説明

医療機器を放射性物質で充填するための装置及び方法

医療機器を放射性物質で充填するための装置が開示される。装置は、放射線を遮蔽し、注射器及び医療機器の少なくとも一部を収容するように設計されているハウジングならびに放射性物質の容器を収容するための装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器を放射性物質で充填するための装置及び対応する方法に関する。
【0002】
核医学においては、様々な診断及び治療目的に放射性物質が使用される。一例を挙げるならば、血管形成術においては、バルーン拡張によって人又は動物の体の血管の狭窄又は閉塞を取り除いたり、血管を再開通させたりする。バルーンカテーテルを血管に導入し、血管を拡張又は再開通させたのち、処置中の血管内壁の微視的損傷により、瘢痕が形成する大きな危険がある(再発性狭窄症)。瘢痕化を防止するために、薬物を含浸させたステントを血管の拡張部に配置することができる。このステントによって連続的に放出される細胞増殖阻害剤が再狭窄を防止する。有望な代替方法は、拡張バルーンを放射性液体で満たすことからなる。バルーンから出る放射線が患部血管壁の局所的閉塞を生じさせて、それにより、瘢痕化を回避することができる。放射線を適用することにより、血管を拡張又は再開通させたのち処置せずに放置する場合に比べ、再狭窄の危険性を何倍も減らすことができる。しかも、これは、患者の体を投薬からの毒負荷にさらすことなく達成される。しかし、臨床環境において、放射線を使用する場合には、特定の要件が満たされ、予防措置が講じられなければならない。たとえば、カテーテルを放射性液体で充填することは、患者及び医療スタッフ双方にとって増大した危険をもたらす。
【0003】
通常、放射性処置で適用されるカテーテルは、注射器を使用して手作業で充填される。処置は、原則として、注射器を容器からの流体放射性物質で充填すること(通常は検査室で実施される)、放射性液体を充填された注射器を患者のところに運ぶこと、カテーテルを適用すること(これは医師によって実施される)、カテーテルを注射器に接続してカテーテルに充填すること、カテーテルを空にすること、及びカテーテルを患者体内から取り出すことを含む。ひとたび注射器が充填されたならば、医師及び臨床スタッフならびに患者は、放射性液体から出る放射線に暴露される。そのうえ、患者は、血管の実際の処置の前後に、カテーテルを充填し、空にする間、放射線被曝を受ける。これは、放射性液体を充填された注射器が検査室から患者のところに運ばれる間にすでに存在するさらなる放射線被曝の危険である。
【0004】
本発明の目的は、医療機器、たとえばカテーテルを充填するための装置及び方法であって、特に医療機器が充填される間の患者及び臨床スタッフの放射線被曝を減らすことができる装置及び方法を提供することである。
【0005】
これらの目的は、請求項1記載の特徴を含む装置及び請求項17記載の特徴を含む方法によって達成される。
【0006】
有利な実施態様が従属項で示される。
【0007】
本発明にしたがって、医療機器を放射性物質で充填するための装置が提供される。装置は、放射線を遮蔽し、注射器及び医療機器の少なくとも一部を受けるように設計されているハウジングを含む。さらに、放射性物質の容器を収容するための手段を含む。
【0008】
本発明の装置を用いると、放射性物質、特に、医療機器、たとえばカテーテル、特にバルーンカテーテルに充填される放射性液体によって生じる放射線被曝の実質的な減少を得ることができる。理由は、装置が、医療機器を充填及び空にするのを、放射線遮蔽性ハウジング中で実施されるように設計されているからである。本発明の装置を用いると、医療機器を充填するために使用される注射器及び医療機器の少なくとも一部ならびに投与すべき放射性物質を収容する容器を、放射線に対して防護するやり方で相互接続することができる。したがって、処置を適用又は準備する医療スタッフ及び患者は、カテーテルが充填又は空にされる間、放射線から実質的に防護される。注射器、カテーテル及び放射性物質を収容する容器は、カテーテルが充填される前に相互接続され、遮蔽されることができる。このようにして、放射性物質で充填された注射器の、遮蔽されないままでの輸送を避けることができる。
【0009】
