説明

医療機器運用管理システム

【課題】特定保守管理医療機器を含む医療機器の運用管理を効率的に行う。
【解決手段】医療機関で使用する医療機器の運用管理情報、安全管理情報、及びロケーション管理情報を遠隔監視により提供する医療機器運用管理システム。医療機器に電気的な接続や改造の必要なく装着でき、医療機器特定用の固有のI.D.番号を備え、又、医療機器の使用状況と使用環境を監視する検知センサを備え、検知センサで取得したデータをタグ固有のI.D.番号とともに無線で送信する遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100a〜100dと、ロケーション特定用の固有の無線機I.D.番号を備え、送信されるデータを受信し、アクセスポイントが受信可能な電波に変換し送信するロケーション管理用小型中継無線機300a〜300cと、無線LANで受信したデータの記録を行う蓄積手段と、データの分析手段と、表示生成手段とを有する遠隔監視端末用ソフトウェアと、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の医療機器管理システム、及び無線LANネットワークを利用した医療機器ロケーション検知システム等の技術向上及び品質向上に好適な医療機器運用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
平成17年4月の改正薬事法施行により、物の安全対策だけでなく、使用時の安全対策が求められることとなり、全ての医療機関に対し、医療機器に係る安全管理のための体制作りと中央管理部門の設置が求められ、さらに平成19年4月の改正医療法施行に伴う通知等により医療機器の安全管理のための責任者「医療機器安全管理責任者」を配置することとなり、
(1)従業者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
(2)医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施
(3)医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医療機器の安全使用を目的とした改善のための方策の実施
が義務化された。
【0003】
病院経営の面からは、患者の診断、治療に使用する医療機器の安全管理を徹底するために医療機器の保守点検要員の増員が必要となる一方で、医療機器を効率よく運用し、無駄な購入を避けるなどの改善を図ることが重要な課題となってきた。
【0004】
一般的に医療機器は、一部機器を除き、集中治療室や病棟等に専用に配置されているわけではなく、患者の症状や治療方針等に応じて、必要な医療機器をベッドサイドに持ち込んで使用し、使用後は倉庫スペース等に保管されるか、MEセンターにて保守管理が行なわれる。例えば、病棟単位で医療機器を保有することになると、医療機器台数の過不足が生じ、その度に医療機器の不足が発生した現場からは医療機器の増設が要求されることになる。
【0005】
そのため、比較的規模の大きな総合病院や、心臓血管外科、脳神経外科などの専門性の高い診療科を有する医療機関では、臨床工学技士等の専門技術者で構成されるMEセンターや医療機器管理部門等と称される安全管理、保守管理専任部門が設置され、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与える恐れのある高度管理医療機器や特定保守管理医療機器の安全管理及び保守管理を専門に担当しながら、また、同時に医療機器の運用効率を高めるために、主として特定保守管理医療機器を集中管理し、集中治療室や病棟等からの要請に応じてこれらの機器を貸し出しし、使用後に返却された機器の保守点検や清潔管理、使用準備等の、貸出管理も合わせて行なうようになってきた。
【0006】
しかしながら、医療機器の貸出先で患者の診断や治療が終了したとしても、MEセンターでは使用状況を把握することはできず、貸し出した機器が即座に返却されることは少ない。貸し出し用の医療機器が不足したときには、MEセンターから該当する貸出先に連絡するなどして、使用していない当該機器を捜索し、回収に当たっているというのが現実であり、決して運用効率が向上しているとはいえない。
【0007】
また、医療機器使用時の安全対策のために、JIS T0601−1「医用電気機器の安全基準」やJIS T0601−1−2「EMC 規格」などに適合した医療機器に対して薬事法で製造販売承認、許可が与えられる。一方で、これらの医療機器を使用する側
の医療機関に対しては、JIS T1022「病院電気設備の安全基準」などで安全対策を整えることを求めているが、法的強制力はなく、さらには電気設備の法定点検などが十分に行われているとは言い難いのが現状である。
【0008】
JIS T0601−1「医用電気機器の安全基準」では、医療機器使用時の電撃事故防止のために、接地端子付きの電源を使用することが求められ、医療機器(=医用電気機器)には接地ピン付き医用3P電源プラグが採用されており、一方、JIS T1022「病院電気設備の安全基準」により、医療機関では接地端子付き医用3P電源コンセントを設備して、これに接続して使用するよう指導されている。MEセンター等の安全管理部門では、医療機器自体の接地接続状態についてはテスタを使用する等して点検可能であるが、ベッドサイドの3P電源コンセントの接地接続状態の点検は、設置数も多いことから実施が困難である。
【0009】
法定点検では接地設備の点検が義務化されているが、全てのコンセントモジュールを取り外して接地接続の点検を実施しているわけではないのが現状であり、通常見た目で3Pコンセントであれば、必ず接地が接続されているものと判断されてしまう。過去に、3Pコンセントモジュール内に接地線が通線されていなかったり、接地線が通線、接続されていたとしても、接地センタに接続されていなかったり等の事例が報告されている。また、設備の老朽化による接地端子の接触不良等も多数報告されている。
【0010】
さらには、医療機器は貸出時の移動などで物理的な衝撃を受け続け、さらに、ベッドサイドでの使用時やMEセンターでの点検時に、電源プラグの頻回な抜き差しが行なわれるため、特に接地端子の破損、及び接地線の断線が発生し易いことは周知の事実である。
【0011】
医用電気機器を安全に使用するためには、使用直前、及び使用中に接地接続を点検することのできる技術が求められてきたが、医療機器への電気的な接続や改造を伴う方法は、新たに医療機器の薬事法上の製造販売承認を取得しなければならないため、全ての医療機器に適用することは不可能であった。
【0012】
また、医用電気機器の故障を誘発するような異常電磁環境や、移動時の物理的衝撃、使用または保管環境で異常温度に晒されるなどの環境管理は、煩雑な作業を要するために、防止対策を実行することは現実的に不可能であった。
【0013】
医療機器管理のためのコンピュータ利用システム等が紹介されているが、例えば、特許文献1の医療機器管理システムでは、医療機器の保守点検、修理記録とともに、貸出状況を記録するためのシステムとして開示されている。
【0014】
また、特許文献2のアクティブ型RFIDタグを利用した使用状況の管理が可能という医療機器の保守管理システムでは、MEセンターの技術担当者による保守点検記録、及び貸出管理記録のPDA用手入力、及び看護師らによる使用現場での点検及び使用状況のPDA用手入力による情報を基盤とする医療機器管理システムが開示されている。
【0015】
さらには、アクティブ型RFIDタグを使用したロケーション管理システムでは、位置情報の不正確さの問題があったが、特許文献3のロケーション管理システムでは、無線LANアクセスポイントとRFIDタグ間の距離測定により、位置情報検知精度をより高める方法が開示されている。
【0016】
また、画像診断装置等の、特定の機器に対して、特許文献4の医療機器稼動分析支援システムでは、医療機器自体が蓄積する稼動状況データを抽出し、これを分析し、個々の検査の種類等の情報を含めて稼働状況を表示するシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2005−332337号公報(特許4252931)
【特許文献2】特開2008−287627号公報
【特許文献3】特開2008−054351号公報
