説明

医療機器及び医療機器の課金情報管理方法

【課題】 課金情報が定められた医療機器において、機器本体が故障などした場合でも、課金情報を復元できるようにする。
【解決手段】 診断装置本体12の情報記憶部30に、装置の利用可能回数を示す利用可能回数情報を記憶する。また、診断装置本体12に接続されたプローブ18にも記憶部2を設け、利用可能回数情報を記憶する。課金情報更新部42は、診断装置を使用する毎に、情報記憶部30とプローブ18の記憶部に記憶された利用可能回数情報を更新する。プローブ18が再接続されると、課金情報更新部42は、情報記憶部30に記憶された利用可能回数がプローブ18内の利用可能回数情報と同一か否かをチェックし、同一ではない場合には、情報記憶部30に記憶された利用可能回数を、プローブ18の記憶部22に記憶された利用可能回数情報で置き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金情報を有する医療機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療機器、例えば超音波診断装置は、超音波を被検体に照射し、体内の各組織からの反射波に基づいて軟組織の断層画像(診断画像)を得る医療用画像機器であり、その高い安全性から種々の診断に広く利用されている。
【0003】
超音波診断装置は、被検体に接触して超音波を被検体に照射し、その反射波を検出するプローブと、当該プローブからの信号を処理し、軟組織の診断画像を生成・表示する診断装置本体とから構成される。プローブには、リニア型、セクタ型等の様々な種類があり、診断部位に応じて使い分けられている。
【0004】
また、特許文献1に記載の超音波診断装置では、プローブに固有の設定情報(送受信される超音波の周波数、フォーカス方法のパラメータ等)をプローブ本体に内蔵されたメモリに記憶しておき、プローブが診断装置本体に接続されたときに、当該固有の設定情報がプローブから診断装置本体に読み出される。これにより、診断装置本体のファームウェアを変更することなく、新たに開発されたプローブを利用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−299065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、医療機器は高価であるため、例えば小規模の診療所に対しては、超音波診断装置等の医療機器をリース形式で提供することが好ましい。この場合、当該医療機器に課金情報を設けることにより、医療機器のユーザは利用回数に応じた費用だけ負担すれば良く、医療機器の導入コストを抑えることができるというメリットがある。
【0007】
しかしながら、診断装置本体が故障し、これを修理する際に、装置内の課金情報がリセットされる場合には、故障前の課金情報を把握することができなくなるため、従前の課金情報を放棄するか、課金情報を一定値に定めて運用しなければならないという問題があった。この場合、診断装置の提供業者に利用状況を説明し、課金情報を復元することも可能であるものの、手間や時間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、課金情報が定められた超音波診断装置等の医療機器において、診断装置本体の故障などに適切に対処することのできる医療機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の医療機器は、被検体の情報を取得する検出器と、前記検出器に接続されて前記被検体からの情報に基づき診断情報を生成する機器本体とを備え、前記検出器は、課金情報を記憶する第1の記憶部を備え、前記機器本体は、前記課金情報を記憶する第2の記憶部と、前記第1の記憶部から前記課金情報を読み出す課金情報取得部と、前記第2の記憶部に記憶された前記課金情報が前記第1の記憶部の課金情報と同一か否かを判定するとともに、前記第2の記憶部と前記第1の記憶部に記憶された課金情報が同一でない場合には、前記第2の記憶部に記憶された前記課金情報を、前記第1の記憶部に記憶された前記課金情報で置き換える課金情報更新部とを備えた構成を有する。
【0010】
この構成により、機器本体が故障して課金情報がリセットされた場合であっても、検出器の記憶部に記憶された課金情報を用いることにより、故障前の課金情報を把握することができる。
【0011】
本発明の医療機器において、前記課金情報は、前記医療機器が使用される毎に変動する情報であって、前記課金情報更新部は、前記医療機器が使用される毎に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部に記憶された前記課金情報を更新する。これにより、通常の使用時において、機器本体と検出器の各々に記憶された課金情報を一致させることができる。
