説明

医療器具用消毒液及び医療器具消毒方法

【課題】過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する医療器具用消毒液であって、消毒液による腐食作用が大幅に軽減された消毒液、及び過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する消毒液を用いた医療器具消毒方法であって、消毒液による金属腐食作用が大幅に軽減された方法の提供。
【解決手段】過酢酸濃度が0.1〜0.5質量%であり、pHが4.6以上6.2未満であるか、又はpHが3.6以上6.2未満であると同時に酢酸濃度が過酢酸濃度の0.5〜3.5倍である消毒液、並びに、消毒液の過酢酸濃度を補充剤の添加によって0.1〜0.5質量%の範囲に保つ工程及びpH調整剤の添加によってpHを4.6以上6.2未満に保つ工程を含む消毒方法、又は該消毒液の過酢酸濃度を補充剤の添加によって0.1〜0.5質量%の範囲かつ酢酸濃度の0.28〜2倍の範囲に保つ工程及びpH調整剤の添加によってpHを3.6以上6.2未満に保つ工程を含む消毒方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療器具用消毒液及び医療器具消毒方法に関する。より詳しくは過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する医療器具用消毒液、及び該医療器具用消毒液を用いた医療器具用消毒方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡等の医療用機器の化学系殺菌消毒には、幅広い微生物を死滅させる作用を有し、かつ短時間で作用するものとして、グルタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド、又は過酢酸を有効成分とした製剤が使用されている。これらの製剤を使った消毒液の有効濃度は例えばグルタルアルデヒドでは2質量%以上、過酢酸では0.2質量%以上の濃度が内視鏡機器の消毒用途のガイドラインとして知られている。
【0003】
グルタルアルデヒドには、芽胞に対する殺菌作用が弱いという問題やアレルギーの原因となるという問題がある。またオルトフタルアルデヒドについてもアレルギーの原因を懸念する点が医療現場で指摘されるようになっている。他方、過酢酸製剤(特許文献1)は、芽胞に対する殺菌作用を有し、アレルギーの問題がないだけでなく、最終的には水と酸素に分解するため環境汚染の問題も無い。消毒剤として一般に使用される0.2〜0.35質量%の過酢酸濃度実用液では、過酢酸特有の刺激性や臭いも比較的弱いことから、過酢酸製剤が近年好ましく用いられている。
【0004】
過酢酸は一般に過酢酸、過酸化水素、及び酢酸の平衡混合物として比較的安定な組成物を入手することができ、消毒用製剤としても使用されている。過酢酸の平衡混合物は中性以上、特にpH8以上では過酢酸の安定性が著しく損なわれるため、このようなpH域では過酢酸製剤の使用期限が短くなるなどの難点を有する。過酢酸の安定性の観点から、過酢酸製剤は平衡混合物として酢酸酸性で用いられることが一般的である。
【0005】
一方で、消毒液成分による医療器具への影響も考慮すべき課題としてある。医療器具の構成材料であるエラストマー、プラスチック、金属(アルミ二ウム、ステンレス等)などの各部材に対して、消毒液成分の影響は軽微であることが好ましい。過酢酸製剤は、前記のように酢酸酸性であるため、材料の中でも金属に対する腐食作用が強いことが副次的課題としてある。過酢酸系消毒液の腐食性に対しては腐食防止技術が一般的にも知られている(特許文献2、3、4)。しかしながら、従来の腐食防止技術だけでは過酢酸製剤の腐食性を軽減することはできても、本質的な改良には至っていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】国際公開第00/22931号
【特許文献2】特表平8−500843号公報
【特許文献3】特表2001−506971号公報
【特許文献4】特開平2−83301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する医療器具用消毒液であって、消毒液による金属腐食作用が大幅に軽減された医療器具用消毒液、及び過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する医療器具用消毒液を用いた医療器具消毒方法であって、消毒液による医療器具の腐食作用が大幅に軽減される方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは消毒液による金属腐食作用を軽減するための方法を鋭意検討した結果、過酢酸、酢酸、及び過酸化水素を含有する平衡組成物において、過酢酸濃度並びにpH又はpH及び過酢酸と酢酸との濃度比を調整することにより金属腐食作用が軽減できることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記を提供するものである。
