説明

医療用レーザ装置

【課題】レーザ治療の最中に突然電池消耗をきたして、治療中断することのない医療用レーザ装置を提供する。
【解決手段】本体に搭載した二次電池1と、前記二次電池の残量を監視する電池残量監視部7と、少なくとも前記二次電池から供給される電源によりレーザ発振するレーザ発振器3と、前記レーザ発振器から照射されるレーザ光を患者患部へ導くレーザ導光部6と、前記レーザ発振器から送出されるレーザ光出力を制御するレーザ制御部2とを備え、前記電池残量監視部で監視する電池残量が所定値を下回った場合警報音を発する警報発生部8を備えることによって、使用者が患者患部を注視しているレーザ治療の最中にあっても、電池残量の低下状況を報知させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源の電力供給源として二次電池を備えた医療用レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医科や歯科分野において、患部組織の切開、蒸散、止血、凝固を目的とした数W〜数10Wクラスのレーザ手術装置が広く用いられているようになっている。
【0003】
従来の医療用レーザ装置について図面を用いて説明する。図4は、従来の医療用レーザ装置の構成を示すブロック図である。図4に示すように、従来の医療用レーザ装置は、商用電源入力部101、レーザ制御部102、レーザ駆動部103、操作部104、表示部105及びレーザ導光部106を設けている。
【0004】
商用電源入力部101は交流100Vの商用電源を直流に変換し、装置内部各ブロックへ給電する。操作部104は、使用者がレーザ光出力や照射パターン等の照射条件や照射開始/停止を入力指示するためのインターフェースである。操作部104から入力された情報は、レーザ制御部102へ出力される。操作部104の一部はフットペダルからなり、使用者が照射条件を設定し、照射待機状態にした後このフットペダルを踏むことでレーザ照射指令が発出される。
【0005】
レーザ制御部102は、使用者が操作部104を用いて設定した照射条件でレーザ光照射されるよう、レーザ発信器103へ信号送出する。またレーザ制御部102は、操作部104から入力され受け付けた情報を表示部105に表示させる。表示部105は本体装置上部のフロントパネルに備えられ、設定された照射条件や現在の照射状態をLED等で示す。
【0006】
レーザ発振器103は、例えばRF発振型の金属製封じ切り10W出力炭酸ガスレーザ管(レーザ波長10.6μm)であり、レーザ制御部102から送出されたパルス信号のデューティに応じてレーザ出力が調整される。レーザ導光部106は、レーザ発振器103から出射されたレーザ光を術野まで効率よく導く光ファイバープローブである。
【0007】
上述の図4に示したように、従来の医療用レーザ装置においては、電力の供給は、壁面等に設けられた商用電源コンセントに電源コードを接続して行われている。
【0008】
疼痛を緩和させる目的の微弱出力半導体レーザを用いた低消費電力型レーザ治療器では、電池を電源として搭載することも提案されていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら一方、患部組織の切開、蒸散、止血、凝固を目的とし数W以上のレーザ光出力を必要とするレーザ手術装置では、これまで全て商用電源を電力供給源としてきた。特にレーザの媒質として炭酸ガスを用いた炭酸ガスレーザ手術装置の場合、発振管を構成する共振器長が長いので、床置き式の縦長筐体となり、台座部の底面に取り付けられたキャスターで移動する。患者診療台ないし診療チェアーが数台並んでいる開業医院や歯科医院の場合、1人の医師が複数の患者治療を時分割にかけもちで行う。このような状況下でこの種の医療用レーザ装置を用いる場合、医師は個々の患者診療台ないし診察チェアーの近傍まで装置をその都度引きずり回した後に装置電源を再投入し、患者治療に供してきた。
【特許文献1】特開昭58−89243号公報(第2頁左上欄、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら目的の患者診療台ないし診療チェアーの近傍に装置を移動してきたり、その場で装置の方向を回転させたい際、使用者である医師は装置につながっている電源コードを足で引っ掛けたり、キャスターにからみつかせたりして邪魔になることが多かった。また装置移動の際には、電源コンセントからプラグをはずして床面に接している電源コードを本体側から手繰り寄せた後、新たな電源コンセントにプラグをさし直した後に装置への電源再投入するなど、手間を取られるばかりでなく、菌付着の可能性が高い電源コードにその都度触れざるを得ず、衛生管理上も課題があった。電源コンセント自体が装置移動先の患者診療台ないし診療チェアーの近傍にない場合、規格外である市販平行ビニール線の延長ケーブルでつながれる恐れもあり、接地浮き、定格不足による発熱、機械的強度不足、防水性等の各面から課題となる。
