説明

医用画像診断装置

【課題】撮像に係る装置移動によるマークの位置ずれを防止し、さらに、容易なマーキング及び不要被曝の抑止を実現する。
【解決手段】医用画像診断装置1は、天板2aとの相対移動により撮像位置に移動し、天板2a上の被検体Pに対してX線を照射し、その被検体を透過したX線を検出する撮像部3と、撮像部3により検出されたX線に基づいて被検体Pの透視画像を生成する画像生成部6aと、画像生成部6aにより生成された透視画像を画面5aに表示する表示部5と、画面5aに対する入力位置を検出する検出部5bとを備え、画像生成部6aは、検出部5bにより検出された画面5aに対する入力位置に応じてマーク画像を生成して記憶し、そのマーク画像の画面5a上の位置を天板2a上の位置として記憶し、表示部5は、画像生成部6aにより記憶された天板2a上の位置に基づいて前述のマーク画像を透視画像に重ねて画面5aに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断装置に関し、例えば、被検体の所定部位の透視画像を表示する医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置は、寝台の天板上の被検体を撮像する撮像部やその撮像部を保持するCアーム等を備えており、天板上の被検体に対する撮像位置に撮像部を移動させ、その撮像部により被検体の所定部位の透視画像(透視像)を撮像してモニターにより表示する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この医用画像診断装置はステントグラフト治療に用いられており、術者はモニターにより表示された透視画像を確認しながら治療を行う。このステントグラフト治療においては、ステントグラフト固定のため、動脈瘤の起点と腎動脈との距離が15mm以上必要であるという条件があり、腎動脈の位置を把握することが求められている。また、腎動脈や腸骨動脈の血管を塞がないようにするため、腎動脈や腸骨動脈の分岐位置を把握することが求められている。
【0004】
腎動脈の位置を把握する手段としては、透視画像を表示しているモニターの画面上に腎動脈の位置を直接水性ペンで記入し、天板や撮像部等の移動を防いで腎動脈の位置を把握する手段が用いられている。あるいは、天板や撮像部等が移動しても大丈夫なように画像に写るマーク(印)として針金を患者と天板との間や天板の下に入れ、何度か撮像動作を行いながら腎動脈の位置に針金を合わせ、腎動脈の位置を把握する手段も用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−272290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、水性ペンを用いてモニターの画面上に腎動脈の位置を記入する手段では、天板や撮像部等の撮像に係る装置移動の防止が前提条件となるため、治療中に天板や撮像部等が移動すると、マーク位置がずれてしまう。また、針金を用いて腎動脈の位置を把握する手段では、針金の位置調整のため、何度も撮像動作が行われるので、マーキングに手間がかかり、さらに、不要被曝も増加してしまう。
【0007】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的は、撮像に係る装置移動によるマーク位置のずれを防止することができ、さらに、容易なマーキング及び不要被曝の抑止を実現することができる医用画像診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る医用画像診断装置は、天板との相対移動により撮像位置に移動し、天板上の被検体に対してX線を照射し、その被検体を透過したX線を検出する撮像部と、撮像部により検出されたX線に基づいて被検体の透視画像を生成する画像生成部と、画像生成部により生成された透視画像を画面に表示する表示部と、画面に対する入力位置を検出する検出部とを備え、画像生成部は、検出部により検出された画面に対する入力位置に応じてマーク画像を生成して記憶し、そのマーク画像の画面上の位置を天板上の位置として記憶し、表示部は、画像生成部により記憶された天板上の位置に基づいて、画像生成部により記憶されたマーク画像を透視画像に重ねて画面に表示することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の一形態に係る医用画像診断装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す医用画像診断装置が行うマーク画像表示を説明するための説明図である。
【図3】図1に示す医用画像診断装置が備える寝台の天板が移動した場合のマーク画像表示を説明するための説明図である。
