説明

医療ビデオ通信システム及び方法

医療通信システムが、医療支援を受ける者に配置される複数のエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40と、エンドユーザの音声/映像デバイスにより生成された音声/映像メッセージ90'を受信し、音声/映像レスポンス94を生成して目標とされたエンドユーザの音声/映像デバイスに送信するよう構成される医療サーバ10とを含む。上記医療サーバが、受信音声/映像メッセージを再生し、音声/映像レスポンスを記録するよう構成される音声/映像記録及び再生デバイス12を含み、上記エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイスが、上記サーバから受信される音声/映像レスポンス94'を再生するよう構成される。いくつかの実施形態では、各エンドユーザ音声/映像デバイスが、映像記録レンズ62と、マイク64と、音声/映像コンテンツの記録の間を除き、上記映像記録レンズを物理的にブロックするよう構成される自動レンズカバー63とを含む。いくつかの実施形態において、各エンドユーザ音声/映像デバイスが、消費者エンタテインメントデバイス50、52を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医療分野に関する。本願は、家、アパート、看護施設、ホスピス、病院、処置センタ等における患者の処置、ケア、監視等に用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
医療専門家と慢性疾患の患者との間のコミュニケーションの開かれた経路を維持することは、効果的な医療処置における認識された要素である。良好なコミュニケーションは一般に、よりポジティブな医療結果と相関する。貧弱なコミュニケーションは、さまざまな態様で患者に悪影響を与える可能性がある。患者のセルフケア(例えば、時間通りに薬物を飲む、運動及びダイエット療法を維持する等)が、用量又は他の治療的側面に関する患者の誤解を介して悪影響を受ける可能性がある。貧弱なコミュニケーションは、患者の心理的健康に悪影響を与え、例えば患者の落胆、無関心等をもたらす可能性がある。貧弱なコミュニケーションは、医学的な証拠となる生理的又は心理的症状を報告しない患者を生じさせ、又はコミュニケーション連鎖における斯かる報告の損失を生じさせる可能性がある。コミュニケーションが電話又は手紙に制限される場合、ジェスチャ、全体の態度等の非言語的なコミュニケーションは失われる。
【0003】
コミュニケーションの開かれた経路が有益であると認識されるが、欠点もある。医療専門家は、有益な専門介護者である。医師が患者からの電話呼び出し又は他の質問を絶えず受ける状況は、この資源の効果的な活用とは言えない。これは、良くあることだが、患者が孤独を感じ、話をしたいものの、特に医学的に関連する情報又は質問を持たない場合に特に当てはまる。斯かる心理的必要性は、重要であるが、心理学者、ケースワーカー又は他の担当者の介入を介してより好適に満たされる。
【0004】
医療従事者に負担を掛けないで有効なコミュニケーションを提供する試みとして、構造化されたコミュニケーション方法が通常は使用される。例えば、医師のオフィスへの電話呼出しは通常、電話をスクリーニングし、必要に応じてメッセージを受け付ける受付係により処理される。その後、医師は、重要であればメッセージを受信し、受付係を介して又は患者に対する直接の折り返し電話により患者に情報を伝える。これらの手法は、ミスコミュニケーション又はロストコミュニケーションが発生する多くの機会を与え、通常医師が自分の医療状態にほとんど関心がないと患者に感じさせたままにしてしまう。
【0005】
別の構造化されたコミュニケーション手法は、医療フォームである。斯かるフォームは、医療ケア環境においてどこにでもあり、通常は、患者が埋めるべき医療又は医学関連質問のアンケートを有する。家庭ケアに関して、例えばブロードバンドインターネット接続を介して斯かるアンケートを患者に電子的に送信することが知られている。アンケートを使用すれば、情報の書き込まれた記録(written record)が提供されるという利点を持つ。しかし、その情報の品質は、質問に関する患者の誤解、又は不完全若しくは誤った答えがもたらす患者の無関心により低下される可能性がある。更に、患者は、通常はフォームに記入することが好きではなく、この場合も、医師が患者を避けていると感じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医師のオフィス又は他の医療施設への定期的な訪問は、別のコミュニケーション経路を提供する。有利なことに、患者及び医師は、斯かる訪問の間、個人的な双方向の対話を行うことができる。しかしながら、この手法は医師にとって時間がかかり、スケジュールされた訪問は通常、それほど頻繁にあるわけではなく、しかも短いものである。それは、1回の訪問につき15分又はそれ未満に制限される場合もある。スケジュールされた訪問は、1ヶ月に1度、6ヶ月に1度、又は他のより散発的な頻度で行われる。従って、スケジュールされた訪問は、患者との開かれたコミュニケーション経路を維持するには不十分である。
【0007】
Motiva(登録商標)と呼ばれるテレビベースの対話式ヘルスケアプラットフォームが、Koninklijke Philips Electronics N.V. (Eindhoven, Netherlands)により開発された。このシステムは、スケジュール化された動機付けとなる、教育的な又は他の医学関連の音声/映像コンテンツを患者に送信し、生物測定データ、アンケートへの回答等を患者から受信することができる。コンテンツは、看護士又は他の介護者によりスケジュール化され、患者ごとに個人化される。
【0008】
スケジュール化されたコミュニケーション方法での問題は、その医療問題及び関心事が一般に事前に決定されたスケジュールに従わないことにある。患者は、看護士、医師又は他の医療関係者とのコミュニケーションを必要とする新たな症状又は他の医療状況を任意の時間に経験する場合がある。
【0009】
これまで、斯かる予定外の問題に対処するための主要な装置は電話であった。患者は、営業時間の間、医師のオフィスに電話をかけるか、又はおそらく営業時間外でも使用できる24時間利用可能なナースコールラインに電話をかける。斯かるいくつかの電話によるコミュニケーション経路は、緊急事態のためだけに意図される。電話によるコミュニケーション経路が、より幅広い目的に関して意図される場合、例えばより日常的な患者の質問に対処するために意図される場合でさえ、深刻な医療問題が出現するまで、患者がこの経路を使用しないようにすることは異常なことではない。電話による音声だけのコミュニケーションの性質は、患者に不満を与えたままにする。更に、突発的な電話によるコミュニケーションの性質は、応答する看護士が患者にとって無愛想又は冷淡であるように見える状況を作り出す可能性がある。
【0010】
以下は、上述した問題及び他を克服する、新規な及び改善された装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの側面によれば、医療通信システムが開示され、このシステムは、医療支援を受ける患者に配置される複数の患者音声/映像記録及び再生デバイスと、患者音声/映像デバイスにより生成された音声/映像メッセージを受信し、音声/映像レスポンスを生成して目標とされた患者音声/映像デバイスに送信するよう構成される医療サーバとを有し、上記医療サーバが、受信音声/映像メッセージを再生し、音声/映像レスポンスを記録するよう構成される音声/映像記録及び再生デバイスを含み、上記患者音声/映像記録及び再生デバイスが、上記サーバから受信される音声/映像レスポンスを再生するよう構成される。
