像観察装置100からデータを受信する。
【0073】
制御部103は、医用画像観察装置100の各部に接続されて、各部の動作を制御する。例えば、制御部103は、送受信部102が医用画像保管装置1から受信したDICOM画像データを記憶部104に記憶させる。また、制御部103は、記憶部104からDICOM画像データを読み込んで、そのDICOM画像データに基づく医用画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。例えば、制御部103は、過去検査のMPR画像データに基づくMPR画像と、新検査のMPR画像データに基づくMPR画像とを並べてユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0074】
なお、制御部103は、いわゆるCPUと、ROM、RAMなどの記憶装置(図示しない)を備えて構成されている。その記憶装置には制御プログラムが記憶されている。CPUが、その制御プログラムを実行することで、医用画像観察装置100の各部の動作を制御する。
【0075】
画像生成部105は、記憶部104からDICOM画像データを読み込んで、そのDICOM画像データにMPR処理やボリュームレンダリングなどの画像処理を施すことで、MPR画像データや3次元画像データなどの医用画像データを生成する。制御部103は、画像生成部105によって生成さえた医用画像データを記憶部104に記憶させる。なお、第1実施形態においては、画像生成部105を医用画像観察装置100に設けなくても良い。
【0076】
画像生成部105は、いわゆるCPUと、ROM、RAMなどの記憶装置(図示しない)を備えて構成されている。その記憶装置には、画像生成部105の機能を実行するための画像生成プログラムが記憶されている。CPUが、その画像生成プログラムを実行することで、DICOM画像データにMPR処理などの画像処理を施す。
【0077】
(動作)
次に、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作について図4を参照して説明する。図4は、第1実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【0078】
(ステップS01)
まず、医用画像診断装置400にて撮影を行うことで、新検査のDICOM画像データを生成する。例えば、医用画像診断装置400は、所定方向に沿った複数の断層像データを取得する。医用画像診断装置400は、新検査のDICOM画像データ(断層像データ)を医用画像保管装置1に送信する。医用画像保管装置1の送受信部2は、医用画像診断装置400から新検査のDICOM画像データを受信し、画像データ登録部3に出力する。画像データ登録部3は、新検査のDICOM画像データを画像データ保管部5に出力し、さらに、付帯情報と記憶位置情報とを対応させてデータベース4に登録する。
【0079】
(ステップS02)
レポート検索条件抽出部9は、新検査のDICOM画像データに付帯情報として付帯されている患者IDを抽出する。この患者IDは、レポート保管装置200において、過去検査の読影レポートを検索する際の検索キーとして用いられる。
【0080】
(ステップS03)
医用画像保管装置1の送受信部2は、レポート検索条件抽出部9にて抽出された患者IDをレポート保管装置200に送信する。
【0081】
(ステップS04)
レポート保管装置200の送受信部201は医用画像保管装置1から患者IDを受信し、その患者IDをレポート検索部203に出力する。レポート検索部203は、その患者IDと合致する検索情報を有する読影レポートをレポート記憶部202から取得し、その読影レポートをキー画像検索部204に出力する。この読影レポートが過去検査の読影レポートに相当する。
【0082】
(ステップS05)
キー画像検索部204は、過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を抽出する。または、キー画像検索部204は、過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージIDを抽出する。
【0083】
(ステップS06)
送受信部201は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1に送信する。または、送受信部201は、キー画像のイメージIDを医用画像保管装置1に送信する。
【0084】
(ステップS07)
医用画像保管装置1の送受信部2は、レポート保管装置200から送信された画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、イメージIDを受信し、画像データ検索部6に出力する。画像データ検索部6は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)が示す場所に記憶されている医用画像データ(キー画像データ)を画像データ保管部5から読み出す。または、画像データ検索部6は、イメージIDに対応する記憶位置情報をデータベースから取得し、その記憶位置情報が示す場所に記憶されている医用画像データ(キー画像データ)を画像データ保管部5から読み出す。そして、画像データ検索部6は、読み出した医用画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0085】
(ステップS08)
画像生成条件抽出部7は、キー画像データの付帯情報に含まれる過去検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出し、過去検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を画像生成部8に出力する。
【0086】
(ステップS09)
画像生成部8は、新検査のDICOM画像データ(断層像データ)を送受信部2から受けて、その新検査の断層像データに付帯されている撮影部位情報が示す部位と、過去検査の撮影条件情報に含まれる撮影部位情報が示す部位とを比較して、部位が一致するか否かを判断する。撮影された部位が一致する場合、画像生成部8は、新検査の複数の断層像データに対して、過去検査の画像生成条件情報が示す画像生成条件に従って画像処理を施す。例えば、画像生成部8は、過去検査の画像生成条件情報が示す断面位置、方向、及び厚さなどの条件に従って、新検査の複数の断層像データにMPR処理を施す。これにより、過去検査のMPR画像データと同じ画像生成条件で、新検査のMPR画像データが生成される。さらに、画像生成部8は、キー画像データが生成された断面位置を基準位置として、その基準位置を中心に、前後に任意の枚数のMPR画像データを生成しても良い。そして、画像生成部8は、生成した新検査のMPR画像データを画像データ登録部3に出力する。
【0087】
(ステップS10)
画像データ登録部3は、画像生成部8にて生成されたMPR画像データを画像データ保管部5に出力し、MPR画像データの付帯情報と記憶位置情報をデータベース4に登録する。
【0088】
そして、医用画像観察装置100において、操作者がユーザインターフェース101を用いて新検査のMPR画像のイメージIDを入力すると、送受信部102はそのイメージIDを医用画像保管装置1に送信する。画像データ検索部6はそのイメージIDに対応するMPR画像データを画像データ保管部5から読み出し、送受信部2はそのMPR画像データを医用画像観察装置100に送信する。制御部103は、送受信部102を介してそのMPR画像データを受け付け、そのMPR画像データに基づくMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0089】
