説明

医療用品管理方法と医療用品管理システム

【課題】医療用品の保管中や搬送経緯における取り扱いミスに起因する医療過誤を予防できる方法、システムを提供する。
【解決手段】医療用品1に取付けられたRFIDタグ2の情報を、作業者が医療用品を取扱う際に、作業者が着用或いは使用する作業用品3に取付けられたリーダ4で読み取り、その読み取り情報から特定された医療用品1の情報をホストコンピュータ6でデータベース5と照合して当該医療用品1が用途に適合しているか否かを判別し、判別結果をモニタ画面7で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体、血液パック、包装医薬品、医療機器等の医療用品に取付けたRFID(Radio Frequency Identification)タグに記憶されている各種情報を、リーダで読み取り、その読み取り情報に基づいて医療用品を管理する方法とそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院を始めとする各種医療機関では、医療用品を厳重に管理して保管し、必要に応じて保管場所から取出して使用している。取出された医療用品はすぐに使用されるとは限らず、多くの部署を経由して使用場所まで運ばれ(搬送され)、その搬送過程で作業者により検査されたり、用途別、使用日時別といったように仕分けされたりすることがある。
【0003】
医療の現場では、患者から採取した検体を検査して病気の原因、病状等を調べている。患者から採取した検体を収納した検体容器には検体を特定するための検体特定情報(ID)、患者の氏名、生年月日といった患者情報、検体の属性情報、保管や取り扱い作業の日時、作業者氏名、作業内容といった履歴情報といった各種情報(以下まとめて「属性情報」という。)を手書きしたり、それら情報が表示されたバーコードラベルを貼付したりして管理している。血液パック、包装医薬品等にも前記と同様に手書きしたりバーコードラベルを貼付したりしている。
【0004】
検体、血液パック、包装医薬品等の医療用品の管理は厳重に行われているが、前記手書方法では記載ミスのおそれがあり、バーコードラベルを貼付する方法では貼り間違えのおそれがある。記載ミスや貼り間違えがなくても、医療用品は洗浄されたり蒸気殺菌されたりして水分が付着したり、ホルマリンとか薬液等が付着したりすることがあるため、手書きした情報やバーコードラベルの情報が不鮮明になって判読困難になったり、消えてしまって判読不能になったりすることがあった。医療用品は医療機関に持ち込まれてから直接、使用部署に届けられるとは限らず、数ヶ所の部署で必要な処理(作業)が行われて搬送されるのが通常である。これら作業時に医療用品を取り違えたり、作業を間違えたりすることもあった。このため、医療用品は適正な状態で使用部署に搬送されるとは限らず、医療過誤の一因となることがあった。
【0005】
検体、血液パック、包装医薬品等は、品質保持の面から、保管時に冷蔵或いは冷凍が義務付けられているものもある。しかし、従来は実際に冷蔵或いは冷凍されていたかどうかを確認する手段がないため、医療用品の品質保証の面で難点があった。
【0006】
医療用品の保管、取り扱いは厳重な注意の下に行われているが、人間の注意力に頼るこれまでの管理や取り扱いには限界があり、作業ミスを根絶することは不可能であった。
【0007】
近年は、医療用品に小型のRFIDタグを取付け、それに記憶されている医療用品の識別情報をリーダで読み取って管理する方法が検討されている。
【0008】
RFIDタグを医療用品に取付けた場合、RFIDタグに記憶されている医療用品識別情報をリーダ(リーダ/ライタ)で読み取り、読み取った医療用品識別情報と、データベースの医療用品識別情報や医療用品属性情報等と照合して、両データの一致、不一致を判別し、医療用品がデータベースのデータに適合した(用途に適合した)適正品であるか否かをチェックすることができる。
【0009】
しかし、従来は、データを照合しているのは、医療用品を保管場所から取出したときが主であり、保管場所から取出してから使用するまでの過程では、医療用品識別情報や作業者IDの読み取り、読み取った情報とデータベースとの照合は行われていない。このため、作業者が搬送過程で医療用品を間違えても(作業ミスしても)、作業ミスがどの部署で、何が原因で、誰により引き起こされたのか追跡調査(トレーサビリティ)することができず、患者に不適合な血液型の血液を輸血してしまうとか、不適合な医薬品を投与してしまうといった医療過誤が起きてしまう。このようなミスは患者とカルテの照合ミスによっても発生し、それが原因で患者を間違えるとか、患者の正常部位を異常部位と間違えて施術してしまうといった医療過誤も起きている。また、トレーサビリティができないため、同じ作業ミスが繰り返されることもあった。
【0010】
RFIDタグを使用した検体管理システムとして特許文献1、2の技術が知られている。しかし、特許文献1、2はいずれも作業者が医療用品を取扱う度にRFIDタグから情報を読み取るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−75454号公報
【特許文献2】特開2005−106667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本件発明の解決課題は、医療用品に取付けられたRFIDタグの記憶情報を、作業者が医療用品取り扱う度に自動的に読み出してコンピュータ管理して、医療用品の保管中や搬送中の履歴をトレーサビリティ可能として、保管中や搬送中の作業ミスに起因する医療過誤を予防することができ、搬送途中でRFIDタグの情報がリーダで読み取り不能となってもその情報を目視で確認することができ、医療用品の温度管理が可能で医療用品の品質確認も可能な医療用品の管理方法と管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の医療用品管理方法は、医療用品に取付けられたRFIDタグに記憶されている情報を読み取ることにより当該医療用品を特定して管理する方法において、前記RFIDタグの情報を、作業者が医療用品を取扱う際に、作業者が着用或いは使用する作業用品に取付けられたリーダで読み取り、その読み取り情報から特定された医療用品の情報をホストコンピュータでデータベースと照合して当該医療用品が用途に適合しているか否かを判別し、判別結果を前記ホストコンピュータに表示し又は他の報知器に報知するようにした医療用品管理方法である。この場合、判別結果を、前記データベースに蓄積することも又は他の記憶領域に保存することもできる。
