説明

医療デバイスをコーティングするシステムおよび方法

光開始剤が液状コーティングされたデバイスの表面上にコーティングポリマーをグラフト重合させるグラフト重合ステーションであって、i)デバイスを重合可能な溶液に浸漬させるグラフト重合タンクと、ii)グラフト重合タンク内に配置され、ガス供給路からの酸素消去ガスを重合可能な溶液中に拡散させるディフューザと、iii)デバイスをUV光にさらしてデバイス上の光開始剤を活性化するUV光源とを備え、グラフト重合が、デバイスを溶液に浸漬させ、一方、ガスを溶液中に拡散させ、デバイスをUV光源にさらすことによって行われるグラフト重合ステーション。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスをコーティングするシステムおよび方法に関する。特に、本発明は、医療デバイスの表面上にコーティングポリマーを光グラフト重合(photo−grafting)させる新規のシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願全体にわたって、本発明が関係する先行技術をより完全に説明するために様々な文献を引用する。これらの文献の開示は、引用によって本開示に全体的に組み込まれる。
【0003】
埋め込み型医療デバイスを使用することは現在の臨床慣習の重要な要素であるが、このようなデバイスを使用することによって合併症が生じる可能性がある。一般的な合併症としては、デバイスを挿入し継続的に使用することによって患者の組織に物理的な外傷が与えられることと、デバイスが微生物汚染の対象となる可能性があり、したがって、患者の微生物感染源となる恐れがあることが挙げられる。実際、尿道カテーテルまたは尿道ステントなど医療デバイスが留置されると、敏感な組織が傷ついたり出血したりして、それにより、デバイスが微生物汚染する、またはその後デバイスの表面に沿って微生物が移動することによって感染する可能性が生じるため、上記のような合併症が伴うことが多い。したがって、患者に臨床的に有利な材料で作られたより高品質の留置生物医学デバイスを開発することが望ましい。
【0004】
挿入に関連する外傷の問題に応じて、ポリマー医療デバイスに様々な親水性ポリマーがコーティングされ、デバイス上により摩擦が小さい、またはより潤滑性の高いコーティングが形成されている。コーティングされたデバイスは、乾燥時には摩擦の大きな表面を有するが、濡れると滑りやすくなり、静脈、動脈、および他の通路に容易に挿入できるようになり、組織の損傷が最小限に抑えられる。
【0005】
現在のグラフト法の大部分は、手動による複数の浸漬ステップおよび待機ステップと、その後に続く、デバイスを手動である溶液から別の溶液に移すことを必要とする、リソースと時間のかかる手順である。各溶液浸漬ステップ間に従来のデバイスが乾燥され、グラフト法を完了するのに必要な時間が延びる。たとえば、引用によって本明細書に全体的に組み込まれる出願人の特許文献1に移植方法が記載されている。しかし、この方法は、中間乾燥ステップを含み、一度にコーティングされるデバイスが1つであるためかなり時間と手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第02/070022号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6808738号明細書
【特許文献3】国際公開第09/015476号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、医療デバイスの表面上にコーティングポリマーを光グラフト重合させる効率的で効果的な装置およびシステムと、上記のグラフト重合ステーションを組み込んだ方法およびシステムを開発し、表面の潤滑性が高くかつ抗菌作用を有するという安定した望ましい特性を有し、したがって、先行技術に対する少なくとも1つの問題を解消する臨床的に有用なデバイスを作製する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、医療デバイスの表面上にコーティングポリマーを光グラフト重合させる新規の方法およびシステムである。本発明のシステムは、新規のグラフト重合システムを含む複数のステーションを備える。本発明のシステムおよび方法は時間と手間の両方の点で効率的である。本発明のシステムは、各々が浸漬タンクを含むいくつかのステーションを含む。本明細書で説明するシステムは、必要に応じて、医療デバイスを自動的にあるいは半自動的にあるいは手動で指定された順序で浸漬タンクに浸漬させるのを可能にし、この場合、少なくとも1つのステーションは、医療デバイスの表面上にコーティングポリマーを光グラフト重合させるグラフト重合ステーションである。このシステムは、モジュール式であり、ユーザの要件に応じて、必要に応じてプロセスを修正するのを可能にする。たとえば、システムは、コーティングに抗菌剤を取り込み、かつ/あるいはコーティングに潤滑性をもたせるステーションを備えてよい。
【0009】
本発明の一態様によれば、光開始剤(photoinitiator)が液状コーティングされたデバイスの表面上にコーティングポリマーをグラフト重合させるグラフト重合ステーションであって、
i)デバイスを重合可能な溶液に浸漬させるグラフト重合タンクと、
ii)グラフト重合タンク内に配置され、ガス供給路(gas feed)からの酸素消去ガスを重合可能な溶液中に拡散させるディフューザと、
iii)デバイスをUV光にさらしてデバイス上の光開始剤を活性化するUV光源とを備え、
グラフト重合が、デバイスを溶液に浸漬させ、一方、ガスを溶液中に拡散させ、デバイスをUV光源にさらすことによって行われるグラフト重合ステーションが提供される。
【0010】
一態様によれば、グラフト重合タンクは、UV光透過壁を備え、UV光源は、グラフト重合タンクの外側に光透過壁に隣接して配置される。
【0011】
一態様によれば、グラフト重合ステーションは、デバイスを支持し重合可能な溶液に浸漬させるレールを備える。一態様では、レールは、デバイスをレールに取り外し可能に取り付けるマンドレルを備える。一態様では、レールおよびマンドレルは、中空であり、マンドレルの孔で終わる連続するボアを画定し、酸素消去ガス(oxygen−scavenging gas)がこのボアを通ってレールからマンドレルに流入し、重合可能な溶液に流入する。
【0012】
一態様によれば、浸漬は、全自動式、半自動式、もしくは手動であり、かつ/またはプログラム可能なコンピュータの制御下にある。
【0013】
本発明の他の態様では、グラフト重合ステーションは、パレットを形成するように列状に配置された複数のレールを備える。パレットは、約200個のデバイスを支持することができる。各デバイスは、隣接するデバイス同士が接触しないようにレール上に支持されてよい。
【0014】
他の態様によれば、グラフト重合タンクはレールを受け入れるサイズを有する反応器を備える。前記反応器は、レールを開口部内に案内する傾斜したアームが両側に配置された開口部を備えてよい。反応器は、隣接するデバイス同士が互いに接触するのを防止する複数の分割器を備える。一態様によれば、グラフト重合ステーションは、縦列配置され、各々が個々のレールを受け入れるサイズを有する複数の反応器をさらに備えてよい。
【0015】
他の態様によれば、UV光透過壁は、石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスなどガラスを含む。グラフト重合ステーションは、2枚の対向する光透過壁を備えてよい。
【0016】
一態様では、UV光源は、複数のUVライトを備えるUVライトアセンブリであり、UVライトアセンブリは、各UVライトに独立に電力を供給するスイッチを備える。このスイッチは、全自動式、半自動式、または手動とすることができる。一態様では、UVライトアセンブリは、それぞれ25ワットの13個のUVライトを備える。
【0017】
一態様では、ディフューザは、グラフト重合タンクの内側の、タンクの底部の近くまたはタンクの底部に配置される。他の態様では、ガス供給路は、デバイスをUV光源にさらす前に作動され、かつ/あるいはデバイスをUV光源にさらすのと同時に作動される。ガス供給路は、調整可能であり、全自動式、半自動式、または手動とすることができる。
【0018】
一態様では、グラフト重合ステーションは、重合可能な溶液をグラフト重合タンクに移す供給タンクをさらに備えてよい。供給タンクは撹拌器を備えてよい。一態様のグラフト重合ステーションは、重合可能な溶液をグラフト重合タンクから移す排液タンクをさらに備え、排液タンクは撹拌器を備えてよい。
【0019】
他の態様によれば、グラフト重合ステーションは、全自動式であり、コンピュータシステムの制御下にある。
【0020】
他の態様によれば、重合可能な溶液は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、またはそれらの組み合わせなどモノマー溶液である。このモノマー溶液は、一態様では、アクリル酸およびアクリル酸メチルを含む。
【0021】
他の態様によれば、酸素消去ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され、一態様では窒素である。
【0022】
一態様では、UV光源は、約300nmから365nmの間など、約100nmから約400nmの間の波長を有する。
【0023】
他の態様では、光開始剤は、パーエステル、α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタル、ベンゾイン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。光開始剤は、たとえば、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン(DPA)、p−ベンゾイルtert−ブチル過安息香酸(BPB)、tert−ブチルペルオキシ安息香酸(TBP)、ベンゾフェノン(BP)、またはそれらの組み合わせを含んでよい。一態様では、光開始剤はベンゾフェノンおよびtert−ブチルペルオキシ安息香酸を含む。
【0024】
他の態様によれば、デバイスは、心臓弁、包帯材、ピン、クランプ、クリップ、注射器、注射器付属品、カテーテル、ドレーン、ステント、インプラント、チューブ、接眼レンズ、およびそれらの供給デバイスから成る群から選択される。一態様では、デバイスはカテーテルである。
【0025】
本発明の一態様によれば、デバイスの表面上にコーティングポリマーをグラフト重合させるシステムにおいて、
a)デバイスに光開始剤溶液をコーティングする光開始剤タンクを備える光開始剤ステーションと、
b) i)デバイスを重合可能な溶液に浸漬するグラフト重合タンク、
ii) グラフト重合タンク内に配置され、ガス供給路からの酸素消去ガスを重合可能な溶液中に拡散させるディフューザ、および
iii)デバイスをUV光にさらしてデバイス上の光開始剤を活性化するように位置するUV光源であって、グラフト重合が、デバイスを重合可能な溶液に浸漬させ、一方、ガスを溶液中に拡散させ、デバイスをUV光源にさらすことによって行われるUV光源
を備えるグラフト重合ステーションと、
c)デバイスを最初に乾燥させずに光開始剤タンクからグラフト重合タンクに移すレールと、を備えるシステムが提供される。
【0026】
一態様では、グラフト重合タンクは、UV光透過壁を備え、UV光源は、グラフト重合タンクの外側に光透過壁に隣接して配置される。
【0027】
一態様によれば、レールは、デバイスをレールに取り外し可能に取り付けるマンドレルを備える。レールおよびマンドレルは、中空であり、マンドレルの孔で終わる連続するボアを画定し、酸素消去ガスがこのボアを通ってレールからマンドレルに流入し、重合可能な溶液に流入する。一態様では、レールは、複数のデバイスを支持する。システムは、パレットを形成するように列状に配置された複数のレールを備え、このパレットは、約200個のデバイスを支持することができる。他の態様では、各デバイスは、隣接するデバイス同士が接触しないようにレール上に支持されてよい。
【0028】
他の態様によれば、グラフト重合タンクはレールを受け入れるサイズを有する反応器を備える。反応器は、レールを開口部内に案内する傾斜したアームが両側に配置された開口部を備えてよい。反応器は、隣接するデバイス同士が互いに接触するのを防止する複数の分割器を備える。一態様によれば、システムは、縦列配置され、各々が個々のレールを受け入れるサイズを有する複数の反応器をさらに備えてよい。
【0029】
他の態様によれば、光開始剤タンクはレールを受け入れるサイズを有する反応器を備える。反応器は、レールを開口部内に案内する傾斜したアームが両側に配置された開口部を備えてよい。反応器は、隣接するデバイス同士が互いに接触するのを防止する複数の分割器を備える。一態様によれば、システムは、縦列配置され、各々が個々のレールを受け入れるサイズを有する複数の反応器をさらに備えてよい。
【0030】
