説明

医療情報生成装置、医療情報生成方法およびプログラム

【課題】傷病が併発する場合において、傷病と医療費の関係を正確に把握できる技術を提供する。
【解決手段】医療情報生成装置1は、少なくとも1以上の傷病情報と医療費を記載した複数のレセプト情報に基づいて、傷病群別の平均医療費を算出する傷病群別医療費算出部100と、一の傷病群の平均医療費と、当該一の傷病群を構成する全傷病および他の1つの傷病から構成される他の傷病群の平均医療費とに基づいて、当該一の傷病群と前記他の傷病群における平均医療費の差分である平均差分医療費を算出し、平均差分医療費が上位である傷病群間の組合せを抽出する医療費急増傷病群組合せ抽出部110と、レセプト情報、および、抽出された傷病群間の組合せに基づいて、医療費の増加に対する指導を要する被保険者、被保険者の現在の傷病、被保険者の予防すべき傷病を識別する情報を含む指導対象情報を生成する指導対象情報生成部120とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療情報生成装置、医療情報生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療費の増加抑制の方策として、傷病の早期発見、保健指導による重病化予防が考えられている。保険者による保険指導においては、傷病と医療費の関係を把握することによって、予防効果のより高い傷病に対象を絞り込むターゲッティングが有効である。
現在、ターゲッティングの実現に必要な傷病と医療費の関係を把握する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術は、各傷病の典型的な処方を予め規定しておき、診療報酬明細書(以下、「レセプト」という)に記載されている診療行為を傷病毎の典型的な処方とそれ以外の処方とに分離し、典型的な処方は対応する傷病に配分し、それ以外の処方は統計解析の手法を適用し各傷病に配分し、傷病毎の医療費を推計するというものである。
なお、レセプトには、患者、医療行為に係る情報、例えば、傷病名、診療行為名、使用薬品名、各診療行為の医療費、各使用薬品の医療費などが記載されるため、レセプトから医療費を算出できる。また、医療費は、点数形式で表現され、診療報酬点数の1点は10円に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−357437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、傷病が併発する場合において、正確に傷病と医療費の関係を把握することができないという問題がある。従って、特許文献1に記載された技術では、傷病が併発する場面の医療費の増加を正確に把握できないため、効果的な保健指導ができないという問題がある。
つまり、例えば、糖尿病と高血圧を併発している患者は、糖尿病の治療と降圧薬の相互作用に配慮した治療を必要とするように、傷病の併発時には、各傷病の個々の診療行為に加え、併発によって必要になる新たな診療行為やより高度な診療行為が必要になる場合がある。傷病の併発は、上述の如く診療行為に制約を与えるため、一般に、傷病の併発時の医療費は、個々の診療行為のそれぞれの医療費を単純に合算した金額に比べて大きくなるといわれている。ところが、特許文献1に記載された技術は、傷病は独立に生じ、治療行為は傷病毎になされるという思想に基づいて医療費を各傷病に配分させるものであるから、特許文献1に記載された技術は、傷病の併発時の適用には限界がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、傷病が併発する場合において、傷病と医療費の関係を正確に把握することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様である医療情報生成装置は、少なくとも1以上の傷病情報と医療費を記載した複数のレセプト情報に基づいて、1以上の傷病から構成される傷病群別の平均医療費を算出する傷病群別医療費算出部と、前記傷病群別医療費算出部によって算出された一の傷病群の平均医療費と、前記一の傷病群を構成する全傷病および他の1つの傷病から構成される他の傷病群の平均医療費とに基づいて、前記一の傷病群と前記他の傷病群における平均医療費の差分である平均差分医療費を算出し、傷病群間の組合せの中から前記平均差分医療費が上位である傷病群間の組合せを抽出する医療費急増傷病群組合せ抽出部と、レセプト情報、および、前記医療費急増傷病群組合せ抽出部によって抽出された前記傷病群間の組合せに基づいて、医療費の増加に対する指導を要する被保険者を識別する情報、前記被保険者の現在の傷病を識別する情報、前記被保険者の予防すべき傷病を識別する情報を含む、指導対象情報を生成する指導対象情報生成部とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記問医療情報生成装置において、前記傷病群別医療費算出部は、各傷病群を構成する傷病の組合せ間の類似度を、当該組み合わせを構成する傷病の要素の有無をベクトルとする各ベクトル間の角度として算出し、当該類似度に基づいて、一つの傷病群に集約し、集約後の傷病群別の平均医療費を算出するようにしてもよい。
【0008】
上記問医療情報生成装置において、前記傷病群別医療費算出部は、前記算出した傷病群の全ての組み合わせの類似度について、傷病群をノード、所定の閾値以上の類似度有するノード同士の関係をエッジとして、ネットワークデータとする隣接行列データを作成し、当該隣接行列データから、全てのノードについてエッジを有するクリークのうち、取りうる最大のサイズを有する極大クリークを構成する傷病群をそれぞれ一つの傷病群として集約し、集約後の傷病群別の平均医療費を算出するようにしてもよい。
【0009】
上記問医療情報生成装置は、一の傷病群を構成する各傷病を識別する情報と、前記一の傷病群を構成する各傷病および他の1つ傷病を識別する情報とに対応付けて、前記一の傷病群を構成する各傷病の発病中における前記他の1つの傷病の発病に対する予防内容を示す予防内容情報を記憶する予防内容記憶部と、前記指導対象情報生成部によって生成された前記指導対象情報と、前記予防内容記憶部に記憶されている前記予防内容情報に基づいて、前記指導を要する被保険者を識別する情報、前記被保険者の現在の傷病名、前記被保険者の予防すべき傷病名、前記予防すべき傷病に係る前記予防内容情報を含む、指導情報を出力する指導情報出力部とを更に備えるようにしてもよい。
【0010】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である医療情報生成方法は、少なくとも1以上の傷病情報と医療費を記載した複数のレセプト情報に基づいて、1以上の傷病から構成される傷病群別の平均医療費を算出する傷病群別医療費算出手段と、前記傷病群別医療費算出手段によって算出された一の傷病群の平均医療費と、前記一の傷病群を構成する全傷病および他の1つの傷病から構成される他の傷病群の平均医療費とに基づいて、前記一の傷病群と前記他の傷病群における平均医療費の差分である平均差分医療費を算出し、傷病群間の組合せの中から前記平均差分医療費が上位である傷病群間の組合せを抽出する医療費急増傷病群組合せ抽出手段と、レセプト情報、および、前記医療費急増傷病群組合せ抽出手段によって抽出された前記傷病群間の組合せに基づいて、医療費の増加に対する指導を要する被保険者を識別する情報、前記被保険者の現在の傷病を識別する情報、前記被保険者の予防すべき傷病を識別する情報を含む、指導対象情報を生成する指導対象情報生成手段とを備える。
