説明

医療流体及びその容器に関する情報を管理するシステム及び方法

【課題】医療流体及びその容器に関する情報を管理するシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、医療流体、その容器、及び医療流体を患者に投与する医療流体投与装置に関する情報の管理に関する。データタグ(例えば、RFIDタグ)は一般に本発明の容器と関連しており、例えば本発明の医療流体投与装置と関連する電磁装置を使用することにより、電磁的に読み取られ、及び/又はそこに書き込まれる。本発明は、医療流体及びその容器に関する情報を管理するシステム及び方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は次の米国暫定出願の利益を請求し、参照することでその全体内容をここに組み入れる。
米国暫定出願番号第60/668647号、2005年4月6日出願、発明の名称「薬剤容器及び/又はそこに配置される薬剤に関する情報を追跡するシステム及び方法」
米国暫定出願番号第60/716166号、2005年9月12日出願、発明の名称「CTスキャニングスーツの薬剤容器に関する情報を追跡するシステム及び方法」
米国暫定出願番号第60/668681号、2005年4月6日出願、発明の名称「放放射性薬剤を標識付けする装置及び方法」
米国暫定出願番号第60/681252号、2005年5月16日出願、発明の名称「放射性薬剤を標識付けする装置及び方法」
米国暫定出願番号第60/718545号、2005年9月19日出願、発明の名称「造影媒体容器のデータタグを読み取るアンテナシステム及び方法」
【0002】
本発明は一般に医療流体(例えば、放射性薬剤、造影媒体)に関し、詳しくは医療流体、その容器、及び/又はそのような医療流体を投与するのに使用される医療流体投与装置に関する情報の追跡及び/又は管理に関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤(例えば造影剤、放射性薬剤)の適切な投与は、正しい薬が適切に投与されるのを保証する人間的信頼性に依存する。注射薬の場合、過誤は重大である。統計的に、正確な注射を行う医療システムの精度は優れている。しかしながら、年間の多大な注射に対して過誤をさらに減少するために継続的に努力されている。過誤の大多数は人的過誤の結果である。
【0004】
特に関心があるのは、造影媒体又は造影剤の包装、流通及び使用である。ここで使用される造影媒体又は造影剤は生理学的構造(例えば、組織、血管、細胞)の中、その上、又はその回りに導入される物質である。造影媒体と周辺組織による吸収の差のため、造影剤により構造のX線撮影可視化が可能である。造影媒体は、X線コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共振画像形成(MR)、超音波画像形成、血管造影、及びその他の手順で使用される。容器例えばシリンジは独立供給者により所望量の造影媒体で満たされる。造影剤で満たされたシリンジは病院、画像サービス提供者又は他の医療施設に販売され提供される。
【0005】
造影剤とその関連シリンジの有効寿命の間、追跡目的に対する3つの主な関心領域がある。1)造影剤が容器(例えば)に包装される場所、2)充填シリンジの流通及び保管、3)シリンジの使用及び廃棄。シリンジへ造影剤の充填は医療施設から離れた供給者の施設、あるいは、ある状況では医療施設の薬局内で行われる。造影剤は多くのタイプと濃度があり、大きさの異なるシリンジに充填される。シリンジは、使用される注入器のタイプによっても変化する。さらに、造影剤は有限の貯蔵寿命と、大気に解放されたり、注入準備のために加熱したときに、さらに有限の寿命がある。このように、シリンジに造影剤を適切に充填するために、造影剤の使用、注入器、時には患者の独自性の知識が必要である。さらに、造影剤の正しい使用は、その寿命の知識、シリンジが充填されたときに関するその他の情報が必要である。
【0006】
現在、これらの全ての情報は薬剤師及びX線技術者により人為的に収集されていた。技術者はこれらの情報を用いて注入器を手動で設定する。現在この情報は人為的に種々の記録に移されなければならない。薬剤を管理する公知のシステムは、充填サイズや造影媒体の濃度に関するSKUその他の指標を有するバーコードを充填シリンジに付与している。しかしながら、このシステムは、使用が制限され、医療環境に必要とされる、特に造影媒体の使用に関する全てのパラメータの有効な管理を行っていない。シリンジを充填するときの造影媒体に関する情報を入力する自動化されたシステムに対する需要がある。また、医療施設の外部の供給者から、及び/又は、設備内の薬局から流通システムを通して特定のシリンジを自動的に追跡するさらなる要求がある。
【0007】
典型的なX線部はX線造影剤加温装置又は加温ボックスを有している。この装置は造影剤を手動で注入し又は注入器に設置する前に、造影媒体を体温まで上昇するのに使用される。さらに、X線部がその日の必要量以上の造影媒体を加温ボックスに保管することが考えられる。これはX線技術者が時には数十個の造影媒体シリンジの足跡を人為的に保持する責任を有する複雑な状況を生む。シリンジは加温ボックス内で品質、タイプ、時間により追跡されなければならない。造影媒体はシリンジは先入れ先出し基準で使用されるべきである。この結果、あるタイプは多く、他のタイプは十分でない状況が生じる。この造影媒体シリンジの人為的追跡の結果、あるシリンジが加温ボックスに長時間保持され、他は適切に加温される前に過誤により取り出される結果となる。したがって、加温ボックスの造影媒体シリンジを追跡する自動化されたシステムに対する要求がある。
【0008】
自動注入器はX線画像形成手順を受ける患者にX線造影媒体を注入するのによく使用される。X線技術者は、X線手順の実行中に気が散って、空のシリンジを使用して患者に注入する可能性がある。空シリンジ注入は、技術者が注入後に自動注入器でシリンジのプランジャーを後退させ、不注意で空シリンジを新しい充填シリンジと置き換えなかったときによく生じる。次の患者が画像形成の準備をしているときに、技術者が空のシリンジが自動注入器に装着されていることを認識し損なう。なぜなら、完全に後退した空のシリンジは造影剤媒体が完全に充填されたように見えるからである。空のシリンジを使用する危険性を減少するために、自動注入器は、メッセージで、空気がシリンジ及びチューブから排出されたことを確認するよう技術者を促す。しかしながら、技術者はシリンジやチューブを注意深くチェックせずにその促しに「はい」と回答するかもしれない。この結果、空気が患者に注入される。したがって、空のシリンジの使用を防止するさらに自動化されたシステムに対する要求がある。
【0009】
空のシリンジに造影剤媒体を再充填することは可能である。あるシリンジは再充填するように意図され、他は意図されていない。しかしながら、あるものは、再充填するように意図されていないシリンジを再充填し、及び/又はシリンジ内に空気を閉じ込める危険性をもって不適切にシリンジを再充填することになる。したがって、シリンジの使用を追跡し、その後の不認可の再使用を防止する自動化されたシステムに対する要求がある。
【0010】
自動注入器の世界の設置数は、その信頼性と長い寿命により、非常に多い。自動注入器の寿命の間、該自動注入器で使用されるシリンジの径と長さは、ツーリング(tooling)、材料又はプロセスの時間的変化、又はバッチからバッチへの通常の変化により、変化する。公知の自動注入器はシリンジサイズに対して固定したプログラムを有し、シリンジの径と長さの僅かな変動に対して自動的に同調するように設定されていない。シリンジの径と長さを仮定することにより、自動注入器の容積供給精度は制限される。例えば、シリンジのサイズの変化の結果、電子機器や機械的伝動が良好であるとしても、典型的な容量精度が1回注入あたり約±2ミリリットル(ml)変化する。したがって、シリンジサイズの変化を決定し、良好な容量供給精度を達成することができる自動化システムに対する要求がある。
【0011】
自動注入器が正確に動作しなかったとき、サービスエンジニアを呼ばなければならない。動作問題を経験した自動注入器を分析するのに、注入器は「サービス」モードで動作される。これは、よく注入器制御部に電気ジャンパを設置することで達成される。このサービスモードは、自動注入器のテスト及び修理を容易にするが、サービスモードは注入器の安全上の特徴を不能にする。ジャンパの使用は単純な技術である。顧客が例えば注入器を使用するときに種々の安全チェックをする不都合を避けるために、権限なくサービスモードを呼び出すことは比較的容易である。さらに、サービスモードは偶発的に有効になることがある。ジャンパが接続パネルの近傍に配置されているので、簡単には見えない。ジャンパを過って自動注入器に残すことがある。この場合、注入器はサービスモードのまま残る。サービスモードが医療手順で使用される場合、故意に又は過誤により、注入器が安全に動作されなくなる。したがって、自動注入器をサービスモードにし、サービスモードにある間は自動注入器の通常使用を防止するより良いシステムの要求がある。
【0012】
自動注入器が適切に動作しないとき、不適切な動作は繰り返されることがなく、間欠的であり、サービスエンジニアにより解決されない。このような場合、自動注入器は一時的に置き換えられ、完全な検査のために工場に戻される。自動注入器が戻されると、工場の人は、問題を有効に解決するための自動注入器の不完全な動作に関する十分な情報を受け取れない。したがって、サービス目的で工場の人に不完全な動作条件を連絡するより良いシステムに対する要求がある。
【0013】
自動注入器の製造者は、顧客が望まないが、あらゆる可能な特徴を注入器ソフトウェアに埋め込んでいる。製造者は開発コストと設置の複雑性を減少するためにこれを行っている。しかしながら、製造業者は非常に価値の高い特徴を有するとき、製造業者はそれに支払う顧客にのみその特徴を作動させる費用効果の高い信頼性のある方法を見つけらければならない。したがって、製造業者が全ての動作上の特徴を埋め込むことができるが、特定の顧客が購入した特徴のみを自動的に作動させることができるより良いシステムに対する要求がある。
【0014】
また、造影媒体が充填されたときから、流通を経て、医療施設及び/又はイメージングスーツ、シリンジからの造影剤媒体の注入、シリンジの廃棄又は認可された再充填までシリンジを追跡する自動化されたシステムに対する要求がある。造影剤媒体の注入に関する情報を患者記録に通信する自動化されたシステムに対するさらなる要求がある。
【0015】
同様の問題及び要求は、放射性のある薬剤又は放射性薬剤のような他の薬剤の製造、保管、使用についても存在する。放射性薬剤は放射性薬局で調製され、シリンジ又はバイアルに所望量の放射性薬剤が充填される。シリンジ又はバイアルは「ピッグ(pig)」と呼ばれる容器に設置される。このピッグは、取扱者が放射性薬剤からの放射能に曝されるのを防止するために鉛及び/又は他の放射線遮蔽材料を含んでいる。供給後、ピッグを開放し、シリンジ又はバイアルを取り外し、放射性薬剤を患者に投与する。使用されたシリンジ又はバイアルをピッグに戻し、ピッグとシリンジ又はバイアルを放射性薬局に戻し、シリンジを廃棄し、又はピッグを再使用し又は廃棄する。この明細書では、「容器」の用語は放射性薬剤を保持し分配することができる構造、例えばシリンジ、バイアルなどを意味する。
【0016】
ある放射性薬局は、放射性薬剤のピッグ及びシリンジ又はバイアルの輸送と受容を促進するために、処方箋ラベル上のバーコードを読み取るバーコードリーダを使用する原子力薬剤追跡システムを有する。したがって、受入原子力薬局部の人はピッグの処方箋ラベルをスキャンしてデータを処理データシステムに入力することができる。この公知のバーコードの使用は、流通機構を通して処方情報を通す信頼性を向上したが、バーコードは著しい欠点を有する。バーコードは限定された量の情報しか記憶できないし、「読み取り専用」のデバイスであるために、コード化された情報を変更又は更新することはできないし、新たなデータを処方ラベルに追加することもできない。さらに、バーコードは有用なリーダの「視線(line of sight)」になければならない。
【0017】
シリンジ又はバイアルは使用後に廃棄されるが、放射性薬剤ピッグは洗浄され再使用のために再調整される。したがって、薬剤ラベルをピッグに取り付けるのに接着剤を使用する代わりに、弾性バンド、弾性透明プラスチックスリーブなどでラベルをピッグに取り付けることが知られている。このような技術はピッグを再使用のために洗浄することを容易にするが、ラベルとピッグを共に信頼性をもって維持するのに、まずラベルを取り付けてラベルとピッグの組み合わせの正確性を処方寿命の間ダブルチェックするという実質的に人間の努力を必要とするという欠点がある。
【0018】
放射性薬剤の適切な取扱いと使用は、高度に訓練された手順を要すると言える。過誤発生は統計的に小さいが、誤りは放射性薬剤の取扱いと供給で依然として生じる。したがって、前述の欠点に直面した放射性薬剤用の処方ラベルを提供する要求がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は一般に、医療流体とその容器に関する情報の管理、及び/又は医療流体投与装置に関する。本発明の容器は、典型的には、データを容器のデータタグから読み取り、及び/又は容器のデータタグに書き込むことができる容器と関連するデータタグを有する。これにより、例えば、製造、輸送、保管、使用及び/又は廃棄の途中及び/又はそれらの間に、容器及び/又はこれと関連する医療流体に関する情報を解明し、オプションとして更新することができる。
【0020】
ここで使用される「医療流体」は一般に、医療手順(例えば、診断手順、治療手順)の一部として、医療患者に投与(例えば静脈内投与)されるように設計された流体をいう。医療流体の例は、造影剤、放射性薬剤、及び塩を含むがこれらに限定されない。本発明の「容器」は一般に、医療流体をそこに設置するように設計された如何なる容器をもいう。本発明の容器の例は、シリンジ、IVバッグ、バルク(bulk)造影剤容器を含むが、これらに限定されない。本発明の「投与装置」は、医療流体を容器から患者に輸送するのを少なくとも支援するように設計された如何なる電子装置をもいう。医療流体投与装置の例は、注入ポンプ、自動注入器を含むが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の第1の局面は、医療流体が配置されたシリンジに向けられている。シリンジは、自動流体注入器のソフトウェア最新版、製品プロモーション、及び/又はさらなる製品の販売の電子クーポンコードのようなデータを記憶するデータタグを有する。ちなみに、ここで「データタグ」は、電磁的にそこから読み取られ及び/又はそこに書き込まれたデータを有することができるいかなるデバイス(例えばRFIDタグ)をもいう。
【0022】
本発明の第2の局面は、医療手順において容器から医療流体を患者に送出するのを少なくとも支援することができる医療流体投与装置に向けられている。容器はデータを記憶するデータタグを有し、投与装置は電磁装置を有する。ここで、「電磁装置」はデータをデータタグから電磁的に読み取り、及び/又はデータタグに書き込むことができるいかなる装置をもいう。データタグから読み取られるデータは、投与装置の形態情報(configuration information)、投与装置のソフトウェア最新版、製品プロモーション、及び/又はさらなる製品の購入用の電子クーポンコードに関するものでもよい。形態情報に関するデータを含むデータタグの場合、データが電磁装置によりデータタグから読み取られると、形態情報は投与装置により使用され、自己形態サイクル(self-configurationcycle)を実行してもよい。
【0023】
本発明の第3の局面は、医療流体投与装置と関連して使用するための装置に向けられている。このシステムは、サービス要員により使用されるサービスデータタグ(例えば、バッジ又はカードの部品のようなもの)と、投与装置と関連した電磁装置とを有する。この電磁装置はサービスデータタグからデータを読み取り、及び/又はサービスデータにデータを書き込むように動作可能である(例えば、サービス要員の識別に関するデータ及び/又は特別な投与装置の形態情報を提供するため)。
【0024】
この本発明の第3の局面に関して、幾つかの実施形態の投与装置は、電磁装置がサービスデータタグからデータを検出すると、サービスモードを可能にする。電磁装置は、サービス行動情報、投与装置形態情報及び/又は投与装置使用情報(例えば、流体投与プロトコル統計、容器識別、医療流体使用情報)に関するデータをサービスデータタグに書き込んでもよい。
【0025】
本発明の第4の局面は、医療流体が設置された容器を加温する加温器に向けられている。加温器は、医療流体の温度を上昇する加熱要素と、容器と関連するデータタグからデータを読み取り、及び/又はデータタグにデータを書き込むように動作可能な電磁装置との両方を有する。データタグは、容器内の医療流体の量、医療流体の濃度、医療流体及び/又は容器に関する製造情報データ、容器容量、容器寸法、医療流体の使用コード、医療流体を患者に投与するのに使用される医療流体投与装置の形態情報に関するデータ(電磁装置により読み取られる)を含んでいてもよい。
【0026】
この本発明の第4の態様に関して、幾つかの実施形態は加温器内の容器のユーザ選択を促進するユーザインターフェース(例えばタッチスクリーン)を有していてもよい。ある実施形態では、電磁装置はデータタグに医療流体の使用に関するデータを書き込むのに使用される。例えば、電磁装置は、容器が設置された日、容器内の造影剤の失効データ、及び/又は容器内に医療流体を投与するのに使用される投与装置の投与情報に関するデータをデータタグに書き込む(及び/又はデータタグから読み取る)のに使用される。