例えば、画像生成部8は新検査のMPR画像の一覧表を作成し、画像データ保管部5に出力する。画像データ保管部5は、その一覧表を保管する。そして、医用画像観察装置100から医用画像取得の要求を受けると、医用画像保管装置1は、その一覧表を医用画像観察装置100に送信する。医用画像観察装置100の制御部103は、新検査のMPR画像のリストをユーザインターフェース101の表示部に一覧表として表示させる。これにより、医用画像観察装置100において、新検査のMPR画像が既に生成されて医用画像保管装置1に保管されていることが操作者に認識される。
【0090】
そして、操作者がユーザインターフェース101を用いて、一覧表のなかから所望のMPR画像を指定すると、送受信部102は、そのMPR画像のイメージIDを医用画像保管装置1に送信する。医用画像保管装置1の画像データ検索部6は、そのイメージIDのMPR画像データを画像データ保管部5から読み出し、送受信部2はそのMPR画像データを医用画像観察装置100に送信する。医用画像観察装置100の制御部103は、そのMPR画像データに基づくMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0091】
また、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像を比較読影する場合、操作者はユーザインターフェース101を用いて、過去検査のMPR画像のイメージIDと新検査のMPR画像のイメージIDを入力する。医用画像保管装置1は、イメージIDに対応する過去検査のMPR画像データと新検査のMPR画像データを医用画像観察装置100に送信する。医用画像観察装置100の制御部103は、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像とを並べて、ユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0092】
以上のように、比較読影の際に参照される可能性がある医用画像を予め医用画像保管装置1で生成しておくことで、比較読影の際には、予め生成された医用画像を医用画像観察装置100に送信すれば済む。そのことにより、比較読影の際に参照される医用画像を生成するための複数の医用画像データを医用画像観察装置100に送信する必要がない。そのため、送信すべき医用画像データのデータ量を最小限に抑えることができ、医用画像データの送信に要する時間を削減することが可能となる。すなわち、比較読影に必要な新検査の医用画像データのみを、医用画像観察装置100に送信することが可能となるため、送信に要する時間を削減して、読影などを効率良く行うことが可能となる。また、大容量のメモリを医用画像観察装置100に設置しなくても済む。
【0093】
例えば、キー画像に対応する新検査のMPR画像は比較読影の対象となる可能性があるため、その新検査のMPR画像データを予め作成しておくことで、比較読影に必要な新検査のMPR画像データのみを、医用画像観察装置100に送信することが可能となる。そのことにより、画像データの送信に要する時間を削減して、読影などを効率良く行うことが可能となる。すなわち、比較読影時に、医用画像観察装置100において、新検査のMPR画像データを読み込んで、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像を素早く表示することが可能となる。
【0094】
また、医用画像観察装置100において、比較読影するための医用画像データを生成する必要がないため、その手間が省けるという効果を奏する。そのことにより、操作者の負担を軽減することが可能となる。例えば、MPR画像データを生成するために、所望の断面を指定する必要がないため、その手間が省け、操作者の負担が軽減される。
【0095】
なお、レポート保管装置200において、過去の読影レポートに複数のキー画像データが埋め込まれている場合、キー画像検索部204は、全てのキー画像のイメージID、又は、全てのキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を過去の読影レポートから取得しても良い。そして、キー画像検索部204は、全てのキー画像のイメージID、又は、全てのキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を送受信部201に出力する。送受信部201は、全てのキー画像のイメージID、又は、全てのキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1に送信する。医用画像保管装置1の画像データ検索部6は、各キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、各キー画像のイメージIDに基づいて、全てのキー画像データを画像データ保管部5から読み出す。画像生成条件抽出部7は、全てのキー画像データから過去検査の画像生成条件と撮影部位情報を抽出する。そして、画像生成部8は、各画像生成条件に従って、新検査のDICOM画像データに画像処理を施すことで、新検査のMPR画像データを生成しても良い。
【0096】
[第2の実施の形態]
次に、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムについて、図5を参照して説明する。図5は、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムのブロック図である。
【0097】
図5に示すように、第2実施形態に係る病院内システムは、ネットワークNを介して、医用画像保管装置(医用画像サーバ)1Aと、医用画像観察装置(クライアント端末)100Aと、レポート保管装置(レポートサーバ)200と、レポート作成装置300と、医用画像診断装置400とが接続されている。
【0098】
第2実施形態においては、医用画像保管装置1Aと医用画像観察装置100Aとレポート保管装置200とによって、医用画像診断支援システムの1例を構成する。第2実施形態に係る医用画像診断支援システムは、医用画像保管装置1の代わりに医用画像保管装置1Aを備え、医用画像観察装置100の代わりに医用画像観察装置100Aを備えている。ここでは、医用画像保管装置1Aと医用画像観察装置100Aの構成について説明する。レポート保管装置200と医用画像診断装置400は、上述した第1実施形態と同じ構成を備えているため、レポート保管装置200と医用画像診断装置400の構成については説明を省略する。なお、第2実施形態に係る病院内システムは、第1実施形態と同様に、2Dワークステーションや3Dワークステーションなどの画像生成装置を備えていても良い。この第2実施形態では1例として、医用画像診断装置400が所定方向に沿った複数の断層像データを取得する場合について説明する。
【0099】
(動作の概要)
ここで、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要について、図6を参照して説明する。図6は、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムの動作の概要を示すシーケンス図である。
【0100】
まず、医用画像観察装置100Aにて、操作者が所望の患者の患者IDを指定する(ステップS200)。医用画像観察装置100Aは、その患者IDを医用画像保管装置1Aに送信する(ステップS201)。このとき、医用画像保管装置1Aは、読み込み可能なデータ量を示す情報を医用画像保管装置1Aに送信する(ステップS201)。
