説明

医用画像送信システム

【課題】障害が発生した場合、または障害が発生しそうな場合に、適切にユーザにその状況を通知する技術を提供する。
【解決手段】障害検知部130は、医用画像送信システムが、障害を発生した状態にある、または障害を発生しうる状態にあることを検知する。通知画像生成部114は、障害検知部130により検知された状態に関する情報を取得し、検知された状態をユーザに通知するための通知画像データを生成する。通知画像生成部114が通知画像データを生成すると、送信部140が通知画像データをPACSに送信する。医用画像生成部134は、DICOMに準拠したデータフォーマットの画像ファイルを生成し、通知画像生成部114も、同じデータフォーマットで、通知画像データを含む通知画像ファイルを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像送信技術に関し、特に、内視鏡システムなどのモダリティで生成した医用画像を送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像データの保存や通信の世界標準規格として、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)が策定されている。DICOM(ダイコム)は、CT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)、内視鏡や超音波などの診療で撮影した医用画像ファイルのフォーマットと、医用画像ファイルを送受信する機器間の通信プロトコルを定義する。モダリティがDICOM通信機能を有していない場合、DICOMコンバータが、モダリティで撮影された医用画像データをDICOM規格に変換して、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)に送信する。
【0003】
特許文献1は、電子内視鏡装置のビデオスコープの自動調光処理の異常状態を判定する技術を開示する。特許文献1には、自動調光処理が異常状態であることが判定された場合、異常状態を知らせるデータが、e−mailなどによってプロセッサから修理センターのコンピュータシステムに送信されることが開示される。特許文献2は、カプセル型内視鏡から送信された無線信号を受信する受信装置に異常が検出された場合に、担当医療従事者の携帯電話機に警告メッセージを送信する技術を開示する。特許文献3は、過電流の検出により異常を判断し、故障警告用のエラーメッセージ画像を表示する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−175488号公報
【特許文献2】特許2007−151809号公報
【特許文献3】特許2010−5180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DICOMコンバータは、内視鏡検査システムなどで撮影された医用画像データを、DICOMフォーマットに変換してPACSなどに設けられたデータベースに転送する役割をもつ。DICOMコンバータのフォーマット変換機能および転送機能は自動実行されるため、ユーザがDICOMコンバータを操作する機会は殆どない。そのような事情から、DICOMコンバータに障害が発生しても、ユーザが、その障害に気付きにくいという問題がある。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、障害が発生した場合、または障害が発生しそうな場合に、適切にユーザにその状況を通知する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の医用画像送信システムは、医用画像データを取得する画像取得部と、医用画像データを送信する送信部と、当該医用画像送信システムが、障害を発生した状態にある、または障害を発生しうる状態にあることを検知する障害検知部と、障害検知部により検知された状態に関する情報を取得し、検知された状態をユーザに通知するための通知画像データを生成する通知画像生成部と、を備える。通知画像生成部が通知画像データを生成すると、送信部が通知画像データを送信する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、障害が発生した場合、または障害が発生しそうな場合に、適切にユーザにその状況を通知する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係る医療情報管理システムの構成を示す図である。
【図2】送信装置の構成を示す図である。
【図3】DICOM規格に準拠した画像ファイルのフォーマット構成を示す図である。
【図4】クライアント装置の表示装置に表示される検査一覧画面を示す図である。
【図5】通知画像の一例を示す図である。
