説明

医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラム

【課題】医用画像診断装置において、患部の治療結果の観察に適した表示を効果的に行ない、複数の三次元画像の画面上における表示位置を簡易迅速に調整すること。
【解決手段】医用画像診断支援装置10は、超音波画像診断装置11aで構築した三次元画像101A,101Bを各種画像情報と共に保管・管理する画像サーバ13と、画像サーバ13に保管された三次元画像101A,101Bから治療マージン断面画像106を生成して表示させるための医用画像診断支援装置14と、医用画像診断支援装置14で生成した治療マージン断面画像106を表示する画像表示手段15と、操作者によって医用画像診断支援装置14に指令信号を入力可能とする入力デバイス16とを備え、超音波画像診断装置11a、画像サーバ13及び医用画像診断支援装置14をLAN18を介してデータ通信可能に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから患部の像を含む三次元画像を構築して表示する技術に係り、特に三次元画像を用いた治療効果の表示によって治療支援を行なうことができる医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国内において三大疾患の中で、癌疾患による死亡率が唯一伸びており、癌疾患の患者に対する診断のみならず治療への社会的な要請が強い。癌疾患の中でも肝癌が約10%を占めており、増加の傾向にある。
【0003】
この肝癌の診断に関しては、既に超音波画像診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、CT(Computerized Tomography)等の医用画像診断装置の技術進歩により早期の段階で発見できるようになってきている。
【0004】
一方、肝癌の治療としては以下の4種類の治療法が施行されている。
1.肝動脈内抗ガン剤注入療法
2.肝動脈塞栓療法
3.低侵襲治療法
4.腹外科手術
この中で最も多く施行されているのは低侵襲治療法である。この治療は他の方法に比べて手技が簡単で患者への負担も少ないためである。低侵襲治療法には経皮的エタノール注入法(PEIT:Percutaneous Ethanol Injection Technique)やマイクロ波穿刺焼灼法があり、従来から超音波画像診断装置によるリアルタイム撮像下でその穿刺針をモニタして行なわれてきた。
【0005】
最近では焼灼治療法の一つとして高周波焼灼法(RFA:Radio-Frequency Ablation)が脚光を浴び始め、臨床適用がかなり進められている。RFAには単一針であるCoolTipや複数展開針のRITAがあり、各々、現在臨床評価が進められている。
【0006】
最近は、穿刺針を的確に患部へ到達させ治療するために三次元画像表示を利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−224109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
経皮的治療において治療効果を判定するためには、治療前後の画像を比較する必要がある。しかし、治療前後の画像を同一画面上に並べて表示する方法では、操作者が画面を観察して治療効果を判断するが、その判断が困難である。さらに、表示される画像が三次元画像となればなおさら判断が困難となる。
【0008】
また、経皮的治療においては再発を防ぐために実際の患部よりも多少の治療マージンをとって治療する。的確に治療が行なえたかを判断するためには、表示される治療マージン部像の観察が重要であるが、従来の方法では、治療マージン部像の表示が効果的に行なえないと言う問題があった。
【0009】
さらに、患部の大きさ等を治療前後の画像で比較する場合、治療前後でほぼ同じ撮像領域を測定するにもかかわらず、治療前後でそれぞれ取得した画像に対して撮像領域設定を行なわなければならず、操作性に問題があった。
