医療器具洗浄消毒装置および医療器具の洗浄消毒方法
【課題】 医療器具に対して付着したミクロの汚れを効率的に除去するとともに強い洗浄消毒処理が可能な医療器具洗浄消毒装置を提供する。
【解決手段】 医療器具を洗浄するための洗浄消毒槽10と、洗浄時に洗浄消毒槽10に収納された内視鏡17に対して洗浄液を噴射するための噴射バルブ切替器5と、洗浄時に噴射バルブ切替器5に対して供給する洗浄液に対して、微細気泡化した気体を過飽和状態となるまで溶解させるためのバブル発生器25とを備える。
【解決手段】 医療器具を洗浄するための洗浄消毒槽10と、洗浄時に洗浄消毒槽10に収納された内視鏡17に対して洗浄液を噴射するための噴射バルブ切替器5と、洗浄時に噴射バルブ切替器5に対して供給する洗浄液に対して、微細気泡化した気体を過飽和状態となるまで溶解させるためのバブル発生器25とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具洗浄消毒装置および医療器具の洗浄消毒方法に関し、たとえば内視鏡等の医療器具を自動洗浄する医療器具洗浄消毒装置および医療器具の洗浄消毒方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食道、胃のような上部消化管、大腸のような下部消化管の内視鏡検査は最近急激に普及し、医療施設における検査回数が増加している。
【0003】
しかしながら、洗浄・消毒が不十分な内視鏡を介して検査・治療を受けた患者がさまざまなウイルスに感染するといった二次感染の事例が報告されるようになってきている。
【0004】
そして、近年、胃潰瘍の原因と言われているヘリコバクター・ピロリ菌が胃部内に存在していることが明らかになり、以前にも増して内視鏡の洗浄・消毒の徹底が重要な問題となってきている。
【0005】
しかしながら、汚染した内視鏡を水洗いするだけでは粘液等を完全に除去することはできず、ブラッシング等を行なうことにより汚れを擦り落とすことが必要となってくるがこのようなブラッシング作業は時間と手間がかかり、またその作業の不均一さという問題が生じてくる。
【0006】
一方で、汚染した医療器具を取扱う医療従事者においては、交差感染の危険があり、安全かつ清潔に業務を遂行することができるように保証することも必要である。
【0007】
特に、使用された器具・器材には汚染物(血液、粘液、分泌液、組織片、排泄物、薬剤、無機物等)が付着しており、これらの汚れの中に多数の病原微生物(細菌、ウイルス)が潜んでいるからである。
【0008】
さらに、従来においては、消毒剤としてグルタルアルデヒド(GA)や酵素洗浄剤を用いた洗浄消毒が行なわれる方式が一般的であったが人体に有害な薬品であるため取り扱いが難しく、またより消毒殺菌力の強い新しい洗浄消毒剤が求められていた。
【0009】
この点で、特開2003−275175号公報、特開平9−108307号公報、特開2002−45334号公報においては高い消毒殺菌力のあるアルカリ性水溶液、電解酸性水、電解水を用いて洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置が開示されている。さらに、特開平3−176061号公報、特開2002−336197号公報、特開2004−215930号公報においては、さらに消毒殺菌力の強い酸化力を有するオゾン水あるいは活性酸素水を用いて洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置が開示されており、患者に使用された内視鏡を次の患者に使用する上で、二次感染を防ぐとともに消毒あるいは滅菌された清潔なものとする内視鏡洗浄消毒装置が知られている。
【特許文献1】特開平3−176061号公報
【特許文献2】特開平9−108307号公報
【特許文献3】特開2002−336197号公報
【特許文献4】特開2002−45334号公報
【特許文献5】特開2003−275175号公報
【特許文献6】特開2004−215930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、オゾン水は、強い消毒殺菌力を有するため大腸菌等の病原性細菌に対しては約1分程の接触で確実に死滅させることができるが、肺炎桿菌、芽胞菌、枯草菌等を死滅させるためには、それよりも長い時間の接触が必要となってくる。また、サングイズ連鎖球菌、ミュータンス菌、化膿連鎖球菌、カタル球菌、カンジダ・アルビガンス、腸球菌等のような人体内の菌は、オゾン水では殺菌されにくいことが判っている。
【0011】
したがって、これら医療器具に付着する可能性のある菌をより短時間で効果的に殺菌する洗浄消毒方式が望まれている。
【0012】
また、医療器具に付着している汚れは、目に見えない汚れであり病原微生物が潜む大きさの汚れが完全に取り除かれたかが重要となってくる。目に見える汚れはブラッシング等で除去することが可能であるが、ミクロの汚れを丁寧にブラッシングした場合においても完全に除去することは不可能である。もし、血液・タンパク質等の有機汚染物が残存したまま消毒殺菌を行なってもその効果は期待できないということが明らかとなっており、後の消毒時における洗浄消毒剤を有効に作用させるためにも消毒殺菌を行なう前に十分にミクロの汚れを完全に除去する必要がある。
【0013】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、医療器具に対して付着したミクロの汚れを効率的に除去するとともに強い洗浄消毒処理が可能な医療器具洗浄消毒装置および医療器具の洗浄消毒方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る医療器具洗浄消毒装置は、医療器具を洗浄するための洗浄槽と、洗浄時に洗浄槽に収納された医療器具に対して洗浄液を噴射するための噴射部と、洗浄時に噴射部に対して供給する洗浄液に対して、微細気泡化した気体を過飽和状態となるまで溶解させるためのバブル発生部とを備える。
【0015】
好ましくは、洗浄液は、オゾンを溶解したオゾン水である。
【0016】
特に、洗浄槽は、紫外線を照射するための紫外線ランプを有し、医療器具は、洗浄槽内の洗浄液に浸漬され、紫外線ランプは、洗浄時に洗浄液すなわちオゾンを溶解したオゾン水に対して紫外線を照射して、ヒドロキシラジカルを発生させる。
【0017】
特に、洗浄槽内の洗浄液を噴射部に供給して、洗浄液を循環させるための循環手段をさらに備える。
【0018】
特に、洗浄槽内の洗浄液を蓄積する処理槽を有し、処理槽にて洗浄液を分解処理するための洗浄液分解処理手段と、洗浄槽内の医療器具に対して高圧の気体を噴き付け乾燥させるための乾燥手段とをさらに備える。
【0019】
特に、洗浄液分解処理手段は、処理槽内の洗浄液に対して紫外線を照射するための紫外線ランプを含む。
【0020】
本発明に係る洗浄消毒方法は、医療器具の洗浄消毒方法であって、洗浄時に微細気泡化した気体を洗浄液に対して過飽和状態となるまで溶解させるステップと、洗浄液を洗浄槽内の医療器具に対して噴射するステップとを備える。
【0021】
好ましくは、洗浄液は、オゾンを溶解したオゾン水である。
【0022】
特に、医療器具は、洗浄槽内の洗浄液に浸漬され、洗浄槽内の洗浄液に対して紫外線を照射してヒドロキシラジカルを発生させるステップとをさらに備えた。
【0023】
特に、洗浄槽内の洗浄液を循環させて医療器具に対して噴射するステップとをさらに備える。
【0024】
特に、洗浄槽内の洗浄液を処理槽に蓄積して、処理槽内の洗浄液を分解処理するステップと、分解処理するステップと、並列に洗浄槽内の医療器具を乾燥するステップとをさらに備える。
【0025】
特に、分解処理するステップは、洗浄液に対して紫外線を照射する。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る医療器具洗浄消毒装置および医療器具の洗浄消毒方法は、微細気泡化した気体を過飽和状態となるまで溶解させた洗浄液を医療器具に対して噴射させることにより、医療器具に対して付着したミクロの汚れを効率的に除去するとともに強い洗浄消毒処理を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その詳細な説明は繰返さない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に従う医療器具洗浄消毒装置の配管系統図を概略的に説明する図である。なお、本例においては、洗浄消毒する医療器具として内視鏡を一例に挙げて説明する。