【0027】
本発明の第5の局面は、医療流体が設置される容器及びこれと関連するデータタグに向けられている。医療流体が放射性薬剤である場合、幾つかの実施形態のデータタグのデータは、放射性薬剤のアイデンティティ(identity)、放射性薬剤の放射能レベル、放射性薬剤の製造情報、放射性薬剤の使用コード(例えば、放射性薬剤容器が放射性薬剤投与手順で以前に使用されたか否かを識別する)、及び/又は放射性薬剤を投与するのに使用される投与装置の形態情報(例えば、容器の使用前に投与装置に要求されるコード、投与装置のソフトウェア最新版、製品プロモーション、情報の参照文献)に関係する。
【0028】
本発明の第6の局面は、放射性薬剤を患者に投与するのに使用する放射性薬剤投与装置に向けられている。この投与装置は容器から放射性薬剤を患者に供給するのを少なくとも支援するように設計される。容器はこれと関連するデータタグを有し、投与装置はデータをデータタグから読み取り、及び/又はデータタグに書き込む電磁装置を有する。ある実施形態では、データタグに含まれるデータは、容器内の放射性薬剤の量及び/又はアイデンティティ、容器内の放射性薬剤の製造情報、容器内の放射性薬剤の放射能レベル、容器内の放射性薬剤の使用コード、容器から放射性薬剤を投与するのに使用される投与装置の形態情報、及び/又は投与装置で以前に使用された放射性薬剤容器に関する特定のデータを識別する。幾つかの実施形態では、データタグは、投与装置の形態情報を示すデータを記憶してもよく、そのデータは、放射性薬剤容器の使用前に投与装置により要求されるコード(例えばデータタグを読み取るときに自己形態(self-configuration)において投与装置により使用されるデータ)、投与装置のソフトウェア最新版、製品プロモーション、及び/又は情報の参照文献を含む。例えば、ある実施形態では、投与装置はさらなる製品を購入するのにデータタグに含まれる電子クーポンコードを利用してもよい。
【0029】
本発明の第7の局面は、患者に対する医療手順で使用するシステムに関する。このシステムは、病院情報システム、医療流体が設置された容器、医療流体を患者に投与する投与装置を含む。容器と関連するデータは、電磁信号により読み取り可能で、製品プロモーション、クーポン、供給者のインターネットリンク、及び/又は容器の使用が意図されている投与装置の推奨スフとウェア最新版を示す信号を記憶する。システムは、容器と関連するデータタグからデータを読み取り、及び/又はデータタグにデータを書き込む電磁装置を含む。この電磁装置は、投与装置に装着され、好ましくは病院情報システムと投与装置(例えばそのコントローラ)の両方と電気的に通信する。またさらに、システムは、イメージングコントローラを含む画像形成装置(例えばCTスキャナ)を有し、この画像形成装置は好ましくは病院情報システム、投与装置のコントローラ、及び電磁装置と電気的に通信する。ちなみに、「電気的通信」及び同様の用語は、ここでは、それらの間で電気(例えば電子信号の形態)を伝送することができるように直接的及び/又は間接的に接続される対象をいう。医療流体の投与(例えば注入、点滴)と関連するデータは、病院情報システム、データタグ、投与装置のコントローラ、及びイメージングコントローラ間で伝送されてもよい。この第7の局面の幾つかの実施形態は、投与装置(例えばそのコントローラ)と電気的に通信するプリンタを有していてもよい。
【0030】
本発明の第8の局面は、医療流体が設置された容器とともに使用する投与装置に向けられている。幾つかの実施形態では、医療流体は金属性及び/又は反磁性である。容器はそれと関連する電磁信号により読み取り可能であるデータタグを有し、投与装置はデータをデータタグから読み取り、及び/又はデータタグに書き込むように適合された電磁装置を有する。ある実施形態では、この電磁装置は、第1と第2のアンテナループを有し、その各々はV−形状の一辺を形成し、無線周波数に同調されている。第1と第2のアンテナループの各々は、信号リードとグランドリードを有していてもよい。
【0031】
本発明の第8の局面をさらに参照すると、幾つかの実施形態の電磁装置は、第1と第2のアンテナループと対応する第1と第2の同調装置を有していてもよい。これらの同調回路は各々入力と出力を有していてもよい。第1同調回路の出力は第1アンテナループの信号リードに接続され、第1アンテナループを無線周波数に同調するように機能してもよい。同様に、第2同調回路の出力は第2アンテナループの信号リードに接続され、第2アンテナループを無線周波数(例えば、第1アンテナループと同一の無線周波数)に同調するように機能してもよい。電磁装置の第2アンテナループは第1アンテナループと非平行(例えば、180度以下の角度を形成する)であってもよい。
【0032】
この第8の局面の幾つかの実施形態では、第1と第2のアンテナループを越えて追加のアンテナループを有していてもよい。例えば、幾つかの実施形態は、信号リードとグランドリードの両方を有する第3アンテナループと、入力と出力を有する第3同調回路とを有していてもよい。第1と第2の同調回路の出力と同様に、第3同調回路の出力は第3アンテナループの信号リードに接続され、第3アンテナループを無線周波数(例えば、第1及び/又は第2アンテナループと同一の無線周波数)に同調するように機能してもよい。
【0033】
この本発明の第8の局面の幾つかの実施形態では、投与装置は容器を支持するのに使用してもよい。例えば、ある実施形態では、投与装置は電子流体注入器であり、電磁装置はこの注入器と関連して装着される。投与装置は、第1アンテナループと第1同調回路を支持する第1印刷回路基板と、第2アンテナループと第2同調回路を支持する第2印刷回路基板とを有していてもよい。第1印刷回路基板は第2印刷回路基板に対して多数の方位のうちいずれかに向けてもよい。例えば、ある実施形態では、第1印刷回路基板は第2印刷回路基板に対して約180度以下の角度をなしている。第1印刷回路基板は、第1アンテナループ、第2アンテナループ、第1同調回路、及び/又は第2同調回路に電気的に接続可能である駆動回路を支持してもよい。駆動回路は電力ターミナルとグランドターミナルを有していてもよい。
【0034】
この第8の局面の幾つかの実施形態では、第1同調回路の入力は電力ターミナルに接続され、第1アンテナループのグランドリードはグランドターミナルに接続されている。さらに、第2同調回路の入力は電力ターミナル又はグランドターミナルに非接続であり、第2アンテナループのグランドターミナルはグランドターミナルに接続されている。
【0035】
この第8の局面の他の実施形態では、第1同調回路の入力は電力ターミナル又はグランドターミナルに非接続であり、第1アンテナループのグランドリードはグランドターミナルに接続されている。さらに、第2同調回路の入力は電力ターミナルに接続され、第2アンテナループのグランドリードはグランドターミナルに接続されている。
【0036】
この第8の局面のさらに他の実施形態では、第1同調回路の入力は電力ターミナルに接続され、第1アンテナループのグランドリードはグランドターミナルに接続されている。さらに、第2同調回路の入力はグランドターミナルに接続され、第2アンテナループのグランドリードはグランドターミナルに接続されている。
【0037】
この第8の局面のさらに他の実施形態では、第1同調回路の入力はグランドターミナルに接続され、第1アンテナループのグランドリードはグランドターミナルに接続されている。さらに、第2同調回路の入力は電力ターミナルに接続され、第2アンテナループのグランドリードはグランドターミナルに接続されている。
【0038】
この第8の局面の幾つかの実施形態は、第1と第2のスイッチを有するスイッチ回路を備えていてもよい。第1スイッチは、第1同調回路の入力に接続された第1接点、グランドターミナルに接続された第2接点、電力ターミナルに接続された第3接点、グランドターミナル又は電力ターミナルに非接続の第4接点を有していてもよい。この第1スイッチは、第1接点を、第2接点、第3接点及び第4接点の少なくとも1つと電気的に接続するように動作可能であること好ましい。同様に、第2スイッチは、第2同調回路の入力に接続された第5接点、グランドターミナルに接続された第6接点、電力ターミナルに接続された第7接点、グランドターミナル又は電力ターミナルに非接続の第8接点を有していてもよい。この第2スイッチは、第5接点を、第6接点、第7接点及び第8接点の少なくとも1つと電気的に接続するように動作可能であること好ましい。
【0039】
第9の局面では、本発明は、データをデータタグから読み取り、及び/又はデータタグに書き込むように動作可能な電磁装置を有する医療流体投与装置を使用する方法に向けられている。このデータタグは、医療流体が設置された容器と関連している。この方法では、電磁装置の第1と第2のアンテナループは第1の回路形態で電気的に接続され、実質的に同一の無線周波数に同調されている。これらの第1と第2のアンテナループはお互いに対して非平行の関係に方位されてもよい。第1回路形態に電磁電力を提供することで、少なくとも部分的に、電磁(例えばRF)通信が電磁装置とデータタグの間で試みてもよい。電磁装置とデータタグの間で電磁通信が確立され又は確立されたか否かについて決定を行ってもよい。電磁通信が行われている/行われたことを決定すると、第1と第2のアンテナループは第1回路形態と異なるさらなる(例えば第2の)回路形態に電気的に再接続してもよい。さらなる回路形態に電磁電力を提供することで、少なくとも部分的に、電磁装置とデータタグの間の他の電磁通信を試みてもよい。電気通信が存在するか否かを決定し、第1と第2のアンテナループを電気的に再接続し、他の電磁通信を試みる方法は、所望により繰り返してもよい(例えば、電磁装置とデータタグの間で首尾良い電磁通信が確立されたことを決定するまで)。
【0040】
本発明の第10の局面は、データをデータタグから読み取り、及び/又はデータタグに書き込むように動作可能な電磁装置を有する医療流体投与装置を使用する方法に向けられている。この方法では、データタグが電磁装置のアンテナシステムの近傍に配置され、電磁信号と干渉する材料(例えば、金属性材料、反磁性材料)がデータタグとアンテナシステムの間に配置されている。材料がデータタグとアンテナシステムの間に配置されているとしても、電磁装置とアンテナシステムを使用して、データをデータタグから電磁的に読み取り、及び/又はデータタグに書き込んでもよい。
【0041】
この第10の局面の幾つかの実施形態では、データタグは医療流体(この場合は、材料であり、又は材料を含む)が設置された容器の部品である。このような実施形態では、医療流体は例えば、水、塩水、造影剤、又はこれらの組み合わせであってもよい。このような実施形態では、容器は、容器のデータタグがアンテナシステムの近傍に位置するように、また容器内の材料がデータタグとアンテナシステムの間に位置するように、投与装置の近傍に(例えば接触して)設置されてもよい。全ての場合ではないが、電磁装置とそのアンテナシステムは、投与装置の部品であってもよい。
【0042】
この第10の局面のアンテナシステムの幾つかの実施形態は、第1と第2のアンテナループを有していてもよい。これらの実施形態では、第1と第2のアンテナループを第1アンテナ形態で電気的に接続し、第1アンテナ形態からの電磁信号を放射して、データタグからデータを電磁的に読み取り、及び/又はデータタグに電磁的に書き込むのを試みてもよい。第1と第2のアンテナが第1形態にあるときにデータタグからデータを電磁的に読み取り、及び/又はデータタグにデータを電磁的に書き込むのに失敗したことに応答して、第1と第2のアンテナループを他の(例えば第2)アンテナ形態に電気的に再接続し、また新たなアンテナ形態からの電磁信号を放射して、データタグからデータを電磁的に読み取り、及び/又はデータタグに電磁的に書き込むのを再度試みてもよい。
【0043】
第11の局面では、本発明は、エンクロージャ(enclosure)の内側で包囲されている医療流体容器を有する容器アセンブリに向けられている。容器は、データ記憶部を有するデータタグと、データタグに電気的に接続可能なアンテナシステムとの両方に関連している。この第11の局面のエンクロージャの構成は、データタグからデータを読み取り、及び/又はデータタグにデータを書き込むのに必要な電磁信号の周波数がエンクロージャの材料を通過するのを実質的に防止するようになっている。この第11の局面のアンテナシステムは、アンテナがエンクロージャの外側に配置され、容器とデータタグのデータ記憶部がエンクロージャに包囲されるように設計されている。このアンテナシステムにより、容器とデータタグのデータ記憶部がエンクロージャ内の包囲されている間に、データをデータ記憶部から読み取り、及び/又はデータ記憶部に書き込むことができる。
【0044】
本発明の第12の局面は、放射性薬剤容器(例えば、放射性薬剤が設置されたシリンジ)と、容器を完全に包囲し支持するように容器の回りに包囲可能な放射性薬剤ピッグとを有する放射性薬剤アセンブリに向けられている。さらに、この第12の局面は、データ記憶部を有し、放射性薬剤容器に取り付けられるデータタグを有する。アンテナシステムは、放射性薬剤容器(及びそこに取り付けられたデータタグ)が放射性薬剤ピッグに設置されると、データタグに電気的に接続可能である。このアンテナシステムにより、放射性薬剤ピッグが放射性薬剤容器とデータタグの回りに閉塞されている間に、データをデータタグのデータ記憶部から読み取り、及び/又はデータ記憶部に書き込むことができる。
【0045】
この第12の局面の幾つかの実施形態では、放射性薬剤ピッグは、データタグを備えた放射性薬剤容器を支持するように適合された第1ピッグ要素(例えばベース)と、第1ピッグ要素に取り付け可能で内部にデータタグを備えた放射性薬剤容器を完全に包囲するように適合された第2ピッグ要素(例えばキャップ)とを有することを特徴としてもよい。ある実施形態では、アンテナシステムは、放射性薬剤容器が放射性薬剤ピッグの第1ピッグ要素に設置されたときに薬剤データタグに電気的に接続可能なように適合されてもよい。これらの実施形態のアンテナシステムにより、第1ピッグ要素が第2ピッグ要素に取り付けられて放射性薬剤容器とデータタグが放射性薬剤ピッグの内側に包囲されている間に、データをデータタグのデータ記憶部から読み取り、及び/又はデータ記憶部に書き込むことができる。これらの幾つかの実施形態では、アンテナシステムは、データタグに電気的に接続されたアンテナと、第1ピッグ要素と第2ピッグ要素のうちの一つの内面の近傍の内部アンテナと、第1ピッグ要素と第2ピッグ要素のうちの一つの外面の近傍の外部アンテナと、内部アンテナを外部アンテナと電気的に接続する導電性リードとを有していてもよい。この第12の局面のある実施形態のアンテナは放射性薬剤容器に取り付け(例えば固定し)てもよい。
【0046】
この第12の局面をさらに参照すると、アンテナシステムの幾つかの実施形態は、放射性薬剤ピッグの外側に設置可能なアンテナと、放射性薬剤ピッグ内のデータタグに接続された一端と放射性薬剤ピッグの外側に設置されたアンテナに接続された反対側の端部とを有する導電性リードとを有することを特徴としてもよい。
【0047】
第13の局面では、本発明は、医療流体が設置されたシリンジを支持することができる自走注入器に向けられている。特に、医療流体は、プランジャーとシリンジの排出チップの間に設置されている。シリンジは、電磁的に読み取り可能なデータを記憶するデータタグを有する。この第13の局面の注入器は、シリンジのプランジャーと干渉する(例えば接続される)ように適合されたプランジャードライブを有するパワーヘッドを有する。また、注入器の電磁装置はパワーヘッドに装着され、注入器コントローラと電気的に通信している。この電磁装置は、データタグに電磁信号を送信し、データタグから電磁信号を受信するように(例えばデータタグに記憶されたデータを読み取る)動作可能な複数のアンテナを有する。
【0048】
この第13の局面の幾つかの実施形態では、電磁装置は、それぞれのアンテナに電気的に接続され、各アンテナを所望の周波数に同調する複数の同調回路を有していてもよい。例えば、ある実施形態では、各アンテナを約13.56メガヘルツの周波数に同調するように使用されてもよい。電磁装置の駆動回路は同調回路と注入器コントローラに電気的に接続可能であってもよい。この駆動回路は同調回路に駆動信号を提供し、各アンテナがデータタグに電磁信号を送信し、データタグから電磁信号を受信する(例えばデータタグに記憶されたデータを読み取る)ように機能してもよい。幾つかの実施形態は、駆動かいろと同調回路の間で電気的に接続されたスイッチ回路を有していてもよい。このスイッチ回路はアンテナを異なる回路形態に接続するのに使用されてもよい。ある実施形態では、スイッチ回路と駆動回路のうち少なくとも1つが注入器のパワーヘッドに位置していてもよい。
【0049】
この発明の第13の局面では、パワーヘッドの幾つかの実施形態はシリンジを受け入れ支持するように適合された前端を有していてもよい。幾つかの実施形態では、この前端は、シリンジを収容する(例えば受け入れて支持する)ように適合された種類のマウント(mount)を有し、これを特徴としてもよい。ある実施形態では、マウントはシリンジを支持する圧力ジャケットを有していてもよい。このような実施形態では、アンテナは圧力ジャケットに装着されてもよい。マウントのある実施形態は、圧力ジャケットを有しなくてもよい。マウントの幾つかの実施形態は、シリンジを支持するクレードルと言及することができるものを有していてもよい。そのような実施形態では、アンテナはクレードルにより支持され、及び/又はクレードル内に設置されてもよい。
