説明

医療および診断処置に用いられる造影剤ならびにその使用方法

本発明は、医療または診断処置に使用され、あるいは治療に使用される、低濃度の造影物質(活性成分)および/または低ハウンスフィールド値を有する造影剤に関する。1つの代替の実施形態では、造影剤は、造影物質のみからなり、あるいは造影物質と安定剤または浸透圧剤とを組み合わせてなる。本発明は、250未満のハウンスフィールド値を有する造影剤を対象とする。別の実施形態では、造影剤は、2%(w/v)未満のバリウムに基づく化合物のような造影物質を含む。別の実施形態では、本発明は、個体の解剖学的部分を膨張させかつ画像形成するための配合物および方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成や手術のような医療または診断処置に用いられ、あるいは治療に用いられる、低濃度の造影物質および/または低ハウンスフィールド値を有する配合物に関する。また本発明は、本発明の配合物を使用して、解剖学的部分を膨張させまたはその部分の画像形成を行うための方法にも関する。1つの代替の実施形態では、本発明の配合物は、磁気共鳴画像形成法(MR)、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波(US)、ポジトロン断層撮影法(PET)、およびCT−PETのような組み合わせた様式を含むがこれらに限定されることのない画像診断処置、ならびに他の医療および治療で使用するのに、特に適している。
【背景技術】
【0002】
造影物質は、周囲組織との関係で、器官、または身体の他の構造の、位置、サイズ、および本質の測定を可能にするので、画像診断に有用である。放射線写真造影の開発の初期において、研究者らは、造影物質として使用される元素の密度の値を認識した。バリウムに基づく化合物、特にBaSOは、その大きな原子量および低い製造コストのために、間もなく好ましい造影物質となった。さらに、その安全な特性によって、この開発の方向がいっそう強化された。
【0003】
やがて蛍光透視画像形成によって、放射線科医は、造影物質が胃腸管内を移動するときにその造影物質をモニタすることが可能になった。この前進には、胃腸管のそれぞれの部分ごとに、個別のBaSO懸濁液が必要であった。画像形成がなされる胃腸管の部分に基づいて、硫酸バリウムを含む種々の造影剤が開発された。食道の場合、食道の運動が示されるように、かつ胸部の心筋(心臓)および大血管(大動脈)の輪郭が描写されるように、濃厚なペーストを使用した。このようなペーストは、硫酸バリウムの濃度が高かった(100%(w/v))。胃を調べるには、中程度の濃度の硫酸バリウムを使用した(40〜80%(w/v))。小腸の場合、濃度は通常、胃で使用した濃度と同じかまたはわずかに低かった。結腸の単一造影による調査は、直腸内投与によって行った。この場合、硫酸塩濃度15〜18%(w/v)を使用して、結腸および遠位小腸を満たし、膨張させた。1960年代および1970年代には、二重造影または空気造影に関する研究が、上部胃腸管と下部胃腸管との両方について行われた。これらの研究では、上部および下部胃腸管での硫酸バリウムの濃度は、それぞれ250%(w/v)および100%(w/v)であった。
【0004】
コンピュータ体軸断層撮影法(「CAT」または「CT」)の開発では、放射線科医は、経口投与された硫酸バリウムまたは希釈ヨウ素溶液を使用して、腸と他の周囲組織とを区別した。CTの感度により、希釈ヨウ素溶液だけではなく、より低い濃度のBaSO(2.1%(w/v))を使用することができた。
【0005】
マルチディテクターヘリカルスキャナの導入により、改善された品質および画像解像度がもたらされた。ヘリカルスキャナでは、現行の硫酸バリウム濃度2.1%を使用して、胃腸管と周囲組織とを区別することができるが、腸壁と腸管腔とを明確に区別することはできない。慣用の腸のマーカーを使用する場合、隣接する軟組織は、画像収集段階で失われる。これは、容積平均効果として知られる現象が原因である。慣用的に使用される放射線不透過造影材料が腸管腔内にある場合、腸壁の軟組織は、画像再構成の際に失われる。
【0006】
例えばCTおよびMRでスパイラル、ヘリカル、およびマルチディテクターヘリカルスキャナ(MSMD)と共に使用する場合、本発明の配合物のより低い造影剤濃度は、例えば管腔の膨張、ならびに器官と他の構造との明瞭な視覚化を可能にする。
【0007】
CTでは、より新しい画像形成技術によって、改善された画像品質が可能になり、認識すべきわずかなHVの相違を有する細部を画像形成することが可能になる。慣用の経口による腸マーカーでは、画像形成器が、腸のマーキングおよび隣接する軟組織の画像形成を利用することができない。慣用のCTで使用される、より古い/高い濃度では、腸壁が視覚化されない。高コントラストにマーキングされる腸管腔に隣接する軟組織は、(軟組織に)隣接する腸壁の画像形成能力を失わせることになる。光が空間を通過して広がり、さらに隣接する空間も含んだときの半影に非常に似ているように、CTでの高密度部分の再構成によって、近接する低密度軟組織構造に影が落とされ、「容積平均効果」と呼ばれる。この概念は、画素からなるCT画像という点において、類推することができる。各画素は、解剖学的構造に基づいた値を有しており、これはすなわち、明るい場合には稠密であり、高いHVを有することを示している。我々がすべてのCT画像において持つように、1列に並んだ画素を持つ場合、稠密な画素およびそれほど稠密ではない画素がある。慣用のCT造影(250から450HV)による胃腸管の腸壁(45HV)および管腔において見ることが予想されるように、これら隣接する画素のHVに大きい差がある場合、そこには平均化効果がある。密度の値がより低い腸壁の画素が増加し、より高い密度の画素を有する腸管腔のコントラストが、わずかに減少する。正味の効果は、画像内での腸壁の損失である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、医療または診断処置において、あるいは治療で使用するために、器官または他の構造の高品質画像形成が実現されるよう、より低いハウンスフィールド値および/またはより低い造影物質濃度を有する造影剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、医療または診断処置で使用され、あるいは治療で使用される、低濃度の造影物質および/または低ハウンスフィールド値を有する造影剤配合物に関する。1つの代替の実施形態では、造影剤が、造影物質単独からなり、あるいは安定剤または浸透圧剤と組み合わせた造影物質からなる。1つの実施形態では、本発明は、ハウンスフィールド値が250未満、好ましくは100未満である造影剤を対象とする。別の実施形態では、造影剤は、バリウムに基づく化合物のような造影物質を含む。さらに別の実施形態では、本発明は、個体の腸のマーキング、腸の膨張、および腸の解剖学的部分の画像形成のための、配合物および方法にも関する。さらに、本発明の配合物は、蛍光透視法(X線)、磁気共鳴画像形成法(MR)、コンピュータ断層撮影法(CT)、CT−PET(ポジトロン断層撮影法)、および超音波(US)を含むがこれらに限定されることのない画像診断処置で使用するのに、ならびに他の医療および治療で使用するのに特に適切である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、画像診断のような、医療または診断処置での使用に適した造影剤を対象とする。本明細書での使用に適した画像診断技法には、X線画像形成、MR、CT、US、光学的画像形成、SPECT、PET、フラットパネル画像形成、および剛性、軟質、またはカプセル内視鏡法の使用が含まれるが、これらに限定するものではない。CTおよびPET画像形成の組合せ、すなわちCT−PETも、本発明と共に使用するのに適している。本明細書で使用する画像診断技法は、MR、CT、CT−PET、またはUSであることが好ましい。
【0011】
