説明

医療アブレーションのためのマイクロ波アンテナ

【解決課題】心臓のアブレーション治療のためのマイクロ波アンテナ(10)に関する。特に本発明は、カテーテル・アブレーションに適するようなアンテナに関する。
【解決手段】本アンテナは、内側の導線(13)と、外側の導線(14)と、内側及び外側の導線間を絶縁する誘電絶縁体(15)とを有する伝送ライン(11)を備える。伝送ラインの遠位端には、エネルギー放射用アンテナ・エレメント(12)が位置決めされる。アンテナ・エレメントは、伝送ラインの内側の導線に電気結合される内側の導線(17)と、上記内側の導線の周りで伝送ラインの絶縁体に連続する誘電絶縁体のシース(16)とを有する。その遠位端には、内側の導線に電気接続されて絶縁体の一部の長さを取り囲む中空の金属キャップ(20)が存在する。さらなる態様では、本発明はこのようなアンテナの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療アブレーションのためのマイクロ波アンテナに関する。特に本発明は、心臓のアブレーション治療に適するようなアンテナに関する。さらなる態様では、本発明はこのようなアンテナの製造方法に関する。
【0002】
心臓は、3つのタイプの心臓組織、即ち心房筋、心室筋及び興奮及び伝達用の専門組織で構成される。心臓の心房筋及び心室筋は通常、同期的に励起される。心臓の各サイクルは、右心房の後壁に位置づけられる洞房(SA)結節による活動電位の発生によって始まる。これらの活動電位は特別な伝導組織によって心房筋に拡散し、収縮を引き起こす。活動電位は通常、心房筋から心室筋へと直接は広がらず、心房筋組織における伝導される活動電位は房室(AV)結節及びその関連線維に届き、これらが衝撃を受け入れて遅らせる。AV結節からの電位は、ヒス−プルキン(HIS)束へ伝導される。この構造体は、衝撃を心室筋組織へ運び、心房筋の収縮に続いてその同期的な収縮を引き起こさせる。
【0003】
不整脈は、心臓の不規則な鼓動を言い表す際に使用される用語である。心不整脈は概して、心室内部で形成される異常な電気的接続または回路によって起こる。例えば不整脈の回路は、静脈または動脈の周囲に生じる。
【0004】
心拍数の異常増加の発現は、発作性頻脈と呼ばれる。これは、心房、AV結節、ヒス束または心室における過敏性焦点によって引き起こされる可能性がある。頻脈の発作は、リエントリ機構によって開始されかつ持続される場合もあれば、分離された焦点の反復的なファイアリングによって引き起こされる可能性もある。
【0005】
心房性細動は心房で、より特定的には肺静脈が位置づけられる領域で発生する。これは、不整脈の中でも最も一般的なものの1つであり、死亡率が高い。80歳を超える高齢者では、その罹患率は約10%である。卒中を経験している全患者の3分の1は、病院に運ばれた時点で心房性細動状態にある。心房性細動は心房内に凝血塊を発生させ、これが脳に至って脳卒中を引き起こす。患者が心臓発作の後に心房性細動に至れば、死に至る可能性は倍増する。心房性細動を経験している全患者のうちで、治療を受けなければ脳卒中またはこれに類する不具合を引き起こす危険性のあるものは年間約5%である。
【0006】
毎年、全世界で何百万人もの人々が不整脈に冒されている。多くの者が治療を受けることができ、また命に別状のない者が多いが、それでも米国では毎年50万人もの命が奪われている。
【0007】
現在の治療は、最良で成功率50%という薬物療法に依存している。さらにこれらの患者達は、薬物治療の結果として有害かつ時として命に関わる副作用を経験する可能性がある。
【0008】
不整脈の回路の切断は、正常な心臓の鼓動を復元させる好結果の手法である。不整脈の回路の切断には、多くの異なる切断パターンを実行可能である。心臓のアブレーション治療は心筋組織内の熱使用による病巣のクレンティングを含み、不整脈の回路の切断に成功裡に使用されている。アブレーションに先行して、催不整脈性の場所または副経路を位置決めするために心臓の電気的活性化順序がマップされる。
【0009】
ある旧式のアブレーション手法は、高電圧直流除細動器の放電を使用するものである。この手法は全身麻酔を必要とし、よって何れかの心臓組織を破裂させる可能性がある。
【0010】
カテーテルによる心臓のアブレーション治療は最近、心不整脈、心臓の二重不整脈及び頻脈の治療にとって重要な治療法となってきた。この治療法は、静脈へのカテーテルの導入と、これを心臓に至るまで操作することを含む。次にアブレーション・システムがカテーテルを介して導入され、組織が焼灼される場所であるアブレーション・ソースが位置決めされる。
【0011】
高周波(RF)カテーテル・アブレーション・システムは、焼灼エネルギー源として数百kHz範囲の周波数を利用し、よって現在、電気生理学者は様々なRFベースのカテーテル及び電源を利用可能である。しかしながらRFエネルギーには、浅い損傷及びより深い不整脈組織へアクセスできないことに繋がる表面組織におけるエネルギーの急速な消滅を含む幾つかの制限事項がある。別の制限事項は、エネルギー放射電極上に凝血塊が形成される危険性である。
【0012】
アブレーション・ソースとしての光及び超音波エネルギーの使用もまた、調査では成功例が限定的である。マイクロ波もまた、提案されている。
【0013】
しかしながら、カテーテル・アブレーションを使用する心房性不整脈の治療は、2つの導電結節間に分離チャネルを供給するに足る長く深い線形の損傷を作り出す必要があることから極めて困難であることが明らかにされている。効果的かつ連続する線形の損傷が形成されなければ、心臓内の望ましくない電気信号が代替経路を発見することになる可能性がある。これは、処置後の不整脈再発の原因となる。
【0014】
本発明は、内側の導線と外側の導線と内側及び外側の導線間を絶縁する誘電絶縁体とを有する伝送ラインを備える医療カテーテル・アブレーションのためのマイクロ波アンテナである。伝送ラインの遠位端には、マイクロ波エネルギーを伝達するためのエネルギー放射アンテナ・エレメントが位置決めされる。アンテナ・エレメントは、伝送ラインの内側の導線に電気結合される内側の導線と、上記内側の導線の周りで伝送ラインの絶縁体に連続する誘電絶縁体のシースとを有する。上記内側の導線の遠位端には導電キャップが電気接続され、キャップは絶縁体のシースの一部の長さを包囲する。キャップの寸法は、アンテナ・エレメントと伝送ラインとの間にインピーダンス・マッチングを供給するように決定される。
【0015】
適切なインピーダンス・マッチングは、反射を最小限に抑えるだけでなく、アンテナ・エレメント内に高電力を有する近接場の生成に役立つ定在波を生じさせる。
【0016】
決定される可能性のある金属製キャップの特定寸法は、
キャップの長さ、
キャップに包囲される絶縁体のシースの長さ、
キャップの半径(内側の半径は絶縁体によって決定される)、
のうちの1つまたは複数を含む。
【0017】
アンテナ・エレメントは伝送ラインの端に構築されることが可能であり、キャップはアンテナとの高い物理的一体性を確実にするために伝送ラインの内側の導線にはんだ付けされることが可能である。特に伝送ラインの遠位端からは、アンテナ・エレメントを生成するために外側の導線の最初の長さが取り除かれる可能性がある。誘電絶縁体は、内側の導線にキャップを取り付けるための長さを露出させるために、遠位端からより少ない長さを取り除かれる可能性がある。この場合、決定されるべき寸法はさらに、
