医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法
【課題】 予期せず傾いてしまった入力画像に対しても、傾きの無い通常の入力画像と同様に、画像処理を行うための画像処理パラメータの値を設定できるようにすることを可能にした医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法を提供する。
【解決手段】 3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成し、3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きの修正し、傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成し、傾きが修正された一つの画像上又は該傾きが修正された一つの画像に直交する画像上で、画像処理を行うための画像処理パラメータの値又は撮像を行なうための撮像パラメータの値の設定入力を受け付け、設定入力された画像処理パラメータの値に基づいて画像処理を行い結果画像を作成する又は設定入力された撮像パラメータの値に基づいて撮像を行なう。
【解決手段】 3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成し、3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きの修正し、傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成し、傾きが修正された一つの画像上又は該傾きが修正された一つの画像に直交する画像上で、画像処理を行うための画像処理パラメータの値又は撮像を行なうための撮像パラメータの値の設定入力を受け付け、設定入力された画像処理パラメータの値に基づいて画像処理を行い結果画像を作成する又は設定入力された撮像パラメータの値に基づいて撮像を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置における、撮像のための画像表示、画像処理、画像観察するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(以下、MRI)装置等の医用画像診断装置は、被検体から得た信号に基づいて被検体内部を画像化し、診断に供する装置である。この医用画像診断装置においては、被検体を撮像した画像を入力画像として画像処理を行い、撮像画像とは別の画像を生成出力する場合がある。例えば、特許文献1に記載されているように、サーフェースレンダリング法やボリュームレンダリング法によって作成した三次元画像に対して、任意の回転や任意の移動を行いながら、画像上で画像処理パラメータを指定して所望の画像処理結果を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-101450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、三次元画像およびMPR三次元画像を、マウスポインターの操作によって、回転または移動を行うことができる。しかしながら、三次元画像およびMPR三次元画像が予期せず傾いていた場合に、通常の検査と同様の画像処理結果を得ようとすると、これらの画像上で設定する画像処理パラメータを、再度設定又は変更する必要がある。また、検査を簡単化するために、画像処理パラメータの値が固定されている場合は、通常の検査とは違った画像処理結果を得ることになり、画像処理結果を見誤る可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、予期せず傾いてしまった入力画像に対しても、傾きの無い通常の入力画像と同様に、画像処理を行うための画像処理パラメータの値を設定できるようにすることを可能にした医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成し、3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きを修正し、傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成する。
【0007】
具体的には、本発明の医用画像診断装置は、3次元画像データを記憶する記憶部と、3次元画像データを各種処理して複数の処理画像を作成する演算処理部と、処理画像を表示する表示部と、表示部に表示された処理画像上で、各種パラメータの値の設定入力をおこなうための入力部と、を備え、演算処理部は、3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成する機能と、3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きを修正するとともに、該傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成する機能を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像処理パラメータ設定方法は、3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成するステップと、3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きの修正するステップと、傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成するステップと、傾きが修正された一つの画像上又は該傾きが修正された一つの画像に直交する画像上で、画像処理を行うための画像処理パラメータの値又は撮像を行なうための撮像パラメータの値の設定入力を受け付けるステップと、設定入力された画像処理パラメータの値に基づいて画像処理を行い結果画像を作成する又は設定入力された撮像パラメータの値に基づいて撮像を行なうステップ、とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法によれば、予期せず傾いてしまった入力画像に対しても、傾きの無い通常の入力画像と同様に、画像処理を行うための画像処理パラメータの値を設定できるようにすることができる。その結果、入力画像の傾きに係らず、傾きの無い通常の入力画像と同様の画像処理結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)図は、本発明に係る医用画像診断装置の一例を示すブロック図。(b)図は、医用画像診断装置の一例であるMRI装置の全体構成の一例を示すブロック図。
【図2】実施例1の演算処理の各機能を表す機能ブロック図。
【図3】実施例1の処理フローを表すフローチャート。
【図4】ディスプレイの表示画面を4分割して、右上にSAG方向のMIP像を、左下にAX方向のMIP像を、左上にCOR方向のMIP像をそれぞれ表示する表示例を示す図。
【図5】図4におけるSAG方向のMIP像の傾きが回転されて修正された例を示す図。
【図6】4分割されたディスプレイの表示画面において左下のAX方向のMIP像上で投影方向が設定入力され、投影像が作成されて表示された例を示す図。
【図7】実施例2の演算処理の各機能を表す機能ブロック図。
【図8】実施例2の処理フローを表すフローチャート。
【図9】実施例3の演算処理の各機能を表す機能ブロック図。
【図10】実施例3の処理フローを表すフローチャート。
【図11】COR方向のMIP像又は回転されたSAG方向のMIP像上に、14枚の撮像断面ついての各々の位置と間隔及び角度がそれぞれ入力設定され、各MIP像に重畳表示した例を示す図。
【図12】実施例4の演算処理の各機能を表す機能ブロック図。
【図13】実施例4の処理フローを表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に従って本発明の医用画像診断装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
最初に、本発明に係る医用画像診断装置の一例を図1(a)に基づいて説明する。本発明に係る医用画像診断装置は、被検体の画像を画像再構成するために該被検体から信号データを検出するスキャナー部11と、スキャナー部11で検出した信号データを記憶する記憶部12と、記憶部12に記憶された信号データを用いて画像再構成処理を行って画像を取得し、再構成した画像について投影処理(例えばMIP処理)やMPR処理を含む各種演算を行って結果画像を取得すると共に、処理後の画像データを記憶部12に記憶させる演算処理部13と、操作者が演算処理部13に対し各種指示情報を設定入力するための操作部14と、演算処理部13で処理された画像や操作入力を行なうためのUI(User Interface)を表示する表示部15と、を有してなる。また、記憶部12における各種画像データは、記憶部12内の画像データベースにその画像データを登録することにより記憶される。
【0013】
次に、本発明に係る医用画像診断装置の一例として、MRI装置の一例の全体構成を図1(b)に基づいて説明する。なお、本発明はMRI装置に限定されず、X線CT装置やPET装置等の他の医用画像診断装置にも適用可能である。
【0014】
図1(b)は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体101の断層画像を得るもので、図1に示すように、静磁場発生磁石102と、傾斜磁場コイル103及び傾斜磁場電源109と、送信RFコイル104及びRF送信部110と、受信RFコイル105及び信号検出部106と、信号処理部107と、計測制御部111と、全体制御部108と、表示・操作部113と、被検体101を搭載してその被検体101を静磁場発生磁石102の内部に出し入れするベッド112と、を備えて構成される。
【0015】
静磁場発生磁石102は、垂直磁場方式であれば被検体101の体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば体軸方向に、それぞれ均一な静磁場を発生させるもので、被検体101の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
【0016】
