説明

医療映像処理システム及び処理方法

医療映像処理システム200は、医療映像を格納する格納装置230と、前記医療映像に関する医療映像情報を格納するデータベースサーバー240と、前記医療映像と前記医療映像情報を利用して識別対象客体と前記客体の周辺客体を識別するコンピュータ支援分析部250と、前記識別された識別対象客体と周辺客体を利用して、前記周辺客体を基準にして前記識別対象客体の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部260とを含む。したがって、医療映像処理システムは、客体の位置を検出して提供することができ、病院では正確で且つ迅速に医療映像を診断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療映像処理システム及び処理方法に関し、より詳細には、診断医が医療映像を診断するのにかかる時間を低減することができ、医療映像がない場合にも、位置情報だけで容易に診断結果を確認することができる医療映像処理システム及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術が多様な産業分野に適用されるのに伴い、各分野において情報の格納、管理技術が発展した。一例として、医療産業分野には、デジタル医療映像の格納及び通信に関するPACS(Picture Archiving and Communication System:以下、PACSまたは医療映像格納及び通信システム)システムが導入され、各病院では、医療映像を格納し管理することができる。医療映像格納及び通信システム(PACS)は、各種医療装置で撮影された患者の身体部位に対する医療映像をデジタルデータに変換し、格納媒体に格納する。
【0003】
医者は、コンピュータモニターを通じて病院の各診療室で所望の患者の医療映像、履歴などを問い合わせし、確認することができる。また、診断医は、医療映像を利用して患者の現在状態や疾病を診断し、診断結果によって患者の診療または治療に必要な措置を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−86750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、診断医が医療映像を診断するのにかかる時間を低減することができ、診断医の業務を軽減することができる医療映像処理システム及び処理方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、医療映像のデータフォーマットが異なるため、映像を診断することができない場合または医療映像がない場合にも、位置情報だけで容易に診断結果を確認することができる医療映像処理システム及び処理方法を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、客体の種類によって当該客体がどの部位にしばしば発生するかを通知することができる医療映像処理システム及び処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例において、医療映像処理システムは、患者の肺の医療映像を格納する格納装置と、前記肺の医療映像に関する医療映像情報を格納するデータベースサーバーと、前記肺の医療映像と医療映像情報を利用して、前記肺の医療映像で肺静脈と結節を識別するコンピュータ支援分析部と、前記識別された結節と肺静脈を利用して、前記肺静脈を基準にして前記結節の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部とを含む。
【0009】
本発明の一実施例において、医療映像処理システムは、患者の肺の医療映像を格納する格納装置と、前記肺の医療映像に関する医療映像情報を格納するデータベースサーバーと、前記肺の医療映像と医療映像情報を画面にディスプレイし、前記肺の医療映像で位置検出対象結節を選択される臨床診断ステーションと、前記肺の医療映像と医療映像情報を利用して前記位置検出対象結節と肺静脈を識別し、前記識別対象結節と肺静脈を利用して前記肺静脈を基準にして前記識別対象結節の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部とを含む。
【0010】
本発明の一実施例において、医療映像処理システムは、医療映像を格納する格納装置と、前記医療映像に関する医療映像情報を格納するデータベースサーバーと、前記医療映像と前記医療映像情報を利用して識別対象客体と前記客体の周辺客体を識別するコンピュータ支援分析部と、前記識別された識別対象客体と周辺客体を利用して、前記周辺客体を基準にして前記識別対象客体の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部とを含む。
