説明

医療情報システム及び医療情報処理プログラム

【課題】医療装置等に呈示される医療情報を自動的にかつ正確に取得して記録することが可能な医療情報システムを提供する。
【解決手段】医療装置1000の情報呈示部1100には、文字列情報やグラフ情報等の医療情報が提示される。この情報呈示部1100にシート型スキャナ1を貼付し、呈示される医療情報を読み取る。読み取られた医療情報はスキャナ制御部2に送られ、2次元画像データとして情報処理部3に入力される。情報処理部3は、入力された2次元画像データを解析して所定のデータ形式に変換するとともに、情報記録部4に送って記録させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば手術室や集中治療室等の医療現場において使用される、患者の生体情報(バイタル)をモニタする装置や、患者に薬剤を投与する部材や装置などの各種の医療装置若しくは医療部材から情報を取得するとともに、その取得した情報を記録する機能や、その情報に基づいて警告を出力する機能を有する医療情報システム、及び、そのような機能をコンピュータに実行させる医療情報処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手術等の医療行為を行う場合には、一般に、医師や看護士等によりその医療行為の詳細が文書として記録され、カルテに添付して保管される。この記録文書には、医療行為中に各種医療装置(たとえば心電計等)から出力されたデータや写真など添付されることがある。この記録文書は、医療行為を行った後で、その医療行為の手順や内容を検証するときや再現しようとするときに参照される。
【0003】
従来、この記録文書は、医師や看護士等が医療行為中にノート等に手書きで記録した情報を基に作成されていた。そのため、医療装置に表示等された情報を読み間違えて記録してしまうことや、誤ったデータを記録してしまうことなどがあった。また、記録者が医療行為に不慣れであり、どの情報を優先的に記録すべきかを認識できずに、重要な情報を書き漏らしてしまうこともあった。更に、医療行為を行うときに、常に記録者を準備しておくことは事実上困難であった。
【0004】
しかし、以上のような原因により不備な記録文書が作成された場合、医療行為の検証や再現における正確性の低下は避けられず、また場合によっては医療事故に繋がるおそれすらあった。
【0005】
このような事態の発生を防止するために、近年では、医療行為をビデオカメラで撮影し、その撮影画像を参照して記録文書を作成するといったことも行われている(たとえば特許文献1参照)。たとえば、手術室内にビデオカメラを設置し、心電計の表示ディスプレイ等を撮影することにより、その表示内容(心電図グラフ、心拍数、血圧値等)を記録することがある。
【0006】
しかしながら、手術室等の医療現場には、限られたスペースに様々な医療装置や医療部材が配置されており、また、医師やスタッフが位置を移動することも多々あるので、ビデオカメラを設置できなかったり、設置できたとしても邪魔になってしまったりといった問題が発生することがある。
【0007】
【特許文献1】特開2004−280455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような問題を解決するために為されたもので、患者に医療行為を施す医療装置や医療部材によって呈示される医療情報を自動的にかつ正確に取得して記録することが可能な医療情報システム及び医療情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、患者に医療行為を施す医療装置や医療部材によって呈示される医療情報を自動的にかつ正確に取得するとともに、取得された情報に基づいて適宜に警報を出力することが可能な医療情報システム及び医療情報処理プログラムを提供することを他の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、医療情報を呈示する情報呈示部を有する医療装置又は医療部材の前記情報呈示部に貼付されて前記呈示された医療情報を読み取るシート状の読取部を有する読取手段と、該読取手段により読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換する情報処理手段と、該情報処理手段によりデータ形式が変換された医療情報を記録する記録手段と、を備えることを特徴とする医療情報システムである。
【0011】
ここで、シート状の読取部を有する読取手段としては、特開2005−150146号公報や、インターネットのホームページhttp://www.ntech.t.u―tokyo.ac.jp/Research/Research_project/Research_project_large_area_electronics/Research_project_large_area_electronics.htmlなどに開示されている「シート型スキャナ(フレキシブル検知装置)」を適用することができる(その適用形態については後述する)。
【0012】
また、上記目的を達成するために、請求項24に記載の発明は、医療情報を呈示する情報呈示部を有する医療装置又は医療部材の前記情報呈示部に貼付されて前記呈示された医療情報を読み取るシート状の読取部を有する読取手段と、所定の警告情報を出力する警告出力手段と、前記読取手段により読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換し、該所定のデータ形式に変換された医療情報に基づいて前記警告出力手段を制御して前記所定の警告情報を出力させる情報処理手段と、を備えることを特徴とする医療情報システムである。
【0013】
また、上記目的を達成するために、請求項25に記載の発明は、医療情報を呈示する情報呈示部を有する医療装置又は医療部材の前記情報呈示部に貼付されて前記呈示された医療情報を読み取るシート状の読取部を有する読取手段、及び、医療情報を記録する記録手段にそれぞれ接続されたコンピュータを、前記読取手段により読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換する情報処理手段、及び、該情報処理手段によりデータ形式が変換された医療情報を記録手段に記録させる記録制御手段として機能させる、ことを特徴とする医療情報処理プログラムである。
【0014】
また、上記目的を達成するために、請求項26に記載の発明は、医療情報を呈示する情報呈示部を有する医療装置又は医療部材の前記情報呈示部に貼付されて前記呈示された医療情報を読み取るシート状の読取部を有する読取手段、及び、所定の警告情報を出力する警告出力手段にそれぞれ接続されたコンピュータを、前記読取手段により読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換し、該所定のデータ形式に変換された医療情報に基づいて前記警告出力手段を制御して前記所定の警告情報を出力させる情報処理手段として機能させる、ことを特徴とする医療情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、患者に医療行為を施す医療装置や医療部材の情報呈示部に貼付されたシート状の読取部によって医療情報を読み取り、その読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換して記録手段に記録するように構成されているので、医療装置や医療部材によって呈示される医療情報を自動的にかつ正確に取得して記録することが可能である。
【0016】
また、本発明によれば、医療装置又は医療部材の情報呈示部に貼付されたシート状の読取部によって医療情報を読み取るとともに、その読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換し、その変換された医療情報に基づいて所定の警告情報を出力させるように構成されているので、医療装置や医療部材によって呈示される医療情報を自動的にかつ正確に取得するとともに、その取得された情報に基づいて適宜に警報を出力することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る医療情報システム及び医療情報処理プログラムの好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明に係る医療情報システムは、手術室や集中治療室等の医療現場において使用される各種の医療装置や医療部材が呈示する医療情報を自動的にかつ正確に取得するとともに、その取得した医療情報を記録したり、その医療情報に基づいて警告を発したりする機能を具備している。また、本発明に係る医療情報処理プログラムは、そのような機能をコンピュータに実行させるためのものである。
【0018】
本発明による医療情報の取得対象となる医療装置としては、たとえば、心電計、麻酔モニタなど患者の生体情報をモニタするための医療装置や、患者に薬剤を自動投与する薬剤投与装置などがある。
【0019】
また、医療情報の取得対象となる医療部材(医療分野で用いられる各種部材)としては、たとえば、患者に投与される薬剤が充填された輸液バッグ、輸液ボトル、点滴バッグ等の薬剤充填部材がある。
【0020】
[医療情報システム]
〔システム構成の概要〕
図1は、本発明に係る医療情報システムの概略構成の一例を表している。この医療情報システムは、シート型スキャナ1、スキャナ制御部2、情報処理部3、情報記録部4及びテスト信号発生部5を含んで構成されている。
【0021】
シート型スキャナ1とスキャナ制御部2は、ケーブル1Aを通じて接続されている。なお、シート型スキャナ1とスキャナ制御部2に無線送受信部を設けて無線通信するように構成してもよい。このシート型スキャナ1とスキャナ制御部2は、本発明の「読取手段」の一例に相当する。
【0022】
シート型スキャナ1は、本発明の「シート状の読取部」の一例に相当し、医療装置(又は医療部材)1000の情報呈示部1100の少なくとも一部に貼付される。この情報呈示部1100には各種の医療情報が呈示され、その呈示された医療情報がシート型スキャナ1によって読み取られる。
【0023】
たとえば医療装置1000が心電計である場合、情報呈示部1100は、患者名、患者ID、心拍数、心電図(グラフ)等の医療情報を表示するディスプレイの表示画面により構成される。また、医療装置1000が麻酔モニタである場合、患者名、患者ID、動脈血酸素飽和度、脈拍数、二酸化炭素濃度、吸入麻酔薬濃度、呼吸数、心電図、心拍数、血圧、体温等の医療情報を表示するディスプレイの表示画面により構成される。
【0024】
なお、医療情報を表示するディスプレイとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、ブラウン管ディスプレイ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、EL(electroluminescence)ディスプレイ、表面電界ディスプレイ(SED)、電界放出ディスプレイ(FED)などの任意の形態の表示装置を用いることができる。
【0025】
また、医療部材1000がたとえば輸液バッグや輸液ボトルである場合、情報呈示部1100は、薬剤が充填された透明又は半透明のバッグないしはボトルの表面により構成される。薬剤の投与が進むにつれて、この情報呈示部1100には薬剤の残量(液面の位置)からなる医療情報が呈示される。また、液面の位置の移動速度は、薬剤の投与速度(投与レート)を示す医療情報と考えることができる。
【0026】
スキャナ制御部2は、シート型スキャナ1による読み取り処理を制御するとともに、読み取られた情報を受信して情報処理部3に入力する処理を行う。このスキャナ制御部2は、たとえば、シート型スキャナ1を駆動する駆動回路、マイクロプロセッサ、メモリ等を含んで構成される。スキャナ制御部2は、情報処理部3と有線方式又は無線方式で通信可能に構成されている。
【0027】
情報処理部3は、この医療情報システムの各部の制御を行うとともに、後述する各種の演算処理を実行する。この情報処理部3は、たとえば、マイクロプロセッサ、RAM等のメモリ、ROM、ハードディスクドライブ等を有するコンピュータにより構成される。なお、このコンピュータのハードディスクドライブなどには、所定のコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。マイクロプロセッサは、このコンピュータプログラムをメモリに展開することにより、本実施形態に特徴的な動作の制御を実行する。このコンピュータプログラムは、本発明の「医療情報処理プログラム」の一例に相当する。また、情報処理部3は、本発明の「情報処理手段」の一例に相当するものである。
【0028】
情報記録部4は、各種の医療情報を記録するデータベースにより構成される。このデータベースは、たとえば、手術中や治療中等に発生した様々な事象に関わる医療情報を記録するロギングシステム(Logging System)等に適用されるデータベースである。情報記録部4は、情報処理部3と有線方式又は無線方式で通信可能とされている。情報記録部4は、本発明の「記録手段」の一例に相当する。
【0029】
テスト信号生成部5は、情報処理部3の制御にしたがって、シート型スキャナ1の動作確認を行うためのテスト信号を生成する。生成されたテスト信号は、情報処理部3に送られ、ケーブル1000Aを通じて医療装置1000に入力される。なお、テスト信号生成部5から医療装置1000に直接にテスト信号を入力するようにしてもよい。
【0030】
テスト信号生成部5により生成されるテスト信号は、たとえば、心電計に表示される心電図の読み取りテストを実施するためのパルス信号として用いられる。このテスト信号生成部5は、テスト信号を生成する電気回路等を含んで構成される。
【0031】
警告出力部6は、警告メッセージ等の可視的な警告情報を出力するディスプレイや、警告音等の可聴的な警告を出力する音声出力回路、スピーカなどを含んで構成される。出力する警告の態様は適宜に決定することができ、警告出力部6は、その決定に応じた構成に設計される。警告出力部6は、情報処理部3の制御に基づいて所定の警告情報を出力する。この警告出力部6は、本発明の「警告出力手段」の一例に相当する。
【0032】
〔使用形態の概要〕
このような構成を有する本実施形態の医療情報システムについて、その使用形態の概要を説明する。この医療情報システムは、たとえば次のような工程を経ることにより、目的の作用を奏する:
