説明

医用装置及び医用情報システム

【課題】予め決められた規則に基づいて検索した通信設定を基に自己が記憶している他の医用装置の通信設定の追加又は変更を行う医用装置を提供する。
【解決手段】検索規則を予め記憶している規則記憶部101と、他の医用装置の通信設定を予め記憶している通信設定記憶部103と、データベース001を検索規則に基づいて検索し、通信設定を抽出する検索部102と、抽出した通信設定と通信設定記憶部103に記憶している通信設定とを比較し、該通信設定が異なる接続先医用装置002を特定する情報を抽出する比較部104と、比較部104で抽出された接続先医用装置002の通信設定を、抽出した通信設定に更新する通信設定更新部105と、通信設定記憶部103に記憶されている通信設定を基に、接続先医用装置002と通信を行う通信部106と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して通信を行う医用装置及びそれら医用装置を使用した医用情報システムに関する。さらに詳しくは、各医用装置の通信用の識別情報の追加及び変更を行う医用装置及び医用情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の医用装置を所有する病院では、ネットワークにそれらの医用装置を接続し、ネットワークに接続された各医用装置間で通信を行っている。この通信とは、例えば、MRIなどの医用画像診断装置などで生成された医用画像を、画像サーバに送るなどといったものである。この通信にはDICOM(Digital Imaging and Communications in Madicine)といった医用通信用の規格が用いられている。
【0003】
このような通信を行う場合、ネットワーク上の各医用装置に通信を行うための通信設定を行う必要がある。この通信設定としては、IPアドレスといった汎用的な通信設定や、DICOMサービスクラスなどといったDICOM通信用の設定などがある。ここで、DICOMサービスクラスとは、その医用機器が提供するDICOMの機能を定めたものである。例えば、画像保存サービスクラスは医用装置が生成した画像を画像記録装置に転送して保存するサービスである。そして、各医用装置は通信を行う相手方となる医用装置の通信設定を参照し、その通信設定を基に相手方となる医用装置と通信を行う。
【0004】
そして、各医用装置間で通信を行う場合、前述の通信設定をまとめて管理する通信設定用データベース(DNSなど)がネットワークに配置されていることが多い。さらに、通信の速度向上のため、医用装置が通信相手となる他の医用装置の通信設定の情報を記憶している場合がある。
【0005】
そして、ネットワーク上に新規の医用装置を導入した場合には、その導入した医用装置の通信設定が新規に追加される。また、ネットワーク上に既に存在している医用装置を移設やネットワークの構成を変更した場合には、現在の通信設定を変更する必要がある。
【0006】
従来、このような通信設定に対して、医用通信プロトコルに従った通信やサービス制御を行う際に、通信やサービス制御に必要な情報設定を、人手を介さずに短時間で正確に実行できる医用診断装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、医用機器のネットワーク接続の設定を変更した時、サポートしているサービスを他の医用機器に通知し、その通知を受けた医用機器がサポートしているサービスか否かを判別して、サポートされている場合には、各医用機器がそのサービスの属性を相手方の医用機器に送信する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開2006−285376号公報
【特許文献2】特開2006−102108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前述のように各医用装置が他の医用装置の通信設定を記憶している場合、特許文献1の技術では、接続先のIPアドレスなど、通信に必要な情報が更新された場合に、該更新された情報を再配布することができない。また、特許文献2の技術では、通信設定を変更した医用機器は、変更内容をネットワーク上のすべての装置に通知しなければならないため、通信に負荷がかかってしまう。また、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)とV−LANを組み合わせた場合、ドメイン内すべての装置の通信情報をLDAPに保管しておく必要があるため、各装置が全ての通信設定をリストとして自動取得する必要がある。これでは、通信設定を送信する情報量が多くなり、ネットワークの負荷が増加してしまう。また、DNSサーバとLDAPサーバは同期を行うに際し情報の更新とのタイムラグが生じるため、情報の不一致が発生する可能性がある。