本発明の造影配合物は、身体の任意の解剖学的構造の、画像診断に有用と考えられる。1つの実施形態では、本発明は、食道と、胃と、十二指腸、小腸(空腸、回腸、虫垂、および盲腸)、および大腸(上行腸、右結腸曲、横行結腸、左結腸曲、下行結腸、S字結腸、および直腸)を含む胃腸管とを含むが、これらに限定されない解剖学的部分の画像診断での使用に特に適している。さらに本発明は、膵臓や胆嚢、脾臓、肝臓、リンパ節、脈管構造のような組織および器官、ならびに例えば膿瘍のような病理学的実体を、画像形成するのに特に適している。
【0012】
A.配合物
より具体的には、本発明は、正または負のHVを含む低ハウンスフィールド値(HV)を有する造影剤配合物に関する。一実施形態では、本発明は、低濃度の造影物質を、単独であるいは安定剤または浸透圧剤と組み合わせて含む、画像診断のための造影剤に関する。
【0013】
1.造影物質
本発明の造影剤は、個体に投与したときに、例えば医療行為中に対象とされる領域をその周囲組織と区別することができるよう、管腔または組織に影響を及ぼすことができる(例えば、充填し、膨張させ、標識し、かつ/またはマークする)物質の任意の組成物を含む。そのような医療行為には、診断、手術、または治療処置が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0014】
本発明の造影剤は、硫酸バリウムのようなバリウムに基づく化合物、有機的に結合したヨウ素に基づく化合物であって非イオン型およびイオン型のもの、または上述の化合物の任意の組合せを含むがこれらに限定されることのない、1種または複数の造影物質を含むことができる。他の薬剤には、ガドリニウムに基づく化合物(またはFe、Dy、Mnが含まれるがこれらに限定されることのない、MR画像形成で使用される任意の他の金属元素)、安定剤、ベントナイトに基づく化合物、あるいは、任意の他の適切な不活性または不溶性化合物であって、マグネシアミルクのような金属酸化物/シリケート/スルフェート/水酸化物、脂肪に基づく化合物、脂質、またはトリグリセリドが含まれるがこれらに限定されることのないもの、あるいは上述の化合物の任意の組合せが含まれる。
【0015】
本発明では、造影物質の用量は、多くの異なる剤形によって投与することができる。造影剤は、液体、懸濁液、ペースト、粉末、濃縮物、適正濃度まで混合するための顆粒状粉末、または固形が含まれるがこれらに限定されることのない、多くの形をとることができる。例えば造影剤は、飲料として摂取することができ、他の手段によって経口的に投与されてもよく、または経直腸的に投与されてもよい。経口または経直腸経路の他に、造影剤は、経皮的にまたは挿管を介して投与することができる。造影剤は、懸濁液として摂取してもよく、あるいは錠剤、カプセル、またはカプレットとして嚥下することもできる。
【0016】
別の代替の実施形態では、医療行為の前または医療行為中に個体に投与される造影物質(活性成分)の総量は、少なくとも約0.01g、0.025g、0.05g、0.075g、0.1g、0.5g、1g、5g、10g、20g、30g、50g、70g、100g、120g、150g、180g、200g、300g、350g、400g、450g、500g、550g、600g、またはそれ以上にすることができる。好ましい範囲は約1gから約3gであり、より好ましくは約2gから約2.5gである。
【0017】
造影物質は、約10mlから約10L、または約100mlから約5L、または約200ml、250ml、300ml、350ml、400ml、450ml、500ml、550ml、600ml、650ml、700ml、750ml、800ml、850ml、900ml、1L、1.5L、2L、2.5L、3L、3.5L、4L、または4.5Lの体積を有する造影剤中に、供給することができる。
【0018】
造影剤は、単回投与として投与してもよく、または多数回投与として分割してもよい。例えば造影剤が2Lである場合、患者は、処置の約2時間前に1Lを摂取し、残りの1Lを、処置の約1時間前に摂取することができる。別の手法は、特定の処置に必要とされる全体積が摂取されるまで、5分ごとに150mlを患者に摂取させることである。
【0019】
2.造影物質の濃度
1つの代替の実施形態では、本発明の造影剤は、造影物質を単独でまたは他の賦形剤と共に含む造影剤の値が250HV未満になることを条件に、任意の適切な量の造影物質を含むことができる。
【0020】
1つの代替の実施形態では、本発明の造影剤は、バリウムに基づく化合物を1重量%未満含むことができる。別の代替の実施形態では、本発明は、約0.001%から約0.8%のバリウムに基づく化合物を含むことができ、好ましくは約0.01%から約0.5%であり、より好ましくは約0.1%または約0.5%である。本発明で適切と考えられる、バリウムに基づく化合物の他の濃度には、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.11重量%、0.15重量%、0.20重量%、0.25重量%、0.30重量%、0.35重量%、0.40重量%、0.45重量%、0.50重量%、0.55重量%、0.60重量%、0.65重量%、0.70重量%、0.75重量%、0.80重量%、0.90重量%、または0.95重量%が含まれる。好ましいバリウムに基づく化合物は、硫酸バリウムである。
【0021】
1つの代替の実施形態では、本発明の造影剤は、造影物質を1重量%未満含むことができる。別の代替の実施形態では、本発明は、約0.001%から約0.8%のヨウ素に基づく化合物を含むことができ、好ましくは約0.01%から約0.5%、より好ましくは約0.1%または約0.05%、最も好ましくは約0.1%のヨウ素に基づく化合物を含むことができる。本発明で適切と考えられる、ヨウ素に基づく化合物の他の濃度には、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.11重量%、0.15重量%、0.20重量%、0.25重量%、0.30重量%、0.35重量%、0.40重量%、0.45重量%、0.50重量%、0.55重量%、0.60重量%、0.65重量%、0.70重量%、0.75重量%、0.80重量%、0.90重量%、または0.95重量%が含まれる。
【0022】
1つの代替の実施形態では、本発明の造影剤は、造影物質を1重量%未満含むことができる。別の代替の実施形態では、本発明は、約0.001%から約0.8%のガドリニウムに基づく化合物を含むことができ、好ましくは約0.01%から約0.5%、より好ましくは約0.1%または約0.05%、最も好ましくは約0.1%のガドリニウムに基づく化合物を含むことができる。本発明で適切と考えられる、ガドリニウムに基づく化合物の他の濃度には、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.11重量%、0.15重量%、0.20重量%、0.25重量%、0.30重量%、0.35重量%、0.40重量%、0.45重量%、0.50重量%、0.55重量%、0.60重量%、0.65重量%、0.70重量%、0.75重量%、0.80重量%、0.90重量%、または0.95重量%が含まれる。
【0023】
3.造影剤のハウンスフィールド値
造影剤のHVは、当技術分野で周知の手順を使用して、CTによって測定することができる。本明細書で使用するハウンスフィールド単位またはハウンスフィールド値(「HV」)は、CTスキャンで使用されるX線減弱の単位である。各画素には、空気=−1000、水=0、および緻密骨=1000のスケールで、値が割り当てられる。本発明では、造影剤(存在する場合には賦形剤と共に)のHVは、造影剤をHDPE容器内に入れ、その容器を配合物のHVを測定するCTスキャナ(例えばSiemens 4チャネルスキャナ)内に置くことによって測定することができる。容器は、CT用の非放射性経口造影物質を包装するために、医療産業で使用される任意の知られているHDPEを含むことができる。
【0024】
本発明を実施するのに適切な装置の例には、マルチディテクター/マルチスライス能力を有するスパイラル/ヘリカルCTスキャナが含まれるが、これに限定するものではない。他の装置には、GE:CT:LightSpeedシリーズおよびHiSpeed MR:Signa ExciteシリーズCT/PET:DiscoveryシリーズPhilips:CT:Mx8000シリーズMR:InteraシリーズCT/PET:Gemini Siemens:CT:Somatom MRT:Magnetom CT/PET:biograph東芝:CT;Aquilion Steion Multi MR:Ultra、Excelartおよびフラットパネル(広い面積にわたり大量のデータを瞬時に獲得することが可能である)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