【0014】
前記医療用品管理方法におけるデータベースは、医療用品を特定する特定情報(ID)の他に、当該医療用品に関する情報(属性情報)、作業者による当該医療用品の処理(作業)内容に関する情報(処理情報)、医療用品を処理した作業者に関する情報(作業者情報)、当該医療用品の保管中の温度に関する情報(温度情報)の一又は二以上を関連付けて作成されたデータベースとすることができる。
【0015】
前記医療用品管理方法では、医療用品保管中の医療用品自体の温度又は医療用品が置かれている環境温度(以下「保管温度」という。)を、医療用品に取付けた温度センサで検知し、検知した温度を医療用品に取付けられているRFIDタグ又はRFIDタグとは別に設けたICチップに記憶することも、データベースやホストコンピュータに記憶させ、その温度に基づいて医療用品の保管温度を確認(トレーサビリティ)することもできる。
【0016】
前記医療用品管理方法では、RFIDタグに温度を記憶させるのに必要な電力を、医療用品に設けた太陽電池から得ることもバッテリー又は商用電源から得ることもできる。
【0017】
前記医療用品管理方法では、作業者が医療用品を処理する度に、処理情報、作業者情報を、当該医療用品のRFIDタグとデータベースの双方又はいずれか一方に書き込むようにすることができる。
【0018】
前記医療用品管理方法では、医療用品に取付けられたRFIDタグの記憶情報を読み出して、プリンタにより当該医療用品に印刷して、RFIDタグの記憶情報を目視できるようにして、RFIDタグから記憶情報が読み不能となった場合に、その印刷情報で医療用品の情報を確認できる機能(フェールセーフ機能)を持たせることもできる。
【0019】
前記医療用品管理方法では、リーダで読み取ったデータを、モニタ画面に文字情報、画像情報として表示し、その画面上で前記文字情報や画像情報に追加情報を手書き入力(ペン入力、指入力)できる。また、医療用品をカメラで撮影し、その撮影画像をモニタ画面で確認できるようにすることもできる。
【0020】
前記医療用品管理方法では、手書き入力した追加情報、カメラで撮影した画像を、データベースに蓄積することもできる。前記データベースに蓄積されている情報を、インターネット上で外部からアクセスできるようにすることもできる。
【0021】
本発明の医療用品管理システムは、医療用品に取付けたRFIDタグから、当該RFIDタグの特定情報(ID)をリーダで読み取り、その特定情報に基づいて医療用品を特定して管理するシステムにおいて、RFIDタグを備えた医療用品と、作業者が前記医療用品を処理する際に着用或いは使用する作業用品にリーダを取付けたリーダ付き作業用品と、前記医療用品の特定情報の他に、当該医療用品に関する情報(属性情報)、作業者による当該医療用品の処理に関する情報(処理情報)、医療用品を取扱った作業者に関する情報(作業者情報)、当該医療用品の保管中の温度情報の一又は二以上を関連付けて作成されたデータベースと、ホストコンピュータを備え、前記リーダ付き作業用品のリーダは、作業者がRFIDタグ付き医療用品を処理する度に当該RFIDタグの情報を読み取ることができ、前記ホストコンピュータは、前記リーダで読み取った情報と前記データベースとを照合して、医療用品が用途に適合した適合品であるか否かを判別して、判別結果を前記ホストコンピュータ又は別途用意した報知手段に表示できるようにしたものである。
【0022】
前記医療用品管理システムでは、ホストコンピュータがタブレットPCであり、タブレットPCはリーダで読み取ったデータをモニタ画面に文字情報、画像情報として表示でき、その画面上で前記文字情報や画像情報に付加したい情報(説明や注意書き等)を手書き入力可能とすることができる。
【0023】
前記医療用品管理システムでは、医療用品を撮影可能なカメラを備え、カメラで撮影した画像をホストコンピュータで確認できるようにすることもできる。データベースに構築されたデータをインターネット上で外部からアクセスできるようにするインターネット通信制御部を備えることもできる。
【0024】
前記医療用品管理システムでは、リーダで読み取ったRFIDタグの情報、タブレットPCで手書き入力した追加情報、カメラで撮影した画像情報等の各種情報を制御する制御部を備え、制御部はリーダで読み取った情報を制御するRFIDリーダ制御部、タブレットPCから入力されたデータを制御するイメージ手入力制御部、カメラからの入力データを制御する画像制御部、前記RFIDリーダ制御部、イメージ手入力制御部、画像制御部からの入力情報を処理するアプリケーション部、複数のRFIDタグを一括管理するID分割・結合制御部、データベースを制御するデータベース制御部、データベースに構築されている情報をインターネット上で外部からアクセスできるようにするインターネット通信制御部の一部又は全部を備えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は次のような効果がある。
(1)作業用品がリーダを備えているため、作業者が医療用品を取扱う度にRFIDタグの情報を自動的に読み取ることができ、読み取り忘れ(確認忘れ)がない。
(2)読み取った情報とデータベースのデータとの関係から、その医療用品が用途に合った適合品であるか否かが判別されて判別結果がコンピュータや他の報知器に報知されるので、不適合な医療用品を使用してしまうことを予防できる。
(3)作業者の識別情報(ID)をリーダやホストコンピュータで読み取ってデータベースのデータと照合することにより、医療用品の搬送過程において、医療用品がどの作業者により(誰により)、何時、どのように取扱われたかという作業履歴をトレーサビリティすることもできるため、医療過誤を予防でき、同じ作業ミスの繰返しを防止することもできる。
