説明

医療用具用非分解性ヒドロゲル

医療用具の少なくとも一部を被覆又は形成するために用いる非分解性ヒドロゲルを開示する。前記ヒドロゲルは、機能化したPEG系マクロマーから形成できる。これらのヒドロゲルは、容易に殺菌、運搬、貯蔵できる。本発明で説明するこれらのヒドロゲル形成方法も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非分解性のヒドロゲル、医療用具におけるそれらの使用並びに当該ヒドロゲルを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子材料は、それらのマクロ網目構造内にしばしばマトリックスを含む。高分子マトリクスの一つのタイプはヒドロゲルであり、これは水分含有高分子網目構造として定義される。ヒドロゲルは医療環境において、たとえば、生物活性剤投与、外科手術後の付着の予防、組織修復、その他のために有益に使われてきた。
【0003】
ヒドロゲルはしばしば生体分解性であり、該重合体が生体に移植された場合に破壊され、前記ヒドロゲルの物理的特性によってその破壊率が制御され、生体分解性ヒドロゲルがそれらの虚弱な特性の結果として殺菌・保存が困難であることを意味する。非分解性ヒドロゲルは、しかし、殺菌過程への耐性が増えたので、莫大に増加した期間、劣化せずに貯蔵できる。
【0004】
非分解性ヒドロゲルは医療用具上に被覆されるか、または医療用具の部分を形成できる。医療用具がヒドロゲルから形成され、その用具が、たとえば、永久的であるべき場合には、非分解性ヒドロゲルが必須である。医療用具の特定部位を被覆することもまた重要であり得る。というのも、このような場合、前記ヒドロゲルの特性が医療用具上の特定位置で生かされるためである。
【0005】
ヒドロゲルを生産するのに様々な方法があるものの、これらの網目構造が成育可能な組織中または近傍に創成し、及び/又は生物活性剤を含み、及び/または成育可能な組織に創成することを意図する場合は、ヒドロゲルを生産するために可能な方法の数は制限される。例えば、ヒドロゲルを生産する一つの方法には、疎水性重合体の溶剤キャスティングが含まれる。しかし、溶剤キャスティングは、概して生物活性剤の活動に有害であり得る有機溶媒及び/又は高温の使用を含み、生産方法を複雑にし得る。溶液から重合体を溶剤キャスティングした結果として、非架橋マトリックスを形成することにもなる。非架橋マトリックスの構造は架橋マトリックスの構造より少なく、その結果、このようなマトリックスからの生物活性剤の放出を制御することはより困難であり得る。
【0006】
米国特許第5,410,016号(Hubbell他)および米国特許第5,529,914号(Hubbell他)は、生体分解性で生体安定性の重合可能なマクロマーからのヒドロゲルの調製に関する。前記ヒドロゲルは、可溶な低分子量開始剤を使用して、これらの重合可能なマクロマーから調製される。米国特許番号第5,232,984号(Hubbell他)、第5,380,536号(Hubbell他)、第5,573,934号(Hubbell他)、第5,612,050号(Rowe他)、第5,837,747号(Soon−Shiong他)、第5,846,530号(Soon−Shiong他)及び第5,858,746号(Hubbell他)も、様々なヒドロゲル形成方法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この種の方法により形成されるヒドロゲルは、生体組織への付着に限界があった。従って、生体組織接着性ヒドロゲルを形成する付加的な方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、医療用具の少なくとも一部上に被覆され得るポリエチレングリコール(PEG)系ヒドロゲルを開示する。本明細書に記載したポリエチレングリコール(PEG)系ヒドロゲルは、医療用具の少なくとも一部の形成にも適している。前記ヒドロゲルは接着性を持つように設計可能であり、移植可能な医療用具の領域で有用となる。
【0009】
一実施形態において、下記一般式1のマクロマー:
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、W、W’ はそれぞれ独立にO又はCH2であり、nは約1〜約500である。)
