説明

医療器具表面コーティング用の結合層

【課題】挿入可能な医療器具に適用すると、コーティングにおける改善された接着性を器具の表面に提供する組成物を提供する。
【解決手段】(a)溶媒と結合性ポリマーを含む液体として医療器具の表面上に直接適用され、5〜100μmの厚さを有し、器具の不活性表面と非共有結合で結合する結合性ポリマーを有する密着結合被膜層であり、結合性ポリマーは、例えば、アクリル樹脂や、エポキシ樹脂、アセタール樹脂などであり、更に、
(b)結合被膜層に接着した結合被膜層に適用される外層、
を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器械用の接着性コーティングに関する。特に、本発明は、ポリマー組成物であって、挿入可能な医療器具に適用すると、コーティングにおける改善された接着性を器具の表面に提供する組成物、及びこれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療器具、例えば、カテーテル又はガイドワイヤーは、気管、血管、尿道又は他の体腔又は組織を通して、又はカテーテル又はドレナージ管などを通して挿入される。前記器具は、高度な平滑性を有することを要求して、配置する場合に遭遇する組織に外傷を与えずに前記器具を導入することを確保する。これらの表面は、平滑性(lubricity)を有することによって更に強化して、器具が組織中に残存する場合に生じる粘膜の損傷や炎症を防止する。医療器具表面に対する他の要求も、認識されている。
【0003】
ある場合に、医療器具表面にとって有利なのは、種々の生理活性物質、例えば抗血栓形成性物質、抗微生物物質、抗腫瘍性物質、遺伝物質、ホルモン、生細胞物質等のための貯蔵所として役に立つ能力を有することである。抗血栓形成性材料、例えばヘパリンと第四級アンモニウム化合物との複合体は、医療器具表面上で使用して表面上の血塊形成を防止する。当該材料は、人工血管上にin vitroで急速に形成し得る。抗微生物剤で、ペニシリン、セファロスポリン、フルオロキノロン、アミノグリコシド、銀、化合物、フェノール化合物、ビグアニド誘導体等を含むものを、表面コーティングに使用して、しばしば移植された人工器官の表面上で生じる院内感染を制御することが、米国特許第5,069,899号、米国特許第5.525,348号及び米国特許第4,442,133号明細書に提案されている。
【0004】
器具の構造、例えばガイドワイヤー及びカテーテルの構造は、挿入に対して特に問題となる。ガイドワイヤーは、一般に巻きガイドワイヤーでステンレススチールでできたもの、及びモノフィラメントガイドでプラスチック材料、例えばポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン等を有するものを含み、このガイドワイヤーを押し出し成形して、表面にコーティングが接着し得るもの提供し、かつ表面の平滑性及び均一性を提供する。
カテーテルは、典型的にプラスチック管から成り、その管は、単一の内腔又は多数の内腔を有してもよい。カテーテルは、管に沿って固定されたバルーンを有して、血管を塞ぎ、又はカテーテルを所望の位置に固定してもよい。カテーテルは、さらに口(port)を末端に、側面口(side port)を長さの一部に沿って有し、又は特別な器具の任務を達成するために必要な他の機械的特徴を有していてもよい。カテーテルは、連続的長さの管材料からなってもよく、または2セクション以上の管材料で同様の又は異なる材料からなり、互いに溶接されて異なる性質を器具に沿った異なる場所で有する管材料を含んでもよい。カテーテルはテーパーをつけてもよく、区分内でテーパーにするか又は異なる直径の区分を有することによって、テーパーにしてもよい。カテーテルを構成する典型的材料には、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル、例えばポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、シリコーン等が含まれる。典型的直径は、1ミリメートル未満から8ミリメートル超で変化する。
【0005】
典型的に、カテーテルを挿入する場合に遭遇するように、所定の部位において、ガイドワイヤーの先端は、カテーテルを通してその開いた先端まで挿入され、ガイドワイヤーとカテーテルは、例えば血管に経皮的に挿入され、及びカテーテルは血管を通して、ガイドワイヤーを先導及び支持ガイドとして使用することによって、更に挿入される。これらの動作で、摩擦及び磨耗力が生じ、これは医療器具の表面に適用される。カテーテル内部表面とガイドワイヤーとの摩擦抵抗を低くすることが望ましい。カテーテルとガイドワイヤーとの比較的高い摩擦は、ガイドワイヤーがカテーテルを通して挿入されるのを妨げるだけでなく、ガイドワイヤーが、カテーテルを通して簡単に移動することから、細かい留置手術を予定の血管部位で行うことが困難になる。時々、ガイドワイヤーはカテーテルから回収できなくなり、カテーテル内腔が留置手術の完了にもかかわらず使えなくなる。
【0006】