(4)医療用品の保管温度に基づいて医療用品を品質管理することでできる。
(5)判別結果をデータベースに蓄積又は他の記憶領域に保存するので判別結果のトレーサビリティができる。
(6)RFIDタグに温度を記憶させるのに必要な電力を、医療用品に設けた太陽電池から得ることができるので、商用電源のない場所でも使用可能である。
(7)作業者が医療用品を処理する度に、処理情報、作業者情報を当該医療用品のRFIDタグとデータベースの双方又はいずれか一方に書き込むので、処理情報、作業者情報のトレーサビリティも可能である。
(8)フェールセーフ機能があるため、万が一、RFIDタグの記憶情報が読み取り不能となっても医療用品の確認が可能である。
(9)リーダで読み取ってモニタ画面に表示した文字情報、画像情報に、追加情報を手書き入力できるので、それら文字情報、画像情報を活用し易くなる。
(10)医療用品をカメラで撮影し、その撮影画像をモニタ画面で確認できるので、医療用品の状況確認が容易且つ確実できる。
(11)手書き入力した追加情報、カメラでの撮影映像をデータベースに蓄積するので、追加情報、撮影画像のトレーサビリティも可能となる。
(12)データベースに蓄積されている情報を、インターネット上で外部からアクセスできるので、医療用品に関係のある人がデータベースにアクセスして医療用品が、今、何処に、どのような状況で保管されているか等の状況を随時確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の医療用品管理方法及び管理システムの一例であり、リーダ付き作業用品が顕微鏡の場合の説明図。
【図2】本発明の医療用品管理方法及び管理システムの一例であり、リーダ付き作業用品が作業用手袋の場合の説明図。
【図3】本発明の医療用品管理方法及び管理システムの一例であり、リーダ付き作業用品が作業者の着用する腕輪の場合の説明図。
【図4】本発明の医療用品管理方法及び管理システムの一例であり、リーダ付き作業用品が医療用被服の袖口の場合の説明図。
【図5】本発明の医療用品管理システムにおけるRFIDタグ付き医療用品の一例であり、(a)は検体容器に粒状のケース入りRFIDタグを取付けた場合の斜視図、(b)は検体容器にチューブ状のケース入りRFIDタグを取付けた場合の斜視図。
【図6】本発明の医療用品管理システムにおけるRFIDタグ付き医療用品の異なる例であり、(a)は粒状のケース入りRFIDタグを取付けたスライドガラスの斜視図、(b)はチューブ状のケース入りRFIDタグを取付けたスライドガラスの斜視図。
【図7】本発明の医療用品管理システムにおけるRFIDタグ付き医療用品の異なる例であり、(a)はRFIDタグ付き布帛を取付けた血液パックの斜視図、(b)は太陽電池とRFIDタグを取付けた空容器の説明図。
【図8】本発明の医療用品管理システムにおけるRFIDタグの一例であり、(a)はファイバー状のRFIDタグの説明図、(b)はアンテナファイバの説明図。
【図9】本発明の医療用品管理システムに関するケース入りRFIDタグの異なる例であり、(a)は粒状のケースに封入された場合の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)はチューブ状のケースに収容された場合の斜視図、(d)は(c)の平面図。
【図10】本発明の医療用品管理システムにおけるRFID付き医療用品の一例であり、RFIDタグ付き布帛を取付けた医療用品の一例を示す斜視図。
【図11】(a)は本発明の医療用品管理システムに関するRFIDタグ付き布帛の一例を示す正面図、(b)はアンテナを多数本備えたRFIDタグ付き布帛の一例を示す正面図。
【図12】検体収容用の空容器の一例を示す斜視図。
【図13】検体収容用の空容器がトレーの場合の斜視図。
【図14】本発明の医療用品管理システムにおける情報処理部の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(医療用品管理方法の実施形態1)
本発明の医療用品管理方法で管理する医療用品は、RFIDタグ付き医療用品であり、検体が収容された検体入り容器、血液が充填された血液パック、点滴用栄養剤等が充填された点滴パック、医薬品が包装された包装医薬品、検体検査に使用されるプレパラート、スライドガラス、カバーガラス、シャーレ、血液検査に使用される試験管、注射器、手術用の鋏、ガーゼ、採取した検体や血液等を収容する空容器といった医療に関連する各種用品の全てを含む。
【0028】
本発明の医療用品管理方法の一例として図1に示すものは、医療用品(プレパラート)1に取付けたRFIDタグ2に記憶されているRFIDタグ固有の情報(RFIDタグを特定するための特定情報:RFIDタグを医療用品に取付けて医療用品を特定するための医療用品特定情報となる。)を、作業者が使用する作業用品(顕微鏡)3に取付けてあるリーダ4で読み取り、読み取った特定情報により当該医療用品1を特定し、その特定された医療用品1に関する情報を、データベース5のデータとホストコンピュータ6で照合して、医療用品1が適合品であるか否かを判別し、判別結果をモニタ画面7に表示するようにした管理方法である。この場合、モニタ画面7に表示するだけでなく、異常をブザー等で報知したり、ランプを点滅或いは点灯させたりして報知することもできる。医療用品取り扱い作業者や所轄部署では前記モニタ画面7の表示を見るとか、他の報知器への報知を確認して、当該医療用品1の適否を確認することができる。
【0029】
前記RFIDタグ2には少なくともそれを取付ける医療用品1を特定するための特定情報(ID)が記憶されている。RFIDタグ2には必要に応じて他の情報、例えば医療管理に必要な医療管理情報や医療用品1の属性情報等の各種情報を記憶させておくこともできる。医療管理情報としては、例えば、検体容器に貼り付けるRFIDタグ2の場合はその検体に割り当てられた個別番号、検体者氏名、検体入手日時、検体保管経緯、用途、検体使用日時、その他の必要事項である。