【0029】
本発明の実施の形態に従う医療器具洗浄消毒装置1(以下、単に装置1とも称する)は、洗浄消毒槽10と、噴射バルブ切替器5と、洗浄液処理槽20と、バブル発生器25と、オゾン発生器30と、ミキシングポンプ35と、オゾン分解器40,45と、乾燥器50と、電磁弁V0〜V12と、装置全体を制御するコントロール回路60とを含む。コントロール回路60は、図示しないCPU、記憶部、電源スイッチおよび液晶画面等から構成されている。そして、電源スイッチのオン等により記憶部に記憶された制御プログラムに沿ってCPUが装置1を構成する各部品に対して、制御信号を送ることにより、装置1全体を制御し、後述する一連の洗浄消毒処理を実行する。
【0030】
洗浄消毒槽10は、上面に内視鏡17を挿入するための開閉密閉式の洗浄槽開閉蓋11と、洗浄液を貯留して内視鏡17を浸漬し、洗浄消毒処理を実行するための洗浄槽部12とを有している。また、洗浄層部12内には、紫外線を照射するための紫外線ランプ14と、内視鏡17を載置するための載置手段16と、洗浄槽内の洗浄液が洗浄時に流動攪拌するための乱流板15が設けられている。図1においては、4個の紫外線ランプが示されており、紫外線ランプ14は、コントロール回路60の指示に応答して紫外線を照射する。
【0031】
噴射バルブ切替器5は、洗浄液の供給を受けて、洗浄槽部12内の内視鏡17に対して噴射位置等を変えながら、効率的かつ満遍なく洗浄液を内視鏡17に対して噴射し、洗浄槽部12内で洗浄消毒する。
【0032】
洗浄液処理槽20は、洗浄槽部12内に貯留した洗浄液の供給を受けて、洗浄液を処理するための処理槽であり、内部にコントロール回路60からの指示に応答して紫外線を照射する紫外線ランプ21および乱流板22を有している。
【0033】
バブル発生器25は、コントロール回路60からの指示に応答してオン/オフ動作により、供給される洗浄液をバブル水として、電磁弁V11を介して噴射バルブ切替器5に対して放出する。なお、ここで、バブル水とは、気体を超微細気泡化して、過飽和状態として溶解した水溶液である。
【0034】
オゾン発生器(オゾナイザ)30は、図示しない酸素ボンベから酸素の供給を受けるか、あるいは図示しないコンプレッサを用いることにより、圧縮空気から窒素を除いて酸素濃度を高めた酸素の供給を受けてコントロール回路60の指示に応答してオゾンを発生させて、電磁弁V10を介してミキシングポンプ35に出力する。
【0035】
ミキシングポンプ35は、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V9を介して供給される水道水とオゾン発生器30からのオゾンとをミキシング(混合)してバブル発生器25に出力する。なお、ミキシングポンプ35がミキシング動作を実行しない場合には通常のポンプとして機能し、バブル発生器25を介して噴射バルブ切替器5に洗浄液が送出される。
【0036】
オゾン分解器40,45は、オゾンガスを分解するためのマンガン系の触媒を有しており、洗浄消毒槽10および洗浄液処理槽20の内部圧力が外気圧よりも高くなれば槽内部のオゾンガスはオゾン分解器40,45により分解され、無害化されて外部に排出される。
【0037】
乾燥機50は、圧縮空気の供給を受けて電磁弁V0,V1を介して洗浄消毒槽に高圧の水分が除去された乾燥圧縮空気を噴射し、内視鏡17に付着している水滴等を除くためのものである。
【0038】
洗浄消毒槽10から洗浄液処理槽20までの間には、電磁弁V2,V4,V5が設けられておりコントロール回路60の指示に応答して開閉動作を行ない、全て開動作をした場合には、洗浄消毒槽10内の洗浄液が洗浄液処理槽20に送出される。電磁弁V2,V3,V11は、洗浄消毒槽10内の洗浄液の循環の際に用いられ、コントロール回路60からの開動作の指示に応答して洗浄消毒槽10内の洗浄液は、ミキシングポンプ35およびバブル発生器25を介して循環される。また、電磁弁V5,V8,V12は、洗浄液処理槽20内の洗浄液の循環の際に用いられ、コントロール回路60からの開動作の指示に応答してミキシングポンプ35を介して洗浄液が循環される。排水時に、コントロール回路60は、電磁弁V7に対して開動作を指示し、洗浄液処理槽20内の洗浄液を排水する。
【0039】
図2は、本発明の実施の形態1に従う医療器具の洗浄消毒方法を説明するフローチャート図である。
【0040】
図2を参照して、まず医療器具の洗浄消毒が開始される(ステップS0)。
【0041】
次に、洗浄消毒槽10の洗浄槽部12に内視鏡17が入れられる(ステップS1)。この際、内視鏡17は載置手段16により所定位置に置かれる。
【0042】
次に、洗浄槽開閉蓋11を閉める(ステップS2)。これにより内視鏡17を洗浄消毒槽10(以下、包括して洗浄槽とも称する)にて洗浄消毒するための準備が整う。
【0043】
次に、洗浄槽部12内の内視鏡17に対して噴射バルブ切替器5よりバブル水を噴射して洗浄する(ステップS3)。
【0044】
図3は、バブル水を用いて内視鏡を洗浄する場合の医療器具洗浄消毒装置1の動作を説明する図である。
【0045】
図3を参照して、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V9が開動作し、水道水がミキシングポンプ35に供給される。そして、水道水はミキシングポンプ35により、バブル発生器25に供給される。バブル発生器25は、コントロール回路60からの指示に応答してオン(ON)状態とされ、バブル発生器25においてバブル水として電磁弁V11を介して噴射バルブ切替器5に供給される。
【0046】
噴射バルブ切替器5は、電磁弁V11を介してミキシングポンプ35でポンプアップされた高圧のバブル水を内視鏡17に対して噴射し、噴射位置を切り替えながら内視鏡17の洗浄を行なう。
【0047】
バブル水は、上述したように気体を超微細気泡化して、過飽和状態として溶解した水溶液である。この超微細気泡が含まれるバブル水を内視鏡17と衝突させることにより、衝突の瞬間に気泡破壊熱が発生するためこの熱に触れる雑菌は殺菌されることになる。
【0048】
また、この気泡が破裂する際に、超音波が発生し、これにより通常の洗浄ではとれないような汚れを掻き出すことができる。また、気泡が破裂した際の力、具体的には真空・吸引力が働き、また微細気泡の表面張力が作用し効果的に付着した脂肪分や細菌等を剥離し取り除き洗浄することができる。
【0049】
これにより目に見えない汚れであってもバブル水を用いることにより内視鏡17に付着した通常の洗浄では取れない細菌を剥離するとともに洗浄消毒することができる。また、気泡破壊熱により加熱殺菌効果により雑菌を殺菌することもできる。
【0050】
なお、ここでは、バブル水として通常の水道水を用いた例について説明したが水道水に限らず他のグルタルアルデヒド(GA)や酵素洗浄剤を溶かした洗浄液をバブル水として内視鏡17に対して噴射することも可能である。
【0051】
次に、再び図2を参照して、オゾン水を洗浄槽部12内に噴射して内視鏡17を洗浄する(ステップS4)。
【0052】
図4は、オゾン水を用いて内視鏡に噴射する場合の医療器具洗浄消毒装置1の動作を説明する図である。
【0053】
図4を参照して、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V9が開動作し、水道水がミキシングポンプ35に供給される。また、オゾン発生器30がオン状態となり、圧縮空気の供給を受けてオゾンを生成し、電磁弁V10を介してミキシングポンプ35に供給する。これにより、ミキシングポンプ35において、オゾン発生器30によって発生させられた圧縮空気により生じたオゾンが水道水と混合されてオゾン水となる。そして、オゾン水は、バブル発生器25および電磁弁V11を介して噴射バルブ切替器5に供給される。なお、オゾン水濃度は、0.5〜2.0mg/l(0.5〜2.0ppm)程度に設定するものとする。
