説明

医療情報提供装置及び医療情報提供方法

【課題】 患者の今後の診療計画に、病院側の診療計画と過去の実績を役立てられるように提供する。
【解決手段】 ネットワークを介して、診療情報取得手段が、複数の診療機関から、各診療機関毎にかつ疾病毎に診療項目及びそれに対する予定の費用情報を含む診療プラン、過去の実績診療項目及びそれに対する過去の実績費用情報を含む診療実績情報を取得し、集計手段により、各療機関毎にかつ疾病毎に、少なくとも過去の実績費用の平均値を含む実績統計データを算出し、表示情報生成手段により、診療プラン又は実績統計データを個々に、又は同時に前記患者端末で表示可能に編成する構成とした。また、診療プランの費用と実績統計データの差額を算出し、表示できる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の受診プランを支援する情報の提供、或いは診療の経過情報を提供する医療情報提供装置及びその方法に関する。特に、患者が受診希望の疾病について、各診療機関(病院、医院、診療所、等)の診療内容や診療費用を提供し、或いは診療経過中の診療費用負担の状況を提供する技術に係る。
【背景技術】
【0002】
患者が受診しようとする場合、どこの病院で、どのような診療を受けて、どのくらいの費用が必要になるのかは、重要な関心事である。特に、診療費用(以下、費用という。)の見積もりについて患者の希望に応える技術として、本発明と同一出願人、同一発明者による特許文献1の技術がある。特許文献1の技術は、少なくとも会計前にそれまでの診療に支払うべき費用の見積もりを行うものである。また、特許文献1には、詳細技術を示していないが、医療費見積もりシステムにアクセスすることにより、診療を受ける前に事前に必要な金額の概算を知ることができる旨の記載がある。さらには、患者は、複数の病院から見積り額を求めることにより予想費用の対比ができる旨の記載がある。
【0003】
入院患者の費用を予測するものとして、特許文献2の技術がある。これは、診療内容の予想される標準的な推移と、予め定めた診療費用情報との基づいて、患者毎に予想するものである。さらに、病棟毎に診療費用を予想して設備の有効利用を図る目的もある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−281267号公報
【特許文献2】特開平10−301994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、上記特許文献1、2のように費用等の見積もりをしても、実績との関係が不明瞭であり、どのような見積もりを信じてよいのか、一般の人にはなかなか判断しずらい。
【0006】
本発明は、上記の考察から、自己の今後の診療計画に、病院側の診療計画と過去の実績を役立てられるように提供する、また自己の実際の診療中の経過実績と当初の診療計画とも対比可能にして、今後の診療計画の変更に役立てられるようにする医療情報提供装置及び医療情報方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ネットワークを介して、複数の診療機関から、各診療機関毎にかつ各疾病毎に、施す予定の診療項目に対する費用情報を含む診療プランを取得する診療情報取得手段と、前記各診療プランを前記ネットワークを介して患者端末から検索可能にデータベースとして生成するデータベース生成手段と、検索又は選択された診療プランを前記患者端末で表示可能に生成する表示情報生成手段とを備えた。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記診療情報取得手段は、患者端末から患者識別情報及び診療機関識別情報受けて、当該診療機関から前記患者が受診したときの診療項目に対する実績費用を含む経過情報を取得し、前記表示情報生成手段は、患者の疾病に対応する診療プランと前記経過情報とを同時に患者端末で対比表示可能に編成する構成とした。請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、患者端末から受診している患者の患者識別情報と診療機関識別情報とを受けたとき、前記患者の疾病に対応する診療プラン受けて、該診療プランの費用と前記患者の経過情報の実績費用との差額を算出する集計手段を備え、前記表示情報生成手段は、患者の疾病に対応する診療プラン及び前記経過情報とともに、前記差額を患者端末で対比表示可能に編成する構成とした。