説明

医用画像診断装置及び医用画像システム

【課題】検査のための操作を簡易化した医用画像診断装置及び医用画像システムを提供することを目的とする。
【解決手段】検査の対象となる被検体を呼び出した音声情報を入力する音声入力手段113と、検査を実行して前記被検体の医用画像を撮像する撮像手段101と、入力された音声情報を認識して、音声認識情報を生成する音声認識手段102(12)と、音声認識情報に基づいて、外部装置103に対し、検査に関する情報を取得する取得手段102(14)と、検査により得られた医用画像を表示する表示手段115と、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置及び医用画像システムに係り、特に、操作性の向上に資する医用画像診断装置及び医用画像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置で行う検査は、主に、被検体の呼び出し、検査に関する情報の取得、撮像による画像の取得、取得した画像を表示して診断、という手順で実施される。
【0003】
特許文献1には、医用画像を格納した装置に対し音声入力操作を行い、音声認識をして医用画像を検索して表示する画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-339695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査を開始する前には必ず被検体の呼び出しと検査に関する情報の取得がセットで実施されるが、それぞれの作業は独立しており、検査効率が悪かった。また、上記特許文献1によれば、画像検索に際して被検体の氏名をテキスト入力する作業が不要となるものの、依然として、被検体の呼び出しと検査に関する情報の取得とは、それぞれの作業が独立しているため、被検体の呼び出しと、検査に関する情報の取得と別途行う必要があった。更に、検査後に被検体の取り違えを確認しようとしても、被検体の呼び出しに瑕疵がなかったか否かを検証するための資料に乏しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、検査の作業及び検査後の被検体の取り違えの有無の確認作業の効率化を図ることができる医用画像診断装置及び医用画像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体呼び出しという作業と他の作業、例えば、検査に関する情報の取得のための操作、及び被検体呼び出しのエビデンスの保存操作、とを連動させ、検査を開始する際の操作数を減らし効率的な検査を可能にする医用画像診断装置及び医用画像システムを提供する。
【0008】
より具体的には、本発明に係る医用画像診断装置は、検査の対象となる被検体を呼び出した音声情報を入力する音声入力手段と、前記検査を実行して前記被検体の医用画像を撮像する撮像手段と、前記入力された音声情報を認識して、音声認識情報を生成する音声認識手段と、前記音声認識情報に基づいて、前記検査に関する情報を取得する取得手段と、前記検査により得られた医用画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる医用画像診断装置は、検査の対象となる被検体を呼び出した音声情報を入力する音声入力手段と、前記検査を実行して前記被検体の医用画像を撮像する撮像手段と、前記入力された音声情報と、前記検査により得られた医用画像とを関連付けて記録する記録手段と、前記音声情報を再生した音声を出力する再生手段と、前記検査により得られた医用画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る医用画像システムは、医用画像診断装置と、前記医用画像診断装置による検査の内容を規定したオーダ情報を記録するオーダ情報記録装置と、がネットワークを介して互いに接続された医用画像システムにおいて、前記医用画像診断装置は、検査の対象となる被検体を呼び出した音声情報を入力する音声入力手段と、前記検査を実行して前記被検体の医用画像を撮像する撮像手段と、前記入力された音声情報を認識して、音声認識情報を生成する音声認識手段と、前記オーダ情報記録装置に対し、前記音声認識情報を使用して前記被検体が受ける検査のオーダ情報の取得要求を行う手段と、前記要求に応じて前記オーダ情報記録装置が送信した、前記被検体が受ける検査のオーダ情報を取得する手段と、を備え、前記オーダ情報記録装置は、前記被検体が受ける検査