説明

医用画像診断装置及び制御プログラム

【課題】穿刺針を用いた焼灼治療に有効な治療支援データの生成
【解決手段】医用画像診断装置100は、焼灼治療計画時において収集したボリュームデータに基づいて前記治療対象領域に対する焼灼計画領域を設定する焼灼計画領域設定機能と穿刺針刺入時において収集したボリュームデータに基づいて焼灼治療用穿刺針による焼灼領域を設定する焼灼領域設定機能を有する入力部13と、前記焼灼計画領域を示す焼灼計画領域データと前記焼灼領域を示す焼灼領域データ生成する焼灼領域データ生成部8と、前記ボリュームデータに基づいて画像データを生成する画像データ生成6と、前記焼灼計画領域データ及び前記焼灼領域データを前記画像データに重畳することにより治療支援データを生成する治療支援データ生成部11と、前記治療支援データを表示する表示部12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、患者の治療対象領域を含む3次元領域から収集されたボリュームデータに基づいて前記治療対象領域の焼灼治療に有効な治療支援データの生成と表示を可能にする医用画像診断装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルスを被検体内に放射し、生体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を前記振動素子により受信して種々の生体情報を収集するものである。複数の振動素子に供給する駆動信号や前記振動素子から得られる受信信号の遅延時間を制御することにより超音波の送受信方向や集束点を電子的に制御することが可能な近年の超音波診断装置では、超音波プローブの先端部を体表面に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの画像データを容易に観察することができるため、生体臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
一方、近年では、このような超音波診断装置をはじめとする医用画像診断装置によって得られた画像データの観察下で患者の病巣部(以下では、治療対象領域と呼ぶ。)に穿刺針を刺入し、この穿刺針の先端部より放射されるマイクロ波やラジオ波により前記治療対象領域を焼灼治療する方法が開発され、特にラジオ波を照射して治療対象領域を凝固させる、所謂、ラジオ波焼灼療法(RFA:Radio Frequency Ablation)は、局所的な焼灼領域を簡便かつ確実に制御することが可能なため肝腫瘍等の治療法として不可欠なものになりつつある。
【0004】
例えば、超音波画像データの観測下で治療対象領域に対する焼灼治療を行なう場合、穿刺針は、超音波プローブと一体化して設けられた穿刺用アダプタに取り付けられ、治療対象領域と共に表示される穿刺針の超音波画像データによって治療対象領域あるいはその近傍領域における穿刺針先端部の位置を確認しながら患者に対する穿刺針の刺入が行われる。
【0005】
又、穿刺針と超音波プローブに設けられた位置検出器によって得られる各々の位置情報に基づいて穿刺針の挿入位置や挿入方向を示す穿刺針データ(穿刺ガイド)を生成し、治療対象領域の超音波画像データに重畳して表示することにより更に正確な穿刺針の刺入を可能とする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−58584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、通常の穿刺針は十分な硬度を有していないため、例えば、刺入経路における生体組織の硬さが不均一な場合には、穿刺針データ等によって予め設定された刺入方向とは異なる方向へ刺入され、特に、体表から治療対象部位までの距離が長い場合や体動を伴う場合等においては、治療対象領域の中心部に穿刺針の先端部を配置することは極めて困難となる。
【0008】
そして、このような理由によって穿刺針の先端部が治療対象領域の中心部から離れて刺入された場合、当該焼灼治療を担当する医療従事者(以下では、操作者と呼ぶ。)は、治療対象領域の全てが含まれるように焼灼領域を拡大させた状態で焼灼治療を続行するか、あるいは、治療対象部位に対する穿刺針の刺入をやり直すかの判断を行なわなくてはならないが、このような判断を正確かつ短時間で行なうための医療情報を上述した従来の方法から得ることは困難であるという問題点を有していた。
【0009】
このような問題点に対する暫定的な解決方法としては、本来焼灼すべき領域に対して余裕を持たせた焼灼領域を設定する等の方法がとられてきたが、焼灼領域の広がりに伴って多くの正常組織が焼灼されてしまうという問題点も有していた。
【0010】
本開示は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、患者の治療対象領域に対して焼灼治療を行なう際、その先端部が治療対象領域あるいはその近傍に刺入された焼灼治療用穿刺針による焼灼領域を焼灼治療前に表示することにより、安全かつ効率のよい焼灼治療を支援することが可能な医用画像診断装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本開示の実施形態における医用画像診断装置は、患者の治療対象領域を含む3次元領域から収集したボリュームデータに基づいて前記治療対象領域の焼灼治療を支援する医用画像診断装置であって、焼灼治療計画時において収集したボリュームデータに基づいて前記治療対象領域に対する焼灼計画領域を設定する焼灼計画領域設定手段と、穿刺針刺入時において収集したボリュームデータあるいは前記ボリュームデータを所定の投影面に投影して生成した画像データに基づいて焼灼治療用穿刺針による焼灼領域を設定する焼灼領域設定手段と、前記焼灼計画領域を示す焼灼計画領域データと前記焼灼領域を示す焼灼領域データを前記ボリュームデータに基づいて生成した画像データに重畳することにより治療支援データを生成する治療支援データ生成手段と、前記治療支援データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態における医用画像診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の医用画像診断装置が備える送受信部及び受信信号処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態の超音波プローブに対する座標系と超音波送受信方向の関係を説明するための図。
【図4】本実施形態の医用画像診断装置が備えるボリュームデータ生成部の具体的な構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態の医用画像診断装置が備える画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図。
【図6】本実施形態の穿刺用アダプタに装着されるRFA穿刺針の具体的な構造を示す図。
【図7】本実施形態の治療支援データ生成部によって生成される第1の治療支援データの具体例を示す図。
【図8】本実施形態の治療支援データ生成部によって生成される第3の治療支援データの具体例を示す図。
【図9】本実施形態の表示部に表示される第1の治療支援データの具体例を示す図。
【図10】本実施形態における焼灼計画領域データの生成/表示手順を示すフローチャート。
【図11】本実施形態における焼灼領域の評価手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0014】
(実施形態)