【0012】
別の側面によれば、音声/映像記録及び再生デバイスが開示され、このデバイスは、映像記録レンズと、マイクと、音声/映像コンテンツの録音の間を除き、上記映像記録レンズを物理的にブロックするよう構成される自動レンズカバーとを有する。
【0013】
別の側面によれば、ある装置が開示され、この装置は、テレビ、DVD、セットトップボックス又は他の電子デバイスを制御するためのハンドヘルドリモコンであって、制御コマンドを入力するための触知的コントロールを含む、ハンドヘルドリモコンと、上記ハンドヘルドリモコンに構築される内蔵マイクと、上記ハンドヘルドリモコンから上記内蔵マイクにより拾われる音声を送信する送信機とを有する。
【0014】
別の側面によれば、関連する患者に配置される患者音声/映像記録及び再生デバイスと、上記患者に関するケア計画スケジュールを格納し、上記ケア計画スケジュールに基づき、対象とされた患者の上記音声/映像記録及び再生デバイスに音声/映像コンテンツを送信するよう構成される医療サーバとを含む医療通信ネットワークと連動する医療通信方法が開示される。この医療通信方法は、上記エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイスの1つを介して、上記医療通信ネットワーク越しに上記医療サーバに送信され、1つ又は複数の医療専門家に向けられる問い合わせを開始するステップと、上記起点となるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイスに関連付けられる上記エンドユーザと回答可能な医療専門家との間の双方向のリアルタイム音声/映像通話を生成するステップとを含む。
【0015】
別の側面によれば、医療通信システムが開示され、このシステムは、カメラと、ローカルストレージと、(i)消費者エンタテインメントデバイスと共働して音声/映像コンテンツを再生し、(ii)上記カメラと共働して音声/映像コンテンツを記録し、(iii)上記ローカルストレージに音声/映像コンテンツを格納し、(iv)音声/映像メッセージ及び回答を通信リンクを介して上記医療サーバとの間で送受信し、及び(v)少なくとも、上記医療サーバから受信される予め記録された音声/映像コンテンツの選択的な再生、上記医療サーバに対する音声/映像メッセージの記録及び送信、並びに上記医療サーバからの音声/映像レスポンスの受信及び再生を可能にする、上記消費者エンタテインメントデバイスと共働するグラフィカルユーザインタフェースを提供するプロセッサとを有する。
【0016】
別の側面によれば、医療通信方法が開示され、この方法は、通信経路を介して医療サーバからエンドユーザの居住地へ音声/映像コンテンツを送信するステップと、上記エンドユーザの居住地に配置されるテレビで上記送信される音声/映像コンテンツを再生するステップと、上記エンドユーザの指示(instigation)で音声/映像メッセージを記録するステップと、上記音声/映像コンテンツが送信されるのと同じ通信経路を介して、上記エンドユーザから上記医療サーバへと上記記録された音声/映像メッセージを送信するステップと、上記音声/映像コンテンツが送信されるのと同じ通信経路を介して、上記医療サーバから音声/映像レスポンスを受信するステップと、上記エンドユーザにより視聴可能な上記テレビで上記受信音声/映像レスポンスを再生するステップとを有する。
【0017】
1つ利点は、医療専門家と慢性疾患の患者との間のコミュニケーションが改善される点にある。
【0018】
別の利点は、患者の態度及び結果が改善される点にある。
【0019】
別の利点は、健康管理費用が減らせる点にある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】説明的な医療通信システムを図式的に示す図である。
【図2】図1の説明的な医療通信システムの医療サーバの説明的な実施形態を図式的に示す図である。
【図3A】図1の説明的な医療通信システムのエンドユーザ音声/ビデオ記録及び再生デバイスのうちの1つの説明的な実施形態を図式的に示す図であり、音声/映像コンテンツを記録していないときの説明的なエンドユーザデバイスを示す図である。
【図3B】図1の説明的な医療通信システムのエンドユーザ音声/ビデオ記録及び再生デバイスのうちの1つの説明的な実施形態を図式的に示す図であり、音声/映像コンテンツを記録しているときの説明的なエンドユーザデバイスを示す図である。
【図4】図1の説明的な医療通信システムにわたる、説明的な音声/映像コンテンツ、メッセージ、及び応答転送を図式的に示す図である。
【図5】マイクを含むハンドヘルドリモコンの透視図を図式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の更に追加的な利点は、以下の詳細な説明を読み及び理解することにより当業者に認識されるだろう。
【0022】
図1を参照すると、医療通信システムは、ストレージを持ち、音声/映像記録及び再生デバイス12を含む医療サーバ10を含む。医療サーバ10は、アドレス付けされた態様でデータを送信及び受信するためにインターネット14と動作可能に接続される。例えば、インターネットプロトコル/伝送制御プロトコル(IP/TCP)レベルで、医療サーバは、図1において「IP#S」と図式的に示されるインターネットプロトコル(IP)アドレスを用いてアドレス付けされる。ハイパテキスト転送プロトコルレベル(http、即ち、ワールドワイドウェブレベル)で、サーバは、例えば、「http://www.medserver.com/」といったユニフォームリソースロケータ(URL)により適切に特定されることができる。このURLは、ドメインネームシステム又はサービス又はサーバ(DNS)ルックアップを用いてIPアドレスに変換される。いくつかの実施形態において、IPアドレスは動的に変化し、URL及び適切に更新されたDNSが、IPアドレスへの変換を提供する。図示された実施形態は相互通信のためインターネット14を使用するが、例えばイーサネット又は無線イーサネットといった別のネットワークを使用することも想定される。イーサネットベースの通信のため、媒体アクセス制御(MAC)アドレスが適切に使用される。通信経路は、例えば図示された実施形態におけるサーバ端部でイーサネットリンクを持つインターネット14といった複数の通信媒体を含むことができる。
【0023】
図2を参照すると、説明的な医療サーバ10は、ストレージを含む又はストレージにアクセスする中央処理ユニット(CPU)20を含み、無線LAN(例えばWLAN又はWiFi)、例えば有線イーサネットといった有線ネットワーク、又は有線及び無線ローカルネットワークのいくつかの組合せをサポートする。図2の説明的な実施形態において、WLANは、例えば図示された無線アクセスポイント22といった無線アクセスポイントで、例えば図示されたノートブックコンピュータ24、デスクトップコンピュータ又はダム端末等の適切なデジタルデバイスによりアクセスされる。アクセスしているデジタルデバイスは、映像を表示するディスプレイ26と、例えば図示されたキーボード28及びタッチパッド29といった1つ又は複数の入力デバイスとを提供する。医療従事者は、医療サーバ10と通信するノートブックコンピュータ24又は他のアクセスデバイスを使用する。斯かる医療従事者は、例えば、看護士アシスタント、看護士、医師、医療管理者、医療又は医学関連組織で働くサポート又は契約労働者等を含むことができる。
【0024】