【0101】
医用画像保管装置1Aは、患者IDと読み込み可能なデータ量の情報を医用画像観察装置100Aから受信し、患者IDをレポート保管装置200に送信する(ステップS202)。レポート保管装置200にて、その患者IDが付帯されている過去検査の読影レポートを検索する(ステップS203)。さらに、レポート保管装置200にて、その過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報212を抽出する(ステップS204)。または、レポート保管装置200にて、その過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージIDを取得する(ステップS204)。そして、レポート保管装置200は、キー画像の画像リンク情報212、又はキー画像のイメージIDを医用画像保管装置1Aに送信する(ステップS205)。
【0102】
医用画像保管装置1Aにて、画像リンク情報212に対応するDICOM画像データ(キー画像データ)を検索する(ステップS206)。または、イメージIDが付されたDICOM画像データ(キー画像データ)を検索する(ステップS206)。そして、医用画像保管装置1Aにて、キー画像データに付帯されている付帯情報に含まれる画像生成条件情報を抽出する(ステップS207)。そして、医用画像保管装置1Aにて、新検査のDICOM画像データに、過去検査のキー画像データに対応するDICOM画像データが含まれているか否かを判断する(ステップS208)。新検査のDICOM画像データに、キー画像データに対応するDICOM画像データが含まれている場合、医用画像保管装置1Aは、対応するDICOM画像データを医用画像観察装置100Aに送信する(ステップS209)。一方、新検査のDICOM画像データに、キー画像データに対応するDICOM画像データが含まれていない場合、医用画像保管装置1Aは、そのキー画像データに対応するDICOM画像データを生成するためのDICOM画像データを医用画像観察装置100Aに送信する(ステップS209)。このとき、医用画像保管装置1Aは、読み込み可能なデータ量に応じたDICOM画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0103】
医用画像観察装置100Aは、過去検査のキー画像データに対応するDICOM画像データを受信した場合、その医用画像を表示部に表示する(ステップS210)。一方、医用画像観察装置100Aは、キー画像データに対応しないDICOM画像データを受信した場合、そのDICOM画像データに基づいて、キー画像データに対応するDICOM画像データを生成し、医用画像を表示する(ステップS211)。
【0104】
次に、医用画像観察装置100A、及び医用画像保管装置1Aの構成について説明する。
【0105】
(医用画像観察装置100Aの構成)
まず、医用画像観察装置100Aの構成について説明する。医用画像観察装置100Aは、ユーザインターフェース101、送受信部102、制御部103、記憶部104、画像生成部105、及びデータ量決定部106を備えている。
【0106】
ユーザインターフェース101、送受信部102、制御部103、記憶部104、及び画像生成部105は、上述した第1実施形態と同じ機能を有している。
【0107】
第2実施形態においては、操作者がユーザインターフェース101を用いて、所望の患者の患者IDを入力する。さらに、操作者は、ユーザインターフェース101を用いて、DICOM画像データの読み込みを指示する。例えば、操作者はユーザインターフェース101を用いて、診察対象の患者の患者IDを入力し、さらに、新検査に含まれるDICOM画像データの読み込みを指示する。送受信部102は、患者IDとDICOM画像データの読み込み指示を医用画像保管装置1Aに送信する。
【0108】
データ量決定部106は、記憶部104の空き容量と、送受信部102による通信速度とに基づいて、医用画像観察装置100Aが読み込むDICOM画像データのデータ量を決定する。例えば、記憶部104の空き容量と、ネットワークの通信速度と、読み込み可能なデータ量の上限とを対応付けたテーブルを記憶部(図示しない)に予め記憶させておく。データ量決定部106は、その記憶部に記憶されているテーブルを参照することで、読み込み可能なデータ量の上限を決定する。ここで、医用画像観察装置100Aが読み込むDICOM画像データのデータ量について、図7を参照して説明する。図7は、医用画像観察装置が読み込む画像データのデータ量を示すテーブルである。
【0109】
例えば、記憶部104の空き容量(メモリ量)が512MB以下で、通信路の速度が10Mbps以下の場合、データ量決定部106は、例えばCT画像に換算して、100枚分のデータ量を読み込み可能なデータ量の上限と決定する。また、記憶部104の空き容量(メモリ量)が1GB以上で、通信路の速度が1Gbps以上の場合、データ量決定部106は、1600枚分のデータ量を読み込み可能なデータ量の上限と決定する。そして、送受信部2は、データ量決定部106によって決定されたデータ量を示す情報を医用画像保管装置1Aに送信する。
【0110】
なお、図7に示す例では、画像枚数はCT画像として換算しているが、例えばMR画像などの他の医用画像で換算したものであっても良い。また、ファイルのデータ容量で換算されたものであっても良い。
【0111】
(医用画像保管装置1Aの構成)
次に、医用画像保管装置1Aの構成について説明する。医用画像保管装置1Aは、送受信部2、画像データ登録部3、データベース4、画像データ保管部5、画像データ検索部6、画像生成条件抽出部7、判断部10、及び画像データ抽出部11を備えている。
【0112】
送受信部2、画像データ登録部3、データベース4、画像データ保管部5、画像データ検索部6、及び画像生成条件抽出部7は、上述した第1実施形態と同じ機能を有している。
【0113】
上述した第1実施形態と同様に、画像データ登録部3は、DICOM画像データを画像データ保管部5に出力し、DICOM画像データの付帯情報をデータベース4に登録する。データベース4は、付帯情報と、医用画像データの記憶位置情報とを対応させて格納する。画像データ保管部5は、画像データ登録部3からDICOM画像データを受け取り、所定の画像記憶装置に記憶させる。
【0114】
送受信部2は、医用画像観察装置100Aから送信された患者IDとDICOM画像データの読み込み指示を受信する。そして、送受信部2は、その患者IDをレポート保管装置200に送信する。さらに、送受信部2は、医用画像観察装置100Aから送信された読み込み可能なデータ量を示す情報を受信し、画像データ検索部6と画像データ抽出部11に出力する。
【0115】
レポート保管装置200は、上述した第1実施形態と同様に、その患者IDが付帯している読影レポートを検索し、その読影レポートに埋め込まれているキー画像データのイメージID、又は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1Aに送信する。このレポート保管装置200の構成は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0116】
送受信部2は、レポート保管装置200から送信されたイメージID、又は画像リンク情報(記憶位置情報)を受信する。そして、送受信部2は、キー画像のイメージID、又はキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を画像データ検索部6に出力する。