1つの代替の実施形態では、本発明の造影剤は、約−500から約250のHV値を有する造影物質を含む。別の実施形態では、HV値は、約−100から約100に及んでよく、好ましくは約15から35、より好ましくは約20から30である。別の実施形態では、HV値は−500から0HVに及んでよく、より好ましくは0未満である。より低い範囲では、胃腸管が本発明により膨張された場合、その胃腸管腔を周囲器官と区別することができる。
【0026】
他の適切なHV範囲には、約−500から400;約−400から−300;約−300から200;約−200から100;約−100から0;約0から5;約5から10;約10から15;約15から20;約20から25;約25から30;約30から35;約35から40;約40から45;約45から50;約55から60;約60から65;約65から70;約75から80;約80から85;約85から90;約90から95;約95から100;約100から110;約110から120;約130から140;約140から150;約150から160;約160から170;約170から180;約180から190;約190から200;約210から220;約220から230;約240から250が含まれる。
【0027】
4.安定剤
1つの代替の実施形態では、本発明の造影剤は、安定剤を含む。そのような薬剤は、物質(任意の流体、半流体、または固体を含む)の粘度を変化させる任意の化合物(例えば懸濁化剤)を含むことができる。本明細書での使用に適した安定剤は、セルロース、ゼラチン、天然親水コロイド、ベントナイト、ローカストビーンガム、または画像形成プロセスが容易になるよう物質の粘度を適切に変化させる任意の化合物を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本発明の配合物で使用するのに適した天然親水コロイドは、(1)カラゲナンやアルギナート、寒天、アガロース、フセラン(fucellan)、キサンタンガムのような天然海藻抽出物、(2)ガーゴムやローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、サイリウム(psillium)ガムのような天然種子ガム、(3)アラビアゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、ガッチゴムのような天然植物浸出液、(4)低および高メトキシルペクチンのような天然果実抽出物、(5)粘度を変化させ、およびシグナル/ノイズ比を低下させてMR画像形成の性能を向上させる、ベントナイトやveegum(商標)のような天然および精製されたクレイを含むが、これらに限定されるものではない。
【0029】
1つの代替の実施形態では、安定剤は、天然種子ガムであり、さらに好ましくはローカストビーンガムである。ローカストビーンガムの化学構造は、下記の通りである。
【0030】
【化1】

【0031】
1つの実施形態では、本発明は、水溶液中に安定剤を約0.001重量%から約70重量%含み、または安定剤を約0.05重量%から約25重量%含み、または安定剤を約0.1%から約10%含む配合物に関する。別の実施形態では、本発明は、水溶液中に安定剤を約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、または1重量%含む配合物に関する。造影物質は、約0.01重量%から約1.0重量%を構成する配合物であることが好ましい。
【0032】
5.浸透圧剤
1つの代替の実施形態では、本発明の造影剤は浸透圧剤を含み、そのような、本明細書で使用するのに適した薬剤には、ある解剖学的部分への身体からの流体の移動を容易にし、かつその解剖学的部分の流体の身体による再吸収を少なくとも実質的に阻害する、任意の化合物が含まれる。組み合わせて使用する場合、安定剤と浸透圧剤とは相乗的に働いて、画像診断のような医療診断処置での使用に向けて改善された配合物を形成することが発見されている。浸透圧剤は、対象となる解剖学的部分への適切な量の流体の移動を容易にし、かつ安定剤および浸透圧剤によって、対象となる解剖学的部分中に十分な量の流体が保持されることが考えられる。このため、その解剖学的部分は、画像診断に向けて十分に拡張されまたは膨張し、それによって、その解剖学的部分の画像形成を行う際に、得られる診断画像上に十分描写されるようになる。
【0033】
本発明での使用に適する浸透圧剤は、糖に基づく化合物が含むが、これに限定されるものではない。本明細書で使用される、糖に基づく化合物は、単糖、二糖、および多糖を含むが、それらに限定されるものではない。それらは、スクロース、グルコース、フルクトース、マンニトール、マンノース、ガラクトース、アルドヘキソース、アルトロース、タロース、ソルビトール、キシリトール、ラクトース、非イオン性種子多糖、すべてのマンノース上に1つのガラクトース単位による分岐を有する直鎖マンナン群、β−D−man、α−D−gal、D−glcA、D−galA、L−gul、β−D−man、α−D−gal(4:1)、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、およびL−グルクロン酸を含む。適切な多糖の化学構造を、以下に示す。
【0034】
【化2】

【0035】
浸透圧剤は、ソルビトールであることが好ましい。ソルビトールの基礎をなす化学構造は、流体の腸管吸収を妨げると考えられる。そのため、ソルビトールの固有の浸透圧特性によって、例えば胃腸管のような解剖学的部分の膨張が増大する。
【0036】
本発明の配合物は、浸透圧剤を約0.005重量%から約70重量%含むことができ、あるいは浸透圧剤を約0.1重量%から約45重量%、あるいは浸透圧剤を約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、または10重量%含むことができる。1つの実施形態では、配合物は、水溶液中に浸透圧剤、好ましくは多糖を約1重量%から約4重量%含み、またはさらに好ましくはソルビトールを約2%含む。
【0037】
B.本発明の造影剤の例示的な適用例
1つの代替の実施形態では、本発明の配合物は、医療行為に向けて個体の準備をするのに適しており、またはそのような医療行為と同時に使用するのに適している。さらに、本発明の造影剤は、医療行為中の、改善されたマーキングおよび器官の区別をもたらす。例えば、1つの実施形態では、画像の解像度によって、コンピュータが、本発明の造影剤により膨張した腸壁、軟組織、および腸管腔の識別を明確にすることが可能になる。さらに、本発明の造影剤のマーキング能力によって、脈管系の画像形成を同時に行うことが可能になる。
【0038】
1つの実施形態では、本発明の造影剤は、個体に投与したときに、軟組織と、低濃度の造影物質によって膨張させた腸管腔との区別を可能にする。本発明の造影剤は、先行技術の造影剤が以前のCT技術で行ってきたように、管腔をマークする。しかしながら、本発明の造影剤は、例えば、異なるHV値を有する腸のマーカー、嚢胞性病変、リンパ節、および腸管腔、または任意の他の解剖学的部分を区別することが可能になる。表1を参照されたい。
【0039】
【表1】

【0040】
本発明のさらなる価値は、血管に関する研究を行ったときにも実現される。そのため、代替の実施形態では、本発明は、本明細書に記載した造影剤を使用して、個体に関して血管の研究を行う方法に関する。そのような方法は、本発明の造影剤を個体に投与することによって、その個体の腸を膨張させるステップを含む。また、そのような方法は、脈管系を強調するために、IVを介して本発明を投与するステップを含んでもよい。腸を、例えば他の腹部構造よりも膨張させて識別することにより、腹部をスパイラル/ヘリカルまたはマルチディテクターCTスキャナでスキャンすることができ、スキャンされた領域の、完全な体積レンダリングされたデータセットを構成するデータセットを生成することができる。1つの実施形態では、本発明の配合物によって、すべての器官および血管を、完全データセットとして独立にまたは一緒に見ることが可能になる。これらの配合物によれば、管腔を腸壁と区別すると同時に、静脈が強調された脈管系を見ることが可能になる。
