説明

医療情報処理装置及びプログラム

【課題】複数種別の医療情報を処理可能なプログラムを搭載する医療情報処理装置に、当該装置の用途に応じた種別の医療情報を選択的に処理させる。
【解決手段】医療情報処理装置1は呈示プログラム31と認証情報32を記憶している。認証情報32は、装置IDと、当該装置による呈示が許諾されている種別を表す許諾種別情報を含む。情報種別特定部61は記録メディア200に記録された医療情報の種別を特定する。装置ID取得部62はネットワークボード5から装置IDを取得する。ライセンス判断部63は、特定された種別と、取得された装置IDと、認証情報32とに基づいて、医療情報処理装置1による当該種別の医療情報の呈示が許諾されているか判断する。制御部2は、呈示が許諾されていると判断された場合にのみ、記録メディア200に記録されている医療情報を表示部71に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療分野に関わる情報を処理する医療情報処理装置、及び、これを制御するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、医用画像やカルテ情報や医事会計情報等の各種医療情報のデジタル化が進行している。それに伴い、デジタルデータの保管や利用に関わる技術の普及や進歩にもめざましいものがある。
【0003】
このようなデジタルデータを取り扱うコンピュータ(医療情報処理装置)には、専用のソフトウェアがインストールされる。たとえば、医用画像のデジタルデータは、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)等の規格に準拠したデータ形式を有することから、医用画像のデジタルデータを処理するコンピュータには、当該規格に準拠したソフトウェアがインストールされる。
【0004】
ところで近年、ソフトウェアのライセンス管理技術が注目を集めている(たとえば特許文献1、2を参照)。ユーザは、ソフトウェアをインストールする際に、このソフトウェアに付された固有のライセンス情報(文字列情報等)を入力する。それにより、当該コンピュータによる当該ソフトウェアの使用が許諾される。このようなライセンス認証を行うことにより、一つのソフトウェアを複数のコンピュータに不正にインストールしたり、ソフトウェアを違法にコピーしたりといった不正利用の防止を図っている。
【0005】
従来、ソフトウェアのライセンス管理は、インターネット上に設けられたサーバにより行われていた。このサーバは、インターネットを介してユーザ側のコンピュータと通信することにより、ライセンス情報の発行や認証を行っていた。
【0006】
【特許文献1】特開2007−65985号公報
【特許文献2】特開2007−79874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、病院等の医療機関で使用されるコンピュータには、インターネットにアクセスできないものが多々ある。これは、個人情報等の機密性の高いデータの漏洩を防止したり、医療機器に対する外部からの不正アクセスを防止したりする必要があるからである。このような事情により、従来のインターネットを利用したライセンス管理を医療分野に適用することは困難である。
【0008】
なお、医療機関内のローカル回線上にライセンス管理用のサーバを設けることも考えられる。しかし、不正利用防止のための費用を医療機関側に負担させるのは酷であるし、また、サービス提供側が各医療機関にサーバを設置するのは、手間や費用を考慮すると割に合わない。
【0009】
また、医療機関においては、各コンピュータの用途が決まっているのが一般的である。たとえば、日常の診療作業で医師が使用するコンピュータ、医用画像を閲覧するためのコンピュータ、医事会計を行うためのコンピュータ、医療装置のコンソールとして使用されるコンピュータなどが個別に設置されている。更に細分化すると、たとえば、医用画像を閲覧するためのコンピュータであっても、診療科や医師によって閲覧対象のモダリティ(画像診断手法)が異なる場合もある。
【0010】
このような場合、複数種別の医療情報を処理可能にするプログラムをコンピュータにインストールし、当該コンピュータの用途、すなわち処理対象の医療情報の種別に応じたプログラムのみを選択的に実行可能とすることが望ましい。その理由としては、たとえば、他の種別の医療情報を処理するためのプログラムを追加インストールする手間を省けること、また、処理対象の医療情報を変更する場合に新たなプログラムをインストールする手間を省けることがある。
【0011】
しかし、インターネットに依存した従来のライセンス認証技術では、複数種別の医療情報を処理可能にするプログラムを搭載したコンピュータに、その用途に応じた処理のみを選択的に実行させることは困難であった。
【0012】
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数種別の医療情報を処理可能なプログラムを搭載する医療情報処理装置に、当該装置の用途に応じた種別の医療情報のみを選択的に処理させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、呈示手段と、複数の種別の医療情報を前記呈示手段に呈示させることが可能な呈示プログラムを記憶する記憶手段とを有する医療情報処理装置であって、前記記憶手段は、当該装置の識別情報と、前記複数の種別のうち当該装置による呈示が許諾されている種別を表す許諾種別情報とを含む認証情報を記憶し、記録媒体に記録された医療情報を読み取る読取手段と、前記記録媒体に記録された医療情報の種別を特定する特定手段と、前記認証情報以外の当該装置を構成する要素から識別情報を取得する取得手段と、前記特定された種別と前記取得された識別情報と前記記憶された認証情報とに基づいて、当該装置による該種別の医療情報の呈示が許諾されているか判断する判断手段と、前記判断手段により許諾されていると判断された場合にのみ、前記呈示プログラムを実行して、前記読取手段により前記記録媒体から読み取られた医療情報を前記呈示手段に呈示させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、呈示手段と、複数の種別の医療情報を前記呈示手段に呈示させることが可能な呈示プログラムと、当該コンピュータの識別情報と前記複数の種別のうち当該コンピュータによる呈示が許諾されている種別を表す許諾種別情報とを含む認証情報とを記憶する記憶手段と、記録媒体に記録された医療情報を読み取る読取手段と、を有するコンピュータを、前記記録媒体に記録された医療情報の種別を特定する特定手段、前記認証情報以外の当該コンピュータを構成する要素から識別情報を取得する取得手段、前記特定された種別と前記取得された識別情報と前記記憶された認証情報とに基づいて、当該コンピュータによる該種別の医療情報の呈示が許諾されているか判断する判断手段、及び、前記判断手段により許諾されていると判断された場合にのみ、前記呈示プログラムを実行して、前記読取手段により前記記録媒体から読み取られた医療情報を前記呈示手段に呈示させる制御手段として機能させる、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る医療情報処理装置は、記録媒体に記録された医療情報の種別の特定結果と、当該装置を構成する認証情報以外の要素から識別情報から取得された識別情報と、記憶手段に記憶された認証情報とに基づいて、特定された種別の医療情報の当該装置による呈示が許諾されているか判断し、許諾されていると判断された場合にのみ、この医療情報を呈示するように作用する。