【特許文献4】特開2010−079935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来の医療機器管理システムにおいては、保守点検、修理記録や、貸出管理記録を目的としたものであるため、貸出先における使用状況の把握はできない。
【0018】
また、従来のアクティブ型RFIDタグを利用した医療機器管理システムにおいては、PDAにより医療機器の保守点検記録、貸出管理記録、使用状況等を用手入力する必要があるため、患者の診断や治療に専念する医療スタッフに煩雑な業務を要求することとなり、「背景技術」の項で記載したような問題に対処することはできない。
【0019】
さらには、無線LANネットワークを利用した医療機器の位置検索システムにおいては、医療機器の位置情報をより正確に提供することはできるものの、使用状況に関する情報は得られない。
【0020】
また、医療機器自体に蓄積される稼働状況データを抽出、分析する医療機器稼動分析支援システムにおいては、画像診断装置等の一部大型機器を対象としたシステムであり、MEセンターなどで保守管理、貸出管理する医療機器に対応することはできない。
【0021】
すなわち、従来の医療機器管理システムを用いてもMEセンターにおける業務効率や医療機器の運用効率が改善される見込みはなく、さらには、法令等で要求される安全管理面での支援にはつながらない、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、医療機関において使用される医療機器の運用管理情報、安全管理情報、及びロケーション管理情報を遠隔監視によって提供する医療機器運用管理システムであって、医療機器に電気的な接続や改造を加えることなく機器筐体に装着でき、装着する医療機器特定のための固有のI.D.番号を備え、また、装着された医療機器の使用状況と使用環境を監視する検知センサを備え、前記検知センサで取得したデータをタグ固有のI.D.番号とともに無線周波により送信する遠隔監視用アクティブ型RFIDタグと、前記遠隔監視用アクティブ型RFIDタグから送信されるデータを受信し、無線LANネットワークのアクセスポイントが受信可能な電波に変換し、ロケーション特定用の固有の無線機I.D.番号を備え、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグからの受信電力とともに受信したデータを送信するロケーション管理用小型中継無線機と、無線LANネットワーク経由で受信したデータの記録を行う蓄積手段と、データの分析手段と、分析結果の表示生成手段とを有する遠隔監視端末用ソフトウェアと、からなることを特徴とする。
【0023】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の医療機器運用管理システムにおいて、前記検知センサが受電検知のための電界強度センサであることを特徴とする。
【0024】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の医療機器運用管理システムにおいて、前記検知センサが物理的衝撃検知のための加速度センサであることを特徴とする。
【0025】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の医療機器運用
管理システムにおいて、前記検知センサが異常温度検知のための温度センサであることを特徴とする。
【0026】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の医療機器運用管理システムにおいて、前記遠隔監視用アクティブ型RFIDタグにはLEDが設けられており、前記遠隔監視用アクティブ型RFIDタグを医療機器に装着する際、前記LEDにより前記遠隔監視用アクティブ型RFIDタグの装着位置を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
上記構成によれば、医療機器のロケーション管理情報とともに、正常稼動中、または停止中等の使用状況等の常時遠隔監視が可能となる。
【0028】
また、医療機器使用時の安全対策に欠かすことのできない接地接続状態の常時遠隔監視が可能となる。
【0029】
さらには、医療機器の故障を誘発するような異常な電磁環境や、異常な物理的衝撃、及び異常温度に晒された場合に、これらを警告し、点検を促すことが可能となる。
【0030】
よって、既設の無線LANネットワークを利用した、本医療機器運用管理システムを使用することにより、MEセンターで管理する医療機器の現在地情報とともに、常時その使用状況の遠隔監視が可能となる。
【0031】
従って、貸出用の医療機器が不足したときには、遠隔監視にて使用していない機器の瞬時探索が可能となり、その位置情報を同時に入手できるため、使用していない機器のある貸出先に容易に返却を促すことが可能となり、業務効率の向上とともに、運用効率の向上を図ることができる。
【0032】
また、医療機器使用時の安全管理に不可欠な接地接続状態を常に監視することができ、断線等の異常発生時には即座に警告し、点検を促すため、安全管理面での質の向上を図ることができる。
【0033】
さらには、医療機器の故障を誘発するような異常が発生したときには、警告を発し、点検を促すため、医療機器の保守管理面、及び安全管理面においても質の向上を図ることができる。
【0034】
また、使用状況の累積履歴データより、医療機器毎の累計稼働時間とともに稼働率管理が可能となり、医療機器の運用管理面での質の向上だけでなく、資産管理面での質の向上を図ることも可能となる。
【0035】
つまり、改正薬事法、改正医療法等で医療機関に求められている医療機器使用時の安全対策のための各種情報が、随時遠隔監視により容易に入手可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本医療機器運用管理システムにおけるデータ送信経路と情報処理装置(遠隔監視端末)でのデータ取得、分析、表示等の概念を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムで用いられる医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグの、各種検知センサ、信号処理回路、通信回路等のブロック構成及び機能を示す図である。
【図3】電界強度センサの検知データと医療機器の状態の関係を表す図である。
【図4】医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグの医療機器への装着方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムで用いられるデータテーブルを示す図である。
【図6】医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグにおける検知情報の収集とデータ送信のフローチャート例を示す図である。
【図7】医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグから無線送信されるデータ構造の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムで用いられるロケーション管理用小型中継無線機のブロック構成を示す図である。
【図9】ロケーション管理用小型中継無線機の設置例を説明する図である。
【図10】本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムで用いられるデータテーブルを示す図である。
【図11】ロケーション管理用小型中継無線機から既設無線LAN ネットワーク経由で送信されるデータ構造の一例を示す図である。