【0041】
1つの代替の実施形態では、本発明は、本発明の配合物を使用してCTAを行う方法を対象とする。現在のところ、CT血管造影法(CTA)中に、慣用の経口造影物質が画像構成を妨げる。CTAの手順は、水溶性のヨウ素化された造影物質を脈管系に注入することによって行う。この造影は、腹部の脈管構造を強調する。このプロセスにより、動脈および静脈構造のHVが高まる。造影物質注入のタイミングおよび腹部スキャンのタイミングによって、動脈相または静脈相のIV造影を獲得することが可能になる。これらの手順の間、慣用の経口造影物質は、画像に干渉する可能性がある。
【0042】
慣用の経口造影物質のHVは、IV造影と競合して脈管構造を不明瞭にする可能性のある画像を作成し、不完全な脈管構造画像構成、あるいは腸壁脈管または隣接する脈管構造のマスキングをもたらす可能性がある。これは、最大強度画素(MIP)技法を用いるときに生ずる。現在のところ、専用のソフトウェアによって、MIP画素のすべてを腹部データセットから除去し、再構成することになる。IV造影を使用する場合、腹部の血管が強調され、これらの構造は、画像内で強度の強い画素になる。これらの画素は、腹部脈管構造の、完全3D画像を提供することができる。また、慣用の経口造影を使用する場合、胃腸管の管腔内の画素の強度が、脈管の画素と競合する。これは、脈管構造の損失を引き起こすが、その理由は、管腔内の画素の一部の強度は、一部のより小さい血管およびより低い画素強度の血管よりも強い可能性があるからである。本発明の使用によれば、MIPの研究および他の表示技法によって、脈管系を示すことが可能になり、かつ同じ試験中に腸をマークすることが可能になる。このため、すべての腹部および脈管構造を見ることができるので、腹部および骨盤の疾患に関する総合的な理解度が増す。
【0043】
別の代替の実施形態では、本発明は、強調されていない腸壁よりも低いが水よりも高い領域の、HV値を生成することを対象とする。これまで放射線科医は、負のHV値を実現するために、水および脂肪を含有する生成物を使用してきた。1つの実施形態では、本発明の配合物は、HVを正の側に留めることによって、異なる手法を提供する。本発明の配合物では、硫酸バリウムおよびヨウ素が常に行っているように、腸の管腔をマークすることができる。しかし、本発明の配合物では、マーキングが、強調されていない腸壁のHVよりも下に留まる。したがって本発明の低ハウンスフィールド値は、腸壁のような、IV造影による解剖学的部分の強調を必要とするすべての試験の間、有利になる。IV造影を使用する場合、バリウムやヨウ素のような慣用の腸マーカーは、これら薬剤の密度がIV造影に非常に類似しており、したがって、一緒に(すなわち、経口バリウムまたはヨウ素をIV造影と共に)使用したときに、解剖学的構造を隠すことになりまたはアーチファクトを生成することになるので、使用することができない。
【0044】
1つの代替の実施形態では、本発明の造影剤を個体に投与する。1つの実施形態では、本発明の配合物のHV値が、IV造影によって強調された腸壁の範囲よりも下に低下し、そのため、IV造影強調を行う前と行った後の両方で、胃腸管をマークすることが可能になる。1つの実施形態では、HVを60〜90またはそれ以上に上昇させるIV造影によって、腸壁が強調される。本発明の配合物が管腔内にある場合、管腔(22HV)と、強調された腸壁(90+HV)との密度の差が、明らかにされる。腸壁は、45HVの範囲内にあり(強調されていない)、この腸壁は、IV造影によって100HVを超えることができる。同様に、胃腸管および他の器官および脈管系を同時に診断する目的で、腸をマークすることもできる。このマーキングは、これまで、胃腸管内の正の造影物質によって実現されなかった。したがって、1つの実施形態では、本発明は、本発明の造影剤を使用して腸をマークする方法であって、IV造影用いる他の解剖学的部分の強調を伴ってまたは伴わずに、腸とその周囲構造とを区別することを可能にし、かつ同時に追加の診断評価を行うことも可能な方法を対象とする。1つの代替の実施形態では、上述の手順を、スパイラル/ヘリカルまたはMSMD CTスキャナを使用して実施することができる。
【0045】
別の代替の実施形態では、本発明の造影剤は、造影物質(例えばバリウム粒子)の上に変更された電荷を含むことができ、管腔内のより低い濃度の造影物質で管腔を膨張させたまま、この造影物質を腸壁に引き付けることができる。粘膜表面に、より高い濃度の活性成分を含有するわずかに高いコーティングフィルムを残すことによって、画質が向上する。
【0046】
1つの代替の実施形態では、本発明は、MRでのシグナル/ノイズ比を低下させる方法に関する。この方法は、MRの手順を実施する前、または実施中に、本発明の造影剤を個体に投与するステップを含む。1つの実施形態では、本発明の造影剤は、例えばベントナイトのような添加剤を添加して、または添加せずに、より暗い(すなわち空隙、シグナルなし、または低シグナル)画像を生成することになる。管腔と、強調されていない腸壁との間の、この追加の造影の差によって、IV造影強調の前または後に、胃腸管をマークすることが可能になる。腸壁は、そのシグナル/ノイズ比を上昇させるIV造影によって強調される。1つの実施形態では、これは腸壁を明るくする。MRおよび本発明の配合物を、(例えば)管腔内にベントナイトを添加して、または添加しないで使用する場合、管腔(より暗い、空隙、シグナルなし、または低シグナル)と強調された腸壁(シグナル/ノイズ比が増して、明るい白色に見える)とのコントラストの差が明瞭になる。また、胃腸管および他の器官および脈管系を同時に診断する目的で、腸をマークすることもできる。
【0047】
1つの実施形態では、個体が胃腸管または例えば肝臓や脾臓、膵臓、腎臓、リンパ節などのような任意の隣接器官の画像誘導生検を受ける前に、本発明の配合物を個体に投与することができる。腸壁および管腔の明瞭な視覚化という付加価値によって、生検針のより精密な配置を目的とした、腸の位置に関するよりよい理解を可能にすることができる。これにより、腹部または骨盤に位置する組織の生検材料を採取するときに、別の方法では容易に視覚化されない腸のループの穿刺を回避する機会が提供されると考えられる。
【0048】
別の実施形態では、本発明の配合物は、脈管構造系またはリンパ節または他の解剖学的構造の診断画像を得るために、個体の胃腸管を安定化させるのに使用することができる。さらに、PETまたはCT−PET中の胃腸管の動きを減少させることができるので、CTおよびPETのデータセットの相互位置合わせが改善される。このため、1つの実施形態では、本発明は、例えば手術または診断処置中に、個体の胃腸管を安定化させる方法に関する。そのような方法は、(1)個体の胃腸管の安定化を目的として、診断または医療処置の前にまたはその処置の間に、本発明の造影剤を個体に投与するステップと、(2)診断または医療処置を実施するステップとを含む。
【0049】
別の実施形態では、本発明はさらに、診断画像上に、胃腸管の解剖学的部分の管腔または壁の輪郭を描写するための配合物に関する。診断画像は、例えば解剖学的部分を、2次元または3次元、あるいは体積レンダリングまたは面レンダリングされた画像である。このため、1つの実施形態では、本発明は、個体の胃腸管の解剖学的部分の、管腔または壁の輪郭を描写する方法に関する。そのような方法は、(1)診断処置の前にまたは診断処置の間に、本発明の造影剤を個体に投与するステップと、(2)診断処置を実施するステップと、(3)輪郭が描写された解剖学的部分の管腔または壁の画像を生成するステップとを含む。
【0050】
別の代替の実施形態では、本発明の配合物は、胃腸管の解剖学的部分または任意の他の解剖学的部分を膨張させ、その部分の輪郭を描写し、またはその部分をマークすることに関して、慣用の造影物質または配合物よりも優れた改善点を示す。例えば、小腸を膨張させる慣用の技法は、挿管を介してメチルセルロース−水溶液を投与することによる、不愉快な侵襲的手順である。しかし本発明の配合物は、経口的に投与することができる。したがって、本発明の配合物は非侵襲的であり、画像診断の全体を非侵襲的技法として維持することもできる。また本発明の配合物は、経口投与する場合、慣用の造影剤物質に比べて患者の快適さおよびコンプライアンスも増大させる。
