医療用投薬容器のための液体輸送デバイス
診断用薬剤のためのバイアル瓶などの医療用投薬容器(402)と、投薬容器に液体を搬送し、または投薬容器から液体を抽出する際に利用される液体搬送デバイス(401)とを備えたキット。搬送デバイスは、定常状態条件下でバイアル瓶に接続されたとき、バイアル瓶の内側と外側大気の間のガス置換を実質的に抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ診断用薬剤のためのバイアル瓶などの医療用投薬容器などの医療用投薬容器に液体を輸送し、あるいは医療用投薬容器から液体を輸送するために用いられる液体輸送デバイス、ならびに上述のデバイスおよび容器を有する薬剤キットに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスまたはポリマ材料で形成された医療用投薬容器の押し潰すことができない壁には、医療用液体が抽出されるときに真空が形成されないように空気吸入口が設けられている。医療用流体を含むバイアル瓶は、通常、医療用流体が流れるダクトと通気ダクトとを有する輸送デバイスのスパイクで穿孔されたゴム栓を用いて閉栓されている。液体流体ダクトおよび通気ダクトを有するデバイスの具体例が、例えば、米国特許3,797,521号、第4,262,671号、第4,623,343号、第4,857,068号、第5,041,106号、および第6,139,534号に開示されている。
【0003】
本発明は、特に、液体を追加することにより再生成可能な薬剤収容容器に液体を搬送し、再生成された薬剤を容器から抽出することに関連する。とりわけ本発明に係るデバイスは、たとえば、超音波診断および/または治療用途のガス充填微小泡などの気体成分を含む、いくつかの診断用または治療用の薬剤を用意し、投薬するのに適している。
【0004】
超音波診断および/または治療用途のためのガス充填微小胞は、水性媒体中に分散した数ミクロン径を有する気泡の懸濁液を有する。特に興味があるのは、例えば乳化剤、オイル、増粘剤または糖類などの適当な添加剤などにより、あるいはさまざまな径におけるガスまたはその前駆体を取り込むか、封入することにより安定化させた気泡である。これらの薬剤は、原則的に、静脈または動脈注射として利用されるものとして設計されており、例えば、後方散乱組織特性の空間分布に基づいたBモード画像形成技術、あるいは(血液フローまたは液体フローのパラメータを特定するための、連続波または超音波エコーのパルス波ドップラ解析技術に基づいた)ドップラ信号解析技術を採用した超音波検査装置とともに利用される。
【0005】
第1のカテゴリに属する安定化させた気泡または微小胞は、当該技術分野では、一般に「マイクロバルブ(微小気泡)」と呼ばれ、水性懸濁液を含み、その中では、気体バブルが、気体/液体の界面にある安定化両親媒性材料を含む極めて薄い膜(フィルム)を介して気体/液体の界面で結合している。通常、マイクロバルブ懸濁液は、後に投薬できるように、マイクロバルブ懸濁液を形成するために撹拌しながら、たとえば、空気または他のガス雰囲気中の後に水性キャリア中で事前作成されたリポソームをフリーズドライしたもの、あるいはリン脂質溶液をフリーズドライまたはスプレードライしたものなどの粉末化された両親媒性材料に接触させることにより作製される。
【0006】
ガスマイクロバルブの水性懸濁液の具体例およびその作製手法の具体例が、たとえば米国特許第5,271,928号、第5,445,813号、第5,413,774号、第5,556,610号、第5,597,549号、第5,827,504号、国際特許公開97/29783号および国際特許公開04/069284号に記載されている。
【0007】
市販されているこのタイプの超音波造影剤の一例として、SonoVue(登録商標)(Bracco International BV)がある。
【0008】
第1のカテゴリに属する微小胞は、当該技術分野では、一般に「マイクロバルーン」または「マイクロカプセル」と呼ばれ、水性懸濁液を含み、その中では、気体からなる小胞が脂質ポリマ、天然ポリマ、または合成ポリマの固体からなる物質の膜で包囲されている。マイクロバルーンおよびその作製手法の具体例が、たとえば米国特許第5,711,933号および第6,333,021号に開示されている。
【0009】
好適な生理学的に受容可能な液体に含まれるガス充填微小胞の懸濁液として上記薬剤が投薬されるが、保管に際しては、一般に、上述の特許および特許出願に開示された(たとえば凍結乾燥させた)乾燥状態にある上記微小胞の前駆物質を用いることが好ましい。生理学的に許容可能な液体キャリアに(好適にはこれを撹拌しながら)、適当なガス(たとえばフッ素化ガス)を含有する上記乾燥した前駆物質を添加することにより、微小胞懸濁液を得る。乾燥した前駆物質は、たとえば(ガラス製の)所望ガスを含有するバイアル瓶内に保管することができるが、このときバイアル瓶は適当な(ゴム製の)ストッパで封止され、ストッパを介して液体キャリアが注入される。すなわち造影剤の生成は、(乾燥前駆物質およびガスを含む)バイアル瓶と、(生理学的に受容可能な液体を含む)事前に配設されたシリンジとを備えたキット内で行われる。このシリンジには適当な液体輸送デバイスを付属させることができ、この液体輸送デバイスは、ストッパを穿孔するスパイクと、液体キャリアをバイアル瓶に注入し、生成されたマイクロバルブ懸濁液をバイアル瓶から抽出するための第1の導管と、液体の注入時および抽出時にガス/空気フローの容器からの出入りを許容する第2の導管(排気管)とを有する。こうしたデバイスの具体例が、たとえば米国特許第6,743,214号に開示されている。
【0010】
しかし、液体を添加してガス充填マイクロバルブの懸濁液を再生成した後、使用前の比較的に長い時間(数時間)、再生成された懸濁液をバイアル瓶内で保管することが好ましいことがある。本願出願人が確認したところによれば、再生成された懸濁液を比較的に長い時間保管していた場合、とりわけ容器の内部に含まれるガスと外側にある大気とが置換することに起因して、いくつかの問題が生じ得る。こうした問題は、容器の内部と外側大気との間に液体−気体の直接的な流路が形成され、その結果として容器の内側に空気入口が配置される場合、(米国特許第6,743,214号で開示されたような)液体輸送デバイスを用いたときに生じ得る。微小胞を充填するために用いられるフッ素化ガスは、(たとえば欧州特許第682 530号で開示されたような)ガス充填微小胞の特性および安定性を実質的に変えることなく、極めて大量の空気と(たとえば70〜80%の空気容量で)混合させることが可能であることが確認されているが、過剰に大量の空気はやはり特性および安定性に悪影響を与えるおそれがある。さらに、ガス充填微小胞は、(たとえば欧州特許第682 530号で開示されたように)すでにフッ素化ガスおよび空気の混合物を含んでいる場合、こうした空気入口に起因する悪影響はより歴然となることがある。さらに、液体輸送デバイスをバイアル瓶に接続し、シリンジを接続し、そして/または液体をバイアル瓶から抽出することなく、所定時間放置しているときにも同様に、上述の好ましくないガスと空気の置換が生じ得る。
【0011】
同時係属中の国際特許出願PCT/EP2005/056975号において、本願出願人は、定常状態条件下にあるときに上述のガスの置換を実質的に回避するために、液体輸送デバイスの通気孔に適当なバルブを挿入することを提案している。
【0012】
【特許文献1】米国特許3,797,521号明細書
【特許文献2】米国特許第4,262,671号明細書
【特許文献3】米国特許第4,623,343号明細書
【特許文献4】米国特許第4,857,068号明細書
【特許文献5】米国特許第5,041,106号明細書
【特許文献6】米国特許第6,139,534号明細書
【特許文献7】米国特許第5,271,928号明細書
【特許文献8】米国特許第5,445,813号明細書
【特許文献9】米国特許第5,413,774号明細書
【特許文献10】米国特許第5,556,610号明細書
【特許文献11】米国特許第5,597,549号明細書
【特許文献12】米国特許第5,827,504号明細書
【特許文献13】国際特許公開97/29783号パンフレット
【特許文献14】国際特許公開04/069284号パンフレット
【特許文献15】米国特許第6,333,021号明細書
【特許文献16】米国特許第5,711,933号明細書
【特許文献17】米国特許第6,743,214号明細書
【特許文献18】欧州特許第682 530号明細書
