説明

医療、看護、介護用ユニフォーム

【課題】PHSや携帯電話をポケットに収納して作業を行う際に、PHSや携帯電話をポケットから脱落困難とし、また、従事者が患者や被介護者を抱きかかえた際にもポケットに収納したPHSや携帯電話が患者や被介護者に当たることのないユニフォームを、簡易な構成にて得る。
【解決手段】医療、看護、介護を行う際に着用する医療、看護、介護用ユニフォーム1において、前身頃11には、着用者3の肋骨下部に対応する位置に、携帯電話又はPHS6を収納可能とするポケット4を、上記前身頃11の左右両側、又は、左右いずれか一側に固定配置ものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療、看護、介護を行う際に、医療、看護、介護に従事する者が着用するものであって、PHS又は携帯電話を収納可能とするポケットを設けたユニフォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療、看護、介護に従事する者(以下、「従事者」とする。)は、緊急時に備えてPHSや携帯電話を常時携帯しなければならないことが多く、図8に示す如く、胸部や腰部のポケット(41)(44)にPHSや携帯電話(42)を収納して作業することが一般的に行われている。
【0003】
しかしながら、医療、看護、介護の現場では、ベッドや布団に横たわっている患者や被介護者に対して、治療や介護を行うことが多いため、従事者は前傾姿勢をとって作業をすることが多いものとなっていた。そのため、例えば図9に示す如く、着用者(46)である従事者がユニフォーム(40)の胸部のポケット(41)にPHS・携帯電話(42)を収納して作業する場合には、前傾姿勢をとった際に胸部のポケット(41)の開口部(43)が下向きに移動する。そのため、ポケット(41)からPHSや携帯電話(42)が床面に落ちて破損したり、ポケット(41)から脱落したPHSや携帯電話(42)が患者や被介護者に当たってけがをする等の危険性を伴うものであった。
【0004】
また、図8に示す如き上衣型のユニフォーム(40)の場合には、腰部のポケット(44)にPHSや携帯電話(42)を収納し、従事者が前傾姿勢で作業した際に、ポケット(44)内のPHSや携帯電話(42)が重りとなってユニフォーム(40)の裾部(45)が下方向に垂れ下り、作業の邪魔となったり、横になっている患者や被介護者に当たる等の危険性があった。
【0005】
そこで、上記の如き危険性を回避するため、特許文献1に示す如く、胸部のポケットに携帯電話を脱落困難に収納することを目的としたポケット付き衣服が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案第3147437号公報 特許文献1に記載の発明は、胸部に携帯電話専用のポケットを設けた衣服であって、上記ポケットを、伸縮性を有する筒状体にて形成したものである。そして、この筒状体の伸縮によりポケット内に収納した携帯電話を締め付けることによって、携帯電話をポケット内において脱落困難に保持することを目的としたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、筒状体の締め付けにより携帯電話を保持するものであるから、筒状体の大きさに対して携帯電話が大きい場合には、携帯電話への締め付けが必要以上となり、携帯電話がポケットから取り出しにくいものとなったり、逆に、筒状体の大きさに対して携帯電話が小さい場合には締め付けが不十分となり、前傾姿勢をとった際に携帯電話が脱落しやすいものとなるおそれがあった。そのため、携帯電話が取り出し容易で脱落困難となるよう適度な締め付け力を発揮させるためには、収納する携帯電話のサイズに対応した大きさの筒状体を形成しなければならず、製造が煩雑なものとなっていた。
【0008】
また、特許文献1に記載の発明は、胸部のポケットに携帯電話を収納するものであるから、着用者である従事者がポケットに携帯電話を収納した状態で、横たわっている患者や被介護者の上半身を抱き起こしたり、歩行が困難な患者や被介護者を抱きかかえて他の場所に移動させる際に、ポケットに収納した携帯電話が患者や被介護者の頭部や顔面に当たり、患者や被介護者が痛がるなど不快な思いをさせる場合があった。