【0050】
この第13の局面の幾つかの実施形態は、内部スリーブと該内部スリーブの回りに設置された外部スリーブを含む圧力ジャケットを有していてもよい。1又は複数のアンテナは圧力ジャケットの内部スリーブと外部スリーブの間に位置していてもよい。例えば、ある実施形態では、複数のアンテナが内部スリーブと外部スリーブの間に配置され、圧力ジャケットの外周の回りに等間隔に設置されてもよい。ある実施形態では、1又は複数の同調回路が内部スリーブと外部スリーブの間に設置されてもよい。
【0051】
この本発明の第13の局面の注入器の幾つかの実施形態は、ヒータ(シリンジに設置された医療流体を加熱るために)を有していてもよい。例えば、ある実施形態では、ヒータは注入器の圧力ジャケットに取り付けられ、又は圧力ジャケットの部品であってもよい。他の実施例として、ある実施形態では、ヒータは、注入器のクレードルに取り付けられ、又はクレードルの部品であってもよい。ヒータを備えた実施形態では、ヒータは注入器コントローラに電気的に接続されてもよい。
【0052】
この発明の第13の局面で使用されるシリンジは、多数の適切な構造設計/形態のいずれかを有していてもよい。例えば、ある実施形態では、シリンジのプランジャーはシリンジのバレル内にほぼ全体的に収容されている。さらに、この発明の第13の局面で使用されるシリンジは、多数の任意のサイズ(例えば体積容量)のいずれかを有していてもよい。一例として、幾つかの実施形態のシリンジは、約90mlを越える容積の流体を収容することができる容積容量を有する。
【0053】
本発明の第14の局面は、容器及び/又はそこに設置された医療流体に関するデータを管理するシステムに向けられている。容器はデータを読み取り、書き込むように動作可能なデータタグを有する。このシステムの充填ステーションは、容器に医療流体を設置するのに使用してもよい。この充填ステーションは、少なくともデータタグにデータ(例えば容器内の流体に関する)を書き込むように動作可能な電磁装置を有する。さらに、容器(中に医療流体があっても無くてもよい)を廃棄し、及び/又は廃棄の準備をするのに、システムの廃棄ステーションが利用されてもよい。この廃棄ステーションはさらに、データタグにデータ(例えば容器の廃棄に関する)を書き込むように動作可能である電磁装置を有する。システムは、該システムの1又は複数の電磁装置と電気的に連通する病院情報システムを有していてもよい。
【0054】
この第14の局面の幾つかの実施形態では、システムは容器内の流体を加熱するのに使用される加温器を有していてもよい。この加温器は一般に、データタグにデータ(加温器に容器を設置し、及び/又は加温器から容器を取り外すことに関する)を書き込むように動作可能な電磁装置を備えている。
【0055】
この第14の局面の幾つかの実施形態は、流体投与装置を有していてもよい。例えば、ある実施形態では、投与装置はシリンジとともに使用する自動注入器である。自動注入器は一般に、コントローラと、該コントローラに電気的に接続されてデータタグにデータ(例えば患者への医療流体の投与に関する)を書き込むように動作可能な電磁装置とを有する。
【0056】
幾つかの実施形態では、この第14の局面のシステムは、容器をパッケージに設置するのに使用することができる包装ステーションを有していてもよい。この包装ステーションはデータタグにデータ(例えばパッケージ、流体及び/又は容器に関する)を書き込むように動作可能な電磁装置を有していてもよい。
【0057】
このシステムの幾つかの実施形態は、容器(中に医療流体があってもよいし、なくてもよい)を保管する保管領域を有していてもよい。この保管領域は一般にデータタグにデータ(例えば保管領域にシリンジを設置し、及び/又は保管領域からシリンジを取り外すことに関する)を書き込むように動作可能な電磁装置を有する。
【0058】
この第14の局面の幾つかの実施形態では、容器の中にあり、又は容器に設置される医療流体は放射性薬剤である。このような実施形態では、システムの包装ステーション(例えば放射性薬局)は、容器を放射性薬剤ピッグに設置する間に使用してもよい。さらに、包装ステーションは、放射性薬剤ピッグをパッケージ(例えば発送パッケージ)に設置するときに使用されてもよい。この包装ステーションは、データタグにデータ(例えば、放射性薬剤、容器、ピッグ、及び/又はパッケージ)を書き込むように動作可能な電磁装置を有していてもよい。
【0059】
このシステムの幾つかの実施形態は、データタグにデータ(例えば容器に放射性薬剤の放射能レベルに関する)を書き込むように動作可能な電磁装置を有する較正ステーションを有していてもよい。このシステムの幾つかの実施形態は、放射性薬剤ピッグが受け入れられ、放射性薬剤が設置された容器が放射性薬剤を患者に投与するために取り出され処置室を有していてもよい。この処置室は、データタグにデータ(例えば放射性薬剤の患者への投与に関する)を書き込むように動作可能な電磁装置を有していてもよい。このシステムの保管領域は、データタグにデータ(例えば、保管領域にピッグを設置し、及び/又は保管領域からピッグを取り出すことに関する)を書き込むように動作可能な電磁装置を有していてもよい。
【0060】
本発明の前記局面に関して述べた特徴に種々の改良を行うことができる。さらなる特徴を本発明の前記局面に組み入れてもよい。これらの改良及び追加の特徴は、個別であってもよいし、組み合わせてもよい。例えば、本発明の例示的実施例のいずれかに関して以下に説明する種々の特徴は、本発明の局面のいずれか又はそれらの組み合わせに組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】造影剤を充填したシリンジをそのライフサイクルの間追跡するシステムの概略図。
【図1B】放射性薬剤を充填した容器をそのライフサイクルの間追跡するシステムの概略図。
【図1C】薬液を充填したIVバッグをそのライフサイクルの間追跡するシステムの概略図。
【図2A】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図2B】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図2C】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図2D】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図3A】図1Aに示すシステムと関連する要素の概略ブロック図。
【図3B】図1Bに示すシステムと関連する要素の概略ブロック図。
【図3C】図1Cに示すシステムと関連する要素の概略ブロック図。
【図4】イメージングスーツでの造影剤の容器の使用と廃棄と関連する行動と動作を示す概略図。
【図5A】図1Aのシステムで使用される注入器の一つの実施例の斜視図。
【図5B】図1Aのシステムで使用される注入器とフィールドエンジニア認識カードの実施例の斜視図。
【図6】図1Aと図1Bに示すシリンジ又は他の容器を製造し流通する例示的方法のフローチャート。
【図7】図1Aと図1Bに示すシリンジ又は他の容器を保管し使用の準備をする例示的方向のフローチャート。
【図8】図1Aと図1Bに示すシリンジ又は他の容器を使用する例示的方法のフローチャート。
【図9】図1Aに示す造影剤が充填されたシリンジのフィールドメンテナンス工程の例示的方法のフローチャート。
【図10】送信アンテナを該送信アンテナに対して角度をもった受信アンテナと連結するRF信号強度の変化を示す概略図。
【図11】自動注入器に装着されたシリンジにRFデータタグを有する造影剤自動注入器の斜視図。
【図12】本発明の原理によるリード/ライト装置用の多重非平行アンテナループを有する造影剤自動注入器のフェースプレートの上に配置されたシリンジを示す例示的実施例の斜視図。
【図13A】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図13B】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図13C】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図13D】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図14】図13A−13Dの4つの異なる回路形態のアンテナループを接続するスイッチを備えた図11の多重非平行アンテナループの概略図。
【図15】図12の多重非平行アンテナループを利用した通信サイクルを示すフローチャートの概略図。
【図16】図12に示すものと類似する造影剤自動注入器用の多重ループ非平行アンテナを備えた図11に示す造影剤自動注入器用の圧力ジャケットの断面図
【図17】図16の多重ループ非平行アンテナシステムを利用する電磁無線周波数R/W装置の概略図。
【図18】図1に示すシステムの放射性薬剤容器とそれぞれのピッグに追跡装置を適用する異なる方法を示す。
【図19】放射性薬剤容器と関連するピッグを後処理する例示的方法のフローチャート。
【図20】本発明の原理により放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグに適用可能なRFタグ及びアンテナシステムの例示的実施例の斜視図。
【図21】本発明の原理により放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグに適用可能なRFタグ及びアンテナシステムの他の例示的実施例の斜視図。
【図22】本発明の原理により放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグに適用可能なRFタグ及びアンテナシステムのさらに他の例示的実施例の斜視図。
【図22A】図22に示す放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグのさらなる実施例におけるアンテナリードの経路を示す分解図。
【発明を実施するための形態】
【0062】
添付図面は、ここに組み入れられて本明細書の一部を構成し、本発明の例示的実施例を示すが、前述の本発明の局面の一般的説明、以下に説明する種々の例示的実施形態の詳細な説明とともに、本発明の種々の原理を説明するのに役立つ。
【0063】
図1Aを参照すると、容器のライフサイクル18aの例示的実施形態は、医療流体容器例えば造影剤を収容するのに適したシリンジ20に関する。シリンジ20は、該シリンジ20が使用される設備42から離れた供給者の施設24で製造される。供給者施設24内では、シリンジ20はまず充填部28で造影剤が充填され、その後、ラベリング部32で各シリンジ20にラベル30が貼り付けられる。次に包装部でシリンジ20は個別に又は適当な発送箱34にバッチで包装され、当該発送箱34は発送/受入部38に一時的に待ち行列に入れられ、又は保管される。
【0064】
シリンジ20の注文は、例えば医療施設42内の購入事務所25、医療施設42の一部であり又は独立している診療所27のような種々の場所から受け取ることができる。さらに、注文は特定患者と関連していてもよいし、関連していなくてもよい。
【0065】
注文に基づいて、発送箱34は流通機構40に入り、種々の施設42例えば病院、画像サービスプロバイダ及び/又は他の医療施設に引き渡される。図1Aの実施例では、施設42は、病院であり、予充填シリンジ20の箱34を受け入れる発送/受入領域44を有する。ちなみに、ここで「予充填(prefilled)」とは、少なくとも医療流体を容器に配置してユーザに販売し及び/又は引き渡すよう設計された容器のことをいう。多くの場合、箱34は室46に一時的に保管さる。室46は、病院42内の薬局と関連していてもよいし、していなくてもよい。望まれるなら、箱34は準備室48に移送され、そこでシリンジ20を開封し、加温オーブン36に設置し、造影剤の温度を約体温(例えば約97°Fと約100°Fの間)まで上昇させてもよい。適当な時間で、1又は複数のシリンジ20は加温オーブン36から取り除かれ、イメージングスーツ(imagingsuite)26aに運ばれ、自動液体注入器50に装着される。注入器50は造影剤を検査対象すなわち患者52に注入するように動作する。使用後、使用済みシリンジ20は自動再充填のために処理され、公知の方法で(例えば廃棄領域112)廃棄される。このため、「予充填シリンジ」の用語は準備室48及びイメージングスーツ26aから離れた位置で医療流体(例えば、造影剤)が充填されたシリンジ20を意味する。
【0066】
動物に注入される如何なる物質についても、予充填シリンジの充填、流通、準備及び使用において従うのが好ましい無規制の一般的方法はもちろん、非常に多くの規制方法がある。さらに、規制及び一般的方法は使用される造影剤のタイプに依存して異なっていてもよい。したがって、例えば充填から廃棄までの実質的に全てのステップで、ライフサイクルの間のシリンジ20の取扱いに関する相当な量のデータを生成し提供することが一般に望ましい。さらに、データはある場所例えば各充填及びラベリング部28,32から他の場所例えば各準備及びイメージングルーム48,26aに移動可能であることが一般的に好ましい。今日、そのようなデータは、シリンジ20及び/又は箱34に配置されたタイプ及び/又は手書きの情報とそれに関する手書きの記録を利用して記録され移送することが知られている。しかしながら、シリンジ20のライフサイクル中、データは、通常は統合されていないコンピュータシステムで使用され、ときには互換性のないデータベースで使用されることが望ましい。
【0067】
容器ライフサイクル18aの全ての段階の任意の部分で利用することができる共通データ獲得保管システムを各シリンジ20に提供するために、無線周波数認識装置(「RFID」)のタグ及びリーダのシステムが使用される。
【0068】
RFIDベースのシステムの目的は、タグとして公知のトランスポンダにデータを移送し、該データを適当な時間と場所において機械読み取り手段により引き出し、特定の適用要求を満足させることである。したがって、タグ又はトランスポンダは典型的にはRF駆動回路と関連アンテナを含んでいる。RF駆動回路は、データを記憶し必要な復調及び妥当な場合には変調機能を実行することができるプログラマブルプロセッサと関連メモリを有する集積回路チップをよく利用している。タグ内のデータはシリンジの寿命の間有用な予充填シリンジに関する任意の様式の情報を提供してもよい。RFIDシステムは、データをコンピュータ又は情報管理システムに授受する手段はもちろん、タグからデータを読み取り、ある場合にはタグにデータを書き込む手段を含むことが好ましい。このように、RFIDシステムはタグシステムは、様々な時間に様々な場所でタグにデータを書き込み、タグからデータを読み取る汎用性を有していることが好ましい。
【0069】
無線通信は、タグとリーダの間でデータを移送するのによく使用されている。このような通信は電磁波例えば高周波をタグとリーダの両方に存在するアンテナ構造により伝搬することに基づいている。RFIDタグととともに、共通アンテナ又は個別アンテナのいずれかを使用して、タグからデータを読み取り、タグにデータを書き込むことが知られている。閉ループ、開ループ、ストリップライン、ダイポール及び/又は他のアンテナを使用してもよい。さらに、RFIDタグは、受動的すなわち独立電源がなくてもよいし、能動的すなわちバッテリーのような電源を備えていてもよい。ここに記載の分野では、特定のアンテナ形態の選択と、能動的又は受動的RFIDタグを使用するか否かは、アプリケーション依存であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0070】
供給者施設24で実施されるシリンジ製造方法の例示的な実施形態が、図6に示されている。まず、502では、充填部28でシリンジ20に造影剤22を充填する。その後、504では、ラベリング部32で人間が読み取り可能な及び/又は機械が読み取り可能な印(indicia)を含むラベル30をシリンジ20に貼り付ける。ラベリング行程の一部として、RFIDタグ60をシリンジ20に取り付ける。RFIDタグ60はTFIDチップと関連アンテナ例えば図5Aに示すようなRFIDチップ212とアンテナ210を公知の方法で組み込む。RFIDタグ60はラベル30の一部であってもよいし、ラベル30と別個であってもよい。図2A−2Dに示すように、RFIDタグはシリンジ20上の任意の適当な位置に取り付けることができる。例えば、図2Aに示すように、RFIDタグ60はシリンジフランジ56の後面55に取り付けることができるし、図2Bに示すように、RFIDタグ60はシリンジの外周円筒面57に取り付けることもできる。図2Cに示す他の実施形態では、シリンジ20を注入器のパワーヘッドに装着する前に、RFIDタグ60をシリンジ20から剥がし、注入器に取り付けることができる。シリンジ20を注入器パワーヘッドから取り外すと、RFIDタグはシリンジ20に再度取り付けられる。図2Dに示すさらに他の実施形態では、RFIDタグ60は、プランジャー59の後面58に取り付けることができる。プランジャー59は成型材料63により覆われたコア61を有していてもよい。RFIDタグは、種々の位置65a,65b,65c等で、プランジャー構造に取り付け、又は一体化することができる。図2Dに示すように、RFIDタグは、シリンジ20の先端から延びる排出延長部(例えばノズル)に60´で示すように取り付けてもよい。又は、60"で示すようにRFIDタグはシリンジ20の前壁(例えば傾斜前壁)に取り付けることができる。
【0071】