【図6】通知画像送信処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る医療情報管理システム1の構成を示す。医療情報管理システム1は、医用画像送信システム10、画像保存通信システム30、クライアント装置40およびMWM(Modality Worklist Management)サーバ50を備え、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークを介して通信可能に接続される。医療情報管理システム1において、少なくとも医用画像送信システム10と画像保存通信システム30の間のデータの送受信が、DICOM規格で定められた仕様にしたがって行われる。医用画像送信システム10は、内視鏡システム12および送信装置20を有する。
【0012】
内視鏡システム12は、内視鏡装置、画像処理装置および表示装置を有する。内視鏡装置は、患者の体腔内に挿入され、先端のCCDなどの固体撮像素子により内部の画像を撮像し、撮像した像を撮像信号として画像処理装置に出力する。画像処理装置は、内視鏡装置から入力された撮像信号に対して、増幅、ノイズ除去、アナログ・デジタル変換、利得調整、輝度比の調整、フィルタ処理等を行い、固体撮像素子がとらえている画像をライブ画像として表示装置に表示する。医師が、表示装置の画面に表示されるライブ画像を見ながら、内視鏡装置の操作部を操作して撮影画像のキャプチャ指示を生成すると、画像処理装置は、画像キャプチャ指示をもとに、撮影画像データを生成し、送信装置20に送信する。
【0013】
送信装置20は、DICOMコンバータであり、内視鏡システム12で生成された撮影画像データを、DICOM規格に準拠した画像データに変換し、またDICOM規格に準拠した通信プロトコルにより画像保存通信システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)30に送信する。医用画像送信システム10において、送信装置20による画像データ変換機能は内視鏡システム12に設けられていてもよいが、内視鏡システム12がDICOM規格に対応していない場合には、DICOMコンバータである送信装置20が、内視鏡システム12から撮影画像データを取得し、それをDICOMフォーマットに合わせた画像データに変換して、画像保存通信システム30に送信する。
【0014】
本実施例において、内視鏡システム12は医用画像データを出力するモダリティの一例である。医療情報管理システム1においては、内視鏡システム12の代わりに、コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴診断装置、デジタルX線撮影装置、コンピュータ・ラジオグラフィ、血管造影X線診断装置、超音波診断装置などのモダリティが設けられてもよい。
【0015】
画像保存通信システム30は、データベース32を有し、医用画像送信システム10から送信される医用画像データを蓄積する。クライアント装置40は、医師等の医療従事者により使用され、データベース32に蓄積された医用画像を閲覧・利用するための端末装置である。医師は、検査終了後にデータベース32にアクセスして、検査で撮影した医用画像を用いて、レポートを作成する。
【0016】
内視鏡検査は、患者識別情報(以下、「患者ID」とよぶ)および検査種別等を特定する検査オーダにしたがって実施される。オーダは、内視鏡検査に限らず、他の種類の検査や手術を含む医療行為の実施内容を定めたものであり、医師は、オーダの存在を前提として医療行為を実施する。検査オーダはオーダリングシステムにより発行され、病院情報システム(HIS)により管理される。内視鏡システム12に検査オーダが通知されると、その表示装置に、検査オーダに含まれる患者氏名、患者ID、性別、年齢、検査種別、検査室名、検査開始予定時刻、検査終了予定時刻などの情報が表示され、医師により確認された上で、検査オーダの内容にしたがった検査が実施される。
【0017】
MWMサーバ50は、HISから検査オーダを取得し、送信装置20からの問い合わせに応じて、送信装置20に検査オーダを送信する。DICOM画像フォーマットには、入力を必要とする複数のタグが規定されており、送信装置20は、内視鏡システム12から提供される医用画像データと検査オーダとを対応付けることで、タグの情報を検査オーダから取得し、DICOM画像ファイルに埋め込む。なお送信装置20は、内視鏡システム12から医用画像データとともに送信される患者IDと、検査オーダに含まれる患者IDとの一致を判定することで、医用画像データと検査オーダとの対応付けを行う。これにより、送信装置20は、DICOM規格に準拠したフォーマットで医用画像ファイルを生成し、画像保存通信システム30に送信する。
【0018】