【図12】情報処理装置で収集されるデータの構造例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによる、医療機器のロケーション管理情報と運用管理情報等の履歴出力例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによる各医療機器の累計稼働時間、稼働率の出力例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによる各医療機器の累計稼働時間と、それに基づき定期点検等を促すための警告出力例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによる各医療機器からの取得情報表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る医療機器運用管理システムは、特に平成17年4月に施行された改正薬事法で定義、分類された特定保守管理医療機器の安全管理、保守管理、運用管理を効果的、かつ効率的に行なうことを目的とするものであり、もって、MEセンター等における臨床工学技士らによる業務を支援しようとするものである。
【0038】
医療機器は、改正薬事法により高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器に分類されており、これらの機器の中から、さらに特定保守管理医療機器、設置管理医療機器が指定されている。それぞれの定義は、
○ 高度管理医療機器(旧クラス分類 IV及びIII)
医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合(適正な使用目的に従い、適正に使用された場合に限る。)において、人の生命及び健康に重大な影響を与える恐れがあることから、その適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて特定するもの、と定義され、以下の機器が含まれる。
例)閉鎖循環式麻酔器、閉鎖循環式保育器、人工心肺装置、人工呼吸器、シリンジポンプ、輸液ポンプ、人工透析器、補助人工心臓装置等の生命維持管理装置、心電図、血圧等の患者情報監視装置など
○ 管理医療機器(旧クラス分類 II)
高度管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に影響を与えることから、その適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの、と定義され、以下の機器が含まれる。
例)心電計、脳波計、超音波画像診断装置、など
○ 一般医療機器(旧クラス分類 I)
高度管理医療機器及び管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は傷害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与える恐れがほとんどないものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの、と定義され、以下の機器が含まれる。
例)手術台、手術用照明器、手術用顕微鏡など
○ 特定保守管理医療機器
医療機器のうち、保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技術を必要とすることから、その適正な管理が行わなければ疾患の診断、治療又は予防に重大な影響を与える恐れがあるものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの、と定義されている。
○ 設置管理医療機器
設置に当たって組立が必要な特定保守管理医療機器であって、保健衛生上の危害の発生を防止するために当該組立に係る管理が必要なものとして、厚生労働大臣が指定するもの、と定義されている。上記定義の機器のうち、医用電気機器に施される電撃に対する保護手段によって以下のとおりクラス分類される。
○ クラスI機器:基礎絶縁+保護接地(保護接地設備が必要。接地端子付き3P電
源コンセント使用)
○ クラスII機器:基礎絶縁+補強絶縁(使用上の制限なし。多くは接地接続がない
。)
○ 内部電源機器:基礎絶縁+内部電源(外部電源に接続する際は、クラスI又はク
ラスII機器として働くこと)
本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムでは、主として上記定義の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器であって、特定保守管理医療機器に分類されるもので、かつ、電撃に対する保護手段による分類のクラスI機器に該当する
電気機器、つまり、人工呼吸器やシリンジポンプ等の生命維持管理装置、及び心電図モニターや血圧モニター等の生体情報監視装置等を主な管理対象と想定しているが、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムで管理可能な機器はこれらに限らないため、以下、本発明による管理対象は医療機器全般であるものとする。
【0039】
本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムを構成する遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ、ロケーション管理用小型中継無線機、及び遠隔監視端末用ソフトウエアとの間でのデータ送受信について説明する。
【0040】
図1は遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100、ロケーション管理用小型中継無線機300、既設の無線LANアクセスポイント400、及び遠隔監視端末用ソフトウェアをインストールした情報処理装置500との間でのデータ送受信の概念を示す図である。医療機器に装着された遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100a、100b、100c、100dから送信される電波は、ロケーション管理用小型中継無線機300a、300b、300cのいずれか、または2台以上で受信される。この受信電波には、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグを装着した個々の医療機器の「運用管理情報」、「安全管理情報」、「電池電圧」及び「タグI.D.番号」等のデータが含まれる。ロケーション管理用小型中継無線機300a、300b、300cは、各遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100からの受信データと共に、「無線機I.D.番号」と遠隔監視用アクティブ型RFIDタグからの受信電波の「受信電力」データを付加し、既設の無線LANアクセスポイントが受信可能な搬送波に乗せてこれらの信号を送信する。ロケーション管理用小型中継無線機300から送信された電波は、既設の無線LANアクセスポイント400a、400bのいずれかまたは2台以上の無線LANアクセスポイントで受信され、有線LANネットワークを、または無線LANネットワークを経由し、遠隔監視端末用ソフトウェアがインストールされた情報処理装置500で受信される。情報処理装置500により、受信されたデータはログデータとして蓄積され、分析処理された後、情報処理装置50
0に生成された遠隔監視画面上に、医療機器名称と設置エリアを示すロケーション管理情報とが、最新のデータ受信時刻とともに一覧表示される。
【0041】
本発明に係る医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグは、管理対象とする全ての医療機器に装着することによって管理を行なう。そこで、医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグについて説明する。図2は本発明の実施形態に係る医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100のブロック構成を示す図である。
【0042】
マイクロコンピュータ110は、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAM等からなる汎用の情報処理装置である。特に、このマイクロコンピュータ110は、不揮発性で書き換えが不能なメモリ領域にI.D.番号記憶部111を有しており、このI.D.番号記憶部111には、個々の医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100に割り振られている唯一無二で固有のI.D.データを記憶している。
【0043】
リアルタイムクロック(RTC)120はシステム全体の時刻をコントロールするための時計であり、インターフェイス回路(I/F回路)125を介してマイクロコンピュータ110に接続される。