図1Aの供給者設備24内には、リード/ライト(「R/W」)装置62がラベリングコンピュータ64に接続され、506(図6)で、RFIDタグ60に造影剤又は他の薬剤、関連の予充填シリンジ又は他の容器20に関するデータを書き込むように動作可能である。RFIDタグ60に書き込むことができるデータは、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−特殊容器識別番号
−暗証番号を提供することができるR/W装置にRFIDタグへのアクセスを制限する暗証番号
−容器に充填された薬剤の容量
−容器内の全有効容量及び/又は有効容量の物理的寸法
−容器内の薬剤の識別又はタイプ
−薬剤の濃度
−薬剤の化学式
−製造データ
−工場、製造ライン、充填部機械の識別及び/又は容器と関連するバッチ番号
−容器が充填された日と時間
−薬剤の有効期限及び/又は日時、及び/又は貯蔵期間
−NDCコード
−1又は1以上のベンダー特定在庫コード、例えばSKUコード
−容器が充填された国の識別
−容器及び/又は容器包装の識別
−供給者の製品プロモーション及び/又はクーポン、及び/又はインターネットリンク
−容器の使用が意図されている自動注入器の最新の推奨ソフトウェア
【0072】
その後、508で、シリンジ20は発送箱34に積み込まれ、510で、箱34は発送/受入部38に在庫として保管される。受け取った注文に基づいて、512で示すように、箱34はさらに顧客に発送するためにケース又はバッチ67にまとめられ、パレットに載せられる。個々の発送箱34又は該箱の統一されたケース又はバッチ67にラベル66を選択的に貼り付けることができる。ラベル66は人間が読み取れる、又は機械が読み取れる印を含めることができ、及び/又はRFIDタグとすることができる。このような印又はRFGIDタグデータは、供給者の識別、製品、製品有効期限及び包装を含むが、これらに限定されない。包装コードは包装が単一シリンジか、1箱のシリンジか、1ケースのシリンジかを識別する。発送用に1つの箱34又はバッチの箱34を準備する際に、箱34内のシリンジ20上のRFIDタグ60からデータを読み取り、又は該RFIDタグ60にデータを書き込むのに、発送コンピュータ70に接続されたR/W装置68を使用してもよい。さらに、適用可能であれば、R/W装置68は、ラベル66と関連するRFIDタグからデータを読み取り、また該RFIDタグにデータを書き込むのに使用してもよい。このように発送コンピュータ70は、パラメータ例えばシリンジのタイプ、造影剤のタイプ、造影剤濃度などを識別することができ、またこれらのパラメータが特定の注文の仕様と一致することを確認することができる。R/W装置68は、シリンジ20上のRFIDタグ60、及び/又はラベル66上のRFIDタグに、次のものを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
−顧客の識別
−仕入送り状及び追跡番号
−購入及び/又は発送日
−顧客特定市場データ
−顧客により所有される自動注入器の顧客特定最新ソフトウェア
【0073】
次に、箱34は流通機構40に入り、病院42のような撮像施設の受入部44に受け入られる。シリンジ保管準備工程の例は図7に示されている。箱34を受け入れると、発送受入コンピュータ74に接続されたR/W装置72は、602で、シリンジRFIDタグ60及び/又は発送箱RFIDタグ66を読み取る。図3Aに示すように発送/受入コンピュータ74は読取りデータを在庫データベース76に記憶する。発送/受入コンピュータ74は、通信リンク例えばイーサネット(登録商標)LAN等を介して、病院管理コンピュータ78及びその他のコンピュータに接続され、1又は1以上のバージョンの在庫データベース76は如何なるコンピュータにおいても維持される。このように、受入コンピュータ76,又は他のコンピュータは、引き渡されたシリンジが病院購入注文と一致するか否かを確認することができ、また適用可能であれば、請求書の支払いを自動的に許可することができる。さらに、発送/受入コンピュータ74を介して、箱34内のシリンジRFIDタグ60は、604で以下のものを含がこれに限定されないデータを更新することができる。
−容器が受入られた時間と日
−病院SKUコード
−医者関連情報
−患者関連情報
−保管室又は他の保管領域の識別
−薬剤が使用される特定準備室及び/又はイメージングスーツの識別
−使用される特別自動注入器の識別
【0074】
その後、606で、箱は室46に引き渡される。図3Aと1Aに示すように、室46内では、コンピュータ79に接続されたR/W装置77は、シリンジRFIDタグ60を読み取り、コンピュータ79内のデータベースを更新するのに使用することができる。さらに、又は代案として、図3Aに示すように、コンピュータ79は、通信リンク80を介して、管理コンピュータ78内の在庫データベース76を更新するのに使用することができ、これにより発送/受入領域44から室46へのシリンジの引渡しを確認することができる。
【0075】
通信リンク80は、標準PCベース通信プロトコル、例えばBLUETOOTH、IrDA、ZigBee、802.11b/g、その他の同等な有線又は無線接続を使用するイーサネット(登録商標)、USB、RS―232、RS―422又は他のインターフェースにより実行してもよい。
【0076】
その後、発送箱34を室46から準備室48に移動する指示が与えられる。R/W装置77は、606でRFIDタグ60を読み取り、所望のシリンジを収容する箱34を見つけるのに使用される。さらに、RFIDタグを読み取ることにより最も古い在庫を認識することができる。(造影剤は貯蔵寿命(shelf life)を有しているので、先入れ先出し在庫手順に従うのが適しているかもしれない。)その後、608で、認識された発送箱34は準備室48に引き渡される。
【0077】
準備室48では、シリンジ20は箱34から取り出され、加温器36に設置され、造影剤を約体温までもってゆく。図1A、3A及び4に示すように、R/W装置81はユーザインターフェース86を有する加温器コントローラ82に接続されている。加温器コントローラ82は、イメージング情報システム87に電気的に接続され、該イメージング情報システム87は通信リンク80に接続され、そしてこれにより病院42の他のコンピュータに接続されている。加温器36にシリンジを設置すると、R/W装置81は610でそれぞれのRFIDタグ60を読み取り、図3Aに示すように、シリンジ20に関するデータをイメージング情報システム87のワークインプロセス(work-in-process)データベース84に伝送する。さらに、又は代案として、イメージング情報システム87は通信リンク80を介して、在庫データベース76を更新するのに使用することができ、これにより他のコンピュータは加温器36においてシリンジRFIDタグ60に書き込み、またシリンジRFIDタグ60から読み取った情報を追跡することができる。R/W装置81は各シリンジ20が加温器36に設置された時間と日を各RFIDタグ60に書き込んでもよい。さらに、技術者がユーザインターフェース86を介して特定の造影剤を要求すると、加温器コントローラ82は、ユーザインターフェース86を介して、加温器36の内側の特定のシリンジ例えば長時間加温器に有ったシリンジを技術者に認識させることができる。(造影剤が制限された貯蔵寿命を有するだけでなく、加温器36で過ごした時間も限定すべきである。したがって、加温器36の中の在庫は先入れ先出しベースで取り扱ってもよい。)612で加温器からシリンジ20を取り出すと、R/W装置81は各RFIDタグ60に時間と日を書き込み、取り出されるシリンジを識別するデータを読み取る。ワークインプロセスデータベース84と他のデータベースは、適切に更新される。加温器コントローラ82は、正しいシリンジが取り出されたことを、ユーザインターフェース86を介して技術者に確認する。
【0078】
図1A,3A,4及び5Aを参照すると、1又はそれ以上のシリンジ20a、20bはイメージングスーツ26aに運ばれ、それぞれ、公知の方法で自動流体注入器50のパワーヘッド90に取り付け可能であるマウント又はフェースプレート88a、88bの一方又は両方に装着される。例示的な注入器は、米国特許出願第10/964003号に示され記載されており、その全体は参照することでここに組み入れる。ここで説明するパワーヘッド90は2重ヘッド注入器であるが、本発明の実施形態は単ヘッド注入器も明示的に企図している。適切な単ヘッド注入器は米国特許第5300031号に示され、その全体は参照することでここに組み入れる。
【0079】
注入器が複数のシリンジを受け入れる図示された適用では、約200mlの容量を有するユーザ充填シリンジがフェースプレート88aの圧力ジャケット250に装着可能である。さらに、約90ml又はそれ以上の容量を有する予充填シリンジがフェースプレート88bに装着されてもよい。注入器パワーヘッド90は手動操作ノブ95a、95bを有し、これらは注入器制御回路を介して動作可能であり、各プランジャードライブ95a、95b内のモータを制御する。プランジャードライブ95a、95bは各シリンジ20a、20b内のプランジャーを公知の方法で移動するように動作可能である。パワーヘッド90及び注入器コントローラ93の例示的動作は、米国特許出願第10/964002号に示され記載されており、その全体は参照することでここに組み入れる。さらなる例示的動作は米国特許第5662612号,第5681286号、第6780170号に記載されており、それらの全体は参照することでここに組み入れる。図3Aに示すように、注入器コントローラ93は通信リンク80を介して病院情報システム78に電気的に接続され、及び/又は通信リンク80に関して前述したような技術を使用する通信リンクによりイメージング情報システム87に電気的に接続されてもよい。
【0080】
注入器パワーヘッド90は、ユーザインターフェース94、例えば、注入器50の現在状態及び動作パラメータを表示するタッチスクリーンを有している。パワーヘッド90は車輪付スタンド100によく装着され、これによりパワーヘッド90を検査対象52の近傍に容易に位置決めすることができる。注入器50は、遠隔配置されたコンソール96を有し、リモートユーザインターフェース97、例えば、タッチスクリーン、電源98、その他のスイッチ及び部品(不図示)を備えている。コンソール96は、プログラムを入力し、遠隔地から公知の方法で注入器50の動作を制御するために、オペレータにより使用されてもよい。注入器コントローラ93の部品はパワーヘッド90に組み込んでもよいし、電源98又はコンソール96のような注入器の他の要素に組み込んでもよいし、これらの要素の間に分配してもよい。
【0081】
フェースプレート88bは、印刷回路(PC)基板102に装着されたヒータ106を支持する外方に延びるクレードル99を有している。ヒータ106は、ケーブル又はコネクタを介して注入器コントローラに電気的に接続され、シリンジ20bを加熱するのに公知の方法で動作可能である。PC基板102はさらにR/W装置104bと関連のアンテナ装置229bを支持している。R/W装置104bはまた注入器コントローラ93とコンソール96に電気的に接続されている。さらに、R/W装置104bは、注入器コントローラ93により起動して、各シリンジ20bのRFIDタグ60からデータを読み取ってもよい。データは、シリンジ20bが各フェースプレート88の近傍にあるときに、任意の特定の時間に、RFIDタグ60bに書き込み、及び/又はRFIDタグ60bから読み取ってもよい。このように、本システムは、シリンジ20a、20bが各フェースプレート88a、88bに装着されたときを決定する能力を有する。データは符号化され、該データとデータ転送は21CFR11,JCAHO,及びHIPAAの要求に従ってもよい。
【0082】
イメージングスーツ26a内のシリンジ20bを利用するプロセッサ一例が、図8に示されている。この例は、フェースプレート88bに装着されたシリンジ20bに関して主として記載されているが、この記載はフェースプレート88aに装着されたシリンジ20aにも同様に適用可能である。この記載はさらに、造影剤が両シリンジ20a、20bから連続的に又は同時に分配される注入工程にも適用可能である。2つのシリンジ内の混合造影剤及び/又は造影剤と塩水の所望の濃度を達成するために、制御され選択された流量で両シリンジからの同時分配を行ってもよい。
【0083】
図8の工程を参照すると、まず、702で、R/W装置104bを起動して、造影剤又は他の薬剤及びその関連の予充填シリンジ又はその他の容器20bに関するRFIDタグ60bに記憶されたデータを読み取る。704で示すように、情報は以下のものを含むが、これらに限るものではない。
−容器識別及び/又は製造番号。これは、以前に使用された容器のデータベースと照合され、必要に応じて容器の潜在的再使用を阻止する。
−容器安全コード。これは、使用する注入器の安全コードと合致していてもよい。
−技術者が注入器を設定するのを支援するための容器容量及び容器引き渡しに関する情報。
−より正確なリアルタイム容量分配制御を行うための容器容量及び/又は寸法情報。
−選択されたプロトコルに対して正確か否かを確認するための薬剤タイプ及び濃度データ。
−容器及び/又は薬剤を呼び戻しデータ(recall data)と照合するのに使用することができるID、バッチ及びロット番号
−貯蔵寿命データ及び充填日。これは、推奨貯蔵寿命を超えたか否か決定するために、現在日と比較される。
【0084】
R/W装置104bはまた、現在日時をRFID装置80bに書き込み、制限されたシリンジ20bの大気開放時間の追跡ができるようにする。造影剤注入工程の間、シリンジプランジャーの変位は、RFIDタグ60bから読み取られた利用可能なシリンジ容量及び/又は寸法に関するデータに従って、正確に制御される。さらに、プランジャーの送り量が追跡され、シリンジに在留する造影剤を連続的に決定することができる。
【0085】
フェースプレート88a、88bは注入器コントローラ93との双方向通信リンクを有し、シリンジ20a、20bと注入器コントローラ93との間の上記情報のいずれかを伝送するのに使用することができる。このように、注入器コントローラ93は、シリンジ及び薬剤情報を有し、これらは手順の設定を促進する結果、時間が節約され、過誤が減少する。さらに、注入器コントローラ93は、シリンジ情報には直接関係がない他の情報をフェースプレート88a、88bから読み取り、又はフェースプレート88a、88bに書き込んでもよい。この例として以下のものを含むが、これらに限定されない。
−フェースプレート電子回路の許可又は不許可
−造影剤加温用のフェースプレートの加熱
【0086】
図8のステップ706では、造影剤はある手順と関連して使用される。図4に示すように、造影剤の注入前、注入中及び注入後、技術者は仮線で示すようにCTスキャナ103bに患者105を走査させるのに有効であるCTスキャナコントローラ101を操作する。注入器コントローラ93は、CTスキャナコントローラ101用の公知のインターフェースであるCAN通信バス111への1又は複数のインターフェースを有していてもよい。プロトコルはスキャナ製造者により規定される。データと、注入器とスキャナ間のデータ移動は、21CFR11、JCAHO及びHIPAAの要求に従う。
【0087】
図8に戻ると、706に示すように、注入器コントローラ93とCTスキャナコントローラ101の間のデータ転送は、双方向であり、造影剤又はその他の薬剤及びその関連の予充填シリンジ又は他の容器20bに関するものでもよい。そのようなデータは、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−薬剤ブランド名、濃度、ロット番号
−薬剤失効データ、容量
−注入容量、流量(達成、目標)
−注入時間
−患者名、体重、年齢、ID番号、例えばSS番号、病院ID等
−注入器製造番号、ファームウェアバージョン
−手順番号及び/又は名称
−技術者名及び/又は識別番号
−病院名及び/又は識別番号
−容器の使用又は不使用状態
−CTスキャナ設定及び手順情報
−CTスキャナID及び/又は製造番号
−CY画像
−病院情報システムデータ
−注入器機能制御
−CTスキャナ機能制御
【0088】
注入器コントローラ93が所望の容量の造影剤が供給されたことを決定すると、注入工程は停止する。注入工程の終わりに、図8に708で示すように、注入器コントローラ93は注入された造影剤の実際容量を決定するように動作可能であり、注入器コントローラは、以下のものを含むがこれらに限定されないデータと情報を、RFIDタグ60bに書き込み、及び/又は画像情報システム87を更新する。
−注入工程が終了した日時
−注入された容量、流量(達成、目標)
−容器に残留した薬剤の容量
−注入時間
−患者名、体重、年齢、ID番号、例えばSS番号、病院ID等
−注入器製造番号、ファームウェアバージョン
−手順番号及び/又は名称
−技術者名及び/又は識別番号
−病院名及び/又は識別番号
−シリンジの使用又は不使用状態
−CTスキャナ情報
【0089】
図4に示すように、注入器コントローラ93は、通信リンク107をハードコピープリンタ109に提供するインターフェースを有している。プリンタ109は、熱、インクジェット、レーザをベースにしたプリンタであってもよいが、これらに限定されるものではない。プリンタ109は、ユーザ、CTスキャナコントローラ101、病院情報システム78、又は注入器コントローラ93の要求により、特定の時間に、種々のサイズと色のページ及び/又はラベルを印刷するのに使用してもよい。ラベルは、患者記録、請求書、又は他の書式の一部を形成してもよい。データ出力及びデータ転送は、21CFR11、JCAHO、及びHIPAAの要求に従ってもよい。