好ましい実施態様にしたがって、容器を収容するための手段は、容器をハウジングの外側に配置し、固定するように工夫されている。そして、ハウジングは、放射性物質をハウジング中に供給するために、容器との接続を設けるための開口を有する。このようにして、放射性物質が保持される容器を、そのサイズにかかわらず、ハウジングに接続することができ、そのうえ、容器が装置のハウジングの内側に収容される必要がないため、空間節約的なやり方で装置を設計することができる。放射性物質の輸送及び貯蔵のために、容器そのものは、好ましくは、それ自体の放射線遮蔽を備えるか、そのような遮蔽を提供する材料でできている。この理由のため、遮蔽されたハウジングの内側への容器の配置は、それとしては、利点を提供しない。しかし、装置のそのような実施態様もまた考えられる。装置及び容器が別個のユニットによって具現化されることができるという事実が、放射性物質の容易かつ危険のない取り扱い及び充填を可能にする。それは、たとえば、検査室で、熟練した担当者により、適当な器具を使用して達成されることができる。医師又は他の医療スタッフがこの作業によって煩わされる必要はない。
【0010】
もう一つの好ましい実施態様にしたがって、ハウジングは、装置及びハウジングに配設された放射性物質の容器を覆う又は閉じるように働くふたを含む。ふたが開いているならば、注射器、医療機器、弁及び接続のための配管のような構成部品をハウジングに入れ、それらの構成部品を相互接続することが可能である。他方、放射性物質は、好ましくは、ふたが閉じられるまで、注射器及び医療機器には供給されない。
【0011】
説明したように、ふたの設計は、放射性物質の容器をもふたによって覆う又は閉じることができるような設計である。したがって、容器の設計は、ひとたび容器が装置に配置されたならば、容器のカバーを取り外し、一つ以上の管を使用して容器、注射器及び医療機器を相互接続することができ、それにより、ふたを閉じると、容器を含むすべての構成部品が放射線に対して遮蔽されるような設計であることができる。
【0012】
同様に、装置のハウジングのみを閉じ、容器を閉じないふたを提供することが考えられる。この実施態様では、容器は、ハウジングへの接続のために、放射線に対して防護された導管を備えることができる。
【0013】
もう一つの好ましい実施態様にしたがって、ハウジングは、外側から操作されるように適合された手段、たとえば、ハウジングの壁を貫通して延び、ハウジングの内側に取り付けられた弁を操作するために係合することができる回転レバーを含む。弁は、たとえば、ホースを接続するために医療の分野でよく使用されるようなプラスチックでできていることができる。特に、三方向又は多方向弁であってもよく、回転レバーによって外側から動かされるようにハウジング中に配設されることができる。
【0014】
もう一つの好ましい実施態様にしたがって、ハウジングは、放射線を遮蔽する材料、特にタングステンでできていることができる。(本発明の装置に関してタングステンの具体的な利点は何か?他のどの材料が適当か?)。放射線遮蔽に適した他の材料を選択することもできる。
【0015】
さらに別の実施態様にしたがって、ハウジングは窓を含むことができる。鉛の窓ガラスを窓に取り付けることができる。したがって、ふたを閉じた状態で、注射器を充填する手順を見て、たとえば吸い込まれる液体が気泡を含まないことを確認することが可能である。代替的又は追加的に、ハウジングは、窓を閉じるためのフラップを含むことができる。加えて、フラップは、フラップが部分的に開いているときに充填手順を見ることができるよう、ミラーを内側に備えることができる。放射性液体は気泡を含んではならない。カテーテルチューブ内の空気の存在はカテーテルの完全な充填を妨げて、バルーンが部分的又は完全に空気で満たされ、放射性液体がチューブ内に残るようになるおそれがあるため、これはきわめて重要である。その場合、所望の場所における血管の処置は起こらないであろう。
【0016】
さらなる実施態様にしたがって、ハウジングは、注射器及び医療機器の一部を固定し、また、ハウジング中で一つ以上の弁及び接続ラインを受け、固定するように設計されている。構成部品の配設及び固定は、たとえば、ハウジングの内部に形状適合性保持装置を提供して各構成部品又はパーツを定位置に保持することによって達成することができる。そのような保持装置は、ハウジングに導入されるインサートとして製造されることもできるし、ハウジングとで一体に形成されることもできる。保持装置のパーツがふた及びハウジングの残り部分の両方に設けられて、ふたを閉じることにより、ハウジング中に配置された構成部品の完全な固定が得られるようにすることも考えられる。
【0017】
さらに別の実施態様にしたがって、ハウジングは、装置中に配置された注射器の注射プランジャを作動させるための開口を含む。したがって、装置中に配置された注射器は、手動で操作することもできるし、ハウジングの外側からモータによって操作することもできる。