【0012】
本発明の医療機器において、前記課金情報は、前記医療機器の利用可能回数を示す利用可能回数情報であって、前記第2の記憶部は、前記機器本体に固有の認証情報を記憶し、 前記課金情報更新部は、前記利用可能回数情報を更新するための更新情報が入力され、前記更新情報に含まれる前記認証情報と、前記第2の記憶部に記憶された前記認証情報とが一致する場合には、前記更新情報に含まれる利用可能回数情報に基づき、前記第2の記憶部に記憶された前記利用可能回数情報を更新する。この構成により、所謂プリペイド方式により医療機器を利用する場合に、不正に作出されたライセンスキーを用いて利用可能回数情報を更新するのを防止することができる。
【0013】
本発明の医療機器において、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部は、前記機器本体に固有の認証情報を記憶するとともに、前記課金情報更新部は、前記検出器が前記機器本体に接続されたときに、前記第1及び前記第2の記憶部に記憶された前記認証情報が一致するか否かを判定し、前記認証情報が一致しない場合には、前記第1の記憶部に記憶された前記課金情報で、前記第2記憶部に記憶された前記課金情報を置き換える。この構成により、修理後に検出器が接続されたときに、修理前の利用可能回数情報を復元することができる。
【0014】
本発明は、例えば、超音波を被検体に照射して得られた超音波データから前記被検体の診断画像を生成する超音波診断装置に適用することができ、この場合、超音波を被検体に照射するプローブを前記検出器とすることができる。
【0015】
本発明の医療機器における課金情報管理方法は、被検体の情報を取得する検出器と、前記検出器に接続されて前記被検体からの情報に基づき診断情報を生成する機器本体とを備えた医療機器における課金情報を管理する方法であって、前記検出器に備えられた第1の記憶部に課金情報を記憶し、前記機器本体に備えられた第2の記憶部に記憶された課金情報が前記第1の記憶部の課金情報と同一か否かを判定し、前記第2の記憶部に記憶された課金情報が前記第1の記憶部の課金情報と同一でない場合には、前記第1の記憶部に記憶された前記課金情報で前記第2の記憶部内の課金情報を置き換える構成を備える。この構成によっても、検出器の記憶部に記憶された課金情報を用いることにより、故障前の課金情報を確実に把握できるという、上記と同様の効果を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、診断装置本体の付属機器に設けられた記憶部にも課金情報を記憶しておくことにより、診断装置本体の故障が故障して課金情報がリセットされた場合であっても、故障前の課金情報を確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における超音波診断装置の構成を示す説明図
【図2】情報記憶部のデータ構造を示す説明図
【図3】診断画像の形成処理を示すフローチャート
【図4】利用可能回数の更新処理を示すフローチャート
【図5】利用可能回数の復元処理を示すフローチャート
【図6】装置本体と付属機器双方の利用可能回数の復元処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一の実施形態における超音波診断装置について、図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態の超音波診断装置の構成を概略的に示した説明図である。超音波診断装置10は、超音波を被検体に照射して得られた超音波データから被検体の診断画像を生成するものであり、診断装置本体12、操作部14、表示部16とプローブ18を備える。
【0019】
操作部14は、例えば、キーボードやマウス、操作ボタン、トラックボールなどを備えた操作卓である。この操作部14は、各種の情報やコマンドを入力し、また、パラメータ情報の設定変更を行うために用いられる。表示部16は、例えば液晶モニタであり、参照画像(過去の診断画像)や現在の診断画像などが表示され、操作部14から入力されるコマンドによって、画像の単独表示、並列表示、拡大表示などを切り替えることが可能である。
【0020】
プローブ18は、診断装置本体12から着脱自在に設けられ、検出部20と記憶部22とを備える。検出部20は、超音波振動子から被検体へ超音波パルスを照射し、体内の各組織からの反射超音波を受信して電気信号に変換する超音波探触子である。記憶部22(第1の記憶部)は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROMを用いることができる。この記憶部22には、後述する認証情報と利用可能回数情報が記憶されている。
