説明

医療情報の利用促進システムおよび方法

【課題】医用画像から得られる数々の知見を効率よく蓄積し、蓄積された知的情報の利用を促進する。
【解決手段】撮影画像が表す部位を判別し(21)、その部位から推定される生体組織について知的情報を生成し(22、23)、生成された知的情報を知的情報データベース3に登録する(23)処理を、システムが自動で行う。WS4を用いて医療従事者の作業支援を行うときには、各作業支援手段がユーザに依存したフィルタリング処理を実行し、支援の範囲や、支援のために利用する知的情報の範囲を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像から得られる知的情報の利用を促進するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用撮影装置の技術的進歩に伴い、人体の構造を3次元的に表す画像データ(ボリュームデータ)を取得することは、比較的容易になった。昔は撮影装置により複数の断層像(2次元データ)を取得し、その断層像を画像処理装置により再構成してボリュームデータを得ていたが、近年は、ボリュームデータを直接出力できる撮影装置が主流となりつつある。特にCT(Computed Tomography)検査は、検出器の多列化や高速撮影法の導入により撮影時間が大幅に短縮され、一日に行い得る検査件数は増加する傾向にある。
【0003】
しかし、ボリュームデータは2次元データよりも多くの情報を含んでいる分、解析処理に多くの時間を要する。このため、一日あたりの解析件数は、むしろ減少する傾向にある。つまり、検査件数が増加しても、解析が追いつかないのが実情である。
【0004】
上記状況を改善するために、特許文献1は、読影に用いる装置とは別に前処理装置を設けることを提案している。この前処理装置は、検査を指示したシステムからの指示データ等を使用して検査の目的や部位を把握し、把握した情報に基づいて、検査で得られた画像データに対し画像処理を行う。この際、画像処理の過程で抽出あるいは決定された各種の画像処理パラメータを、データベースに保存する。この方法では、医師は、検査で得られた画像データに対し、データベースに保存されたパラメータを適用して画像処理を行うことで、画像データの解析に要する時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−275312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の病院では、検査の結果を利用する者は、検査を指示した医師に限られていた。したがって、検査目的や個々の医師の指示にしたがった前処理を実行する特許文献1の方法は、処理効率を高める上で有効であった。
【0007】
しかし、情報処理システムの構築により病院内でのデータ共有が行われるようになれば、ある目的で取得されたデータを、他の目的で利用する機会が増えることが予想される。例えば、内科の検査で取得された腹部CTデータが、外科医が行う切開手術のシミュレーションに用いられたり、内科の中で、胃の検査で取得された腹部CTデータが、脂肪分布評価(生活習慣病の予防)に用いられたりする可能性がある。診療科間、医師間でデータが共用される環境では、データに対し検査目的に依存した前処理を施すことは、好ましいとはいえない。そのデータを他の目的で利用するときに調整に多くの時間を費やすことになり、かえって処理効率が下がるからである。
【0008】
本発明は、病院において、汎用性の高いデータ(医療情報)を少ない負担で収集するとともに、収集された医療情報を利用しやすい環境を提供することで、将来想定される上記問題を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0009】
本発明のシステムは、以下に説明する部位判別手段、知的情報生成手段、知的情報生成指示手段、知的情報登録手段および作業支援手段を備えることにより、医療情報の利用を促進するものである。
【0010】
部位判別手段は、医療用撮影装置により第1付帯情報が付与された撮影画像を取得し、画像解析または第1付帯情報の参照により、その撮影画像が表す部位(頭部、胸部、腹部等)を判別する。なお、撮影画像は2次元または3次元の画像データである。
【0011】
知的情報生成手段は、供給された画像に含まれる少なくとも1つの生体組織(臓器、骨、血管等)を抽出または解析することにより、生体組織に関する少なくとも1つの知的情報を生成して出力する。画像に含まれる生体組織は画像が表す部位によって異なり、また抽出や解析の方法も生体組織によって異なるため、システムは、複数種類の知的情報生成手段を備えている。
【0012】
なお、本明細書では、撮影画像から直接または間接的に得られるすべての知見を、「知的情報」(Intelligent Information)と称する。例えば、撮影画像から心臓領域を抽出すれば、心臓の形状に関する知見が得られる。したがって、心臓領域画像は、1つの知的情報である。また、心臓領域を解析することにより得られる各種の解析値も、知的情報である。
【0013】
知的情報生成指示手段は、部位判別手段の判別結果に基づいて撮影画像に含まれる1以上の生体組織を推定し、推定された生体組織の抽出または解析を行う知的情報生成手段に対して、知的情報の生成を指示する。例えば、部位が胸部であれば、心臓や肺の抽出等を行う手段に指示が出され、部位が腹部であれば、胃や肝臓の抽出等を行う手段に指示が出される。