請求項4に記載の発明は、ネットワークを介して、複数の診療機関から、各診療機関毎にかつ疾病毎に診療項目に対する費用情報を含む診療プランを取得するとともに、前記各診療機関毎にかつ前記各疾病毎に過去の実績診療項目に対する過去の実績費用情報を含む診療実績情報を取得する診療情報取得手段と、前記診療実績情報を基に前記各療機関毎にかつ疾病毎に、少なくとも前記過去の実績費用の平均値を含む実績統計データを算出する集計手段と、前記診療プラン及び前記実績統計データのそれぞれを基に、前記ネットワークを介して患者端末から検索可能に診療プランデータベース及び実績統計データベースとして生成するデータベース生成手段と、各データベースから検索された診療プラン又は実績統計データを個々に、又は同時に前記患者端末で表示可能に編成する表示情報生成手段とを備えた。請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記集計手段は、さらに診療プランの費用と実績統計データの差額を算出し、表示情報生成手段は、さらに前記差額を診療プラン又は実績統計データのいずれか一方と又は双方と表示可能に編成する構成とした。請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記診療情報取得手段は、受診している患者の患者識別情報と診療機関識別情報とを前記患者端末から受けて、当該診療機関から前記患者が受診したときの診療項目に対する実績費用を含む経過情報を取得し、前記集計手段は、前記診療プランデータベース又は実績統計データベースから受けた、患者の疾病に対応する診療プランの費用又は実績統計データのいずれかと、前記患者の経過情報における実績費用との差額を算出し、前記表示情報生成手段は、前記患者の疾病に対応する診療プラン又は前記実績統計データのいずれかと前記患者の経過情報と前記差額とを同時に患者端末で表示可能に編成する構成とした。請求項7に記載の発明は、請求項4、5、6又は7に記載の発明において、前記患者端末から診療データベースの診療プランのいずれか一つを選択する指示と、該診療プランを変更する要求とを受けて、該診選択した診療プランを変更して、前記患者の疾病に対応する診療プランとして生成するプラン編集手段を備えた。請求項8記載の発明は、請求項4〜7のいずれか一項に記載の発明において、前記集計手段は、平均値のほか最小値及び最大値も合わせて実績統計値に含める構成とした。請求項9に記載の発明は、予め、ネットワークを介して、複数の診療機関から、各診療機関毎にかつ疾病毎に診療項目に対する費用情報を含む診療プランを取得するとともに、前記各診療機関毎にかつ前記各疾病毎に過去の実績診療項目に対する過去の実績費用情報を含む診療実績情報を取得して、前記診療実績情報を基に前記各療機関毎にかつ疾病毎に、少なくとも過去の実績費用の平均値を含む実績統計値を算出し、前記診療プラン及び前記実績統計値のそれぞれを基に、前記ネットワークを介して患者端末から検索可能に診療プランデータベース及び実績統計データベースとして生成するデータベース生成段階と、患者端末からの要求を受けて、患者の疾病にかかる各診療機関の診療プランを診療プランデータベースから検索して、表示可能に患者端末へ送るプラン閲覧段階と、該プラン閲覧段階と同時又は別に、患者の疾病にかかる各診療機関の実績統計データを前記実績統計データベースから検索して、表示可能に患者端末へ送るプラン閲覧段階と、患者端末から、該プラン閲覧段階又はプラン閲覧段階で、受診希望の疾病と診療機関を選択されるプラン選択段階と、患者の患者識別情報と該プラン選択段階で選択された診療機関識別情報とを前記患者端末から受けて、当該診療機関から前記患者が受診したときの実績費用を含む経過情報を取得するとともに、前記診療プランデータベース又は実績統計データベースから、患者の疾病に対応する診療プランの費用又は実績統計データのいずれかと前記患者の経過情報における実績費用との差額を算出する患者実績取得段階と、前記患者の疾病に対応する診療プラン及び前記経過情報、又は前記実績統計データ及び患者の経過情報療情報のいずれかの組み合わせと、前記差額とを患者端末で表示可能に編成して送信する実績閲覧段階と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、患者は自己のコンピュータ等の端末から医療情報提供装置にアクセスして、自己の疾病に関する各病院側の診療プランを参照することができ、またその病院における過去の診療の実績を参考にできるので、例えば、患者端末の表示上で、病院ごとに費用がどの程度のプランでどの程度実績と異なるか対比できるので、自己の診療プランの採用がしやすい。