他の態様によれば、システムは、抗菌タンクを備え、抗菌剤を含む抗菌溶液をデバイスにコーティングする抗菌ステーションをさらに備える。一態様では、抗菌タンクは、レールを受け入れるサイズを有する反応器を備える。反応器は、レールを開口部内に案内する傾斜したアームが両側に配置された開口部を備えてよい。反応器は、隣接するデバイス同士が互いに接触するのを防止する複数の分割器を備える。一態様によれば、システムは、縦列配置され、各々が個々のレールを受け入れるサイズを有する複数の反応器を備える。
【0031】
他の態様によれば、抗菌剤は、クロルヘキシジン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、銀剤、もしくはそれらの組み合わせなど、抗細菌剤、抗真菌剤、またはそれらの組み合わせである。一態様では、銀剤は、リン酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、塩化銀、炭酸銀、ヨウ化銀、ヨウ素酸銀、窒化銀、ラウリル酸銀、スルファジアジン銀、パルミチン酸銀、およびそれらの組み合わせなど銀塩である。他の態様では、抗菌剤は、リポソーム、ミセル、マイクロカプセル、ミクロスフィア、ナノスフィア、またはそれらの組み合わせなど薬物担体に封入されかつ/あるいはそのような担体と組み合わされる。他の態様によれば、抗菌溶液は、ピロリドンカルボン酸(PCA)、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、またはそれらの組み合わせなど安定剤をさらに含む。
【0032】
他の態様によれば、システムは、表面酸化タンクを備え、水酸化ナトリウム、硫酸、または塩酸など苛性水溶液によってデバイスを前処理する表面酸化ステーションをさらに備える。表面酸化タンクは、温度調節システムをさらに備えてよい。一態様では、温度調節システムは、苛性水溶液の温度を、約20℃から約90℃の間など所望の温度から約10℃以内に維持する。表面酸化タンクは、取り外し可能なふたをさらに備えてよい。
【0033】
他の態様によれば、システムは、デバイスを洗浄する第1の洗浄タンクを備える第1の洗浄ステーションをさらに備える。システムは、デバイスを洗浄する第2の洗浄タンクを備える第2の洗浄ステーションをさらに備える。一態様では、第1の洗浄タンクは、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される洗浄液を含む。洗浄液はさらに、酢酸エチルなど混和性有機溶媒を最大で約1%含んでよい。一態様では、第2の洗浄タンクは純水を含む。
【0034】
他の態様によれば、システムは、デバイスを塩基性溶液でコーティングする第1のアルカリタンクを備える第1のアルカリステーションをさらに備える。システムは、デバイスを塩基性溶液でコーティングする第2のアルカリタンクを備える第2のアルカリステーションをさらに備える。一態様では、第1のアルカリステーションは、温度調節システムをさらに備える。一態様の温度調節システムは、塩基性溶液の温度を、約30℃から約70℃の間など所望の温度から約10℃以内に維持する。一態様では、塩基性溶液は、Trizma、水酸化ナトリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0035】
他の態様によれば、システムは、乾燥チャンバを備える乾燥ステーションをさらに備える。乾燥チャンバは、デバイスから滴るあらゆる残留溶液を排液する排液弁を備えてよく、乾燥チャンバに加熱空気を送る空気濾過加熱システムをさらに備えてよい。加熱空気は、一態様では、約周囲温度から約70℃の間の一定の温度である。
【0036】
他の態様によれば、各ステーションは、モジュール式であり、必要に応じて順序を決定することができる。たとえば、各ステーションは、縦列配置されてもあるいは馬蹄構成(horseshoe arrangement)に配置されてもよい。
【0037】
他の態様によれば、システムは、レールを受け入れ、上昇下降させて各タンクに出し入れするアームをさらに備える。システムはタンク当たり1つのアームを備えてよい。
【0038】
他の態様では、システムは全自動式であり、コンピュータシステムの制御下にある。
【0039】
本発明の他の態様によれば、複数の留置医療デバイスを潤滑性にしかつ抗菌性にするシステムであって、
a)光開始剤溶液を含む光開始剤ステーションと、
b)重合可能な溶液、ディフューザ、およびUV光源を備えるグラフト重合ステーションと、
c)塩基性溶液を含む第1の洗浄ステーションと、
d)塩基性溶液を含む第1のアルカリステーションと、
e)抗菌溶液を含む抗菌ステーションと、
f)塩基性溶液を含む第2のアルカリステーションと、
g)純水を含む第2の洗浄ステーションとを順に備え、
各デバイスを保持し、かつ各デバイスを乾燥させずにある溶液から次の溶液に移すパレットをさらに備えるシステムが提供される。
【0040】
他の態様では、システムは、光開始剤ステーションの前段に、各デバイスを前処理する表面酸化ステーションをさらに備える。
【0041】
他の態様では、システムは、第2の洗浄ステーションの後段に、各デバイスを乾燥させる乾燥ステーションをさらに備える。
【0042】
他の態様では、システムは、各デバイスをパレット上に装填する装填ステーションをさらに備える。
【0043】
他の態様では、システムは、各デバイスをパレットから取り出す取り出しステーションをさらに備える。
【0044】
他の態様では、各ステーションは、中央のキャリッジ(carriage)を囲む馬蹄形に配置される。このキャリッジは、パレットを受け入れ、かつパレットを上昇させて各溶液に出し入れするアームを備えてよい。キャリッジは、複数のパレットを受け入れ、かつそれらのパレットを上昇させて各溶液に出し入れする複数のアームを備えてよい。
【0045】
他の態様では、ある溶液から次の溶液へのパレットの移動は全自動式である。
【0046】
本発明の他の態様では、デバイスの表面上にコーティングポリマーをグラフト重合させる方法であって、
a)デバイスを光開始剤溶液に浸漬させるステップと、
b) デバイスを最初に乾燥させずに重合可能な溶液に浸漬させるステップと、
d)重合可能な溶液中に酸素消去ガスを拡散させるステップと、
e)デバイスにUV光を照射して光開始剤を活性化し、それによって表面上にコーティングポリマーをグラフト重合させるステップと、
f)デバイスを乾燥させるステップと,を含む方法が提供される。
【0047】
一態様では、デバイスは、光開始剤溶液に約20秒から約15分にわたって浸漬される。
【0048】
他の態様では、デバイスは、光開始剤溶液に約2分から約20分にわたって浸漬される。
【0049】
他の態様では、ガスを拡散させるステップは、UV光を照射するステップよりも前に行われる。他の態様では、ガスを拡散させるステップは、UV光を照射するステップと同時に行われる。
【0050】
一態様では、デバイスは約12時間にわたって乾燥される。
【0051】
他の態様では、この方法は、デバイスを光開始剤溶液に浸漬させるステップよりも前にデバイスを表示酸化溶液に浸漬させるステップをさらに含む。デバイスは、約20℃から約90℃の温度で約5分から約60分にわたって表面酸化溶液に浸漬されてよい。
【0052】
他の態様では、この方法は、デバイスを乾燥させるステップよりも前にデバイスを第1の洗浄溶液に浸漬させるステップをさらに含む。デバイスは、約5分から約30分にわたって第1の洗浄溶液に浸漬されてよい。
【0053】
他の態様では、この方法は、デバイスを乾燥させるステップよりも前にデバイスを第1のアルカリ溶液に浸漬させるステップをさらに含む。デバイスは、約30℃から約70℃の温度で約10分から約15分にわたって第1のアルカリ溶液に浸漬されてよい。
【0054】
一態様では、この方法は、デバイスを乾燥させるステップよりも前にデバイスを抗菌溶液に浸漬させるステップをさらに含む。デバイスは、約1分から約10分にわたって抗菌溶液に浸漬されてよい。
【0055】
一態様では、この方法は、デバイスを乾燥させるステップよりも前にデバイスを第2のアルカリ溶液に浸漬させるステップをさらに含む。デバイスは、約10分から約15分にわたって第2のアルカリ溶液に浸漬されてよい。
【0056】
他の態様では、この方法は、デバイスを乾燥させるステップよりも前にデバイスを第2の洗浄溶液に浸漬させるステップをさらに含む。デバイスは、約5分から約20分にわたって洗浄溶液に浸漬されてよい。
【0057】
他の態様によれば、この方法は、
a)デバイスを表面酸化溶液に浸漬させるステップと、
b)デバイスを光開始剤溶液に浸漬させるステップと、
c)デバイスを最初に乾燥させずに重合可能な溶液に浸漬させるステップと、
d)重合可能な溶液に酸素消去ガスを拡散させるステップと、
e)デバイスにUV光を照射して光開始剤を活性化し、それによって表面上にコーティングポリマーをグラフト重合させるステップと、
f)デバイスを第1の洗浄溶液に浸漬させるステップと、
g)デバイスを第1のアルカリ溶液に浸漬させるステップと、
h)デバイスを抗菌溶液に浸漬させるステップと、
i)デバイスを第2のアルカリ溶液に浸漬させるステップと、
j)デバイスを第2の洗浄溶液に浸漬させるステップと、
k)デバイスを乾燥させるステップと、を含む。
【0058】
他の態様では、この方法は、デバイスをパッケージ化するステップをさらに含む。この方法は、デバイスを滅菌するステップをさらに含んでよい。
【0059】
他の態様では、デバイスは、デバイスを各溶液に浸漬させるレール上に配置される。
【0060】
他の態様では、この方法は、全自動式、半自動式、または手動である。一態様では、この方法はコンピュータの制御下にある。
【0061】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになろう。しかし、当業者には、詳細な説明から本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正が明らかであるため、詳細な説明および特定の例が、本発明の実施形態を示しているが、一例としてのみ記載されていることを理解されたい。
【0062】
次に、添付の図を参照して、各実施形態について一例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明のシステムの各ステーションの順序の概略図である。
【図2】カテーテルを図1のシステムで使用できるように保持するレールの斜視図である。
【図3A】パレットとして形成された図2の複数のレールの斜視図である。
【図3B】図2のレールと一緒に使用されるマンドレルの斜視図である。
【図3C】レール上に取り付けられた図3Bのマンドレルの斜視図である。
【図4】図1のシステムの表面酸化ステーションの斜視図である。
【図5A】複数の反応器を示す図1のシステムの光開始剤ステーションの斜視図である。
【図5B】図5Aに示されているステーションの反応器の代替実施形態の斜視図である。
【図6A】図5の光開始剤ステーションと一緒に使用される供給タンクの側面図である。
【図6B】図6Aの供給タンクの斜視図である。
【図7】複数のグラフト反応器を示す図1のシステムのグラフト重合ステーションの斜視図である。
【図8】図7のグラフト重合ステーションのグラフト反応器の各構成要素の斜視図である。
【図9】図1のシステムの第1の洗浄ステーションの斜視図である。
【図10】図1のシステムの第1のアルカリステーションの斜視図である。
【図11】図1のシステムの抗菌ステーションの斜視図である。
【図12】図1のシステムの第2のアルカリステーションの斜視図である。
【図13】図1のシステムの第2の洗浄ステーションの斜視図である。
【図14】図1のシステムの乾燥ステーションの斜視図である。
【図15】各ステーションおよび補助機器を示す図1のシステムの概略図である。
【図16】各ステーションおよび補助機器を示す図1のシステムの斜視図である。
【図17】各ステーションおよび補助機器を示す図1のシステムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明は、医療デバイスの表面上にコーティングポリマーを光グラフト重合させるシステムおよび方法である。本発明のシステムは、グラフト重合ステーションを含む複数のステーションを備えている。本発明のシステムおよび方法は、容易であり、様々な異なる医療用途用の留置デバイスとして有用な潤滑性および/または抗菌性ポリマー表面を有する医療デバイスを大量にかつ効率的に作製するのを可能にする。本発明の方法は、医療デバイスの表面上にコーティングポリマーによるグラフト重合を容易にかつ確実に施す。また、このような表面は、臨床的な生体内での使用を容易にするように潤滑性にすることもできる。患者をさらに悪化させる恐れがあるような感染症を治療し、軽減し、防止し、かつ/あるいは最低限に抑えるように、医療デバイスの表面に抗菌剤を取り込むことによって医療デバイスの表面を抗細菌性および/または抗真菌性にすることもできる。
【0065】
[用語集]