【0021】
診断装置本体12は、情報記憶部30、制御部32、超音波データ取得部34、診断画像生成部36と、課金情報取得部38を備えている。図2は、情報記憶部30に記憶されている情報を概略的に示した説明図であり、情報記憶部30(第2の記憶部)には、診断画像情報、認証情報と利用可能回数情報が記憶されている。
【0022】
診断画像情報は、診断装置本体12で生成された過去の診断画像の情報であり、その診断画像を生成するために設定されたパラメータ情報、及び、識別情報(例えば、利用者ID及び患者ID)に対応づけて記憶されている。ここで、「パラメータ情報」とは、装置制御用パラメータ(ダイナミックレンジ、アコースティックパワー、送信パワー、発信周波数、STC(Sensitive Time Control)等)と、画像処理用パラメータ(輪郭強調、フレームレート、イメージングモード等)が含まれる。
【0023】
認証情報は、例えば、診断装置本体12毎に設けられた固有のシリアル番号であり、利用可能回数を更新する際、及び、故障時に利用可能回数を復元する際に用いられる。
【0024】
利用可能回数情報は、超音波診断装置10で、特定の機能・動作の利用可能な回数情報で、たとえば、特定の計測機能の利用においてその計測を行なうことが可能な回数を示す情報であり、当該装置を用いてその計測を行なう毎に利用可能回数を1ずつ減少し、この値が0となったときに、その計測の利用ができなくなるように構成されている。超音波診断装置10の利用者は、装置の提供業者から更新情報としてのライセンスキーを購入し、利用可能回数情報を更新することができる。これにより、小規模の診療所において、超音波診断装置を導入するコストを抑えることができるとともに、診断装置の提供者においても使用料を確実に徴収することができるというメリットがある。
【0025】
制御部32は、診断装置本体12を構成する各部の動作を制御するとともに、設定部40と課金情報更新部42とを備えている。設定部40は、新たな診断画像を生成するときに参照画像とされるべき診断画像(過去の診断画像)と、その参照画像と関連づけられたパラメータ情報を、情報記憶部30から読み出す。ここで、超音波診断装置10のユーザ(医師や臨床検査技師など)が、操作部14から識別情報(例えば、利用者ID及び患者ID)を入力すると、設定部40は、その識別情報に対応する診断画像情報(及びパラメータ情報)を読み出す。
【0026】
また、設定部40は、読み出した診断画像を、新たな診断画像を生成するための参照画像として設定するとともに、読み出したパラメータ情報を、新たな診断画像を生成するためのパラメータ情報として設定する。なお、超音波診断装置10のユーザ(医師や臨床検査技師)は、操作部14からパラメータ情報の設定変更(画像輝度、サイズの変更)を行うこともできる。
【0027】
超音波データ取得部34は、設定部40で設定された装置制御用パラメータに基づき、プローブ18の検出部20に駆動信号を供給するとともに、超音波が照射された被検体かの情報を含む信号をプローブ18から受信して超音波データを取得する。診断画像生成部36は、超音波データ取得部34で取得した超音波データと、パラメータ設定部で設定された画像処理用パラメータに基づき、各種の画像処理を行い、診断画像を生成する。このようにして生成された診断画像が、表示部16に表示されるとともに、パラメータ情報と関連づけられた診断画像データが、情報記憶部30に記憶される。
【0028】
本実施形態における超音波診断装置10は、予め利用可能回数が定められた、いわゆるプリペイド方式とされており、装置の利用者は、提供者(例えばリース業者)から、更新情報としてのライセンスキー44を購入することで、超音波診断装置における特定の計測機能を利用可能回数として設定された回数だけ利用することができる。ライセンスキー44は、認証情報及び利用可能回数情報が、例えば暗号化された状態で記憶されたデータであり、CD−ROM、DVD−ROM、二次元状バーコード等の媒体に記録されている。あるいは、図示しない通信手段を介して、装置提供者の運営するサーバに接続し、ライセンスキー44を取得するようにしても良い。
【0029】
課金情報取得部38は、診断装置本体12とプローブ18との間で認証情報及び利用可能回数情報を送受信するために設けられ、診断画像が生成される毎に、情報記憶部30内の利用可能回数情報のデータをプローブ18へ送信する。また、診断装置本体12の故障復旧時に、プローブ18の記憶部22から認証情報及び利用可能回数情報を読み出して、これを課金情報更新部42へ送る。
【0030】