図示される実施形態において、アクセス側のデジタルデバイスは、音声/映像記録及び再生デバイス12も規定する。ノートブックコンピュータ24は、映像再生を提供するためのディスプレイ26を含み、通常は、音声再生を提供するための内蔵スピーカも含む。代替的に又は追加的に、外部スピーカ(図示省略)がコンピュータに接続されることができる。記録のため、図示されたカメラ30は、映像記録レンズ32及びマイク34を含む。オプションでインジケーターライト36又は他のインジケータが、記録の間点灯する。さまざまな実施形態において、カメラは、コンピュータに一体化されることができるか、又は独立型ビデオカメラ等として実現されることができる。いくつかの実施形態において、医療関係者がビデオに記録されることが望ましくない場合がある。斯かる状況において、医療関係者の映像は、適切なアバターエンジン38により実現される医療専門家を擬態する適切なアニメの仮想アバターにより置換されることができる。(アバターエンジン38が、図式的に図示され、ノートブックコンピュータ24で実行されるソフトウェアとして、又はサーバのCPU20で実行されるソフトウェア等として物理的に実現されることができる。)。
【0025】
図1を参照すると、医療サーバ10は、かなりの数の慢性疾患の患者、高齢患者、病気の人又は他のエンドユーザにサービスを提供するよう意図される。本書で使用される用語「患者」は、病院における従来の患者だけでなく、外来患者、慢性的状態のため継続的な外来患者タイプの医療ケア下にある慢性疾患の人、医師のオフィスへの定期的な訪問を介して医療監視が進行中の初老又は虚弱な人等を含んで広く解釈されるべきである。1つの手法において、サービスを提供される人は、医療サーバ10によりサービスを提供される仮想コミュニティのメンバーである。コミュニティメンバーは、例えば仮想医療コミュニティに参加するためにサインアップし、又は他の態様で同意する、医療施設の患者、病院システムの外来患者、療養所の入所者、退職者(retiree)等を含むことができる。斯かる仮想コミュニティは、参加したい人が誰でも参加することができるようオープンとすることができるか、又は、例えば後援企業の退職者又は選択された医療施設若しくは医療システムの患者といった特定の種類のメンバーに制限されることもできる。仮想コミュニティは、分散型コミュニティであり、コミュニティメンバーは、自身の家又は療養所に居住する。各コミュニティメンバーは、インターネット14を介して医療サーバ10と動作可能に接続されるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40を持つ。斯かるアクセスは、例えば、図示されるようにエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40のIPアドレスを用いて処理される。その結果、医療サーバ10からの通信が、特定のエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40に向けられることができる。図1において4つのエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40が例として図示されるが、通常は、数十、数百又はそれ以上のエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイスが存在することができる。通常は、エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40は、関連付けられるエンドユーザの居住地(例えば、家、アパート、療養所の部屋、ホスピスの部屋、退職者コミュニティの部屋等)に配置される。
【0026】
図2を参照すると、このかなりの数のエンドユーザを収容するために、患者データベース42が医療サーバ10に設けられる。患者データベース42は通常、各エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40に対するアドレス情報、例えば図示されたIPアドレスを含む。いくつかの実施形態において、患者データベース42は、更に、各エンドユーザに向けられる音声/映像コンテンツ又は他の情報をスケジューリングするケア計画スケジュール44を含む。従って、例えば、心臓に問題のあるエンドユーザは、心臓治療映像、ダイエット映像等に関してスケジュール化されることができ、一方、糖尿病を患うエンドユーザは、インスリン注射の指導映像、低塩ダイエット映像等に関してスケジュール化されることができる。
【0027】
図2は、例示的な医療サーバ10を図式的に図示する。より一般に、医療サーバは、ハードウェア及びソフトウェアのさまざまな組合せにより実現されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、単一のコンピュータが、サーバとして機能すると共に、音声/映像記録及び再生デバイスを実現することを含めたユーザインタフェースを提供することができる。他の実施形態において、サーバは、コンピュータのクラスタ又はネットワーク等により実現されることができる。単一のインタフェースのノートブックコンピュータ24が例として図示されるが、可能性として十、百又はそれ以上の数の多数の医療従事者が、1、2、数個、数十、数百又はそれ以上のコンピュータ又は他のインターフェースデジタルデバイスを介して医療サーバ10にアクセスすることも想定される。いくつかの実施形態において、いくつかの斯かるインターフェースコンピュータ又はデジタルデバイスは、音声/映像記録及び再生デバイスを省略することができるか、又は記録機能を省略することができる。
【0028】
図1を引き続き参照しつつ、図3A及び3Bを更に参照すると、エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40が、例として図式的に示される。エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40は、典型的な医療関係者と比較した場合の典型的なエンドユーザ間の実質的な違いを反映するという特定の態様で、医療サーバ10の音声映像記録及び再生デバイス12とは異なる。エンドユーザは、年配者でより虚弱であり(即ちあまり健康でない)、全体として医療従事者より技術に弱い面がある。例えば、エンドユーザの中には、コンピュータに対して不快さを感じるか、又は物理的若しくは心理的制限が原因でコンピュータを操作することができない場合がある。これらの懸念を軽減するため、図示されたエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40は、例えば図示されたテレビ50及びDVDプレーヤ52といった消費者向けエンタテインメントデバイスの周りに構築される。テレビ50は、スタンダードデフィニションテレビ又はハイデフィニションテレビとすることができ、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用することができ、及び内蔵オーディオスピーカを含むことができるか又は外部スピーカ若しくは例えばサラウンドシステムといった外部サウンドシステムと接続されることができる。DVDプレーヤ52はオプションで、省略されるか、又はビデオカセットレコーダ(VCR)、DVD記録デバイス、デジタルビデオレコーダ(DVR)等で置換若しくは補完されることができる。消費者向けエンタテインメントデバイスはオプションで、例えば、ゲーム機、ケーブルテレビボックス、サテライトディッシュ等の他の要素を含む。
【0029】
エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40は、更に、インターネット14を介して医療サーバ10とのインタフェースを容易にするプロセッサ54を含む。図示されたプロセッサ54は、例えば図示されたセットトップボックス56又は他のユニットといった専用の筐体に収納され、それ故、プロセッサ54はファントムにおいて示される。他の実施形態において、プロセッサは、テレビ50に一体化されることができ、又はケーブルボックス(図示省略)、インターネットインタフェース又はゲートウェイ等に一体化されることができる。図示されたセットトップボックス56は、例えば図示されるハードドライブといったデータストレージ58も収容する。このデータストレージも、セットトップボックス56内に含まれるのでファントムで示される。他の実施形態において、データストレージは、例えばフラッシュメモリといったソリッドステート電子記憶媒体、例えば記録可能な光学ドライブといった光学媒体等を含むことができる。
【0030】
従来において知られるように、図示されるテレビ50及びDVDプレーヤ52といった消費者向けエンタテインメントデバイスは、1つ又は複数のハンドヘルドリモコンにより共通に制御される。図示される実施形態において、共通のハンドヘルドリモコン60は、テレビ50、DVDプレーヤ52及びセットトップボックス56を作動するために有効である。例えば、ハンドヘルドリモコン60は、複数のデバイス50、52、56を制御するよう容易に構成される市販のユニバーサルタイプリモコンとすることができる。他の実施形態において、病気の人、虚弱な人、視力の弱い人又は他の態様で障害のあるエンドユーザでも使い易くするため、ハンドヘルドリモコン60は、例えば、かなり大きい形状にされたボタン、簡略化された制御等を含む特別に構築されたリモコンとすることができる。図示されたハンドヘルドリモコン60はすべてのデバイス50、52、56の制御を可能にするユニバーサルタイプのリモコンであるが、消費者向けエンタテインメントデバイス50、52を制御するための1つ又は複数の他のハンドヘルドリモコンとは別の分離したハンドヘルドリモコンを用いてセットトップボックス56が作動されることも想定される。
【0031】
いくつかの実施形態において、エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40は、例えばリビングルーム又はベッドルームといったエンドユーザの家に配置される。従って、エンドユーザの中には、個人の、特にエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40での音声/映像記録機能に関する、プライバシー及びセキュリティを心配する人がいる。これらの懸念を軽減するために、記録要素はオプションで、エンドユーザの認識及び制御なしに記録が内密に実行されないようにしてエンドユーザを安心させる構成になっている。図示されたエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40において、映像記録レンズ62は、音声/映像コンテンツの記録の間以外は、(図3Aに示されるように)映像記録レンズ62を物理的にブロックするよう構成される自動レンズカバー63を含む(図3Bに示されるように、自動レンズカバー63は、映像記録レンズ62が現れるよう自動的に退避移動される)。即ち、映像が記録されているときはいつでも開いておりそうでないときは閉じているよう、自動レンズカバー63はプログラム又は他の態様で連動される。使用中ではないとき、映像記録レンズ62を視野から物理的にブロックすることにより、エンドユーザは、自分のプライバシーについて安心する。同様に、マイク64は、記録の間、セットトップの筐体から少なくとも部分的に顔を出すよう構成され(図3Bに示される)、そうでないときは筐体に格納されるよう構成される(図3Aに示される)。斯かる格納動作が実際に録音を防止するわけではないが、にも関わらず、使用されていないときマイク64を隠すことは、エンドユーザを安心させることができる。
【0032】
図3A及び3Bは、例示的なエンドユーザ音声/映像記録デバイス40を図式的に図示する。例えば、図示された実施形態は、有利には既存のテレビ50を使用する。しかしながら、プロセッサ、ハードドライブ及びオプションで他の要素を単一の筐体に一体化する専用の消費者向けエンタテインメントデバイスにより、テレビを置換することも想定される。自動ブロックレンズカバー63を備える図示された映像記録レンズ62及び格納式マイク64が、有利には自分のプライバシー及びセキュリティに関してエンドユーザを安心させるが、他の実施形態では、斯かるプライバシー安心機能のない記録デバイスも想定される。他方、自動ブロックレンズカバー63及び格納式マイク64が、開示された医療通信システムに限定されないより広い用途に適用されることになる点を理解されたい。例えば、自動ブロックレンズカバー63は、対象者のプライバシー及びセキュリティを保証することが有利である任意の状況で有用に使用されることができ、例えば児童を記録するスタジオのカメラ、ドライバの免許関連で使用するためドライバを撮影するのに使用されるカメラ等において使用されることができる。
【0033】
図1、図3A及び図3Bを引き続き参照しつつ、図4を更に参照すると、図示された医療通信システムの典型的な処理が記載される。医療通信システムは通常、医療サーバ10から対象とされるエンドユーザまでコンテンツを通信するのに使用される。このため、ケア計画スケジュール44に基づき、医療サーバ10は、エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40に対して予め記録された音声/映像コンテンツ70を送信することにより、特定のエンドユーザに向けて予め記録された音声/映像コンテンツ70を伝達する。例えば、IP/TCPにおいて、斯かる行き先指定(targeting)は、目標となるアドレスに関するデバイス40のIPアドレスを用いて、予め記録された音声/映像コンテンツ70をエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40に送信することにより、適切に実現される。代替的に、予め記録されたコンテンツは、対象とされたエンドユーザのセットトップボックス56上に格納されることができる。医療サーバ10は、提示される斯かる予め記録されたコンテンツ部分の識別子を伝達する。
【0034】
予め記録された音声/映像コンテンツ70の選択は、対象とされたエンドユーザに関する健康懸念、問題、健康維持等に関連するよう、ケア計画スケジュール44に基づき選択される。例えば、エンドユーザが心臓の問題を持つ場合、予め記録された音声/映像コンテンツ70は、運動映像、ダイエットレッスン、薬の摂取に関する指示等を含むことができる。予め記録された音声/映像コンテンツ70は、激励メッセージを含むこともできる。いくつかの実施形態において、予め記録された音声/映像コンテンツ70は、構造化された態様で対話式である。例えば、予め記録された音声/映像コンテンツ70は、エンドユーザがハンドヘルドリモコン60を用いて回答を入力することにより応答する対話式調査を含むことができる。これらの構造化されたレスポンスは、インターネット14を介して医療サーバ10に送信される。
【0035】
エンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40において、送信された予め記録された音声/映像コンテンツ70は、例えばハードディスク58に格納され、エンドユーザの要求で再生される。適切な手法において、プロセッサ54は、テレビ50と共働するグラフィカルユーザインタフェースを提供する。このインタフェースは、医療サーバ10から受信される予め記録された音声/映像コンテンツ70の選択的な再生を可能にする。例えば、プロセッサ54は、インターネット使用量が低い夜に、予め記録された音声/映像コンテンツ70を受信し、受信した予め記録された音声/映像コンテンツ70'をハードドライブ58に格納するようプログラムされることができる。(この説明において、ダッシュ符号付きの参照番号は、受信される音声/映像マテリアルを示す)。ユーザは、その後テレビ50をオンにし、ハンドヘルドリモコン60にある適切なパワー及び選択ボタンを用いて医療グラフィカルユーザインタフェースを選択する。それに応じて、プロセッサ54は、テキストメニューと、オプションで少なくとも受信された予め記録された音声/映像コンテンツ70'を含む音声/映像提供品のリストを含むグラフィックアイテムとをテレビ50に表示させる。