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、患部の治療結果の観察に適した画像表示を効果的に行なうことができる医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は、画像の画面上における表示位置を簡易迅速に調整することができる医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る医用画像診断支援システムは、上述した課題を解決するために、患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから前記患部の像を含む三次元画像を構築する医用画像診断装置において、前記医用画像診断装置で構築した三次元画像を各種画像情報と共に保管・管理する画像サーバと、前記画像サーバに保管された複数の前記三次元画像から治療マージン断面画像を生成して表示させるための医用画像診断支援装置と、前記医用画像診断支援装置で生成した治療マージン断面画像を表示する画像表示手段と、操作者によって前記医用画像診断支援装置に指令信号を入力可能とする入力デバイスとを備え、前記医用画像診断装置、前記画像サーバ及び前記医用画像診断支援装置をネットワークを介してデータ通信可能に接続した。
【0013】
また、本発明に係る医用画像診断支援システムは、患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから前記患部の像を含む三次元画像を構築する医用画像診断装置において、前記医用画像診断装置で構築した複数の三次元画像から治療マージン断面画像を生成して表示させるための医用画像診断支援装置と、前記医用画像診断支援装置で生成した治療マージン断面画像を表示する画像表示手段と、操作者によって前記医用画像診断支援装置に指令信号を入力可能とする入力デバイスとを備え、前記医用画像診断装置及び前記医用画像診断支援装置をネットワークを介してデータ通信可能に接続した。
【0014】
本発明に係る医用画像診断支援装置は、上述した課題を解決するために、患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから前記患部の像を含む三次元画像を構築する医用画像診断装置において、複数の前記三次元画像から治療マージン断面画像を生成して表示させるための医用画像診断支援装置と、前記医用画像診断支援装置で生成した治療マージン断面画像を表示する画像表示手段と、操作者によって前記医用画像診断支援装置に指令信号を入力可能とする入力デバイスとを備えた。
【0015】
本発明に係る医用画像診断支援方法は、上述した課題を解決するために、治療前及び治療後で患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから、治療予定患部像を含む三次元画像と治療患部像を含む三次元画像とをそれぞれ構築する医用画像診断方法において、前記治療予定患部像を含む三次元画像と前記治療患部像を含む三次元画像とが重ね合わされて同一空間座標同士で差分され、この差分結果をグラフィック化して治療マージン三次元画像が生成される治療マージン三次元画像生成工程と、前記治療マージン三次元画像を所要断面方向からみた治療マージン断面画像が生成される治療マージン断面画像生成工程と、前記治療マージン断面画像が表示される治療マージン断面画像表示工程とを有する。
【発明の効果】
【0016】
また、本発明に係る医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムによると、患部の治療結果の観察に適した表示を効果的に行なうことができる。
【0017】
本発明に係る医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムによると、複数の三次元画像の画面上における表示位置を簡易迅速に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
なお、添付図面中、同一の構成要素には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明に係る医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムの第1実施の形態を示すブロック図である。
【0021】
図1は、本発明に係る医用画像診断支援システム10を示し、この医用画像診断支援システム10は、患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから患部の像を含む三次元画像101を構築する医用画像診断装置(モダリティ)11、例えば超音波画像診断装置11a、と、この超音波画像診断装置11aで構築された三次元画像101を各種画像情報と共に保管・管理する画像サーバ13と、この画像サーバ13に保管された複数の三次元画像101から治療マージン断面画像を生成して表示させるためのコンピュータである医用画像診断支援装置14と、この医用画像診断支援装置14で生成した治療マージン断面画像106を表示する画像表示手段15と、操作者によって医用画像診断支援装置14に操作入力可能な入力デバイス16とが備えられる。
【0022】
