説明

医療情報処理装置、および、プログラム

【課題】 より効果的な発症予防等を実現する。
【解決手段】
データ特定部111は、指定された疾患についての因子を特定し、データ取得部112が、特定した因子についてのデータを記憶部160から取得する。発症確率算出部113は、取得したデータを用いて発症確率を算出する。画像生成部116は、算出された発症確率を示す画面を生成し、出力制御部140を介して出力する。確率判別部114は、算出した発症確率と所定の基準発症確率とを比較する。基準発症確率より大きい場合、画像生成部116は、任意の発症確率を入力するための画面を生成して出力する。因子目標値算出部115は、入力画面から入力された任意発症確率情報に基づいて、各因子毎の目標値を算出する。画像生成部116は、算出された目標値を示す画面を生成し、出力制御部140を介して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療情報処理装置、および、プログラムに関し、特に、疾患の発症予防等に資する医療情報処理装置、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時の疫学の進展により、種々の疾患(疾病)が発症する際の因果関係などが解明されており、疾患の予防や健康増進のために活用されている。一方で、医療機関などにおける情報化が進み、健康診断の結果や患者のカルテ情報などが電子的に蓄積・管理され、各個人の健康管理等に用いられている。
【0003】
このような情報を情報処理装置によって処理することで、疾患の発症リスクをシミュレーションする手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示されている手法では、所定の発症予測関数等を用いて発症確率を算出するとともに、公的なガイドライン等が示す診断基準値や管理基準値を治療目標値として表示する。また、目標値を達成した場合の発症リスクをシミュレーションすることで、患者指導や治療効果の判定などに用いている。
【0005】
このような従来の手法では、ガイドライン等に示される値を目標値としているため、ガイドラインが確立されていない項目については、適切な目標値を示すことができない。また、ガイドラインには年齢が考慮されていない場合も多く、例えば、高齢者にとっては達成することが困難な目標値が提示されてしまうこともある。
【0006】
さらに、従来の手法は、目標値を達成した場合の発症確率を算出することはできるが、被験者や医師などが理想とする発症確率とするために必要な危険因子の目標値を知ることはできない。すなわち、例えば、「危険因子となる血圧を120mmHgにした場合の発症確率は20%」ということを知ることはできるが、「発症確率を20%とするための危険因子(血圧)の目標値」を知ることができない。
【0007】
また、従来の手法により、目標値を達成した場合の発症確率をシミュレーションする場合、単に、現在の危険因子値の代わりに達成後の値を方程式に代入して発症確率を算出しているため、危険因子同士の相関を考慮した結果を得ることができない。例えば、危険因子のBMI(Body Mass Index:体格指数)を低下させれば、これに相関して、他の危険因子である血圧やコレステロールなどの値も低下するはずであるが、単に達成後の値を用いただけでは、このような影響を反映せずに発症確率が算出されてしまう。
【0008】
すなわち、従来の手法では、シミュレーションの正確性に欠けるとともに、危険因子毎の目標値を知ることができないため、発症リスクを低減させるためにどうすればよいか具体的に知ることができなかった。したがって、疾患の発症を予防したり、健康を維持するためには実効的ではなかった。
【0009】
よって、理想とする発症確率とするために必要な危険因子毎の目標値を知ることができれば、より効果的な治療や発症予防をおこなえることが期待できる。したがって、危険因子の目標値を正確かつ容易に得ることができる手法の確立が望まれている。
【特許文献1】特開2002−24401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記実状に鑑みてなされたもので、より効果的な発症予防等に資する医療情報処理装置、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる医療情報処理装置は、
指定された疾患の発症に関する因子を示す因子情報を取得する因子情報取得手段と、
前記因子情報取得手段が取得した因子情報に基づいた、指定された被評価者が前記疾患を発症する確率を示す発症確率情報を取得する発症確率情報取得手段と、
前記被評価者が前記疾患を発症する確率の任意値を取得する任意確率取得手段と、
前記発症確率情報取得手段が取得した発症確率情報と、前記任意確率取得手段が取得した任意確率を示す情報に基づいて、前記因子情報が示す因子の目標値を算出する目標値算出手段と、
少なくとも前記目標値算出手段による算出結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
上記医療情報処理装置は、
前記発症確率情報取得手段が取得した発症確率情報が示す発症確率が所定の範囲内にあるか否かを判別する判別手段をさらに備えていることが望ましく、この場合、
前記任意確率取得手段は、前記判別手段の判別結果に応じて、任意確率情報を取得することが望ましい。
【0013】
上記医療情報処理装置において、
前記目標値算出手段は、
前記因子情報が示す因子のうち、調整可能な因子がいずれであるかを識別する識別手段をさらに備えていることが望ましく、この場合、
前記識別手段が識別した調整可能な因子についての目標値を算出することが望ましい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかるプログラムは、
コンピュータに、
指定された疾患についての因子を示す因子情報を取得する機能と、