【0036】
予め記録された音声/映像コンテンツ70、70'は、主に一方向である(即ち、サーバからエンドユーザに向けてのものである)。オプションの構造化されたレスポンス、例えばアンケートへの回答は、オプションでエンドユーザから医療サーバ10へと通信される。しかしながら、いくつかの状況では、エンドユーザが、予定外の又は構造化されていない回答を送信することを望む場合がある。例えば、エンドユーザは、エンドユーザが医療従事者にレポートしたいと思う新規な生理的症状(例えば、痛み、麻痺、食欲の減退等)を経験している場合がある。別の例として、ダイエット映像を見た後、エンドユーザは、特定の食品が許容されるかに関して質問したい場合がある。
【0037】
従って、エンドユーザは、質問80を開始することができる。いくつかの実施形態において、質問80は、医療サーバ10で回答可能な任意の医療従事者により回答される一般的な質問とすることができる。他の実施形態において、質問80は、例えばエンドユーザを担当する看護士といった特定の医療関係者に向けて特別に送信されることができる。質問80は、グラフィカルユーザインタフェースにアクセスすることにより適切に生成される。例えば、プロセッサ54は、例えば「看護士ジョーンズに映像メッセージを送信する」といったラベルの付いたグラフィック選択オプション(例えば、ボタン等)を生成することができ、エンドユーザは、ハンドヘルドリモコン60を用いてそのオプションを選択することにより質問80を生成する。質問80は、特定の医療関係者(例えば、看護士ジョーンズ)に、又は(例えば「待機中の看護士に映像メッセージを送信する」とラベルの付いた選択オプションを用いて)医療従事者のグループに送信されることができる。質問80はインターネット14を介して送信され、医療サーバ10で受信される。ここで、質問を処理するために適切な医療関係者がリアルタイムで回答可能かどうかについて決定82がなされる。
【0038】
送信先の医療関係者がリアルタイムにおいて回答可能である場合、オプションで、音声/映像会議又はリアルタイム映像通話84が、質問80を送信した起点となるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40に関連付けられるエンドユーザと医療専門家との間で開始される。これは、映像通話84の音声/映像コンテンツをコンピュータ24に表示することにより医療サーバ10で適切に実現され、及びテレビ50のディスプレイのピクチャインピクチャ表示領域又は他の限定された領域において、全画面モード又はウィンドウ内のいずれかの態様で、音声/映像コンテンツを表示することにより、起点となるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40で適切に実現される。音声は、テレビの内蔵スピーカを介して、又はテレビ50に動作可能に接続される外部スピーカ若しくは外部サウンドシステムを介して適切に提供される。
【0039】
他方、適切な医療従事者が質問80を処理するためにリアルタイムにおいて回答可能でない場合、次に、起点となるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40にこのことが通知される。それに応じて、起点となるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40は、インターネット14を介して医療サーバ10に送信される音声/映像メッセージ90を記録する(図1において、IPアドレス#2を持つエンドユーザデバイスにより送信される音声/映像メッセージのために図1と図4とで使用される矢印92により図式的に示される)。映像記録は、レンズ62が見える状態になるよう図3Bのように開かれる(こうして録画が実行されることをエンドユーザに強調して知らせる)自動ブロックレンズカバー63を備える映像記録レンズ62により、適切に実行される。音声記録は、図3Bに示されるように、その伸張された位置における格納式マイク64により適切に実行される(ここでも、エンドユーザに録音が実行されることを強調して知らせる)。エンドユーザは、記録を開始及び停止するためにリモコン60の選択されたボタンを適切に押す。オプションで、記録が完了した後、グラフィカルユーザインタフェースは、送信前にその記録された音声/映像メッセージ90をテレビ50に再生するオプションをエンドユーザに提供する。それが満足できるものではない場合、エンドユーザは、記録された音声/映像メッセージ90を削除することができ、オプションで新規なバージョンを記録することができる。エンドユーザが記録された音声/映像メッセージ90に満足すると、エンドユーザは、グラフィカルユーザインタフェースにおける「送信」オプション又は他の適切にラベルの付いた制御を選択する。プロセッサ54は、例えばIPアドレス、電子メールアドレス、MACアドレス等の適切なアドレス情報と共に、記録された音声/映像メッセージ90を医療サーバ10に送信する。
【0040】
受信された音声/映像メッセージ90'が医療サーバ10にて格納され、再生される。例えば、適切な医療関係者が質問を処理するためにリアルタイムにおいて回答可能になるまで、受信される音声/映像メッセージ90'は通常は格納される。オプションで、診断等のため患者の医師若しくは他の医療従事者により参照されるよう、又はケア計画スケジュール44を設計するとき等に、受信された音声/映像メッセージ90'が患者データファイルに格納される。例えば、中央処理ユニット(CPU)20は、送信される音声/映像メッセージ90'を受信し、電子データベース42における患者電子ファイルに受信音声/映像メッセージ90'のコピーを格納し、及び、斯かるアドレス情報がメッセージと共に含まれる場合、次の回答可能な医療関係者による再生のため受信映像メッセージキューに受信音声/映像メッセージ90'のコピーを送るか、又は音声/映像メッセージ90'のあて先の医療関係者の映像メールボックスに受信音声/映像メッセージ90'のコピーを送る、音声/映像処理及びルーティングシステムを適切に実現する。
【0041】
適切な医療関係者が回答可能になるとき、その者は受信音声/映像メッセージ90'を例えばノートブックコンピュータ24上で再生する。医療サーバ10での、又はより詳細にはコンピュータ24での再生には、専用の再生ソフトウェアが使用されることができる。しかしながら、医療関係者は通常、コンピュータについて比較的知識があるので、受信音声/映像メッセージ90'がEメール添付ファイルとして医療専門家に転送されることも想定される。医療専門家は、それを(可能であれば、プラグイン又は例えばメディアプレーヤプログラムといった他の関連ソフトウェアと連動して動作する)医療専門家の電子メール読み出しプログラムにおいて実行される日常的な操作により再生する。
【0042】
好ましくは、医療関係者は、例えばカメラ30を用いて音声/映像レスポンス94を記録する。記録された音声/映像レスポンス94は、起点となるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイス40にインターネット14を介して送信される(図1において、IPアドレス#2を持つエンドユーザデバイスに送信される音声/映像レスポンスのために図1と図4とで使用される矢印96により図式的に示される)。それは、キューに入った音声/映像レスポンス94'として格納され、エンドユーザの都合の良いときに再生される。例えば、グラフィカルユーザインタフェースは、ハンドヘルドリモコン装置60を用いてエンドユーザによる再生のため選択されることができる受信音声/映像レスポンスを適切にリスト化する。