【0051】
本発明の造影剤の低HV値によって、CT、CT血管造影法、CT−PET、PET、MR、蛍光透視法、およびUSに広く受け入れられるようになる。例えば、造影物質の広く一般的な使用により、手順と手順の間を遅延させることなく、患者を1つの画像形成様式から別の様式に動かすことができるようになる。1つの実施形態では、造影の多様式使用によって、本発明を胃腸管内に有する個体に関し、1つの画像形成様式で画像形成を行い、そしてもう1つの様式に移して追加の画像形成を行うことが可能になる。この場合、患者は1回だけ準備をすればよく、画像形成手順の前または間に、患者個体に本発明の造影剤を投与することにより、異なる画像形成様式を依然として使用することができる。
【0052】
1つの実施形態では、本発明は、本明細書に開示された配合物を投与すること、およびMR、CT、US、PET、またはCT−PETを使用して小腸の可視画像を得ることを含む、個体の小腸の画像形成を行う方法に関する。本明細書での使用に適する他の解剖学的部分には、食道、胃、および、十二指腸、空腸、回腸、虫垂、結腸、大腸、盲腸、上行腸、右結腸曲、横行結腸、左結腸曲、下行結腸、S字結腸、直腸、膵臓、胆嚢、および付属器を含む胃腸管が含まれるが、これらに限定するものではない。例えば、脾臓や肝臓、リンパ節、脈管構造、膿瘍のような、追加の隣接する正常な構造および病的な構造の画像形成を行うことができる。
【0053】
代替の実施形態では、本発明は、本発明の配合物を患者に投与することを含む、個体の疾患の診断方法に関する。1つの実施形態では、この方法は、解剖学的部分の画像を得ること、および前記画像を使用して前記疾患を診断することをさらに含む。代替の実施形態では、本発明は、患者の疾患の診断方法であって、(1)本発明を含む配合物を個体に投与するステップと、(2)MR、CT、CT−PET、PETを使用して解剖学的部分の画像を得るステップと、(3)前記画像を使用して、疾患を診断しまたは疾患の診断を補助するステップと、任意選択で、(4)腸壁を強調する正のIV剤を使用して画像を得るステップとを含み、それによって、本発明で腸を満たし、マークし、膨張させ、すべての前述の投与経路で二重の造影効果を生み出すことが可能な方法に関する。
【0054】
別の代替の実施形態では、本発明は、胃腸管の疾患と、胃腸管または胃の潰瘍形成、病変、間欠的または固定された狭窄、および腫瘍と、炎症性腸疾患と、クローン病と、潰瘍性大腸炎と、過敏性腸症候群と、小腸の癌、肛門癌、胃癌、結腸癌、肝臓癌、および膵臓癌を含むがこれらに限定することのない癌と、膿瘍と、潰瘍と、脾臓、肝臓、リンパ節、および脈管構造の障害とを含むがこれらに限定することのない疾患の診断方法に関する。
【0055】
さらに別の実施形態では、本発明は、胃腸管の血管ステントまたは管腔内ステントの配置を必要とするインターベンショナルな処置の間、および他の一般的な肝胆道、膵臓、および腎臓のインターベンショナルな処置の間、画質を強調する方法に関する。1つの実施形態では、そのような方法は、(1)本発明の造影剤を個体に投与するステップと、(2)胃腸管の血管ステントまたは管腔内ステントの配置を必要とする1つまたは複数の手順を実施するステップと、(3)前記手順中に診断画像を生成するステップとを含む。診断画像は、MR、CT、またはCT−PETデータを使用して生成される、2次元または3次元画像、体積レンダリングおよび面レンダリングされたもの、あるいはこれら2つの組合せであることが好ましい。
【0056】
別の実施形態では、本発明は、インターベンション、手術、放射線療法、血管または胃腸ステント配置、小腸検鏡法、腹腔鏡検査法などの前に、膨張した腸の正確な位置を知ることの精度を改善する方法に関する。
【0057】
1つの実施形態では、そのような方法は、(1)本発明の造影剤を個体に投与するステップと、(2)インターベンション、手術、放射線療法、血管または胃腸ステント配置、小腸検鏡法、または腹腔鏡検査法を含むがこれらに限定することのない1つまたは複数の処置の前に、膨張した腸の位置が特定されるよう診断画像を生成するステップと、(3)そのような処置を実施するステップとを含む。
【0058】
本発明の配合物を個体に投与して、治療上の処置の間、またはそのような治療の計画の間、胃腸管をマークすることができる。この場合、胃腸管の潰瘍形成、病変、または腫瘍、胃腸管の出血、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、または過敏性腸症候群は、本明細書で論じる画像形成様式の1つまたは複数を利用して、画像形成することができる。
【0059】
本発明は、CTコロノグラフィを行う間、小腸造影マーカーとして使用することができる。その目的は、CTコロノグラフィ中に、投与したときにCOまたは大気の小腸逆流が生ずる可能性を妨げることのできる造影剤を、管腔に充填することによって、機械抵抗を生み出すことである。この技法によって、CTまたはMRコロノグラフィのどちらか一方の間、同時にかつ同じ露出で高品質の小腸検査を実現することが可能になる。さらに、この概念は、COまたは大気の小腸への逆流を妨げ、結腸の膨張を最適化することができる。したがって本発明は、CTコロノグラフィを実施しながら小腸をマークすることであって、CTコロノグラフィの手順の前またはその手順中に、個体に本発明の造影剤を投与するステップと、次いで対象となっている解剖学的部分の画像を生成するステップとを含むものを対象とする。
【0060】
本発明の造影剤は、慣用の造影剤の場合よりも低い濃度の造影物質を含む。造影物質中の、より低い濃度の「活性成分」は、いくつかの利点をもたらし、最も著しい利点とは、アレルギー反応または他の有害反応の危険性を低下させる可能性があることである。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は、例示のみを目的として含めるものであり、本発明の範囲を、例えばいかなる特定のステップまたは成分にも限定しようとするものではない。
【0062】
(実施例1)
【0063】
【表2】

【0064】
配合物AからDまでを、下記の通り調製した。粉末形態のキサンタンガムを水に添加した。この懸濁液の温度を、製造の全体を通して60〜65℃に維持した。他の成分、すなわちシメチコン−水プレミックス;保存剤:ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、および安息香酸;pH調節剤:クエン酸ナトリウムおよびクエン酸;硫酸バリウムUSPの分散液を添加し、残りの成分を以下の順序で、すなわちソルビトール70%溶液、サッカリンナトリウム、香料、100%体積にするための十分量の精製水の順で添加した。
【0065】
各配合物の間の相違には、(1)製造プロセスで使用される装置、および(2)成分の濃度が含まれる。例えば、配合物AおよびBは、7000mlの実験室バッチであった。これらのバッチは、ガラスのビーカーで製造した。配合物は、素早く撹拌しながら調製した。生成物の製造温度を手動でモニタし、その温度を、水浴で60〜65℃に維持した。
【0066】
配合物CおよびDは、ステンレス鋼製でありかつ容量が200ガロンであるHamiltonケトルで製造した。Quadro Ytron(商標)ミキサ、サイドスイープおよび補助ミキサで、Hamiltonケトルの撹拌を行った。各ミキサの撹拌速度は変えることができ、調節可能な速度駆動で制御した。60〜65℃の間での温度制御は、冷却ジャケットに流入する水/蒸気の流れを制御することにより、手動で行った。配合物CおよびDの製造プロセスでは、始めから終わりまで、Quadroタービンおよびサイドスイープ撹拌を使用した。補助撹拌は、硫酸バリウムの添加時に開始し、キサンタン粉末を2番目に添加した後に終了させた。
【0067】
配合物AからDの間での他の相違は、硫酸バリウム、キサンタンガム、およびソルビトールの濃度である。配合物Aは、硫酸バリウムなしで製造したが、バッチ配合物Bは、硫酸バリウム0.1w/v%を用いて作製した。配合物CおよびDは、硫酸バリウム0.05w/v%を用いて作製した。