【0014】
知的情報登録手段は、知的情報生成指示手段からの指示に基づいて各知的情報生成手段が生成した知的情報に、第2付帯情報を付与する。そして、第2付帯情報が付与された知的情報を、第1付帯情報が付与された撮影画像と関連づけてデータベースに登録する。すなわち、各知的情報生成手段から異なる形式で出力された種々の知的情報に対し、共通の付帯情報(ヘッダ)を付与することにより、知的情報を正規化し、保存する。
【0015】
作業支援手段は、データベースに登録された知的情報を利用して医療従事者の作業を支援する支援処理を実行する。ここで、医療従事者には、医師のほか放射線技師等も含まれる。また、支援する作業としては、診断、手術、治療、研究などが考えられる。
【0016】
一方で、作業支援手段は、作業を行う医療従事者の識別情報を取得し、その識別情報に基づいて、上記支援の範囲、あるいは支援のために利用する知的情報の範囲を制限するフィルタリング処理を実行する。フィルタリング処理では、支援の範囲と知的情報の範囲の両方を制限してもよい。
【0017】
上記システム構成において、作業支援手段は、作業を支援する過程で新たな知的情報を生成してもよい。この場合、知的情報登録手段は、作業支援手段により生成された知的情報にも第2付帯情報を付与し、その第2付帯情報が付与された知的情報をデータベースに登録する。例えば、診断の過程で複数の知的情報を参照した結果得られた知見を、新たな知的情報として追加登録する。あるいは、登録済みの知的情報を、新たに得られた知見に基づいて更新する。
【0018】
作業支援手段は、知的情報に関連づけられている撮影画像に基づいて支援の範囲や知的情報の範囲を制限(絞り込み)してもよいが、絞り込みに、知的情報に付与された第2付帯情報を利用することもできる。例えば、第2付帯情報に、被検体(受診者)の識別情報を含めておき、被検体の識別情報に基づいて範囲を制限する。この場合、作業支援手段は、その被検体に関連する知的情報を、過去の検査で生成されたものも含め、すべて利用することができる。あるいは、第2付帯情報に、部位、生体組織および疾患名のうち少なくとも1つについての識別情報を含めておき、その部位、生体組織または疾患名の識別情報に基づいて範囲を制限する。この場合、作業支援手段は、その部位(あるいは生体組織または疾患)について、その時点までに得られたすべての知的情報を、利用することができる。
【0019】
また、知的情報登録手段は、生成された知的情報を個別のデータとしてデータベースに登録するだけでなく、いくつかの知的情報を1つの集合体オブジェクトとして記述したものをデータベースに登録してもよい。例えば、同じ撮影画像から生成された全ての知的情報を含む集合体オブジェクト、または、第2付帯情報の中に共通する値が含まれている全ての知的情報を含む集合体オブジェクトを生成して、登録する。これにより、一回の検査で得られた全知的情報、一人の受診者について得られた全知的情報、ある疾患について得られた全知的情報などを、それぞれ1つのデータオブジェクトとして保存しておくことができ、データの管理が容易になる。
【0020】
なお、知的情報生成手段が知的情報を生成するために実行する処理としては、例えば、体表抽出、頭蓋骨抽出、胸部骨抽出、肺野抽出、気管支抽出、心臓抽出、心臓冠動脈抽出、心臓左心室領域抽出、腹部骨抽出、肝臓抽出、肝臓血管抽出、腹部脂肪抽出、異常陰影検出、心機能解析、血管の形状解析、骨の形状解析、骨の運動解析および脂肪分布評価などがある。また、作業支援手段が実行する支援処理としては、診断、手術、治療および研究を支援する処理が考えられる。
【0021】
本発明の方法は、上記システムを作動させることにより医療情報の利用を促進する方法である。この方法では、(A)医療用撮影装置による撮影が行われたときに、少なくとも1台のコンピュータが、(a1)医療用撮影装置により第1付帯情報が付与された撮影画像を取得する処理と、(a2)画像解析または第1付帯情報の参照により、撮影画像が表す部位を判別する処理と、(a3)部位の判別結果に基づいて撮影画像に含まれる1以上の生体組織を推定する処理と、(a4)推定された生体組織を抽出または解析することにより、生体組織に関する少なくとも1つの知的情報を生成する処理と、(a5)生成された知的情報に、第2付帯情報を付与し、第2付帯情報が付与された知的情報を、第1付帯情報が付与された撮影画像と関連づけてデータベースに登録する処理とを実行する。そして、(B)医療従事者による作業が行われるときに、少なくとも1台のコンピュータが、(b1)データベースに登録された知的情報を利用して医療従事者の作業を支援する支援処理と、(b2)作業を行う医療従事者の識別情報を取得し、その識別情報に基づいて、支援の範囲、支援のために利用する知的情報の範囲、あるいはその両方を制限するフィルタリング処理とを実行する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、撮影画像に包含される知的情報が、システムにより自動で漏れなく収集されるため、情報収集のために医療従事者に大きな負担がかかることはない。また、知的情報は、撮影画像と撮影装置が付与した付帯情報のみに基づいて生成されるため、任意の者が任意の目的で利用することが可能な、汎用性の高い情報となる。一方、蓄積された知的情報を利用した作業支援では、利用可能な機能や情報が。医療従事者の識別情報に基づいて制限されるので、医療従事者は、不要な機能や不要な情報に惑わされることなく効率よく作業を進められる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】医用画像に対して行われる処理を、フェーズ別、検査目的別に分類した図(腹部画像の場合)