【0011】
本発明の一実施例において、医療映像処理システムは、医療映像を格納する格納装置と、前記医療映像に関する医療映像情報を格納するデータベースサーバーと、前記医療映像と医療映像情報を画面にディスプレイし、前記医療映像で位置検出対象を選択される臨床診断ステーションと、前記医療映像と医療映像情報を利用して前記位置検出対象と周辺客体を識別し、前記位置検出対象と周辺客体を利用して前記周辺客体を基準にして前記位置検出対象の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部とを含む。
【0012】
本発明の一実施例において、医療映像処理方法は、医療映像を獲得して格納する段階と、前記医療映像と医療映像に関する情報を利用して識別対象客体と前記客体の周辺客体を識別する段階と、前記識別された識別対象客体と周辺客体を利用して、前記周辺客体を基準にして前記識別対象客体の相対的位置を検出する段階と、前記検出された位置の情報を格納する段階とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、周辺客体を利用して相対的な位置を検出して提供するので、数回にかけて医療映像が撮影されるか、または撮影装置や病院を変えながら医療映像が撮影されても、診断医は、正確で且つ迅速に医療映像を診断することができる。したがって、診断医が医療映像を診断するのにかかる時間を低減することができ、診断医の業務を低減することができる。
【0014】
また、本発明による医療映像処理システムは、ラベリング情報を位置情報として格納するので、医療映像のデータフォーマットが異なるため、映像を診断することができない場合または医療映像がない場合にも、位置情報だけで容易に診断結果を確認することができるという効果がある。
【0015】
また、本発明による医療映像処理システムは、客体による位置情報をデータベース化し、客体の位置傾向性情報を提供することができる。したがって、システムは、位置傾向性情報を利用して客体の種類によって当該客体がどの部位にしばしば発生するかを通知することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】医療映像の一例を示す図である。
【図2】医療映像の一例を示す図である
【図3】本発明の一実施例による医療映像処理システムを説明する図である。
【図4】本発明の一実施例による医療映像ディスプレイ画面を説明する図である。
【図5】本発明の一実施例による医療映像の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例による位置検出方法の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施例による医療映像処理システムを利用して医療映像を処理する過程を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に関する説明は、構造的ないし機能的説明のための実施例に過ぎないので、本発明の権利範囲は、本文に説明された実施例により制限されるものと解すべきではない。すなわち、実施例は、多様な変更が可能であり、さまざまな形態を有することができるので、本発明の権利範囲は、技術的思想を実現することができる均等物を含むものと解すべきである。
【0018】
各段階は、文脈上、明白に特定の手順を記載しない以上、明記された手順と異なるように実行することができる。すなわち、各段階は、明記された手順と同時に実行することもでき、実質的に同時に行われることもでき、反対の順に行われることもできる。
【0019】
ここで使用されるすべての用語は、異なって定義しない限り、本発明の属する分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使用される辞書に定義される用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致するものと解釈すべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味を有するものと解釈されるものではない。
【0020】
病院は、患者の各種医療映像を撮影して格納し、医療映像を利用して患者の状態を判断することができる。医療映像を撮影することができる装置の例として、コンピュータ断層撮影装置(CT)、磁気共鳴映像撮影装置(MRI)、放射線撮影装置(X−Ray)、超音波撮影装置(Ultrasound)、血管造影装置(ANGIO)、コルポスコピー(COLPOSCOPY)、子宮頸管撮影装置(CERVICOGRAPHY)など多様な映像医学撮影装置、核医学撮影装置などがある。撮影された医療映像は、デジタルデータに変換されて格納され、医療映像格納及び通信システム(PACS)を通じて病院の構成員に提供される。