のオーダ情報を格納するオーダ情報格納手段と、前記医用画像診断装置からの前記要求を受信する手段と、前記要求に応じて、前記オーダ情報格納手段から前記被検体が受ける検査のオーダ情報を検索し、前記医用画像診断装置に前記被検体が受ける検査のオーダ情報を送信する手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被検体呼び出しで、検査に必要な情報を収集するとともに、被検体呼び出しのエビデンスという重要な情報を自動的に装置上に保存することにより、医療行為の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る医用画像システムの全体構成を示す図
【図2】画像処理プログラムを示すブロック図
【図3】第一実施形態の処理の流れを示すフローチャート
【図4】音声データの保存処理を示す説明図
【図5】オーダ情報の保存処理を示す説明図
【図6】本実施形態の検査中に表示される画面表示例を示す図
【図7】画像データの保存処理を示す説明図
【図8】第二実施形態の処理の流れを示すフローチャート
【図9】検査履歴の生成処理を示す説明図
【図10】検査履歴の画面表示例を示す図
【図11】第三実施形態の動作を示すフローチャート
【図12】第三実施形態における画像の画面表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。同一機能を有する構成及び同一の処理内容の手順には同一符号を付し、その説明の繰り返しを省略する。以下の説明では、透視モードによる被検体の動画像からなる透視像、及び撮影モードによる被検体の静止画像からなるX線画像を撮像可能なX線画像診断装置を用いて、X線画像を撮像、記録、表示する検査を例に説明する。まず、図1に基づいて本実施形態に係る医用画像システムについて説明する。図1は本実施形態に係る医用画像システムの全体構成を示す図である。本実施形態にかかる医用画像システムは、医用画像診断装置100と、RIS103(RIS:Radiology Information Systemの略記)と、PACS104(PACS:Picture Archiving and Communication Systemの略記)と、端末装置105とが、LAN106を介して接続されることにより構成される。医用画像診断装置100は、画像取得ハードウェア101と医用画像処理装置102とを備えている。画像取得ハードウェア101は、本実施形態ではX線画像診断装置を例に挙げるが、MRI装置、CT装置、PET装置、内視鏡画像撮像装置など、静止画像および動画像を問わず、医用画像が取得可能なハードウェアであれば、その種類は限定されない。
【0014】
医用画像処理装置102は、画像取得ハードウェア101との間で制御信号や画像データの通信を行うハードウェアI/F114と、操作者の入力操作を受け付けるためのマウス111と、操作者のキー入力操作を受け付けるキーボード112と、操作者の音声入力を受け付けるマイクロフォン113と、画像データやGUIを表示するディスプレイ115と、音声を出力するスピーカー121と、LANとの通信を行うLAN I/F116と、演算処理を行うCPU117と、画像データや論理情報を保存する磁気ディスク118と、処理内容を一時的に記憶しておくメモリ119と、マウス111〜メモリ119及びスピーカー121の機器の間でデータをやりとりするための共通バス120を備えている。
【0015】
医用画像処理装置102は、画像取得ハードウェア101により得られた医用画像を画像データとして取り込み、必要に応じて画像を見やすくするための処理を行う。また、見やすくするばかりでなく、検査の情報を取得したり、必要な読影所見を入力したり、必要な情報のみを意図的に強調して有用な医用画像情報を得たりするために用いられる。操作者はディスプレイ115に表示される操作画面を確認しながら、マウス111やキーボード112およびマイクロフォン113の入力装置を操作することにより、医用画像処理装置102における画像処理機能を実行することができる。
【0016】
医用画像処理装置102は、LAN I/F116およびLAN106を介して外部装置と互いに接続され、これらの各装置との間で通信を行い、検査に関する情報を取得する。本実施形態では、外部装置として上述の如く、RIS103と、PACS104と、端末装置105とを備える。
【0017】