【0054】
なお、本例におけるオゾン水は、オゾンが全て水溶液中に溶解している場合に限られず、たとえばガス状のオゾンがミスト状(水分を含むもの)になり、気体中(空気等)に分散しているような状態も含まれるものとする。また、この場合、バブル発生器25はオフ状態とする。
【0055】
噴射バルブ切替器5は、上述したのと同様の動作により供給されたオゾン水を受けて内視鏡17に噴射する。オゾン水は、強い殺菌力を有し、種々の菌やウイルスを殺菌することが知られている。これにより、内視鏡17を消毒し、殺菌することができる。
【0056】
そして、再び図2を参照して、次にコントロール回路60からの指示に応答して洗浄槽内の紫外線ランプ14を点灯させる(ステップS5)。なお、内視鏡17は、オゾン水の噴射に伴いオゾンのミスト中またはオゾン水中に浸漬して消毒殺菌されている。
【0057】
このオゾン水に紫外線を照射するとオゾンよりさらに酸化力の強いヒドロキシラジカルが発生する。したがって、オゾン水でも消毒殺菌することが難しい菌を効果的かつ早期に消毒殺菌することができる。なお、ステップS5において、紫外線ランプ14を点灯させる場合について説明したが、バブル水を洗浄槽内に噴射して洗浄する前から具体的には、ステップS2の後に紫外線ランプ14を点灯させておくことも可能である。紫外線の照射により内視鏡17に付着した菌を殺菌することができるからである。
【0058】
図5は、代表的な酸化剤の酸化力を示す酸化電位を説明する図である。
【0059】
なお、ここでは、塩素の値を基準にした相対値が示されている。
【0060】
図5に示されるように塩素よりも、さらにはオゾンよりもヒドロキシラジカルは、酸化力が強いことが示されている。ヒドロキシラジカルは、上述したようにオゾン水に対して紫外線(UV)照射による光酸化法により生じる化合物であり、有機化合物に対してはそれを酸化分解し、最終的には汚染物を水、炭酸ガス、酸素などの分子まで分解して消滅させる。特に紫外線照射により有機化合物の分子結合を切ることができるため難分解性の有機物も効率よく分解し浄化することが可能である。
【0061】
そして、再び図2を参照して、次のステップにおいて洗浄槽内の洗浄液を循環させる(ステップS6)。
【0062】
図6は、洗浄液であるオゾン水を循環させ、洗浄槽内で紫外線が照射してヒドロキシラジカルを発生させる場合を説明する図である。
【0063】
図6を参照して、電磁弁V2,V3,V10,V11が、コントロール回路60の指示に応答して開動作し、洗浄槽にあるオゾン水の洗浄液が循環されて、ミキシングポンプ35,バブル発生器25および噴射バルブ切替器5を介して内視鏡17に絶えず新しいオゾン水が供給される。また、それととともに、この新しいオゾン水に紫外線を照射して、内視鏡表面や洗浄液中にヒドロキシラジカルを発生させ、洗浄殺菌を持続させる。また、この洗浄液は循環時に乱流板15の作用を受け、洗浄液中の未分解の汚物とオゾン水が良く混合し、洗浄槽内に循環してきたとき、紫外線の照射を受けて、効果的にヒドロキシラジカルで酸化分解する。
【0064】
また、コントロール回路60の指示に応答してオゾン発生器30においてオゾンが生成されて、電磁弁V10を介してミキシングポンプ35に供給される。そして、循環している洗浄液とオゾンとがミキシングされ、消毒殺菌作用で消費された洗浄液中のオゾンを補給する。
【0065】
この循環動作により、さらにオゾン水よりもより殺菌力の高いヒドロキシラジカルを用いた消毒作用を効果的に行なうことができる。なお、オゾン水は、数十分間その効果を発揮するがヒドロキシラジカルの効果としては、ヒドロキシラジカルが生成された瞬間のみであって持続されるものではない。したがって、洗浄槽内で汚物(有機物等)がオゾン水と混ざっているあるいは混合されている場合に紫外線を照射したとき紫外線が照射された部分においてヒドロキシラジカルは生成され、強い酸化力および殺菌力を発揮することになる。
【0066】
そして、十分に内視鏡17に対して洗浄消毒処理が実行された後に、再び図2を参照して、洗浄槽内の紫外線ランプ14を消灯する(ステップS7)。これによりヒドロキシラジカルの生成が停止される。なお、洗浄槽内の底部付近に未分解の汚物がある場合においても、次の洗浄液処理槽内において促進酸化法すなわち浄化作用が行なわれるので、最終的には完全に分解することができる。
【0067】
次に、洗浄槽内の洗浄液の循環を停止する(ステップS8)。次に洗浄槽内の洗浄液を洗浄液処理槽20にて処理する(ステップS9)。この際、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V2,V4,V5が開動作し、洗浄槽内に溜まった汚物および洗浄液が洗浄液処理槽20に移されることになる。
【0068】
図7は、本発明の実施の形態に従う洗浄液処理を説明する場合のフローチャート図である。
【0069】
図7を参照して、本発明の実施の形態に従う洗浄液処理方式は、まず洗浄液処理が開始される(ステップS20)。具体的には、上述したように洗浄槽内の洗浄液が洗浄液処理槽20内に送出される。
【0070】
次に、洗浄液処理槽20内の紫外線ランプ21を点灯する(ステップS21)。紫外線ランプ21が点灯されることにより、上述したように紫外線ランプ21の照射によりオゾン水からヒドロキシラジカルが生成される。そして、ヒドロキシラジカルは、上述したように有機化合物に対して酸化分解し、最終的には汚染物を水、炭酸ガス、酸素などの分子まで分解して消滅させる。すなわち洗浄液を完全に浄化させ、無害な水として放流することができる。
【0071】
次に、引き続いて洗浄液処理槽20内の洗浄液を循環する(ステップS22)。
【0072】
図8は、洗浄液処理槽内の洗浄液を循環する場合の医療器具洗浄消毒装置の動作を説明する図である。
【0073】
図8を参照して、ここでは、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V5,V8,V10およびV12が開動作し、ミキシングポンプ35およびバブル発生器25を介して洗浄液処理槽20内の洗浄液が循環される。この時、オゾン発生器30はコントロール回路60の指示に応答してオゾンを生成し、電磁弁V10を介してミキシングポンプ35に供給する。そして、ミキシングポンプ35により洗浄液とオゾンとはミキシングされる。洗浄液処理槽20内には乱流板22が配置されており、洗浄液が洗浄液処理槽20内において流通攪拌されて紫外線ランプ21の照射が効率的に作用し、有機化合物がより分解すなわち浄化されやすくなる。なお、後述するがこの洗浄液処理が実行されている際には、洗浄槽内は乾燥動作が行なわれており、図8に示されているように乾燥器50はオン状態であり、電磁弁V0,V1もコントロール回路60からの指示に応答して開動作しているものとする。
【0074】
そして、十分に洗浄液が浄化された後に、再び図7を参照して、次にコントロール回路60からの指示に応答して洗浄液処理槽20内の紫外線ランプ21を消灯する(ステップS23)。これにより、ヒドロキラジカルの生成は停止され、オゾン水のみとなる。
【0075】
そして、洗浄液処理槽20内の洗浄液の循環を停止(ステップS24)し、洗浄液処理槽内の洗浄液を排水する(ステップS25)。この場合、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V7が開動作しているものとする。オゾン水は放置しておくことで、自然に水(H2O)と、酸素(O2)とに分解され、残留毒性がないため安全である。そして洗浄液処理が終了される(ステップS26)。なお、オゾン分解器45は、上述したようにオゾン水から発生するオゾンガスが周囲に悪影響を与えないように洗浄液処理槽20内に気体としてあるオゾンを分解しており、分解された無害な気体は外部に排気されている。
【0076】