【特許文献19】国際特許出願PCT/EP2005/056975号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで本願出願人は、ほとんどの実際の状況において、定常状態条件下では前記ガス置換を回避する必要はないことを確認した。実際的な用途において出願人により確認されたところによれば、実際、定常状態条件下において限られた時間期間にわたってガス置換が実質的に抑制されれば十分である。すなわち本願出願人は、容器と外側周辺大気との間のガス置換を実質的に制限することができる新規な液体搬送デバイスを考案した。本願発明の好適な態様によれば、導管に流れるガスフローを物理的に中断する手段(バルブなど)を介在させることなく、搬送デバイスの通気孔を適正に寸法設計することにより、前記ガス置換を実質的に抑制することができる。とりわけ、前記寸法設計ステップは、従来式の通気孔に比して、通気孔の直径を縮小し、そして/または長さを増大させるステップを有する。
【0014】
本願発明に係る液体搬送デバイスは、好適には、液体注入時または液体抽出時に容器の内部圧力を制御するように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明の第1の態様は、薬剤を調製するための製薬キットに関し、このキットは、
a)内側空間を形成し、生理学的に受容可能なガスを含む医療用投薬容器と、
b)液体を容器に搬送し、かつ液体を容器から搬送するために容器に接続される液体搬送デバイスとを備え、
前記デバイスは、第1および第2の導管を有し、
第1の導管および第2の導管は、前記デバイスが容器に接続されたとき、内側空間と外側大気との間の流体接触を可能にし、
前記デバイスが容器に接続されて、液体フローが容器に出入りするとき、液体フローが第1の導管を介して流れ、第2の導管が容器と外側大気との間のガスフローを可能にし、
前記デバイスが容器に接続されて、定常状態条件下にあるとき、容器に含まれるガスの全体量の20%容量比未満のガスが、定常状態条件下で6時間にわたって外側大気と置換され、
第2の導管は、容器と外側大気との間のガスフローを遮断する手段を実質的に有さないことを特徴とする製薬キット。
【0016】
好適には、定常状態条件下において6時間、容器と外側大気との間のガス置換が実質的に抑制される。特に、好適には容器に含まれるガスの全体量の10%容量比未満、より好適には5%容量比未満のガスが置換される。
【0017】
好適には、第2の導管は、液体フローを容器に注入する際、容器の内部圧力が大気圧より300ミリバール以上に過剰に昇圧しないように寸法設計される。
【0018】
好適には、液体搬送デバイスは、バイアル瓶の内容物が微生物による汚染から保護するための、第2の導管に設けられたフィルタを有する。また、前記フィルタは、流体が容器から外側大気への漏れを防止する。前記フィルタは、液体を透過せず、気体を透過するフィルタであることが好ましい。より望ましくは、このフィルタは疎水性フィルタである。
【0019】
好適な実施形態によれば、搬送デバイスは、シリンジなどの流体注入器に接続するためのコネクタを有する。好適には、前記コネクタはルアコネクタである。
【0020】
好適な実施形態によれば、前記医療用投薬容器は、薬理学的活性を有する薬剤、診断上および/または治療上有効な薬剤を含む。この容器は堅い容器であり、好適にはガラス製などのバイアル瓶である。バイアル瓶は、実質的に円筒形状の本体部と、平坦なボトム部と、バイアル瓶の内容物を気密封止するストッパにより閉口された開口領域を有するトップ部とを有する。バイアル瓶の内容物は、たとえば生理学的に受容可能なガスに接触し、診断および/または治療のために用いられるガス充填されたマイクロバルブまたは微小孔の脂質沈着の乾燥した形態の懸濁液であってもよい。
【0021】
本願発明のさらなる態様は、上記説明した液体搬送デバイスと、薬理学活性を有する薬剤(たとえば乾燥した脂質沈着および生理学的に受容可能なガス)を含むバイアル瓶と、生理学的に受容可能な溶液(生理食塩水など)を事前に充填したシリンジとを備える製薬キットに関するものである。この液体搬送デバイスを用いて、バイアル瓶に溶液を注入し再生成された薬剤を抽出することができる。この薬剤は、生理学的に受容可能な液体に含まれるガス充填された微小孔またはマイクロバルブの懸濁液として投与される、超音波造影剤などの診断用の薬剤であることが好ましい。
【0022】
本願発明の特徴、およびこれにより生じる利点は、添付図面に図示された非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明からより明確となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本願発明に係る液体搬送デバイスは、定常状態条件下において(液体搬送デバイスが容器に接続されるが、液体フローが容器に出入りしないときに)、容器の内部容量と外部大気との間の気体の置換を実質的に抑制することができる。とりわけ本願発明において、気体置換の実質的な抑制とは、6時間の期間において容器の全体容量の約20%、好適には約10%、さらに好適には約5%の容量比以下の気体置換として定義することができる。本願出願人が確認したところによれば、定常状態条件下における容器と外部大気との間の気体置換は、(「排気管」として知られる)ガス導管の直径を縮小し、そして/またはその長さを増大することにより好適に抑制することができる。すなわち、一般的には、比較的に径が小さく、比較的に長いガス導管を用いることにより、比較的に長い時間、気体置換を実質的に回避することができる。しかしながら、本願出願人は、ガス導管の径があまりに小さい場合、そして/またはガス導管があまりに長い場合、容器に液体を迅速に注入する際、容器内部の圧力が過剰に高くなり(あるいは液体を迅速に抽出する際、容器内部の圧力が過剰に低くなり)、これは(ガス充填微小胞の懸濁液を用いる場合)ユーザにとって好ましいことではなく、容器内の内容物に悪影響を与え得る。本願発明に係る液体搬送デバイスのガス導管は、液体注入時または液体抽出時において、容器と外気の間の圧力差が好適には約300ミリバール以上、より好適には約200ミリバール以上、さらにより好適には約100ミリバール以上とならないように寸法設計されていることが好ましい。
【0024】
実際には、定常状態条件下にあるときに、気体置換を上記値以下に維持するためには、ガス導管の平均直径は約0.7mm未満、より好適には0.5mm未満、さらにより好適には0.4mm未満でなければならないことが確認された。一方、容器と外気の間に上述のような圧力差が生じないようにするためには、少なくとも約0.1mm以上、より好適には約0.2mm以上の直径を有する導管を選択する必要がある。明確とするために、本願明細書およびクレームの記載においては、ガス導管の「直径」とは、導管が実質的に一定の断面を有する場合の有効直径、または導管の断面が変化する場合の平均直径を意味するものとする。すなわち、たとえば導管の全体の長さが100mmであって、その内の10mmが0.1mmの直径を有し、残りの90mmが0.5mmの直径を有する場合、導管の(平均)直径は、0.46mmである。
【0025】
(導管が長い方が好ましい)気体置換の抑制、および(導管が短い方が好ましい)容器と外気の間の過剰な圧力差の形成の防止のための相反する要請を考慮しつつ、導管の長さは導管の直径に対応して決定される。一般に、この相反する要請を検討するために、より短い導管はより小さい直径を有し、より長い導管はより大きい直径を有する。ガス導管の長さは、好適には約2.5mm〜約400mm、より好適には約5mm〜約250mm、さらにより好適には約10mm〜約150mmである。一般的な助言として、ガス導管の長さと直径の比は、25〜600、好適には50〜500、より好適には150〜400である。
【0026】
ガス導管の上記寸法は、容器内のガス容量が少なくとも2mlであるとき、好適には約2ml〜約20mlであるとき、とりわけ好ましい。ガス容量がより大きいとき、単位時間で置換される同量のガスが(より多量の)全体容量に対するより小さい容量比率として表されるので、通常、ガス容量に応じて導管の平均直径を大きくすることができる。
【0027】