下記一般式2のマクロマー:
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、W、W’ 及びW’’はそれぞれ独立にO又はCH2であり、x、y及びzは約1〜約500である。)又はこれらの組み合わせから形成され、少なくとも二つのマクロマーが架橋してヒドロゲルを形成する高分子材料が記載されている。他の実施形態では、前記ヒドロゲルは非分解性である。一実施形態において、ヒドロゲルの式1対式2の比はあらゆる値をとり得る。一実施形態において、n、x、y又はzの少なくとも一つは、以下の通りである:
nは、1〜250である;
xは、1〜250である;
yは、1〜250である;及び、
zは、1〜250である。
【0014】
一実施形態において、前記ヒドロゲルは抗増殖剤、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシゾーム増殖因子−活性受容体ガンマ配位子(PPARγ)、ヒポテマイシン、酸化窒素、ビスホスホネート、上皮成長因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症剤、アンチセンスヌクレオチド及びトランスフォーミング核酸からなる群から選択される少なくとも一つの生物活性剤を更に含む。一実施形態において、前記ヒドロゲルはシロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカン)、テムシロリムス(CCI−779)およびゾタロリムス(ABT−578)からなる群から選択される少なくとも一つの生物活性剤を更に含む。
【0015】
一実施形態において、高分子材料を含む移植可能な医療用具が記載されており、前記高分子材料は下記一般式1のマクロマーと:
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、nは、約1〜約500である)
下記一般式2のマクロマーと:
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、x、y及びzはそれぞれ独立に約1〜約500である。)
これらから形成され、又はこれらの組み合わせであり、少なくとも二つのマクロマーが架橋してヒドロゲルを形成する。一実施例形態では、前記ヒドロゲルは非分解性である。一実施形態において、前記ヒドロゲルの式1対式2の比はあらゆる値をとり得る。他の実施形態において、n、x、y又はzの少なくとも一つは、以下の通りである:
nは、1〜250である;
xは、1〜250である;
yは、1〜250である;そして、
zは、1〜250である。
【0020】
一実施形態において、前記高分子材料は抗増殖剤、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質-チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシゾーム増殖因子-活性受容体ガンマ配位子(PPARγ)、ヒポテマイシン、酸化窒素、ビスホスホネート、上皮成長因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症剤、アンチセンスヌクレオチドおよびトランスフォーミング核酸からなる群から選択される少なくとも一つの生物活性剤を更に含む。他の実施形態において、前記ヒドロゲルはシロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカン)、テムシロリムス(CCI−779)およびゾタロリムス(ABT−578)からなる群から選択される少なくとも一つの生物活性剤を更に含む。
【0021】
一実施形態において、前記ヒドロゲルは前記移植可能な医療用具上に被覆される。一実施形態において、該移植可能な医療用具は血管ステント、シャント、血管移植片、ステント移植片、心臓弁、カテーテル、ペースメーカ、ペースメーカ リード、胆管ステントおよび細動除去器からなる群から選択される。一実施形態において、下記の工程を含むヒドロゲル形成方法が記載されている:
a)下記式1、式2又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのマクロマーを選択する工程:
【0022】
【化5】