【0011】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、医療情報を生成する医療情報生成装置のコンピュータに、少なくとも1以上の傷病情報と医療費を記載した複数のレセプト情報に基づいて、1以上の傷病から構成される傷病群別の平均医療費を算出する傷病群別医療費算出ステップと、前記傷病群別医療費算出ステップによって算出された一の傷病群の平均医療費と、前記一の傷病群を構成する全傷病および他の1つの傷病から構成される他の傷病群の平均医療費とに基づいて、前記一の傷病群と前記他の傷病群における平均医療費の差分である平均差分医療費を算出し、傷病群間の組合せの中から前記平均差分医療費が上位である傷病群間の組合せを抽出する医療費急増傷病群組合せ抽出ステップと、レセプト情報、および、前記医療費急増傷病群組合せ抽出ステップによって抽出された前記傷病群間の組合せに基づいて、医療費の増加に対する指導を要する被保険者を識別する情報、前記被保険者の現在の傷病を識別する情報、前記被保険者の予防すべき傷病を識別する情報を含む、指導対象情報を生成する指導対象情報生成ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1以上の傷病から構成される傷病群別に医療費を算出するようにしているため、傷病が併発する場合の傷病と医療費の関係を正確に把握することができるようになる。また、本発明によれば、ある傷病群の医療費と、当該傷病群に傷病が1個追加したときの傷病群の医療費の差を算出するようにしているため、N個(Nは整数)の傷病から更に傷病が1個追加した場合の医療費増加分を正確に把握できるようになる。具体的には、傷病が追加し初めて併発となる場面、既に傷病が併発していて更に1つ追加する場面であっても、医療費の増加分を適切に把握できるようになる。従って、効果的な保健指導を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】医療情報生成装置1の構成図である。
【図2】記憶手段に記憶される情報の一例である。
【図3】記憶手段に記憶される情報の一例である。
【図4】記憶手段に記憶される情報の一例である。
【図5】記憶手段に記憶される情報の一例である。
【図6】傷病群別医療費算出部100、医療費急増傷病群組合せ抽出部110、指導対象情報生成部120の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】傷病群別医療費算出部100、医療費急増傷病群組合せ抽出部110、指導対象情報生成部120における各種情報の流れを示すDFD(Data Flow Diagram)である。
【図8】医療費集計部102の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】類似度算出部104の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】類似度算出部104の動作を説明するための説明図である。
【図11】類似傷病群抽出部106の動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】類似傷病群抽出部106の動作を説明するための説明図である。
【図13】類似傷病群抽出部106の動作を説明するための説明図である。
【図14】医療費集計部102の動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】差分医療費算出部112の動作の一例を示すフローチャートである。
【図16】指導対象情報生成部120の動作の一例を示すフローチャートである。
【図17】指導情報出力部130の動作の一例を示すフローチャート等である。
【図18】医療費の急増ランキングの生成と応用の概念図である。
【図19】傷病群の集約の概念を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る医療情報生成装置1は、例えば、サーバコンピュータまたはパーソナルコンピュータであって、図1に示すように、入出力手段、演算手段、記憶手段を備える。医療情報生成装置1は、記憶手段として、傷病名マスタ記憶部10、予防内容マスタ記憶部20、レセプトデータベース30、レセプトデータベース40、傷病群別レコード記憶部50、傷病群間差分医療費レコード記憶部60、上位差分医療費レコード記憶部70および指導対象レコード記憶部80を備える。医療情報生成装置1は、演算手段として、傷病群別医療費算出部100、医療費急増傷病群組合せ抽出部110、指導対象情報生成部120、指導情報出力部130およびメモリ140を備える。傷病群別医療費算出部100は、医療費集計部102、類似度算出部104および類似傷病群抽出部106を備える。医療費急増傷病群組合せ抽出部110は、差分医療費算出部112および上位差分医療費抽出部114を備える。
【0015】
傷病名マスタ情報記憶部10は、傷病名マスタ情報を記憶する領域である。傷病名マスタ情報の各レコードは、図2(a)に示すように、傷病コード、傷病名の各項目を有する。傷病コードは、傷病を識別する識別情報である。なお、図2(a)のレコードAは、傷病コード「S01」に対応付けて傷病名「A」を記憶している。
【0016】
予防内容マスタ情報記憶部20は、予防内容マスタ情報を記憶する領域である。予防内容マスタ情報の各レコードは、第1の情報群、第2の情報群、予防内容情報の各項目を有する。項目「第1の情報群」には、1以上の傷病から構成される傷病群を構成する各傷病を識別する各傷病コードが記憶され、項目「第2の情報群」には、第1の情報群によって識別される各傷病を識別する各傷病コードおよび他の1つの傷病を識別する傷病コードが記憶され、項目「予防内容情報」には、第1の情報群によって識別される各傷病を発病している場合における上記他の1つの傷病の発病に対する予防内容を示す情報が記憶される。例えば、項目「予防内容情報」には、「高血圧を避けるため、減塩食の指導を行う。」「体重増加を抑制するため、定期的な運動(ウォーキング)を指導する。」などのテキストデータが記憶される。なお、予防内容は、保険者または医療機関による被保険者への指導内容である。
【0017】
即ち、予防内容マスタ情報の各レコードは、図2(b)に示すように、第1の情報群に相当する、現在発病している各傷病を識別する情報である現在傷病コードリスト、第2の情報群に相当する、現在発病している各傷病および将来発病する可能性のある他の1つの傷病を識別する情報である将来傷病コードリスト、現在傷病コードリストによって識別される各傷病を発病している場合における、将来傷病コードリストに存在し現在傷病コードリストに存在しない傷病コードによって識別される傷病の発病に対する予防内容を示す予防内容情報の各項目を有する。なお、図2(b)のレコードBは、現在傷病コードリスト「S01」および将来傷病コードリスト「S01,S02」に対応付けて、傷病コード「S01」によって識別される傷病を発病している場合における、傷病コード「S02」によって識別される傷病の発病に対する予防内容を示す予防内容情報を記憶している。
【0018】
レセプトデータベース30は、過去一定期間分のレセプトに基づく情報であるレセプト情報を記憶する領域である。レセプト情報は、少なくとも1以上の傷病情報と医療費が記載されている情報である。過去一定期間分のレセプトに基づくレセプト情報の各レコードは、図2(c)に示すように、レセプトID、被保険者名、傷病コードリスト、診療報酬点数の各項目を有する。レセプトIDは、個々のレセプト情報を識別する情報である。なお、図2(c)のレコードCは、レセプトID「R080001」に対応付けて、被保険者名「保険太郎」、傷病コードリスト「S02」および診療報酬点数「500」を記憶している。
【0019】
レセプトデータベース40は、今年度分のレセプトに基づく情報であるレセプト情報を記憶する領域である。今年度分のレセプトに基づくレセプト情報の各レコードは、図2(d)に示すように、レセプトID、被保険者名、傷病コードリスト、診療報酬点数の各項目を有する。なお、図2(d)のレコードDは、レセプトID「R090001」に対応付けて、被保険者名「保険太郎」、傷病コードリスト「S01」および診療報酬点数「210」を記憶している。
【0020】
傷病群別レコード記憶部50、傷病群間差分医療費レコード記憶部60、上位差分医療費レコード記憶部70および指導対象レコード記憶部80については後述する。
【0021】