絶縁体のシースの遠位端とキャップとの間の露出される内側の導線の長さ、
を含む可能性がある。
【0018】
ある例では、アンテナ・エレメントは、その長さに沿ってスロットで互いに離隔された例えば銅または金製の複数の導電リングで構成される可能性がある。特にこれは、絶縁シースの長さに沿って交互に配置される絶縁及び導電リングを備えることが可能である。絶縁リングは、導電リングを離隔させる働きをする。最初の絶縁リングは隣接する導電リングを伝送ラインの外側の導線から絶縁するために配置され、最後の絶縁リングは最後の導電リングをキャップから離隔するために配置される。この構成では、下記の追加的寸法、即ち、
導電リングの幅、
スロット(絶縁リング)の幅、
外側の導線の端とキャップとの間のアンテナ・エレメントの長さ、
のうちの1つまたは複数が決定される可能性がある。
【0019】
導電リングは、伝送ラインの外側の導線のリングを原位置の左に備えることが可能である。
【0020】
キャップは、別の導電リングを使用して製造される場合もある。
【0021】
導電リング及びそれらの間のスロットのサイズは、各スロットから放射されるマイクロ波エネルギーの振幅及び位相の双方に影響する。その結果、これらは近接場の分布形状を決定するように選択されることが可能である。全ての導電リングを同じサイズに製造しかつこれらの間の全てのスロットを同じサイズに製造することにより、近接場分布はアンテナ・エレメントの長さに沿って一様になる。最適な構成は、幅がそれらの間のスロットの2倍である導電リングを含むことが可能である。
【0022】
このスロット構成の1つの優位点は、均一な近接場分布を維持しながらアンテナ・エレメントの長さを延長または縮小し、これを心房性細動の治療のための線形損傷の生成にとって理想的なものにし得ることにある。
【0023】
キャップに包囲される絶縁体のサイズによって生成される誘電体装荷は、近接場が伝送ライン/アンテナ・エレメント接合部ではなくアンテナの先端で終わることを確実にするように最適化されることが可能である。これは、アブレーション処置の間の伝送ラインの加熱を防止する。
【0024】
スロット及びリングのサイズに不均一さを導入することにより、近接場は前方または後方へ方向づけられることが可能である。スロット及びリングのサイズを漸次アンテナ先端の方向へ増大させると、アンテナは前方ファイアリングになる。これは、例えば頻脈の治療に有益であるスポット損傷を生成することができる。スロット及びリングのサイズを漸次アンテナ先端の方向へ減少させると、アンテナは逆方向のファイアリングになる。これは、アンテナの先端が加熱を必要としない場所にある場合に有益である可能性がある。
【0025】
ある代替例では、アンテナ・エレメントは、伝送ラインの長手軸を横断して延びるように方向付けされた開ループを形成すべく曲げられて構成されることが可能である。このアンテナは、例えば肺静脈の周りに環状の損傷をつくり出すことができる。この構成では、下記の追加的寸法、即ち、
曲げ開始前の絶縁体シースの真っ直ぐな長さ、
伝送ラインと開ループとの間の曲げ半径、
開ループと曲げの始点との間の垂直距離、
開ループの半径、
絶縁体のシースを包囲していないキャップの長さ、
キャップの頂上と伝送ラインとの間の垂直距離、
のうちの1つまたは複数が決定される可能性がある。
【0026】
このアンテナの形状は、近接場の形状を決定する。近接場は、アンテナの先端及びアンテナ・エレメント/伝送ライン接合部の双方で終わる。静脈内の原位置にあるとき、伝送ライン/アンテナ・エレメント接合部の望ましくない加熱は、血流の冷却効果によって低下される。
【0027】
本アンテナはさらに、少なくともアンテナ・エレメントを取り囲むテフロン(登録商標)・シースを備えることが可能である。これは、電気的安全性及び生体適合性を保証する。
【0028】
アンテナ・エレメントは、カテーテルを介して伝送ラインを供給することによりアブレーション・サイトへ運ばれることが可能である。
【0029】
本アンテナはさらに、焼灼されている組織の温度をアンテナによって検出するための温度センサを備えることが可能である。
【0030】
マイクロ波発生器は、2.45GHzで、または他の任意の適切な周波数でエネルギーを送出することが可能である。
【0031】
コンピュータ制御システムは、アブレーション・プロセスを監視しかつマイクロ波発生器を制御するために装備されることが可能である。
【0032】
マイクロ波カテーテル心臓アブレーションは、その心臓鼓動障害が薬物療法に反応しない患者、または心臓切開手術を受けるには弱すぎる患者に別の治療モダリティを提供する。これは、心臓切開手術の治療効果を付随する外傷及び術後の集中治療なしにもたらす。
【0033】
マイクロ波アンテナは、アブレーション、温熱及び凝固の各療法に使用されることが可能である。
【0034】
マイクロ波周波数のエネルギーを使用する組織アブレーションの多くの優位点のうちの1つは、マイクロ波エネルギーがアンテナと心筋との間の物理的接触なしに心筋へ届けられ得ることにある。
【0035】
さらなる態様においては、本発明は、内側の導線と、これを包囲する使用中は伝送ラインの端に位置づけられる絶縁体のシースとを有するエネルギー放射アンテナ・エレメントを備える医療カテーテル・アブレーションのためのマイクロ波アンテナの製造方法である。本方法は、
上記アンテナ・エレメントの遠位端に導電キャップを、それが絶縁体シースのある長さを包囲するように形成するステップと、
上記導電キャップを上記アンテナ・エレメントの内側の導線へ電気結合するステップと、
上記キャップの寸法を、上記アンテナ・エレメントと上記伝送ラインとの間にインピーダンス・マッチングを供給するように決定するステップとを含む。
【0036】
次に、添付の図面を参照して、本発明の2つの例について説明する。
【0037】
同軸リング・スロット・アレイ(CRSA)アンテナ
図1は、心臓のアブレーション治療のための同軸リング・スロット・アレイ(CRSA)アンテナ10の構成を示す。アンテナ10は、同軸ケーブル伝送ライン11と、伝送ライン11の遠位端に形成されるアンテナ・エレメント12とを有する。同軸ケーブルは、内側の導線13と、外側の導線14と、内側及び外側の導線13及び14間に絶縁を供給するテフロン(登録商標)誘電絶縁体15とを備える。絶縁体15は約3mmの直径を有し、導線は約0.91mmの直径を有する。
【0038】
アンテナ・エレメント12は伝送ラインの遠位端から、まず同軸ケーブルの外側の導線14を長さL1+Lt+Lixだけ除去し、絶縁体15のシース16を露出させることによって構築される。アンテナ・エレメント12の遠位端では、テフロン(登録商標)の絶縁体シース16から短い長さLixが除去され、内側の導線13の等しく短い長さ17が露出される。銅リング18は直径rhcの銅管から製造され、幅RWを有する。類似の誘電スペーサ・リング19は、幅Swのテフロン(登録商標)材料から製造される。誘電スペーサ・リング19は、便宜上図1(c)だけに示されている。
