説明

医用画像診断装置、及び医用画像診断装置の制御プログラム

【課題】 医用画像上で付帯情報の3次元的な位置関係を容易に把握する。
【解決手段】 所定の視点から3次元のボリュームデータを投影した医用画像を取得する医用画像取得手段と、前記ボリュームデータの3次元座標に関連付けられた複数の付帯情報を取得する付帯情報取得手段と、前記視点と前記複数の付帯情報それぞれとの距離を読み取る距離読取手段と、前記距離に基づいて前記複数の付帯情報の透明度あるいは輝度を制御して、前記複数の付帯情報を前記医用画像に重畳して表示する付帯情報表示手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医用画像を用いて診断を行う医用画像診断装置、及び医用画像診断装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体を撮影した医用画像を用いて被検体の診断を行う医用画像診断装置が普及している。医用画像診断装置の一例としては、超音波プローブに内蔵された超音波振動子から超音波を被検体に対して送信し、被検体内で生じた反射波(以下、単にエコー信号と記載する)を超音波振動子で受信してエコー信号に基づく超音波画像を生成する超音波診断装置などがある。近年、超音波プローブ内に内蔵された超音波振動子を2次元状に並べて配列し、あるいは1列に並べて配列した超音波振動子をモータによって揺動させることにより、3次元空間をスキャンすることが可能な超音波診断装置が実用化されている。
【0003】
このような3Dの医用画像を処理する医用画像診断装置において、3次元空間のスキャンによって得たボリュームデータに対して投影処理を施し、投影像を生成する技術が実用化されている。投影像を生成する際の投影方向を任意の方向に設定することで、被検体のスキャン範囲を所望の方向から観察することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−283373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先述したような医用画像診断装置において、投影像を用いてオペレータが診断を行う場合を考える。オペレータは投影像中に疾患などの特定部位を発見した場合、この特定部位に関する臨床的情報を表す文字列(以下、単に付帯情報と記載する)を投影像中に付加する。投影像中に付帯情報を付加することは、後日超音波画像を見返したときや異なるオペレータが投影像を参照したときに、以前に発見した臨床的情報を把握する上で有用である。
【0006】
この付帯情報を、3次元空間のボリュームデータに対して適用する場合を考える。3次元空間のボリュームデータに対して付帯情報を付加する場合には、付帯情報が指し示すべき特定部位も3次元的な位置関係を持つこととなる。付帯情報の位置関係を容易に把握する手段がなかったため、例えばボリュームデータに対して複数のボリュームデータが付加された場合に、医用画像を参照するオペレータは複数の付帯情報のうちどの付帯情報が手前側にあるのか、あるいは奥側にあるのかなどを把握することが困難であった。
【0007】
そこで本開示においては、医用画像上で付帯情報の3次元的な位置関係を容易に把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため実施形態の医用画像診断装置においては、所定の視点から3次元のボリュームデータを投影した医用画像を取得する医用画像取得手段と、前記ボリュームデータの3次元座標に関連付けられた複数の付帯情報を取得する付帯情報取得手段と、前記視点と前記複数の付帯情報それぞれとの距離を読み取る距離読取手段と、前記距離に基づいて前記複数の付帯情報の透明度あるいは輝度を制御して、前記複数の付帯情報を前記医用画像に重畳して表示する付帯情報表示手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また上記課題を解決するため実施形態の医用画像診断装置の制御プログラムにおいては、所定の視点から3次元のボリュームデータを投影した医用画像を取得するステップと、前記ボリュームデータの3次元座標と関連付けられた複数の付帯情報を取得するステップと、前記視点と前記複数の付帯情報それぞれとの距離を算出するステップと、前記距離に基づいて前記複数の付帯情報あるいは輝度を制御して、前記複数の付帯情報を前記医用画像に重畳して表示するステップとからなることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る医用画像診断装置の内部構成を示すブロック図。
【図2】実施形態に係る投影像を示す図。
【図3】実施形態に係る投影像中にアノテーションを重畳した様子を示す図。
【図4】実施形態に係るアノテーションの表示領域が重なるときの様子を示す図。
【図5】実施形態に係る投影像中にアノテーションを重畳表示する処理の流れを示すフローチャート。
【図6】実施形態に係る角度情報を有するアノテーションを示す図。
【図7】実施形態に係る角度情報を有する別のアノテーションを示す図。
【図8】実施形態に係るアノテーションとボリュームデータの色付け表示を示す図。
【図9】実施形態に係る画面外のアノテーションを表示する様子を示す図。
【図10】実施形態に係るアノテーションの表示色を変更する様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(医用画像診断装置1の構成)