【0090】
図8に戻ると、710で示すように、ラベル又はページは、造影剤又は他の薬剤、関連する予充填シリンジ又は他の容器20b、及びその使用に関する情報を提供するように、印刷されてもよい。このような情報は以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−薬剤ブランド名、濃度ロット番号
−薬剤失効日、容量
−注入容量、圧力、流量(達成、目標)
−注入時間
−患者名、体重、年齢、ID番号、例えばSS番号、病院ID等
−注入器製造番号、ファームウェアバージョン
−手順番号及び/又は名称
−技術者名及び/又は識別番号
−病院名及び/又は識別番号
−シリンジの使用又は不使用状態
−グラフ又はチャート、例えば圧力、流量等
−CTスキャナ情報
−CTスキャン情報
−技術イニシャル(tech initial)、図面等のための空欄又はブランク
【0091】
このように上記情報のいずれかは、注入器コントローラ93と病院情報システム78の間で交換することができる。この可能性に対する潜在的使用は以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−患者記録中の注入造影剤の容量及び他の手順情報を含む電子機器
−供給者の電子再注文
−自動請求書作成
−自動スケジューリング
【0092】
注入工程後、注入器コントローラ93は、RFIDタグ60bに書き込んで、シリンジ20bの再使用を防止するのを支援するシリンジ使用フラグを設定する。次にシリンジ20bはフェースプレート88bから取り外される。手順が失敗し、シリンジが使用されなければ、加温器36に戻すことができる。このプロセスでは、情報は前述したように、RFIDタグ60bから読み取られ、及びRFIDタグ60bに書き込まれる。さらに、画像情報システム87は、シリンジの大気開放時間を追跡して、ある大気開放時間を超えると技術者に警告することができる。
【0093】
フェースプレート88bから取り外されたシリンジ20bが空であれば、シリンジは典型的には廃棄領域112に輸送される(図1A,3A,4)。そして、廃棄前に、他のコンピュータ75の一つに接続された他のR/W装置114はRFIDタグ60bを読み取る。在庫データベース76はこのように破壊されるシリンジ20の識別を追跡することができる。さらに、シリンジ廃棄情報は、図3Aに示すように通信リンク118を介して、例えばインターネット83、電話回線、又は他の互換性のある優先又は無線接続を介して、供給者コンピュータ116に通信することができる。
【0094】
他の実施形態では、空のシリンジは、破壊される代わりに、さらなる処理のために、例えば廃棄又は再充填のために、供給者24に戻される。後者の実施例では、シリンジ20は病院発送/受入領域44を通過し、RFIDタグは病院を離れるシリンジを識別するために再度読み取られる。これに伴い在庫データベース76が更新される。供給者発送/受入領域38に入ると、RFIDタグ60bは再び供給者在庫データベース120を更新するために読み取られ、供給者施設内のシリンジを追跡する。シリンジ20のRFIDタグ60bは、シリンジが供給者によって破壊され、再調製され、再充填されるか否かに基づいて、更新され、又は置換される。
【0095】
ここに示され記載されたシステムでは、注入器コントローラはCT手順を通しての情報収集と転送を容易にする。RFID許可シリンジは、薬剤情報の自動転送はもちろん、より迅速で正確なデータ記録を行う。プリンタは患者又は病院記録に組み入れられる選択情報のハードコピーができる。CTインターフェースはCANを介して、CTスキャナシステム又は注入器のいずれか一点での情報の流れと収集を促進する。病院情報システムインターフェースは、この情報の流れを一段と向上し、ユーザ介入が最小のオール電子化システムを潜在的に構築する。これは過誤の減少及びCTスキャニングスーツの効率化を提供する。
【0096】
他の例示的実施形態では、時折、フィールドエンジニアは、例えばルーチンメンテナンスのため又は不良動作を診断するために、自動注入器にサービスコールを行う。このようなサービスコールの間、フィールドエンジニアは、電気ジャンパを注入器コントローラに設置することなく、「サービス」モードで注入器を操作することができる。この代わり、図5Bを参照すると、サービスモード機能はインテリジェント識別(「ID」)カード122を使用してフィールドエンジニアにより開始される。このようなIDカード122は、RFIDチップ及び関連アンテナを公知の方法で組み込んだRFIDタグ124を有する。
【0097】
注入器メンテナンス用のIDカード122を使用する例示的方法は図9に示されている。802で示すように、RFIDタグ134は、以下のデータを含むがこれらに限定されないデータを備えた供給者施設24で装着される。
−フィールドエンジニアの識別
−最新の更新及びソフトウェア情報
−特定ソフトウェア改正
【0098】
自動注入器のサービスを開始するために、フィールドエンジニアはIDカード122を空のフェースプレート88bの上に置く。これによりR/W装置104bはRFIDタグ124に対して読み書きすることができる。図9の804で示すように、RFIDタグ124から適正な識別及び安全コードを読み取ると、フィールドエンジニア識別及びサービス日時が注入器コントローラ93に記憶される。その後、注入器ユーザインターフェース94,97(図5A参照)は有効となり、注入器50をサービスモードに切り替え、これにより、いくつかの通常の注入サイクルで使用されている幾つかの運転上の検査と特徴(operationalchecks and features)を不能にするが、注入器50をサービス目的で運転するのを禁止する。R/W装置104は周期的にRFIDタグ124から識別及び安全コードを読み取るのを継続する。RFIDタグ124を首尾良く読み取るのに失敗すると、例えば、IDカード122がフェースプレート88bから取り外されているので、注入器コントローラ93は自動的に注入器50をサービスモードから切り替える。これにより、以前に不能にした運転上の検査と特徴は、再度可能となり、注入器は通常注入サイクルで運転する用意ができる。さらに、804で、注入器コントローラ93は、注入器部品とソフトウェアに対する工場最新情報(factoryupdates)に関する情報とデータをRFIDタグ124から読み取るように動作である。
【0099】
注入器50をサービスする工程では、806で示すように、フィールドエンジニアはRFIDタグ124から注入器コントローラ93にソフトウェアアップグレードのアップロードを開始する。さらに、機械的要素が修理され、機械的アップグレードが設置され、それらの動作が確認される。サービス動作の最終工程として、808に示すように、注入器コントローラ93はIDカード122のRFIDタグ124に、次のものを含むがこれらに限定されないデータを書き込む。
−インストールした最新スフとウェア改訂版
−機械及びスフとウェア最新版がインストールされたことの確認
−サービスの日及び注入器の製造番号
−最新のサービスからの注入器動作に関するプロトコル、統計、又は詳細
【0100】
フィールドエンジニアが供給者施設24に戻ると、RFIDタグ124が読み取られる。サービス情報が修理された特定の注入器と関連する履歴ファイルに記憶される。
【0101】
容器20上のRFIDタグ60と自動注入器コントローラ93の間でのRF通信システムの使用は、RF通信システムのさらなる例示的実施形態を提供する。公知のRFIDシステムは、電磁(EM)場を使用して、同調アンテナを含むR/W装置と1又はそれ以上のRFIDタグ又はトランスポンダとの間で通信する。一つの例示的実施形態では、R/W装置はEM場を使用して特定の周波数でデータを送信する。この受動的RFIDタグを用いて、EM場はタグを給電し、該タグはこの受信データを処理することができる。データの受信に続いて、RFIDタグはR/W装置により受信され処理されたデータを送信してもよい。
【0102】
RFIDは金属又は反磁性材料例えばシリンジ内の造影剤のような容器内の水、塩水、医療流体の周りで実施することは困難である。これらの材料はRFエネルギーを吸収及び/又は反射するので、特にRF周波数に対する低出力同調での、首尾よい読書きRFID動作を困難にさせる。さらに、RFIDタグアンテナの面とR/W装置アンテナの面との間の角度は重要(critical)である。最適性能のためには、RFIDタグアンテナの面はR/W装置アンテナの面に実質的に平行であるべきである。図10に示すように、単面アンテナについては、RFIDタグアンテナ面202とR/W装置アンテナ面204の間の鋭角200が増加するにつれ、2つの面200,204のアンテナを結合する信号強度は減少する。換言すれば、角度200が増加するにつれ、R/W装置アンテナからRFIDタグアンテナへ伝送可能なRF信号強度は減少する。同様に、RFIDタグアンテナからR/W装置アンテナに戻る伝送可能な信号強度は減少する。さらに、信号強度は実質的に、R/W装置アンテナの出力信号強度から金属又は反金属材料からの減衰を差し引いて角度200のコサインで除したものに等しい。
【0103】
図5Aに戻ってこれを参照すると、シリンジ20bの方位は、RFIDタグアンテナ210をR/W装置104bに比較的近接して設置している。したがって、それらの間のRF信号を結合し、RFIDタグ60bからデータを読み取り及び/又はRFIDタグ60bにデータを書き込むことを促進する。しかしながら、図11に示すようにシリン20bを方位することで、シリンジ20b内の造影剤はRFIDタグアンテナ210とR/W装置104bの間にある。造影剤は、R/W装置104bのアンテナからのRF場強度を減衰し、RFIDタグアンテナ210とのRF結合と干渉する。
【0104】
本発明の一つの例示的実施形態では、図12を参照すると、アンテナ210とRFドライバ212を備えたラベル30bを有するシリンジ20bは、フェースプレート88b上に配置され、そこに装着される用意ができている。第1PC基板102と第2PC基板103が非平行となるようにフェースプレート88bに装着されている。PC基板102,103は、V形状の側面を形成し、これによりそれらの間の180度以下の角度を形成している。PC基板102は、第1アンテナループ220とその関連同調回路226を支持し、PC基板103は第2アンテナループ222とその関連同調回路228を支持している。第1と第2のアンテナループ220,222及び関連同調回路226,228は、切換回路241bを介してR/WRF駆動回路224bに接続され、まとめて電磁R/W装置104bを形成している。代案の実施形態では、R/WRF駆動回路224bと切換回路241bは、下方に位置して電気的にPC基板102に接続されている別個のPC基板102b(想像線で示す)に装着してもよい。他の実施形態では、R/WRF駆動回路224b及び/又は切換回路241bはパワーヘッド90に注入器コントローラ93と関連して装着してもよい。
【0105】
さらに、図13A−13Dに示すように、アンテナループ220,222、各同調回路226,228、及び切換回路241bを有するアンテナシステム229bは、異なる電気的形態で接続可能であり、R/W装置104bとRFIDタグ60bの間の最適RF結合を達成することができる。
【0106】
図13Aを参照すると、R/WRF駆動回路224bからの電力は同調回路226の入力230に印加され、該同調回路226はPC基板102上の第1アンテナループ220の信号リード231に接続されている。さらに、同調回路228の入力234は、PC基板103上の第2アンテナループ222の信号リード236に接続されているが、開又はフロートのままになっている。第1アンテナループのグランドリード232は第2アンテナループのグランドリード236とともにグランドに接続されている。この形態では、PC基板102上の給電された第1アンテナループ220は、RFIDタグ60bのプロトコルにより指示された周波数、例えば約13.56メガヘルツに同調され、これによりRF信号を周辺領域に伝搬することができる。第1アンテナループ220からのRF信号はPC基板103上の第2アンテナループ222と結合されている。なぜなら、第2アンテナループ222もまた約13.56メガヘルツで共振するように同調されるからである。
【0107】
V形状配置のPC基板102,103とそれぞれのアンテナループ220,222の領域は、R/W装置104b用の全アンテナ領域を拡張又は増加する。このように、図13Aのアンテナ形態とともに、図12に示すように、有効アンテナ領域は、図5Aに示す単一PC基板102で可能な領域よりも実質的に大きな領域のシリンジ20bの周りに周方向に延びている。さらに、RF駆動回路224bにより提供されるアンテナ電力は、アンテナループ220,222の結合領域により表される大領域を越えて拡張している。シリンジ20bがフェースプレート88bに装着されると、シリンジ20bをある方位にすることで、図13Aに示す大アンテナ領域は、RFIDタグ60bのアンテナとのRF結合を向上する。
【0108】
図13Bに示すように、PC基板103上のアンテナループ222は、同調回路226入力230を遮断し又は開成してアンテナループ222の同調回路入力234をR/WRF駆動回路224bの電力出力に接続することにより、主ループを形成することができる。第1アンテナループのグランドリード232と第2アンテナループのグランドリード236はグランドへの接続を継続する。再度、両アンテナループ220,222は、RFIDタグ周波数すなわち約13.56メガヘルツで共振するように同調される。図13Bのアンテナ形態は、シリンジ20bの方位及びRFIDタグに応じて、RFIDタグ60bアンテナ210との良好なRF結合を提供する。
【0109】
アンテナループ220.222の他の形態は、図13Cに示され、ここで第1アンテナループ220の同調回路入力230はR/WRF駆動回路224bの電力出力に接続されている。第1アンテナループグランドリード232はグランドに接続されている。同調回路入力234とアンテナループ222のグランドリード236はグランドに接続され、これにより第2アンテナループ222がRFIDタグ周波数で共振するのが防止される。RFIDタグ周波数はこの分野では13.56MHzである。これはアンテナシステム229bの領域を第1アンテナループ220の領域に有効に減少する。R/WRF駆動回路224bからの全電力は、第1アンテナループ220の領域を横切って印加され、RFIDタグ周波数すなわち約13.56メガヘルツで共振するように同調される。シリンジ20bがフェースプレート88bに装着されると、シリンジ20bとRFIDタグアンテナ210の方位に基づいて、図13Cの回路の小アンテナ領域は、RFIDタグ60bのアンテナ210とのRF結合を向上する。
【0110】
図13Dに戻ると、図13Cの代案として、PC基板103上の第2アンテナループ222の同調回路入力234はR/WRF駆動回路224bの電力出力に接続され、第1アンテナループ220の同調回路入力230はアンテナループグランドリード232と236とともにグランドに接続されている。このため、第1アンテナループ220は13.56MHzのRFIDタグ周波数で共振しない。第2アンテナループ222だけがその周波数で共振するように同調される。シリンジ20bをある方位にすることで、このアンテナ形態はRFIDタグ60bのアンテナ210との最良のRF結合を提供する。
【0111】
ある利用分野では、ユーザは、ラベル30bが常に同じ方位になるようにシリンジ20bをフェースプレート88bに装着するように指示されてもよい。あるいは、他の利用分野では、RFIDタグ60bは、シリンジから取外し可能であってもよいし、注入器50の固定位置に装着可能であってもよい。これらの利用分野では、R/WアンテナはRFIDタグとの最適RF結合を有するように設計し固定位置に設置することができる。しかしながら、さらなる利用分野では、ユーザは、RFIDタグ60bがシリンジ20bのどこに配置され、RFIDタグ60bがどの方位され、シリンジ20bがいつフェースプレート88bに装着されたかについて制限しないかもしれない。これらの理凹分野では、RFIDタグ60bはシリンジ20bのバレルの周り又はフェースプレート88b内の如何なる周方向位置にあってもよい。さらに、そのような利用分野では、図13A−13Dのどのアンテナ形態がR/W装置104bに対して未知の方位を有するRFIDタグとの最良のRF結合を提供するかを正確に予測することは困難である。これは、部分的には、複雑でいくらか予測不可能なEM場に起因する。EM場は該場を反射及び/又は吸収する材料の周りに形成される。したがって、本発明の他の例示的実施形態では、図13A−13Bの全てのアンテナ形態を利用してもよい。
【0112】
図14を参照すると、PC基板102上のスイッチ238,240は切換回路241bからなり、これは各同調回路230,2324をR/WRF駆動回路224bからの電力出力すなわちターミナル242、グランドターミナル244、又は接点246で示すオープン状態のいずれかに選択的に接続するのに使用される。各アンテナループ220,222のグランドリード232,236は、グランド244に常に接続されている。スイッチ238,240の接点は、図13A−13Dのアンテナ形態に相当するスイッチ状態を示す図13A―13Dに対する標記を有している。
【0113】