【0010】
空調、照明をはじめ他の電気設備、診断治療機器、滅菌機器の稼動も当然日中の診療時間に集中するが、一般診療所や個人開業医院においては特定の電源系統で消費電流がオーバーしてブレーカーが落ちたり電圧変動が発生したりして、レーザ出力停止等で治療を中断する可能性もあった。全体の総消費電力パターンも昼間に集中してしまう課題があった。
【0011】
本装置における電力消費の多くはレーザ発振するレーザ発振器によるものであるため、単に電池式にしただけでは、まさにレーザ治療の最中に使用者に自覚させ得ないまま突然電池消耗をきたし、レーザ出力停止等で治療を中断せざるを得ない可能性があった。特にレーザ治療している使用者は、治療の最中、患者患部を注視しているため本体装置表示による報知のみでは認知されづらいという課題があった。
【0012】
そこで本発明の第1の目的は、通常の診療時間中は電池駆動が可能な医療用レーザ装置を提供することにある。特に使用者が、電池残量を把握せず電池残量不足状態で本装置を使用開始した場合でも、治療に支障をきたさない医療用レーザ装置を提供するものとする。
【0013】
また単に電池式にしただけでは、使用前に充電完了させた電池を準備しておき本体に装着したり、放電してしまった電池を取り外したりして再充電するといった煩雑さが考えられるため、診療時間外に手間なく簡便に充電しておける医療用レーザ装置を提供することを第2の目的とする。
【0014】
もし治療途中で電池が消耗してしまった場合でも速やかに治療続行できることを第3の目的とする。
【0015】
また治療の合間にも常に電池消耗度合いを使用者に知らせることで、突然電池消耗をきたしレーザ出力停止等で治療を中断せざるを得ない状況そのものを事前に回避させることを第4の目的とする。
【0016】
また現在、本装置が電池駆動で放電しているのか充電されているのかを使用者に知らせ、適切な処置を促すことを第5の目的とする。
【0017】
特に治療中で表示部分に目が届きにくい使用者に対し、電池消耗度合いを音で知らせ、適切な処置を促すことを第6の目的とする。
【0018】
さらに治療が突然続行出来なくならないようある程度余裕を持って使用者に電池消耗状況を知らせ、適切な処置を促すことを第7の目的とする。
【0019】
もし電池消耗の警報音が発せられた後であっても、当該治療または当日分の治療をそのまま続行し得る程度の電池容量を持たせることを第8の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の第1の目的を達成するために、本発明にかかる第1の医療用レーザ装置は、本体に搭載した二次電池と、前記二次電池の残量を監視する電池残量監視部と、少なくとも前記二次電池から供給される電源によりレーザ発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から照射されるレーザ光を患者患部へ導くレーザ導光部と、前記レーザ発振器から送出されるレーザ光出力を制御するレーザ制御部とを備えたものであって、前記電池残量監視部で監視する電池残量が所定値を下回った場合警報音を発する警報発生部をさらに備えたことに特徴がある。
【0021】
この構成によれば、二次電池を電力供給源として動作するので電源コードは不要で、移動の際に電源コードに触れる必要がなく、収納しておけば煩わしさは一切なくなる。基本的に使用時は、商用電源に接続しなくてよいため商用電源の供給状態には左右されない。診療時間帯における消費電力を抑制できる。商用電源ラインを介した他の医療機器との相互干渉といった不具合もない。
【0022】
特に電池残量監視部で監視する電池残量が所定値を下回った場合、警報音を発するため、使用者が、電池残量を把握せず電池残量不足状態で使用開始した場合でも、十分な出力のレーザ光を得ることができなかったり、レーザ発振が突然停止されなかったりというトラブルは未然に防がれる。
【0023】
特に使用者は患者患部を注視しているレーザ治療の最中にあっても、電池残量の低下に伴う警報音を聞くことによって確実に状況認識出来る。
【0024】
また、上記第2の目的を達成するため、本発明にかかる第2の医療用レーザ装置は、商用電源入力部を備え、二次電池は前記商用電源部に接続された商用電源からの電力供給がある場合は前記二次電池に充電することを特徴とするものである。
【0025】