【図2】本発明の一実施形態における医療情報の利用促進システムの概略構成を示す図
【図3】知的情報データベースに登録される知的情報を例示した図
【図4】集合体オブジェクトとして登録される知的情報を例示した図
【図5】支援範囲の制限と、利用可能な知的情報の範囲の制限について説明するための図
【図6】作業支援手段が実行するフィルタリング処理の概要を示すフローチャート
【図7】ユーザと画面表示の関係を示す図(ユーザが放射線科の技師の場合)
【図8】ユーザと画面表示の関係を示す図(ユーザが内科医の場合)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のシステムおよび方法について、図面を参照して、説明する。はじめに、本発明の目的および効果を、より明確にするために、撮影により取得された医用画像に対して行われる処理と、その処理結果の利用状況について説明する。
【0025】
一般に、医用画像に関連するプロセスは、大きく分類すると、撮影、抽出、解析、支援、の4つのフェーズに分類される。図1は、腹部画像を対象として実行されるいくつかの処理を、フェーズ別、検査目的別に分類した図である。同図に示すように、放射線科の技師は、通常、4つのフェーズのすべてに関与する。また、放射線科の医師は、通常、抽出、解析、支援の3つのフェーズに関与する。一方、各診療科の医師は、一般に、解析、作援の2つのフェーズにしか関与しないことが多い。
【0026】
例えば、外科医が胃の切開手術のシミュレーションを行うために腹部撮影を指示したケース(ケースI)では、抽出フェーズで骨領域除去と胃領域抽出が行われ、支援フェーズで、胃領域を表すボリュームデータを対象として切開手術シミュレーションが実行される。また、内科医が胃の疾患を調べるために腹部撮影を指示したケース(ケースII)では、抽出フェーズでは骨領域除去と胃領域抽出が行われ、解析フェーズでは、抽出フェーズで得られた胃領域のみを表すボリュームデータを使用して異常陰影検出が行われる。そして、支援フェーズでは、解析フェーズで得られた異常陰影の検出結果がボリュームレンダリング(VR)表示、ポリゴン表示等される。
【0027】
一方、同じ内科医の指示により撮影が行われたケースでも、その目的が脂肪分布の評価である場合(ケースIII)には、抽出フェーズで骨領域除去と脂肪領域抽出が行われ、解析フェーズで脂肪分布の評価がなされ、支援フェーズで、その評価結果が表示される。また、整形外科医が腰周りの骨の可動シミュレーションを行うために腹部撮影を指示したケース(ケースIV)では、抽出フェーズで骨領域抽出が行われ、解析フェーズで運動解析がなされ、支援フェーズでは運動解析結果を用いた可動シミュレーションが行われる。
【0028】
同図に例示される骨領域除去や胃領域抽出のように、複数種類の検査において共通に実行される処理は少なくない。しかし、各フェーズにおいて実行する処理の種類や処理条件は、通常、担当医の指示や要望、あるいは検査目的に基づいて決定される。このため、ケースI〜IVの検査対象が同一の受診者であり、腹部撮影が1回しか行われなかったとしても、骨領域除去や胃領域抽出は、ケースごとに、それぞれ実行されるのが普通である。そして、抽出フェーズ、解析フェーズにおいて生成されたデータの利用は、一回限りで終わることが少なくない。
【0029】
しかし、抽出フェーズ、解析フェーズにおいて生成された医療情報は、多くの知見を含むものであり、それらの知見は他のプロセスにおいても利用価値があるはずである。また、既に得られている知見を再利用することは、作業効率やコストの観点からも好ましい。しかし、得られた知見を無秩序に蓄積するだけでは、医療情報の利用は進まない。医療情報の利用を促進するためには、第1に、種々のプロセスで活用できる医療情報を大量に且つ簡単に共有することができるしくみが必要であり、第2に、蓄積された大量の医療情報を混乱なく利用するためのしくみが必要である。以下に、これらのしくみを備えたシステムを例示する。
【0030】
図2に、本発明の一実施形態における医療情報の利用促進システムの概略構成を示す。図に示すように、このシステムは、撮影装置(モダリティ)1、サーバコンピュータ2、知的情報データベース3およびワークステーション4により構成され、各装置は、ネットワーク5を介して互いに通信可能な状態で接続されている。図1は、説明の便宜上、各種装置が1台ずつしかない構成を示しているが、ネットワーク5には、撮影装置1として複数且つ多種類の撮影装置が接続されている。また、ワークステーション4も、放射線科の技師、医師および各診療科の医師の人数に応じて、複数台あるものとする。
【0031】
本実施形態では、ネットワーク5は病院内の各種装置を接続するローカルエリアネットワークである。但し、ワークステーション4が他の病院あるいは診療所にも設置されている場合には、ネットワーク5は、各病院のローカルエリアネットワーク同士をインターネットもしくは専用回線で接続した構成としてもよい。いずれの場合にも、ネットワーク5は光ネットワークなど画像情報の高速転送を実現できるものとすることが望ましい。