このような問題を回避するために、従来技術において、低摩擦抵抗のテフロン(登録商標)やシリコーン油をガイドワイヤーの外部表面に適用する試みがされた。シリコーン油を適用すると、平滑性を保持できず、これは、シリコーンコーティングがすぐに失われるためである。頻繁に適用すると摩擦抵抗が増し、上記したような望ましくない事態を引き起こす。
従って、カテーテル及びガイドワイヤーは、より低い摩擦抵抗表面を有することが必要で、そうすれば、血管中のより細かい手術が可能になり、カテーテルが、配置時の取り扱いが困難な部位に容易に挿入できかつ残存し得る。
【0007】
ポリウレタンコーティングは、直接金属表面上に適用される。米国特許第4,876,126号明細書参照。しかしながら、この技術の市販版では、適切に機能するためには厚い層(厚さ60〜80ミクロン)が必要である。実際には、厚い層は、コーティングした金属支持体のまわりに連続的に広がる。この層は、良好な結合力を有するので、たとえこの層が、必ずしも金属表面に対して良好に接着していなくても、金属表面上に密接に結合されると考えられる。当該コーティングの不利な点は、ポリウレタン及び他プラスチック層が非常に厚いので、下にあるワイヤーの金属直径をこれに対応して減少しなければならないという点である。これは、非常に細いワイヤー、例えば冠動脈形成術又は神経介入性のカテーテル法において使用されるワイヤーにおいて特に厄介である。このワイヤーは、外径が約0.010インチ(約250ミクロン)であり、大多数は、金属でなくプラスチック材料から成る直径(約120〜170ミクロン)を有してもよい。これと別の方法は、低摩擦材料、例えばポリテトラフルオロエチレンコーティングを使用することであって、当該コーティングは、金属及び多くの他のプラスチック材料より低い摩擦を有し、かつ、金属支持体上に直接適用され得る。他の材料、例えば高密度ポリエチレンが試みられたが、摩擦係数は前記材料ほど低くはない。油が適用されると、摩擦の係数は低くなる。しかしながら、このような処理は一時的である。油が使用中に徐々になくなるからである。
【0008】
ハイドロゲルコーティングは、平滑な(lubricious)表面を挿入可能な器具に提供することで知られている。しかしながら、金属及び一定のプラスチック材料、例えばポリオレフィン、ポリアミド、シリコーン、ポリエステル等が不活性表面であると、良好な接着を達成することが、表面コーティング、例えばハイドロゲルコーティングを含めて当該表面に適用するときに、しばしば困難になる。
ハイドロゲルは、ハイドロゲルの重量の数倍の水を、水環境に置かれたときに吸収し得る。通常、ハイドロゲル層を疎水性下層に取り付けると、ハイドロゲルポリマー分子を疎水性下層中に大量に浸透するだろう。両方の層のポリマー分子は、分子間混合状態に、特に二層間の界面領域中で混合状態になる。分子間混合の結果、ハイドロゲル中に吸収される水は、支持体と疎水性コーティング層との交差部分に入り込むだろう。当該疎水性層と当該支持体との接着は、通常水分にさらされ、通常接着不全が起こる。水分により生じた接着不全の過程は、コーティング層が薄いと非常に悪化する。
【0009】
薄い疎水性層でセルロースエステル及びアクリルポリマーを含む層を、直接金属支持体に被覆してもよい(米国特許第5,001,009号明細書参照)。ハイドロゲルコーティングを、直接前記層に適用してもよい。このような系は、コイル型ガイドワイヤー上で良好に機能する。これは、コーティングが、コイルワイヤー間に浸透することによって更なる接着を得ることができるからである。しかしながら、前記層は、あまりに多く水分を浸透するので、心棒方式の金属支持体上に適用すると、接着性結合を低下させることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、コーティング接着を達成することが困難な医療器具表面上に層を直接適用できる材料を提供すること、及び当該層を当該表面に適用して、当該医療器具の性能及び生体適合性を強化することにある。本発明の他の目的は、そのような医療器械を作成する方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、ガイドワイヤー、カテーテル、ドレナージ管、供給管及び他の器具であって人間の組織及び体液と接触して使用されるもの、強化された生体適合性を示し、かつ体液と接触すると非常に平滑になる表面を有するものを提供することにある。他の目的は、感染、血塊、炎症及びin vitro配置から生じてもよい他の疾患と闘う物質を含む前記医療器具を提供すること、及び当該医療器具の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一態様によれば、コーティングされた表面を有する支持体を含む医療器具が提供される。当該表面は、比較的不活性であるとして特徴づけられ、かつ反応性官能基を表面上に有しない。ポリマーコーティングは、単一の又は混合の(ハイブリッド)ポリマー層であってもよく、支持体表面に強く結合した支持体表面上に提供される。器具表面上のポリマー層は、他の層がその表面に適用され、前記層に強く結合したものである。