傷病群別医療費算出部100は、複数のレセプト情報に基づいて、1以上の傷病から構成される傷病群別の平均医療費を算出する。具体的には、傷病群別医療費算出部100は、類似する傷病群同士を1つの傷病群に集約し、集約後の傷病群別の平均医療費を算出する。例えば、傷病群別医療費算出部100は、各傷病群を構成する傷病の組合せ間の類似度を、当該組み合わせを構成する傷病の要素の有無をベクトルとする各ベクトル間の角度として算出し、当該類似度に基づいて、一つの傷病群に集約し、集約後の傷病群別の平均医療費を算出する。より詳細には、傷病群別医療費算出部100は、算出した傷病群の全ての組み合わせの類似度について、傷病群をノード、所定の閾値以上の類似度有するノード同士の関係をエッジとして、ネットワークデータとする隣接行列データを作成し、当該隣接行列データから、全てのノードについてエッジを有するクリークのうち、取りうる最大のサイズを有する極大クリークを構成する傷病群をそれぞれ一つの傷病群として集約し、集約後の傷病群別の平均医療費を算出する。
【0022】
以下、傷病群別医療費算出部100が備える医療費集計部102、類似度算出部104および類似傷病群抽出部106について説明する。まず、傷病群別医療費算出部100が備える医療費集計部102は、レセプトデータベース30および傷病群別レコード記憶部50を参照し、傷病群別の平均医療費を集計する。具体的には、医療費集計部102は、少なくとも、傷病コードリストおよび傷病群別の平均医療費を含む、傷病群別レコードを生成し、傷病群別レコード記憶部50に記憶する。図3(a)は、医療費集計部102によって生成および記憶される傷病群別レコードの一例である。なお、図3(a)に示す傷病群別レコードは、各傷病コードリストを識別するリストID、傷病コードリスト、件数、総医療費および平均医療費の各項目を有する。なお、図3(a)のレコードAは、リストID「L001」に対応付けて、傷病コードリスト「S01」、件数「800」、総医療費「160000」および平均医療費「200」を記憶している。
【0023】
傷病群別医療費算出部100が備える類似度算出部104は、傷病群別レコード記憶部50を参照し、各傷病群を構成する各傷病組合せ間の類似度をそれぞれ算出する。例えば、類似度算出部104は、予め設定した類似尺度を用いて、各傷病群を構成する傷病の組合せの類似度を算出する。傷病の組合せの類似度を算出した類似度算出部104は、傷病の組合せの類似度を示す情報を生成する。但し、類似度算出部104は、比較対象の傷病の組合せ同士の平均医療費の差が閾値以上である場合、傷病の組合せの類似度を示す情報において、当該傷病の組合せ同士の類似度を0に書き込む。なお、上記類似尺度は、例えば、コサイン類似度、ハミルトン距離、ハミング距離、編集距離などである。
【0024】
傷病群別医療費算出部100が備える類似傷病群抽出部106は、類似度算出部104によって算出された各傷病群を構成する傷病の組合せの類似度を示す情報、および、傷病群別レコード記憶部50を参照し、傷病の組合せの類似度が閾値以上である傷病群同士を類似傷病群として抽出する。例えば、類似傷病群抽出部106は、隣接行列を生成し、極大クリーク抽出アルゴリズムを用いて、傷病の組合せの類似度が閾値以上である傷病群同士を類似傷病群として抽出する。当該閾値を調整することによって、類似傷病群に含まれる傷病群の数、即ち、傷病群の集約の程度を調整することができる。なお、任意の2ノード間にエッジがあるグラフを完全グラフというが、完全グラフである部分グラフをクリークという。即ち、あるグラフHが完全グラフであってグラフGの部分グラフであるとき、グラフHはグラフGのクリークとなる。また、極大クリークとは、ノードを1つでも増やすとクリークではなくなるクリークをいう。なお、極大クリーク抽出アルゴリズムを用いて類似傷病群を抽出することによって、傷病コードが異なっていても、類似傷病群として一律に扱い、抽出すべき傷病間の差分を取得しやすくしている。つまり、医師や診療機関によって表記のブレがあり、同一・類似の傷病であっても異なった傷病コードを割り当てられることがあるが、表記のブレを考慮した上で傷病組合せと医療費の関係を把握することが望ましい。表記のブレを考慮した上で傷病組合せと医療費の関係を把握するための手段として、傷病組合せ間(ノード)の類似性に着目し、互いに類似している傷病組合せを一つの群として抽出している。
【0025】
更に、医療費集計部102は、類似傷病群抽出部106によって抽出された類似傷病群を示す情報を参照し、類似する傷病群同士を1つの傷病群として集約し、傷病群別の平均医療費を再集計する。換言すれば、医療費集計部102は、集約後の傷病群に基づいて、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている傷病群別レコードを再生成、即ち、類似する傷病群同士を集約した傷病群別レコードを生成する。図3(b)は、医療費集計部102によって生成および記憶される、集約後の傷病群別レコードの一例である。なお、図3(b)のレコードDは、図3(a)のレコードB、レコードCを集約したレコードである。
【0026】
以上の様に、傷病群別医療費算出部100は、各傷病群を構成する傷病の組合せにおける類似度を定量化し、類似度が閾値以上であって、かつ、各傷病群の平均医療費の差が所定値以下である、類似する傷病群同士を1つの傷病群として集約し、集約後の傷病群別の平均医療費を算出する。
【0027】
医療費急増傷病群組合せ抽出部110は、傷病群別医療費算出部100によって算出された一の傷病群の平均医療費と、当該一の傷病群を構成する全傷病および他の1つの傷病から構成される他の傷病群の平均医療費とに基づいて、当該一の傷病群と当該他の傷病群における平均医療費の差分である平均差分医療費を算出し、傷病群間の組合せの中から平均差分医療費が上位である傷病群間の組合せを抽出する。即ち、医療費急増傷病群組合せ抽出部110は、平均差分医療費に基づいて、1つの傷病の追加によって平均医療費が急増する、追加前の傷病群と追加後の傷病群との組合せを抽出する。
【0028】
より詳細には、まず、医療費急増傷病群組合せ抽出部110が備える差分医療費算出部112は、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている傷病群別レコード、即ち、集約後の傷病群別レコードを参照し、一の傷病群の平均医療費と、当該一の傷病群を構成する全傷病および他の1つの傷病から構成される他の傷病群の平均医療費とに基づいて、当該一の傷病群と当該他の傷病群における平均医療費の差分である平均差分医療費を算出する。具体的には、差分医療費算出部112は、平均差分医療費を含む、傷病群間差分医療費レコードを生成し、傷病群間差分医療費レコード記憶部60に記憶する。図4(a)は、差分医療費算出部112によって生成および記憶される傷病群間差分医療費レコードの一例である。なお、図4(a)に示す傷病群間差分医療費レコードは、現在傷病コードリスト、将来傷病コードリスト、平均差分医療費の各項目を有する。なお、図4(a)のレコードAは、現在傷病コードリスト「S01」および将来傷病コードリスト「S01,S02」に対応付けて、平均差分医療費「600」を記憶している。
【0029】
医療費急増傷病群組合せ抽出部110が備える上位差分医療費抽出部114は、傷病群間差分医療費レコード記憶部60を参照し、平均医療費が急増する傷病群間の組合せとして、平均差分医療費が大きい上位所定数の傷病群間の組合せを抽出する。具体的には、上位差分医療費抽出部114は、傷病群間差分医療費レコード記憶部60から平均差分医療費が大きい上位所定数の傷病群間差分医療費レコードを抽出し、上位差分医療費レコードとして位差分医療費レコード記憶部70に記憶する。図4(b)は、上位差分医療費抽出部114によって記憶される上位差分医療費レコードの一例である。なお、図4(b)に示す上位差分医療費レコードは、現在傷病コードリスト、将来傷病コードリスト、平均差分医療費の各項目を有する。
【0030】