【0039】
露出された絶縁体上へ最初の誘電スペーサ19が滑走して入れられ、続いて最初の銅リング18が入れられる。これは電気的に、銅リング18を外側の導線14から絶縁する。次に、全ての誘電スペーサ19及び銅リング18が所定の位置に置かれるまでこの手順が繰り返され、全ての銅リング18が互いに絶縁される。
【0040】
最後の絶縁リングがアンテナ・エレメントの遠位端上へ滑走して置かれると、テフロン(登録商標)製シースは「摂動距離」である短い距離Ltだけリングを超えて延びる。遠位端を密封するために、中空の銅キャップ20がテフロン(登録商標)製シースを部分的に包囲して、但しその遠位端はテフロン(登録商標)製シースの端を超えた状態で位置決めされる。次に、キャップ20の遠位端及び内側の導線13の露出された長さ17は共にはんだ付けガンで予熱され、次いでリングと内側の導線との間の中空部分21内にはんだが溶ける。はんだは、冷えると内側の導線とキャップとを融合し、キャップは部分的に誘電絶縁体で充填される。キャップ20は、内側の導線の端上に一体化される。外側の導線14の端とキャップ20との間には、放射線放出用スロットにより分離される銅リングを備えるアンテナ・エレメント12が存在する。
【0041】
キャップ20は、銅リングの1つを使用して製造されることが可能である。
【0042】
アンテナは、TFLEX−402可撓同軸ケーブルを使用して構築される。図1(a)では、リング18及び19の半径と同軸ケーブルの外側の導線の半径とが同じであることが分かる。この図では、キャップの半径も外側の導線の半径と同じであることが分かる。これは、カテーテルを介するアンテナの心臓への容易な挿入を可能にする。図1(b)は、可変寸法であることからキャップ半径がケーブルより大きい場合もあることを示している。
【0043】
テフロン(登録商標)製シース(図示されていない)は、構築の仕上げにアンテナ12全体をカプセル封入する。
【0044】
図1a及び図1bは、下記のようなこのアンテナの構成パラメータを示す。
固定寸法
・ ri:同軸ケーブルの内側の導線の半径、
・ rt:PTFE誘電体の半径、
・ ro:同軸ケーブルの外側の導線の半径。
可変寸法
・ rhc:キャップの半径、
・ SW:銅リング間のスロット(絶縁リング)の幅、
・ RW:銅リングの幅、
・ Lix:絶縁体シースの遠位端とキャップとの間に露出される内側の導線の長さ、
・ Lt:キャップで包囲される絶縁体シースの延長部の長さ、
・ L1:外側の導線とキャップとの間のアンテナ・エレメントの長さ、
・ CL:キャップの長さ。
【0045】
(必要とされる損傷の長さによって決定される)アンテナ・エレメントの所与の長さの何れに関しても、これ以外の可変パラメータとしてリングの数Nがあり、これにより合計N+1個のスロットができる。リング及びスロットの数は、均一な近接場分布を達成するように選択されなければならない。キャップの寸法は、長さとリング/スロットとの組合わせ毎に決定される。
【0046】
図2aは、複数ソースからの励起が達成されていることを示す。アンテナ内の各スロットに渡る正規化された近接場分布もまた、アンテナ・エレメントの長さに沿って近接場分布の大きさはほんの少ししか変動しないことを示している。
【0047】
スロット間の開きはマイクロ波放射の位相を決定し、よってその基本的方向を決定する。均一な近接場の幅及び位相分布は近接場におけるコヒーレントな放射線放出をもたらし、よって直線形状の損傷が形成される。
【0048】
反復手順
CRSAアンテナの構成パラメータの寸法の決定には、反復手順が使用される。まず、反復手順を使用してCRSAアンテナのスロット及びリングの最適寸法が取得される。アンテナは直線状の損傷を生成するために使用されるものであり、CRSAアンテナの長さは損傷の長さに適するように調整される。本例の場合、アンテナの長さは20mmであるように選択される。
【0049】
図2bは、スロット及びリング・サイズの変更がCRSAアンテナの反射係数に与える影響を示す。最低のアンテナ反射減衰量を達成する最適なスロット/リング・サイズを取得するために、異なる5つの組合わせが使用されている。これらの組合わせを、表1に示す。

表1:図2bに示すCRSAアンテナの反射係数の取得に使用されたスロット/リングの組合わせ
【0050】
【表1】

【0051】
図2bから、2つの大きいスロットと1つの大きいリング(組合わせ1)を有するCRSAアンテナは、2.45GHzにおけるその高いエネルギー反射が示すように効率的な放射体でないことが分かる。リング/スロットの数が増すにつれて、2.45GHzにおけるCRSAアンテナの反射を最小限にまで下げることが可能である。反復手順を使用すれば、スロット及びリングの最適幅は、リングで2mm、スロットで1mmであることが分かる。これは図2bでは、2.45GHzで明らかに反射が最も少ない組合わせ5として示されている。ここで指摘すべき点は、キャップの寸法は、スロット及びリングの寸法が決定された後に、スロット及びリングの最終寸法を考慮して調整されることである。スロット−リングの5つの組合わせの各々に関するキャップの寸法を、表2に示す。

表2:キャップの寸法(単位mm)
【0052】
【表2】

【0053】
図2cは、図2dのCRSAアンテナの正規化された固有吸収率(SAR)レベルを示す。SARレベルは、CRSAアンテナの全長に渡って実質的にほぼ平らなままであることが分かる。
【0054】
この平らな特徴は、近接場の流れ、即ちEフィールド・ベクトルがプロットされた場合にも認められる。図2dを参照されたい。スロットの各々に渡るEフィールドの流れは極めて滑らかであり、これにより均一に分布されたSARが発生することが分かる。また、CRSAアンテナの端におけるキャップ内部の誘電体装荷サイズを最適化すれば、Eフィールドを同軸ケーブル/アンテナ接合部ではなくアンテナの先端で終わらせることが可能である点も指摘されるべきである。これは、同軸ケーブルがアブレーション手順の間に不必要に加熱されないことを保証する。
【0055】
図2eは、CRSAアンテナの反射係数のシミュレーション値と測定値とを示す。2.45GHzの動作周波数におけるスロット、リング及び誘電キャップの寸法が最適化されていれば、CRSAアンテナの反射がかなり少ないことは明らかである。これは、CRSAアンテナがマイクロ波エネルギーを心筋内へ効率的かつ効果的に結合し得ることを表す。また本図には、CRSAアンテナは広い3dBインピーダンス帯域幅を呈示するというその別の特徴が示されている。これは、周囲組織の誘電特性が温度によって変化する可能性があり、アンテナ性能の変動の原因となる場合に重要である。CRSAアンテナが広い3dBインピーダンス帯域幅を有することを保証すれば、これらの変化はCRSAアンテナの有効性を低下させない。
【0056】
図2fは、1乃至5GHzの周波数範囲におけるCRSAアンテナの入力インピーダンスのシミュレーション値及び測定値を示す。図から分かるように、2.45GHzにおけるCRSAアンテナの入力インピーダンスはソース・インピーダンスである50Ωに極めて近い。最適化されたCRSAアンテナはマイクロ波発生器の入力インピーダンスに一致することから、これは多大な反射のないマイクロ波エネルギーを届ける能力を有する。CRSAアンテナの最適化された最終寸法を、表3に挙げる。