課金情報更新部42は、ライセンスキー44が読み込まれたとき、当該ライセンスキーに書き込まれている認証情報と、診断装置本体12の情報記憶部30に記憶されている認証情報とを比較する。そして、これらの認証情報が一致している場合にのみ、ライセンスキー44に書き込まれた利用可能回数情報に基づき、情報記憶部30に記憶された利用可能回数情報を更新する。
【0031】
また、課金情報更新部42は、診断装置本体12が故障から復旧して、プローブ18が接続された際に、プローブ18の記憶部22に記憶されている認証情報及び利用可能回数情報を取得し、これら情報を情報記憶部30に書き込むことで、利用可能回数情報を復元する。
【0032】
以下、上記構成による超音波診断装置10の動作について、図3〜6のフローチャートを用いて説明する。図3は、診断画像を形成する手順を示したフローチャートである。操作部14から、診断画像を形成するコマンドが入力されると、まず、制御部32は、情報記憶部30から利用可能回数情報を読み出し(S10),これが0であるか否か(すなわち、超音波診断装置10での特定の計測機能が利用可能であるか)を判定する(S11)。
【0033】
診断装置本体12の利用可能回数が1以上であると判定された場合、ステップS12に移り、設定部40において情報記憶部30から参照画像及び設定パラメータを読み出し、装置制御用パラメータ及び画像処理用パラメータを設定する(S12)。超音波データ取得部34がプローブ18の検出部20を駆動して、被検体に対して超音波を照射し、その反射波を受信する。その後、診断画像生成部36において、受信した反射波及び画像処理用パラメータに基づいて診断画像を生成し、生成された診断画像を表示部16に表示する(S13)。
【0034】
診断画像が生成され、その画像に対して特定の計測機能、たとえば血管壁の厚み測定などを実施すると、課金情報更新部42は、利用可能回数から1を減算して、情報記憶部20内の利用可能回数情報を更新する(S14)。これにより、利用可能回数に応じた回数だけ、超音波診断装置10の特定の計測機能を利用することが可能となる。
【0035】
装置の利用者は、提供者からライセンスキー44を購入することで、利用可能回数を更新することができる。図4は、情報記憶部30に記憶された利用可能回数情報を更新する手順を示すフローチャートである。ライセンスキー44が入力されると、課金情報更新部42は、ライセンスキー44に含まれる利用可能回数情報及び認証情報を取得する(S20)。そして、ライセンスキー44内の認証情報と、情報記憶部30内の認証情報とを比較して、これらが一致しているか否かを判定する(S21)。
【0036】
これらの情報が一致している場合には、課金情報更新部42は、情報記憶部30内の利用可能回数情報に、ライセンスキー44に含まれる利用可能回数を加算して、情報記憶部30内の利用可能回数情報を更新する(S22)。そして、課金情報取得部38は、プローブ18の記憶部22に記憶された利用可能回数情報及び認証情報を、情報記憶部30内の利用可能回数情報及び認証情報と一致するように更新する(S23)。これにより、プローブ18内の利用可能回数情報を更新することができる。
【0037】
一方、認証情報が一致しない場合には、制御部32は、表示部16に警告表示を出力表示する(S24)。これにより、装置の利用者に対し、正規のライセンスキーを入力するよう促すことができる。
【0038】
このようにして、超音波診断装置10の特定の計測機能を利用することができるものの、診断装置本体12が故障すると、その修理の際に情報記憶部30内の認証情報が業者によってリセットされ、故障中であることを明示するために、修理完了までの仮の情報としての利用可能回数として、形式面、桁数面で通常ではありえない値が仮設定値として設定される(例えば、「AA」、「65535」等)。図5は、超音波診断装置10内の認証情報を復元する処理を示すフローチャートである。まず、診断装置本体12が修理され、情報記憶部30内の利用可能回数情報が仮設定値にセットされた後、プローブ18が診断装置本体12に接続されたことが検知されると(S30)、課金情報更新部42は、情報記憶部30内の利用可能回数情報を検出する(S31)。
【0039】
そして、検出された利用可能回数が仮設定値であるか否か(すなわち、業者によって修理されたかどうか)を判定する(S32)。この判定は、装置本体で記憶されている利用可能回数が所定の有効範囲内であるか否か(すなわち、形式面、桁数面で通常ではありえない値かどうか)を判定することで、行うことができる。利用可能回数が仮設定値である場合、課金情報更新部42は、情報記憶部30内の利用可能回数情報がプローブ18内の利用可能回数情報と、当然異なっており同一ではないことから、プローブ18の記憶部22から利用可能回数情報及び認証情報を読み出し(S33)、診断装置12内の利用可能回数情報及び認証情報を、プローブ18内の利用可能回数情報及び認証情報で置き換える(S34)。これにより、超音波診断装置10内の認証情報を復元することができる。