【0117】
画像データ検索部6は、送受信部2からキー画像データのイメージIDを受けた場合に、データベース4からそのイメージIDが付されたDICOM画像データの記憶位置情報を取得し、その記憶位置情報が示す場所に記憶されているDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出す。そして、画像データ検索部6は、読み出したDICOM画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0118】
また、画像データ検索部6は、送受信部2から画像リンク情報(記憶位置情報)を受けた場合に、その画像リンク情報(記憶位置情報)が示す場所に記憶さているDICOM画像データを画像データ保管部5から読み出しても良い。そして、画像データ検索部6は、読み出したDICOM画像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0119】
画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から、そのキー画像データの画像生成条件情報(過去検査の画像生成条件情報)を抽出する。上述した第1実施形態と同様に、画像生成条件情報には、断面の位置を示す断面位置情報、医用画像の方向を示す方向情報、医用画像の厚さを示す厚さ情報、及び画像処理情報などが含まれている。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した過去検査の画像生成条件情報を、画像データ検索部6、判断部10、及び画像データ抽出部11に出力する。
【0120】
さらに、画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から撮影条件情報を抽出し、その過去検査の撮影条件情報を判断部10に出力する。
【0121】
また、新検査のDICOM画像データが送受信部2によって受信されると、その新検査のDICOM画像データは画像生成条件抽出部7に出力される。画像生成条件抽出部7は、新検査のDICOM画像データに付帯されている付帯情報から、画像生成条件情報(新検査の画像生成条件情報)を抽出する。さらに、画像生成条件抽出部7は、新検査のDICOM画像データに付帯されている付帯情報から撮影条件情報(新検査の撮影条件情報)を抽出する。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した新検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を判断部10に出力する。
【0122】
また、画像生成条件抽出部7が画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出する代わりに、画像データ検索部6が、データベース4にて管理されているキー画像データや新検査のDICOM画像データの画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出しても良い。
【0123】
判断部10は、新検査のDICOM画像データに、過去検査のDICOM画像データ(キー画像データ)に対応するDICOM画像データがあるか否かを判断する。例えば、判断部10は、過去検査の画像生成条件情報と新検査の画像生成条件情報とを画像生成条件情報抽出部7から取得し、画像生成条件情報が示す断面位置や方向などを比較することで、キー画像データに対応する新検査のDICOM画像データがあるか否かを判断する。
【0124】
ここでは、1例として断層像データについて説明する。画像生成条件情報に含まれる方向情報がコロナル方向を示している場合、その断層像はコロナル方向から撮影されたコロナル像であることを示している。また、方向情報がアキシャル方向を示している場合、その断層像はアキシャル方向から撮影されたアキシャル像であることを示している。また、方向情報がサジタル方向を示している場合、その断層像はサジタル方向から撮影されたサジタル像であることを示している。なお、コロナル方向、アキシャル方向、及びサジタル方向はそれぞれ互いに直交する方向であり、コロナル像、アキシャル像、及びサジタル像はそれぞれ互いに直交する断層像である。
【0125】
例えば、過去検査の画像生成条件情報に含まれる方向情報がアキシャル方向を示し、新検査の画像生成条件情報に含まれる方向情報がアキシャル方向を示している場合、判断部10は、方向が一致しているため、キー画像データに対応する新検査のDICOM画像データ(断層像データ)があると判断する。そして、判断部10は、その判断結果を画像データ検索部6に出力する。
【0126】
一方、過去検査の画像生成条件情報に含まれる方向情報がコロナル方向を示し、新検査の画像生成条件情報に含まれる方向情報がアキシャル方向を示している場合、判断部10は、方向が一致しないため、キー画像データに対応する新検査のDICOM画像データ(断層像データ)がないと判断する。そして、判断部10は、その判断結果を画像データ検索部6に出力する。
【0127】
画像データ検索部6は、判断部10から判断結果を受けると、その判断結果に応じて、新検査のDICOM画像データを画像データ保管部5から読み込む。
【0128】
(過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがある場合)
例えば、過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがあると判断された場合、画像データ検索部6は、過去検査の画像生成条件情報を画像生成条件抽出部7から受けて、キー画像データの断面位置に対応する断面位置にて生成された新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。例えば、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置と同じ断面位置にて生成された新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。また、キー画像データの断面位置と同じ断面位置にて生成された新検査の断層像データが存在しない場合は、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置に最も近い断面位置にて生成された新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。
【0129】
さらに、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置を基準位置として、その基準位置を中心に、所定範囲に含まれる新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。例えば、画像データ検索部6は、基準位置を中心に、前後に任意の枚数の新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。このとき、画像データ検索部6は、医用画像観察装置100Aから送信された読み込み可能なデータ量を示す情報に従って、新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。すなわち、画像データ検索部6は、医用画像観察装置100Aが備えるメモリの容量と通信速度に応じたデータ量の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。例えば、記憶部104の空き容量(メモリ量)が512MB以下で、通信路の速度が10Mbps以下の場合、100枚分のデータ量の読み込みが可能であるため、画像データ検索部6は、その枚数分の新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。