使用時、図12と15を参照すると、シリンジ20bがフェースプレート88bに装着されたことを注入器コントローラ93が検出することで(例えばフェースプレート88bの装着アームの移動により、装着アームの磁石が注入器の磁気センサと直面する関係に移動する)自動的に通信サイクルを開始するか、オペレータが注入器コントローラ93に入力することでマニュアルで通信サイクルを開始する。いずれにせよ、注入器コントローラは、900で、スイッチ238,240を作動させて、アンテナループ220,222を4つの回路形態の一つ例えば図13Aに示す回路形態に接続する。その後、注入器コントローラ93は902でR/WRF駆動回路224bとRFIDタグ60bのRF駆動回路212との間で通信プロトコルを開始する。通信プロトコルの開始は公知の方法であり、これによりR/WRF駆動回路224は、タグアンテナ210との信頼性のあるRF結合を確立してRFIDタグ60bとのRF通信を確立するために、R/Wアンテナシステム229bに電磁信号を放射させる。RF通信を確立すると、R/W装置104bはRFIDタグ60bからデータを読み取り、RFIDタグ60bにデータを書き込むことができる。
【0114】
もし904で注入器コントローラ93が、通信プロトコルすなわちRF通信リンクが確立したことを決定すると、注入器コントローラ93は、906で、R/Wドライブ104bに、RFIDタグ60bからデータの読み取り及び/又はRFIDタグ60bへのデータの書き込みを進めるように指令する。しかしながら、904で、注入器コントローラ93が通信プロトコルに失敗し、R/W装置104bとRFIDタグ60bの間の首尾良いRF通信が形成されなかったことを決定すると、注入器コントローラ93は908で全てのアンテナループ形態が試行されたか否かを決定する。そうでなければ、注入器コントローラ93は910でスイッチ238,240を作動させ、アンテナループ220,222を図13A−13Bに示す4つの回路形態の他の1つに接続する。その後、注入器コントローラ93はステップ902−908を自動的に繰り返し、アンテナループ220−222を異なる回路形態に再接続し、首尾良いRF通信プロトコル又はリンクの確立を試行する。908で、注入器コントローラ93が全てのアンテナループ形態を不成功に試行した場合、912でプロトコル失敗フラグ又はエラーメッセージを設定する。
【0115】
図11−14は、アンテナシステム229bの異なる実施形態を示す。これは、開放フェースプレート88bに装着されたシリンジ20bに適用されたデータタグ60bを読み取るのに、電磁R/W装置104bを利用してもよい。さらなる実施形態では、図5Aを参照すると、シリンジ20aは、多くの場合ユーザ充填廃棄可能シリンジであるが、フェースプレート88aの半透明又は透明圧力ジャケット250内に装着される。シリンジ20aはキャップ252により圧力ジャケット250に公知の方法で固定されている。データタグ60aはシリンジ20aに適用されたラベル30aに一体化され、データタグ60aの構造と動作は前述したデータタグ60bと実質的に同一である。フェースプレート88aの圧力ジャケット250を利用するとき、データタグ60aは圧力ジャケット250の内側の方位に拘わらず読み取り可能であることが望ましい。
【0116】
図5Aと16を参照すると、RFID通信システムのさらなる例示的実施形態において、データタグ60aの読取性を向上するために、圧力ジャケット250は、シリンジ20aの周囲に配置されたアンテナループ254,256,258のアレイを含むアンテナシステム229aを備えていてもよい。アンテナループの等配置が示されているが、他の間隔を使用してもよい。圧力ジャケット250はそれぞれ内外の円筒スリーブ260,262を有する。図示されているように、アンテナループ254,256,258は、内外のスリーブ260,262の間に成型されてもよい。図17を参照すると、アンテナループ254,256,258はそれぞれの同調回路264、266,268を有し、それらは内外の円筒スリーブ260,262の間に成型されている。同調回路入力リード270,272,274とグランドリード276は、フェースプレート88aからパワーヘッド90に配置された切換回路241aに延びるケーブル278に結束してもよい。切換回路241aは適宜の方法で、例えば図14の切換回路241bに対して述べたような方法で作動させてもよい。切換回路241aはR/W駆動回路224aにより制御されてもよく、該R/W駆動回路224aはパワーヘッド90に配置されてもよい。データタグ60aとデータを交換するために、R/W駆動回路224aは、アンテナループ254,256,258を利用して、図15に関して説明したのと同じ方法で、通信サイクルを実行してもよい。これにより、データタグ60aとの通信を開始するのに、R/WRF駆動回路224aはアンテナループ254,256,258を異なる回路形態で接続し、データタグ60aとの最も信頼性のある通信を提供する回路形態を見つけるようにしてもよい。2つ以上のアンテナループを使用することにより、データタグ60aとの通信サイクルを開始するのに低電力が要求されるようにしてもよい。追加の例示的実施形態では、アンテナシステム229aは3つのアンテナループを含むように示されているが、他の実施形態は、アンテナループの他の適宜の量及び/又は配置を含んでいてもよい。さらに、アンテナシステム229aは圧力ジャケット250の要素として示されているが、他の実施形態は圧力ジャケットと関連しない複数のアンテナループを有するアンテナシステムを含んでいてもよい。
【0117】
種々の実施形態において、アンテナシステム229a,229bは、1又は複数のアンテナループを含むのが有利である。これらのアンテナループは、個別に給電され、互いに連結されて、いくつかの同調アンテナ及びEM場の形態を提供することができる。ある環境では、アンテナシステム229a、229bは、データタグからデータを読み取り、該データタグにデータを書き込むのに有効な低電力システムを提供することを特徴としてもよい。データタグは造影剤シリンジの任意の位置に配置されてもよい。さらに、造影剤シリンジは、関連する自動注入器50のフェースプレートに対して任意の方位で垂直に配置してもよい。これにより、アンテナシステム229a,229bは、金属又は反磁性材料、例えば、水、塩水、造影剤、又は他の流体の周り、及び/又は比較的低電力のRF信号の使用を命じる調整環境で、RF通信システムの使用に関する種々の課題に積極的に取り組んでもよい。
【0118】
図1Aに関して記載した例示的実施形態は、一般に造影剤のような薬剤が充填されたシリンジのような容器のライフサイクルに関する。しかしながら、図1Bを参照すると、容器ライフサイクル18bは、放射性薬剤を保管するのに使用される他のタイプの容器20cに関するものでもよい。図1Bの容器ライフサイクル18bの多くは、図1Aの容器ライフサイクル18aに類似している。容器20cは、シリンジとして概略的に示されているが、容器20cは、放射性薬剤とともに使用するのに適したバイアル又は他の容器であってもよい。供給者施設24内では、容器20cが吸引又は充填部28で放射性薬剤で満たされた後、品質制御部31で放射性薬剤の品質制御チェックが行われてもよい。その後、容器20cは、ピッグ33に設置又は装填される。ピッグは、取扱者が放射性薬剤からの放射線に曝されるのを保護する鉛及び/又は他の放射線遮蔽剤を含む。
【0119】
図1Aの容器20に対して説明したのと類似する方法で、図1Bに示すように、装填ピッグ33は、単品で又は適当な発送箱34によるバッチのいずれかで包装され、顧客又はユーザに発送される。多くの場合、箱34は病院42内の原子力薬剤部29に保管される。該原子力薬剤部は、一般に放射性薬局48と治療室26bを含む。要求により、放射性薬剤容器がピッグから取り出され、較正ツール49に設置し、放射性薬剤の活性レベルを使用前の所望のレベルに較正してもよい。次に、放射性薬剤容器はピッグに戻され、適当な時間に、ピッグは治療室26bに運ばれてもよい。放射性薬剤容器は再度ピッグから取り出され、放射性薬剤は、マニュアルで、又はここに図示され記載されたような自動注入器を使用して、患者52に注入される。種々の実施形態では、異なるマニュアル又は自動注入器は、本発明の種々の原理を利用してもよく、これによりこの開示の範囲内に含まれる。
【0120】
使用後、放射性薬剤容器はピッグに設置され、供給者施設24に戻される。そして、後処理部512で、放射容器は廃棄されてもよく、またピッグは再使用のために洗浄されてもよい。
【0121】
供給者施設24で実施される放射性薬剤容器吸引及び包装工程の例示的実施例は、図6に示されている。放射性薬剤容器20cは502で吸引部28において放射性薬剤を充填される。その後、504で、ラベル30及び/又はRFIDタグ60が、ラベリング部32において放射性薬剤容器20cに貼り付けられる。RFIDタグ60はラベルと一体にすることができ、又はラベルから分離することもできる。RFIDタグ60はRFIDチップと関連アンテナを公知の方法で組み込んでいる。
【0122】
図18に示すように、RFIDタグ60は放射性薬剤容器の任意の位置に貼り付けることができる。例えば、RFIDタグ60は放射性薬剤シリンジ20d又は放射性薬剤バイアル20eに貼り付けられるラベル30の一部とすることができる。放射性薬剤シリンジ20dの実施例では、RFIDタグは、図2A−2Dに関して前述したように異なる位置で、シリンジ構造に取り付けることができるし、又は一体化することもできる。さらなる実施形態では、シリンジラベル30は、取り外し可能であり、シリンジ20dが自動注入器に装着される直前に、RFIDタグを含むラベル30の一部を剥がして注入器又は関連リーダに取り付けることができる。放射性薬剤シリンジ20dを注入器から取り外すと、RFIDタグ30は放射性薬剤容器20dに再度貼り付けられる。同一又は異なるラベル30を、さらに又はその代わりに、放射性薬剤シリンジピッグ33a又は放射性薬剤バイアルピッグ33bに貼り付けることができる。さらに、RFIDタグ60を備えたラベル30は、箱34例えば複数のピッグを輸送するように設計されたかばん(satchel)に貼り付けることができる。
【0123】
図1Bの供給者施設24内では、読取り/書込み(「R/W」)装置62はラベルコンピュータ64に接続され、506(図6)で、特定の放射性薬剤容器20cに対して、RFIDタグ60からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むように動作する。図3Bに示すように、吸引部(draw-up station)28は、R/W装置43と電気的に通信する吸引部コンピュータ41を含んでもよい。そして、適用分野に応じて、R/W装置43,62のいずれか又は両方は、RFIDタグ60にデータを書き込むのに使用することができる。そのデータはステップ506に関して前述したデータを含むが、これらに限るものではない。放射性薬剤については、データは、投与量、及び処方ラベルに現在印刷され及び/又はバーコードに符号化されている処方情報、測定放射能レベル例えばTc−99及びMo−99、測定時の時刻、使用した放射能要素の識別例えばTc−99及びMo−99、これらの出所、その他の適宜データの全てを含んでいてもよい。
【0124】
図6に戻ると、507と509に想像線で示す放射性薬剤容器20cに特有の行程が実行される。まず、507では、例えば放射性薬剤の純度、ラベルの情報の正確性、投与量情報等を決定するために、品質制御チェックが(例えば、寝室コントローラ部31で)実行されてもよい。図3Bに示すように、品質制御部31は、品質制御コンピュータ45と関連のR/W装置47を含んでいてもよい。これらは、実行された品質制御チェック及び/又は他のシステム仕様に依存して、RFIDタグ60からデータを読み取り及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むのに使用してもよい。
【0125】
容器20cは、次に、509で、取扱い、保管、輸送のためにピッグ33に挿入されてもよい。ラベル65をオプションとしてピッグ33に貼り付けることができる。ラベル65は、人間が読み取り可能な印、機械で読み取り可能な印及び/又はラベル30に関して説明したRFIDタグを含むことができる。容器20cをピッグに挿入する行程の一部として、RFIDタグ65からデータを読み取り及び/又はRFIDタグ65にデータを書き込むのにR/W装置62又は他のR/W装置のいずれかを使用することができる。RFIDタグ65に書き込むことができるデータは、容器20cのRFIDタグ60に書き込まれたデータを含んでいてもよいし、また次のものを含むがこれらに限るものではない。
−ピッグ用の独特な識別番号
−工場、生産ラインの識別、及び/又はピッグと関連するバッチ番号
−容器がピッグに挿入された日と時刻
−注文、放射性薬剤、その容器20c及び関連ピッグ33と関連するその他のデータ
【0126】
図6の508では(図1Aに関して前述したのと同様の方法で)、1又は複数のピッグ33が発送箱34に装填される(図1B参照)。510で、箱34は発送/受入部38に在庫として保管されてもよい。受けた注文に基づいて、512で示すように、箱24は顧客への発送のために、さらに組み合わせられ、ケース又はバッチ67にパレット化される。そして、ラベル66が個々の発送箱34、又は単一のケース、バッチの箱にオプションとして貼り付けることができる。
【0127】
図1Bと7を参照すると、箱34は流通機構40に入り、病院42のような診療施設の受入部44に受け入れられる。保管及び準備工程は、前述したものと類似の工程ステップ602と604で実行されてもよい。またステップ606では、箱は病院放射性薬局46(又は医療施設の原子力薬剤部又は他の適宜場所)に引き渡されてもよい。そして、放射性薬局48内で、コンピュータ79に接続されたR/W装置77は、RFIDタグ65からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ65にデータを書き込むのに使用することができる。図3Bに示すように、コンピュータ79は、通信リンク80を介して、病院の管理コンピュータ78内の薬剤追跡データベース76を更新するのに使用することもできる。
【0128】
放射性薬剤容器に独特な工程は、図7の607と609に示されている。特に、607では、放射性薬局48内で、較正ツール49がよく使用され、容器内の放射性薬剤の投与量の放射能レベルをチェック又は有効にする。このチェック/有効は適宜の工程及び/又は較正ツールを使用して実行することができる。図3Bに示すように、較正ツール49はR/W装置89に接続された較正コンピュータ85を有していてもよい。R/W装置89は、チェック/有効工程中に、容器RFIDタグ30及び/又はピッグRFIDタグ65からデータを読み取り、容器RFIDタグ30及び/又はピッグRFIDタグ65にチェック/有効データを書き込むのに使用することができる。このチェック/有効データは次のものを含むが、これらに限定されない。
−チェック/有効時刻及び日
−放射性薬剤の減衰率及び半減期
−注入時の処方活性レベル(放射のキューリーレベル)
−他の時点例えば吸引時での活性レベル
−測定放射能レベル
−治療時の所望の放射線活動レベル
−注入された放射能要素の識別
−較正ツールとオペレータ等の識別
【0129】
引き続き図7を参照すると、適当な時点において、609で、ピッグ33は使用するために治療室に引き渡される。放射性薬剤はマニュアル又は自動注入器を使用して投与することができる。多くの場合、全てのケースではないが、放射性薬剤を収容するシリンジ20d又はバイアル20eは、マニュアル投与のために各ピッグ33から取り出される。しかし、他の適用分野では、前に図示し図8に関して説明した自動注入器及び方法を使用してもよい。放射性薬剤については、望まれるなら、注入器コントローラ93(図3B参照)と関連するR/W装置104は、RFIDタグ60に現在時刻と日を書き込み、ピッグ外時間(例えばシリンジ又はバイアルがピッグに収容されていない時間の経過)の追跡を許容してもよい。放射性薬剤注入行程の間、放射性薬剤容器のプランジャーの変位を精密に制御し、プランジャー送りを追跡してもよい(例えば、シリンジ及び/又はピッグと関連するタグに記録し書き込む)。
【0130】
ここに記載したラベリングシステムは較正ツール49の必要性を排除する潜在性を有していることに注意すべきである。例えば、図3BのR/W装置104は、品質制御部31(図1B)によりRFIDタグに書き込まれた放射性レベルと測定日時を読み取ることができる。注入器コントローラ93は、測定放射能レベルと予定治療日時との間の経過時間を計算することができる。注入器コントローラ93はさらに経過時間中の放射能レベルの減衰を計算することができる。そして、処方された放射性薬剤投与量でプログラムを組むことで、注入器コントローラは注入すべき正確な単位容量を計算することができる。このため、較正ツール49は必要とされない。放射性薬剤がマニュアルで注入される場合、コンピュータ79及び関連のR/W装置77は、臨床医又はその他の適切な個人により同様の方法で使用され、較正ツールを使用することなく計算された現在単位容量を表示することができる。
【0131】
注入行程の後、図1B、5A及び19を参照すると、放射性薬剤容器20cはフェースプレート88bから取り外されて、図19の802で示すように各ピッグ33に戻されてもよい。次に、ピッグ33は同一又は異なる箱に収容され、804で発送部44に戻され、806で供給者施設24に戻される。807で示すように、放射性薬剤容器と関連するラベルは、廃棄直前に読み取られ、実質的に全ての放射能が減衰する前に容器がどれくらい長く放射能遮蔽廃棄及び/又は保管容器に収容されなければならないかを決定するのを支援する。例えば、放射性薬剤の初期放射能は容器の充填時にタグに書き込む。この初期充填時に続いて、放射性薬剤の放射能が減衰する。減衰率は一般に知られているので、この減衰率と初期充填時からの経過時間を使用し、使用済み容器がもはや著しい放射能を有していないことを十分に保証するのにどのくらいの保管時間が必要かを決定する。この保管時間の計算は人為的及び/又は電気的に行われる(例えば、廃棄直前にタグを読み取るのに利用されるリーダと相互接続された適切なコンピュータを使用する)。