【0030】
前記RFIDタグ2には更に、作業者が医療用品1を取扱う(作業する)度に、その作業内容(作業情報)、当該医療用品1を取扱った作業者の情報(作業者情報)等を記憶(追記)することもでき、当該医療用品1の保管温度を追記することもできる。
【0031】
前記データベース5は、医療用品1を特定する特定情報(ID)の他に、前記属性情報、処理情報、作業者情報、温度情報の一又は二以上を関連付けて作成されている。
【0032】
(医療用品管理方法の実施形態2)
本発明の医療用品管理方法の他例として図2に示すものは、医療用品(検体入り容器)1に取付けたRFIDタグ2に記憶されている特定情報を、作業者が着用する作業用品(手袋)3に取付けてあるリーダ4で読み取り、読み取った特定情報により当該医療用品1を特定し、その特定された医療用品1に関する情報を、データベース5のデータとホストコンピュータ6で照合して、医療用品1が適合品であるか否かを判別し、判別結果をブザー、スピーカ等の聞き取り可能な報知器8で報知するようにした管理方法である。この管理方法において、実施形態1の管理方法と共通することは、実施形態1と同様である。
【0033】
(医療用品管理方法の実施形態3)
本発明の医療用品管理方法の他例として図3に示すものは、医療用品1に取付けたRFIDタグ2に記憶されている特定情報を、作業者が着用する作業用品(腕輪)3に取付けてあるリーダ4で読み取り、読み取った特定情報により当該医療用品1を特定し、その特定された医療用品1に関する情報を、データベース5のデータとホストコンピュータ6で照合して、医療用品1が適合品であるか否かを判別し、判別結果をモニタ画面7に表示するようにした管理方法である。この管理方法において、実施形態1、2の管理方法と共通することは、実施形態1、2と同様である。
【0034】
(医療用品管理方法の実施形態4)
本発明の医療用品管理方法の他例として図4に示すものは、医療用品1に取付けたRFIDタグ2に記憶されている特定情報を、作業者が着用する作業用品(作業服の袖口)3に取付けてあるリーダ4で読み取り、読み取った特定情報により当該医療用品1を特定し、その特定された医療用品1に関する情報を、データベース5のデータとホストコンピュータ6で照合して、医療用品1が適合品であるか否かを判別し、判別結果をホストコンピュータ6のモニタ画面に表示するようにした管理方法である。この管理方法において、実施形態1〜3の管理方法と共通することは実施形態1〜3と同様である。
【0035】
[フェールセーフ]
前記医療用品管理方法では、医療用品1に取付けられたRFIDタグ2の記憶情報、特に特定情報(ID)を読み出し、それら情報をプリンタにより当該医療用品1の容器や包装に印刷することもできる。プリンタにはレーザプリンタとか他の印刷方式のプリンタを使用することができる。読み出した情報を印刷することより、RFIDタグ2の記憶情報を目視によっても確認でき、RFIDタグ2からの情報読み出しが不能となった場合に、印刷情報で医療品情報を得ることができ、フェールセーフ機能を付加することができる。
【0036】
(医療用品管理システムの実施形態1)
本発明の医療用品管理システムの一例として図1に示すものは、医療用品識別情報が記憶されているRFIDタグ2を備えた医療用品(プレパラート)1と、作業者が使用するリーダ付き作業用品(顕微鏡)3と、前記データベース5と、ホストコンピュータ6と、報知手段を備え、前記リーダ付き作業用品3のリーダ4は作業者が医療用品1を取扱う度に前記RFIDタグ2に接近して医療用品識別情報をRFIDタグ2から読み取ることができ、前記ホストコンピュータ6はRFIDタグ2から読み取られた特定情報に基づいて前記データベース5のデータと対照して、医療用品1が用途に適合するか否かを判別することができるようにしたものである。
【0037】
[医療用品]
医療用品1の一例として図5(a)、(b)に示すものは、採取した検体が容器10に収容されたものであり、容器10は樹脂製或いはガラス製といった各種材質製の上面開口の容器本体13とその開口部を閉塞する蓋14を備える。蓋14は前記開口部を閉塞できるものであればネジ式でも他の方式でもよい。
【0038】
図5(a)、(b)は容器本体13の外周にRFIDタグ2を取付けたものである。このRFIDタグ2は図8(a)に示すRFIDタグ2が、図9(a)、(b)に示す粒状ケース(ハウジング)15内、図9(c)、(d)に示すチューブ状のケース15内に収容されているケース入りRFIDタグ16である。
【0039】
[RFIDタグ]
本発明におけるRFIDタグ2には各種のものを使用することができる。バッテリーを備えた能動型(アクティブ型)、バッテリーを持たない受動型(パッシブ型)、リーダから電波を受けたときにのみ送信するセミアクティブ型のいずれも使用可能であるが、小型化の面からはパッシブ型が適する。アクティブ型、セミアクティブ型の場合はICチップ22を駆動するための電源が必要になる。その電源は小型電池(例えば、小型のボタン電池)でもよいが太陽電池(太陽光発電器)であってもよい。太陽電池23は図7(b)のように容器10に取付けることができる。太陽電池23への照光は太陽光以外にも、冷蔵庫や冷凍室等の内部照明光でも発電(蓄電)できる。
【0040】
RFIDタグ2の一例として図8(a)に示すものは、糸20の表面に導電塗料を印刷とか金属メッキなどで細長に設けた二本のアンテナ(ダイポールアンテナ)21にICチップ22を接続したものである。
【0041】
アンテナ21は細長の絶縁性フィルムや紙の表面に導電材を細長に設けたものであっても、金属細線であってもよい。アンテナ21の長さはRFIDタグ2のICチップ22とリーダとの無線通信に使用される電波の周波数に応じて設計することができる。小型化の面からは幅0.2mm〜1mm、長さ数mm〜数10mm程度が適する。ICチップ22には超小型のものが適し、例えば0.4mm×0.4mm程度のものが適する。使用周波数帯としては、RFIDタグで使用されている各種周波数帯が使用可能であるが、2.45GHz〜5.8GHzのマイクロ波帯が適する。
【0042】