【0023】
(式中、nは、約1〜約500である。)
【0024】
【化6】

【0025】
(式中、x、y及びzはそれぞれ独立に約1〜約500である。)
b)前記マクロマーの適切な濃度を選択する;
c)適切な開始剤を選ぶ;
及び、
d)前記マクロマーと前記開始剤とを反応させてヒドロゲルを形成する。一実施形態において、前記方法は下記段階を更に含む:
e)前記ヒドロゲルで医療用具の少なくとも一部を被覆し、医療用具の少なく一部を形成し、又はこれらを前記ヒドロゲルと組み合わせる。
【0026】
一実施形態において、前記開始剤は、光、エオシンY、トリエタノールアミン、遊離基又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態において、前記医療用具は、血管ステント、シャント、血管移植片、ステント移植片、心臓弁、カテーテル、ペースメーカ、ペースメーカ リード、胆管ステントおよび細動除去器からなる群から選択される。
用語の定義
【0027】
生物活性剤:本明細書で使用する「生物活性剤」は、動物内で治療的効能を有するあらゆる薬物、製剤化合物又は分子をも含むものとする。典型的な非限定例には、FKBP 12結合化合物を含むマクロライド系抗生物質、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシゾーム増殖因子−活性受容体ガンマ配位子(PPARγ)、ヒポテマイシン、酸化窒素、ビスホスホネート、上皮成長因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症剤、アンチセンスヌクレオチド及びトランスフォーミング核酸を含む抗増殖剤が含まれるが、これらに限定されない。生物活性剤には、また、細胞静止化合物、化学治療剤、鎮痛薬、スタチン、核酸、ポリペプチド、成長因子、および組換え体微生物及びリポソームを含むが、これらに限定されない導入ベクターが含まれる。
【0028】
典型的なFKBP 12結合化合物には、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカン又はRAD−001)、テムシロリムス(CCI−779又は3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸を有する非晶形ラパマイシン42−エステル)及びゾタロリムス(ABT−578)が含まれる。また、そして他のラパマイシンヒドロキシエステルが、本発明のターポリマーと組み合わせて使用され得る。
【0029】
生物的適合性材料:本明細書で使用する「生物的適合性材料」は、動物の組織との緻密な接触に置かれるときに、動物に外傷又は死を誘起せず、もしくは動物の副作用を誘発しないあらゆる材料を意味するものとする。副作用は、炎症、感染、繊維的組織形成、細胞死または血栓を含む。
【0030】
生体分解性材料:本明細書で使用する「生体分解性材料」は生物学的適合性があり、生化学経路の作用による生体内破壊を受ける高分子組成物を指す。在来、生体吸収性材料と生体分解性材料とは互換可能として使われていたが、これらは常に互換可能ではない。生体分解性高分子は、周囲組織に再吸収されようがされまいが、全ての生体吸収性高分子材料は生体分解性であると考えられる。生体化学分解性高分子は、化学触媒加水分解又は酵素触媒加水分解を通じて生物的互換性副産物に切断される。
【0031】
架橋剤:本明細書で使用する「架橋剤」は重合するときに、一つの高分子鎖を他の高分子鎖に共有結合させるモノマーを指す。
【0032】
ヒドロゲル:本明細書で使用する「ヒドロゲル」は水を含有する高分子網目構造を指す。
【0033】
開始剤:本明細書で使用する「開始剤」は、アミノアルコール(ただし、これに限定されない)のような、重合反応を開始する分子を指す。
【0034】
マクロマー:本明細書で使用する「マクロマー」は巨大分子を指し、特に、更に重合されるか架橋される重合体を指す。
【0035】
非生体分解性材料:本明細書で使用する「非生体分解性材料」は、生物学的適合性があり、生化学経路の作用による生体内破壊を受けない高分子組成物を指す。
【0036】
感光性分子:本明細書で使用する「感光性分子」は、光(光量子)に曝されるときに、より反応的になる分子を指す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
医療用具の少なくとも一部に被覆され得るポリエチレングリコール(PEG)系ヒドロゲルを本明細書で開示する。本明細書で記載したポリエチレングリコール(PEG)系ヒドロゲルは、医療用具の少なくとも一部の形成にも適している。前記ヒドロゲルは接着性を持つように設計可能であり、移植可能な医療用具の領域で有用となる。
【0038】
本願明細書に記載されているヒドロゲルは、非分解性であり得る。前記ヒドロゲルの非分解性は、貯蔵、運搬、殺菌が容易であるという点で理想的である。前記ヒドロゲルは、機能化PEG系マクロマーから形成される。該官能基は、アクリレート基又は他の二重結合反応基であり得る。該ヒドロゲル形成に適したマクロマーは、線状もしくは分岐状であり得る。線状及び分岐状マクロマーの組み合わせも、必要な物理的特性によって可能である。
【0039】
線状マクロマーは、式1の一般構造を有し得る:
【0040】
【化7】

【0041】
(式中、W、W’はそれぞれ独立にO又はCH2であり、nは約1〜約500である。他の実施形態では、nは約1〜約250であり;もしくは約1〜約125であり、もしくは約1〜約75である。)
【0042】
分岐状マクロマーは、式2の一般構造を有し得る:
【0043】
【化8】