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、各実施例に係る医用画像診断装置1の内部構成を示したブロック図である。本実施形態においては、医用画像診断装置1の例として、超音波を用いて超音波画像を撮影する超音波診断装置について述べ、また医用画像診断装置は医用画像の1種として超音波画像を撮影するものとして述べる。ただし、医用画像診断装置1は超音波診断装置に限られず、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、磁気共鳴映像装置、核医学診断装置、内視鏡画像撮影装置などの種々の医用画像を撮影する装置であっても構わない。また、本実施形態において医用画像診断装置1は超音波プローブ20などの医用画像の撮影手段を備えるものに限定されない。例えばボリュームデータ、付帯情報、医用画像などを外部の端末から受け取って処理を行うワークステーションなども、本実施形態でいう医用画像診断装置1に含まれる。
【0012】
医用画像診断装置1は、例えばシステム制御部10と超音波プローブ20とを組み合わせることにより構成される。システム制御部10は、入力部11、記憶部12、表示部13、付帯情報生成部14、医用画像生成部15、ボリュームデータ生成部16、送受信部17、Bモード処理部18、ドプラ処理部19から構成される。システム制御部10は各構成要素へ制御命令を出力し、医用画像診断装置1を統括的に制御する。なお、本実施形態におけるシステム制御部10の構成はこれに限られるものではない。適宣構成要素を追加しても構わないし、医用画像診断装置1の外部に接続した処理装置が構成要素の幾つかの役割を果すものであっても構わない。
【0013】
なお、例えば医用画像診断装置1がX線診断装置である場合には、送受信部17、Bモード処理部18、ドプラ処理部19、及び超音波プローブ20の代わりにX線照射部、X線検出部などが設けられる。また医用画像診断装置1が医用画像を処理するワークステーションである場合には、送受信部17、Bモード処理部18、ドプラ処理部19、及び超音波プローブ20の代わりに医用画像診断装置1に接続された端末と情報をやりとりするインタフェース部が設けられる。インタフェース部は医用画像診断装置1に接続された端末を介して、ボリュームデータ、付帯情報、及び医用画像などの取得や出力を行う。
【0014】
超音波プローブ20は、システム制御部10に接続される。超音波プローブ20は超音波振動子21を内蔵し、送受信部17から出力された駆動信号に基づいて超音波振動子21を駆動するよう制御する。
【0015】
超音波振動子21は、超音波プローブ20を介して入力された駆動信号に基づいて超音波を発生し、また被検体から反射された超音波を受信して電気信号に変換する部材である。超音波振動子21は超音波を受信することにより生じた電気信号(以下、単にエコー信号と記載する)を送受信部17へと出力する。
【0016】
なお、本実施形態における超音波プローブ20は、例えばメカ4Dプローブ(機械式3次元プローブ)あるいは2Dアレイプローブ(マトリクスアレイプローブ)などにより構成され、超音波振動子21が送受信する超音波の指向性を2次元方向に対して制御するよう構成される。メカ4Dプローブは、超音波振動子21を1次元方向に配列し、配列方向に対して直交する向きに超音波振動子21を揺動させるモータを取り付けたプローブである。メカ4Dプローブは、モータを駆動させながら超音波振動子21を駆動することにより、超音波の指向性を2次元方向に対して制御する。一方2Dアレイプローブは、超音波振動子21を碁盤目状に平面上に配列したプローブである。2Dアレイプローブは各超音波振動子21の駆動タイミングを制御することにより、超音波の指向性を2次元方向に対して制御する。なお、本実施形態の構成はこれに限られるものではなく、超音波プローブ20はメカ4Dプローブや2Dアレイプローブと異なる任意の方式により3次元空間をスキャンするものであっても構わない。例えば、超音波振動子21を1次元方向に配列し、超音波プローブ20を手動で移動させながらスキャンを行うことにより3次元空間をスキャンするものであっても構わない。
【0017】
送受信部17は、超音波プローブ20が受信したエコー信号を処理するアンプ回路、A/D変換器、加算器などを備える。アンプ回路は、超音波プローブ20が受信したエコー信号を増幅し、A/D変換器へ出力する。A/D変換器は、増幅されたエコー信号の受信指向性を決定するために必要な遅延時間をエコー信号に与え、加算器へと出力する。加算器は遅延時間を与えられたエコー信号を加算することで、超音波を送信するスキャンラインに対応したエコー信号を得る。送受信部21はスキャンラインに対応したエコー信号をBモード処理部18あるいはドプラ処理部19へと出力する。また送受信部17は、超音波振動子21を駆動し超音波を送信するための駆動信号を超音波超音波プローブ20へと出力する。
【0018】
Bモード処理部18は、送受信部17が出力したエコー信号の振幅強度に応じて変化するBモード信号を生成する。Bモード処理部18は生成したBモード信号をボリュームデータ生成部16へ出力する。
【0019】
ドプラ処理部19は、エコー信号の周波数遷移を検出して、組織あるいは血流の移動速度を抽出したドプラ信号を生成する。ドプラ処理部19はドプラ信号をボリュームデータ生成部16へ出力する。
【0020】
ボリュームデータ生成部16は、Bモード処理部18あるいはドプラ処理部19から出力されたBモード信号やドプラ信号に基づいて、3次元のボリュームデータを作成する。ボリュームデータは、ボクセルと呼ばれる3次元の単位領域を組み合わせて構成されるデータである。超音波プローブ20がメカ4Dプローブである場合には、ボリュームデータ生成部16は、エコー信号を受信した時点における超音波振動子21の揺動角度と、エコー信号に対応する深さ方向の距離に応じて3次元座標を特定し、特定した3次元座標にあるボクセルへBモード信号あるいはドプラ信号のマッピングを行う。一方超音波プローブ20が2Dアレイプローブである場合には、ボリュームデータ生成部16はエコー信号を受信した超音波振動子21の配列位置と、エコー信号に対応する深さ方向の距離に応じて3次元座標を特定し、特定した3次元座標にあるボクセルへBモード信号あるいはドプラ信号のマッピングを行う。ボリュームデータ生成部16はボリュームデータを生成すると、これを医用画像生成部15あるいは記憶部12へと出力する。