【0021】
医療映像を診断する診断医は、医療映像格納及び通信システム(PACS)を通じてコンピュータモニターで映像を問い合わせ、確認及び診断することができる。診断医は、臨床診断ステーションを通じて医療映像格納及び通信システム(PACS)に接続し、患者に対する医療映像を問い合わせし、診断することができる。
【0022】
医療映像を診断する場合、診断医の診断実力や経験などによって診断医ごとに異なる診断結果が出ることがあり得るので、他の診断医が診断した結果があるとしても、新しい診断医は、医療映像をさらに診断しなければならない。また、患者は、疾病の経過によって数回にかけて医療映像を撮影することができ、撮影装置や病院を変えながら医療映像を撮影することもできる。したがって、多様な種類の医療映像データが生成されることができ、疾病部位が医療映像ごとに位置が異なって見られることがあるので、同一の疾病部位であるかを診断医が毎回さらに診断しなければならない。
【0023】
前述のような場合、診断医が医療映像を診断するのにかかる時間が長くなり得るので、それぞれの医療映像を診断することが診断医に過重な業務となり得る。例えば、診断医が左側肺の下端部に結節(nodule)がある患者の医療映像を診断すると仮定する。患者が時間間隔をもって医療映像を撮影した場合、複数の医療映像が生成されることがある。
【0024】
図1及び図2は、医療映像の一例を示す図である。図1及び図2は、左側肺100の下端部に結節(nodule)110がある患者に対して肺を中心に撮影した胸部医療映像であると仮定する。肺の位置や大きさ、TP(Table Position)ライン数値などは、技術を説明するための一例である。
【0025】
図1の映像は、患者が吸気(inspiration)の状態に撮影され、結節(nodule)110がTP(Table Position)200ラインのすぐ下方に位置するものと診断されることがある。しかし、図2の映像は、患者が呼気(expiration)の状態に撮影され、結節110がTP250ラインの下方に位置するものと診断されることがある。
【0026】
したがって、診断医が単純にTPラインを基準にして診断をする場合、図1の結節と図2の結節が同一の結節であるかを判断しなければならないので、診断時間が長くかかることがあり得る。また、他の診断医が診断をする場合、他の診断結果を出すこともあり得る。結節の数が多数の場合、このような問題はさらに増加することがあり得る。
【0027】
図3は、本発明の一実施例による医療映像処理システム200を説明する図である。図3を参照すれば、医療映像処理システム200は、映像獲得装置210、映像獲得サーバー220、格納装置230、医療映像格納及び通信(PACS)データベースサーバー240、コンピュータ支援分析部(Computer Aided Diagnosis:CAD)250、位置検出部260、臨床診断ステーション270及びディスプレイ部280を含む。医療映像処理システム200は、光ディスク出力デバイス(図示せず)やメモリ出力デバイス(図示せず)のように格納された医療映像を出力することができる出力デバイス(図示せず)をさらに含むこともできる。
【0028】
映像獲得装置210は、患者の医療映像を獲得する。映像獲得装置210の例として、コンピュータ断層撮影装置(CT)、磁気共鳴映像撮影装置(MRI)、放射線撮影装置(X−Ray)、超音波撮影装置(Ultrasound)、血管造影装置(ANGIO)、コルポスコピー(COLPOSCOPY)、子宮頸管撮影装置(CERVICOGRAPHY)など多様な映像医学撮影装置、核医学撮影装置などがある。
【0029】
前記医療映像処理システム200外部のシステムや外部病院で既に撮影された医療映像を入力されて格納する場合、映像獲得装置210は、光ディスク(Optical Disk)入力装置やメモリ(memory)入力装置などのような格納媒体入力装置やスキャナ(scanner)などのようなイメージ入力装置などになり得る。
【0030】
映像獲得装置210で獲得された医療映像は、デジタルデータに変換されて格納される。映像獲得サーバー220は、映像獲得装置210から医療映像を受信し、デジタルデータに変換する。
【0031】
映像獲得サーバー220は、医療映像をDICOM(Digital Imaging Communication in Medicine)フォーマットによってデジタルデータに変換することができる。DICOMは、医療イメージ、波形及び付随的な情報の送受信のために標準化された応用階層のプロトコルを言う。具現例によって、映像獲得サーバー220は、DICOMフォーマットを使用せず、別途のフォーマットを使用することもできる。
【0032】