【0044】
電界強度センサ130は、医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100における電界の強さを検知するセンサである。この電界強度センサ130で検知されたデータは、AD変換回路135によりデジタル(数値)化され、マイクロコンピュータ110に入力される。
【0045】
ここで、電界強度センサ130の構成について説明する。電界強度センサ130は、電磁波の電界成分を検知するアンテナ131と、アンテナ131で検知された電圧変化を電界の強さに校正するアンプ132と、直流電圧信号に変換するAC/DC変換回路133で構成される。アンテナ131は、商用電源周波数(50Hz、60Hz)を含む超低周波領域(数Hz〜30kHz程度)の受信帯域を有するアンテナである。本実施形態のアンテナ131は、銅箔、銅板等の2枚の導体からなる平行・平板アンテナ(不図示)で構成される。
【0046】
アンプ132は、アンテナ131で検知された電圧の変化、つまり交流電圧信号を電界の強さに校正する回路で、AC/DC変換回路133で直流電圧信号に変換する。医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグが装着される医療機器筐体金属部とアンテナ131間の静電結合により発生する電圧変化を、検知し、これを信号化して出力する回路である。
【0047】
医療機器には、電磁波障害防止対策のために通常静電シールドが施されているが、医療機器の接地ピン付き3P電源プラグが、正しく接地端子付きの3P電源コンセントに差し込まれ、接地接続が確保されて初めて正常に機能する。もし、接地接続が絶たれて、静電シールドが機能しなくなると、機器内部で発生する電気エネルギーは電磁波として機器筐体から外部に放射されることになる。
【0048】
このとき医療機器から放射される電磁波には、商用電源周波数(東日本で50Hz、西日本では60Hz)の電磁波が含まれる。この種の電磁波は、機器の接地が正しく接続されている場合には、電源コードや電源部周辺を除いては観測されることはない。
【0049】
電界強度センサ130においては、商用電源周波数を含む超低周波領域(数Hz〜30kHz程度)の電磁波を受信するアンテナ131を備えるために、医療機器から放射され
る電磁波を検知することが可能となる。そして、その検知した電磁波の電界強度に基づいて医療機器の使用状況や接地接続状態を評価することが可能である。
【0050】
しかも、医療機器から放射される電磁波を医療機器の筐体外部に遠隔監視用アクティブ型RFIDタグを装着するだけで検知でき、医療機器の分解や改造等を行なう必要がないため、本発明に係る医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100は導入も運用も極めて容易である。
【0051】
図3は、電界強度センサ130による検知データ、つまり検知した電界の強さ(電界強度:単位V/m)と医療機器の使用状況を示す図である。図3において、縦軸の目盛りは電界強度センサ130で検知される電界強度値例を表す。
【0052】
図3(A)に示す範囲は、医療機器の3P電源プラグを、接地端子付きの3P電源コンセントに正しく差し込み、これを抜き取ったときにおける電界強度センサ130で検知される電界強度変化を表している。
【0053】
医療機器の電源プラグがコンセントから外れているときには、通常電界強度センサ130で検知される電界強度は0V/mとなる。ところが、3P電源プラグが接地端子付きの3P電源コンセントに差し込まれた受電状態になると、電界強度センサ130は電源コードから放射される微弱な放射電磁波を検知する。
【0054】
一方、図3(B)は、医療機器の3P電源プラグを接地接続のない3P電源コンセントに差し込み、これを抜き取ったときに、電界強度センサ130で検知される電界強度の変化を表している。医療機器の3P電源プラグが、接地接続のない3P電源コンセントに差し込まれると、医療機器の静電シールドが機能せず、電界強度センサ130では、ある程度強い電界強度が検知される。
【0055】
図3(C)は、医療機器の3P電源プラグが接地端子付きの3P電源コンセントに差し込まれている最中に、人が手で触れるなどのアーチファクトが発生したときに、電界強度センサ130で検知される電界強度変化を表している。遠隔監視用アクティブ型RFIDタグに手で触れる等すると瞬間的に大きな電界強度変化が発生し、電界強度センサ130では大きな電界強度値が検知される。しかしながら、通常これらの電界強度変化は一時的なものであり、手が離れると正常値に復帰する。大きな電界強度値が継続する場合には、医療機器設置場所の電磁環境が異常である可能性を疑わなければならず、至急医療機器設置場所の点検を行なう必要性を示すものとなる。
【0056】
商用電源の受電検知可能な電界強度値をE1とし、受電検知閾値とする。また、接地接
続不良または断線の検知が可能な電界強度値をE2とし、接地接続不良検知閾値とする。
さらには、アーチファクト等の異常検知可能な電界強度をE3とし、異常検知閾値とする

それぞれの電界強度範囲は、以下の意味を持つ。
1.電界強度値E1V/m未満:医療機器停止状態
2.電界強度値E1V/m以上、E2V/m未満:医療機器正常稼動状態
3.電界強度値E2V/m以上:接地接続不良状態
4.電界強度値E3V/m以上:アーチファクト混入、または医療機器設置場所の電磁環
境異常
上記のような電界強度センサ130で検知された電界強度値は、第1比較回路171に入力される。第1比較回路171では、電界強度センサ130で検知した電界強度値を2つの設定閾値(受電検知閾値:E1V/mと接地接続不良検知閾値:E2V/m)と比較し、E1V/m、またはE2V/mを超えたときに、あるいはE1V/m、またはE2V/mを
下回ったときに、OR回路175に信号を出力する。これにより、OR回路175からマイクロコンピュータ110に強制送信信号(=スリープ解除信号)が出力され、医療機器の使用状況変化が即座に送信される。
【0057】
第1比較回路171からの出力は、LED制御回路180にも送られる。LED制御回路180では、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の筐体に外部からの視認が可能な状態で取り付けられた緑色LED181、黄色LED182、赤色LED183の明滅を制御する回路である。
【0058】
LED制御回路180は、内蔵電池160からの給電がある限り、緑色LEDを明滅させ、医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグが作動中であることを知らせる。また、LED制御回路180は、第1比較回路171から電界強度値が閾値E1V/mを越え
る信号を受信した場合には、黄色LED182を明滅させて、医療機器が商用電源受電中であり、正常稼動中であることを知らせる。さらには、第1比較回路171から電界強度値が閾値E2V/mを越えたときの信号を受信した場合には、黄色LED182に加えて
、赤色LED183を明滅させ、接地接続不良状態または断線状態であることを知らせる。また、電界強度閾値E2V/mを下回ったときの信号を受信し、E1V/m未満にならない場合には、赤色LEDの明滅を停止し、黄色LEDの明滅を継続させる。さらに、電界強度値が閾値E1V/m未満になったときの信号を受信した場合は、黄色LEDの明滅を
停止させ、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグが作動中であることを示す緑色LEDのみの明滅となる。
【0059】
医療機器の接地ピン付き3P電源プラグが接地端子付きの3P電源コンセントに正しく差し込まれると、電界強度センサ130ではE1V/m〜E2V/mの範囲内の電界強度が検知され、これにより第1比較回路171からの信号により、LED制御回路180は、緑色LEDに加えて、黄色LED182を明滅させる。一方、もし医療機器の3P電源プラグが接地接続の無い3P電源コンセントに差し込まれると、医療機器の静電シールドが働かず、電界強度センサ130ではE2V/mを越える電界強度が検知されて、第1比較
回路171からの信号により、LED制御回路180は、赤色LED183も明滅させる。
【0060】