本発明のコーティングが適用されてもよい支持体には、金属、例えばステンレススチール、ニッケル、金、クロム、ニッケルチタン合金、プラチナ等;プラスチック、例えばシリコーン、ポリエチレン、その他のポリオレフィン、ポリエステル等が含まれる。好ましい器具には、針、ガイドワイヤー、カテーテル、外科用器械、内視鏡検査用設備、ワイヤー、ステント、血管形成バルーン、創傷ドレーン、動静脈シャント、胃腸管、尿道挿入物(urethral inserts)、腹腔鏡検査用装置、ペレット、又はインプラントが含まれる。特に好適な態様には、コーティングされたガイドワイヤー、特にマンドレル型ワイヤー、カテーテル、ドレナージ管、ペースメーカー中の絶縁体、及び冠動脈形成術又は神経介入又は約l0〜20ミル(250〜500ミクロン)未満のワイヤー太さを要する他の手順用の平滑な細いワイヤーが含まれる。
【0012】
本発明の第二態様によれば、医療器具を作成する方法であって、医療器具表面を好適な組成物の薄いポリマー層でコーティングし、当該薄い層が支持体表面に良好に結合し、かつ次のコーティング層を前記薄いポリマー層に強く結合することを含む方法が提供される。その後、当該器具を、性能を強化しかつ医療器具の生体適合性のために設計された他の層でコーティングする。前記層は、医薬用のコーティングであって、生理的活性剤用の表面貯蔵として当該活性剤の効果的な濃縮物を器具表面近くで放出するのに役立つコーティング、表面平滑性を提供するハイドロゲルコーティング、色を含むコーティング、耐摩耗コーティング、これらの1以上の組合せ及び器具の性能を強化するための他のコーティングを含む。
【0013】
本発明は、薄く、良好に結合し、平滑な留置医療器具用のコーティングに対する長く切望されてきた要求を満たす。結合表面層での医療器具に対するこれまでの努力が、豊富化し、成熟した技術における広範な努力にもかかわらず失敗した分野において、本発明は成功した。本発明は、厚いコーティングの必要性を、強化した性能によって排除した。本発明の材料及び方法は、これまでに知られていないか又は示唆されておらず、本発明の効果は、これまでに理解されていない。本発明により達成された更なる目的及び効果は、詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本文(drawing)中に例示される本発明の好ましい態様を記載するにあたり、特定の用語は、明瞭にするために使用される。しかしながら、本発明は、そのように選ばれた特定の用語に限定されることを意図せず、その各特定の要素は、全ての技術的な同義語を含み、同様の方法で同様の目的を達成するために働くと理解される。本発明の薄い結合又は結束被膜層(tie coat layer)を、支持体に接着するのが困難なところに適用して、当該支持体に通常結合できない他の層を満足に結合してもよい。本発明のポリマーは、次の層中の溶媒による低下に対して十分な耐性があり、コーティングは、水に浸したときにも接着性を失わず、表面からの水拡散に対して不浸透性である。
【0015】
使用されてもよいポリマー類は、アクリルポリマー、及びコポリマーであって、モノマーが例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、イソブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、アクリル酸メチル、アクリル酸、スチレンメタクリレート、スチレンアクリレート等であるコポリマー;ビニルポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシポリマー等を含む。本発明中に使用されてもよい典型的な市販製品には、ポリアクリレート、例えばARYLOID(登録商標)(ローム&ハース (Rohm & Haas))AT-63、AT-51、AT-81、WR-97;ポリビニルピロリドン−ポリ酢酸ビニルコポリマー、例えばPVP/VA(GAF)E-335、E-635;エチレン−アクリル酸コポリマー、例えばPRIMACORTM(DOW)5989、5990;メラミン樹脂、例えばCYMEL(CYTEC Industrics)303、370、380;エポキシ、例えばEPON(シェル(Shell))1001が含まれる。必要な特徴を有する他の適当なポリマーは、通常の技術者にとって明らかである。
【0016】
ポリマーは、好ましくは一定の反応性の基又は反応性の点、例えばヒドロキシル、モノ、ジ及びターシャリーアミン、カルボキシルのような酸、アミド又は化学的反応性の点を示す他の基を含むが、必須ではない。化学的反応性のポリマー及び点は、粘着力、例えば水素結合を医療器具表面に対して形成でき、更にはコーティング層に対して層一面に適用されるように形成し得る。前記結合は非常に強く、及び上部被膜層及び水の浸透を防止し、共有結合性又は他イオンの結合は、器具表面と薄いポリマー結束コーティングとの間に要求されない。
反応性基を有するポリマーは、金属のような支持体との結合を補助するのに好ましい。しかしながら、前記基を欠くポリマー、例えばアクリル又はスチレンポリマーを使用してもよい。
【0017】