図7は、本願発明に係る搬送デバイスを用いて、薬理学的活性を有する薬剤を製剤する際のステップを概略的に示す。この搬送デバイスを用いて、生理学的に受容可能な液体キャリアを、薬理学的活性を有する薬剤を再生成するために、その前駆物質を含むバイアル瓶に注入する(バイアル瓶の全体容量は薬10mlである)。薬理学的活性を有する薬剤は、たとえば、(六フッ化硫黄またはパーフルオロブタンなどの)生理学的に受容可能なガス雰囲気中で、バイアル瓶の底部に配置された(リン脂質などを含む)乾燥粉末から再生成されたガス充填微小孔の懸濁液であってもよい。バイアル瓶および搬送デバイスからなる装置は、液体を注入・抽出するための第1の導管702と、ガスフローのための第2の導管703とが接続された筐体701として概略的に図示されている。図8は、図7のステップAからステップDの間に生じる圧力の変化を図示するための概略的な圧力グラフを示す。
【0028】
とりわけ、液体キャリアをバイアル瓶701に迅速に(たとえば2ml/秒の流速で)注入して正方向のフローが形成されたとき(ステップA)、容器内の圧力は所定の値(たとえば図8に示すように約100ミリバール)まで急激に上昇する。この圧力は、主に、注入速度および排気導管の寸法(特に直径)に依存する。液体注入が完了した後、(たとえばシリンジを所定位置に配置することにより)導管702を封止し、内部圧力を外部大気圧まで下げる(ステップB)。(たとえば再生成された懸濁液の形態にある)液体をバイアル瓶から抽出するために、バイアル瓶を上下反転させる。液体をバイアル瓶から抽出すると(ステップC)、バイアル瓶の内部圧力は最小値まで下がる。液体抽出完了時点で(ステップD)、内部圧力は再び上昇し、大気圧値と等しくなる。
【0029】
図1を参照すると、本願発明に係る第1の実施形態による液体搬送デバイスが図示されている。液体搬送デバイスは、投薬容器の閉鎖部を穿孔するための鋭利な端部104を含むスパイク101と、液体流体通路103と、先端部で開口するガス流路104とを有する。スパイク101は、流体通路103およびガス流路104を有する成形部品として形成されるが、ハンドル106を含む上側本体部105を保持するものである。流体通路103は、スパイク101の長手方向軸に実質的に平行にその長さにわたって貫通するように延び、搬送デバイスを外部デバイス(図示せず、たとえばシリンジ)に接続するための(ルアコネクタなどの)接続部品107の内部まで延びている。ガス流路104は、その最初の部分104aにおいて、流体通路103と平行して、スパイク101および本体部105を貫通するように延び、最後の部分104bにおいて、スパイク軸に対して半径方向外側に延びている。バイアル瓶の内容物が(液体抽出の際に空気入口からの)微生物による汚染から保護するために、任意的な疎水性フィルタ108がガス流路の端部に設けられることが好ましい。たとえば、液体を抽出する際にデバイス−バイアル瓶のアセンブリを上下反転させたとき、このフィルタはバイアル瓶の外側への液体の漏洩を防止する用に構成されていることが好ましい。疎水性フィルタは、通常、約0.20μm〜約0.50μmの細孔径(ポアサイズ)を有する。
【0030】
図2は、本願発明に係る択一的な実施形態による液体搬送デバイスを示すものである。この実施形態においては、ガス流路は、より大きな管状シート部202の内側に配設された導管201により構成され、管状シート部202は、これを封止し、内部に導管を固定するために、樹脂など(たとえば合成樹脂)のシール部材で充填されている。この実施形態によれば、スパイクの軸と平行に延びる導管の部分201aは、好都合にも短縮することができ、こうした短縮は、半径方向に螺旋状に延びる部分201bの長さを増大させることにより補償することができる。ガス流路に対する導管の長さは、導管の螺旋状部分201bの巻数を変更することにより、任意の特定の要請に応じて適当に構成することができる。
【0031】
図3は、本願発明に係るさらなる実施形態による液体搬送デバイスを示すものであって、このデバイスは、スパイクの軸に平行に延びるガス流路の部分の長さを好都合にも短縮することができる。図3に示すように、このデバイスは、好適には、上側部品301および下側部品302を有する。下側部品302は、スパイクの長手方向軸に平行に配置された液体流路303およびガス流路304を有する。搬送デバイスを外部デバイス(図示せず、たとえばシリンジ)に接続するために、液体流路はデバイスの上側部品301内にあって、さらに接続部品305まで延びる。接続部品305は、デバイスをシリンジに接続しないときには、好適にも液体通路(図示せず)を閉口する手段を有する。液体導管を閉口する手段の具体例として、たとえば(ここに参考に統合される米国特許第6,743,214号で開示されたような)自動閉鎖弁、および/または(前掲の米国特許第6,743,214号で開示されたような)着脱可能キャップがある。ガス流路304は、スパイクの軸に平行に配置された下部304aを有する。この下部は、渦巻状(spiroidal)流路部分304bに接続され、デバイスの下側部品302の上部に配設されている。渦巻状流路304bは、ガス通気孔306に至り、外部大気と連通している。ガス通気孔は、任意的には図1に関して説明したような疎水性フィルタを有する。上側部品301の底部301aは、図3に示すように平坦であってもよいし、あるいは渦巻状流路304aに対して鏡像の渦巻状流路を有して、これと適合するものであってもよい(図示せず)。いずれにせよ、下側部品と上側部品は協働して、スパイクの下部からガス通気孔まで延びる連続的なガス導管を形成する。この実施形態によれば、デバイスの軸に平行な部分の長さを変えることなく、特定の要請に応じて渦巻状流路の長さを変えることにより、ガス流路の長さは、任意の特定の要請に応じて都合よく構成することができる。
【0032】
液体をバイアル瓶に注入し、定常状態条件下にある容器および外部大気の間の気体置換を制御するために、上述した任意の搬送デバイスを、ガスを含むバイアル瓶とともに利用することができる。
【0033】
一例として、図4は、生理学的に受容可能なガスおよび凍結乾燥された残渣物(図示せず)を含むガラス製のバイアル瓶402を有し、図3に示す液体搬送デバイス401を備えたアセンブリを示すものである。搬送デバイスは、次に、接続部403を介して、凍結乾燥された残渣物を(ガス充填微小胞の懸濁液として)再生成するための液体を含むシリンジ(図示せず)と接続される。ガラス製のバイアル瓶は、通常、ゴム性ストッパ(図示せず)を有し、このストッパは、事前に充填されたシリンジに接続される搬送デバイスのスパイクにより孔が設けられて、バイアル瓶に対して液体を送出搬送することができる。搬送デバイスの上部は、螺旋状流路(図示せず)を介して、スパイクの底部にあるガス流路405の入口まで連通するガス通気孔404を有する。
【0034】
図5および図6は、本願発明に係る択一的な実施形態による液体搬送デバイスであって、ガス流路の断面積(または直径)が一定でないものを示すものである。当業者ならば理解されるように、狭窄部502,602をそれぞれのガス導管501,602に配設することにより、これに応じて導管の長さを短くすることができる。
【0035】
上述のように、本願発明に係る液体搬送デバイスを用いて、好適にも液体を容器に注入し、液体を容器から抽出することができる。
【0036】
上述のように、本願発明に係る液体搬送デバイスを有効に用いて、ガス状材料を含む薬理学的活性を有する薬剤を含有する容器に液体を注入し、その容器から液体を抽出することができる。ガス状材料が、超音波診断および/または治療方法において利用されているガス充填微小胞を生成するために用いられたガス状材料などの診断上および/または治療上有効な薬剤であるとき、この液体搬送デバイスを用いることは特に有用である。
【0037】
「薬理学的活性を有する薬剤」なる用語の意味するところは、有効量を服用したときに、診断上および/または治療上の効果を含む薬理学的効果が得られるような任意の薬剤またはその前駆物質を含むものである。薬理学的活性を有する薬剤の具体例として、診断用薬剤および/または生物活性剤が含まれる。
【0038】
「診断用薬剤」なる用語の意味するところは、患者の内部領域を画像化する方法、および患者の疾病の有無を診断する方法に関連して用いられる任意の化合物、組成物、または粒子を含むものである。診断用薬剤の具体例として、患者に対する超音波診断、磁気共鳴画像診断、X線画像診断、特にコンピュータ断層撮影診断、光学的画像診断、放射性画像診断、分子画像診断に際して利用されるマグネタイトナノ粒子などの造影剤が含まれる。
【0039】