【0021】
付帯情報生成部14は、後述する入力部11の入力操作に基づいてボリュームデータに関する付帯情報を生成する。付帯情報生成部14は付帯情報を生成すると、これをボリュームデータあるいは超音波画像と関連付けて医用画像生成部15あるいは記憶部12へと出力する。本実施形態においては、付帯情報生成部14はボリュームデータと関連付けて付帯情報を生成するものとして述べる。しかし、実施形態の構成はこれに限られるものではなく、超音波画像と関連付けて付帯情報を生成するものであっても構わない。本実施形態において付帯情報とは、ボリュームデータあるいは超音波画像に対して付加された臨床的情報(アノテーション)のことを指す。臨床的情報は、例えばボリュームデータあるいは超音波画像中のどの位置に疾患などの特定部位があるかを指し示し、且つ指し示した位置に対して所見などの文字情報や図形などの情報を表示する。付帯情報は、例えば付帯情報の識別番号である「付帯情報ID」、画面上に表示される文字列や図形の内容を決定する「表示名」、及びボリュームデータの3次元空間のどの位置に付帯情報が関連付けられているかを示す「座標」の3つの情報から構成される。これらの情報は入力部11が受け付けた入力操作に基づいて任意に設定することができる。また、付帯情報が有する情報の名称はこれに限られるものではないし、付帯情報が有する情報の数はこれに限られるものではない。例えば「付帯情報ID」の情報を省略して「表示名」と「座標」の2つの情報から付帯情報を構成しても構わないし、後述する「角度」、「長さ」、及び「色」などの種々の情報を有するものであっても構わない。
【0022】
医用画像生成部15は、ボリュームデータと付帯情報とをレンダリング処理した投影像を超音波画像として生成する処理部である。投影像の生成は、例えば以下の手順により行われる。まず、医用画像生成部15はボリュームデータの3次元空間における視点及び視線方向を設定する。なお、この視点及び視線方向は例えば入力部11が受け付けた入力操作によって設定されるものである。また、記憶部12に記憶されたパラメータに基づいて視線及び視線方向を自動的に設定するものであっても構わない。視点及び視線方向の設定が行われると、医用画像生成部15は視点と視線方向に基づく投影像の投影面を算出し、ボリュームデータの3次元空間中に投影面を設定する。次に、医用画像生成部15は視点と投影面とを結ぶ直線上にある各ボクセルのボクセル値を調べ、所定の透過閾値を超えるボクセルのうち、最も視点に近いボクセルのボクセル値を抽出して投影面にマッピングする。このボクセル値の抽出及びマッピングを投影面の各画素について行うことで、医用画像生成部15は投影像の生成を行う。以上の処理により投影像は、ボリュームデータの3次元空間内において透過閾値を超える値を持つ構造物100を、任意の視点から視線方向に沿って見た超音波画像として得られる。医用画像生成部15がボリュームデータの投影処理を終えると、医用画像生成部15は付帯情報生成部14が出力した付帯情報を投影像中に重畳表示する処理を行う。付帯情報を重畳表示する動作や、付帯情報と視点との距離を算出する動作については、後に詳述する。
【0023】
なお、実施形態において医用画像生成部15が生成する超音波画像は、ここに述べた投影像に限られない。例えば医用画像生成部15は視点と視線方向に基づく直線上にある各ボクセルのボクセル値のうち、最大のボクセル値を投影面にマッピングする、所謂最大値投影を行っても構わないし、最小のボクセル値を投影面にマッピングする、所謂最小値投影を行っても構わない。またあるいはボリュームデータにおいて所定の断面上にあるボクセル値を2次元平面上に投影してマッピングするMPR(Multi Planar Reformation)処理を行ってMPR像を生成するものであっても構わない。
【0024】
表示部13は、例えばLCD(Lucid Crystal Display)ディスプレイや有機EL(Electro luminescence)ディスプレイ、あるいはブラウン管ディスプレイなどの任意のディスプレイにより構成される。表示部13は、医用画像生成部15から出力された超音波画像を表示する。あるいは、医用画像生成部15が超音波画像を表示する際の表示パラメータや、超音波プローブ20が超音波を送受信する際のパラメータなどを表示する。なお、表示部13はここに挙げたディスプレイに限られるものではない。例えば表示部13は、視差のある2つの画像を別々の偏光を持たせて表示することにより、オペレータにとって立体視可能ないわゆる3Dディスプレイとして構成しても構わない。またあるいは、超音波画像を表示するディスプレイとは別に、映像を投影可能なゴーグルを設けてこのゴーグルに付帯情報を投影するようにし、ディスプレイとゴーグルとを一体として表示部13を構成しても構わない。
【0025】
記憶部12は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ、及びHDD(Hard Disk Drive)などから構成される記憶媒体である。記憶部12はボリュームデータ生成部16が生成したボリュームデータや付帯情報生成部14が生成した付帯情報、あるいは医用画像生成部15が生成した超音波画像を記憶する。
【0026】
入力部11は、例えば機械的なボタン、ダイヤル、トラックボール、ジョイスティック、スライダやホイールなどの種々の操作デバイスを用いて構成され、オペレータの入力操作を受け付けて、入力操作を電気信号に変換してシステム制御部10へ出力する部材である。入力部11は受け付けた入力操作に応じて、例えば送受信部17に超音波の送受信の開始・停止を指示する指示信号の出力や、医用画像生成部15が超音波画像を生成する視点・視線方向・表示方向の設定、及び付帯情報生成部14が生成する付帯情報の設定を行う信号をシステム制御部10へ出力する。
【0027】
(付帯情報の座標入力)