【0009】
そこで、本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、PHSや携帯電話をポケットに収納して作業を行う際に、PHSや携帯電話をポケットから脱落困難とし、また、従事者が患者や被介護者を抱きかかえた際にもポケットに収納したPHSや携帯電話が患者や被介護者に当たることのないユニフォームを、簡易な構成にて得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の如き課題を解決するため、医療、看護、介護を行う際に着用する医療、看護、介護用ユニフォームにおいて、前身頃には、着用者の肋骨下部に対応する位置に、携帯電話又はPHSを収納可能とするポケットを、このポケットの開口部を上向きに配置した状態で、上記前身頃の左右両側、又は、左右いずれか一側に、上方を開口部として固定配置したものである。
【0011】
このように、着用者の肋骨下部に対応する位置に携帯電話又はPHSを収納するためのポケットを配置することにより、着用者である従事者が前傾姿勢をとっても、ポケットの開口部が下向きにならずに上向きの状態を保つものとなるため、前傾姿勢をとった場合でもポケットに収納した携帯電話やPHSが脱落しにくいものとなる。そのため、ポケットに収納したはずの携帯電話やPHSを紛失したり、携帯電話やPHSが床面に落下して破損したり患者や被介護者に当たってけがをさせるなどの危険性が少ないものである。
【0012】
また、上記ポケットに携帯電話又はPHSを収納した状態で、患者や被介護者を着用者である従事者が抱き起こしたり抱きかかえたりした場合には、ポケットの位置が従事者の胸部ではなく肋骨下部に対応する位置にあるため、患者や被介護者の頭部や顔面にポケット内の携帯電話又はPHSが当たる事態が生じにくいものとなる。従って、患者や被介護者に対して安全に作業を行うことができる。
【0013】
また、本願発明は、着用者の肋骨下部に対応する位置に携帯電話又はPHSを収納するためのポケットを配置するという簡易な構成にて上記の如き作用効果を奏することができるものであるから、携帯電話やPHSが収納可能な大きさであれば携帯電話の大きさや形などに拘束されることなく、デザインの自由度を高めることができるものである。
【0014】
また、ポケットは、前身頃の表面に布片を配置し、この布片の上辺を開口部とするとともに、布辺の両側辺及び底辺を前身頃に縫着して形成したものであってもよい。この場合には、すでに縫製済みのユニフォームに、布片を着用者の肋骨下部に対応する位置に縫着することによりポケットを形成することができるものである。そのため、特定のデザインに拘束されることなく、様々なデザインのユニフォームにポケットを容易に取り付けることができるものである。
【0015】
また、ポケットは、前身頃の表面にコースレットベルトを配置し、このコースレットベルトの底辺を前身頃に縫着するとともに、上記コースレットベルトの底辺から上辺にかけて、一対の仕切り部を、携帯電話又はPHSの挿入間隔を介して前身頃に縫着することにより形成し、この一対の仕切り部の間隔において、コースレットベルトの上辺と前身頃の表面との間を開口部とし、この開口部と、上記一対の仕切り部及び底辺とにより形成したものであってもよい。
【0016】
このように、コースレットベルトの一部をポケットとして形成することにより、前身頃において、特に着用者の体に接近するコースレットベルトの内部に携帯電話又はPHSを収納するものとなる。そのため、携帯電話やPHSが着用者の体から離れてぶらつくことなく、常に着用者の体に接近した状態で保持することが可能となる。従って、携帯電話又はPHSを安定した状態で脱落困難に保持することができるものである。
【0017】