【0068】
配合物AおよびCは、現行のバナナスムージー配合物に見られる標準の濃度のキサンタンガムを用いて作製し(0.5226w/v%)、一方配合物BおよびDは、現行のバナナスムージー配合物に見られる標準の濃度のキサンタンガムの35%を用いて製造した(0.1830w/v%)。キサンタンガム濃度の相違により、約720cpsと約130cpsという高粘度溶液および低粘度溶液が得られる。
【0069】
配合物Aは、バナナスムージー配合物に見られる濃度と同一の、ソルビトール溶液70%を3.7616w/v%用いて製造した。配合物Bは、ソルビトール溶液70%を2.8571w/v%用いて作製した。この濃度は、ソルビトール100%に換算して2w/v%であることを表す。配合物Bは、ソルビトール溶液70%を2w/v%用いて製造した。
【0070】
(実施例2)
下記の配合物を有する造影剤を、実施例1で述べたステップに従って調製した。
【0071】
【表3】

【0072】
(実施例3)
Seimens 4チャネルスキャナを使用して、本発明の造影剤のHV値を測定した。評価した配合物は、下記の通りであった。
1.0.05%(w/v)硫酸バリウム、860CPS、2%ソルビトール(配合物C)
2.0.05%(w/v)硫酸バリウム、140cps、2%ソルビトール(配合物D)
3. 硫酸バリウムなし、719cps、2%ソルビトール(配合物B)
4. 0.1%(w/v)硫酸バリウム、128cps、2%ソルビトール(配合物A)
【0073】
造影剤を500mlのHDPE容器に入れ、次いで測定のためにCTスキャナに入れた。これらの容器は、図5に示すように配置した。いくつかのスパイラルスライスを、HDPE容器を通して作製し、それによって配合物のHVを確立した。結果は下記の通りであった。
1.0.05%(w/v)硫酸バリウム、860CPS、2%ソルビトール(配合物C)
1.平均/SD 16.9/7.8HV
2.平均/SD 16.0/7.8HV
3.平均/SD 17.2/6.5HV
2.0.05%(w/v)硫酸バリウム、140cps、2%ソルビトール(配合物D)
1.平均/SD 12.5/6.8HV
2.平均/SD 14.8/6.8HV
3.平均/SD 14.2/7.9HV
3.硫酸バリウムなし、719cps、2%ソルビトール(配合物B)
1.平均/SD 12.3/8.6HV
2.平均/SD 6.9/6.4HV
3.平均/SD 7.2/7.5HV
4.0.1%(w/v)硫酸バリウム、128cps、2%ソルビトール(配合物A)
1.平均/SD 23.5/6.2HV
2.平均/SD 22.2/7.0HV
3.平均/SD 26.0/7.1HV
5.バリウム(E−Z−EMのバナナスムージー)を有する結腸領域上のROIは、平均/SD 313.2/13.8HVであった。
【0074】
この試験によれば、ベースおよび0.5%BaSO配合物とはHVに明らかな差が存在するので、硫酸バリウム濃度は0.1%(w/v)が好ましいことが実証された。低粘度での0.1%配合物に関する値の範囲は、23.9HVであり、これは、20から30HVという好ましい目標範囲に一致した。
【0075】
0.1%(w/v)のBaSOによって、マルチディテクタースキャナで、強調されていない腸管腔のコントラストの差別化を保つと同時に、管腔/腸壁のマーキングが可能になる。腹部の場合、骨盤の検査はIV造影なしで行った。0.1%(w/v)のBaSOは、胃腸管そのものの改善された画像を提供しながら、腸をマークすることになる。IV造影によって強調された腸壁と、この造影剤とのコントラスト(相違)は、より明白になる。コントラストが現れている腸壁は、IV造影の密度の増大により、HVの増大(+100HV)を実証する。
【0076】
(実施例4)
本発明の配合物の臨床評価について、以下に論じる。各造影剤のHVについては、実施例3で述べている。各試験では、満足のいく腸管腔の膨張、均一な分布、および患者の受入れが良好であることを示していた。
【0077】
MR
配合物Dを、健康なボランティアに投与した。このボランティアは、1.35リットル、すなわち3本のボトル(450ml/1服用量)の造影剤を、腹部検査の45分以内に摂取した。造影剤は、バナナ香料を含有していた。腹部検査は、画像診断様式としてMRを使用して行った。MR画像は、Siemens(Sonata)によるMRスキャナを使用して生成した。
【0078】
患者は、造影剤の処方、風味、粘度、または容積に関して苦情を訴えなかった。患者は有害な事象を経験しなかった。腹部をスキャンする間、この患者を腹臥位にした。MRスキャンから得られた画像を、図3および4に示す。MR画像は、腹部および骨盤の全体を示しており、胃および小腸は、造影剤によって膨張され、および/またはマークされた状態である。これらの画像によれば、造影剤が胃腸管をマークされ、腹部および骨盤内の腸および周囲組織の診断評価が可能になることが確認される。図3では、この腹部の画像により、本発明の造影剤で腸をマークしかつ膨張させることができることが実証される。この場合、マーカーは暗く、胃腸管の軟組織は明るい。図4では、この腹部の画像により、腸壁のシグナルとは対照的に、胃および小腸をマークし膨張させる利点が実証される。この場合、マーカーは明るく、腸壁は暗い。さらに、腸の膨張は均一で適切であり、コントラストは小腸の長さ全体にわたって一貫していた。
【0079】
さらに、数百mlの造影剤が、検査中に胃の中に残っていることが観察された。図1および2では、使用されたすべてのシーケンスにおいて、シグナル強度(シグナル/ノイズ比)が満足のいくものであり、小腸の管腔全体を通して一貫したものであった。
【0080】
(実施例5)
CT
配合物Cを、予め腹部CTが予定されている患者に投与した。この患者は、45分以内に、2服用量を摂取した(450ml/1服用量、全容積900ml)。その直後に、患者の腹部を腹臥位でスキャンした。CT画像を、Siemensによる16スライスCTスキャナ(Sensation 16)を使用して生成した。CT画像(図1および2)は、造影剤と胃壁との明瞭な区別により、胃の充満を示している(図2、矢印)。図1では、造影剤が、胃体と近位小腸内に見られる。また、小腸の充満および膨張も示している(図1、矢印)。さらに、画像(図2)は、造影剤が胃を申し分なく満たし、かつ膨張させたことを示している。造影剤で満たされた管腔は、それ自体を、その低HVによって管腔壁の軟組織密度と明瞭に区別する。患者は有害な事象を経験しなかった。
【0081】
CT検査の前、患者は、造影剤の処方、風味、粘度、または体積について苦情を訴えなかった。
【0082】
この記述の全体を通して、本発明が具体的な成分を有し、含み、または構成すると記載される場合、あるいは種々のプロセスが具体的なプロセスステップを有し、含み、または構成すると記載される場合、本発明は、本質的に列挙された成分またはプロセスステップからなると考えられ、あるいは本発明は、列挙された成分またはプロセスステップからなると考えられる。さらに、ステップの順序、またはある特定の動作を行うための順序は、本発明が実施可能であり続ける限り、重要ではないことを理解すべきである。さらに、2つ以上のステップまたは動作は、本発明が実施可能であり続ける限り、同時に実施することができる。1つまたは複数のステップまたは要素は、特許請求の範囲に記載されている本発明から省略してもよく、あるいは本明細書に適切に記載する本発明は、本発明が実施可能であり続ける限り、本明細書に具体的に開示されていない任意の成分またはステップが存在しない状態で、実施することができる。
【0083】
さらに、本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱しない限り、他の具体的な形態に具体化することができる。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載される本発明を限定するのではなく、例示するものと見なすべきである。本明細書で述べる各特許および非特許文書の内容は、その全体を、参照により本明細書に明示的に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明が投与された個体の、腹部のCT画像を示す図である。