【0130】
画像データ検索部6は、読み込んだ新検査の断層像データを送受信部2に出力する。送受信部3は、新検査の断層像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0131】
(過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがない場合)
また、過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがないと判断された場合、画像データ検索部6は、新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込み、それら新検査の断層像データを画像データ抽出部11に出力する。
【0132】
画像データ抽出部11は、過去検査の画像生成条件情報が示す断面位置に基づいて、過去検査のキー画像データに対応する断層像データを生成するための画像データを、新検査に含まれる複数の断層像データから抽出する。すなわち、画像データ抽出部11は、新検査に含まれる複数の断層像データのなかから、キー画像データの断面位置を特定し、その特定した位置の前後の範囲に含まれる画像データを抽出する。
【0133】
ここで、新検査の断層像データから画像データを抽出する範囲について、図8及び図9を参照して説明する。図8は、過去検査のキー画像と新検査の医用画像を示す図である。図9は、新検査の医用画像データから画像データを抽出する範囲を説明するための模式図である。
【0134】
図8(a)に示すキー画像500は、過去検査で取得された断層像である。この例では、キー画像500は、コロナル方向から撮影されたコロナル像である。一方、図8(b)に示す医用画像600は、新検査で取得された断層像である。この例では、医用画像600は、コロナル方向に直交するアキシャル方向から撮影されたアキシャル像である。このように、過去検査と新検査とでは、断層像の撮影方向が異なるため、新検査の断層像データには、過去検査のキー画像500に相当する断層像データは存在しない。
【0135】
そのため、画像データ抽出部11は、新検査の医用画像600(アキシャル像)において、過去検査のキー画像500(コロナル像)の断面位置に対応する位置を特定する。図8(b)に示す例では、新検査の医用画像600において、位置Aがキー画像500の断面位置に対応する位置である。画像データ抽出部11は、キー画像500の断面位置に基づいて、医用画像600の位置Aを特定する。
【0136】
さらに、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて、画像データを抽出する範囲を特定する。例えば、図8(a)に示すように、画像データ抽出部11は、キー画像500(コロナル像)の断面位置に対応する位置Aを基準位置とし、医用画像600(アキシャル像)においてコロナル方向に延びる所定の範囲Bを、画像データを抽出する範囲とする。すなわち、画像データ抽出部11は、範囲Bによってコロナル方向における抽出範囲を特定する。そして、画像データ抽出部11は、新検査の複数の断層像データのそれぞれから、範囲Bに含まれる画像データを抽出して送受信部2に出力する。このとき、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて範囲Bを決定し、その範囲Bに含まれる画像データを抽出する。
【0137】
例えば図9に示すように、新検査の1シリーズにおいて、所定方向(アキシャル方向)に沿って複数の断層像データ(アキシャル像データ)が取得された場合、その1シリーズには医用画像600A〜600N(アキシャル像)が含まれる。画像データ抽出部11は、医用画像600A〜600Nのそれぞれから、斜線で示す範囲Bに含まれる画像データを抽出する。そして、画像データ抽出部11は、範囲Bに含まれる画像データを送受信部2に出力する。送受信部2は、範囲Bに含まれる画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0138】
医用画像観察装置100Aの送受信部102は、医用画像保管装置1Aから送信された範囲Bに含まれる画像データを受信する。制御部103は、その範囲Bに含まれる画像データを記憶部104に記憶させる。そして、画像生成部105は、範囲Bに含まれる画像データに対してMPR処理を施すことにより、過去検査のキー画像の断面位置に対応する断面位置のMPR画像データを生成する。例えば、医用画像保管装置1Aは、過去検査のキー画像の画像生成条件を医用画像観察装置100Aに送信する。医用画像観察装置100Aの画像生成部105は、過去検査の画像生成条件に従って、範囲Bに含まれる画像データに対してMPR処理を施すことで、過去検査のキー画像に対応する新検査のMPR画像データを生成する。制御部103は、そのMPR画像データに基づくMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。さらに、画像生成部105は、範囲Bに含まれる画像データに基づいて、任意の断面に沿ったMPR画像データを生成しても良い。
【0139】
さらに、第1実施形態と同様に、制御部103は、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に並べて表示させても良い。これにより、操作者は過去検査と新検査のMPR画像を比較読影することが可能となる。
【0140】
(キー画像データにアノテーションが付されている場合)
また、キー画像データに、アノテーションによって特定の部位が指定されている場合がある。例えば、注目する部位がアノテーションによって指定される。アノテーションによる特定部位の指定は、例えば、医用画像診断装置400で行われる。ここで、キー画像において、アノテーションによって特定部位が指定されている場合について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、過去検査のキー画像と新検査の医用画像を示す図である。図11は、新検査の医用画像データから画像データを抽出する範囲を説明するための模式図である。
【0141】
図10(a)に示すキー画像700は、過去検査で取得された断層像である。この例では、キー画像700は、コロナル方向から撮影されたコロナル像である。このキー画像700には、アノテーション701によって特定の箇所(部位)が指定されている。キー画像700におけるアノテーション701の位置(座標)、アノテーション701の形状、及び大きさは、アノテーション情報としてキー画像データに付帯されている。画像生成条件情報抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から、画像生成条件情報、撮影条件情報を抽出し、さらに、アノテーション情報を抽出する。画像生成条件抽出部7は、画像生成条件情報とアノテーション情報を画像データ抽出部11に出力する。
【0142】
一方、図10(b)に示す医用画像800は、新検査で取得された断層像である。この例では、医用画像800は、アキシャル方向から撮影されたアキシャル像である。
【0143】
画像データ抽出部11は、新検査の医用画像800(アキシャル像)において、過去検査のキー画像700(コロナル像)の断面位置に対応する位置を特定する。さらに、画像データ抽出部11は、新検査の医用画像800において、キー画像700に付されたアノテーション701が示す箇所を特定する。