付帯情報生成部14は、入力部11が受け付けた入力操作に応じて付帯情報の設定を行う。オペレータは例えば入力部11のキーボードを操作することにより、付帯情報中の「付帯情報ID」、「表示名」、「座標」の設定を行う。「座標」の設定はキーボードを用いて各座標の数値を直接入力する方法の他に、以下に述べる種々の方法によって設定することができる。
【0028】
例えば入力部11は、押し込み操作の可能なトラックボールを備えるものとする。付帯情報生成部14は、トラックボールを回転する操作に応じてx,y,zの3つの座標のうちx座標とy座標とを変更する。その一方で付帯情報生成部14は、トラックボールを押し込む操作に応じてz座標を変更する。
【0029】
また例えば入力部11は、トラックボールの周囲に回転操作を受け付けるダイヤルを備えるものとする。付帯情報生成部14は、トラックボールを回転する操作に応じてx座標とy座標とを変更する。その一方で付帯情報生成部14は、ダイヤルを回転する操作に応じてz座標を変更する。
【0030】
また例えば入力部11は、傾ける操作や、あるいは押しこむ操作が可能な棒状の部材であるジョイスティックを備えるものとする。付帯情報生成部14はジョイスティックを傾ける操作に応じてx座標とy座標を変更する。その一方で付帯情報生成部14は、ジョイスティックを押しこむ操作に応じてz座標を変更する。
【0031】
また例えば入力部11は、位置センサを内蔵したリモコンを備えるものとする。付帯情報生成部14は、位置センサによって検出されたリモコンとディスプレイとの位置関係に応じてx座標、y座標、及びz座標を変形する。オペレータはリモコンを手に持って、ディスプレイに対してリモコンを移動させることにより各座標の設定を行う。
【0032】
また例えば入力部11は、圧力センサを内蔵したタッチパネルを備えるものとする。付帯情報生成部14は、タッチパネル上で押圧操作を受け付けた座標情報に応じてx座標とy座標とを変更する。その一方で付帯情報生成部14は、タッチパネルが検出した押圧の強さに応じてz座標を変更する。
【0033】
また、付帯情報生成部14はx、y、z座標を各々設定する他に、ボリュームデータや表示部13に表示された超音波画像を用いて各座標を設定しても構わない。例えば付帯情報生成部14は、ボリュームデータを投影した超音波画像中でカーソルを移動させて各座標を指定してもよい。ボリュームデータを投影する視点・視線方向Sを変更しながらカーソルを移動させることにより、オペレータは3次元空間中の任意の位置にカーソルを移動させて各座標を指定する。
【0034】
また例えば付帯情報生成部14は、ボリュームデータを位置の異なる複数断面で再構成した断層像のうちいずれかの断層像上にカーソルを設置し、このカーソルを移動させて各座標を指定してもよい。
【0035】
(付帯情報の表示処理)
先に述べた各構成要素を用いて、医用画像診断装置1は付帯情報の重畳表示された超音波画像の表示を行う。図2は、付帯情報の重畳表示された超音波画像の表示を行う際の処理を示すフローチャートである。以下、図2に沿って超音波画像の表示処理について述べる。なお、超音波画像の表示処理に先立って、ボリュームデータ生成部16によるボリュームデータの生成と、付帯情報生成部14による付帯情報の生成が完了しているものとする。
【0036】
まず、医用画像診断装置1のオペレータが表示処理を開始する(ステップ1000)と、システム制御部10は記憶部12から超音波画像を生成する対象となるボリュームデータを読み出す(ステップ1001)。続いてシステム制御部10は記憶部12から、ステップ1001で読み出したボリュームデータに関連付けられている付帯情報を読み出す(ステップ1002)。
【0037】
システム制御部10がボリュームデータ及び付帯情報を読み出すと、システム制御部10は超音波画像を生成する際の視点及び視線方向の設定を待ち受ける(ステップ1003)。オペレータが入力部11を操作して視点及び視線方向の設定を行うと、医用画像生成部15は設定された視点及び視線方向からボリュームデータを投影した超音波画像を生成する(ステップ1004)。図3に、超音波プローブ20がスキャンした構造物100と、医用画像生成部15によって生成された超音波画像との関係を示す。例えば構造物100が略直方体形状であったとして、オペレータがこの構造物100の斜め上方向に視点・視線S(図3以降の図においては、視点及び視線を一体に表した矢印Sを視点・視線Sと記載して説明を行う)を設定したとすると、医用画像生成部15は構造物100を視点・視線Sから見た超音波画像を生成する。
【0038】
医用画像生成部15が超音波画像の生成を行うと、次に医用画像生成部15は、超音波画像に対して付帯情報を重畳する(ステップ1005)。図4にボリュームデータに関連付けられた付帯情報と、付帯情報の重畳された超音波画像との関係を示す。ここで、付帯情報は「付帯情報ID」、「表示名」、「座標」の3つの情報から構成されるものとする。図4の例において、付帯情報A1は座標(x1,y1,z1)として構造物100の上面に付加されている。なお、付帯情報A1の表示名は「symptom A1」である。また、付帯情報A2は座標(x2,y2,z2)として構造物100の前面に付加されている。なお、付帯情報A1の表明は「symptom A2」である。医用画像生成部15はステップ1004で生成した超音波画像上にこの付帯情報を重畳する。具体的には医用画像生成部15は超音波画像中において、構造物100上面の座標(x1,y1,z1)を指し示すように「symptom A1」を重畳し、また構造物100前面の座標(x2,y2,z2)を指し示すように「symptom A2」を重畳する。本実施形態においては、付帯情報として文字列を表示し、付帯情報が付された座標と文字列とを線分で結ぶ例を示すが、実施形態の構成はこれに限定されるものではない。例えば付帯情報として文字列の代わりに図形や医用画像などを重畳しても構わない。また、線分を省略して付帯情報が付された座標に対応する位置に文字列を重畳しても構わない。また、付帯情報が付された座標と文字列との間を曲線や矢印など任意の方法で結んで重畳しても構わない。