【0009】
[1]過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する医療器具用消毒液であって、
過酢酸濃度が0.1質量%以上0.5質量%以下であり、かつ、
pHが4.6以上6.2未満である医療器具用消毒液。
[2]過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する医療器具消毒用消毒液であって、
過酢酸濃度が0.1質量%以上0.5質量%以下であり、
酢酸濃度が過酢酸濃度の0.5倍以上3.5倍以下であり、かつ
pHが3.6以上6.2未満である消毒液。
【0010】
[3]酢酸濃度が過酢酸濃度の1.5倍以上2.5倍以下である[2]に記載の消毒液。
[4]pH調整剤を含む[1]〜[3]のいずれか一項に記載の医療用消毒液。
[5]pH調整剤が水酸化アルカリ金属である[4]に記載の医療用消毒液。
[6]過酸化水素濃度が0.3質量%以上1.0質量%以下である[1]〜[5]のいずれか一項に記載の医療用消毒液。
【0011】
[7]リン酸塩及びピロリン酸塩を含有し、
該リン酸塩がリン酸換算濃度で0.05質量%以上0.4質量%以下であり、かつ、
該ピロリン酸塩がピロリン酸換算濃度で0.03質量%以上0.2質量%以下である[1]〜[6]のいずれか一項に記載の医療器具用消毒液。
[8]医療器具が内視鏡である[1]〜[7]のいずれか一項に記載の医療器具用消毒液。
【0012】
[9]過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する消毒液と医療器具とを接触させる工程を含む医療器具の消毒方法であって、
該消毒液の過酢酸濃度を補充剤の添加によって0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲に保つ工程、及び
pH調整剤の添加によってpHを4.6以上6.2未満に保つ工程を含む消毒方法。
【0013】
[10]過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する消毒液と医療器具とを接触させる工程を含む医療器具の消毒方法であって、
該消毒液の過酢酸濃度を補充剤の添加によって0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲、かつ酢酸濃度の0.28倍以上2倍以下の範囲に保つ工程、及び
pH調整剤の添加によってpHを3.6以上6.2未満に保つ工程を含む消毒方法。
を含む消毒方法。
【0014】
[11]前記の補充剤が過酢酸又は過酢酸プレカーサーの少なくとも1種を含有する[9]又は[10]に記載の消毒方法。
[12]pH調整剤が水酸化アルカリ金属である[9]〜[11]のいずれか一項に記載の消毒方法。
[13]医療器具が内視鏡である[9]〜[12]のいずれか一項に記載の消毒方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、過酢酸、酢酸、及び過酸化水素を含有する医療器具用消毒液であって、金属腐食性が改良された消毒液、及び過酢酸、酢酸、及び過酸化水素を含有する消毒液を用いて医療器具の腐食を防止しつつ消毒することができる方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0017】
本明細書において用いられる「消毒」という用語には、「洗浄」、「殺菌」、及び「滅菌」などの意味が含まれる。
本明細書において、pHや濃度比などの数値が記載されている場合は特に言及の無い場合は、25℃の条件下での値を示すものとする。
【0018】
本明細書において消毒液(消毒液組成物と呼ぶこともある)とは、被消毒機器又は器具の消毒を目的として使用されるものを意味する。本発明において消毒液は過酢酸、酢酸、及び過酸化水素を含む。
被消毒機器である医療器具としては特に限定されないが、例えばレンズ装着の装置類、内視鏡類、メスやカテーテルなどの外科手術用器具、産科・泌尿器科用器具、麻酔装置類、人工呼吸装置類、人工透析装置類、歯科用器具又はその補助的器具、注射筒、体温計、プラスチック器具などが挙げられる。このうち、特に内視鏡が好ましい。
【0019】
医療用器具の消毒のために好ましい、消毒液における過酢酸濃度は、0.1〜0.5質量%であり、より好ましくは0.15〜0.40質量%であり、最も好ましくは0.18〜0.36%である。この濃度範囲よりも高い濃度の場合には良好な腐食性が得られ難いため好ましくなく、また低い濃度の場合には殺菌効力が劣るため好ましくない。
【0020】
本発明において消毒液組成物のpHは4.6以上6.2未満であり、4.8以上6.0以下であることが好ましく、5.0以上5.8以下であることがより好ましい。酢酸濃度が過酢酸濃度の0.5倍以上3.5倍以下である場合は、pHは3.6以上6.2未満であればよく、4.2以上6.1以下であることが好ましく、4.6以上6.0以下であることがより好ましい。この範囲よりも低いpHの場合には十分な腐食性改良が得られ難いこと、また高いpHの場合には消毒液の安定性を損なうことから好ましい範囲は上記のように限定される。