図2は、送信装置20の構成を示す。送信装置20は、検査情報取得部100、処理部110、障害検知部130、オーダ取得部132、医用画像生成部134、記憶管理部136、送信部140、入力部142および記憶装置150を備える。検査情報取得部100は、時刻情報取得部102、患者ID取得部104および画像データ取得部106を有し、内視鏡システム12から検査情報を取得する機能をもつ。処理部110は、履歴書込部112、通知画像生成部114、擬似患者ID取得部116および擬似オーダ生成部118を有し、動作履歴の生成機能および障害対応機能をもつ。記憶装置150は、ハードディスクドライブ(HDD)などで構成される大容量補助記憶装置である。
【0019】
送信装置20のそれぞれの構成は、ハードウェア的には、任意のプロセッサ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
まず、DICOMコンバータとしての送信装置20の基本動作について説明する。送信装置20は、内視鏡システム12から取得した医用画像データから、DICOM規格に準拠したデータフォーマットの医用画像ファイルを生成し、DICOM規格に準拠した通信プロトコルで画像保存通信システム30に転送する。以下、詳細を示す。
【0021】
内視鏡システム12における検査の開始前、オーダ取得部132が、MWMサーバ50から、内視鏡検査の検査オーダを取得する。たとえばオーダ取得部132は、最初の検査開始前に、1日分の検査オーダをMWMサーバ50から取得する。オーダ取得部132は、取得した1日分の複数の検査オーダを、オーダ記憶部152に格納する。各検査オーダは、オーダID、患者氏名、患者ID、患者の性別、患者の年齢、検査種別、検査室名、担当医氏名、担当医識別情報(以下、「担当医ID」とよぶ)、検査開始予定時刻、検査終了予定時刻などの情報を含む。
【0022】
内視鏡システム12において検査が開始されると、時刻情報取得部102が、内視鏡システム12から、検査の開始時刻を示す情報を受け付け、その情報により特定される時刻に検査が開始されたことを判定する。なお時刻情報取得部102は、内視鏡検査の開始を示す情報を受け付け、受け付けた時刻に、検査が開始されたことを判定してもよい。また患者ID取得部104は、内視鏡システム12から、検査を行う患者の患者IDを取得する。
【0023】
医用画像生成部134は、時刻情報取得部102から検査開始時刻を受け取り、また患者ID取得部104から患者IDを受け取る。医用画像生成部134は、患者IDを受け取ると、オーダ記憶部152に記憶された検査オーダを探索して、受け取った患者IDを含む検査オーダを抽出する。これにより医用画像生成部134は、内視鏡システム12にて実施される検査のオーダを特定できる。なお医用画像生成部134は、抽出した検査オーダに含まれる検査開始予定時刻を参照し、時刻情報取得部102から受け取った検査開始時刻との時間差が所定時間(たとえば1時間)内であったときに、抽出した検査オーダで間違いがないことを確認してもよい。
【0024】
画像データ取得部106は、内視鏡システム12から、撮影された内視鏡画像のデジタルデータを取得する。内視鏡システム12は、撮影するたびに、内視鏡画像データを送信装置20に送信してもよく、複数枚まとめて送信装置20に送信してもよい。画像データ取得部106は、医用画像生成部134に、取得した画像データを提供する。
【0025】
以下、DICOMの画像データフォーマットについて説明する。DICOMのデータフォーマットは、医用画像に関するメタ情報をヘッダ部分に保持する。DICOMのメタ情報および画像データは、タグを利用して管理されており、タグの内容はGroup番号とElement番号により特定される。4桁のGroup番号と、Groupの情報内容の関係を例示する。
(0008)−画像に関する情報
(0010)−患者に関する情報
(0018)−収集に関する情報
(0020)−画像付帯情報
(0040)−手続に関する情報
【0026】
以下、理解しやすい代表的なDICOMのタグと、その内容を例示する。タグ番号は、(Group番号,Element番号)で表現される。
(0008, 0020)−検査日付
(0008, 0030)−検査時刻
(0008, 0050)−オーダID
(0008, 0060)−モダリティ
(0010, 0010)−患者の名前
(0010, 0020)−患者ID
(0010, 0030)−患者の誕生日
(0010, 0040)−患者の性別
(0010, 1010)−患者の年齢
(0018, 0015)−検査部位
(0020, 000D)−検査ID
(0020, 0011)−シリーズ番号
(0040, 0006)−担当医師の名前
【0027】
図3は、DICOM規格に準拠した画像ファイルのフォーマット構成を示す。画像ファイルは、ヘッダ(Header)と、画像データ(Image Data)から構成され、ヘッダは、複数のデータエレメント(Data Element)を含んでいる。各データエレメントは、タグ番号を表現するTag、ValueFieldに含まれる数値、文字列、時刻などのデータ形式(値表現)を示すVR、ValueFieldのバイト長を示すValueLength、値の領域を示すValueFieldから構成される。画像ファイルにおいて、入力されるべきメタ情報は、予め定められており、いずれのタグの入力を必要とするかは、病院施設ごとに定められてよい。