【0039】
医用画像生成部15が超音波画像に付帯情報を重畳すると、医用画像生成部15は生成した超音波画像中で、複数重畳された付帯情報の表示領域が重なるか否かを判断する(ステップ1006)。本実施形態において「重なる」とは、付帯情報として表示された文字列や、あるいは線分の表示領域が付帯情報間で重なった状態を言う。図5に、付帯情報が重なった状態の超音波画像を示す。図5に示すように視点・視線方向Sが下面から構造物100を見上げるように設定された場合は、医用画像生成部15は視点・視線方向Sに対応した超音波画像を生成する。このとき、付帯情報A2の付された面の裏側に付帯情報A1があるように視点・視線方向Sが設定されると、各面に付された付帯情報の表示領域が重なることとなる。
【0040】
医用画像生成部15が付帯情報の表示領域が重なると判断すると(ステップ1006のYes)、医用画像生成部15は表示領域の重なる付帯情報を抽出する(ステップ1007)。図5の例においては、付帯情報A1と付帯情報A2が表示領域の重なるものとして抽出される。
【0041】
医用画像生成部15は表示領域の重なる付帯情報を抽出すると、抽出した付帯情報と視点との間の距離を算出する。なお、医用画像生成部15は距離を算出する代わりに、記憶部12から距離情報を読み出しても構わない。そして、医用画像生成部15は抽出した付帯情報のうち視点から遠い側の付帯情報について、表示上の透明度が高くなるように制御する(ステップ1008)。本実施形態において「透明度が高くなる」とは、超音波画像を表示する際に付帯情報が半透明で表示され、付帯情報と表示領域の重なる超音波画像や付帯情報を透過して表示させる状態を指す。図5の例においては、設定された視点に対してより遠い付帯情報、すなわち超音波画像上でより奥側の座標に関連付けられた付帯情報A1の表示上の透明度が高くなるように表示される。なお、本実施形態の構成はここに述べるものに限られない。例えば医用画像生成部15は付帯情報の透明度を高くする代わりに、付帯情報の表示上の輝度を背景に近づけるように制御しても構わない。この場合、超音波画像の背景が黒色であるとすると、医用画像生成部15は付帯情報の輝度を下げるように制御する。あるいは、医用画像生成部15は付帯情報の透明度を高くする代わりに、付帯情報が重ならないような位置に視点・視線方向Sを再設定しても構わない。この場合、医用画像生成部15は付帯情報A1と付帯情報A2の表示領域が重ならなくなる位置に達するまで、例えばボリュームデータの中心を回転中心として視点・視線方向Sを回転移動させる。また例えば表示部13が3Dディスプレイであるとき、医用画像生成部15は視点に近い座標に関連付けられた付帯情報をより近い位置にあるかのように表示させ、視点から遠い座標に関連付けられた付帯情報をより遠い位置にあるかのように表示させ、且つ表示位置の重なる付帯情報に対して先に述べた透明度の制御処理を行っても構わない。
【0042】
医用画像生成部15が付帯情報の透明度を変化させるか、あるいは表示領域の重なる付帯情報がないと判断する(ステップ1006のNo)と、医用画像生成部15は表示部13に付帯情報を重畳した超音波画像を出力して、表示部13に超音波画像を表示させる(ステップ1009)。
【0043】
表示部13が超音波画像を表示すると、システム制御部10は超音波画像を生成する際の視点及び視線方向の変更入力を待ち受ける(ステップ1011)。オペレータが入力部11を用いて視点・視線方向Sを再設定する操作を行った場合は(ステップ1011のYes)、システム制御部10はステップ1003の処理に戻って処理を繰り返す。一方オペレータが視点・視線方向Sを再設定する操作を行わない場合は(ステップ1011のNo)、システム制御部10は処理を終了する(ステップ1012)。
【0044】
以上の処理により、実施形態の医用画像診断装置1は表示領域の重なる付帯情報について、視点から遠い位置にある付帯情報の表示上の透明度を低くするように制御する。この動作により、オペレータは付帯情報の3次元的な位置関係を容易に把握することができる。また、付帯情報の表示領域が重なる場合であっても、オペレータは重なった付帯情報のうちどの付帯情報が視点に対して近い座標に対して付されているかを容易に把握することができる。また、オペレータは視点に対して近い座標に対して付された付帯情報を容易に視認することができる。
【0045】
(第1の変形例)
次に、医用画像診断装置1の第1の変形例について述べる。第1の変形例における第1の実施形態との違いは、図6に示すように文字列と座標とを結ぶ線分の代わりに角度情報を有する矢印を表示する点である。以下、図6を用いて第1の変形例について詳しく述べる。
【0046】
第1の変形例において付帯情報は「付帯情報ID」、「表示名」、「座標」に加えて「角度」、「長さ」の5つの情報を有する。「角度」、「長さ」の情報は、付帯情報の付された座標と文字列とを結ぶ矢印を表示するために用いられる。「角度」は例えば(θ1、φ1)のように2つの角度情報を組み合わせて構成される。θはボリュームデータ上でz軸方向を0度とする、z軸に対する矢印の傾き角度を示す。一方φはボリュームデータ上でx軸を0度とする、z軸を回転中心とする矢印の傾き角度を示す。θとφの2つの角度情報を定義することにより、矢印の3次元空間における方向が決定される。また、「長さ」は例えばR1のように1つのスカラ量により定義される。「長さ」の値は3次元空間における矢印の長さが決定される。
【0047】