RIS103は被検体を特定する情報及び検査の実施内容を示す情報(以下「オーダ情報」という)を持ち、LAN106を介して医用画像処理装置102から要求を受けると、LAN106を介してその要求に対するオーダ情報を医用画像処理装置102に返す。
【0018】
PACS104は画像データとその画像データに関連付けて記録された付帯情報とを持ち、LAN106を介して医用画像処理装置102又は端末装置105から要求を受けると、LAN106を介してその要求に対する画像データ及び付帯情報を医用画像処理装置102又は端末装置105に返す。この付帯情報の中には検査時の被検体呼び出しのために発生された音声情報が含まれる。詳細は後述する。
【0019】
端末装置105は、PACS104から受信した画像データを表示し、更に、画像データに関連付けて記録された付帯情報に含まれる音声情報に基づいて再生された音声を出力する。本実施形態の端末装置105は、医用画像診断装置100と別体に構成されているが、端末装置105は医用画像処理装置102に組み込んで、端末装置105と同様の動作を医用画像処理装置102において実行できるように構成してもよい。
【0020】
次に図2に基づいて医用画像処理装置102に内蔵される画像処理プログラムについて説明する。図2は、画像処理プログラムを示すブロック図である。画像処理プログラムは、マイクロフォン113から入力された音声を、音声情報として記録する音声記録部11と、その音声情報を認識してテキスト情報などの音声認識情報に変換する音声認識部12と、RIS103に対して、音声認識情報を用いてオーダ情報の要求を行うオーダ情報要求部13と、RIS103からオーダ情報を取得するオーダ情報取得部14と、PACS104に対して音声認識情報を用いて、今回の検査に関連する画像情報(例えば被検体の過去画像)の要求を行う画像情報要求部15と、PACS104から画像情報を取得する画像情報取得部16と、ディスプレイ115に対して各種表示画像を表示させる表示制御部17と、画像取得ハードウェア101が今回の検査で取得した画像や、オーダ情報、また今回の検査に関連する画像情報を磁気ディスク118に記録する記録部18と、画像取得ハードウェア101が行った検査の履歴情報を生成する検査履歴生成部19と、音声記録部11が記録した音声を再生する音声再生部20と、テキスト情報などの被検体を特定する情報を認識して機械音声を生成し、スピーカー121から音声出力させる機械音声生成部21と、磁気ディスク118に記録された検査で得られた画像を検索する画像検索部22と、を備える。医用画像処理装置102の画像処理機能は、CPU117が共通バス120を介して磁気ディスク118およびメモリ119から取得した上記プログラムを実行することにより実現される。
【0021】
<<第一実施形態>>
次に第一実施形態について説明する。通常、医用画像を取得する検査では、検査を実施する技師が、検査に先立ち、被検体の呼び出し作業と、検査に関する情報(例えば、被検体に関する情報、日時に関する情報、実施内容に関する情報、被検体の過去の画像)の取得作業を行う。そこで、第一実施形態では、被検体の呼び出し作業と検査に関する情報の取得作業とを連動させ、医用画像診断装置100の操作者が、被検体を呼び出すために発声した音声を用いて、RIS103及びPACS104からオーダ情報及び検査に関連する画像情報を取得し、更に呼び出しのために発声した音声情報を、その検査で得た画像情報と関連付けて記録する。以下、図3〜図7に基づいて第一実施形態について説明する。図3は、第一実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。図4は音声データの保存処理を示す説明図である。図5は、オーダ情報の保存処理を示す説明図である。図6は、本実施形態の検査中に表示される画面表示例を示す図である。図7は、画像データの保存処理を示す説明図である。
【0022】
以下、図3の各ステップに沿って、第一実施形態の処理の流れを説明する。
【0023】
(ステップS1)
ステップS1では、操作者が被検体の呼び出しを行う。医用画像処理装置102のマイクロフォン113には、操作者が被検体呼び出しのために発した音声が入力され、医用画像処理装置102はマイクロフォン113を介して呼び出しのために発した音声を受信する(S1)。
【0024】
(ステップS2)
音声記録部11は、図4に示すように、受信した音声40を音声データ41に変換し、その音声データ41に装置上で一意である番号(例:音声ID=00001)42を割り振って、磁気ディスク118に保存する(S2)。これにより、後から音声データを特定し参照できるようにする。