指導対象情報生成部120は、レセプトデータベース40および上位差分医療費レコード記憶部70を参照し、保健指導の対象である指導対象を抽出する。具体的には、指導対象情報生成部120は、少なくとも、被保険者名、現在傷病コードリストおよび将来傷病コードリストを含む、指導対象レコードを生成し、指導対象レコード記憶部80に記憶する。換言すれば、指導対象情報生成部120は、今年度分のレセプト情報、および、医療費急増傷病群組合せ抽出部110によって抽出された平均医療費が急増する傷病群間の組合せに基づいて、医療費の増加に対する指導を要する被保険者、換言すれば医療費が急増する恐れがある被保険者、当該被保険者の現在の傷病を識別する情報、当該被保険者の予防すべき傷病を識別する情報を含む、指導対象レコードを生成し、指導対象レコード記憶部80に記憶する。図5(a)は、指導対象情報生成部120によって生成および記憶される指導対象レコードの一例である。なお、図5(a)に示す指導対象レコードは、被保険者名、現在傷病コードリスト、将来傷病コードリスト、平均差分医療費である平均増加医療費の項目を有する。なお、図5(a)のレコードAは、被保険者名「保険太郎」、現在傷病コードリスト「S01」および将来傷病コードリスト「S01,S02」に対応付けて、平均差分医療費「600」を記憶している。
【0031】
指導情報出力部130は、指導対象レコード記憶部80、傷病名マスタ情報記憶部10、予防内容マスタ情報記憶部20を参照し、保健指導に係る情報である指導情報を生成、出力する。具体的には、指導情報出力部130は、少なくとも、被保険者名、現在の傷病名、予防すべき傷病名、予防内容情報を含む、指導情報を生成し、入出力手段に供給する。換言すれば、指導情報出力部130は、指導対象情報生成部120によって生成された指導対象レコードと、予防内容マスタ情報記憶部20に記憶されている予防内容マスタ情報に基づいて、医療費の増加に対する指導、つまり急増する医療費に対する指導を要する被保険者、当該被保険者の現在の傷病名、当該被保険者の予防すべき傷病名、予防内容情報を含む、指導情報を生成、出力する。図5(b)(c)は、指導情報出力部130によって生成および出力される指導情報の一例である。
【0032】
なお、図5(b)に示す指導情報は、被保険者を指定しない場合の出力であって、被保険者名、現在の傷病名、同傷病コード、予防すべき傷病名、同傷病コード、平均差分医療費である平均増加医療費、予防内容情報の各項目を有する。なお、図5(b)の欄Bは、被保険者名「保険太郎」、現在の傷病名「A」、現在の傷病の傷病コード「S01」、予防すべき傷病名「B」、予防すべき傷病の傷病コード「S02」、平均増加医療費「600」、予防内容情報を記憶している。
【0033】
また、図5(c)に示す指導情報は、被保険者を指定した場合の出力であって、被保険者名、現在の傷病名、同傷病コード、予防すべき傷病名、同傷病コード、平均差分医療費である平均増加医療費、予防内容情報の各項目を有する。なお、図5(c)の欄Cは、傷病コード「S01」により識別される傷病名「A」を発症している被保険者名「保険太郎」について、予防すべき傷病名「B」、予防すべき傷病の傷病コード「S02」、平均増加医療費「600」、予防内容情報を記憶している。
【0034】
続いて、図6乃至図16を用いて、傷病群別医療費算出部100、医療費急増傷病群組合せ抽出部110、指導対象情報生成部120の動作、および、傷病群別医療費算出部100、医療費急増傷病群組合せ抽出部110、指導対象情報生成部120における各種情報の流れを説明する。なお、図6に示すフローチャートは、例えば、入力手段を介して指導対象レコードを生成すべき旨の命令を取得した場合、または、所定の時刻に開始する。また、図7のDFDおいて、プロセス「医療費集計」は医療費集計部102によって実行されるプロセスであって図7のステップS100の処理に相当し、プロセス「類似度算出」は類似度算出部104によって実行されるプロセスであってステップS200の処理に相当し、プロセス「類似傷病群抽出」は医療費集計部106によって実行されるプロセスであってステップS300の処理に相当し、プロセス「傷病群集約」は医療費集計部102によって実行されるプロセスであってステップS400の処理に相当し、プロセス「平均差分医療費算出」は差分医療費算出部112によって実行されるプロセスであってステップS500の処理に相当し、プロセス「上位抽出」は上位差分医療費抽出部114によって実行されるプロセスであってステップS600の処理に相当し、プロセス「指導対象抽出」は指導対象情報生成部120によって実行されるプロセスであってステップS700の処理に相当する。
【0035】
図6において、医療費集計部102は、レセプトデータベース30に記憶されている過去一定期間分のレセプト情報、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている傷病群別レコードを参照し、傷病群別の平均医療費を集計する(ステップS100)。具体的には、医療費集計部102は、図7に示すように、過去一定期間分のレセプト情報および傷病群別レコードを参照し、傷病群別レコードを生成し、傷病群別レコード記憶部50に記憶する。なお、図7において「傷病群別レコード(集約前)」は集約前の傷病群別レコード、「傷病群別レコード(集約後)」は集約後の傷病群別レコードを示す。
【0036】
ステップS100に係る処理を詳細化した図8に示すフローチャートを用いて、ステップS100に係る処理を更に説明する。図8において、医療費集計部102は、レセプトデータベース30から1件のレコードを取得する(ステップS110)。医療費集計部102は、傷病群別医療費レコード記憶部50を参照し、取得レコードの傷病コードリストと同一の傷病コードリストである傷病群別医療費レコードが存在するか否かを判断する(ステップS120)。
【0037】
医療費集計部102は、取得レコードの傷病コードリストと同一の傷病コードリストである傷病群別医療費レコードが存在しないと判断した場合(ステップS120:No)、取得レコードに基づいて、傷病群別医療費レコードを生成する(ステップS130)。具体的には、医療費集計部102は、項目「傷病コードリスト」に取得レコードの項目「傷病コードリスト」の値を書き込み、項目「件数」に1を書き込み、項目「総医療費」および項目「平均医療費」に取得レコードの項目「診療報酬点数」の値を書き込み、傷病群別医療費レコードを生成し、傷病群別医療費レコード記憶部50に記憶する。
【0038】
医療費集計部102は、取得レコードの傷病コードリストと同一の傷病コードリストである傷病群別医療費レコードが存在すると判断した場合(ステップS120:Yes)、取得レコード等に基づいて、当該傷病群別医療費レコードを更新する(ステップS140)。具体的には、医療費集計部102は、当該傷病群別医療費レコードの項目「件数」の値に1を加算し、項目「総医療費」の値に取得レコードの項目「診療報酬点数」の値を加算し、加算後の診療報酬点数と加算後の件数とから平均医療費を算出し、項目「平均医療費」に書き込み。
【0039】
ステップS130またはステップS140に続いて、医療費集計部102は、レセプトデータベース30から全てのレコードを取得したか否かを判断する(ステップS150)。医療費集計部102は、レセプトデータベース30から全てのレコードを取得していないと判断した場合(ステップS150:No)、ステップS110に戻って、レセプトデータベース30から次の1件のレコードを取得する(ステップS110)。
【0040】
医療費集計部102は、レセプトデータベース30から全てのレコードを取得したと判断した場合(ステップS150:Yes)、傷病群別医療費レコードを傷病群順にソートする(ステップS160)。医療費集計部102は、ソート後の各傷病群別医療費レコードの項目「リストID」にコードを昇順に書き込む。これにより、図3(a)に示すような傷病群別医療費レコードが生成される。そして本フローチャートは終了する。
【0041】
図6において、類似度算出部104は、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている集約前の傷病群別レコードを参照し、各傷病群を構成する傷病の組合せの類似度を算出する(ステップS200)。具体的には、類似度算出部104は、図7に示すように、集約前の傷病群別レコードを参照し、傷病の組合せの類似度を示す情報を生成し、メモリ140に記憶する。