表3:CRSAアンテナ・パラメータの最終寸法、単位mm。
【0057】
【表3】

【0058】
CRSAアンテナの熱分析
図2gは、入力電力80ワットによるCRSAアンテナの時間空間的な熱分布を示す。マイクロ波エネルギーを印加して20秒後には、プローブAの温度は80度に達することが分かる。これは、CRSAがマイクロ波エネルギーを心筋内へ効果的に蒸着させる能力を有し、これによりアブレーションの持続時間が短縮されることを示す。
【0059】
図2hは、30秒の持続時間における異なる電力設定値を使用した心筋組織への様々な深度における温度測定値のプロットを示す。100ワットの電力印加(ダイヤ形の線)では、組織表面温度は85℃近くまで到達したことが分かる。組織の深度が増すにつれて、温度は次第に低下する。心筋深度10mmにおいて100、80、60、40及び20ワットを使用して達成され得る温度は各々、59℃、57℃、55℃、48℃及び39℃である。この電力−温度プロファイルから、CRSAアンテナが不可逆性の壁内損傷を達成するには60ワットの入力電力で足ることが分かる。また、この放射は周囲組織を不必要に加熱しない。
【0060】
同じく図2hから、電力が40ワットから60ワットへ増すにつれて組織内で達成される温度に差があることは明白である。優れたインピーダンス・マッチングに起因して、印加電力の50%増加は心筋組織の表面ではほぼ15℃の温度上昇、組織内深度10mmでは8℃の上昇になる。
【0061】
アンテナのこのタイプの熱特性は、CRSAアンテナが広範な温熱治療アプリケーションにおいて適切であることを意味する点で望ましい。60ワット以上の印加電力の温度プロフィールは55℃を上回ることから、高電力をCRSAアンテナに印加して壊死組織を生成することができると同時に、温熱療法アプリケーションのためにより低い電力設定値(40ワット以下)の電力をCRSAアンテナへ印加することができる。
【0062】
最後に図2iは、様々な電力設定値に関して心筋組織内深度1、4、7及び10mmで記録された温度を示す。この場合もやはり、60ワットで記録された温度は既に55℃を超過し、これは、60ワットがCRSAアンテナによる組織壊死にとって最適な電力設定値であることを表す。
【0063】
フィールドの変動
均一に離隔されたスロット及び金属製リングに渡って均一な励起を発生させる能力はさらに、CRSAアンテナによって生成される近接場分布の形状を定義するために利用される。導電及び絶縁リングのサイズに不均一性を導入することにより、CRSAアンテナの先端方向へのEフィールド・レベルは高められることが可能であり、一方でアンテナ/ケーブル接合部の近くでは狭いスロット及びリング・サイズを使用してEフィールド・レベルを最低限におさえることができる。スロット及びリングのサイズは、CRSAアンテナの先端へ近づくにつれて次第に増加される。これは事実上、CRSAアンテナを前方向のファイアリング・アンテナにする。
【0064】
また近接場分布への反対効果も、CRSAアンテナ上のスロット及びリング・サイズを逆にすることによって達成されることが可能である。即ち、アンテナ/ケーブル接合部に近いスロット及びリングは、アンテナの先端に近づくにつれて幅が大きくなり、サイズは次第に縮小される。これは、逆方向のファイアリング・アンテナをつくり出す。
【0065】
スロット−リング組成の変更による近接場分布調整の可能性は、CRSAアンテナを様々なタイプのアブレーションにとって有益なものにする。前方向のファイアリング・アンテナは、短い直線状の損傷を生成するためにも、心室性頻脈の治療に使用されるスポット損傷を生成するためにも有益である。逆方向のファイアリング・アンテナは、アンテナの先端方向ではなくアンテナ/ケーブル接合部の近くに損傷を生成するために有益であり、これは例えば、加熱が最小限に抑えられるべきである部位までアンテナの先端が延ばされる場合に有益である可能性がある。これの一例は、アンテナの先端が心房性細動治療のための房室結節のアブレーションの間に三尖弁上に伸長される可能性のある場合である。
【0066】
並列ループ(PL)アンテナ
並列ループ(PL)アンテナ30の構成を、図3a乃至図3dに示す。対応する特徴は、図1と同じ参照番号を使用して表されている。このアンテナは、肺静脈の周囲に環状の損傷を生成するために使用される。ループ・アンテナ部分の中心軸31が同軸ケーブルの軸32に平行であることから、これは並列ループ・アンテナと呼ばれる。
【0067】
PLアンテナの構成パラメータは、下記の通りである。
固定寸法
・ ri:同軸ケーブルの内側の導線の半径、
・ rt:PTFE誘電体の半径、
・ ro:同軸ケーブルの外側の導線の半径。
可変寸法
・ rho:キャップの半径、
・ D1:キャップ頂上と伝送ラインとの間の垂直距離、
・ D2:開ループと曲り開始との間の垂直距離、
・ D3:曲りが始まる前の絶縁体シースの直線長さ、
・ Lix:絶縁体シースの遠位端とキャップとの間に露出される内側の導線の長さ、
・ Lt:キャップで包囲される絶縁体シースの長さ、
・ D5:絶縁体シースを包囲していないキャップの長さ(D5=Dr−D4)、
・ L1:外側の導線とキャップとの間のアンテナ・エレメントの長さ、
・ CL:キャップの長さ。
・ Lir:開ループの半径、
・ Br:伝送ラインと開ループとの間の曲りの半径。
【0068】
可変パラメータは、前例と同じく反復手順を使用して決定される。
【0069】
ループ・アンテナは、ループ・エレメント全体を包囲する近接場を生成するが同軸ケーブル部分沿いにはほとんど伸長しないように設計される。この特徴により、ループ・アンテナは肺静脈の壁に沿って環状の損傷を生成することができるようになる。
【0070】
PLアンテナのループ・エレメント部分への近接場の閉じ込めの証拠は、Eフィールド・フローのベクトル・プロットに示されている。図4a及び図4bを参照されたい。XY平面では、PLアンテナのループ部分から放出されるEフィールドがキャップをリターン・パスとして使用することが分かる。
【0071】
ループ・アンテナのフィード部分以外では、ループ・アンテナを包囲する領域の大部分がSARと同じレベルまで露出されている。これは、ループ・アンテナ部分を包囲する領域がEフィールドによって極めて一様に照射されるという事実に起因して可能にされる。
【0072】
PLアンテナを直接包囲する領域は、大部分の加熱が発生する極めて高いレベルのSARを有する。SAR値はPLアンテナのループ部分からの離隔距離が増大するにつれて急速に下がるため、EフィールドがPLアンテナから最遠のポイントに到達する時間にはSAR値は既に50%未満まで降下しており、これは、アブレーションに使用される短い持続時間で組織に任意の不可逆性損傷を生成するには不十分である。肺静脈を直接包囲する領域は加熱され、肺静脈の外側の組織もまた加熱されるが、肺静脈の外側の組織には不可逆性損傷はつくられないことから、これはPLアンテナの望ましい安全機能である。
【0073】