前記因子情報に基づいて、指定された被評価者が前記疾患を発症する確率を算出し、該確率を示す発症確率情報を出力する機能と、
算出された発症確率が所定の閾値より大きいか否かを判別し、該所定の閾値より大きい場合に、前記被評価者が前記疾患を発症する確率についての任意値を示す任意確率情報を取得する機能と、
前記因子情報が示す因子のうち、調整可能な因子がいずれであるかを識別し、前記任意確率情報に基づいて、識別した因子の目標値を算出する機能と、
算出した目標値を出力する機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、発症確率の理想値などの任意の発症確率となるための目標値を因子毎に算出して出力することができる。これにより、理想とする発症確率とするために必要な具体的な情報を提示することができる。すなわち、より効果的な疾患予防や健康維持に資する情報を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明にかかる実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0017】
本実施の形態では、例えば、医療機関などで運用されるワークステーションやパーソナルコンピュータなどといった情報処理装置から構成される医療情報処理装置100によって、疾患や患者等についての種々の情報を出力する。本発明を適用した医療情報処理装置100では、特に、所定の疾患の発症確率(発症リスク)に関する情報を出力する。このような医療情報処理装置100の構成を図1を参照して説明する。図1は、医療情報処理装置100の構成を示すブロック図である。
【0018】
図示するように、本実施形態にかかる医療情報処理装置100は、制御部110、通信制御部120、入力制御部130、出力制御部140、プログラム格納部150、記憶部160、などから構成されている。
【0019】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)などから構成され、医療情報処理装置100の各部を制御するとともに、プログラム格納部150に格納されているプログラムの実行により、通信制御部120、入力制御部130、出力制御部140、記憶部160と協働して、後述する各処理を実現する。
【0020】
より詳細には、プログラム格納部150に格納されているプログラムを実行することで、制御部110は、図2に示す各構成として機能する。すなわち、制御部110は、プログラムの実行により、データ特定部111、データ取得部112、発症確率算出部113、確率判別部114、因子目標値算出部115、画像生成部116、として機能する。
【0021】
データ特定部111は、入力制御部130や通信制御部120などから入力された情報に基づいて、処理の対象とするデータを特定する。より詳細には、データ特定部111は、指定された疾患の発症確率を算出するために必要となる因子(危険因子)の特定などをおこなう。
【0022】
データ取得部112は、データ特定部111が特定したデータやユーザが入力する任意データなどを取得する。データ取得部112は、記憶部160からデータを取得する他、例えば、通信制御部120との協働により外部の装置からデータを取得したり、入力制御部130との協働により、入力装置13から入力されるデータを取得する。データ取得部112はまた、画像生成部116(詳細後述)と協働し、取得対象のデータを入力するための入力画面などを生成する。
【0023】
発症確率算出部113は、データ取得部112が取得したデータに基づいて、指定された被験者が指定された疾患を発症する確率を算出する。本実施形態では、記憶部160に記憶されている発症確率予測関数を用いて発症確率を算出する。
【0024】
確率判別部114は、発症確率算出部113が算出した発症確率と所定の閾値(以下、「基準発症確率」とする)とを比較し、算出された発症確率が基準発症確率より大きいか否かを判別する。すなわち、算出された発症確率が、基準発症確率より大きい数値範囲に属するか否かを判別する。
【0025】
因子目標値算出部115は、データ取得部112が取得した、例えば、被験者や医師などが設定する理想の発症確率である任意の発症確率に基づいて、当該任意の発症確率とするために必要な各因子の目標値を算出する。
【0026】
画像生成部116は、取得した因子情報や、算出した発症確率および因子の目標値などを示す画面や、因子情報や任意の理想発症確率などを入力するための入力画面などを作成し、出力制御部140に出力する。
【0027】
本実施形態では、制御部110がプログラムを実行することで、ソフトウェア処理により上記各構成として機能するものとするが、これらの各構成を、例えば、ASIC(Application
Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)などで構成し、ハードウェア処理により実現してもよい。
【0028】
通信制御部120は、例えば、NIC(Network Interface Card)やモデムなどといった通信装置から構成され、医療情報処理装置100と所定の通信ネットワーク10(不図示)とを接続して通信をおこなう。通信ネットワーク10は、例えば、LAN(Local Area Network:構内通信網)、もしくは、インターネットなどのWAN(Wide Area Network:広域通信網)などとすることができる。本実施形態では、通信制御部120によって、記憶部160のデータベースに蓄積するデータを、必要に応じて外部の装置から通信ネットワーク10を介して取得する。
【0029】
入力制御部130は、例えば、キーボードやポインティングデバイスなどの入力装置13を接続し、ユーザの操作に応じた入力信号を制御部110に入力する。
【0030】
出力制御部140は、例えば、ディスプレイやプリンタなどの出力装置14を接続し、制御部110の処理結果などを出力装置14に出力する。