先に述べた「座標」、「角度」、「長さ」の3つの情報により、医用画像生成部15は3次元空間中の矢印の位置、方向、及び長さを一意に決定する。医用画像生成部15は設定された視点・視線方向Sから構造物100及びこの矢印を投影した超音波画像を生成する。図6に示すように、付帯情報は文字列と矢印とを組み合わせて表示される。医用画像生成部15は、付帯情報を付した座標を先端として他端に文字列を付した態様で付帯情報を表示する。矢印は3次元空間中で位置、方向、及び座標が一意に定められているため、視点・視線方向Sが変更されたとしても矢印は構造物100に対して決まった角度で表示されることとなる。この動作により、オペレータは付帯情報の3次元的な位置関係を容易に把握することができる。また、オペレータは付帯情報が構造物100のどの面に対して付されたかを容易に把握することができる。
【0048】
なお、第1の変形例は第1の実施形態で説明した透明度の制御処理と組み合わせて実施することができる。つまり、視点・視線方向Sの設定により付帯情報A1と付帯情報A2との矢印あるいは文字列の表示領域が重なる場合には、医用画像生成部15は視点から遠い位置にある付帯情報の透明度を上げるように制御する。結果として、視点から遠い位置にある付帯情報の文字列及び矢印は、透明度が高い状態で超音波画像中に表示される。
【0049】
(第2の変形例)
次に、医用画像診断装置1の第2の変形例について述べる。第2の変形例における第1の実施形態との違いは、図7に示すように文字列及び線分が角度情報を有し、視点・視線方向Sに応じて傾いて表示される点である。以下、図7を用いて第2の変形例について詳しく述べる。
【0050】
第2の変形例において付帯情報は「付帯情報ID」、「表示名」、「座標」に加えて「角度」の4つの情報を有する。「角度」の情報は、文字列と線分の表示方向を定めるために用いられる。「角度」は第1の変形例で述べたのと同じように、例えば(θ1、φ1)のように2つの角度情報を組み合わせて構成される。θとφの2つの角度情報を定義することにより、文字列及び線分の3次元空間における表示方向が決定される。
【0051】
先に述べた「座標」及び「角度」の情報に基づいて、医用画像生成部15は3次元空間中の文字列及び線分の位置、及び表示方向を一意に決定する。図7の付帯情報A2に示すように、視点・視線方向Sの設定に応じて付帯情報の表示角度は変化する。一方、図7の付帯情報A1に示すように、付帯情報の表示方向に対して直交する位置に視点・視線方向Sを設定した場合には、付帯情報A1は超音波画像に対して傾くことなく正面から表示される。
【0052】
この動作により、オペレータは付帯情報の3次元的な位置関係を容易に把握することができる。また、オペレータは付帯情報が構造物100のどの面に対して付されたかを容易に把握することができる。また、特定部位が観察しやすい視点・視線方向Sにおいて、付帯情報が正面から見えるように付帯情報の角度情報を設定しておく。これにより、後から視点・視線方向Sの設定を行ない超音波画像を生成するときに、付帯情報が正面から見えるような視点・視線方向Sを設定することで同時に特定部位を観察しやすい向きで表示させることができる。
【0053】
なお、第2の変形例は第1の実施形態で説明した透明度の制御処理と組み合わせて実施することができる。つまり、視点・視線方向Sの設定により付帯情報A1と付帯情報A2の線分あるいは文字列の表示領域が重なる場合には、医用画像生成部15は視点から遠い位置にある付帯情報の透明度を上げるように制御する。結果として、視点から遠い位置にある付帯情報の線分及び文字列は、透明度が高い状態で超音波画像中に表示される。
【0054】
(第3の変形例)
次に、医用画像診断装置1の第3の変形例について述べる。第3の変形例における第1の実施形態との違いは、図8に示すように構造物100及び付帯情報が色付されて表示される点である。以下、図8を用いて第3の変形例について詳しく述べる。なお、第3の変形例において構造物100はボクセルデータの異なる2つの構造物から構成されるものとして述べる。
【0055】
第3の変形例において付帯情報は「付帯情報ID」、「表示名」、「座標」に加えて「色」の4つの情報を有する。「色」の情報は、超音波画像中の付帯情報及び構造物100を色付け表示するために用いられる。例えば図8中で付帯情報A1の「色」はBlueとして設定されている。この場合、医用画像生成部15は超音波画像中で付帯情報の色を青色に色付けして表示する。付帯情報の色付け方法としては、例えば文字列の背景を青色に色付しても構わないし、あるいは文字列自体の表示色を青色に色付けしても構わない。また、線分にも同様の色付けを施しても構わない。更に、医用画像生成部15は付帯情報A1の付された構造物100にも青色の色付けを施す。具体的には、医用画像生成部15は付帯情報A1の付された座標におけるボクセルデータのボクセル値と類似するボクセル値を有するボクセルデータを抽出し、該ボクセルデータに対して青色の色付けを施して投影処理を行う。ボクセル値が類似するか否かの判断は、例えば付帯情報A1の付された座標におけるボクセル値と判断するボクセル値との絶対値の差分が、予め定められた閾値以下であるか否かによって行われる。例えば構造物100があるボクセル値を持つL字状の構造物と、別のボクセル値を持つ直方体状の構造物から構成されるとする。付帯情報A1がL字状の構造物におけるある座標に対して付され、付帯情報A2が直方体状の構造物におけるある座標に対して付されたとすると、医用画像生成部15はL字状の構造物を付帯情報A1の色情報に対応する青色で、直方体状の構造物を付帯情報A2の色情報に対応する赤色で投影処理した超音波画像を生成する。
【0056】
なお、本実施形態において医用画像生成部15は類似するボクセル値を持つボクセルデータに対して色付けを施すと述べたが、実施形態の構成はこれに限られるものではない。例えば類似するボクセル値を持ち、且つ付帯情報の付された座標から事前に定められたある距離範囲内にあるボクセルデータにのみ色付けを施しても構わない。あるいは、付帯情報の付された座標におけるボクセル値よりも大きなボクセル値を持つ全てのボクセルデータに対して色付けを施しても構わない。あるいは、付帯情報の付された座標を起点として、入力部11が受け付けた入力操作に基づいて任意の範囲のボクセルデータに対する色付けを行っても構わない。