【0040】
このようにして、診断装置本体12が故障した際にも超音波診断装置10内の認証情報を復元できる。同様に、プローブ18が故障した場合、もしくは新しいプローブを出荷する際には記憶部22内の認証情報が業者によって仮の情報としての利用可能回数として、形式面、桁数面で通常ではありえない値が仮設定値として設定される(例えば、「AA」、「65535」等)。
【0041】
図6は、プローブ18内の認証情報を復元する処理を示すフローチャートである。まず、プローブ18が修理され、記憶部22内の利用可能回数情報が仮設定値にセットされた後、プローブ18が診断装置本体12に接続されたことが検知されると(S41)、課金情報更新部42は、情報記憶部30内にある装置本体内の利用可能回数情報を読み出し(S42)、プローブ18内の利用可能回数情報を読み出す(S43)。このとき装置本体内の利用可能回数が所定の有効範囲内であるか否か(すなわち、形式面、桁数面で通常ではありえない値かどうか)を判定し(S44)、有効範囲内の値であれば、プローブ内の利用可能回数情報が形式面、桁数面で通常ではありえない値かどうか(有効範囲内の値かどうか)を判定する(S45)。仮設定値に設定されたプローブ内の利用可能回数情報は当然通常の値でないと判定されるので、このときにはプローブ内の利用可能回数情報及び認証情報を装置本体内の利用可能回数情報及び認証情報で置き換える(S50)。これにより、プローブが故障した場合にも認証情報を復元することができる。
【0042】
(注:図6のフローに記載された、他のステップを説明しております)
一方、ステップS45において、プローブ18内の利用可能回数が有効範囲内の値である場合は、装置本体とプローブの各々に記憶された利用可能回数情報が一致するか否かをチェックし(S46)、これらが一致していない場合は、装置本体内の利用可能回数情報を、プローブ内の情報で置き換える(S49)。
【0043】
また、ステップS44において、装置本体内の利用可能回数が有効範囲外の値である場合は、プローブで記憶された利用可能回数が有効範囲内の値であるか否かをチェックし(S47)、有効範囲内であれば、装置本体の情報のみが初期化されたものであるから、装置本体内の利用可能回数情報を、プローブ内の情報で置き換える(S49)。一方、プローブ内の利用可能回数も有効範囲外の値である場合は、装置本体及びプローブ内の情報が初期化されたとして、装置本体及びプローブ内の利用可能回数情報をクリアする(S48)。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0045】
上記実施形態では、利用可能回数情報を課金情報と定めているが、利用可能回数以外の情報、例えば、使用回数情報を課金情報として適用することができる。この場合は、装置の使用回数をカウントしておき、一定期間毎にサービスマンが使用回数情報を確認することで、装置の使用回数に応じた課金を可能とする。また、上記実施形態では、特定の計測機能を実施したことを使用回数としているが、利用可能回数、使用回数に関しては、この他にも、一人の患者の測定を完了して患者IDを変更したとき、画像を保存したとき、レポート生成時など、超音波診断におけるさまざまなモード、動作の変化点でのカウントを利用することができる。
【0046】
また、装置の復元時に、利用可能回数情報及びシリアル番号の両方を更新するのではなく、例えば、装置本体に設けられたROMにシリアル番号を記憶しておき、装置の復元時に利用可能回数情報のみを復元するようにしても良い。これにより、修理後にプローブが挿入されたときに、故障前に使用されていたプローブであるか否かを確実に判定することができ、故障前に利用可能回数情報を確実に復元することができる。また、例えば、故障前に使用されたのと異なるプローブがセットされた場合に、当該プローブの使用を禁止するよう制御しても良い。
【0047】
なお、本発明による超音波診断装置は、故障が発生したか否かを検知する機能を備え、装置本体に故障が発生したことを外部に通知する機能を備えても良い。このような故障診断機能や故障通知機能は、公知の手法を用いて実現することができる。
【0048】
また、本発明による超音波診断装置は、ネットワークを介して外部のサーバに接続可能とし、診断画像情報を外部サーバに保存するようにしても良い。これにより、診断画像を一元的に管理することができるとともに、診断装置本体が盗難にあった場合に診断画像が外部に漏洩されてしまうのを防止することができる。
【0049】