【0042】
ステップS200に係る処理を詳細化した図9に示すフローチャートなどを用いて、ステップS200に係る処理を更に説明する。図9において、類似度算出部104は、傷病群別レコード記憶部50から1件のレコードをリストIDの昇順に比較元レコードとして取得する(ステップS210)。類似度算出部104は、傷病群別レコード記憶部50から比較元レコードとして最後レコードを取得したか否かを判断する(ステップS220)。類似度算出部104は、傷病群別レコード記憶部50から比較元レコードとして最後レコードを取得したと判断した場合(ステップS220:Yes)、本フローチャートは終了する。類似度算出部104は、傷病群別レコード記憶部50から比較元レコードとして最後レコードを取得していないと判断した場合(ステップS220:No)、最後に実行したステップS210において取得した比較元レコード、即ち、最後に取得した比較元レコードを基点に、傷病群別レコード記憶部50から他の1件のレコードをリストIDの昇順に比較先レコードとして取得する(ステップS230)。
【0043】
ステップS230に続いて、類似度算出部104は、比較元レコードの傷病コードリストと比較先レコードの傷病コードリストとの類似度を算出する(ステップS240)。具体的には、まず、類似度算出部104は、傷病コードリストを、傷病コードリストに含まれる傷病コード毎のダミー変数、即ち、図10(a)に示すように、0−1ベクトルによって表現する。なお、図10(a)は、各リストIDによって示される各傷病コードリストの0−1ベクトル表現である。例えば、行Aは、リストID「L001」によって示される傷病コードリスト「S01」の0−1ベクトル表現であって、項目「S01」には1、他の項目には0を書き込む。また、例えば、行Bは、リストID「L011」によって示される傷病コードリスト「S01,S03」の0−1ベクトル表現であって、項目「S01」「S03」には1、他の項目には0を書き込む。
【0044】
傷病コードリストを0−1ベクトル表現した類似度算出部104は、0−1ベクトル間の類似度を測る尺度を用いて、比較対象の傷病コードリスト同士の類似度、即ち、一の傷病コードリストによって示される傷病の組合せと、他の傷病コードリストによって示される傷病の組合せの類似度を算出する。例えば、類似度算出部104は、下記式(1)によって示されるコサイン類似度を用いて、比較対象の傷病コードリスト同士の類似度を算出する。
【0045】
コサイン類似度s(v,w):=<v,w>/(│v││w│)・・・(1)
但し、<v,w>はベクトルの内積、│v│,│w│はベクトルのノルムである。
【0046】
比較対象の傷病コードリスト同士の類似度、即ち、比較対象の傷病の組合せ同士の類似度を算出した類似度算出部104は、傷病の組合せの類似度を示す情報を生成する(ステップS250)。具体的には、類似度算出部104は、比較対象の傷病の組合せ同士の平均医療費の差、即ち、比較対象の傷病群同士の平均医療費の差が所定値以下である場合、当該傷病の組合せ同士の類似度としてステップS240において算出した類似度を書き込み、比較対象の傷病群同士の平均医療費の差が所定値超である場合、当該傷病の組合せ同士の類似度として0を書き込むことによって、図10(b)に示すような、傷病の組合せの類似度を示す情報を生成する。なお、図10(b)のレコードAは、傷病コードリスト「L001」および傷病コードリスト「L002」の類似度に対応付けて、類似度「0.2」を記憶している。即ち、傷病コードリスト「L001」によって識別される傷病の組合せと、傷病コードリスト「L002」によって識別される傷病の組合せとの類似度が0.2である旨を記憶している。
【0047】
ステップS250に続いて、類似度算出部104は、傷病群別レコード記憶部50から比較先レコードとして最後レコードを取得したか否かを判断する(ステップS260)。類似度算出部104は、傷病群別レコード記憶部50から比較先レコードとして最後レコードを取得していないと判断した場合(ステップS260:No)、ステップS230に戻って、傷病群別レコード記憶部50から次の1件のレコードを比較先レコードとして取得する(ステップS230)。類似度算出部104は、傷病群別レコード記憶部50から比較先レコードとして最後レコードを取得したと判断した場合(ステップS260:Yes)、ステップS210に戻って、傷病群別レコード記憶部50から次の1件のレコードを比較元レコードとして取得する(ステップS210)。
【0048】
図6において、類似傷病群抽出部106は、メモリ140に記憶されている傷病の組合せの類似度を示す情報、および、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている集約前の傷病群別レコードを参照し、各傷病群を構成する傷病の組合せにおける類似度が閾値以上である傷病群同士を類似傷病群として抽出する(ステップS300)。具体的には、類似度算出部104は、図7に示すように、傷病の組合せの類似度を示す情報および集約前の傷病群別レコードを参照し、類似傷病群を示す情報を生成し、メモリ140に記憶する。
【0049】
ステップS300に係る処理を詳細化した図11に示すフローチャートなどを用いて、ステップS300に係る処理を更に説明する。図11において、類似傷病群抽出部106は、メモリ140に記憶されている傷病の組合せの類似度を示す情報から、傷病コードリスト(i)と傷病コードリスト(j)の類似度を取得する(ステップS310)。具体的には、例えば、類似傷病群抽出部106は、傷病の組合せの類似度を示す情報の各レコードを上から順番に取得し、取得レコードから上記類似度を取得する。例えば、類似傷病群抽出部106は、最初に、図10(b)のレコードAを取得し、傷病コードリスト(1)とする比較元リストIDの傷病コードリスト「L001」と傷病コードリスト(2)とする比較先リストID「L002」の類似度「0.2」を取得する。
【0050】
傷病コードリスト(i)と傷病コードリスト(j)の類似度を取得した類似傷病群抽出部106は、傷病コードリスト(i)と傷病コードリスト(j)の類似度が閾値(例えば0.5)以上であるか否かを判断する(ステップS320)
【0051】
類似傷病群抽出部106は、傷病コードリスト(i)と傷病コードリスト(j)の類似度が閾値未満であると判断した場合(ステップS320:No)、N×Nの隣接行列の第(i,j)要素と第(j,i)要素に0を書き込む(ステップS330)。例えば、類似傷病群抽出部106は、傷病コードリスト(1)である傷病コードリスト「L001」と、傷病コードリスト(2)である傷病コードリスト「L002」の類似度「0.2」が閾値「0.5」未満であると判断した場合、図12に示すように、隣接行列の(1,2)要素である要素Aと、隣接行列の(2,1)要素である要素Bに0を書き込む。
【0052】
類似傷病群抽出部106は、傷病コードリスト(i)と傷病コードリスト(i)の類似度が閾値以上であると判断した場合(ステップS320:Yes)、N×Nの隣接行列の第(i,j)要素と第(j,i)要素に1を書き込む(ステップS340)。例えば、類似傷病群抽出部106は、傷病コードリスト(3)である傷病コードリスト「L003」と、傷病コードリスト(4)である傷病コードリスト「L004」の類似度「0.8」が閾値「0.5」以上であると判断した場合、図12に示すように、隣接行列の(3、4)要素である要素Cと、隣接行列の(4,3)要素である要素Dに1を書き込む。なお、類似傷病群抽出部106は、ステップS330またはステップS340を最初に実行するときにメモリ140に隣接行列を生成する。
【0053】
ステップS330またはステップS340に続いて、類似傷病群抽出部106は、傷病コードリストの全ての組合せの類似度を取得したか否かを判断する(ステップS350)。類似傷病群抽出部106は、傷病コードリストの全ての組合せの類似度を取得していないと判断した場合(ステップS350:No)、ステップS310に戻って、メモリ140から傷病コードリスト(i)と傷病コードリスト(j)の類似度を取得する(ステップS310)。