また、診療実績とプランの差額も明瞭に把握できるので、病院の選択、診療プランの採用の判断基準として用いられる。さらに、患者が、診療経過中であっても診療プラン等と自己の診療途中の実績との差額を知ることができるので、自己の費用の見通しもたてやすい。また、診療計画の変更もしやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の医療情報提供装置及びその方法に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る本実施形態の全体構成及び医療情報提供装置内の機能構成を示す図である。図2(1)は、診療プランデータベースの一例を示す図、図2(2)は、患者別診療情実績報の一例を示す図である。図3は、本実施形態の動作フローを示す図である。図4(1)は、実績統計データベースの一例を示す図であり、図4(2)は、現患者個人の実績統計情報の一例を示す図である。図5は、現患者の診療経過情報の一例を示す図である。図6は、患者端末に対して、診療プラン生成段階までの情報提供を説明するための図である。図7は、患者端末に対して経過情報を提供する例を示す図である。
【0010】
図1において、医療情報提供装置10、診療機関20,21,22、・・、個人端末30、及び個人携帯端末30aは、ネットワークNで接続され、互いに通信連絡できる通信手段を備えている。なお個人携帯端末30aは、携帯電話回線を介して、ネットワークNに通信接続されている。
【0011】
図1の診療機関20,21,22、・・は、例えば、それぞれはがネットワークNと通信可能にされたA1病院、A2病院、A3病院(以下、特に代表して記述するときは、A1,A2,A3の符号を略す。以下、病院内情報システム、診療プラン及び診療実績情報についても同様の表現とするとする。)である。それぞれには、病院内の医療情報を通信読み出しできる病院内情報システムA1,A2,A3が構築されている。扱う医療情報には、少なくとも疾病別診療プランA1,A2,A3、及び患者別診療実績情報A1,A2,A3がある。疾病別診療プランは、図2(1)に示すように、その病院の診療方針に基づいた疾病毎(病名毎に)に標準的な診療項目、費用を定めた計画である。患者別診療実績情報は、図2(2)に示すように、実際に患者がかかった疾病の診療について診療項目、及び費用をまとめた情報である。まとめられていない場合は、電子カルテ、医療機器を使用した検査したときの検査情報、投薬したときの処方情報、或いはレセプトから引き出される情報である。
【0012】
医療情報提供装置10の管理者と診療機関20,21,22、・・の管理者との間には、以下に説明する医療情報提供に係る契約がなされており、その契約に沿って、医療情報提供装置10は、各病院内情報システムにアクセスして疾病別診療プラン及び患者別診療実績情報を取得、収集が可能にされている。当然ながら、各情報についての、秘密保持義務があり、それを遂行する上での認証システム等が施されているものとする。
【0013】
医療情報提供装置10は、通信手段11、診療情報取得手段12、データベース生成手段13、集計手段14、表示情報生成手段15及びユーザインターフェース手段16を備えている。通信手段11は、医療情報提供装置10と各病院内情報システムとの対話通信、情報交換、並びに医療情報提供装置10と個人端末30(個人携帯端末30a)との対話通信、情報交換を行う。
【0014】
診療情報取得手段12は、定期的に、又はユーザインターフェース手段16からの指示により、各病院内情報システムにアクセスして、各病院に準備されているそれぞれの疾病別診療プランを取得し、又は既に取得済みであれば更新する。この診療プランは、図2(1)に示すように、病院名(A2)、病名(X1)、診療項目(初心、検査、診療1等)、その診療時における検査内容(検査機器)及び投薬、その診療に基づく診療点数(以下、点数という。)、及び点数に応じた金額の各情報が含まれている(少なくとも病院名、病名、金額(費用)は、必要な情報である。)。また、診療情報取得手段12は、その診療プランに該当する病名についての過去の診療実績である患者別診療実績情報を取得する。後記するように統計的なデータを取得するためであり、数は多い方が良い。患者別診療実績情報の一例を、図2(2)に示す。図2(2)は、図2(1)の診療プランに対する過去のある患者の診療実績情報の例である(少なくとも病院命、病名、実績の金額は、必要な情報である。なお、患者名は、取得する必要はない。)。図2(2)の備考欄の*印は、診療プランと異なることを示す。