【0028】
医用画像生成部134は、図3に示すデータフォーマットで、医用画像ファイルを生成する。なお医用画像生成部134は、必要であれば、画像データ取得部106で取得した画像データを、DICOM規格に準拠したフォーマットに変換する。医用画像生成部134は、オーダ記憶部152から抽出した検査オーダから、画像データフォーマットが必要とする情報、すなわちタグにより規定される情報を抽出して、画像ファイルに付加する。これにより、DICOMフォーマットの画像ファイルが生成される。医用画像生成部134が、画像ファイルを生成すると、記憶管理部136は、生成された画像ファイルを、検査オーダに関連付けて画像データ記憶部160に記憶する。この関連付けは、検査オーダに、画像ファイルの格納場所を紐付けることで行われてよい。
【0029】
送信部140は、画像データ記憶部160に記憶された画像ファイルを、画像保存通信システム30に送信する。画像保存通信システム30は、画像ファイルを受信すると、データベース32に格納するとともに、受信したことを示すACK信号を送信装置20に返信する。これにより、画像保存通信システム30は、モダリティで撮影された医用画像データをデータベース32に蓄積できる。画像ファイルには、オーダIDが含まれているため、画像保存通信システム30は、画像ファイルのオーダIDを参照して、同じオーダIDをもつ複数の画像ファイルをまとめてデータベース32に格納するようにする。
【0030】
なお送信部140は、画像ファイルの送信後、画像保存通信システム30からACK信号を受信しなければ、所定時間後に、同じ画像ファイルを再送する。以上が、送信装置20がDICOMコンバータとして動作する手順である。送信装置20において実行される各処理内容は、処理部110に通知され、履歴書込部112が、動作履歴として動作履歴記憶部154に逐次書き込んでいく。
【0031】
上記したように、送信装置20は、モダリティから送信される画像データを、自律的にDICOMデータフォーマットに変換して画像保存通信システム30に送信する。ユーザは、画像保存通信システム30に蓄積された画像データには頻繁にアクセスするが、送信装置20に格納された画像データにアクセスすることはなく、そのためユーザが送信装置20の動作状態を気にかける機会は少ない。
【0032】
また通常、内視鏡システム12などのモダリティと送信装置20とは、ケーブルなどにより接続されて、離れた場所に存在している。そのため送信装置20に何らかの障害が発生した状態、また障害が発生しうる状態にあった場合に、送信装置20に接続するモニタに、異常状態であることを示すメッセージを表示したとしても、ユーザが気付かない可能性が高い。そこで、本実施例では、送信装置20が画像ファイルを画像保存通信システム30に送信する機能を利用して、送信装置20が異常状態にある場合に、その状態をユーザに効率的に通知する処理を実現する。具体的には、通知画像生成部114が異常状態を通知するためのメッセージ画像データを生成して、送信部140がメッセージ画像データを画像保存通信システム30に送信し、医師が画像保存通信システム30にアクセスしたときに、医師が、メッセージ画像をクライアント装置40で確認できるようにする。
【0033】
障害検知部130は、医用画像送信システム10が障害を発生した状態にある、または障害を発生しうる状態にあることを検知する。たとえば障害検知部130は、オーダ取得部132が検査オーダを取得できていない場合、または検査情報取得部100が患者IDを取得できていない場合に、医用画像送信システム10が障害を発生した状態にあることを検知する。また、障害検知部130は、記憶装置150の空き容量が残り僅かである場合に、医用画像送信システム10が障害を発生しうる状態にあることを検知する。以下、医用画像送信システム10が障害を発生した状態にある、または障害を発生しうる状態にあることを、まとめて「異常状態にある」と表現する。
【0034】
障害検知部130が異常状態を検知すると、発生した障害の内容および発生時刻を処理部110に通知する。処理部110において、履歴書込部112が、動作履歴として、異常状態が発生したことを動作履歴記憶部154に書き込む。
【0035】
擬似患者ID保持部156は、擬似患者IDを保持している。擬似患者IDは、患者に対して割り当てられない特別なIDである。たとえば擬似患者ID保持部156は、擬似患者IDとして、「FFFFFFFF」を保持しており、障害検知部130が異常状態を検知した際には、擬似患者ID取得部116が、擬似患者ID保持部156から、この擬似患者IDを読み出す。擬似患者IDは、障害通知用の画像ファイルや、記憶装置150において画像ファイルに関連付けるための擬似オーダを生成する際に利用される。
【0036】