【0044】
(式中、W、W’ 及びW’’はそれぞれ独立にO又はCH2であり、xは約1〜約500であり、または他の実施形態では、xは約1〜約250であり、もしくは約1〜約125であり、もしくは約1〜約75である。yは約1〜約500であり、他の実施形態ではyは約1〜約250であり、もしくは約1〜約125であり、もしくは約1〜約75である。zは約1〜約250であり、もしくは約1〜約125であり、もしくは約1〜約75である。x、y、zのいずれも他とは独立に変化し得る。)
【0045】
一実施形態において、本明細書に記載した通り、線状及び分岐状PEG系マクロマーはヒドロゲル形成に利用できる。該ヒドロゲルの物理的特性は、該ヒドロゲルに存在する線状マクロマーと分岐状マクロマーとの比率を調節して変えることができる。一実施形態において、60:40(線状対分岐状)の比率が使われ、他の実施形態では、該比率は50:50又は25:75又は75:25又は5:95又は95:5であり得る。
【0046】
本明細書で記載した重合体を調整又は修正する為に、ガラス転移温度(Tg)、結合性、分子量および温度特性を含む様々な特性がこれらに限らず考慮される。
【0047】
本明細書に記載されている主題も、重合体のガラス転移温度(Tg)の微調整又は修正を考慮したものである。重合体からの薬物溶出は、密度、溶出する薬物、重合体の分子組成およびTgに依存する。より高いTg、例えば40℃を超える温度では、より脆い重合体をもたらす一方、より低いTg、例えば40℃未満では、高温でよりしなやかで弾性のある重合体をもたらす。高Tgの重合体からの薬物溶出が遅い一方、低Tgを所有する重合体では高速度薬物溶出が観察される。一実施形態において、重合体のTgは37℃未満であることが選択される。
【0048】
一実施形態において、これらの重合体は医療用具の形成と被覆に利用できる。比較的高いTgを有する被覆用重合体は、不適切な薬物溶出ならびに不必要な脆弱性を伴う医療用具をもたらし得る。重合体被覆血管ステントの場合、被覆用重合体の比較的低いTgは、血管ステントの展開を達成する。例えば、低いTgの重合体被覆は「粘着性」で、展開の間に血管のステントを広げるために用いるバルーンに付着し、ステントの展開に問題を起こす。しかしながら、低いTgを有する重合体が、高いTgを有する重合体よりも与えられた温度で弾性的である、ならびに周囲の組織に良く付着できるという点で、低Tgの重合体は有益な特徴を有する。重合体被覆血管ステントの拡張と収縮は、被覆に機械的な応力を加える。被覆が脆すぎると、すなわち被覆が比較的高いTgを有すると、被覆に亀裂が生じ、おそらく被覆が作動不能となり得る。該被覆が弾性的であれば、すなわち被覆が比較的低いTgを有すると、被覆の経験する応力が被覆の構造的保全を機械的に変える蓋然性は無い。従って、これらの重合体のTgは、モノマー組成と合成条件との組み合わせによって、適切な被覆適用のために微調整できる。これらの重合体は、調節可能な物理的特性を持たせるために技術的に設計され、実務者が必要な機能のための適切な重合体を選択することを可能にする。
【0049】
本明細書で記載したヒドロゲルのための重合プロセスは、その場で又は溶液内で実行できる。前記重合プロセスは光重合、自然重合、ラジカルが熱によって生成される温度開始ラジカル重合、及び電子が転送されてラジカルを形成するレドックス系重合を含み、これらに限らず公知技術のいかなる手段によっても実行可能である。
【0050】
一実施形態において、当該ヒドロゲルは、少なくとも一つの開始剤、少なくとも一つの感光性分子及び任意に少なくとも一つの架橋剤を適切な波長の光に曝して感光性分子を励起する重合プロセスを光学的に開始し、次いでマクロマーを反応性開始剤と任意に反応性架橋剤に曝して改善された接着性を有するヒドロゲルを形成することを含む方法によって溶液内で形成できる。
【0051】
該現場法は、少なくとも一つの感光性分子、少なくとも一つの開始剤および任意に少なくとも一つの架橋剤を含む第1混合物の組織表面への塗布を含むことができる。組織上に配置された第1混合物を有する組織は適切な波長の光に曝され、感光性分子を励起して活性表面の形成をもたらす。本明細書で記載した少なくとも一つの開始剤、少なくとも一つの架橋剤及び少なくとも一つの重合可能なマクロマーを含む第2混合物は、次に同一の組織表面又は第2組織表面に塗布される。第2組織表面は、ある実施形態において医療用具または医療用具被覆であり得る。接着すべき組織または表面は、次に互いに接触する。第1混合物の活性化の間に形成される遊離基は、第2混合物内の開始剤及び架橋剤と相互に作用し、次に、マクロマーの重合及び架橋を誘起して前記二表面を互いに接着させる粘着性のヒドロゲルを形成する。
【0052】
更に、前記感光性分子は、第1混合物内の開始剤分子及び必要に応じて架橋剤とともに被処理組織上に均一に展延できる。前記組織は、次いで適切な波長の光に露光される。該ヒドロゲルのマクロマー成分は、次いでメチルジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンの如き非限定の開始剤分子や2−ビニルピロリジノンの如き非限定の架橋剤と一緒に組織上に展延される。光による活性化と同時に、感光性分子は、遊離基を形成して、陽子を前記開始剤分子から抽出し、陽子は次に前記架橋剤を襲い、前記マクロマーを架橋する。このように形成されるヒドロゲルは、二つの組織表面間の接着、もしくは組織表面と医療用具又は組織インプラントとの間の接着を提供する。
【0053】
本願明細書において記載されたヒドロゲルの形成に適した感光性分子は、感光性色素、キノン、ヒドロキノン、ポリアルケン、多芳香族化合物、ケトン、不飽和ケトン、過酸化物、ハロゲン化物、エオシンY、エオシンB、フルオロン、エリスロシン、フルオレセイン、インディアンイエロー、これらの誘導体及び/又はこれらの組み合わせを含むが、これら限定されるものではない。一実施形態において、前記感光性分子は、エオシンYである。他の実施形態において、前記感光性分子は、エオシンBである。
【0054】
【化9】