(1) シート型スキャナ1を情報呈示部1100に貼付する第1の準備工程;
(2) シート型スキャナ1の初期化及びテストを行う第2の準備工程;
(3) 情報呈示部1100に呈示された医療情報を読み取る情報読取工程;
(4) 読み取られた医療情報を解析し、データ形式を変換する情報変換工程;
(5) データ形式が変換された医療情報を記録する情報記録工程;
(6) 医療情報が所定の条件に合致しているときに警報を出力する警報出力工程。
【0033】
(第1の準備工程)
最初に、医療情報の取得対象となる医療装置1000の情報呈示部1100にシート型スキャナ1を貼り付ける。この工程は医師や看護士等が手作業で行う。
【0034】
医師等は、まず、情報呈示部1100に呈示される各種の医療情報のうち、取得対象となる医療情報が呈示される部位を特定する。そして、その呈示部位を覆うようにしてシート型スキャナ1を貼り付ける。
【0035】
なお、後述の第1の構成例(図2参照)のように、シート型スキャナ1の一部のみ(スキャナ部1b)が情報を読み取り可能に構成されている場合には、この情報を読み取り可能な一部が、医療情報の呈示部位に位置するようにシート型スキャナ1を貼り付ける。
【0036】
なお、シート型スキャナ1により読み取られる医療情報の種類は、たとえば次のように分類することができる:
(分類1)患者名、患者ID、日付等のように時間経過とともに変化しない静的な情報;
(分類2)時刻、心拍数、血圧等のように時間経過とともに連続的に変化する情報;
(分類3)輸液ボトルの液面位置等のように時間経過とともにゆっくり変化する情報;
(分類4)心電図等のように時間経過とともに激しく変化する情報。
【0037】
(第2の準備工程)
医療装置1000にシート型スキャナ1が取り付けられたら、シート型スキャナ1の初期化とテストを行う。
【0038】
この工程では、(分類1)、(分類2)に属する医療情報については、たとえば、情報呈示部1100に呈示された文字や図形やグラフ等を正確に読み取るためのテストなどを行う。
【0039】
また、(分類3)に属する医療情報については、たとえば、輸液ボトルの液面について、液面位置の基準となる位置(高さ)を設定するなどの初期化作業を必要に応じて行う。
【0040】
また、(分類4)に属する医療情報については、たとえば、テスト信号生成部5が発生したパルス信号を心電計に印可し、心電計に表示されるパルス信号を用いて読み取りの確度の調整などを行う。
【0041】
(情報読取工程)
以上の工程により、シート型スキャナ1による医療情報の読み取りが可能となる。シート型スキャナ1は、スキャナ制御部2の制御にしたがって、情報呈示部1100に呈示された医療情報を読み取る。読み取られた医療情報は、ケーブル1Aを通じてスキャナ制御部2に送信され、情報処理部3に入力される。
【0042】
(情報変換工程、情報記録工程)
シート型スキャナ1により読み取られた医療情報は、未だ医療情報として意味を有するものではなく、単なるモノクロの2次元画像データである。情報処理部3は、この2次元画像データを解析して取得対象の医療情報の画像を抽出する。
【0043】
更に、抽出された画像に対して、たとえば平滑化(smoothing)処理、シャープニング(sharpening)処理、細線化(thinning)、骨格抽出(skeltonization)処理、文字認識(character recognition)処理などの画像処理を施す。そして、このようにして得られた医療情報のデータ形式を変換し、情報記録部4に送信して記録させる。
【0044】
(警告出力工程)
情報処理部3は、スキャナ制御部2から入力された医療情報が所定の条件に合致する場合に、警告出力部6を制御して警告を出力させる。たとえば、シート型スキャナ1により読み取られた医療情報が心拍数である場合、情報処理部3は、その心拍数の値が所定の閾値以上になったときや閾値以下になったときに、警報を出力させる。この警報出力処理は、患者が危険な状態に陥ったこと等を検知し、それを医師等に報知するためなどの用途に有効に利用される。
【0045】
[シート型スキャナ]
ここで、シート型スキャナ1の具体的構成について説明する。シート型スキャナ1は、近年開発されたスキャナ機器である(その検出原理や構成については、たとえば、特開2005−150146号公報や、インターネットのホームページhttp://www.ntech.t.u―tokyo.ac.jp/Research/Research_project/Research_project_large_area_electronics/Research_project_large_area_electronics.htmlなどを参照)。
【0046】
シート型スキャナ1は、薄膜状で軽量である、可撓性を有する(フレキシブルである)、光学系や機構を有さず維持や使用に適しているなどの特長を備えている。このシート型スキャナ1は、様々な物の表面に貼付可能であり、可撓性を有することから曲面上の表面に貼付することも可能である。このシート型スキャナ1は、フィルム上にアレイ状に配設された光センサ(セル)と、各光センサに接続された電子スイッチとを含んで構成される。
【0047】
上記の文献やホームページに記載されたシート型スキャナを用いて、ディスプレイに表示された情報の読み取りを行う場合、注意すべき点がいくつか有る。まず、外界からの光がシート型スキャナの光センサに入射すると、ディスプレイからの光を検出するのが難しくなる。通常のシート型スキャナにおいては、光センサの上部に形成された高分子フィルム等からなる遮光層によって外界からの光を遮光して光センサに届かないようにしている。
【0048】
しかし、遮光層を有する通常のシート型スキャナをディスプレイに貼付すると、表示されている情報を見ることができないという不都合が生じる。特に、手術等においては、医師等は、ディスプレイに表示された情報を参照しつつ様々な医学的判断を下す必要があるため、表示情報を見ることができないことは致命的とさえ言える。
【0049】
このように、シート型スキャナを用いてディスプレイの表示情報を読み取る場合には、医師等がその表示情報を正確に視認できるような工夫を凝らす必要がある。また、表示された情報の見易さを向上させるために、表示画面全体を(ほぼ)同じ明るさにすることが望ましい。本実施形態のシート型スキャナ1は、次のような構成を採用することにより、このような課題の解決を図っている。以下、シート型スキャナ1(及びディスプレイ)の5種類の構成例を説明する。
【0050】
(シート型スキャナの第1の構成例)
ディスプレイ読み取り用のシート型スキャナ1の第1の構成例を図2に示す。図2(A)はシート型スキャナ1の正面図であり、図2(B)は断面図である。このシート型スキャナ1は、透明(又は半透明)のフィルム部材からなる透明フィルム1aと、スキャナ部1bと、低粘着フィルム1cとを含んで構成される。
【0051】
透明フィルム1aとしては、スキャナ部1bと(ほぼ)等しい透明度(光透過度)を有するものを適用する。この透明フィルム1aには、ディスプレイ1101の表示画面1102とほぼ同様のサイズに形成されており、あらかじめ決定された位置にスキャナ部1bのサイズに合わせた切欠部が形成されている。
【0052】
スキャナ部1bは、透明フィルム1aの切欠部に嵌め込まれるようにして配設される。このスキャナ部1bは、上述した通常のシート型スキャナ(若しくは、それから遮光層を取り去ったもの)である。
【0053】
透明フィルム1aとスキャナ部1bは、透明又は半透明の低粘着フィルム1c(貼付部材)の一方の面に接合されている。低粘着フィルム1cの他方の面は、低粘着性を有している。この「低粘着性」は、シート型スキャナ1を表示画面1102に貼り付けたときには、シート型スキャナ1の自重を支持可能な接着力を発揮する一方、表示画面1102からシート型スキャナ1を容易に手作業で取り外せる程度の接着力を発揮するものである。このようにシート型スキャナ1は、表示画面1102に対して着脱可能に構成されている。
【0054】
このようなシート型スキャナ1の第1の構成例によれば、表示画面1102全体をほぼ等しい明るさにすることができるとともに、シート型スキャナ1による情報の読み取りも確実に行うことができる。なお、必要に応じて表示画面の明るさ調整を行うことにより、表示された情報の見易さの向上を図ってもよい。
【0055】
(シート型スキャナの第2の構成例)
図3は、シート型スキャナ1の第2の構成例を表している。このシート型スキャナ1は、たとえば液晶ディスプレイ1102(の表示画面)に着脱可能とされる低粘着フィルム1cと、透明フィルム1dと、フィルム状の光センサ(セル)1eとを含んで構成される。このフィルム状の光センサ(セル)としては、たとえば、前述の特開2005−150146号公報において開示されている、高分子フィルム上に有機トランジスタ及び光センサを配設して形成されたものを用いることができる。
【0056】
透明フィルム1dには、第1の構成例のような切欠部は形成されていない。この透明フィルム1dの片面には、複数の光センサ1eがたとえばアレイ状に配列されて接合されている。また、これらの光センサ1eは、低粘着フィルム1cに接合されている。すなわち、複数の光センサ1eは、透明フィルム1dと低粘着フィルム1cとに挟まれるようにして配設されている。
【0057】
このようなシート型スキャナ1の第2の構成例によれば、第1の構成例のように透明フィルム1dに切欠部を形成するための加工作業を行う必要がなく比較的容易に作成できること、また、シート型スキャナ1の透明性を確保でき、表示された情報が見やすいこと、などの効果がある。
【0058】
(シート型スキャナの第3の構成例)
図4は、シート型スキャナ1の第3の構成例を表している。このシート型スキャナ1は、第1の構成例と同様の低粘着フィルム1c及びフィルム状の光センサ(セル)1eと、偏光フィルム1fとを含んで構成される。
【0059】
偏光フィルム1fの片面には、第2の構成例と同様に複数の光センサ1eがたとえばアレイ状に配列されて接合されている。また、これらの光センサ1eは、低粘着フィルム1cに接合されている。すなわち、複数の光センサ1eは、偏光フィルム1fと低粘着フィルム1cとに挟まれるようにして配設されている。
【0060】
液晶ディスプレイ1103は、バックライト部1103a、偏光板1103b及び液晶1103cを含んで構成される。なお、液晶ディスプレイ1103には、これらの他にも、透明電極やガラス基板などが含まれている。バックライト部1103aは、たとえば、冷陰極管等のバックライト用光源と、このバックライト用光源が発した光を偏光板1103bの後面側に導く導光板と、この導光板により導かれた光を拡散して偏光板1103に向けて出射させる拡散板等を含んで構成される。
【0061】
なお、通常の液晶ディスプレイにおいては、液晶1103cの両側(バックライト側及び表示画面側)に偏光板が配置されている。これらの偏光板は、互いの偏光軸が直交するようにして配設されている。
【0062】
一方、この第3の構成例のシート型スキャナ1を適用する液晶ディスプレイ1103は、表示画面側には偏光板が設けられておらず、バックライト部1103a側にのみ偏光板1103bが設けられている点が特徴的である。
【0063】
本構成例のシート型スキャナ1は、その偏光フィルム1fの偏光軸の方向を、液晶ディスプレイ1103の偏光板1103bの偏光軸の方向に合わせるようにして、液晶ディスプレイ1103の表示画面に貼り付けられる。
【0064】
それにより、液晶ディスプレイ1103の表示画面から出射された光のほぼ全てがシート型スキャナ1を透過するので、医師等は表示された情報を容易に視認できる。同時に、外部からシート型スキャナ1に入射した光の半分程度が偏光フィルム1fによって遮断されるので、外部からの光が光センサ1eによる検出に与える悪影響を大きく低減させることができ、表示された情報を精度良く読み取ることができる。
【0065】
(シート型スキャナの第4の構成例)
図5は、シート型スキャナ1の第4の構成例を表している。このシート型スキャナ1は、第1の構成例と同様の低粘着フィルム1c及びフィルム状の光センサ(セル)1eと、第2の構成例と同様の透明フィルム1dと、光センサ1eと(ほぼ)等しいサイズに形成された偏光フィルム1gとを含んで構成される。
【0066】
透明フィルム1dの片面には、複数の偏光フィルム1gがたとえばアレイ状に配列されて接合されている。各偏光フィルム1gは、偏光軸が同じ方向を向くようにして配設される。また、各偏光フィルム1gには、光センサ1eが接合されている。更に、各光センサ1eは、低粘着フィルム1cの一方の面に接合されている。
【0067】
本構成例のシート型スキャナ1が適用される液晶ディスプレイ1104は、通常の液晶ディスプレイ1104と同様に、バックライト部1104a、バックライト側の偏光板1104b、液晶1104c、及び、表示画面側の偏光板1104d等が設けられている。偏光板1104bの偏光軸の方向と、偏光板1104dの偏光軸の方向とは、互いに直交するようになっている。
【0068】
本構成例のシート型スキャナ1は、各偏光フィルム1gの偏光軸の方向を、表示画面側の偏光板1104dの偏光軸の方向に合わせるようにして、液晶ディスプレイ1104の表示画面に貼り付けられる。
【0069】
それにより、第3の構成例と同様に、液晶ディスプレイ1104の表示画面から出射された光のほぼ全てがシート型スキャナ1を透過するので、医師等は表示された情報を容易に視認できると同時に、外部からシート型スキャナ1に入射した光の一部を偏光フィルム1gによって遮断することができるので、外部からの光が光センサ1eによる検出に与える悪影響を低減させることができ、表示された情報を精度良く読み取ることが可能となる。
【0070】
(シート型スキャナの第5の構成例)
図6は、シート型スキャナ1の第5の構成例を表している。このシート型スキャナ1は、第4の構成例と同様に、低粘着フィルム1c、フィルム状の光センサ(セル)1e、透明フィルム1d、及び、光センサ1eと(ほぼ)等しいサイズに形成された偏光フィルム1gを含んで構成される。
【0071】
この第5の構成例と上記第4の構成例との差異は、光センサ1eの配設位置と偏光フィルム1gの配設位置とを逆にした点のみである。この第5の構成例のシート型スキャナ1によっても、第4の構成例と同様の効果を享受することができる。
【0072】
[具体例1:心電計]