【図4】図1に示す医用画像診断装置が備える撮像部が移動した場合のマーク画像表示を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る医用画像診断装置1は、患者等の被検体Pが載置される寝台2と、その寝台2上の被検体Pを撮像する撮像部3と、その撮像部3を撮像位置まで移動可能に保持する保持部4と、撮像部3により撮像された医用画像として透視画像を表示する複数の表示部5と、各部を制御する制御部6とを備えている。
【0012】
寝台2は、被検体Pを載せる長方形状の天板2aと、その天板2aを支持して水平方向及び鉛直方向に移動させる天板駆動部2bとを備えている。天板駆動部2bは、天板2aを移動させるための移動機構や移動のための駆動力を供給する駆動源等を有している。この天板駆動部2bは制御部6に電気的に接続されており、その駆動が制御部6により制御される。このような寝台2は、天板駆動部2bにより天板2aを所定の高さまで移動させ、さらに、その天板2aを水平方向に移動させて天板2a上の被検体Pを所定位置まで移動させる。
【0013】
撮像部3は、寝台2の天板2a上の被検体Pに対してX線を照射するX線照射部3aと、その被検体Pを透過したX線を検出するX線検出部3bとを備えている。この撮像部3は、寝台2の天板2aの周囲を移動可能に設けられており、撮像位置まで移動してその撮像位置から天板2a上の被検体Pの所定部位の透視画像を撮像する。この透視画像としては、例えば、被検体Pの腹部大動脈や腎動脈等の血管の透視画像が撮像される。
【0014】
X線照射部3aは、X線を出射するX線管及びそのX線管から出射されたX線を絞るX線絞り器(いずれも図示せず)等を備えている。X線絞り器としては、例えばコリメータ等が用いられる。このX線照射部3aは、高電圧発生部(図示せず)を介して制御部6に電気的に接続されており、その駆動が制御部6により制御される。このようなX線照射部3aは、X線管によりX線を出射し、そのX線をX線絞り器によって絞り、寝台2の天板2a上の被検体Pに照射する。
【0015】
ここで、高電圧発生部は、X線照射部3aに供給する高電圧を発生させる装置であり、制御部6から与えられた電圧を昇圧及び整流し、その電圧をX線照射部3aに供給する。なお、制御部6は、X線照射部3aに所望のX線を発生させるため、高電圧発生部に与える電圧の波形、すなわち振幅やパルス幅等の各種条件を制御する。
【0016】
X線検出部3bは、X線照射部3aに対向させて保持部4に設けられており、対向するX線照射部3aに対して接離方向に移動可能に形成されている。このX線検出部3bは制御部6に電気的に接続されており、その制御部6に検出したX線、すなわちX線画像信号を送信する。X線検出部3bとしては、例えば、イメージ・インテンシファイアやX線平面検出器(FPD)等が用いられる。なお、X線検出部3bとしては、X線投影情報を電気信号に直接変換する直接変換方式のX線平面検出器を用いることも可能である。
【0017】
保持部4は、X線照射部3a及びX線検出部3bを対向させて保持する保持アーム4aと、その保持アーム4aをスライド移動可能に保持するアーム保持部4bと、そのアーム保持部4bを回動可能に保持して天井面に移動可能及び回動可能に設けられた保持部材4cとを備えている。この保持部4は制御部6に電気的に接続されており、その移動が制御部6により制御される。
【0018】
保持アーム4aは、例えばC字形状のCアームであり、そのアームが伸びる方向にスライド移動可能にアーム保持部4bに設けられている。この保持アーム4aの長手方向の両端部に、X線照射部3a及びX線検出部3bが対向させて設けられている。また、アーム保持部4bは、保持アーム4aをスライド移動可能に保持する部材であり、保持部材4cに回動可能に設けられている。保持部材4cは、アーム保持部4bを回動可能に支持する部材であり、天井面に天板2aの長手方向に沿って設けられたレール等の案内部材(図示せず)に設けられている。
【0019】
表示部5は、被検体Pの医用画像等の各種画像を画面5aに表示する表示装置であり、図1では、一例として二台設けられている。この表示部5としては、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等が用いられる。さらに、画面5a上には、その画面に対する外部からの入力位置、例えば、操作者による接触位置を検出する検出部5bが設けられている。この検出部5bとしては、例えば、接触型入力装置や非接触型入力装置が用いられる。詳しくは、抵抗膜方式や光学式、静電容量式、超音波方式、電磁誘導方式、画像認識方式等のタッチパネル(タッチパッド)、あるいは、カメラや画像処理等による非接触方式の入力装置が用いられる。
【0020】