【0016】
したがって、複数種別の医療情報を処理可能なプログラムを搭載する医療情報処理装置に、当該装置の用途に応じた種別の医療情報のみを選択的に処理させることが可能である。
【0017】
この発明に係るプログラムにより制御されるコンピュータ(医療情報処理装置)は、記録媒体に記録された医療情報の種別の特定結果と、当該コンピュータを構成する認証情報以外の要素から識別情報から取得された識別情報と、記憶手段に記憶された認証情報とに基づいて、特定された種別の医療情報の当該コンピュータによる呈示が許諾されているか判断し、許諾されていると判断された場合にのみ、この医療情報を呈示するように作用する。
【0018】
したがって、この発明に係るプログラムによれば、複数種別の医療情報を処理可能なプログラムを搭載するコンピュータに、当該コンピュータの用途に応じた種別の医療情報のみを選択的に処理させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明に係る医療情報処理装置及びプログラムの実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
[構成]
まず、この実施形態に係る医療情報処理装置の構成について説明する。この医療情報処理装置は、複数の種別の医療情報を呈示することが可能なプログラム(呈示プログラム)を搭載している。この医療情報処理装置は、これら複数の種別のうち当該医療情報処理装置の用途に応じた種別の医療情報のみを呈示するように制御される。
【0021】
呈示プログラムは、各種別の医療情報を呈示するための個別のプログラムを含むものであってもよい。たとえば、呈示プログラムは、各モダリティの画像データを処理する個別のプログラムを集合してなるプログラムであってもよい。
【0022】
また、呈示プログラムは、このような個別のプログラムの一部が共通であってもよい。たとえば、呈示プログラムは、各モダリティの画像データの変換処理を個別のプログラムで実行し、変換後の画像データに基づく表示処理を共通のプログラムで実行するように構成されたプログラムであってもよい。
【0023】
また、呈示プログラムは、各種別の医療情報を呈示するための個別のコンポーネントを含むものであってもよい。たとえば、呈示プログラムは、各モダリティの画像データを処理するコンポーネントを一体化してなるプログラムであってもよい。
【0024】
一般に、呈示プログラムは、複数の種別の医療情報を呈示することを可能にするプログラムであれば十分であり、その構成形態は問わない。なお、呈示プログラムのインストール処理や、新たに呈示プログラムを追加する処理については後述する。
【0025】
図1のブロック図は、この実施形態に係る医療情報処理装置の構成例を表す。医療情報処理装置1は、医療情報を処理するコンピュータを含んで構成される。このコンピュータは、一般的なコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ディスプレイ、キーボード、マウスなどを含んで構成される。
【0026】
医用画像診断装置100A、100B、100Cは、それぞれ、医用画像を記録メディア200A、200B、200Cに記録する。このとき、医用画像とともに、DICOMの付帯情報などを記録メディア200A〜200Cに記録することも可能である。医療情報処理装置1は、記録メディア200A〜200Cに記録された医用画像や付帯情報などを読み取る機能を有している(後述のドライブ装置4を参照)。
【0027】
記録メディア200A〜200Cの種類は任意である。たとえば、光磁気ディスク(magneto−optical Disk)、DVD−RAM、DVD−R、CD−R、CD−RW、Zip、USBメモリ等の任意のリムーバブルストレージを記録メディア200A〜200Cとして使用することが可能である。また、これら記録メディア200A〜200Cは、全て同種のものである必要はない。各記録メディア200A〜200Cは、この発明の「記録媒体」の一例である。
【0028】
各医用画像診断装置100A〜100Cは、各種モダリティ(画像診断手法)を適用して医用画像を取得する。モダリティとしては、たとえば、X線撮影、X線CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、核医学、超音波、二次取得などがある。
【0029】
X線撮影は、いわゆるX線診断装置により被検体を透視撮影する手法である。X線CTは、いわゆるX線CT装置により被検体の断層画像を取得する手法である。MRIは、いわゆる磁気共鳴イメージング装置により被検体の画像を取得する手法である。核医学は、いわゆる核医学診断装置によって被検体内の状態を把握する手法である。超音波は、いわゆる超音波診断装置によって被検体内の状態を把握する手法である。二次取得は、たとえばデジタイザによりX線フィルムを読み取ってデジタルデータに変換する手法のように、既に得られている医用画像のデータに基づいて新たなデータを取得する手法である。
【0030】
モダリティの種別を更に細分化する場合もある。たとえば、X線撮影は、X線血管造影(X−ray Angiography:XA)、X線蛍光撮影(Radiographic Fluoroscopy:RF)、コンピュータラジオグラフィ(Computed Radiography:CR)、ディジタルラジオグラフィ(Digital Radiography:DR)などに細分化される。また、核医学は、PET(Positron Emission Computed Tomography)や、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)などに細分化される。
【0031】
上記以外の種別の医用画像を参照する場合もある。たとえば、このような医用画像の例としては、内視鏡を用いて得られる画像や、眼底撮影により得られる画像などがある。
【0032】
なお、この実施形態では医用画像を処理する場合の例について説明するが、医用画像以外の医療情報を処理する場合についても同様の構成を適用することが可能である。そのような医療情報としては、電子カルテ情報、検体情報、波形情報、医事会計情報などがある。
【0033】
電子カルテ情報は、いわゆる電子カルテに記録される情報である。電子カルテ情報の種別は、たとえば、各診療科毎に分類されていてもよいし、情報の種類(患者情報、所見情報、検査情報、投薬情報等)毎に分類されていてもよい。検体情報は、生体からの排出物や採取物を検査する検体検査により得られる情報である。検体情報の種別は、たとえば、各診療科毎に分類されていてもよいし、検査対象物の種類毎に分類されていてもよいし、検査内容の種類毎に分類されていてもよい。波形情報は、たとえば心電図や脳波図のように、生体の機能状態を表す波形を含む情報である。波形情報の種別は、たとえば、各診療科毎に分類されていてもよいし、検査対象の機能の種類毎に分類されていてもよい。医事会計情報は、診療報酬等の会計情報である。医事会計情報の種別は、たとえば、各診療科毎に分類されていてもよいし、年度毎に分類されていてもよい。
【0034】
さて、図1に示す医療情報処理装置1は、制御部2、記憶部3、ドライブ装置4、ネットワークボード5、ライセンス処理部6及びユーザインターフェイス(UI)7を含んで構成される。
【0035】
〔制御部〕