本実施形態に係る医療情報システムの具体例を説明する。第1の具体例は、図1の医療装置1000として心電計を適用したものである。以下、心電計に表示される心拍数や血圧を読み取って記録する処理、及び、心電図グラフを読み取って記録する処理についてそれぞれ説明する。
【0073】
〔文字列情報の処理〕
まず、心電計1001のディスプレイ1001aに文字列として表示される医療情報(文字列情報)に関わる処理について説明する。この処理を適用することにより、前述の(分類1)及び(分類2)の情報を読み取って認識し、記録することが可能である。この心電計1001のディスプレイ1001aは、本発明の「表示部」の一例に相当するものである。
【0074】
図7に示すように、心電計1001のディスプレイ1001aには、心拍数(HR:Heart Rate)や血圧(BP:Blood Pressure)などの文字列からなる医療情報と、時間経過とともに大きく変化するグラフ情報からなる心電図とが、それぞれ所定の位置に表示される。
【0075】
(制御系の構成)
図8のブロック図は、表示された文字列情報を読み取って情報記録部4に記録するための処理を行う本システムの制御系の構成の一例を表している。本システムは、LCDやCRT等の任意の表示デバイスからなる表示部7と、マウス、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、コントロールパネル等の操作デバイスや入力デバイスを含む操作部8とを備えている。この表示部7は本発明の「表示手段」の一例として作用し、操作部は「操作手段」の一例として作用する。
【0076】
なお、表示デバイスと操作デバイスとが一体構成されたタッチパネル式の液晶パネルやペンタブレット等のマン−マシンユーザフェイスを使用することも可能である。表示部7や当該マン−マシンインターフェイスは、図1に示した警告出力部6の一例として作用する。
【0077】
情報処理部3は、制御部30、記憶部31、変換処理部32及び登録情報作成部33を備えている。
【0078】
(制御部)
制御部30は、情報処理部3の各種動作の制御を行うもので、たとえば本発明の「表示制御部」の一例として動作する(後述)。この制御部30は、CPU等のマイクロプロセッサ、RAM等のメモリ、ROM、ハードディスクドライブ、通信機器(モデム、LANカード等)を含んで構成される。ハードディスクドライブには、この具体例に特徴的な後述の処理を実行するためのコンピュータプログラム(医療情報処理プログラム)があらかじめ格納されている。マイクロプロセッサは、このコンピュータプログラムをメモリに展開することにより、目的の処理を行う。
【0079】
(記憶部)
記憶部31は、情報処理部3が目的の処理を行うために参照する各種情報を記憶するもので、たとえばハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置により構成される。この記憶部31には、上記の各種情報として、文字関連情報31aと参照テーブル31bが記憶される。また、この記憶部31には、心拍数や血圧の値の正常範囲(又は上限値や下限値等)を示す情報があらかじめ記憶されている。この情報は、たとえば患者ごとに事前に設定することができる。
【0080】
スキャナ制御部2から情報処理部3に入力される医療情報は、前述のようにモノクロの2次元画像データである。文字関連情報31aは、医療情報としての文字列情報に含まれる文字の2次元画像データと、所定のデータ形式における当該文字のデータとを関連付ける情報である。
【0081】
つまり、文字関連情報31aは、シート型スキャナ1により読み取られる文字のイメージデータと、コンピュータ(情報処理部3等)が認識可能なデータ形式(たとえばフォント)においてその文字を示すデータ(「文字データ」と呼ぶことにする。)とを関連付けるものである。たとえば、2次元画像データとして「縦棒一本」からなる形態の文字と、コンピュータが認識可能なデータ形式における文字(数字)の「1」とを関連付ける。この具体例における文字関連情報31aは、数字0〜9のそれぞれについて、その数字の2次元画像データと、コンピュータが認識可能なデータ形式におけるその数字の文字データとを関連付けている。なお、この文字関連情報31aの作成方法については後述する。
【0082】
参照テーブル31bは、本発明の「関連情報」の一例に相当し、たとえば図9に示すような形態のテーブルデータとして構成される。同図に示す参照テーブル31bは、心電計1001に表示される心拍数を情報処理部3が認識するために参照される情報である。この参照テーブル31bの作成方法についても後述することにする。
【0083】
この参照テーブル31bには、(1)この医療情報の名称(Name)を示す文字列「Heart Rate」と、(2)心電計1001に表示されるこの医療情報を表すシンボル(Symbol)を示す文字列「HR」と、(3)この医療情報を形成する文字の種類(Type)を示す文字列「Digit」と、(4)この医療情報を形成する文字の個数(No. of letters)を示す文字列「3」と、(5)この医療情報を形成する各文字の読取領域(認識領域)の位置(Position)を示す文字列「2−(500,200)、1−(550,200)、0−(600,200)」と、(6)各文字の読取領域の大きさ(Size)を示す文字列「2−(50,80)、1−(50,80)、0−(50,80)」とが記憶されている。
【0084】
(1):医療情報の名称を示す欄には、前述のように、その名称を示す文字列が記録される。なお、図9において文字列「Heart Rate」の下に記載されている文字列「RR−interval」は、連続する2つのR波の間隔に基づいて心拍数が得られていることを示す(次の(2)についても同様である)。ここで、R波とは、血液を左心室から大動脈に送り出すときに検出される電気信号である。
【0085】
(2):医療情報のシンボルを示す欄には、当該医療情報の略称やイニシャル等の文字列が記録される。このシンボルの欄に記録される文字列は、この医療情報を識別する識別情報として用いられる。参照テーブル31bの各情報は、この識別情報に関連付けられて記憶されている。
【0086】
(3):医療情報を形成する文字の種類を示す欄には、この医療情報がどのような種類の文字で呈示されるかが記憶されている。図9では、文字列「Digit」により、この医療情報(心拍数)が「数字」で呈示されることが示されている。
【0087】
(4):医療情報を形成する文字の個数を示す欄には、この医療情報が(最大)幾つの文字で形成されるかを示す本発明の文字数情報が記憶される。図9においては、(3)と(4)とを併せて、(最大)3桁の数字により医療情報(心拍数)が形成されるようになっている。
【0088】
(5)、(6)については図10を参照しつつ説明する。この図10は、心電計1001に表示された心拍数をシート型スキャナ1で読み取るときの読み取り形態の一例を表している。
【0089】
シート型スキャナ1の情報読取面(ディスプレイ1001aに貼り付けられる面)には、あらかじめ2次元座標系(x,y)が定義されている。この2次元座標系(x,y)は、たとえば、シート型スキャナ1の左上端を原点(x,y)=(0,0)として定義されている。
【0090】
心拍数は、(3)、(4)に示すように、最大3桁の数字で表示される。図10では、心拍数=104(回/分)の状態が表示されている。なお、99(回/分)以下の心拍数の値を表示するときには、単に「AB」と表示してもよいし、「0AB」と表示してもよい(A、Bは、それぞれ0〜9のいずれかの数字)。
【0091】
ディスプレイ1001aに表示される心拍数の値の100の桁はシート型スキャナ1の読取領域R1で読み取られ、10の桁は読取領域R2で読み取られ、1の桁は読取領域R3で読み取られる。
【0092】
(5):参照テーブル31bの読取領域の位置の欄には、読取領域R1の左上端位置p1の座標値(x、y)=(500,200)と、読取領域R2の左上端位置p2の座標値(x,y)=(550,200)と、読取領域R3の左上端位置p3の座標値(x,y)=(600,200)とが記憶されている。
【0093】
ここで、参照テーブル31bにおいて、読取領域R1の左上端位置p1、p2、p3の座標値(500,200)、(550,200)、(600,200)の前に付されている文字列「2−」、「1−」、「0−」は、それぞれ、どの座標値がどの桁に対応するかを示すものである。すなわち、文字列「2−(500,200)」における「2−」は、この座標値(500,200)が10^2(=100)の桁の読取位置であることを示し、文字列「1−(550,200)」における「1−」は、この座標値(550,200)が10^1(=10)の桁の読取位置であることを示し、文字列「0−(600,200)」における「0−」は、この座標値(600,200)が10^0(=1)の桁の読取位置であることを示している。
【0094】
(6):文字の読取領域の大きさの欄には、医療情報をシート型スキャナ1で読み取るときの、各文字の読取領域のサイズが記憶される。図9では、2次元座標系(x,y)を用いて、100、10、1の桁を読み取る読取領域R1、R2、R3のそれぞれについて、x方向のサイズ50とy方向のサイズ80とが記憶されている。ここで、各サイズの前に付された文字列「2−」、「1−」、「0−」は、上記(5)の場合と同様である。
【0095】
なお、ディスプレイ1001aに表示される血圧(BP)等の他の文字列情報についても、以上と同様の参照テーブル31bがそれぞれ記憶部31に記憶されている。
【0096】
(変換処理部)
変換処理部32は、スキャナ制御部2から情報処理部3に入力された医療情報のデータ形式を変換する処理を行う。変換処理部32には、入力された医療情報に含まれる文字のデータ形式を変換する文字変換部32aが設けられている。
【0097】
スキャナ制御部2から入力される医療情報は、モノクロの2次元画像データである。また、記憶部31に記憶された文字関連情報31aは、この医療情報(文字列情報)に含まれる文字の2次元画像データと、所定のデータ形式における当該文字の文字データとを関連付けている。更に、参照テーブル31bには、医療情報を形成する文字の種類を特定する情報として上記(3)が記憶され、その文字数を特定する情報として上記(4)が記憶され、各文字の読取領域を特定する情報として上記(5)、(6)が記憶されている。
【0098】
文字変換部32aは、参照テーブル31bを参照して、入力された文字列情報の文字数と各文字の読取領域を特定し、各文字の2次元画像データを抽出する。そして、抽出された各文字について、その文字の種類に関わる情報を文字関連情報31aから選択するとともに、選択された情報のうちから、当該文字の2次元画像データに関連付けられた文字データを検索する。そして、変換処理部32は、たとえば、この検索された文字データと参照テーブル31bとに基づいて、情報記録部4に記録するための所定のデータ形式のデータを作成する。
【0099】
この変換処理部32の処理の具体例を図9、10を参照して説明する。この場合において、スキャナ制御部2から入力される心拍数の文字列情報は、モノクロの2次元画像データからなる「104」である。また、文字関連情報31aは、心拍数の文字列情報を形成する文字(数字)0〜9のそれぞれについて、その文字の2次元画像データと、その文字の所定のデータ形式における文字データとを関連付けている。更に、参照テーブル31bには、この文字列情報を形成する文字の種類を特定する情報「Digit」が記憶され、その文字数を特定する情報「3」が記憶され、各文字の読取領域R1、R2、R3を特定する情報「2−(500,200)、1−(550,200)、0−(600,200)」と、「2−(50,80)、1−(50,80)、0−(50,80)」とが記憶されている。
【0100】
文字変換部32aは、参照テーブル31bを参照して、この文字列情報が3文字からなることを認識するとともに、各文字の読取領域R1、R2、R3を認識する。そして、各読取領域で読み取られた文字の2次元画像データをそれぞれ抽出する。それにより、読取領域R1からは2次元画像データ「1」が抽出され、読取領域R2からは2次元画像データ「0」が抽出され、読取領域R3からは2次元画像データ「4」が抽出される。
【0101】
次に、文字変換部32aは、各読取領域R1、R2、R3から抽出された文字の2次元画像データに対し、必要に応じて前述の画像処理を施すことにより画像認識を容易化する。
【0102】
続いて、文字変換部32aは、参照テーブル31bを参照して、抽出された文字が数字であることを認識し、様々な種類の文字について記憶されている文字関連情報31aのうちから、数字に関わる情報を選択する。それにより、各数字0〜9について、その数字の2次元画像データと、その数字の所定のデータ形式における文字データとを関連付ける文字関連情報31aが選択される。
【0103】
なお、この選択処理は、以下の検索処理を速やかに行うためのものである。つまり、この処理を行わない場合には、各文字の検索を行うために全ての文字関連情報31aから検索を行わなければならないが、この処理を行うことにより、検索対象となる文字関連情報31aの個数をあらかじめ限定することができ、処理速度を向上させることができる。
【0104】
次に、文字変換部32aは、選択された数字0〜9に関する文字関連情報31aに基づいて、抽出された各文字の2次元画像データについて、その2次元画像データに関連付けられた文字データを検索する。より具体的に説明すると、100の桁の数字「1」の2次元画像データについては、数字1に関する文字関連情報31aを参照して、所定のデータ形式における数字「1」の文字データを検索取得する。また、10の桁の数字「0」の2次元画像データについては、数字0に関する文字関連情報31aを参照して、所定のデータ形式における数字「0」の文字データを検索取得する。更に、1の桁の数字「4」の2次元画像データについては、数字4に関する文字関連情報31aを参照して、所定のデータ形式における数字「4」の文字データを検索取得する。
【0105】
最後に、変換処理部32は、この検索された数字「1」、「0」、「4」の文字データと、参照テーブル31bの「Symbol」の欄の文字列(識別情報)とに基づいて、たとえば、「HR=104」という形式のデータを作成する。このとき、一般のマイクロプロセッサにより提供される日時情報を参照することにより、「HR=104 DATE=2005.6.1、TIME=010:12:25.320」といった日時情報を含んだ形式のデータを作成することもできる。