【0018】
そのうえ、注射器から突出する注射プランジャの端部に遮蔽装置を設けることもできる。遮蔽装置は、たとえば、注射プランジャの端部に接続されてハウジングの開口中に可動に配設されるように適合されることもできるし、注射プランジャの上に滑らせる又は他のやり方で注射プランジャに接続されるように適合されることもできる。さらには、注射プランジャのための遮蔽装置は、注射プランジャの延長部によって具現化されることもできる。好ましくは、注射プランジャのための遮蔽装置は、装置のハウジング及び装置そのものと同じ材料でできている。また、特別な遮蔽性を有することなく、注射プランジャの延長部として簡単に形成されることもある。そのうえ、装置のハウジングは、医療機器又はそのパーツを通過させるための開口を含むことができる。
【0019】
最後に、もう一つの好ましい実施態様の装置は、装置及び装置中に配置された注射器がベース面、たとえばテーブル上面に対して傾斜するようなやり方で装置に接続された支持体を含むことができる。装置の傾斜は、好ましくは、装置中に配置された注射器が下向きに傾斜するように選択される。これにより、気泡は注射器の端部に向かって上昇し、したがってカテーテルに入ることはない。
【0020】
もう一つの好ましい実施態様にしたがって、医療機器はバルーンカテーテルである。
【0021】
本発明はまた、本発明の装置、放射性物質の容器及び注射器を含む、容器を放射性物質で充填するためのシステムを提供する。
【0022】
実施態様にしたがって、システムはさらに、装置中に配置された弁、少なくとも部分的に装置中に配置された医療機器、たとえばカテーテル及び注射器、弁、放射性物質の容器及び医療機器を接続するための配管を含むことができる。このようなシステムにおいて、注射器、放射性物質の容器及び医療機器は、弁、特に三方向弁を切り換えると、まず、放射性液体による注射器の充填が起こり、次に、注射器を空にすることによる医療機器の充填が起こるようなやり方で、配管及び弁によって相互接続されることができる。この手順中、注射器、放射性物質の容器及び配管及び弁ならびに医療機器の少なくとも一部は周囲環境に対して遮蔽される。これにより、近くにいる人の放射線被曝を大幅に減らすことができる。
【0023】
もう一つの好ましい実施態様にしたがって、放射性物質の容器は、脱着可能に装置に取り付けられる。したがって、容器は容易に交換可能であり、それにもかかわらず、装置とで安定なユニットを形成する。したがって、装置は、容器とともに、片手で簡単にシフト又は移動させることができる。そのうえ、装置は、異なるサイズの容器に接続することができる。
【0024】
さらには、本発明は、放射性物質の充填方法を提供する。方法は、注射器を本発明の装置に導入すること、放射性物質を収容する容器を装置に配設すること、及び放射性物質を抜き取って注射器に入れることを含む。好ましい実施態様にしたがって、方法は、医療機器、たとえばカテーテル又はその一部を装置中に配設すること、及びカテーテルを注射器からの放射性物質で充填することを含むことができる。医療機器の充填を実施する人及び処置を受ける患者は、注射器及び医療機器の一部又は全部ならびに注射器及び医療機器を放射性物質の容器に接続するための配管ならびに間に配置された弁の配設により、放射線に対してより良く防護される。このようにして、処置を受ける人が処置ごとに吸収する放射線量を減らすことができる。一方で、これは、当該人物の健康被害を減らす。他方で、より少ない放射線被曝の観点で、実施される処置の許容可能回数を増すことができる。注射器の充填は、注射器から突出する注射プランジャの端部のための遮蔽手段を使用しながら達成することができる。これにより、放射線被曝をさらに減らすことができる。
【0025】
添付図面を参照しながら本発明を実例によってさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の装置を開放位置で上から見た斜視図である。
【図2】図1に示す本発明の装置を閉鎖位置で上から見た斜視図である。
【図3】図2に示す本発明の装置をフラップを開けた状態で示す図である。
【図4】図1に示す実施態様の本発明の装置を閉鎖位置かつ異なる斜視側面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に示す実施態様を参照しながら本発明の装置を説明する。特に図1から見てとれるように、装置は、ハウジング1及びヒンジ3によってハウジングに接続されたふた2を含む。ふた2をハウジングに対して傾動させるとハウジングを閉じることができる。さらに、ふた2は、ふたを貫通し、弁レバーのための係合具6及び7をそれぞれが内側に備える回転レバー4、5を備えている。回転レバーは、追加的又は代替的に、ハウジングの壁に設けられることもできる。