この構成によれば、単に診療時間外や治療の合間に電源コンセントから商用電源入力部に接続しておくだけで装置に搭載された二次電池への充電が達成されるので使い勝手に優れた構成となる。
【0026】
また、上記第3の目的を達成するため、本発明にかかる第3の医療用レーザ装置は、商用電源入力部を備え、前記商用電源接続部に接続された商用電源からの電力供給がある場合は本装置内部への電力供給を前記商用電源接続部から行うことを特徴とするものである。
【0027】
この構成によれば、もし治療途中で電池が消耗してしまった場合にも電源コンセントから商用電源入力部に接続しさえすれば、従来の医療用レーザ装置と全く同じように給電され動作継続できる。本発明にかかる第2の医療用レーザ装置と組み合わせれば同時に二次電池への充電も行われるため、充電状態回復を待って商用電源から切り離しても差し支えない。
【0028】
また、上記第4の目的を達成するため、本発明にかかる第4の医療用レーザ装置は、電池残量監視部で検出される電池残量レベルを表示する電池残量表示部を設けたものである。これによりレーザ治療の前後に電池消耗度合いを使用者または周囲の者に知らせ適切な処置を促すことが出来る。
【0029】
また、上記第5の目的を達成するため、本発明にかかる第5の医療用レーザ装置は、商用電源入力部または二次電池の接続状態によって前記二次電池の充放電動作を示す充放電状態表示部を設けたものである。これによりレーザ治療の前後に現在本装置が電池駆動で放電しているのか充電されているのかを使用者または周囲の者に知らせ、適切な処置を促すことが出来る。
【0030】
また、上記第6の目的を達成するため、本発明にかかる第6の医療用レーザ装置は、レーザ照射中のレーザ照射警告音とは異なる警報音パターンで警報発生する警報発生部を設けたものである。これによりレーザ照射中に発せられるレーザ照射警告音と電池残量低下に伴う警報音が区別され、レーザ治療の最中にあっても、その音によって電池残量の低下が発生したことを使用者に明確に認識させることが出来る。
【0031】
また、上記第7の目的を達成するため、本発明にかかる第7の医療用レーザ装置は、電池残量監視部による電池残量レベルにより複数種類の警報音パターンで警報発生する警報発生部を設けたものである。これにより治療中で表示部分に目が届きにくい使用者に対し、電池消耗度合いを音で知らせ、適切な処置を促すことが出来る。一般的にレーザ出力、動作モードが一定であれば消費電流は変動しないため、あと何時間充電せずに治療に供することができるか、使用者に対しきめの細かい報知が可能となる。
【0032】
また、上記第8の目的を達成するため、本発明にかかる第8の医療用レーザ装置は、警報発生部による警報発生後も所定時間はレーザ出力可能とし、二次電池への充電への充電が開始あるいは電池残量が所定値を上回った場合、警報音発生を停止するものである。これにより治療が突然続行出来なくならないよう、ある程度余裕を持って使用者に電池消耗状況を知らせ、適切な処置を促すことが出来る。
【発明の効果】
【0033】
本発明の医療用レーザ装置によれば、使用者が、電池残量を把握せず電池残量不足状態で使用開始した場合でも、十分な出力のレーザ光を得ることができなかったり、レーザ発振が突然停止されなかったりというトラブルは未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(実施の形態1)
本発明の第1の目的を達成する実施の形態1にかかる医療用レーザ装置について、図1〜図2を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施の形態1にかかる医療用レーザ装置の概略構成を示すブロック図である。ここに示すように、本実施の形態1における医療用レーザ装置は、背景技術において図4に示した医療用レーザ装置と同様に、レーザ制御部2、レーザ発振器3、操作部4、表示部5及びレーザ導光部6を設けている。操作部4は、使用者がレーザ光出力や照射パターン等の照射条件や照射開始/停止を入力指示するためのインターフェースである。操作部4から入力された情報は、レーザ制御部2へ出力される。操作部4の一部はフットペダルからなり、使用者が照射条件を設定し、照射待機状態にした後このフットペダルを踏むことでレーザ照射指令が発出される。
【0036】