以下に述べる本実施形態の医用画像診断装置では、先ず、焼灼治療計画時に当該患者から収集されたボリュームデータに基づいて治療対象部位に対する焼灼計画領域を設定し、次いで、穿刺針刺入時のボリュームデータに基づいて検出したRAF穿刺針の先端部を中心とし上述の焼灼計画領域に内接する焼灼領域を設定する。 次いで、前記焼灼計画領域を示す焼灼計画領域データと前記焼灼領域を示す焼灼領域データとの形状比に基づいて焼灼計画領域に対する焼灼領域の良否を評価する。 そして、穿刺針刺入時のボリュームデータに基づいて生成された所定断面のMPR画像データに上述の焼灼計画領域データ及び焼灼領域データを重畳し、更に、焼灼領域の評価結果を付加することにより前記治療対象領域の焼灼治療に有効な治療支援データを生成する。
【0015】
尚、以下の実施形態では、焼灼治療用穿刺針としてRFA穿刺針を用いる場合について述べるが、他の焼灼治療用穿刺針を用いて治療対象領域に対する焼灼治療を行なってもよい。又、当該患者に対する超音波送受信によって収集されたボリュームデータに基づいて治療支援データを生成する場合について述べるが、X線撮影やMRI撮影等の他の撮影手段によって収集されたボリュームデータに基づいて治療支援データの生成を行なってもよい。
【0016】
更に、複数個の振動素子が2次元配列された所謂2次元アレイ超音波プローブを用いて収集されたボリュームデータに基づいて治療支援データを生成する場合について述べるが、これに限定されるものではなく、例えば、複数個の振動素子が1次元配列された超音波プローブを機械的に移動あるいは回動させて収集したボリュームデータに基づいて上述の治療支援データを生成してもよい。
【0017】
(装置の構成及び機能)
本実施形態における医用画像診断装置の構成と機能につき図1乃至図9を用いて説明する。尚、図1は、医用画像診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、この医用画像診断装置が備える送受信部及び受信信号処理部の具体的な構成を示すブロック図である。又、図4及び図5は、上述の医用画像診断装置が備えるボリュームデータ生成部及び画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す本実施形態の医用画像診断装置100は、RFA穿刺針15の刺入前(焼灼治療計画時)あるいは刺入中(穿刺針刺入時)における患者体内の3次元領域に対して送信超音波(超音波パルス)を放射し、この送信超音波により前記3次元領域から得られた受信超音波(超音波反射波)を電気的な受信信号に変換する複数個の振動素子を備えた超音波プローブ2と、前記3次元領域の所定方向に対して送信超音波を放射するための駆動信号を上述の振動素子へ供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部3と、整相加算後の受信信号を信号処理してBモードデータを生成する受信信号処理部4と、超音波の送受信方向単位で得られたBモードデータに基づいてボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部5と、このボリュームデータに対し所定の処理を行なって3次元画像データ及びMPR画像データを生成する画像データ生成部6を備えている。
【0019】
又、医用画像診断装置100は、超音波プローブ2に装着されたRFA穿刺針15から供給される位置信号に基づいてRFA穿刺針15の位置情報を検出する穿刺針位置情報検出部7と、焼灼治療計画時において設定された治療対象領域の中心部(以下では、治療中心と呼ぶ)に基づいて所定形状の焼灼計画領域データを生成し、更に、穿刺針刺入時において検出されたRFA穿刺針15の先端位置情報に基づいて最大焼灼領域データ及び焼灼領域データを生成する焼灼領域データ生成部8と、焼灼計画領域データと焼灼領域データとの比較結果に基づいてRFA穿刺針15による焼灼領域の良否を評価する焼灼領域評価部9と、焼灼治療計画時の治療対象領域に対して設定された焼灼計画領域の中心と穿刺針刺入時において前記治療対象領域あるいはその近傍に刺入されたRFA穿刺針15の先端部との距離(以下では、穿刺針先端距離と呼ぶ。)を計測する穿刺針先端距離計測部10と、焼灼治療計画時において生成された所定断面のMPR画像データに焼灼計画領域データを重畳することによって第1の治療支援データを生成し、穿刺針刺入時において生成された所定断面のMPR画像データに最大焼灼領域データ及び焼灼計画領域データを重畳した第2の治療支援データや前記MPR画像データに最大焼灼領域データ、焼灼計画領域データ及び焼灼領域データを重畳し、穿刺針先端距離の計測結果や焼灼領域の評価結果を付加した第3の治療支援データを生成する治療支援データ生成部11を備え、更に、上述の3次元画像データ、MPR画像データ及び第1乃至第3の治療支援データを表示する表示部12と、治療中心の設定、焼灼計画領域の設定、焼灼領域の設定、各種指示信号の入力等を行なう入力部13と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部14を備えている。
【0020】
超音波プローブ2は、2次元配列されたN個(N=N1×N2)の図示しない振動素子をその先端部に有し、この先端部を患者の体表に接触させて超音波の送受信を行なう。そして、前記振動素子の各々は、図示しないNチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部3に接続されている。これらの振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には駆動信号(電気パルス)を送信超音波(超音波パルス)に変換し、受信時には受信超音波(超音波反射波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。又、超音波プローブ2の側面には、当該焼灼治療に用いるRFA穿刺針15の刺入方向を設定すると共に前記刺入方向に対しスライド自在に保持する穿刺用アダプタ21が備えられている。
【0021】
この超音波プローブ2には、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、操作者は、診断部位に応じて任意に選択することが可能であるが、本実施形態では、N本の振動素子が2次元配列されているセクタ走査用の超音波プローブ2を用いた場合について述べる。
【0022】
次に、図2に示す送受信部3は、超音波プローブ2の振動素子に対して駆動信号を供給する送信部31と、前記振動素子から得られたNチャンネルの受信信号に対して整相加算を行なう受信部32を備えている。
【0023】
送信部31は、レートパルス発生器311と、送信遅延回路312と、駆動回路313を備え、レートパルス発生器311は、送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを生成して送信遅延回路312に供給する。送信遅延回路312は、送信超音波を所定の深さに集束するための集束用遅延時間と送信超音波を所定の方向に送信するための偏向用遅延時間を上記レートパルスに与え、このレートパルスを駆動回路313へ供給する。そして、駆動回路313は、送信遅延回路312と同数のNチャンネルの独立な駆動回路を有し、超音波プローブ2に内蔵されたN個の振動素子を駆動して患者の体内へ送信超音波を放射する。
【0024】
一方、受信部32は、Nチャンネルから構成されるA/D変換器321及び受信遅延回路322と、加算器323を備えており、振動素子から供給されたNチャンネルの受信信号は、A/D変換器321にてデジタル信号に変換され、受信遅延回路322に送られる。受信遅延回路322は、所定の深さからの受信超音波を集束するための集束用遅延時間と所定方向に対して受信指向性を設定するための偏向用遅延時間をA/D変換器321から出力されるNチャンネルの受信信号の各々に与え、加算器323は、受信遅延回路322から供給される受信信号を加算する。即ち、受信遅延回路322と加算器323により、所定方向から得られた受信信号は整相加算(即ち、所定方向からの受信超音波に対応した受信信号の位相を合わせて加算合成)される。