制御部2は、医療情報処理装置1の各部を制御する。特に、制御部2は、呈示プログラム31を実行することにより医用画像を呈示するための制御を行う。制御部2は、この発明の「制御手段」の一例である。制御部2は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。
【0036】
なお、ハードディスクドライブには、この実施形態に係る処理を医療情報処理装置1に実行させるための制御プログラムが格納されている。マイクロプロセッサは、この制御プログラムをRAMに展開することにより、この実施形態に係る処理を医療情報処理装置1(制御部2、ライセンス処理部6等)に実行させる。
【0037】
〔記憶部〕
記憶部3は、各種の情報を記憶する。特に、記憶部3には、呈示プログラム31と認証情報32が記憶される。記憶部3は、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。呈示プログラム31は、前述のように、複数の種別の医療情報を呈示することが可能なプログラムである。
【0038】
(認証情報)
認証情報32は、呈示プログラム31のライセンス認証に用いられる。このライセンス認証は、ライセンス処理部6により実行される(後述)。認証情報32は、装置IDと許諾種別情報とを含む。
【0039】
装置IDは、医療情報処理装置1に付与された固有情報である。この実施形態では、ネットワークボード5に付与された固有情報を装置IDとして用いる。たとえばネットワークボード5がEthernet(登録商標)カードである場合には、そのMACアドレス(Media Access Control address)を装置IDとして用いることができる。
【0040】
なお、装置IDはこれに限定されるものではない。たとえば、医療情報処理装置1に属する任意のハードウェアやソフトウェアに予め付与された固有情報を装置IDとして用いることが可能である。ハードウェアの固有情報の例としては、医療情報処理装置1(上記コンピュータ)自体に付与された固有情報(シリアルナンバー等)や、ドライブ装置4に付与された固有情報などがある。また、ソフトウェアの固有情報の例としては、上記制御プログラムに付与された固有情報などがある。このようなハードウェアやソフトウェアは、この発明の「医療情報処理装置を構成する要素」の一例である。なお、この「要素」は、認証情報32以外であれば十分である。
【0041】
なお、装置IDの「固有」性は、世界で唯一であることが望ましいが、所定地域内で唯一な程度であってもよい。たとえば、当該医療機関内において固有の装置IDを用いることもできるし、当該国内において固有の装置IDを用いることもできる。
【0042】
許諾種別情報は、医療情報処理装置1による処理が許諾された医療情報の種別を表す情報である。この実施形態の許諾種別情報は、呈示プログラム31によって呈示可能なモダリティ種別のうち、医療情報処理装置1による呈示が許諾されたモダリティ種別を表す。
【0043】
装置IDや許諾種別情報は、それが表す情報と同一である必要はない。たとえば、ネットワークボード5のMACアドレスを暗号化して得られる情報を装置IDとして用いることが可能である(MACアドレスと暗号化後の情報は同一ではない)。また、モダリティ種別を所定の文字列で表現する場合には、当該文字列情報を用いて許諾種別情報を生成することが可能である(下記の具体例を参照)。一般に、装置IDは、医療情報処理装置1に対して割り当てられた任意の形態の情報であってよい。また、許諾種別情報は、医療情報処理装置1により処理可能な医療情報の種別を表現する任意の情報であってよい。
【0044】
認証情報32及びその生成処理の一例を説明する。認証情報32は、たとえば、医療情報処理装置1のメーカやサービス提供会社で生成される。生成された認証情報32は、所定の経路でユーザ(医療機関)に伝達される。認証情報32の伝達手法としては、たとえば、認証情報32をインターネットやファクシミリ等の通信技術を用いる手法がある。また、ユーザ側で呈示プログラム31をインストールする場合などには、呈示プログラム31を記録した記録メディア(DVD等)に認証情報32を添付する手法を採用できる。また、呈示プログラム31が格納された医療情報処理装置1をユーザに納品する場合などには、医療情報処理装置1に認証情報32を添付する手法を採用できる。また、認証情報32が記載された紙葉類を封筒等に格納して郵送することも可能である。なお、ユーザに対する認証情報32の伝達手法は、これらに限定されるものではない。
【0045】
認証情報32は、たとえば次のようにして生成される。なお、認証情報32は、各医療情報処理装置毎に生成される。ここで、当該医療情報処理装置1の装置IDを「1234567890」とする。また、呈示プログラム31により呈示可能なモダリティ種別を「X−ray」(X線撮影)、「CT」(X線CT)、「MR」(MRI)、「US」(超音波)、「PET」、「SPECT」、及び「SC」(二次取得)とする。更に、当該医療情報処理装置1による呈示が認められるモダリティ種別を「X−ray」及び「MR」とする。
【0046】
まず、暗号技術を用いて装置IDを暗号化する。ここで使用される暗号技術は任意である。この暗号化処理は、たとえば認証情報生成用のコンピュータによって実行される。なお、元の装置IDをそのまま使用してもよい。また、暗号化以外の情報処理によって認証情報に用いられる文字列を生成してもよい。
【0047】
次に、当該医療情報処理装置1による呈示が許諾されるモダリティ種別を表す情報(許諾種別情報)を指定する。この指定動作は、たとえば、認証情報生成用のコンピュータのユーザインターフェイスを用いて行うことができる。
【0048】
認証情報生成用のコンピュータは、装置IDの文字列と許諾種別情報とに基づいて、当該医療情報処理装置1の認証情報32を生成する。この処理は、たとえば、装置IDの文字列と許諾種別情報とを羅列して認証情報32を生成することにより行うことができる。また、装置IDの文字列と許諾種別情報とを任意に組み合わせて認証情報32を生成することも可能である。生成された認証情報32は、前述の所定の経路でユーザに伝達される。
【0049】
認証情報32の具体例を説明する。まず、認証情報生成用のコンピュータに装置ID「1234567890」(ネットワークボード5のMACアドレス)を入力する。当該コンピュータは、この装置IDを暗号化して文字列「abcdefg」を得る。
【0050】
次に、当該コンピュータは、モダリティ種別の選択肢を表示する。選択肢は、前述のように、「X−ray」、「CT」、「MR」、「US」、「PET」、「SPECT」、「SC」である。これら選択肢は、たとえばチェックボックスとともに表示される。オペレータは、当該医療情報処理装置1による呈示が許諾されるモダリティ種別のチェックボックスにチェックを入力する。この入力操作は、たとえば目的のチェックボックスをマウスでクリックすることにより行う。この具体例では、前述のように「X−ray」と「MR」が選択される。
【0051】
当該コンピュータは、装置IDの文字列とモダリティ種別の選択結果とに基づいて、当該医療情報処理装置1に対する認証情報32を生成する。
【0052】