「生物活性剤」なる用語の意味するところは、患者の疾病を治療するための方法などの治療用途において利用される任意の物質、組成物、または粒子を含むとともに、体内または体外で生物学的効果を与える、あるいは与え得る任意の物質を含むものである。生物活性剤の具体例として、薬物、薬剤、調合薬、蛋白質、オリゴペプチドおよびポリペプチドを含む天然または合成ペプチド、ビタミン、ステロイド剤、ヌクレオシド、ヌクレオチド、およびポリヌクレオチドなどの遺伝子物質が含まれる。
【0040】
とりわけ上記容器は、ここに参考として統合される米国特許第5,271,928号、第5,445,813号、第5,413,774号、第5,556,610号、第5,597,549号、第5,827,504号、国際特許公開97/29783号および国際特許公開04/069284号に記載されたようなガス充填微小胞の懸濁液を含有する(ガラス製などの)バイアル瓶であってもよい。好適な実施形態によれば、このバイアル瓶は、生理学的に受容可能なガスに接触した乾燥粉末状デポジット(堆積物)の形態を有する微小胞の前駆物質を有する。好適には、この微小胞およびその前駆物質は、両親媒性材料からなる層により安定化されたガス充填微小胞である。好適には、両親媒性材料は、ホズファチジルコリン、エチルホズファチジルコリン、ホズファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホズファチジルセリン、スフィンゴミエリンまたはこれらの混合物などの脂肪酸ジエステルなどのリン脂質を含む。リン脂質の好適な具体例として、ジラウロイル-ホズファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイル-ホズファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイル-ホズファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイル-ホズファチジルコリン(DAPC)、ジステアロイル-ホズファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイル-ホズファチジルコリン(DOPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPC)、ジペンタデカノイル-ホズファチジルコリン(DPDPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-ホズファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイル-ホズファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-ホズファチジルコリン(PSPC)、l-ステアロイル-2-パルミトイル-ホズファチジルコリン(SPPC)、1-パルミトイル-2-オレイル-ホズファチジルコリン(POPC)、1-オレイル-2-パルミトイル-ホズファチジルコリン(OPPC)、ジラウロイル-ホズファチジルグリセロール(DLPG)とそのアルカリ金属塩、ジアラキドイル-ホズファチジルグリセロール(DAPG) とそのアルカリ金属塩、ジミリストイル-ホズファチジルグリセロール(DMPG)とそのアルカリ金属塩、ジパルミトイル-ホズファチジルグリセロール(DPPG)とそのアルカリ金属塩、ジステアロイル-ホズファチジルグリセロール(DSPG)とそのアルカリ金属塩、ジオレオイル-ホズファチジルグリセロール(DOPG)のそのアルカリ金属塩、ジミリストイル-ホスファチジン酸(DMPA)とそのアルカリ金属塩、ジパルミトイル-ホスファチジン酸(DPPA)とそのアルカリ金属塩、ジステアロイル-ホスファチジン酸(DSPA)、ジアラキドイル-ホスファチジン酸(DAPA)とそのアルカリ金属塩、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジアラキドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DAPE)、ジリノレイル-ホスファチジルエタノールアミン(DLPE)、ジミリストイル-ホズファチジルセリン(DMPS)、ジアラキドイル-ホズファチジルセリン(DAPS)、ジパルミトイル-ホズファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイル-ホズファチジルセリン(DSPS)、ジオレオイル-ホズファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイル-スフィンゴミエリン(DPSP)、およびジステアロイル-スフィンゴミエリン(DSSP)が含まれる。
【0041】
リン脂質なる用語は、親水基が別の親水基に順次結合する場合のリン脂質などのさらなる変性リン脂質を含む。変性リン脂質の具体例は、ポリエチレングリコール(PEG)変性ホズファチジルエタノールアミンを含み、すなわち親水エタノールアミン部分が300〜5000ダルトンのさまざまな分子量を有するポリエチレングリコール分子と結合した場合のDPPE-PEGまたはDSPE-PEG、すなわちポリエチレングリコールポリマを有するDPPE(またはDSPE)などのホズファチジルエタノールアミンを含む。
【0042】
たとえばDPPE-PEG2000は、平均分子量が約2000のポリエチレングリコールポリマが結合したDPPEをいう。任意的には、リン脂質は、コレステロール、エルゴステロール、植物ステロール、シトステロール、ラノステロール、トコフェロール、没食子酸プロピルまたはアスコルビン酸パルミテート、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステリアン酸、アラキジン酸、およびこれらの派生物などの他の脂質と混合させてもよい。
【0043】
グリシンなどのアミノ酸、蔗糖、マンニトール、麦芽糖、トレハロース、ブドウ糖、乳糖またはサイクロデキストリンなどの多糖類、またはポリエチレン・グリコールなどのポリグリコールなどの凍結防止効果を有する充填剤を混合物に添加することができる。
【0044】
ガス前駆物質またはその混合物などの任意の生体適合性ガスを用いて、上記微小胞を充填することができる。
【0045】
本願明細書およびクレームにおいて、「生体適合性」または「生理的に受容可能な」なる用語は、副作用を与えず、あるいは組織の健康および正常な機能を害することなく(すなわち、許容できない毒性を呈することなく、顕著または制御できないアレルギ性反応を引き起こすことなく、あるいは病的症状または疾病状態を呈することなく)、患者に選択量を投与可能な(固体、液体、または気体の形態を有する)任意の化合物、材料および薬剤を意味する。
【0046】
適当なガスには、窒素、酸素、二酸化炭素、水素、亜酸化窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノンまたはクリプトンなどの希ガスまたは不活性ガス、Xe133またはKr81などの放射性ガス、過分極ヘリウム、過分極キセノンまたは過分極ネオンなどの過分極希ガス、低分子量炭化水素(たとえば、最大7つの炭素原子を含むもの)、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタンまたはイソペンタンなどのアルカン、シクロブタンまたはシクロペンタンなどのシクロアルカン、プロペン、ブテンまたはイソブテンなどのアルケン、アセチレンなどのアルキン、エーテル、ケトン、エステル、ハロゲン化され、フッ化され、あるいはパーフルオロ化された低分子量炭化水素(たとえば、最大7つの炭素原子を含むもの)、およびこれらの混合物を含むものであってもよい。ハロゲン化された炭化水素を用いる場合、好適には少なくともいくつかの、より好適にはすべてのハロゲン原子がフッ素原子である。
【0047】
ハロゲン化されたガスが好適であり、とりわけパーフルオロ化されたガスは超音波画像診断の分野において特に好適である。好適な化合物は、SF6またはパーフルオロカーボン(パーフルオロ化されたカーボン)、すなわちすべての水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素などのパーフルオロ化されたガスである。パーフルオロカーボンなる用語は、飽和パーフルオロカーボン、不飽和パーフルオロカーボン、および環状パーフルオロカーボンを含む。好適なパーフルオロカーボンには、たとえばCF4、C2F6、C3F8、C4F10、C5F12、C6F14、C7F14、C8F16、C9F18を含み、好適にはC3F8、C4F10、C5F12であって、任意的には空気または窒素を混合させる。