【0043】
図示された実施形態は、質問80がなされるとき適切な医療関係者がリアルタイムにおいて回答可能である場合に使用されるリアルタイム映像通話84のオプションを含む。他の実施形態において、リアルタイム映像通話のオプションは(決定82の省略に伴い)省略される。すべての質問は音声/映像メッセージとしてなされ、すべての回答は記録された音声/映像レスポンスとしてなされる。決定82が、異なる基準又はタイミングを使用することも想定される。例えば、常に音声/映像メッセージを記録すること、及び医療関係者のオプションでのみ映像通話を開始することが想定される。斯かる実施形態において、医療関係者は例えば、音声/映像メッセージをレビューすることができる。緊急時でない場合には、記録された音声/映像レスポンスが適切である。他方、音声/映像メッセージが、例えば急速な介入を必要とする医療状態を示す場合がある医療症状を示す緊急の問題である可能性がある場合、医療関係者は映像通話を開始することができる。
【0044】
有利なことに、音声/映像メッセージ90、90'は、エンドユーザがジェスチャ等による非言語的な情報を伝達することを可能にする。実際、斯かるいくつかの非言語的コミュニケーションは意図されたものでない場合がある。例えば、受け手側の医療関係者は、エンドユーザの状態の側面を映像から識別することができる。例えば、エンドユーザは、顔色が悪い、又はやせている、又は見当識障害にみえる場合がある。別のオプションとして、医療的緊急事態が差し迫っていると患者が思う場合、折り返しで映像通話してくる医療関係者が、患者が出て行ったこと又はさもなければ応答することができないことがわかるよう、患者はカメラを「オン」にしたままにすることができる。これらはすべて、これまで使われてきた従来の音声のみの電話によるメッセージを超える実質的な利点である。
【0045】
通常は、音声/映像レスポンス94、94'は、応答している医療関係者の映像を記録するために、カメラ30の映像記録レンズ32を使用する。この手法は、有利には、孤独感又は落胆とは反対に作用することができる個人的な接触をエンドユーザに提供する。しかしながら、いくつかの実施形態においては、生成された音声/映像レスポンス94、94'における医療専門家を擬態するアニメのアバターとして、アバターエンジン38が音声/映像レスポンス94、94'の映像部分を生成することが想定される。斯かるアバターは、応答している医療関係者の記録映像と適切に置換される。アニメのアバターが有利である場合がある1つの状況は、医療サーバ10が異なる時間に異なる医療従事者により操作される場合である。例えば、忙しい医療サーバは、多数の応答を処理することができる。その結果、所与のエンドユーザが音声/映像メッセージを送信するたびに、異なる医療関係者が、一般に応答する場合がある。斯かる場合、アバターは、一貫したインタフェースを提供する。他のいくつかの実施形態において、医療関係者の映像は記録されるが、背景は、より患者にとって快適な環境を提供するよう構成される。例えば、他の医療従事者がそばを動き回る病院といった自分の実際の環境に医療関係者が表示されるのではなく、静かな医師のオフィス、図書室、インタビュー室又は他のより穏やかな環境に医療関係者がいることを示す置換背景が、適切なデジタルビデオ処理により挿入されることができる。
【0046】
図4を参照して記載されるシステム及び方法は、医療緊急事態警報システム又は方法としての使用に容易に適合される。斯かる実施形態において、医療センタは、911をダイヤルし、呼び出し側から医療情報を取得し、又は他の斯かる緊急措置を適切に行うことにより、医療緊急事態に対処するよう訓練された看護士又は他の医療従事者が連続的にスタッフとして勤める医療緊急事態センタである。これらの実施形態において、ほとんどの通話は、リアルタイム映像通話84を用いて、(図4において図示される対応可能な看護士82に対応する)対応可能な緊急事態応答者により処理される。しかしながら、医療緊急事態センタが負担をかけられすぎる場合(即ち、存在する緊急事態応答者より多くの通話を同時に処理しようとする場合)、次の緊急事態応答者が対応可能となるまで、メッセージは音声/映像メッセージ90、90'として記録され、格納される。斯かる緊急事態応答システムに対して、緊急事態応答者が呼び出し側に直ぐに折り返し対応できるよう、受信メッセージ90'は、送信側音声/映像デバイスのMACアドレス又は他のアドレスで自動的にフラグ分けされるべきである。更に、斯かる緊急事態応答システムにおいて、(消費者電子デバイス50、52及びセットトップボックス56を含む)図3A及び図3Bに図示される居住側ハードウェアは、例えば無線カード又は他の無線リンクを介してインターネット14又は別のネットワークに接続されるバッテリー駆動の音声/映像記録及び再生デバイスといった、よりコンパクトで、好ましくは携帯型のシステムにより適切に置換される。映像通話機能を持つ携帯電話は、1つの適切な携帯用の音声/映像デバイスである。この場合、インターネット14は携帯電話ネットワークにより適切に置換され、アドレス指定は電話番号により行われる。緊急事態においてユーザが緊急事態回答システムに迅速に問い合わせることができるよう、ユーザはクイックダイヤル番号(例えば、「1」を押して「送信」を押すとダイヤルされる)として緊急センタの電話番号を容易にプログラムすることができる。緊急事態を経験している人が、単に電話による音声応答を受信する代わりに、実際の人物を見ることにより安心するという点、並びに緊急事態応答者は、目で見える状況及び視覚的に知覚可能な挙動に基づきその人の状態をより好適に評価することができる点で、斯かる緊急事態回答システムは、既存の電話による緊急事態回答システムを超える特定の利点を持つ。
【0047】
図5を参照すると、いくつかの実施形態において、マイク164がハンドヘルドリモコン60に配置され、マイク164は、セットトップボックス56上又は内のマイク64を置換する。マイク164により記録される音声の伝達を可能にするため、リモコン60は、マイク164により拾われる音声をセットトップボックス56に送信するための音声送信機166を適切に含む。マイク164の出力は、セットトップボックス56にアナログ形式で送信されることができるか、又は、まずハンドヘルドリモコン60における処理(図示省略)によりデジタル化され、次に、斯かる実施形態においては例えばブルートゥース送信機とすることができる送信機166により、セットトップボックス56に送信されることができる。その後、送信された音声は、セットトップボックス56で処理され、マイク64により記録される音声と同じ方法で医療サーバ10にインターネット14を介して送信される。
【0048】
拾われた音声を送信するための送信機166は、リモコン60のボタン168又は他の触覚コントロールによる指示処理を送信するのに使用される送信機と同じとすることができ、又はそれとは異なるものとすることができる。例えば、音声送信機166は、ブルートゥース又は無線周波数送信機とすることができる。一方、ボタン処理は、パルス化された赤外線送信機を用いて送信されることができる。リモコン60により制御されるセットトップボックス56、テレビ50、DVD52又は他の消費者エンタテインメントデバイス50、52に対して患者が音声コマンドを伝達することができるよう、内蔵マイク164が構成されることも想定される。ハンドヘルドリモコン60で、又はセットトップボックス56若しくは他の受信側デバイス50、52、56で実行される適切な音声認識ソフトを利用する斯かる音声命令機能は、手による器用な動きが制限される特定の患者にとって特に便利なものになりうる。