制御部6は、各部を制御するマイクロプロセッサ等のコントローラや各種プログラム及び各種データを記憶する主記憶部(いずれも図示せず)等に加え、医用画像を生成する画像生成部6aを備えている。この制御部6は、主記憶部に記憶された各種プログラムや各種データ等に基づいて各部を制御する。特に、制御部6は、各種プログラムに基づいて各種データの計算又は加工等を行う一連のデータ処理及び医用画像等の画像を表示する画像表示処理等を実行する。
【0021】
画像生成部6aは、X線検出部3bにより検出されたX線、すなわちX線画像信号に基づいて医用画像として被検体Pの所定部位の透視画像G1(図2参照、特に図2中の一番左の画像参照)を生成し、さらに、その透視画像G1を記憶する。また、表示部5は制御部6の制御に応じて、画像生成部6aにより生成された透視画像G1を画面5aに表示する。なお、図2においては、画面5aに透視画像G1として、例えば、腹部大動脈や腎動脈等の血管、さらに、動脈瘤A1が表示されている。
【0022】
その後、画像生成部6aは、検出部5bにより検出された画面5aに対する操作者の接触に応じマーク画像G2(図2参照、特に図2中の左から二番目の画像参照)を生成して記憶し、そのマーク画像G2の画面5a上の位置を天板2a上の位置として記憶する。その後、表示部5は制御部6の制御に応じて、前述で記憶されたマーク画像G2の天板2a上の位置に基づいて、前述のマーク画像G2を透視画像G1に重ねて画面5aに表示する。
【0023】
これにより、マーク画像G2が透視画像G1に貼り合わされた状態の合成画像G3(図2参照、特に図2中の左から三番目の画像参照)が画面5aに表示されることになる。術者はその合成画像G3を確認しながら、カテーテルによりステントグラフトS1(図2参照、特に図2中の一番右の画像参照)を動脈瘤A1の箇所に留置する。
【0024】
なお、画像生成部6aは、前述の透視画像G1やマーク画像G2、そのマーク画像G2の位置情報等の各種情報を記憶する記憶部11(図1参照)を有しており、この記憶部11に各種情報を保存する。この記憶部11としては、例えば、ROMやRAM、磁気ディスク装置、半導体ディスク装置(フラッシュメモリ)等が用いられる。
【0025】
次に、前述の医用画像診断装置1が行うマーク画像表示について詳しく説明する。
【0026】
まず、撮像部3が寝台2の天板2aとの相対移動により撮像位置に移動し、X線照射部3aにより天板2a上の被検体Pに対してX線を照射し、その被検体Pを透過したX線をX線検出部3bにより検出する撮像を行う。この撮像により検出されたX線、すなわちX線画像信号から画像生成部6aにより透視画像G1が生成され、その透視画像G1(図2中の一番左の画像参照)が表示部5の画面5aに表示される。
【0027】
術者や助手等の操作者は、画面5aに表示されている透視画像G1を確認しながら、自身の指やペン等により画面5a上、すなわちその画面5a上の検出部5bをなぞって、ステントグラフトS1の端部を合せる目標位置をマーキングする。この目標位置は、ステントグラフトS1の端部を合わせる位置、すなわちステントグラフトS1が血管の分岐を塞がないようにする位置である。例えば、操作者は、ステントグラフトS1の安定固定や腎動脈(あるいは腸骨動脈)の閉塞防止等を考慮してステントグラフトS1の本体上端の目標位置を決定し、その目標位置をマーキングする。
【0028】
前述のように操作者が目標位置をマーキングすると、その操作者による画面5aに対する入力位置、例えば、指やペン等の接触位置が検出部5bにより検出され、その接触位置に応じて画像生成部6aによりマーク画像G2(図2中の左から二番目の画像参照)が生成される。例えば、指やペン等が画面5aに直線を描くように触れると、その触れた画面5a上の位置が検出部5bにより接触位置として順次検出され、図2に示すように、直線のマーク画像G2が生成される。なお、指やペン等が画面5aに曲線を描くように触れると、曲線のマーク画像G2が生成される。このようにマーク画像G2は画面5aに対する指やペン等の接触に応じて様々な形状となる。
【0029】
このマーク画像G2が画像生成部6aにより記憶され、さらに、そのマーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の位置として変換されて記憶される。このとき、マーク画像G2の画面5a上の位置情報、すなわち画面5a上の座標情報が天板2a上の位置情報、すなわち天板2a上の座標情報に関連付けられ、マーク画像G2の画面5a上の位置(画面5a上の座標)が天板2a上の位置(天板2a上の座標)として変換される。すなわち、画面5aに対するマーク画像G2の位置が天板2aに対するマーク画像G2の絶対位置として認識される。
【0030】