【0015】
さらに、診療情報取得手段12は、実際に受診している患者の個人端末30からの要求によって、その患者が受診している病院にアクセスして、その患者が実際に診療した診療項目、かかった金額(費用を)を現患者診療経過情報として取得する。これは、要求のあった現患者に対して提供するためである。現患者診療経過情報(以下、「経過情報」ということがある。)の例を図5に示す。図5は、図2(1)の診療プランに対する現在受診している患者の診療経過を示すもので、情報の内容は、ほぼ同じであるが、いつ時点のものかの表示が必要である。図5では、診療項目の順を時間経過順として、現在の最新受診時点をマーカで示し、その時点の費用合計(現在合計)、採用したプランに対する現時点の差額を表記してある。それ以降の診療プランにあった予定も図5の点線で示すように表記してある。差額は、次に説明する集計手段14で行っても良い。
【0016】
集計手段14は、上記のように診療情報取得手段12がその診療プランに対応して取得した多くの患者別診療実績情報を基に、統計的なデータ(実績統計データ)を算出する。つまり、図2(2)に示すような多くの患者別診療実績情報から、図4(1)に示すような統計値を算出する。図4(1)は、診療項目に対して、診療プランの回数と、患者別診療実績情報から算出した実際の回数及び実績金額のそれぞれの最小値、平均値、最大値、並びにそれらの合計を算出して表記している。また、集計手段14は、上記のように診療情報取得手段12が患者要求により取得した現患者の経過情報より、現患者の統計値(経過統計情報)を算出しても良い。例えば、図5の現患者の経過情報を基に、図4(2)に示すように集計して、患者に提供するようにしても良い。図4(2)の経過統計情報では、当初の診療プランにおける診療項目の回数、金額と、実績における回数、金額を集計している。さらに、診療項目に対する診療プランと実績の差額、及び診療プランの合計金額に対する現状の実績金額の比(計画値に対する現状値)を算出して、表記している。
【0017】
集計手段14が、集計した結果として、図4(1)の実績統計データ、或いはそれと図2(1)の診療プランとを、各病院毎に対比検討することができる。特に金額が最大どの程度になる恐れがあるかも判断できる。また、図4(2)の経過統計情報、或いはそれと図2(1)の診療プランとで対比検討して、将来の予測をすることができる。いずれも差額が算出され表記されているから、数値的に判断しやすい。
【0018】
データベース生成手段13は、診療情報取得手段12が取得した各病院,各疾病の診療プランを検索可能に診療データベースに編集して記憶している。同様に、診療情報取得手段12が取得した各病院,各疾病の患者別診療実績情報及びそれを集計手段14で修正した実績統計データを検索可能なデータベースとして編集し、記憶している。さらに、現患者の個人端末30からの要求により、患者が採用した診療プランを患者識別情報とともに現患者情報として登録(記憶)しておき、患者から経過実績情報の要求があったとき、診療情報取得手段12お呼び集計手段14が利用できるようにしておく。経過情報そのものを記憶しておいても良い。データベース生成手段13内の編集手段は、ユーザインターフェース手段16からの操作指示により、上記データベースを定期的に、或いは指示に従って編集又は更新するものである。
【0019】
表示情報生成手段15は、個人端末31から要求があったとき、診療データベース、実績統計データベースから読み出した該当する診療プラン、及び該当する実績統計データ並びに経過情報を、個別形式で、対比できる形式で、或いは案内を付して表示可能な情報に加工生成し、個人端末30へ送るものである。図6、図7に個人端末30で表示されたときの表示例を示す(説明は、後記を参照)。
【0020】
個人端末30又は個人携帯端末30aは、いはば、患者側の通信可能なコンピュータ又は携帯電話である。実施形態に係る機能構成は同じであり、個人端末30について説明する。個人端末30は、操作案内が表示される表示手段34と、その案内にしたがって操作する操作手段33と、通信手段31及びネットワークNを介してアクセスして医療情報提供装置10へ、操作して生成された情報、ここでは、主に、見積プラン要求(診療プラン閲覧要求)や自己の診療の経過情報要求を送る。そして、表示手段34は、各要求に応じて送られてくる、診療プラン、該当する実績統計データ及びに経過情報を表示する。個人携帯端末30aによれば、病院内である日の診療が済み、その会計を行う前に、自己の経過情報を読み出して確認できるメリットがある。