図9は、洗浄液が洗浄液処理槽20に移された場合において洗浄槽内において乾燥動作を行なう場合を説明するフローチャート図である。
【0077】
図9を参照して、乾燥が開始される(ステップS10)。次に洗浄槽の内視鏡17に対して圧縮空気を噴射する(ステップS11)。より具体的には、電磁弁V0,V1をコントロール回路60からの指示に応答して開動作させ、乾燥器50をオン状態にして圧縮空気を洗浄槽に送り込み、乾燥した空気を洗浄槽の内部にある内視鏡17に向けて噴射する。これにより内視鏡17に付着の水分を風圧で除去するようにして乾燥させることができる。そして、乾燥が終了し、内視鏡が洗浄槽から取出される(ステップS12)。圧縮空気に限らずオゾンガスを用いることも可能である。オゾンガスを用いるならオゾンガスに由来する殺菌作用も期待することも可能である。また、ヒータ等を用いて加熱した気体を内視鏡に対して噴射することによりより早期に乾燥処理を終了させることが可能である。
【0078】
なお、コントロール回路60は、内部において予め定められている期間経過後、乾燥器50をオフ状態とし、乾燥を終了させる。
【0079】
本例においては、洗浄槽から洗浄液処理槽20に洗浄液が排出されて、洗浄液処理が洗浄液処理槽で行なわれると同時に洗浄槽内において内視鏡17の乾燥が行なわれる。
【0080】
したがって、この両者の動作を同時に並行して実行することができるため従来では洗浄槽内において浄化作用を行なう洗浄液処理後に内視鏡の乾燥を行なわなければならない場合があったが、これらを並列に行なうことができるためより効率的に内視鏡の洗浄を終了させることができ、早期に内視鏡の洗浄および殺菌が可能となる。
【0081】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に従う医療器具の洗浄消毒方法を説明するフローチャート図である。
【0082】
図10を参照して、ステップS0〜ステップS2については図2において説明したのと同様である。洗浄槽開閉蓋11を閉めた後は、次に、ステップS3aにおいて、オゾンバブル水を洗浄槽内に噴射して洗浄する(ステップS3a)。
【0083】
オゾンバブル水は、オゾン水をバブル発生器25によりバブル水としたものである。
【0084】
すなわち、オゾン水内に超微細気泡が含まれる水溶液である。これにより、上記の実施の形態においてはバブル水を噴射した後にオゾン水を噴射する2段階の構成としていたが本実施の形態2の如くオゾンバブル水を用いることにより1段階の洗浄液の噴射で内視鏡17を洗浄することが可能になり、効率的に装置1を動作させることができるとともに、1段階の洗浄液の噴射で洗浄消毒作用を強力に実行することができるため早期に内視鏡の洗浄および殺菌を行なうことができる。その後のステップS5〜ステップS9については図2で説明した実施の形態1と同様であるのでその詳細な説明は繰返さない。
【0085】
なお、上記においては、医療器具の一例として内視鏡を例に挙げて説明したがこれに限られず、たとえば、手術用メス、手術用ピンセット、内視鏡付属品等種々の医療器具に適用可能である。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態に従う医療器具洗浄消毒装置の配管系統図を概略的に説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態1に従う医療器具の洗浄消毒方法を説明するフローチャート図である。
【図3】バブル水を用いて内視鏡を洗浄する場合の医療器具洗浄消毒装置1の動作を説明する図である。
【図4】オゾン水を用いて内視鏡に噴射する場合の医療器具洗浄消毒装置1の動作を説明する図である。
【図5】代表的な酸化剤の酸化力を示す酸化電位を説明する図である。
【図6】洗浄液であるオゾン水を循環させ、洗浄槽内で紫外線を照射してヒドロキシラジカルを発生させる場合を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う洗浄液処理を説明する場合のフローチャート図である。
【図8】洗浄液処理槽内の洗浄液を循環する場合の医療器具洗浄消毒装置の動作を説明する図である。
【図9】洗浄液が洗浄液処理槽20に移された場合において洗浄槽内において乾燥動作を行なう場合を説明するフローチャート図である。
【図10】本発明の実施の形態2に従う医療器具の洗浄消毒方法を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0088】
1 医療器具洗浄消毒装置、5 噴射バルブ切替器、10 洗浄消毒槽、11 洗浄槽開閉蓋、12 洗浄槽部、14,21 紫外線ランプ、15,22 乱流板、16 載置手段、17 内視鏡、20 洗浄液処理槽、25 バブル発生器、30 オゾン発生器、35 ミキシングポンプ、40,45 オゾン分解器、50 乾燥器、60 コントロール回路、V0〜V12 電磁弁。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具洗浄消毒装置および医療器具の洗浄消毒方法に関し、たとえば内視鏡等の医療器具を自動洗浄する医療器具洗浄消毒装置および医療器具の洗浄消毒方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食道、胃のような上部消化管、大腸のような下部消化管の内視鏡検査は最近急激に普及し、医療施設における検査回数が増加している。
【0003】
しかしながら、洗浄・消毒が不十分な内視鏡を介して検査・治療を受けた患者がさまざまなウイルスに感染するといった二次感染の事例が報告されるようになってきている。
【0004】
そして、近年、胃潰瘍の原因と言われているヘリコバクター・ピロリ菌が胃部内に存在していることが明らかになり、以前にも増して内視鏡の洗浄・消毒の徹底が重要な問題となってきている。
【0005】
しかしながら、汚染した内視鏡を水洗いするだけでは粘液等を完全に除去することはできず、ブラッシング等を行なうことにより汚れを擦り落とすことが必要となってくるがこのようなブラッシング作業は時間と手間がかかり、またその作業の不均一さという問題が生じてくる。
【0006】
一方で、汚染した医療器具を取扱う医療従事者においては、交差感染の危険があり、安全かつ清潔に業務を遂行することができるように保証することも必要である。
【0007】
特に、使用された器具・器材には汚染物(血液、粘液、分泌液、組織片、排泄物、薬剤、無機物等)が付着しており、これらの汚れの中に多数の病原微生物(細菌、ウイルス)が潜んでいるからである。
【0008】
さらに、従来においては、消毒剤としてグルタルアルデヒド(GA)や酵素洗浄剤を用いた洗浄消毒が行なわれる方式が一般的であったが人体に有害な薬品であるため取り扱いが難しく、またより消毒殺菌力の強い新しい洗浄消毒剤が求められていた。
【0009】
この点で、特開2003−275175号公報、特開平9−108307号公報、特開2002−45334号公報においては高い消毒殺菌力のあるアルカリ性水溶液、電解酸性水、電解水を用いて洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置が開示されている。さらに、特開平3−176061号公報、特開2002−336197号公報、特開2004−215930号公報においては、さらに消毒殺菌力の強い酸化力を有するオゾン水あるいは活性酸素水を用いて洗浄消毒する内視鏡洗浄消毒装置が開示されており、患者に使用された内視鏡を次の患者に使用する上で、二次感染を防ぐとともに消毒あるいは滅菌された清潔なものとする内視鏡洗浄消毒装置が知られている。
【特許文献1】特開平3−176061号公報
【特許文献2】特開平9−108307号公報
【特許文献3】特開2002−336197号公報
【特許文献4】特開2002−45334号公報
【特許文献5】特開2003−275175号公報