一方で、ループ・アンテナの曲り部分から放出される近接場は、同軸ケーブル/アンテナ接合部を意図された通りリターン・パスとして使用する。PLアンテナの複雑さに起因して、近接場をPLアンテナのループ部分に閉じ込めるためには2つのリターン・パスが必要とされる。近接場のパーツのリターン・パスとしてのケーブル/アンテナ接合部の使用は、ホット・スポットがケーブル/アンテナ接合部領域周辺に形成される原因となる可能性があるが、肺静脈における血流速度はPLアンテナを十分に冷却するに足る速さである。
【0074】
反復手順
このような結果をもたらすために、PLアンテナは、反復手順を使用して最適化される。
【0075】
PLアンテナの可変構成パラメータには多くが存在し、全て最適化されることが可能である。最適化手順を促進するために、PLアンテナの反復性の最適化は次のような2つの部分に分けられる。
【0076】
まず、開ループの半径Lirが最適化され、様々なループ・サイズの反射係数が取得される。開ループの半径を基礎とするPLアンテナの反射係数をプロットした図4cを参照されたい。図4cから、ループのサイズがループ・アンテナの反射係数に大きく影響することは明白である。局所極小は2つ存在するが、直径16mmは肺静脈へ挿入するには大きすぎることから、Lirは9mmとなるように選択される。
【0077】
ループの最適寸法が取得されると、反復手順は次に、ループ部分について取得された寸法を基礎として曲げ半径Brの最適化に進む。次に、PLアンテナのキャップが最適化される。曲りより前で露出される絶縁体の量D3及びキャップ内の絶縁体及び内側の導線の量等の他の寸法はアンテナの反射減衰量に直接影響し、よって同じく最適化される。ケーブル/アンテナ接合部からPLアンテナのループ部分の曲りが始まるまでの距離は、構造的制約により3mm以上10mm以下であるように制限される。
【0078】
マイクロ波アブレーション・システムのハードウェア及びソフトウェアの開発
図5は、損傷を生成するためのプロセスを示す。まず最初に、マイクロ波発生器によってマイクロ波エネルギーが発生される50。エネルギーは次に、マイクロ波アンテナ12及び同軸ケーブルによって心筋組織へ届けられる52。届けられたエネルギーの一部は心筋組織によって吸収され54、一部は周辺物質内に反射される、または失われる。上記組織により吸収されたエネルギーは次に組織温度を組織の壊死が発生する58、ポイントまで上昇させ56、続いて損傷が形成される。
【0079】
インタフェース・カード
インタフェース・カードは、前方向/反射電力、アブレーション持続時間及び発生器のオンオフ切換を自動監視するために、マイクロ波発生器の遠隔制御インタフェース、表4参照、をノートブック・コンピュータにリンクする。マイクロ波発生器を遠隔制御されるノートブック・コンピュータに接続するには、シリアル・インタフェースが使用される。

表4 遠隔制御インタフェースのピンの割当て
【0080】
【表4】

【0081】
ノートブック・コンピュータを負荷からの反射電力により引き起こされる可能性のある電力サージから保護するために、ノートブック・コンピュータは、デジタル・データ回線及び2つのアナログ前方向/反射電力監視回線上の光アイソレータ・トランジスタを使用してマイクロ波発生器から隔離される。
【0082】
光アイソレータ及びインタフェース・カード内のマルチプレクサ・スイッチを駆動するに足る電流を供給するために、マイクロ波発生器の1つのピンから+15ボルトDCが分岐される。電圧調整器は、光アイソレータ及びマルチプレクサ・スイッチへ供給する安定した+5ボルトDCをもたらすために使用される。
【0083】
インタフェース・カードはまた、アブレーションの間に温度を記録しかつ監視するための温度測定システムに接続するRS−232端子を供給する。
【0084】
ノートブック・コンピュータには、グラフィカル・ユーザ・インタフェースが供給される。
【0085】
制御/監視ソフトウェア
図6は、マイクロ波アブレーションの制御及び監視ソフトウェアの構成を示す。マイクロ波エネルギーが心筋へ届けられる方法は、心臓病専門医がどのアブレーション・モダリティを選ぶかに依存する。
【0086】
第1のアブレーション・モダリティ60は、マイクロ波発生器が予め定義されたレベルのエネルギーを予め定義された時間に渡って出力することを要求する。
【0087】
図7を参照すると、出力電力が設定される。アナログメータは、送出されている実際の電力を表示する。電力送出モードの融通性を高めるために、電力はリアルタイムで高められる、または低下されることが可能である。マイクロ波発生器が250ワットを発生させる能力を有する場合でも、安全性の理由から最大電力出力は電子的に100ワットに制限される。
【0088】
次に、アブレーションの持続時間が秒単位で設定される72。電力設定と同様に、アブレーションの合計持続時間は、心臓病専門医の判断に依存してアブレーションの間にリアルタイムで延長または短縮されることが可能である。
【0089】
電力及び時間が確定されると、実行/停止トグルスイッチを押して74、アブレーション事前チェック・シーケンスを開始することができる76。アブレーション事前チェック・シーケンスは、電力設定が80ワットを超えるかどうか78、及び時間が60秒を超えるかどうか80、をチェックすることより成る。この組合わせが検出されれば警報が鳴り、心臓病専門医は入力された電力/時間の組合わせを確認するように要求される82。心臓病専門医が電力/時間の設定値が正しいことを確認すれば84、プログラムは進んでアブレーション手順が開始される。アブレーションの間は、組織温度のリアルタイム表示が行われる。但し一方で何の確認もされなければ、プログラムは終了される86。
【0090】
プログラムがアブレーション段階に入ると88、予め設定されたアブレーション持続時間が経過するまでプログラムの実行が継続され90、次いでプログラムよってはアブレーション手順は終了する92。実行/停止スイッチは、スペースバーに電気配線される緊急停止スイッチとしても機能することは指摘されるべきである。
【0091】
アブレーション手順が終了すると、記録された温度は、記録保持及び必要に応じた後の解析のために電力及び時間設定値と共にノートブック・コンピュータのローカル・ハードディスクに保存される。
【0092】
アブレーションの間、記録された温度は組織温度の監視に使用される。温度が予め設定されたレベルを超えていれば、アブレーション時間が経過していない場合であってもプログラムは終了し、よってアブレーション手順は停止される。これは、組織温度が過熱されず心筋組織の裂け及び焦げを回避するために必要な安全条件である。
【0093】
第2のモダリティ61は、一定または可変何れかのデューティ・サイクルを基礎として心筋へエネルギー・パルスを送出する。
【0094】
温度は、デジタル式に読み出される。電力送出のためのデューティ・サイクルは、適切な持続時間のオン時間及びオフ時間を入力することによって設定され得る。オン時間の間、マイクロ波エネルギーは心筋へ送出され、オフ時間の間、マイクロ波発生器はスタンバイ・モードにある。パルス・アブレーション手順の開始前は、同じくアブレーション事前チェック・シーケンスが使用される。
【0095】
第3のモダリティ62は、送出されるエネルギーを望ましい組織温度の上限と下限との間で変調する。
【0096】