傾斜磁場コイル103は、MRI装置の実空間座標系(静止座標系)であるX、Y、Zの3軸方向に巻かれたコイルであり、それぞれの傾斜磁場コイルは、それを駆動する傾斜磁場電源109に接続され電流が供給される。具体的には、各傾斜磁場コイルの傾斜磁場電源109は、それぞれ後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、それぞれの傾斜磁場コイルに電流を供給する。これにより、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場Gx、Gy、Gzが発生する。
【0017】
2次元スライス面の撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス傾斜磁場パルス(Gs)が印加されて被検体101に対するスライス面が設定され、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード(リードアウト)傾斜磁場パルス(Gf)が印加されて、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報がエンコードされる。本発明に係る3次元領域の撮像時の制御については後述する。
【0018】
送信RFコイル104は、被検体101にRFパルスを照射するコイルであり、RF送信部110に接続され高周波パルス電流が供給される。これにより、被検体101の生体組織を構成する原子の原子核スピンにNMR現象が誘起される。具体的には、RF送信部110が、後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、高周波パルスが振幅変調され、増幅された後に被検体101に近接して配置された送信RFコイル104に供給されることにより、RFパルスが被検体101に照射される。
【0019】
受信RFコイル105は、被検体101の生体組織を構成する原子核スピンのNMR現象により放出されるNMR信号(エコー信号)を受信するコイルであり、信号検出部106に接続されて受信したエコー信号が信号検出部106に送られる。信号検出部106は、受信RFコイル105で受信されたエコー信号の検出処理を行う。具体的には、RF送信コイル104から照射されたRFパルスによって誘起された被検体101の応答のエコー信号が被検体101に近接して配置された受信RFコイル105で受信され、後述の計測制御部111からの命令に従って、信号検出部106が、受信されたエコー信号を増幅し、直交位相検波により直交する二系統の信号に分割し、それぞれを所定数(例えば128、256、512等)サンプリングし、各サンプリング信号をA/D変換してディジタル量に変換し、後述の信号処理部107に送る。 従って、エコー信号は所定数のサンプリングデータからなる時系列のデジタルデータ(以下、エコーデータという)として得られる。
【0020】
信号処理部107は、エコーデータに対して各種処理を行い、処理されたエコーデータを計測制御部111に送る。
【0021】
計測制御部111は、被検体101の断層画像の再構成に必要なデータ収集のための種々の命令を、主に、傾斜磁場電源109と、RF送信部110と、信号検出部106に送信してこれらを制御する制御部である。具体的には、計測制御部111は、後述する全体制御部108の制御で動作し、ある所定のパルスシーケンスに基づいて、傾斜磁場電源109、RF送信部110及び信号検出部106を制御して、被検体101へのRFパルスと傾斜磁場パルスの印加及び被検体101からのエコー信号の検出を繰り返し実行し、被検体101の撮像領域についての画像の再構成に必要なエコーデータを収集する。
【0022】
全体制御部108は、計測制御部111の制御、及び、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等の制御を行うものであって、CPU及びメモリを内部に有する演算処理部114と、光ディスク、磁気ディスク等の記憶部115とを有して成る。具体的には、計測制御部111を制御してエコーデータの収集を実行させ、計測制御部111からのエコーデータが入力されると、演算処理部114がそのエコーデータに印加されたエンコード情報に基づいて、メモリのK空間に相当する領域に記憶させる。メモリのK空間に相当する領域に記憶されたエコーデータ群をK空間データともいう。そして演算処理部114はこのK空間データに対して信号処理やフーリエ変換による画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体101の画像を、後述の表示・操作部113に表示させると共に記憶部115に記録する。
【0023】
表示・操作部113は、再構成された被検体101の画像を表示する表示部と、MRI装置の各種制御情報や上記全体制御部108で行う処理の制御情報を入力するトラックボール又はマウス及びキーボード等の操作部と、から成る。この操作部は表示部に近接して配置され、操作者が表示部を見ながら操作部を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0024】
以下、医用画像診断装置としてMRI装置を例にして、本発明に係る各実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
次に、本発明の医用画像診断装置又は画像処理パラメータ設定方法の実施例1を説明する。本実施例は、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像がMIP(Maximum Intensity Projection)像であり、このMIP像が傾いていた場合に、そのMIP像の傾きを修正し、傾きを修正したMIP画像に直交する他のMIP像を求めて、これらのMIP像上で画像パラメータの値を設定する。
【0026】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図2に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、三次元画像データ選択部201、投影像作成部202、画像回転部203、画像処理パラメータ設定部204、を有してなる。
【0027】
三次元画像データ選択部201は、記憶部115に記憶された複数の三次元画像データのリストを作成し、表示・操作部113のディスプレイに表示させる。そして、このリスト上で、操作者の表示・操作部113を介した選択指定を受けて、選択された三次元画像データを記憶部115から読み込み、演算処理部114のメモリ200内に記憶させる。
【0028】
投影像作成部202は、メモリ200に記憶された三次元画像データを用いて、公知の投影処理を行い、投影像を作成する。例えば、投影像としてMIP像を作成するには、三次元画像データに対して直交3軸方向(COR(Coronal)方向、SAG(Sagittal)方向、AX(Axial)方向)の各方向にMIP処理を行い、各方向のMIP像を作成する。投影像としてMINIP(最小値投影)像を作成する場合も同様である。或いは、公知のMPR処理に基づいて、三次元画像に関する直交三断面の各断面像を作成してもよい。その他、ボリュームレンダリング像やサーフェースレンダリング像を取得する場合には、三次元画像データに対して公知のボリュームレンダリング処理やサーフェースレンダリング処理を行う。作成された投影像又は断面像は、表示部に表示される。
【0029】
画像回転部203は、表示部に表示された、直交三断面像又は投影像の内の任意の一つの画像上で、操作者による表示・操作部113を介した回転操作入力を受けて、その画像を平面回転させる。画像回転の回転中心は、その画像の中心でも良いし、操作者がその画像上で指定しても良い。そして、回転後の画像を表示部に表示させる。
【0030】
画像処理パラメータ設定部204は、操作者の表示・操作部113を介した撮像パラメータの値の設定入力を受けて、入力された撮像パラメータの値の内容を、直交三断面又は投影像に重畳させて表示部に表示する。或いは、画像回転部203の画像回転処理に応じて、事前に設定入力された撮像パラメータの値の表示を回転後の画像に合わせるように表示変更する処理を行う。
【0031】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図3に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理フローの説明では、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像としてMIP像を用いる場合を説明する。また、画像処理パラメータとして投影方向、投影角、投影枚数などの投影パラメータを例にして本実施例の処理フローを説明する。ただし、本実施例はこれらに限定されない。
【0032】
ステップ301で、三次元画像データ選択部201は、記憶部115に記憶された複数の三次元画像データのリスト(図示せず)を、表示・操作部113のディスプレイに表示する。そして、操作者は、ディスプレイに表示されたリストの内から、表示・操作部113を介して、MIP処理を行う三次元画像データ(画像シリーズ)の選択入力を行なう。
【0033】
ステップ302で、三次元画像データ選択部201は、ステップ302で選択された三次元画像データを記憶部115から読み込み、演算処理部114のメモリ200内に記憶させる。
【0034】
ステップ303で、投影像作成部202は、ステップ302でメモリ200に記憶された三次元画像データに対して、直交3軸方向(COR方向、SAG方向、AX方向)の各方向にMIP処理を行い、各方向のMIP像を作成する。そして、作成した各方向のMIP像をディスプレイに表示する。図4は、ディスプレイの表示画面を4分割して、右上にSAG方向のMIP像を、左下にAX方向のMIP像を、左上にCOR方向のMIP像をそれぞれ表示する表示例を示す。
【0035】
ステップ304で、操作者は、ディスプレイに表示された各MIP像が意図した角度で表示されているか判定する。意図した角度でない場合は、ステップ305に移行する。意図した角度である場合は、ステップ308に移行する。図4では、SAG方向のMIP像が傾いた例を示す。
ステップ305で、操作者は、意図した角度でないMIP像を平面回転させるために、表示・操作部113を介して回転操作入力を行なう。回転操作は例えばマウスのドラッグで行う。その際、画像回転の回転中心の指定が必要な場合は、操作者は回転中心を設定するための設定入力を行う。例えば、マウスで回転中心を指定する。