映像獲得サーバー220は、デジタル変換された医療映像、原本映像データを格納装置230に伝送する。映像獲得サーバー220は、映像データの格納経路情報、DICOM情報など医療映像に関する医療映像情報を医療映像格納及び通信データベースサーバー240に伝送する。
【0033】
格納装置230は、デジタル変換された医療映像、原本映像データを格納し、要請がある場合、データを伝送する。
【0034】
医療映像格納及び通信データベースサーバー240は、映像獲得サーバー220で受信された映像データの格納経路情報、DICOM情報などのような医療映像情報を格納することができる。また、医療映像格納及び通信データベースサーバー240は、臨床診断ステーション270で受信された映像診断情報、映像の病変部位などを表示する映像重ね表示情報、患者を識別する識別情報などを格納することができる。
【0035】
臨床診断ステーション270は、医療映像格納及び通信データベースサーバー240に接続し、医療映像を問い合わせすることができる。診断医は、臨床診断ステーション270を利用して患者の医療映像を問い合わせし、診断することができる。例えば、診断医は、患者の識別情報(ID、社会保障番号、氏名、生年月日など)を利用して識別された患者の医療映像を検索及び問い合わせすることができる。また、臨床診断ステーション270は、診断医が診断した映像診断情報、映像重ね表示情報などを医療映像格納及び通信データベースサーバー240に格納することができる。
【0036】
診断医が患者の医療映像を要請すれば、臨床診断ステーション270は、格納装置230に当該映像を要請する。格納装置230は、要請された医療映像を臨床診断ステーション270に伝送する。臨床診断ステーション270は、格納装置230から受信された医療映像と医療映像格納及び通信データベースサーバー240から受信された医療映像に対する情報をディスプレイ部280にディスプレイする。
【0037】
図4は、本発明の一実施例による医療映像ディスプレイ画面を説明する図である。図4を参照すれば、ディスプレイ部280には、図4のように、医療映像、患者情報、疾病情報などがディスプレイされ得る。図4の画面は、一例であり、ディスプレイモードによってディスプレイ部280にディスプレイされる情報の種類を変えることができる。また、ディスプレイモードによって2次元映像、3次元ボリューム(volume)の映像、特定器官(organ)の抽出映像など他の形態に加工された医療映像がディスプレイ部280にディスプレイされ得る。
【0038】
コンピュータ支援分析部(Computer Aided Diagnosis:CAD)250は、医療映像を分析し、分析情報を提供する。診断医は、コンピュータ支援分析部250で提供される分析情報を参照して医療映像を診断することができる。診断医は、格納装置230に格納された医療映像だけを臨床診断ステーション270にロード(load)し、直接診断することもでき、コンピュータ支援分析機能を駆動し、分析情報を参照して診断することもできる。
【0039】
コンピュータ支援分析部250は、解剖学的情報を利用して医療映像の特定客体(object)や状態を識別して分析することができる。コンピュータ支援分析部250は、医療映像の種類や識別対象客体の特徴によって分析アルゴリズムを異なるように選択することができる。例えば、コンピュータ支援分析部250で特定器官(organ)のマス(mass)や結節(nodule)などを識別して分析する場合、器官に関する情報、マスや結節に関する情報、医療映像の種類などによって分析アルゴリズムを異なるように選択することができる。分析アルゴリズムは、医療映像の境界(edge)情報、色相情報、強度変化情報、スペクトルの変化情報、映像特性情報などのような多様な映像情報を利用して医療映像を分析することができる。
【0040】
解剖学的情報と医療映像を利用して多様な器官の多様な客体を診断することができるが、以下では、説明の便宜のために、診断医が患者の医療映像から肺結節(pulmonary nodules)を診断する場合を仮定する。診断医は、医療映像だけをディスプレイ部280にディスプレイさせて、映像を診断することもでき、コンピュータ支援分析機能を駆動し、分析情報を参照して映像を診断することもできる。
【0041】
図5は、本発明の一実施例による医療映像の一例を示す図である。図5は、コンピュータ断層撮影装置(CT)で撮影された肺映像の1つの断層(slice)を示す。診断医がコンピュータ支援分析機能を駆動する場合、コンピュータ支援分析部250は、解剖学的情報を利用して医療映像の特定客体や状態を識別して分析する。
【0042】