「パレット」は、コーティング時にカテーテルなどの医療デバイスを保持するように構成されたラックである。一態様では、パレットは200個以上のカテーテルを保持するように構成された軽量で中空のアルミニウム製ラックである。他の態様では、カテーテルまたはその他の医療デバイスは、パレット内の、レールで形成された複数の列に保持される。「反応器」は、単一の列のそのような医療デバイス用に構成された浸漬タンクである。複数の列の医療デバイスを備えるパレットを処理する場合、反応器を有するステーションは、パレットレール当たり1つの、複数の反応器を必要とする。
【0066】
「タンク」または「浸漬タンク」は、処理時にパレットが降下される槽である。一態様では、浸漬タンクは、316グレードステンレススチールなどステンレススチールで構成された方形または矩形の槽であるが、当業者に理解されるように、浸漬タンクを任意の適切な形状または材料で形成できることを理解されたい。浸漬タンクは、重力によって単一の排液点に自由排液することができる。「反応器」が特殊な種類の浸漬タンクであり、以下に説明するシステムおよび方法では、当業者に理解される修正を施したうえで反応器と浸漬タンクを相互に使用できることを理解されたい。
【0067】
「ステーション」はコーティングプロセスにおける単一の点である。一態様では、各ステーションは、浸漬タンクまたは1組の反応器と、パレットを処理できるように上昇下降させて浸漬タンクに出し入れするのを容易にする機構と、コーティングプロセスにおけるそのステーションの目的に必要とされる必要な配管、機器、およびPLC制御装置とから成る。
【0068】
「スパージング」は、窒素、アルゴン、またはヘリウムなど化学的に不活性のガスを液体中に拡散させることを伴う技術と理解される。スパージングを使用して溶解したガス(たとえば酸素)を液体から除去することができる。
【0069】
「潤滑性」は、滑らかである、または滑りやすい性質を意味する。医療デバイスが潤滑性であると記載されるときは、デバイスが濡れたときに滑りやすくなり、静脈、動脈、およびその他の通路に容易に挿入することができ、組織の損傷が最低限に抑えられることが理解される。
【0070】
本明細書では次に、本発明について各図を参照して説明する。図示の実施形態では、システムはカテーテルをコーティングするのに使用される。図1は、本発明のシステムおよびその構成ステーションの概要を示している。図1に示されているように、9つのステーション、すなわち、表面酸化ステーション、光開始剤ステーション、グラフト重合ステーション、2つの洗浄ステーション、2つのアルカリステーション、抗菌ステーション、および乾燥ステーションがある。以下に説明するように、カテーテルは、ステーションごとに様々な溶液に浸漬される。図1に示されている概略図から、いくつかのステーションが、任意に設けられており、すべてのコーティングプロセスに必要なわけではないことが明らかである。しかし、本発明のシステムの様々な実施形態の各々に新規のグラフト重合ステーションが含まれることが理解されよう。
【0071】
次に、図2を参照すると、レール30が示されており、レール30上にカテーテル28が配置されている。レール30は、各ステーションにおけるタンクにいくつかのカテーテル28を浸漬させる働きをする。一態様では、各レール30は、陽極酸化された一列の中空のアルミニウム製マンドレル32が埋め込まれた中空のアルミニウム製押し出し成形部材から成っている。各マンドレル32は、カテーテル28の端部に挿入され、コーティングプロセス全体にわたってカテーテル28を所定の位置に保持する。カテーテル28は、溶液がカテーテル28の内部キャビティに流入できるようにマンドレル32に取り付けられている。カテーテル28は、マンドレル32上に、隣接するカテーテル28同士が互いに接触しないような密度で配置されている。
【0072】
図3Aに示されているように、一連のレール30がパレット34を形成するようにフレーム内に列状に組み立てられている。中空のレール30および中空のマンドレル32は、コーティングプロセスのいくつかの部分において窒素を分散させるのに使用される。窒素は中空のレール30を通って中空のマンドレル32に流入する。各マンドレル32は、窒素がマンドレル32からマンドレル32に取り付けられたカテーテル28に流入するのを可能にする孔を底端部に有している。窒素は次いで、カテーテル28の底部から流出し、カテーテル28が溶液に浸漬されるときに、窒素が溶液自体に流入する。パレット34は、カテーテル28が取り付けられた状態でステーションからステーションへと移される。
【0073】
マンドレル32が、任意の種類のデバイスを保持するように修正することができ、カテーテル28の保持に限定されないことを理解されたい。非限定的な一例では、次に図3Bおよび3Cを参照すると分かるように、コーティングすべきデバイスは一端にフランジを備えている。このようなデバイスの例として接眼レンズ供給デバイスがある。デバイスをマンドレル32上の所定の位置に保持するには、マンドレル32に、デバイスを受け入れて所定の位置に保持する係合部材33を設ければよい。一態様では、係合部材33はブラケットである。この態様では、マンドレルは、窒素がマンドレル32から各デバイスの内部に流入することができるようにマンドレルの長さに沿って複数の孔37を備えている。図3Cには、係合部材33を備える複数のマンドレル32が、レール30に取り付けられた状態で示されている。
【0074】
[表面酸化ステーション]
グラフト重合システムの第1のステーションは、引き続き遊離基化学作用(free radical chemistry)を介したポリマーグラフトが可能なようにカテーテル28の表面を活性化するための前処理表面酸化ステーション35である。表面酸化ステーション35は、極めて活性度の高いカテーテル28、または既存のポリマー結合を酸化させずに遊離基反応に関与できる可能性が低い他の医療デバイスに使用するための任意のステーションである。最初に表面酸化を行うことが有利な材料の例には、ポリテトラフルオルエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、およびポリオキシメチレンが含まれる。表面酸化ステーション35は、図4に示されているように浸漬タンク36を備えている。浸漬タンク36は、パレット34に含まれる200個のカテーテル28のすべてを保持するサイズを有している。浸漬タンク36には、たとえば水酸化ナトリウム、硫酸、または塩酸など塩基または酸の苛性水溶液を手動で充填することができる。表面酸化ステーション35は、浸漬タンク36の内容物を加熱し、温度を所望の温度から約10℃の範囲内に維持する温度調節システムを備えている。一態様では、所望の温度範囲は約20℃から約90℃の間である。浸漬タンク36は、浸漬タンク36が使用されていないときに溶液の蒸気を閉じ込めるための取り外し可能なふたも備えている。カテーテル28は、苛性溶液中に約5分から約60分にわたって留まる。
【0075】
[光開始剤ステーション]
図5Aに示されているように、グラフト重合システムにおける第2のステーションは光開始剤ステーション38である。光開始剤ステーション38は、カテーテルを浸漬させることのできる浸漬タンクを備えている。図示の実施形態では、浸漬タンクは、全体として200個のカテーテルを保持することのできるいくつかの光開始剤反応器40に分割されている。一態様では、各光開始剤反応器40は、図5Bに示されているように、カテーテルを反応器キャビティ内に案内するのを助ける傾斜したアーム41を備えている。光開始剤反応器40は光開始剤溶液を保持するが、溶液を節約し廃棄物を減らすためにタンクがいくつかの反応器40に分割されていることが理解されよう。しかし、この代わりに、光開始剤ステーション38は単に、200個のカテーテルをパレット34上に浸漬させる十分に大きな単一の浸漬タンクを備えてもよい。光開始剤反応器40は、内部の溶液の液位を検出する液位センサを備えている。一態様では、光開始剤溶液はベンゾフェノンとtert−ブチルペルオキシ安息香酸(tert− butylperoxybenzoate)の混合物である。カテーテルは、光開始剤溶液中に約20秒から約15分にわたって留まる。光開始剤反応器40は、タンクの外側に配置された液位センサによって容易になる同時充填を可能にするように相互に連結されている。光開始剤反応器40は、図6Aおよび6Bに示されているように手動であるいは供給タンク42を使用することによって充填することができる。
【0076】
供給タンク42は、頂部に溶液入口44を備え、底部に出口46を備えている。供給タンク42のサイズは、動作時に光開始剤反応器40を充填し、供給配管に液体を貯留するのに必要な体積と、安全率とに基づいて決定される。供給タンク42は、遠心ポンプを使用して光開始剤溶液を出口46を介して光開始剤反応器40に送る。遠心ポンプは、必要に応じて光開始剤反応器40を排液し、光開始剤溶液を側壁入口48を介して供給タンク42に戻し、弁を使用して溶液の流れを正しい流路に向けるように作用してもよい。光開始剤反応器40と同様に、供給タンク42も、タンク内に存在する溶液の体積を求めるための液位センサを備えている。充填動作と排液動作との間に、供給タンク42は光開始剤溶液を出口46から側壁入口48に再循環させ、それによって溶液を混合する。
【0077】
[グラフト重合ステーション]
図7に示されているように、グラフト重合システムにおける第3のステーションはグラフト重合ステーション49である。グラフト重合ステーション49は、カテーテルを浸漬させることができる浸漬タンクを備えている。図示の実施形態では、浸漬タンクは、全体として200個のカテーテルを保持することのできるいくつかのグラフト反応器50に分割されている。グラフト反応器50は、デバイスの表面上にグラフト重合されたときにコーティングポリマーを形成する重合可能な溶液を保持する。一態様では、重合可能な溶液は、アクリル酸とアクリル酸メチルの混合物などモノマー溶液である。次に図8を参照すると、単一のグラフト反応器50が示されている。各グラフト反応器50は、陽極酸化されたアルミニウム製フレーム52で形成されており、ガラスで作られたUV光透過壁54を備えている。一態様では、壁54は石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスで作られているが、約300nmよりも長い波長を有するUV光を透過することのできる任意の材料で壁54を作ることができることが理解されよう。各グラフト反応器50は、UV光を壁54を通してグラフト反応器50の内部に照射するUVライトアセンブリ56を両側に備えている。このように、カテーテル28を重合可能な溶液に浸漬させ、同時にUV光にさらすことができる。UVライトアセンブリ56は、コーティング中の医療デバイスのサイズおよび数に応じてライトの数を調整するスイッチを備えている。たとえば、UVライトアセンブリ56を「カテーテルモード」で動作させることができ、それによって、カテーテルの浸漬高さに必要なライトのみがオンにされる。一態様では、各UVライトアセンブリは、それぞれ25ワットの13個のライトを備えている。
【0078】
窒素ガスが、グラフト反応器50の底部内部に配置されたディフューザ58に送り込まれ、窒素ガスが重合可能な溶液に供給され、それによってスパージング(sparging)を実施して重合可能な溶液から酸素を除去する。一態様では、このスパージングは、カテーテル28がグラフト反応器50の内側の所定の位置に配置されている間に、カテーテル28がUV光にさらされる前に行われる。他の態様では、スパージングがUV光にさらされている間にさらに行われる。窒素ガスは、パレット34との連結部を有する窒素供給配管を使用してパレット34のレール30にも送り込まれる。圧力調整器およびゲージを含む窒素タンクが、窒素をグラフト反応器50に送る。送られる窒素は、当業者には理解されるように、グラフト反応器50内で適切なレベルのガス拡散を実現するように調整可能である。陽極酸化されたアルミニウムで作られた分割器60が各グラフト反応器50に挿入されており、各カテーテルがグラフトプロセス中に互いに接触するのを防止している。上記に光開始剤反応器40に関して論じたように、分割器60は、カテーテルを内部に案内する傾斜したアーム61を備えてよい。カテーテルは重合可能な溶液中に約2分から約20分にわたって留まる。
【0079】
グラフト重合ステーション49には供給タンク62および排液タンク63(図15〜17に示されている)が含まれている。これらのタンク62、63は、図6Aおよび6Bに示されているタンクと同様であり、重合可能な溶液をグラフト反応器50に移しかつグラフト反応器50から移すのに使用される。一態様では、グラフト重合ステーションの供給タンク62と排液タンク63の一方または両方は底部の近くに撹拌器を備えている。
【0080】
[第1の洗浄ステーション]