【0025】
(ステップS3)
音声認識部12は、ステップS1で受信した音声から、被検体を特定できる情報を抽出する(S3)。被検体を特定できる情報としては、被検体名のほか、被検体IDや受診番号などがある。音声認識部12による音声認識の例として、例えば被検体を特定できる情報を抽出するための特定のキーワードを決め、入力された音声からその特定のキーワードを抽出して被検体を特定できる情報として保存してもよい。キーワードの一例として、例えば、「番でお待ちの方」を設定しておき、「○○○○番でお待ちの方」という音声の入力があった場合に「番でお待ちの方」以前を被検体IDとみなして抽出してもよい。また、キーワードとして「でお待ちの」と「さん」とを設定しておき「○○科でお待ちの○○○○さん」という音声入力があった場合に、「でお待ちの」の直後を抽出開始とし、「さん」の直前を抽出終了と設定しておく。そして、「でお待ちの」と「さん」との間の言葉を被検体名とみなして抽出してもよい。他の例として、被検体情報を発声するときだけ、手動で医用画像処理装置102のマイクロフォン113のスイッチをONにし、ONの間に発声された音声を被検体を特定できる情報として保存してもよい。例えば、「○○科でお待ちの○○○○さん」と呼び出す場合に、「でお待ちの」の直後から「さん」の直前の「○○○○」を発声するときのみマイクロフォン113のスイッチをONにする。この場合、マイクロフォン113から入力された情報が被検体を特定できる情報として抽出される。以上、音声認識の例をあげたが、音声認識部12による音声認識の方法は、上記に限定されるものでなく、操作者が発した音声を用いて被検体を特定できる情報を抽出する技術であればいかなる方法でも適用可能である。音声認識部12は、抽出された音声情報からなる被検体を特定できる情報を、テキスト情報のように、検索コードとして適用可能な形式の情報に変換する。この変換後の被検体を特定できる情報は、以下の検査情報の取得及び画像情報の検索に用いられる。なお、RIS103、PACS104に変換前の音声情報からなる被検体を特定できる情報を用いてオーダ情報や画像検索が可能な機能がある場合には、音声情報を用いてオーダ情報や画像検索を行ってもよい。
【0026】
(ステップS4)
オーダ情報要求部13は、RIS103に対し、LANI/F116及びLAN106を介してステップS3で抽出した被検体を特定できる情報を使用して、オーダ情報の要求を送信する(S4)。RIS103との検査に関する情報の通信には医療用のデジタル画像と通信に関する標準規格であるDICOM MWM(Modality Worklist)を用いる。RIS103は、オーダ情報の要求を受信する手段と、その要求に応じて被検体を特定できる情報を用いてオーダ情報を検索する手段と、検索結果をオーダ情報の要求を出力した装置に対して送信する手段と、を備える。そして、オーダ情報要求部13が、被検体を特定できる情報を含むオーダ情報の要求をRIS103に送信すると、RIS103は、受信した要求に含まれる被検体を特定できる情報を用いて、その被検体の検査内容を定めたオーダ情報50を検索し、その結果を、医用画像処理装置102に送信する。
【0027】
(ステップS5)
オーダ情報取得部14は、図5に示すように、RIS103がLAN106を介して返してきたオーダ情報50を取得する。オーダ情報50には被検体を特定する情報として、「被検体ID」、「被検体名」、「生年月日」、「性別」、「受診番号」が含まれる。また検査の実施内容を示す情報として「検査日時」、「検査部位」、」「検査手技」なども含まれる。そしてオーダ情報取得部14は、これらのオーダ情報50にステップS2で保存した音声データへの参照(例:音声ID=00001)42を付帯して、磁気ディスク118に保存する(S5)。
【0028】
(ステップS6)
画像情報要求部15は、PACS104に対し、LANI/F116及びLAN106を介してステップS3で抽出した被検体を特定できる情報を使用して、PACS104に記録されている、今回の検査に関連する画像60、例えば、被検体の過去画像の要求を送信する(S6)。PACS104との画像情報の通信には医療用のデジタル画像と通信に関する標準規格であるDICOM Q/R(Query/Retrieve)を用いる。PACS104は、画像情報の要求を受信する手段と、その要求に応じて被検体を特定できる情報を用いて、被検体の今回の検査に関する画像(例えば過去画像)を検索する手段と、検索結果を画像検索要求を出力した装置に対して送信する手段と、を備える。そして、画像情報要求部15が、被検体を特定できる情報を含む画像検索要求をPACS104に送信すると、PACS104は、受信した要求に含まれる被検体を特定できる情報を用いて、その被検体の検査内容を定めた画像60を検索し、その結果を、医用画像処理装置102に送信する(S5)。