また、上記の実施形態では、超音波診断装置を例にして説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、ハンドピースと本体とで構成されるレーザ治療器、送信ユニットと受信ユニットが分離された歯科用X線診断装置、外部モニタと検出本体部が分離されたMRI、CT、PET等、本体と分離されたユニットなどを持つ他の医療機器にも、同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明に係る医療機器によれば、装置本体に接続された検出部にも課金情報を記憶しておくことにより、装置本体が故障して課金情報がリセットされた場合であっても、故障前の課金情報を把握することができるという効果を有し、例えば超音波診断装置に適用することができ、有用である。
【符号の説明】
【0051】
10 超音波診断装置
12 診断装置本体
14 操作部
16 表示部
18 プローブ
20 検出部
22 記憶部
30 情報記憶部
32 制御部
38 課金情報取得部
42 課金情報更新部
44 ライセンスキー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の情報を取得する検出器と、前記検出器に接続されて前記被検体からの情報に基づき診断情報を生成する機器本体とを備えた医療機器であって、
前記検出器は、課金情報を記憶する第1の記憶部を備え、
前記機器本体は、
前記課金情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第1の記憶部から前記課金情報を読み出す課金情報取得部と、
前記第2の記憶部に記憶された前記課金情報が前記第1の記憶部の課金情報と同一か否かを判定するとともに、前記第2の記憶部と前記第1の記憶部に記憶された前記課金情報が同一でない場合には、前記第1の記憶部に記憶された前記課金情報で前記第2の記憶部に記憶された前記課金情報を置き換える課金情報更新部と、
を備えたことを特徴とする医療機器。
【請求項2】
前記課金情報は、前記医療機器が使用される毎に変動する情報であって、前記課金情報更新部は、前記医療機器が使用される毎に、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部に記憶された前記課金情報を更新することを特徴とする請求項1記載の医療機器。
【請求項3】
前記課金情報は、前記医療機器の利用可能回数を示す利用可能回数情報であって、
前記第2の記憶部は、前記機器本体に固有の認証情報を記憶し、
前記課金情報更新部は、前記利用可能回数情報を更新するための更新情報が入力され、前記更新情報に含まれる前記認証情報と、前記第2の記憶部に記憶された前記認証情報とが一致する場合には、前記更新情報に含まれる利用可能回数情報に基づき、前記第2の記憶部に記憶された前記利用可能回数情報を更新することを特徴とする請求項1または2記載の医療機器。
【請求項4】
前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部は、前記機器本体に固有の認証情報を記憶するとともに、
前記課金情報更新部は、前記検出器が前記機器本体に接続されたときに、前記第1及び前記第2の記憶部に記憶された前記認証情報が一致するか否かを判定し、前記認証情報が一致しない場合には、前記第1の記憶部に記憶された前記課金情報で、前記第2記憶部に記憶された前記課金情報を置き換えることを特徴とする請求項1または2記載の医療機器。
【請求項5】
前記医療機器は、超音波を被検体に照射して得られた超音波データから前記被検体の診断画像を生成する超音波診断装置であって、前記検出器は、超音波を被検体に照射するプローブであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の医療機器。
【請求項6】
被検体の情報を取得する検出器と、前記検出器に接続されて前記被検体からの情報に基づき診断情報を生成する機器本体とを備えた医療機器の課金情報管理方法であって、
前記検出器に備えられた第1の記憶部に課金情報を記憶し、
前記機器本体に備えられた第2の記憶部に記憶された課金情報が前記第1の記憶部の課金情報と同一か否かを判定し、
前記第2の記憶部に記憶された課金情報が前記第1の記憶部の課金情報と同一でない場合には、前記第1の記憶部に記憶された前記課金情報で前記第2の記憶部内の課金情報を置き換えることを特徴とする医療機器の課金情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−130626(P2012−130626A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287530(P2010−287530)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】