【0021】
個人端末30と、医療情報提供装置10との情報交換(通信)を個人端末30側の操作、表示を中心にして、図6及び図7を用いて説明する。
【0022】
患者が、自己の疾病について診療を受けようとしたとき、自己の個人端末30を操作して、医療情報アクセスプログラム(このプログラムとCPUとで、医療情報アクセス手段32を構成する。)を実行する。まず図6(1)の入力画面表示されるので、ID及び病名(疾病名称)を入力して、確認キーをクリックする。病名は、検索キーをクリックすると、病名の一覧が表示されるので、その中から選択する。
【0023】
選択されると、医療情報アクセス手段32は、図6(2)を表示させる(この時点で、「A2病院診療プラン」及び「A2病院実績統計データ」は表示されていない。)。患者は、次の案内にしたがって、病院リストを選択すると、医療情報アクセス手段32は、医療情報提供手段10にアクセスして、選択された病院かつ入力した疾病について(ここでは、A2病院が選択されたとする。)、「A2病院診療プラン」(図2(1)を参照)及び「A2病院実績統計データ」(図4(1)を参照)を読み出して、表示手段34へ表示させる。そのとき、集計手段14は、診療プランに対する実績差額(診療プランの金額と実績統計データの最小値、平均値、最大値との差)を計算し、個人端末は、これを受けて、表示する。そして、患者は、各病院について、表示上で比較することにより、自己の診療に適切と認識できる病院を選択する。差額が表示されているので、例えば、最大でどの程度の支払いが生ずるか検討できるし、その差額の少ない病院を選択することもできる。
【0024】
次に、医療情報アクセス手段32は、図6(3)の編集画面を表示させてくるので、患者は、編集画面の案内に沿って。編集するかどうか、例えば、実績統計データ等を参考に、決定する。図6(3)では、検査項目について、選択した診療プランの追加希望箇所に、検査項目について表示画面の追加リストから選択することにより、追加できるようにしたものである。例えば、実績からするとMRI(点数F1)検査の可能性があり、その金額が大きいので今の段階で選択すると、診療プランに検査項目(内訳:MRI)が追加され、点数F1分の金額が追加されたプランが編集される。診療項目、削除、追加等もできる。
【0025】
次に図7の画面が表示され、患者が選択し又は編集して、確定した診療プランが表示される。表示形式は、確定した診療プラン(例として図2(1))と経過情報(例として図5)の対比表示、又は診療プラン(例として図2(1))と経過統計情報(例として図4(2))の対比表示を選択できるようになっている。対比表示でなく、個別的に表示させても良い。なお、経過情報と経過統計情報は、診療がある程度進行してから表示させることが効果的である。これらの表示にあっても、診療プランと診療経過中との、金額の差額は、経過情報と経過統計情報の中に表記されている(図2(1)及び図4(2))。
【0026】
次に図3を基に、医療情報提供装置を中心とした動作を説明する。図3中にS番号で表示されているステップ順に説明する。
【0027】
ステップS0;各病院情報システムにおいて、病名毎の診療項目及び費用情報を含む診療プラン(例:図2(1))を作成し読み出し可能に記憶しておく。また、病名毎の診療プランに対応し、過去の実績金額を含む診療実績情報(例:図2(2))を収集し、読み出し可能に記憶する。
ステップS1;医療情報提供装置10の診療情報取得手段12は、定期的または指定された時期に、各診療機関にアクセスして、診療プラン、及び診療実績情報を取得する。
【0028】
ステップS2;集計手段14は、患者別の診療実績情報を受けて、過去の金額の最小値、平均値、最大値を含む実績統計データ(例:図4(1))を算出する。
ステップS3;データベース生成手段13は、診療プラン及び前記実績統計データを検索可能に、それぞれを診療プランデータベース及び実績統計データベースとして生成し、検索可能に保管管理する。
ステップS4;患者が、個人端末30から医療情報提供装置10に対して、自己のIDとこれから受診希望とする病名を提示して、見積もりを要求する(例:図6(1))。