図8は、その制御アルゴリズムを示す。高温及び低温は、このモダリティを達成するために入力されることを要求される100余分の制御パラメータを表す。本ソフトウェアもやはり、組織温度を継続して監視し102かつ表示する104。アブレーション106の間、組織温度は、上限温度(UTT)に近づいている、または超えているかどうかを確認するために監視される108。そうであれば、マイクロ波エネルギーの送出を停止する110命令がマイクロ波発生器へ発行される。命令を受信すると、マイクロ波発生器はスタンバイ・モードに切換される。組織温度が下限温度(LTT)より下がると112、エネルギー送出を再開する命令がマイクロ波発生器へ送られる。この命令を受信すると、発生器はマイクロ波エネルギーを心筋へ送出し始める。このサイクルは、アブレーション時間の終わりになるまで継続される。
【0097】
最後に、第4のモダリティ63は、心臓病専門医が完全手動制御を保有することを許容する。このエネルギー送出モードでは、マイクロ波発生器はフロントパネルまたは遠隔制御ノートブック・コンピュータの何れかを介して作動されることが可能である。また、アブレーション前のチェックは無効化される。但し温度データは、記録保持及び後の処理を目的として引き続き記録されかつ格納される。
【0098】
異なるアブレーション・モダリティが損傷サイズに与える影響
図9は、アブレーション・モダリティに関連づけられる電力送出波形を示す。手動モードでは、心筋へ送出されている電力はアブレーション・システムを操作する心臓病専門医に依存することから、その電力送出波形を示していない。
【0099】
図9aは、固定電力固定時間(FPFT)アブレーション・モダリティの電力波形を示す。FPFTアブレーション・モダリティの場合、電力が心筋へ指定された時間に渡って送出されることは明白である。これは、損傷がより広いものになっても深い損傷を達成するために大量のエネルギーを極めて短かい持続時間で送出すべく使用され得ることから、使用される最も一般的なタイプのアブレーション・モダリティである。大量の組織の焼灼が必要とされる場合には、このタイプのアブレーション・モダリティが有益である。
【0100】
損傷の幅を減らすために、マイクロ波エネルギーによって直に加熱されない組織内の領域は冷却されることを許容されるべきである。これを達成する1つの方法は、C/Vデューティ・サイクル・パルス式アブレーション・モダリティの温度及び電力送出波形を描いた図9bに示すように、エネルギー送出の間に一連のオフ周期を導入することである。図10から、最初の電力送出周期の間、温度は予め90℃に設定されている組織温度の上限(UTT)に達するまで上昇することを許容されることが分かる。予め設定された組織温度に到達すると、デューティ・サイクルが開始されかつマイクロ波エネルギーのパルシングが開始される。図9(b)に示す電力波形は5:3のデューティ・サイクルを有し、即ちマイクロ波発生器はオン、オフ各々5秒及び3秒で動作している。但し、このアブレーション・モダリティにおける本温度は、プログラム・コードを物理的に修正することでしか変更され得ない。図10から、組織温度は冷却されることを許容され、故にマイクロ波発生器がスタンバイ(オフ)モードである周期では温度が下がることは明白である。これは、マイクロ波エネルギーによって直に加熱されない組織は加熱され過ぎず、よって熱伝導を原因として生じる損傷幅の成長は低減されるという効果を有する。エネルギー送出パルスのデューティ・サイクルは一定に、即ち50%オン時間及び50%オフ時間にされる場合もあれば、図示されているように可変にされる場合もある。パルス式の電力送出モードは損傷の幅を減らすことが可能であるが、これは、より長いアブレーション持続時間と引き替えに達成される。これは、FPFTアブレーション・モダリティを使用して達成できるものと同じ損傷深度を達成するためにはより長い時間を要する、という事実に起因する。
【0101】
図9cは、温度変調式のパルス・アブレーション・モダリティの電力送出波形を示す。図9bに示す電力送出波形と同様に、このモダリティにおけるマイクロ波エネルギーはパルス式に送出される。C/Vデューティ・サイクル・パルス式モダリティと温度変調式モダリティとの相違点は、パルス列のためのデューティ・サイクルが不要であることにある。代わりに、組織温度の上限及び下限(各々UTTT及びLTTT)が定義される。図11は、これを示す。初期の電力送出段階の間、温度はUTTT値まで上昇することを許容され、次いでマイクロ波発生器はスタンバイ・モードに入り、よって電力送出は停止される。ノートブック・コンピュータが、温度がLTTT値より下がったことを検出すると、マイクロ波発生器はオン位置へ切換して戻され、電力送出が再開される。
【0102】
温度変調式電力送出モダリティを使用する優位点は、心筋組織へ送出されている電力が組織温度の状態に適合するようにされ得ることにある。例えば、初期のマイクロ波照射によって生成される高い熱エネルギーに起因して、温度がUTTT状態に達するとマイクロ波発生器がオフ状態にある時間はより長くなる。組織温度がLTTT状態近くに、またはこれよりも下がると、マイクロ波発生器がオン状態である時間は、組織温度の変動をUTTT状態とLTTT状態との間に維持するように自動調整される。
【0103】
UTTTが図10に示したもののように90℃に設定されれば、アブレーションは実施される。UTTTが約45℃に設定されれば、このシステムはガン治療のための温熱療法等のアプリケーションに利用されることが可能である。また、UTTT及びLTTT値が互いに近値に設定されれば、マイクロ波発生器は、温度をUTTT及びLTTTによる温度境界内に維持する電力を送出するように制御されることが可能である。これは、他のタイプのアブレーション・モダリティでは不可能である。
【0104】
先に論じた他の方法を凌ぐこの方法の別の優位点は、電力が心筋組織の冷却状態に依存して送出されることにある。心筋組織の冷却が幾分かでも進めば、マイクロ波発生器はオフ状態よりオン状態である方が遙かに多くなる。反対に、組織の冷却が遅れると、マイクロ波発生器はオン状態よりオフ状態にある方が長くなる。時間変調式の電力送出モダリティを使用してUTTT及びLTTT間の温度差が縮小されると、組織温度は予め設定された時間に渡って維持されることが可能である。
【0105】
表5は、3つの電力送出モードを使用して取得された損傷サイズを示す。

表5: 3つの電力送出モダリティによる損傷の比較
【0106】
【表5】

【0107】
深度及び幅双方の寸法において大きい損傷サイズを達成するためには、FPFTが最良の方法である。しかしながら、幅対深度(W:D)比の欄に示すように、FPFTは最大のW:D比をも有し、これはFPFT法を使用して生成される損傷の幅が深度に比べて遙かに大きいことを意味する。このタイプの電力送出モダリティは、大量の催不整脈性組織が焼灼される必要のある心室におけるアブレーションに最適となる。
【0108】
これに対して、C/Vデューティ・サイクル・パルス式(C/Vパルス)アブレーション・モダリティのW:D比は、幅対深度比1を達成可能であって、これにより催不整脈性組織を取り巻く組織に対する不必要な傷害が低減される。但しこれは、より長いアブレーション持続時間と引き替えに達成される。