【0009】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、予め決められた規則に基づいた通信設定の取得をし、その取得した通信設定を基に自己が記憶している他の医用装置の通信設定の追加又は変更を行う医用装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の医用装置は、検索する範囲を含む検索規則を予め記憶している規則記憶手段と、ネットワークを介して接続されている他の医用装置の通信設定を予め記憶している通信設定記憶手段と、前記ネットワークを介して接続されている医用装置の通信設定が記載されている外部のデータベースを前記検索規則に基づいて検索し、前記通信設定を抽出する検索手段と、前記抽出した前記通信設定と前記通信設定記憶手段に記憶している前記通信設定とを比較し、該通信設定が異なる前記医用装置を特定する情報を抽出する比較手段と、前記比較部で抽出された前記医用装置の前記通信設定記憶手段に記憶している通信設定を、前記検索手段が抽出した前記通信設定に更新する通信設定更新手段と、前記通信設定記憶手段に記憶されている通信設定を基に、該通信設定を有する前記医用装置と通信を行う通信手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載の医用情報システムは、ネットワークを介して通信を行う複数の医用装置と、前記ネットワークに接続された前記複数の医用装置の通信設定が記載されたデータベースと、を備えた医用情報システムであって、前記医用装置は、検索する範囲を含む検索規則を予め記憶している規則記憶手段と、ネットワークを介して接続されている他の医用装置の通信設定を予め記憶している通信設定記憶手段と、前記データベースを前記検索規則に基づいて検索し、前記通信設定を抽出する検索手段と、前記抽出した前記通信設定と前記通信設定記憶手段に記憶している前記通信設定とを比較し、該通信設定が異なる前記医用装置を特定する情報を抽出する比較手段と、前記比較手段で抽出された前記医用装置の前記通信設定記憶手段に記憶している通信設定を前記検索手段が抽出した前記通信設定に更新する通信設定更新手段と、前記通信設定記憶手段に記憶されている通信設定を基に、該通信設定を有する他の前記医用装置と通信を行う通信手段とを備える、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の医用装置及び請求項5に記載の医用情報システムによると、自己が記憶している通信設定を更新するためにデータベースを検索するにあたり、所定の検索規則に基づいて該検索を行うことが可能となる。これにより、各医用装置がデータベースの検索を行うときの該医用装置とデータベースとの間のネットワークの負荷を低減することが可能である。したがって、医用情報システム全体のネットワーク負荷を低減することができ、システムの効率を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る医用装置について説明する。図1は本実施形態に係る医用装置100の機能を表すブロック図、及び医用装置100を含むシステム構成の概略図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るシステムではネットワークを介して、医用装置100、データベース001、及び接続先医用装置002が互いに通信可能に接続されている。ここで、図1では説明を簡略化するため、ネットワーク上に接続されている医用装置として、医用装置100及び接続先医用装置002の2つの医用装置のみを図示しているが、実際には多数の医用装置がネットワーク上に配置されていてもよい。また、説明は医用装置100を基に説明したが、ネットワークに接続された他の医用装置(例えば、接続先医用装置002など。)も医用装置100と同様の構成を有していることが好ましい。さらに、この医用装置100や接続先医用装置002を含む医用装置とは、MRI装置、CT装置、又は超音波診断装置といった検査装置や、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)、放射線科情報システム(RIS:Radiology Information System)、又は医用画像システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)のサーバといった医用情報を扱う装置など、病院のネットワークに接続されている他の医用装置と通信を行うものであれば特に制限はない。