【0029】
(ステップS7)
画像情報取得部16は、PACS104がLAN106を介して返してきた今回の検査に関連する画像60を磁気ディスク118に保存する(S7)。なお、今回の検査に関連する画像を参照する必要がない場合には、ステップS6とS7とを省略してもよい。また磁気ディスク118に過去画像が格納されている場合には、画像検索部22が被検体を特定できる情報を用いて磁気ディスク118に格納された当該被検体の過去画像を検索してもよい。
【0030】
(ステップS8)
操作者は、取得したオーダ情報50及び検査に関連する画像60を参照して画像取得ハードウェア101を操作し、被検体を撮像し、画像データを取得する(S8)。検査中、表示制御部17は、例えば図6に示す画面表示例のように、ディスプレイ115の表示画面にRIS103から受信したオーダ情報50と、PACS104から受信した被検体の検査に関連する画像60と、画像取得ハードウェア101から取得した画像データ70と、を表示する。画面には、取得したオーダ情報の他に、音声認識部12が認識した文字情報を同時に表示して、音声認識情報を視認できるように構成してもよい。
【0031】
(ステップS9)
記録部18は、図7に示す通り、検査中に画像取得ハードウェア101から取得した画像70に、ステップS2で保存した音声データへの参照(例:音声ID)を付帯して磁気ディスク118に保存する(S9)。医用画像処理装置102は、今回の検査で取得した画像70と、「画像ID(ID=0003)」、「被検体ID」、「被検体名」、「撮影日」と、音声データ41を参照するための「音声ID=00001」と含む付帯情報と、を関連付けて保存する。画像70及び付帯情報をPACS104に送信してもよい。なお、PACS104に送信する際には、付帯情報とし「音声ID=00001」だけでなく、音声データ41も同時に送信して、画像70と音声データ41とを関連付けて記録するように構成してもよい。
【0032】
本実施形態によれば、被検体の呼び出し作業とその他の作業、例えば、オーダ情報の取得、検査に関連する画像の取得、被検体呼び出し時の音声をエビデンスとして保存する作業と、を連動させて行うことができ、検査を開始する際に必要な作業を、被検体呼び出しという単一の操作のみで行うことが可能になる。そのため、検査に要する操作を簡素化することができる。
【0033】
<<第二実施形態>>
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態が、第一実施形態と異なる点は、画像取得の終了後に、検査履歴から音声データの再生を行う点である。以下、図8〜図10に基づいて第二実施形態について説明する。図8は第二実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。図9は、検査履歴の生成処理を示す説明図である。図10は、検査履歴の画面表示例を示す図である。以下、図8の各ステップに沿って説明するが、ステップS1〜S9は第一実施形態と同様の処理なので説明を省略する。
【0034】
(ステップS10)
操作者による検査履歴の表示操作を行う(S10)。検査履歴とは、磁気ディスク118上に保存された複数の検査に関する情報を時系列に並べ、リスト化したものである。操作者は、マウス111やキーボード112から検査履歴の生成条件、例えば参照を所望する期間(YY/MM/DD:TIME〜YY/MM/DD:TIME)や検査履歴に表示させる項目を入力し、検査履歴の生成指示を入力する。図9の例では、2月7日の午後から2月9日の診療時間終了時までの期間が設定される。検査履歴生成部19は、入力された生成指示と生成条件に従って検査履歴を生成する。検査履歴生成部19は、磁気ディスク118に格納された各検査に対応するオーダ情報から、「検査ID」、「検査日時」、「被検体ID」、「被検体名」など、検査履歴に表示させる項目の情報を抽出し、それらをリスト形式に掲載した検査履歴80を生成する。
【0035】
(ステップS11)
表示制御部17は、ディスプレイ115の表示画面に検査履歴80を表示する(S11)。図10に示すように、検査履歴80の表示画面には、検査履歴80と、音声情報の再生指示を行うための「音声再生」アイコン90とが表示される。