【0032】
撮影装置1は、被検体を撮影することにより2次元または3次元の画像データ(撮影画像)を生成し、その画像データにDICOM規格で規定された付帯情報(第1付帯情報)を付加して出力する装置である。付帯情報としては、少なくとも被検体の識別子、検査の識別子、個々の画像の識別子が付与される。撮影装置1は、被検体撮影から画像データの生成までの処理を一括して行うタイプの撮影装置でも、撮影画像を記録シートに記録する撮像装置と記録シートから画像を読み取って画像データを生成する読取装置とが分離したタイプの撮影装置でもよい。具体例としては、CT(Computed Tomography)、MR(Magnetic Resonance)、X線単純撮影装置、PET(Positron Emission Tomography)、超音波撮影装置などが挙げられる。
【0033】
サーバコンピュータ2は汎用の比較的処理能力の高いコンピュータに、後述する部位判別処理、知的情報生成指示処理、知的情報登録処理および知的情報生成処理を規定するプログラムをインストールしたものである。これらのプログラムは、DVD,CD−ROM等の記録メディアに格納されて配布され、その記録媒体からサーバコンピュータ2にインストールされる。あるいは、ネットワークに接続された他のコンピュータの記憶装置やネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてサーバコンピュータ2にダウンロードされ、インストールされる。これによりサーバコンピュータ2は、部位判別手段21、知的情報生成指示手段22、知的情報登録手段23および知的情報生成手段24a、24b…24nとして機能するようになる。
【0034】
知的情報データベース3は、大容量ストレージと汎用の比較的処理能力の高いコンピュータにより構成される。コンピュータにはDBMS(Database Management Server)の機能を提供するソフトウェアプログラムが組み込まれている。DBMSは、サーバコンピュータ2の知的情報登録手段23から登録を要求された知的情報を大容量ストレージに保存する。また、登録済みの知的情報に対し参照要求があったときには検索条件に適った知的情報を抽出して提供する。なお、ストレージはDBMSとして機能するコンピュータに接続されたものに限らず、ネットワーク5に直接接続されるNAS(Network Attached Storage)やSAN(Storage Area Network)であってもよい。
【0035】
ワークステーション4は、汎用の処理装置(コンピュータ)と1台または2台の高精細ディスプレイとキーボード・マウスなどの入力機器により構成される。処理装置には、医療従事者が行う作業ごとに、その作業を支援する処理が規定された作業支援プログラムと、そのプログラムの実行により実現される機能を制限するフィルタリングプログラムが実装されている。これらのプログラムは、DVD,CD−ROM等の記録メディアに格納されて配布され、その記録媒体からワークステーション4にインストールされる。あるいは、ネットワークに接続された他のコンピュータの記憶装置やネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてワークステーション4にダウンロードされ、インストールされる。これによりワークステーション4は、各種作業の支援手段41a〜41dとして機能するようになる。
【0036】
次に、同じく図2を参照して、サーバコンピュータ2が実行する各処理について、さらに説明する。部位判別手段21は、撮影画像が、どの部位を表す画像であるかを判別する手段である。本実施形態では、前述のとおり、撮影装置から出力される画像データには、DICOM規格で規定された付帯情報(第1付帯情報)が付与されている。そして、この付帯情報には、通常、撮影装置と撮影部位を特定する情報が含まれている。よって、サーバコンピュータ2は、受信した画像データの付帯情報を参照することにより、撮影部位を判別する。
【0037】
但し、部位は、画像データを直接解析することにより判別してもよい。画像データの解析により部位を判別する方法としては、テンプレートマッチング、特徴量に基づく識別など、種々の方法が知られている。自動識別により部位を上手く判別できなかった場合に、ユーザの介入により識別結果を修正する方法等も提案されている(特開2008−259682号公報参照)。また、原則として付帯情報を参照し、付帯情報に部位の情報が含まれていなかった場合のみ、画像データの解析を行なって部位を判別するようにしてもよい。
【0038】
部位判別手段21が出力する判別結果は、知的情報生成指示手段22に入力される。知的情報生成指示手段22は、その判別結果に基づいて、撮影画像に含まれる生体組織(臓器、血管、骨等)を推定する。そして、知的情報生成手段24a〜24nのうち、推定された生体組織の抽出または解析を行う一部の知的情報生成手段に対して、その生体組織に関する知的情報の生成を指示する。
【0039】
本実施形態では、サーバコンピュータ2を知的情報生成手段24a〜24nとして機能させるためのプログラムとして、体表抽出、頭蓋骨抽出、胸部骨抽出、肺野抽出、気管支抽出、心臓抽出、心臓冠動脈抽出、心臓左心室領域抽出、腹部骨抽出、肝臓抽出、肝臓血管抽出、腹部脂肪抽出、異常陰影検出、心機能解析、血管の形状解析、骨の形状解析、骨の運動解析および脂肪分布評価を実行するプログラムが組み込まれている。但し、これらの機能は例示に過ぎず、これらの機能の一部のみが、あるいは他の機能が組み込まれていてもよいことは言うまでもない。