【0021】
上記の範囲にpHを調整するために、本発明の消毒液はpH調整剤を含むことが好ましい。pH調整剤の種類及び濃度は特に限定されないが、環境に適合するような酸、例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、又はアジピン酸等の有機酸及びその塩、リン酸、硫酸等の無機酸及びその塩、水酸化アンモニウム又は水酸化アルカリ金属等の塩基を用いることができる。通常、後述のような酢酸濃度と過酢酸濃度との比の範囲において、消毒液はpH3.5程度以下となるので、pH調整剤は、通常水酸化アンモニウム又は水酸化アルカリ金属等の塩基であればよく、好ましくは水酸化アルカリ金属である。
pH調整剤は後述の緩衝剤とともに本発明の消毒液に含まれていることが好ましい。
【0022】
本発明の消毒液において酢酸は消毒液の安定性と腐食性の両面で重要な役割を有する。すなわち、消毒液中の酢酸は過酢酸との平衡組成において過酢酸の安定性に寄与する反面、酢酸が非解離体で存在するpHにおいては、酢酸は過酢酸との相乗効果によって著しく腐食を促進する。このような理由から、本発明において好ましい酢酸の濃度は0.05〜1.75質量%であり、より好ましくは0.10〜1.50質量%であり、最も好ましくは0.15〜1.25質量%である。ただし酢酸の好ましい濃度は一義的に決まるのではなく、前記の過酢酸濃度との関係において有効な濃度が設定されることが好ましい。pHが4.6以上6.2未満である場合、酢酸濃度は過酢酸濃度の0.1倍以上10倍以下であることが好ましく、0.5倍以上6.0倍以下であることがさらに好ましく、1.0倍以上5.0倍以下であることが最も好ましい.pHが3.6以上6.2未満である場合、酢酸濃度は過酢酸濃度の0.5倍以上3.5倍以下であることが好ましく、1.0倍以上3.0倍以下であることがさらに好ましく、1.5倍以上2.5倍以下であることが最も好ましい。
【0023】
本発明において消毒液中の過酸化水素の含有量は特に限定されないが、過酢酸の安定性の観点からは0.3〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.4〜0.9質量%であり、最も好ましくは0.5〜0.8質量%である。
【0024】
本発明で用いられる消毒液は「第一の試薬」及び「第二の試薬」を混合することにより得られた液であってもよい。「第一の試薬」及び「第二の試薬」は、医療器具用の消毒液調製のための消毒用キットとして提供することができる。第一の試薬は過酢酸を1.5〜15質量%、より好ましくは4〜11質量%、さらに好ましくは4〜10質量%を含めばよい。また、第一の試薬は酢酸、及び過酸化水素水を含有していてもよい。第二の試薬は過酢酸、酢酸、又は過酸化水素水を含有しないことが好ましく、緩衝剤、腐食防止剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、安定化剤、再付着防止剤、及び界面活性剤からなる群から選択される1種以上を含む。「第一の試薬」及び「第二の試薬」については後述する。
【0025】
第一の試薬は通常さらに過酸化水素、酢酸を含み、過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を平衡状態で含む水溶液である。第一の試薬は20℃におけるpHが4以下、好ましくは2以下であり、必要に応じてキレート剤、pH調節剤、溶剤等を含有していてもよい。また、第一の試薬は他の公知の過酢酸発生方法によっても得ることができ、例えば特開平2007−197416号公報に記載の方法等により発生させた過酢酸が挙げられ、その他の公知の過酢酸溶液も必要に応じて用いることができる。
【0026】
第二の試薬は緩衝剤、腐食防止剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、安定化剤、再付着防止剤、及び界面活性剤からなる群から選択される1種以上を含む。好ましくは、緩衝剤及び腐食防止剤を少なくとも含む。第二の試薬のpH(25℃)は5〜10、好ましくは7〜9であり、必要に応じて他の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は緩衝剤及び腐食防止剤の他に、可溶化剤が挙げられるがこれらに限定されることはない。
【0027】
緩衝剤とはpH緩衝能を有する無機・有機の酸もしくは塩、及びpH調節に必要な酸及びアルカリの成分を指す。例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、若しくはアジピン酸等の有機酸又はその塩、リン酸若しくは硫酸等の無機酸又はその塩、あるいは水酸化アンモニウム若しくは水酸化アルカリ金属等の塩基を用いることができる。これらのうち本発明において好ましく用いられる緩衝剤はクエン酸、酢酸等の有機酸又はその塩、リン酸若しくは硫酸等の無機酸又はその塩であり、さらに好ましくはリン酸の無機酸又はその塩である。緩衝剤の濃度は特に限定されないが、第二の試薬中20質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましく、消毒液組成物中2質量%以下が好ましく1質量%以下が特に好ましい。