【0048】
ガスは、通常、たとえば欧州特許第1228770号で教示されているように、ほぼ大気圧(1020ミリバールプラスマイナス5%)または大気圧より低い圧力(900ミリバール以下)のもとで、凍結乾燥させた微小胞の前駆物質を含む容器の中に導入される。その後容器は、好適にはエラストマ製化合物またはポリイソブチレンまたはブチル製ゴムなどのエラストマ系の複数成分化合物で形成されたガスシールストッパを用いて封止される。便宜上、(日本のDaikyo Seikoから市販されている)ブチル製ゴムストッパを利用することかできる。
【0049】
その後、好適な生理学的に受容可能な液体キャリアを容器内に注入し、混合物を撹拌して注入可能な化合物を再生成することにより、微小胞懸濁液を生成することができる。微小胞に含まれるガスは、薬剤の薬理学的に活性を有する成分であって、とりわけ診断に有効に成分として機能する。
【0050】
好適な生理学的に受容可能な液体キャリアは滅菌水であって、生理食塩水(注入される最終的な製品が低張性でないように好適に調製してもよい)、あるいは塩、糖、糖アルコール、グリコール、または他の非イオン性ポリオール材料(ブドウ糖、蔗糖、ソルビット、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールなど)などの1つまたはそれ以上の張性制御物質の水溶液である。
【0051】
上記説明した液体搬送デバイスは、好都合にも、上記デバイスと、薬理学的活性を有する成分であるガス状材料を含む薬理学的活性を有する薬剤を有する容器とを備えたキットに包含することができる。このキットは、ガス充填微小胞の懸濁液を再生成するための生理学的に受容可能な液体キャリアをさらに有する。液体キャリアは、好適には別個の容器(通常シリンジの形態)に収容され、この別個の容器を用いて、液体搬送装置を介して、液体キャリアが容器内に注入され、再生成された懸濁液が抽出される。一般には、容器を手で振ることにより、懸濁液を再構成するため必要なエネルギを得ることができるが、懸濁液の適正な再生成を確実なものとするために、容器に十分なエネルギを与え、付加するための手段(渦流撹拌器)を設けることができる。
【0052】
すなわち、シリンジを上記説明した液体搬送デバイスに接続し、シリンジ内の生理学的に受容可能な液体キャリアを(所望のガスに接触させた状態で)ガス充填微小胞の乾燥粉末の前駆物質を含むバイアル瓶に案内し、バイアル瓶の内容物を撹拌し、得られた懸濁液を抽出することにより、液体搬送デバイスを用いて、ガス充填微小胞の懸濁液を再生成することができる。
【0053】
液体搬送デバイスの改善された特徴に起因して、再生成された薬剤のガス/空気の内容物を実質的に変質させることなく、薬理学的活性を有する薬剤を再生成した後、数時間または数日間、懸濁液を抽出することができる。
【実施例1】
【0054】
(異なるバルブを用いたときのガス置換の測定)
150個のバイアル瓶(それぞれの内容量が約11cm3)に、室温大気圧下でSF6ガスを充填し、ゴム製ストッパで封止する。
3つのバイアル瓶を50グループに分割し、以下に示す液体搬送デバイスを用いて、バイアル瓶のストッパのそれぞれに孔を開ける。
【0055】
デバイスD1(比較例)
デバイスD1は(ドイツのMelsungenにあるB. Braun Melsungen AG)から市販されているミニスパイク(Mini-spike、登録商標)の投薬ピンDP-1000である。
このデバイスは、図2に示すデバイスに対応し、管状シート部202において樹脂が欠落して、ガス導管201を構成する。すなわち管状シート部202は、長さが17mm、直径が1.10mmの(スパイク軸に平行な)第1の部分と、長さが11mmで、直径が4.25mmの(スパイク軸から半径方向外側に延びる)第2の部分とを有してなる、全体の長さが28mmで、平均直径が2.3mmのガス流路を有する。
【0056】
他の液体搬送デバイスの実施例(D2-D10)は、直径が異なり(0.17mm、0.28mm、0.58mm)、長さが異なる(2.5cm、5cm、10cm)さまざまなポリマ管を、上記ミニスパイク(登録商標)の投薬ピンの管状流路内に挿入し、樹脂(ドイツのデュッセルドルフにあるDegussa AGから市販されているカタリゾル20とともにアゴヴィット1900(登録商標))を用いて封止することにより作製した。0.17mmの直径を有するポリマ管に対しては、PEEKキャピラリ(スイスのウォーレンにあるFischer Scientific SA)を用いた。0.28mmおよび0.58mmの直径を有するポリマ管に対しては、ポリエチレン管(イギリスのハイズにあるSims Portex Ltd)を用いた。合計で9種類のデバイスを用い、それぞれのガス導管は以下の通りである。
デバイスD2:直径が0.17mm、長さが2.5cm
デバイスD3:直径が0.17mm、長さが5.0cm
デバイスD4:直径が0.17mm、長さが10cm
デバイスD5:直径が0.28mm、長さが2.5cm
デバイスD6:直径が0.28mm、長さが5.0cm
デバイスD7:直径が0.28mm、長さが10cm
デバイスD8:直径が0.58mm、長さが2.5cm
デバイスD9:直径が0.58mm、長さが5.5cm
デバイスD10:直径が0.58mm、長さが10cm
【0057】
3つのデバイスからなる各タイプのグループについて、それぞれの3つのバイアル瓶に孔を開ける。各グループの3つのバイアル瓶を用いて、穿孔された容器の中の空気の平均的な含有量を時間の関数として特定し、0分後、30分後、60分後、180分後、および360分後にそれぞれバイアル瓶から抽出し、米国のウィルミントンにあるヒューレッドパッカード社のヘッドスペース注入器と、TCD検出器(キャピラリコラム、オランダのベルゲンにあるChrompack International BVのクロムパック・プロット溶融シリカ25mm×0.32mmコーティングPoraplot Q)とを設けたヒューレッドパッカード社のガスクロマトグラフGC6890を用いて、SF6の残余濃度を測定する。100%に至る差異がバイアル瓶内に侵入した空気の容量を示す。図9〜図11は、上記実験結果を示し、搬送デバイスの排気設計(内径および長さ)を変更することにより、従来式の通気孔を有するデバイスに対して、空気の侵入を実質的に抑制できることを示すものである。
【実施例2】
【0058】
(注入時の過剰圧力の測定)
実施例1の液体搬送デバイス(D2-D10)を用いて、液体注入時のバイアル瓶内の圧力変化を測定するために、以下の装置を用いた。
較正差動圧力トランスデューサ(米国のレイクウッドにあるCOBE社から市販されたCOBE(登録商標)圧力センサ、品番:#041-500-5003)を20G11/2ニードルに取り付けた後、ゴム製ストッパに穿孔することによりバイアル瓶に挿入する。2mlの生理食塩水を充填したシリンジを実施例1のデバイスの液体導管に取り付けた後、実施例1で説明したようにバイアル瓶内に挿入する。シリンジプランジャを一定速度で移動させて、全体容量2mlの液体を実質的に同一の注入速度(2ml/秒)でバイアル瓶に注入する。図10〜図12は、異なる搬送デバイスD2〜D10を用いたときの、時間の関数としてバイアル瓶内の圧力変化を示すものである。これらの図面から明らかなように、直径が小さく、長い導管を有するデバイスほど、内部圧力は過剰に高くなる。
【実施例3】
【0059】
(択一的な排気管を有するデバイスに関するガス置換の測定)
6個のバイアル瓶(内容量が約11cm3)に、室温でほぼ大気圧下でSF6ガスを充填し、ゴム製ストッパで封止する。
3つのバイアル瓶からなる2つのグループに分割し、以下に示す液体搬送デバイスを用いて、それぞれのバイアル瓶のストッパに孔を開ける。
デバイスD1は上述のとおりである。
デバイスD11:図2に示すデバイスに基づき、デバイスD1のガス導管の半径方向外側に延びる部分に、直径が0.17mmで、長さが0.5mmのガス導管を形成することによりデバイスD1を変形したものである。
【0060】
分析的動作手順は実施例1で説明したものと同じである。ガス置換の度合いについて360分間測定される。下記の表1は、実験結果を示すものであり、搬送デバイスの排気設計を変更することにより、通常の通気孔を有するデバイスに対して、空気のバイアル瓶への侵入を実質的に抑制できることを示すものである。
【0061】
【表1】
【0062】
(注入時の過剰圧力の測定)