【0015】
データベース001は、ネットワークに接続された医用装置(本実施形態では、医用装置100及び接続先医用装置002)の通信設定が記載されているデータベーステーブルを有している。この通信設定とは、各医用装置をネットワーク上で特定しその医用装置と通信を行うための情報であり、各医用装置それぞれに対し個別に与えられている。ここで、本実施形態では通信設定の情報として、Host Name、IPアドレス、AETitle、Port Number、Supported Service、Role、DICOMのTransfer Syntax、IPアドレス種別、IP Version、所属科の情報が含まれている。そして、データベース001は、該データベーステーブルを管理するDMBS(Data Base Management System)やXMLデータとして構築されている。そして、本実施形態に係る医用装置100及びそれを含む医用情報システムでは、その医用情報システムを有する病院内において、各医用装置に与えられている通信設定とは所定の規則に従って割り当てられている。例えば、ある診療科に配置された医用装置は特定の範囲のIPアドレスの割り当てや、通信を頻繁に行う医用装置同士の間に挟むルータ数を所定数以下にするなどの規則が設けられている。このデータベース001が本発明における「外部のデータベース」にあたる。
【0016】
ネットワーク上に新規の医用装置が追加された場合、その追加された医用装置から通信設定の情報の入力を受けて、前述のデータベーステーブルに追加された医用装置の通信設定の情報をデータベーステーブルに追加する。例えば、接続先医用装置002が新規にネットワーク上に追加された場合、その接続先医用装置002のHost Name、IPアドレス、AETitle、Port Number、Supported Service、Role、DICOMのTransfer Syntax、IPアドレス種別、IP Version、所属科の情報をデータベーステーブルに書き込む。
【0017】
また、ネットワーク上に既に配置されている医用装置(例えば接続先医用装置002)の通信設定の情報が、接続先医用装置002において操作者により変更されると、データベース001は、接続先医用装置002から変更された情報を含む通信設定の情報の入力を受けて、データベーステーブルに記載されている接続先医用装置002の通信設定の情報を変更する。
【0018】
このように、データベース001のデータベーステーブルは新規に医用装置が追加された場合や既にある医用装置の情報が変更された場合にデータベーステーブルに記載された情報を新しい情報に更新するため、データベース001が有する各医用装置の通信設定の情報は常に新しい正確なものに保たれることになる。
【0019】
接続先医用装置002は、医用装置100と通信を行う相手方となる医用装置である。接続先医用装置002は自己をネットワーク上で特定するための通信設定の情報を有している。
【0020】
接続先医用装置002は、すでにネットワークに接続されている場合で操作者により自己の通信設定が変更されると、変更された情報を含む通信設定の情報をデータベース001へ出力する。また、接続先医用装置002は、新規にネットワークに接続された場合にも、自己の通信設定の情報をデータベース001へ出力する。
【0021】
医用装置100は、図1で示すように、規則記憶部101、検索部102、通信設定記憶部103、比較部104、通信設定更新部105、及び通信部106を有している。そして、医用装置100は、接続先医用装置002と通信を行う通信モード、及び後述する通信設定記憶部103に記憶している接続先医用装置002の通信設定を更新する通信設定更新モードという2つの動作モードを有している。
【0022】
まず、通信モードにおける医用装置100の動作を説明する。
【0023】