【0028】
腐食防止剤としては、殺菌すべき医療機器の材質に適したものを選択すればよく、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、低級アルキルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、低級アルキルヒドロキシベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、低級アルキルカルボキシベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、低級アルキルベンズイミダゾール、ヒドロキシベンズイミダゾール、低級アルキルヒドロキシベンズイミダゾール、カルボキシベンズイミダゾール、低級アルキルカルボキシベンズイミダゾール、メルカプトベンゾチアゾール、低級アルキルメルカプトベンゾチアゾール、ヒドロキシメルカプトベンゾチアゾール、低級アルキルヒドロキシメルカプトベンゾチアゾール、カルボキシメルカプトベンゾチアゾール、低級アルキルカルボキシメルカプトベンゾチアゾール、グルコン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸ブチル、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ソルビトール、エリスリトール、リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸テトラナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、クロム酸塩、又はホウ酸塩、あるいはこれらから選択される2種以上の物質の組み合わせなどを挙げることができるが、これらに限定されない。本明細書において、「低級アルキル」という用語は、1個から6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。
【0029】
銅、黄銅、青銅、又は多金属系を含む機器等を殺菌処理するために本発明の方法が用いられる場合には、1,2,3-ベンゾトリアゾール、低級アルキルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、低級アルキルヒドロキシベンゾトリアゾール、モリブデン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、クロム酸塩、又はホウ酸塩、あるいはこれらの任意の組み合わせである腐食防止剤が好ましく用いられる。1,2,3-ベンゾトリアゾール、モリブデン酸ナトリウム、又は亜硝酸ナトリウム、あるいはそれらの組み合わせを含む腐食防止剤が特に好ましく用いられる。炭素鋼及び/又はステンレス鋼を含む機器等を殺菌処理するために本発明の組成物を使用する場合には、例えば、安息香酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、及びモリブデン酸ナトリウムなどを含む腐食防止剤が好ましく用いられる。炭素鋼及び/又はステンレス鋼を含む機器等を殺菌処理するために本発明の組成物を使用する場合には、例えば、硝酸ナトリウム及び/又はモリブデン酸ナトリウムを含む腐食防止剤が好ましく用いられる。これらの中でも1,2,3−ベンゾトリアゾールは本発明において最も好ましく用いられる。本発明の消毒液組成物に含まれる腐食防止剤の総量は特に限定されない。
【0030】
腐食防止剤が本発明の消毒液組成物に難溶である場合には、さらにアルキレングリコールのなどの可溶化剤を含んでもよい。本明細書において、「アルキレングリコール」という用語は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジアルキレングリコール(例えばジエチレングリコールなど)、又はトリアルキレングリコール(例えばトリエチレングリコールなど)、あるいは対応するそれらのモノ-及びジアルキルエーテルなどのグリコール類をいう。アルキルエーテルは1個から6個の炭素原子を有する低級アルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、又はプロピルエーテルなど)である。特に好ましくは、可溶化剤としてプロピレングリコールを含み、またこのプロピレングリコールは第二の試薬に腐食防止剤の同等の濃度で含まれていることが好ましい。同等の濃度とは例えば、第二に試薬中に約1質量%で含まれる1,2,3-ベンゾトリアゾールに対してプロピレングリコールは0.2〜2倍含まれていることが好ましい。
【0031】