障害情報マスタ保持部158は、障害情報の種別を分類した障害種別マスタと、障害種別マスタにより分類された種別を詳細な項目に分類した障害項目マスタとを保持している。障害種別は、異常状態が生じた対象(場所、ハードウェア、ソフトウェア、情報など)を特定し、障害項目は、具体的な障害内容を特定する。たとえば、記憶装置150の空き容量が不足している障害は、障害種別が“HDD”、障害項目が“空き容量不足”として、障害情報が特定される。また、患者IDが取得できていない障害は、障害種別が“検査情報”、障害項目が“患者IDなし”として、障害情報が特定される。障害情報マスタ保持部158は、障害項目に、通知メッセージを対応付けて保持している。
【0037】
通知画像生成部114が、障害検知部130により検知された異常状態に関する情報を取得し、発生した障害の内容に応じて、検知された状態をユーザに通知するための通知画像データを生成する。通知画像生成部114は、障害の内容にしたがって、障害情報マスタ保持部158に保持された障害種別および障害項目を特定し、障害項目に対応付けられている通知メッセージを読み出して、通知画像データを生成してもよい。なお、記憶装置150において、障害の内容と通知メッセージとを対応付けたテーブルが用意されていてもよく、その場合には、通知画像生成部114が、障害の内容に対応付けられた通知メッセージを読み出して、通知画像データを生成する。
【0038】
たとえば、ハードディスクドライブ(HDD)である記憶装置150の空き容量不足に対して、「DICOMコンバータのHDDにエラーが発生しました。至急、サービスセンターまでご連絡ください。」とのメッセージが対応付けられている。通知画像生成部114は、障害検知部130から、記憶装置150が空き容量不足の状態にあることを通知されると、このメッセージを読み出して、通知画像データを生成する。なお、記憶装置150に障害が生じたときに、記憶装置150から通知メッセージの読み出しができない可能性があることも想定して、通知メッセージは、記憶装置150とは異なる記憶装置に格納されていてもよい。
【0039】
通知画像生成部114は、図3に示すデータフォーマットにしたがって、データエレメントのValueFieldに、必要な情報を埋め込む。患者IDのタグ(0010, 0020)には、擬似患者ID取得部116が取得した擬似患者IDを入力する。また通知画像生成部114は、障害検知部130から取得した障害発生時刻を、検査時刻のタグ(0008, 0030)に入力する。通知画像生成部114は、その他、必要な情報を取得して、所期のタグに入力する。たとえば、担当医師の名前(0040, 0006)については、実施中の検査オーダに含まれる担当医の名前が利用されてもよい。以上のようにして、通知画像生成部114は、通知画像データを含む画像ファイルを生成する。この画像ファイルは、DICOM規格に準拠したものである。通知画像生成部114がタグに入力する情報の詳細については、図4の説明を行う際に後述する。
【0040】
障害検知部130が異常状態を検知すると、擬似オーダ生成部118は、擬似オーダを生成する。記憶装置150においては、画像データとオーダとが関連づけられて記憶される必要があるため、擬似オーダ生成部118は、通知画像生成部114が生成する通知画像データに関連づけるための擬似オーダを生成する。擬似オーダのオーダIDは、HISにおいて生成される検査オーダのオーダIDと重複しないように設定される。擬似オーダ生成部118は、擬似患者ID、障害(異常)の検知時刻や、障害内容を、擬似オーダに含ませる。
【0041】
記憶管理部136は、生成された通知画像用のファイルを、擬似オーダに関連付けて画像データ記憶部160に記憶する。このように通知画像ファイルを擬似オーダに関連付けて画像データ記憶部160に記憶することで、ユーザは、通知画像ファイルから擬似オーダを特定することが容易となる。また、通知画像ファイルおよび擬似オーダには、それぞれ擬似患者IDが含まれており、ユーザは、擬似患者IDをキーにして、画像データ記憶部160を検索することで、通知画像ファイルを抽出し、またそれに関連付けられた擬似オーダも抽出できるようになる。
【0042】
送信部140は、画像データ記憶部160に記憶された通知画像ファイルを、画像保存通信システム30に送信する。画像保存通信システム30は、画像ファイルを受信すると、データベース32に格納するとともに、受信したことを示すACK信号を送信装置20に返信する。これにより、画像保存通信システム30は、障害の発生を通知する画像ファイルをデータベース32に蓄積できる。なお送信部140は、通知画像ファイルの送信後、画像保存通信システム30からACK信号を受信しない場合、通知画像ファイルの再送処理を行う。
【0043】
医師は、レポートの作成時、クライアント装置40から、画像保存通信システム30に蓄積された画像データにアクセスする。クライアント装置40の表示装置には、1日分の検査一覧が表示される。
【0044】