このとき、許諾種別情報は、モダリティ種別の選択結果に基づいてたとえば次のようにして生成される。上記の選択肢「X−ray」、「CT」、「MR」、「US」、「PET」、「SPECT」、「SC」について、その選択の有無を「1」と「0」で表す。つまり、モダリティ種別「X−ray」が選択された場合には、当該モダリティ種別について文字列「1」を割り当て、選択されない場合には文字列「0」を割り当てる。そして、各モダリティ種別の選択の有無を表す文字列「1」と「0」を上記選択肢の順序で並べる。この具体例では「X−ray」と「MR」が選択されるので、文字列「1−0−1−0−0−0−0」が得られる。この文字列は、この発明の「許諾モダリティ種別情報」の一例である。
【0053】
当該コンピュータは、装置IDの文字列「abcdefg」と、許諾種別情報の文字列「1−0−1−0−0−0−0」とを羅列して、文字列「abcdefg−1−0−1−0−0−0−0」を得る。この文字列「abcdefg−1−0−1−0−0−0−0」が当該医療情報処理装置1の認証情報32として用いられる。認証情報32は、所定の経路でユーザに伝達される。ユーザは、呈示プログラム31をインストールする作業において、ユーザインターフェイス7を用いて認証情報32を入力する。入力された認証情報32は制御部2により記憶部3に記憶される。
【0054】
〔ドライブ装置〕
ドライブ装置4は、記録メディア200A、200B、200Cに記録された情報を読み取る装置である。各記録メディア200A〜200Cは、前述のような各種のリムーバブルストレージである。ドライブ装置4は、このリムーバブルストレージに記録された情報を読み取る。
【0055】
ドライブ装置4は、複数の種類のリムーバブルストレージを読取可能に構成されていてもよい。このとき、複数種類のリムーバブルストレージを読取可能な単一のドライブ装置4を設けてもよいし、2台以上のドライブ装置を含むドライブ装置4を設けてもよい。なお、ドライブ装置を必要としないリムーバブルストレージのみが使用される場合には、特にドライブ装置4を設ける必要はない。たとえばUSBメモリが使用される場合には、USBポートが設けられる。
【0056】
〔ネットワークボード〕
ネットワークボード5は、医療情報処理装置1をネットワークに接続するためのボードである。この実施形態では、ネットワークボード5としてEthernetカードが用いられる。このネットワークボード5には、MACアドレス「abcdefg」が割り振られている。
【0057】
〔ライセンス処理部〕
ライセンス処理部6は、記録メディア200A〜200Cのいずれか(記録メディア200と呼ぶ。)がドライブ装置4にセットされた場合に、この記録メディア200に記録された医用画像の呈示が許諾されているか、つまり、この医用画像の属するモダリティ種別を呈示するためのライセンスを当該医療情報処理装置1が有しているかを判断する。
【0058】
そのために、ライセンス処理部6には、情報種別特定部61、装置ID取得部62及びライセンス判断部63が設けられている。ライセンス処理部6は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。
【0059】
(情報種別特定部)
情報種別特定部61は、ドライブ装置4にセットされた記録メディア200に記録された医療情報の種別を特定する。この処理は、たとえば次のようにして行う。
【0060】
まず、ドライブ装置4は、制御部2の制御を受けて、記録メディア200からDICOM付帯情報を読み取る。DICOM付帯情報には、記録メディア200に記録された医用画像のモダリティ種別を表す情報(モダリティ種別情報)が含まれている。なお、モダリティ種別情報のみを記録メディア200から読み取るようにドライブ装置4を制御してもよい。記録メディア200から読み取られたモダリティ種別情報は、制御部2によりライセンス処理部6に送られる。
【0061】
情報種別特定部61は、このモダリティ種別情報に基づいて、記録メディア200に記録された医用画像のモダリティ種別を特定する。モダリティ種別情報は、たとえば文字列「X−ray」、「CT」等を含んでいる。情報種別特定部61は、この文字列によってモダリティ種別を特定する。情報種別特定部61は、モダリティ種別の特定結果をライセンス判断部63に送る。情報種別特定部61は、この発明の「特定手段」の一例である。
【0062】
(装置ID取得部)
装置ID取得部62は、医療情報処理装置1の装置IDを取得する。この実施形態では、装置ID取得部62は、ネットワークボード5のMACアドレス(文字列「1234567890」)を取得する。装置ID取得部62は、この発明の「取得手段」の一例である。
【0063】
ネットワークボード5にMACアドレスが記録されている場合、装置ID取得部62は、ネットワークボード5からMACアドレスを取得することができる。また、MACアドレスをOSが管理している場合など、MACアドレスを制御部2(ハードディスクドライブ、ROM等)が記録している場合、装置ID取得部62は、制御部2からMACアドレスを取得することができる。装置ID取得部62は、取得されたMACアドレスをライセンス判断部63に送る。
【0064】
(ライセンス判断部)
ライセンス判断部63は、情報種別特定部61により特定された医療情報の種別と、装置ID取得部62により取得された装置IDと、認証情報32とに基づいて、当該医療情報処理装置1による当該種別の医療情報の呈示が許諾されているか判断する。ライセンス判断部63は、この発明の「判断手段」の一例である。
【0065】
ライセンス判断部63は、たとえば次のようにして上記判断処理を行う。ライセンス判断部63は、次の二つの判断処理を行う:(1)医療情報処理装置1による当該医療情報の呈示が許諾されているか判断する処理;(2)当該種別の医療情報の呈示が許諾されているか判断する処理。これら2つの判断処理の双方において「許諾されている」と判断された場合にのみ、ライセンス判断部63は、当該医療情報処理装置1による当該医療情報の呈示が許諾されていると判断する。
【0066】
この実施形態では、医療情報の種別としてモダリティ種別が用いられ、装置IDとしてMACアドレスが用いられ、認証情報32として上記具体例の文字列「abcdefg−1−0−1−0−0−0−0」が用いられる。
【0067】
上記判断処理(1)について説明する。まず、ライセンス判断部63は、装置ID取得部62により取得されたMACアドレスを、認証情報32の生成処理と同様の暗号技術により暗号化する。
【0068】
次に、ライセンス判断部63は、この暗号化処理により得られた装置IDの文字列と、認証情報32の装置IDに関わる部分の文字列「abcdefg」とを照合する。
【0069】
この照合処理により二つの文字列が一致すると判定された場合、ライセンス判断部63は、当該医療情報処理装置1による呈示が許諾されていると判断する。すなわち、呈示プログラム31や認証情報32が適正な医療情報処理装置1に格納されている場合には、ネットワークボード5のMACアドレス(を暗号化して得られる文字列)と、認証情報32の装置IDに関わる部分の文字列とが一致するので、上記二つの文字列の一致をもって当該医療情報処理装置1による当該医療情報の呈示が許諾されていると判断することができる。
【0070】
一方、この照合処理により二つの文字列が一致しないと判定された場合、ライセンス判断部63は、当該医療情報処理装置1による呈示が許諾されていないと判断する。これは、呈示プログラム31や認証情報32が不適正な医療情報処理装置1に格納されている場合には、上記二つの文字列は一致しないことによる。
【0071】