【0036】
ステップ306で、画像回転部203は、ステップ305での操作者による表示・操作部113を介した回転操作入力を受けて、意図した角度でないMIP像を平面回転させる。そして、回転後の画像をディスプレイに表示させる。
【0037】
ステップ307で、画像回転部203は、ステップ306で回転したMIP像に直交するように他の方向のMIP像を再計算し、ディスプレイにそれぞれ再表示する。図5は、図4におけるSAG方向のMIP像の傾きが回転されて修正された例を示す。また、回転後のSAG方向のMIP像に直交するようにCOR方向及びAX方向のMIP像がそれぞれ再計算されて表示された例を示す。それぞれのMIP像の回転方向を→で示す。
【0038】
ステップ308で、操作者は、表示・操作部113を介して、所望のMIP像上で画像処理パラメータの値を設定するための設定入力を行う。例えば、操作者は、投影方向、投影角、投影枚数などの投影パラメータの値の設定入力を行なう。そして、画像処理パラメータ設定部204は、ステップ309で設定入力された投影パラメータの値に基づいて投影像を作成するために、該投影パラメータの値をメモリ200に記憶する。図6には、4分割されたディスプレイの表示画面において左下のAX方向のMIP像上で、矢印で示される投影方向が設定入力された例を示す。
【0039】
ステップ309で、投影像作成部202は、ステップ308でメモリ200に記憶された投影パラメータの値に基づいて、メモリ200内に記憶された三次元画像データを用いて、投影像を作成して、ディスプレイにおいてMIP像とは異なる領域に表示させる。これは、ステップ308で設定入力された投影パラメータの値が適切であるか否かを確認するためのプレビュー処理に該当し、操作者は表示された投影像を基に、ステップ308で設定入力した投影パラメータの値の適否を判定できる。図6に投影像の一例を示す。図6では、4分割されたディスプレイの表示画面において右下の領域に投影像を表示する例を示す。
【0040】
ステップ310で、操作者は、画像処理結果を保存する操作、例えば、4分割表示画面に接近させて表示(図示せず)された開始ボタンのクリックを行う。
【0041】
ステップ311で、画像処理パラメータ設定部204は、ステップ308でメモリ200に記憶した投影パラメータの値を記憶部115に記憶し、投影像作成部202は、ステップ307で再計算された各MIP像と、ステップ308で設定入力された投影パラメータの値(例えば投影方向を示すライン)を重畳表示したMIP像と、ステップ309で投影パラメータの値に基づいて作成された投影像と、をそれぞれ記憶部115に投影パラメータの値と共に記憶する。
以上迄が本実施例の処理フローの説明である。
【0042】
以上説明したように、本実施例の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法は、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像が意図した角度で撮像されたものでは無かった場合、即ち傾いていた場合に、一つの投影像(MIP像)を所望の角度に平面回転させ、この回転に応じて、回転させた投影像に直交するように他の投影像を再計算して求める。よって、予期せず被検体が傾いて撮像され、その傾いた投影像が入力されてしまった場合に、意図した傾きの(例えば傾きの無い)投影像を入力した場合の画像処理設定と同様の設定を行うことが可能になる。その結果、投影像の傾きに係らず、即ち被検体の傾きに係らず、画像処理のための各種画像処理パラメータの値の設定が容易になる。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法の実施例2を説明する。本実施例は、ディスプレイに表示する画像が意図した角度かどうか判定する処理を装置自身が行い、意図する角度で各投影像を表示する。以下、前述の実施例1と同一箇所の説明は省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0044】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図7に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、図2で示した前述の実施例1の各機能ブロックの他に、角度判定基準設定部701と、画像回転判定部702を有する。他は、前述の実施例1の各機能ブロックと同じである。
【0045】
角度判定基準とは、投影像作成部202で作成された投影像が、意図した角度か否かを判定するための判定基準である。例えば、COR像にて両目の位置が水平であることを角度判定基準とすることができる。
【0046】
角度判定基準設定部701は、記憶部115に事前に登録しておいた複数の角度判定基準を読み出して、ディスプレイに表示する。そして、操作者は、表示・操作部113を介して、所望の角度判定基準を選択して設定する。角度判定基準設定部701は、操作者が選択した角度判定基準を画像回転判定部702に設定すると共に記憶部115に保存する。
【0047】
画像回転判定部702は、投影像作成部202で作成された投影像が、角度判定基準設定部701で設定された角度判定基準に適合するか否かを判定することにより、投影像が意図した角度か否かを判定する。例えば、COR像にて両目の位置が水平であることが角度判定基準として設定されていた場合には、画像回転判定部701は、COR像において両目を検出し、両目の中心を結ぶ線分と画像の水平軸とのなす角度と角度判定基準が規定する角度閾値とを比較し、閾値以内であれば水平と判定する。
【0048】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図8に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理フローの説明では、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像としてMIP像を用いる場合を説明する。
【0049】
ステップ801で、角度判定基準が設定される。そのために、角度判定基準設定部701は、記憶部115に事前に登録しておいた複数の角度判定基準を読み出してディスプレイに表示し、操作者の選択を受け付ける。
【0050】
ステップ802で、角度判定基準設定部701は、ステップ801で操作者により選択された角度判定基準を画像回転判定部702に設定すると共に記憶部115に保存する。
【0051】
ステップ803で、三次元画像データ選択部201は、記憶部115に記憶された複数の三次元画像データのリスト(図示せず)を、表示・操作部113のディスプレイに表示する。そして、操作者は、ディスプレイに表示されたリストの内から、表示・操作部113を介して、MIP処理を行う三次元画像データ(画像シリーズ)の選択入力を行なう。
【0052】
ステップ804で、三次元画像データ選択部201は、ステップ803で選択された三次元画像データを記憶部115から読み込み、演算処理部114のメモリ200内に記憶させる。そして、投影像作成部202は、メモリ200に記憶された三次元画像データに対して、直交3軸方向(COR方向、SAG方向、AX方向)の各方向にMIP処理を行い、各方向のMIP像を作成する。そして、作成した各方向のMIP像をディスプレイに表示する。
【0053】
ステップ805で、画像回転判定部702は、ステップ804で作成された投影像が、ステップ802で設定された角度判定基準に適合するか否かを判定する。角度判定基準に適合しないと判定した場合は、ステップ806に移行する。適合する場合はステップ808に移行する。
【0054】
ステップ806で、画像回転部203は、ステップ802で設定された角度判定基準に適合するように、MIP像を回転させる。例えば、角度判定基準として、COR像にて両目の位置が水平であるとした場合には、COR方向のMIP像を両目の位置が水平となるようにMIP像を回転させる。
【0055】
ステップ807で、画像回転部203は、ステップ806で回転したMIP像に直交するように他の方向のMIP像を再計算し、ディスプレイに再表示する。
【0056】
ステップ808〜811は、前述のステップ308から311とそれぞれ同じ処理なので、詳細な説明は省略する。
以上迄が本実施例の処理フローの説明である。
【0057】
以上説明したように、本実施例の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法は、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像が意図した角度で撮像されなかった場合に、一つの投影像(MIP像)で、その傾きを装置自身が検出し修正して、意図した傾きの画像(例えば傾きの無い画像)となるように自動で回転させ、この回転に応じて、回転させた投影像に直交するように他の投影像を再計算して求める。よって、予期せず被検体が傾いて撮像され、その傾いた画像が入力されてしまった場合であっても、操作者の傾き修正処理を省いて、傾きの無い画像を入力した場合の画像処理設定と同様の設定を行うことが可能になる。その結果、投影像の傾きに係らず、即ち被検体の傾きに係らず、画像処理のための各種画像処理パラメータの値の設定が容易になる。
【実施例3】
【0058】
次に、本発明の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法の実施例3を説明する。本実施例は、撮像を行うための撮像パラメータの値の設定の際に画像回転を行なう。以下、前述の各実施例と同一箇所の説明は省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0059】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図9に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、図2で示した前述の実施例1の機能ブロックの画像処理パラメータ設定部204に替えて、撮像パラメータ設定部901を有する。他は、前述の実施例1の各機能ブロックと同じである。
【0060】