【0025】
図3は、超音波プローブ2の中心軸をr軸とした直交座標系(p−q−r)に対する超音波の送受信方向(θp、φq)を示しており、例えば、N個の振動素子はp軸方向及びq軸方向に2次元配列され、θp及びφqは、p−r平面及びq−r平面に投影された送受信方向を示している。
【0026】
図2へ戻って、受信信号処理部4は、包絡線検波器411と対数変換器412を備え、包絡線検波器411は、受信部32の加算器323から供給された整相加算後の受信信号を包絡線検波し、対数変換器412は、包絡線検波された受信信号の振幅を対数変換してBモードデータを生成する。尚、包絡線検波器411と対数変換器412は順序を入れ替えて構成してもよい。
【0027】
次に、ボリュームデータ生成部5は、図4に示すように超音波データ記憶部51、補間処理部52及びボリュームデータ記憶部53を備え、超音波データ記憶部51には、当該患者に対する超音波3次元走査によって得られた受信信号に基づいて受信信号処理部4が生成したBモードデータが、システム制御部14から供給される送受信方向(θp、φq)の情報を付帯情報として順次保存される。
【0028】
一方、補間処理部52は、超音波データ記憶部51から読み出したBモードデータを送受信方向(θp、φq)に対応させて配列することにより3次元超音波データを形成し、更に、この3次元超音波データに対し補間処理等を行なってボリュームデータを生成する。そして、得られたボリュームデータは、ボリュームデータ記憶部53に保存される。
【0029】
次に、図1に示した画像データ生成部6の具体的な構成につき図5を用いて説明する。図5の画像データ生成部6は、焼灼治療計画時にボリュームデータ生成部5から供給されるボリュームデータに基づいて3次元画像データを生成する3次元画像データ生成部61と、焼灼治療計画時及び穿刺針刺入時にボリュームデータ生成部5から供給されるボリュームデータに基づいて所定断面のMPR画像データを生成するMPR画像データ生成部62と、上述の3次元画像データ及びMPR画像データを保存する画像データ記憶部63を備え、3次元画像データ生成部61は、ボリュームデータ補正部611、不透明度・色調設定部612及びレンダリング処理部613を有している。
【0030】
ボリュームデータ補正部611は、ボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から供給されるボリュームデータのボクセル値を予め設定された3次元表示用の視線ベクトルと臓器境界面に対する法線ベクトルとの内積値に基づいて補正し、不透明度・色調設定部612は、補正されたボクセル値に基づいて不透明度や色調を設定する。そして、レンダリング処理部613は、不透明度・色調設定部612によって設定された不透明度及び色調に基づいて上述のボリュームデータをレンダリング処理し3次元画像データを生成する。
【0031】
即ち、3次元画像データ生成部61が備える各ユニットは、焼灼治療計画時に収集されたボリュームデータに対し上述の処理を行なうことによって治療中心の設定を目的とした3次元画像データを生成する。
【0032】
一方、MPR画像データ生成部62は、図5に示すようにMPR断面形成部621とボクセル抽出部622を有し、MPR断面形成部621は、入力部13から供給される治療中心の設定情報や穿刺針位置情報検出部7から供給されるRFA穿刺針15の位置情報等に基づいて第1のMPR断面乃至第3のMPR断面を形成する。
【0033】
ボクセル抽出部622は、ボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から供給される焼灼治療計画時のボリュームデータ及び穿刺針刺入時のボリュームデータの各々に対して上述のMPR断面を設定し、これらのMPR断面に存在する前記ボリュームデータのボクセルを抽出することによってMPR画像データを生成する。
【0034】
例えば、上述のMPR断面形成部621は、焼灼治療計画時に生成された3次元画像データに基づいて入力部13が設定した治療中心を含み図3のp−r平面あるいはq−r平面に平行な第1のMPR断面を形成し、更に、上述の治療中心を含み第1のMPR断面に対して互いに直交する第2のMPR断面及び第3のMPR断面を形成する。そして、ボクセル抽出部622は、ボリュームデータ記憶部53から供給される焼灼治療計画時のボリュームデータに対して第1のMPR断面乃至第3のMPR断面を設定し、これらのMPR断面に存在するボクセルを抽出することによって第1の治療支援データに用いるMPR画像データを生成する。
【0035】
更に、MPR断面形成部621は、穿刺針刺入時に穿刺針位置情報検出部7から供給されるRFA穿刺針15の先端位置情報やRFA穿刺針全体の位置や方向が示された位置情報を受信する。次いで、RFA穿刺針15の位置情報に基づき、当該患者の体内に刺入されたRFA穿刺針15と焼灼計画領域の中心とが含まれる第1のMPR断面を形成し、更に、焼灼計画領域の中心あるいはRFA穿刺針15の先端部を含み第1のMPR断面に対して互いに直交する第2のMPR断面及び第3のMPR断面を形成する。そして、ボクセル抽出部622は、ボリュームデータ記憶部53から供給される穿刺針刺入時のボリュームデータに対して第1のMPR断面乃至第3のMPR断面を設定し、これらのMPR断面に存在するボクセルを抽出することによって第2の治療支援データ及び第3の治療支援データに用いるMPR画像データを生成する。
【0036】
次に、穿刺針位置情報検出部7は、超音波プローブ2の穿刺用アダプタ21においてスライド自在に装着されているRFA穿刺針15の先端部に設けられた位置センサ153からの位置信号に基づいて治療対象領域あるいはその近傍に刺入されたRFA穿刺針15の先端位置情報を検出し、更に、この先端位置情報と刺入直前におけるRFA穿刺針15の先端位置情報あるいは穿刺用アダプタ21の端部位置情報等に基づいてRFA穿刺針15の位置や方向を示す位置情報を検出する。
【0037】
焼灼領域データ生成部8は、図示しない焼灼パターン保管部、焼灼パターン処理部及び焼灼領域データ記憶部を備え、焼灼パターン保管部には、各種のRFA穿刺針に対応した基本焼灼パターンが穿刺針識別情報を付帯情報として予め保管されている。
【0038】
一方、焼灼パターン処理部は、焼灼治療計画時に入力部13からシステム制御部14を介して供給されるRFA穿刺針15の選択情報を受信し、上述の焼灼パターン保管部に保管されている各種基本焼灼パターンの中からRFA穿刺針15に対応した基本焼灼パターンを上述の選択情報に含まれている穿刺針識別情報に基づいて抽出する。次いで、表示部12に表示されたMPR画像データにおける治療対象領域の領域情報(治療対象領域の中心位置(治療中心)、サイズ、形状等)に基づいて入力部13から供給される処理指示信号に従い、上述の基本焼灼パターンに対し縮小/伸長/回転等の処理を行なって当該治療対象領域に対応した焼灼計画領域データを生成する。そして、得られた焼灼計画領域データは、その中心位置情報を付帯情報として焼灼領域データ記憶部に保存される。
【0039】
又、焼灼パターン処理部は、穿刺針位置情報検出部7によって検出された穿刺針刺入時におけるRFA穿刺針15の先端位置情報を受信し、焼灼領域データ記憶部から読み出した焼灼計画領域データの中心をRFA穿刺針15の先端位置に配置した後所定の大きさに拡大することによって最大焼灼領域データを生成する。そして、得られた最大焼灼領域データは、その中心位置情報を付帯情報として焼灼領域データ記憶部に保存される。尚、このとき、焼灼パターン処理部によって生成される最大焼灼領域データの大きさは、別途設置された焼灼治療装置からRFA穿刺針15へ供給される焼灼エネルギーの最大値やRFA穿刺針15に設けられた後述の展開針152の形状等によって決定される。