【0106】
(登録情報作成部)
登録情報作成部33は、新たに記憶部31に登録する文字関連情報31aや参照テーブル31bを作成する処理を行う。以下、数字に関する文字関連情報31a及び心拍数の参照テーブル31bの作成方法を説明しつつ、この登録情報作成部33の動作を説明する。
【0107】
まず、読み取り対象の心拍数の表示領域を含むように、シート型スキャナ1をディスプレイ1001aに貼り付ける。次に、たとえば図7のテスト信号生成部5にパルス信号を生成させて心電計1001に印可するなどして、ディスプレイ1001aに心拍数を表示させる。この表示された心拍数の値をシート型スキャナ1で読み取り、スキャナ制御部2から情報処理部3にその2次元画像データを入力する。入力された2次元画像は、表示部7に表示される。
【0108】
制御部30は、文字関連情報31a及び参照テーブル31bの新規作成用の所定の画面を表示部7に表示させる。ユーザは、操作部8を用いて、心拍数の参照テーブル31bの「Name」の欄、「Symbol」の欄、「Type」の欄、「No. of letters」の欄に情報を入力する。登録情報作成部33は、入力された情報を参照テーブル31bに登録する。
【0109】
なお、心拍数に関するこれらの情報が事前に特定されている場合には、これらの情報があらかじめ登録された心拍数の参照テーブル31bを用意しておいてもよい。一方、読取領域については、シート型スキャナ1をディスプレイ1001aに貼り付ける度毎に、参照テーブル31bに登録を行う必要がある(以前と同位置に再び貼り付ける場合など、過去の読取領域の情報を利用できる場合を除く。)。
【0110】
次に、表示部7に表示された心拍数の値の2次元画像に、その心拍数の値を示す各桁の数字の領域を指定する。この領域の指定は、たとえば、ユーザが操作部8(マウス等のポインティングデバイス)を操作して行う。各桁について指定された領域は、図10に示す読取領域R1、R2、R3として扱われ、各読取領域R1、R2、R3の位置を特定する情報が、参照テーブル31bの「Position」の欄と「Size」の欄にそれぞれ登録される。この登録処理は、シート型スキャナ1に定義された2次元座標を用いて自動的に行うことができる。以上で、心拍数に関する参照テーブル31bの作成処理は完了となる。
【0111】
続いて、ディスプレイ1001aに表示された心拍数の値を必要に応じて再び読み取り、その2次元画像を表示部7に表示させる。表示部7には、この2次元画像を文字変換部32aにより変換して得られる文字データが同時に表示される。文字変換部32aが目的の文字データを検索できない場合には、検索できなかった旨を示す所定の文字データとして「?」が表示される。本例では、数字0〜9の文字関連情報31aは未だ登録されていないので、心拍数の値の2次元画像(たとえば「106」)の各桁の数字を認識できず、「???」と表示されることになる。
【0112】
ユーザは、操作部8を操作して、100の桁「1」に対応する文字データ「1」を入力し、10の桁「0」に対応する文字データ「0」を入力し、1の桁「6」に対応する文字データ「6」を入力する。登録情報作成部33は、100の桁の2次元画像データ「1」と、ユーザが入力した文字データ「1」とを関連付ける文字関連情報31aを作成する。同様に、10の桁の2次元画像データ「0」と文字データ「0」とを関連付ける文字関連情報31a、及び、1の桁の2次元画像データ「6」と文字データ「6」とを関連付ける文字関連情報31aを作成する。作成された文字関連情報31aは、記憶部31に記憶される。
【0113】
次に、別の心拍数の値をディスプレイ1001aに表示させる。その値がたとえば「267」であるとすると、表示部7には、読み取られた2次元画像「267」とともに、認識結果「?6?」が表示される。つまり、数字「6」については、既に文字関連情報31aが登録されているので、10の桁の2次元画像データ「6」は変換可能であり、一方、100の桁の「2」と1の桁の「7」については、未だ文字関連情報31aが登録されていないので、文字データに変換できずに「?」が表示される。
【0114】
ユーザが、最初の段階と同様にして、「2」の文字データと「7」の文字データを入力すると、登録情報作成部33は、「2」、「7」に関する文字関連情報31aをそれぞれ作成し、作成された文字関連情報31aが記憶部31に記憶される。
【0115】
このようにして、0〜9までの10個の数字について、それぞれ文字関連情報31aを作成して登録する。それにより、全ての数字を文字データに変換できるようになる。このように、登録情報作成部33は、本発明の「文字関連情報作成部」の一例として動作するものである。
【0116】
(処理態様)
このような構成を有する本具体例の医療情報システムによる文字列情報に対する処理態様の一例について、図11のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0117】
まず、心拍数等の文字列情報の表示領域を含むように、心電計1001のディスプレイ1001aにシート型スキャナ1を貼り付ける(S1)。次に、上述した要領で、各数字0〜9の文字関連情報31aを作成するとともに(S2)、心拍数等の参照テーブル31bを作成する(S3)。
【0118】
以上の準備が完了したら、心電図測定用の電極や血圧測定用のカフ(腕帯)などを患者に取り付けて検査を開始する(S4)。ディスプレイ1001aには、検出された患者の心拍数や血圧の値、心電図(グラフ)などが表示される。
【0119】
表示された心拍数等の値をシート型スキャナ1が読み取り(S5)、その値の2次元画像データが情報処理部3に入力される(S6)。
【0120】
変換処理部32の文字変換部32aは、参照テーブル31bを参照して、入力された心拍数の値の2次元画像データを形成する各桁の数字の2次元画像データを抽出するとともに、各数字0〜9の文字関連情報31aを参照して、各桁の数字の2次元画像データに関連付けられた文字データを検索する(S7)。変換処理部32は、検索された文字データや参照テーブル31b等に基づいて、たとえば「HR=104 DATE=2005.6.1、TIME=010:12:25.320」などの所定のデータ形式からなる記録用データを作成する(S8)。
【0121】
また、制御部30は、ステップS7で検索された心拍数の各桁の数字の文字データに基づいて、読み取られた心拍数の値を認識し(S9)、記憶部31に記憶された心拍数の正常範囲を示す情報(前述)と比較する(S10)。認識された心拍数の値がこの正常範囲に含まれている場合(S11;Y)、制御部30は、ステップS8で作成された記録用データを情報記録部4に送信して記録させる(S13)。
【0122】
一方、認識された心拍数の値が正常範囲に含まれない場合(S11;N)、制御部30は、所定の警告メッセージを表示部7に表示させるとともに(S12)、ステップS8で作成された記録用データを情報記録部4に送信して記録させる(S13)。
【0123】
なお、血圧等の他の文字列情報についても、ステップS7〜S13と同様に処理される。
【0124】
シート型スキャナ1は、たとえば0.2秒間隔等の一定の間隔T0でディスプレイ1001aの表示画面を読み取るようになっている。情報処理部3は、スキャナ制御部2から馳駆時に入力される2次元画像データに対して、上記のステップS7〜S13の処理を順次に実行することにより、記録用データを逐次に作成して情報記録部4に記録させる。
【0125】
なお、逐次に作成される記録用データを記憶部31に一時的に保管しておき、たとえば所定の時間間隔ごとに情報記録部4にまとめて送信することや、検査終了後など所定のタイミングでまとめて情報記録部4に送信することもできる。
【0126】
医師等が、操作部8や心電計1001の操作パネルなどを操作して、検査の終了を要求すると(S14;Y)、医療情報システムは処理を終了する。
【0127】
検査の終了後において、前述の記録文書を作成するときや検査(手術等)の検証や再現を行うときには、操作部8を操作するなどして情報記録部4に記録されたデータを読み出して表示部7に表示させることができる。
【0128】
(作用・効果)
以上のように動作する本具体例の医療情報システムによれば、心電計1001が表示する心拍数や血圧等の値などの文字列情報をシート型スキャナ1で読み取り、その読み取った情報を、記録用のデータ形式に変換して情報記録部4に記録することができるので、心電計1001に表示される文字列情報を自動的にかつ正確に取得して記録することが可能である。
【0129】
また、記録用のデータ形式に変換された心拍数等の値に基づいて警報メッセージ(警報音等でもよい)を出力するように構成されているので、検査中に患者の生体情報(バイタル)に異常が発生したことを報知することができ、手術等の安全性の向上を図ることができる。
【0130】
〔心電図グラフの処理〕
次に、上記と同様の心電計1001のディスプレイ1001aにグラフ表示される心電図に関わる処理について説明する。図12は、この処理を実行する医療情報システムの構成の一例を表している。
【0131】
この心電計1001のディスプレイ1001aには、患者に取り付けられた複数の電極のそれぞれが検出した心電図グラフが並列表示されている。シート型スキャナ1は、これら複数の心電図グラフのうちの1つ以上を読み取ることができるように、ディスプレイ1001aに貼り付けられる。
【0132】
(制御系の構成)
図13に示すブロック図は、心電図グラフを読み取って情報記録部4に記録する処理を行う本システムの制御系の構成の一例を表している。
【0133】
情報処理部3は、文字列情報に関する上述の処理を行う場合と同様に、制御部40、記憶部41、変換処理部42及び登録情報作成部43を備えている。
【0134】
(制御部)
制御部40は、情報処理部3の各種動作の制御を行うもので、前述の制御部30と同様に、マイクロプロセッサ、メモリ、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。ハードディスクドライブには、この具体例の処理を実行するためのコンピュータプログラム(医療情報処理プログラム)があらかじめ格納されている。マイクロプロセッサは、このコンピュータプログラムをメモリに展開することにより、目的の処理を行う。
【0135】
(記憶部)
記憶部41は、情報処理部3が目的の処理を行うために参照する参照テーブル41a等の各種情報を記憶するもので、ハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置により構成される。
【0136】
参照テーブル41aは、本発明の「関連情報」の一例に相当し、たとえば図14に示すような形態のテーブルデータとして構成される。同図に示す参照テーブル41aは、心電計1001に表示される心電図グラフを情報処理部3が認識するために参照される情報である。この参照テーブル41aの作成方法については後述することにする。
【0137】
この参照テーブル41aには、(1)この医療情報の名称(Name)を示す文字列「ECG」(Electrocardiogram)と、(2)認識対象となる医療情報を表すシンボル(Symbol)を示す文字列「ECG−V1」と、(3)この医療情報の種類(Type)を示す「Horizontal scroll waveform」(水平方向に移動する波形)と、(4)この医療情報の読取領域の位置(Recognition Area Position)を示す文字列「(80,20)」と、(5)読取領域の大きさ(Recognition Area size)を示す文字列「(1200,400)」と、(6)心電図グラフの認識処理において基準となる時間軸上の位置(Standard time Position;基準時間位置)を示す文字列「150」と、(7)心筋活動に基づく電位を電極が検出してからその検出結果がディスプレイ1001aに表示されるまでの時間(Latency time;遅延時間)を示す文字列「+0.8」と、(8)心電図グラフを認識するためのグラフのゼロレベル(振幅=0)の位置(Zero level Position;ゼロレベル位置)を示す文字列「200」と、(9)表示部7に表示される心電図グラフの振幅の値の基準(Standard amplitude on screen;基準表示振幅値)と、(10)実際の心電図グラフの振幅(電圧)の基準値(Real standard amplitude;基準電圧値)とが記憶されている。
【0138】
(2):シンボルの欄に記録された文字列「ECG−V1」は、この医療情報(心電図グラフ)を識別する識別情報として用いられる。参照テーブル41aの各情報は、この識別情報に関連付けられて記憶されている。ここで、「V1」は、電極の識別情報である。心電計1001は、複数の電極による電位の検出結果を個別に表示でき、それぞれに電極識別用の文字列V1、V2、V3、・・・・があらかじめ付与されている。識別用文字列Vi(i=1、2、・・・)が付与された電極の検出結果に基づく心電図グラフをECG−Viと記載する(図15参照)。この具体例では、識別用文字列V1の電極に基づく心電図グラフECG−V1を読み取って認識する。
【0139】
(4):読取位置の欄に記録された文字列「(80,20)」は、図15に示す読取領域Rの左上端の座標値を示している。この座標値は、シート型スキャナ1の情報読取面に定義された2次元座標系(x,y)である。
【0140】
この2次元座標系(x,y)で表される座標値と、シート型スキャナ1の各光センサ(セル)の配設位置とは、相互に変換可能なように関連付けられているものとする。たとえば、光センサがx方向及びy方向にアレイ状に配設されたシート型スキャナ1を用いる場合においては、光センサのx方向の配列間隔をx方向の単位距離(距離=1)に設定し、y方向の配列間隔をy方向の単位距離に設定することができる。この設定においては、2次元画像データのx方向のピクセル間隔はx方向の単位距離に相当し、y方向のピクセル間隔はy方向の単位距離に相当する。この具体例では、説明の簡略化のため、2次元座標系(x,y)はこのように設定されているものとする。
【0141】
(5):読取領域のサイズの欄に記録された文字列「(1200,400)」は、心電図グラフECG−V1の読取領域Rのx方向のサイズ1200とy方向のサイズ400とを示している。したがって、(4)と(5)を考慮すると、読取領域Rの左上端の座標は(80,20)、右上端の座標は(1280,20)、左下端の座標は(80,420)、右下端の座標は(1280,420)となる(図15参照)。