金属イオン封鎖剤とは、金属イオンを封鎖(キレート)する作用を行う成分を意味し、これらの成分がカルシウム及びマグネシウムのキレート化能力を有する場合でも、鉄、マンガン、及び銅のような重金属イオンとより選択的に結合する成分を意味する。重金属イオン封鎖剤は本発明の消毒液組成物の総質量に対して0.001質量%〜5質量%、好ましくは0.005質量%〜2質量%、さらに好ましくは0.01質量%〜1質量%、最も好ましくは0.02質量%〜0.5質量%の割合で使用することができる。第二の試薬への添加に適した重金属イオン封鎖剤として、例えば、有機ホスホン酸塩、例えば、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホン酸塩)、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシジホスホン酸塩、及びニトリロトリメチレンホスホン酸塩などが挙げられる。上記の中で好ましいのは、アミノトリ(メチレンホスホン酸塩)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸塩)、エチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸塩)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸塩)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びヒドロキシ−エチレン1,1二ホスホン酸塩であり、最も好ましくはヒドロキシ−エチレン1,1二ホスホン酸塩である。
【0032】
第二の試薬に使用する好ましい他の金属イオン封鎖剤としては、ニトリロ三酢酸及びポリアミノカルボン酸、例えばエチレンジアミノ四酢酸、エチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、エチレンジアミン二グルタル酸、2−ヒドロキシプロピレンジアミン二コハク酸、又はこれらいずれかの塩が挙げられる。特に好ましいのはエチレンジアミン−N,N'−二コハク酸(EDDS)又はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、若しくは置換アンモニウム塩、あるいはこれらの混合物である。
【0033】
安定化剤としては公知の安定化剤を用いればよく、例えば、リン酸塩、8-ヒドロキシキノリン、スズ酸、スルホレン、スルホラン、スルホキシド、スルホン、又はスルホン酸などが挙げられる。このうち、リン酸塩(正リン酸塩)は好ましい安定化剤である。また正リン酸の他には例えば、オルトリン酸ナトリウム塩、オルトリン酸カリウム塩、ピロリン酸ナトリウム塩、ピロリン酸カリウム塩、ポリリン酸ナトリウム塩、ポリリン酸カリウム塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。本発明の消毒液組成物においてはリン酸塩(正リン酸塩)及びピロリン酸を含有することが好ましく、消毒液組成物の総質量に対してリン酸塩含有量は好ましくはリン酸換算濃度として0.05質量%以上0.4質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.35質量%以下、最も好ましくは0.15質量%以上0.30質量%以下である。また、消毒液組成物の総重量に対するピロリン酸塩含有量は好ましくはピロリン酸換算濃度として0.03質量%以上0.2質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上0.15質量%以下である。
【0034】
界面活性剤としては、酸性条件化においてペルオキシカルボン酸及び過酸化水素の存在下で酸化及び分解に対して安定な界面活性剤を使用することができ、好ましくは、酸化され易い界面活性剤は避けるべきである。適切な界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、両性、又はカチオン性の界面活性剤から選択することができる。第二の試薬への添加に好ましい界面活性剤として、例えば非イオン性界面活性剤が挙げられ、具体的には、ポリエチレン/ポリプロピレンブロックポリマー型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンエーテル型界面活性剤、及びポリオキシエチレンソルビタン型界面活性剤等が挙げられるが。本発明の消毒液組成物に添加することができる界面活性剤はこれらに限定されることはない。第二の試薬中の界面活性剤の濃度は、0.001質量%〜5.0質量%であればよく、特に0.01質量%〜1.0質量%が好ましい。
【0035】