撮像パラメータ設定部901は、操作者が表示・操作部113を介して設定入力する撮像パラメータの値を受け付けて、ディスプレイに表示された画像上に反映する。撮像パラメータとしては、例えば、撮像断面(スライス)の位置や角度或いは撮像断面の数等である。そして、設定入力された各撮像パラメータの値に基づいて、撮像を行なうためのパルスシーケンスを具体的に設定して、計測制御部111に通知する。
【0061】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図10に示すフローチャートに基づいて説明する。図3に示した前述の実施例1の処理フローと異なるステップは、ステップ308〜310の替わりに行なうステップ1008〜1010であり、これら以外のステップは図3のステップと同様なので説明は省略する。なお、本処理フローの説明では、撮像パラメータの値を設定するための入力画像としてMIP像を用いる場合を説明する。
【0062】
ステップ1008で、操作者は、表示・操作部113を介して、撮像パラメータの値を設定入力する。
【0063】
ステップ1009で、撮像パラメータ設定部901は、ステップ1008で設定入力された撮像パラメータの値を各MIP画像に反映する。撮像パラメータとして撮像断面(スライス)の位置と角度及び撮像断面の数の場合の、これらの値を表示する例を図11に示す。図11は、COR方向のMIP像又は回転されたSAG方向のMIP像上に、14枚の撮像断面についての各々の位置と間隔及び角度がそれぞれ入力設定され、各MIP像に重畳表示した例を示す。なお、図11の例では撮像断面(スライス)がAX方向に略平行となるため、AX方向のMIP像は撮像断面についての位置は矩形で表示される。
【0064】
ステップ1010で、操作者は、撮像を開始する操作を行なう。例えば、ディスプレイ上に表示された撮像開始ボタンをマウスでクリックする。そして、撮像パラメータ設定部901は、設定入力された各撮像パラメータの値に基づいて、撮像を行なうためのパルスシーケンスを具体的に設定して、計測制御部111に通知する。一般的な医用画像診断装置であれば、設定入力された各撮像パラメータの値に基づいて、撮像設定を具体的に行なう。
【0065】
上記説明以外の他のステップは前述の実施例1と同様である。
なお、ステップ1008での撮像パラメータの値の設定入力を画像回転前に行なった場合は、画像回転に合わせて設定入力された撮像パラメータの値の再表示を行なう。
以上迄が本実施例の処理フローの説明である。
【0066】
以上説明したように、本実施例の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法は、傾きを修正した投影像上で撮像パラメータの値を設定できるので、予期せず被検体が傾いて撮像され、その傾いた画像が入力されてしまった場合に、意図した傾きの(例えば傾きの無い)画像を入力した場合の撮像パラメータの値の設定と同様の設定を行うことが可能になる。その結果、投影像の傾きに係らず、即ち被検体の傾きに係らず、撮像パラメータの値の設定が容易になる。
【実施例4】
【0067】
次に、本発明の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法の実施例4を説明する。本実施例は、MPR(Multi Planar Reconstruction)処理を行い断面像を作成する際に画像回転を行なう。以下、前述の各実施例と同一箇所の説明は省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0068】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図12に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、図2で示した前述の実施例1の機能ブロックの投影像作成部202に替えて、MPR像作成部1202を有する。他は、前述の実施例1の各機能ブロックと同じである。
【0069】
MPR像作成部1202は、メモリ200に記憶された三次元画像データを用いて、公知のMPR処理を行い、断面像を作成する。例えば、三次元画像データに対して直交3軸方向(COR方向、SAG方向、AX方向)の各方向にMPR処理を行い、各方向の断面像を作成する。
【0070】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図13に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、図3に示した前述の実施例1の処理フローと異なるステップは、ステップ301、303、305〜307、309、311の替わりに行なうステップ1301、1303、1305〜1307、1311であり、これら以外のステップは図3のステップと同様なので説明は省略する。
【0071】
ステップ1301で、三次元画像データ選択部201は、記憶部115に記憶された複数の三次元画像データのリスト(図示せず)を、表示・操作部113のディスプレイに表示する。そして、操作者は、ディスプレイに表示されたリストの内から、表示・操作部113を介して、MPR処理を行う三次元画像データ(画像シリーズ)の選択入力を行なう。
【0072】
ステップ1303で、MPR像作成部1202は、ステップ302でメモリ200に記憶された三次元画像データに対して、直交3軸方向(COR方向、SAG方向、AX方向)の各方向にMPR処理を行い、各方向の断面像を作成する。そして、作成した各方向のMPR像をディスプレイに表示する。
【0073】
ステップ1305で、操作者は、意図した角度でない断面像を平面回転させるために、表示・操作部113を介して回転操作入力を行なう。回転操作は例えばマウスのドラッグで行う。その際、画像回転の回転中心の指定が必要な場合は、操作者は回転中心を設定するための設定入力を行う。例えば、マウスで回転中心を指定する。
【0074】
ステップ1306で、画像回転部203は、ステップ1305での操作者による表示・操作部113を介した回転操作入力を受けて、意図した角度でない断面像を回転させる。そして、回転後の断面像をディスプレイに表示させる。
【0075】
ステップ1307で、画像回転部203は、ステップ1306で回転した断面像に直交するように他の方向の断面像をMPR処理により再計算し、ディスプレイに再表示する。
【0076】
上記説明以外の他のステップは、前述の実施例1と同様に、回転後の断面像上で設定入力された投影パラメータの値に基づいて投影像を作成して表示する。
以上迄が本実施例の処理フローの説明である。
【0077】
以上説明したように、本実施例の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法は、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像が意図した角度で撮像されなかった場合に、一つの断面像を所望の角度に回転させ、この回転に応じて、回転させた断面像に直交するように他の断面像を再計算して求める。よって、予期せず被検体が傾いて撮像され、その傾いた断面像が入力されてしまった場合に、意図した傾きの(例えば傾きの無い)断面像を入力した場合の画像処理設定と同様の設定を行うことが可能になる。その結果、断面像の傾きに係らず、即ち被検体の傾きに係らず、画像処理のための各種画像処理パラメータの値の設定が容易になる。
【符号の説明】
【0078】
101 被検体、102 静磁場発生磁石、103 傾斜磁場コイル、104 送信RFコイル、105 受信RFコイル、106 信号検出部、107 信号処理部、108 全体制御部、109 傾斜磁場電源、110 RF送信部、111 計測制御部、112 ベッド、113 表示・操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置における、撮像のための画像表示、画像処理、画像観察するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(以下、MRI)装置等の医用画像診断装置は、被検体から得た信号に基づいて被検体内部を画像化し、診断に供する装置である。この医用画像診断装置においては、被検体を撮像した画像を入力画像として画像処理を行い、撮像画像とは別の画像を生成出力する場合がある。例えば、特許文献1に記載されているように、サーフェースレンダリング法やボリュームレンダリング法によって作成した三次元画像に対して、任意の回転や任意の移動を行いながら、画像上で画像処理パラメータを指定して所望の画像処理結果を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-101450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、三次元画像およびMPR三次元画像を、マウスポインターの操作によって、回転または移動を行うことができる。しかしながら、三次元画像およびMPR三次元画像が予期せず傾いていた場合に、通常の検査と同様の画像処理結果を得ようとすると、これらの画像上で設定する画像処理パラメータを、再度設定又は変更する必要がある。また、検査を簡単化するために、画像処理パラメータの値が固定されている場合は、通常の検査とは違った画像処理結果を得ることになり、画像処理結果を見誤る可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、予期せず傾いてしまった入力画像に対しても、傾きの無い通常の入力画像と同様に、画像処理を行うための画像処理パラメータの値を設定できるようにすることを可能にした医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成し、3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きを修正し、傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成する。
【0007】