3軸加速度センサ140は、遠隔監視用アクティブ型RFID タグ100に加わる物理的な衝撃を加速度データとして検知するセンサである。この3軸加速度センサ140で検知された加速度データは、AD変換回路145によりデジタル化され、マイクロコンピュータ110に入力される。
【0061】
また、3軸加速度センサ140で検知された加速度データは、第2比較回路172にも入力される。第2比較回路172は、3軸加速度センサ140で検知された数値と、予め設定された閾値とを比較し、加速度データが閾値よりも大きい場合に、OR回路175に信号を出力する。すなわち、3軸加速度センサ140において、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100に加えられた物理的な衝撃が閾値を越えた場合、つまり異常な物理的衝撃が加えられたことを検知した場合に、第2比較回路172からOR回路175に信号が出力され、さらにOR回路175からマイクロコンピュータ110に異常発生を知らせるための強制送信信号が出力される。
【0062】
温度センサ150は、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の環境温度を検知する温度センサである。この温度センサ150で検知された温度データは、A/D変換回路155によりデジタル信号化され、マイクロコンピュータ110に入力される。
【0063】
また、温度センサ150で検知された温度データは第3比較回路173にも入力される
。第3比較回路173は、温度センサ150で検知された温度データと設定閾値とを比較し、温度が閾値を超えると、OR回路175に信号を出力する。すなわち、温度センサ150により、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の環境温度が設定閾値を超えたとき、第3比較回路173からOR回路175に信号が出力され、さらにOR回路175からマイクロコンピュータ110に強制送信信号が出力される。
【0064】
電池160は、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の電源であり、RTC、各センサ、アンプ、A/D変換回路、比較回路、マイクロコンピュータ、等に電源を供給する。この電池160の電圧値は、A/D変換回路を経由して、マイクロコンピュータ110に入力される。
【0065】
無線回路190は、マイクロコンピュータ110からの指令に基づき、マイクロコンピュータ110から出力されるデータ群を、所定の搬送波に乗せて送信アンテナ191から送信する回路である。
【0066】
なお、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100に設けられている緑色LED181、黄色LED182、赤色LED183は、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100を医療機器に装着する際、これらLEDにより遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の装着位置を決定するために利用される。
【0067】
次に、上記に説明した遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の医療機器に装着する方法について説明する。図4は、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100を医療機器に装着を説明する図である。
【0068】
本発明の実施形態に係る医療機器の遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100は、図4に示すように、医療機器外装に、例えば両面接着テープ等を用いて固定されるため、医療機器の改造や電気的な接続を必要とせず、新たな製造販売承認、許可の取得は不要となる。
【0069】
遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の医療機器への装着は、商用電源の受電検知可能な位置であることが重要となる。医療機器筐体には電源コードの導入部或いは電源部があるが、その周辺から距離(r)の位置に遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100を取り付けることとする。電界強度センサ130が、受電検知閾値E1V/mを検知す
ることができる電源コード導入部からの距離を(R1)とし、接地接続不良検知閾値E2
V/mを検知する電源コード導入部からの距離を(R2)とすると、R1、R2、rの間には、R2<r<R1の関係が成り立つ。このことは、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100が作動中であることを示す緑色LED181と、商用電源受電中であることを示す黄色LED182が明滅することを意味するが、接地接続不良であることを示す赤色LED183は明滅しないことを意味する。
【0070】
つまり、医療機関で本医療機器運用管理システムを利用する場合、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の医療機器への装着場所の探索時には、電源コードまたは電源部周辺から放射される電磁波電界強度は小さいが、ある程度以上近づけると接地接続不良検知閾値を越えてしまうので、これを避けるために、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の黄色LED182が明滅し、赤色LED183が明滅しない場所を探索すればよいこととなる。同一の機種では同一の装着場所を選択する。
【0071】
遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100は、以上に説明したように装着される。
【0072】
上記のような遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100を利用して医療機器の運用管
理を行なうため、後述する遠隔監視端末用ソフトウェアをインストールした情報処理装置(例:デスクトップ型パソコン)500には、どのI.D.番号の医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100が、どの医療機器に装着されているかを記憶する手段を備えている。
【0073】
遠隔監視用アクティブ型RFID タグ100は、電池160が装填されると起動し、工場出荷時の設定により作動を開始するが、遠隔監視端末用ソフトウェアがインストールされた情報処理装置500に生成される遠隔監視画面上で、タグI.D.番号を入力することにより、情報処理装置500と遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100間での相互通信が可能となる。これにより、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグのリアルタイムクロックの時刻合わせを行なうが、同時に、自動信号送信間隔等の設定変更も可能である。
【0074】
その後、特定の医療機器に、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100を装着し、遠隔監視端末用ソフトウェアがインストールされた情報処理装置500に生成される遠隔監視画面上で、医療機器名称、モデル番号、シリアル番号、管理番号等を入力することによって、タグI.D.番号と医療機器が1対1で対応、固定され、記憶される。
【0075】
図5は、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムで用いられるデータテーブルを示す図である。図5に示す当該データテーブルは、特定の医療機器と、当該特定の遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100のタグI.D.番号とが1対1で対応付けられたことを表す。これで、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100は、指定された医療機器の使用状況、接地接続状態、使用環境等のデータ取得、及びデータ送信を開始する。