再付着防止剤としては、内視鏡から脱離した汚れ等を液中に懸濁した状態に保つ機能を有するものを使用することができる。例えば、有機性の水溶性コロイド(例えば、デンプン、ゼラチン、若しくはデンプンなどのエーテルカルボン酸又はエーテルスルホン酸の塩、セルロース、セルロースエーテル、若しくはセルロースのエーテルカルボン酸又はエーテルスルホン酸の塩、あるいはセルロース又はデンプンの酸性硫酸エステルの塩)などを用いることができる。酸性基を含む水溶性ポリアミドも好ましく用いることができる。さらに上記以外のデンプン誘導体、例えばアルデヒドデンプンも使用することができる。もっとも、添加することができる再付着防止剤はこれらの例示に限定されることはない。再付着防止剤としては、再付着防止剤として例示された上記の化合物からなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。再付着防止剤の濃度は第二の試薬の総質量に対して5質量%以下が好ましく、特に2質量%以下が好ましい。
【0036】
過酢酸を含有する消毒液と医療器具とを接触させる工程を含む医療器具の消毒方法において、前記工程前に、本発明の補充剤を前記消毒液に添加することによって、消毒液中の過酢酸濃度を長期間有効濃度に維持した消毒方法の実施が可能である。
消毒液と医療器具とを接触させる方法は特に限定されないが、医療器具を消毒液に浸漬させることにより両者を接触させて消毒する方法が好ましい。該浸漬においては消毒液を攪拌してもよく、医療器具を振とうしてもよく、自動洗浄機を用いてもよい。また、該浸漬前又は該浸漬後に医療器具の水洗等の工程を含めてもよく、浸漬の後に医療器具を滅菌ガーゼ等で拭う又はドライヤー等により乾燥させる工程等を含めてもよい。該浸漬時間は1分以上15分以下であればよく、3分以上12分以下が好ましく、4分以上6分以下がより好ましい。
【0037】
上記の補充剤は、消毒液と医療器具との接触前に、前記消毒液に添加すればよい。消毒液が複数回の使用や時間の経過によって有効成分濃度が低下したものである場合でも、補充剤の添加によって有効成分濃度を増加させて医療器具の消毒を行うことができる。本明細書において「接触前」というとき、該消毒液の調製時から該接触の時までのいずれかのときを意味し、特に該接触の直前のみを意味するものではない。該消毒液の調製時から該接触の時までにおいて、上記の添加は1回でもよく、2回以上であってもよい。
【0038】
上記の補充剤は消毒液中の有効成分濃度を所定の範囲を保つことを目的として消毒液に添加される。従って、該添加は消毒液の有効成分濃度が低下した場合(例えば消毒液中の過酢酸濃度が0.2質量%より低い濃度になった場合)や、消毒液の調製後所定の時間経過した場合又は所定の回数使用した場合に行われればよい。補充剤は少なくとも過酢酸又は過酢酸プレカーサーを含有する。過酢酸プレカーサーとは消毒液中又は補充剤中で過酢酸を生成しうる化合物である。より詳しくは過酢酸プレカーサーとは消毒液中又は補充剤中で過酸化水素と反応し過酢酸を生成しうる化合物である。補充剤は少なくとも過酢酸又は過酢酸プレカーサーを含んでいれば固体でも液体でもよく、また単一の化合物であっても、複数の化合物から成る混合物であってもよい。
【0039】
過酢酸プレカーサーとして好ましくは前記一般式I〜IIIで表される化合物が例として挙
げられる。
【化1】

【0040】
一般式IにおいてLはNと共に環構造を形成するための原子団であり、原子団としては飽
和へテロ環又は不飽和へテロ環であり、かつアシル部を離脱しうる構造であれば特に限定されるものではない。Lが形成するヘテロ環構造としてはイミダゾール、スクシンイミド、ヒダントイン、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ピロリドン、ピリドンが挙げられ、これらのうち好ましくはイミダゾール、スクシンイミド、ヒダントイン、トリアゾール、ベンゾトリアゾールであり、さらに好ましくはイミダゾール、スクシンイミド、ヒダントイン、トリアゾール、ベンゾトリアゾールであり、最も好ましくはイミダゾール、スクシンイミド、ヒダントインである。
【0041】
一般式IIにおいてR3は置換基を表し、好ましくは脂肪族基又は芳香族基であり各々置換基を有していてもよい。ただし一般式IIの化合物が適度な親水性を有することが好ましい点からはR3は過度に大きい構造は好ましくなく、その大きさは一般式IIの分子量として100〜900、より好ましくは150〜600程度であり、最も好ましくは200〜400である。mは整数であり、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。置換基の例としては、置換もしくは無置換のアルキル基が挙げられ、このましくはメチル基、エチル基、プロピル基、2−アミノエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基が上げられる。これらの置換基はさらに他の置換基を有していてもよい。
【0042】
一般式IIIにおけるエステル部が少なくとも1つ以上有していればR5は如何なる構造でもよく、具体的にはR5は脂肪族基又は芳香族基を表す。R5は置換基を有していてよく、置換基は特に限定されない。R5が脂肪族基の場合、C1〜C20のアルキルが挙げられ、好ましくはC2〜C10、最も好ましくはC3〜C6であり、各々直鎖又は分岐に限定されない。また、R5が芳香族基の場合にはベンゼン環が好ましく、該ベンゼン環はカルボキシル基等の水溶性基、並びにエステル基等の電子吸引性の置換基を有していることが好ましい。nは整数であり、R5が脂肪族基の場合nは好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4であり、最も好ましくは2〜3である。また、R5が芳香族基の場合、nは1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。