また、ポケットは、前身頃の表面に開口部を形成するとともに、この開口部に連続する袋体を、上記前身頃の内側に形成したものであってもよい。上記の如くポケットを前身頃の内側に形成することにより隠しポケット状となるため、外観のデザインをシンプルで美しいものとすることができる。また、上記袋体を伸縮性のある生地によって形成することにより、携帯電話やPHSを、より安定的に保持することができる。従って、作業を邪魔しないばかりでなく、動作途中での落下防止を確実なものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述の如く、前身頃の着用者の肋骨下部に対応する位置に携帯電話又はPHSを収納するためのポケットを配置することにより、着用者である従事者が前傾姿勢をとっても、ポケットの開口部が下向きにならずに上向きの状態を保つことができる。従って、着用者が前傾姿勢をとった場合でも、ポケットに収納した携帯電話やPHSが脱落しにくいものとなる。そのため、常時携帯しなければならない携帯電話やPHSを紛失したり、携帯電話やPHSがポケットから落下して破損したり、患者や被介護者に落下した携帯電話やPHSが当たってけがをしたりするという危険性を少なくすることができるものである。
【0019】
また、上記ポケットに携帯電話又はPHSを収納した状態で、従事者が患者や被介護者を抱き起こしたり抱きかかえたりした場合でも、ポケットの位置が胸部ではなく肋骨下部に対応する位置にあるため、患者や被介護者の頭部や顔面にポケット内の携帯電話やPHSが当たるという事態が生じにくいものとなる。従って、患者や被介護者に対して安全に作業を行うことができる。
【0020】
また、上記の如く安全且つ脱落困難に携帯電話又はPHSを収納可能とするポケットを、着用者の肋骨下部に対応する位置に配置するという簡易な構成によって実現できるものであるから、容易且つ廉価に製造することができるものである。また、携帯電話・PHSが収納可能であれば携帯電話・PHSの大きさや形に拘束されることがないものであって、デザインの自由度を高めることができるものである。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1について説明すると、本実施例のユニフォーム(1)は医療、看護、又は介護を行う際に、医療、看護、又は介護を行う従事者が着用するものであって、図1に示す如く、上衣として用いるものである。そして、このユニフォーム(1)の右前身頃(2)には、着用者(3)である従事者の肋骨下部に対応する位置にポケット(4)を配置している。このように、肋骨下部に対応する位置にポケット(4)を配置することにより、図2に示す如く従事者が前傾姿勢をとった場合でも、ポケット(4)の開口部(5)が下向きにならず上向きの状態を保つことが可能となる。
【0022】
そのため、従事者が前傾姿勢を取った際にポケット(4)から携帯電話やPHS(6)が脱落し、携帯電話やPHS(6)を紛失したり、ポケット(4)から携帯電話やPHS(6)が床面に落下して破損したり、ポケット(4)から脱落した携帯電話やPHS(6)が患者や被介護者に当たったりする危険性が少ないものである。また、上記ポケット(4)に携帯電話又はPHS(6)を収納した状態で、従事者が患者や被介護者を抱き起こしたり抱きかかえたりした場合でも、ポケット(4)の位置が従事者の胸部ではなく肋骨下部に対応する位置にあるため、患者や被介護者の頭部や顔面にポケット(4)内の携帯電話やPHS(6)が当たるという事態が生じにくいものとなる。従って、携帯電話やPHS(6)を安定した状態で保持するとともに、患者や被介護者に対して安全に作業を行うことができるものである。
【0023】
尚、本実施例のポケット(4)は、図3に示す如く右前身頃(2)の表面に略台形の布片(7)を配置し、この布片(7)の上辺を開口部(5)とするとともに、布辺の両側辺(8)及び底辺(10)を右前身頃(2)に縫着して形成したものである。そのため、縫製済みのユニフォーム(1)に、後から布片(7)を着用者(3)の肋骨下部に対応する位置に縫着してポケット(4)を形成することができる。従って、特定のデザインに拘束されることなく、様々なデザインのユニフォーム(1)にポケット(4)を容易に取り付けることが可能なものである。
【実施例2】
【0024】