前記糸20には合成樹脂繊維、天然繊維、無機繊維等を用いることができる。合成繊維材料としてはポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン、パラ系アラミド、メタ系アラミド、ポリアリレート、ポリベンゾイミダゾールなどを、天然繊維材料としては、綿、ウール、麻などを、無機繊維材料としてはガラスなどを用いることができる。糸20はこれら繊維を混合した混合糸を多数本収束したものとすることもできる。その他、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸又は紡績糸を用いることができる。糸20は収束した繊維がほどけないように撚りを付与しておくとよい。糸20の太さは0.5mm〜2mm程度のものが適する。糸6の太さが0.5mmより細くなるとICチップ22のサイズ(0.4mm×0.4mm)よりも小さくなるためICチップ22の実装が困難となり、2mmよりも太くなると柔軟性が低下して布帛に織り込んだり編み込んだりする場合に取り扱いが難しくなり、RFIDタグが大型化する。
【0043】
前記アンテナ21は線状、面状、テープ状、矩形状、円形状、楕円形状といった各種形状にすることができる。アンテナ21は糸20の周方向に広幅に形成するとか螺旋状に形成したりすることもできる。アンテナ21を周方向に形成することで複数のICチップ22を糸20の周囲に三次元に配置することも可能となる。用途に合わせてアンテナ21の形状及びICチップ22の組み合せを設計することができる。アンテナ21はICチップ22に内蔵されたものでもよい。
【0044】
[ICチップ]
ICチップ22には少なくともそれを取付ける医療用品を特定するための特定情報(ID)が記憶されている。ICチップ22には必要に応じて他の情報、例えば医療管理に必要な医療管理情報や医療用品の属性情報等の各種情報を記憶させておくこともできる。医療管理情報としては、例えば、検体容器に貼り付けるRFIDタグ2の場合はその検体に割り当てられた個別番号、検体者氏名、検体入手日時、検体保管経緯、用途、検体使用日時、その他の必要事項である。これら記憶情報はリーダで読み取って管理用のホストコンピュータ6に伝送することができる。
【0045】
ICチップ22は書き込み不能なものでも書き込み可能なものでも使用可能であるが、トレーサビリティの面からは一度の書き込みは可能であるが書き込み後の改変は不可能なライトワンス(追記型)のものが好ましい。
【0046】
RFIDタグ2のICチップ22は温度センサで検知された温度を記憶(書き込み)可能なものとすることができる。この場合は、医療用品1の容器や包装に温度センサを設けるのがよい。前記温度は前記ICチップ22とは別に設けたICチップに記憶することも、データベース5やホストコンピュータ6に記憶することもできる。
【0047】
前記のように糸20にアンテナ21を設け、ICチップ22を搭載したRFIDタグ2の場合、糸20、アンテナ21、ICチップ22の外周を液体バリア性(耐液性、耐薬液性)のある樹脂製のシートやフィルム等で被覆するとか、当該樹脂製のチューブ内に封入するなどして、アンテナ21及びICチップ22が糸20から外れないようにすると共に耐屈曲性をもたせ、更にはそれらを防液(耐液、耐薬液)可能とするのが望ましい。
【0048】
[RFIDタグ付き医療用品]
医療用品1へのRFIDタグ2の取付けは接着剤や両面テープなどによる貼り付け等の各種取付け手段によることができる。医療用品1の容器10に埋め込むこともできる。
【0049】
[容器]
容器が樹脂製或いはガラス製といった成型品の場合は容器10の成型時に図12のように容器10の周壁にRFIDタグ2を埋め込んで成型するとか、成型時に容器10に穴や窪み等の収容部を成しておき、成型後にその収容部にRFIDタグ2を収容して密封したりすることができる。取付けるRFIDタグ2の形状は図5(a)、(b)のようなものでもよく、取付け箇所は容器10の他の箇所、例えば底面であってもよい。
【0050】
[ケース入りRFIDタグ]
医療用品1に取付けるRFIDタグ2は、図9(a)、(b)に示すようにケース15に収容されているケース入りRFIDタグ16でも、ケース15に収容されていない裸のものでもよい。裸の場合は医療用品1に取付けてからその外側を液体バリア性のある樹脂シート等で被覆してもよい。
【0051】
ケース15は図9(a)、(b)に示すような粒状のものでも、図9(c)、(d)に示すようなチューブ状のもの(いずれも立体状)でも、袋のような扁平状のものでもよい。図9(a)、(b)に示す粒状のケース15の場合は、その一部に医療用品1に取付け易くした平面状の取付け部15aを設け、ケース15に形成されているスリット内に前記RFIDタグ2を差し込み、そのスリットの差込口を閉塞してRFIDタグ2を封入してある。この場合、アンテナ21の長寸方向両端部21a、21bを取付け部15aから離れる方向(図9(a)では上向き)に湾曲させるのが望ましい。このように湾曲させるとケース入りRFIDタグ16を金属製の医療用品1に取付けた場合に、アンテナ21の長寸方向両端部21a、21bが金属製の医療用品1から離れて、リーダからの電波がその医療用品1で遮蔽(シールド)されることなく通信可し易くなる。従って、ケース15の材質もシールド性(電磁遮蔽性)がなく無線通信に支障のないものが望ましく、しかも、防液性のある樹脂製とか防液処理された紙製等が適する。
【0052】
図9(c)、(d)に示すチューブ状の場合は細長のケース15の一部に医療用品1に取付け易くした平面状の取付け部15aを設け、ケース15に形成されているスリット内に前記RFIDタグ2を差し込み、そのスリットの差込口を閉塞してRFIDタグ2を封入してある。この場合も、ケース15の材質はシールド性(電磁遮蔽性)がなく無線通信に支障のないものが望ましく、しかも、防液性のあるものが適する。これら立体ケースは他の形状でもよい。
【0053】
[スライドガラス]