グラフト重合システムにおける第4のステーションは、カテーテル28を洗浄溶液に浸漬させる第1の洗浄ステーション64である。洗浄溶液は、たとえば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの混合物を含む。また、洗浄ステーションは、酢酸エチルなど微量(最大約1%)の他の混和性有機溶剤を含んでもよい。カテーテル28を洗浄溶液に浸漬させると、残留光開始剤または重合可能な溶液がカテーテルから除去される。第1の洗浄ステーションは、図9に示されているように、洗浄浸漬タンク66を備えている。洗浄浸漬タンク66は、200個のカテーテルを保持することができる。洗浄浸漬タンク66は、手動で充填可能であり、エタノールを排液する出口68を底部に備えている。洗浄浸漬タンク66は、浸漬タンク66が使用されていないときにエタノール蒸気を閉じ込めるための取り外し可能なふたも備えている。カテーテルは洗浄溶液中に約5分から約30分にわたって留まる。
【0081】
[第1のアルカリステーション]
グラフト重合システムにおける第5のステーションは、Trizma溶液、または水酸化ナトリウム、アンモニア、または炭酸ナトリウムなど1つまたは複数の塩基を含む溶液などの塩基性溶液にカテーテルを浸漬させる第1のアルカリステーション70である。第1のアルカリステーションは、図10に示されているようにアルカリ浸漬タンク72を備えている。アルカリ浸漬タンク72は、200個のカテーテル28を保持することができる。アルカリ浸漬タンク72は、入口74と、出口76と、アルカリ浸漬タンク72の下方に収納され、アルカリ溶液をアルカリ浸漬タンク72およびカテーテル28を通じて穏やかにかつ常に再循環させる再循環ポンプとを備えている。第1のアルカリステーション70は、同じくタンクの下方に収納され、アルカリ浸漬タンク72の内容物を加熱し、温度を所望の温度から約10℃の範囲内に維持する温度調節システムを備えている。一態様では、所望の温度範囲は約30℃から約70℃の間である。アルカリ浸漬タンク72は、純水を導入するための較正された流量計も備えている。第1のアルカリステーション70は、カテーテル28の表面を活性化し、グラフト重合システムにおける第6のステーションで銀イオンを受ける。
【0082】
[抗菌ステーション]
グラフト重合システムにおける第6のステーションは、銀溶液などの抗菌溶液にカテーテルを浸漬させる抗菌ステーション78である。この段階で、親水性抗菌剤およびそのような抗菌剤の混合物をカテーテル28に塗布できることが理解されよう。非制限的な例にはクロルヘキシジン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、シプロフロキサシン、およびゲンタマイシンが含まれる。通常、抗菌溶液は、それに含まれる抗菌剤の性質のために酸性である。抗菌ステーション78は、図11に示されているように、浸漬タンク、または相互に連結された一連の抗菌反応器80を備えている。抗菌反応器80は、上述の光開始剤反応器40に類似しており、カテーテルを反応器内に案内する傾斜したアームを備えてよい。この代わりに、上記に光開始剤ステーション38に関して説明したように、抗菌ステーション78を、200個のカテーテルをパレット34上に浸漬させる十分に大きな単一の浸漬タンクで構成してよいことも理解されよう。カテーテルは、抗菌溶液中に約1分から約10分にわたって留まる。抗菌ステーション78は、上記に光開始剤ステーション38を参照して説明した供給タンク42と同一の供給タンク81(図15〜17に示されている)も備えている。抗菌溶液は、抗菌剤だけでなく、銀が光の不安定化作用を受けないように保護する働きをするPCAおよびクリスタルバイオレットなど、コーティング安定性を推進する補助成分を含んでもよい。
【0083】
[第2のアルカリステーション]
図12に示されているように、グラフト重合ステーションにおける第7のステーションは第2のアルカリステーション82である。第2のアルカリステーション82が、上述の第1のアルカリステーション70に類似しており、アルカリ浸漬タンク84からなっており、該アルカリ浸漬タンク84は、入口86と、出口88と、アルカリ溶液を第2のアルカリ浸漬タンク82およびカテーテル28を通じて穏やかにかつ常に再循環させる再循環ポンプとを備えていることは明らかである。このステップは、抗菌溶液の酸性を補償し、抗菌溶液に浸漬させたために部分的に失われた可能性のあるコーティングの潤滑性を再生する。アルカリ浸漬タンク84は、第2のアルカリ溶液が加熱を必要としないため温度調節システムを必要としない。カテーテルは、第2のアルカリ溶液中に約10分から約15分にわたって留まる。
【0084】
[第2の洗浄ステーション]
図13に示されているように、グラフト重合システムにおける第8のステーションは、カテーテル28を純水中で洗浄する第2の洗浄ステーション90である。第2の洗浄ステーション90は、入口94から純水が導入される洗浄タンク92を備えている。水流は、較正された流量計を備える給水制御システムによって制御される。カテーテルは、約5分から約20分にわたって洗浄状態に維持される。
【0085】
[乾燥ステーション]
図14に示されているように、グラフト重合システムにおける第9のステーションは乾燥ステーション96である。乾燥ステーションは、200個のカテーテルを保持することのできる乾燥チャンバ98を備えている。乾燥プロセス中にカテーテルから滴るあらゆる溶液を排液する排液弁100が乾燥チャンバ98の底部に配置されている。約周囲温度から約70℃の間の一定の温度で空気を乾燥チャンバ98に供給する空気濾過加熱システムが、タンクの下方のタンクの近くに配置されている。乾燥チャンバ98に供給された空気流は、乾燥チャンバ98を通過する穏やかな空気流を生成するように流量が少なく圧力が低い。カテーテルは、乾燥チャンバ内で約10分から約30分にわたって乾燥され、次いで、乾燥ラックに移され、周囲温度および条件で少なくとも約12時間の乾燥時間にわたって乾燥される。
【0086】
特定の各製品が各溶液中でのそれ自体の特定の1組の理想的な滞留時間を有し、かつ上述の時間が非制限的とみなされることが理解されよう。本発明の各プロセスは、各ステップ間で製品が乾燥されないため「液状プロセス」とみなされる。このため、様々なステップ同士の間に乾燥が必要になるプロセスよりも高速の動作およびコーティングプロセスが可能になる。
【0087】
[グラフト重合システム]
本発明のグラフト重合システムの一態様は、上述の8つのステーションと補助機器とを備え、図15〜17に示されている。システムは、カテーテルをパレット34に取り付ける装填ステーション102および取り出しステーション104を備えてもよい。各ステーションは、システムの自動化を容易にし、様々なステーションおよび補助機器の設置面積を最小限に抑えるように、図15に示されているように一列に配置されても、あるいは図16および17に示されているように円形または馬蹄形に配置されてもよい。円形に配置するときは、パレット34を自動的に1つのステーションから次のステーションに移すことができるように各ステーションの円の中央に回転可能なキャリッジ106を配置してよい。キャリッジ106は複数のアーム108を備えており、各アーム上にパレット34を取り付けロックすることができる。パレット34は、キャリッジ106のアーム108に取り付けられると、独立に上下運動してシステムの様々なタンクに浸漬することができる。このように、各パレットは、各タンクにそれぞれの異なる時間にわたって独立に浸漬させることができる。各アーム108は、パレット34をタンクに浸漬させる手動または自動式の上昇下降機構を備えている。図示の実施形態では、キャリッジ106は、パレット34がグラフト重合ステーション49と組み合わされたアーム108に取り付けられた状態で示されている。パレット34は、グラフト反応器50に浸漬された状態で示されている。
【0088】
使用時には、各ステーションに適切な溶液が充填される。溶液は、たとえば、開示が引用によって本明細書に全体的に組み込まれる本出願人の特許文献2および特許文献3に記載された溶液のいずれかであってよい。本発明の光開始剤溶液に使用される適切な光開始剤は、パーエステル、α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタル、ベンゾイン、ならびにそれらの誘導体およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。具体的には、適切な光開始剤は、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン(DPA)、p−ベンゾイルtert−ブチル過安息香酸(BPB)、ベンゾフェノン(BP)、またはそれらの混合物であってよい。当業者には、本発明の方法で使用できる光開始剤の種類が容易に理解されよう。
【0089】
本発明の重合可能な溶液は、医療デバイスの表面上に光グラフト重合させることのできる任意の重合可能な成分を含んでよい。一態様では、重合可能な成分はモノマーである。本発明の重合可能な溶液に使用される適切なモノマーには、遊離基の存在に感応するモノマー、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、またはそれらの混合物など、遊離基重合化が可能なモノマーを含むが、それらに限定されない。好ましいモノマーはアクリル酸とアクリル酸メチルの組み合わせである。
【0090】
本発明のグラフト重合ステーション49に使用されるUV放射は、たとえば約100nmから約400nmの波長範囲であってよい。一態様では、波長範囲は約200nmから約200nmであり、他の態様では、約300nmから約400nmである。
【0091】
本発明の抗菌溶液に使用される抗菌剤は、一態様では、銀塩など銀成分である。本発明に使用するのに適した銀塩には、リン酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、およびそれらの混合物が含まれる。しかし、他の銀塩も本発明に使用するのに適切であり、そのような銀塩には、酢酸銀、安息香酸銀、塩化銀、炭酸銀、ヨウ化銀、ヨウ素酸銀、窒化銀、ラウリル酸銀、スルファジアジン銀、パルミチン酸銀、およびそれらの混合物が含まれるがそれらに限らない。銀は、リポソーム、ミセル、マイクロカプセル、ミクロスフィア、ナノスフィア、およびそれらの混合物など薬物担体に封入される、またはそのような担体と組み合わされてもよい。本発明の方法およびシステムは、好都合なことに、デバイスの表面から銀を長期有効期間にわたって徐々にかつ連続的に放出させる様々な銀塩と一緒に使用することができる。
【0092】
様々なタンクにその適切な溶液が充填された後、パレット上にカテーテルが装填され、パレットがキャリッジのアームに取り付けられる。所望のプロセスの規模が拡大されるのに応じて、1つのパレットをキャリッジの単一のアームに取り付けるか、あるいは1つのパレットをパレットの各アームに取り付けてよい。したがって、たとえば図16および17に示されているようにアーム当たり1つで最大で10個のパレットを任意の時間に処理することができる。キャリッジ上のアームの数を調整することによってパレットの数を調整することができ、かつ処理されるパレットの数が非限定的な数とみなされることが理解されよう。同様に、上記には、パレットがそれぞれ200個のカテーテルを保持すると記載されている。パレットが200個よりも少ない数のカテーテルを保持してよく、かつタンクおよびパレットを大きくすることによって、ずっと多くのカテーテルをパレットによって保持し、本明細書で説明するように処理することができることが理解されよう。カテーテルは、UV重合化ステップの間互いに実質的に接触しないかぎりパレットに任意の密度で保持できることが理解されよう。一態様では、カテーテルは、UV重合化ステップの間互いに接触しない。様々な製品をそれぞれの異なる密度でパレットに保持し、一方、UV重合化ステップの間互いに実質的に接触しない状態に維持することが可能である。
【0093】
カテーテルを含む各パレットは、装填された後、上述のようにステーションからステーションへと進んでいく。各パレットは、上記の説明では、表面酸化ステーションから、光開始剤ステーション、グラフト重合ステーション、第1の洗浄ステーション、第1のアルカリステーション、抗菌ステーション、第2のアルカリステーション、第2の洗浄ステーション、乾燥ステーションの順に処理される。しかし、個々の各プロセスの必要に応じてこの順序を修正、拡張、または縮小できることが理解されよう。たとえば、カテーテルに抗菌溶液をコーティングすることはあらゆる場合に望ましいわけではない。この場合、第2のアルカリステーションおよび抗菌ステーションを飛ばす、または完全に省略してよい。また、表面酸化ステーションおよび第1の洗浄ステーションは任意のステーションであり、飛ばされる、または省略されてよい。本発明のシステムは光開始剤ステーション、グラフト重合ステーション、および1つの洗浄ステーションを備えるだけでよいと考えられる。グラフト重合ステーションには、医療デバイスを上昇下降させるパレットを設けてもよい。グラフト重合ステーションおよびパレットにさらに光開始剤ステーションを設けてもよい。本明細書で説明するモジュール式システムおよび方法の様々な変形実施形態のいくつかの例が図1に概略的に示されている。カテーテルは、所望の全コーティングプロセスを完了した後、乾燥されパッケージ詰めされる。滅菌後、カテーテルの販売準備が完了する。
【0094】