【0076】
次に、上記に説明する遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100内蔵マイクロコンピュータ110で実行される処理について例示し、説明する。図6は、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100内蔵のマイクロコンピュータ110におけるデータ処理のフローチャートを示す図である。
【0077】
遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100が起動され、医療機器への装着後、1対1で対応、固定、記憶された後、ステップS100で遠隔監視モードがスタートして、ステップS101へと移行する。
【0078】
ステップS101では、マイクロコンピュータ110が、指定時刻に電界強度センサ130、3軸加速度センサ140、温度センサ150からの検知データを収集し、電池160の電圧と遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100のタグI.D.番号とともに、無線回路190で搬送波に乗せて、送信アンテナ191からデータを送信する。
【0079】
その後ステップS102に移行し、マイクロコンピュータ110は節電のためスリープ状態となり、ステップS103で、リアルタイムクロック120が設定時刻までのカウントダウンを開始する。
【0080】
ステップS103でのカウントダウン中、マイクロコンピュータ110はスリープ状態を維持する。リアルタイムクロック120で設定時刻に到達すると、マイクロコンピュータ110のスリープ状態は解除され、再びステップS101に移行して、電界強度センサ130、3軸加速度センサ140、温度センサ150から最新データを収集し、電池160の電圧と遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100のタグI.D.番号とともに、無線回路190、送信アンテナ191からデータを送信する。つまり、マイクロコンピュータ110は基本的にこのサイクルを繰り返すこととなる。
【0081】
ステップS103のリアルタイムクロック120のカウントダウン中に、第1比較回路171の2つの設定閾値を縦断するイベント、または安全管理情報の各比較回路設定閾値を縦断する異常が発生すると、ステップS104に移行し、OR回路175から強制送信信号(スリープ解除信号)が出力され、マイクロコンピュータ110のスリープ状態は解除されて、ステップS101に移行し、イベント情報を含む、電界強度センサ130、3軸加速度センサ140、温度センサ150の検知データを収集し、電池160の電圧と遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100のI.D.番号とともに、無線回路190、送信アンテナ191からデータを送信する。
【0082】
遠隔監視用アクティブ型RFID タグ100のリアルタイムクロック120は、OR回路からは独立しているため、イベント発生時にリセットされることはなく、定時にマイクロコンピュータ110のスリープ状態が解除され、ステップS101へと移行する。
【0083】
また、リアルタイムクロック120のカウントダウン中に複数のイベントが発生した場合、その都度マイクロコンピュータ110のスリープ状態が解除され、最新データ収集と送信を繰り返す。
OR回路175からの強制送信信号(スリープ解除信号)は、下記のイベント発生時に出力される。
1.電源受電状態の変化: 電源遮断 ⇒ 受電、受電状態 ⇒ 電源遮断
2.接地接続不良検知: 電界強度値がE2V/mを越えたとき
電界強度値がE2V/mを下回ったとき
3.異常な物理的衝撃検知: 設定閾値を越える衝撃を検知したとき
4.異常環境温度検知: 設定閾値を越える異常温度を検知したとき
OR回路175からの強制送信信号は、センサ検知信号のひとつが各比較回路の設定閾値を縦断したときに1度だけしか発せられないため、通常1イベントの発生で強制送信信号が繰り返し発信されることはない。
【0084】
以上のように、医療機器に装着された遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100からは、図7に示すように、「電界強度」、「加速度」、「温度」、及び装着した遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ固有の「I.D.番号」と内蔵「電池電圧」が無線送信される。図7は、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100から無線送信されるデータ構成の1例を示す図である。
【0085】
上記のように、各医療機器に装着された遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100から無線送信されたデータは、先ず、施設内に設置された複数のロケーション管理用小型中継無線機300によって受信される。本発明に係る医療機器運用管理システムにおいては、通常複数台数のロケーション管理用小型中継無線機300からの受信情報から、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100が装着された医療機器の現在地を示す手段を有している。
【0086】
次に、本発明に係る医療機器運用管理システムで用いるロケーション管理用小型中継無線機300について説明する。図8は、ロケーション管理用小型中継無線機300のブロック構成を示す図である。図8において、I.D.番号記憶部340は、個々のロケーション管理用小型中継無線機に割り振られている唯一無二で固有の無線機I.D.番号を記憶する不揮発性で書き換えが不能な記憶素子で、ロケーション管理上最も重要な情報を担う。受信アンテナ310は遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100が送信した電波を受信するためのアンテナである。受信電力計測回路320は、個々の遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100から受信した電波の強さを受信電力として計測する。
【0087】
制御回路330は、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグから受信したデータ、つまり
「タグI.D.番号」、「電界強度」、「加速度」、「温度」及び「電池電圧」データを受け取り、受信電力計測回路320で測定した「受信電力」とロケーション管理用小型中継無線機300固有の「無線機I.D.番号」とを通信回路350に出力する。通信回路350は、全てのデータを、既設の無線LANアクセスポイントが受信可能な搬送波に載せて、送信アンテナ360からデータを転送する。
【0088】
また、本発明に係る医療機器運用管理システムでは、一般的に広く普及している無線LANシステムの通信ネットワークを利用するため、ロケーション管理用小型中継無線機300に関連する無線環境構築工事では、新たなLANネットワークの構築やHUBの増設等を必要とせず、商用電源の供給だけで済むために、システム作成コストを大幅に削減できる、というメリットを享受することができる。
【0089】
以上のように構成されるロケーション管理用小型中継無線機300は、適当な空間的間隔を持って、施設内に設置される。図9は、ロケーション管理用小型中継無線機300の設置例を示す図であり、病院建屋内フロア間取りの中で、どのようにロケーション管理用小型中継無線機300が設置されているかを示したものである。
【0090】
図9に示す例では、「観察室」にロケーション管理用小型中継無線機300aが、また「ナースステーション」にロケーション管理用小型中継無線機300bが、「病室A」に300cが、「病室B」に300dが、「病室C」に300eが設置されている場合を示している。また、同一フロアに無線LANアクセスポイント400aが設置されている。図9に示す例では、各医用室に1台だけロケーション管理用小型中継無線機300を設置した例を示しているが、病床数の多いICUのような場合には、2台以上のロケーション管理用小型中継無線機300を設置してもよいし、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100からの電波が受信可能であれば、病室Dのようにロケーション管理用小型中継無線機を設置しない医用室があってもよい。