【0109】
温度変調パルス式(TMパルス)アブレーション・モダリティは、深さ7mmの損傷を達成するのに最も長い時間がかかっている。但しこれは、同時に最も低い幅対深度比を有していてTMパルス電力送出モダリティを使用して生成される損傷は幅より深度が大きいことを表わす。これは、催不整脈性組織を取り巻く組織が少なく保存されなければならない心房におけるアブレーションに完全に適するものである。
【0110】
当業者には、特定の実施形態において示した本発明に対して、広範に記述された本発明の精神及び範囲を逸脱することなく多くの変更及び/または修正を行い得ることが認識されるであろう。従って、これらの実施形態はあらゆる点で例示的なものであり、限定的なものでないことは考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1a】同軸リング・スロット・アレイ・アンテナの縦断面図である。
【図1b】図1(a)のアンテナの端面図である。
【図1c】図1(a)のアンテナの分解図である。
【図2a】図1のアンテナの対応する各スロットを横断する正規化された近接場を示すグラフである。
【図2b】図1のアンテナの反射係数を示すグラフである。
【図2c】図1のアンテナの正規化されたSARレベルを示すグラフである。
【図2d】図1のアンテナのEフィールド・ベクトルを示すプロットである。
【図2e】図1のアンテナの反射係数の測定値とシミュレーション値とを示すグラフである。
【図2f】図1のアンテナの入力インピーダンスの測定値とシミュレーション値とを示すグラフである。
【図2g】図1のアンテナの測定された温度分布を示すグラフである。
【図2h】様々な電力設定を使用して様々な深度で測定した温度を示すグラフである。
【図2i】異なる電力レベルについて様々な深度で取得された最大温度を示すグラフである。
【図3a】平行ループ・アンテナの絵図である。
【図3b】図3(a)のアンテナの平面図である。
【図3c】図3(a)のアンテナの端面図である。
【図3d】図3(a)のアンテナの右正面図である。
【図4a】図3のアンテナのXY平面におけるEフィールド・ベクトルのプロットである。
【図4b】図3のアンテナのYZ平面におけるEフィールド・ベクトルのプロットである。
【図4c】図3のアンテナの反射係数に対するループ半径の効果を示すグラフである。
【図5】損傷の生成に含まれるステップを示すフローチャートである。
【図6】アブレーションのモダリティを示すブロック図である。
【図7】固定電力固定時間(FPFT)アブレーションのモダリティのフローチャートである。
【図8】温度変調されるマイクロ波アブレーション・モダリティのフローチャートである。
【図9】異なる3つのアブレーション・モダリティの送出電力波形を示すグラフである。
【図10】C/Vデューティ・サイクルのパルス・アブレーション・モダリティの温度及び電力波形を示すグラフである。
【図11】温度変調式パルス・アブレーション・モダリティの温度及び電力波形を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療アブレーションのためのマイクロ波アンテナであって、内側の導線と外側の導線と上記内側及び外側の導線間を絶縁する誘電絶縁体とを有する伝送ラインと、上記伝送ラインの遠位端に位置決めされるマイクロ波近接場を伝達するためのエネルギー放射アンテナ・エレメントとを備え、上記アンテナ・エレメントは、上記伝送ラインの内側の導線に電気結合される内側の導線と、上記内側の導線の周りの誘電絶縁体のシースとを有し、上記内側の導線の遠位端には導電キャップが電気接続され、上記キャップは上記絶縁体のシースのある長さを包囲し、上記キャップの寸法は上記アンテナ・エレメントと上記伝送ラインとの間にインピーダンス・マッチングを供給するように決定されるマイクロ波アンテナ。
【請求項2】
上記決定される金属製キャップの特定寸法は、
上記キャップの長さ、
上記キャップに包囲される上記絶縁体のシースの長さ、
上記キャップの半径、
のうちの1つまたは複数を含む請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
上記アンテナ・エレメントは上記伝送ラインの端に構築され、上記キャップは上記伝送ラインの内側の導線に固定される請求項1または2記載のアンテナ。
【請求項4】
上記伝送ラインの遠位端からは上記アンテナ・エレメントを生成するために上記外側の導線の最初の長さが取り除かれる請求項3記載のアンテナ。
【請求項5】
上記遠位端からは上記キャップを取り付けるための長さの内側の導線を露出させるためにより少ない長さの誘電絶縁体が取り除かれる請求項4記載のアンテナ。
【請求項6】
上記決定されるべき寸法はさらに、
上記絶縁体のシースの遠位端と上記キャップとの間の露出される内側の導線の長さを含む請求項5記載のアンテナ。
【請求項7】
上記アンテナ・エレメントは、その長さに沿ってスロットにより互いに離隔された導電リングで構成される先行する任意の請求項記載のアンテナ。
【請求項8】
上記アンテナ・エレメントは、絶縁シースの長さに沿って交互に配置される絶縁及び導電リングを備える請求項7記載のアンテナ。
【請求項9】
下記の追加的寸法、即ち、
上記導電リングの幅、
上記スロットの幅、
上記外側の導線の端と上記キャップとの間の上記アンテナ・エレメントの長さ、
のうちの1つまたは複数が決定される請求項8記載のアンテナ。
【請求項10】
上記導電リングは外側の導線のリングを備える請求項7、8または9記載のアンテナ。
【請求項11】
上記キャップは導電リングを使用して製造される請求項7、8または9記載のアンテナ。
【請求項12】
上記導電リング及びこれらの間のスロットのサイズは近接場の分布形状を決定するように選択される請求項7乃至11における任意の請求項記載のアンテナ。
【請求項13】
上記導電リングは全て同じサイズであり、上記これらの間のスロットは全て同じサイズである請求項12記載のアンテナ。
【請求項14】
上記導電リングの幅は上記これらの間のスロットの2倍である請求項13記載のアンテナ。
【請求項15】
上記スロット及びリング・サイズはアンテナの先端方向へ漸次増大し、前方向のファイアリング・アンテナがつくられる請求項12記載のアンテナ。
【請求項16】
上記スロット及びリング・サイズはアンテナの先端方向へ漸次減少し、逆方向のファイアリング・アンテナがつくられる請求項12記載のアンテナ。
【請求項17】
上記キャップに包囲される絶縁体のサイズによって生成される誘電体装荷は、上記近接場フローが上記伝送ライン/アンテナ・エレメント接合部ではなく上記アンテナの先端で終わることを確実にするように決定される先行する任意の請求項記載のアンテナ。
【請求項18】
上記アンテナ・エレメントは、上記伝送ラインの長手軸を横断して延びるように方向付けされた開ループを形成すべく曲げられて構成される請求項1乃至6における任意の請求項記載のアンテナ。
【請求項19】
下記の寸法、即ち、
曲げ開始前の上記絶縁体シースの真っ直ぐな長さ、
上記伝送ラインと上記開ループとの間の曲げ半径、
上記開ループと曲げの始点との間の垂直距離、
上記開ループの半径、