【0142】
(6):心電図グラフの認識処理において基準となる時間軸上の位置(基準時間位置)の欄に記録された文字列「150」は、この基準時間位置のx座標値(図16に示す基準時間位置TLのx座標値)を示している。ここで、「時間位置」とは、スキャナ制御部2から情報処理部3に入力される心電図グラフの2次元画像データにおける時間軸上の位置(座標)を意味するものとする。
【0143】
(7):遅延時間の欄に記録された文字列「+0.8」は、心電計1001が心筋活動に基づく電位を検出してからその検出結果をディスプレイ1001aに表示するまでに0.8秒掛かることを示している。この遅延時間は、心電計1001の装置特性であり、たとえば心電計1001の製造側から提供される装置のスペック情報などが用いられる。
【0144】
(8):ゼロレベル位置の欄に記録された文字列「200」は、心電図グラフECG−V1の振幅を認識するための基準となるレベル(図16に示すゼロレベルZL)のy座標値を示している。
【0145】
(9):基準表示振幅値の欄に記載された文字列「150」は、心電図グラフECG−V1を表示部7に表示させたときの表示画面上における振幅の基準値となるピクセル数(画素数)、つまり、心電図グラフECG−V1の2次元画像データの振幅方向の基準距離となるピクセル数が150ピクセルであることを示している。この基準表示振幅値は、図16に示す基準振幅A0に含まれるピクセル数である。
【0146】
(10):基準電圧値の欄に記載された文字列「2」は、心電図グラフECG−V1の実際の振幅(電圧値)の基準となる数値が2(mV)であることを示している。この基準電圧値は、図16の基準振幅A0に相当する電圧値である。すなわち、(9)の基準表示振幅値に示すピクセル数と(10)の基準電圧値に示す電圧値とは等価である(つまり、表示画面における振幅方向の150ピクセルは電圧値2(mV)に相当し、逆もまた同様である。)。
【0147】
(変換処理部)
変換処理部42は、スキャナ制御部2から情報処理部3に入力された心電図グラフ(2次元画像データ)のデータ形式を変換する処理を実行する。この変換処理部42には、入力された心電図グラフの任意の時間位置に対応する時刻を算出する時刻算出部42aが設けられている。この時刻は、当該時間位置における心電図グラフの電圧値が心電計1001の電極ECG−V1によって検出された時刻に相当するものである。以下、このような変換処理部42の処理の一具体例について説明する。
【0148】
ところで、シート型スキャナ1は、前述のように、ディスプレイ1001aに表示された心電図グラフECG−V1を、たとえば0.2秒間隔などの一定の間隔T0(読取間隔)で逐次に読み取るようになっている。スキャナ制御部2は、この一定間隔で読み取られた心電図グラフECG−V1の2次元画像データを情報処理部3に順次入力する。この順次に入力された2次元画像データは、制御部40から変換処理部42に順次に送られる。変換処理部42は、順次に入力される心電図グラフECG−V1の2次元画像データに対して、たとえば以下の処理を施すことにより所定のデータ形式への変換を行う。
【0149】
まず、変換処理部42は、参照テーブル41a(図14参照)の基準時間位置(x=150)を参照し、入力された心電図グラフECG−V1の2次元画像データ(「第1の2次元画像データ」と呼ぶことにする。)の基準時間位置TL(図16参照)における電圧値を求める。この処理は、たとえば次の(1)〜(3)のようにして行う。
【0150】
(1)基準時間位置TL上のピクセルのうち、ピクセル値(輝度値等)が最大(又は最小)のピクセルを探索する。それにより特定されたピクセルを特定ピクセルと呼ぶ。この基準時間位置TLにおける特定ピクセルの座標値を(xs,ys)とする。
【0151】
(2)参照テーブル41aのゼロレベル位置に記録されたy座標値y=200を参照し、特定ピクセルのy座標値y=ysからゼロレベルZLのy座標値y=200を減算する;Δys=ys−200。前述したピクセル間隔とy方向の距離との関係を考慮すると、当該処理は、特定ピクセルからゼロレベルZLに下ろした垂線上に位置するピクセル数をカウントすることに同値である。つまり、Δysの値は、特定ピクセルとゼロレベルZLとの間のピクセル数を表している。
【0152】
(3)参照テーブル41aを参照し、Δysの値を基準表示振幅値=150(ピクセル)で除算し、更に基準電圧値=2(mV)を乗算する;As=Δys×2/150(mV)。この値Asが、基準時間位置TLにおける心電図グラフECG−V1の第1の2次元画像データの電圧値(振幅)である。
【0153】
次に、変換処理部42は、図16に示す認識間隔Wに含まれる各時間位置における電圧値を、基準時間位置TLにおける電圧値と同様の処理(1)〜(3)によって求める。それにより、認識間隔Wにおける心電図グラフECG−V1の第1の2次元画像データの波形が取得される。
【0154】
ここで、認識間隔Wは、シート型スキャナ1による読取間隔T0に相当する間隔に等しくなるように、若しくは、それよりも少し大きくなるようにあらかじめ設定されている。読取間隔T0に相当する時間軸方向の距離は、たとえば、読取間隔T0を介して読み取られた2つの心電図グラフを表示部7に表示させ、グラフの特徴部位(最大振幅位置や振幅0の位置等)の時間軸方向における変位又はピクセル数を求める。この変位又はピクセル数は、読取間隔T0に相当する距離を表している。なお、この距離を読取時間T0で除算することにより、表示部7に表示される心電図グラフの時間軸方向へのスクロール速度を求めることができる。
【0155】
続いて、変換処理部42は、この第1の2次元画像データの次に入力される、心電図グラフECG−V1の第2の2次元画像データに対する処理を行う。この第2の2次元画像データは、第1の2次元画像データのT0(=0.2)秒後にシート型スキャナ1に読み取られた波形を表している。
【0156】
図17は、第1の2次元画像データ及び第2の2次元画像データの形態を表している。図17(A)の第1の2次元画像データG1は、図16の心電図グラフECG−V1の2次元画像データと同じものである。図17(B)の第2の2次元画像データG2に示す波形は、第1の2次元画像データG1の波形が、読取間隔T0に相当する距離だけ時間軸方向(紙面右方向)に移動したものとなっている(もちろん、紙面左側の時間位置には新たに検出された波形が追加されている。)。
【0157】
基準時間位置TLは、シート型スキャナ1の情報読取面上の2次元座標系(x,Y)を用いて定義されているので、第2の2次元画像データG2についても同じ時間位置(x=150)に設定される。変換処理部42は、第1の2次元画像データG1の場合と同様にして、基準時間位置TLにおける電圧値を求めるとともに、認識間隔Wの各時間位置における電圧値を求める。それにより、認識間隔Wにおける心電図グラフECG−V1の第2の2次元画像データG2の波形が取得される。
【0158】
次に、変換処理部42は、第1の2次元画像データG1の認識間隔Wにおける波形と、第2の2次元画像データG2の認識間隔Wにおける画像とを同一画面上にさせる。このとき、ゼロレベルが等しくなるようにする。
【0159】
更に、変換処理部42は、第2の2次元画像データG2を時間軸方向(x軸方向)に移動させ、第1の2次元画像データG1に連結する。すなわち、第2の2次元画像データG2の基準時間位置TL(左端)を、第1の2次元画像データG1の認識間隔Wの右端に連結する。このとき、双方の端部の振幅が一致しない場合には、それらの平均値に置き換えるなどして、両画像データが滑らかな曲線を形成するように連結することが望ましい。なお、認識間隔Wが読取間隔T0よりも大きく設定されている場合には、それらの重複部分を重畳させて連結する。この場合にも、双方の重複部分の平均値を用いるなどして滑らかに連結することが望ましい。
【0160】
変換処理部42は、スキャナ制御部2から順次に入力される心電図グラフECG−V1の2次元画像データGj(j=1、2、3、・・・)に対して、上述の処理を逐次に行うことにより、時間経過とともに変化する心電図グラフECG−V1の波形(すなわち各時間位置における電圧値)を次々に取得していく。
【0161】
続いて、時刻算出部42aにより、心電図グラフECG−V1の各時間位置に対応する、心電計1001による検出時刻を算出する。それにより、各時間位置における電圧値の実際の検出時刻が得られる。以下、時刻算出部42aが実行する処理について説明する。
【0162】
まず、時刻算出部42aは、時間軸方向(x方向)のピクセル間隔に対応する時間間隔Δtを算出する。この処理は、たとえば、読取間隔T0に相当する時間軸方向の距離(認識間隔W等)に含まれるピクセル数(ピクセル間隔の個数)Kをカウントし、そのピクセル数Kで読取間隔T0を除算することにより求めることができる:Δt=T0/K。
【0163】
時刻算出部42aは、以下の数式を用いることにより、基準時間位置TLから時間軸方向にnピクセル離れた時間位置Tnに対応する実際の検出時刻tnを求める。ここで、基準時間位置TLにおける検出時刻tsは、たとえば心電計1001による検出開始時刻や基準時間位置TLのy座標値(=150)などに基づいて算出され、あらかじめ記憶部41に記憶されている(図示省略)。
【0164】
基準時間位置TLにおける検出時刻tsと、参照テーブル41aに記録された遅延時間=0.8と、1ピクセル当たりの時間間隔Δtとを用いると、基準時間位置TLから時間軸方向にnピクセル離れた時間位置Tnに対応する実際の検出時刻tnは、tn=ts−0.8+n×Δtと表される。
【0165】
時刻算出部42aは、この数式のnに1、2、3、・・・・をそれぞれ代入することにより、基準時間位置TLから1ピクセル離れた時間位置T1に対応する検出時刻t1、2ピクセル離れた時間位置T2に対応する検出時刻t2、3ピクセル離れた時間位置T3に対応する検出時刻t3、・・・・を算出する。
【0166】
変換処理部42は、以上のようにして取得した心電図グラフECG−V1の各時間位置における電圧値と検出時刻とに基づいて、所定のデータ形式の記録用データを作成する。この記録用データは、たとえば次のようなデータ形式のものである。
【0167】
ECG−V1=0.32mV DATE=2005.6.1,
TIME=010:12:25.320
ECG−V1=0.35mV DATE=2005.6.1,
TIME=010:12:25.325
ECG−V1=0.39mV DATE=2005.6.1,
TIME=010:12:25.330
ECG−V1=0.50mV DATE=2005.6.1,
TIME=010:12:25.335
ECG−V1=0.62mV DATE=2005.6.1,
TIME=010:12:25.340
ECG−V1=0.62mV DATE=2005.6.1,
TIME=010:12:25.345
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【0168】
この記録用データのデータ形式は、心電計1001により検出された電圧値の時間変化を示すデータ列となっている。すなわち、この記録用データは、第1番目のデータ「ECG−V1=0.32mV DATE=2005.6.1,TIME=010:12:25.320」、第2番目のデータ「ECG−V1=0.35mV DATE=2005.6.1,TIME=010:12:25.325」、・・・・・によって構成されている。
【0169】
このデータ列を構成する各データは、心電計1001の識別情報V1の電極による検出電圧を示す文字列「ECG−V1」と、検査日(手術日)を示す文字列「DATE」と、電圧の検出時刻を示す文字列「TIME」とを含んでいる。そして、これらの各項目について、変換処理部42によって取得された値を示す文字列が記録されている。
【0170】
たとえば、第1番目のデータは、当該電極により検出された電圧値を表す文字列「ECG−V1=0.32mV」と、検査日を表す文字列「DATE=2005.6.1」と、当該電圧値の検出時刻を表す文字列「TIME=010:12:25.320」とを含んで構成されている。なお、検査日に記録される年、月、日は、たとえばマイクロプロセッサのカレンダー機能から取得することができる。
【0171】
なお、変換処理部42により作成される所定のデータ形式の記録用データは、上述したデータ列以外の情報を更に含んでいてもよい。たとえば、連続する2次元画像データGj、G(J+1)の認識間隔Wの部分を順次連結して再構成された心電図グラフの画像データなどを記録用データに含めることができる。
【0172】
(登録情報作成部)
登録情報作成部43は、新たに記憶部41に登録する参照テーブル41aを作成する処理を行う。以下、参照テーブル41aの作成方法を説明しつつ、この登録情報作成部43の動作を説明する。なお、遅延時間「Latency time」の欄には、所定の値があらかじめ登録されていてもよい。
【0173】
まず、読み取り対象の心電図グラフの表示領域を含むように、シート型スキャナ1をディスプレイ1001aに貼り付ける。次に、テスト信号生成部5にパルス信号を生成させて心電計1001に印可して、ディスプレイ1001aに心電図グラフを表示させ、シート型スキャナ1で読み取る。スキャナ制御部2は、読み取られた心電図グラフの2次元画像データを情報処理部3に入力する。入力された2次元画像は、表示部7に表示される。
【0174】
制御部40は、参照テーブル41aの新規作成用の画面を表示部7に表示させる。ユーザは、操作部8を用いて、参照テーブル41aの「Name」の欄、「Symbol」の欄、「Type」の欄に情報を入力する。登録情報作成部43は、入力された情報を参照テーブル41aに記録する。
【0175】
なお、心電図グラフに関するこれらの情報が事前に特定されている場合には、これらの情報があらかじめ記録された参照テーブル41aを用意しておいてもよい。また、その他の欄については、シート型スキャナ1をディスプレイ1001aに貼り付ける度毎に、参照テーブル41aに登録を行う必要がある(過去の情報を利用できる場合を除く。)。
【0176】