【0091】
図9を参照して、本発明に係る医療機器運用管理システムにおける医療機器のロケーション管理情報の特定方法について説明する。例として、I.D.番号100aの遠隔監視用アクティブ型RFIDタグを装着した医療機器が「観察室」内にある場合について説明する。遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100aから送信された電波は、ロケーション管理用小型中継無線機300a及び300bがほぼ同時に受信する。
【0092】
ロケーション管理用小型中継無線機300が受信する電波の強さ、つまり受信電力は、通常距離が近いほうが大きく、遠い方が小さくなる。各ロケーション管理用小型中継無線機300の送信データより、遠隔監視端末の画面上に、第1候補、第2候補、第3候補として、候補エリア名称とともに受信電力が表示されるため、観察者は、より大きな受信電力を示す方のロケーション情報を医療機器の現在地と判断することができる。また、第1候補、第2候補、第3候補と同時に画面上に表示されることにより、観察者は医療機器が間違いなく特定の病棟等に存在していることを確認できる。
【0093】
ロケーション管理用小型中継無線機300の設置情報、すなわち、どのロケーション管理用小型中継無線機300が、どのエリアに設置されているかを、医療機器遠隔監視端末用ソフトウェアをインストールした情報処理装置500に生成される遠隔監視端末画面上で入力することにより、ロケーション管理が可能となる。つまり、ロケーション管理用小型中継無線機300固有の無線機I.D.番号と、設置エリア名称とを1対1で対応、固定、記憶させることにより、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100がどのエリアにあるかを判定し、遠隔監視端末画面上で表示させることが可能となる。
【0094】
上記のようなロケーション管理用小型中継無線機300のロケーション情報、すなわち
、どの無線機I.D.番号のロケーション管理用小型中継無線機300が、どのエリアに設置されているかの情報は、指定のテーブルに記憶される。図10は、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムで用いられるデータテーブルを示す図である。図10に示すように、当該データテーブルには、ロケーション管理用小型中継無線機300の無線機I.D.番号と、設置エリア名称とが対応付けられた形で記憶される。
【0095】
次に、施設内各所に設置されるロケーション管理用小型中継無線機300から無線LAN経由で送信されてくるデータについて説明する。図11は、ロケーション管理用小型中継無線機300より送信されてくるデータ構成の一例を示す図である。図11に示すように、ロケーション管理用小型中継無線機300からは、「無線機I.D.番号」、「受信電力」、「タグI.D.番号」、「電界強度」、「加速度」、「温度」及び「電池電圧」データが無線送信される。これらのデータの内、「タグI.D.番号」、「電界強度」、「加速度」、「温度」及び「電池電圧」データは遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100から受信したデータ(転送データDT)であり、「無線機I.D.番号」、「受信電力」はロケーション管理用小型中継無線機300で付加されたデータである。また、受信電力レベルは、受信電力計測回路320で測定されたデータである。
【0096】
これまで説明したように、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100から無線送信される医療機器の使用状況を示す各センサ検知データ、電池電圧及びタグI.D.番号とは、ロケーション管理用小型中継無線機300で受信された後、ロケーション管理用小型中継無線機300の無線機I.D.番号と受信電力データが付加されて、無線LANアクセスポイントに向けて転送される。既設の無線LANアクセスポイント400で受信されたデータは、有線LANネットワークまたは無線LANネットワークに接続された情報処理装置500において、例えば図12に示すようなデータ構成で受信される。
【0097】
図12は、遠隔監視端末用ソフトウェアがインストールされた情報処理装置500で受信されるデータの構成例を示す図である。図12に示すように、データには、「無線機I.D.番号」、「受信電力」、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の「タグI.D.番号」、「受信データ群(遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100の各センサ検知データと電池電圧)」及び「受信時刻」等の項目が含まれる。なお、受信電力欄の各受信電力においては、X1>X2>X3及びX4>X5>X6の関係を有する。
【0098】
図13は、タグI.D.番号100aの遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100が装着された人工呼吸器No.1が、時間経過とともに、施設内のどの医用室で、どのような使用状況(例:「正常稼動」中、または「停止」中)であったかを示した例である。この例では、衝撃検知の推移や、温度変化の推移、電池電圧の推移についても示されている。
【0099】
通常、MEセンターから貸し出された機器は、即座にその機器を使用する予定のベッドサイドに持ち込まれ、機器の電源プラグが所定のコンセントに差し込まれ、例えば人工呼吸器の場合、機械のセルフテスト完了後、呼吸回路の点検が行われ、かつ、呼吸回数、一回換気量等の諸設定と、警報設定等が行われて、スタンバイ状態となる。遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100は、医療機器の3P電源プラグが正しく3P電源コンセントに差し込まれた瞬間に受電状態になったことを検知し、同時に全ての検知信号を送信する。このとき「正常稼動」状態と認識される。
【0100】
機器が患者に装着され、診断や治療が開始される。
【0101】
診断や治療が終了した際には、例えば人工呼吸器では、患者の自発呼吸の様子を観ながら、呼吸回路の取り外し、問題がなければ治療を終了し、人工呼吸器の電源プラグが電源
コンセントから引き抜かれ、ベッドサイドから撤去され、病室外へと持ち出される。遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ100は、機器の電源プラグが電源コンセントから引き抜かれた瞬間に電源が遮断されたことを検知して、同時に全ての検知信号を送信する。このとき「停止」状態と認識される。
【0102】
MEセンター内において「正常稼動」と示されている部分では、電源を投入しての点検や、内部電源を持つ人工呼吸器等の充電運転を行っている時間帯であるが、MEセンタースタッフには、表示される医療機器の設置エリア情報により、使用状況がこれら点検作業中、充電運転中であることの判断が可能となる。
【0103】
次に、上記の分析処理に基づいて、各医療機器の累計稼働時間等を遠隔監視画面上に表示、出力する例について説明する。図14は、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによって各医療機器の累計稼働時間、累計停止時間、稼働率を出力する例を示す図である。ここでの累計稼働時間は、基本的には本医療機器運用管理システム導入後の累計データとなるが、蓄積されたデータに基づいて、それぞれの医療機器が医療機関に導入されてからの累計、あるいは、それぞれの医療機器が所定の定期点検を受けたときからの累計等、選択可能である。図14に示すような表示・出力機能によれば、臨床工学技士等が各医療機器の累計稼働時間、累計停止時間、稼働率を容易に把握することが可能となる。
【0104】