なお、医療情報処理装置のハードウェアやソフトウェアを他の医療情報処理装置に移設することで装置IDの移設も可能である場合、装置IDの認証処理が適正に実施されないおそれがある。よって、装置IDの取得対象となるハードウェアやソフトウェアは、医療情報処理装置から移設できないもの、又は移設が困難であるものであることが望ましい。
【0072】
上記判断処理(2)について説明する。まず、ライセンス判断部63は、情報種別特定部61により特定されたモダリティ種別が、前述のモダリティ種別の選択肢の順序のうちの何番目に対応するか特定する。そのために、たとえば、ライセンス判断部63は、上記モダリティ種別の選択肢と、その順序とを関連付ける情報(テーブル情報等)を予め保持している。たとえば、情報種別特定部61により特定されたモダリティ種別が「MR」である場合、ライセンス判断部63は、この情報を参照し、「MR」に対応する順序「3番目」を特定する。また、特定されたモダリティ種別が「US」である場合、ライセンス判断部63は、「US」に対応する順序「4番目」を特定する。
【0073】
次に、ライセンス判断部63は、認証情報32の情報種別に関する部分の文字列「1−0−1−0−0−0−0」において、上記特定された順序の文字列が「1」であるか「0」であるか判定する。
【0074】
当該順序の文字列が「1」であると判定された場合、ライセンス判断部63は、当該モダリティ種別の医用画像の呈示が許諾されていると判断する。たとえば、上記の例においてモダリティ種別が「MR」である場合、情報種別に関する部分の文字列の「3番目」の文字列が「1」であるので、ライセンス判断部63は、当該医用画像(MRI画像)の呈示が許諾されていると判断する。
【0075】
一方、当該順序の文字列が「0」であると判定された場合、ライセンス判断部63は、当該モダリティ種別の医用画像の呈示が許諾されていないと判断する。たとえば上記の例においてモダリティ種別が「US」である場合、情報種別に関する部分の文字列の「4番目」の文字列が「0」であるので、ライセンス判断部63は、当該医用画像(超音波画像)の呈示が許諾されていないと判断する。
【0076】
ライセンス判断部63は、上記の判断結果を制御部2に送る。ライセンス判断部63は、この発明の「判断手段」の一例である。
【0077】
〔ユーザインターフェイス〕
ユーザインターフェイス7には、表示部71と操作部72が設けられている。ユーザインターフェイス7は、この発明の「ユーザインターフェイス手段」の一例である。
【0078】
(表示部)
表示部71は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなど、任意の表示デバイスを含んで構成される。表示部71は、制御部2の制御を受けて各種の情報を表示する。表示部71は、この発明の「呈示手段」の一例である。
【0079】
なお、呈示手段は、医療情報処理装置1のオペレータ等に情報を呈示する表示デバイスに限定されるものではない。たとえば、印刷装置、ドライブ装置、通信装置、保管装置(ストレージ)なども呈示手段として機能する。すなわち、印刷装置は、医療情報を印刷出力することにより当該医療情報を呈示するものである。ドライブ装置は、医療情報を他の装置のオペレータ等に呈示したり、一時保管して将来呈示したりするために、当該医療情報を記録メディアに記録するものである。通信装置は、医療情報処理装置1と通信回線を介して接続された他の装置のオペレータ等に対して医療情報を呈示するために、当該医療情報を送信するものである。保管装置は、医療情報を将来呈示するために、当該医療情報を保管するものである。呈示手段は、上記の例に限定されるものではなく、医療情報を直接的に又は間接的に呈示することが可能な任意の構成を備えていればよい。
【0080】
(操作部)
操作部72は、医療情報処理装置1を操作したり、医療情報処理装置1に情報を入力したりするために使用される。操作部72は、たとえば、キーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック、専用のコントロールパネルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んで構成される。
【0081】
なお、表示部71と操作部72を一体的に構成することも可能である。たとえば、タッチパネル方式のLCDやペンタブレット等のデバイスをユーザインターフェイス7として用いることができる。
【0082】
[使用形態]
医療情報処理装置1の使用形態について説明する。以下、医療情報処理装置1の3つの使用形態を説明する。第1の使用形態では、記録メディア200に記録された医用画像の呈示の可否を判断する処理について説明する。第2の使用形態では、呈示プログラム31をインストールする処理について説明する。第3の使用形態では、新たな呈示プログラムを追加する処理について説明する。
【0083】
〔第1の使用形態〕
医用画像の呈示の可否を判断する処理について説明する。図2のフローチャートは、この処理の一例を表している。
【0084】
まず、ドライブ装置4に記録メディア200をセットする(S1)。ドライブ装置4は、記録メディア200からモダリティ種別情報を読み取る(S2)。読み取られたモダリティ種別情報は、ドライブ装置4から制御部2を介して情報種別特定部61に送られる。
【0085】
情報種別特定部61は、このモダリティ種別情報に基づいて、記録メディア200に記録された医用画像のモダリティ種別を特定する(S3)。特定されたモダリティ種別は、ライセンス判断部63に送られる。
【0086】
装置ID取得部62は、ネットワークボード5のMACアドレスを取得する(S4)。取得されたMACアドレスは、ライセンス判断部63に送られる。なお、ステップ2の前やステップ3の前に装置IDの取得処理を行ってもよい。
【0087】
ライセンス判断部63は、特定されたモダリティ種別、取得されたMACアドレス、及び認証情報32に基づいて、当該医療情報処理装置1による当該モダリティ種別の医用画像の呈示が許諾されているか判断する(S5)。
【0088】
呈示が許諾されていると判断された場合(S6:Yes)、制御部2は、ドライブ装置4を制御して記録メディア200から医用画像を読み取らせ(S7)、この医用画像を表示部71に表示させる(S8)。
【0089】
一方、呈示が許諾されていないと判断された場合(S6:No)、制御部2は、その旨を表すメッセージを表示部71に表示させる(S9)。以上で、この使用形態に係る処理は終了となる。
【0090】
〔第2の使用形態〕
呈示プログラム31をインストールする処理について説明する。図3のフローチャートは、この処理の一例を表している。なお、当初の状態においては、呈示プログラム31や認証情報32は医療情報処理装置1に格納されていないものとする。また、医療情報処理装置1のユーザは、認証情報32の伝達を受けているものとする。
【0091】
この処理は、適正な医療情報処理装置1、つまり呈示プログラム31のライセンスが供与された医療情報処理装置1に対して呈示プログラム31をインストールさせるためのものである。換言すると、この処理は、他の医療情報処理装置に対する不正な呈示プログラム31のインストールを防止するためのものである。
【0092】
呈示プログラム31の初回起動時において同様の処理を実行することも可能である。それにより、他の医療情報処理装置による呈示プログラム31の不正使用を防止することができる。
【0093】
まず、呈示プログラム31が記録された記録メディアをドライブ装置4にセットする(S21)。なお、LAN等の通信回線を経由して呈示プログラム31を受け付けるようにしてもよい。
【0094】