次に、「Recognition area position」の欄と、「Recognition area size」の欄の登録を行う。そのために、たとえば、ユーザは、マウス等の操作部8を操作して、表示部7に表示された心電図グラフの画像上に読取領域Rを設定する。登録情報作成部43は、設定された読取領域Rの左上端の座標値Q1を「Recognition area position」の欄に記録し、x方向のサイズとy方向のサイズとを「Recognition area size」の欄に記録する。
【0177】
続いて、ゼロレベル位置の設定を行う。そのために、たとえば、ユーザは、操作部(マウス等)を操作し、心電図グラフの画像ECG−V1とともに表示部7に表示されるゼロレベル設定カーソルZCをy方向に移動させ、適当な位置に配置させる。登録情報作成部43は、この位置のy座標をゼロレベル位置(Zero level position)の欄に記録する。この位置は、図16に示すゼロレベルZLとして設定される。
【0178】
次は、基準時間位置の設定を行う。そのために、たとえば、ユーザは、操作部8(マウス等)を操作し、心電図グラフの画像ECG−V1とともに表示部7に表示される基準時間位置設定カーソルTCをx方向に移動させ、適当な時間位置に配置させる(図16参照)。登録情報作成部43は、この時間位置のx座標を基準時間位置(Standard time position)の欄に記録する。この時間位置は、図16に示す基準時間位置TLとして設定される。また、登録情報作成部43は、この基準時間位置TLに対応する検出時刻を求めて記憶部41に記憶させる(前述)。
【0179】
最後に、基準表示振幅値と基準電圧値の設定を行う。そのために、ユーザは、たとえば、操作部8(マウス等)を操作し、心電図グラフの画像ECG−V1とともに表示部7に表示される基準振幅設定カーソルACの上端部をy方向に移動させてカーソルACの高さを調節する。なお、基準振幅設定カーソルACの下端部は、ゼロレベルZLに固定配置されている。
【0180】
登録情報作成部43は、この基準振幅設定カーソルACの高さ(ゼロレベルZLから上端部までの距離若しくはピクセル数;本具体例ではそれらは同値である。)を求め、基準表示振幅値(Standard amplitude on screen)の欄に記録する。
【0181】
また、登録情報作成部43は、基準振幅設定カーソルACの高さに相当する実際の電圧値を求め、基準電圧値(Real standard amplitude)の欄に記録する。ここで、y方向の距離(ピクセル数)と実際の電圧値との関係は既知であるとする。
【0182】
この関係を取得するためには、たとえば、テスト信号生成部5により電圧1mVのパルス信号を生成して心電計1001に印可する。このときにディスプレイ1001aに表示されるグラフは、電圧1mVに相当する振幅を有する。このグラフをシート型スキャナ1で読み取って表示部7に表示させ、その振幅に相当するピクセル数をカウントする(またはy方向の距離を算出する)。この結果を「基準高さ」と呼ぶ。そして、この基準高さと電圧値1mVとを等価な関係として互いに関連付けて記憶しておく。
【0183】
登録情報作成部43は、基準振幅設定カーソルACの高さを基準高さで除算し、1mVを乗算することにより、この基準振幅設定カーソルACの高さに相当する実際の電圧値を求めることができる。
【0184】
(処理態様)
このような構成を有する本具体例の医療情報システムによる文字列情報に対する処理態様の一例について、図18のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0185】
まず、心電図グラフの表示領域を含むように、心電計1001のディスプレイ1001aにシート型スキャナ1を貼り付ける(S21)。そして、上述の要領で、心電図グラフの参照テーブル41aを作成する(S22)。このとき、登録情報作成部43は、必要に応じて、基準時間位置TLに対応する検出時刻や、表示部7に表示される心電図グラフのスクロール速度などを求めて記憶部41に記憶させる。
【0186】
以上の準備が完了したら、心電図測定用の電極などを患者に取り付けて検査を開始する(S23)。ディスプレイ1001aには、検出された患者の心拍数や血圧の値、心電図グラフなどが表示される。心電図グラフは、時間経過とともに波形を変化(スクロール)させる。
【0187】
表示された心電図グラフ(ECG−V1)は、シート型スキャナ1によって読取間隔T0で逐次に読み取られる(S24)。スキャナ制御部2は、逐次に読み取られた心電図グラフを2次元画像データとして情報処理部3に順次入力する(S25)。
【0188】
変換処理部42は、入力された2次元画像データについて、認識間隔W(図16、図17)の各時間位置における電圧値を求めるとともに(S26)、連続する2次元画像データの認識間隔Wの部分を順次連結して読み取られた心電図グラフの2次元画像データを再構成し、その各時間位置における電圧値を求める(S27)。
【0189】
時刻算出部42aは、心電図グラフの2次元画像データの各時間位置に対応する検出時刻を算出する(S28)。変換処理部42は、各時間位置について求めた電圧値と検出時刻とを用いて、所定のデータ形式の記録用データを作成する(S29)。制御部40は、作成された記録用データを情報記録部4に送信して記録させる(S30)。以上で、心電図グラフの記録処理は終了となる。
【0190】
検査の終了後において、前述の記録文書を作成するときや検査(手術等)の検証や再現を行うときには、操作部8を操作するなどして、心電図グラフの記録用データを情報記録部4から読み出し、心電図グラフを再構成して表示部7に表示させることができる。
【0191】
心電図グラフは、前述のデータ列を用いて再構成することができる。すなわち、「TIME」の項に記録された検出時間を横軸(時間軸)とし、「ECG−V1」の項に記録された電圧値を縦軸(振幅方向)として各データをプロットすることにより、目的の心電図グラフを形成することができる。
【0192】
(作用・効果)
以上のように動作する本具体例の医療情報システムによれば、心電計1001が表示する心電図グラフをシート型スキャナ1で読み取り、その読み取った情報を、記録用のデータ形式に変換して情報記録部4に記録することができるので、心電計1001に表示される心電図グラフを自動的にかつ正確に取得して記録することが可能である。
【0193】
なお、本具体例においても、前述の文字列情報のケースと同様に警報を出力するように構成することができる。たとえば、心電計1001により検出される電圧値が所定時間に亘って閾値以下になった場合に警報メッセージ等を出力して、患者の生体情報の異常を医師等に報知することができる。
【0194】
[具体例2:輸液ボトル]
本実施形態に係る医療情報システムの第2の具体例を説明する。この第2の具体例は、図1の医療部材1000として輸液ボトルを適用したものである。なお、輸液バッグ等の医療部材についても、同様の構成によって同様の作用効果を実現することができる。
【0195】
図19は、本具体例の全体構成の一例を表している。輸液ボトル1002には、輸液製剤が充填されている。輸液ボトル1002は、透明又は半透明のガラスやプラスティック等の材質から形成されており、輸液製剤の液面1002aの位置を外部から見て取ることができる。本具体例では、輸液ボトル1002の側面にシート型スキャナ1を貼り付けて液面1002aの位置を読み取るようになっている。なお、輸液ボトル1002の側面は曲面形状を有しているが、可撓性を特徴とするシート型スキャナ1を側面形状に合わせて貼り付けることにより、液面1002aの位置を正確に検出することが可能となる。
【0196】
(シート型スキャナの貼付態様)
輸液ボトル1002に対するシート型スキャナ1の貼り付け態様の一例を図20に示す。図20(A)に記載の貼り付け態様においては、輸液ボトル1002の側面の残量目盛1002bを覆う位置にシート型スキャナ1が貼り付けられている。この貼り付け態様は、輸液製剤の液面1002aの位置と残量目盛1002bとを読み取ることにより、輸液ボトル1002内の輸液製剤の量を検出する場合などに適用される。
【0197】
また、図20(B)に記載の貼り付け態様においては、長細い形状のシート型スキャナ1を、その長手方向が上下方向に位置するようにして、輸液ボトル1002の側面に貼り付けている。この貼り付け態様は、輸液製剤の残量の変化状態のみを検出する場合などに適用される。なお、この貼り付け態様を採用する場合、20(A)の場合と比べて小型のシート型スキャナ1を用いることができるので、コストの低減を図ることが可能である。
【0198】
(制御系の構成)
図21のブロック図は、輸液ボトル1002内の輸液製剤の残量や投与速度を監視して警告を出力したり、輸液投与に関する情報(輸液製剤の種類、投与時刻、投与量、投与速度等)を情報記録部4に記録したりするための、本システムの制御系の構成の一例を表している。
【0199】
情報処理部3は、制御部50、記憶部51、変換処理部52及び登録情報作成部53を備えている。
【0200】
制御部50は、情報処理部3の各種動作の制御を行うためのマイクロプロセッサ、メモリ、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。ハードディスクドライブには、この具体例の処理を実行するためのコンピュータプログラム(医療情報処理プログラム)があらかじめ格納されている。マイクロプロセッサは、このコンピュータプログラムをメモリに展開することで目的の処理を実行する。
【0201】
(記憶部)
記憶部51は、情報処理部3が目的の処理を行うために参照する登録情報51a等の各種の情報を記憶するハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置によって構成されている。
【0202】
登録情報51aには、輸液製剤の液面1002aの位置を決定するための基準となる位置を示す情報(液面基準位置情報)が含まれている。この液面基準位置情報は、たとえば、シート型スキャナ1に定義された2次元座標系(x,y)を用いて、y=基準位置=y0と設定することができる(図20参照)。ここで、図20に示すシート型スキャナ1は、y方向が鉛直下方を向くようにして輸液ボトル1002の側面に貼り付けられている。液面1002aの基準位置y=y0は、たとえば、シート型スキャナ1の上端位置や下端位置、若しくは、図20(A)に示す残量目盛1002bのいずれかの目盛位置などに設定することができる。
【0203】
また、登録情報51aには、輸液製剤の残量の閾値や、投与速度の正常範囲など、輸液製剤の投与に関する各種の閾値情報が含まれている。残量の閾値は、たとえば残量の容積の閾値V0や、y座標値y=yrなどによって定義される。また、投与速度の範囲は、残量の減少速度や、y座標値の降下速度等を示す投与速度vについて、たとえばv1≦v≦v2のように上限と下限が定義される。これらの閾値情報は、たとえば輸液製剤の種類毎に設定される。
【0204】
また、図20(A)に示す残量目盛1002b等の文字列情報を読み取って処理する場合には、前述の具体例1で説明した文字関連情報31aや参照テーブル31b(図8、図9参照)を含んだ登録情報51aをあらかじめ作成して記憶する。
【0205】
(変換処理部)
変換処理部52は、スキャナ制御部2から情報処理部3に入力された医療情報のデータ形式を変換する処理を行う。本具体例の情報処理部3に入力される医療情報には、図20(A)の残量目盛1002b等の文字列情報や、輸液製剤の液面1002aの位置(高さ)などの情報がある。文字列情報については、変換処理部52は、具体例1の変換処理部32と同様に動作して認識処理やデータ形式変換処理を行う。
【0206】
また、液面1002aの位置については、変換処理部52は、スキャナ制御部2から入力される2次元画像データと、登録情報51aの液面位置基準情報とに基づいて、読み取られた液面1002aの位置を決定するとともに、必要に応じて、その液面位置を所定のデータ形式に変換する。
【0207】
この液面位置に関する処理の具体例を説明する。まず、変換処理部52は、スキャナ制御部2からの2次元画像データにおける液面1002aの位置y=y1を検出する。液面1002aよりも上方と下方では透過率や屈折率等の光学特性が異なるので、2次元画像データは、液面1002aの上下で異なる輝度(明るさ)を有している。変換処理部52は、2次元画像データの輝度値をy方向に沿って確認し、輝度値が変化するy座標位置を特定する。この特定されたy座標位置を液面位置y1とする。そして、この液面位置y=y1と液面基準位置情報のy座標y=y0との差を求めることにより、基準位置y0に基づく液面1002aの位置を決定する。また、基準位置y=y0と残量の容積とが関連付けられている場合には、決定された液面位置から残量の容積Vを求めることができる。
【0208】
図20(A)に示す残量目盛1002bの認識を行う場合には、輸液製剤の残量を別の方法で求めることができる。たとえば、上述の要領で液面位置y=y1を決定するとともに、この液面位置y1の上下に位置する2つの目盛を認識し、それぞれのy座標値を求める(y2<y1<y3とする。)。そして、たとえば比(y1−y2):(y3−y1)と、2つの目盛の値とを用いることにより残量を算出できる。
【0209】
一例として、図20(A)に示すように、液面位置y=y1が、位置y=y2の目盛=150と位置y=y3の目盛=200との間にある場合、比(y1−150):(200−y1)=a:bとすると、液面位置y=y1は、目盛=150と目盛=200とをa:bに内分する位置に特定される。また、輸液薬剤の残量(容積)V=150+50×a/(a+b)となる。
【0210】
さて、変換処理部52には、残量判断部52aと投与速度処理部52bが設けられている。残量判断部52aは、輸液薬剤の残量が閾値よりも多いか少ないかを判断する。そのために、残量判断部52aは、たとえば上述のようにして求められた輸液薬剤の残量の容積V若しくは液面1002aのy座標値y=y1と、登録情報51aの閾値情報とを比較し、それらの大小関係を判断する。残量の容積を判断基準とする場合、残量判断部52aは、求められた残量の容積Vと、登録情報51aに含まれる容積の閾値V0との大小関係を判断する。一方、y座標値を判断基準とする場合には、求められた液面1002aのy座標値y=y1と、登録情報51aに含まれるy座標値の閾値y=yrとの大小関係を判断する。
【0211】