【0036】
(ステップS12)
操作者は、検査履歴80の中から1件を選択し、検証を所望する検査をマウス111やキーボード112を用いて指定する(S12)。図10では、「検査ID=0002」が指定されている。
【0037】
(ステップS13)
操作者が、「音声再生」アイコン90をマウス111でクリックして、音声データの再生指示の操作を行う(S13)。
【0038】
(ステップS14)
音声再生部20は、選択されたオーダ情報が参照している音声データを磁気ディスク118から読み込む(S14)。参照の方法としては、例えば、「検査ID」が付帯されたオーダ情報50に含まれる「音声ID」を使用し、この「音声ID」が付帯された音声データを読み込む。図10では、「検査ID=0002」が付されたオーダ情報に含まれる「音声ID=00001」を読み込み(図9参照)、この「音声ID=00001」が付された音声データ41を読み込む(図4参照)。
【0039】
(ステップS15)
音声再生部20は、読み込んだ音声データを再生し、スピーカー121から出力する(S15)。
【0040】
本実施形態によれば、操作者は、被検体呼び出しのエビデンスとして保存された被検体呼び出し時の音声データを、検査の履歴と関連づけて再生および確認することが可能となる。これにより、被検体の取り違えがなかったことを検証することができる。
【0041】
本実施形態では、ステップS13において操作者が音声データの再生操作を行うことにより、選択されたオーダ情報に関連付けられた音声データが再生されたが、音声再生部20は、検査履歴80に掲載されたオーダ情報に関連付けられた音声データを、検査履歴80に掲載されたオーダ情報の順に沿って自動再生するように構成してもよい。これにより、操作者は、検査履歴80を視認しながら再生された音声を聞くことにより、被検体の呼び出し音声とオーダ情報とが一致しているかを確認することができる。
【0042】
また、医用画像処理装置102に機械音声生成部21を更に備え、機械音声生成部21が、検査履歴80に掲載された被検体を特定する情報、例えば被検体氏名を文字認識し、認識した情報を機械音声として生成し、スピーカー121から出力し、これに続いて、音声再生部20の自動再生による音声データの再生を行ってもよい。再生する順序は上記の逆、すなわち自動再生に続いて機械音声でもよい。これを、オーダ情報毎に交互に行うことにより、オーダ情報に含まれる被検体を特定する情報を読み上げた機械音声と被検体呼び出し時の音声との一致を操作者が聴覚により確認することができる。
【0043】
<<第三実施形態>>
次に図11、12に基づいて第三実施形態について説明する。第三実施形態が、第一実施形態及び第二実施形態と異なる点は、画像取得の終了後に、画像を表示した状態から音声データの再生を行う点である。本実施形態は、医用画像処理装置102で行ってもよいし、端末装置105において医師がPACS104から画像を取得して表示する場合に適用してもよい。以下の説明では、医用画像処理装置102において第三実施形態を適用する場合を例に説明する。図11は、第三実施形態の動作を示すフローチャートである。図12は、第三実施形態における画像の画面表示例を示す図である。以下、図11の各ステップに沿って説明するが、ステップS1〜S9は第一実施形態と同様の処理なので説明を省略する。
【0044】
(ステップS20)
操作者による画像の表示操作を行う(S20)。操作者は、表示を所望する画像を指定するための条件をマウス111やキーボード112から入力する。画像検索部22は、磁気ディスク115の中から指定された条件の画像を検索する。
【0045】
(ステップS21)
画像検索部22が検索した画像を表示制御部17がディスプレイ115に表示する(S21)。図12に示すように、画像70の表示画面には、画像70と、オーダ情報50と、音声情報の再生指示を行うための「音声再生」アイコン91とが表示される。
【0046】
(ステップS22)
操作者が、「音声再生」アイコン91をマウス111でクリックして、音声データの再生操作を行う(S22)。
【0047】
(ステップS23)