上述の溶液は毎日交換することができるが、供給タンクおよび排液タンクを使用すると、溶液を再利用するのが容易になり、効率および経済性の点で有利である。たとえば、光開始剤溶液および抗菌溶液は、約5日分の連続処理時間にわたって再利用することができる。エタノール洗浄溶液は、約10日分の連続処理時間にわたって再利用することができる。他の溶液も再利用できるが、一態様では毎日交換される。
【0095】
上述の反応器、方法、およびシステムをカテーテル以外のデバイスに使用してもよいことが理解されよう。当業者によって、パレット構成に、カテーテル以外のデバイスを収容するように簡単な修正を施すことができる。たとえば、本発明は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオルガノシロキサン、ポリスルフォン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリシロキサン、シリコーン材料、ポリ(ジメチルシロキサン)含有ポリマーなどのポリマー材料で作られた任意のデバイスに有用である。このようなポリマーは通常、留置医療デバイス、ならびに心臓弁、包帯材、ピン、クランプ、クリップ、注射器およびその付属品、カテーテル、ドレーン、ステント、インプラント、チューブなどを備えるがそれらに限らないデバイス全般を含む様々な医療デバイスに臨床的に使用される。接眼レンズおよび/またはその供給デバイスなどデバイスのコーティングも考えられる。
【0096】
上述のシステムおよび方法を全自動化しても、部分的に自動化しても、あるいは完全に手動にしてもよいことが理解されよう。実際、「手動」とされている任意のステップを代わりに自動化してもよいと考えられる。パレットの装填、あるステーションから次のステーションへの移送、および取り出しは、手動で行われても、機械によって行われても、あるいはその組み合わせによって行われてもよい。上述の方法およびシステムは、カテーテルを販売できるようにパッケージ詰めする前または後にカテーテルを滅菌するステップをさらに含んでよい。
【0097】
(実施例)
[プロセスの概要]
一般に、デバイスコーティング手順における第1のステップは、ベンゾフェノン(BP)およびtert−ブチルペルオキシ安息香酸(TBP)など光開始剤を含むアルコール溶液に各サンプルを浸漬させることを含む。余分な溶液を除去する短時間の排液期間の後、アクリル酸(AA)およびアクリル酸メチル(MA)など親水性ビニルモノマーを含む水溶液に各サンプルを移す。モノマー溶液を長波長のUV光(約300nmから約365nm)にさらす前にモノマー溶液に窒素を拡散させることによって溶解した酸素を除去する。その後、親水性コーティングが新たにグラフト重合されたデバイスをエタノールなど適切な溶剤で洗浄し、残留光開始剤およびモノマーを除去する。同時に、ポリアクロル酸塩コーティングを洗浄して残留モノマー/ポリマーを除去し、浸漬ステップによって銀イオンが水性塩基(たとえば、トリス−[ヒドロキシメチル]アミノメタン)溶液に結合できるように活性化する。活性化されたコーティングを含むデバイスを銀塩溶液(たとえば、酢酸銀(AgOAc))に配置して銀イオンを結合する。銀溶液は、銀イオンを安定化するのを助け、カテーテルの脱色を防止するために、ピロリドンカルボン酸(PCA)および/またはトリアリルメタン染料ブリリアントグリーンなど銀安定剤を含んでもよい。通常、最終的に水性塩基溶液に浸漬させると、コーティングプロセスが完了する。次いで、カテーテルを空気中で周囲温度において最低12時間にわたって乾燥させる。
【0098】
実施例1:潤滑性シリコーンフォーリーカテーテル
以下のように、上述の概略的なコーティングプロセスを具体的にシリコーンフォーリーカテーテルに適用してカテーテルを潤滑性にした。
1.カテーテルを光開始剤BP(400mM)とTBP(400mM)のエタノール溶液に6分間浸漬させた。
2.カテーテルをアクリル酸(300mM)とアクリル酸メチル(50mM)の水性モノマー溶液に浸漬させ、Nガスによって6分間パージし、その後UV光を3分〜8分間照射した。
3.カテーテルをエタノールに5分間浸漬させた。
4.カテーテルを水性アルカリ50mM Trizma溶液(50±5℃)に10分間浸漬させた。
5.カテーテルをDI水で10分間洗浄した。
6.カテーテルを周囲温度で少なくとも12時間にわたって乾燥させた。
【0099】
実施例2:抗菌性および潤滑性のシリコーンフォーリーカテーテル
以下のように、上述の概略的なコーティングプロセスを具体的にシリコーンフォーリーカテーテルに適用してカテーテルを抗菌性にするとともに潤滑性にした。
1.カテーテルを光開始剤BP(400mM)とTBP(400mM)のエタノール溶液に6分間浸漬させた。
2.カテーテルをアクリル酸(300mM)とアクリル酸メチル(50mM)の水性モノマー溶液に浸漬させ、Nガスによって6分間パージし、その後UV光を3分〜8分間照射した。
3.カテーテルをエタノールに5分間浸漬させた。
4.カテーテルを水性アルカリ50mM Trizma溶液(50±5℃)に10分間浸漬させた。
5.カテーテルを水性AgOAc(10mM)、PCA(10mM)、およびブリリアントグリーン(0.16mM)溶液に1分〜2分間浸漬させた。
6. カテーテルを水性アルカリ10mM Trizma溶液に5分間浸漬させた。
7.カテーテルをDI水で10分間洗浄した。
8.カテーテルを周囲温度で少なくとも12時間にわたって乾燥させた。
【0100】
実施例3:抗菌性および潤滑性のポリウレタン中央静脈カテーテル
以下のように、上述の概略的なコーティングプロセスを具体的にポリウレタン中央静脈カテーテルに適用してカテーテルを抗菌性にするとともに潤滑性にした。
1.カテーテルを光開始剤BP(100mM)とTBP(100mM)のエタノール溶液に30秒間浸漬させた。
2.カテーテルをアクリル酸(200mM)とビニルアセトアミド(25mM)の水性モノマー溶液に浸漬させ、Nガスによって6分間パージし、その後UV光を1分〜3分間照射した。
3.カテーテルをイソプロパノールに5分間浸漬させた。
4.カテーテルを水性アルカリ50mM Trizma溶液(50±5℃)に10分間浸漬させた。
5.カテーテルをDI水で10分間洗浄した。
6.カテーテルを水性乳酸銀(10mM)、PCA(10mM)、およびクリスタルバイオレット(0.06mM)溶液に1分〜2分間浸漬させた。
7. カテーテルを水性アルカリ10mM Trizma溶液に15分間浸漬させた。
8.カテーテルをDI水で10分間洗浄した。
9.カテーテルを周囲温度で少なくとも12時間にわたって乾燥させた。
【0101】
実施例4:抗菌性および潤滑性のポリカーボネートスピンカラー
以下のように、上述の概略的なコーティングプロセスを具体的にポリカーボネートスピンカラーに適用してスピンカラーを抗菌性にするとともに潤滑性にした。
1.カラーを光開始剤BP(400mM)のイソプロパノール溶液に10分間浸漬させた。
2.カラーをアクリル酸(300mM)とアクリル酸メチル(50mM)の水性モノマー溶液に浸漬させ、Nガスによって6分間パージし、その後UV光を25分間照射した。
3.カラーをイソプロパノールに6分間浸漬させた。
4.カラーを水性アルカリ50mM Trizma溶液に6分間浸漬させた。
5.カラーを水性AgOAc(10mM)、PCA(10mM)、およびクリスタルバイオレット(0.04mM)溶液に10分間浸漬させた。
6. カラーをDI水で10分間洗浄した。
7.カラーを周囲温度で少なくとも12時間にわたって乾燥させた。
【0102】
実施例5:抗菌性ポリオキシメチレン静脈アクセスポート
以下に要約するように、最初に表面酸化処理を行い、次に本発明の光化学グラフト組成を塗布することによって、静脈アクセス用のポリオキシメチレン(Derlin(登録商標))埋め込み可能ポートのコーティングを実施した。
1.ポートを、85℃から95℃の間に維持した水性水酸化ナトリウム(2M)に90分間浸漬させた。
2.ポートをDI水で10分間洗浄した。
3.ポートをテトラヒドロフラン(THF)に10分間浸漬させた。
4.ポートを光開始剤BP(2M)とTBP(2M)のTHF溶液に6分間浸漬させた。
5.カテーテルをアクリル酸(300mM)とアクリル酸メチル(50mM)の水性モノマー溶液に浸漬させ、Nガスによって4分間パージし、その後、連続窒素パージを行いながらUV光を10分間照射した。
6.カテーテルをイソプロパノールに6分間浸漬させた。
7.カテーテルを水性アルカリ50mM Trizma溶液(50±5℃)に10分間浸漬させた。
8.カテーテルを水性酢酸銀(10mM)、PCA(10mM)、およびクリスタルバイオレット(0.30mM)溶液に5分間浸漬させた。
9. カラーをDI水で10分間洗浄した。
10.周囲温度で少なくとも12時間にわたって乾燥させた。
【0103】
上記の説明は、網羅的なものでも、本発明の範囲を限定するものでもない。特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱せずに上記の教示を考慮して多数の修正実施形態および変形実施形態が考えられる。本発明の使用には様々な特性を有する構成要素が必要とされることが企図されている。本発明の範囲は、あらゆる点において均等物を完全に認識して、添付の特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【符号の説明】
【0104】
28 カテーテル
30 レール
32 マンドレル
33 係合部材
34 パレット
35 表面酸化ステーション
36 浸漬タンク
38 光開始剤ステーション
40 光開始剤反応器
41 傾斜したアーム
42 供給タンク
44 溶液入口
46 出口
48 側壁入口
49 グラフト重合ステーション
50 グラフト反応器
52 陽極酸化されたアルミニウム製フレーム
54 UV光透過壁
56 UV光透過組立体
58 ディフューザ
60 分割器
61 傾斜したアーム
62 供給タンク
63 排液タンク
64 第1の洗浄ステーション
66 洗浄浸漬タンク
68 出口
70 第1のアルカリステーション
72 アルカリ浸漬タンク
74 入口
76 出口
78 抗菌ステーション
80 抗菌反応器
82 第2のアルカリステーション
84 アルカリ浸漬タンク
90 第2の洗浄ステーション
92 洗浄タンク
94 入口
96 乾燥ステーション
98 乾燥チャンバ
102 装填ステーション
104 取り出しステーション
106 キャリッジ
108 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光開始剤が液状コーティングされたデバイスの表面上にコーティングポリマーをグラフト重合させるグラフト重合ステーションであって、
i)前記デバイスを重合可能な溶液に浸漬させるグラフト重合タンクと、
ii)前記グラフト重合タンク内に配置され、ガス供給路からの酸素消去ガスを前記重合可能な溶液中に拡散させるディフューザと、
iii)前記デバイスをUV光にさらして前記デバイス上の光開始剤を活性化するUV光源と、を備え、
前記グラフト重合が、前記デバイスを前記溶液に浸漬させ、一方、前記ガスを前記溶液中に拡散させ、前記デバイスを前記UV光源にさらすことによって行われるグラフト重合ステーション。
【請求項2】
前記グラフト重合タンクは、UV光透過壁を備え、前記UV光源は、前記グラフト重合タンクの外側に前記壁に隣接して配置される、請求項1に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項3】
前記デバイスを支持し前記重合可能な溶液に浸漬させるレールをさらに備える、請求項1または2に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項4】
前記レールは、前記デバイスを前記レールに取り外し可能に取り付けるマンドレルを備える、請求項3に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項5】
前記レールおよびマンドレルは、中空であり、前記マンドレルの孔で終わる連続するボアを画定し、前記酸素消去ガスが前記ボアを通って前記レールから前記マンドレルに流入し、前記重合可能な溶液に流入する、請求項4に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項6】
前記マンドレルは、前記デバイスを支持する係合部材を備える、請求項4または5に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項7】
前記係合部材はブラケットである、請求項6に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項8】
前記浸漬は、全自動式、半自動式、または手動である、請求項1から7のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項9】
前記浸漬は全自動式である、請求項8に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項10】