【0031】
プログラム格納部150は、例えば、ハードディスク装置などの記憶装置から構成され、制御部110が実行するプログラムを格納する。プログラム格納部150には、制御部110を、上述したデータ特定部111、データ取得部112、発症確率算出部113、確率判別部114、因子目標値算出部115、画像生成部116、として機能させるためのプログラムや、制御部110が、通信制御部120、入力制御部130、出力制御部140、記憶部160を制御するためのプログラムなどが格納される。すなわち、制御部110がプログラム格納部150に格納されている各プログラムを実行することにより、医療情報処理装置100全体として後述する各処理が実現される。
【0032】
記憶部160は、例えば、ハードディスク装置などの記憶装置から構成され、本実施の形態にかかる各処理を実現するために必要な種々の情報が記録される。本実施の形態では、図3に示すようなデータベースが記憶部160に構成される。図示するように、記憶部160には、コホートDB161、疾患情報DB162、因子情報DB163、発症確率予測関数DB164などのデータベースが構成される。各データベースについて以下説明する。
【0033】
コホートDB161は、医療情報処理装置100により疾患の発症予測を行う際に必要となる「コホートデータ」(母集団データ)を蓄積する。ここでは、所定の医療データがコホートデータとして蓄積される。本実施形態では、医療機関などにおいて、診察や治療、あるいは、健康診断などを受けた複数の者(以下、「被験者」とする)を対象とし、これらの被験者についての医療データをコホートデータとして蓄積するものとする。「医療データ」とは、例えば、種々の疾患(疾病)に関する情報の他、被験者の身体や健康状態に関する情報などである。被験者に関する医療データには、例えば、診察や治療、あるいは、健康診断などの結果を示す情報(健診データ)の他、被験者の体質や身体的特徴を示す情報(遺伝子タイプや血液型、身長・体重など)、その他年齢や性別などの属性情報などが含まれる。
【0034】
このようなコホートデータを管理するため、コホートDB161には、図4に示すように、被験者基本データテーブル161a、臨床情報データテーブル161b、遺伝子情報データテーブル161c、発症情報データテーブル161d、などのテーブルが作成され、各種コホートデータが記録される。
【0035】
被験者基本データテーブル161aに記録される情報の例を図4(a)に示す。図示するように、被験者基本データテーブル161aには、対象となる被験者毎に一意に割り当てられている被験者IDをキーとしたレコードが作成されており、各レコードには、例えば、当該被験者についての属性情報(例えば、性別、氏名、生年月日、年齢、血液型、など)が記録されている。すなわち、被験者基本データテーブル161aには、対象となる被験者についての基本情報が記録される。
【0036】
臨床情報データテーブル161bに記録される情報の例を図4(b)に示す。図示するように、臨床情報データテーブル161bには、被験者IDをキーとしたレコードが作成されており、各レコードには、例えば、当該被験者についての健康診断データ(以下、「健診データ」とする)などが記録される。健診データは、健診日毎の健診結果(例えば、身長、体重、血圧、血糖値、コレステロール、などの計測結果)を示すものである。
【0037】
遺伝子情報データテーブル161cに記録される情報の例を図4(c)に示す。図示するように、遺伝子情報データテーブル161cには、被験者IDをキーとしたレコードが作成されており、各レコードには、当該被験者の遺伝子タイプを示す情報などが記録される。
【0038】
発症情報データテーブル161dに記録される情報の例を図4(d)に示す。図示するように、発症情報データテーブル161dには、被験者IDをキーとしたレコードが作成されており、各レコードには、当該被験者について、所定の疾患(疾病)の発症履歴を示す情報などが記録される。ここでは、少なくとも、発症予測の対象となる疾患についての発症履歴が記録されるものとする。すなわち、所定の疾患の発症日などを示す情報が、発症した被験者の被験者IDに対応付けて記録される。この発症情報データテーブル161dに記録される情報は、例えば、各被験者についてのカルテ情報などに基づいて記録される。
【0039】
疾患情報DB162には、対象となる疾患(疾病)についての情報が記録される。疾患情報DB162に記録される情報の例を図5(a)に示す。図示するように、疾患情報DB162には、対象となる疾患毎に一意に割り当てられている疾患IDをキーとしたレコードが作成されており、各レコードには、当該IDに対応する疾患名を示す情報の他、当該疾患についての発症予測をおこなう際に必要となる因子を指定する情報(因子ID)、および、当該疾患についての基準発症確率などが記録されている。ここで、「因子」とは、当該疾患の発症に影響する事項であり、疾患毎に予め指定されている。本実施形態では、コホートDB161に記録される各コホートデータ中のデータ項目から因子が指定されるものとする。また「基準発症確率」とは、被評価者について算出された発症確率の程度を判定するための閾値となる数値であり、例えば、当該疾患についての発症確率の平均値などが記録される。
【0040】
因子情報DB163には、医療情報処理装置100で発症確率の算出などに用いられる因子についての情報が記録される。因子情報DB163に記録される情報の例を図5(b)に示す。図示するように、因子情報DB163には、因子毎に一意に割り当てられている因子IDをキーとしたレコードが作成されており、各レコードには、当該因子IDに対応する因子名を示す情報の他、当該因子が調整可能な項目であるか否かを示す情報が記録される。ここで「調整可能な項目」とは、理想とする発症確率となるように調整することが可能な項目であり、例えば、投薬や治療、あるいは、生活習慣の変化(例えば、食事の量や内容を改善したり、運動を実施することなど)などといった要因等により数値等が変化し得る因子である。例えば、「体重」は、食事制限や運動などにより変化させることができるので、調整可能な因子である。一方、「年齢」や「身長」、あるいは、「既往症の有無」などは任意に変化させることができない事項であるので、調整不可な因子となる。