図6(a)、(b)に示すものは医療用品1がスライドガラスの場合である。図6(a)はRFIDタグ2が粒状のケース15(図9(a)、(b))に収容されたケース入りRFIDタグ16を取付けた例、図6(b)はRFIDタグがチューブ状のケース15(図9(a)、(b))に収容されたケース入りRFIDタグ16を取付けた例である。
【0054】
[血液パック]
図7(a)に示すものはRFIDタグ2を血液パック25に取付けた場合である。この場合のRFIDタグ2は図11(a)のように糸状のアンテナ21にICチップ22を接続した細長のRFIDタグ2を、織物、編物等の布帛26に織り込んだり編み込んだりしてRFIDタグ付き布帛27とし、そのRFIDタグ付き布帛27を血液パック25に取付けてある。この場合、血液パック25の一部にポケットを作って収容部を形成したり血液パック25の一部を二重にしたりして収容部を作り、その収容部内にRFIDタグ付き布帛27を収容することができる。収容部はRFID付き布帛27の収容後に密封して、RFIDタグ付き布帛27が抜け出ないようにするのが望ましい。図11(a)に示すRFIDタグ付き布帛27は図7(b)のように、検体、血液等が収容されている容器(医療用品1)とか空容器28(図12)に貼り付けることもできる。
【0055】
[トレー]
図13に示すものはケース入りRFIDタグ16をトレー33に取付けた場合である。このケース入りRFIDタグ16は図9(a)〜(d)に示すようなものである。トレー33は周枠33aの内側が仕切33bで6個の検体収容部33cに区画されている。収容部33cの数は任意数とすることができる。トレー33は仕切33bのないものであってもよい。トレー33は図示した以外の形状であってもよい。
【0056】
[複数RFIDタグの読み取り]
一人の患者から採取した検体が二以上の空容器28に収容される場合は、それぞれの空容器28のRFIDタグ2のIDに枝番を付けて、それら枝番のついたRFIDタグ2の全てを一括して読み取って一つの検体容器として管理することができる。この場合、リーダには複数のRFIDタグ2を一括読み込み可能な機能(アンチコリジョン機能或いはマルチリード機能)を備えたものを使用するのがよい。
【0057】
[アンテナ]
図11(b)にRFIDタグ2及び八木アンテナが形成されたRFIDタグ及び八木アンテナ付き布帛29の他例を示す。このRFIDタグ付き布帛29は、織物、編物等の布帛26に、図8(a)のように糸状のアンテナ21にICチップ22を接続したRFIDタグ2を織り込み、その先方(放送局方向)に4本の導波器30を、後方(放送局方向と反対側)に1本の反射器31を設けたものである。これら導波器30、反射器31には図8(b)に示すアンテナファイバ32が使用されている。このアンテナファイバ32は図8(a)に示す前記RFIDタグ2のアンテナ21と同様に、糸20に印刷やメッキにより導電材(導電パターン)24を設け、この導電材24の長さを導波器30、反射器31として適当な長さのアンテナにしたものである。図8(b)ではこのアンテナファイバ32を図11(b)の布帛26に織り込んだり編み込んだりしたものである。このRFIDタグ及び八木アンテナ付き布帛29も血液パック25、点滴パック等の医療用品1、空容器28等に取付けることができる。
【0058】
[リーダ付き作業用品]
前記リーダ付き作業用品3は、作業者が着用する作業衣、帽子、腕輪、検体検査に使用する顕微鏡、医療用品の開封等に使用される鋏、作業者が着用する帽子、名札、作業者が検体検査に使用する機器等にリーダ4を取付けたものである。このリーダ4は作業者が医療用品1を取扱う度に医療用品1のRFIDタグ2に接近してRFIDタグ2から情報を読み取り可能な箇所に設けてある。その箇所は、例えば、図1では顕微鏡の脚台、図2では手袋の掌側、図3では作業者が腕にはめる腕輪の表面、図4では作業服の袖口である。
【0059】
リーダ4は小型で薄いものが望ましく、アンテナ内蔵型であってもよく、超小型アンテナ内蔵リーダモジュールとして市販されているものを使用することもできる。リーダ4は図2に示すように、リーダ本体(ICチップ及びリーダとして必要な電気回路を備えたもの)4aの外に、アンテナ4bを設けたアンテナ外付け型であってもよい。このアンテナ4bには図8(b)に示すアンテナファイバ32を使用することができる。このアンテナファイバ32は糸20に印刷やメッキにより導電材(導電パターン)24を設け、この導電材24の長さをアンテナとして適当な長さにしたものである。
【0060】
作業用品3にはアンテナ4bだけを設けておいて、リーダ本体4aを作業用品1に接続、取外し可能な外付けタイプのものとすることもできる。いずれの場合も、読み取り忘れ防止の面から、リーダ4は手動で読み取りのための操作を行わずとも、RFIDタグ2に接近すると自動的に読み取りを開始する自動読み取り式のものが望ましい。リーダ4はライタを備えたリーダ/ライタであってもよい。
【0061】
リーダ4はRFIDタグ2を一つずつ読み取り可能なものであっても、複数のRFIDタグ2を一括読み込み可能な機能(アンチコリジョン機能或いはマルチリード機能)を備えたものでもよい。アンチコリジョン機能或いはマルチリード機能を備えたリーダを使用することによって複数の容器を一括管理することができる。例えば、複数の容器に取付けるRFIDタグ2のIDに枝番まで付けておき(ID分割)、その枝番付きのRFIDタグが取付けられた容器に分散して収容された検体を、枝番まで一括読み取り(ID結合)することにより複数の容器に分散収容された検体を一括管理(ID分割・結合)することができる。
【0062】
[データベース]
前記データベース5には医療用品1を特定するための特定情報(ID)の他に、当該医療用品に関する情報(属性情報)、作業者による当該医療用品の処理(作業)内容に関する情報(処理情報)、医療用品を処理した作業者に関する情報(作業者情報)、当該医療用品の保管中の温度に関する情報(温度情報)の一又は二以上を関連付けて作成されている。
【0063】
前記医療用品1の属性情報は、例えば、医療用品1が検体の場合は、被検者の氏名、生年月日、血液型、検体採取日時、検体採取病院名、検体採取目的、検体用途、検体使用日時、検体採取機関名、検体採取者名等である。
【0064】