具体的には、本発明の医用画像診断装置は、3次元画像データを記憶する記憶部と、3次元画像データを各種処理して複数の処理画像を作成する演算処理部と、処理画像を表示する表示部と、表示部に表示された処理画像上で、各種パラメータの値の設定入力をおこなうための入力部と、を備え、演算処理部は、3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成する機能と、3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きを修正するとともに、該傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成する機能を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像処理パラメータ設定方法は、3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成するステップと、3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きの修正するステップと、傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成するステップと、傾きが修正された一つの画像上又は該傾きが修正された一つの画像に直交する画像上で、画像処理を行うための画像処理パラメータの値又は撮像を行なうための撮像パラメータの値の設定入力を受け付けるステップと、設定入力された画像処理パラメータの値に基づいて画像処理を行い結果画像を作成する又は設定入力された撮像パラメータの値に基づいて撮像を行なうステップ、とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法によれば、予期せず傾いてしまった入力画像に対しても、傾きの無い通常の入力画像と同様に、画像処理を行うための画像処理パラメータの値を設定できるようにすることができる。その結果、入力画像の傾きに係らず、傾きの無い通常の入力画像と同様の画像処理結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)図は、本発明に係る医用画像診断装置の一例を示すブロック図。(b)図は、医用画像診断装置の一例であるMRI装置の全体構成の一例を示すブロック図。
【図2】実施例1の演算処理の各機能を表す機能ブロック図。
【図3】実施例1の処理フローを表すフローチャート。
【図4】ディスプレイの表示画面を4分割して、右上にSAG方向のMIP像を、左下にAX方向のMIP像を、左上にCOR方向のMIP像をそれぞれ表示する表示例を示す図。
【図5】図4におけるSAG方向のMIP像の傾きが回転されて修正された例を示す図。
【図6】4分割されたディスプレイの表示画面において左下のAX方向のMIP像上で投影方向が設定入力され、投影像が作成されて表示された例を示す図。
【図7】実施例2の演算処理の各機能を表す機能ブロック図。
【図8】実施例2の処理フローを表すフローチャート。
【図9】実施例3の演算処理の各機能を表す機能ブロック図。
【図10】実施例3の処理フローを表すフローチャート。
【図11】COR方向のMIP像又は回転されたSAG方向のMIP像上に、14枚の撮像断面ついての各々の位置と間隔及び角度がそれぞれ入力設定され、各MIP像に重畳表示した例を示す図。
【図12】実施例4の演算処理の各機能を表す機能ブロック図。
【図13】実施例4の処理フローを表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に従って本発明の医用画像診断装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
最初に、本発明に係る医用画像診断装置の一例を図1(a)に基づいて説明する。本発明に係る医用画像診断装置は、被検体の画像を画像再構成するために該被検体から信号データを検出するスキャナー部11と、スキャナー部11で検出した信号データを記憶する記憶部12と、記憶部12に記憶された信号データを用いて画像再構成処理を行って画像を取得し、再構成した画像について投影処理(例えばMIP処理)やMPR処理を含む各種演算を行って結果画像を取得すると共に、処理後の画像データを記憶部12に記憶させる演算処理部13と、操作者が演算処理部13に対し各種指示情報を設定入力するための操作部14と、演算処理部13で処理された画像や操作入力を行なうためのUI(User Interface)を表示する表示部15と、を有してなる。また、記憶部12における各種画像データは、記憶部12内の画像データベースにその画像データを登録することにより記憶される。
【0013】
次に、本発明に係る医用画像診断装置の一例として、MRI装置の一例の全体構成を図1(b)に基づいて説明する。なお、本発明はMRI装置に限定されず、X線CT装置やPET装置等の他の医用画像診断装置にも適用可能である。
【0014】
図1(b)は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体101の断層画像を得るもので、図1に示すように、静磁場発生磁石102と、傾斜磁場コイル103及び傾斜磁場電源109と、送信RFコイル104及びRF送信部110と、受信RFコイル105及び信号検出部106と、信号処理部107と、計測制御部111と、全体制御部108と、表示・操作部113と、被検体101を搭載してその被検体101を静磁場発生磁石102の内部に出し入れするベッド112と、を備えて構成される。
【0015】
静磁場発生磁石102は、垂直磁場方式であれば被検体101の体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば体軸方向に、それぞれ均一な静磁場を発生させるもので、被検体101の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
【0016】
傾斜磁場コイル103は、MRI装置の実空間座標系(静止座標系)であるX、Y、Zの3軸方向に巻かれたコイルであり、それぞれの傾斜磁場コイルは、それを駆動する傾斜磁場電源109に接続され電流が供給される。具体的には、各傾斜磁場コイルの傾斜磁場電源109は、それぞれ後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、それぞれの傾斜磁場コイルに電流を供給する。これにより、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場Gx、Gy、Gzが発生する。
【0017】
2次元スライス面の撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス傾斜磁場パルス(Gs)が印加されて被検体101に対するスライス面が設定され、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード(リードアウト)傾斜磁場パルス(Gf)が印加されて、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報がエンコードされる。本発明に係る3次元領域の撮像時の制御については後述する。
【0018】
送信RFコイル104は、被検体101にRFパルスを照射するコイルであり、RF送信部110に接続され高周波パルス電流が供給される。これにより、被検体101の生体組織を構成する原子の原子核スピンにNMR現象が誘起される。具体的には、RF送信部110が、後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、高周波パルスが振幅変調され、増幅された後に被検体101に近接して配置された送信RFコイル104に供給されることにより、RFパルスが被検体101に照射される。
【0019】
受信RFコイル105は、被検体101の生体組織を構成する原子核スピンのNMR現象により放出されるNMR信号(エコー信号)を受信するコイルであり、信号検出部106に接続されて受信したエコー信号が信号検出部106に送られる。信号検出部106は、受信RFコイル105で受信されたエコー信号の検出処理を行う。具体的には、RF送信コイル104から照射されたRFパルスによって誘起された被検体101の応答のエコー信号が被検体101に近接して配置された受信RFコイル105で受信され、後述の計測制御部111からの命令に従って、信号検出部106が、受信されたエコー信号を増幅し、直交位相検波により直交する二系統の信号に分割し、それぞれを所定数(例えば128、256、512等)サンプリングし、各サンプリング信号をA/D変換してディジタル量に変換し、後述の信号処理部107に送る。 従って、エコー信号は所定数のサンプリングデータからなる時系列のデジタルデータ(以下、エコーデータという)として得られる。
【0020】
信号処理部107は、エコーデータに対して各種処理を行い、処理されたエコーデータを計測制御部111に送る。
【0021】
計測制御部111は、被検体101の断層画像の再構成に必要なデータ収集のための種々の命令を、主に、傾斜磁場電源109と、RF送信部110と、信号検出部106に送信してこれらを制御する制御部である。具体的には、計測制御部111は、後述する全体制御部108の制御で動作し、ある所定のパルスシーケンスに基づいて、傾斜磁場電源109、RF送信部110及び信号検出部106を制御して、被検体101へのRFパルスと傾斜磁場パルスの印加及び被検体101からのエコー信号の検出を繰り返し実行し、被検体101の撮像領域についての画像の再構成に必要なエコーデータを収集する。
【0022】
全体制御部108は、計測制御部111の制御、及び、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等の制御を行うものであって、CPU及びメモリを内部に有する演算処理部114と、光ディスク、磁気ディスク等の記憶部115とを有して成る。具体的には、計測制御部111を制御してエコーデータの収集を実行させ、計測制御部111からのエコーデータが入力されると、演算処理部114がそのエコーデータに印加されたエンコード情報に基づいて、メモリのK空間に相当する領域に記憶させる。メモリのK空間に相当する領域に記憶されたエコーデータ群をK空間データともいう。そして演算処理部114はこのK空間データに対して信号処理やフーリエ変換による画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体101の画像を、後述の表示・操作部113に表示させると共に記憶部115に記録する。
【0023】