【0041】
発症確率予測関数DB164には、指定された疾患を発症する確率を算出するための発症確率予測関数が記録される。発症確率予測関数DB164に記録される情報の例を図5(c)に示す。図示するように、発症確率予測関数DB164には、疾患IDをキーとしたレコードが作成されており、各レコードには、当該疾患について作成された発症確率予測関数が記録される。
【0042】
記憶部160には、以上のような各種データベースが構成されるが、これらのデータベースに記録される情報は、例えば、オペレータが入力装置13を操作することで入力される他、例えば、制御部110の制御により、通信ネットワーク10に接続されている他の装置等から取得して入力されてもよい。この場合、例えば、医療機関において患者情報を管理している装置など(例えば、電子カルテシステムなど)から各種情報を取得可能であることはもとより、例えば、診察や治療に用いられる医療用装置(診断装置や計測装置など)から測定結果等を示す情報を取得するようにしてもよい。あるいは、例えば、CD−ROMなどの記録媒体に記録されている情報を取得するようにしてもよい。この場合、記憶部160には、例えば、CD−ROMドライブなどの読取装置等が含まれるものとする。
【0043】
このようにして、医療情報処理装置100は、コホートデータを随時取得し、コホートDB161に蓄積する。ここでは、例えば、種々の医療活動(診察、診断、治療、健康診断など)において発生するデータが随時入力されたり、夜間のバッチ処理などによって定期的に取得することでコホートデータが取得され、コホートDB161に蓄積される。
【0044】
また、記憶部160は、上記データベースとして用いられる他、例えば、取得した情報や処理中の演算結果などを一時的に記憶しておく記憶領域としても用いられる。なお、プログラム格納部150および記憶部160を構成する記憶装置はハードディスク装置に限られず、例えば、RAM(Random Access
Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、などを含んでいてもよい。
【0045】
以上のように構成された医療情報処理装置100の動作を以下説明する。医療情報処理装置100は、被評価者が所定の疾患を発症する確率を算出するとともに、理想とする発症確率とするために必要な因子毎の目標値を算出し改善情報として提示するための「改善情報提示処理」を実行する。この改善情報提示処理は、オペレータによる操作などにより処理開始が指示されたことを契機に開始される。
【0046】
図6に示すフローチャートを参照して改善情報提示処理における医療情報処理装置100の動作を説明する。ここでは、プログラム格納部150に格納されているプログラムを実行することにより、制御部110が、データ特定部111、データ取得部112、発症確率算出部113、確率判別部114、因子目標値算出部115、画像生成部116、として機能し、記憶部160に構成されている各データベース等との協働により処理が実行される。
【0047】
改善情報提示処理においては、対象とする疾患および被評価者を特定する情報を入力して指定する。ここでは、例えば、オペレータが入力装置13を操作することにより、対象とする疾患を特定する情報(例えば、疾患名)、および、被評価者を特定する情報(例えば、被評価者の氏名)を医療情報処理装置100に入力して指定する。この場合、改善情報提示処理の開始に応じて、画像生成部116が、これらの情報(以下、「対象指定情報」とする)を入力するための入力画面(以下、「入力画面W1」とする)を生成する。画像生成部116は、生成した入力画面W1を構成する画像データを出力制御部140に出力することで、図8に示すように、入力画面W1が出力装置14(ディスプレイ)に表示出力される。そして、表示された入力画面W1上で疾患名や被評価者氏名などの対象指定情報が入力される。
【0048】
疾患名が制御部110に入力されると、データ特定部111は、記憶部160に構成されている疾患情報DB162にアクセスし、指定された疾患名に対応するレコードを特定し、当該レコードに記録されている因子IDを特定する(ステップS101)。すなわち、データ特定部111は、対象とする疾患について、必要となる因子を特定する。データ特定部111はまた、患者基本データテーブル161aにアクセスし、入力された被評価者の氏名等に基づいて、当該被評価者の被験者IDを特定する(ステップS102)。
【0049】
データ特定部111は、特定した因子を示す因子IDと、被評価者を示す被験者IDとをデータ取得部112に通知する。データ取得部112は、コホートDB161にアクセスし、通知された被験者IDについて記録されている、因子IDに対応するデータ項目を取得する。すなわち、指定された被評価者が指定された疾患を発症する確率を算出するために必要なデータ(以下、「対象因子情報」とする)をコホートDB161から取得する(ステップS103)。
【0050】
ここでは、データ取得部112が、患者基本データテーブル161a、臨床情報データテーブル161b、遺伝子情報データテーブル161cにアクセスし、特定された被験者IDがキーとなっているレコードを各テーブル上で特定し、各レコード上に記録されているデータから、特定された因子に該当するデータを選択的に抽出することで、対象因子情報として取得する。
【0051】