前記作業者情報報は作業者の氏名、所属部署、作業日等であり、前記処理情報は作業者が行った作業内容である。
【0065】
前記情報を関連付けてデータ化することにより、医療用品1が検体の場合は採取されてから、血液の場合は採血されてから使用されるまでの運搬過程の、どの部署で、どの作業者により、何時、どのような作業がされたか、といったことをトレーサビリティできるようにしてある。
【0066】
[ホストコンピュータ及びその処理]
ホストコンピュータ6には汎用のパソコンを使用することができる。ホストコンピュータ6はリーダ3で読み取られてデータをデータベース5と対照して、データを読み取ったRFID付き医療用品が用途に適合するか否かを判別して、モニタ画面7に文字情報、画像情報として表示したり他の報知器8に報知できるようにしたりすることができる。モニタ画面7と他の報知器8を併用することもできる。
【0067】
ホストコンピュータ6には前記のように、作業者がリーダ付き作業用品3でRFIDタグ付き医療用品1を取扱うと、どの医療用品1を、どの部署の作業者が、何時で、どのような作業をしたかが、ホストンピュータ6でデータベース5にリアルタイムで自動的に蓄積されるようにするとか必要に応じて随時蓄積されるようにすることもできる。前記判別結果も蓄積(保存)することができる。
【0068】
ホストコンピュータ6はタブレットPCであってもよい。タブレットPCの場合は、リーダ4で読み取ったデータをタブレットPCのモニタ画面に文字情報、画像情報として表示し、その画面上で、前記文字情報や画像情報に付加したい説明や注意書き等を手書き入力(ペン入力、指入力)したりすることができる。この入力情報もデータベースに蓄積することができる。
【0069】
本発明では、医療用品1を各種カメラで画像撮影し、その画像をもホストコンピュータ6で確認できるようにすることもできる。この場合、カメラにはWebカメラが適する。この場像もデータベースに蓄積することができる。
【0070】
[データの制御・管理]
本発明の医療用品管理方法や管理システムにおいて、前記のように、リーダ4で読み取ったRFIDタグの情報、タブレットPCで手書き入力した追加情報、カメラで撮影した画像等の各種情報は、トータル管理するのが医療用品の管理上便利である。トータル管理システムの一例を図14に示す。
【0071】
図14のRFIDリーダ制御部40はリーダ4で読み取った情報を制御する手段、イメージ手入力制御部41はタブレットPCから入力されたデータを制御する手段、画像制御部42はWebカメラからのは入力データを制御する手段である。図14のアプリケーション部43は前記RFIDリーダ制御部40、イメージ手入力制御部41、画像制御部42からの入力情報を処理するソフト、ID分割・結合制御部44は前記枝番を付けたRFIDタグを一括管理する制御手段、データベース制御部45はデータベースを制御する手段、インターネット通信制御部46はデータベース5に構築されている情報をインターネット上で外部からアクセスできるようにする手段である。この場合、個人情報の漏洩予防手段を取る必要がある。また、アクセスしてきた人を確認するための手段も取ることが重要である。
【0072】
[報知器]
報知器8はライト、ブザー等を使用することもでき、ライトの場合は、例えば、不適と判断された場合は点滅或いは連続点灯するようにし、ブザーの場合は不適と判断された場合に警告音を発するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は検体や他の医療用品の取違えを防止する手段として優れたものであるが、それ以外の分野、例えば、カルテをはじめとする医療に関連するあらゆる機器、用品、医薬用品等の取違えの防止、トレーサビリティに利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 医療用品
2 RFIDタグ
3 作業用品
4 リーダ
4a リーダ本体
4b (リーダの)アンテナ
5 データベース
6 ホストコンピュータ
7 モニタ画面
8 報知器
10 容器
13 本体
14 蓋
15 ケース
15a 取付け部
16 ケース入りRFIDタグ
20 糸
21 アンテナ
21a、21b (アンテナの)長寸方向両端部
22 ICチップ
23 太陽電池
24 導電材
25 血液パック
26 布帛
27 RFIDタグ付き布帛
28 空容器
29 RFIDタグ及び八木アンテナ付き布帛
30 導波器
31 反射器
32 アンテナファイバ
33 トレー
33a 周枠
33b 仕切
33c 収容部
40 RFIDリーダ制御部
41 イメージ手入力制御部
42 画像制御部
43 アプリケーション部
44 ID分割・結合制御部
45 データベース制御部
46 インターネット通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用品に取付けられたRFIDタグに記憶されている情報を読み取ることにより当該医療用品を特定して管理する方法において、
前記RFIDタグの情報を、作業者が医療用品を取扱う際に、作業者が着用或いは使用する作業用品に取付けられたリーダで読み取り、その読み取り情報から特定された医療用品の情報をホストコンピュータでデータベースと照合して当該医療用品が用途に適合しているか否かを判別し、判別結果を前記ホストコンピュータに表示し又は他の報知器に報知するようにしたことを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の医療用品管理方法において、
判別結果を、前記データベースに蓄積することも又は他の記憶領域に保存することを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の医療用品管理方法において、
データベースが、医療用品を特定する特定情報(ID)の他に、当該医療用品に関する情報(属性情報)、作業者による当該医療用品の処理(作業)内容に関する情報(処理情報)、医療用品を処理した作業者に関する情報(作業者情報)、当該医療用品の保管中の温度に関する情報(温度情報)の一又は二以上を関連付けて作成されたことを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の医療用品管理方法において、