反応性基は、さらに反応して架橋マトリックスを形成し又は架橋マトリックスを形成するのを補助し得る。所望であれば、架橋剤、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、フェノール樹脂等を混合して、本発明のポリマーと架橋剤自身とを、ポリマー鎖上の化学的反応点で反応することによって架橋してもよい。あるいは、架橋剤はそれ自身反応して、結束被膜ポリマーをからませた架橋マトリックスを形成し、耐溶媒性の層が得られる。薄いポリマーの結束被膜内の(主要なポリマーの間又はそのまわりのいずれかの)架橋は、効果的な接着を促進するために有用であり、これは次のコーティング層中に使用される溶媒が、結束被膜ポリマー層を過度に侵さずかつ低下させないことを保証し、及び、水浸透に耐性があることによる。結束被膜層が過度の溶媒攻撃を受けると、ポリマー結束被膜層は、次のコーティング層により希釈され、これにより、結束被膜層と医療器具表面との接着性結合は低下する。過度の水浸透は、さらに接着を低下し得る。
【0018】
本発明のコーティングを、反応点、例えばアクリル又はスチレンポリマー又はコポリマーの欠如したポリマーと作成してもよい。同様に、コーティングを架橋なしで作成してもよい。しかしながら、前記コーティングにおいて、結束被膜の厚さは、ポリマーからなる反応性の点を有する層、及び架橋を有する層よりも、厚いことが要求され又は望まれる。これは、高度な接着を本発明の次の層に達成するためである。例えば、反応性基を有するポリマーを有する架橋したコーティングは、約2〜約10ミクロンの厚さであってもよい。これは実施例1とは対照的であり、実施例1では、水上輸送のアクリル・スチレンコポリマーは、金属に適用され、ハイドロゲル層を上部に有し、かつ全ての厚さが約30〜40ミクロンである。
【0019】
本発明の結束被膜層は、極めて耐久性があり、長期間水に浸されても耐久性がある。実施例に示されるように、ステンレススチール上のコーティングは、水中に数ヶ月間、接着性を失わずに浸すことができる。ハイドロゲル層を試料に適用しても同様である。ハイドロゲル層は、典型的に自重の数倍の水を吸収し、水拡散をハイドロゲル層と医療器具表面の間の層で行うための経路として役に立つ。そのように水にさらすことは、特に長期間では本発明の結束被膜への相当な攻撃を意味し、結束被膜が、前記攻撃に接着不全なく耐え得ることは、驚くべき結果である。本発明の結束被膜層は、非常に薄く、典型的に5ミクロン未満であり、接着性が一層顕著なものである。
【0020】
本発明のコーティングは薄くてもよく、約5〜12ミクロン(0.O002〜0.O005インチ)であってもよいが、所望の厚さでよい。好ましくは、コーティングは、約2〜約100ミクロン、好ましくは、約80ミクロン未満、又は60ミクロン未満、及び特に好適な実施例では約15ミクロンの厚さ未満である。約2〜約10ミクロンの結合被膜が一般に非常に適切である。コーティングがより厚い場合、他の問題が、薄さが重要な一定の適用において、起こるかもしれない。
【0021】
本発明のコーティングは、約5ミクロンの結合被膜及び5ミクロンの底部被膜及び5ミクロンの上部被膜を含む2層ヒドロゲルを含み、全体の厚さが約15ミクロンである。
支持体及び支持体に効力がある結合被膜剤の実施例を以下に記載する。多くの他の組合せは、通常の技術者にとって本発明の教示によって明らかになるだろう。
【0022】
ステンレススチール:
エポキシ樹脂;ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー;スチレンアクリル水分散;エチレン−アクリル酸コポリマー+メラミン樹脂;エチレン−アクリル酸コポリマー+メラミン樹脂+ヒドロキシル官能アクリルポリマー+イソシアネートポリマー;カルボキシル官能アクリルポリマー+エポキシ樹脂;アクリル分散ポリマー
【0023】
ポリエチレン
エチレン−アクリル酸コポリマー+メラミン樹脂+ヒドロキシル官能アクリルポリマー+イソシアネートポリマー
【0024】
シリコーン
エチレン−アクリル酸コポリマー+メラミン樹脂+ヒドロキシル官能アクリルポリマー+イソシアネートポリマー+酸素プラズマ
【0025】
ポリエステル
エチレン−アクリル酸コポリマー+メラミン樹脂+ヒドロキシル官能アクリルポリマー+イソシアネートポリマー
【0026】
ポリアミド
酸素プラズマ+ポリビニルブチナール
【0027】
コーティングは、連続表面層を形成して密着する。上部被膜でコーティングすると、得られるコーティングは、長期間水性液に浸したときにも耐除去性があり、かつ多種多様な支持体と接着する。
本発明の結合被膜を含むコーティングの接着のいくつかの有用な試験がある。
そのうち2種は、乾燥接着テープ試験及び湿式摩擦試験である。おおいのない結束被膜コーティングは、一般に支持体に良好に接着し、例えば結束被膜コーティングを底部被膜、例えばセルロースエステル層に接着するが、問題は、表面コーティング、例えばハイドロゲルが適用される場合にしばしば起こる。本発明の完成したコーティングは、少なくとも1時間の水の浸漬に耐え、かつ接着性及び湿式摩擦試験、及びその後の乾燥、テープ試験により示されるような摩耗による耐除去性を残すことができる。これが本発明のコーティングと従来技術との異なるところである。
【0028】