例えば、コンピュータ支援分析部250は、分析アルゴリズムを利用して気管支と肺動脈、肺静脈、結節を識別して分析することができる。気管支400a、400bと肺動脈410a、410bは、隣接して対で肺に分布していて、肺静脈420は、気管支400a、400bや肺動脈410a、410bから離れて別に肺に分布している。また、空気で満たされた肺空間430や気管支400a、400bは、血液が流れる肺動脈410a、410bや肺静脈420と異なる色相で現われることがあり得る。前述のような解剖学的情報と映像情報を利用してコンピュータ支援分析部250は、それぞれ気管支400a、400b、肺動脈410a、410b、肺静脈420を識別することができる。
【0043】
また、コンピュータ支援分析部250は、解剖学的に非正常的な結節を識別することができる。例えば、コンピュータ支援分析部250は、識別対象が多数の映像断層(slice)に連続的に連結された形態の場合、前記気管支や血管として識別することができる。または、特定個数以下の映像断層(slice)だけで発見される対象を結節として識別することもできる。コンピュータ支援分析部250は、複数の結節を同時に識別することができる。
【0044】
上記で説明した識別アルゴリズムは、一例であり、他の解剖学的情報や医療映像の境界(edge)情報、色相情報、強度変化情報、スペクトルの変化情報、映像特性情報などのような映像情報を利用して結節を識別することもできる。
【0045】
コンピュータ支援分析部250は、上記のような方式を利用して医療映像で気管支、血管、結節などを識別することができる。前記説明は、一例であり、他の器官(organ)の医療映像を診断する場合、結節などのような当該器官の識別対象客体(object)を識別することができる。
【0046】
位置検出部260は、コンピュータ支援分析部250で識別された客体の情報を利用して客体の位置を識別し、客体の位置情報を格納することができる。位置検出部260は、周辺客体を利用して位置を検出しようとする客体の相対的な位置を検出する。例えば、位置検出部260は、血管、器官、骨などを基準にして客体の位置情報を検出することができる。
【0047】
以下では、位置検出部260が図5のような肺の医療映像で肺静脈と肺結節の相対的位置を利用して肺結節の位置を検出する場合を仮定して説明する。位置検出部260は、肺で識別された気管支、肺動脈、肺静脈など多様な客体を利用して結節の位置を検出することができる。肺の肺静脈と結節が識別された場合、位置検出部260は、1つ以上の肺静脈を利用して結節の相対的位置情報を検出する。
【0048】
図6は、本発明の一実施例による位置検出方法の例を示す図である。図6を参照すれば、図6は、肺結節(pulmonary nodule)500が3個の肺静脈(pulmonary vein)510、520、530に取り囲まれた場合の医療映像を示す。第1肺静脈510は、第1分枝512、第2分枝514、第3分枝516を有し、第2肺静脈520は、第4分枝522を有し、第3肺静脈は、第5分枝532を有する。
【0049】
位置検出部260は、肺結節500に最も近い肺静脈を基準にして位置を検出する。位置検出部260は、少なくとも1つ以上の肺静脈を基準にして位置を検出することができる。位置検出部260は、肺結節と各肺静脈との垂直距離を測定し、垂直距離が最も近い肺静脈を少なくとも1つ以上識別する。位置検出部260は、肺結節に最も近い肺静脈を同一の映像断層(slice)内で検出することもでき、肺結節が識別された映像断層前後に数個の映像断層内で検出することもできる。
【0050】
図6を参照すれば、肺結節500は、第1肺静脈510の場合、第1肺静脈510、第2肺静脈520、第3肺静脈530に最も近い。位置検出部260は、肺結節500に最も近い肺静脈の情報を格納する。
【0051】
位置検出部260は、前記位置を検出しようとする客体の周辺客体に識別情報をラベリング(labeling)し、ラベリングされた識別情報を格納することができる。例えば、位置検出部260は、上記図6のように、肺結節500の位置を検出するために、周辺客体、すなわち、各肺静脈の分枝ごとに識別情報をラベリングし、ラベリングされた識別情報を格納することができる。識別情報のラベリング方式は、具現例によってそれぞれ異なることができるが、解剖学的に区分する方式でラベリングすることができる。例えば、位置検出部260が図5のような肺静脈をラベリングする場合、それぞれ左肺(left lung)と右肺(right lung)の上肺静脈(superior pulmonary vein)と下肺静脈(inferior pulmonary vein)を基準にして各肺静脈分枝をラベリングする。
【0052】