レーザ制御部2は、使用者が操作部4を用いて設定した照射条件でレーザ光照射されるよう、レーザ発振器3へ信号送出する。またレーザ制御部2は、操作部4から入力され受け付けた情報を表示部5に表示させる。表示部5は本体装置上部のフロントパネルに備えられ、設定された照射条件や現在の照射状態をLED等で示す。レーザ発振器3は、例えばRF発振型の金属製封じ切り10W出力炭酸ガスレーザ管(レーザ波長10.6μm)であり、レーザ制御部2から送出されたパルス信号のデューティに応じてレーザ出力が調整される。レーザ導光部6は、レーザ発振器3から出射されたレーザ光を術野まで効率よく導く光ファイバープローブであり、先端部には使用者が把持するハンドピース及びレーザ光を集光チップするチップを備えている。
【0037】
従来の医療用レーザ装置と異なるのは、まず装置内部各ブロックへ給電する電源供給源が背景技術で示した商用電源ではなくニッケル水素からなる二次電池1から与えられる点にある。この二次電池は9Ahの電池容量を持ち、レーザ照射時の一般的な消費電流3Aの状況では概略約3時間連続照射できる計算である。例えば歯科用レーザ治療を想定すると、1患者への治療1回あたり数分〜10数分の照射であれば、電池駆動で数日間の使用を見込むことが出来る。
【0038】
またこの二次電池1の残量を監視する電池残量監視部7を設け、前記電池残量監視部7で監視する電池残量が所定値を下回った場合、警報ブザー音を発する警報発生部8をさらに備えたことを特徴としている。
【0039】
電池残量監視部7では、電池残量の指標として電池電圧を検出しこの値によって使用者に電池消耗を示す警報音が発せられる構成である。
【0040】
図2は、本実施の形態1における医療用レーザ装置のハードウェア構造の外観を示す斜視図である。本実施の形態1の医療用レーザ装置は、図2に示すように、四角柱状の本体ボディ31と、本体ボディ31の上面に取り付けられた操作パネル部32とを有する。本体ボディ31の下部には、本体ボディ31を支える台座部33と、台座部33の底面に取り付けられたキャスター34と、フットペダル35とを有する。
【0041】
本体ボディ31の内部には、レーザ制御部2やレーザ発振器6等が収納されている。レーザ制御部2やレーザ発振器6以外の種々の構成要素が本体ボディ31に収納されているが、それらの構成要素は本発明の実施形態の理解に際して重要ではないため、図2ではそれらの図示を省略し、説明も省略する。
【0042】
操作パネル32には、上述の操作部4、表示部5等が実装され、レーザ導光部6が接続される。なお、図2に示したレーザ導光部6は一例であって、本発明にかかるレーザ装置に適用可能なプローブの形状は図2に示した具体例のみに限定されない。例えばミラー反射型の多関節マニピュレータやフレキシブルチューブ状の中空導波路でも構わない。
【0043】
また、図2では、台座部33の内部に電池1が収納されている態様を示したが、本体ボディ31に収納された態様であっても良い。
【0044】
図2に示した構成にかかる医療用レーザ装置は、キャスター34によって床上を移動させることができる。また、この医療用レーザ装置は、電池2を電力供給源としたことにより、電源コードが不要であるため、診察台や診療チェアー間の移動が自在である。
【0045】
この構成によれば、二次電池を電力供給源として動作するので電源コードは不要で、移動の際に電源コードに触れる必要がなく、収納しておけば煩わしさは一切なくなる。基本的に使用時は、商用電源に接続しなくてよいため商用電源の供給状態には左右されない。診療時間帯における消費電力を抑制できる。商用電源ラインを介した他の医療機器との相互干渉といった不具合もない。
【0046】
特に電池残量監視部で監視する電池残量が所定値を下回った場合、警報音を発するため、使用者が、電池残量を把握せず電池残量不足状態で使用開始した場合でも、十分な出力のレーザ光を得ることができなかったり、レーザ発振が突然停止されなかったりというトラブルは未然に防がれる。
【0047】
特に使用者は患者患部を注視しているレーザ治療の最中にあっても、電池残量低下に伴う警報音を警報音発生部8から聞くことで使用者は確実に電池消耗の状況を認識出来る。
【0048】
(実施の形態2)
次に、本発明の第2〜第8の目的を達成する実施の形態2にかかる医療用レーザ装置及び電池残量検出方法について、図3を参照しながら説明する。
【0049】
図3は、本発明の実施の形態2にかかる医療用レーザ装置の概略構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態2において、実施の形態1にかかる医療用レーザ装置と同一の機能を有するブロックには同一番号を付与し、説明を省略する。
【0050】