湿式摩擦試験では、平行の切目を、コーティングを通してカミソリ又はナイフで入れる。当該コーティングは、水中に所定の期間、例えば1時間浸される。その後、指で切目を横切って活発に(briskly)擦る。コーティングが背部剥離すれば、コーティング不足である。乾燥接着試験では、粘着テープを、しっかりとコーティング上に押しつけ、そこから活発に剥がす。コーティングが除去されれば、コーティング不足である。
本発明のコーティングを、生医学的器具の表面又は他の器具であって十分な厚さと、コーティングの所望の品質をコーティングされた器具の有効寿命を通して保持する耐久性を有する器具の表面に適用してもよい。当該コーティングは、十分な薄さを有し、従来技術コーティングでは適当でない多くの用途で有用である。本発明のコーティングは、生組織と非反応的であり、及び血液中で非血栓形成性である。
【0029】
コーティングを、種々の技術、例えば浸漬、噴霧、ブラシ、ワイプ又は他周知の方法によって、適用してもよい。コーティング溶液は、低い粘性、典型的に0.1Pa・秒(1OOCPS)未満を有し、かつ良好な拡散性を有する。コーティングを、高い温度、典型的に50℃〜100℃で焼き、有機溶媒を追い出す。
ガスプラズマ処理を、従来の方法に従って行ってもよい。真空に引き、ガス、例えば酸素又はアンモニアを入れておき、Rfで励起し、表面を、得られるプラズマと十分な時間、例えば20分間接触したままにしておき、官能基を表面上に置く。酸素はヒドロキシル基の表面官能基を生産し、及びアンモニアはポリマー表面に共有結合したアミン基を生産する。時間が経つと、基は表面に折り重なり、より反応性がなくなる傾向があるので、プラズマ処理された表面は、初期に使用するのが最良である。
【0030】
ここに記載するコーティング系は、水性液中の結合を表面に残存するコーティングを生じ、当該表面には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、シリコーン及び金属、例えばステンレススチール、プラチナ、金、ニッケル、チタン、ニッケル−チタン合金、クロム及び他の表面であって一般的に粘着問題があると考えられる表面がある。一定の表面にガスプラズマまたはイオン化処理を施して支持体への接着を促進することが必要であってもよい。
以下の実施例は、本発明が使用され得る方法のいくつかの実施態様を示す。
【0031】
実施例1
ステンレススチール表面を以下の溶液とブラシコーティングし、30分間85℃で乾燥した。加えて順に、溶けるまで撹拌した。
【0032】
エポキシ樹脂 5.55gm
キシレン 2.37gm
テトラヒドロフラン(THF) 62.08gm
シクロヘキサノン 10.0gm
エタノール 2.5gm
ビニルピロリドン− 2.5gm
ビニルアセテートコポリマー

コーティングは、接着に対する試験を、コーティングを通してナイフで切れ目を入れ、その後、切れ目を横切って指で活発に擦り、その後コーティングを水に浸した。接着不足(即ち、背部剥離)は、湿式摩擦試験の後では起こらなかった。次に、コーティング乾燥接着の試験を、ユニバーサルテープ 83436テープ(United Stationers Supply, Co.)をしっかりとコーティングに押し付け、テープを活発に剥がして行った。コーティングは、この試験によって除去しないだろう。この試料は、テープ試験において、接着不足を示さなかった。
【0033】
実施例2
スチレンアクリル水分散ポリマー(55%固体)を、ステンレススチール表面にブラシコーティングし、30分間85℃で乾燥した。実施例1に従って試験すると、このコーティングは優れた接着を示した。
【0034】
実施例3
実施例2の試料を、以下から成るハイドロゲル組成物でオーバーコーティングした:
ポリビニールピロリドン(PVP) 9.4gm
エタノール 136.1gm
ブチロラクトン 30.6gm
0.0625%ニトロセルロース 3.8gm
(シクロヘキサノン中)
【0035】
当該コーティングを25時間85℃で乾燥した。コーティングは、実施例1の湿式及び乾燥接着試験を通過した。
【0036】
実施例4
以下の溶液を、ステンレススチール表面にブラシコーティングして、85℃で2時間乾燥した。
【0037】
5%(w/w)エチレン−アクリル酸コポリマー 15gm
(テトラヒドロフラン(THF)中)
シクロヘキサノン 2gm
メラミン樹脂 0.24gm
キシレン 0.23gm
ブタノール 0.07gm
トリクロロ酢酸 0.1gm
【0038】
このコーティングを、15時間85℃で乾燥した。当該コーティングの接着を、実施例1に従って試験し、湿潤及び乾燥条件の下で良好な接着を有した。
【0039】
実施例5
実施例4の試料を、以下の溶液でオーバーコーティングし、2時間85℃で乾燥した。
【0040】
ニトロセルロース溶液* l70.6gm
シクロヘキサノン 88.0gm
ベンジルアルコール 48.0gm
10%(w/w)ポリウレタン(THF中) 86.0gm
ヒドロキシル官能アクリルポリマー l8.0gm
メラミン樹脂 4.5gm
キシレン l7.55gm
ブタノール 4.95gm
トリクロロ酢酸 0.5gm
* ニトロセルロース溶液:
l/4インチRSニトロセルロース 687gm
酢酸ブチル 459gm
トルエン 360gm
酢酸エチル 894gm
カンファー 132gm
ジブチルフタレート 180gm
【0041】