対象因子情報は、各対象因子についての数値、あるいは、所定の指数や定数などで示される。すなわち、例えば、測定等によって把握される項目(例えば、体重や血圧など)については、測定値などの数値で示される。また、例えば、状況や状態などを示す項目については、所定の指数や定数などで示される。例えば、喫煙状況を示す因子として「喫煙習慣」が設定されている場合、喫煙習慣がある場合には指数「1」、ない場合には指数「0」、などのようにして示す。
【0052】
データ取得部112が対象因子情報を取得すると、画像生成部116が、取得された対象因子情報を示す表示画面(以下、「出力画面W2」とする)を生成する。画像生成部116は、生成した出力画面W2を構成する画像データを出力制御部140に出力することで、図9(a)に示すように、出力画面W2が出力装置14(ディスプレイ)に表示出力される(ステップS104)。
【0053】
図示するように、出力画面W2には、対象指定情報に対応する疾患名や被評価者名などが表示される他、取得した対象因子情報が表示領域C1に表示される。ここで、例えば、当該被評価者が受けた健康診断の内容等によっては、対象因子の一部についてのデータはコホートDB161に記録されていない場合もある。このように、コホートDB161から当該被評価者についてのすべての対象因子情報が取得できない場合、該当する因子については、例えば、テキストボックスTBやプルダウンメニューPMなどを表示領域C1に設けることにより、出力画面W2上で該当因子についてのデータを入力できるようにする。すなわち、出力画面W2は、対象因子情報を取得するための入力画面としても機能する。なお、表示領域C1に表示されているすべての項目について、テキストボックスTBやプルダウンメニューPMなどを設けることにより、コホートDB161から取得されて表示されている因子データを修正できるようにしてもよい。
【0054】
また、出力画面W2には、発症確率の算出開始を指示するためのオブジェクトであるボタンB1(「リスク算出」ボタン)が配置されている。また、所望する予測目的年を入力するための入力領域D1が配置される。本実施形態では、被評価者が何年後までに当該疾患を発症する確率を算出することとする。このため、「何年後」に当たる年数(予測目的年)を示す値を任意に入力するための入力領域D1が出力画面W2上に設けられている。
【0055】
オペレータは、表示領域C1に表示されている対象因子情報を確認し、また、必要に応じて、因子データの入力・修正、および、目的年を入力した後、入力装置13を操作してボタンB1の押下操作をおこなう。すなわち、出力画面W2上で、発症確率の算出開始を指示する。
【0056】
この場合、入力制御部130により、発症確率の算出開始が指示された旨を示す情報(以下、「算出指示情報」)が制御部110に入力される。制御部110のデータ特定部111に算出指示情報が入力されると、発症確率算出部113により、指定された疾患を被評価者が発症する確率を算出する(ステップS105)。
【0057】
発症確率算出部113は、例えば、データ取得部112を介してコホートDB161にアクセスし、被評価者以外の被験者について、特定された因子に対応するデータを取得するとともに、発症確率予測関数DB164にアクセスし、指定された疾患の発症確率を算出するための発症確率予測関数を取得する。そして、例えば、取得した因子データの因子毎の平均値を算出するなどして因子毎の特徴量を求め、求めた特徴量を取得した発症予測関数に適用することで、指定された疾患についての発症確率を算出する。
【0058】
ここで用いられる発症確率予測関数は、例えば、指定された疾患を発症したことのある被験者についての対象因子データ、および、当該疾患を発症したことの無い被験者についての対象因子データなどを、所定の生存時間解析手法(例えば、cox比例ハザード分析法やロジスティック分析法、あるいは、加速モデルなど)によって解析することで導出される。本実施形態では、例えば、因子毎の値の重み付け和と予測目的年とで定まる発症確率予測関数を用いるものとする。このような発症確率予測関数の例を数1に示す。数1において、「xi」はi番目の因子の値を示し、「βi」はその因子についての重み付け係数(定数)を示す。また、「y」は予測目的年を示し、出力画面W2の入力領域D1で入力された値が代入される。
【0059】
【数1】

【0060】
発症確率算出部113は、被評価者について取得された対象因子情報に示される数値や指数等、および、入力された目的年を示す数値などを、取得した発症確率予測関数(数1)に代入して演算することで、被評価者がy年後に当該疾患を発症する確率を算出する。
【0061】
発症確率算出部113が発症確率を算出すると、画像生成部116は、算出結果を発症確率を示す情報として取得し、発症確率を提示するための表示画面(以下、「出力画面W3」とする)を生成する。画像生成部116は、生成した出力画面W3を構成する画像データを出力制御部140に出力することで、図9(b)に示すように、出力画面W3が出力装置14(ディスプレイ)に表示出力される(ステップS106)。
【0062】
図示するように、出力画面W3には、発症確率算出部113が算出した発症確率を示す情報が表示領域C2に表示される。これにより、被評価者が当該疾患を発症する確率が提示される。本実施形態では、予測目的年を任意に指定しているため、表示領域C2には、指定された予測目的年までの発症確率として表示される。
【0063】
発症確率算出部113が算出した発症確率が出力されると、確率判別部114により、算出された発症確率が当該疾患について設定されている基準発症確率よりも大きいか否かが判別される(ステップS107)。すなわち、確率判別部114は、各疾患毎に閾値として設定されている基準発症確率の値と、発症確率算出部113が算出した発症確率とを比較し、算出された発症確率が、基準発症確率に基づいて規定される数値範囲のいずれに属するかが判別される。
【0064】
この場合、確率判別部114は、データ取得部112を介して疾患情報DB162にアクセスし、指定されている疾患に対応するレコードを特定する。そして、当該レコードに記録されている基準発症確率を示す値を取得し、ステップS105で発症確率算出部113が算出した発症確率と比較する。