【0040】
更に、焼灼パターン処理部は、表示部12に表示された穿刺針刺入時のMPR画像データに示されている焼灼計画領域データ及び最大焼灼領域データに基づいて入力部13から供給される焼灼領域設定指示信号に従い、焼灼領域データ記憶部から読み出した最大焼灼領域データに対し縮小処理を行なうことによって焼灼領域データを生成する。そして、得られた焼灼領域データは、上述の焼灼計画領域データ及び最大焼灼領域データと同様にしてその中心位置情報を付帯情報として焼灼領域データ記憶部に保存される。尚、焼灼パターン処理部は、焼灼計画領域データの一部が最大焼灼領域データに内接するように前記最大焼灼領域データに対する縮小処理を行なうことが望ましいが、特に限定されない。
【0041】
次に、焼灼領域評価部9は、図示しない領域データ計測部と計測データ比較部を備えている。そして、領域データ計測部は、焼灼領域データ生成部8の焼灼領域データ記憶部から読み出した焼灼計画領域データ及び焼灼領域データの体積、半径、直径等を計測し、更に、これらの計測結果に基づいて焼灼計画領域データに対する焼灼領域データの体積比、半径比、直径比等(以下では、これらを纏めて形状比と呼ぶ。)を計測する。一方、計測データ比較部は、領域データ計測部によって計測された上述の形状比と所定の閾値αとを比較することによって焼灼計画領域に対する焼灼領域の良否を評価する。
【0042】
穿刺針先端距離計測部10は、焼灼領域データ生成部8の焼灼領域データ記憶部から供給される焼灼計画領域データと穿刺針位置情報検出部7から供給されるRFA穿刺針15の先端位置情報を受信する。そして、穿刺針刺入時において治療対象領域あるいはその近傍に刺入されたRFA穿刺針15の先端部と焼灼治療計画時に設定された焼灼計画領域あるいはその中心との距離(穿刺針先端距離)を計測する。
【0043】
次に、治療支援データ生成部11は、焼灼治療計画時のボリュームデータに基づいて画像データ生成部6のMPR画像データ生成部62が生成した所定断面(例えば、MPR断面形成部621によって形成された焼灼計画領域の中心を含み図3のp−r平面あるいはq−r平面に平行な第1のMPR断面)のMPR画像データに焼灼領域データ生成部8の焼灼領域データ記憶部から読み出した焼灼計画領域データを重畳して第1の治療支援データを生成する。
【0044】
又、治療支援データ生成部11は、穿刺針刺入時のボリュームデータに基づいてMPR画像データ生成部62が生成した所定断面(例えば、RFA穿刺針15と焼灼計画領域の中心とが含まれる第1のMPR断面)のMPR画像データに焼灼領域データ生成部8の焼灼領域データ記憶部から読み出した焼灼計画領域データ及び最大焼灼領域データを重畳して第2の治療支援データを生成し、更に、前記MPR画像データに対する焼灼計画領域データ、最大焼灼領域データ及び焼灼領域データの重畳と、穿刺針先端距離の計測結果、焼灼領域の評価結果及びRFA穿刺針15の位置情報(後述の穿刺針データ)の付加によって第3の治療支援データを生成する。
【0045】
但し、治療支援データ生成部11による第2の治療支援データの生成と表示部12に対する表示は、穿刺針刺入時におけるRFA穿刺針15の先端位置と焼灼計画領域あるいは最大焼灼領域と焼灼計画領域との間で所定の表示条件が満たされている場合に限定される。例えば、穿刺針刺入時におけるRFA穿刺針15の先端部が焼灼計画領域の内部に存在する場合、あるいは、焼灼計画領域の全てが最大焼灼領域の内部に含まれる場合、治療支援データ生成部11は、穿刺針刺入時のMPR画像データに上述の最大焼灼領域データ及び焼灼計画領域データを重畳して第2の治療支援データを生成する。
【0046】
次に、表示部12は、図示しない表示データ生成部、データ変換部及びモニタを備えている。表示データ生成部は、画像データ生成部6において生成された3次元画像データやMPR画像データあるいは治療支援データ生成部11において生成された第1の治療支援データ乃至第3の治療支援データを所定の表示フォーマットに変換して表示データを生成し、データ変換部は、前記表示データに対してD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行なってモニタに表示する。
【0047】
一方、入力部13は、操作パネル上に表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン、入力ボタン等の入力デバイスを備え、患者情報の入力、RFA穿刺針15の選択、ボリュームデータ生成条件の設定、治療中心の設定、焼灼計画領域の設定、焼灼領域の設定、閾値αの設定、更には、各種指示信号の入力等を行なう。
【0048】
システム制御部14は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部13において入力/設定/選択された上述の各種情報は記憶回路に保存される。一方、CPUは、上述の各種情報を用いて医用画像診断装置100が備える各ユニットを統括的に制御することにより当該患者の治療対象部位に対する3次元超音波走査を行ない、このとき得られた焼灼治療計画時のボリュームデータ及び穿刺針刺入時のボリュームデータに基づいて焼灼治療計画や焼灼治療に有効な各種治療支援データの生成と表示を実行させる。
【0049】
次に、超音波プローブ2の穿刺用アダプタ21に装着されたRFA穿刺針15の構造につき図6を用いて説明する。尚、図6(a)は、後述する展開針152が展開する前のRFA穿刺針15を、又、図6(b)は、展開針152が展開したRFA穿刺針15を夫々示している。即ち、RFA穿刺針15は、当該患者の体内へ経皮的に刺入される中空構造を有した針状のハンドピース151と、このハンドピース151の中央部に収納された状態で体内へ挿入され、その先端部から治療対象領域を取り囲むように展開される複数本の展開針152と、ハンドピース151の先端部に取り付けられた位置センサ153と、別途設置された焼灼治療装置の駆動部から展開針152へ所定周波数(例えば、500KHz)の交流電流を供給するリード線154と、位置センサ153において検出された位置信号を穿刺針位置情報検出部7へ供給する図示しない信号線を備えている。
【0050】
そして、上述の交流電流によって駆動された展開針152は、その先端部から同一周波数のラジオ波を照射することによって治療対象領域に対する焼灼治療を行ない、穿刺針位置情報検出部7は、位置センサ153から供給される上述の位置信号に基づいてRFA穿刺針15の先端位置情報を検出する。尚、図6では、4本の展開針152を備えるRFA穿刺針15について示しているが、通常のラジオ波焼灼療法では8本乃至10本の展開針を有したRFA穿刺針が用いられる。
【0051】
次に、治療支援データ生成部11において生成される第1の治療支援データ及び第3の治療支援データの具体例につき図7及び図8を用いて説明する。
【0052】
図7は、治療支援データ生成部11が焼灼治療計画時に生成した第1の治療支援データの具体例を示したものであり、この第1の治療支援データCa1には、画像データ生成部6のMPR画像データ生成部62が、焼灼治療計画時のボリュームデータに治療対象領域の中心Poを含みp−r平面に平行な第1のMPR断面Sa1を設定することによって生成したMPR画像データDa1と、焼灼領域データ生成部8がMPR画像データDa1に示された治療対象領域B1に対して生成した焼灼計画領域データB2が含まれ、上述のMPR画像データDa1に焼灼計画領域データB2を重畳することにより第1のMPR断面Sa1における第1の治療支援データCa1が生成される。又、第1のMPR断面Sa1に対して互いに直交する第2のMPR断面Sa2及び第3のMPR断面Sa3における第1の治療支援データDa2及びDa3(図示せず)も同様の手順によって生成される。
【0053】