次に、試料を以下のハイドロゲル溶液とオーバーコーティングして、4時間85℃で乾燥した。
【0042】
PVP 9.4gm
エタノール 136.1gm
ブチロラクトン 30.6gm
0.0625%ニトロセルロース溶液 3.8gm
(シクロヘキサノン中)
【0043】
コーティングの接着を、実施例1に従って試験し、かつ湿潤及び乾燥条件の下で良好な接着を有した。試料は、良好な湿潤平滑性を有した。第一コーティングを省略すると、接着は試験条件下で不足した。
【0044】
実施例6
以下の溶液を、ステンレススチールワイヤーに浸漬コーティングし、2時間85℃で乾燥した。
【0045】
5%(w/w)エチレン−
アクリル酸コポリマー(THF中) 15gm
シクロヘキサノン 4gm
ヒドロキシル官能アクリルポリマー 0.24gm
メラミン樹脂 0.06gm
80%(w/w)イソシアネートポリマー 0.32gm
(THF中)
トリクロロ酢酸 0.20gm
【0046】
次に、試料を、実施例5と同じ2種のオーバーコーティング溶液でオーバーコーティングした。実施例1に従う湿潤及び乾燥条件の下で試験すると、接着は良好であった。試料は、良好な接着を、水中に浸してから130日を超える期間、示し続けた。コーティングは、良好な湿潤平滑性を有した。
【0047】
実施例7
ポリエチレン管材料を、酸素プラズマ処理に暴露した。その後、当該ポリエチレン管を、実施例6と同じコーティングでコーティングした。実施例1に従う湿潤及び乾燥条件下で試験すると、接着は良好であった。試料は、良好な湿潤平滑性を有した。
【0048】
実施例8
ポリエチレン管材料を実施例7と同様に処理した。但し、ハイドロゲルのすぐ下の中央コーティングが、以下からなることを除く。
l/4インチRS ニトロセルロース 2.89gm
ジブチルフタレート 1.1gm
カンファー 0.8gm
ポリウレタン 6.8gm
シクロヘキサノン 28.3gm
メチルエチルケトン 1.6gm
ベンジルアルコール 7.1gm
THF 10.1gm
エチルアセテート 2.3gm
エタノール 14.7gm
イソプロパノール 5.5gm
トルエン 22.9gm
ブチルアセテート 1.3gm
【0049】
実施例1に従う湿潤及び乾燥条件下で試験すると、試料は良好な接着を有し、かつ良好な湿潤平滑性を有した。
【0050】
実施例9
シリコーン管材料を実施例8と同様に処理した。実施例1に従う湿式及び乾燥条件下で試験すると、コーティングは良好な接着を有し、かつコーティングは良好な湿潤平滑性を有した。
【0051】
実施例10
シリコーン管材料を、酸素プラズマ処理に暴露した。これは、当該材料を排気された容器中に置き、及び酸素の添加とRf電源の周期とのサイクルを交互にすることによる。まず最初に、酸素を0.25分間で73.3±6.7Pa(550±50 mTorr)供給する。酸素をオフにし、Rf電源を、順方向で450±50ワット、逆方向で50ワット以下で、2分間オンにした。この2段階を5回続けて、残りの酸素サイクルを2分間続けた。結束被膜は、典型的にプラズマ処理された表面に、プラズマ処理の低下前、つまり1、2日以内に適用される。
次に、処理された管材料を、以下の溶液で浸漬コーティングし、1時間85℃で乾燥した。
【0052】
ポリビニルブチラール 18.0gm
エタノール 35.4gm
キシレン 34.9gm
メチルエチルケトン 43.4gm
プロピレングリコール 48.9gm
メチルエーテルアセテート
ジプロピレングリコール 9.0gm
メチルエーテルアセテート
酢酸イソブチル 1.89gm
【0053】
このコーティングを、実施例3で使用したものと同じハイドロゲルでオーバーコーティングした。実施例1に従う湿潤及び乾燥条件下で試験すると、良好な湿潤平滑性を有し、コーティング試料は良好な接着を有した。
【0054】
実施例11
ステンレススチールを、以下の溶液でコーティングし、かつ60分85℃で乾燥した。
ポリビニルブチラール 9.00gm
エタノール 17.70gm
キシレン 18.19gm
メチルエチルケトン 21.70gm
プロピレングリコール 24.45gm
モノメチルエーテルアセテート
ジプロピレングリコール 4.50gm
メチルエーテルアセテート
酢酸イソブチル 0.90gm
ヒドロキシル官能アクリルポリマー 1.52gm
メラミン樹脂 0.38gm
ブタノール 0.42gm
【0055】
次に、試料を、最後の2つのコーティングであって、実施例5の第一コーティングをオーバーコーティングするのに使用したものをオーバーコートした。実施例1に従う湿潤及び乾燥条件下で試験すると、試料は良好な接着を有し、かつ試料は湿潤平滑性を有した。
【0056】
実施例12
ポリエステル管材料の試料を、実施例8と同様に処理した。実施例1に従う湿潤及び乾燥条件下で試験すると、試料は良好な接着を有し、かつ試料は良好な湿潤平滑性を有した。
【0057】
実施例13
ステンレススチール表面を、以下の結束被膜溶液で浸漬コーティングし、2時間85℃で乾燥した。
カルボキシル基 1.85gm
アクリルポリマー
アロマティック150 2.32gm
ブチルセロソルブ(Butyl Cellosolve) 0.33gm
THF 3.55gm
キシレン 0.13gm