通信設定記憶部103は、ハードディスクやメモリ等の記憶デバイスである。通信設定記憶部103は、図2に示すような通信設定用のテーブル200を有している。ここで、図2は医用装置100が有する通信設定用のテーブルの一例の図である。レコード201が接続先医用装置002の通信設定の情報である。この通信設定用のテーブル200は始め空であるが、後述する通信設定更新モードにおいて、新規に医用装置の通信設定が追加されることにより、テーブル200に記載される医用装置の通信設定の情報が増えていく。さらに、通信設定記憶部103の通信設定用のテーブル200の各レコードは、更新の有無を判断するためのフラグ(F1)、及び更新の種類を判断するためのフラグ(F2)を有する。ここで、F1=0であれば「更新なし」を、F1=1であれば「更新あり」を表す。また、F2=1であれば「手動更新」を、F2=2であれば「自動更新」を表す。このフラグF1は後述するように比較部104によって通信設定の更新があると判断されると1がセットされる。また、フラグF2は、操作者が医用装置100において、通信設定記憶部103の通信設定用のテーブル200に記載されている接続先医用装置002の通信設定の情報を直接手動で入力した場合には1にセットされ、後述する通信設定更新部105によって通信設定の情報が入力された場合には2にセットされる。この操作者による接続先医用装置002の通信設定の情報の入力は、図3及び図4に示すような画面を用いて行われる。図3は通信設定情報の追加・編集・削除画面の一例の図である。また、図4は通信設定情報の編集画面の一例の図である。すなわち、操作者はテーブル200に記載されている接続先医用装置002のリストの中から参照したい接続先医用装置002を選択すると、図3に示す画面300が表示される。そして、画面300の情報のうち編集を行いたい情報がある場合には編集ボタンを、追加したいときには追加ボタンを、削除したいときには削除ボタンを押下する。各ボタンを押下すると図4に示す画面400が表示される。そして、操作者は、画面400の中で編集したい項目の書き換え、又は新たな情報の追加を行ったうえでOKボタンを押下すると通信設定の編集又は追加が行える。このようにして、操作者は、編集もしくは追加したい設定情報を選択し、その情報を手動で更新することが可能である。この様に、操作者が直接入力した通信設定は経験的に重要な設定であるため、本実施形態ではデータベース001に記載される通信設定よりも手動で入力された通信設定を優先する。この通信設定記憶部103が本発明における「通信設定記憶手段」にあたる。
【0024】
通信部106は、接続先医用装置002との通信の実行命令を制御部(不図示)から受ける。このときの制御部による接続先医用装置002の指定は「Host Name」などで行われる。通信部106は、通信設定記憶部103に記憶されている通信設定用のテーブルを参照し、接続先医用装置002の特定情報を取得する。そして、通信部106は、接続先医用装置002のIPアドレスなどを基に通信を行う。具体的には、通信部106は、制御部から入力された「Host Name」などを基に、IPアドレスやPort Numberを取得し、その情報を基に通信を行う。この通信部106が本発明における「通信手段」にあたる。
【0025】
また、通信部106は、接続先医用装置002の通信設定の情報が通信設定用のテーブル200に載っていない時、又は載っている通信設定の情報が間違っている場合は、データベース001に問い合わせ、接続先医用装置002の通信設定を取得し、その通信設定の情報を基に接続先医用装置002と通信を行う。このように、通信設定用のテーブル200に通信を行おうとする相手方の通信設定の情報が記載されていない、もしくはその情報が間違っている場合、データベース001への問い合わせが発生するため、ネットワークに余分な負荷をかけることになる。そのため、通信設定用のテーブル200はなるべく正確であることが望ましい。
【0026】
次に、通信設定更新モードにおける医用装置100の動作について説明する。
【0027】
通信設定記憶部103は、通信モード時と同様に、図2に示すような通信設定用のテーブル200を有している。
【0028】
規則記憶部101は、検索規則(ルール)を記憶している。ここで、検索規則とは、データベース001が有するデータベーステーブルを検索するときに、どのような範囲で検索を行うかを規定する規則である。例えば、特定の所属科の医用装置、指定されたDICOMサービスクラスを提供している医用装置、自己が利用する予定のDICOMサービスクラスを提供している医用装置、IPアドレス距離(ルータ数)以内の医用装置、特定のIPアドレスのセグメント(自己と同じセグメントや指定されたセグメントなど)の医用装置、特定のDICOMのTransfer Syntaxを有する医用装置、といったルールが検索規則として設定される。ここで、DICOMサービスクラスとは、その医用機器が提供するDICOMの機能を定めたものである。このルールは上述の6つのルール以外にも、検索範囲を規定するものであればよい。また、検索規則としてはそれらのルールの1つ又はいくつかの組み合わせとなる。本実施形態では、検索規則として、Roleが「サーバ」、所属科が「放射線科」、提供するDICOMのサービスクラスが「ストレージ、又はプリント」、DICOMのTransfer Syntaxが「EXPLICIT_LILLTE_ENDIAN」、及びIPアドレスのセグメントが「192.168.1.X」と規定されている。この規則記憶部101が本発明における「規則記憶手段」にあたる。