【0055】
他の実施形態において、前記感光性分子は、フルオロンである。
【0056】
【化10】

【0057】
他の実施形態において、前記感光性分子は、エリスロシンである。
【0058】
【化11】

【0059】
他の実施形態において、前記感光性分子は、フルオレセインである。
【0060】
【化12】

【0061】
他の実施形態において、前記感光性分子は、インディアンイエローである。
【0062】
【化13】

【0063】
本願明細書において開示する感光性分子のそれぞれは、適切な励起波長の光に露光して前記分子を活性化することを必要とする。各感光性分子は、異なった、若しくは類似の励起波長を持ち得る。例えば、エオシンBは、511〜520ナノメートルの波長を有する光によって活性化されるが、この値に限定されるものではない。更なる例において、エオシンYはほぼ490ナノメートルの波長を有する光によって活性化されるが、この値にも限定されるものではない。感光性分子の励起波長は、当業者にとって周知である。典型的な感光性分子及び励起波長は、Hubbell 他に付与された米国特許第6,602,975号に記載されており、感光性分子に関して全てを含む参考文献として引用する。
【0064】
これらのヒドロゲルの形成に適した開始剤分子は、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン(TEOA)、チオール、炭素原子数1〜12のアルキル、炭素原子数3〜12のアルケニル、炭素原子数3〜12のアルキニル、炭素原子数6〜14のアリール、炭素原子数4〜12の多環アルキル、炭素原子数4〜12の多環アルケニル、炭素原子数4〜12の多環アリール、これらの誘導体及び/又はこれらの組み合わせの如きアミノアルコールを含むが、これらに限定されるものではない。
【0065】
これらのヒドロゲルの形成に適した架橋剤は、アセテート、他の二重結合基又は他の反応基を有する分子を含むが、これらに限定されるものではない。典型的な架橋性分子は、N‐ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール誘導体、ポリビニルピロリジノン、ポリビニルピロリジノン誘導体、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、アクリレート、これらの誘導体及び/又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0066】
他の実施形態では、これらのヒドロゲルは更に少なくとも一つの生物活性剤を含むことができる。これらのヒドロゲル内への組み込みに適した生物活性剤は、FKBP−12結合化合物、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシン B、ペルオキシゾーム増殖因子−活性受容体ガンマ配位子(PPARγ)、ヒポテマイシン、酸化窒素、ビスホスホネート、上皮成長因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症剤、アンチセンスヌクレオチド及びトランスフォーミング核酸を含むマクロライド系抗生物質を含みこれらに限定されない抗増殖剤を含むが、これに限定されるものではない。薬物はまた、抗増殖剤化合物、細胞静止化合物、毒性化合物、抗炎症化合物、化学治療剤、鎮痛薬、抗生物質、プロテアーゼ阻害剤、スタチン、核酸、ポリペプチド、成長因子および組換え体微生物、リポソームを含む導入ベクター、その他を含む生物活性剤を含み得る。
【0067】
更に、典型的なFKBP−12結合化合物には、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカン又はRAD−001)、テムシロリムス(CCI−779又は米国特許出願番号10/930,487に開示した3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸を有する非晶形ラパマイシン42−エステル)及びゾタロリムス(ABT−578、米国特許番号第6,015,815号及び 第6,329,386号参照)が含まれる。その上、米国特許番号第5,362,718号にて開示した他のラパマイシンヒドロキシエステルは、本願明細書において記載された重合体と組み合わせて使用できる。
【0068】
さらに、前記粘着性ヒドロゲルはそこ又はその上に配置した細胞若しくは組織を持つことも出来る。本明細書に記載されている重合体に適切な組織及び/又は細胞は当業者に周知で、当該ヒドロゲルの適用に依存している。
【0069】
本明細書に記載されているヒドロゲルは、医療用具を被覆するためにも技術設計されるか又は実際に医療用具としても形成される。より具体的には、前記ヒドロゲルは移植可能な医療用具を被覆するか又は形成する為に使用出来る。前記ヒドロゲルは、当業者に知られているどの適切な手段によっても医療用具に塗布出来る。この種の方法は噴霧、浸漬、射出、ブラッシング又は以前に記載された方法のいずれかを含むが、これらに限定されるものではない。