【0054】
類似傷病群抽出部106は、傷病コードリストの全ての組合せの類似度を取得したと判断した場合(ステップS350:Yes)、N×Nの隣接行列を参照し、極大クリークアルゴリズムにより類似傷病群を抽出し、類似傷病群を示す情報を生成する(ステップS360)。そして本フローチャートは終了する。具体的には、類似傷病群抽出部106は、N×Nの隣接行列から、傷病コードリストをノード、傷病コードリスト同士の類似関係をエッジとする、図13(a)に示すようなグラフを生成し、極大クリークアルゴリズムにより、図13(b)に示すように、類似傷病群として極大クリークを抽出し、図13(c)に示すような、類似傷病群を示す情報を生成する。なお、図13(c)のレコードAは、傷病コードリスト「L003」および傷病コードリスト「L004」が類似傷病群である旨を記憶している。
【0055】
極大クリークを抽出について説明する。
(データ入力)
類似傷病群抽出部106は、入力データとして、グラフG=(V,E)を入力する。Vは{傷病組合せ,件数,総医療費}をノードとするときのノード集合、Eはノード間の類似関係をエッジとするときのエッジ集合である。つまり、ノード集合のノードは傷病組合せを表し、類似関係のある傷病組合せ間にエッジを張り(エッジを有りとする)、その隣接関係をN×Nの隣接行列で表現する。
(クリーク抽出)
類似傷病群抽出部106は、グラフGに対し、クリークを抽出する。クリークを抽出する方法としては種々の方法が存在するが、類似傷病群抽出部106は、例えば、以下の方法によってクリークを抽出する。
ステップ1:Vからノードvを1つ選択する。
ステップ2:ノードvとエッジが張られているノードのリストを作成し、サイズ2のクリークとしてテーブルに記憶する。この際、集合として同値な組合せはテーブルから除外する。
ステップ3:サイズ2のリストに記載されている各クリークに対し、クリーク内の全てのノードとエッジが張られているノードがある場合は、そのノードとクリーク内のノードのリストをサイズ3のクリークとしてテーブルに記憶する。
ステップ4:ステップ3をサイズ3、4、5、…と登録されるクリークが無くなる迄繰り返す。即ち、ステップ4終了時点で、ノードvを含むクリークが列挙される。
ステップ5:登録された各クリークについて、クリークに含まれていないノードを1つ追加した際に既に登録されているクリークと集合として同値な組合せになるものはリストから除外する。
以上の方法により、ノードvを含む極大クリークを列挙することができるので、ノード集合Vに含まれる全てのノードについてステップ1〜ステップ5を行うことで極大クリークを全て列挙することができる。
【0056】
図6において、医療費集計部102は、メモリ140に記憶されている類似傷病群を示す情報、および、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている集約前の傷病群別レコードを参照し、類似する傷病群同士を1つの傷病群として集約し、傷病群別の平均医療費を再集計する(ステップS400)。具体的には、医療費集計部102は、図7に示すように類似傷病群を示す情報および集約前の傷病群別レコードを参照し、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている傷病群別レコードを再生成、即ち、類似する傷病群同士を集約した傷病群別レコードを生成する。
【0057】
ステップS400に係る処理を詳細化した図14に示すフローチャートを用いて、ステップS400に係る処理を更に説明する。図14において、医療費集計部102は、メモリ140に記憶されている類似傷病群を示す情報、および、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている集約前の傷病群別レコードを参照し、各類似傷病群内の各傷病群に共通する傷病コードを抽出する(ステップS410)。換言すれば、医療費集計部102は極大クリーク内で頻出する傷病の組合せを抽出する。例えば、医療費集計部102は、類似傷病群内の傷病群のうち、所定の割合(例えば、60%)以上の傷病群に共通して現れている傷病コードを抽出する。
【0058】
クリーク内で頻出する傷病の組合せの抽出について説明する。
(データ入力)
医療費集計部102は、入力データとして、クリークCに含まれるノード集合Vcと出現頻度の閾値f(0≦f≦1)を入力する。なお、ノードは{傷病組合せ,件数、総医療費}である。
(クリーク抽出)
頻出するキーワード、即ち傷病の組合せを抽出する方法としては種々の方法が存在するが、医療費集計部102は、例えば、一定の頻度以上で現れるキーワードの抽出方法である以下の方法によってキーワードを抽出する。
ステップ1:傷病名マスタ情報から傷病名sを1つ選択する。
ステップ2:ノード集合Vcに含まれるノードのうち傷病名sを含むノード数をカウントし、Nsとする。
ステップ3:一定の頻度以上で現れた傷病名、即ち、Ns>f×│Vc│の場合、当該傷病名を頻出する傷病名として出力する。
以上の方法を傷病名マスタ情報に存在する傷病名数分繰り返す。
【0059】
医療費集計部102は、傷病群別レコードにおいて、類似傷病群内の傷病群同士を集約する(ステップS420)。具体的には、医療費集計部102は、例えば、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている集約前の傷病群別レコードにおいて、類似傷病群内の傷病群のうちリストIDが最小の一のレコードに、当該類似傷病群内の他の傷病群のレコードの内容を統合させることによって、類似傷病群内の傷病群同士を集約する。これにより、例えば、図3(a)に示す集約前の傷病群別医療費レコードから図3(b)に示すような集約後の傷病群別医療費レコードが生成される。そして本フローチャートは終了する。なお、図3に示す例において、リストID「L003」「L004」に示すレコードはリストID「L003」に集約され、リストID「L011」「L012」に示すレコードはリストID「L011」に集約され、リストID「L020」「L021」に示すレコードはリストID「L020」に集約されている。なお、集約後の傷病群別医療費レコードの項目「傷病コードリスト」にはステップS410において抽出した共通する傷病コードを書き込み、共通する傷病コードの数が集約前の傷病群別医療費レコードの対応するレコードの傷病コードの数から減少した場合には、項目「総医療費」、項目「平均医療費」を共通する傷病コードに基づいて再計算し、更新する。
【0060】
図6において、差分医療費算出部112は、傷病群別レコード記憶部50に記憶されている集約後の傷病群別レコードを参照し、一の傷病群と他の傷病群との平均差分医療費を算出する(ステップS500)。具体的には、差分医療費算出部112は、図7に示すように、集約後の傷病群別レコードを参照し、傷病群間差分医療費レコードを生成し、傷病群間差分医療費レコード記憶部60に記憶する。
【0061】
ステップS500に係る処理を詳細化した図15に示すフローチャートを用いて、ステップS500に係る処理を更に説明する。図14において、差分医療費算出部112は、傷病群別レコード記憶部50から1件のレコードをリストIDの昇順に比較元レコードとして取得する(ステップS510)。差分医療費算出部112は、傷病群別レコード記憶部50から比較元レコードとして最後レコードを取得したか否かを判断する(ステップS520)。差分医療費算出部112は、傷病群別レコード記憶部50から比較元レコードとして最後レコードを取得したと判断した場合(ステップS520:Yes)、本フローチャートは終了する。差分医療費算出部112は、傷病群別レコード記憶部50から比較元レコードとして最後レコードを取得していないと判断した場合(ステップS520:No)、最後に実行したステップS510において取得した比較元レコード、即ち、最後に取得した比較元レコードを基点に、傷病群別レコード記憶部50から他の1件のレコードをリストIDの昇順に比較先レコードとして取得する(ステップS530)。