表示・操作部113は、再構成された被検体101の画像を表示する表示部と、MRI装置の各種制御情報や上記全体制御部108で行う処理の制御情報を入力するトラックボール又はマウス及びキーボード等の操作部と、から成る。この操作部は表示部に近接して配置され、操作者が表示部を見ながら操作部を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0024】
以下、医用画像診断装置としてMRI装置を例にして、本発明に係る各実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
次に、本発明の医用画像診断装置又は画像処理パラメータ設定方法の実施例1を説明する。本実施例は、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像がMIP(Maximum Intensity Projection)像であり、このMIP像が傾いていた場合に、そのMIP像の傾きを修正し、傾きを修正したMIP画像に直交する他のMIP像を求めて、これらのMIP像上で画像パラメータの値を設定する。
【0026】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図2に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、三次元画像データ選択部201、投影像作成部202、画像回転部203、画像処理パラメータ設定部204、を有してなる。
【0027】
三次元画像データ選択部201は、記憶部115に記憶された複数の三次元画像データのリストを作成し、表示・操作部113のディスプレイに表示させる。そして、このリスト上で、操作者の表示・操作部113を介した選択指定を受けて、選択された三次元画像データを記憶部115から読み込み、演算処理部114のメモリ200内に記憶させる。
【0028】
投影像作成部202は、メモリ200に記憶された三次元画像データを用いて、公知の投影処理を行い、投影像を作成する。例えば、投影像としてMIP像を作成するには、三次元画像データに対して直交3軸方向(COR(Coronal)方向、SAG(Sagittal)方向、AX(Axial)方向)の各方向にMIP処理を行い、各方向のMIP像を作成する。投影像としてMINIP(最小値投影)像を作成する場合も同様である。或いは、公知のMPR処理に基づいて、三次元画像に関する直交三断面の各断面像を作成してもよい。その他、ボリュームレンダリング像やサーフェースレンダリング像を取得する場合には、三次元画像データに対して公知のボリュームレンダリング処理やサーフェースレンダリング処理を行う。作成された投影像又は断面像は、表示部に表示される。
【0029】
画像回転部203は、表示部に表示された、直交三断面像又は投影像の内の任意の一つの画像上で、操作者による表示・操作部113を介した回転操作入力を受けて、その画像を平面回転させる。画像回転の回転中心は、その画像の中心でも良いし、操作者がその画像上で指定しても良い。そして、回転後の画像を表示部に表示させる。
【0030】
画像処理パラメータ設定部204は、操作者の表示・操作部113を介した撮像パラメータの値の設定入力を受けて、入力された撮像パラメータの値の内容を、直交三断面又は投影像に重畳させて表示部に表示する。或いは、画像回転部203の画像回転処理に応じて、事前に設定入力された撮像パラメータの値の表示を回転後の画像に合わせるように表示変更する処理を行う。
【0031】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図3に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理フローの説明では、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像としてMIP像を用いる場合を説明する。また、画像処理パラメータとして投影方向、投影角、投影枚数などの投影パラメータを例にして本実施例の処理フローを説明する。ただし、本実施例はこれらに限定されない。
【0032】
ステップ301で、三次元画像データ選択部201は、記憶部115に記憶された複数の三次元画像データのリスト(図示せず)を、表示・操作部113のディスプレイに表示する。そして、操作者は、ディスプレイに表示されたリストの内から、表示・操作部113を介して、MIP処理を行う三次元画像データ(画像シリーズ)の選択入力を行なう。
【0033】
ステップ302で、三次元画像データ選択部201は、ステップ302で選択された三次元画像データを記憶部115から読み込み、演算処理部114のメモリ200内に記憶させる。
【0034】
ステップ303で、投影像作成部202は、ステップ302でメモリ200に記憶された三次元画像データに対して、直交3軸方向(COR方向、SAG方向、AX方向)の各方向にMIP処理を行い、各方向のMIP像を作成する。そして、作成した各方向のMIP像をディスプレイに表示する。図4は、ディスプレイの表示画面を4分割して、右上にSAG方向のMIP像を、左下にAX方向のMIP像を、左上にCOR方向のMIP像をそれぞれ表示する表示例を示す。
【0035】
ステップ304で、操作者は、ディスプレイに表示された各MIP像が意図した角度で表示されているか判定する。意図した角度でない場合は、ステップ305に移行する。意図した角度である場合は、ステップ308に移行する。図4では、SAG方向のMIP像が傾いた例を示す。
ステップ305で、操作者は、意図した角度でないMIP像を平面回転させるために、表示・操作部113を介して回転操作入力を行なう。回転操作は例えばマウスのドラッグで行う。その際、画像回転の回転中心の指定が必要な場合は、操作者は回転中心を設定するための設定入力を行う。例えば、マウスで回転中心を指定する。
【0036】
ステップ306で、画像回転部203は、ステップ305での操作者による表示・操作部113を介した回転操作入力を受けて、意図した角度でないMIP像を平面回転させる。そして、回転後の画像をディスプレイに表示させる。
【0037】
ステップ307で、画像回転部203は、ステップ306で回転したMIP像に直交するように他の方向のMIP像を再計算し、ディスプレイにそれぞれ再表示する。図5は、図4におけるSAG方向のMIP像の傾きが回転されて修正された例を示す。また、回転後のSAG方向のMIP像に直交するようにCOR方向及びAX方向のMIP像がそれぞれ再計算されて表示された例を示す。それぞれのMIP像の回転方向を→で示す。
【0038】
ステップ308で、操作者は、表示・操作部113を介して、所望のMIP像上で画像処理パラメータの値を設定するための設定入力を行う。例えば、操作者は、投影方向、投影角、投影枚数などの投影パラメータの値の設定入力を行なう。そして、画像処理パラメータ設定部204は、ステップ309で設定入力された投影パラメータの値に基づいて投影像を作成するために、該投影パラメータの値をメモリ200に記憶する。図6には、4分割されたディスプレイの表示画面において左下のAX方向のMIP像上で、矢印で示される投影方向が設定入力された例を示す。
【0039】
ステップ309で、投影像作成部202は、ステップ308でメモリ200に記憶された投影パラメータの値に基づいて、メモリ200内に記憶された三次元画像データを用いて、投影像を作成して、ディスプレイにおいてMIP像とは異なる領域に表示させる。これは、ステップ308で設定入力された投影パラメータの値が適切であるか否かを確認するためのプレビュー処理に該当し、操作者は表示された投影像を基に、ステップ308で設定入力した投影パラメータの値の適否を判定できる。図6に投影像の一例を示す。図6では、4分割されたディスプレイの表示画面において右下の領域に投影像を表示する例を示す。
【0040】
ステップ310で、操作者は、画像処理結果を保存する操作、例えば、4分割表示画面に接近させて表示(図示せず)された開始ボタンのクリックを行う。
【0041】
ステップ311で、画像処理パラメータ設定部204は、ステップ308でメモリ200に記憶した投影パラメータの値を記憶部115に記憶し、投影像作成部202は、ステップ307で再計算された各MIP像と、ステップ308で設定入力された投影パラメータの値(例えば投影方向を示すライン)を重畳表示したMIP像と、ステップ309で投影パラメータの値に基づいて作成された投影像と、をそれぞれ記憶部115に投影パラメータの値と共に記憶する。
以上迄が本実施例の処理フローの説明である。
【0042】
以上説明したように、本実施例の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法は、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像が意図した角度で撮像されたものでは無かった場合、即ち傾いていた場合に、一つの投影像(MIP像)を所望の角度に平面回転させ、この回転に応じて、回転させた投影像に直交するように他の投影像を再計算して求める。よって、予期せず被検体が傾いて撮像され、その傾いた投影像が入力されてしまった場合に、意図した傾きの(例えば傾きの無い)投影像を入力した場合の画像処理設定と同様の設定を行うことが可能になる。その結果、投影像の傾きに係らず、即ち被検体の傾きに係らず、画像処理のための各種画像処理パラメータの値の設定が容易になる。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法の実施例2を説明する。本実施例は、ディスプレイに表示する画像が意図した角度かどうか判定する処理を装置自身が行い、意図する角度で各投影像を表示する。以下、前述の実施例1と同一箇所の説明は省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0044】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図7に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、図2で示した前述の実施例1の各機能ブロックの他に、角度判定基準設定部701と、画像回転判定部702を有する。他は、前述の実施例1の各機能ブロックと同じである。
【0045】
角度判定基準とは、投影像作成部202で作成された投影像が、意図した角度か否かを判定するための判定基準である。例えば、COR像にて両目の位置が水平であることを角度判定基準とすることができる。
【0046】