【図2】本発明が投与された個体の、腹部のCT画像を示す図である。
【図3】本発明が投与された個体の、腹部のCT画像を示す図である。
【図4】本発明が投与された個体の、腹部のMR画像を示す図である。
【図5A】HDPE容器内の、本発明の造影剤のCT画像を示す図である。
【図5B】HDPE容器内の、本発明の造影剤のCT画像を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影物質を含む、個体の解剖学的部分の画像形成に使用される造影剤であって、約−500から約250のハウンスフィールド値を有することを特徴とする造影剤。
【請求項2】
前記ハウンスフィールド値は、約1から約200であることを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項3】
前記ハウンスフィールド値は、約5から約45であることを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項4】
前記ハウンスフィールド値は、約15から約35であることを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項5】
前記ハウンスフィールド値は、約20から約30であることを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項6】
前記造影物質の濃度は、2重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項7】
前記造影物質の濃度は、約0.01%(w/v)から約0.8%(w/v)であることを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項8】
前記造影物質の濃度は、約0.01%(w/v)から約0.5%(w/v)であることを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項9】
前記造影物質の濃度は、約0.1%(w/v)から約0.5%(w/v)であることを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項10】
前記造影物質の濃度は、約0.01%(w/v)から約0.2%(w/v)であることを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項11】
前記造影物質は、バリウムに基づく化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項12】
前記バリウムに基づく化合物は、硫酸バリウムであることを特徴とする請求項11に記載の造影剤。
【請求項13】
前記造影物質は、ヨウ素に基づく化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項14】
前記造影物質は、ガドリニウムに基づく化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項15】
安定剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項16】
浸透圧剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項17】
安定剤を約0.005%から約40%、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項18】
約0.05%から約10%のキサンタンガムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項19】
浸透圧剤を約0.005%から約60%、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の造影剤。
【請求項20】
前記浸透圧剤は、糖に基づく化合物を含むことを特徴とする請求項19に記載の造影剤。
【請求項21】
前記糖に基づく化合物は、単糖、二糖、または多糖を含むことを特徴とする請求項20に記載の造影剤。
【請求項22】
前記多糖は、ソルビトールを含むことを特徴とする請求項21に記載の造影剤。
【請求項23】
バリウムに基づく化合物を2w/v%未満、安定剤を約0.05%から約15%、および浸透圧剤を約1%から約25%含むことを特徴とする、個体の解剖学的部分の画像形成に使用されることを特徴とする造影剤。
【請求項24】
前記安定剤はキサンタンガムを含み、前記浸透圧剤はソルビトールであることを特徴とする請求項23に記載の造影剤。
【請求項25】
約0.001%から約0.5%のバリウムに基づく化合物と、約0.05%から約1%のキサンタンガムと、約0.05%から約5%のソルビトールとを含むことを特徴とする請求項23に記載の造影剤。
【請求項26】
前記造影剤は、水性懸濁液として提供されることを特徴とする請求項23に記載の造影剤。
【請求項27】
安定剤を約0.01%から約30%含むことを特徴とする請求項23に記載の造影剤。
【請求項28】
前記造影物質は、ガドリニウムに基づく化合物を含むことを特徴とする請求項23に記載の造影剤。
【請求項29】
浸透圧剤を約0.05%から約60%含むことを特徴とする請求項23に記載の造影剤。
【請求項30】
前記浸透圧剤は、糖に基づく化合物であることを特徴とする請求項23に記載の造影剤。
【請求項31】
前記糖に基づく化合物は、単糖、二糖、または多糖であることを特徴とする請求項30に記載の造影剤。
【請求項32】
前記多糖はソルビトールであることを特徴とする請求項31に記載の造影剤。
【請求項33】
約0.001%から約5%のバリウムに基づく化合物と、約0.01%から約5%のキサンタンガムと、約1%から約15%のソルビトールとを含むことを特徴とする請求項23に記載の造影剤。
【請求項34】
(a)造影物質を含み、約−500から約250のハウンスフィールド値を有する造影剤を、個体に投与するステップと、
(b)前記個体に前記造影剤を投与している間、または投与した後に、前記個体に対して医療または診断処置を実施するステップと
を含むことを特徴とする診断処置を実施する方法。
【請求項35】
前記造影剤は、約−500から約100のハウンスフィールド値を有することを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ハウンスフィールド値は、約1から約200であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ハウンスフィールド値は、約5から約45であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記ハウンスフィールド値は、約15から約35であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記ハウンスフィールド値は、約20から約30であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記造影物質の濃度は、2重量%未満であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記造影物質の濃度は、約0.01%(w/v)から約0.8%(w/v)であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記造影物質の濃度は、約0.01%(w/v)から約0.5%(w/v)であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記造影物質の濃度は、約0.1%(w/v)から約0.5%(w/v)であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記造影物質の濃度は、約0.01%(w/v)から約0.2%(w/v)であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項45】