図6の第1肺静脈510が左肺の下肺静脈(inferior pulmonary vein)の前から1番目分枝、前記1番目分枝から上部に伸びた分枝のうち3番目分枝、前記3番目分枝から下部に伸びた分枝のうち2番目分枝の場合、位置検出部260は、前記第1肺静脈510を「LIF1S3I2」でラベリングすることができる。前記ラベリング方式によれば、第1肺静脈510の第3分枝516は、第1肺静脈510の下部に伸びた分枝512、516のうち2番目分枝516なので、「LIF1S3I2I2」でラベリングされることができる。
【0053】
位置検出部260は、上記のような方式で各肺静脈をラベリングすることができる。上記のような方式で第1肺静脈510が「LIF1S3I2」、第2肺静脈520が「LIF2S3I1」、第3肺静脈530が「LIF3S1I2」でラベリングされた場合、位置検出部260は、位置検出対象である結節500に最も近い第1肺静脈510、第2肺静脈520、第3肺静脈530の各ラベリング情報を肺結節500の位置情報として格納する。診断医は、前記位置情報を利用して肺結節500が第1肺静脈510、第2肺静脈520、第3肺静脈530よりなる空間の間にあることが分かる。
【0054】
前述のようなラベリング情報を位置情報として格納する場合、医療映像のデータフォーマットが異なるため、映像を診断することができない場合や医療映像がない場合にも、位置情報だけで容易に診断結果を確認することができるという効果がある。
【0055】
上記例において、位置検出部260は、3個の周辺客体を利用して位置情報を得たが、具現例によって2個または4個以上の周辺客体を利用して位置情報を得ることもできる。位置検出部260は、上記のような位置情報とともに各周辺客体を基準にして識別対象客体の方向情報または距離情報などをさらに格納することができる。または、位置検出部260は、最も近い1個の周辺客体と識別対象客体の方向情報または距離情報を格納することもできる。
【0056】
位置検出部260は、客体の位置情報を臨床診断ステーション270に伝送し、臨床診断ステーション270は、客体の位置情報をディスプレイ部280にディスプレイすることができる。診断医は、客体の位置情報を確認し、映像診断情報、映像重ね表示情報などとともに位置情報を医療映像格納及び通信データベースサーバー240に格納することができる。位置検出部260は、前記客体の位置情報をすぐ医療映像格納及び通信データベースサーバー240に格納することもできる。医療映像格納及び通信データベースサーバー240は、多様な医療映像ケースによる客体の種類、客体の位置情報をデータベース化し、格納することができる。医療映像格納及び通信データベースサーバー240は、格納された情報を利用して客体の種類によって客体の位置傾向性情報を提供することができる。医療映像格納及び通信データベースサーバー240は、位置傾向性情報を提供し、客体の種類によって当該客体がどの部位にしばしば発生するかを通知することができる。例えば、末梢肺静脈を基準にして肺結節の位置を定める場合、当該疾患が肺のどの部分によく発生するかをさらに正確に把握することができる。
【0057】
上記例では、コンピュータ支援分析部250を利用して客体を識別した後、位置検出部260で客体の位置情報を検出して格納したが、診断医が医療映像を診断し、客体を識別した後、位置検出部260で客体の位置情報を検出して格納することもできる。すなわち、診断医が臨床診断ステーション270を通じて医療映像を診断し、医療映像で関心のある客体を位置検出対象として選択した場合、位置検出部260は、格納装置230と医療映像格納及び通信データベースサーバー240から医療映像と医療映像に関する情報を受信し、前記診断医が選択した客体を医療映像で識別し、客体の位置情報を検出することができる。
【0058】
図7は、本発明の一実施例による医療映像処理システム200を利用して医療映像を処理する過程を示す流れ図である。図7を参照すれば、医療映像処理システム200は、映像獲得装置210を利用して医療映像を獲得し、格納する(S600)。診断医がコンピュータ支援分析機能を駆動すれば、コンピュータ支援分析部250は、医療映像を利用して客体を識別する(S610)。コンピュータ支援分析部250は、解剖学的情報と医療映像を利用して診断医が識別するように設定した客体を識別することができる。
【0059】
コンピュータ支援分析部250で客体を識別すれば、位置検出部260は、識別された客体の位置情報を検出する(S620)。位置検出部260は、前述したように、周辺客体との相対的な位置を利用して位置情報を検出することができる。診断医が医療映像で関心のある客体を直接選択した場合、位置検出部260は、直接前記診断医が選択した客体を識別し、客体の位置情報を検出することもできる。
【0060】