【0062】
ステップS530に続いて、差分医療費算出部112は、比較先レコードの傷病コードリスト内の各傷病コードは、比較元レコードの傷病コードリスト内の全傷病コードを含み、かつ、比較先レコードの傷病コードリスト内の傷病コードの数は、比較元レコードの傷病コードリスト内の傷病コードの数よりも1つ多いか否かを判断する(ステップS540)。即ち、差分医療費算出部112は、比較先レコードの傷病コードは、比較元レコードの傷病コードに1つ傷病コードを追加したものであるか否かを判断する。差分医療費算出部112は、比較先レコードの傷病コードは、比較元レコードの傷病コードに1つ傷病コードを追加したものであると判断した場合(ステップS540:Yes)、比較元レコードおよび比較先レコードから平均差分医療費を算出し、図4(a)に示すような、傷病群間差分医療費レコードを生成し、傷病群間差分医療費レコード記憶部60に記憶する(ステップS550)。なお、傷病群間差分医療費レコードの項目「現在傷病コードリスト」には比較元レコードの傷病コードリスト、項目「将来傷病コードリスト」には比較先レコードの傷病コードリスト、項目「平均差分医療費」には算出した平均差分医療費を記憶する。差分医療費算出部112は、比較先レコードの傷病コードは、比較元レコードの傷病コードに1つ傷病コードを追加したものでないと判断した場合(ステップS540:No)、ステップS550は飛ばしてステップS560に進む。
【0063】
ステップS550またはステップS540(No)に続いて、差分医療費算出部112は、傷病群別レコード記憶部50から比較先レコードとして最後レコードを取得したか否かを判断する(ステップS560)。差分医療費算出部112は、傷病群別レコード記憶部50から比較先レコードとして最後レコードを取得していないと判断した場合(ステップS560:No)、ステップS530に戻って、傷病群別レコード記憶部50から次の1件のレコードを比較先レコードとして取得する(ステップS530)。差分医療費算出部112は、傷病群別レコード記憶部50から比較先レコードとして最後レコードを取得したと判断した場合(ステップS560:Yes)、ステップS510に戻って、傷病群別レコード記憶部50から次の1件のレコードを比較元レコードとして取得する(ステップS510)。
【0064】
図6において、上位差分医療費抽出部114は、傷病群間差分医療費レコード記憶部60に記憶されている傷病群間差分医療費レコードを参照し、平均医療費が急増する傷病群間の組合せとして、平均差分医療費が大きい上位所定数の傷病群間の組合せを抽出する(ステップS600)。具体的には、上位差分医療費抽出部114は、図7に示すように、傷病群間差分医療費レコードを参照し、当該傷病群間差分医療費レコードから平均差分医療費が大きい上位所定数の傷病群間差分医療費レコードを抽出し、上位差分医療費レコードとして上位差分医療費レコード記憶部70に記憶する。なお、上位差分医療費抽出部114は、上位差分医療費レコードを平均差分医療費の降順にソートしてもよい。
【0065】
図6において、指導対象情報生成部120は、レセプトデータベース40に記憶されている今年度分のレセプト情報、および、上位差分医療費レコード記憶部70に記憶されている上位差分医療費レコードを参照し、指導対象を抽出する(ステップS700)。具体的には、指導対象情報生成部120は、図7に示すように、今年度分のレセプト情報および上位差分医療費レコードを参照し、指導対象レコードを生成し、指導対象レコード記憶部80に記憶する。そして、図6に示すフローチャートは終了する。
【0066】
ステップS700に係る処理を詳細化した図16に示すフローチャートを用いて、ステップS700に係る処理を更に説明する。図16において、指導対象情報生成部120は、レセプトデータベース40から被保険者1名のレコードを取得する(ステップS710)。指導対象情報生成部120は、上位差分医療費レコード記憶部70を参照し、取得レコードの傷病コードリストと同一の現在傷病コードリストである上位差分医療費レコードが存在するか否かを判断する(ステップS720)。
【0067】
指導対象情報生成部120は、取得レコードの傷病コードリストと同一の現在傷病コードリストである上位差分医療費レコードが存在すると判断した場合(ステップS720:Yes)、上位差分医療費レコードおよび取得レコードに基づいて、指導対象レコードを生成する(ステップS730)。具体的には、指導対象情報生成部120は、項目「被保険者名」の値に取得レコードの項目「被保険者名」を転記し、項目「現在傷病コードリスト」の値に当該上位差分医療費レコードの項目「現在傷病コードリスト」の値を転記し、項目「将来傷病コードリスト」の値に当該上位差分医療費レコードの項目「将来傷病コードリスト」の値を転記し、項目「平均差分医療費」の値に当該上位差分医療費レコードの項目「平均差分医療費」の値を転記して、指導対象レコードを生成し、指導対象レコード記憶部80に記憶する。
【0068】
ステップS730またはステップS720(No)に続いて、指導対象情報生成部120は、レセプトデータベース40から全てのレコードを取得したか否かを判断する(ステップS740)。指導対象情報生成部120は、レセプトデータベース40から全てのレコードを取得していないと判断した場合(ステップS740:No)、ステップS710に戻って、レセプトデータベース40から被保険者1名のレコードを取得する(ステップS710)。指導対象情報生成部120は、レセプトデータベース40から全てのレコードを取得したと判断した場合(ステップS740:Yes)、本フローチャートは終了する。
【0069】
続いて、図17を用いて、指導情報出力部130の動作、および、指導情報出力部130における各種情報の流れを説明する。図17(a)において、指導情報出力部130は、入出力手段から指導情報を出力する旨の命令を取得したか否かを判断する(ステップS810)。指導情報出力部130は、入出力手段から指導情報を出力する旨の命令を取得していないと判断した場合(ステップS810:No)、本フローチャートは終了する。
【0070】
指導情報出力部130は、入出力手段から指導情報を出力する旨の命令を取得したと判断した場合(ステップS810:Yes)、当該命令において被保険者の指定はあるか否かを判断する(ステップS820)。指導情報出力部130は、被保険者の指定はないと判断した場合(ステップS820:No)、指導対象レコード、傷病マスタ情報、予防内容マスタ情報を参照し、図5(b)に示すような、全保険者の指導情報である一覧情報を生成し、入出力手段に出力する(ステップS830)。そして本フローチャートは終了する。指導情報出力部130は、被保険者の指定はあると判断した場合(ステップS820:Yes)、指導対象レコード、傷病マスタ情報、予防内容マスタ情報を参照し、図5(c)に示すような、当該保険者の指導情報を生成し、入出力手段に出力する(ステップS840)。そして本フローチャートは終了する。なお、図17(b)に示すDFDのプロセス「指導情報出力」は、ステップS730およびステップS740の処理に相当する。
【0071】
医療情報生成装置1によれば、1以上の傷病から構成される傷病群別に医療費を算出するようにしているため、傷病が併発する場合の傷病と医療費の関係を正確に把握することができるようになる。また、医療情報生成装置1によれば、ある傷病群の医療費と、当該傷病群に傷病が1個追加したときの傷病群の医療費の差を算出するようにしているため、N個(Nは整数)の傷病から更に傷病が1個追加した場合の医療費増加分を正確に把握できるようになる。具体的には、傷病が追加し初めて併発となる場面、既に傷病が併発していて更に1つ追加する場面であっても、医療費の増加分を適切に把握できるようになる。従って、効果的な保健指導、主に医療費の急増に対する指導を行うことができるようになる。
【0072】