図4は、クライアント装置40の表示装置に表示される検査一覧画面を示す。この検査一覧画面には、患者ID、患者名、検査項目、検査開始時刻、検査終了時刻などの表示項目が設定される。検査一覧画面において、上から1行、2行、4行目には、撮影された医用画像に関する検査情報が示される。医師は、レポート作成対象となる患者名をマウスなどを用いて選択すると、モダリティで撮影された医用画像が表示される。なお、選択する項目は、患者名でなくてもよく、他の項目であってよい。
【0045】
検査一覧画面において、3行目には、患者IDを「FFFFFFFF」とする検査情報が示されている。既述したように、「FFFFFFFF」の患者IDは、擬似患者IDであり、障害の内容を通知するための画像データに紐付けられている。また、患者名は、「エラー通知」とされており、医師は、検査一覧における患者IDまたは患者名を見ると、医用画像送信システム10において何らかの障害が発生したことを知ることができる。また、検査項目には、「HDD」と記述され、障害が生じた場所が、医師に伝わるようにしてもよい。医師が、検査一覧の3行目を選択すると、通知画像が表示される。
【0046】
このように、クライアント装置40において検査一覧が表示される際、図4に示す表示項目の内容を工夫することで、医師は、一目で、何らかの異常が発生したことを認識することができる。図4に示す一覧画面を生成するために、送信装置20において通知画像生成部114は、患者名のタグ(0008, 0030)に、「エラー通知」と入力し、検査項目のタグに、「HDD」と入力する。このように、通知画像生成部114が、検査情報の一覧画面で表示される表示項目に対応するタグに、異常状態が発生したことを知らせるための情報を入力することで、医師は、一覧画面を見るだけで、異常状態の発生を知ることになる。
【0047】
図5は、通知画像の一例を示す。医師は、通知画像を見ることで、送信装置20のHDDに障害が発生していることを知ることができ、障害を復旧させるための行動をとることができる。
【0048】
図6は、通知画像送信処理のフローチャートを示す。障害検知部130が医用画像送信システム10の動作状態を監視する(S10のN)。障害検知部130が、医用画像送信システム10が障害を発生した状態にある、または障害を発生しうる状態にあることを検知すると(S10のY)、通知画像生成部114は、障害検知部130により検知された状態に関する情報を取得し、DICOMデータフォーマットにしたがって、検知された状態をユーザに通知するための通知画像ファイルを生成する(S12)。また、擬似オーダ生成部118は、検査オーダとは異なる擬似オーダを生成し(S14)、記憶管理部136は、通知画像ファイルと擬似オーダとを関連付けて、記憶装置150に記憶する(S16)。送信部140は、通知画像ファイルを画像保存通信システム30に送信する(S18)。
【0049】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、実施例の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施例として有効である。実施例の組合せによって生じる新たな実施例は、組み合わされる実施例それぞれの効果をあわせもつ。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【0050】
通知画像生成部114は、障害検知部130が異常状態を検知し、その状態を提供されると、通知画像ファイルを生成する。たとえばHDDの空き容量が不足している状態において、障害検知部130が、HDDの空き容量が増加するまで、常に異常状態を通知画像生成部114に提供し続けると、通知画像生成部114は、通知画像ファイルを生成し続けることになる。そのため、障害検知部130は、HDDの空き容量が不足していることを一度検知して処理部110に通知すると、その不足した状態が解消されるまでは、再度の通知を行わないようにする。このように障害検知部130は、検知した異常状態の内容に応じて、処理部110に通知するか否かを決定することが好ましい。
【0051】
障害検知部130が、検査に関する異常状態を検知すると、通知画像生成部114は、担当医師に異常状態が発生したことを知らせるように、通知画像ファイルを生成することが好ましい。たとえば、医師Aが担当医である場合に、医用画像生成部134が、何らかの原因により医用画像ファイルを生成できないケースを想定する。このとき、通知画像生成部114は、「画像ファイルを生成できませんでした。」とする通知画像データを含む通知画像ファイルを生成するが、医師Aが、検査一覧をみた際に、自分が担当した患者の画像ファイルが生成できていないことを一目で理解できることが好ましい。
【0052】
そのために、擬似患者ID保持部156は、複数の擬似患者IDを保持する。擬似患者IDは、複数の医師のそれぞれに割り当てられる。たとえば、医師Aには「FFFFFFF0」、医師Bには、「FFFFFFF1」、医師Cには「FFFFFFF2」の擬似患者IDが割り当てられる。またHDD故障など、検査とは関係のない異常状態に対して「FFFFFFFF」の擬似患者IDが割り当てられる。