実施例2で行った動作手順を実施例3の排気管を有するデバイスに対して実施する。図15は、時間の関数としてバイアル瓶内の圧力変化を示すものである。
【実施例4】
【0063】
(択一的な排気管を有するデバイスに関するガス置換の測定)
12個のバイアル瓶(内容量が約11cm3)に、室温でほぼ大気圧下でC4F10ガスを充填し、ゴム製ストッパで封止する。
3つのバイアル瓶からなる4つのグループに分割し、以下に示す液体搬送デバイスを用いて、それぞれのバイアル瓶のストッパに孔を開ける。デバイスD1、デバイスD5、デバイスD6、デバイスD7。
分析的動作手順は実施例1で説明したものと同じである。ガス置換の度合いについて180分間測定される。
下記の表2は、実験結果を示すものであり、搬送デバイスの排気設計を変更することにより、通常の通気孔を有するデバイスに対して、空気のバイアル瓶への侵入を実質的に抑制できることを示すものである。
【0064】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本願発明に係る3つの実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図2】本願発明に係る3つの実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図3】本願発明に係る3つの実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図4】医療用投薬容器を備えた図3に示す液体搬送デバイスを示す。
【図5】本願発明に係る2つのさらなる実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図6】本願発明に係る2つのさらなる実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図7】本願発明に係る液体搬送デバイスを用いて薬剤を調製する際の工程を概略的に示す。
【図8】図7に示す調製ステップA〜Dにおける対応する圧力を示すグラフである。
【図9】異なる液体搬送デバイスを用いて測定された時間の関数としての空気拡散のグラフである。
【図10】異なる液体搬送デバイスを用いて測定された時間の関数としての空気拡散のグラフである。
【図11】異なる液体搬送デバイスを用いて測定された時間の関数としての空気拡散のグラフである。
【図12】さまざまな液体搬送デバイスを用いて液体を注入および抽出する際の圧力を示すグラフである。
【図13】さまざまな液体搬送デバイスを用いて液体を注入および抽出する際の圧力を示すグラフである。
【図14】さまざまな液体搬送デバイスを用いて液体を注入および抽出する際の圧力を示すグラフである。
【図15】本願発明に係るさらなる液体搬送デバイスを用いて液体を注入および抽出する際の圧力を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
101.スパイク、103.液体流体通路、104.ガス流路、105.上側本体部、106.ハンドル、107.接続部品、108.疎水性フィルタ、201.導管、202.管状シート部、301.上側部品、302.下側部品、303.液体流路、304.ガス流路、305.接続部品、401.液体搬送デバイス、402.バイアル瓶、403.接続部、404.ガス通気孔、405.ガス流路、502,602.狭窄部、501,602.ガス導管。
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ診断用薬剤のためのバイアル瓶などの医療用投薬容器などの医療用投薬容器に液体を輸送し、あるいは医療用投薬容器から液体を輸送するために用いられる液体輸送デバイス、ならびに上述のデバイスおよび容器を有する薬剤キットに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスまたはポリマ材料で形成された医療用投薬容器の押し潰すことができない壁には、医療用液体が抽出されるときに真空が形成されないように空気吸入口が設けられている。医療用流体を含むバイアル瓶は、通常、医療用流体が流れるダクトと通気ダクトとを有する輸送デバイスのスパイクで穿孔されたゴム栓を用いて閉栓されている。液体流体ダクトおよび通気ダクトを有するデバイスの具体例が、例えば、米国特許3,797,521号、第4,262,671号、第4,623,343号、第4,857,068号、第5,041,106号、および第6,139,534号に開示されている。
【0003】
本発明は、特に、液体を追加することにより再生成可能な薬剤収容容器に液体を搬送し、再生成された薬剤を容器から抽出することに関連する。とりわけ本発明に係るデバイスは、たとえば、超音波診断および/または治療用途のガス充填微小泡などの気体成分を含む、いくつかの診断用または治療用の薬剤を用意し、投薬するのに適している。
【0004】
超音波診断および/または治療用途のためのガス充填微小胞は、水性媒体中に分散した数ミクロン径を有する気泡の懸濁液を有する。特に興味があるのは、例えば乳化剤、オイル、増粘剤または糖類などの適当な添加剤などにより、あるいはさまざまな径におけるガスまたはその前駆体を取り込むか、封入することにより安定化させた気泡である。これらの薬剤は、原則的に、静脈または動脈注射として利用されるものとして設計されており、例えば、後方散乱組織特性の空間分布に基づいたBモード画像形成技術、あるいは(血液フローまたは液体フローのパラメータを特定するための、連続波または超音波エコーのパルス波ドップラ解析技術に基づいた)ドップラ信号解析技術を採用した超音波検査装置とともに利用される。
【0005】
第1のカテゴリに属する安定化させた気泡または微小胞は、当該技術分野では、一般に「マイクロバルブ(微小気泡)」と呼ばれ、水性懸濁液を含み、その中では、気体バブルが、気体/液体の界面にある安定化両親媒性材料を含む極めて薄い膜(フィルム)を介して気体/液体の界面で結合している。通常、マイクロバルブ懸濁液は、後に投薬できるように、マイクロバルブ懸濁液を形成するために撹拌しながら、たとえば、空気または他のガス雰囲気中の後に水性キャリア中で事前作成されたリポソームをフリーズドライしたもの、あるいはリン脂質溶液をフリーズドライまたはスプレードライしたものなどの粉末化された両親媒性材料に接触させることにより作製される。
【0006】
ガスマイクロバルブの水性懸濁液の具体例およびその作製手法の具体例が、たとえば米国特許第5,271,928号、第5,445,813号、第5,413,774号、第5,556,610号、第5,597,549号、第5,827,504号、国際特許公開97/29783号および国際特許公開04/069284号に記載されている。
【0007】
市販されているこのタイプの超音波造影剤の一例として、SonoVue(登録商標)(Bracco International BV)がある。
【0008】
第1のカテゴリに属する微小胞は、当該技術分野では、一般に「マイクロバルーン」または「マイクロカプセル」と呼ばれ、水性懸濁液を含み、その中では、気体からなる小胞が脂質ポリマ、天然ポリマ、または合成ポリマの固体からなる物質の膜で包囲されている。マイクロバルーンおよびその作製手法の具体例が、たとえば米国特許第5,711,933号および第6,333,021号に開示されている。
【0009】
好適な生理学的に受容可能な液体に含まれるガス充填微小胞の懸濁液として上記薬剤が投薬されるが、保管に際しては、一般に、上述の特許および特許出願に開示された(たとえば凍結乾燥させた)乾燥状態にある上記微小胞の前駆物質を用いることが好ましい。生理学的に許容可能な液体キャリアに(好適にはこれを撹拌しながら)、適当なガス(たとえばフッ素化ガス)を含有する上記乾燥した前駆物質を添加することにより、微小胞懸濁液を得る。乾燥した前駆物質は、たとえば(ガラス製の)所望ガスを含有するバイアル瓶内に保管することができるが、このときバイアル瓶は適当な(ゴム製の)ストッパで封止され、ストッパを介して液体キャリアが注入される。すなわち造影剤の生成は、(乾燥前駆物質およびガスを含む)バイアル瓶と、(生理学的に受容可能な液体を含む)事前に配設されたシリンジとを備えたキット内で行われる。このシリンジには適当な液体輸送デバイスを付属させることができ、この液体輸送デバイスは、ストッパを穿孔するスパイクと、液体キャリアをバイアル瓶に注入し、生成されたマイクロバルブ懸濁液をバイアル瓶から抽出するための第1の導管と、液体の注入時および抽出時にガス/空気フローの容器からの出入りを許容する第2の導管(排気管)とを有する。こうしたデバイスの具体例が、たとえば米国特許第6,743,214号に開示されている。