また、上記実施例1では、従事者の肋骨下部に対応する位置に布片(7)を配置して縫着することによりポケット(4)を形成しているが、本実施例2では、前身頃(11)に設けたコースレットベルト(12)の一部をポケット(4)として形成したものである。尚、上記コースレットベルト(12)とは、一般的にウエスト近辺を押さえるための、幅広の装飾用ベルトを意味するものであって、前身頃(11)に縫着して成るものである。
【0025】
本実施例2について以下に説明すると、図4に示す如く、前身頃(11)の幅方向中央に中央前身頃(13)を設けるとともに、この中央前身頃(13)の左右には、それぞれ右前身頃(2)及び左前身頃(14)を設け、この左右前身頃(2)(14)と中央前身頃(13)とにより、本実施例の前身頃(11)を構成している。そして、上記左右前身頃(2)(14)において、着用者(3)のウエスト部分(15)よりもやや上方に対応する位置に、一対のコースレットベルト(12)をそれぞれ配置している。
【0026】
上記一対のコースレットベルト(12)は、図4に示す如く、底辺(16)を前身頃(11)に縫着するとともに、底辺(16)から上辺(17)に伸びる一方の仕切り部(18)を、中央前身頃(13)及び左右前身頃(2)(14)とに一体に直線状に縫着している。そして、この一方の仕切り部(18)から携帯電話(6)又はPHS(6)の挿入間隔を介した位置に、他方の仕切り部(20)を前身頃(11)に直線状に縫着している。そして、この一対の仕切り部(18)(20)の間隔において、コースレットベルト(12)の上辺(17)を開口部(5)としている。そして、この開口部(5)と、上記一対の仕切り部(18)(20)、及び上記底辺(16)により、本実施例のポケット(4)を構成している。
【0027】
上記の如く、着用者(3)である従事者のウエスト部分(15)よりもやや上方にコースレットベルト(12)を設けるとともに、このコースレットベルト(12)にポケット(4)を形成することにより、従事者の肋骨下部に対応する位置にポケット(4)が位置するものとなる。そのため、従事者が前傾姿勢を取っても開口部(5)が下向きにならずに上向きの状態を保つことができ、作業時にポケット(4)内に収納した携帯電話又はPHS(6)が脱落しにくいものとなる。そのため、常時携帯しなければならない携帯電話やPHS(6)を紛失したり、携帯電話やPHS(6)がポケット(4)から落下して破損したり、患者や被介護者に落下した携帯電話やPHS(6)が当たってけがをしたりするという危険性を少なくすることができるものである。
【0028】
また、上記ポケット(4)に携帯電話又はPHS(6)を収納した状態で、従事者が患者や被介護者を抱き起こしたり抱きかかえたりした場合でも、ポケット(4)の位置が従事者の胸部ではなく肋骨下部に対応する位置にあるため、患者や被介護者の頭部や顔面にポケット(4)内の携帯電話やPHS(6)が当たるという事態が生じにくいものとなる。従って、携帯電話やPHS(6)を安定した状態で保持することができるとともに、患者や被介護者に対して安全に作業を行うことができる。
【0029】
また、前身頃(11)において特に着用者(3)の体に接近するコースレットベルト(12)の内部に、携帯電話又はPHS(6)を収納するものであるため、携帯電話やPHS(6)が着用者(3)の体から離れてぶらつくことなく、常に着用者(3)の体に接近した状態で保持することが可能となる。従って、携帯電話やPHS(6)が患者や被介護者に当接することなく、安定した状態で保持することができるものである。
【実施例3】
【0030】
また、上記実施例1、2では、前身頃(11)の表面にポケット(4)を形成配置しているが、本実施例3では、前身頃(11)の内側にポケット(4)を形成配置している。本実施例3について説明すると、図5、6に示す如く、右前身頃(2)の表面において、着用者(3)の肋骨下部に対応する位置にポケット(4)の開口部(5)を形成するとともに、この開口部(5)に連続して、台形の袋体(21)を上記前身頃(11)の内側に形成したものである。
【0031】