【特許文献6】特開2004−215930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、オゾン水は、強い消毒殺菌力を有するため大腸菌等の病原性細菌に対しては約1分程の接触で確実に死滅させることができるが、肺炎桿菌、芽胞菌、枯草菌等を死滅させるためには、それよりも長い時間の接触が必要となってくる。また、サングイズ連鎖球菌、ミュータンス菌、化膿連鎖球菌、カタル球菌、カンジダ・アルビガンス、腸球菌等のような人体内の菌は、オゾン水では殺菌されにくいことが判っている。
【0011】
したがって、これら医療器具に付着する可能性のある菌をより短時間で効果的に殺菌する洗浄消毒方式が望まれている。
【0012】
また、医療器具に付着している汚れは、目に見えない汚れであり病原微生物が潜む大きさの汚れが完全に取り除かれたかが重要となってくる。目に見える汚れはブラッシング等で除去することが可能であるが、ミクロの汚れを丁寧にブラッシングした場合においても完全に除去することは不可能である。もし、血液・タンパク質等の有機汚染物が残存したまま消毒殺菌を行なってもその効果は期待できないということが明らかとなっており、後の消毒時における洗浄消毒剤を有効に作用させるためにも消毒殺菌を行なう前に十分にミクロの汚れを完全に除去する必要がある。
【0013】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、医療器具に対して付着したミクロの汚れを効率的に除去するとともに強い洗浄消毒処理が可能な医療器具洗浄消毒装置および医療器具の洗浄消毒方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る医療器具洗浄消毒装置は、医療器具を洗浄するための洗浄槽と、洗浄時に洗浄槽に収納された医療器具に対して洗浄液を噴射するための噴射部と、洗浄時に噴射部に対して供給する洗浄液に対して、微細気泡化した気体を過飽和状態となるまで溶解させるためのバブル発生部とを備える。
【0015】
好ましくは、洗浄液は、オゾンを溶解したオゾン水である。
【0016】
特に、洗浄槽は、紫外線を照射するための紫外線ランプを有し、医療器具は、洗浄槽内の洗浄液に浸漬され、紫外線ランプは、洗浄時に洗浄液すなわちオゾンを溶解したオゾン水に対して紫外線を照射して、ヒドロキシラジカルを発生させる。
【0017】
特に、洗浄槽内の洗浄液を噴射部に供給して、洗浄液を循環させるための循環手段をさらに備える。
【0018】
特に、洗浄槽内の洗浄液を蓄積する処理槽を有し、処理槽にて洗浄液を分解処理するための洗浄液分解処理手段と、洗浄槽内の医療器具に対して高圧の気体を噴き付け乾燥させるための乾燥手段とをさらに備える。
【0019】
特に、洗浄液分解処理手段は、処理槽内の洗浄液に対して紫外線を照射するための紫外線ランプを含む。
【0020】
本発明に係る洗浄消毒方法は、医療器具の洗浄消毒方法であって、洗浄時に微細気泡化した気体を洗浄液に対して過飽和状態となるまで溶解させるステップと、洗浄液を洗浄槽内の医療器具に対して噴射するステップとを備える。
【0021】
好ましくは、洗浄液は、オゾンを溶解したオゾン水である。
【0022】
特に、医療器具は、洗浄槽内の洗浄液に浸漬され、洗浄槽内の洗浄液に対して紫外線を照射してヒドロキシラジカルを発生させるステップとをさらに備えた。
【0023】
特に、洗浄槽内の洗浄液を循環させて医療器具に対して噴射するステップとをさらに備える。
【0024】
特に、洗浄槽内の洗浄液を処理槽に蓄積して、処理槽内の洗浄液を分解処理するステップと、分解処理するステップと、並列に洗浄槽内の医療器具を乾燥するステップとをさらに備える。
【0025】
特に、分解処理するステップは、洗浄液に対して紫外線を照射する。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る医療器具洗浄消毒装置および医療器具の洗浄消毒方法は、微細気泡化した気体を過飽和状態となるまで溶解させた洗浄液を医療器具に対して噴射させることにより、医療器具に対して付着したミクロの汚れを効率的に除去するとともに強い洗浄消毒処理を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その詳細な説明は繰返さない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に従う医療器具洗浄消毒装置の配管系統図を概略的に説明する図である。なお、本例においては、洗浄消毒する医療器具として内視鏡を一例に挙げて説明する。
【0029】
本発明の実施の形態に従う医療器具洗浄消毒装置1(以下、単に装置1とも称する)は、洗浄消毒槽10と、噴射バルブ切替器5と、洗浄液処理槽20と、バブル発生器25と、オゾン発生器30と、ミキシングポンプ35と、オゾン分解器40,45と、乾燥器50と、電磁弁V0〜V12と、装置全体を制御するコントロール回路60とを含む。コントロール回路60は、図示しないCPU、記憶部、電源スイッチおよび液晶画面等から構成されている。そして、電源スイッチのオン等により記憶部に記憶された制御プログラムに沿ってCPUが装置1を構成する各部品に対して、制御信号を送ることにより、装置1全体を制御し、後述する一連の洗浄消毒処理を実行する。
【0030】
洗浄消毒槽10は、上面に内視鏡17を挿入するための開閉密閉式の洗浄槽開閉蓋11と、洗浄液を貯留して内視鏡17を浸漬し、洗浄消毒処理を実行するための洗浄槽部12とを有している。また、洗浄層部12内には、紫外線を照射するための紫外線ランプ14と、内視鏡17を載置するための載置手段16と、洗浄槽内の洗浄液が洗浄時に流動攪拌するための乱流板15が設けられている。図1においては、4個の紫外線ランプが示されており、紫外線ランプ14は、コントロール回路60の指示に応答して紫外線を照射する。
【0031】
噴射バルブ切替器5は、洗浄液の供給を受けて、洗浄槽部12内の内視鏡17に対して噴射位置等を変えながら、効率的かつ満遍なく洗浄液を内視鏡17に対して噴射し、洗浄槽部12内で洗浄消毒する。
【0032】
洗浄液処理槽20は、洗浄槽部12内に貯留した洗浄液の供給を受けて、洗浄液を処理するための処理槽であり、内部にコントロール回路60からの指示に応答して紫外線を照射する紫外線ランプ21および乱流板22を有している。
【0033】
バブル発生器25は、コントロール回路60からの指示に応答してオン/オフ動作により、供給される洗浄液をバブル水として、電磁弁V11を介して噴射バルブ切替器5に対して放出する。なお、ここで、バブル水とは、気体を超微細気泡化して、過飽和状態として溶解した水溶液である。
【0034】
オゾン発生器(オゾナイザ)30は、図示しない酸素ボンベから酸素の供給を受けるか、あるいは図示しないコンプレッサを用いることにより、圧縮空気から窒素を除いて酸素濃度を高めた酸素の供給を受けてコントロール回路60の指示に応答してオゾンを発生させて、電磁弁V10を介してミキシングポンプ35に出力する。
【0035】
ミキシングポンプ35は、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V9を介して供給される水道水とオゾン発生器30からのオゾンとをミキシング(混合)してバブル発生器25に出力する。なお、ミキシングポンプ35がミキシング動作を実行しない場合には通常のポンプとして機能し、バブル発生器25を介して噴射バルブ切替器5に洗浄液が送出される。
【0036】
オゾン分解器40,45は、オゾンガスを分解するためのマンガン系の触媒を有しており、洗浄消毒槽10および洗浄液処理槽20の内部圧力が外気圧よりも高くなれば槽内部のオゾンガスはオゾン分解器40,45により分解され、無害化されて外部に排出される。
【0037】
乾燥機50は、圧縮空気の供給を受けて電磁弁V0,V1を介して洗浄消毒槽に高圧の水分が除去された乾燥圧縮空気を噴射し、内視鏡17に付着している水滴等を除くためのものである。
【0038】