【0010】
しかし、液体を添加してガス充填マイクロバルブの懸濁液を再生成した後、使用前の比較的に長い時間(数時間)、再生成された懸濁液をバイアル瓶内で保管することが好ましいことがある。本願出願人が確認したところによれば、再生成された懸濁液を比較的に長い時間保管していた場合、とりわけ容器の内部に含まれるガスと外側にある大気とが置換することに起因して、いくつかの問題が生じ得る。こうした問題は、容器の内部と外側大気との間に液体−気体の直接的な流路が形成され、その結果として容器の内側に空気入口が配置される場合、(米国特許第6,743,214号で開示されたような)液体輸送デバイスを用いたときに生じ得る。微小胞を充填するために用いられるフッ素化ガスは、(たとえば欧州特許第682 530号で開示されたような)ガス充填微小胞の特性および安定性を実質的に変えることなく、極めて大量の空気と(たとえば70〜80%の空気容量で)混合させることが可能であることが確認されているが、過剰に大量の空気はやはり特性および安定性に悪影響を与えるおそれがある。さらに、ガス充填微小胞は、(たとえば欧州特許第682 530号で開示されたように)すでにフッ素化ガスおよび空気の混合物を含んでいる場合、こうした空気入口に起因する悪影響はより歴然となることがある。さらに、液体輸送デバイスをバイアル瓶に接続し、シリンジを接続し、そして/または液体をバイアル瓶から抽出することなく、所定時間放置しているときにも同様に、上述の好ましくないガスと空気の置換が生じ得る。
【0011】
同時係属中の国際特許出願PCT/EP2005/056975号において、本願出願人は、定常状態条件下にあるときに上述のガスの置換を実質的に回避するために、液体輸送デバイスの通気孔に適当なバルブを挿入することを提案している。
【0012】
【特許文献1】米国特許3,797,521号明細書
【特許文献2】米国特許第4,262,671号明細書
【特許文献3】米国特許第4,623,343号明細書
【特許文献4】米国特許第4,857,068号明細書
【特許文献5】米国特許第5,041,106号明細書
【特許文献6】米国特許第6,139,534号明細書
【特許文献7】米国特許第5,271,928号明細書
【特許文献8】米国特許第5,445,813号明細書
【特許文献9】米国特許第5,413,774号明細書
【特許文献10】米国特許第5,556,610号明細書
【特許文献11】米国特許第5,597,549号明細書
【特許文献12】米国特許第5,827,504号明細書
【特許文献13】国際特許公開97/29783号パンフレット
【特許文献14】国際特許公開04/069284号パンフレット
【特許文献15】米国特許第6,333,021号明細書
【特許文献16】米国特許第5,711,933号明細書
【特許文献17】米国特許第6,743,214号明細書
【特許文献18】欧州特許第682 530号明細書
【特許文献19】国際特許出願PCT/EP2005/056975号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで本願出願人は、ほとんどの実際の状況において、定常状態条件下では前記ガス置換を回避する必要はないことを確認した。実際的な用途において出願人により確認されたところによれば、実際、定常状態条件下において限られた時間期間にわたってガス置換が実質的に抑制されれば十分である。すなわち本願出願人は、容器と外側周辺大気との間のガス置換を実質的に制限することができる新規な液体搬送デバイスを考案した。本願発明の好適な態様によれば、導管に流れるガスフローを物理的に中断する手段(バルブなど)を介在させることなく、搬送デバイスの通気孔を適正に寸法設計することにより、前記ガス置換を実質的に抑制することができる。とりわけ、前記寸法設計ステップは、従来式の通気孔に比して、通気孔の直径を縮小し、そして/または長さを増大させるステップを有する。
【0014】
本願発明に係る液体搬送デバイスは、好適には、液体注入時または液体抽出時に容器の内部圧力を制御するように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明の第1の態様は、薬剤を調製するための製薬キットに関し、このキットは、
a)内側空間を形成し、生理学的に受容可能なガスを含む医療用投薬容器と、
b)液体を容器に搬送し、かつ液体を容器から搬送するために容器に接続される液体搬送デバイスとを備え、
前記デバイスは、第1および第2の導管を有し、
第1の導管および第2の導管は、前記デバイスが容器に接続されたとき、内側空間と外側大気との間の流体接触を可能にし、
前記デバイスが容器に接続されて、液体フローが容器に出入りするとき、液体フローが第1の導管を介して流れ、第2の導管が容器と外側大気との間のガスフローを可能にし、
前記デバイスが容器に接続されて、定常状態条件下にあるとき、容器に含まれるガスの全体量の20%容量比未満のガスが、定常状態条件下で6時間にわたって外側大気と置換され、
第2の導管は、容器と外側大気との間のガスフローを遮断する手段を実質的に有さないことを特徴とする製薬キット。
【0016】
好適には、定常状態条件下において6時間、容器と外側大気との間のガス置換が実質的に抑制される。特に、好適には容器に含まれるガスの全体量の10%容量比未満、より好適には5%容量比未満のガスが置換される。
【0017】
好適には、第2の導管は、液体フローを容器に注入する際、容器の内部圧力が大気圧より300ミリバール以上に過剰に昇圧しないように寸法設計される。
【0018】
好適には、液体搬送デバイスは、バイアル瓶の内容物が微生物による汚染から保護するための、第2の導管に設けられたフィルタを有する。また、前記フィルタは、流体が容器から外側大気への漏れを防止する。前記フィルタは、液体を透過せず、気体を透過するフィルタであることが好ましい。より望ましくは、このフィルタは疎水性フィルタである。
【0019】
好適な実施形態によれば、搬送デバイスは、シリンジなどの流体注入器に接続するためのコネクタを有する。好適には、前記コネクタはルアコネクタである。
【0020】
好適な実施形態によれば、前記医療用投薬容器は、薬理学的活性を有する薬剤、診断上および/または治療上有効な薬剤を含む。この容器は堅い容器であり、好適にはガラス製などのバイアル瓶である。バイアル瓶は、実質的に円筒形状の本体部と、平坦なボトム部と、バイアル瓶の内容物を気密封止するストッパにより閉口された開口領域を有するトップ部とを有する。バイアル瓶の内容物は、たとえば生理学的に受容可能なガスに接触し、診断および/または治療のために用いられるガス充填されたマイクロバルブまたは微小孔の脂質沈着の乾燥した形態の懸濁液であってもよい。
【0021】
本願発明のさらなる態様は、上記説明した液体搬送デバイスと、薬理学活性を有する薬剤(たとえば乾燥した脂質沈着および生理学的に受容可能なガス)を含むバイアル瓶と、生理学的に受容可能な溶液(生理食塩水など)を事前に充填したシリンジとを備える製薬キットに関するものである。この液体搬送デバイスを用いて、バイアル瓶に溶液を注入し再生成された薬剤を抽出することができる。この薬剤は、生理学的に受容可能な液体に含まれるガス充填された微小孔またはマイクロバルブの懸濁液として投与される、超音波造影剤などの診断用の薬剤であることが好ましい。
【0022】
本願発明の特徴、およびこれにより生じる利点は、添付図面に図示された非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明からより明確となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本願発明に係る液体搬送デバイスは、定常状態条件下において(液体搬送デバイスが容器に接続されるが、液体フローが容器に出入りしないときに)、容器の内部容量と外部大気との間の気体の置換を実質的に抑制することができる。とりわけ本願発明において、気体置換の実質的な抑制とは、6時間の期間において容器の全体容量の約20%、好適には約10%、さらに好適には約5%の容量比以下の気体置換として定義することができる。本願出願人が確認したところによれば、定常状態条件下における容器と外部大気との間の気体置換は、(「排気管」として知られる)ガス導管の直径を縮小し、そして/またはその長さを増大することにより好適に抑制することができる。すなわち、一般的には、比較的に径が小さく、比較的に長いガス導管を用いることにより、比較的に長い時間、気体置換を実質的に回避することができる。しかしながら、本願出願人は、ガス導管の径があまりに小さい場合、そして/またはガス導管があまりに長い場合、容器に液体を迅速に注入する際、容器内部の圧力が過剰に高くなり(あるいは液体を迅速に抽出する際、容器内部の圧力が過剰に低くなり)、これは(ガス充填微小胞の懸濁液を用いる場合)ユーザにとって好ましいことではなく、容器内の内容物に悪影響を与え得る。本願発明に係る液体搬送デバイスのガス導管は、液体注入時または液体抽出時において、容器と外気の間の圧力差が好適には約300ミリバール以上、より好適には約200ミリバール以上、さらにより好適には約100ミリバール以上とならないように寸法設計されていることが好ましい。