【0144】
図10(b)に示す例では、新検査の医用画像800において、位置Aがキー画像700の断面位置に対応する位置である。画像データ抽出部11は、キー画像700の断面位置に基づいて、医用画像800の位置Aを特定する。さらに、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて、画像データを抽出する範囲を特定する。例えば、図10(b)に示すように、画像データ抽出部11は、キー画像700(コロナル像)の断面位置に対応する位置Aを基準位置とし、医用画像800(アキシャル像)においてコロナル方向に延びる処理の範囲Bを、画像データを抽出する範囲とする。
【0145】
さらに、画像データ抽出部11は、新検査の医用画像800(アキシャル像)において、キー画像700(コロナル像)に付されたアノテーション701が示す箇所を特定する。例えば、画像データ抽出部11は、キー画像700において、アキシャル方向に延び、アノテーション701によって特定される箇所が含まれる範囲Cを特定する。図10(a)に示す例では、画像データ抽出部11は、アノテーション701によって特定される箇所に接する範囲Cを特定する。
【0146】
以上のように、画像データ抽出部11は、範囲Bによってコロナル方向における抽出範囲を特定し、範囲Cによってアキシャル方向における抽出範囲を特定する。
【0147】
そして、画像データ抽出部11は、新検査に含まれる複数の断層像データのうち、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを抽出して送受信部3に出力する。
【0148】
例えば図11に示すように、新検査の1シリーズにおいて、所定方向(アキシャル方向)に沿って複数の断層像データ(アキシャル像データ)が取得された場合、その1シリーズにおいては医用画像800A〜800N(アキシャル像)が含まれる。画像データ抽出部11は、医用画像800A〜800Nのそれぞれから、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを抽出する。
【0149】
詳しく説明すると、画像データ抽出部11は、医用画像800A〜800Nのそれぞれから、アキシャル方向に延びる範囲Cに含まれる医用画像データを抽出する。図11に示す例では、画像データ抽出部11は、医用画像800A〜800Nのうち、範囲Cに含まれる医用画像800C〜800Mを抽出する。さらに、画像データ抽出部11は、範囲Cに含まれる医用画像800C〜800Mのそれぞれから、斜線で示す範囲Bに含まれる画像データを抽出する。このように、画像データ抽出部11は、医用画像800A〜800Nのそれぞれから、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを抽出する。そして、画像データ抽出部11は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを送受信部2に出力する。送受信部2は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0150】
医用画像観察装置100Aの送受信部102は、医用画像保管装置1Aから送信された範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを受信する。制御部103は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データを記憶部104に記憶させる。そして、画像生成部105は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データに対してMPR処理を施すことにより、過去検査のキー画像の断面位置に対応する断面位置のMPR画像データを生成する。例えば、医用画像保管装置1Aは、過去検査のキー画像の画像生成条件を医用画像観察装置100Aに送信する。医用画像観察装置100Aの画像生成部105は、過去検査の画像生成条件に従って、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データに対してMPR処理を施すことで、過去検査のキー画像に対応する新検査のMPR画像データを生成する。このMPR画像データには、アノテーション701によって指定された箇所に対応する画像が含まれることになる。制御部103は、そのMPR画像データに基づくMPR画像をユーザインターフェース101の表示部に表示させる。さらに、画像生成部105は、範囲Bと範囲Cに含まれる画像データに基づいて、任意の断面に沿ったMPR画像データを生成しても良い。
【0151】
なお、この実施形態において、送受信部2、画像データ検索部6、画像生成条件抽出部7、判断部10、及び画像データ抽出部11が、「第2の抽出手段」の1例に相当する。
【0152】
(動作)
次に、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作について図12を参照して説明する。図12は、第2実施形態に係る医用画像診断支援システムによる一連の動作を示すフローチャートである。
【0153】
(ステップS20)
まず、医用画像観察装置100Aにおいて、操作者はユーザインターフェース101を用いて、診察対象の患者の患者IDを入力し、さらに、新検査に含まれる断層像データの読み込みを指示する。送受信部102は、患者IDと断層像データの読み込み指示を医用画像保管装置1Aに送信する。
【0154】
(ステップS21)
そして、医用画像観察装置100Aのデータ量決定部106は、記憶部104の空き容量と送受信部102の通信速度とに基づいて、医用画像観察装置100Aが読み込む断層像データのデータ量を決定する。
【0155】
(ステップS22)
そして、送受信部102は、患者IDと断層像データの読み込み指示を医用画像保管装置1Aに送信する。さらに、送受信部2は、データ量決定部106によって決定されたデータ量を示す情報を医用画像保管装置1Aに送信する。
【0156】
(ステップS23)
医用画像保管装置1Aの送受信部2は、医用画像観察装置100Aから送信された患者ID、読み込み指示、及びデータ量を示す情報を受信し、患者IDをレポート保管装置200に送信する。
【0157】
(ステップS24)
レポート保管装置200の送受信部201は医用画像保管装置1Aから患者IDを受信し、その患者IDをレポート検索部203に出力する。レポート検索部203は、その患者IDと合致する検索情報を有する読影レポートをレポート記憶部202から取得し、その読影レポートをキー画像検索部204に出力する。この読影レポートが過去検査の読影レポートに相当する。
【0158】
(ステップS25)
キー画像検索部204は、過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を抽出する。または、キー画像検索部204は、過去検査の読影レポートに埋め込まれているキー画像のイメージIDを抽出する。
【0159】
(ステップS26)
送受信部201は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)を医用画像保管装置1Aに送信する。または、送受信部201は、キー画像のイメージIDを医用画像保管装置1Aに送信する。
【0160】
(ステップS27)