一方、図8は、治療支援データ生成部11が穿刺針刺入時に生成した第3の治療支援データの具体例を示したものであり、この第3の治療支援データCb1には、MPR画像データ生成部62が、穿刺針位置情報検出部7から供給されるRFA穿刺針15の位置情報に基づいた穿刺針データGoと焼灼計画領域B2の中心Poとが含まれる第1のMPR断面Sb1を穿刺針刺入時のボリュームデータに設定することによって生成したMPR画像データDb1と、焼灼領域データ生成部8が、RFA穿刺針15の先端部Pxを中心として生成した最大焼灼領域データAm及び焼灼領域データAxが含まれている。
【0054】
即ち、上述のMPR画像データDb1に最大焼灼領域データAm及び焼灼領域データAxを重畳し、焼灼領域評価部9から供給される焼灼領域の評価結果E1や穿刺針先端距離計測部10から供給される穿刺針先端距離の計測結果E2、更には、穿刺針位置情報検出部7からシステム制御部14を介して供給されるRFA穿刺針15の位置情報に対応した穿刺針データGoや先端位置情報に対応した先端部Px等を付加することにより第1のMPR断面Sb1における第3の治療支援データDb1が生成される。又、第1のMPR断面Sb1に対して互いに直交する第2のMPR断面Sb2及び第3のMPR断面Sb3における第3の治療支援データDb2及びDb3(図示せず)も同様の手順によって生成される。
【0055】
尚、図8では、既に述べたように、治療対象領域B1あるいはその近傍に刺入されたRFA穿刺針15の先端部Pxが焼灼計画領域データB2の内部に含まれた時点、あるいは、焼灼計画領域データB2の全領域が最大焼灼領域データAmの内部に含まれた時点において、MPR画像データDb1に最大焼灼領域データAmと焼灼計画領域データB2が重畳された第2の治療支援データ(図示せず)の表示が開始される。
【0056】
そして、最大焼灼領域データAxと焼灼計画領域データB2をMPR画像データDb1に重畳させて生成された上述の第2の治療支援データにおいて最大焼灼領域データAxが焼灼計画領域データB2に対して著しく大きい場合、焼灼領域データ生成部8は、入力部13から供給される設定情報に従い、焼灼計画領域データB2に内接するまで最大焼灼領域データAmに対する縮小処理を行なうことにより治療対象領域B1の焼灼治療に好適な焼灼領域(即ち、病巣部の全てを焼灼し、正常組織に対する損傷の拡大を防止することが可能な焼灼領域)を示す焼灼領域データAxを生成する。
【0057】
次に、表示部12のモニタに表示される第1の治療支援データの具体例につき図9を用いて説明する。表示部12に対する第1の治療支援データの表示において、例えば、モニタの左上領域には、MPR画像データ生成部62が焼灼治療計画時のボリュームデータに対し第1のMPR断面Sa1を設定することによって生成したMPR画像データDa1に焼灼領域データ生成部8がMPR画像データDa1の治療対象領域B1(図示せず)に対して生成した焼灼計画領域データB2が重畳された第1の治療支援データCa1(図7参照)が示されている。
【0058】
又、モニタの右上領域には、焼灼治療計画時のボリュームデータに対し第2のMPR断面Sa2を設定することによって生成されたMPR画像データDa2に焼灼計画領域データB2が重畳された第1の治療支援データCa2が示され、モニタの左下領域には、焼灼治療計画時のボリュームデータに対し第3のMPR断面Sa3を設定することによって生成されたMPR画像データDa3に焼灼計画領域データB2が重畳された第1の治療支援データCa3が示されている。
【0059】
一方、焼灼治療用治療支援データの表示におけるモニタの左上領域には、例えば、MPR画像データ生成部62が穿刺針刺入時のボリュームデータに対し第1のMPR断面Sb1を設定することによって生成したMPR画像データDb1に焼灼領域データ生成部8が生成した最大焼灼領域データAM及び焼灼領域データAxが重畳された第3の治療支援データCb1(図8参照)が示されている。
【0060】
又、モニタの右上領域には、穿刺針刺入時のボリュームデータに対し第2のMPR断面Sb2を設定することによって生成されたMPR画像データDa2に最大焼灼領域データAM及び焼灼領域データAxが重畳された図示しない第3の治療支援データCb2が、更に、モニタの左下領域には、穿刺針刺入時のボリュームデータに対し第3のMPR断面Sb3を設定することによって生成されたMPR画像データDb3に最大焼灼領域データAM及び焼灼領域データAxが重畳された図示しない第3の治療支援データCb3が夫々示されている。
【0061】
(焼灼計画領域データの生成/表示手順)
次に、本実施形態における焼灼計画領域データの生成/表示手順につき図10のフローチャートに沿って説明する。当該患者に対するボリュームデータの収集に先立ち、医用画像診断装置100の操作者は、入力部13において患者情報を入力し、更に、RFA穿刺針15の選択、ボリュームデータ生成条件の設定、閾値αの設定等を行なう。そして、入力部13における上述の入力情報、選択情報及び設定情報は、システム制御部14の記憶回路に保存される(図10のステップS1)。
【0062】
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、超音波プローブ2を当該患者の所定部位に配置した状態でボリュームデータ収集開始指示信号を入力部13において入力し(図10のステップS2)、この指示信号がシステム制御部14へ供給されることにより、当該患者の治療対象領域を含んだ3次元領域に対するボリュームデータの収集が開始される。
【0063】
ボリュームデータの収集に際し、図2に示した送信部31のレートパルス発生器311は、システム制御部14からの制御信号に従って生成したレートパルスを送信遅延回路312へ供給する。送信遅延回路312は、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに超音波を集束するための遅延時間と最初の送受信方向(θ1、φ1)に超音波を送信するための遅延時間を前記レートパルスに与え、このレートパルスをNチャンネルの駆動回路313へ供給する。次いで、駆動回路313は、送信遅延回路312から供給されたレートパルスに基づいて所定の遅延時間と形状を有した駆動信号を生成し、この駆動信号を超音波プローブ2において2次元配列されたN個の振動素子へ供給して患者体内に送信超音波を放射する。
【0064】
放射された送信超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる臓器境界面や組織にて反射し、前記振動素子によって受信されてNチャンネルの電気的な受信信号に変換される。次いで、この受信信号は、受信部32のA/D変換器321においてデジタル信号に変換された後、Nチャンネルの受信遅延回路322において所定の深さからの受信超音波を収束するための遅延時間と送受信方向(θ1、φ1)からの受信超音波に対し強い受信指向性を設定するための遅延時間が与えられ、加算器323にて整相加算される。
【0065】
一方、整相加算後の受信信号が供給された受信信号処理部4の包絡線検波器411及び対数変換器412は、この受信信号に対して包絡線検波と対数変換を行なってBモードデータを生成し、得られたBモードデータは送受信方向(θ1、φ1)の情報を付帯情報としてボリュームデータ生成部5の超音波データ記憶部51に保存される。
【0066】
送受信方向(θ1、φ1)に対するBモードデータの生成と保存が終了したならば、超音波の送受信方向がφ方向にΔφずつ更新されたφq=φ1+(q−1)Δφ(q=2乃至Q)によって設定される送受信方向(θ1、φ2乃至φQ)に対して超音波送受信を行ない、更に、送受信方向がθ方向にΔθずつ更新されたθp=θ1+(p−1)Δθ(p=2乃至P)によって設定される送受信方向θ2乃至θPの各々に対し上述のφ1乃至φQの超音波送受信を繰り返すことによって3次元走査が行なわれる。そして、これらの超音波送受信によって得られたBモードデータも上述の送受信方向を付帯情報としてボリュームデータ生成部5の超音波データ記憶部51に保存される。