【0040】
知的情報生成指示手段22は、知的情報生成手段24a〜24nの中から、推定された部位に関連する処理を実行する手段を選択し、起動する。例えば、判別された部位が胸部である場合、胸部には心臓、肺、肋骨、冠動脈その他多数の血管があるはずである。よって、心臓、肺、肋骨、血管の形状や機能についての知見を得るために、胸部骨抽出プログラム、心臓抽出プログラム、心臓冠動脈抽出プログラム、心臓左心室領域抽出プログラム、血管形状解析プログラムなどを実行する。
【0041】
各抽出プログラムあるいは解析プログラムによる処理が完了すると、知的情報生成指示手段22は、それらのプログラムの処理結果を、知的情報登録手段23に供給する。知的情報登録手段23は、生成された知的情報に、付帯情報(第2付帯情報)として、撮影画像の識別情報(画像の識別子、取得日、撮影装置、部位等)と、被検体(受診者)の識別情報を付与してから、知的情報データベース3に登録する。上記2つの識別情報を付帯情報に含めることで、撮影画像と知的情報、部位と知的情報、受診者と知的情報が、それぞれ関連づけられる。この付帯情報は、後述するフィルタリング処理において参照される。
【0042】
また、本実施形態では、生成された知的情報の付帯情報として、その知的情報の生成条件も付与する。知的情報の生成条件は「処理内容_処理対象(生体組織)」という形式で表される。抽出フェーズの処理内容としては、抽出(EXTRACT)、ラベル付け(LABEL)の2つがあり、解析フェーズの処理内容としては、解析(ANALYSIS)、検出(DETECT)の2つがある。例えば、心臓の抽出結果には、EXTRACT_HEARTというラベルが付与される。知的情報の生成条件を付帯情報に含めることで、生体組織と知的情報とが、関連づけられる。この付帯情報も、後述するフィルタリング処理において参照される。
【0043】
次に、知的情報データベース3の特徴および利点について説明する。図3は、図1に対応させて、知的情報データベース3に登録される知的情報を例示した図である。知的情報は、例えば、XMLやSGMLデータとして管理される。知的情報データベース3には、抽出フェーズ、解析フェーズ、支援フェーズで生成された知的情報が、すべて同じフォーマットのデータ31として登録される。すなわち、データ31は、共通形式のヘッダ領域と知的情報を格納する格納領域により構成され、知的情報は格納領域に、前述の付帯情報(第2付帯情報)はヘッダ領域に、それぞれ格納される。また、知的情報データベース3には、外科医が利用する知的情報、内科医が利用する知的情報、整形外科医が利用する知的情報、放射線科医が利用する知的情報も、特に区別されることなく同じフォーマットのデータ31として登録される。検査の結果、異常が発見されなかったときの画像データや解析結果も、同じフォーマットのデータとして登録される。
【0044】
ここで、医療情報をデータベース化する試みは、従来から行われている。例えば、複数の撮影装置から出力された撮像画像を1箇所にまとめて保管することは、古くから行われている。また、最近では、類似する陰影が検出された画像を集めて類似症例データベースを構築することも提案されている。しかし、従来のデータベースは、いずれも、同じフェーズで取得され、後に同じ目的で利用される医療情報を、纏めて一箇所に保管することを目的としたものであった。このため、特定の目的で利用される医療情報は効率よく保管、活用できるものの、その特定の目的で利用されることがない医療情報は、データベースには登録されず、他のルートで探索しなければならないといったことがあった。
【0045】
これに対し、知的情報データベース3は、図3に示すとおり、撮影画像に包含されているあらゆる知的情報を、その取得フェーズ、生成方法、使用予定、使用目的に拘らず、一律に同じフォーマットで、すなわち正規化して保管する。これにより、知的情報データベース3には、各撮影画像に基づいて生成された知的情報の全て、言い換えれば病院が保有する知見の全てが集約されることとなる。
【0046】
知的情報を登録するときには、図3に例示したデータ31のように、個々の知的情報生成手段24から出力された知的情報に付帯情報(ヘッダ)を付与したものを一単位として登録すればよい。但し、図4に例示するように、同じ撮影画像から生成された全ての知的情報を含む集合体オブジェクト32を生成し、これを一単位として登録を行なってもよい。後者の方法では、検査一回分の知的情報が1つの集合体オブジェクトに集約されることとなり、データの保管、管理が容易になる。
【0047】
また、ヘッダ領域(第2付帯情報の中に)に共通する値が含まれる知的情報を選出し、選出された全ての知的情報を含む集合体オブジェクトを生成し、登録してもよい。被検体の識別情報が共通する全ての知的情報を1個の集合体オブジェクトとして登録しておけば、その集合体オブジェクトを取得するだけで、その被検体に関する知見を、過去に得られた知見も含め全て参照することができる。同様に、部位、生体組織、疾患名などが共通する知的情報を選出して、1つの集合体オブジェクトとして登録しておけば、その集合体オブジェクトを取得するだけで、その部位、生体組織あるいは疾患に関するあらゆる知見を参照することができる。