なお、医用画像診断支援装置14は、超音波画像診断装置11aで構築された三次元画像101から治療マージン断面画像106を生成して表示させることもできる。
【0023】
超音波画像診断装置11a、画像サーバ13及び医用画像診断支援装置14は、病院内のネットワーク、例えばLAN18、でデータ通信可能に接続されている。
【0024】
超音波画像診断装置11aは、エコーデータの収集(data acquisition)、エコーデータの再構築(data reconstruction)及び三次元画像の構築(rendering)を行なう。
【0025】
医用画像診断支援装置14には、ROM(Read Only Memory)21と、CPU(Central Processing Unit)22と、RAM(Random Access Memory)23と、外部記憶装置24と、記憶媒体駆動装置25と、通信装置26とが設けられ、ROM21、CPU22、RAM23、外部記憶装置24、記憶媒体駆動装置25及び通信装置26は、バス29によってそれぞれ接続されている。
【0026】
ROM21には、コンピュータである医用画像診断支援装置14を動作させるための基本プログラム等が予め記憶されている。基本プログラムは、基礎的な操作をキー、トラックボール、マウス、トラックパッド及びタブレット等のポインティングデバイス操作を用いて行なうことができるGUI(Graphical User Interface)を少なくとも実装している。RAM23は、CPU22の作業領域等として用いられる。
【0027】
記憶媒体駆動装置25は、記録媒体30を動作させる。記録媒体30は、例えば、CD(Compact Disk)−ROMから構成される。このCD−ROMには、治療予定患部像102Aを含む三次元画像と治療患部像102Bを含む三次元画像とを重ね合わせて同一空間座標同士で差分し、この差分結果をグラフィック化して治療マージン三次元画像105を生成する手順と、治療マージン三次元画像105を所要断面方向からみた断面画像を生成し、治療マージン部像104を二次元的に観察するための治療マージン断面画像106を生成する手順と、治療マージン断面画像106を表示する手順とを医用画像診断支援装置14に実行させる医用画像診断支援実行プログラム等が記録されている。記憶媒体駆動装置25は、CD−ROMドライブ等から構成され、CPU22制御の下、記録媒体30から医用画像診断支援実行プログラム等を読み出し、必要に応じて医用画像診断支援実行プログラム等が外部記憶装置24に記録されるように橋渡しする。
【0028】
なお、記憶媒体30は、CD−ROMに限定されるものではなく、記憶媒体駆動装置25としてDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ及びフレキシブルディスクドライブ等が設けられる場合、DVD及びFD等であってもよい。
【0029】
外部記憶装置24は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)から構成される。外部記憶装置24には、上記のように、医用画像診断支援実行プログラムが記録(インストール)されると共に、種々のコンピュータプログラムが一般的な方法にて予め記録されている。
【0030】
CPU22は、ROM21から基本プログラム等を読み出すと共に、外部記憶装置24から医用画像診断支援実行プログラムを読み出し、治療マージン断面画像106の生成及び表示を行なうためのデータ処理等を実行する。なお、ROM21に基本プログラム等に加えて医用画像診断支援実行プログラムを記録しておいてもよく、この場合には、CPU22が、ROM21から基本プログラム等と医用画像診断支援実行プログラムを読み出し、治療マージン断面画像106の生成及び表示を行なうためのデータ処理等を実行する。
【0031】
表示手段15は、CRT(Cathode Ray Tube)又は液晶表示装置等から構成される。表示手段15には、CPU22制御の下、治療マージン断面画像106の生成及び表示の際に使用される種々の画面が表示される。
【0032】
入力デバイス16は、キーボード、トラックボール、マウス、トラックパッド及びタブレット等から構成される。そして、操作者の操作に応じた種々の指令等が医用画像診断支援装置14に入力される。
【0033】
また、医用画像診断支援装置14、表示手段15及び入力デバイス16は、医用画像診断支援装置14、表示手段15及び入力デバイス16が一体の構成となったPC(Personal Computer)であってもよい。
【0034】