【0070】
典型的な医療用具は、関節インプラント(例えば、股関節部または膝再構成用)、人工歯根、軟組織整形用人工器官(例えば豊胸手術)、創傷被覆材、人工血管(例えば血管移植片およびステント)および眼の人工器官(例えば角膜内レンズ)を含むがこれらに限定されない十分な多孔性表面を提供するか又はその上に提供される多孔性表面を有することができるような、組織統合を所望するものを含む。前記ヒドロゲルは、どの好適な態様(例えば、医療用具の表層内又は表層上への塗布及び/又は空隙充填)でも使用出来る。
【0071】
本明細書に記載されたヒドロゲルは、また、生体組織接着剤、外科接着防止用バリヤ、移植可能な創傷被覆材、細胞増殖のための基礎材、組織シーラント、創傷保護薬剤、徐放性接着剤および術後の癒着を防ぐ際の障壁材の如き生医学的利用にも有用であるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
加えて、前記ヒドロゲルは当業者に知られているどの適切な態様によっても生物組織部位に塗布出来る。適切な例は、架橋前の基材表面上への第1混合物及び/又は第2混合物の噴霧、浸漬、射出又はブラッシングを含むが、これらに限定されるものではない。
【0073】
いくつかの実施形態において、前記ヒドロゲルは、例えば、二つの組織表面間の接着、もしくは組織表面と医療用具表面との間の接着の提供に使用出来る。前記粘着性ヒドロゲルが組織表面と医療用具表面間の接着を提供する時に、該医療用具はヒドロゲル形成混合物の少なくとも一つの成分で被覆した治療部位で提供出来る。ヒドロゲル形成混合物は、治療部位での医療用具の体内移植の前、間、若しくは後に治療部位及び/又は医療用具に塗布出来る。加えて、前記ヒドロゲルは本願明細書に記載された光重合技術を使用してその場で形成出来る。
【0074】
一実施形態において、前記ヒドロゲルは組織インプラント及び/又は医療用具(それ自体組織系若しくは非組織系)と隣接組織間の空間を満たすために使用出来るが、この方法は時々舗装と称する。非限定的に例示する組織インプラントは、移植インプラント(例えば、自己移植片、同種異系移植片または異種移植片)として得られたもの、及び生物組織工学によって得られたものを含む。この種の組織インプラントは概して隣接した生来の組織になじまず、望ましくない液体及び細胞が蓄積して有害な組織反応を生ずる空間を残す。例えば、培養軟骨が軟骨欠陥に植設されるときに、滑液および大食細胞は満たされていない空間に入って線維組織形成に至ることができ、植設軟骨と生来の軟骨との統合を妨げる。組織欠陥に植設され、グラウトとして塗布される現在のマクロマーシステムから恩恵を得る他の培養組織は、肌、骨、靱帯、血管系および心臓弁を含むが、これらに限定されるものではない。
【0075】
本明細書に記載したヒドロゲルとマクロマーは非分解性である。非分解性のヒドロゲル及びマクロマーは、貯蔵、運搬、及び殺菌するのが容易であるという利点がある。本明細書に記載したヒドロゲル及びマクロマーは、窒素保護などの若干の保護又は前記ヒドロゲルへの阻害剤の付加を伴って室温で貯蔵出来る。ガンマ照射などであり得るがこれに限定されない慣例的な殺菌方法が、本明細書に記載したヒドロゲルと組み入れられる。
【実施例】
【0076】
実施例1
PEGマクロマーの合成
【0077】
2保護の下でPEG3400(60g)をガラクトースジクロロメタンに溶解した。トリエチレンアミン(9.1ml)を前記溶液にゆっくり添加した。前記溶液を撹拌しつつアクリル塩化物(5.5ml)を滴下した。この反応は三日間続けられ、該重合体は沈殿してエチルエーテルとなった。
実施例2
ステント移植片上の部分的被覆
【0078】
一実施形態において、本発明のヒドロゲルは血管のステント移植片上に被覆し得る。前記ヒドロゲルは、前記ステントの予め定められた部分に塗布できる。更に、前記ヒドロゲルには、前記移植片上の組織成長を強化するために成長ホルモンを装荷できる。例えば、前記ヒドロゲルは、移植片の固着を強化するために腹部大動脈瘤ステント移植片の患部周りに被覆出来る。患者の腹部大動脈への体内移植と同時に、ヒドロゲルの接着特性によって移植片のより良い固着が得られる。
実施例3
血管への舗装
【0079】
一実施形態において、前記ヒドロゲルはカテーテルの外側及び大腿動脈(SFA)の内側の周りを舗装し、それにより血管内部で可撓性ステントを形成する。前記ヒドロゲルには、インプラントの受け入れを補助するゾタロリムスのような抗増殖剤薬物を装荷できる。機能化されたマクロマーからの該ヒドロゲルの形成は、該ヒドロゲルの架橋を始めるために光の適切な波長を使用した同所発生部位形成の方法によることがあり得る。
実施例4
架橋した線状ヒドロゲルの形成
【0080】
【化14】