前記浸漬は、プログラム可能なコンピュータの制御下にある、請求項9に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項11】
前記レールは複数のデバイスを支持する、請求項3から10のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項12】
パレットを形成するように列状に配置された複数のレールを備える、請求項3から11のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項13】
前記パレットは、約200個のデバイスを支持する、請求項12に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項14】
前記デバイスは、隣接するデバイス同士が接触しないように前記レール上に支持される、請求項11から13のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項15】
前記グラフト重合タンクは前記レールを受け入れるサイズを有する反応器を備える、請求項3から14のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項16】
前記反応器は、前記レールを開口部内に案内する傾斜したアームが両側に配置された前記開口部を備える、請求項15に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項17】
前記反応器は、隣接するデバイス同士が互いに接触するのを防止する複数の分割器を備える、請求項15または16に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項18】
縦列配置され、各々が個々のレールを受け入れるサイズを有する複数の反応器を備える、請求項15から17のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項19】
前記UV光透過壁はガラスを含む、請求項2から18のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項20】
前記ガラスは、石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスである、請求項19に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項21】
前記ガラスはホウケイ酸ガラスである、請求項20に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項22】
2枚の対向する光透過壁を備える、請求項2から21のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項23】
前記UV光源は、複数のUVライトを備えるUVライトアセンブリである、請求項1から22のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項24】
前記UVライトアセンブリは、前記各UVライトに独立に電力を供給するスイッチを備える、請求項23に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項25】
前記のスイッチの動作は、全自動式、半自動式、または手動である、請求項24に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項26】
前記スイッチの動作は全自動式である、請求項25に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項27】
前記UVライトアセンブリは、それぞれ25ワットの13個のUVライトを備える、請求項23から26のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項28】
前記ディフューザは、前記グラフト重合タンクの内側の、前記タンクの底部の近くに配置される、請求項1から27のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項29】
前記ディフューザは、前記グラフト重合タンクの内側の、前記タンクの底部に配置される、請求項28に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項30】
前記ガス供給路は、前記デバイスを前記UV光源にさらす前に作動される、請求項1から29のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項31】
ガス供給路は、前記デバイスを前記UV光源にさらすのと同時に作動される、請求項1から30のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項32】
前記ガス供給路は調整可能である、請求項1から31のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項33】
前記ガス供給路は、全自動式、半自動式、または手動である、請求項1から32のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項34】
前記ガス供給路は全自動式である、請求項33に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項35】
前記重合可能な溶液を前記グラフト重合タンクに移す供給タンクをさらに備える、請求項1から34のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項36】
前記供給タンクは撹拌器を備える、請求項35に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項37】
前記重合可能な溶液を前記グラフト重合タンクから移す排液タンクをさらに備える、請求項1から36のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項38】
前記排液タンクは撹拌器を備える、請求項37に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項39】
前記グラフト重合ステーションは、全自動式であり、コンピュータシステムの制御下にある、請求項1から38のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項40】
前記重合可能な溶液はモノマー溶液である、請求項1から39のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項41】
前記モノマー溶液は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項40に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項42】
前記モノマー溶液は、アクリル酸およびアクリル酸メチルを含む、請求項41に記載の
グラフト重合ステーション。
【請求項43】
前記酸素消去ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1から42のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項44】
前記酸素消去ガスは窒素である、請求項43に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項45】
前記UV光源は、約100nmから約400nmの間の波長を有する、請求項1から44のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項46】
前記UV光源は、約300nmから365nmの間の波長を有する、請求項45に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項47】
前記光開始剤は、パーエステル、α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタル、ベンゾイン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から46のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項48】
前記光開始剤は、たとえば、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン(DPA)、p−ベンゾイルtert−ブチル過安息香酸(BPB)、tert−ブチルペルオキシ安息香酸(TBP)、ベンゾフェノン(BP)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項47に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項49】
前記光開始剤はベンゾフェノンおよびtert−ブチルペルオキシ安息香酸を含む、請求項48に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項50】
前記デバイスは、心臓弁、包帯材、ピン、クランプ、クリップ、注射器、注射器付属品、カテーテル、ドレーン、ステント、インプラント、チューブ、接眼レンズ、およびそれらの供給デバイスから成る群から選択される、請求項1から49のいずれか一項に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項51】
前記デバイスはカテーテルである、請求項50に記載のグラフト重合ステーション。
【請求項52】
デバイスの表面上にコーティングポリマーをグラフト重合させるシステムにおいて、
a)前記デバイスに光開始剤溶液をコーティングする光開始剤タンクを備える光開始剤ステーションと、
b) i)前記デバイスを重合可能な溶液に浸漬するグラフト重合タンク、
ii)前記グラフト重合タンク内に配置され、ガス供給路からの酸素消去ガスを前記重合可能な溶液中に拡散させるディフューザ、および
iii)前記デバイスをUV光にさらして前記デバイス上の前記光開始剤を活性化するように位置するUV光源であって、前記グラフト重合が、前記デバイスを前記重合可能な溶液に浸漬させ、一方、前記ガスを前記溶液中に拡散させ、前記デバイスを前記UV光源にさらすことによって行われるUV光源、
を備えるグラフト重合ステーションと、
c)前記デバイスを最初に乾燥させずに前記光開始剤タンクから前記グラフト重合タンクに移すレールとを備えるシステム。
【請求項53】
前記グラフト重合タンクは、UV光透過壁を備え、前記UV光源は、前記グラフト重合タンクの外側に前記壁に隣接して配置される、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記レールは、前記デバイスを前記レールに取り外し可能に取り付けるマンドレルを備える、請求項52または53に記載のシステム。
【請求項55】
前記レールおよびマンドレルは、中空であり、前記マンドレルの孔で終わる連続するボアを画定し、前記酸素消去ガスが前記ボアを通って前記レールから前記マンドレルに流入し、前記重合可能な溶液に流入する、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記マンドレルは、前記デバイスを支持する係合部材を備える、請求項54または55に記載のシステム。
【請求項57】
前記係合部材はブラケットである、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記レールは複数のデバイスを支持する、請求項52から57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
パレットを形成するように列状に配置された複数のレールを備える、請求項52から58のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項60】
前記パレットは、約200個のデバイスを支持する、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記デバイスは、隣接するデバイス同士が接触しないように前記レール上に支持される、請求項58から60のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項62】
前記グラフト重合タンクは前記レールを受け入れるサイズを有する反応器を備える、請求項52から61のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項63】
前記反応器は、前記レールを開口部内に案内する傾斜したアームが両側に配置された前記開口部を備える、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記反応器は、隣接するデバイス同士が互いに接触するのを防止する複数の分割器を備える、請求項62または63に記載のシステム。