以下に一般式I〜IIIで表される化合物例を示すが、本発明は下記の例に限定されるもの
ではない。
【0043】
【化2】

【0044】
一般式I〜IIIで表される過酢酸プレカーサーの使用量は、消毒液の過酢酸濃度を必要量
増加させることができれば特に限定されるものではなく、具体的には消毒液中の過酢酸の消失速度と補充頻度を考慮し必要最小限の使用量を設定することが望ましい。例えば消毒液中の過酢酸の濃度低下の半減期を10日とした場合、補充頻度は10日間に2〜10回程度かつ10日間の過酢酸プレカーサーの補充モル量の総計は消失した過酢酸モル量の0.3〜5倍、好ましくは0.8〜3倍、最も好ましくは1〜2倍である。
【0045】
本発明の好ましい1つの態様においては、消毒液が過酸化水素を含有する(第一の方式と呼ぶ)。第一の方式においては過酢酸プレカーサーは消毒液中の過酸化水素により過酢酸を生成する。第一の方式においては、過酢酸プレカーサーは前記に記載の消毒液組成物の条件の下で過酢酸を生成しうる十分な反応性を有していることが好ましい。この観点においては上記の例示化合物のうち、例えば一般式Iで表される化合物を用いることが好まし
い。
【0046】
本発明において好ましい1つの態様においては、前記補充剤が過酢酸プレカーサーを含む試薬と過酸化水素を含む水溶液とを混合して調製される。(第二の方式)。第二の方式によれば、補充剤内において過酢酸プレカーサーと過酸化水素との反応による過酢酸の発生を効率的に行う条件や補充を行う間隔等を好適に設定することができる。第二の方式で用いる過酢酸プレカーサーは一般式I〜IIIで表されるいずれの化合物でもよいが、好まし
くは一般式II又はIIIで表される化合物が低コストで入手し易いことから好ましい。また、第二の方式とする際には、上記混合時には、温度を20〜60℃の範囲で制御する、反応触媒としてアルカリ又はアミン等を加える、又は生成した過酢酸の分解を抑制するための安定化剤又は酸を加えpHを上記に記載の範囲に調整することも好ましい。これらの条件を組み合わせ、上記混合時から数分〜数時間程経過させて補充剤とすればよい。
【0047】
前記の第二の方式において使用する過酸化水素は、過酢酸プレカーサー1モルあたり0.2〜10当量であることが好ましく、0.5〜6当量であることがさらに好ましく、1〜4当量が最も好ましい。過酸化水素源としては、過酸化水素水のほか、水に溶解して過酸化水素を生じる無機過酸塩又は有機過酸化物などを用いることができ、より好ましくは過酸化水素水又は無機過酸塩を用いることができる。無機過酸塩は特に限定されないが、例えば過炭酸塩又は過ホウ酸塩が好ましく、その中でも過炭酸塩が好ましく用いられる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[例1]
以下の方法に従い消毒液を調製し腐食性を評価した。
(試料1の調製)各成分の濃度が表1に示す値となるように表1に示す配合成分を混合した組成物に精製水を加えて1リットルとした。これに水酸化ナトリウムを加えてpH3.8に調節して目的の消毒液(試料1)とした。
【0049】
【表1】

【0050】
(試料2〜6の調製)
pHの設定値を表2の通りとした以外は試料1と同様の方法により試料2〜7を調製した。pHの調節は水酸化ナトリウムの添加量により行った。なお、表1より試料1〜7のリン酸塩含有量はリン酸換算濃度で15.6ppm、ピロリン酸塩含有量はピロリン酸換算濃度で6.2ppmであった。
【0051】
(比較用試料7の調製)
試料1に対して過酢酸を含有せず、その他は同一の組成及びpHに調節された試料7を調製した。
【0052】
(評価)
試料100mLに真鍮ホイル(辺長1cm×2cm、厚さ0.25mm、質量約50mg)を25℃16時間浸漬した。真鍮ホイルの浸漬前の質量に対する浸漬後の質量を測定し、これを3回実施した平均値により腐食による真鍮ホイルの質量の減少率(%)を求めた。得られた結果を表2に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
表2の試料1〜6の結果より、真鍮の質量の減少率はpH4.6以上において低下し、pH5.0以上ではさらに顕著に低下した。すなわち本発明の消毒液では真鍮の腐食が軽微であった。なお、過酢酸を含有せず酢酸を含有する比較用の試料7では腐食は全く認められなかった。このことにより、試料1〜6における腐食性は過酢酸によるものであり、かつその優劣がpHによりもたらされた事が明白である。
【0055】
[例2]