【0081】
本実施例では、200グラムのポリエチレングリコールジアクリレートを、5グラムのエオシンY及び5グラムのトリエタノールアミン(TEOA)と混ぜ合わせた。この溶液を約490ナノメートルの光に曝し、エオシンYを励起した。ラジカル化したエオシンYは、それによってヒドロゲルの重合を駆動した。
【0082】
別段の示唆が無ければ、本願明細書と請求項に使用した原材料の量、分子量の如き特性、反応条件、その他の量を表す全数字は、全ての場合において「約」と云う用語によって修正されるものとして理解されるべきである。従って、文脈によって明白に矛盾が無ければ、本願明細書及び添付の請求項に記載された数値的パラメータは近似であり、本発明によって得られるべき所望の特性によって変動し得る。少なくとも、そして、請求項の権利範囲に均等論の適用を制限する試みとはせずに、各数値的パラメータは、報告された有効数字の数を考慮し、且つ、通常の四捨五入の技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。本発明の広い範囲を記載している数値範囲およびパラメータが近似であるにもかかわらず、具体例に記載される数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、本質的にそれらのそれぞれの検査測定で見つけられる標準偏差から必然的に生じる一定の誤りを含む。
【0083】
本発明(特に下記請求項の文脈の)を記載する文脈において使用する冠詞「a」「an」「the」及び同様な文字は、本明細書で別段に示唆されておらず、又は文脈によって明白に矛盾が無ければ単数と複数の両方を包含するものと解釈されることになっている。本明細書での値の範囲の列挙は、請求範囲内の各分離した値を個々に言及する短縮形手段として役立つことを単に目的とするだけである。本明細書で別段の示唆が無ければ、各個々の値はあたかも個々に列挙されたように本願明細書に取入られたものとされる。本願明細書において記載されている全ての方法は、本明細書で別段に示唆されておらず、又は文脈によって明白に矛盾が無ければ、いかなる適切な順序でも実行できる。本明細書に提供される何れか及び全ての実施例の利用、もしくは例称語(例えば、「のような」)は、単により良く本発明を照らすことを意図したものであり、別に請求される本発明の範囲に限定を課すものではない。本願明細書の言語は、本発明の実践に必須のいかなる非請求要素も示すものとして解釈されるべきものではない。
【0084】
代替要素のグルーピング又は本明細書で開示された本発明の実施形態は、限定として解釈されるべきではない。各グループメンバーは言及され、個々に、又は他のグループメンバーまたはここで見つかった他の要素との組み合わせでも特許請求され得る。グループの一以上のメンバーが便宜及び/又は特許性の理由でグループに含まれるか又は削除されることが予測される。このような包含または削除が起こると、明細書は、付記された請求項で使用する全てのマーカッシュグループの記載事項をこのように満たすよう修正したグループを含むとみなされる。
【0085】
本発明の実行のため発明者に知られた最良の形態を含む本発明の特定の実施形態が、本明細書に記載されている。もちろん、記載された実施形態上の変更は、前述の記載を読めば当業者にとって明らかになる。発明者は、熟練職人がこの種の変更を採用することが適切であると予測し、また本発明者は本発明を本明細書に具体的に記載したものとは別の形で実践する意図をもっている。したがって、準拠法によって認められているように、本発明は本願明細書に添付した請求項において列挙された主題の全ての修正並びに均等物を含む。さらに、その全ての可能な変更における上記の要素のいかなる組み合わせも、本明細書で別段に示唆されておらず、又は文脈によって明白に矛盾が無ければ本発明の保護の範囲内である。
【0086】
さらに、多数の参考文献を、この明細書の全体にわたり特許及び印刷した刊行物として扱った。上記の引例および印刷した刊行物のそれぞれは、参照により個々にそれらの全部が本願明細書に引用されたものとする。
【0087】
最後に、本願明細書において開示された本発明の実施形態が本発明の原理を説明したものであると理解されたい。利用可能な他の改善も、本発明の範囲内である。したがって、例えば限定されること無く、本発明の代替的形態は、本願明細書の教示に従って利用され得る。従って、本発明は厳密に提示し、記載された事項に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式1のマクロマー:
【化1】