医療用品保管中の医療用品自体の温度又は医療用品が置かれている環境温度(保管温度)を、医療用品に取付けた温度センサで検知し、検知した温度を医療用品に取付けられているRFIDタグ又はRFIDタグとは別に設けたICチップ又はデータベースやホストコンピュータに記憶させ、その温度に基づいて医療用品の保管温度を確認できるようにすることを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の医療用品管理方法において、
前記医療用品管理方法では、RFIDタグに温度を記憶させるのに必要な電力を、医療用品に設けた太陽電池から得ることもバッテリー又は商用電源から得ることを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の医療用品管理方法において、
作業者が医療用品を処理する度に、処理情報、作業者情報を、当該医療用品のRFIDタグとデータベースの双方又はいずれか一方に書き込むようにすることを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の医療用品管理方法において、
医療用品に取付けられたRFIDタグの記憶情報を読み出して、プリンタにより当該医療用品に印刷して、医療用品の情報を目視もできるようにすることを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の医療用品管理方法において、
リーダで読み取ったデータを、モニタ画面に文字情報、画像情報として表示し、その画面上で前記文字情報や画像情報に追加情報を手書き入力できるようにしたことを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の医療用品管理方法において、
医療用品をカメラで撮影し、その撮影画像をモニタ画面で確認できるようにしたことを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項10】
請求項8又は請求項9記載の医療用品管理方法において、
手書き入力した追加情報、カメラで撮影した画像を、データベースに蓄積することを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の医療用品管理方法において、
データベースに蓄積されている情報を、インターネット上で外部からアクセスできるようにしたことを特徴とする医療用品管理方法。
【請求項12】
医療用品に取付けたRFIDタグから、当該RFIDタグの特定情報(ID)をリーダで読み取り、その特定情報に基づいて医療用品を特定して管理するシステムにおいて、
RFIDタグを備えた医療用品と、作業者が前記医療用品を処理する際に着用或いは使用する作業用品にリーダを取付けたリーダ付き作業用品と、前記医療用品の特定情報の他に、当該医療用品に関する情報(属性情報)、作業者による当該医療用品の処理に関する情報(処理情報)、医療用品を取扱った作業者に関する情報(作業者情報)、当該医療用品の保管中の温度情報の一又は二以上を関連付けて作成されたデータベースと、ホストコンピュータを備え、前記リーダ付き作業用品のリーダは、作業者がRFIDタグ付き医療用品を処理する度に当該RFIDタグの情報を読み取ることができ、前記ホストコンピュータは、前記リーダで読み取った情報と前記データベースとを照合して、医療用品が用途に適合した適合品であるか否かを判別して、判別結果を前記ホストコンピュータ又は別途用意した報知手段に表示できるようにしたことを特徴とする医療用品管理システム。
【請求項13】
請求項12記載の医療用品管理システムにおいて、
ホストコンピュータがタブレットPCであり、タブレットPCはリーダで読み取ったデータをモニタ画面に文字情報、画像情報として表示でき、その画面上で前記文字情報や画像情報に付加したい情報を手書き入力可能であることを特徴とする医療用品管理システム。
【請求項14】
請求項12又は請求項13記載の医療用品管理システムにおいて、
医療用品を撮影可能なカメラを備え、カメラで撮影した画像をホストコンピュータで確認できるようにしたことを特徴とする医療用品管理システム。
【請求項15】
請求項12乃至請求項14のいずれか1項に記載の医療用品管理システムにおいて、
データベースに構築されたデータをインターネット上で外部からアクセスできるようにするインターネット通信制御部を備えたことを特徴とする医療用品管理システム。
【請求項16】
請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載の医療用品管理システムにおいて、リーダで読み取ったRFIDタグの情報、タブレットPCで手書き入力した追加情報、カメラで撮影した画像情報を制御する制御部を備え、制御部はリーダで読み取った情報を制御するRFIDリーダ制御部、タブレットPCから入力されたデータを制御するイメージ手入力制御部、カメラからの入力データを制御する画像制御部、前記RFIDリーダ制御部、イメージ手入力制御部、画像制御部からの入力情報を処理するアプリケーション部、複数のRFIDタグを一括管理するID分割・結合制御部、データベースを制御するデータベース制御部、データベースに構築されている情報をインターネット上で外部からアクセスできるようにするインターネット通信制御部の一部又は全部を備えたことを特徴とする医療用品管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−114591(P2013−114591A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262489(P2011−262489)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(507213983)
【出願人】(511291603)株式会社アシスト (2)
【Fターム(参考)】