【0029】
検索部102は、1時間に1回のタイミングで、規則記憶部101が有する検索規則を参照し、該検索規則に基づいてデータベース001を検索する。具体的には、検索部102は、Roleが「サーバ」、所属科が「放射線科」、提供するDICOMのサービスクラスが「ストレージ、又はプリント」、DICOMのTransfer Syntaxが「EXPLICIT_LILLTE_ENDIAN」、及びIPアドレスのセグメントが「192.168.1.X」という検索規則を満たす医用装置の通信設定を、データベース001の有するデータベーステーブルから抽出する。本実施形態では、検索部102が検索規則を満足する医用装置として接続先医用装置002が抽出された場合で説明する。ここで、本実施形態では、ネットワークの負荷やデータの整合性が求められる度合を考慮し、1時間に1回のタイミングとしているが、ネットワークの負荷をより軽減したければ検索頻度を少なくし、データの整合性を向上させたければ検索頻度を高くすればよく、この検索頻度は医用装置100が配置されたシステムの運用状況に基づいて決定することが望ましい。
【0030】
検索部102は、抽出したい接続先医用装置002の通信設定の情報を比較部104へ出力する。この検索部102が本発明における「検索手段」にあたる。
【0031】
比較部104は、検索部102が抽出した接続先医用装置002の通信設定の情報の入力を受信する。以下では、この検索部102が抽出した通信設定の情報を「最新の通信設定の情報」という。比較部104は、通信設定記憶部103に記憶されている通信設定のテーブルを参照し、通信設定記憶部103に記憶されている通信設定の情報(以下では、「ローカルの通信設定の情報」という。)と入力された「最新の通信設定の情報」とを比較する。このとき、比較部104は、比較を行う前にローカルの通信設定の情報に対し、更新の有無を判断するためのフラグF1として0をセットする(F1=0)。
【0032】
比較部104は、ローカルの通信設定の情報に接続先医用装置002の通信設定の情報がない場合、新規の医用装置として接続先医用装置002の通信設定の情報を通信設定更新部105へ出力する。
【0033】
比較部104は、接続先医用装置002のローカルの通信設定の情報と、接続先医用装置002の最新の通信設定の情報とが異なる場合、フラグF1を1にセットする。比較部104は、接続先医用装置002の通信設定の情報を通信設定更新部105へ出力する。この比較部104が本発明における「比較手段」にあたる。
【0034】
通信設定更新部105は、比較部104より新規の医用装置として接続先医用装置002の通信設定の情報の入力を受けた場合、新しいレコードとして接続先医用装置002の通信設定の情報を通信設定のテーブルに追加し、さらにその追加したレコードのフラグをF1=0、F2=2にセットする。
【0035】
また、通信設定更新部105は、比較部104より既に通信設定用のテーブル200に載っている接続先医用装置002の通信設定の情報の入力を受けた場合、その受信した接続先医用装置002のローカルの通信設定の情報のフラグを確認する。ローカルの通信設定の情報のフラグがF1=1及びF2=2の場合、通信設定更新部105は、接続先医用装置002のローカルの通信設定が記載されているレコード201を、接続先医用装置002の最新の通信設定に更新する。ローカルの通信設定の情報のフラグがF1=0もしくはF2=1の場合、通信設定更新部105は、接続先医用装置002のローカルの通信設定が記載されているレコード201を変更せずに、次の通信設定の情報が比較部104より入力されるのを待つ。この通信設定更新部105が本発明における「通信設定更新手段」にあたる。また、この通信設定更新部105によって自動的に(すなわち操作者の手を介さずに)なされた通信設定が、本発明における「自己が更新した通信設定」にあたる。
【0036】
ここで、本実施形態では、手動更新によって設定された通信設定を優先させるため、レコード201のフラグF2が1の場合には、そのレコード201の通信設定の情報を最新の通信設定の情報への更新を行っていない。しかしこれは、常にデータベース001の通信設定の情報を優先する構成でもよい。その場合、通信設定更新部105が、フラグF2の値を参照せずに、ローカルの通信設定の情報を入力された最新の通信設定の情報にすべて更新する構成にすればよい。