投与速度処理部52bは、投与速度の算出処理と、その算出結果が正常範囲に含まれているか否かの判断処理とを行う。ところで、シート型スキャナ1は、前述のように一定の間隔T0(たとえば0.2秒間隔)で医療情報を読み取る。投与速度処理部52bは、所定の時間間隔を介した時刻t、t′について、時刻tに読み取られた結果に基づく残量の容積V(t)(y座標値y=y1(t))と、時刻t′に読み取られた結果に基づく残量の容積V(t′)(y座標値y=y1(t′))との差を求め、この差をt−t′で除算して、この間における投与速度vを求める。更に、投与速度処理部52bは、求めた投与速度vが、登録情報51aに示す範囲[v1,v2]に含まれているかを判断する。
【0212】
(登録情報作成部)
登録情報作成部53は、ユーザが操作部8を操作して入力した各種の設定情報を基に登録情報51aを作成し、記憶部51に記憶させる。登録情報51aの内容の具体例については前述した。
【0213】
(処理態様)
このような構成を有する本具体例の医療情報システムが実行する処理態様の一例について、図22のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0214】
まず、輸液ボトル1002の側面にシート型スキャナ1を貼り付け(S31)、登録情報51aの作成を行う(S32)。
【0215】
患者に対する輸液製剤の投与を開始すると(S33)、輸液製剤の液面1002aはゆっくりを下降していく。シート型スキャナ1は、所定の読取間隔T0で、液面1002aの位置(必要に応じて残量目盛1002bも)を読み取る(S34)。スキャナ制御部2は、その読み取り結果を受けて、輸液ボトル1002の側面の形態を表す2次元画像データを情報処理部3に順次入力する(S35)。
【0216】
変換処理部52は、入力された2次元画像データを解析して、輸液製剤の液面1002aのy座標値y=y1を特定する(S36)。このとき、必要に応じて、輸液製剤の残量の容積Vについても算出する。残量判断部52aは、特定された液面1002aのy座標値y=y1が、登録情報51aに示す液面1002aの閾値のy座標値y=yrよりも大きいか(つまり下方にあるか)否かを判断する(S37)。このとき、残量の容積Vが、残量の容積の閾値V0より小さいか否かを判断するようにしてもよい。
【0217】
y1>yr(残量が閾値未満)である場合(S37;Y)、制御部50は、表示部7に所定の警告メッセージを表示させるなどして医師等に報知する(S51)。変換処理部52は、警告情報が出力されたことを示す所定のデータ形式の記録用データを作成する(S52)。制御部50は、その記録用データを情報記録部4に送信して記録させる(S53)。以上で、処理は終了となる。
【0218】
一方、y1≦yr(残量が閾値以上)である場合(S37;N)、投与速度処理部52bは、輸液製剤の投与速度vを算出し(S38)、その投与速度vが、登録情報51aに示す範囲[v1,v2]に含まれるか判断する(S39)。
【0219】
投与速度vが範囲[v1,v2]に含まれない場合(S39;N)、制御部50は、表示部7に所定の警告メッセージを表示させるなどして医師等に報知する(S51)。変換処理部52は、警告情報が出力されたことを示す所定のデータ形式の記録用データを作成する(S52)。制御部50は、その記録用データを情報記録部4に送信して記録させる(S53)。以上で、処理は終了となる。
【0220】
一方、投与速度vが範囲[v1,v2]に含まれる場合(S39;Y)、変換処理部52は、たとえば、輸液製剤の識別情報(名称、薬剤ID等)、y座標値y=y1、残量の容積V、投与速度、年月日等の情報を含む所定のデータ形式の記録用データを作成する(S40)。制御部50は、その記録用データを情報記録部4に送信して記録させる(S41)。以上で、処理は終了となる。
【0221】
(作用・効果)
以上のように動作する本具体例の医療情報システムによれば、輸液ボトル1002の側面の形態(液面位置や残量目盛等)をシート型スキャナ1で読み取り、その読み取った情報を、記録用のデータ形式に変換して情報記録部4に記録することができるので、輸液製剤の液面位置、残量の容積、投与速度など、輸液製剤の投与の状況を自動的にかつ正確に取得して記録することが可能である。
【0222】
また、輸液製剤の残量が少なくなったときや、投与速度が速すぎたり遅すぎたりする場合に、警報情報を出力するように構成されているので、手術等の処置の安全性の向上を図ることができる。
【0223】
[医療情報処理プログラム]
上記の各実施形態においては、本発明に係る医療情報処理プログラムを、情報処理部3を形成するコンピュータのハードディスクドライブに記憶させるようにした。この医療情報処理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させて使用することができる。例えば、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などの任意の記憶媒体に記憶させることが可能である。
【0224】
また、情報処理部3がLAN等のネットワークに接続されている場合には、そのネットワーク上のサーバ装置に医療情報処理プログラムを記憶させておき、情報処理部3は、このサーバ装置のクライアントとして、医療情報処理プログラムを利用するように構成することが可能である。
【0225】
[システムの運用形態]
以上に説明した医療情報システムの運用例を図23、図24に示す(本出願人による前述の特許文献1参照:特開2004−280455号公報)。この医療情報システムは、手術時に発生する様々な事象の情報を時系列に記録するシステムである。この医療情報システムは、各種の医療情報を検出するための様々なセンサからなるセンサ群11と、このセンサ群11から検出信号の入力を受ける情報収集・記録サーバ12と、表示装置13とを備えている。
【0226】
センサ群11には、各種の医療機器の動作状況を検出するセンサ21a〜21nと、撮影用のカメラ22a〜22nと、医師等のバイタルを検出するセンサ23a〜23nと、音声を検出するマイクロフォン24a〜24nと、手術室へのスタッフの出入りを検出するセンサ25と、患者のバイタルを検出するセンサ26a〜26nと、患者の識別情報を検出するセンサ27とが含まれている。
【0227】
医療機器の動作状況を確認するためのセンサ21a〜21nとしては、点滴の滴下モニターセンサ、ベッドの角度センサ、吸引機のセンサ、電気メスのセンサ、ベッドウォーマの温度センサ、麻酔システムのセンサ、ナビゲータのセンサ、アース電流センサ、医療機器の電源の確認センサ、医療機器のダイヤルやスイッチ設定の確認センサなどがある。
【0228】
撮影用のカメラ22a〜22nとしては、器械台カメラ、広角カメラ、術野カメラ、麻酔医カメラ、無影カメラ、ヘッドマウントカメラなどがある。
【0229】
医師のバイタルを検出するためのセンサ23a〜23nとしては、心拍、唾液中のアドレナリン(ストレスホルモン)、脳波、体温、血圧などを検出するセンサ、目のまばたきを検出するセンサ、加速度センサ、発汗を検出するセンサ、圧力、湿度などを検出するセンサなどがある。本発明に係る構成は、これらのセンサ23a〜23nに適宜に応用することが可能である。
【0230】
手術室への人の出入りを検出するセンサ25としては、手術室のドアの開閉をモニタするセンサやIDカードリーダなどがある。
【0231】
患者の生体情報を検出するセンサ26a〜26nとしては、心電図モニタ、麻酔モニタのセンサ、BIS(麻酔深度)モニタ、脳神経モニタなどがある。本発明に係る構成は、これらのセンサ26a〜26nについても適宜に応用することが可能である。
【0232】
患者の識別情報を検出するセンサ27としては、指紋認識センサ、虹彩認識センサ、電子カルテシステム、リストバンドなどがある。
【0233】
情報収集・記録サーバ12は、センサ群11の各センサ21〜27から送られてくる信号の入力を受け、その信号に同じクロック(時間情報)に基づくタイムスタンプ処理を施してハードディスクドライブ、CD−R、DVD−R等の任意の記録媒体に記録するようになっている。この情報収集・記録サーバ12は、前述の実施形態における情報処理部3、情報記憶部4、警告出力部6(表示部7)、操作部8等を含むものである。
【0234】
以上に詳述した構成は、本発明に係る医療情報システム及び医療情報処理プログラムを好適に実施するための一例に過ぎないものである。したがって、本発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【図1】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態におけるシート型スキャナの貼付態様の一例を表す概略図である。図2(A)は、シート型スキャナ及びディスプレイを正面説明図である。図2(B)は、シート型スキャナの構成の一例を表す概略断面図である。
【図3】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態におけるシート型スキャナの構成の一例を表す概略断面図である。
【図4】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態におけるシート型スキャナの構成の一例を表す概略断面図である。
【図5】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態におけるシート型スキャナの構成の一例を表す概略断面図である。
【図6】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態におけるシート型スキャナの構成の一例を表す概略断面図である。
【図7】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図8】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図9】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例において参照される参照テーブルの一例のデータ構成の概要を表す図である。
【図10】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例において、心電計に表示された心拍数をシート型スキャナで読み取るときの読み取り形態を説明するための概略説明図である。
【図11】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例が実行する処理態様の一例を表すフローチャートである。
【図12】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図13】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図14】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例において参照される参照テーブルの一例のデータ構成の概要を表す図である。
【図15】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例において、心電計に表示された心電図グラフをシート型スキャナで読み取るときの読み取り形態を説明するための概略説明図である。
【図16】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例において、心電計に表示された心電図グラフを認識するために設定される情報を説明するための概略説明図である。
【図17】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例による心電図グラフの認識処理を説明するための概略説明図である。
【図18】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を心電計に適用した第1の具体例が実行する処理態様の一例を表すフローチャートである。
【図19】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を輸液ボトルに適用した第2の具体例の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図20】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を輸液ボトルに適用した第2の具体例におけるシート型スキャナの貼付態様の一例を表す概略図である。
【図21】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を輸液ボトルに適用した第2の具体例の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図22】本発明に係る医療情報システムの好適な実施の形態を輸液ボトルに適用した第2の具体例が実行する処理態様の一例を表すフローチャートである。
【図23】本発明に係る医療情報システムの運用例を表す概略ブロック図である。
【図24】本発明に係る医療情報システムの運用例を表す概略図である。
【符号の説明】
【0236】
1 シート型スキャナ
1a、1d (半)透明フィルム
1b スキャナ部
1c 低粘着フィルム
1e 光センサ
1f、1g 偏光フィルム
2 スキャナ制御部
3 情報処理部
30、40、50 制御部
31、41、51 記憶部
31a 文字関連情報
31b、41a 参照テーブル
51a 登録情報
32、42、52 変換処理部
32a 文字変換部
42a 時刻算出部
52a 残量判断部
52b 投与速度処理部
33、43、53 登録情報作成部
4 情報記録部
5 テスト信号生成部
6 警告出力部
7 表示部
8 操作部
1000 医療装置
1001 心電計
1001a ディスプレイ
1002 輸液ボトル
1002a 輸液製剤の液面
1100 情報呈示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療情報を呈示する情報呈示部を有する医療装置又は医療部材の前記情報呈示部に貼付されて前記呈示された医療情報を読み取るシート状の読取部を有する読取手段と、
該読取手段により読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換する情報処理手段と、
該情報処理手段によりデータ形式が変換された医療情報を記録する記録手段と、
を備えることを特徴とする医療情報システム。
【請求項2】
前記情報呈示部は、前記医療装置が備える表示部の表示画面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療情報システム。