なお、モダリティ11は超音波画像診断装置11aに限定されるものではなく、ボリュームデータを取得し処理する機能をもつX線診断装置、X線CT(Computerized Tomography)装置、磁気共鳴診断装置、核医学診断装置等であってもよい。
【0035】
また、医用画像診断支援システム10では、画像処理装置が超音波画像診断装置11aと一体となっている構成としているが、両者が分離された構成であってもよい。
【0036】
続いて、本発明に係る医用画像診断支援システム、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムを用いた医用画像診断支援方法について、図2に示されたフローチャートを用いて説明する。
【0037】
被検体である患者の患部を治療する前に、医用画像診断支援システム10の超音波画像診断装置11aによって、患者の治療予定患部を含む撮像領域が撮像され、エコーデータの収集が行なわれる。このエコーデータの収集では、二次元の断層画像(二次元断層面)データが得られる。三次元エコーデータの収集法としては、二次元断層面を収集する際の探触子の移動方式によってそれぞれ平行に移動させるパラレル方式、扇状に移動させるファン方式、180度回転させるローテイト方式等がある。これら探触子の移動方式の移動時に複数の二次元断層面を得ることにより、X,Y,Z座標空間上で、全体としてそれぞれの探触子移動方式に対応する形状となる三次元エコーデータが取得される。パラレル方式の場合の三次元エコーデータを図3に示す。
【0038】
次いで、超音波画像診断装置11aで、データの再構築が行なわれる。このデータの再構築では、収集されたエコーデータが立方体(ボクセル)の集合に変換される。
【0039】
次いで、超音波画像診断装置11aで、撮像領域における三次元画像101Aの構築が行なわれる。この三次元画像101Aの構築では、一般的な手法であるボリュームレンダリング法によって行なわれるものとするが、特に三次元画像101Aの構築を迅速に行ないたい場合は、スキャンライン法やマーチングキューブ法等による三次元画像101Aの構築も有効である。
【0040】
超音波画像診断装置11aでは、三次元画像101A内に現れる治療予定患部像102Aを内包するように、計測ROI(Region of Interest)103Aが設定される。なお、計測ROI103Aの設定は画像サーバ13で行なってもよい。また、計測ROI103Aの設定は、表示手段15の画面上に表示された三次元画像101Aを見ながら操作者によって手動的に行なわれてもよく、予め与えられた空間座標によって自動的に行なわれてもよい。
【0041】
三次元画像101Aは、LAN18を介して画像サーバ13に入力され、画像サーバ13で保管及び管理される。また、画像サーバ13には、三次元画像101Aの、表示画面上の大きさ、位置及び視点方向を決定し得る各種画像情報、例えばDepth、Zoom及び画素サイズ、が三次元画像101Aと共に保存される。さらに、三次元画像101A内に設定された計測ROI103Aの空間座標等の情報や、血流量等の計測結果の情報が三次元画像101Aと共に保存される。
【0042】
患者の治療予定患部に対して焼灼治療(RFA:Radio-Frequency Ablation)等の経皮的治療が行なわれる。
【0043】
焼灼治療等の経皮的治療後、超音波画像診断装置11aで、患者の治療患部を含む撮像領域が撮像され、治療前と同様の動作でエコーデータの収集、エコーデータの再構築及び三次元画像101Bの構築が行なわれる。
【0044】
三次元画像101Bは、LAN18を介して画像サーバ13に入力され、画像サーバ13で保管及び管理される。また、画像サーバ13には、三次元画像101Bの、表示画面上の大きさ、位置及び視点方向を決定し得る各種画像情報、例えばDepth、Zoom及び画素サイズ、が三次元画像101Bと共に保存される。
【0045】
次いで、操作者は入力デバイス16を用いて、医用画像診断支援実行プログラムを実行する。この医用画像診断支援実行プログラムが実行されると、まず、医用画像診断支援装置14のCPU22は、画像サーバ13からLAN18及び医用画像診断支援装置14の通信装置26を介して入力される複数の三次元画像を重ね合わせて同一空間座標同士で差分し、差分結果をグラフィック化して治療マージン三次元画像105を生成する(ステップS1)。
【0046】
ここで、画像サーバ13で管理されている治療予定患部像102Aを含む三次元画像101Aと、治療患部像102Bを含む三次元画像101Bとは、Depth、Zoom、画素サイズ等に差異がある。よって、三次元画像101A,101Bを画面上にそのまま表示した場合、画面上における三次元画像101A,101B双方の大きさ、位置及び視点方向には差異が生じる。
【0047】