音声再生部20は、表示された画像が参照している音声データを磁気ディスク118上から読み込む(S23)。参照の方法は、例えば、画像データに付帯されたオーダ情報50に含まれる「音声ID」を使用し、この「音声ID」が付帯された音声データを読み込む。なお、端末装置105においてこの操作を行う場合、PACS104に音声データも記録しておき、リクエストがあった場合に音声データを端末装置105に送信することにより、画像とともに常に音声データを送る場合に比べて通信データ量を少なくしてもよいし、端末装置105に画像と音声データとをセットで送信しておき、端末装置105における音声再生処理の高速化を図ってもよい。
【0048】
(ステップS24)
音声再生部20は、読み込んだ音声データを再生しスピーカー121から出力する(S24)。
【0049】
本実施形態によれば、操作者は、被検体呼び出しのエビデンスとして保存された被検体呼び出し時の音声データを、検査により得られた画像を表示した際に再生および確認することが可能となる。これにより、被検体の取り違えがなかったことを検証することができる。
【0050】
本実施形態では、ステップS22において操作者が音声データの再生操作を行うことにより、音声データが再生されたが、音声再生部20は、画像70を表示すると、その画像70が参照している音声データを自動再生するように構成してもよい。これにより、操作者は、画像70とそのオーダ情報50とを表示し、オーダ情報50に含まれる被検体を特定する情報を視認しながら再生された音声を聞くことにより、被検体呼び出しのエビデンスとして保存された被検体呼び出し時の音声データを、画像と関連づけて再生および確認することが可能となる。
【0051】
また、機械音声生成部21が、画像70に付帯するオーダ情報50に含まれる被検体を特定する情報、例えば被検体氏名を文字認識し、認識した情報を機械音声として生成し、スピーカー121から出力し、これに続いて、音声再生部20の自動再生による音声データの再生を行ってもよい。これにより、画像70に注目しながら、オーダ情報50と被検体の呼び出しの音声とを聴覚により確認することができる。
【符号の説明】
【0052】
100:医用画像診断装置、101:画像取得ハードウェア、102:医用画像処理装置、103:RIS、104:PACS、105:端末装置、106:LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査の対象となる被検体を呼び出した音声情報を入力する音声入力手段と、
前記検査を実行して前記被検体の医用画像を撮像する撮像手段と、
前記入力された音声情報を認識して、音声認識情報を生成する音声認識手段と、
前記音声認識情報に基づいて、前記検査に関する情報を取得する取得手段と、
前記検査により得られた医用画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記入力された音声情報と、前記検査により得られた医用画像と、を関連付けて記録する記録手段と、
前記音声情報を再生した音声を出力する再生手段と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記検査に関する情報は、前記検査の実施内容を示す情報を含むオーダ情報であって、
前記記録手段は、前記音声情報と前記オーダ情報とを更に関連付けて記録し、
前記医用画像診断装置は、
所定期間内に実行された前記検査のオーダ情報を時系列に沿って並べた検査履歴を生成して表示する検査履歴表示手段を更に備え、
前記再生手段は、前記検査履歴に掲載された前記オーダ情報に関連付けられた前記音声情報を再生した音声を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記再生手段は、前記検査履歴に掲載された前記オーダ情報に関連付けられた前記音声情報を、前記検査履歴上において前記オーダ情報が並べられた順に沿って出力する、
ことを特徴とする請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記オーダ情報は、前記被検体を特定する情報を更に含み、
前記医用画像診断装置は、前記オーダ情報に含まれる前記被検体を特定する情報を認識し、その情報を発声した機械音声を生成して出力する機械音声生成手段を更に備え、
前記機械音声生成手段及び前記再生手段は、同一の前記オーダ情報を基づいて、生成された機械音声及び前記再生された音声を連続して出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記取得した検査に関する情報と、前記音声認識情報とを同時に表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