【0065】
ここで、算出された発症確率が基準発症確率より大きい、すなわち、算出された発症確率が基準発症確率より大きい数値範囲内であると判別された場合(ステップS107:Yes)、確率判別部114はその旨を画像生成部116に通知する。画像生成部116は、確率判別部114の通知に応じて、理想とする任意の発症確率(以下、「任意発症確率」とする)を入力するための入力画面(以下、「入力画面W4」とする)を生成する。画像生成部116は、生成した入力画面W4を構成する画像データを出力制御部140に出力することで、図10(a)に示すように、入力画面W4が出力装置14(ディスプレイ)に表示出力される(ステップS108)。
【0066】
図示するように、入力画面W4は、出力画面W3に、任意発症確率を入力するための入力領域D2が付加されたものである。入力領域D2は、例えば、図示するようなスライダーSLやテキストボックスTBなどから構成され、被評価者もしくは医師等が所望する任意の理想発症確率が入力される。すなわち、スライダーSLを移動させたり、テキストボックスTBに数値を入力することで、任意発症確率が入力される。この場合、スライダーSLの位置とテキストボックスTB内の数値とを連動させてもよい。また、所定のデフォルト値を設定し、スライダーSLの位置やテキストボックスTB内の数値をデフォルト値として表示するようにしてもよい。デフォルト値として、例えば、算出された被評価者の発症確率や、当該疾患についての基準発症確率、などとすることができる。
【0067】
オペレータが入力装置13を操作することにより、被評価者や医師等が所望する任意発症確率(例えば、当該被評価者にとっての理想値)が、入力画面W4の入力領域D2から入力される。例えば、入力画面W4には、スライダーSLやテキストボックスTBに設定した数値を確定入力するためのオブジェクトであるボタンB2(「確定」ボタン)が配置されており、オペレータの操作によりボタンB2を押下することで、設定した任意発症確率を示す情報(以下、「任意発症確率情報」とする)が確定される。入力制御部130は、確定された任意発症確率情報を制御部110に入力する(ステップS109)。
【0068】
データ特定部111に任意発症確率情報が入力されると、制御部110の因子目標値算出部115により、任意発症確率情報に基づいた因子毎の目標値を算出するための「目標値算出処理」が実行される(ステップS200)。ここでは、対象としている疾患の発症確率を、入力された任意発症確率とするための、各因子毎の目標値を算出する。目標値算出処理を図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0069】
処理が開始されると、因子目標値算出部115は、データ取得部112を介して因子情報DB163にアクセスし、ステップS101で特定した因子のうち、調整可能な因子を特定し、調整可能な因子の数(因子数p)を計数する(ステップS201)。
【0070】
次に因子目標値算出部115は、データ取得部112を介して発症情報データテーブル161dにアクセスし、所定の時点(tj)までに、対象としている疾患を発症した者(以下、「発症者」とする)と、発症していない者(以下、「非発症者」とする)を特定する(ステップS202)。所定時点tjは、例えば、現時点とする。
【0071】
因子目標値算出部115は、数1に示す発症確率予測関数に、ステップS109で入力された任意発症確率を代入し、各因子の値x(x1, x2,…,xn)を求める(ステップS203)。
【0072】
このように求められた各数値等を用いて、因子目標値算出部115は、被評価者に応じた各因子の目標値^x(^x1, ^x2,…,^xn)を算出する(ステップS204)。ここでは、例えば、ニュートン法(Newton-Raphson法)などといった最尤推定法などを用いて目標値を算出する。この場合、因子目標値算出部115は、ステップS201で特定した調整可能な因子についての目標値を算出することとし、調整不可の因子については、例えば、被評価者の現在の値(年齢や身長など)を定数として扱うものとする。以下、ニュートン法を用いて目標値を算出する場合を説明する。
【0073】
因子目標値算出部115は、数2を演算することにより、k番目の因子の目標値^x(k)を算出する。
【0074】
【数2】

【0075】
数2において、「I(x)」はフィッシャー情報量を示し、「U(x)」は探索ベクトルを示す。フィッシャー情報量I(x)は、例えば、数3で示すように定義され、探索ベクトルU(x)は、例えば、数4で示すように定義される。
【0076】
【数3】

【0077】
【数4】

【0078】
数3、数4における「l(x)」は尤度関数であり、例えば、数5に示すように定義
される。
【0079】
【数5】

【0080】
また、数5における「PL(x)」は、例えば、数6に示すように定義される。数6において、「S」は「1−任意発症確率」を示し、「S0」は「1−基準発症確率」を示す。「β」は各因子毎の重み付け係数(β=(β12,…,βp)t)を示す。「dj」は、ステップS202で特定した発症者の数を示し、「R(tj)」は、ステップS202で特定した非発症者の集合を示す。
【0081】
【数6】

【0082】
因子目標値算出部115は、上記各定義に基づいて数2を演算することで、各因子の目標値^x(k)を算出する。この場合、因子目標値算出部115は、まず、kを初期値0として演算を開始する。この場合の^x(0)を数7に示す。すなわち、各因子の値を0とする。
【0083】
【数7】

【0084】
因子目標値算出部115は、kを+1しながら数2を演算することで、各調整可能因子の目標値を算出する。この場合、数8に示す条件となるまで演算をおこなう。
【0085】
【数8】

【0086】