エポキシ樹脂 0.39gm
【0058】
次に、試料を、実施例3と同様のハイドロゲルコーティングでオーバーコーティングし、2時間85℃で乾燥した。実施例1に従う湿潤及び乾燥条件下で試験すると、試料は良好な接着を有し、かつ良好な平滑性を有した。
【0059】
実施例14
ステンレススチールの試料を、実施例1と同様の結束被膜溶液で浸漬コーティングし、2時間85℃で乾燥した。次に、当該試料を、実施例5の最後の2種のコーティングでオーバーコーティングした。実施例1に従う湿式及び乾燥条件下で試験すると、試料は良好な接着を有し、かつ試料は湿潤時に良好な平滑性を有した。
【0060】
実施例15
ステンレススチールの試料を、以下の結束被膜組成物で浸漬コーティングし、2時間85℃で乾燥した。
【0061】
水 8gm
トリトンx 1OO 0.88gm
10%非イオン性界面活性剤
50%アクリル分散ポリマー 18.8gm
【0062】
次に、試料を、実施例5の最後の2種のコーティングでオーバーコーティングした。実施例1に従う湿潤及び乾燥条件下で試験すると、試料は良好な接着を有し、かつ試料は湿潤時に良好な平滑性を有した。
【0063】
実施例16
PEBAXポリアミド管材料の試料を、実施例10に従って処理した。実施例1に従う湿潤及び乾燥条件下で試験すると、良好な湿潤平滑性を有し、試料は良好な接着を有した。
【0064】
実施例17
ナイロン12管材料の試料を、実施例16に示すように処理した。但し、酸素プラズマ処理は使用しなかった。実施例1に従う湿潤及び乾燥条件下で試験すると、良好な湿潤平滑性を有し、試料は良好な接着を有した。
【0065】
本明細書中に例示し及び論議した実施態様は、当業者に最良の方法であって発明者の知る本発明を製作し及び使用するための方法を教示することのみを目的とする。いかなる本明細書の記載も、本発明の範囲を制限するように考慮するべきでない。本発明の上記の実施態様の変更態様及びバリエーションは、当業者によって、上記の教示を考慮して認識されるように、本発明から逸脱することなく、可能である。したがって、理解されるべきことは、請求項及びそれらの同義語の範囲内で、本発明は、特に記載されていない限り、別の方法で実施してもよいことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入可能な医療器具であって、生体適合性表面コーティングを、反応性官能基を有さない前記器具の不活性表面上に含み、前記表面コーティングが、
(a)溶媒と結合性ポリマーを含む液体として前記医療器具の表面上に直接適用され、5〜100μmの厚さを有し、前記器具の不活性表面と非共有結合で結合する結合性ポリマーを有する密着結合被膜層であって、前記結合性ポリマーが、アクリル樹脂;エポキシ樹脂;アセタール樹脂;エチレンコポリマー;スチレンアクリルポリマー;エチレンアクリル酸コポリマー;カルボキシル官能アクリルポリマー;ヒドロキシル官能アクリルポリマー;アクリル分散ポリマー;メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリル酸、スチレンメタクリレート、及びスチレンアクリレートを基礎とするコポリマー;ビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー;ビニルポリマー及びコポリマー;エチレンアクリル酸コポリマー;エポキシポリマー及びこれらのコポリマーからなる群より選ばれる密着結合被膜層を含み、更に、
(b)結合被膜層に接着した結合被膜層に適用される外層、
を含み、
前記コーティングが、結合被膜層なしのコーティングと比較して、水に浸漬した後にも前記表面に接着性であり、かつ摩耗及び前記器具からの除去に対して耐性であることを特徴とする医療器具。
【請求項2】
前記ポリマーがヒドロキシル、アミン、カルボキシル及びアミドからなる群から選択される反応性官能基を含む、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
結合被膜が架橋剤を含み、該架橋剤がポリマー鎖の反応性基と相互作用し、かつ尿素樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、エポキシ樹脂、及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる、請求項1又は2に記載の器具。
【請求項4】
前記外層が、複数の層を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の器具。
【請求項5】
結合被膜の厚さが5〜10μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の器具。
【請求項6】
全体のコーティング厚さが、40μm未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の器具。
【請求項7】
表面が、ステンレススチール、ニッケル、金、クロム、ニッケルチタン合金、プラチナ、金属、シリコーン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルからなる群より選ばれた材料を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の器具。