【請求項65】
縦列配置され、各々が個々のレールを受け入れるサイズを有する複数の反応器を備える、請求項62から64のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項66】
前記UV光透過壁はガラスを含む、請求項53から65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項67】
前記ガラスは、石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスである、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記ガラスはホウケイ酸ガラスである、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
2枚の対向するUV光透過壁を備える、請求項53から68のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記UV光源は、複数のUVライトを備えるUVライトアセンブリである、請求項52から69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
前記UVライトアセンブリは、前記各UVライトに独立に電力を供給するスイッチを備える、請求項70に記載のシステム。
【請求項72】
前記のスイッチの動作は、全自動式、半自動式、または手動である、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記スイッチの動作は全自動式である、請求項72に記載のシステム。
【請求項74】
前記UVライトアセンブリは、それぞれ25ワットの13個のUVライトを備える、請求項70から74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記ディフューザは、前記グラフト重合タンクの内側の、前記タンクの底部の近くに配置される、請求項52から74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記ディフューザは、前記グラフト重合タンクの内側の、前記タンクの底部に配置される、請求項75に記載のシステム。
【請求項77】
前記ガス供給路は、前記デバイスを前記UV光源にさらす前に作動される、請求項52から76のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項78】
ガス供給路は、前記デバイスを前記UV光源にさらすのと同時に作動される、請求項52から77のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項79】
前記ガス供給路は調整可能である、請求項52から78のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項80】
前記ガス供給路は、全自動式、半自動式、または手動である、請求項52から79のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項81】
前記ガス供給路は全自動式である、請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記重合可能な溶液を前記グラフト重合タンクに移す供給タンクをさらに備える、請求項52から81のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項83】
前記供給タンクは撹拌器を備える、請求項82に記載のシステム。
【請求項84】
前記重合可能な溶液を前記グラフト重合タンクから移す排液タンクをさらに備える、請求項52から83のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項85】
前記排液タンクは撹拌器を備える、請求項84に記載のシステム。
【請求項86】
前記重合可能な溶液はモノマー溶液である、請求項52から85のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項87】
前記モノマー溶液は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、4−ビニル安息香酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
前記モノマー溶液は、アクリル酸およびアクリル酸メチルを含む、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記酸素消去ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項52ら88のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項90】
前記酸素消去ガスは窒素である、請求項89に記載のシステム。
【請求項91】
前記UV光源は、約100nmから約400nmの間の波長を有する、請求項52から90のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項92】
前記UV光源は、約300nmから365nmの間の波長を有する、請求項91に記載のシステム。
【請求項93】
前記光開始剤タンクは、前記レールを受け入れるサイズを有する反応器を備える、請求項52から92のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項94】
前記反応器は、前記レールを開口部内に案内する傾斜したアームが両側に配置された前記開口部を備える、請求項93に記載のシステム。
【請求項95】
前記反応器は、隣接するデバイス同士が互いに接触するのを防止する複数の分割器を備える、請求項93または94に記載のシステム。
【請求項96】
縦列配置され、各々が個々のレールを受け入れるサイズを有する複数の反応器を備える、請求項93から95のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項97】
前記光開始剤は、パーエステル、α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタル、ベンゾイン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項52から96のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項98】
前記光開始剤は、たとえば、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン(DPA)、p−ベンゾイルtert−ブチル過安息香酸(BPB)、tert−ブチルペルオキシ安息香酸(TBP)、ベンゾフェノン(BP)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項97に記載のシステム。
【請求項99】
前記光開始剤はベンゾフェノンおよびtert−ブチルペルオキシ安息香酸を含む、請求項98に記載のシステム。
【請求項100】
抗菌タンクを備え、抗菌剤を含む抗菌溶液を前記デバイスにコーティングする抗菌ステーションをさらに備える、請求項52から99のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項101】
前記抗菌タンクは、前記レールを受け入れるサイズを有する反応器を備える、請求項100に記載のシステム。
【請求項102】
前記反応器は、前記レールを開口部内に案内する傾斜したアームが両側に配置された前記開口部を備える、請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
前記反応器は、隣接するデバイス同士が互いに接触するのを防止する複数の分割器を備える、請求項101または102に記載のシステム。
【請求項104】
縦列配置され、各々が個々のレールを受け入れるサイズを有する複数の反応器を備える、請求項101から103のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項105】
前記抗菌剤は、抗細菌剤、抗真菌剤、またはそれらの組み合わせである、請求項100から104のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項106】
前記抗菌剤は、クロルヘキシジン、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、銀剤、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項100から105のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項107】
前記銀剤は銀塩である、請求項106に記載のシステム。
【請求項108】
前記銀塩は、リン酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、塩化銀、炭酸銀、ヨウ化銀、ヨウ素酸銀、窒化銀、ラウリル酸銀、スルファジアジン銀、パルミチン酸銀、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項107に記載のシステム。
【請求項109】
前記銀塩は、リン酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項108に記載のシステム。
【請求項110】
前記抗菌剤は、薬物担体に封入されかつ/あるいはそのような担体と組み合わされる、請求項100から109のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項111】
前記薬物担体は、リポソーム、ミセル、マイクロカプセル、ミクロスフィア、ナノスフィア、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項110に記載のシステム。
【請求項112】
前記抗菌溶液は安定剤をさらに含む、請求項100から111のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項113】
前記安定剤は、ピロリドンカルボン酸(PCA)、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項112に記載のシステム。
【請求項114】
表面酸化タンクを備え、苛性水溶液によって前記デバイスを前処理する表面酸化ステーションをさらに備える、請求項52から113のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項115】
前記苛性水溶液は、水酸化ナトリウム、硫酸、および塩酸から成る群から選択される、請求項114に記載のシステム。
【請求項116】
前記表面酸化タンクは温度調節システムを備える、請求項114または115に記載のシステム。
【請求項117】
前記温度調節システムは、前記苛性水溶液の温度を、所望の温度から約10℃以内に維持する、請求項116に記載のシステム。
【請求項118】
前記所望の温度は約20℃から約90℃の間である、請求項117に記載のシステム。
【請求項119】
前記表面酸化タンクは、取り外し可能なふたをさらに備える、請求項114から118のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項120】
前記デバイスを洗浄する第1の洗浄タンクを備える第1の洗浄ステーションをさらに備える、請求項52から120のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項121】
前記デバイスを洗浄する第2の洗浄タンクを備える第2の洗浄ステーションをさらに備える、請求項120に記載のシステム。
【請求項122】
前記第1の洗浄タンクは、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される洗浄液を含む、請求項120または121に記載のシステム。
【請求項123】
前記洗浄液は、最大で約1%の混和性有機溶媒をさらに含む、請求項122に記載のシステム。
【請求項124】
前記混和性有機溶剤は酢酸エチルである、請求項123に記載のシステム。
【請求項125】
前記第2の洗浄タンクは純水を含む、請求項121から124のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項126】
前記デバイスを塩基性溶液でコーティングする第1のアルカリタンクを備える第1のアルカリステーションをさらに備える、請求項52から125のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項127】
前記デバイスを塩基性溶液でコーティングする第2のアルカリタンクを備える第2のアルカリステーションをさらに備える、請求項126に記載のシステム。