【請求項3】
前記シート状の読取部は、
切欠部を有する透明又は半透明のフィルム部材と、
前記切欠部に嵌め込まれ、前記表示画面に表示された医療情報を読み取るシート型スキャナと、
前記フィルム部材及び前記シート型スキャナの片面に一方の面が接合され、他方の面が前記表示画面に貼付される透明又は半透明のフィルム状の貼付部材と、
を含んでいる、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項4】
前記シート状の読取部は、
透明又は半透明のフィルム部材と、
該フィルム部材の片面に一方の面がそれぞれ接合され、前記表示画面から出力される光を検出する複数のフィルム状の光センサと、
該複数のフィルム状の光センサのそれぞれの他方の面に一方の面が接合され、他方の面が前記表示部の表示画面に貼付される透明又は半透明のフィルム状の貼付部材と、
を含んでいる、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項5】
前記表示部は、バックライト側にのみ偏光板を有する液晶ディスプレイであり、
前記シート状の読取部は、
透明又は半透明の偏光フィルムと、
該偏光フィルムの片面に一方の面がそれぞれ接合され、前記表示画面から出力される光を検出する複数のフィルム状の光センサと、
該複数のフィルム状の光センサのそれぞれの他方の面に一方の面が接合され、他方の面が前記液晶ディスプレイの表示画面に貼付される透明又は半透明のフィルム状の貼付部材と、
を含み、
当該読取部は、その偏光フィルムの偏光軸と、前記液晶ディスプレイの前記偏光板の偏光軸とが同じ方向になるように、前記表示画面に貼付される、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項6】
前記表示部は、バックライト側及び表示画面側の双方に偏光板を有する液晶ディスプレイであり、
前記シート状の読取部は、
透明又は半透明のフィルム部材と、
該フィルム部材の片面に、それぞれの偏光軸が同じ方向を向くようにして一方の面が接合された複数の透明又は半透明の偏光フィルムと、
該偏光フィルムと略等しいサイズに形成され、前記複数の偏光フィルムのそれぞれの他方の面に一方の面が接合され、前記表示画面から出力される光を検出する複数のフィルム状の光センサと、
該複数のフィルム状の光センサのそれぞれの他方の面に一方の面が接合され、他方の面が前記液晶ディスプレイの表示画面に貼付される透明又は半透明のフィルム状の貼付部材と、
を含み、
当該読取部は、前記複数の偏光フィルムの偏光軸と、前記液晶ディスプレイの表示画面側の偏光板の偏光軸とが同じ方向になるように、前記表示画面に貼付される、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項7】
前記表示部は、バックライト側及び表示画面側の双方に偏光板を有する液晶ディスプレイであり、
前記シート状の読取部は、
透明又は半透明のフィルム部材と、
該フィルム部材の片面に一方の面がそれぞれ接合され、前記表示画面から出力される光を検出する複数のフィルム状の光センサと、
該フィルム状の光センサと略等しいサイズに形成され、前記複数のフィルム状の光センサのそれぞれの他方の面に、それぞれの偏光軸が同じ方向を向くようにして一方の面が接合された複数の透明又は半透明の偏光フィルムと、
該複数の偏光フィルムのそれぞれの他方の面に一方の面が接合され、他方の面が前記液晶ディスプレイの表示画面に貼付される透明又は半透明のフィルム状の貼付部材と、
を含み、
当該読取部は、前記複数の偏光フィルムの偏光軸と、前記液晶ディスプレイの表示画面側の偏光板の偏光軸とが同じ方向になるように、前記表示画面に貼付される、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項8】
前記シート状の読取部は、前記表示画面に着脱自在とされる、
ことを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれか一項に記載の医療情報システム。
【請求項9】
前記医療装置の前記表示部により表示される医療情報は文字列情報であり、
前記読取手段は、前記シート状の読取部で読み取った文字列情報を2次元画像データとして出力し、
前記情報処理手段は、
文字の2次元画像データと、前記所定のデータ形式における当該文字の文字データとを関連付ける文字関連情報をあらかじめ記憶する記憶部と、
前記読取手段から文字列情報の2次元画像データが入力されたときに、当該文字列情報に含まれる文字の2次元画像データに関連付けられた文字データを前記文字関連情報から検索することにより、当該文字列情報を前記所定のデータ形式に変換する文字変換部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項10】
表示手段及び操作手段を更に備え、
前記情報処理手段は、
前記文字変換部により当該文字の2次元画像データに関連付けられた文字データが検索されなかったときに、該検索されなかったことを示す所定の文字データを前記表示手段に表示させる表示制御部と、
ユーザが、前記操作手段を操作して、前記表示された所定の文字データを他の文字データに書き換えたことに対応して、当該文字の2次元画像データと該他の文字データとを関連付ける文字関連情報を新たに作成して前記記憶部に記憶する文字関連情報作成部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の医療情報システム。
【請求項11】
所定の警告情報を出力する警告出力手段を更に備え、
前記文字列情報は、数値で表される患者の生体情報であり、
前記記憶部には、前記生体情報の範囲を示す閾値情報があらかじめ記憶されており、
前記情報処理部は、前記文字変換部により変換された当該生体情報の数値が前記閾値情報に示す範囲に含まれているか否か判断し、含まれていないと前記判断されたときに前記警告出力手段を制御して前記所定の警告情報を出力させる、
ことを特徴とする請求項9に記載の医療情報システム。
【請求項12】
前記医療装置の前記表示部により表示される医療情報は文字列情報であり、
前記シート状の読取部の情報読取面には、あらかじめ2次元座標系が定義されており、前記読取手段は、前記表示された文字列情報を前記シート状の読取部で読み取って2次元画像データとして出力し、
前記情報処理手段は、
前記表示される文字列情報を識別する識別情報と、当該文字列情報に含まれる文字の前記読取部による読取位置を示す前記2次元座標系の座標値とを関連付ける関連情報をあらかじめ記憶する記憶部と、
前記読取手段から文字列情報の2次元画像データが入力されたときに、当該文字列情報に含まれる文字について、当該文字の前記読取位置を示す座標値に関連付けられた前記識別情報を検索し、該検索された識別情報によって当該文字を識別することにより、当該文字列情報を前記所定のデータ形式に変換する変換処理部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項13】
前記関連情報は、前記表示される文字列情報に含まれる文字の個数を示す文字数情報を前記識別情報に関連付け、
前記変換処理部は、前記識別情報に関連付けられた文字数情報に基づいて当該文字列情報を形成する文字の個数を認識することにより、当該文字列情報を前記所定のデータ形式に変換する、
ことを特徴とする請求項12に記載の医療情報システム。
【請求項14】
前記医療装置は、患者の心拍数及び/又は血圧値を前記文字列情報として表示する前記表示部を備えた心電計である、
ことを特徴とする請求項9〜請求項13のいずれか一項に記載の医療情報システム。
【請求項15】
前記表示部により表示される医療情報は、時間経過に伴う物理量の値の変化を振幅の変化で表すグラフ情報であり、
前記読取手段は、前記表示されるグラフ情報を前記シート状の読取部で読み取って2次元画像データとして出力し、
前記情報処理手段は、前記読取手段から入力されたグラフ情報の2次元画像データを、前記物理量の値の時間変化を示すデータ列を含んだ前記所定のデータ形式に変換する、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項16】
前記情報処理手段は、
前記グラフ情報の2次元画像データの振幅方向のピクセル数と前記物理量の値とを関連付ける関連情報をあらかじめ記憶する記憶部と、
前記読取手段から前記グラフ情報の2次元画像データが入力されたときに、当該2次元画像データの複数の時間位置のそれぞれについて、当該時間位置における当該グラフ情報の振幅に対応するピクセル数を、前記関連情報を参照して前記物理量の値に変換することにより前記データ列を作成する変換処理部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項15に記載の医療情報システム。
【請求項17】
前記複数の時間位置は、少なくとも前記所定の時間間隔に対応する前記グラフ情報の2次元画像データの一部領域に含まれるようにあらかじめ設定されており、
前記読取手段は、前記表示されるグラフ情報を前記シート状の読取部により所定の時間間隔で読み取って2次元画像データとして順次に出力し、
前記変換処理部は、前記読取手段から連続して入力される第1及び第2のグラフ情報の2次元画像データのそれぞれの前記一部領域を連結するとともに、それぞれの前記一部領域について、前記複数の時間位置のそれぞれにおける前記振幅に対応するピクセル数を前記物理量の値に変換することにより前記データ列を作成する、
ことを特徴とする請求項16に記載の医療情報システム。
【請求項18】
前記医療装置は、前記物理量を検出する検出手段を備えており、
前記変換処理部は、前記物理量の値が前記検出された時刻を算出する時刻算出部を備え、当該物理量の値と当該算出された時刻とを関連付けて前記データ列を作成する、
ことを特徴とする請求項15に記載の医療情報システム。
【請求項19】
前記記憶部は、前記グラフ情報の2次元画像データに指定された時間軸方向の基準位置と、前記医療装置の前記検出手段により物理量が検出されてから前記表示部に前記グラフ情報が表示されるまでの遅延時間とをあらかじめ記憶しており、
前記時刻算出部は、当該2次元画像データの時間軸方向のピクセル間隔に対応する単位時間を算出するとともに、該算出された単位時間と、前記記憶された基準位置及び遅延時間と、当該物理量の値が得られた時間位置及び前記基準位置の間のピクセル数とに基づいて、当該物理量の値が前記検出された時刻を算出する、
ことを特徴とする請求項18に記載の医療情報システム。
【請求項20】
前記医療装置は、患者の心電図グラフを前記グラフ情報として表示する前記表示部を備えた心電計である、
ことを特徴とする請求項15〜請求項19のいずれか一項に記載の医療情報システム。
【請求項21】
前記医療部材は、患者に投与される薬剤が充填され、該充填された薬剤の液面位置を前記医療情報として呈示する透明又は半透明の側面を前記情報呈示部として有する薬剤充填部材であり、
前記読取手段の前記シート状の読取部は、前記薬剤充填部材の前記側面に貼付され、前記側面に呈示される前記薬剤の液面位置を読み取る、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療情報システム。
【請求項22】
所定の警告情報を出力する警告出力手段を更に備え、
前記情報処理手段は、前記読取手段により読み取られた前記薬剤の液面位置が所定の位置に到達したときに、前記警告出力手段を制御して前記所定の警告情報を出力させる、
ことを特徴とする請求項21に記載の医療情報システム。
【請求項23】
所定の警告情報を出力する警告出力手段を更に備え、
前記情報処理手段は、
前記薬剤の投与速度の範囲を示す閾値情報をあらかじめ記憶する記憶部と、
前記読取手段により読み取られた前記薬剤の液面位置に基づいて、前記薬剤の投与速度を算出し、該算出された投与速度が前記閾値情報に示す範囲に含まれているか否か判断する投与速度処理部とを備え、
該投与速度処理部により、前記算出された投与速度が前記範囲に含まれていないと判断されたときに、前記警告出力手段を制御して前記所定の警告情報を出力させる、
ことを特徴とする請求項21に記載の医療情報システム。
【請求項24】
医療情報を呈示する情報呈示部を有する医療装置又は医療部材の前記情報呈示部に貼付されて前記呈示された医療情報を読み取るシート状の読取部を有する読取手段と、
所定の警告情報を出力する警告出力手段と、
前記読取手段により読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換し、該所定のデータ形式に変換された医療情報に基づいて前記警告出力手段を制御して前記所定の警告情報を出力させる情報処理手段と、
を備えることを特徴とする医療情報システム。
【請求項25】
医療情報を呈示する情報呈示部を有する医療装置又は医療部材の前記情報呈示部に貼付されて前記呈示された医療情報を読み取るシート状の読取部を有する読取手段、及び、医療情報を記録する記録手段にそれぞれ接続されたコンピュータを、
前記読取手段により読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換する情報処理手段、及び、
該情報処理手段によりデータ形式が変換された医療情報を記録手段に記録させる記録制御手段として機能させる、
ことを特徴とする医療情報処理プログラム。
【請求項26】
医療情報を呈示する情報呈示部を有する医療装置又は医療部材の前記情報呈示部に貼付されて前記呈示された医療情報を読み取るシート状の読取部を有する読取手段、及び、所定の警告情報を出力する警告出力手段にそれぞれ接続されたコンピュータを、
前記読取手段により読み取られた医療情報を所定のデータ形式に変換し、該所定のデータ形式に変換された医療情報に基づいて前記警告出力手段を制御して前記所定の警告情報を出力させる情報処理手段として機能させる、
ことを特徴とする医療情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−179339(P2007−179339A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377468(P2005−377468)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】