【0132】
供給者施設24(図1B)内の後処理部51では、808で、使用済み放射性薬剤容器は廃棄に適した処理を受け、810で関連ピッグは再使用のために洗浄される。後処理中、前述の任意のコンピュータは、容器20c、ピッグ33,箱34のRFIDタグからデータを読み取り、及び/又はRFIDタグにデータを書き込むのに使用することができる。このような活動は、特定の供給者、顧客、医者、及び/又は病院の要求を満たすのに依存した適用分野である。図3Bに示すように、後処理コンピュータ53は、放射性薬剤容器又はピッグの一方又は両方のRFIDタグ60からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むR/W装置55に接続してもよい。事後処理コンピュータ53は、供給者施設内の放射性薬剤容器及びピッグを追跡する供給者在庫データベース120を(通信リンク57を介して)更新することができる。照射性薬剤ピッグ33のRFIDタグ60は更新されてもよいし、交換されてもよい。さらに、望まれるなら、放射性薬剤容器とピッグに関するデータは、通信リンク118、例えば、インターネット接続、電話接続、またはその他の適切なリンクを介して、供給者コンピュータ116から病院42内のコンピュータ79に、通信することができる。
【0133】
ここで意図されている方法では、RFタグ60は放射性薬剤容器20cに貼り付けてもよい。放射性薬剤容器20cはその後、鉛ライニングされたピッグ33に設置される。このような状況では、ピッグはRFタグ60の有用性を制限し、容器20cがピッグ33から取り出されない限り、その使用を妨げる。したがって、放射性薬剤容器20cがピッグ33に保管されるときに放射性薬剤容器20c上のRFタグからデータを読み取り、RFタグにデータを書き込むことができることが大いに望ましい。これは、図20−22に示すピッグ装着アンテナシステムの例示的実施形態により達成される。
【0134】
図20を参照すると、第1実施形態では、放射性薬剤ピッグ33bは細長いベース322と細長いキャップ324を有する。ベース322とキャップ324は、広範な形状とサイズで形成することができるが、ほぼ円筒形状が図示されている。キャップ324はねじ相互接続325により公知の方法でベース322に接合される。キャップ324内のキャップ遮蔽要素326とベース322内のベース遮蔽要素328は、シリンジ20c内の放射性薬剤から放射される放射能を遮断するのに使用される。遮蔽要素326,328は、放射能を遮断するのに有効な任意の材料、例えば鉛、タングステン、充填ポリマー合成材料等から形成することができる。キャップ遮蔽要素326は、キャップ324がベース322に装着されたときにベース遮蔽要素328を覆う突起329を形成している。シールド326,328のオーバーラップにより、ベース322から分離可能であるキャップ324により生じるシールドの不連続により、放射能の遮断が促進される。
【0135】
キャップ324はさらに外殻部332と内殻部334からなるキャップシェル330を有する。同様に、ベース322は、外殻部338と内殻部340からなるベースシェル336を有する。ベースシェルとキャップシェル328,330は、プラスチック材料例えばポリカーボネート樹脂等から形成されている。
【0136】
ラベル30が放射性薬剤シリンジ22cに公知の手段、例えば接着剤、テープ、弾性バンド等で貼り付けられている。実際には、ラベル30は任意の方法で放射性薬剤シリンジ20cに(容易に取り外せないように)取り付けてもよい。ラベル30は人間が読み取り可能及び/又は機械が読み取り可能な形態の印346を含む。ラベル30はさらに、RFID集積回路チップ212と少なくとも1つの無線周波数アンテナ210とからなるRFIDタグ60を有している。放射線薬剤シリンジ20cは、多くの場合、それが使用される医療施設から独立した施設で製造される。したがって、放射性薬剤シリンジ20cに関するデータは、多くの場合、その製造地点で収集される。さらに、追加のデータは、多くの場合、放射性薬剤シリンジ20cを含む放射性薬剤ピッグ33bを取り扱う流通機構の異なる地点で収集される。データはまた照射性薬剤シリンジ20cが使用された時及びその後、廃棄時、認可された再使用のための洗浄時に収集される。このように、放射性薬剤シリンジ20cと関連の放射性薬剤ピッグ33bのライフサイクルにわたって、シリンジ20cのライフサイクルの異なる時点でRFIDタグ60に書き込むことができるデータは、予め記載されていることになる。このようなデータは放射性薬剤の減衰率(例えば、薬剤の半減期)、注入時の処方活性レベル(放射能のキューリーレベル)、他の時点でのキューリーレベル(充填時)、及び/又は放射性薬剤が注入されることを準備技術者又は放射性薬剤師が仮定した時間を含むが、これらに限定するものではない活性レベルは、多くの放射性薬剤の半減期による時間の関数であり、活性レベルは特定注入時間に対して設計されている。
【0137】
RFIDタグ60に記憶されたデータから最大の利益を得るために、放射性薬剤シリンジ20cが放射性薬剤ピッグ33bに収容されるときに、タグを読み取ることができることが必要である。図20の実施形態では、少なくとも1つの無線周波数内部アンテナ358がベース内部殻340の内面にわたって設けられ、少なくとも1つの無線周波数外部アンテナ364はベース外部殻338の外面にわたって設けられている。孔360が、ベース内殻340、ベースシールド328、ベース外殻338を貫通して延びている。少なくとも1つの接続リード362、例えば胴線リードは、孔360を貫通して延び、内部アンテナ358に接続された一端と、外部アンテナ364に接続された他端とを有している。
【0138】
内部アンテナ358はRFIDチップ212に接続されたRFIDアンテナ210と結合するように設計されている。外部アンテナ364は、RFIDアンテナ210がR/W装置366と結合するのと同じ方法で、リード/ライト(「R/W」)装置366と電磁的に結合するように設計されている。R/W装置366は公知の方法でコンピュータ368に接続されている。R/W装置366は、それぞれ内部、外部アンテナ358,364を介してRFIDアンテナ210と電磁的に結合している。したがって、放射性薬剤ピッグ33bがそのライフサイクル中に取り扱われたときはいつでも、R/W装置366は、アンテナ210,358,362,364からなるRFIDアンテナシステムを介して、放射性薬剤シリンジ20c上のRFIDタグ60のRFIDチップ212から情報を読み取り、及び/又は、RFIDチップ212に情報を書き込むのに使用することができる。アンテナはRFIDアンテナとして使用するのに十分な長さのリードからなっているだけでよいことに注意すべきであり、その場合、コイルアンテナ部364がなくてもよい。
【0139】
RFIDタグ60を利用する放射性薬剤ピッグ33b及び放射性薬剤シリンジ20cの他の例示的実施形態が、図21に示されている。この実施形態では、内部及び外部アンテナ358,364は、それぞれキャップ324の頂部の内面、外面370,372に配置されている。アンテナ358、364は、キャップ324の頂部の孔374を介して延びる少なくとも1つのリード362により、電気的に接続されている。R/W装置366は、それぞれ内部、外部アンテナ358,364を介して、RFIDアンテナ210と電磁的に結合することができる。したがって、放射性薬剤ピッグ33bがそのライフサイクルで取り扱われるときはいつでも、R/W装置366はアンテナ210,358,364からなるRFIDアンテナシステムを介して、放射性薬剤シリンジ20c上のRFIDタグ60のRFIDチップから情報を読み取り、該RFIDチップに情報を書き込むのに使用することができる。
【0140】
キャップ324の頂部にアンテナ358,362を設置することは幾つかの利点がある。まず、キャップ324の頂部は、多くの場合、ベースシェル336よりも少ない放射性露出を受ける。さらに、キャップ外面372は、多くの場合、放射性薬剤ピッグ33bの取扱中に、ベース外殻338よりも物理的接触が少ない。したがって、キャップ外面372の外部アンテナ362は物理的損傷を受けることが少ない。
【0141】
RFIDタグ60を利用する放射性薬剤ピッグ33bと放射性薬剤シリンジ20cのさらなる例示的実施形態が図22と22Aに示されている。この実施形態では、RFIDタグ60は、図20に関して前に説明した方法で放射性薬剤シリンジ20cに取り付けられているラベル30cの第1部分上にRFIDチップ212を有している。ラベル30dの第2部分は、放射性薬剤ピッグ33bの外側に配置され、その上に少なくとも1つのRFIDアンテナ210を有している。第1ラベル部30cのRFIDチップ212は、少なテザー(tether)378と一体の少なくとも1つの電気的に導体のリード376により、アンテナ210に電気的に接続されている。導体リード376とテザー378は、所望の電気的及び機械的特性を提供する任意の材料、例えば絶縁又は非絶縁銅線、基板上に積層された銅トレース等から形成されてもよい。ねじ継手325は導体リード376とテザー378のための隙間を提供するように設計され、これによりキャップ324は、導体リード376とテザー378を損傷することなく、ベース322に取り付け、ベース322から取り外すことができる。R/W装置366はRFIDアンテナ210と電磁的に結合することができ、RFIDアンテナ210は導体リード376を介してRFIDチップ212にデータを通信し、RFIDチップ212からデータを通信する。したがって、放射性薬剤ピッグ33bがそのライフサイクルで取り扱われるときはいつでも、R/W装置366は、アンテナ210と導体リード376からなるRFIDアンテナシステムを介して、放射性薬剤シリンジ20cのRFIDタグ60のRFIDチップから情報を読み取り、RFIDチップに情報を書き込むのに使用することができる。
【0142】
使用時、放射性薬剤の注文を受けると、RFIDチップ212と関連アンテナ210を有するラベル30を放射性薬剤シリンジ20cに貼り付け、該放射性薬剤シリンジ20cを放射性薬剤ピッグ33bに設置することができる。このとき、シリンジとピッグの識別を含むが、これらに限るものではないデータは、図1Aと1Bに関して前述した方法でRFIDタグ60に書き込まれる。放射性薬剤シリンジ20cとピッグ33bは、シリンジ20cが所望の放射性薬剤で満たされる場所に輸送される。この場所は、放射性薬剤供給者、又は放射性薬剤シリンジ20cのユーザの位置であってもよい。いずれにせよ、放射性薬剤が満たされる場所に拘わらず、前述したように、充填工程、充填される放射性薬剤、放射性薬剤がどのように使用されるかに関するデータがRFIDタグ60に入力される。充填された後、放射性薬剤で充填されたシリンジ20cを保持するピッグ33bは、使用のために引き渡される前に、準備及び/又はイメージング室に数回にわたり移送され保管される。使用中、シリンジ20cはピッグ33bから取り出され、放射性薬剤は検査対象すなわち患者に注入される。使用後、空シリンジ20cはピッグ33bに戻され、放射性薬剤シリンジ20cの適切な廃棄、放射性薬剤ピッグ33bの再使用のための再調整のために、薬剤供給者又は他の場所に戻される。
【0143】
放射性薬剤ピッグ33b及び/又は放射性薬剤シリンジ20cがそれらの各ライフサイクルにわたって取り扱われるときはいつでも、前述した方法で、R/W装置366はRFIDタグ60からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むのに使用することができ、これにより放射性薬剤ピッグ33bと放射性薬剤シリンジ20cの各ライフサイクルにわたる完全な年代順の履歴を提供することができる。
【0144】
図1A,3A,1B,3Bに示すシステムは、シリンジ20のライフサイクルで巻き込まれる全ての実体(entity)間で如何なる情報も移動することができる利点を有する。その実体は通信リンク80と通信することができる任意の実体である。したがって、インターネット83のウェブサイトから入手可能なデータはシリンジ20のライフサイクル中に利用することができる。このようなインターネット通信の可能性は、自動注入器50の遠隔サービス、注入プロトコルのダウンロード、遠く離れたところにいる医師媒体供給者又はその他の関係者との通信を許容する。
【0145】
本発明の種々の原理を種々の例示的実施形態により説明し、またそのような実施形態を詳細に説明したが、そのような詳細なものに添付請求の範囲を制限し又は限定することを意図するものではない。さらなる利点及び修正は当業者に明らかである。例えば、図20−22の実施形態では、RFIDチップ212はピッグの内側に配置してもよい。いくつかの実施形態では、チップ212は関連アンテナとともにピッグの外側に配置してもよいし、またチップは、放射性薬剤シリンジ20cとRFID情報が関連付けされたままとなるように、ひもその他のアタッチメントによりシリンジ20cに物理的に取り付けてもよい。代案として、ピッグ33bはRFIDタグとアンテナをシリンジに機械的に取り付けることなく運んでもよいが、その中のデータがピッグにあるシリンジに関係することを単に知るだけでもよい。
【0146】
さらに、ここに示され記載された例示的実施形態では、アンテナシステム229a、229bは1つ、2つ、3つのアンテナループを使用している。しかし、代案の実施形態では、任意の数のアンテナループを使用してもよい。アンテナループはオーバーラップしても、しなくてもよい。しかし、アンテナループはRFIDプロトコルで使用される所定の周波数で共振するように、個々に同調されることが好ましい。さらに、前述の実施形態では、切換回路241bはRF駆動回路224bと同一のPC基板102に配置されている。しかし、代案の実施形態では、切換回路は第2PC基板103に配置されてもよいし、2つのPC基板102,103の間に分割されてもよいし、また例えば図17に示すように自動注入器とともにどこかに配置されてもよい。
【0147】
さらに、前述した実施形態では、R/Wアンテナシステム229a、229bは放射薬剤注入器アセンブリに貼り付けられている。しかし、代案の実施形態では、多重非平行アンテナを利用するR/Wアンテナシステム229a、229bは、薬液容器を支持する如何なる装置に適用されてもよい。そのような装置は、加温オーブン又は加温ボックス、容器充填部、ピッグ又は他の原子力薬剤容器、投与量キャリブレーション部、ハンドヘルド給電薬液ディスペンサ、シリンジ廃棄部、又は他の装置を含むがこれらに限定されるものではない。
【0148】
前述の実施形態のシステムは、薬液のコンテナに関する。詳細に記載した2つの実施例は、造影剤とそれぞれのシリンジ、放射性薬剤とそれぞれの容器に関する。代案の実施形態では、図1cを参照すると、容器は薬液で満たされたIVバッグ130であってもよい。IVバッグ130からのチューブ132は、注入ポンプ134と連結されてもよい。これにより、IVバッグ130からの薬液の流れはポンプ134の使用を介して調整されてもよい。チューブ132の一端は一般にIVバッグ130と結合しているが、チューブ132の他端は患者に公知の方法で接続されてもよい。IVバッグ130は、前述したように、データタグ60例えばRFIDタグを備えたラベル30を有していてもよい。さらに、注入ポンプ134は、IVバッグ130のデータタグ60からデータを読み取り、及び/又はデータタグ60にデータを書き込むことができる電磁装置と電気的に連通してもよい。例えば、電磁装置は、注入ポンプ134に取り付け、及び/又は注入ポンプ134内に配置してもよい。図3cに示すように、注入ポンプ134は、図1Aと1Bに示す注入器コントローラ93に関して説明したものと類似の方法で通信リンク80に接続されたコントローラ138を有してもよい。このように、図1cと3cのシステムは、追跡及び記録される(例えばIVバッグ130のライフサイクルにわたって)IVバッグ130、その中の薬液、及び/又は注入ポンプ134に関する活動を許容してもよい。
【0149】
シリンジを自動注入器に装着する多くの公知の構造があり、ここに示され記載されたフェースプレートは2つのそのような構造にすぎない。他の装着構造はパワーヘッドからの取り外しを許容しなくてもよい。ここに請求された発明は、シリンジをそこに装着する任意のタイプの構造を有するパワーヘッドに適用することもできる。ここに示され記載された実施形態では、ヒータ106がPC基板102,103上に装着されている。しかし、代案の実施形態では、ヒータ106は使用されなくてもよく、したがって、PC基板102,103から除去されてもよい。
【0150】
本発明及びその種々の実施形態の要素を導入するとき、「1つの」、「その」、及び「前記」は1又は複数の要素があることを意図している。「からなる」、「含む」、「有する」は挙げられた要素以外に追加の要素があることを意図している。さらに、「頂部」と「底部」、「前」と「後」、「上方」と「下方」、これらの変形、及び方向の他の用語は、便宜的に使用され、要素の特定の方向を要求するものではない。
【0151】
したがって、本発明は、その最も広い局面では、ここに示され記載された詳細に限定されるものではない。したがって、本発明の精神及び特許請求の範囲から逸脱することなくここに記載された詳細を修正することができる。
【符号の説明】
【0152】
18a ライフサイクル
18b 容器ライフサイクル