医用画像保管装置1Aの送受信部2は、レポート保管装置200から送信された画像リンク情報(記憶位置情報)、又は、画像IDを受信し、画像データ検索部6に出力する。画像データ検索部6は、キー画像の画像リンク情報(記憶位置情報)が示す場所に記憶されている医用画像データ(キー画像データ)を画像データ保管部5から読み出す。または、画像データ検索部6は、イメージIDに対応する記憶位置情報をデータベースから取得し、その記憶位置情報が示す場所に記憶されている断層像データ(キー画像データ)を画像データ保管部5から読み出す。そして、画像データ検索部6は、読み出した断層像データ(キー画像データ)を画像生成条件抽出部7に出力する。
【0161】
(ステップS28)
画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から、過去検査の画像生成条件情報を抽出する。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した過去検査の画像生成条件情報を、画像データ検索部6、判断部10、及び画像データ抽出部11に出力する。また、キー画像データの付帯情報にアノテーション情報が含まれている場合、画像生成条件抽出部7は、アノテーション情報も抽出し、画像データ抽出部11に出力する。さらに、画像生成条件抽出部7は、キー画像データに付帯されている付帯情報から撮影条件情報を抽出し、その過去検査の撮影条件情報を判断部10に出力する。
【0162】
また、画像生成条件抽出部7は、新検査の断層像データに付帯されている付帯情報から、新検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を抽出する。そして、画像生成条件抽出部7は、抽出した新検査の画像生成条件情報と撮影条件情報を判断部10に出力する。
【0163】
(ステップS29)
判断部10は、過去検査の画像生成条件情報と新検査の画像生成条件情報と比較し、キー画像データに対応する新検査の断層像データがあるか否かを判断する。なお、判断部10は、過去検査の撮影条件情報と新検査の撮影条件情報とを比較して、撮影対象の部位が一致するか否かを判断する。そして、第1実施形態と同様に、撮影部位が一致しなければ、処理は終了する。撮影部位が一致すれば、以降の処理を継続する。
【0164】
(ステップS30)
過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがある場合(ステップS29、Yes)、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置に対応する断面位置にて生成された新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。そして、送受信部2は、その断層像データを医用画像観察装置100Aに送信する。さらに、画像データ検索部6は、キー画像データの断面位置を基準位置として、その基準位置を中心に、前後に任意の枚数の新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。このとき、画像データ検索部6は、医用画像観察装置100Aから送信された読み込み可能なデータ量を示す情報に従って、新検査の断層像データを画像データ保管部5から読み込む。そして、送受信部2は、新検査の複数の断層像データを医用画像観察装置100Aに送信する。
【0165】
(ステップS31)
一方、過去検査のキー画像データに対応する新検査の断層像データがない場合(ステップS29、No)、画像データ検索部6は、新検査の複数の断層像データを画像データ抽出部11に出力する。
【0166】
(ステップS32)
画像データ抽出部11は、アノテーション情報が抽出されているか否かを判断する。
【0167】
(ステップS33)
アノテーション情報が抽出されている場合(ステップS32、Yes)、画像データ抽出部11は、図10及び図11に示すように、キー画像データの断面位置を基準位置として決定される範囲Bと、アノテーションによって特定される範囲Cとに含まれる画像データを新検査の複数の断層像データから抽出する。このとき、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて範囲Bを決定する。
【0168】
(ステップS34)
一方、アノテーション情報が抽出されていない場合(ステップS32、No)、画像データ抽出部11は、キー画像データの断面位置を基準位置として決定される範囲Bに含まれる画像データを新検査の複数の断層像データから抽出する。このとき、画像データ抽出部11は、医用画像観察装置100Aの読み込み可能なデータ量に基づいて範囲Bを決定する。
【0169】
(ステップS35)
送受信部2は、画像データ抽出部11によって抽出された範囲Bの画像データ、又は範囲Bと範囲Cの画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。このとき、送受信部2は、過去検査のキー画像の画像生成条件情報を医用画像観察装置100Aに送信する。
【0170】
(ステップS36)
医用画像観察装置100Aでは、画像生成部105が、範囲Bの画像データ、又は範囲Bと範囲Cの画像データに基づいて新検査のMPR画像データを生成する。画像生成部105は、医用画像保管装置1Aから送信されたキー画像の画像生成条件情報に従って、範囲Bの画像データ、又は範囲Bと範囲Cの画像データに対してMPR処理を行うことで、新検査のMPR画像データを生成する。また、画像生成部105は、範囲Bの画像データ、又は範囲Bと範囲Cの画像データに基づいて、任意断面のMPR画像データを生成しても良い。
【0171】
また、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像を比較読影する場合、操作者はユーザインターフェース101を用いて、過去検査のMPR画像のイメージIDを入力する。医用画像保管装置1Aは、イメージIDに対応する過去検査のMPR画像データを医用画像観察装置100Aに送信する。医用画像観察装置100の制御部103は、過去検査のMPR画像と新検査のMPR画像を並べて、ユーザインターフェース101の表示部に表示させる。
【0172】
以上のように、キー画像データが取得された断面位置やアノテーションによって特定される範囲に基づいて、医用画像観察装置100Aに送信する医用画像データの範囲を決定することで、比較読影に必要な医用画像データのみを医用画像観察装置100Aに送信することが可能となる。そのことにより、医用画像データの送信に要する時間を削減して、読影などを効率良く行うことが可能となる。また、大容量のメモリを医用画像観察装置100Aに設置しなくても良い。
【0173】
また、医用画像観察装置100Aに設置されたメモリの容量やネットワークにおける通信速度に基づいて、医用画像観察装置100Aに送信する医用画像データのデータ量を決定することで、送信する医用画像のデータ量を最小限に抑えることができる。これにより、医用画像データの送信に要する時間を削減することが可能となり、読影などを効率良く行うことが可能となる。また、大容量のメモリを医用画像観察装置100Aに設置しなくても済む。
【0174】
なお、上述した第1実施形態と第2実施形態において、新検査のMPR画像データを生成する代わりに、MIP画像データやMinIP画像データなどを生成しても良い。また、新検査の医用画像データにボリュームレンダリングを施すことで、3次元画像データを生成しても良い。
【0175】