【0067】
次いで、ボリュームデータ生成部5は、超音波データ記憶部51から読み出したBモードデータを送受信方向(θp、φq)に対応させて配列することにより3次元超音波データを形成し、更に、この3次元超音波データに対し補間処理等を行なってボリュームデータを生成する。そして、得られたボリュームデータを自己のボリュームデータ記憶部53に保存する(図10のステップS3)。
【0068】
次に、画像データ生成部6は、ボリュームデータ生成部5のボリュームデータ記憶部53から供給されるボリュームデータのボクセル値を予め設定された3次元表示用の視線ベクトルと臓器境界面に対する法線ベクトルとの内積値に基づいて補正し、補正後のボクセル値に基づいて不透明度や色調を設定する。次いで、得られた不透明度及び色調に基づいて上述のボリュームデータをレンダリング処理し3次元画像データを生成する。そして、得られた3次元画像データを表示部12のモニタに表示する(図10のステップS4)。
【0069】
一方、表示部12に表示された3次元画像データを観測した操作者は、入力部13の入力デバイスを用いて上述の3次元画像データにおける治療対象部位の中心(治療中心)を設定する(図10のステップS5)。
【0070】
次に、入力部13からシステム制御部14を介して上述の設定情報を受信した画像データ生成部6のMPR画像データ生成部62は、この治療中心を含みp−r平面あるいはq−r平面(図3参照)に平行な第1のMPR断面を形成し、更に、治療中心を含み第1のMPR断面に対して互いに直交する第2のMPR断面及び第3のMPR断面を形成する(図10のステップS6)。そして、ボリュームデータ記憶部53から供給されたボリュームデータに対して第1のMPR断面乃至第3のMPR断面を設定し、このMPR断面に存在するボクセルを抽出することによって生成したMPR画像データを表示部12に表示する(図10のステップS7)。
【0071】
次に、焼灼領域データ生成部8は、システム制御部14から供給されたRFA穿刺針15の選択情報を受信し、自己の焼灼パターン保管部に予め保管されている各種基本焼灼パターンの中からRFA穿刺針15に対応する基本焼灼パターンを上述の選択情報に含まれている穿刺針識別情報に基づいて抽出する。次いで、表示部12に表示されたMPR画像データにおける治療対象領域の領域情報(治療対象領域の中心位置(治療中心)、サイズ、形状等)に基づいて入力部13から供給される処理指示信号に従い、上述の基本焼灼パターンに対し縮小/拡大/回転等の処理を行なって治療対象領域の焼灼治療に好適な焼灼計画領域データを生成する(図10のステップS8)。そして、得られた焼灼計画領域データを自己の焼灼領域データ記憶部に保存する。
【0072】
次いで、治療支援データ生成部11は、上述のステップS7においてMPR画像データ生成部62が生成した第1のMPR断面乃至第3のMPR断面におけるMPR画像データに焼灼領域データ生成部8が生成した焼灼計画領域データを重畳して第1の治療支援データ)を生成し、得られた第1の治療支援データを表示部12のモニタに表示する(図10のステップS9)。
【0073】
(焼灼領域の評価手順)
次に、本実施形態における焼灼領域の評価手順につき図11のフローチャートに沿って説明する。
【0074】
図10のステップS9における第1の治療支援データの表示によりMPR画像データに重畳された焼灼計画領域データを観察した操作者は、超音波プローブ2の穿刺用アダプタ21に装着されたRFA穿刺針15の刺入方向と焼灼計画領域データの中心とが交差するように穿刺用アダプタ21の位置や傾斜角度を設定し(図11のステップS11)、この穿刺用アダプタ21に沿ってRFA穿刺針15を当該患者の体内へ刺入する(図11のステップS12)。
【0075】
一方、穿刺針位置情報検出部7は、患者の体内に刺入されたRFA穿刺針15の先端部に設けられている位置センサ153からの位置信号を受信する。そして、この位置信号に基づいて当該患者の治療対象領域あるいはその近傍に刺入されたRFA穿刺針15の先端位置情報を検出し、更に、この先端位置情報と刺入直前におけるRFA穿刺針15の先端位置情報に基づいてRFA穿刺針15の位置や方向を示す位置情報を検出する(図11のステップS13)。
【0076】
次に、焼灼領域データ生成部8は、穿刺針位置情報検出部7によって検出されたRFA穿刺針15の先端位置情報を受信する。次いで、自己の焼灼領域データ記憶部から読み出した焼灼計画領域データの中心をRFA穿刺針15の先端位置に配置し、更に、この焼灼計画領域データを焼灼治療装置の焼灼エネルギーに対応させて拡大処理することにより最大焼灼領域データを生成する(図11のステップS14)。そして、得られた最大焼灼領域データを前記焼灼領域データ記憶部に保存する。
【0077】
このとき得られたRFA穿刺針15の先端位置情報あるいは最大焼灼領域データが所定の表示条件(即ち、RFA穿刺針15の先端部が焼灼計画領域の内部に存在、あるいは、焼灼計画領域の全てが最大焼灼領域の内部に包含)を満たしているならば、画像データ生成部6のMPR画像データ生成部62は、例えば、焼灼計画領域の中心とRFA穿刺針15とが含まれる第1のMPR断面及びこの第1のMPR断面に対して互いに直交する第2のMPR断面及び第3のMPR断面を形成し、図10のステップS3と同様の手順によって収集した穿刺針刺入時のボリュームデータに対して上述のMPR断面を設定することにより各々の断面におけるMPR画像データを生成する。
【0078】
そして、治療支援データ生成部11は、MPR画像データ生成部62が生成したMPR画像データの各々に焼灼領域データ生成部8の焼灼領域データ記憶部から読み出した焼灼計画領域データと上述の最大焼灼領域データを重畳して第2の治療支援データを生成し、表示部12に表示する(図11のステップS15)。
【0079】
一方、上述の表示条件が満たされていない場合、MPR画像データに対する最大焼灼領域データの重畳表示は行なわれず、ステップS12乃至ステップS14の手順が繰り返される。
【0080】
上述のステップS15において第2の治療支援データの表示が行なわれたならば、穿刺針先端距離計測部10は、焼灼領域データ生成部8の焼灼領域データ記憶部から供給される焼灼計画領域データと穿刺針位置情報検出部7から供給されるRFA穿刺針15の先端位置情報を受信し、治療対象領域あるいはその近傍に刺入されたRFA穿刺針15の先端部と焼灼治療計画時に設定された焼灼計画領域あるいはその中心との距離(穿刺針先端距離)を計測する(図11のステップS16)。そして、このとき得られた穿刺針先端距離の計測結果は、上述の第2の治療支援データに付加されて表示部12に表示される。
【0081】
一方、操作者は、第2の治療支援データの観測下で上述の穿刺針先端距離が最小値を示すまでRFA穿刺針15の刺入を継続して行ない、その位置が更新されたRFA穿刺針15の先端部に対してステップS13乃至ステップS16の手順が繰り返される。そして、穿刺針先端距離が最小となる位置にRFA穿刺針15の先端部が固定されたならば、焼灼領域データ生成部8は、表示部12に表示された最大焼灼領域データに基づいて入力部13から供給される焼灼領域設定指示信号に従い、自己の焼灼領域データ記憶部から読み出した最大焼灼領域データを縮小処理することによって焼灼領域データを生成する。そして、得られた焼灼領域データを前記焼灼領域データ記憶部に保存する(図11のステップS17)。
【0082】
一方、焼灼領域評価部9は、上述の焼灼領域データ記憶部から読み出した焼灼計画領域データ及び焼灼領域データの体積、半径、直径等を計測し、更に、これらの計測結果に基づいて焼灼計画領域データに対する焼灼領域データの形状比を計測する。そして、この形状比と所定の閾値αとを比較することによって焼灼計画領域に対する焼灼領域の良否を評価する(図11のステップS18)。