【0057】
この動作により、オペレータは付帯情報の3次元的な位置関係を容易に把握することができる。また、オペレータは付帯情報が構造物100上のどの領域を指しているかを容易に把握することができる。この動作は、例えば心臓に接続する冠状動脈などの入り組んだ構造物に対して付帯情報を付す際に、付帯情報の指す領域を明確に区別する上で有効である。
【0058】
なお、第3の変形例は第1の実施形態で説明した透明度の制御処理と組み合わせて実施することができる。つまり、視点・視線方向Sの設定により付帯情報A1と付帯情報A2の線分あるいは文字列の表示領域が重なる場合には、医用画像生成部15は視点から遠い位置にある付帯情報の透明度を上げるように制御する。結果として、視点から遠い位置にある付帯情報の線分及び文字列は、透明度が高い状態で超音波画像中に表示される。
【0059】
(第4の変形例)
次に、医用画像診断装置1の第4の変形例について述べる。第4の変形例における第1の実施形態との違いは、図9に示すように超音波画像の表示領域外にある付帯情報を表示する点である。以下、図9を用いて第4の変形例について詳しく述べる。
【0060】
第4の変形例において、医用画像生成部15は超音波画像の表示領域外にある付帯情報を表示する。具体的には、付帯情報の付された座標が超音波画像に表示面に対してどの方向にあるかを示す矢印を表示し、矢印と併せて付帯情報に付された「表示名」を表示する。図9に示すように、視点・視線方向Sが構造物100に対して近い位置に設定された場合には、構造物100が超音波画像中で大きく表示され、構造物100の上面に付された付帯情報A1が超音波画像の表示領域内に収まらない事態が考えられる。医用画像生成部15はこのような場合に、付帯情報A1の座標が視点・視線方向Sによって定まる超音波画像の表示面に対してどの方向にあるのかを算出する。方向を算出すると、医用画像生成部15は超音波画像の枠内にこの方向を指し示す矢印を表示する。また、医用画像生成部15は付帯情報A1の「表示名」に対応する「symptom A1」を矢印と併せて表示する。なお、実施形態の構成はこれに限られるものではない。例えば医用画像生成部15は視点・視線方向Sによって定まる超音波画像の表示面と付帯情報A1の座標との関係から方向を算出する代わりに、超音波プローブ20内に装着した空間中の位置を取得する位置センサと付帯情報A1の付された座標との関係から方向を算出しても構わない。
【0061】
この動作により、オペレータは付帯情報の3次元的な位置関係を容易に把握することができる。また、オペレータは付帯情報の表示領域が超音波画像の表示領域外に位置する場合であっても、超音波画像の表示面に対して付帯情報がどの方向にあるかを把握することができる。
【0062】
なお、第4の変形例は第1の実施形態で説明した透明度の制御処理と組み合わせて実施することができる。つまり、視点・視線方向Sの設定により、付帯情報A2と矢印と併せて表示された付帯情報A1との表示領域が重なる場合には、医用画像生成部15は矢印と併せて表示された付帯情報A1の透明度を上げるように制御する。結果として、超音波画像の表示領域外にある付帯情報は、透明度が高い状態で超音波画像中に表示される。
【0063】
(第5の変形例)
次に、医用画像診断装置1の第5の変形例について述べる。第5の変形例における第1の実施形態との違いは、表示部13が平面像を表示するディスプレイに加えて、図形や文字を表示するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)から構成される点である。また、HMDの画像表示面は透過性の材質によって構成され、HMDを装着したオペレータはHMDを通してディスプレイや医用画像診断装置1の入力部11などを視認することができる。医用画像生成部15は表示部13を構成するディスプレイ中にボリュームデータを投影した投影像を表示するように制御し、またHUDの画像表示面中に付帯情報を投影して表示するように制御する。
【0064】
第5の変形例においてHMDは、HMDの画像表示面の位置及び方向、及びディスプレイの画像表示面の位置及び方向を検出する位置センサを内蔵して構成される。HMDの表示面内に平面像を表示するディスプレイがあると位置センサが検出すると、医用画像生成部15はHMD内で、ディスプレイの画像表示面中に付帯情報が重なるように、付帯情報の表示位置を制御する。
【0065】
この動作により、HMDを装着したオペレータにはディスプレイ上にボリュームデータを投影した超音波画像と、ボリュームデータに関する付帯情報とを重畳したものを視認できる。その一方で、HMDを装着しない患者などにとってディスプレイ上にはボリュームデータを投影した超音波画像のみを視認し、付帯情報を視認することができない。従って、医用画像診断装置1のオペレータにのみ治療に必要な付帯情報を表示することができ、HMDを装着しない患者などに対して不要な情報を表示してしまう事態を避けることができる。
【0066】
なお、第5の変形例は第1の実施形態で説明した透明度の制御処理と組み合わせて実施することができる。つまり、視点・視線方向Sの設定により付帯情報A1と付帯情報A2の線分あるいは文字列の表示領域が重なる場合には、医用画像生成部15はHUDの表示面内において視点から遠い位置にある付帯情報の透明度を上げるように制御する。結果として、視点から遠い位置にある付帯情報の文字列及び矢印は、透明度が高い状態で超音波画像中に表示される。
【0067】
(第6の変形例)
次に、医用画像診断装置1の第6の変形例について述べる。第6の変形例における第1の実施形態との違いは、超音波画像の表示色に応じて付帯情報の表示色を変化させる点である。以下、図10を用いて第6の変形例について詳しく述べる。
【0068】