上記第1実施形態および第2実施形態によると、医用画像保管装置において、医用画像診断装置にて取得された医用画像データに、過去検査の医用画像データの画像生成条件に従った画像処理を施すことで新たな医用画像データを生成する。そして、医用画像観察装置から要求があると、医用画像保管装置はその新たな医用画像データを医用画像観察装置に送信する。これにより、医用画像観察装置において、所望の医用画像データを効率良く読み込んで表示することが可能となる。
【0176】
また、医用画像保管装置において、医用画像診断装置にて取得された医用画像データのうち、特定医用画像データが取得された位置を含むデータを抽出して医用画像観察装置に送信する。これにより、医用画像観察装置において、所望の医用画像データを生成するためのデータを効率良く読み込むことが可能となる。
【0177】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0178】
1、1A 医用画像保管装置
2、102、201 送受信部
3 画像データ登録部
4 データベース
5 画像データ保管部
6 画像データ検索部
7 画像生成条件抽出部
8、105 画像生成部
9 レポート検索条件抽出部
100 医用画像観察装置
101 ユーザインターフェース
103 制御部
104 記憶部
200 レポート保管装置
202 レポート記憶部
203 レポート検索部
204 キー画像検索部
300 レポート作成装置
400 医用画像診断装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読影レポートを、当該読影レポートに関連する過去検査の医用画像データに対応付けて保管するレポート記憶手段と、
過去検査の医用画像データと該過去検査の医用画像データの画像生成条件とを対応付けて保管する医用画像保管手段と、
前記過去検査の医用画像の前記画像生成条件を抽出する画像生成条件抽出手段と、
医用画像診断装置から受けた医用画像データに、前記抽出された画像生成条件に基づいて画像処理を施すことにより、処理後の医用画像データを生成する画像生成手段と、を備えたこと、
を特徴とする医用画像観察支援システム。
【請求項2】
医用画像診断装置から受けた医用画像データの患者識別情報に基づき、前記レポート記憶手段に保管された読影レポートを抽出し、さらに該読影レポートに対応付けられた前記特定情報を抽出する第1の抽出手段を備え、
前記レポート記憶手段は、読影レポートと、当該読影レポートに関連する過去検査の医用画像データとを、該医用画像データを特定する特定情報により対応付けて記憶し、
前記画像生成条件抽出手段は、
前記第1の抽出手段により抽出された前記特定情報に基づき、前記医用画像保管手段から前記過去検査の医用画像データを検索し、
さらに検索された過去画像データの前記画像生成条件を抽出すること、
を特徴とする請求項1に記載の医用画像観察支援システム。
【請求項3】
前記医用画像診断装置から受けた医用画像データには、その撮影部位を示す第1の撮影部位情報を含む第1の画像生成条件が含まれ、前記過去検査の医用画像データには、その撮影部位を示す第2の撮影部位情報を含む第2の画像生成条件が含まれ、
前記画像生成手段は、前記第1の撮影部位情報と第2の撮影部位情報を比較して、前記医用画像診断装置から受けた医用画像データと、前記過去検査の医用画像データとが対応する場合に、前記画像処理を行うこと、
を特徴とする請求項1に記載の医用画像観察支援システム。
【請求項4】
前記第1の画像生成条件には、前記医用画像診断装置から受けた医用画像データの断面位置を示す第1の断面位置情報が含まれ、前記第2の画像生成条件には、前記過去検査の医用画像データの撮影部位を示す第2の断面位置情報を含むが含まれ、
前記画像生成手段は、前記第1の撮影部位情報と前記第2の撮影部位情報との比較結果、および前記第1の断面位置情報と前記第2の断面位置情報との比較結果に基づき。前記医用画像診断装置から受けた医用画像データと、前記過去検査の医用画像データとが対応する場合に、前記画像処理を行うこと、
を特徴とする請求項3に記載の医用画像観察システム。
【請求項1】
読影レポートを、当該読影レポートに関連する過去検査の医用画像データに対応付けて保管するレポート記憶手段と、
過去検査の医用画像データと該過去検査の医用画像データの画像生成条件とを対応付けて保管する医用画像保管手段と、
前記過去検査の医用画像の前記画像生成条件を抽出する画像生成条件抽出手段と、
医用画像診断装置から受けた医用画像データに、前記抽出された画像生成条件に基づいて画像処理を施すことにより、処理後の医用画像データを生成する画像生成手段と、を備えたこと、
を特徴とする医用画像観察支援システム。
【請求項2】
医用画像診断装置から受けた医用画像データの患者識別情報に基づき、前記レポート記憶手段に保管された読影レポートを抽出し、さらに該読影レポートに対応付けられた前記特定情報を抽出する第1の抽出手段を備え、
前記レポート記憶手段は、読影レポートと、当該読影レポートに関連する過去検査の医用画像データとを、該医用画像データを特定する特定情報により対応付けて記憶し、
前記画像生成条件抽出手段は、
前記第1の抽出手段により抽出された前記特定情報に基づき、前記医用画像保管手段から前記過去検査の医用画像データを検索し、
さらに検索された過去画像データの前記画像生成条件を抽出すること、
を特徴とする請求項1に記載の医用画像観察支援システム。
【請求項3】
前記医用画像診断装置から受けた医用画像データには、その撮影部位を示す第1の撮影部位情報を含む第1の画像生成条件が含まれ、前記過去検査の医用画像データには、その撮影部位を示す第2の撮影部位情報を含む第2の画像生成条件が含まれ、
前記画像生成手段は、前記第1の撮影部位情報と第2の撮影部位情報を比較して、前記医用画像診断装置から受けた医用画像データと、前記過去検査の医用画像データとが対応する場合に、前記画像処理を行うこと、
を特徴とする請求項1に記載の医用画像観察支援システム。
【請求項4】
前記第1の画像生成条件には、前記医用画像診断装置から受けた医用画像データの断面位置を示す第1の断面位置情報が含まれ、前記第2の画像生成条件には、前記過去検査の医用画像データの撮影部位を示す第2の断面位置情報を含むが含まれ、
前記画像生成手段は、前記第1の撮影部位情報と前記第2の撮影部位情報との比較結果、および前記第1の断面位置情報と前記第2の断面位置情報との比較結果に基づき。前記医用画像診断装置から受けた医用画像データと、前記過去検査の医用画像データとが対応する場合に、前記画像処理を行うこと、
を特徴とする請求項3に記載の医用画像観察システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図8】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図8】
【図10】
【公開番号】特開2013−84309(P2013−84309A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−16226(P2013−16226)
【出願日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【分割の表示】特願2007−185896(P2007−185896)の分割
【原出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【分割の表示】特願2007−185896(P2007−185896)の分割
【原出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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