検査の対象となる被検体を呼び出した音声情報を入力する音声入力手段と、
前記検査を実行して前記被検体の医用画像を撮像する撮像手段と、
前記入力された音声情報と、前記検査により得られた医用画像と、を関連付けて記録する記録手段と、
前記音声情報を再生した音声を出力する再生手段と、
前記検査により得られた医用画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項8】
前記再生手段は、前記表示手段に前記医用画像が表示されると、その医用画像に関連付けられた前記音声情報を再生した音声を出力する、
ことを特徴とする請求項2又は7に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
医用画像診断装置と、前記医用画像診断装置による検査の内容を規定したオーダ情報を記録するオーダ情報記録装置と、がネットワークを介して互いに接続された医用画像システムにおいて、
前記医用画像診断装置は、
検査の対象となる被検体を呼び出した音声情報を入力する音声入力手段と、
前記検査を実行して前記被検体の医用画像を撮像する撮像手段と、
前記入力された音声情報を認識して、音声認識情報を生成する音声認識手段と、
前記オーダ情報記録装置に対し、前記音声認識情報を使用して前記被検体が受ける検査のオーダ情報の取得要求を行う手段と、
前記オーダ情報の取得要求に応じて前記オーダ情報記録装置が送信した、前記被検体が受ける検査のオーダ情報を取得する手段と、を備え、
前記オーダ情報記録装置は、
前記被検体が受ける検査のオーダ情報を格納するオーダ情報格納手段と、
前記医用画像診断装置からの前記オーダ情報の取得要求を受信する手段と、
前記オーダ情報の取得要求に応じて、前記オーダ情報格納手段から前記被検体が受ける検査のオーダ情報を検索し、前記医用画像診断装置に前記被検体が受ける検査のオーダ情報を送信する手段と、を備える、
ことを特徴とする医用画像システム。
【請求項10】
前記医用画像システムには、前記ネットワークを介して前記医用画像診断装置により得られた前記被検体の前記検査に関する画像データを記録する画像記録装置が更に接続され、
前記医用画像診断装置は、
前記画像記録装置に対し、前記音声認識情報を使用して前記被検体の前記検査に関する画像データの取得要求を行う手段と、
前記画像データの取得要求に応じて前記画像記録装置が送信した、前記被検体の前記検査に関する画像データを取得する手段と、を更に備え、
前記画像記録装置は、
前記被検体の前記検査に関する画像データを格納する画像格納手段と、
前記医用画像診断装置からの前記画像データの取得要求を受信する手段と、
前記画像データの取得要求に応じて、前記画像格納手段から前記被検体の前記検査に関する画像データを検索し、前記医用画像診断装置に前記被検体の前記検査に関する画像データを送信する手段と、を備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の医用画像システム。
【請求項11】
前記医用画像システムには、前記ネットワークを介して前記医用画像診断装置により得られた画像データを表示する端末装置が更に接続され、
前記医用画像診断装置は、前記画像記録装置に対して前記医用画像と前記音声情報とを関連付けて送信する手段を更に備え、
前記画像記録装置は、前記医用画像と前記音声情報とを関連付けて前記画像格納手段に格納し、
前記端末装置は、
前記画像記録装置に対し前記画像記録装置に記録されている前記被検体の前記医用画像の取得要求を行う手段と、
前記医用画像の取得要求に応じて前記画像記録装置が送信した、前記被検体の前記医用画像と前記音声情報とを取得する手段と、
前記被検体の前記医用画像を表示する表示手段と、
前記音声情報を再生した音声を出力する再生手段と、を更に備え、
前記画像記録装置は、
前記端末装置からの前記医用画像の取得要求を受信する手段と、
前記端末装置からの前記医用画像の取得要求に応じて、前記医用画像とともに前記音声情報を送信する手段と、を更に備える、
ことを特徴とする請求項10に記載の医用画像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−125562(P2011−125562A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288272(P2009−288272)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】