洗浄消毒槽10から洗浄液処理槽20までの間には、電磁弁V2,V4,V5が設けられておりコントロール回路60の指示に応答して開閉動作を行ない、全て開動作をした場合には、洗浄消毒槽10内の洗浄液が洗浄液処理槽20に送出される。電磁弁V2,V3,V11は、洗浄消毒槽10内の洗浄液の循環の際に用いられ、コントロール回路60からの開動作の指示に応答して洗浄消毒槽10内の洗浄液は、ミキシングポンプ35およびバブル発生器25を介して循環される。また、電磁弁V5,V8,V12は、洗浄液処理槽20内の洗浄液の循環の際に用いられ、コントロール回路60からの開動作の指示に応答してミキシングポンプ35を介して洗浄液が循環される。排水時に、コントロール回路60は、電磁弁V7に対して開動作を指示し、洗浄液処理槽20内の洗浄液を排水する。
【0039】
図2は、本発明の実施の形態1に従う医療器具の洗浄消毒方法を説明するフローチャート図である。
【0040】
図2を参照して、まず医療器具の洗浄消毒が開始される(ステップS0)。
【0041】
次に、洗浄消毒槽10の洗浄槽部12に内視鏡17が入れられる(ステップS1)。この際、内視鏡17は載置手段16により所定位置に置かれる。
【0042】
次に、洗浄槽開閉蓋11を閉める(ステップS2)。これにより内視鏡17を洗浄消毒槽10(以下、包括して洗浄槽とも称する)にて洗浄消毒するための準備が整う。
【0043】
次に、洗浄槽部12内の内視鏡17に対して噴射バルブ切替器5よりバブル水を噴射して洗浄する(ステップS3)。
【0044】
図3は、バブル水を用いて内視鏡を洗浄する場合の医療器具洗浄消毒装置1の動作を説明する図である。
【0045】
図3を参照して、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V9が開動作し、水道水がミキシングポンプ35に供給される。そして、水道水はミキシングポンプ35により、バブル発生器25に供給される。バブル発生器25は、コントロール回路60からの指示に応答してオン(ON)状態とされ、バブル発生器25においてバブル水として電磁弁V11を介して噴射バルブ切替器5に供給される。
【0046】
噴射バルブ切替器5は、電磁弁V11を介してミキシングポンプ35でポンプアップされた高圧のバブル水を内視鏡17に対して噴射し、噴射位置を切り替えながら内視鏡17の洗浄を行なう。
【0047】
バブル水は、上述したように気体を超微細気泡化して、過飽和状態として溶解した水溶液である。この超微細気泡が含まれるバブル水を内視鏡17と衝突させることにより、衝突の瞬間に気泡破壊熱が発生するためこの熱に触れる雑菌は殺菌されることになる。
【0048】
また、この気泡が破裂する際に、超音波が発生し、これにより通常の洗浄ではとれないような汚れを掻き出すことができる。また、気泡が破裂した際の力、具体的には真空・吸引力が働き、また微細気泡の表面張力が作用し効果的に付着した脂肪分や細菌等を剥離し取り除き洗浄することができる。
【0049】
これにより目に見えない汚れであってもバブル水を用いることにより内視鏡17に付着した通常の洗浄では取れない細菌を剥離するとともに洗浄消毒することができる。また、気泡破壊熱により加熱殺菌効果により雑菌を殺菌することもできる。
【0050】
なお、ここでは、バブル水として通常の水道水を用いた例について説明したが水道水に限らず他のグルタルアルデヒド(GA)や酵素洗浄剤を溶かした洗浄液をバブル水として内視鏡17に対して噴射することも可能である。
【0051】
次に、再び図2を参照して、オゾン水を洗浄槽部12内に噴射して内視鏡17を洗浄する(ステップS4)。
【0052】
図4は、オゾン水を用いて内視鏡に噴射する場合の医療器具洗浄消毒装置1の動作を説明する図である。
【0053】
図4を参照して、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V9が開動作し、水道水がミキシングポンプ35に供給される。また、オゾン発生器30がオン状態となり、圧縮空気の供給を受けてオゾンを生成し、電磁弁V10を介してミキシングポンプ35に供給する。これにより、ミキシングポンプ35において、オゾン発生器30によって発生させられた圧縮空気により生じたオゾンが水道水と混合されてオゾン水となる。そして、オゾン水は、バブル発生器25および電磁弁V11を介して噴射バルブ切替器5に供給される。なお、オゾン水濃度は、0.5〜2.0mg/l(0.5〜2.0ppm)程度に設定するものとする。
【0054】
なお、本例におけるオゾン水は、オゾンが全て水溶液中に溶解している場合に限られず、たとえばガス状のオゾンがミスト状(水分を含むもの)になり、気体中(空気等)に分散しているような状態も含まれるものとする。また、この場合、バブル発生器25はオフ状態とする。
【0055】
噴射バルブ切替器5は、上述したのと同様の動作により供給されたオゾン水を受けて内視鏡17に噴射する。オゾン水は、強い殺菌力を有し、種々の菌やウイルスを殺菌することが知られている。これにより、内視鏡17を消毒し、殺菌することができる。
【0056】
そして、再び図2を参照して、次にコントロール回路60からの指示に応答して洗浄槽内の紫外線ランプ14を点灯させる(ステップS5)。なお、内視鏡17は、オゾン水の噴射に伴いオゾンのミスト中またはオゾン水中に浸漬して消毒殺菌されている。
【0057】
このオゾン水に紫外線を照射するとオゾンよりさらに酸化力の強いヒドロキシラジカルが発生する。したがって、オゾン水でも消毒殺菌することが難しい菌を効果的かつ早期に消毒殺菌することができる。なお、ステップS5において、紫外線ランプ14を点灯させる場合について説明したが、バブル水を洗浄槽内に噴射して洗浄する前から具体的には、ステップS2の後に紫外線ランプ14を点灯させておくことも可能である。紫外線の照射により内視鏡17に付着した菌を殺菌することができるからである。
【0058】
図5は、代表的な酸化剤の酸化力を示す酸化電位を説明する図である。
【0059】
なお、ここでは、塩素の値を基準にした相対値が示されている。
【0060】
図5に示されるように塩素よりも、さらにはオゾンよりもヒドロキシラジカルは、酸化力が強いことが示されている。ヒドロキシラジカルは、上述したようにオゾン水に対して紫外線(UV)照射による光酸化法により生じる化合物であり、有機化合物に対してはそれを酸化分解し、最終的には汚染物を水、炭酸ガス、酸素などの分子まで分解して消滅させる。特に紫外線照射により有機化合物の分子結合を切ることができるため難分解性の有機物も効率よく分解し浄化することが可能である。
【0061】
そして、再び図2を参照して、次のステップにおいて洗浄槽内の洗浄液を循環させる(ステップS6)。
【0062】
図6は、洗浄液であるオゾン水を循環させ、洗浄槽内で紫外線が照射してヒドロキシラジカルを発生させる場合を説明する図である。
【0063】
図6を参照して、電磁弁V2,V3,V10,V11が、コントロール回路60の指示に応答して開動作し、洗浄槽にあるオゾン水の洗浄液が循環されて、ミキシングポンプ35,バブル発生器25および噴射バルブ切替器5を介して内視鏡17に絶えず新しいオゾン水が供給される。また、それととともに、この新しいオゾン水に紫外線を照射して、内視鏡表面や洗浄液中にヒドロキシラジカルを発生させ、洗浄殺菌を持続させる。また、この洗浄液は循環時に乱流板15の作用を受け、洗浄液中の未分解の汚物とオゾン水が良く混合し、洗浄槽内に循環してきたとき、紫外線の照射を受けて、効果的にヒドロキシラジカルで酸化分解する。
【0064】
また、コントロール回路60の指示に応答してオゾン発生器30においてオゾンが生成されて、電磁弁V10を介してミキシングポンプ35に供給される。そして、循環している洗浄液とオゾンとがミキシングされ、消毒殺菌作用で消費された洗浄液中のオゾンを補給する。
【0065】
この循環動作により、さらにオゾン水よりもより殺菌力の高いヒドロキシラジカルを用いた消毒作用を効果的に行なうことができる。なお、オゾン水は、数十分間その効果を発揮するがヒドロキシラジカルの効果としては、ヒドロキシラジカルが生成された瞬間のみであって持続されるものではない。したがって、洗浄槽内で汚物(有機物等)がオゾン水と混ざっているあるいは混合されている場合に紫外線を照射したとき紫外線が照射された部分においてヒドロキシラジカルは生成され、強い酸化力および殺菌力を発揮することになる。
【0066】