角度判定基準設定部701は、記憶部115に事前に登録しておいた複数の角度判定基準を読み出して、ディスプレイに表示する。そして、操作者は、表示・操作部113を介して、所望の角度判定基準を選択して設定する。角度判定基準設定部701は、操作者が選択した角度判定基準を画像回転判定部702に設定すると共に記憶部115に保存する。
【0047】
画像回転判定部702は、投影像作成部202で作成された投影像が、角度判定基準設定部701で設定された角度判定基準に適合するか否かを判定することにより、投影像が意図した角度か否かを判定する。例えば、COR像にて両目の位置が水平であることが角度判定基準として設定されていた場合には、画像回転判定部701は、COR像において両目を検出し、両目の中心を結ぶ線分と画像の水平軸とのなす角度と角度判定基準が規定する角度閾値とを比較し、閾値以内であれば水平と判定する。
【0048】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図8に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理フローの説明では、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像としてMIP像を用いる場合を説明する。
【0049】
ステップ801で、角度判定基準が設定される。そのために、角度判定基準設定部701は、記憶部115に事前に登録しておいた複数の角度判定基準を読み出してディスプレイに表示し、操作者の選択を受け付ける。
【0050】
ステップ802で、角度判定基準設定部701は、ステップ801で操作者により選択された角度判定基準を画像回転判定部702に設定すると共に記憶部115に保存する。
【0051】
ステップ803で、三次元画像データ選択部201は、記憶部115に記憶された複数の三次元画像データのリスト(図示せず)を、表示・操作部113のディスプレイに表示する。そして、操作者は、ディスプレイに表示されたリストの内から、表示・操作部113を介して、MIP処理を行う三次元画像データ(画像シリーズ)の選択入力を行なう。
【0052】
ステップ804で、三次元画像データ選択部201は、ステップ803で選択された三次元画像データを記憶部115から読み込み、演算処理部114のメモリ200内に記憶させる。そして、投影像作成部202は、メモリ200に記憶された三次元画像データに対して、直交3軸方向(COR方向、SAG方向、AX方向)の各方向にMIP処理を行い、各方向のMIP像を作成する。そして、作成した各方向のMIP像をディスプレイに表示する。
【0053】
ステップ805で、画像回転判定部702は、ステップ804で作成された投影像が、ステップ802で設定された角度判定基準に適合するか否かを判定する。角度判定基準に適合しないと判定した場合は、ステップ806に移行する。適合する場合はステップ808に移行する。
【0054】
ステップ806で、画像回転部203は、ステップ802で設定された角度判定基準に適合するように、MIP像を回転させる。例えば、角度判定基準として、COR像にて両目の位置が水平であるとした場合には、COR方向のMIP像を両目の位置が水平となるようにMIP像を回転させる。
【0055】
ステップ807で、画像回転部203は、ステップ806で回転したMIP像に直交するように他の方向のMIP像を再計算し、ディスプレイに再表示する。
【0056】
ステップ808〜811は、前述のステップ308から311とそれぞれ同じ処理なので、詳細な説明は省略する。
以上迄が本実施例の処理フローの説明である。
【0057】
以上説明したように、本実施例の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法は、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像が意図した角度で撮像されなかった場合に、一つの投影像(MIP像)で、その傾きを装置自身が検出し修正して、意図した傾きの画像(例えば傾きの無い画像)となるように自動で回転させ、この回転に応じて、回転させた投影像に直交するように他の投影像を再計算して求める。よって、予期せず被検体が傾いて撮像され、その傾いた画像が入力されてしまった場合であっても、操作者の傾き修正処理を省いて、傾きの無い画像を入力した場合の画像処理設定と同様の設定を行うことが可能になる。その結果、投影像の傾きに係らず、即ち被検体の傾きに係らず、画像処理のための各種画像処理パラメータの値の設定が容易になる。
【実施例3】
【0058】
次に、本発明の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法の実施例3を説明する。本実施例は、撮像を行うための撮像パラメータの値の設定の際に画像回転を行なう。以下、前述の各実施例と同一箇所の説明は省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0059】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図9に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、図2で示した前述の実施例1の機能ブロックの画像処理パラメータ設定部204に替えて、撮像パラメータ設定部901を有する。他は、前述の実施例1の各機能ブロックと同じである。
【0060】
撮像パラメータ設定部901は、操作者が表示・操作部113を介して設定入力する撮像パラメータの値を受け付けて、ディスプレイに表示された画像上に反映する。撮像パラメータとしては、例えば、撮像断面(スライス)の位置や角度或いは撮像断面の数等である。そして、設定入力された各撮像パラメータの値に基づいて、撮像を行なうためのパルスシーケンスを具体的に設定して、計測制御部111に通知する。
【0061】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図10に示すフローチャートに基づいて説明する。図3に示した前述の実施例1の処理フローと異なるステップは、ステップ308〜310の替わりに行なうステップ1008〜1010であり、これら以外のステップは図3のステップと同様なので説明は省略する。なお、本処理フローの説明では、撮像パラメータの値を設定するための入力画像としてMIP像を用いる場合を説明する。
【0062】
ステップ1008で、操作者は、表示・操作部113を介して、撮像パラメータの値を設定入力する。
【0063】
ステップ1009で、撮像パラメータ設定部901は、ステップ1008で設定入力された撮像パラメータの値を各MIP画像に反映する。撮像パラメータとして撮像断面(スライス)の位置と角度及び撮像断面の数の場合の、これらの値を表示する例を図11に示す。図11は、COR方向のMIP像又は回転されたSAG方向のMIP像上に、14枚の撮像断面についての各々の位置と間隔及び角度がそれぞれ入力設定され、各MIP像に重畳表示した例を示す。なお、図11の例では撮像断面(スライス)がAX方向に略平行となるため、AX方向のMIP像は撮像断面についての位置は矩形で表示される。
【0064】
ステップ1010で、操作者は、撮像を開始する操作を行なう。例えば、ディスプレイ上に表示された撮像開始ボタンをマウスでクリックする。そして、撮像パラメータ設定部901は、設定入力された各撮像パラメータの値に基づいて、撮像を行なうためのパルスシーケンスを具体的に設定して、計測制御部111に通知する。一般的な医用画像診断装置であれば、設定入力された各撮像パラメータの値に基づいて、撮像設定を具体的に行なう。
【0065】
上記説明以外の他のステップは前述の実施例1と同様である。
なお、ステップ1008での撮像パラメータの値の設定入力を画像回転前に行なった場合は、画像回転に合わせて設定入力された撮像パラメータの値の再表示を行なう。
以上迄が本実施例の処理フローの説明である。
【0066】
以上説明したように、本実施例の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法は、傾きを修正した投影像上で撮像パラメータの値を設定できるので、予期せず被検体が傾いて撮像され、その傾いた画像が入力されてしまった場合に、意図した傾きの(例えば傾きの無い)画像を入力した場合の撮像パラメータの値の設定と同様の設定を行うことが可能になる。その結果、投影像の傾きに係らず、即ち被検体の傾きに係らず、撮像パラメータの値の設定が容易になる。
【実施例4】
【0067】
次に、本発明の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法の実施例4を説明する。本実施例は、MPR(Multi Planar Reconstruction)処理を行い断面像を作成する際に画像回転を行なう。以下、前述の各実施例と同一箇所の説明は省略し、異なる箇所のみを説明する。
【0068】
最初に、本実施例に係る演算処理の各機能を、図12に示す演算処理部114の機能ブロック図に基づいて説明する。本実施例に係る演算処理部114は、図2で示した前述の実施例1の機能ブロックの投影像作成部202に替えて、MPR像作成部1202を有する。他は、前述の実施例1の各機能ブロックと同じである。
【0069】
MPR像作成部1202は、メモリ200に記憶された三次元画像データを用いて、公知のMPR処理を行い、断面像を作成する。例えば、三次元画像データに対して直交3軸方向(COR方向、SAG方向、AX方向)の各方向にMPR処理を行い、各方向の断面像を作成する。
【0070】
次に、上記演算処理部114の各機能部が連携して行なう、本実施例の処理フローを図13に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、図3に示した前述の実施例1の処理フローと異なるステップは、ステップ301、303、305〜307、309、311の替わりに行なうステップ1301、1303、1305〜1307、1311であり、これら以外のステップは図3のステップと同様なので説明は省略する。
【0071】
ステップ1301で、三次元画像データ選択部201は、記憶部115に記憶された複数の三次元画像データのリスト(図示せず)を、表示・操作部113のディスプレイに表示する。そして、操作者は、ディスプレイに表示されたリストの内から、表示・操作部113を介して、MPR処理を行う三次元画像データ(画像シリーズ)の選択入力を行なう。