図3において図番9は電池残量表示部であり、電池残量監視部7で検出された二次電池1の電池残量レベルを3段階のLEDで表示する。この電池残量表示部9に設けられた3つのLEDが全て点灯している時は二次電池1の容量はまだ十分余っているのに対し、1つのLEDのみが点灯する状態では充電を要するレベルまで消耗してきたことを示す。例えば警報音発生部8ではこのLEDが3つ点灯から2つ点灯に変わるときに「ピッ」、2つ点灯から1つ点灯に変わるとき「ピピッ」、さらに放電が進み、この1つのLEDが点滅に変わるとときには「ピー・ピー」という警報ブザー音が鳴動するような構成で、電池残量レベルを音パターンでも区別して報知する。この「ピー・ピー」という警報ブザー音はLEDの点滅周期と同期しており、使用者が電池残量表示部9を見ることでより確実に電池消耗を報知できる。
【0051】
一般的にレーザ出力、動作モードが一定であれば消費電流は変動しないため、あと何時間充電せずに治療に供することができるか等、使用者に対しきめの細かい電池電圧低下の状況を報知できる。電池残量低下の状況は、警報音パターンでなく、音量や音色を変化させ、低下するほど深刻さを強調し、充電を促すようにしてもよい。
【0052】
電池残量が最低レベルの表示状態になり、警報発生部による警報音発生後も例えば20分以上はそのままレーザ出力可能とし、電源コンセントにつなぎ商用電源に接続することで二次電池への充電が開始あるいは電池残量が所定値を上回った場合、警報音発生を停止するものである。
【0053】
また図番10は商用電源入力部、11は充電制御部であり、12は二次電池1が充電中の時に点灯、放電中の時に消灯する充放電状態表示部である。商用電源入力部10は交流100Vの商用電源を直流に変換し、装置内部各ブロックへ給電するとともに充電制御を司る充電制御部11を介して、二次電池1への充電電流を調整する。
【0054】
充電制御部11は商用電源入力部10から交流100Vの電源が投入されていれば、二次電池1への充電動作を行うとともに、二次電池1から装置内への放電を抑止する。すなわち交流100Vが接続されていれば商用電源からの給電、交流100Vが接続されていなければ二次電池1からの給電という切換を行う。
【0055】
この充電制御部11は二次電池1における充電状態を監視しながら充電電流を調整するとともに、現在この二次電池1が充電中(交流100V接続中)なのか放電中(交流100V非接続中)なのか、使用者にわかるよう充放電状態表示部12に表示する構成である。二次電池1にとっては充電状態と放電状態が明確に分離できるので、電池寿命を長く保つことが出来る。
【0056】
図2では二次電池1放電による電源供給路と商用電源による電源供給路が分離独立して設けられており、いずれか一方に切り換えられまた電流の逆流が生じさせないことを明示するため、スイッチとダイオードを付記している。
【0057】
もし二次電池1が接続されていなければ、電池残量表示部9には電池残量が空であることが示されるが、従来の医療用レーザ装置同様、商用電源入力専用機器として動作することが出来る。
【0058】
上記構成によれば、商用電源と二次電源が併用されているため、必要に応じて両者を使い分けることが出来る。診療時間中、頻繁に本装置を移動させたい場合は、診療時間外や治療の合間に電源コンセントから商用電源入力部に接続しておくだけで装置に搭載された二次電池への充電が達成されるので使い勝手に優れた構成となる。
【0059】
もし治療途中で電池が消耗してしまった場合にも、使えなくなる前に警報音が発せられあるいは電池残量表示されるので、その時点で電源コンセントから商用電源入力部に接続しさえすれば、従来の医療用レーザ装置と全く同じように給電され動作継続できる。
【0060】
商用電源からの電力で本装置を駆動している際は、同時に二次電池1への充電も並行して行われるため、使用者は「充電」という作業をほとんど意識することなく二次電池1への充電が実行される。二次電池1をいちいち本体装置から取り外して充電するのではなく、電源コンセントにつなぐだけなので使用者にとって使い勝手がよい。充電状態回復を待って商用電源から切り離しても何ら差し支えない。
【0061】
また電池残量表示部9は、電池残量監視部で検出される電池残量レベルを表示するため、レーザ治療の前に電池消耗度合いを使用者が把握しておくことが出来る。電池残量表示部9の表示によって、二次電池駆動で扱うことのできるレーザ治療時間を使用者に把握していただくことが可能となる。警報音発生部8から電池消耗を示す警報音が鳴動した時、電池残量が低下したためであることを使用者に確認させることにもなる。
【0062】
また商用電源入力部または二次電池の接続状態によって前記二次電池の充放電動作を示す充放電状態表示部を設けたため、レーザ治療の前後に現在本装置が電池駆動で放電しているのか充電されているのかを使用者に知らせ、適切な処置を促すことが出来る。もし電池残量低下に伴う警報音が鳴動した時、商用電源未接続であれば、電源コンセントにつなぐだけで事態は解消される。