【請求項128】
前記第1のアルカリステーションは温度調節システムをさらに備える、請求項126または127に記載のシステム。
【請求項129】
前記温度調節システムは、前記塩基性溶液の温度を所望の温度から約10℃以内に維持する、請求項128に記載のシステム。
【請求項130】
前記所望の温度は約30℃から約70℃の間である、請求項129に記載のシステム。
【請求項131】
前記塩基性溶液は、Trizma、水酸化ナトリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項126から130のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項132】
前記塩基性溶液はTrizmaである、請求項131に記載のシステム。
【請求項133】
乾燥チャンバを備える乾燥ステーションをさらに備える、請求項52から132のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項134】
前記乾燥チャンバは、前記デバイスから滴るあらゆる残留溶液を排液する排液弁を備える、請求項133に記載のシステム。
【請求項135】
前記乾燥ステーションは、前記乾燥チャンバに加熱空気を送る空気濾過加熱システムをさらに備える、請求項133または134に記載のシステム。
【請求項136】
前記加熱空気は、約周囲温度から約70℃の間の一定の温度である、請求項135に記載のシステム。
【請求項137】
前記ステーションは、モジュール式であり、必要に応じて順序を決定することができる、請求項52から136のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項138】
前記ステーションは縦列配置される、請求項52から137のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項139】
前記ステーションは馬蹄構成に配置される、請求項52から137のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項140】
前記レールを受け入れ上昇下降させて前記各タンクに出し入れするアームをさらに備える、請求項52から139のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項141】
タンク当たり1つのアームを備える、請求項140に記載のシステム。
【請求項142】
前記システムは、全自動式であり、コンピュータシステムの制御下にある、請求項52から141のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項143】
前記デバイスは、心臓弁、包帯材、ピン、クランプ、クリップ、注射器、注射器付属品、カテーテル、ドレーン、ステント、インプラント、チューブ、接眼レンズ、およびそれらの供給デバイスから成る群から選択される、請求項52から142のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項144】
前記デバイスはカテーテルである、請求項143に記載のシステム。
【請求項145】
複数の留置医療デバイスを潤滑性にしかつ抗菌性にするシステムであって、
a)光開始剤溶液を含む光開始剤ステーションと、
b)重合可能な溶液、ディフューザ、およびUV光源を備えるグラフト重合ステーションと、
c)塩基性溶液を含む第1の洗浄ステーションと、
d)塩基性溶液を含む第1のアルカリステーションと、
e)抗菌溶液を含む抗菌ステーションと、
f)塩基性溶液を含む第2のアルカリステーションと、
g)純水を含む第2の洗浄ステーションと、を順に備え、
前記デバイスを保持し、かつ前記デバイスを乾燥させずにある溶液から次の溶液に移すパレットをさらに備えるシステム。
【請求項146】
前記光開始剤ステーションの前段に、前記デバイスを前処理する表面酸化ステーションをさらに備える、請求項145に記載のシステム。
【請求項147】
前記第2の洗浄ステーションの後段に、前記デバイスを乾燥させる乾燥ステーションをさらに備える、請求項145または146に記載のシステム。
【請求項148】
前記デバイスを前記パレット上に装填する装填ステーションをさらに備える、請求項145から147のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項149】
前記デバイスを前記パレットから取り出す取り出しステーションをさらに備える、請求項145から148のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項150】
前記ステーションは、中央のキャリッジを囲む馬蹄形に配置される、請求項145から149のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項151】
前記キャリッジは、前記パレットを受け入れ、かつ前記パレットを上昇下降させて前記溶液に出し入れするアームを備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項152】
前記キャリッジは、複数のパレットを受け入れ、前記パレットを上昇下降させて前記溶液に出し入れする複数のアームを備える、請求項150に記載のシステム。
【請求項153】
ある溶液から次の溶液への前記パレットの移動は全自動式である、請求項145から152のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項154】
前記デバイスはカテーテルである、請求項145から153のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項155】
デバイスの表面上にコーティングポリマーをグラフト重合させる方法であって、
a)前記デバイスを光開始剤溶液に浸漬させるステップと、
b)前記デバイスを最初に乾燥させずに重合可能な溶液に浸漬させるステップと、
d)前記重合可能な溶液中に酸素消去ガスを拡散させるステップと、
e)前記デバイスにUV光を照射して前記光開始剤を活性化し、それによって表面上に前記コーティングポリマーをグラフト重合させるステップと、
f)前記デバイスを乾燥させるステップと、を含む方法。
【請求項156】
前記デバイスは、前記光開始剤溶液に約20秒から約15分にわたって浸漬される、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
前記デバイスは、前記光開始剤溶液に約2分から約20分にわたって浸漬される、請求項155または156に記載の方法。
【請求項158】
前記ガスを拡散させる前記ステップは、前記UV光を照射する前記ステップよりも前に行われる、請求項155から157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記ガスを拡散させる前記ステップは、前記UV光を照射する前記ステップと同時に行われる、請求項155から158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記デバイスは約12時間にわたって乾燥される、請求項155から159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記デバイスを前記光開始剤溶液に浸漬させる前記ステップよりも前に前記デバイスを表示酸化溶液に浸漬させるステップをさらに含む、請求項155から160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記デバイスは、約20℃から約90℃の温度で約5分から約60分にわたって前記表面酸化溶液に浸漬される、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
前記デバイスを乾燥させる前記ステップよりも前に前記デバイスを第1の洗浄溶液に浸漬させるステップをさらに含む、請求項155から162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
前記デバイスは、約5分から約30分にわたって前記第1の洗浄溶液に浸漬される、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
前記デバイスを乾燥させるステップよりも前に前記デバイスを第1のアルカリ溶液に浸漬させるステップをさらに含む、請求項155から164のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
前記デバイスは、約30℃から約70℃の温度で約10分から約15分にわたって第1のアルカリ溶液に浸漬される、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記デバイスを乾燥させるステップよりも前に前記デバイスを抗菌溶液に浸漬させるステップをさらに含む、請求項155から166のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
前記デバイスは、約1分から約10分にわたって前記抗菌溶液に浸漬される、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
前記デバイスを乾燥させるステップよりも前に前記デバイスを第2のアルカリ溶液に浸漬させるステップをさらに含む、請求項155から168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記デバイスは、約10分から約15分にわたって前記第2のアルカリ溶液に浸漬される、請求項169に記載の方法。
【請求項171】
前記デバイスを乾燥させるステップよりも前に前記デバイスを第2の洗浄溶液に浸漬させるステップをさらに含む、請求項155から170のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
前記デバイスは、約5分から約20分にわたって前記洗浄溶液に浸漬される、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
a)前記デバイスを表面酸化溶液に浸漬させるステップと、
b)前記デバイスを前記光開始剤溶液に浸漬させるステップと、
c)前記デバイスを最初に乾燥させずに前記重合可能な溶液に浸漬させるステップと、
d)前記重合可能な溶液に前記酸素消去ガスを拡散させるステップと、
e)前記デバイスに前記UV光を照射して前記光開始剤を活性化し、それによって前記表面上に前記コーティングポリマーをグラフト重合させるステップと、
f)前記デバイスを第1の洗浄溶液に浸漬させるステップと、
g)前記デバイスを第1のアルカリ溶液に浸漬させるステップと、
h)前記デバイスを抗菌溶液に浸漬させるステップと、
i)前記デバイスを第2のアルカリ溶液に浸漬させるステップと、
j)前記デバイスを第2の洗浄溶液に浸漬させるステップと、
k)前記デバイスを乾燥させるステップと、を含む、請求項155から172のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
前記デバイスをパッケージ化するステップをさらに含む、請求項155から173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
前記デバイスを滅菌するステップをさらに含む、請求項155から174のいずれか一項に記載の方法。
【請求項176】
前記デバイスは、前記デバイスを前記溶液に浸漬させるレール上に配置される、請求項155から175のいずれか一項に記載の方法。
【請求項177】
前記方法は、全自動式、半自動式、または手動である、請求項155から176のいずれか一項に記載の方法。
【請求項178】
前記方法は全自動式である、請求項177に記載の方法。
【請求項179】
前記方法はコンピュータの制御下にある、請求項155から178のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図17】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図8】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2013−506037(P2013−506037A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531189(P2012−531189)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001498
【国際公開番号】WO2011/038483
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(507103732)コヴァロン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】