上記の如く、着用者(3)の肋骨下部に対応する位置にポケット(4)を形成することにより、従事者が前傾姿勢をとった場合でも、ポケット(4)の開口部(5)が下向きにならず上向きの状態を保つことができるものである。また、上記ポケット(4)に携帯電話又はPHS(6)を収納した状態で、従事者が患者や被介護者を抱き起こしたり抱きかかえたりした場合でも、ポケット(4)の位置が従事者の胸部ではなく肋骨下部に対応する位置にあるため、患者や被介護者の頭部や顔面にポケット(4)内の携帯電話やPHS(6)が当たるという事態が生じにくいものとなる。従って、携帯電話やPHS(6)を安定した状態で保持することができるとともに、患者や被介護者に対して安全に作業を行うことができる。
【0032】
また、携帯電話やPHS(6)を身につける際には、携帯電話やPHS(6)に環状の紐を接続し、この紐を使用者の首にかけて使用することが一般的となっている。しかしながら、上記紐の長さの規格から、胸のポケット(41)に携帯電話やPHS(6)を収納した際に首にかけた紐がポケット(41)から外方に垂れ下がり、周囲の器具などに引っかかって事故を誘発したり、作業の邪魔になるおそれがあるとともに、腰のポケット(44)に収納するには短すぎるという弊害が生じる。
【0033】
一方、本発明の如く従事者の肋骨下部に対応する位置にポケット(4)を配置した場合には、首にかけた紐をこのポケット(4)に収納した際に、首からかけた紐の長さがちょうど首からポケット(4)までの距離に対応する長さとなるため、紐がポケット(4)から垂れ下がることなく前身頃(11)の表面に沿って配置されるものとなり、上記の不都合を回避することが可能となる。
【実施例4】
【0034】
また、上記実施例3では、開口部(5)に連続する台形の袋体(21)を設けることによりポケット(4)を形成しているが、本実施例4では、前身頃(11)の内側にコースレットベルト(12)を取り付け、このコースレットベルト(12)と前身頃(11)との間にポケット(4)を形成している。本実施例4について以下に説明すると、図7に示す如く、前身頃(11)の幅方向中央に中央前身頃(13)を設けるとともに、この中央前身頃(13)の左右には、それぞれ左右前身頃(2)(14)を設け、この左右前身頃(2)(14)と中央前身頃(13)とにより本実施例の前身頃(11)を構成している。そして、上記左右前身頃(2)(14)の内面であって着用者(3)のウエスト部分(15)よりもやや上方に対応する位置に、一対のコースレットベルト(12)をそれぞれ配置している。
【0035】
そして、上記一対のコースレットベルト(12)は、図7に示す如く、コースレットベルト(12)の上辺(17)、底辺(16)、及び両端部(22)を、左右前身頃(2)(14)に縫着している。そして、左右前身頃(2)(14)の表面には、上記コースレットベルト(12)の上辺(17)に対応する位置よりも少し下方であって、着用者(3)の肋骨下部に対応する位置に開口部(5)を形成している。そして、この開口部(5)から左右前身頃(2)(14)とコースレットベルト(12)とで囲まれた内方に、携帯電話やPHS(6)を収納可能なものとしている。
【0036】
上記の如く、前身頃(11)の内側のウエスト部分(15)よりもやや上方にコースレットベルト(12)を設けるとともに、着用者(3)の肋骨下部に対応する位置に開口部(5)を設け、この開口部(5)と、コースレットベルト(12)と、右又は左前身頃(2)(14)とによりポケット(4)を形成することによって、着用者(3)である従事者の肋骨下部に対応する位置にポケット(4)が位置するものとなる。そのため、従事者が前傾姿勢を取っても開口部(5)が下向きにならずに上向きの状態を保つことができ、ポケット(4)内に収納した携帯電話やPHS(6)が作業時に脱落しにくいものとなる。
【0037】
また、上記ポケット(4)に携帯電話又はPHS(6)を収納した状態で、従事者が患者や被介護者を抱き起こしたり抱きかかえたりした場合でも、ポケット(4)の位置が従事者の胸部ではなく肋骨下部に対応する位置にあるため、患者や被介護者の頭部や顔面にポケット(4)内の携帯電話やPHS(6)が当たるという事態が生じにくいものとなる。従って、携帯電話やPHS(6)を安定した状態で保持することができるとともに、患者や被介護者に対して安全に作業を行うことができる。
【0038】