ステップS5;医療情報提供装置10は、要求の病名に係る、各診療機関の診療プラン及び実績統計データを診療プランデータベース及び実績統計データベースから検索して、さらにそれらの差額を算出して、対比表示可能に個人端末30へ送る(例:図6(2))。
【0029】
ステップS6;患者は、自己の個人端末30で、病院毎に、診療プラン、実績統計データ、及び差額を対比して閲覧する。
ステップS7;患者は、いずれかの病院の診療プランを選択する(例:A2病院を選択)。
ステップS8;選択した病院の診療プランを編集するか?どうか判断する。実績統計データが判断の参考になる。
ステップS9a、9b;編集は、患者が個人端末30の表示手段34の編集画面(例:図6(2))を閲覧しながら行う。この編集画面上に必要な編集情報等については、医療情報提供装置から通信支援を受ける。
【0030】
ステップS10a、10b;患者は、個人端末30により、選択した病院診療、又は編集した診療プランのいずれかについて確認して、確定させる。この結果を、医療情報提供装置10では、患者ID、病名、病院名、診療プランを対応づけて登録する。
ステップS11a、11b;患者は、A2病院に通院し、受診を開始する。
ステップS12;A2病院は、診療する毎に、その項目及び金額を含む診療経過情報を収集し、読み出し可能に保存しておく。
ステップS13;患者が、自己の個人端末30から経過実績要求を医療情報提供装置10へ送る。
【0031】
ステップS14;経過実績要求を受けた医療情報提供装置10は、登録されている情報と照合したうえで、患者の受診しているA2病院にアクセスして、患者の診療項目及び金額を含む患者の経過情報を取得し、かつ、その経過情報の金額と、登録された診療プランの費用との差額を算出して、それらを表示可能にして個人端末30へ送る。
ステップS15;患者は、個人端末30に表示された経過情報又は経過統計情報(例:図7)を閲覧することにより、差額を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る実施形態の全体構成及び医療情報提供装置内の機能構成を示す図である。
【図2】(1)は、診療プランデータベースの一例を示す図、(2)は、患者別診療情実績報の一例を示す図である。
【図3】本実施形態の動作及び情報の流れを示す図である。
【図4】(1)は、実績統計データベースの一例を示す図であり、(2)は、現患者個人の経過統計情報である。
【図5】現患者の診療経過情報の一例を示す図である。
【図6】患者端末で、病院の診療プランから自己の診療プランを選択又は編集する段階までを説明するための図である。
【図7】患者端末に、経過情報を提供する例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 医療情報提供装置
11 通信手段
12 診療情報取得手段
13 データベース生成手段
14 集計手段
15 表示情報生成手段
16 ユーザインターフェース手段
20、21、22 診療機関
30 個人端末
30a 個人携帯端末
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、複数の診療機関から、各診療機関毎にかつ各疾病毎に、施す予定の診療項目に対する費用情報を含む診療プランを取得する診療情報取得手段と、前記各診療プランを前記ネットワークを介して患者端末から検索可能にデータベースとして生成するデータベース生成手段と、検索又は選択された診療プランを前記患者端末で表示可能に生成する表示情報生成手段とを備えたことを特徴とする医療情報提供装置。
【請求項2】
前記診療情報取得手段は、患者端末から患者識別情報及び診療機関識別情報受けて、当該診療機関から前記患者が受診したときの診療項目に対する実績費用を含む経過情報を取得し、前記表示情報生成手段は、患者の疾病に対応する診療プランと前記経過情報とを同時に患者端末で対比表示可能に編成することを特徴とする請求項1に記載の医療情報提供装置。
【請求項3】
患者端末から受診している患者の患者識別情報と診療機関識別情報とを受けたとき、前記患者の疾病に対応する診療プラン受けて、該診療プランの費用と前記患者の経過情報の実績費用との差額を算出する集計手段を備え、前記表示情報生成手段は、患者の疾病に対応する診療プラン及び前記経過情報とともに、前記差額を患者端末で対比表示可能に編成することを特徴とする請求項2に記載の医療情報提供装置。
【請求項4】
ネットワークを介して、複数の診療機関から、各診療機関毎にかつ疾病毎に診療項目に対する費用情報を含む診療プランを取得するとともに、前記各診療機関毎にかつ前記各疾病毎に過去の実績診療項目に対する過去の実績費用情報を含む診療実績情報を取得する診療情報取得手段と、