数8に示す条件となると、因子目標値算出部115は演算を終了する。そして、各因子の目標値^x(k)を取得して(ステップS205)、図6に示す改善情報提示処理のフローに戻る。
【0087】
因子目標値算出部115が目標値を算出すると、画像生成部116は、算出された目標値を提示するための表示画面(以下、「出力画面W5」とする)を生成する。画像生成部116は、生成した出力画面W5を構成する画像データを出力制御部140に出力することで、図10(b)に示すように、出力画面W5が出力装置14(ディスプレイ)に表示出力し(ステップS110)、処理を終了する。
【0088】
図示するように、出力画面W5には、因子目標値算出部115が算出した因子毎の目標値を示す情報が表示領域C3に表示される。これにより、所望する任意発症確率とするための目標値が提示される。
【0089】
上記の各出力画面として出力される情報は、ディスプレイなどの表示装置によって表示出力できる他、例えば、プリンタなどの印刷装置によって帳票に印字出力してもよい。また、所定の記憶装置(記憶部160など)や記憶媒体などに算出結果を出力することで、発症確率情報や目標値情報などを電子的に記録するようにしてもよい。あるいは、算出結果を通信制御部120に出力することで、これらの情報を通信ネットワーク10を介して他の装置等に送信(出力)するようにしてもよい。
【0090】
なお、ステップS107で、算出された発症確率が基準発症確率より大きくないと判別された場合(ステップS107:No)には、そのまま処理を終了する。すなわち、算出された発症確率を表示出力した時点で終了する。これは、算出された発症確率が問題ない値であるためである。
【0091】
以上説明したように、上記実施の形態によれば、算出した発症確率に基づいて、任意の発症確率とするための各因子毎の目標値を算出して提示することができる。このように、理想とする発症確率にするために必要な数値が具体化されるので、被評価者や医師は、疾患の発症予防や健康維持のための実効的な情報を得ることができる。
【0092】
上記実施の形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0093】
例えば、上記実施の形態では、予め作成されている発症確率予測関数を用いて発症確率の算出をおこなったが、これに限られず、例えば、対象とする疾患の指定に応じて、発症確率予測関数を生成して発症確率を算出するようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態では、指定された疾患についての発症確率を発症確率算出部113が算出したが、疾患毎に予め用意されている発症確率情報を取得するようにしてもよい。この場合、例えば、疾患毎の発症確率情報を記憶部160に蓄積しておき、記憶部160から発症確率情報を取得するようにしてもよい。あるいは、予め用意されている発症確率情報を、例えば、通信制御部120を介して外部装置等から取得するようにしてもよい。
【0095】
上記実施の形態では、任意発症確率を被評価者や医師などが入力するものとしたが、例えば、医療情報処理装置100が理想的な発症確率を提示するようにしてもよい。この場合、例えば、予め設定されている基準発症確率を理想値として提示することができる。あるいは、算出された発症確率と基準発症確率との差分などに基づいて、現実的に達成可能な理想値を算出して提示するようにしてもよい。この場合、例えば、短期的、中期的、長期的などといった所定のタイムスパン毎に理想値を算出して提示するようにしてもよい。あるいは、例えば、年齢や性別などに応じて設定された理想値を予め記憶部160や外部装置などに蓄積しておき、被評価者の属性に応じた理想値を選択的に取得して提示するようにしてもよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、被評価者についてのデータを、コホートデータから取得するものとしたが、対象項目についてのデータ(数値)をその都度入力するようにしてもよい。このような構成によれば、例えば、診察や健康診断等を受診していない者についての発症予測や目標値の算出をおこなうことができる。
【0097】
このような構成とした場合、例えば、インターネットなどの通信ネットワークを介したウェブサービスなどによって、任意の被評価者について疾患の発症予測や目標値を提供するサービスを実現することもできる。この場合、上記実施の形態にかかる医療情報処理装置100と同様の構成を有するウェブサーバを構成する。
【0098】
被評価者は、例えば、パーソナルコンピュータなど端末装置を用い、インターネットなどの通信ネットワークを介して上記ウェブサーバが提供するウェブサイトにアクセスする。ウェブサーバは、アクセスに応じて、対象とする疾患を指定する情報を入力するためのウェブページをアクセス元の端末装置に送信する。端末装置から疾患を指定する情報がウェブサーバに送信されると、ウェブサーバは、当該疾患についての対象項目を抽出し、各項目のデータを入力するためのウェブページをアクセス元の端末装置に送信する。端末装置から各対象項目のデータがウェブサーバに送信されると、ウェブサーバは、上記「改善情報提示処理」と同様の処理をおこなうことで、当該被評価者の発症確率を算出し、算出結果を示すウェブページをアクセス元の端末装置に送信する。さらに、任意発症確率を示す情報を端末装置から受信し、受信した任意発症確率情報に基づいて、因子毎の目標値を算出してアクセス元の端末装置に送信する。
【0099】
このような構成によれば、例えば、被評価者の自宅などといった、医療機関などとは異なる場所からでも、任意の疾患についての発症確率や目標値を知ることができ、容易に自己の健康管理等に利用することができる。
【0100】
また、上記実施の形態では、算出した発症確率と基準発症確率とを比較し、基準発症確率よりも大きな値となった場合に因子毎の目標値を算出したが、任意に目標値の算出をおこなえるようにしてもよい。この場合、例えば、ステップS107における判別処理をおこなわないようにしてもよい。