20 シリンジ
20a、20b シリンジ
20c 容器
20d 放射性薬剤シリンジ
20e バイアル
22 造影剤
24 供給者
25 購入事務所
26a イメージングスーツ
26b 治療室
27 診療所
28 吸引又は充填部
29 原子力薬剤部

30 ラベル
31 品質制御部
32 ラベリング部
33 ピッグ
33a 放射性薬剤シリンジピッグ
33b 放射性薬剤バイアルピッグ
34 発送箱
36 加温オーブン
38 発送/受入部

40 流通機構
42 医療施設
43 R/W装置
44 発送/受入領域
46 室
48 準備室
49 較正ツール

50 自動流体注入器
51 後処理部
52 患者
53 事後処理コンピュータ
55 R/W装置
56 シリンジフランジ
57 通信リンク
59 プランジャー

60 RFIDタグ
60a データタグ
60b RFIDタグ
61 コア
62 リード/ライト(「R/W」)装置
63 成型材料
64 ラベリングコンピュータ
65a,65b,65c 位置
66 ラベル
66 発送箱RFIDタグ
67 ケース又はバッチ
68 R/W装置

70 発送コンピュータ
72 R/W装置
74 発送受入コンピュータ
76 在庫データベース
77 R/W装置
78 病院管理コンピュータ
79 コンピュータ

80 通信リンク
81 R/W装置
82 加温器コントローラ
83 インターネット
84 ワークインプロセス(work-in-process)データベース84
86 ユーザインターフェース
87 イメージング情報システム
87 画像情報システム
88a、88b フェースプレート

90 パワーヘッド
93 注入器コントローラ
94 ユーザインターフェース
95a、95b 手動操作ノブ
95a、95b プランジャードライブ
96 コンソール
97 リモートユーザインターフェース
98 電源
99 クレードル

100 車輪付スタンド
101 CTスキャナコントローラ
102 印刷回路(PC)基板
103b CTスキャナ
104b R/W装置
104b 電磁R/W装置
106 ヒータ
107 通信リンク
109 ハードコピープリンタ

111 CAN通信バス
112 廃棄領域
114 R/W装置
118 通信リンク

120 供給者在庫データベース
122 IDカード
124 RFIDタグ


130 IVバッグ
132 チューブ
134 注入ポンプ
134 RFIDタグ

200 角度
202 RFIDタグアンテナ面
204 R/W装置アンテナ面

210 RFIDアンテナ
210 RFIDタグアンテナ
210 無線周波数アンテナ
212 RFIDチップ
212 RFドライバ
212 RFID集積回路チップ

220 第1アンテナループ
222 第2アンテナループ
224b R/WRF駆動回路
226 同調回路
228 同調回路
229a アンテナシステム
229b アンテナ装置
229a,229b アンテナシステム
229b R/Wアンテナシステム

230 入力
231信号リード
232 グランドリード
234 入力
236 信号リード
238,240 スイッチ

241a,241b 切換回路
242 ターミナル242
244 グランドターミナル
246 接点

250 圧力ジャケット
252 キャップ
254,256,258 アンテナループ
260,262 円筒スリーブ
270,272,274 同調回路入力リード
276 グランドリード
278 ケーブル

322 ベース
324 キャップ
325 ねじ相互接続
326 キャップ遮蔽要素
328 ベース遮蔽要素


330 キャップシェル
332 外殻部
334 内殻部
336 ベースシェル
338 外殻部

340 内殻部
346 印

360 孔
362 接続リード
364 無線周波数外部アンテナ
366 R/W装置
368 コンピュータ

370 内面
372 外面
374 孔
376 導体のリード
378 テザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図22A】
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【公開番号】特開2012−196496(P2012−196496A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133736(P2012−133736)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2008−41513(P2008−41513)の分割
【原出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
【出願人】(595181003)マリンクロッド インコーポレイテッド (203)
【Fターム(参考)】