したがって、まず、CPU22は、画像サーバ13で管理されている三次元画像101Aと共に保存されたDepth、Zoom及び画素サイズ等の各種画像情報と、三次元画像101Bと共に保存されたDepth、Zoom及び画素サイズ等の各種画像情報とのうち一方又は両方を補正する。このように、三次元画像101Aと共に管理された各種画像情報と、三次元画像101Bと共に管理された各種画像情報のうち一方又は両方の各種画像情報を補正することで、CPU22は、三次元画像101A,101Bを基に、画面上での大きさ、位置及び視点方向が一致され、各種画像情報が補正された三次元画像101a,101bをそれぞれ作成する(ステップS1a)。
【0048】
ここで、三次元画像101aが作成されると、三次元画像101A内の治療予定患部像102A及び計測ROI103Aは、治療予定患部像102a及び計測ROI103aとして三次元画像101a内にそれぞれ現れる。
【0049】
CPU22は、Depth、Zoom及び画素サイズ等の各種画像情報が補正された三次元画像101bを表示手段15の画面上に表示する。また、三次元画像101bとの比較対照として、Depth、Zoom及び画素サイズ等の各種画像情報が補正された三次元画像101aを、三次元画像101bに重ね合わせて表示手段15の画面上に表示する(ステップS1b)。すなわち、三次元画像101aと三次元画像101bとが、画面上に位置変更可能に重ね合わされる。
【0050】
さらに、操作者は、入力デバイス16、例えばキーボード又はトラックボール、を操作して、表示手段15の画面上に表示された三次元画像101a,101bを画面上で位置合わせし、画面上における三次元画像101a,101b双方の位置を微調整する。なお、三次元画像101a,101b双方の位置を微調整する際、三次元画像101a,101bを表示手段15の画面上に重ね合わせて表示すると、三次元画像101a,101b双方を識別できなくなる場合がある。その場合、キーボード又はトラックボール等の入力デバイス16を操作して、三次元画像101a,101bのうち一方を択一的に前面に画面表示できるように、三次元画像101a,101bを切替可能に表示する。
【0051】
操作者が、表示手段15の画面上に表示される三次元画像101a,101bの画面上の位置を微調整することで、CPU22は、表示手段15の画面上における三次元画像101a,101bの位置を確定する(ステップS1c)。
【0052】
表示手段15の画面上における三次元画像101a,101bの位置が確定されると、CPU22は、三次元画像101aと三次元画像101bとを重ね合わせて同一空間座標同士で輝度値変化(輝度値の差)を求め、この輝度値変化が所要値を超える空間座標を抽出する(ステップS1d)。そして、CPU22は、抽出された空間座標の集合領域をグラフィック化して(ステップS1e)治療マージン部像104を含む治療マージン三次元画像105を生成する。
【0053】
ここで、三次元画像101aと三次元画像101bとの差分を、治療マージン部像104を含む治療マージン三次元画像105とすることで、三次元画像101a内の治療予定患部像102a以外の像と、三次元画像101b内の治療患部像102b以外の像とが相殺される。よって、治療マージン部像104のみがグラフィック表示された治療マージン三次元画像105を提供することができる。
【0054】
次いで、CPU22は、ステップS1で生成した治療マージン三次元画像105を所要断面方向からみた断面画像を生成し、治療マージン部像104を二次元的に観察するための治療マージン断面画像106を生成する(ステップS2)。
【0055】
次いで、ステップS2で生成された治療マージン断面画像106を表示手段15の画面上に表示する(ステップS3)。
【0056】
図4は、表示手段15の画面上に表示される治療マージン断面画像106を示す図である。
【0057】
ステップS1で治療予定患部像102aを含む三次元画像101aと、治療患部像102bを含む三次元画像101bを生成する。そして、三次元画像101a,101bの差分から、治療マージン部像104を含む治療マージン三次元画像105を生成する。図4は、治療マージン三次元画像105を所要断面方向、例えば断面方向F、からみた断面画像を生成し、この断面画像を治療マージン断面画像106として表示手段15に表示したものである。
【0058】
操作者は、図4に示された治療マージン断面画像106内の二次元的な治療マージン部像104を観察し、さらに、入力デバイス16を操作して所要断面方向を変化させながら治療マージン断面画像106内の二次元的な治療マージン部像104を観察することで、治療患部に対する治療マージンを三次元的に観察することができる。