【0037】
また、本実施形態では、比較部104及び通信設定更新部105は、通信設定の追加又は変更があった場合に、通信設定記憶部103に記憶されている通信設定用のテーブル200を更新している。これに対し、接続先医用装置002がネットワークから外されるなど、データベース001における接続先医用装置002の通信設定の情報が削除された場合、すなわち通信設定記憶部103の通信設定用のテーブル200に記載されている接続先医用装置002の通信設定がデータベース001のデータベーステーブルに記載されていない場合、接続先医用装置002の通信設定のすべての項目を空欄に変更し更新することで、通信設定用のテーブル200から削除を行う構成としてもよい。
【0038】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る医用装置100の通信設定更新の動作を説明する。ここで、図5は本実施形態に係る医用装置100の通信設定更新の動作を表すフローチャートの図である。このフローチャートの前提として、既に通信設定記憶部103の通信設定のテーブルに通信設定の情報が記載されている接続先医用装置002のレコードには、手動で通信設定がなされている場合にはフラグF2として値1がセットされており、自動で通信設定がなされている場合にはフラグF2として値2がセットされているものとする。
【0039】
ステップS001:検索部102は、規則記憶部101に記憶されている検索規則を参照し、該検索規則に基づきデータベース001のデータベーステーブルを検索し、該検索規則を満たす接続先医用装置002の最新の通信設定の情報を抽出する。
【0040】
ステップS002:比較部104は、通信設定記憶部103に記憶されている通信設定用のテーブル200の各レコードのフラグF1の値を0にセットする。
【0041】
ステップS003:比較部104は、検索部102が抽出した接続先医用装置002の最新の通信設定の情報と、接続先医用装置002のローカルの通信設定の情報とを比較する。
【0042】
ステップS004:接続先医用装置002の最新の通信設定の情報を有するレコードが、既に通信設定記憶部103に記憶されている通信設定用のテーブル200に存在する場合、ステップS005に進む。接続先医用装置002の最新の通信設定の情報を有するレコードが、通信設定記憶部103に記憶されている通信設定用のテーブル200に存在しない場合、ステップS009に進む。
【0043】
ステップS005:接続先医用装置002の最新の通信設定の情報と接続先医用装置002のローカルの通信設定の情報とに異なる部分がある場合、比較部104は接続先医用装置002の通信設定に更新があると判断し、ステップS006に進む。接続先医用装置002の最新の通信設定の情報と接続先医用装置002のローカルの通信設定の情報とに異なる部分がない場合、比較部104は接続先医用装置002の通信設定に更新がないと判断し、ステップS007に進む。
【0044】
ステップS006:比較部104は、接続先医用装置002のレコード201のフラグF1の値を1にセットする。
【0045】
ステップS007:通信設定更新部105は、比較部104が比較した接続先医用装置002のフラグF1の値が1で、かつフラグF2の値が2であるか否かを判断する。F1=1及びF2=2の場合、ステップS008に進む。F1=0又はF2=1の場合ステップS011に進む。
【0046】
ステップS008:通信設定更新部105は、通信設定記憶部103の通信設定用のテーブル200に記載されている接続先医用装置002のローカルの通信設定の情報を、最新の通信設定の情報に変更する。
【0047】
ステップS009:通信設定更新部105は、通信設定記憶部103の通信設定用のテーブル200に接続先医用装置002の通信設定の情報が記載された新規のレコードを追加する。
【0048】
ステップS010:通信設定更新部105は、追加した新規のレコードのフラグF2の値を2にセットする。
【0049】
ステップS011:比較部104は、データベース001から抽出した最新の通信設定の情報及び通信設定記憶部103に記憶されているローカルの通信設定の情報の比較が終わったか否かを判断する。比較が終わっている場合には動作を終了する。比較が終わっていない場合にはステップS003に進む。