【0028】
ふた2はさらに、ふたがハウジングの上に折り重ねられたときハウジング1の側面を越えて突出する部分2aを含む。この部分は、放射性液体を受けることができる容器8を覆う又は閉じるように働く。ふた2には窓開口9が形成されている。窓9に窓ガラス(図示せず)を配置してもよい。窓ガラスは、たとえば、放射線を遮蔽するために鉛ガラスでできていてもよい。図1に見てとれるように、注射器10がハウジング1の内部に配置されており、ハウジングから取り出し可能である。注射器は、従来の注射器、たとえば使い捨てプラスチック注射器又はマルチユースのガラス注射器であることができる。さらに、ハウジング1の内側には、ウェブ形状の受け具11がハウジングの縦方向に対して横に延び、注射器10の先端を対応するU字形の凹みの中に形状ロック係合で受けるように働く。この受け具11は、注射器10を、注射器10の注射プランジャ13がハウジング1の壁に形成された開口14を通って外側に突出する状態で、受け具11とハウジング1の前端壁との間に導入することができるような、ハウジング1の前端壁からの間隔で取り付けられている。図1から理解されるように、受け具11とハウジング中の前端開口との距離は、注射器本体の長さに一致するように選択される。したがって、注射器10がハウジングに挿入されると、注射器本体の端部がハウジングの前端壁に当接する。
【0029】
図1はまた、ハウジング中で注射プランジャ13のための開口14が形成されている前端壁とは反対側の壁の近くに配置された医療機器15、たとえばバルーンカテーテルの一部を示す。ハウジングのこの壁には、医療機器15のうち、ハウジング中に配置されるT字形の分枝部を含む部分を通過させるためのさらに二つの開口16、17が形成されている。ハウジング1の内部に配置される医療機器15の分枝部の端部は、配管18により、ふた2を閉じたとき、回転レバー5で相応に形成される固定具7と係合するようになる弁19に接続されている。弁19はまた、もう一つの配管20により、ふた2を閉じたとき回転レバー4の固定具6と係合する三方向弁21に接続されている。三方向弁21は、もう一つの配管22を介して、放射性物質の容器8に接続されており、この容器は、ハウジング1の脇にある収容装置23に配置されている。容器8は、ハウジングの脇にある収容装置23から取り外すことができる。医療機器15、弁19、21、配管18、20、22及び注射器10の間の接続は、好ましくは、ルアーロック接続又はプラグ接続によって設けられる。
【0030】
図1はさらに、注射器10から突出する注射プランジャ13の端部のための遮蔽装置24を示す。遮蔽装置24は、注射プランジャ13の端部に接続され、そのデザインは、それを注射プランジャ13の円板形端部に側方から滑り込ませることができるようなデザインである。遮蔽装置24は、好ましくは、装置のハウジング1と同じ材料からなり、たとえばタングステンでできている。しかし、異なる材料でできていてもよい。図1に見てとれるように、遮蔽装置24は注射プランジャ13の延長部である。この意図は、このようにして、注射プランジャ13を作動させる人の指を、注射器10に収容された放射性液体からより大きく離して位置させることができるということである。加えて、遮蔽装置24の材料が放射線遮蔽に働く。
【0031】
さらに、装置は、ハウジングの延長部であり、注射プランジャ13を包囲する管状部分26の端部に位置する環状の保持面25を含む。管状部分26に対して垂直に配置された保持面25の目的は、ハウジング1に挿入された注射器10を片手の指で操作することを可能にすることである。図1及び2に示すように、注射プランジャ13を包囲する保持面25及び管状部分26は、ふた2が閉じられたのち互いを補完して一つのパーツを呈する、ハウジング及びふた2に配置された二つの部品で構成されている。
【0032】
図2は、注射器10からほぼ完全に抜き出した位置にある、遮蔽装置24を備えた注射プランジャ13を示す。注射プランジャ13が注射器に押し込まれると、遮蔽装置24が管状部分26に入り、その中に受けられる。
【0033】