位置検出部260で検出された位置情報は、システムの医療映像格納及び通信データベースサーバー240に格納する(S630)。医療映像格納及び通信データベースサーバー240は、位置情報をデータベース化し、客体による位置傾向性情報を提供することができる。格納された位置情報は、システムの医療映像格納及び通信システムを通じて病院内の構成員に提供されることもでき、光ディスクやメモリのような格納媒体を通じて医療映像などとともに前記システム外部の他のシステムに提供されることもできる。
【0061】
本発明の一実施例による医療映像処理システム200は、客体の位置を検出して提供することができる。本発明の実施例による医療映像処理システム200は、自動で客体の位置を検出することができる。
【0062】
本発明の実施例による医療映像処理システム200は、周辺客体を利用して相対的な位置を検出して提供するので、数回にかけて医療映像が撮影されるか、または、撮影装置や病院を変えながら医療映像が撮影されても、診断医は、正確で且つ迅速に医療映像を診断することができる。したがって、診断医が医療映像を診断するのにかかる時間を低減することができ、診断医の業務を低減することができる。
【0063】
本発明の実施例による医療映像処理システム200は、ラベリング情報を位置情報として格納するので、医療映像のデータフォーマットが異なるため、映像を診断することができない場合、または医療映像がない場合にも、位置情報だけで容易に診断結果を確認することができるという効果がある。
【0064】
本発明の実施例による医療映像処理システム200は、客体による位置情報をデータベース化し、客体の位置傾向性情報を提供することができる。したがって、システムは、位置傾向性情報を利用して客体の種類によって当該客体がどの部位にしばしば発生するかを通知することができるという効果がある。
【0065】
上記では、本発明の一実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練された当業者は、下記の特許請求の範囲に記載した本発明の思想及び領域を逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させられることを理解することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の肺の医療映像を格納する格納装置と;
前記肺の医療映像に関する医療映像情報を格納するデータベースサーバーと;
前記肺の医療映像と医療映像情報を利用して、前記肺の医療映像で肺静脈と結節を識別するコンピュータ支援分析部と;
前記識別された結節と肺静脈を利用して、前記肺静脈を基準にして前記結節の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部と;
を含む医療映像処理システム。
【請求項2】
前記コンピュータ支援分析部は、
解剖学的情報と医療映像情報を利用して前記肺静脈と結節を識別することを特徴とする請求項1に記載の医療映像処理システム。
【請求項3】
前記位置検出部は、
前記結節に近い少なくとも1つ以上の肺静脈を基準にして前記結節の相対的位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の医療映像処理システム。
【請求項4】
前記位置検出部は、
前記肺静脈の分枝ごとに識別情報をラベリングし、前記結節に近い少なくとも1つ以上の肺静脈の識別情報を前記結節の位置情報として格納することを特徴とする請求項1に記載の医療映像処理システム。
【請求項5】
前記位置検出部から位置情報を受信し、画面にディスプレイする臨床診断ステーションをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医療映像処理システム。
【請求項6】
前記データベースサーバーは、
前記位置情報を受信して格納し、前記位置情報を利用して前記結節の位置傾向性情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の医療映像処理システム。
【請求項7】
患者の肺の医療映像を格納する格納装置と;
前記肺の医療映像に関する医療映像情報を格納するデータベースサーバーと;
前記肺の医療映像と医療映像情報を画面にディスプレイし、前記肺の医療映像で位置検出対象結節を選択される臨床診断ステーションと;
前記肺の医療映像と医療映像情報を利用して前記位置検出対象結節と肺静脈を識別し、前記識別対象結節と肺静脈を利用して前記肺静脈を基準にして前記識別対象結節の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部と;
を含む医療映像処理システム。
【請求項8】
前記位置検出部は、
前記結節に近い少なくとも1つ以上の肺静脈を基準にして前記結節の相対的位置を検出することを特徴とする請求項7に記載の医療映像処理システム。
【請求項9】
前記位置検出部は、