なお、天板2aの座標情報(位置情報)は、寝台2の三次元座標情報(XYZ座標情報)のうちの二次元座標情報(例えばXY座標情報)であり、寝台2の三次元座標情報は医用画像診断装置1の三次元座標情報、すなわち撮像部3等の各部の位置基準となる基準座標情報に関連付けられている。したがって、マーク画像G2の画面5a上の座標情報は天板2a上の座標情報を介して医用画像診断装置1の基準座標情報に関連付けられることにもなる。
【0031】
その後、前述のように画像生成部6aにより記憶されたマーク画像G2は、画像生成部6aにより記憶された天板2a上の位置に基づいて表示中の透視画像G1に重ねられて画面5aに表示される。その結果、マーク画像G2が透視画像G1に貼り合わされた状態の合成画像G3(図2中の左から三番目の画像参照)が画面5aに表示されることになる。
【0032】
術者はその合成画像G3を確認しながら、カテーテルによりステントグラフトS1(図2中の一番右の画像参照)を動脈瘤A1の箇所に留置する。ステントグラフトS1は折りたたまれてカテーテル内に収納されており、このカテーテルが被検体Pの足の付根から動脈内に入れられる。
【0033】
なお、図2では、ステントグラフトS1として、例えば、頭側のベアーステントにバーブが付いているステントグラフトが示されている。このステントグラフトを用いた場合には、腎動脈分岐部より頭側でも血管壁に固定されるので、ステントグラフトS1の移動をより確実に抑止することが可能である。
【0034】
次いで、前述のように合成画像G3が画面5aに表示されている状態において、例えば治療中等に天板2aを移動させた場合のマーク画像G2の表示と、撮像部3を移動させた場合のマーク画像G2の表示について図3及び図4を参照して説明する。なお、治療中等には、天板2aや撮像部3を移動させる必要が生じることがある。
【0035】
ここで、図3及び図4では、天板2aとマーク画像G2(画面5a)との関係を説明するため、天板2a上にマーク画像G2(画面5a)が示されている。さらに、図3及び図4においては、実線が移動前の位置であり、二点鎖線が移動後の位置である。
【0036】
図3に示すように、例えば、天板2aをその天板2a上の被検体Pの体軸方向(図3中の矢印方向である下方向)に移動させた場合には、被検体Pも図3中の矢印方向に移動するため、マーク画像G2は矢印方向に天板2aの移動量分だけ移動する。これはマーク画像G2の位置が天板2a上の位置として認識されているためであり、マーク画像G2は天板2aの移動に伴って(追随して)移動することになる。なお、天板2aの移動により被検体Pが移動するため、生成される透視画像G1は変わることになる。
【0037】
一方、図4に示すように、例えば、撮像部3を天板2a上の被検体Pの体軸方向(図4中の矢印方向である上方向)に移動させた場合には、撮像部3の撮像範囲(画面5a)が図4中の矢印方向に移動するが、マーク画像G2は固定状態であり移動しない。これはマーク画像G2の位置が天板2a上の位置として認識されているためであり、マーク画像G2は撮像部3の移動に伴って移動しないことになる。なお、撮像部3の移動により撮像範囲が移動するため、生成される透視画像G1は変わることになる。
【0038】
このようにマーク画像G2は天板2aの移動に応じて移動するように、また、撮像部3の移動に応じて移動しないように表示される。このため、操作者は画面5a上にマークを付すと、天板2a自体、すなわちその天板2a上の被検体P自体にマークを付したような感じを受けることになる。また、前述のように天板2aや撮像部3等の撮像に係る装置が移動しても、マーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の絶対位置として認識されているため、マーク画像G2が目標位置に正確に表示されるので、術者や助手等の操作者は腎動脈(あるいは腸骨動脈)の位置や分岐位置を正確に把握することが可能になる。加えて、操作者は画面5aに表示されている透視画像G1を確認しながらその画面5a上をなぞると、マーク画像G2が生成されて画面5aに表示されるので、容易に所望の目標位置をマーキングすることができる。
【0039】
また、水性ペン等を用いることも無くなるので、衛生面及び利便性を向上させることができる。さらに、画面5aに画像の一部としてマーク画像G2を表示することから、視認性や流用性(繰り返し観察等)を向上させることができる。加えて、マーク画像G2としては様々な形状のマークを生成することが可能であり、直線のマーク画像G2だけではなく、例えば、腹部大動脈や腎動脈等の血管の形状をなぞって血管の形状を示すマーク画像G2も生成することが可能となるので、より正確に腎動脈(あるいは腸骨動脈)の位置や分岐位置を把握することができる。