【0050】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る医用装置における通信時の動作を説明する。図6は本実施形態に係る医用装置における通信時の動作を表すフローチャートの図である。
【0051】
ステップS101:通信部106は、特定の接続先医用装置002との通信の命令を制御部から受信する。
【0052】
ステップS102:通信部106は、通信設定記憶部103が記憶している通信設定用のテーブル200に指定された接続先医用装置002の通信設定の情報が有るか否かを判断する。指定された接続先医用装置002の通信設定の情報が有る場合、ステップS103に進む。指定された接続先医用装置002の通信設定の情報が無い場合、ステップS104に進む。
【0053】
ステップS103:通信部106は、通信設定記憶部103が記憶している通信設定のテーブルを参照し、指定された接続先の接続先医用装置002の通信設定を取得する。
【0054】
ステップS104:通信部106は、データベース001のデータベーステーブルを参照し、指定された接続先の接続先医用装置002の通信設定を取得する。
【0055】
ステップS105:通信部106は、取得した通信設定に基づいて接続先医用装置002との通信を確立し通信を行う。
【0056】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用装置は、自己が記憶している他の医用装置の通信設定の情報の更新を行う際に、予め決められた検索規則に基づいて外部のデータベースを検索する構成である。これにより、医用装置が更新に必要とするデータを少なくすることができ、外部のデータベースと医用装置との間のネットワークの負荷を軽減することが可能となる。したがって、医用情報システム全体の負荷を軽減することに寄与することができ、医療の効率化を図ることが可能となる。
【0057】
〔第2の実施形態〕
以下、この発明の第2の実施形態に係る医用情報システムについて説明する。本実施形態に係る医用情報システムは、データベース001のデータベーステーブルの通信設定が更新されたタイミングで、データベース001から最新の通信設定の情報が送信される構成であることが、第1の実施形態と異なるものである。そこで、以下では、データベース001からの最新の通信設定の情報の送信について主に説明する。本実施形態に係る医用装置及び医用情報システムにおけるブロック図も図1で表わされるものと同様である。以下の説明では、特に説明のない限り第1の実施形態と同一の符合が付されている機能部は同一の機能を有する機能部として説明する。
【0058】
データベース001は、接続先医用装置002から通信設定の更新の入力を受ける。データベース001は、自己が有するデータベーステーブルの接続先医用装置002の通信設定の情報を最新の通信設定に更新する。該更新とともに、データベース001は、通信設定に更新が発生したという情報を医用装置100の検索部102へ出力する。
【0059】
ここで、本実施形態では、データの整合性を重視して、接続先医用装置002の通信設定の情報が更新されたタイミングで検索部102に更新発生の情報を出力している。これに対し、ネットワークの負荷を考慮し、データベース001に所定数の医用装置から通信設定の更新の情報が行われたときに更新発生の情報を検索部102に出力する構成でもよい。この場合、データベース001が通信設定の更新が行われた数に対する閾値を有しており、その閾値を超えた場合にデータベース001が検索部102に更新発生の情報を出力する構成にすればよい。こうすることで、通信設定情報の更新が行われたタイミングで毎回検索部102に更新発生の情報を出力する必要がなくなり、ネットワークの負荷を軽減することができる。この閾値の値は、要求されるネットワーク負荷などのシステムの環境等を考慮して決定することが望ましい。
【0060】
検索部102は、データベース001から更新が発生したという情報の入力を受信すると、規則記憶部101に記憶されている検索規則に基づいたデータベース001が有するデータベーステーブルの検索を実行する。
【0061】
検索部102は、検索結果を比較部104へ出力する。
【0062】
比較部104は、通信設定記憶部103に記憶されている通信設定用のテーブル200(図2参照)に記載されているローカルの通信設定の情報と、検索部102から入力された最新の通信設定の情報とを比較し、比較結果を通信設定更新部105へ出力する。
【0063】
通信設定更新部105は、比較部104より入力された比較結果を基に、ローカルの通信設定の情報の変更及び追加といった情報の更新を行う。