そして、十分に内視鏡17に対して洗浄消毒処理が実行された後に、再び図2を参照して、洗浄槽内の紫外線ランプ14を消灯する(ステップS7)。これによりヒドロキシラジカルの生成が停止される。なお、洗浄槽内の底部付近に未分解の汚物がある場合においても、次の洗浄液処理槽内において促進酸化法すなわち浄化作用が行なわれるので、最終的には完全に分解することができる。
【0067】
次に、洗浄槽内の洗浄液の循環を停止する(ステップS8)。次に洗浄槽内の洗浄液を洗浄液処理槽20にて処理する(ステップS9)。この際、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V2,V4,V5が開動作し、洗浄槽内に溜まった汚物および洗浄液が洗浄液処理槽20に移されることになる。
【0068】
図7は、本発明の実施の形態に従う洗浄液処理を説明する場合のフローチャート図である。
【0069】
図7を参照して、本発明の実施の形態に従う洗浄液処理方式は、まず洗浄液処理が開始される(ステップS20)。具体的には、上述したように洗浄槽内の洗浄液が洗浄液処理槽20内に送出される。
【0070】
次に、洗浄液処理槽20内の紫外線ランプ21を点灯する(ステップS21)。紫外線ランプ21が点灯されることにより、上述したように紫外線ランプ21の照射によりオゾン水からヒドロキシラジカルが生成される。そして、ヒドロキシラジカルは、上述したように有機化合物に対して酸化分解し、最終的には汚染物を水、炭酸ガス、酸素などの分子まで分解して消滅させる。すなわち洗浄液を完全に浄化させ、無害な水として放流することができる。
【0071】
次に、引き続いて洗浄液処理槽20内の洗浄液を循環する(ステップS22)。
【0072】
図8は、洗浄液処理槽内の洗浄液を循環する場合の医療器具洗浄消毒装置の動作を説明する図である。
【0073】
図8を参照して、ここでは、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V5,V8,V10およびV12が開動作し、ミキシングポンプ35およびバブル発生器25を介して洗浄液処理槽20内の洗浄液が循環される。この時、オゾン発生器30はコントロール回路60の指示に応答してオゾンを生成し、電磁弁V10を介してミキシングポンプ35に供給する。そして、ミキシングポンプ35により洗浄液とオゾンとはミキシングされる。洗浄液処理槽20内には乱流板22が配置されており、洗浄液が洗浄液処理槽20内において流通攪拌されて紫外線ランプ21の照射が効率的に作用し、有機化合物がより分解すなわち浄化されやすくなる。なお、後述するがこの洗浄液処理が実行されている際には、洗浄槽内は乾燥動作が行なわれており、図8に示されているように乾燥器50はオン状態であり、電磁弁V0,V1もコントロール回路60からの指示に応答して開動作しているものとする。
【0074】
そして、十分に洗浄液が浄化された後に、再び図7を参照して、次にコントロール回路60からの指示に応答して洗浄液処理槽20内の紫外線ランプ21を消灯する(ステップS23)。これにより、ヒドロキラジカルの生成は停止され、オゾン水のみとなる。
【0075】
そして、洗浄液処理槽20内の洗浄液の循環を停止(ステップS24)し、洗浄液処理槽内の洗浄液を排水する(ステップS25)。この場合、コントロール回路60からの指示に応答して電磁弁V7が開動作しているものとする。オゾン水は放置しておくことで、自然に水(H2O)と、酸素(O2)とに分解され、残留毒性がないため安全である。そして洗浄液処理が終了される(ステップS26)。なお、オゾン分解器45は、上述したようにオゾン水から発生するオゾンガスが周囲に悪影響を与えないように洗浄液処理槽20内に気体としてあるオゾンを分解しており、分解された無害な気体は外部に排気されている。
【0076】
図9は、洗浄液が洗浄液処理槽20に移された場合において洗浄槽内において乾燥動作を行なう場合を説明するフローチャート図である。
【0077】
図9を参照して、乾燥が開始される(ステップS10)。次に洗浄槽の内視鏡17に対して圧縮空気を噴射する(ステップS11)。より具体的には、電磁弁V0,V1をコントロール回路60からの指示に応答して開動作させ、乾燥器50をオン状態にして圧縮空気を洗浄槽に送り込み、乾燥した空気を洗浄槽の内部にある内視鏡17に向けて噴射する。これにより内視鏡17に付着の水分を風圧で除去するようにして乾燥させることができる。そして、乾燥が終了し、内視鏡が洗浄槽から取出される(ステップS12)。圧縮空気に限らずオゾンガスを用いることも可能である。オゾンガスを用いるならオゾンガスに由来する殺菌作用も期待することも可能である。また、ヒータ等を用いて加熱した気体を内視鏡に対して噴射することによりより早期に乾燥処理を終了させることが可能である。
【0078】
なお、コントロール回路60は、内部において予め定められている期間経過後、乾燥器50をオフ状態とし、乾燥を終了させる。
【0079】
本例においては、洗浄槽から洗浄液処理槽20に洗浄液が排出されて、洗浄液処理が洗浄液処理槽で行なわれると同時に洗浄槽内において内視鏡17の乾燥が行なわれる。
【0080】
したがって、この両者の動作を同時に並行して実行することができるため従来では洗浄槽内において浄化作用を行なう洗浄液処理後に内視鏡の乾燥を行なわなければならない場合があったが、これらを並列に行なうことができるためより効率的に内視鏡の洗浄を終了させることができ、早期に内視鏡の洗浄および殺菌が可能となる。
【0081】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に従う医療器具の洗浄消毒方法を説明するフローチャート図である。
【0082】
図10を参照して、ステップS0〜ステップS2については図2において説明したのと同様である。洗浄槽開閉蓋11を閉めた後は、次に、ステップS3aにおいて、オゾンバブル水を洗浄槽内に噴射して洗浄する(ステップS3a)。
【0083】
オゾンバブル水は、オゾン水をバブル発生器25によりバブル水としたものである。
【0084】
すなわち、オゾン水内に超微細気泡が含まれる水溶液である。これにより、上記の実施の形態においてはバブル水を噴射した後にオゾン水を噴射する2段階の構成としていたが本実施の形態2の如くオゾンバブル水を用いることにより1段階の洗浄液の噴射で内視鏡17を洗浄することが可能になり、効率的に装置1を動作させることができるとともに、1段階の洗浄液の噴射で洗浄消毒作用を強力に実行することができるため早期に内視鏡の洗浄および殺菌を行なうことができる。その後のステップS5〜ステップS9については図2で説明した実施の形態1と同様であるのでその詳細な説明は繰返さない。
【0085】
なお、上記においては、医療器具の一例として内視鏡を例に挙げて説明したがこれに限られず、たとえば、手術用メス、手術用ピンセット、内視鏡付属品等種々の医療器具に適用可能である。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態に従う医療器具洗浄消毒装置の配管系統図を概略的に説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態1に従う医療器具の洗浄消毒方法を説明するフローチャート図である。
【図3】バブル水を用いて内視鏡を洗浄する場合の医療器具洗浄消毒装置1の動作を説明する図である。
【図4】オゾン水を用いて内視鏡に噴射する場合の医療器具洗浄消毒装置1の動作を説明する図である。
【図5】代表的な酸化剤の酸化力を示す酸化電位を説明する図である。
【図6】洗浄液であるオゾン水を循環させ、洗浄槽内で紫外線を照射してヒドロキシラジカルを発生させる場合を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う洗浄液処理を説明する場合のフローチャート図である。
【図8】洗浄液処理槽内の洗浄液を循環する場合の医療器具洗浄消毒装置の動作を説明する図である。
【図9】洗浄液が洗浄液処理槽20に移された場合において洗浄槽内において乾燥動作を行なう場合を説明するフローチャート図である。