ふた2はさらに、窓9を閉じるためのキャップ27を備える。キャップは、ヒンジ28によって枢動するように、ふた2に取り付けられている。フラップ27は、ハウジング1と反対側のふた2の面に折り重ねることができる金属板を含む。金属板は、窓9の形状の厚みのある部分を含み、この部分が、フラップ27がふた2の上に降ろされたとき、窓9を塞ぐ。さらに、フラップ27は、回転レバー4及び5が貫通する開口28を含む。図3に示すようにテレスコピックアーム29がフラップ27及びふた2に固定されて、フラップの枢動を制限し、それを開放位置に保持することを可能にする。同じくノブ30がフラップ27に取り付けられて、フラップ27の開閉を容易にする。フラップ27の、特に厚みのある部分の内側にミラー(図示せず)を設けて、フラップ27が部分的に開放しているときハウジング1中の注射器10を観察することを可能にしてもよい。
【0034】
装置は、約20cmの長さ、約3cmの高さ及び約7cmの幅を有する。ハウジングの壁厚さは約0.75cmである。寸法は、より小さく又は大きく選択することもできる。
【0035】
装置は、以下のやり方で使用することができる。まず、注射器10をハウジングに導入する。次いで、カテーテル15の末端部品及び分枝部品をハウジング1中に配置し、配管18、20によって弁19、21を介して相互接続する。最後に、処置に用いられる放射性液体を収容する容器8を装置の収容装置15に導入し、三方向弁21で注射器10及びカテーテル15に接続する。そして、ハウジング1をふた2によって閉じる。これが、回転レバー4及び5の固定具6及び7を弁19及び21のレバーと係合させる。こうして、装置は使用準備が整う。
【0036】
第一の適用ステップで、カテーテル15が連結解除されるように弁19、21をセットした状態で、容器8に収容された液体で注射器10を充填する。注射器10が充填されると、容器8が連結解除されるように弁21を切り換える。弁19を切り換えたならば、遮蔽装置24を備えた注射プランジャ13を押すことにより、注射器10の内容物をカテーテル15に押し込むことができる。注射器の充填プロセスの監視は、窓9を介して注射器を観察し、望むならば、フラップ27に取り付けられたミラーを利用することによって可能である。カテーテル15を充填する全プロセスは、ハウジング1及びふた2による遮蔽の下、望むならば、注射プランジャ13のための遮蔽装置24を使用しながら起こる。これにより、近くにいる人へと漏れ出す放射線が明らかに減る。
【0037】
本発明の範囲を逸することなく、上記実施態様に対して数多くの改変を加えることができる。たとえば、注射器10を完全にハウジング1の内側に配置し、注射器10の引き込み、充填及び排出をモータの援用によって達成することが考えられる。さらに、容器8をハウジング1内に配設し、固定することもできる。また、ハウジングにおける容器の収容のためにいくつかの装備を用意することが考えられる。
【0038】
さらに、支持体をハウジング1に固定して、装置を、装置に結合された容器8とともにベースに配置する機会を提供してもよい。支持体を、保持装置31により、ハウジングがベースに対して傾斜するようなやり方でハウジング1に固定して、カテーテルを充填するとき、注射器中の気泡が注射の端部に向けて上昇し、カテーテルに入ることを阻止されるようにすることもできる。
【0039】
同様に、ハウジング1は、医療機器又はカテーテルが完全に内側に収容されることを可能にし、カテーテルを通過させるための開口をハウジング1中に設ける必要のない構造を有することができる。
【0040】
容器8及び注射器10及びカテーテル15の間の接続に関する限り、他の態様が考えられる。たとえば、容器とハウジングとの連結は、自動インタフェースによって実現することもできる。そして、同時に、完全に遮蔽される容器8が使用されるならば、ふた2は、容器8のための突起部2aを備えなくてもよい。
【0041】
上記明細書及び特許請求の範囲に示される特徴は、いかなる所望の組み合わせにおいても、本発明にとって重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器を放射性物質で充填するための装置であって、注射器(10)及び医療機器(15)の少なくとも一部を受けるように適合され、放射線を遮蔽するハウジング(1)、注射器(10)から突出する注射プランジャ(13)の端部のための遮蔽装置(24)及び放射性物質の容器(8)を収容するための手段(23)を含み、前記ハウジング(1)が、装置を覆う又は閉じるように工夫されたふた(2)及び前記ハウジング(2)に配設された放射性物質の容器(8)を含み、さらに、前記装置中に配設された注射器(10)の注射プランジャ(13)を作動させるための開口(14)を含むものである装置。
【請求項2】