(a)造影物質を含み、約−500から約250のハウンスフィールド値を有する造影剤を、投与するステップと、(b)個体に前記造影剤を投与している間、または投与した後に、個体の解剖学的部分の画像が得られるよう、画像形成手順を実施するステップと、(c)前記解剖学的部分の画像を生成するステップとを含むことを特徴とする、個体の解剖学的部分の画像形成方法。
【請求項46】
胃腸管の少なくとも一部の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
小腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項48】
結腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項49】
膵臓の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項50】
十二指腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項51】
盲腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項52】
腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項53】
大腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項54】
空腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項55】
回腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項56】
虫垂の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項57】
膵臓の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項58】
十二指腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項59】
S字結腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項60】
直腸の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項61】
胃の画像形成を行うことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項62】
(a)造影物質を含み、約−500から約250のハウンスフィールド値を有する造影剤を、個体に投与するステップと、(2)個体の解剖学的部分の画像が得られるように、画像形成手順を実施するステップと、(3)前記解剖学的部分の画像を生成するステップと、(4)前記画像を評価して、疾患の存在について診断するステップとを含むことを特徴とする、個体の疾患の診断方法。
【請求項63】
前記疾患は、潰瘍形成、病変、および腫瘍からなる群から選択されることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患は癌であることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記疾患は、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、または過敏性腸症候群であることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記疾患は、膵臓、脾臓、肝臓、または胆嚢の疾患であることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記疾患は、リンパ節の疾患であることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記疾患は、脈管系の疾患であることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項69】
(a)−500から約250のハウンスフィールド値を有する造影剤を、個体の解剖学的部分の管腔に供給して、前記解剖学的部分の輪郭の描写を容易にするステップを含むことを特徴とする、医療または診断処置のために個体の解剖学的部分の管腔を描写する方法。
【請求項70】
(a)約−500から約250のハウンスフィールド値を有する造影剤を、個体の解剖学的部分の管腔に供給して、前記解剖学的部分の輪郭の描写を容易にするステップを含むことを特徴とする、医療または診断処置のために個体の解剖学的部分を膨張させる方法。
【請求項71】
前記解剖学的部分は、胃腸管であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
前記解剖学的部分は、小腸であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項73】
前記解剖学的部分は、大腸であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項74】
前記解剖学的部分は、結腸であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項75】
前記解剖学的部分は、腸であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項76】
前記造影剤は、約−500から約100のハウンスフィールド値を有することを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項77】
前記ハウンスフィールド値は、約1から約200であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項78】
前記ハウンスフィールド値は、約5から約45であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項79】
前記ハウンスフィールド値は、約15から約35であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項80】
前記ハウンスフィールド値は、約20から約30であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項81】
前記造影物質の濃度は、2重量%未満であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項82】
前記造影物質の濃度は、約0.01%(w/v)から約0.8%(w/v)であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項83】
前記造影物質の濃度は、約0.01%(w/v)から約0.5%(w/v)であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項84】
前記造影物質の濃度は、約0.1%(w/v)から約0.5%(w/v)であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。
【請求項85】
前記造影物質の濃度は、約0.01%(w/v)から約0.2%(w/v)であることを特徴とする請求項69または70に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2007−507535(P2007−507535A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534192(P2006−534192)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/032502
【国際公開番号】WO2005/032369
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(504197260)イー−ゼット−イーエム,インク. (5)
【氏名又は名称原語表記】E−Z−EM,INC.
【住所又は居所原語表記】1111 Marcus Avenue,Lake Success,NY 11042 U.S.A.
【Fターム(参考)】