【0064】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用情報システムでは、データベース001が有するデータベーステーブルの通信設定の情報が更新されたタイミングで、検索部102の検索が開始され、ローカルの通信設定の情報の更新を行うことができる。これにより、データベース001が保持する通信設定の情報と、通信設定記憶部103が有する通信設定の情報とのデータの整合性をより向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施形態に係る医用装置のブロック図
【図2】通信設定記憶部に記憶されている通信設定のテーブルの一例の図
【図3】通信設定情報の追加・編集・削除画面の一例の図
【図4】通信設定情報の編集画面の一例の図
【図5】第1の実施形態に係る医用装置における通信設定の更新の動作を表すフローチャートの図
【図6】第1の実施形態に係る医用装置における通信の動作を表すフローチャートの図
【符号の説明】
【0066】
001 データベース
002 接続先医用装置
100 医用装置
101 規則記憶部
102 検索部
103 通信設定記憶部
104 比較部
105 通信設定更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索する範囲を含む検索規則を予め記憶している規則記憶手段と、
ネットワークを介して接続されている他の医用装置の通信設定を予め記憶している通信設定記憶手段と、
前記ネットワークを介して接続されている医用装置の通信設定が記載されている外部のデータベースを前記検索規則に基づいて検索し、前記通信設定を抽出する検索手段と、
前記抽出した前記通信設定と前記通信設定記憶手段に記憶している前記通信設定とを比較し、該通信設定が異なる前記医用装置を特定する情報を抽出する比較手段と、
前記比較手段で抽出された前記医用装置の前記通信設定記憶手段に記憶している通信設定を、前記検索手段が抽出した前記通信設定に更新する通信設定更新手段と、
前記通信設定記憶手段に記憶されている通信設定を基に、該通信設定を有する前記医用装置と通信を行う通信手段と、
を備えることを特徴とする医用装置。
【請求項2】
前記検索規則は、少なくとも自己が所属しているDICOMサービスクラスを検索範囲とすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の医用装置。
【請求項3】
前記通信設定更新手段は、
前記比較手段による比較の結果、前記通信設定記憶手段に前記通信設定が記憶されていない医用装置がある場合、該医用装置を新規の医用装置として前記通信設定を前記通信設定記憶手段に記憶させ、前記通信設定記憶手段に前記通信設定が既に記憶されている医用装置の場合、該通信設定を変更する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の医用装置。
【請求項4】
前記通信設定更新手段は、
前記通信設定記憶手段に前記通信設定が既に記憶されており、かつ該通信設定が自己が更新した通信設定である場合に、該通信設定を変更する、
ことを特徴とする請求項3に記載の医用装置。
【請求項5】
ネットワークを介して通信を行う複数の医用装置と、
前記ネットワークに接続された前記複数の医用装置の通信設定が記載されたデータベースと、
を備えた医用情報システムであって、
前記医用装置は、
検索する範囲を含む検索規則を予め記憶している規則記憶手段と、
ネットワークを介して接続されている他の医用装置の通信設定を予め記憶している通信設定記憶手段と、
前記データベースを前記検索規則に基づいて検索し、前記通信設定を抽出する検索手段と、
前記抽出した前記通信設定と前記通信設定記憶手段に記憶している前記通信設定とを比較し、該通信設定が異なる前記医用装置を特定する情報を抽出する比較手段と、
前記比較手段で抽出された前記医用装置の前記通信設定記憶手段に記憶している通信設定を前記検索手段が抽出した前記通信設定に更新する通信設定更新手段と、
前記通信設定記憶手段に記憶されている通信設定を基に、該通信設定を有する他の前記医用装置と通信を行う通信手段とを備える、
ことを特徴とする医用情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−268616(P2009−268616A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120252(P2008−120252)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】