制御部2は、たとえばオペレータからの要求を受けて、呈示プログラム31のインストールを開始する(S22)。
【0095】
制御部2は、所定の入力画面を表示部71に表示させる(S23)。ユーザは、操作部72を操作して、この入力画面に認証情報32を入力する(S24)。入力される認証情報32は、文字列「abcdefg−1−0−1−0−0−0−0」であるとする。制御部2は、入力された認証情報32をライセンス判断部63に送る。
【0096】
また、制御部2は、装置ID取得部62を制御し、ネットワークボード5のMACアドレスを取得させる(S25)。取得されたMACアドレスは、ライセンス判断部63に送られる。
【0097】
ライセンス判断部63は、取得されたMACアドレスを暗号化する。更に、ライセンス判断部63は、暗号化により得られたMACアドレスの文字列と、入力された認証情報32の装置IDに関する部分の文字列「abcdefg」とを照合する(S26)。
【0098】
これら二つの文字列が一致している場合(S27:Yes)、ライセンス判断部63は、当該医療情報処理装置1への呈示プログラム31のインストールが許諾されているものと判断する。この判断結果を受けて、制御部2は、呈示プログラム31のインストール動作を続行させる(S28)。オペレータは、適宜に操作を行って、呈示プログラム31のインストールを完了させる(S29)。
【0099】
一方、上記二つの文字列が一致しない場合(S27:No)、ライセンス判断部63は、当該医療情報処理装置1への呈示プログラム31のインストールは許諾されていないものと判断する。この判断結果を受けて、制御部2は、呈示プログラム31のインストール動作を中止させる(S30)。このとき、インストール動作が中止された旨のメッセージや、インストール対象の医療情報処理装置が異なる旨のメッセージを表示部71に表示させてもよい。以上で、この使用形態に係る処理は終了となる。
【0100】
〔第3の使用形態〕
第3の使用形態では、新たな呈示プログラムを追加する処理について説明する。ここで、「新たな呈示プログラムを追加する」とは、新たな呈示プログラムを追加インストールする場合や、既にインストールされている呈示プログラムにより新たな種別の医療情報を呈示可能にする場合を含むものとする。
【0101】
前者の場合には、第2の使用形態と同様にして新たな呈示プログラムを追加インストールすることが可能である。よって、前者の場合の説明は省略する。以下、後者の場合に行う処理を説明する。図4のフローチャートは、この処理の一例を表している。なお、新たに呈示可能な医療情報の種別を追加する場合において、既に呈示可能な種別を残しておいてもよいし、既に呈示可能な種別の一部又は全部を破棄してもよい。
【0102】
医療情報処理装置1は、モダリティ種別「X−ray」と「MR」の医用画像を呈示可能であるとする。すなわち、記憶部3に記憶されている認証情報32の文字列は、前述の「abcdefg−1−0−1−0−0−0−0」であるとする。
【0103】
また、新たに追加されるモダリティ種別は「SC」(二次取得)であるとする。メーカやサービス会社側では、新たに追加されるモダリティ種別を反映した新たな認証情報を生成し、この新たな認証情報をユーザ側に伝達する。新たな認証情報の文字列は、「abcdefg−1−0−1−0−0−0−1」である。
【0104】
まず、ユーザは、操作部72を操作して、所定のライセンス変更画面を表示部71に表示させる(S41)。ユーザは、新たな認証情報をライセンス変更画面に入力する(S42)。入力された新たな認証情報は、制御部2を介してライセンス判断部63に送られる。
【0105】
また、制御部2は、装置ID取得部62を制御し、ネットワークボード5のMACアドレスを取得させる(S43)。取得されたMACアドレスは、ライセンス判断部63に送られる。
【0106】
ライセンス判断部63は、取得されたMACアドレスを暗号化する。更に、ライセンス判断部63は、暗号化により得られたMACアドレスの文字列と、新たな認証情報の装置IDに関する部分の文字列「abcdefg」とを照合する(S44)。
【0107】
これら二つの文字列が一致している場合(S45:Yes)、ライセンス判断部63は、当該医療情報処理装置1により呈示可能なモダリティ種別の変更が許諾されているものと判断する。この判断結果を受けて、制御部2は、呈示プログラム31の使用可能な部分を変更する(S46)。つまり、変更以前における呈示プログラム31の使用可能な部分は、モダリティ種別「X−Ray」と「MR」に関する部分のみであったが、二つの文字列が一致していることを受けて、モダリティ種別「SC」に関する部分も使用可能にする。
【0108】
また、制御部2は、新たな認証情報を記憶部3に記憶させる(S47)。このとき、既存の認証情報32を新たな認証情報で更新するようにしてもよいし、既存の認証情報32を保存しておくようにしてもよい。なお、第1の使用形態の処理を今後実行する際には、既存の認証情報32に代わって新たな認証情報が使用される。
【0109】
一方、上記二つの文字列が一致しない場合(S45:No)、ライセンス判断部63は、当該医療情報処理装置1により呈示可能なモダリティ種別の変更が許諾されていないものと判断する。この判断結果を受けて、制御部2は、モダリティ種別の変更処理を中止させる(S48)。このとき、モダリティ種別の変更が認められない旨のメッセージや、モダリティ種別の変更対象の医療情報処理装置が異なる旨のメッセージを表示部71に表示させてもよい。以上で、この使用形態に係る処理は終了となる。
【0110】
[作用・効果]
医療情報処理装置1の作用及び効果を説明する。
【0111】
医療情報処理装置1は、呈示プログラム31と認証情報32を記憶している。呈示プログラム31は、複数の種別の医療情報を呈示させることを可能にするプログラムである。認証情報32は、当該装置の装置IDと、医療情報の複数の種別のうち当該装置による呈示が許諾されている種別を表す許諾種別情報とを含んでいる。
【0112】
医療情報処理装置1のドライブ装置4は、記録メディア200に記録された医療情報を読み取る。情報種別特定部61は、記録メディア200に記録された医療情報の種別を特定する。装置ID取得部62は、医療情報処理装置1の装置IDを取得する。
【0113】
更に、ライセンス判断部63は、情報種別特定部61により特定された種別と、装置ID取得部62により取得された装置IDと、記憶部3に記憶された認証情報32とに基づいて、医療情報処理装置1による当該種別の医療情報の呈示が許諾されているか判断する。そして、制御部2は、呈示が許諾されていると判断された場合にのみ、記録メディア200に記録されている医療情報を呈示させる。
【0114】
このような医療情報処理装置1によれば、呈示プログラム31により呈示可能な医療情報の種別のうち、当該装置の用途に応じた種別の医療情報のみを選択的に呈示させることが可能である。
【0115】
すなわち、当該装置の用途として医療情報の種別(モダリティ種別等)を表す許諾種別情報を認証情報32に含めておくとともに、この許諾種別情報を参照して記録メディア200に記録された医療情報を呈示できるか判断することが可能である。更に、当該装置を識別するための装置IDを認証情報32に含めておくとともに、この装置IDを参照して記録メディア200に記録された医療情報を当該装置によって呈示できるか判断することが可能である。
【0116】