実施例1の試料1〜6の各々に対して過酢酸の配合量を0.25質量%に変更する以外は同様の試料11〜16を調製した。実施例1と同様の方法で評価を行った結果、真鍮の質量の減少率はpH4.6以上において低下し、pH5.0以上ではさらに顕著に低下した。すなわち本発明の消毒液では真鍮の腐食が軽微であった。
【0056】
[例3]
(試料21〜24の調製)
表3に示す成分が配合された組成物に精製水を加えて1リットルとした。ただし、表3に記載以外の配合成分については全試料とも表4の成分配合量とした。各試料のpHは水酸化ナトリウムを加えて調節しpH3.8とした。試料21〜24について実施例1と同様の評価を行った結果を表5に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
表5の結果より、酢酸の含有量が1.2質量%以下であり、かつ過酢酸含有量に対する酢酸濃度の倍率(酢酸濃度倍率)が3.5以下の試料において真鍮の腐食が軽減される結果を得た。特に、酢酸濃度倍率が2.8の試料23ではより好ましく、酢酸濃度倍率が2.2の試料24では最も好ましい結果となった。実施例1における試料7の結果との比較から、試料21〜24における腐食性は過酢酸によるものであり、かつ、その優劣が酢酸濃度倍率によってもたらされたことが明白である。
【0061】
[例4]
(試料22〜26の調製)
実施例3の試料24に対してpHの設定値を表6の通りとした以外は試料24と同様の試料31〜35を調製した。pHの調節は水酸化ナトリウムの添加量により行った。実施例1と同様の評価を行った結果を表6に示す。
【0062】
【表6】

【0063】
表6の結果より、本発明の効果はpH4.6以上においてより好ましい結果が得られ、pH5.0以上ではさらに好ましい結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する医療器具用消毒液であって、
過酢酸濃度が0.1質量%以上0.5質量%以下であり、かつ、
pHが4.6以上6.2未満である医療器具用消毒液。
【請求項2】
過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する医療器具消毒用消毒液であって、
過酢酸濃度が0.1質量%以上0.5質量%以下であり、
酢酸濃度が過酢酸濃度の0.5倍以上3.5倍以下であり、かつ
pHが3.6以上6.2未満である消毒液。
【請求項3】
酢酸濃度が過酢酸濃度の1.5倍以上2.5倍以下である請求項2に記載の消毒液。
【請求項4】
pH調整剤を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用消毒液。
【請求項5】
pH調整剤が水酸化アルカリ金属である請求項4に記載の医療用消毒液。
【請求項6】
過酸化水素濃度が0.3質量%以上1.0質量%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療用消毒液。
【請求項7】
リン酸塩及びピロリン酸塩を含有し、
該リン酸塩がリン酸換算濃度で0.05質量%以上0.4質量%以下であり、かつ、
該ピロリン酸塩がピロリン酸換算濃度で0.03質量%以上0.2質量%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の医療器具用消毒液。
【請求項8】
医療器具が内視鏡である請求項1〜7のいずれか一項に記載の医療器具用消毒液。
【請求項9】
過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する消毒液と医療器具とを接触させる工程を含む医療器具の消毒方法であって、
該消毒液の過酢酸濃度を補充剤の添加によって0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲に保つ工程、及び
pH調整剤の添加によってpHを4.6以上6.2未満に保つ工程を含む消毒方法。
【請求項10】
過酢酸、過酸化水素、及び酢酸を含有する消毒液と医療器具とを接触させる工程を含む医療器具の消毒方法であって、
該消毒液の過酢酸濃度を補充剤の添加によって0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲、かつ酢酸濃度の0.28倍以上2倍以下の範囲に保つ工程、及び
pH調整剤の添加によってpHを3.6以上6.2未満に保つ工程を含む消毒方法。
を含む消毒方法。
【請求項11】
前記の補充剤が過酢酸又は過酢酸プレカーサーの少なくとも1種を含有する請求項9又は10に記載の消毒方法。
【請求項12】
pH調整剤が水酸化アルカリ金属である請求項9〜11のいずれか一項に記載の消毒方法。
【請求項13】
医療器具が内視鏡である請求項9〜12のいずれか一項に記載の消毒方法。

【公開番号】特開2010−95448(P2010−95448A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264985(P2008−264985)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】