【0048】
次に、再び図2を参照して、ワークステーション4の構成について、さらに説明する。ワークステーション4は、知的情報データベース3から知的情報を読み出し、その知的情報を利用して医療従事者(医師、放射線技師等)の作業を支援する処理を実行する作業支援手段を備えている。図は、この作業支援手段として、診断支援手段41a、手術支援手段41b、治療支援手段41cおよび研究支援手段41dを例示している。
【0049】
診断支援手段41aは、フィルタリング処理を実行するフィルタリングプログラム42aと、各種の支援機能を提供する複数の支援処理プログラム43aにより構成される。手術支援手段41b、治療支援手段41cおよび研究支援手段41dも同様に、フィルタリングプログラムと、1つまたは複数の支援処理プログラムにより構成される。
【0050】
診断支援手段41aの支援処理プログラムは、例えば、診断画像の表示(単独表示または比較表示)、臓器機能の可視化表示、検出された異常の通知、類似症例情報の提供といった機能を提供する。手術支援手段41bの支援処理プログラムは、例えば、手術シミュレーション機能を提供する。治療支援手段41cの支援処理プログラムは、類似症例に基づいて治療方針を提示する機能や、骨や筋肉の可動域シミュレーション機能などを提供する。研究支援手段41dの支援処理プログラムは、例えば、知的情報データベース3に蓄積されたデータを対象にした統計解析機能を提供する。
【0051】
診断支援手段41a、手術支援手段41b、治療支援手段41cおよび研究支援手段41dは、ワークステーション4を使用するユーザごとに、提供する機能、すなわち実行する支援処理(支援範囲)を決定し、その範囲内の機能を提供するプログラムを起動する。範囲外の機能を提供するプログラムは起動されないため、範囲外の機能は、画面に現れない。
【0052】
図5は、支援範囲の制限および利用可能な知的情報の範囲の制限について説明するための図であり、ユーザと、作業支援手段と、知的情報との関係を示している。図中、実線は利用可能な(利用制限のない)関係、点線は利用不可能な(利用が制限される)関係、太線は、利用の可否がユーザに依存する関係を示している。同図に例示するように、一部のユーザ(例えば、放射線科の技師)は、診断支援手段41a、手術支援手段41b、治療支援手段41cおよび研究支援手段41dにより提供される機能の全てを利用することができるが、他の一部のユーザは、利用可能な機能が制限される。例えば、一般に、内科医にとっては、手術シミュレーションなどの機能は必要ないため、ワークステーション4のユーザが内科医である場合には、手術支援手段41bの起動が制限される。
【0053】
また、前述のとおり、診断支援手段41a、手術支援手段41b、治療支援手段41cおよび研究支援手段41dは、いずれも、1つのフィルタリングプログラムと、各種の支援機能を提供する複数の支援処理プログラムにより構成されるが、各支援処理プログラムの実行は、フィルタリング処理の結果に応じて制限される。
【0054】
図6は、各作業支援手段が実行するフィルタリング処理の概要を示すフローチャートである。作業支援手段は、ワークステーション4を使用する医療従事者を判別する(S101)。本実施形態では、ユーザが、ワークステーション4にログインするときに入力したログインIDを、医療従事者の識別情報として取得し、この識別情報に基づいて医療従事者を判別する。
【0055】
続いて、ユーザの判別結果に基づいて、作業支援手段が提供する機能の利用可否を判定する(S102)。この判定は、予め設定されている医療従事者と支援機能(または生体組織)との対応づけに基づいて行われる。判定結果はメモリなどに記憶される(S103)。作業支援手段が複数の機能を提供するものであるときは、ステップS102およびS103の処理が繰り返される(S104)。例えば、診断支援手段41aが実行するフィルタリング処理では、心臓の診断支援機能、肝臓の診断支援機能、骨の診断支援機能というように、診断の対象ごとにその対象の診断を支援する機能の利用可否が判定される。これにより、支援機能を利用しようとしている医療従事者が利用可能な機能が決定される(S105)。すなわち、作業支援手段により実行される支援の範囲が決定される。
【0056】
利用可と判定された機能については、その機能を実現するための処理を実行するプログラムがメモリにロードされる。作業支援手段は、利用可と判定された機能についてのみ、ユーザインタフェースを表示し、操作を受け付ける。
【0057】
例えば、図7(A)に示すように、ユーザが放射線科の技師や医師であることを示すログインIDが入力された場合には、通常、作業支援手段が提供するすべての機能が必要と判断され、図7(B)に示すように全機能の選択ボタンが表示される。一方、図8(A)に示すように、ユーザが内科の医師であることを示すログインIDが入力された場合には、臓器や血管に関連する作業支援機能の選択ボタンのみが表示され、他の機能の選択ボタンは画面には現れない。
【0058】
また、図7(B)の画面において、ユーザが心臓(Heart)の診断支援機能を選択した場合には、図7(C)に示すように、知的情報データベース3に知的情報として登録されている心臓領域画像の一覧が表示される。一方、同じく心臓の診断支援機能が選択された場合であっても、図8(B)の画面において選択された場合には、すなわちユーザが内科医である場合には、図8(C)に例示するように、その内科医が担当する受診者の心臓領域画像のみの一覧が表示される。