【0049】
セットトップボックスマイク64の上にマイク164がある利点は、記録の間、ユーザが自分の唇の近くにマイク164を保持することができる点にある。マイク164がハンドヘルドリモコン60に内蔵されるので、マイクが患者に対して容易に利用可能であることが確実にされる。なぜなら、その者が医療通信システムを使用するからである。声が細い虚弱な人の場合、リモコン60内に構築されるマイク164は、より便利であろうし、比較的離れたセットトップボックスのマイク64を使用することと比較して、より良質な音声記録を生成することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、上述の映像メッセージに関する追加的な機能又は代替機能として、マイク164が音声のみの記録に使用される。例えば、追加的な機能として、マイク164は、医療従事者に対する音声メッセージを記録するために使用されることができる。斯かるいくつかの実施形態において、メッセージが取得され、医療従事者により再生されるまで、メッセージを送信してサーバ10に格納するのに、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VOIP)が使用される。例えば、患者は、その者がサーバ10にいる看護士又は他の医療関係者に対して音声メッセージを送信したいことを示すために、「ヘルプデスク」ボタン170を押すことができる。代替的に、例えば「ヘルプデスク」又は「記録」といった適切な言葉による開始命令を認識するよう、適切な音声認識機能がリモート60又はセットトップボックス56に構築されることができる。その者が「ヘルプデスク」ボタン170を押した状態でメッセージを記録するためにマイク164に向かって話すべきことを、患者に(例えば、テレビ50のディスプレイを介して)知らせることにより、システムは適切に応答する。メッセージは、VOIPによりサーバ10にリアルタイムに送信されることができるか、又はセットトップボックス56にローカルに記録され、その後送信されることができる。
【0051】
マイク164を用いる説明的な音声メッセージの利点は、患者が医療従事者に対して一方向のメッセージを送信することを可能にする点にある。患者は、医療関係者とリアルタイムに問題を議論するよりも、こちらの方法を好む場合がある。例えば、患者が友人からの誘いを受けて、患者ケア計画44によりスケジュール化された計画(survey)と矛盾する釣り旅行に明日行くようなとき、患者は医療通信システムを使用することができる。患者は「ヘルプデスク」ボタン170を適切に押し、マイク166が起動する。患者は、自分が明日検査に参加することがスケジュールされていたが、1日後に予定を変更したいことを示す音声メッセージをヘルプデスクに残す。患者が、計画を変更する理由を説明する必要はなく、予定を変更することに関して看護士と論じる必要もない点に留意されたい。なぜなら、音声メッセージは患者サイドからの一方向のメッセージだからである。セットトップボックス56は、ヘルプデスクモードに切り替えるか、又はそうでなければ音声メッセージを記録するためサーバ10とのVOIP又は他の適切な接続を確立する。患者がマイク164に向かって話すとき、セットトップボックス56は、(リアルタイムVOIP通信の場合)患者の連続的な音声ストリームをサーバ10に渡す。サーバでは、患者の声が記録され、後の検索のために格納される。完了すると、患者は、通常の使用モードに切り替える(又は、代替的に、斯かる切替えは、自動的に実行される)。音声メッセージは、音声メッセージ又は他の識別可能な音声ファイルとしてサーバ10に格納される。ヘルプデスクの従業員は、例えばコンピュータ24のスピーカといった便利なユーザインタフェースを介して、キューに入れられた任意の音声メッセージを再生するため、音声メール又は他のヘルプデスク音声リポジトリを好ましくは定期的な間隔でチェックする。従業員は、音声メッセージを聞き、例えば、検査の予定を次の日に変更することが可能かを決定することができる。従業員は、この決定をするためにサーバ10に格納された情報を適切に使用する。他方、患者の要求又は情報がより危険である場合(例えば、患者が自分の薬物の投薬量を2倍にするつもりであるとヘルプデスクに知らせる場合)、従業員は患者の医師又は応答する資格のある別の人にメッセージを転送することができる。オプションで、従業員は、応答的な音声又は映像メッセージを患者に送信することができる。
【0052】
ヘルプデスクの図示された実施形態は、内蔵マイク164及びインターネット14を使用する。しかしながら、セットトップボックスマイク64といった別の音声記録デバイスが代わりに使用されることができる。同様に、例えば携帯電話ネットワークといった別の通信経路が使用されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療支援を受ける患者に配置される複数の患者音声/映像記録及び再生デバイスと、
患者音声/映像デバイスにより生成された音声/映像メッセージを受信し、音声/映像レスポンスを生成して目標とされた患者音声/映像デバイスに送信するよう構成される医療サーバとを有し、
前記医療サーバが、受信音声/映像メッセージを再生し、音声/映像レスポンスを記録するよう構成される音声/映像記録及び再生デバイスを含み、前記患者音声/映像記録及び再生デバイスは、前記サーバから受信される音声/映像レスポンスを再生するよう構成される、医療通信システム。
【請求項2】
前記医療サーバが、関連する患者又は患者のグループに対して構成される1つ又は複数の医学関連ケア計画スケジュールに基づき、目標とされた患者音声/映像デバイス又は目標とされたグループの患者音声/映像デバイスに対して予め記録された音声映像コンテンツを特定し、又は送信するように更に構成される、請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項3】
患者音声/映像記録及び再生デバイスがそれぞれ、受信される音声/映像レスポンスを格納するため前記患者音声/映像記録及び再生デバイスのそれぞれに関連付けられるローカルストレージを含む、請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項4】
各患者音声/映像記録及び再生デバイスが、再生の間、前記受信音声/映像レスポンスの映像部分をテレビに表示するために前記テレビに動作可能に結合されるデジタルプロセッサを含む、請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項5】
各患者音声/映像記録及び再生デバイスが、
映像記録レンズと、
音声/映像コンテンツの記録の間を除き、前記映像記録レンズを物理的にブロックするよう構成される自動レンズカバーとを含む、請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項6】
各患者音声/映像記録及び再生デバイスが、音声/映像コンテンツの記録の間、筐体から少なくとも部分的に顔を出し、それ以外の場合、前記筐体に格納されることができるよう構成されるマイクを含む、請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項7】
各患者音声/映像記録及び再生デバイスと前記医療サーバとが、双方向のリアルタイム音声/映像通信を提供するよう更に構成される、請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項8】