(式中、W、W' はそれぞれ独立にO又はCH2であり、nは約1〜約500である。)
下記一般式2のマクロマー:
【化2】

(式中、W、W' 及びW''はそれぞれ独立にO又はCH2であり、x、y及びzは約1〜約500である。)
又はこれらの組み合わせから形成され、少なくとも二つのマクロマーが架橋してヒドロゲルを形成する、高分子材料。
【請求項2】
前記ヒドロゲルが非分解性である、請求項1に記載の高分子材料。
【請求項3】
n、x、y又はzの少なくとも一つが以下の通りである、請求項1に記載の高分子材料: nは、1〜250である;
xは1〜250である;
yは1〜250である;及び、
zは1〜250である。
【請求項4】
前記ヒドロゲルが抗増殖剤、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシゾーム増殖因子−活性受容体ガンマ配位子(PPARγ)、ヒポテマイシン、酸化窒素、ビスホスホネート、上皮成長因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症剤、アンチセンスヌクレオチドおよびトランスフォーミング核酸からなる群から選択される少なくとも一つの生物活性剤を更に含む、請求項1に記載の高分子材料。
【請求項5】
前記ヒドロゲルがシロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカン)、テムシロリムス(CCI−779)およびゾタロリムス(ABT−578)からなる群から選択される少なくとも一つの生物活性剤を更に含む、請求項1に記載の高分子材料。
【請求項6】
前記ヒドロゲルの式1対式2の比があらゆる値をとり得る、請求項1に記載の高分子材料。
【請求項7】
高分子材料を含み、前記高分子材料は下記一般式1のマクロマー:
【化3】

(nは約1〜約500である。)
下記一般式2のマクロマー:
【化4】

(式中、W、W' 及びW''はそれぞれ独立にO又はCH2であり、x、y及びzは約1〜約500である。)
又はこれらの組み合わせから形成され、少なくとも二つのマクロマーが架橋してヒドロゲルを形成する、移植可能な医療用具。
【請求項8】
前記ヒドロゲルが非分解性である、請求項7に記載の移植可能な医療用具。
【請求項9】
前記ヒドロゲルにおいてn、x、y又はzの少なくとも一つが以下の通りである、請求項7に記載の移植可能な医療用具:
nは1〜250である;
xは1〜250である;
yは1〜250である;及び、
zは1〜250である。
【請求項10】
前記高分子材料が抗増殖剤、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシゾーム増殖因子−活性受容体ガンマ配位子(PPARγ)、ヒポテマイシン、酸化窒素、ビスホスホネート、上皮成長因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症剤、アンチセンスヌクレオチドおよびトランスフォーミング核酸からなる群から選択される少なくとも一つの生物活性剤を更に含む、請求項7に記載の移植可能な医療用具。
【請求項11】
前記ヒドロゲルがシロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカン)、テムシロリムス(CCI−779)およびゾタロリムス(ABT−578)からなる群から選択される少なくとも一つの生物活性剤を更に含む、請求項7に記載の移植可能な医療用具。
【請求項12】
前記ヒドロゲルの式1対式2の比があらゆる値をとり得る、請求項7に記載の移植可能な医療用具。
【請求項13】
前記ヒドロゲルが前記移植可能な医療用具に被覆される、請求項7に記載の移植可能な医療用具。
【請求項14】
前記医療用具が、血管ステント、シャント、血管移植片、ステント移植片、心臓弁、カテーテル、ペースメーカ、ペースメーカ リード、胆管ステントおよび細動除去器からなる群から選択される、請求項7に記載の移植可能な医療用具。
【請求項15】
下記工程を含むヒドロゲル形成方法:
a)下記式1、式2又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのマクロマーを選択する工程:
【化5】

(式中、nは、約1〜約500である。)
【化6】

(式中、x、y及びzはそれぞれ独立に約1〜約500である。)
b)前記マクロマーの適切な濃度を選択する工程;
c)適切な開始剤を選択する工程;及び、
d)前記マクロマーと前記開始剤とを反応させてヒドロゲルを形成する工程。
【請求項16】
下記工程を更に含む、請求項15に記載の方法:
e)前記ヒドロゲルで医療用具の少なくとも一部を被覆し、医療用具の少なく一部を形成し、又は医療用具の少なく一部を前記ヒドロゲルと組み合わせる工程。
【請求項17】
前記開始剤が、光、エオシンY、トリエタノールアミン、遊離基又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記医療用具が、血管ステント、シャント、血管移植片、ステント移植片、心臓弁、カテーテル、ペースメーカ、ペースメーカ リード、胆管ステントおよび細動除去器からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2011−517713(P2011−517713A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500825(P2011−500825)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/033337
【国際公開番号】WO2009/117185
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(502129357)メドトロニック カルディオ ヴァスキュラー インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】