このような二段階の判断を行うことにより、装置と情報種別の双方が認証されない限り、医療情報の呈示ができなくなる。それにより、呈示プログラム31が他の装置で不正に利用されることを防止できるとともに、予め定められた種別以外の医療情報を不正に呈示することを防止できる。
【0117】
また、医療情報処理装置1は、呈示プログラム31をインストールするとき(又は呈示プログラム31の初回起動時)に、認証情報を入力するための入力画面を表示する。入力画面に認証情報が入力されると、ライセンス判断部63は、入力された認証情報と、装置ID取得部62により取得された装置IDとを照合することにより、当該装置への呈示プログラム31のインストール(又は当該装置による呈示プログラム31の起動)が許諾されているか判断する。制御部2は、インストール(又は起動)が許諾されていると判断された場合にのみ、呈示プログラム31のインストール(又は起動)を続行させる。
【0118】
それにより、ライセンスが与えられていない医療情報処理装置に呈示プログラム31を不正にインストールされることを防止できる。また、ライセンスが与えられていない医療情報処理装置で呈示プログラム31が不正に使用されることを防止することができる。
【0119】
また、上記実施形態によれば、ライセンスが与えられていない医療情報処理装置に新たな呈示プログラムが追加されることを防止できる。
【0120】
[プログラム]
この発明に係るプログラムについて説明する。この発明に係るプログラムは、医療情報処理装置として用いられるコンピュータに上記実施形態で説明した処理を実行させるものである。なお、上記実施形態における制御プログラムは、この発明に係るプログラムの一例である。以下、この発明に係るプログラムについてより詳しく説明する。
【0121】
この発明に係るプログラムは、呈示手段と記憶手段と読取手段とを有するコンピュータを制御する。ここで、記憶手段には、複数の種別の医療情報を呈示させることが可能な呈示プログラムと、当該コンピュータの識別情報と当該コンピュータによる呈示が許諾されている種別を表す許諾種別情報とを含む認証情報とが記憶されている。また、読取手段は、記録媒体に記録された医療情報を読み取る。この発明に係るプログラムは、このようなコンピュータを次のように機能させる:(1)記録媒体に記録された医療情報の種別を特定する特定手段;(2)当該コンピュータの識別情報を取得する取得手段;(3)(1)で特定された種別と、(2)で取得された識別情報と、認証情報とに基づいて、当該種別の医療情報の当該コンピュータによる呈示が許諾されているか判断する判断手段;(4)判断手段により許諾されていると判断された場合にのみ、読取手段により記録媒体から読み取られた医療情報を呈示手段に呈示させる制御手段。
【0122】
また、この発明に係るプログラムは、当該コンピュータに搭載されたハードウェア又はソフトウェアに予め付与された固有情報が上記識別情報に含まれている場合、上記(2)において、このハードウェア又はソフトウェアから固有情報を取得するように構成されていてもよい。
【0123】
また、この発明に係るプログラムは、上記(3)において、(2)で取得された識別情報と認証情報中の識別情報とを照合することにより、当該コンピュータによる呈示が許諾されているか判断し、(2)で特定された種別と認証情報中の許諾種別情報とを照合することにより、当該種別の医療情報の呈示が許諾されているか判断するように構成されていてもよい。
【0124】
また、医用画像を取得するための複数のモダリティ種別が上記複数の種別に含まれ、これら複数のモダリティ種別のうち呈示が許諾されているモダリティ種別を表す許諾モダリティ種別情報が許諾種別情報に含まれ、更に、医用画像及び医用画像のモダリティ種別情報が記録媒体に記録されている場合において、この発明に係るプログラムは次のように構成されていてもよい。すなわち、(1)において、読取手段により記録媒体から読み取られたモダリティ識別情報に基づいてモダリティ種別を特定し、(3)において、当該特定されたモダリティ種別と、(2)で取得された識別情報と、認証情報とに基づいて、当該コンピュータによる当該モダリティ種別の医用画像の呈示が許諾されているか判断し、(4)において、判断手段により許諾されていると判断された場合にのみ、読取手段により記録手段から読み取られた医用画像を呈示手段に呈示させる。
【0125】
また、この発明に係るプログラムは、当該コンピュータがユーザインターフェイス手段を備えている場合において、呈示プログラムのインストール処理や初回の起動を次のようにして行うことが可能である。まず、インストール時(又は初回起動時)に、認証情報を入力するための入力画面をユーザインターフェイス手段に表示させる。ユーザインターフェイス手段により入力画面に認証情報が入力されると、判断手段は、この認証情報と、取得手段により取得された識別情報とを照合することにより、コンピュータへの呈示プログラムのインストール(又は当該コンピュータによる呈示プログラムの起動)が許諾されているか判断する。更に、制御手段は、インストール(又は起動)が許諾されていると判断された場合にのみ、呈示プログラムのインストール(又は起動)を続行させる。
【0126】
このようなプログラムによれば、呈示プログラムにより呈示可能な医療情報の種別のうち、当該コンピュータの用途に応じた種別の医療情報のみを選択的に呈示させることが可能である。
【0127】
[変形例]
以上に説明した実施形態は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。以下、このような変形の例を説明する。
【0128】
上記実施形態のように構成することにより、各医療情報処理装置(コンピュータ)を一元管理することが可能である。すなわち、上記実施形態によれば、各医療情報処理装置に対して、装置の識別情報と許諾種別情報とを含む認証情報が割り当てられるので、この認証情報をデータベース化することにより、どの医療情報処理装置がどのような種別の医療情報を呈示可能とされているか把握することが可能である。
【0129】
また、複数種別の医療情報が記録媒体に記録されている場合において、当該医療上処理装置により呈示可能な種別の医療情報のみを選択的に呈示させることが可能である。その場合、呈示可能な種別の医療情報のみを記録媒体から読み出して呈示するように構成することができる。また、複数種別の医療情報を記録媒体から読み出し、それらのうち呈示可能なもののみを呈示させるように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】この発明に係る医療情報処理装置の実施の形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】この発明に係る医療情報処理装置の実施の形態の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【図3】この発明に係る医療情報処理装置の実施の形態の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【図4】この発明に係る医療情報処理装置の実施の形態の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0131】
1 医療情報処理装置
2 制御部
3 記憶部
31 呈示プログラム
32 認証情報
4 ドライブ装置
5 ネットワークボード
6 ライセンス処理部
61 情報種別特定部
62 装置ID取得部
63 ライセンス判断部
7 ユーザインターフェイス
71 表示部