次に、上記の分析処理に基づいて、各医療機器の累計稼働時間と、それに基づく定期点検等の告知を表示し、出力する例について説明する。図15は、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによって各医療機器の累計稼働時間とそれに基づく定期点検等の告知を表示、または出力する例を示す図である。
【0105】
図15に示すように、それぞれの医療機器が定期点検を受けたときからの累計稼働時間を表示するよう、プログラムを選択すると、医療機器の定期点検完了時に、累計時間をリセットすることができる。
【0106】
そして、機種毎に予め設定した累計稼働時間(例えば、2000時間とする等、医療機器メーカーによって指定された定期点検を行うべき稼動時間数を設定する。)を超えた場合に、図15に示すように、「要定期点検」または「要点検」等の警告メッセージが表示される。図15に示すような表示、出力機能によれば、臨床工学技士が必要時に確実に保守管理を実施するための一助となる。
【0107】
次に、上記の分析処理に基づく情報表示例を説明する。図16は、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによって、遠隔監視端末用ソフトウェアがインストールされた情報処理装置500の遠隔監視画面上に表示される各医療機器の使用状況とロケーション情報等を一覧表示する例を示す図である。
【0108】
図16では、「医療機器使用状況(「正常稼動」、「停止」または「接地接続不良」等の情報)」、「タグI.D.番号(実装時には医療機器管理番号を入力する。)」、「電池電圧(V)」、「医療機器名称、及び機種名」、ロケーション管理情報の「第1候補エリア名称」と「受信電力(dBm)」、「第2候補エリア名称」と「受信電力(dBm)」、「第3候補エリア名称」と「受信電力(dBm)」、「累計稼働時間」、「累計停止時間」、「稼働率」、及び最新データの「受信時刻」が同一画面上に表示された例を示す。
【0109】
図16に示すような表示・出力機能によれば、臨床工学技士等が、どの医療機器がどのエリアにあるか、どのような使用状況にあるかを、いつでも一目瞭然で把握することがで
きる。
【0110】
また、図16では各種医療機器の情報が混在しているが、医療機器名称、及び機種名等でソート機能を使用することにより、人工呼吸器だけを一覧表示したり、機種名を含めて一覧表示させたりできるため、貸し出し用の機器が不足した場合等に使用していない機器の現在地が簡単に確認でき、また、履歴データを閲覧することにより、停止時刻からの経過時間を確認することもでき、使用後の速やかな返却を促すなど、運用効率を高めるための新たな取り組みが可能となる。
【0111】
また、行方不明の機器があった場合には、管理番号を入力することにより、最後にデータを受信した時刻と、そのときの設置場所を確認することができるため、機器の捜索時に重要な情報となる。
【0112】
以上のように、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによれば、医療機器の運用管理情報とともに、医療機器の接地ピン付きの3P電源プラグが接地端子付きの3P電源コンセントに正しく差し込まれているか、等も含めた医療機器の安全管理情報を含め、適切な管理を遠隔監視で行なうことが可能となる。
【0113】
従って、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによれば、医療機器の管理を効率的に行なうことが可能となり、かつ安全管理面においてもMEセンター等における臨床工学技士による業務を大幅に支援することが可能となる。
【0114】
また、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによれば、集中治療室や病棟等での医療機器の放置を防止でき、真に必要な数の医療機器の掌握が可能となり、余分な医療機器の増設を抑制でき、資産管理上のメリットも享受できる。
【0115】
また、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによれば、特定保守管理医療機器等を改造することなく、システムの導入が可能となる。
【0116】
また、本発明の実施形態に係る医療機器運用管理システムによれば、ロケーション管理用小型中継無線機は商用電源の供給のみで利用できるため、LANネットワークの増設やHUBの増設を行なうことなくシステムの導入が可能であるため、コスト削減できる。
【符号の説明】
【0117】
100、100a、100b、100c、100d・・・医療機器遠隔監視用アクティブ型RFIDタグ、110・・・マイクロコンピュータ、111・・・タグI.D.番号記憶部、120・・・リアルタイムクロック、125・・・インターフェイス回路、130・・・電界強度センサ、131・・・アンテナ、132・・アンプ、133・・・AC/DC変換回路、135・・・A/D変換回路、140・・・3軸加速度センサ、145・・・A/D変換回路、150・・・温度センサ、155・・・A/D変換回路、160・・・電池、165・・・A/D変換回路、171・・・第1比較回路、172・・・第2比較回路、173・・・第3比較回路、175・・・OR回路、180・・・LED制御回路、181・・・緑色LED、182・・・黄色LED、183・・・赤色LED、190・・・通信回路、191・・・送信アンテナ、300、300a、300b、300c・・・ロケーション管理用小型中継無線機、310・・・受信アンテナ、320・・・受信電力計測回路、330・・・制御回路、340・・・無線機I.D.番号記憶部、350・・・通信回路、360・・・送信アンテナ、400a、400b、400c・・・無線LANアクセスポイント、500・・・情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関において使用される医療機器の運用管理を遠隔監視によって行う医療機器運用管理システムであって、
医療機器に電気的な接続や改造を加えることなく機器筐体に装着でき、装着する医療機器特定のための固有のI.D.番号を備え、また、装着された医療機器の使用状況と使用環境を監視する検知センサを備え、前記検知センサで取得したデータをタグ固有のI.D.番号とともに無線周波により送信する遠隔監視用アクティブ型RFIDタグと、
前記遠隔監視用アクティブ型RFIDタグから送信されるデータを受信し、無線LANネットワークのアクセスポイントが受信可能な電波に変換し、ロケーション特定用の固有の無線機I.D.番号を備え、遠隔監視用アクティブ型RFIDタグからの受信電力とともに受信したデータを送信するロケーション管理用小型中継無線機と、
無線LANネットワーク経由で受信したデータの記録を行う蓄積手段と、データの分析手段と、分析結果の表示生成手段とを有する遠隔監視端末用ソフトウェアと、
からなることを特徴とする医療機器運用管理システム。
【請求項2】
前記検知センサが受電検知のための電界強度センサであることを特徴とする請求項1に記載の医療機器運用管理システム。
【請求項3】
前記検知センサが物理的衝撃検知のための加速度センサであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の医療機器運用管理システム。
【請求項4】
前記検知センサが異常温度検知のための温度センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の医療機器運用管理システム。
【請求項5】
前記遠隔監視用アクティブ型RFIDタグにはLEDが設けられており、前記遠隔監視用アクティブ型RFIDタグを医療機器に装着する際、前記LEDにより前記遠隔監視用アクティブ型RFIDタグの装着位置を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の医療機器運用管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−97761(P2013−97761A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243170(P2011−243170)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(398035626)杉原エス・イー・アイ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】