【0083】
次に、治療支援データ生成部11は、MPR画像データ生成部62が穿刺針刺入時のボリュームデータに基づいて生成したMPR画像データに焼灼領域データ生成部8の焼灼領域データ記憶部から読み出した焼灼計画領域データ、最大焼灼領域データ及び焼灼領域データを重畳し、更に、焼灼領域の評価結果や穿刺針先端距離の計測結果等を付加して第3の治療支援データを生成する。そして、得られた第3の治療支援データは表示部12に表示される(図11のステップS19)。
【0084】
次いで、操作者は、この第3の治療支援データに示された焼灼計画領域データに対する焼灼領域データの位置関係や焼灼領域の評価結果を観測し、十分な評価結果が得られない場合、即ち、患者の体内に刺入されたRFA穿刺針15の刺入位置や刺入方向が焼灼治療計画時に設定された焼灼計画領域に対して望ましくない場合には、RFA穿刺針15を再刺入した後(図11のステップS20)、上述のステップS13乃至ステップS19を繰り返し実行させる。
【0085】
一方、十分な評価結果が得られた場合、第3の治療支援データに示された焼灼領域データの大きさに基づいて別途設置された焼灼治療装置の焼灼エネルギーを設定し、当該患者の治療対象領域に対する焼灼治療を開始する。
【0086】
以上述べた本実施形態によれば、当該患者の治療対象領域に対しRFA穿刺針を用いた焼灼治療を行なう際、前記治療対象領域に対して焼灼治療計画時に設定した焼灼計画領域と穿刺針刺入時にその先端部を前記治療対象領域あるいはその近傍に刺入したRFA穿刺針による焼灼領域が示された治療支援データ(第3の治療支援データ)を焼灼治療前に表示することにより、安全かつ効率のよい焼灼治療を支援することができる。
【0087】
特に、穿刺針刺入時に収集された当該患者のボリュームデータに基づいて生成された所定断面のMPR画像データに前記焼灼計画領域を示す焼灼計画領域データと前記焼灼領域を示す焼灼領域データを重畳して上述の治療支援データを生成することにより、治療対象領域に対する焼灼計画領域及び焼灼領域の位置や形状等を正確に把握することができる。
【0088】
又、焼灼計画領域や治療対象領域の形状に対応させて焼灼領域が設定されるため、病巣部の全てを焼灼し正常組織に対する損傷の拡大を防止することが可能となる。又、別途設置された焼灼治療装置からRFA穿刺針へ供給される焼灼エネルギーの大きさを上述の治療支援データに示された焼灼領域データの大きさ等に基づいて容易かつ正確に設定することができる。
【0089】
更に、焼灼計画領域データと焼灼領域データとの形状比等に基づいて焼灼計画領域に対する焼灼領域の良否を定量的に評価することが可能となり、良好な評価結果が得られない場合にはRFA穿刺針の再刺入を即座に実施することができるため、効率のよい焼灼治療が可能となるのみならず操作者や患者に対する負担を軽減することができる。
【0090】
以上、本開示の実施形態について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施形態では、焼灼治療用穿刺針としてRFA穿刺針15を用いる場合について述べたが、他の焼灼治療用穿刺針を用いて治療対象領域に対する焼灼治療を行なってもよい。
【0091】
又、当該患者に対する超音波送受信によって収集されたボリュームデータに基づいて治療支援データを生成する場合について述べたが、X線撮影やMRI撮影等の他の撮影手段によって収集されたボリュームデータに基づいて治療支援データの生成を行なってもよい。
【0092】
更に、複数個の振動素子が2次元配列された超音波プローブ2を用いて収集したボリュームデータに基づいて焼灼治療に有効な治療支援データを生成する場合について述べたが、複数個の振動素子が1次元配列された超音波プローブを機械的に移動あるいは回動させることによって収集したボリュームデータに基づいて治療支援データを生成してもよい。又、上述のボリュームデータは、超音波プローブ2からの受信信号を処理して得られたBモードデータに基づいて生成する場合について述べたが、前記受信信号のドプラ成分を検出することによって得られるカラードプラデータ等の他の超音波データに基づいて生成しても構わない。
【0093】
又、焼灼治療計画時及び穿刺針刺入時のボリュームデータにおける第1のMPR断面乃至第3のMPR断面にて生成された3つのMPR画像データに、焼灼計画領域、最大焼灼領域及び焼灼領域を示す領域データを重畳して第1の治療支援データ乃至第3の治療支援データを生成する場合について述べたが、領域データが重畳されるMPR画像データは3つに限定されるものではなく、例えば、焼灼治療計画時あるいは穿刺針刺入時における第1のMPR断面にて生成されたMPR画像データに上述の領域データを重畳することによって各々の治療支援データを生成してもよい。
【0094】
一方、上述の実施形態における焼灼領域データ生成部8は、予め設定された最大焼灼領域データを入力部13から供給される指示信号に基づいて縮小処理することにより当該治療対象領域の焼灼治療に好適な焼灼領域データを生成する場合について述べたが、好適な焼灼領域データを得るための縮小処理は自動的に行なうことも可能である。
【0095】
又、MPR画像データに最大焼灼領域データと焼灼計画領域データを重畳して第2の治療支援データを生成する場合について述べたが、RFA穿刺針15の穿刺針データ(図8参照)を更に付加して第2の治療支援データを生成してもよい。又、最大焼灼領域データや穿刺針先端距離の計測結果を重畳せずに第3の治療支援データを生成しても構わない。更に、焼灼領域データの大きさによって一義的に決定される焼灼エネルギーを算出する焼灼エネルギー算出部を新たに備え、この焼灼エネルギー算出部によって算出された当該焼灼治療に好適な焼灼エネルギーの値を第3の治療支援データに含めて表示してもよい。この焼灼エネルギー値の表示により、焼灼治療装置に対する焼灼エネルギーの設定が更に容易となる。
【0096】
更に、患者の体内に存在する1つの治療対象領域に対して1つの焼灼計画領域及び焼灼領域を設定する場合について述べたが、複数個の小さな治療対象領域が近接して存在する場合等にはこれらの治療対象領域を囲む焼灼計画領域及び焼灼領域を設定してもよい。このような焼灼計画領域及び焼灼領域の設定により複数の治療対象領域に対する焼灼治療を略同時に行なうことが可能となり、治療効率が大幅に改善される。
【0097】
又、上述の実施形態における焼灼領域評価部9は、焼灼計画領域データ及び焼灼領域データの体積、半径、直径等を計測し、更に、これらの計測結果に基づいた焼灼計画領域データに対する焼灼領域データの体積比、半径比、直径比等の形状比と所定の閾値αとを比較することによって焼灼領域の評価を行なう場合について述べたが、焼灼計画領域データに対する焼灼領域データの体積差、半径差、直径差等の形状差と所定閾値との比較によって上述の評価を行なっても構わない。
【0098】
又、上述の実施形態では、穿刺針刺入時におけるRFA穿刺針15の先端位置と焼灼計画領域あるいは最大焼灼領域と焼灼計画領域との間で所定の表示条件が満たされた場合に最大焼灼領域データの表示を行なう場合について述べたが、穿刺針刺入時には最大焼灼領域データを常時表示し、上述の表示条件が満たされた場合には、この最大焼灼領域データを異なる輝度や色調によって表示してもよい。
【0099】
更に、上述の実施形態では、穿刺針刺入時において収集したボリュームデータに基づいて焼灼治療用穿刺針による焼灼領域を設定する場合について述べたが、前記ボリュームデータを所定の投影面に投影して生成した画像データに基づいて上述の焼灼領域を設定してもよい。
【0100】