【0059】
図5は、表示手段15の画面上に表示される治療マージン断面画像106の第1変形例を示す図である。
【0060】
図5は、ステップS1で生成された治療マージン三次元画像105と、ステップS1cで確定された治療予定患部像102aを含む三次元画像101aとを合成し、合成された三次元画像を、所要断面方向、例えば断面方向G、からみた断面画像を生成し、この断面画像を治療マージン断面画像106として表示したものである。この治療マージン断面画像106では、治療マージン部像104と治療予定患部像102aとが相対的に区別できなくなる場合がある。その場合、双方を相対的に区別できるように治療マージン部像104の表示形態、例えば透明度、を設定するものとする。
【0061】
また、治療予定患部像102aをグラフィック化して表示してもよい。その場合、双方を相対的に区別できるように治療予定患部像102aの表示形態を設定することもできる。
【0062】
操作者は、図5に示された治療マージン断面画像106内の二次元的な治療マージン部像104を観察し、さらに、入力デバイス16を操作して所要断面方向を変化させながら治療マージン断面画像106内の二次元的な治療マージン部像104を観察することで、治療患部に対する治療マージンを三次元的に観察することができる。
【0063】
図6は、表示手段15の画面上に表示される治療マージン断面画像106の第2変形例を示す図である。
【0064】
図6は、ステップS1で生成された治療マージン三次元画像105と、治療予定患部像102aを含む三次元画像101a内の計測ROI103aとを合成し、合成された三次元画像を、所要断面方向、例えば断面方向H、からみた断面画像を生成し、この断面画像を治療マージン断面画像106として表示したものである。この治療マージン断面画像106では、治療マージン部像104と計測ROI103aの像とが相対的に区別できなくなる場合がある。その場合、双方を相対的に区別できるように治療マージン部像104又は計測ROI103aの像の表示形態、例えば透明度、を設定するものとする。
【0065】
なお、図6のように表示手段15の画面上に表示される計測ROI103aの位置や大きさは、キー及びトラックボール等の入力デバイス16を用いた操作によって、操作者によって調整できる。
【0066】
また、CPU22は、画像サーバ13に保管された血流量等の計測結果と、調整後の計測ROI103aに対する計測結果から血流量の変化量や変化率を計算して、計算結果を画面上に表示することもできる。
【0067】
操作者は、図6に示された治療マージン断面画像106内の二次元的な治療マージン部像104を観察し、さらに、入力デバイス16を操作して所要断面方向を変化させながら治療マージン断面画像106内の二次元的な治療マージン部像104を観察することで、治療患部に対する治療マージンを三次元的に観察することができる。
【0068】
本発明に係る医用画像診断支援システム10、医用画像診断支援装置14、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムによると、治療前後で取得した患部の三次元画像101a(101A),101b(101B)の同一空間座標同士での輝度値変化から治療マージン断面画像106を生成して表示することで、患部の治療結果の観察に適した表示を効果的に行なうことができる。
【0069】
また、本発明に係る医用画像診断支援システム10、医用画像診断支援装置14、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムによると、治療前後で取得した患部の三次元画像101A,101Bの各種画像情報を一致させて三次元画像101a,101bを生成して表示し、操作者によって画面上位置の微調整が行なわれることで、三次元画像101a,101bの画面上における表示位置を簡易迅速に調整することができる。
【0070】
図7は、本発明に係る医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムの第2実施の形態を示すブロック図である。
【0071】
図7は、本発明に係る医用画像診断支援システム10Aを示し、この医用画像診断支援システム10Aは、患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから患部の像を含む三次元画像101を構築する医用画像診断装置11、例えば超音波画像診断装置11a、と、この超音波画像診断装置11aの三次元画像101から治療マージン断面画像を生成して表示させるためのコンピュータである医用画像診断支援装置14と、この医用画像診断支援装置14で生成した治療マージン断面画像106を表示する画像表示手段15と、操作者によって医用画像診断支援装置14に操作入力可能な入力デバイス16とが備えられる。