換言すれば、医療情報生成装置1は、傷病毎に医療行為、即ち医療費を分割するのではなく、レセプトに記載されている全ての傷病、医療行為名を1つの組合せと捉え、複数の傷病が併発している状況下においても正確に医療費を算出、分析することができるため、例えば、図18に示すように、新たな傷病の併発による、医療費の急増ランキングを出力し、急増ランキングの上位の被保険者に対し、効率的に、保健指導、主に医療費の急増に対する指導を実施することができる。
【0073】
更に、医療情報生成装置1によれば、類似する傷病群同士を1つの傷病群に集約し、集約後の傷病群別の平均医療費を算出するようにしているため、実質的に同一である傷病のレセプト記載上のばらつきを吸収し、実情に即して合理的に処理することができるようになる。例えば、医療情報生成装置1によれば、図19に示す、傷病名に「糖尿病」「高血圧」「神経障害」と記載され、診療報酬点数160点と記載されたレセプトAと、傷病名に「糖尿病」「高血圧」「抹消神経障害」と記載され、診療報酬点数165点と記載されたレセプトBとを同一視することができる。また、実情に即して合理的に処理する利点に加え、傷病群の種類の無用な増加を防止する利点もある。
【0074】
なお、上記実施形態では、医療情報生成装置1は、図1に示すように指導情報出力部130を内部に備え、指導情報を出力したが、医療情報生成装置1は、指導情報を生成する指導情報出力部130を内部に備えなくてもよい。即ち、医療情報生成装置1は、指導対象情報を生成、記憶する迄を担当し、指導情報出力部130と同様の機能を備える外部装置が指導対象レコード記憶部を参照し、指導情報を生成してもよい。
【0075】
なお、本発明の一実施形態による医療情報生成装置1の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の一実施形態による医療情報生成装置1に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0076】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0077】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…医療情報生成装置
10…傷病名マスタ記憶部
20…予防内容マスタ記憶部
30…レセプトデータベース
40…レセプトデータベース
50…傷病群別レコード記憶部
60…傷病群間差分医療費レコード記憶部
70…上位差分医療費レコード記憶部
80…指導対象レコード記憶部
100…傷病群別医療費算出部
102…医療費集計部
104…類似度算出部
106…類似傷病群抽出部
110…医療費急増傷病群組合せ抽出部
112…差分医療費算出部
114…上位差分医療費抽出部
120…指導対象情報生成部
130…指導情報出力部
140…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上の傷病情報と医療費を記載した複数のレセプト情報に基づいて、1以上の傷病から構成される傷病群別の平均医療費を算出する傷病群別医療費算出部と、
前記傷病群別医療費算出部によって算出された一の傷病群の平均医療費と、前記一の傷病群を構成する全傷病および他の1つの傷病から構成される他の傷病群の平均医療費とに基づいて、前記一の傷病群と前記他の傷病群における平均医療費の差分である平均差分医療費を算出し、傷病群間の組合せの中から前記平均差分医療費が上位である傷病群間の組合せを抽出する医療費急増傷病群組合せ抽出部と、
レセプト情報、および、前記医療費急増傷病群組合せ抽出部によって抽出された前記傷病群間の組合せに基づいて、医療費の増加に対する指導を要する被保険者を識別する情報、前記被保険者の現在の傷病を識別する情報、前記被保険者の予防すべき傷病を識別する情報を含む、指導対象情報を生成する指導対象情報生成部と
を備えることを特徴とする医療情報生成装置。
【請求項2】
前記傷病群別医療費算出部は、
各傷病群を構成する傷病の組合せ間の類似度を、当該組み合わせを構成する傷病の要素の有無をベクトルとする各ベクトル間の角度として算出し、当該類似度に基づいて、一つの傷病群に集約し、集約後の傷病群別の平均医療費を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の医療情報生成装置。
【請求項3】
前記傷病群別医療費算出部は、
前記算出した傷病群の全ての組み合わせの類似度について、傷病群をノード、所定の閾値以上の類似度有するノード同士の関係をエッジとして、ネットワークデータとする隣接行列データを作成し、当該隣接行列データから、全てのノードについてエッジを有するクリークのうち、取りうる最大のサイズを有する極大クリークを構成する傷病群をそれぞれ一つの傷病群として集約し、集約後の傷病群別の平均医療費を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の医療情報生成装置。
【請求項4】
一の傷病群を構成する各傷病を識別する情報と、前記一の傷病群を構成する各傷病および他の1つ傷病を識別する情報とに対応付けて、前記一の傷病群を構成する各傷病の発病中における前記他の1つの傷病の発病に対する予防内容を示す予防内容情報を記憶する予防内容記憶部と、
前記指導対象情報生成部によって生成された前記指導対象情報と、前記予防内容記憶部に記憶されている前記予防内容情報に基づいて、前記指導を要する被保険者を識別する情報、前記被保険者の現在の傷病名、前記被保険者の予防すべき傷病名、前記予防すべき傷病に係る前記予防内容情報を含む、指導情報を出力する指導情報出力部とを
更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の医療情報生成装置。
【請求項5】
少なくとも1以上の傷病情報と医療費を記載した複数のレセプト情報に基づいて、1以上の傷病から構成される傷病群別の平均医療費を算出する傷病群別医療費算出手段と、
前記傷病群別医療費算出手段によって算出された一の傷病群の平均医療費と、前記一の傷病群を構成する全傷病および他の1つの傷病から構成される他の傷病群の平均医療費とに基づいて、前記一の傷病群と前記他の傷病群における平均医療費の差分である平均差分医療費を算出し、傷病群間の組合せの中から前記平均差分医療費が上位である傷病群間の組合せを抽出する医療費急増傷病群組合せ抽出手段と、
レセプト情報、および、前記医療費急増傷病群組合せ抽出手段によって抽出された前記傷病群間の組合せに基づいて、医療費の増加に対する指導を要する被保険者を識別する情報、前記被保険者の現在の傷病を識別する情報、前記被保険者の予防すべき傷病を識別する情報を含む、指導対象情報を生成する指導対象情報生成手段と
を備えることを特徴とする医療情報生成方法。
【請求項6】
医療情報を生成する医療情報生成装置のコンピュータに、
少なくとも1以上の傷病情報と医療費を記載した複数のレセプト情報に基づいて、1以上の傷病から構成される傷病群別の平均医療費を算出する傷病群別医療費算出ステップと、
前記傷病群別医療費算出ステップによって算出された一の傷病群の平均医療費と、前記一の傷病群を構成する全傷病および他の1つの傷病から構成される他の傷病群の平均医療費とに基づいて、前記一の傷病群と前記他の傷病群における平均医療費の差分である平均差分医療費を算出し、傷病群間の組合せの中から前記平均差分医療費が上位である傷病群間の組合せを抽出する医療費急増傷病群組合せ抽出ステップと、
レセプト情報、および、前記医療費急増傷病群組合せ抽出ステップによって抽出された前記傷病群間の組合せに基づいて、医療費の増加に対する指導を要する被保険者を識別する情報、前記被保険者の現在の傷病を識別する情報、前記被保険者の予防すべき傷病を識別する情報を含む、指導対象情報を生成する指導対象情報生成ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−39653(P2011−39653A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184515(P2009−184515)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】