前記診療実績情報を基に前記各療機関毎にかつ疾病毎に、少なくとも前記過去の実績費用の平均値を含む実績統計データを算出する集計手段と、前記診療プラン及び前記実績統計データのそれぞれを基に、前記ネットワークを介して患者端末から検索可能に診療プランデータベース及び実績統計データベースとして生成するデータベース生成手段と、
各データベースから検索された診療プラン又は実績統計データを個々に、又は同時に前記患者端末で表示可能に編成する表示情報生成手段とを備えたことを特徴とする医療情報提供装置。
【請求項5】
前記集計手段は、さらに診療プランの費用と実績統計データの差額を算出し、
表示情報生成手段は、さらに前記差額を診療プラン又は実績統計データのいずれか一方と又は双方と表示可能に編成することを特徴とする請求項4に記載の医療情報提供装置。
【請求項6】
前記診療情報取得手段は、受診している患者の患者識別情報と診療機関識別情報とを前記患者端末から受けて、当該診療機関から前記患者が受診したときの診療項目に対する実績費用を含む経過情報を取得し、
前記集計手段は、前記診療プランデータベース又は実績統計データベースから受けた、患者の疾病に対応する診療プランの費用又は実績統計データのいずれかと、前記患者の経過情報における実績費用との差額を算出し、
前記表示情報生成手段は、前記患者の疾病に対応する診療プラン又は前記実績統計データのいずれかと前記患者の経過情報と前記差額とを同時に患者端末で表示可能に編成することを特徴とする請求項4又は5に記載の医療情報提供装置。
【請求項7】
前記患者端末から診療データベースの診療プランのいずれか一つを選択する指示と、該診療プランを変更する要求とを受けて、該診選択した診療プランを変更して、前記患者の疾病に対応する診療プランとして生成するプラン編集手段を備えたことを特徴とする請求項4,5又は6に記載の医療情報提供装置。
【請求項8】
前記集計手段は、平均値のほか最小値及び最大値も合わせて実績統計値に含めることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の医療情報提供装置。
【請求項9】
予め、ネットワークを介して、複数の診療機関から、各診療機関毎にかつ疾病毎に診療項目に対する費用情報を含む診療プランを取得するとともに、前記各診療機関毎にかつ前記各疾病毎に過去の実績診療項目に対する過去の実績費用情報を含む診療実績情報を取得して、前記診療実績情報を基に前記各療機関毎にかつ疾病毎に、少なくとも過去の実績費用の平均値を含む実績統計値を算出し、前記診療プラン及び前記実績統計値のそれぞれを基に、前記ネットワークを介して患者端末から検索可能に診療プランデータベース及び実績統計データベースとして生成するデータベース生成段階と、
患者端末からの要求を受けて、患者の疾病にかかる各診療機関の診療プランを診療プランデータベースから検索して、表示可能に患者端末へ送るプラン閲覧段階と、
該プラン閲覧段階と同時又は別に、患者の疾病にかかる各診療機関の実績統計データを前記実績統計データベースから検索して、表示可能に患者端末へ送るプラン閲覧段階と、
患者端末から、該プラン閲覧段階又はプラン閲覧段階で、受診希望の疾病と診療機関を選択されるプラン選択段階と、
患者の患者識別情報と該プラン選択段階で選択された診療機関識別情報とを前記患者端末から受けて、当該診療機関から前記患者が受診したときの費用を含む経過情報を取得するとともに、前記診療プランデータベース又は実績統計データベースから、患者の疾病に対応する診療プランの費用又は実績統計データのいずれかと前記患者の経過情報における実績費用との差額を算出する患者実績取得段階と、
前記患者の疾病に対応する診療プラン及び前記経過情報、又は前記実績統計データ及び患者の経過情報療情報のいずれかの組み合わせと、前記差額とを患者端末で表示可能に編成して送信する実績閲覧段階と、を備えたことを特徴とする医療情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−301760(P2006−301760A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119402(P2005−119402)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)