【0072】
医用画像診断支援システム10A、医用画像診断支援装置14、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムを用いた医用画像診断支援方法では、操作者が入力デバイス16を操作することによって、図2に示されたフローチャートと同様の動作が行なわれる。
【0073】
本発明に係る医用画像診断支援システム10A、医用画像診断支援装置14、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムによると、治療前後で取得した患部の三次元画像101a(101A),101b(101B)の同一空間座標同士での輝度値変化から治療マージン断面画像106を生成して表示することで、患部の治療結果の観察に適した表示を効果的に行なうことができる。
【0074】
また、本発明に係る医用画像診断支援システム10A、医用画像診断支援装置14、医用画像診断支援方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムによると、治療前後で取得した患部の三次元画像101A,101Bの各種画像情報を一致させて三次元画像101a,101bを生成して表示し、操作者によって画面上位置の微調整が行なわれることで、三次元画像101a,101bの画面上における表示位置を簡易迅速に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムの第1実施の形態を示すブロック図。
【図2】本発明に係る医用画像診断支援方法を示すフローチャート。
【図3】三次元エコーデータの取得を説明する図。
【図4】表示手段の画面上に表示される治療マージン断面画像を示す図。
【図5】表示手段の画面上に表示される治療マージン断面画像の第1変形例を示す図。
【図6】表示手段の画面上に表示される治療マージン断面画像の第2変形例を示す図。
【図7】本発明に係る医用画像診断支援システム、医用画像診断支援装置、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラムの第2実施の形態を示すブロック図。
【符号の説明】
【0076】
10,10A 医用画像診断支援システム
11 医用画像診断装置(モダリティ)
13 画像サーバ
14 医用画像診断支援装置
15 表示手段
16 入力デバイス
18 LAN
101A,101a 治療予定患部像を含む三次元画像
101B,101b 治療患部像を含む三次元画像
102A,102a 治療予定患部像
102B,102b 治療患部像
103A,103a 計測ROI
104 治療マージン部像
105 治療マージン三次元画像
106 治療マージン断面画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから前記患部の像を含む三次元画像を構築する医用画像診断装置において、
前記医用画像診断装置で構築した三次元画像を各種画像情報と共に保管・管理する画像サーバと、
前記画像サーバに保管された複数の前記三次元画像から治療マージン断面画像を生成して表示させるための医用画像診断支援装置と、
前記医用画像診断支援装置で生成した治療マージン断面画像を表示する画像表示手段と、
操作者によって前記医用画像診断支援装置に指令信号を入力可能とする入力デバイスとを備え、前記医用画像診断装置、前記画像サーバ及び前記医用画像診断支援装置をネットワークを介してデータ通信可能に接続したことを特徴とする医用画像診断支援システム。
【請求項2】
患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから前記患部の像を含む三次元画像を構築する医用画像診断装置において、
前記医用画像診断装置で構築した複数の三次元画像から治療マージン断面画像を生成して表示させるための医用画像診断支援装置と、
前記医用画像診断支援装置で生成した治療マージン断面画像を表示する画像表示手段と、
操作者によって前記医用画像診断支援装置に指令信号を入力可能とする入力デバイスとを備え、前記医用画像診断装置及び前記医用画像診断支援装置をネットワークを介してデータ通信可能に接続したことを特徴とする医用画像診断支援システム。
【請求項3】
患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから前記患部の像を含む三次元画像を構築する医用画像診断装置において、
複数の前記三次元画像から治療マージン断面画像を生成して表示させるための医用画像診断支援装置と、