また、前身頃(11)において、特に着用者(3)の体に接近するコースレットベルト(12)内に携帯電話又はPHS(6)を収納するものであるため、携帯電話やPHS(6)が着用者(3)の体から離れてぶらつくことなく、常に着用者(3)の体に接近した状態で保持することが可能となる。従って、携帯電話やPHS(6)を安定した状態で保持することができるものである。
【0039】
また、携帯電話やPHS(6)を身につける際には、携帯電話やPHS(6)に環状の紐を接続し、この紐を使用者の首にかけて使用することが一般的となっている。しかしながら、上記紐の長さの規格から、胸のポケット(41)に携帯電話やPHS(6)を収納した際に首にかけた紐がポケット(41)から外方に垂れ下がり、周囲の器具などに引っかかって事故を誘発したり、作業の邪魔になるおそれがあるとともに、腰のポケット(44)に収納するには短すぎるという弊害が生じる。
【0040】
しかし、本発明の如く従事者の肋骨下部に対応する位置にポケット(4)を配置した場合には、首にかけた紐をこのポケット(4)に収納した際に、首からかけた紐の長さがちょうど首からポケット(4)までの距離に対応する長さとなるため、紐がポケット(4)から垂れ下がることなく前身頃(11)の表面に沿って配置されるものとなり、上記の不都合を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例1を示す平面図。
【図2】実施例1において、着用者が前傾姿勢を取った時の側面図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】本発明の実施例2を示す平面図。
【図5】本発明の実施例3を示す平面図。
【図6】図5のB−B線断面図。
【図7】本発明の実施例4を示す平面図。
【図8】従来例を示す平面図。
【図9】従来例において、着用者が前傾姿勢を取った時の側面図。
【符号の説明】
【0042】
1 ユニフォーム
3 着用者
4 ポケット
5 開口部
6 携帯電話、PHS
7 布片
8 側辺
10 底辺
11 前身頃
12 コースレットベルト
16 底辺
17 上辺
18、20 仕切り部
21 袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療、看護、介護を行う際に着用する医療、看護、介護用ユニフォームにおいて、前身頃には、着用者の肋骨下部に対応する位置に、携帯電話又はPHSを収納可能とするポケットを、このポケットの開口部を上向きに配置した状態で、上記前身頃の左右両側、又は、左右いずれか一側に、上方を開口部として固定配置したことを特徴とする医療、看護、介護用ユニフォーム。
【請求項2】
ポケットは、前身頃の表面に布片を配置し、この布片の上辺を開口部とするとともに、布辺の両側辺及び底辺を前身頃に縫着して形成したことを特徴とする請求項1の医療、看護、介護用ユニフォーム。
【請求項3】
ポケットは、前身頃の表面にコースレットベルトを配置し、このコースレットベルトの底辺を前身頃に縫着するとともに、上記コースレットベルトの底辺から上辺にかけて、一対の仕切り部を、携帯電話又はPHSの挿入間隔を介して前身頃に縫着することにより形成し、この一対の仕切り部の間隔において、コースレットベルトの上辺と前身頃の表面との間を開口部とし、この開口部と、上記一対の仕切り部及び底辺とにより形成したことを特徴とする請求項1の医療、看護、介護用ユニフォーム。
【請求項4】
ポケットは、前身頃の表面に開口部を形成するとともに、この開口部に連続する袋体を、上記前身頃の内側に形成したことを特徴とする請求項1の医療、看護、介護用ユニフォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−26046(P2012−26046A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163073(P2010−163073)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(594158460)ナガイレーベン株式会社 (10)
【Fターム(参考)】