【0059】
制限的に実行された支援処理プログラムは、知的情報データベース3に登録された知的情報を利用して処理を行う。この際、支援処理プログラムが処理に利用できる知的情報の範囲は、ワークステーション4を使用するユーザによって制限される。例えば、図5の例では、診断支援手段41aは、ユーザが、放射線科の技師、放射線科医、外科医、内科医のいずれである場合にも起動される。また、診断支援手段41aは、ユーザがいずれである場合にも、知的情報33aを処理に利用する。しかし、知的情報33bの利用は、ユーザによって制限されている。知的情報33bは、ユーザが外科医のときには処理に利用されるが、ユーザが技師や他の診療科の医師であるときには利用されない。
【0060】
続いて、再び図2を参照して、知的情報の追加登録よび更新について説明する。前述した知的情報は、知的情報生成手段により1つの撮影画像から自動的に生成されるものである。知的情報データベース3に登録される知的情報としては、この他、作業支援が行われている過程で生成された知的情報がある。診断、研究の過程では、複数の撮影画像とそれぞれ関連づけられた複数の知的情報に基づいて、新たな知見が生まれることがある。
【0061】
例えば、受診者が、複数の診療科において、それぞれ検査を受けた場合には、その一人の受診者について異なる部位を表す複数の撮影画像が取得され、そのそれぞれから知的情報が生成される。この場合、医師は、その受診者に関する全ての知的情報をまとめて確認することができるが、全身の確認を行った結果、異なる部位で検出された疾患の間の関連性に気が付くこともある。このようなケースでは、作業支援手段は、疾患同士の関連性を示す知的情報を、受診者と関連づけて(第2付帯情報を付与して)知的情報データベース3に登録する。この場合の登録処理は、ユーザの操作に基づいて実行される。
【0062】
また、同じ疾患を有する複数の受診者に関する知的情報が登録されている場合には、知的情報を対象とした統計解析を行うことにより、例えば冠動脈の狭窄率と心筋梗塞の発生率の関係など、疾患の予防に役立つ知見が得られることがある。このようなケースでは、作業支援手段は、その知見を、疾患名と関連づけて(第2付帯情報を付与して)知的情報データベース3に登録する。この場合の登録処理も、ユーザの操作に基づいて実行される。
【0063】
一方、自動的に生成された知的情報を利用して作業支援を行っている過程で、その知的情報の更新が必要になることもある。例えば、領域抽出処理では常に正確に領域を抽出できるとは限らないため、低画質の領域画像が登録されてしまうこともある。そのような場合には、同じ受診者の過去の撮影画像から抽出された領域画像を参照して、領域の輪郭等を修正し、修正後の画像を再登録することにより、知的情報を更新する。
【0064】
また、領域画像を比較読影に利用する場合には、位置座標系を、画像間で統一しておく必要がある。座標系の統一処理は、知的情報生成手段により領域画像が生成された直後に実行してもよいし、比較読影画面を表示するときなどに作業支援手段が実行してもよいが、いずれの場合も、知的情報の更新処理により、登録されていた領域画像は、統一された座標系で表された修正領域画像に置き換えられる。
【0065】
本実施形態のシステムによれば、検査によって取得された画像を、撮影装置1からサーバコンピュータ2に順次転送するだけで、その画像が表す部位が自動的に判別され、その部位に含まれる臓器、骨、血管等に係る知見を得るためのプロセスが自動的に実行される。これにより、少ない負担で、画像に含まれる全ての知的情報を漏れなく簡単に収集することができる。また、本実施形態のシステムでは、作業支援の過程で新たに得られた知的情報を後からデータベースに登録したり、データベースに登録されている知的情報を更新することもできる。すなわち、自動処理の不足や不備を補い、登録されている知的情報の質を向上することができる。
【0066】
また、本実施形態のシステムでは、データベースに登録される知的情報は、汎用的なデータとして登録されるので、異なる作業支援手段により参照、利用することができる。また、タイプの異なる知的情報を同時に参照し易くしたことで、全身の疾患確認、疾患と症状の関連性など、これまでのシステムでは得られなかった新たな知見を得ることが容易になる。
【0067】
また、本実施形態のシステムは、各作業支援手段はユーザの識別情報に基づいてフィルタリング処理を行うため、医療従事者の作業を支援する手段の種類が今後増えたとしても、また知的情報データベース3に登録される知的情報がさらに多様化し、増加したとしても、不必要な画面表示や不必要な情報提示により、ユーザを混乱させる恐れはない。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 撮影装置、 2 サーバコンピュータ、 3 知的情報データベース、
31、32、33a〜33c 知的情報、 4 ワークステーション、
5 ネットワーク、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用撮影装置により第1付帯情報が付与された撮影画像を取得し、画像解析または前記第1付帯情報の参照により、該撮影画像が表す部位を判別する部位判別手段と、