前記医用画像診断支援装置で生成した治療マージン断面画像を表示する画像表示手段と、
操作者によって前記医用画像診断支援装置に指令信号を入力可能とする入力デバイスとを備えたことを特徴とする医用画像診断支援装置。
【請求項4】
治療前及び治療後で患者の患部を含む撮像領域を映像化して取得した画像データから、治療予定患部像を含む三次元画像と治療患部像を含む三次元画像とをそれぞれ構築する医用画像診断方法において、
前記治療予定患部像を含む三次元画像と前記治療患部像を含む三次元画像とが重ね合わされて同一空間座標同士で差分され、この差分結果をグラフィック化して治療マージン三次元画像が生成される治療マージン三次元画像生成工程と、
前記治療マージン三次元画像を所要断面方向からみた治療マージン断面画像が生成される治療マージン断面画像生成工程と、
前記治療マージン断面画像が表示される治療マージン断面画像表示工程とを有することを特徴とする医用画像診断支援方法。
【請求項5】
前記治療マージン三次元画像生成工程では、前記治療予定患部像を含む三次元画像の各種画像情報と前記治療患部像を含む三次元画像の各種画像情報とのうち一方又は両方が補正され、前記治療予定患部像を含む三次元画像及び前記治療患部像を含む三次元画像の画面上での大きさ、位置及び視点方向が一致され、各種画像情報が補正された治療予定患部像を含む三次元画像と前記治療患部像を含む三次元画像とが画面上に重ね合わせられることを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断支援方法。
【請求項6】
前記治療マージン三次元画像生成工程では、前記治療予定患部像を含む三次元画像と前記治療患部像を含む三次元画像とが、画面上に位置変更可能に重ね合わされることを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断支援方法。
【請求項7】
前記治療予定患部像を含む三次元画像と前記治療患部像を含む三次元画像とのうち一方を択一的に前面に画面表示できるように、前記治療予定患部像を含む三次元画像と前記治療患部像を含む三次元画像が切替可能に表示されることを特徴とする請求項6に記載の医用画像診断支援方法。
【請求項8】
前記治療マージン三次元画像生成工程では、前記治療予定患部像を含む三次元画像と前記治療患部像を含む三次元画像とが画面上に重ね合わされて同一空間座標同士で輝度値変化が求められ、この輝度値変化が所要値を超える空間座標が抽出され、抽出された空間座標の集合領域がグラフィック化されることを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断支援方法。
【請求項9】
前記治療マージン断面画像生成工程では、前記治療マージン三次元画像と前記治療予定患部像を含む三次元画像とが合成され、合成された三次元画像を所要断面方向からみた断面画像が生成され、前記治療マージン断面画像表示工程では、前記断面画像が前記治療マージン断面画像として表示されることを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断支援方法。
【請求項10】
前記治療マージン部像と前記治療予定患部像とが相対的に区別できるように、前記治療マージン部像の表示形態が設定されることを特徴とする請求項9に記載の医用画像診断支援方法。
【請求項11】
前記治療予定患部像がグラフィック化されて表示されることを特徴とする請求項9に記載の医用画像診断支援方法。
【請求項12】
前記治療マージン断面画像表示工程では、前記治療マージン三次元画像と前記治療予定患部を含む三次元画像で設定された計測ROIとが合成され、合成された三次元画像を所要断面方向からみた断面画像が生成され、前記治療マージン断面画像表示工程では、前記断面画像が前記治療マージン断面画像として表示されることを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断支援方法。
【請求項13】
上記請求項4乃至12のうちいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
上記請求項4乃至12のうちいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−87601(P2006−87601A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275683(P2004−275683)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】