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、画面5aに対する入力位置として例えば接触位置が検出部5bにより検出され、その接触位置に応じてマーク画像G2が画像生成部6aにより生成されて記憶され、さらに、そのマーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の位置として記憶される。その後、マーク画像G2は、画像生成部6aにより記憶された天板2a上の位置に基づいて透視画像G1に重ねられ、合成画像G3として画面5aに表示される。したがって、マーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の絶対位置として認識されるため、天板2aや撮像部3等の撮像に係る装置が移動しても、マーク画像G2が所望の目標位置に正確に表示されることになるので、撮像に係る装置移動によるマーク画像G2の位置ずれを防止することができる。さらに、術者や助手等の操作者は画面5aに表示されている透視画像G1を確認しながらその画面5a上をなぞると、マーク画像G2が生成されて画面5aに表示されるので、容易にマーキングを行うことができる。加えて、針金を用いて位置調整のため何度も撮像動作を行う場合のマーキングに比べ、その繰り返しの撮像動作を行う必要が無くなるので、不要被曝を抑止することができる。
【0041】
なお、本発明に係る前述の実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。前述の実施形態は種々変更可能であり、例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても良く、さらに、異なる実施形態に係る構成要素が適宜組み合わされても良い。
【0042】
前述の実施形態においては、腎動脈に関して、ステントグラフトS1の本体上端の目標位置を決定し、その目標位置をマーキングする場合に、前述のマーク画像G2の生成及び表示技術を用いているが、これに限るものではない。例えば、右内腸骨動脈に関しても、ステントグラフトS1の右足下端の目標位置を決定し、その右足下端の目標位置をマーキングする場合にも、前述のマーク画像G2の生成及び表示技術を用いることが可能である。同様に、左内腸骨動脈に関しても、ステントグラフトS1の左足下端の目標位置を決定し、その左足下端の目標位置をマーキングする場合にも、前述のマーク画像G2の生成及び表示技術を用いることが可能である。
【0043】
また、前述の実施形態では、マーク画像G2の画面5a上の位置を天板2a上の位置として認識する場合、マーク画像G2の画面5a上の座標情報を天板2a上の座標情報に関連付けているが、これに限るものではなく、例えば、天板2aが移動した場合、その天板2aの移動量を移動量情報として記憶し、その移動量情報に基づいてマーク画像G2の位置を補正するようにしても良く、すなわち天板2aの移動量情報を用いてマーク画像G2の画面5a上の位置を天板2a上の位置として認識するようにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 医用画像診断装置
2a 天板
3 撮像部
5 表示部
5a 画面
5b 検出部
6a 画像生成部
G1 透視画像
G2 マーク画像
P 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板との相対移動により撮像位置に移動し、前記天板上の被検体に対してX線を照射し、その被検体を透過した前記X線を検出する撮像部と、
前記撮像部により検出された前記X線に基づいて前記被検体の透視画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された前記透視画像を画面に表示する表示部と、
前記画面に対する入力位置を検出する検出部と、
を備え、
前記画像生成部は、前記検出部により検出された前記画面に対する入力位置に応じてマーク画像を生成して記憶し、そのマーク画像の前記画面上の位置を前記天板上の位置として記憶し、
前記表示部は、前記画像生成部により記憶された前記天板上の位置に基づいて、前記画像生成部により記憶された前記マーク画像を前記透視画像に重ねて前記画面に表示することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記天板の移動に追随して前記マーク画像を移動させて表示することを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−65802(P2012−65802A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212496(P2010−212496)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】