尚、本実施形態の医用画像診断装置100に含まれる各ユニットは、例えば、CPU、RAM、磁気記憶装置、入力装置、表示装置等で構成されるコンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。例えば、医用画像診断装置100の各ユニットを制御するシステム制御部14は、上記のコンピュータに搭載されたCPU等のプロセッサに所定の制御プログラムを実行させることにより各種機能を実現することができる。この場合、上述の制御プログラムをコンピュータに予めインストールしてもよく、又、コンピュータ読み取りが可能な記憶媒体への保存あるいはネットワークを介して配布された制御プログラムのコンピュータへのインストールであっても構わない。
【0101】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
2…超音波プローブ
21…穿刺用アダプタ
3…送受信部
31…送信部
32…受信部
4…受信信号処理部
5…ボリュームデータ生成部
6…画像データ生成部
7…穿刺針位置情報検出部
8…焼灼領域データ生成部
9…焼灼領域評価部
10…穿刺針先端距離計測部
11…治療支援データ生成部
12…表示部
13…入力部
14…システム制御部
15…RFA穿刺針
151…ハンドピース
152…展開針
153…位置センサ
154…リード線
100…医用画像診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の治療対象領域を含む3次元領域から収集したボリュームデータに基づいて前記治療対象領域の焼灼治療を支援する医用画像診断装置において、
焼灼治療計画時において収集したボリュームデータに基づいて前記治療対象領域に対する焼灼計画領域を設定する焼灼計画領域設定手段と、
穿刺針刺入時において収集したボリュームデータあるいは前記ボリュームデータを所定の投影面に投影して生成した画像データに基づいて焼灼治療用穿刺針による焼灼領域を設定する焼灼領域設定手段と、
前記焼灼計画領域を示す焼灼計画領域データと前記焼灼領域を示す焼灼領域データを前記ボリュームデータに基づいて生成した画像データに重畳することにより治療支援データを生成する治療支援データ生成手段と、
前記治療支援データを表示する表示手段とを
備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記焼灼計画領域データと前記焼灼領域データの形状比あるいは形状差に基づいて前記焼灼計画領域に対する前記焼灼領域の良否を評価する焼灼領域評価手段を備え、前記治療支援データ生成手段は、前記焼灼計画領域データ及び前記焼灼領域データを重畳した前記画像データに前記焼灼領域の評価結果を付加することにより前記治療支援データを生成することを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記焼灼領域評価手段は、前記焼灼計画領域データと前記焼灼領域データの形状比あるいは形状差と所定の閾値との比較結果に基づいて前記焼灼計画領域に対する前記焼灼領域の良否を評価することを特徴とする請求項2記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記焼灼治療用穿刺針の先端位置情報を検出する穿刺針位置情報検出手段と前記焼灼領域データを生成する焼灼領域データ生成手段を備え、前記焼灼領域データ生成手段は、前記先端位置情報と前記焼灼治療用穿刺針の焼灼能力に基づいて生成した所定形状の最大焼灼領域データを縮小処理することにより前記焼灼計画領域データに対応した前記焼灼領域データを生成することを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記焼灼領域データ生成手段は、前記焼灼計画領域データを囲むように生成した前記最大焼灼領域データを縮小処理することにより前記焼灼領域データを生成することを特徴とする請求項4記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記焼灼治療用穿刺針の先端部と前記焼灼計画領域データあるいはその中心との距離を穿刺針先端距離として計測する穿刺針先端距離計測手段を備え、前記焼灼領域データ生成手段は、前記穿刺針先端距離の計測値が最小となる位置に刺入された前記焼灼治療用穿刺針の先端部を中心として生成した前記最大焼灼領域データを縮小処理することにより前記焼灼領域データを生成することを特徴とする請求項4記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記焼灼治療用穿刺針の先端部が前記焼灼計画領域の内部に存在する場合、あるいは、前記焼灼計画領域の全てが前記最大焼灼領域に含まれる場合、前記表示手段は、前記画像データに少なくとも前記焼灼計画領域データと前記最大焼灼領域データを重畳して生成された前記治療支援データを表示することを特徴とする請求項4記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記焼灼治療用穿刺針の先端部が前記焼灼計画領域の内部に存在する場合、あるいは、前記焼灼計画領域の全てが前記最大焼灼領域に含まれる場合、前記表示手段は、前記画像データに重畳された前記最大焼灼領域データを異なる輝度あるいは色調によって表示することを特徴とする請求項4記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
前記穿刺針位置情報検出手段は、前記焼灼治療用穿刺針の先端部に設けられた位置センサから供給される位置信号に基づいて前記焼灼治療用穿刺針の先端位置情報を検出することを特徴とする請求項4記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記ボリュームデータに基づいて所定断面のMPR画像データを生成する画像データ生成手段を備え、前記焼灼領域データ生成手段は、前記焼灼計画領域データと前記焼灼領域データを前記MPR画像データに重畳することにより前記治療支援データを生成することを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記焼灼領域データの大きさに基づいて前記治療対象領域の焼灼治療に必要な焼灼エネルギーを算出する焼灼エネルギー算出手段を備え、前記治療支援データ生成手段は、前記焼灼エネルギーの算出結果を前記画像データに付加することにより前記治療支援データを生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した医用画像診断装置。
【請求項12】
患者の治療対象領域を含む3次元領域から収集したボリュームデータに基づいて前記治療対象領域の焼灼治療を支援する医用画像診断装置に対し、
焼灼治療計画時において収集したボリュームデータに基づいて前記治療対象領域に対する焼灼計画領域を設定する焼灼計画領域設定機能と、
穿刺針刺入時において収集したボリュームデータに基づいて焼灼治療用穿刺針による焼灼領域を設定する焼灼領域設定機能と、
前記焼灼計画領域と前記焼灼領域の形状比あるいは形状差に基づいて前記焼灼計画領域に対する前記焼灼領域の良否を評価する焼灼領域評価機能と、
前記ボリュームデータに基づいて生成した画像データに前記焼灼計画領域を示す焼灼計画領域データと前記焼灼領域を示す焼灼領域データを重畳し、前記焼灼領域の評価結果を付加することにより治療支援データを生成する治療支援データ生成機能と、
前記治療支援データを表示する表示機能を
実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−22029(P2013−22029A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156158(P2011−156158)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】