【0063】
また、電池残量低下に伴う警報音をレーザ照射中のレーザ照射警告音とは異なるパターンでかつ電池残量レベルごとに警報発生させることにより、レーザ治療の最中にあっても、表示部分に目が届きにくい使用者に対し、その音によって電池残量の低下レベルを使用者に明確に認識させることが出来る。電池残量レベルが最低になってもまだ所定時間は継続的に使用できるため、治療が突然続行出来なくなることはなく、余裕を持って使用者に適切な処置を促すことが出来る。
【0064】
ニッケル水素のような二次電池の場合、満充電に近い状態で浅い充放電を繰り返すのも、過放電を起こしてしまうのも、電池寿命を短くする要因となる。日常の診療では電池使用を基本としつつ警報音が発せられたり、ある程度以下の残量表示となったりした当日の夜間に充電を行っておくのが好適となる。この実施の形態2では警報音発生後も20分以上継続使用できるので、使用者はあわてることなく診療の合い間に充電を行えばよい。またこの警報音を契機に充電する使用法は電池超寿命化にも寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように本発明にかかる医療用レーザ装置は、使用者が患者患部を注視しているレーザ治療の最中にあっても、二次電池1の残量低下時に警報音を発する警報発生部8を備えることによって、突然の治療中断を回避できるものとして、産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる医療用レーザ装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1にかかる医療用レーザ装置の概略構成を示す斜視図
【図3】第本発明の実施の形態2にかかる医療用レーザ装置の概略構成を示すブロック図
【図4】従来の医療用レーザ装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0067】
1 二次電池
2 レーザ制御部
3 レーザ発振器
6 レーザ導光部
7 レーザ残量監視部
8 警報音発生部
9 電池残量表示部
10 商用電源入力部
12 充放電状態表示部
31 本体ボディ
32 操作パネル
33 台座部
34 キャスター
35 フットペダル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に搭載した二次電池と、前記二次電池の残量を監視する電池残量監視部と、少なくとも前記二次電池から供給される電源によりレーザ発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から照射されるレーザ光を患者患部へ導くレーザ導光部と、前記レーザ発振器から送出されるレーザ光出力を制御するレーザ制御部とを備え、前記電池残量監視部で監視する電池残量が所定値を下回った場合警報音を発する警報発生部をさらに備えた医療用レーザ装置。
【請求項2】
商用電源入力部を備え、二次電池は前記商用電源部に接続された商用電源からの電力供給がある場合は前記二次電池に充電することを特徴とする請求項1記載の医療用レーザ装置。
【請求項3】
商用電源入力部を備え、前記商用電源接続部に接続された商用電源からの電力供給がある場合は本装置内部への電力供給を前記商用電源接続部から行うことを特徴とする請求項1または2記載の医療用レーザ装置。
【請求項4】
電池残量監視部で検出される電池残量レベルを表示する電池残量表示部を設けた請求項1〜3記載の医療用レーザ装置。
【請求項5】
商用電源入力部または二次電池の接続状態によって、前記二次電池の充放電動作を示す充放電状態表示部を設けた請求項1〜4記載の医療用レーザ装置。
【請求項6】
警報発生部は、レーザ照射中のレーザ照射警告音とは異なる警報音パターンで警報発生する請求項1〜5記載の医療用レーザ装置。
【請求項7】
警報発生部は、電池残量監視部による電池残量レベルにより複数種類の警報音パターンで警報発生する請求項1〜6記載の医療用レーザ装置。
【請求項8】
警報発生部による警報発生後も所定時間はレーザ出力可能とし、二次電池への充電への充電が開始あるいは電池残量が所定値を上回った場合、警報音発生を停止する請求項1〜7記載の医療用レーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−89751(P2007−89751A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281772(P2005−281772)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】