【0072】
ステップ1303で、MPR像作成部1202は、ステップ302でメモリ200に記憶された三次元画像データに対して、直交3軸方向(COR方向、SAG方向、AX方向)の各方向にMPR処理を行い、各方向の断面像を作成する。そして、作成した各方向のMPR像をディスプレイに表示する。
【0073】
ステップ1305で、操作者は、意図した角度でない断面像を平面回転させるために、表示・操作部113を介して回転操作入力を行なう。回転操作は例えばマウスのドラッグで行う。その際、画像回転の回転中心の指定が必要な場合は、操作者は回転中心を設定するための設定入力を行う。例えば、マウスで回転中心を指定する。
【0074】
ステップ1306で、画像回転部203は、ステップ1305での操作者による表示・操作部113を介した回転操作入力を受けて、意図した角度でない断面像を回転させる。そして、回転後の断面像をディスプレイに表示させる。
【0075】
ステップ1307で、画像回転部203は、ステップ1306で回転した断面像に直交するように他の方向の断面像をMPR処理により再計算し、ディスプレイに再表示する。
【0076】
上記説明以外の他のステップは、前述の実施例1と同様に、回転後の断面像上で設定入力された投影パラメータの値に基づいて投影像を作成して表示する。
以上迄が本実施例の処理フローの説明である。
【0077】
以上説明したように、本実施例の医用画像診断装置及び画像処理パラメータ設定方法は、画像処理パラメータの値を設定するための入力画像が意図した角度で撮像されなかった場合に、一つの断面像を所望の角度に回転させ、この回転に応じて、回転させた断面像に直交するように他の断面像を再計算して求める。よって、予期せず被検体が傾いて撮像され、その傾いた断面像が入力されてしまった場合に、意図した傾きの(例えば傾きの無い)断面像を入力した場合の画像処理設定と同様の設定を行うことが可能になる。その結果、断面像の傾きに係らず、即ち被検体の傾きに係らず、画像処理のための各種画像処理パラメータの値の設定が容易になる。
【符号の説明】
【0078】
101 被検体、102 静磁場発生磁石、103 傾斜磁場コイル、104 送信RFコイル、105 受信RFコイル、106 信号検出部、107 信号処理部、108 全体制御部、109 傾斜磁場電源、110 RF送信部、111 計測制御部、112 ベッド、113 表示・操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元画像データを記憶する記憶部と、
前記3次元画像データを各種処理して複数の処理画像を作成する演算処理部と、
前記処理画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記処理画像上で、各種パラメータの値の設定入力をおこなうための入力部と、
を備えた医用画像診断装置であって、
前記演算処理部は、前記3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成する機能と、前記3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きを修正するとともに、該傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成する機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の医用画像診断装置において、
前記互いに直交する3方向の画像を作成する機能は、前記互いに直交する3方向の画像として、前記3次元画像データを用いて、AX方向、SAG方向、及びCOR方向のMIP像をそれぞれ作成し、
前記演算処理部は、前記入力部を介して傾きが修正されたMIP像上又は該傾きが修正された一つのMIP像に直交するMIP像上で、設定入力された投影パラメータの値に基づいて投影像を作成する機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項3】
請求項1記載の医用画像診断装置において、
前記演算処理部は、所定の角度判定基準に基づいて、前記直交する3方向の画像の内の一つの画像の傾きを判定して、該一つの画像の傾きを修正する機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項4】
請求項1記載の医用画像診断装置において、
前記演算処理部は、前記傾きが修正された一つの画像又は前記傾きが修正された一つの画像に直交する画像上で設定入力された撮像パラメータの値に基づいて、撮像を行なうための撮像設定を行なう機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項5】
請求項1記載の医用画像診断装置において、
前記互いに直交する3方向の画像を作成する機能は、前記互いに直交する3方向の画像として、前記3次元画像データを用いてMPR処理を施し、AX方向、SAG方向、及びCOR方向の断面像をそれぞれ作成し、
前記演算処理部は、回転後の断面像上で、設定入力された投影パラメータの値に基づいて投影像を作成する機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項6】
医用画像処理装置における画像処理パラメータ設定方法であって、
3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成するステップと、
前記3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きの修正するステップと、
前記傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成するステップと、
前記傾きが修正された一つの画像上又は該傾きが修正された一つの画像に直交する画像上で、画像処理を行うための画像処理パラメータの値又は撮像を行なうための撮像パラメータの値の設定入力を受け付けるステップと、
前記設定入力された画像処理パラメータの値に基づいて画像処理を行い結果画像を作成する又は前記設定入力された撮像パラメータの値に基づいて撮像を行なうステップと、
を有することを特徴とする画像処理パラメータ設定方法。
【請求項1】
3次元画像データを記憶する記憶部と、
前記3次元画像データを各種処理して複数の処理画像を作成する演算処理部と、
前記処理画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記処理画像上で、各種パラメータの値の設定入力をおこなうための入力部と、
を備えた医用画像診断装置であって、
前記演算処理部は、前記3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成する機能と、前記3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きを修正するとともに、該傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成する機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の医用画像診断装置において、
前記互いに直交する3方向の画像を作成する機能は、前記互いに直交する3方向の画像として、前記3次元画像データを用いて、AX方向、SAG方向、及びCOR方向のMIP像をそれぞれ作成し、
前記演算処理部は、前記入力部を介して傾きが修正されたMIP像上又は該傾きが修正された一つのMIP像に直交するMIP像上で、設定入力された投影パラメータの値に基づいて投影像を作成する機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項3】
請求項1記載の医用画像診断装置において、
前記演算処理部は、所定の角度判定基準に基づいて、前記直交する3方向の画像の内の一つの画像の傾きを判定して、該一つの画像の傾きを修正する機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項4】
請求項1記載の医用画像診断装置において、
前記演算処理部は、前記傾きが修正された一つの画像又は前記傾きが修正された一つの画像に直交する画像上で設定入力された撮像パラメータの値に基づいて、撮像を行なうための撮像設定を行なう機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項5】
請求項1記載の医用画像診断装置において、
前記互いに直交する3方向の画像を作成する機能は、前記互いに直交する3方向の画像として、前記3次元画像データを用いてMPR処理を施し、AX方向、SAG方向、及びCOR方向の断面像をそれぞれ作成し、
前記演算処理部は、回転後の断面像上で、設定入力された投影パラメータの値に基づいて投影像を作成する機能を有することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項6】
医用画像処理装置における画像処理パラメータ設定方法であって、
3次元画像データを用いて互いに直交する3方向の画像を作成するステップと、
前記3方向の画像の内の任意の一つの画像の傾きの修正するステップと、
前記傾きが修正された一つの画像に直交する画像を作成するステップと、
前記傾きが修正された一つの画像上又は該傾きが修正された一つの画像に直交する画像上で、画像処理を行うための画像処理パラメータの値又は撮像を行なうための撮像パラメータの値の設定入力を受け付けるステップと、
前記設定入力された画像処理パラメータの値に基づいて画像処理を行い結果画像を作成する又は前記設定入力された撮像パラメータの値に基づいて撮像を行なうステップと、
を有することを特徴とする画像処理パラメータ設定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−172697(P2011−172697A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38327(P2010−38327)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
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