前記肺静脈の分枝ごとに識別情報をラベリングし、前記結節に近い少なくとも1つ以上の肺静脈の識別情報を前記結節の位置情報として格納することを特徴とする請求項7に記載の医療映像処理システム。
【請求項10】
前記データベースサーバーは、
前記位置情報を受信して格納し、前記位置情報を利用して前記結節の位置傾向性情報を提供することを特徴とする請求項7に記載の医療映像処理システム。
【請求項11】
医療映像を格納する格納装置と;
前記医療映像に関する医療映像情報を格納するデータベースサーバーと;
前記医療映像と前記医療映像情報を利用して識別対象客体と前記客体の周辺客体を識別するコンピュータ支援分析部と;
前記識別された識別対象客体と周辺客体を利用して、前記周辺客体を基準にして前記識別対象客体の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部と;
を含む医療映像処理システム。
【請求項12】
前記位置検出部は、
前記識別対象客体に近い少なくとも1つ以上の周辺客体を基準にして前記識別対象客体の相対的位置を検出することを特徴とする請求項11に記載の医療映像処理システム。
【請求項13】
前記位置検出部は、
前記周辺客体ごとに識別情報をラベリングし、前記識別対象客体に近い少なくとも1つ以上の周辺客体の識別情報を前記識別対象客体の位置情報として格納することを特徴とする請求項11に記載の医療映像処理システム。
【請求項14】
前記データベースサーバーは、
前記位置情報を受信して格納し、前記位置情報をデータベース化し、識別対象客体による位置傾向性情報を提供することを特徴とする請求項11に記載の医療映像処理システム。
【請求項15】
医療映像を格納する格納装置と;
前記医療映像に関する医療映像情報を格納するデータベースサーバーと;
前記医療映像と医療映像情報を画面にディスプレイし、前記医療映像で位置検出対象を選択される臨床診断ステーションと;
前記医療映像と医療映像情報を利用して前記位置検出対象と周辺客体を識別し、前記位置検出対象と周辺客体を利用して前記周辺客体を基準にして前記位置検出対象の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部と;
を含む医療映像処理システム。
【請求項16】
患者の臓器医療映像を格納し、前記臓器医療映像に関する医療映像情報を格納する医療映像処理システムにおいて、
前記臓器医療映像と医療映像情報を利用して識別対象結節と臓器の血管を識別し、前記識別対象結節と臓器を利用して前記臓器の血管を基準にして前記識別対象結節の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部を含む医療映像処理システム。
【請求項17】
医療映像を格納し、前記医療映像に関する医療映像情報を格納する医療映像処理システムにおいて、
前記医療映像と医療映像情報を利用して位置検出対象と周辺客体を識別し、前記位置検出対象と周辺客体を利用して前記周辺客体を基準にして前記位置検出対象の相対的位置を検出し、検出された位置情報を格納する位置検出部を含む医療映像処理システム。
【請求項18】
医療映像を獲得して格納する段階と;
前記医療映像と医療映像に関する情報を利用して識別対象客体と前記客体の周辺客体を識別する段階と;
前記識別された識別対象客体と周辺客体を利用して、前記周辺客体を基準にして前記識別対象客体の相対的位置を検出する段階と;
前記検出された位置の情報を格納する段階と;
を含む医療映像処理方法。
【請求項19】
前記相対的位置を検出する段階は、
前記識別対象客体に近い少なくとも1つ以上の周辺客体を基準にして前記識別対象客体の相対的位置を検出することを特徴とする請求項18に記載の医療映像処理方法。
【請求項20】
前記位置情報をデータベース化し、識別対象客体による位置傾向性情報を提供する段階をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の医療映像処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−525907(P2012−525907A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509736(P2012−509736)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002906
【国際公開番号】WO2010/128818
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(510058863)カトリック ユニバーシティ インダストリー アカデミック コーオペレイション ファウンデーション (6)
【出願人】(510051152)エスエヌユー アールアンドディービー ファウンデーション (3)
【Fターム(参考)】