72 操作部
100A、100B、100C 医用画像診断装置
200A、200B、200C 記録メディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呈示手段と、複数の種別の医療情報を前記呈示手段に呈示させることが可能な呈示プログラムを記憶する記憶手段とを有する医療情報処理装置であって、
前記記憶手段は、当該装置の識別情報と、前記複数の種別のうち当該装置による呈示が許諾されている種別を表す許諾種別情報とを含む認証情報を記憶し、
記録媒体に記録された医療情報を読み取る読取手段と、
前記記録媒体に記録された医療情報の種別を特定する特定手段と、
前記認証情報以外の当該装置を構成する要素から識別情報を取得する取得手段と、
前記特定された種別と前記取得された識別情報と前記記憶された認証情報とに基づいて、当該装置による該種別の医療情報の呈示が許諾されているか判断する判断手段と、
前記判断手段により許諾されていると判断された場合にのみ、前記呈示プログラムを実行して、前記読取手段により前記記録媒体から読み取られた医療情報を前記呈示手段に呈示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする医療情報処理装置。
【請求項2】
前記要素は、固有情報が予め付与された、当該装置を構成するハードウェア又はソフトウェアであり、
前記取得手段は、前記識別情報として、前記ハードウェア又は前記ソフトウェアから前記固有情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記取得された識別情報と前記認証情報の前記識別情報とを照合することにより当該装置による呈示が許諾されているか判断し、及び、前記特定された種別と前記認証情報の前記許諾種別情報とを照合することにより該種別の呈示が許諾されているか判断し、
前記制御手段は、当該装置による呈示が許諾されていると判断され、かつ、該種別の呈示が許諾されていると判断された場合にのみ、前記医療情報を呈示させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の医療情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の種別は、医用画像を取得するための複数のモダリティ種別を含み、
前記許諾種別情報は、前記複数のモダリティ種別のうち前記呈示手段による呈示が許諾されているモダリティ種別を表す許諾モダリティ種別情報を含み、
前記記録媒体には、前記医療情報として、医用画像及び該医用画像のモダリティ種別情報が記録されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の医療情報処理装置。
【請求項5】
ユーザインターフェイス手段を更に備え、
前記制御手段は、前記呈示プログラムを当該装置にインストールするとき又は当該装置による前記呈示プログラムの初回起動時に、前記認証情報を入力するための入力画面を前記ユーザインターフェイス手段に表示させ、
前記判断手段は、前記ユーザインターフェイス手段により前記入力画面に入力された認証情報と、前記取得手段により取得された識別情報とを照合することにより、当該装置への前記呈示プログラムのインストール又は当該装置による前記呈示プログラムの起動が許諾されているか判断し、
前記制御手段は、前記インストール又は前記起動が許諾されていると判断された場合にのみ、前記呈示プログラムのインストール又は起動を続行させる、
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の医療情報処理装置。
【請求項6】
呈示手段と、
複数の種別の医療情報を前記呈示手段に呈示させることが可能な呈示プログラムと、当該コンピュータの識別情報と前記複数の種別のうち当該コンピュータによる呈示が許諾されている種別を表す許諾種別情報とを含む認証情報とを記憶する記憶手段と、
記録媒体に記録された医療情報を読み取る読取手段と、
を有するコンピュータを、
前記記録媒体に記録された医療情報の種別を特定する特定手段、
前記認証情報以外の当該コンピュータを構成する要素から識別情報を取得する取得手段、
前記特定された種別と前記取得された識別情報と前記記憶された認証情報とに基づいて、当該コンピュータによる該種別の医療情報の呈示が許諾されているか判断する判断手段、及び、
前記判断手段により許諾されていると判断された場合にのみ、前記呈示プログラムを実行して、前記読取手段により前記記録媒体から読み取られた医療情報を前記呈示手段に呈示させる制御手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記要素は、固有情報が予め付与された、当該装置を構成するハードウェア又はソフトウェアであり、
前記取得手段は、前記識別情報として、前記ハードウェア又は前記ソフトウェアから前記固有情報を取得する、
ことを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記判断手段は、前記取得された識別情報と前記認証情報の前記識別情報とを照合することにより当該コンピュータによる呈示が許諾されているか判断し、及び、前記特定された種別と前記認証情報の前記許諾種別情報とを照合することにより該種別の呈示が許諾されているか判断し、
前記制御手段は、当該装置による呈示が許諾されていると判断され、かつ、該種別の呈示が許諾されていると判断された場合にのみ、前記医療情報を呈示させる、
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記複数の種別は、医用画像を取得するための複数のモダリティ種別を含み、
前記許諾種別情報は、前記複数のモダリティ種別のうち前記呈示手段による呈示が許諾されているモダリティ種別を表す許諾モダリティ種別情報を含み、
前記記録媒体には、前記医療情報として、医用画像及び該医用画像のモダリティ種別情報が記録されている、
ことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
当該コンピュータは、ユーザインターフェイス手段を更に備え、
前記制御手段は、前記呈示プログラムを当該コンピュータにインストールするとき又は当該コンピュータによる前記呈示プログラムの初回起動時に、前記認証情報を入力するための入力画面を前記ユーザインターフェイス手段に表示させ、
前記判断手段は、前記ユーザインターフェイス手段により前記入力画面に入力された認証情報と、前記取得手段により取得された識別情報とを照合することにより、当該コンピュータへの前記呈示プログラムのインストール又は当該コンピュータによる前記呈示プログラムの起動が許諾されているか判断し、
前記制御手段は、前記インストール又は前記起動が許諾されていると判断された場合にのみ、前記呈示プログラムのインストール又は起動を続行させる、
ことを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか一項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−271619(P2009−271619A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119542(P2008−119542)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】