上記絶縁体のシースを包囲していない上記キャップの長さ、
上記キャップの頂上と上記伝送ラインとの間の垂直距離、
のうちの1つまたは複数は反復手順によって決定される請求項18記載のアンテナ。
【請求項20】
上記アンテナは少なくとも上記アンテナ・エレメントを取り囲むテフロン・シースを備える先行する任意の請求項記載のアンテナ。
【請求項21】
上記アンテナ・エレメントはカテーテルを介して上記伝送ラインを供給することによりアブレーション・サイトへ運ばれる先行する任意の請求項記載のアンテナ。
【請求項22】
上記アンテナはさらに、焼灼されている組織の温度をアンテナによって検出するための温度センサを備える先行する任意の請求項記載のアンテナ。
【請求項23】
マイクロ波発生器は2.45GHzでエネルギーを送出する請求項22記載のアンテナ。
【請求項24】
アブレーション・プロセスを監視しかつ上記マイクロ波発生器を制御するコンピュータ制御システムをさらに備える先行する任意の請求項記載のアンテナ。
【請求項25】
内側の導線と、これを包囲する使用中は伝送ラインの端に位置づけられる絶縁体のシースとを有するエネルギー放射アンテナ・エレメントを備える医療アブレーションのためのマイクロ波アンテナの製造方法であって、
上記アンテナ・エレメントの遠位端に導電キャップを、それが上記絶縁体シースのある長さを包囲するように形成するステップと、
上記導電キャップを上記アンテナ・エレメントの内側の導線へ電気結合するステップと、
上記キャップの寸法を、上記アンテナ・エレメントと上記伝送ラインとの間にインピーダンス・マッチングを供給するように決定するステップとを含む方法。
【請求項26】
上記キャップの寸法を決定するステップは、
上記キャップの長さを決定するステップと、
上記キャップに包囲される上記絶縁体のシースの長さを決定するステップと、
上記キャップの半径を決定するステップと、
を含む請求項25記載の方法。
【請求項27】
上記アンテナ・エレメントは上記伝送ラインの端に構築され、上記キャップは上記伝送ラインの内側の導線に固定される請求項26または27記載の方法。
【請求項28】
上記伝送ラインの遠位端からは上記アンテナ・エレメントを生成するために上記伝送ラインの外側の導線の最初の長さが取り除かれる請求項27記載の方法。
【請求項29】
上記遠位端からは上記キャップを取り付けるための長さの内側の導線を露出させるために上記伝送ラインのより少ない長さの誘電絶縁体が取り除かれる請求項28記載の方法。
【請求項30】
上記キャップの寸法を決定するステップより前に、上記絶縁体のシースの遠位端と上記キャップとの間の露出される内側の導線の長さを決定するステップを含む請求項29記載の方法。
【請求項31】
その長さに沿ってスロットにより互いに離隔された導電リングを有するアンテナ・エレメントを構成するさらなるステップを含む請求項25乃至30における任意の請求項記載の方法。
【請求項32】
上記導電リングを絶縁リングによって互いに離隔させるステップを含む請求項31記載の方法。
【請求項33】
上記キャップの寸法を決定するステップより前に下記のステップ、即ち、
上記導電リングの幅を決定するステップと、
上記スロットの幅を決定するステップと、
上記外側の導線の端と上記キャップとの間の上記アンテナ・エレメントの長さを決定するステップと、
を含む請求項32記載の方法。
【請求項34】
上記導電リングは上記伝送ラインの外側の導線のリングを備える請求項31、32または33記載の方法。
【請求項35】
上記キャップは導電リングを使用して製造される請求項31、32または33記載の方法。
【請求項36】
上記導電リング及び間のスロットのサイズは近接場の分布形状を決定するように選択されるステップを含む請求項31乃至35における任意の請求項記載の方法。
【請求項37】
上記導電リングは全て同じサイズであり、上記これらの間のスロットは全て同じサイズである請求項36記載の方法。
【請求項38】
上記導電リングの幅は上記これらの間のスロットの2倍である請求項37記載の方法。
【請求項39】
上記スロット及びリング・サイズはアンテナの先端方向へ漸次増大し、前方向のファイアリング・アンテナがつくられる請求項36記載の方法。
【請求項40】
上記スロット及びリング・サイズはアンテナの先端方向へ漸次減少し、逆方向のファイアリング・アンテナがつくられる請求項36記載の方法。
【請求項41】
上記近接場フローが上記伝送ライン/アンテナ・エレメント接合部ではなく上記アンテナの先端で終わることを確実にするように、上記キャップに包囲される絶縁体のサイズによって生成される誘電体装荷を決定するステップを含む請求項25乃至40における任意の請求項記載の方法。
【請求項42】
上記伝送ラインの長手軸を横断して延びるように方向付けされた開ループを形成すべく曲げによって上記アンテナ・エレメントを構成するさらなるステップを含む請求項25乃至30における任意の請求項記載の方法。
【請求項43】
上記キャップの寸法を決定するステップより前に、下記の寸法、即ち、
曲げ開始前の上記絶縁体シースの真っ直ぐな長さ、
上記伝送ラインと上記開ループとの間の曲げ半径、
上記開ループと曲げの始点との間の垂直距離、
上記開ループの半径、
上記キャップの頂上と上記伝送ラインとの間の垂直距離、
のうちの1つまたは複数を決定するさらなるステップを含む請求項41記載の方法。
【請求項44】
上記アンテナ・エレメントをテフロン・シース内部に封入するさらなるステップを含む請求項25乃至43における任意の請求項記載の方法。
【請求項45】
マイクロ波アブレーション・デバイスのアンテナによって組織内に生成される損傷の深度対幅の割合を制御する方法であって、
a)上記アンテナへマイクロ波エネルギーを供給するステップと、
b)上記アンテナに隣接する組織の温度を測定するステップと、
c)上記測定される温度が予め決められた第1の温度に達すると、上記アンテナへのマイクロ波エネルギーの供給を止めるステップと、
c)上記測定される温度が予め決められた第2の温度まで降下すると、上記アンテナへの上記マイクロ波エネルギーの供給を再開するステップとを含む方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図2g】
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【図2h】
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【図2i】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−520622(P2006−520622A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503983(P2006−503983)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000392
【国際公開番号】WO2004/084748
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(502078169)ユニバーシティ オブ テクノロジー,シドニー (2)
【Fターム(参考)】