【図10】本発明の実施の形態2に従う医療器具の洗浄消毒方法を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0088】
1 医療器具洗浄消毒装置、5 噴射バルブ切替器、10 洗浄消毒槽、11 洗浄槽開閉蓋、12 洗浄槽部、14,21 紫外線ランプ、15,22 乱流板、16 載置手段、17 内視鏡、20 洗浄液処理槽、25 バブル発生器、30 オゾン発生器、35 ミキシングポンプ、40,45 オゾン分解器、50 乾燥器、60 コントロール回路、V0〜V12 電磁弁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具を洗浄するための洗浄槽と、
洗浄時に前記洗浄槽に収納された前記医療器具に対して洗浄液を噴射するための噴射部と、
前記洗浄時に前記噴射部に対して供給する前記洗浄液に対して、微細気泡化した気体を過飽和状態となるまで溶解させるためのバブル発生部とを備えた、医療器具洗浄消毒装置。
【請求項2】
前記洗浄液は、オゾンを溶解したオゾン水である、請求項1記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項3】
前記洗浄槽は、紫外線を照射するための紫外線ランプを有し、
前記医療器具は、洗浄槽内の洗浄液に浸漬され、
前記紫外線ランプは、前記洗浄時に前記洗浄液に対して前記紫外線を照射して、ヒドロキシラジカルを発生させる、請求項2記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項4】
前記洗浄槽内の洗浄液を前記噴射部に供給して、前記洗浄液を循環させるための循環手段をさらに備える、請求項3記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項5】
前記洗浄槽内の洗浄液を蓄積する処理槽を有し、前記処理槽にて前記洗浄液を分解処理するための洗浄液分解処理手段と、
前記洗浄槽内の前記医療器具に対して高圧の気体を噴き付け乾燥させるための乾燥手段とをさらに備える、請求項2〜4のいずれか一項に記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項6】
前記洗浄液分解処理手段は、前記処理槽内の洗浄液に対して紫外線を照射するための紫外線ランプを含む、請求項5記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項7】
医療器具の洗浄消毒方法であって、
洗浄時に微細気泡化した気体を洗浄液に対して過飽和状態となるまで溶解させるステップと、
前記洗浄液を洗浄槽内の前記医療器具に対して噴射するステップとを備える、医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項8】
前記洗浄液は、オゾンを溶解したオゾン水である、請求項7記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項9】
前記医療器具は、洗浄槽内の前記洗浄液に浸漬され、
前記洗浄槽内の前記洗浄液に対して紫外線を照射してヒドロキシラジカルを発生させるステップとをさらに備えた、請求項8記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項10】
前記洗浄槽内の前記洗浄液を循環させて前記医療器具に対して噴射するステップとをさらに備える、請求項9記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項11】
前記洗浄槽内の前記洗浄液を処理槽に蓄積して、前記処理槽内の洗浄液を分解処理するステップと、
前記分解処理するステップと、並列に前記洗浄槽内の前記医療器具を乾燥するステップとをさらに備える、請求項8〜10のいずれか一項に記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項12】
前記分解処理するステップは、前記洗浄液に対して紫外線を照射する、請求項11記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項1】
医療器具を洗浄するための洗浄槽と、
洗浄時に前記洗浄槽に収納された前記医療器具に対して洗浄液を噴射するための噴射部と、
前記洗浄時に前記噴射部に対して供給する前記洗浄液に対して、微細気泡化した気体を過飽和状態となるまで溶解させるためのバブル発生部とを備えた、医療器具洗浄消毒装置。
【請求項2】
前記洗浄液は、オゾンを溶解したオゾン水である、請求項1記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項3】
前記洗浄槽は、紫外線を照射するための紫外線ランプを有し、
前記医療器具は、洗浄槽内の洗浄液に浸漬され、
前記紫外線ランプは、前記洗浄時に前記洗浄液に対して前記紫外線を照射して、ヒドロキシラジカルを発生させる、請求項2記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項4】
前記洗浄槽内の洗浄液を前記噴射部に供給して、前記洗浄液を循環させるための循環手段をさらに備える、請求項3記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項5】
前記洗浄槽内の洗浄液を蓄積する処理槽を有し、前記処理槽にて前記洗浄液を分解処理するための洗浄液分解処理手段と、
前記洗浄槽内の前記医療器具に対して高圧の気体を噴き付け乾燥させるための乾燥手段とをさらに備える、請求項2〜4のいずれか一項に記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項6】
前記洗浄液分解処理手段は、前記処理槽内の洗浄液に対して紫外線を照射するための紫外線ランプを含む、請求項5記載の医療器具洗浄消毒装置。
【請求項7】
医療器具の洗浄消毒方法であって、
洗浄時に微細気泡化した気体を洗浄液に対して過飽和状態となるまで溶解させるステップと、
前記洗浄液を洗浄槽内の前記医療器具に対して噴射するステップとを備える、医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項8】
前記洗浄液は、オゾンを溶解したオゾン水である、請求項7記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項9】
前記医療器具は、洗浄槽内の前記洗浄液に浸漬され、
前記洗浄槽内の前記洗浄液に対して紫外線を照射してヒドロキシラジカルを発生させるステップとをさらに備えた、請求項8記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項10】
前記洗浄槽内の前記洗浄液を循環させて前記医療器具に対して噴射するステップとをさらに備える、請求項9記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項11】
前記洗浄槽内の前記洗浄液を処理槽に蓄積して、前記処理槽内の洗浄液を分解処理するステップと、
前記分解処理するステップと、並列に前記洗浄槽内の前記医療器具を乾燥するステップとをさらに備える、請求項8〜10のいずれか一項に記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【請求項12】
前記分解処理するステップは、前記洗浄液に対して紫外線を照射する、請求項11記載の医療器具の洗浄消毒方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−141505(P2006−141505A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332837(P2004−332837)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
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