第6の変形例において、医用画像生成部15は入力部11の入力操作に応じてボリュームデータを投影処理した超音波画像の表示色を変化させる。この表示色の変化は、例えばボリュームデータ中の空洞などを強調表示するため超音波画像の白黒を反転させることにより行われる。ここで、医用画像生成部15は白黒反転した超音波画像に合わせて付帯情報の表示色を白黒反転させる。この場合は図10に示すように、付帯情報は線分及び文字列の表示色が白色として表示される。
【0069】
この動作により、医用画像生成部15は超音波画像の表示色の変更に合わせて付帯情報の表示色を変更することで、付帯情報を見やすい色で重畳表示することができる。なお、実施形態の構成はこれに限定されるものではない。例えば医用画像生成部15は超音波画像の表示色が変更されたときに、付帯情報の表示色を変更する代わりに付帯情報の線分のみの表示色を変更し、且つ付帯情報の文字列を超音波画像の表示領域の外へ移動させても構わない。またあるいは医用画像生成部15は超音波画像の表示色が変更されたときに、文字列の表示色と超音波画像中の画素の色とが最も異なる領域に文字列の表示領域を移動して表示しても構わない。なお、表示色の変更された超音波画像及び重畳表示される付帯情報の表示色は、入力部11が受け付けた入力操作に応じて変更前に表示色を戻すことができる。
【0070】
なお、第6の変形例は第1の実施形態で説明した透明度の制御処理と組み合わせて実施することができる。つまり、視点・視線方向Sの設定により付帯情報A1と付帯情報A2との矢印あるいは文字列の表示領域が重なる場合には、医用画像生成部15は視点から遠い位置にある付帯情報の透明度を上げるように制御する。結果として、視点から遠い位置にある付帯情報の文字列及び矢印は、透明度が高い状態で超音波画像中に表示される。
【0071】
なお、以上に本発明の実施形態及び変形例について述べたが、医用画像診断装置1は各実施形態及び変形例を組み合わせて動作するものであっても構わない。また入力部11が受け付けた入力操作に応じて、第1の実施形態あるいは各変形例のうちいずれの動作を行うかを選択するものであっても構わない。また実施形態において超音波画像はBモード信号あるいはドプラ信号に基づいて生成されると述べたが、THI(Third Harmonic Imaging)信号やエラストグラフィ信号、ストレイン信号などの種々の信号に基づいてボリュームデータを生成するものであっても構わない。
【0072】
以上に本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 医用画像診断装置
10 システム制御部
11 入力部
12 記憶部
13 表示部
14 付帯情報生成部
15 医用画像生成部
16 ボリュームデータ生成部
17 送受信部
18 Bモード処理部
19 ドプラ処理部
20 超音波プローブ
21 超音波振動子
100 構造物
S 視点・視線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の視点から3次元のボリュームデータを投影した医用画像を取得する医用画像取得手段と、
前記ボリュームデータの3次元座標に関連付けられた複数の付帯情報を取得する付帯情報取得手段と、
前記視点と前記複数の付帯情報それぞれとの距離を読み取る距離読取手段と、
前記距離に基づいて前記複数の付帯情報の透明度あるいは輝度を制御して、前記複数の付帯情報を前記医用画像に重畳して表示する付帯情報表示手段と
を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記付帯情報表示手段は、
前記複数の付帯情報のうち前記医用画像中で表示領域の少なくとも一部が重なる前記複数の付帯情報について、前記輝度あるいは前記透明度の制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記付帯情報表示手段は、
前記視点との距離が小さい前記付帯情報に比して、前記視点との距離が大きい前記付帯情報の透明度を高く、若しくは輝度を低くするよう制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記付帯情報取得手段は、前記3次元座標に加えて3次元座標系に対する角度情報と関連付けられた前記複数の付帯情報を取得するものであって、
前記付帯情報表示手段は、前記視点と前記角度情報に基づいて、前記付帯情報の表示方向を傾けるよう制御して前記複数の付帯情報を前記医用画像に重畳表示する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記付帯情報取得手段は、前記3次元座標に加えて色情報と関連付けられた前記複数の付帯情報を取得するものであって、
前記医用画像取得手段は、前記付帯情報が関連付けられた3次元座標に基づいて、前記色情報に対応した色に色付された前記医用画像を取得し、
前記付帯情報表示手段は、前記複数の付帯情報を前記色情報に応じて色づけして前記医用画像に重畳表示する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
所定の視点から3次元のボリュームデータを投影した医用画像を取得するステップと、
前記ボリュームデータの3次元座標と関連付けられた複数の付帯情報を取得するステップと、
前記視点と前記複数の付帯情報それぞれとの距離を算出するステップと、
前記距離に基づいて前記複数の付帯情報あるいは輝度を制御して、前記複数の付帯情報を前記医用画像に重畳して表示するステップと
からなることを特徴とする医用画像診断装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−75645(P2012−75645A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223206(P2010−223206)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】