前記容器を収容するための手段(23)が、前記容器(8)が前記ハウジング(8)の外側に配設され、固定されるように工夫されており、前記ハウジング(1)が、放射性物質を前記ハウジング(1)中に供給するために前記容器(8)への接続を設けるための開口を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジング(1)が、前記ハウジング(1)の内側に配置された弁(19、21)を操作するために外側から作動させられる手段(4、5)を含み、前記手段が外側から作動可能である、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
放射線を遮蔽する材料、特にタングステンでできている、請求項1〜3のいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジング(1)が窓(9)を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記ハウジング(1)が、前記窓(9)を閉じるためのフラップ(27)を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジング(1)が、前記注射器(10)及び前記医療機器の前記一部を固定し、また、一つ以上の弁(19、21)を受け、固定し、前記ハウジング(1)中のライン(18、20、22)を接続するように工夫されている、請求項1〜6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジング(1)が、前記医療機器(15)を通過させるための開口(16、17)を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記装置及びその内側に配設された注射器(10)がベース面に対して傾斜するようなやり方で前記装置に接続された支持体を含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記医療機器(15)がカテーテルである、請求項1〜9のいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の装置、放射性物質の容器(8)及び注射器(10)を含む、容器を放射性物質で充填するためのシステム。
【請求項12】
前記装置中に配置された弁(19、21)、少なくとも部分的に前記装置中に配設された医療機器(15)ならびに前記注射器(10)、前記弁(19、21)、放射性物質のための前記容器(8)及び前記医療機器を接続するためのホースセクション(18、20、22)を含む、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
放射性物質のための前記容器(8)が脱着可能に前記装置に取り付けられている、請求項11又は12記載のシステム。
【請求項14】
放射性物質を充填する方法であって、
請求項1〜10のいずれか1項記載の装置に注射器(10)を導入するステップ、及び
前記注射プランジャ(13)のための遮蔽手段を使用しながら前記放射性物質を抜き取って前記注射器(10)に入れるステップ
を含む方法。
【請求項15】
医療機器(15)又は医療機器(15)の一部を前記装置中に配設すること、及び前記医療機器を前記注射器(10)からの放射性物質で充填することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記放射性物質を前記医療機器(15)から前記注射器(10)中に戻すことを含む、請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
前記放射性物質を前記医療機器(15)から前記容器(8)中に戻すことを含む、請求項14〜16のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−517648(P2010−517648A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548610(P2009−548610)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000825
【国際公開番号】WO2008/095655
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509223829)イゾトーペン・テヒノロギーエン・ミュンヘン・アーゲー (2)
【氏名又は名称原語表記】ISOTOPEN TECHNOLOGIEN MUNCHEN AG
【Fターム(参考)】