【請求項8】
医療器具が、針、ガイドワイヤー、カテーテル、外科用器械、内視鏡検査用装置、ワイヤー、ステント、血管形成バルーン、創傷ドレーン、動静脈シャント、胃腸管、尿道挿入物、腹腔鏡検査用装置、ペレット、及びインプラントからなる群より選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の器具。
【請求項9】
請求項1の医療用器具を製造する方法であって、
不活性表面に、溶媒と、接着結合コーティングを該表面に形成するために選択された結合性ポリマーとを含むコーティング液を適用する工程、
該コーティング液を乾燥して、非共有結合を有する前記医療用器具の表面に接着する薄い密着結合コーティングを形成する工程、
次いで、結合コーティングに接着する外層を適用する工程、
を含む方法。
【請求項10】
前記外層が、平滑なコーティング、医薬用コーティング、着色コーティング、耐摩耗コーティングの少なくとも1種からなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
適用工程が、浸漬、噴霧、ブラシ、又はワイプすることを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記適用工程の前に、不活性表面をガスプラズマ又はイオン化処理によって前処理することを更に含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティングを少なくとも50℃に加熱して、溶媒を追い出すことを更に含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記結合被膜層及び前記外層が、これらの層の成分が相互に浸透する界面を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の器具。
【請求項15】
前記結合被膜層が、水の前記表面への浸透を防止する、請求項1に記載の挿入可能な医療器具。
【請求項16】
5〜100μmの厚さを有する結合被膜を、反応性官能基を有さない不活性表面を有する医療器具に適用するため組成物であって、該組成物は、溶媒及び前記医療器具の不活性表面と非共有結合で結合する反応性官能基を有する結合性ポリマーを含む液体であって、結合被膜層であって該結合被膜層と接着する外層を該結合被膜層に適用することができるものを形成することができ、結合被膜層なしのコーティングと比較して、長期間水に浸漬した後にも支持体に対して接着性でありかつ接着テープによる摩耗及び除去に対して耐性であるコーティングを調製でき、前記結合性ポリマーが、アクリル樹脂;エポキシ樹脂;アセタール樹脂;エチレンコポリマー;スチレンアクリルポリマー;エチレンアクリル酸コポリマー;カルボキシル官能アクリルポリマー;ヒドロキシル官能アクリルポリマー;アクリル分散ポリマー;メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリル酸、スチレンメタクリレート、及びスチレンアクリレートを基礎とするコポリマー;ビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー;ビニルポリマー及びコポリマー;エチレンアクリル酸コポリマー;エポキシポリマー及びこれらのコポリマーの1つ以上からなる群より選ばれることを特徴とする組成物。
【請求項17】
反応性官能基が、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル及びアミドからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
液体が、0.1Pa・秒(100cps)未満の粘度を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
溶媒が、水、キシレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、エタノール、ブチロラクトン、ブタノール、トリクロロ酢酸、ベンジルアルコール、イソブチルアセテート、メチルエチルケトン、ブチルセロソルブ、及びトルエンからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
更に、界面活性剤を含む、請求項16に記載の組成物。

【公開番号】特開2010−29688(P2010−29688A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239306(P2009−239306)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【分割の表示】特願平10−532226の分割
【原出願日】平成10年1月27日(1998.1.27)
【出願人】(506067615)アンギオテック バイオコーティングス コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】