供給された画像に含まれる少なくとも1つの生体組織を抽出または解析することにより、前記生体組織に関する少なくとも1つの知的情報を生成して出力する、複数の知的情報生成手段と、
前記部位判別手段の判別結果に基づいて前記撮影画像に含まれる1以上の生体組織を推定し、推定された生体組織の抽出または解析を行う知的情報生成手段に対して、前記知的情報の生成を指示する知的情報生成指示手段と、
前記知的情報生成指示手段からの指示に基づいて各知的情報生成手段が生成した知的情報に、第2付帯情報を付与し、該第2付帯情報が付与された知的情報を、前記第1付帯情報が付与された撮影画像と関連づけてデータベースに登録する知的情報登録手段と、
前記データベースに登録された知的情報を利用して医療従事者の作業を支援する支援処理と、前記作業を行う医療従事者の識別情報を取得し、該識別情報に基づいて、前記支援の範囲および/または該支援のために利用する知的情報の範囲を制限するフィルタリング処理と、を実行する複数の作業支援手段とを備えた医療情報の利用促進システム。
【請求項2】
前記作業支援手段が、前記作業を支援する過程で新たな知的情報を生成するものであり、
前記知的情報登録手段が、前記作業支援手段により生成された知的情報にも前記第2付帯情報を付与し、該第2付帯情報が付与された知的情報を前記データベースに登録することを特徴とする請求項1記載の医療情報の利用促進システム。
【請求項3】
前記知的情報に付与される前記第2付帯情報に、被検体の識別情報が含まれており、
前記複数の作業支援手段のうち少なくとも1つが、前記支援の範囲および/または前記知的情報の範囲を、前記第2付帯情報に含まれる前記被検体の識別情報に基づいて制限することを特徴とする請求項1または2記載の医療情報の利用促進システム。
【請求項4】
前記知的情報に付与される前記第2付帯情報に、部位、生体組織および疾患名のうち少なくとも1つについての識別情報が含まれており、
前記複数の作業支援手段の中の少なくとも1つが、前記支援の範囲および/または前記知的情報の範囲を、前記第2付帯情報に含まれる前記部位、生体組織または疾患名の識別情報に基づいて制限することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の医療情報の利用促進システム。
【請求項5】
前記知的情報登録手段が、同じ撮影画像から生成された全ての知的情報を含む集合体オブジェクト、または、前記第2付帯情報の中に共通する値が含まれている全ての知的情報を含む集合体オブジェクトを生成し、生成した集合体オブジェクトを前記データベースに登録することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の医療情報の利用促進システム。
【請求項6】
前記各知的情報生成手段が、
体表抽出、頭蓋骨抽出、胸部骨抽出、肺野抽出、気管支抽出、心臓抽出、心臓冠動脈抽出、心臓左心室領域抽出、腹部骨抽出、肝臓抽出、肝臓血管抽出、腹部脂肪抽出、異常陰影検出、心機能解析、血管の形状解析、骨の形状解析、骨の運動解析および脂肪分布評価のうち、少なくとも1つの処理を実行することにより前記知的情報を生成するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の医療情報の利用促進システム。
【請求項7】
前記作業支援手段が、医療従事者が行う診断、手術、治療および研究のうち、少なくとも1つの作業を支援する支援処理を実行するものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の医療情報の利用促進システム。
【請求項8】
医療情報の利用を促進する方法であって、
(A)医療用撮影装置による撮影が行われたときに、少なくとも1台のコンピュータが、
(a1)医療用撮影装置により第1付帯情報が付与された撮影画像を取得する処理と、
(a2)画像解析または前記第1付帯情報の参照により、前記撮影画像が表す部位を判別する処理と、
(a3)前記部位の判別結果に基づいて前記撮影画像に含まれる1以上の生体組織を推定する処理と、
(a4)前記推定された生体組織を抽出または解析することにより、前記生体組織に関する少なくとも1つの知的情報を生成する処理と、
(a5)生成された知的情報に、第2付帯情報を付与し、該第2付帯情報が付与された知的情報を、前記第1付帯情報が付与された撮影画像と関連づけてデータベースに登録する処理とを実行し、
(B)医療従事者による作業が行われるときに、少なくとも1台のコンピュータが、
(b1)前記データベースに登録された知的情報を利用して医療従事者の作業を支援する支援処理と、
(b2)前記作業を行う医療従事者の識別情報を取得し、該識別情報に基づいて、前記支援の範囲および/または該支援のために利用する知的情報の範囲を制限するフィルタリング処理と、
を実行することを特徴とする医療情報の利用促進方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−264234(P2010−264234A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83140(P2010−83140)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100118614
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 万里
【Fターム(参考)】