【0053】
たとえば医用画像生成部134が医用画像ファイルを生成できない場合、擬似患者ID取得部116は、検査オーダに含まれる担当医IDに対応する擬似患者IDを取得する。通知画像生成部114および擬似オーダ生成部118は、この擬似患者IDを含む通知画像ファイルおよび擬似オーダをそれぞれ生成する。図4に示すように、検査一覧画面には患者IDが表示されるため、医師は、患者IDをみて、自分が実施した検査において、何らかの異常状態が生じたかを知ることができる。また通知画像生成部114が、患者名のタグ(0008, 0030)に、たとえば「医師Aに対するエラー通知」と入力しておけば、検査一覧画面において、患者名の表示項目に「医師Aに対するエラー通知」と表示されるため、医師Aは、検査一覧画面をみて、自分宛の通知画像の存在を知ることができる。
【0054】
なお送信装置20において、ユーザが障害復旧を行ったとき、ユーザは、入力部142から、障害原因や復旧手順などの障害メモを入力できる。障害原因はテキスト入力されたものであってもよいが、動作履歴ファイルやスクリーンショットなど、原因を適切に表現できるものであればよい。このとき記憶管理部136は、入力された障害メモを、擬似オーダに関連付けて障害メモ記憶部162に記憶する。これによりユーザは、たとえば擬似患者IDを含む擬似オーダを検索することで、擬似オーダに関連付けられた過去の障害メモを容易に参照できる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・医療情報管理システム、10・・・医用画像送信システム、12・・・内視鏡システム、20・・・送信装置、30・・・画像保存通信システム、32・・・データベース、40・・・クライアント装置、50・・・MWMサーバ、100・・・検査情報取得部、102・・・時刻情報取得部、104・・・患者ID取得部、106・・・画像データ取得部、110・・・処理部、112・・・履歴書込部、114・・・通知画像生成部、116・・・擬似患者ID取得部、118・・・擬似オーダ生成部、130・・・障害検知部、132・・・オーダ取得部、134・・・医用画像生成部、136・・・記憶管理部、140・・・送信部、142・・・入力部、150・・・記憶装置、152・・・オーダ記憶部、154・・・動作履歴記憶部、156・・・擬似患者ID保持部、158・・・障害情報マスタ保持部、160・・・画像データ記憶部、162・・・障害メモ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像送信システムであって、
医用画像データを取得する画像取得部と、
医用画像データを送信する送信部と、
当該医用画像送信システムが、障害を発生した状態にある、または障害を発生しうる状態にあることを検知する障害検知部と、
前記障害検知部により検知された状態に関する情報を取得し、検知された状態をユーザに通知するための通知画像データを生成する通知画像生成部と、を備え、
前記通知画像生成部が通知画像データを生成すると、前記送信部が通知画像データを送信することを特徴とする医用画像送信システム。
【請求項2】
前記画像取得部で取得した医用画像データを用いて、所定のデータフォーマットの画像ファイルを生成する医用画像生成部を、さらに備え、
前記通知画像生成部は、前記所定のデータフォーマットで、通知画像データを含む画像ファイルを生成することを特徴とする請求項1に記載の医用画像送信システム。
【請求項3】
検査オーダを取得するオーダ取得部を、さらに備え、
前記医用画像生成部は、検査オーダから、前記所定のデータフォーマットが必要とする情報を抽出して、医用画像ファイルに付加するものであって、
前記通知画像生成部は、前記所定のデータフォーマットが必要とする情報を取得して、通知画像ファイルに付加することを特徴とする請求項2に記載の医用画像送信システム。
【請求項4】
擬似オーダを生成する擬似オーダ生成部と、
擬似オーダと、通知画像データとを関連付けて記憶する記憶管理部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の医用画像送信システム。
【請求項5】
擬似患者IDを取得する擬似患者ID取得部を、さらに備え、
前記通知画像生成部は、擬似患者IDを含む画像ファイルを生成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の医用画像送信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−94504(P2013−94504A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241631(P2011−241631)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】