前記医療サーバが、前記音声/映像レスポンスにおけるアニメのアバターシミュレーションを含み、前記医療サーバの前記音声/映像記録及び再生デバイスと共働するよう構成されるアバターエンジンを更に含む、請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項9】
前記医療サーバが、前記患者音声/映像デバイスにより生成される受信音声/映像メッセージを患者データベースの患者レコードに格納するよう更に構成される、請求項1に記載の医療通信システム。
【請求項10】
映像記録レンズと、
マイクと、
音声/映像コンテンツの記録の間を除き、前記映像記録レンズを物理的にブロックするよう構成される自動レンズカバーとを有する、音声/映像記録及び再生デバイス。
【請求項11】
筐体を更に有し、
前記マイクが、音声/映像コンテンツの記録の間、前記筐体から少なくとも部分的に顔を出し、それ以外の場合、前記筐体に隠される、請求項10に記載の音声/映像記録及び再生デバイス。
【請求項12】
制御コマンドを入力するための触知的コントロールを含む、テレビ、DVD、セットトップボックス又は他の電子デバイスを制御するためのハンドヘルドリモコンと、
前記ハンドヘルドリモコンに構築される内蔵マイクと、
前記ハンドヘルドリモコンから前記内蔵マイクにより拾われる音声を送信する送信機とを有する、装置。
【請求項13】
前記内蔵マイクにより拾われる音声を送信する前記送信機が、前記触知的コントロールを用いて入力される制御コマンドを送信することには使用されない、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ハンドヘルドリモコンにより制御される患者音声/映像記録及び再生デバイスが、予め記録された医療関連コンテンツを再生することをもたらすよう構成される医療サーバを更に含み、
前記マイクは、前記患者からの音声を前記患者音声/映像記録及び再生デバイスに伝達するよう構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記医療サーバが、医療従事者による後の再生のため前記内蔵マイクを用いて前記患者により記録される音声メッセージを格納するストレージを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
関連する患者に配置される患者音声/映像記録及び再生デバイスと、前記患者に関するケア計画スケジュールを格納し、前記ケア計画スケジュールに基づき、対象とされた患者の前記音声/映像記録及び再生デバイスに音声/映像コンテンツを送信するよう構成される医療サーバとを含む医療通信ネットワークと連動する医療通信方法において、
前記エンドユーザ音声映像記録及び再生デバイスの1つを介して、前記医療通信ネットワーク越しに前記医療サーバに送信され、1つ又は複数の医療専門家に向けられる問い合わせを開始するステップと、
前記起点となるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイスに関連付けられる前記エンドユーザと回答可能な医療専門家との間の双方向のリアルタイム音声/映像通話を生成するステップとを有する、医療通信方法。
【請求項17】
回答可能な医療専門家がいない場合、前記起点となるエンドユーザ音声映像記録及び再生デバイスにいる前記エンドユーザの映像を含む音声/映像メッセージを記録するステップと、
前記医療通信ネットワークを介して前記医療サーバに前記音声/映像メッセージを送信するステップと、
医療専門家が回答可能になる後の時間において、前記音声/映像メッセージを前記医療サーバで再生するステップとを更に含む、請求項16に記載の医療通信方法。
【請求項18】
前記再生に続き、前記医療専門家の映像又は医療専門家を表すアニメのアバターのいずれかを含む音声/映像レスポンスを前記医療サーバで記録するステップと、
前記起点となるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイスに前記音声/映像レスポンスを送信するステップと、
前記起点となるエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイスで前記音声/映像レスポンスを再生するステップとを更に含む、請求項17に記載の医療通信方法。
【請求項19】
上記映像記録レンズが使用中でないとき、それぞれエンドユーザ音声/映像記録及び再生デバイスの映像記録レンズを視野から物理的にブロックするステップを更に含む、請求項16に記載の医療通信方法。
【請求項20】
カメラと、
ローカルストレージと、
消費者エンタテインメントデバイスと共働して音声/映像コンテンツを再生し、前記カメラと共働して音声/映像コンテンツを記録し、前記ローカルストレージに音声/映像コンテンツを格納し、前記医療サーバ音声/映像メッセージ及び回答を通信リンクを介して送受信し、並びに少なくとも、前記医療サーバから受信される予め記録された音声/映像コンテンツの選択的な再生、前記医療サーバに対する音声/映像メッセージの記録及び送信、及び前記医療サーバからの音声/映像レスポンスの受信及び再生を可能にする、前記消費者エンタテインメントデバイスと共働するグラフィカルユーザインタフェースを提供するよう構成されるプロセッサとを有する、医療通信システム。
【請求項21】
前記プロセッサが、前記プロセッサと通信するエンドユーザと、前記医療サーバと通信する関連医療関係者との間の前記通信リンクを介して、音声/テレビ会議を実行するよう更に構成される、請求項20に記載の医療通信システム。
【請求項22】
前記ローカルストレージ、前記プロセッサ及び前記カメラを含むセットトップボックスを更に含む、請求項20に記載の医療通信システム。
【請求項23】
前記プロセッサが、テレビと共働して音声/映像コンテンツを再生するよう構成される、請求項20に記載の医療通信システム。
【請求項24】
医療通信方法において、
通信経路を介して医療サーバからエンドユーザの居住地へ音声/映像コンテンツを送信するステップと、
前記エンドユーザの居住地に配置されるテレビで前記送信される音声/映像コンテンツを再生するステップと、
前記エンドユーザの指示で音声/映像メッセージを記録するステップと、
前記音声/映像コンテンツが送信されるのと同じ通信経路を介して、前記エンドユーザから前記医療サーバへと前記記録された音声/映像メッセージを送信するステップと、
前記音声/映像コンテンツが送信されるのと同じ通信経路を介して、前記医療サーバから音声/映像レスポンスを受信するステップと、
前記エンドユーザにより視聴可能な前記テレビで前記受信音声/映像レスポンスを再生するステップとを有する、医療通信方法。
【請求項25】
前記記録された音声/映像メッセージを再生するステップと、
前記音声/映像レスポンスを記録するステップとを更に有する、請求項24に記載の医療通信方法。
【請求項26】
前記音声/映像レスポンスの記録ステップが、前記記録された音声/映像レスポンスの前記映像部分に医療専門家を表すアニメのアバターを含めるステップを有する、請求項25に記載の医療通信方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法を実行する医療通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−517611(P2010−517611A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547785(P2009−547785)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050275
【国際公開番号】WO2008/093268
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】