【0101】
また、上記実施の形態では、生存時間解析方法を用いて発症確率を算出し、ニュートン法などの最尤推定法を用いて目標値を算出したが、これらの算出に用いる方法はこれらに限られず任意である。
【0102】
上記実施の形態にかかる医療情報処理装置100は、専用装置から構成可能であることはもとより、汎用のコンピュータ装置などを用いて構成することもできる。すなわち、このような汎用装置に上述したプログラムをインストールして実行させることで、上記実施の形態にかかる医療情報処理装置100として機能させることができる。
【0103】
このようなプログラムの提供方法は任意であり、例えば、CD−ROMなどの記憶媒体に格納して配布可能であることはもとより、プログラムデータを搬送波に重畳することで、所定の通信媒体(例えば、インターネットなど)を介して配布することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施の形態にかかる医療情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す制御部が実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示す記憶部に構成されるデータベースの例を示す図である。
【図4】図3に示すコホートDBに蓄積される情報の例を示す図であり、(a)は患者基本データテーブルに記録される情報の例を示し、(b)は臨床情報データテーブルに記録される情報の例を示し、(c)は遺伝子情報データテーブルに記録される情報の例を示し、(d)は発症情報データテーブルに記録される情報の例を示す。
【図5】図3に示すデータベースに蓄積される情報の例を示す図であり、(a)は疾患情報DBに記録される情報の例を示し、(b)は因子情報DBに記録される情報の例を示し、(c)は発症確率予測関数DBに記録される情報の例を示す。
【図6】本発明の実施の形態にかかる「改善情報提示処理」を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6に示す改善情報提示処理で実行される「目標値算出処理」を説明するためのフローチャートである。
【図8】図6に示す改善情報提示処理において出力される入力画面の表示例を示す図である。
【図9】図6に示す改善情報提示処理において出力される画面の表示例を示す図であり、(a)は予測目的年等を入力するための入力画面の表示例を示し、(b)は算出された発症確率を表示するための出力画面の表示例を示す。
【図10】図6に示す改善情報提示処理において出力される画面の表示例を示す図であり、(a)は任意発症確率を入力するための入力画面の表示例を示し、(b)は算出された目標値を表示するための出力画面の表示例を示す。
【符号の説明】
【0105】
100 医療情報処理装置
111 データ特定部
112 データ取得部
113 発症確率算出部
114 確率判別部
115 因子目標値算出部
116 画像生成部
161 コホートDB
162 疾患情報DB
163 因子情報DB
164 発症確率予測関数DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された疾患の発症に関する因子を示す因子情報を取得する因子情報取得手段と、
前記因子情報取得手段が取得した因子情報に基づいた、指定された被評価者が前記疾患を発症する確率を示す発症確率情報を取得する発症確率情報取得手段と、
前記被評価者が前記疾患を発症する確率の任意値を取得する任意確率取得手段と、
前記発症確率情報取得手段が取得した発症確率情報と、前記任意確率取得手段が取得した任意確率を示す情報に基づいて、前記因子情報が示す因子の目標値を算出する目標値算出手段と、
少なくとも前記目標値算出手段による算出結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする医療情報処理装置。
【請求項2】
前記発症確率情報取得手段が取得した発症確率情報が示す発症確率が所定の範囲内にあるか否かを判別する判別手段をさらに備え、
前記任意確率取得手段は、前記判別手段の判別結果に応じて、任意確率情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項3】
前記目標値算出手段は、
前記因子情報が示す因子のうち、調整可能な因子がいずれであるかを識別する識別手段をさらに備え、
前記識別手段が識別した調整可能な因子についての目標値を算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の医療情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータに、
指定された疾患についての因子を示す因子情報を取得する機能と、
前記因子情報に基づいて、指定された被評価者が前記疾患を発症する確率を算出し、該確率を示す発症確率情報を出力する機能と、
算出された発症確率が所定の閾値より大きいか否かを判別し、該所定の閾値より大きい場合に、前記被評価者が前記疾患を発症する確率についての任意値を示す任意確率情報を取得する機能と、
前記因子情報が示す因子のうち、調整可能な因子がいずれであるかを識別し、前記任意確率情報に基づいて、識別した因子の目標値を算出する機能と、
算出した目標値を出力する機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−163932(P2006−163932A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355627(P2004−355627)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)