【0024】
実際には、定常状態条件下にあるときに、気体置換を上記値以下に維持するためには、ガス導管の平均直径は約0.7mm未満、より好適には0.5mm未満、さらにより好適には0.4mm未満でなければならないことが確認された。一方、容器と外気の間に上述のような圧力差が生じないようにするためには、少なくとも約0.1mm以上、より好適には約0.2mm以上の直径を有する導管を選択する必要がある。明確とするために、本願明細書およびクレームの記載においては、ガス導管の「直径」とは、導管が実質的に一定の断面を有する場合の有効直径、または導管の断面が変化する場合の平均直径を意味するものとする。すなわち、たとえば導管の全体の長さが100mmであって、その内の10mmが0.1mmの直径を有し、残りの90mmが0.5mmの直径を有する場合、導管の(平均)直径は、0.46mmである。
【0025】
(導管が長い方が好ましい)気体置換の抑制、および(導管が短い方が好ましい)容器と外気の間の過剰な圧力差の形成の防止のための相反する要請を考慮しつつ、導管の長さは導管の直径に対応して決定される。一般に、この相反する要請を検討するために、より短い導管はより小さい直径を有し、より長い導管はより大きい直径を有する。ガス導管の長さは、好適には約2.5mm〜約400mm、より好適には約5mm〜約250mm、さらにより好適には約10mm〜約150mmである。一般的な助言として、ガス導管の長さと直径の比は、25〜600、好適には50〜500、より好適には150〜400である。
【0026】
ガス導管の上記寸法は、容器内のガス容量が少なくとも2mlであるとき、好適には約2ml〜約20mlであるとき、とりわけ好ましい。ガス容量がより大きいとき、単位時間で置換される同量のガスが(より多量の)全体容量に対するより小さい容量比率として表されるので、通常、ガス容量に応じて導管の平均直径を大きくすることができる。
【0027】
図7は、本願発明に係る搬送デバイスを用いて、薬理学的活性を有する薬剤を製剤する際のステップを概略的に示す。この搬送デバイスを用いて、生理学的に受容可能な液体キャリアを、薬理学的活性を有する薬剤を再生成するために、その前駆物質を含むバイアル瓶に注入する(バイアル瓶の全体容量は薬10mlである)。薬理学的活性を有する薬剤は、たとえば、(六フッ化硫黄またはパーフルオロブタンなどの)生理学的に受容可能なガス雰囲気中で、バイアル瓶の底部に配置された(リン脂質などを含む)乾燥粉末から再生成されたガス充填微小孔の懸濁液であってもよい。バイアル瓶および搬送デバイスからなる装置は、液体を注入・抽出するための第1の導管702と、ガスフローのための第2の導管703とが接続された筐体701として概略的に図示されている。図8は、図7のステップAからステップDの間に生じる圧力の変化を図示するための概略的な圧力グラフを示す。
【0028】
とりわけ、液体キャリアをバイアル瓶701に迅速に(たとえば2ml/秒の流速で)注入して正方向のフローが形成されたとき(ステップA)、容器内の圧力は所定の値(たとえば図8に示すように約100ミリバール)まで急激に上昇する。この圧力は、主に、注入速度および排気導管の寸法(特に直径)に依存する。液体注入が完了した後、(たとえばシリンジを所定位置に配置することにより)導管702を封止し、内部圧力を外部大気圧まで下げる(ステップB)。(たとえば再生成された懸濁液の形態にある)液体をバイアル瓶から抽出するために、バイアル瓶を上下反転させる。液体をバイアル瓶から抽出すると(ステップC)、バイアル瓶の内部圧力は最小値まで下がる。液体抽出完了時点で(ステップD)、内部圧力は再び上昇し、大気圧値と等しくなる。
【0029】
図1を参照すると、本願発明に係る第1の実施形態による液体搬送デバイスが図示されている。液体搬送デバイスは、投薬容器の閉鎖部を穿孔するための鋭利な端部104を含むスパイク101と、液体流体通路103と、先端部で開口するガス流路104とを有する。スパイク101は、流体通路103およびガス流路104を有する成形部品として形成されるが、ハンドル106を含む上側本体部105を保持するものである。流体通路103は、スパイク101の長手方向軸に実質的に平行にその長さにわたって貫通するように延び、搬送デバイスを外部デバイス(図示せず、たとえばシリンジ)に接続するための(ルアコネクタなどの)接続部品107の内部まで延びている。ガス流路104は、その最初の部分104aにおいて、流体通路103と平行して、スパイク101および本体部105を貫通するように延び、最後の部分104bにおいて、スパイク軸に対して半径方向外側に延びている。バイアル瓶の内容物が(液体抽出の際に空気入口からの)微生物による汚染から保護するために、任意的な疎水性フィルタ108がガス流路の端部に設けられることが好ましい。たとえば、液体を抽出する際にデバイス−バイアル瓶のアセンブリを上下反転させたとき、このフィルタはバイアル瓶の外側への液体の漏洩を防止する用に構成されていることが好ましい。疎水性フィルタは、通常、約0.20μm〜約0.50μmの細孔径(ポアサイズ)を有する。
【0030】
図2は、本願発明に係る択一的な実施形態による液体搬送デバイスを示すものである。この実施形態においては、ガス流路は、より大きな管状シート部202の内側に配設された導管201により構成され、管状シート部202は、これを封止し、内部に導管を固定するために、樹脂など(たとえば合成樹脂)のシール部材で充填されている。この実施形態によれば、スパイクの軸と平行に延びる導管の部分201aは、好都合にも短縮することができ、こうした短縮は、半径方向に螺旋状に延びる部分201bの長さを増大させることにより補償することができる。ガス流路に対する導管の長さは、導管の螺旋状部分201bの巻数を変更することにより、任意の特定の要請に応じて適当に構成することができる。
【0031】
図3は、本願発明に係るさらなる実施形態による液体搬送デバイスを示すものであって、このデバイスは、スパイクの軸に平行に延びるガス流路の部分の長さを好都合にも短縮することができる。図3に示すように、このデバイスは、好適には、上側部品301および下側部品302を有する。下側部品302は、スパイクの長手方向軸に平行に配置された液体流路303およびガス流路304を有する。搬送デバイスを外部デバイス(図示せず、たとえばシリンジ)に接続するために、液体流路はデバイスの上側部品301内にあって、さらに接続部品305まで延びる。接続部品305は、デバイスをシリンジに接続しないときには、好適にも液体通路(図示せず)を閉口する手段を有する。液体導管を閉口する手段の具体例として、たとえば(ここに参考に統合される米国特許第6,743,214号で開示されたような)自動閉鎖弁、および/または(前掲の米国特許第6,743,214号で開示されたような)着脱可能キャップがある。ガス流路304は、スパイクの軸に平行に配置された下部304aを有する。この下部は、渦巻状(spiroidal)流路部分304bに接続され、デバイスの下側部品302の上部に配設されている。渦巻状流路304bは、ガス通気孔306に至り、外部大気と連通している。ガス通気孔は、任意的には図1に関して説明したような疎水性フィルタを有する。上側部品301の底部301aは、図3に示すように平坦であってもよいし、あるいは渦巻状流路304aに対して鏡像の渦巻状流路を有して、これと適合するものであってもよい(図示せず)。いずれにせよ、下側部品と上側部品は協働して、スパイクの下部からガス通気孔まで延びる連続的なガス導管を形成する。この実施形態によれば、デバイスの軸に平行な部分の長さを変えることなく、特定の要請に応じて渦巻状流路の長さを変えることにより、ガス流路の長さは、任意の特定の要請に応じて都合よく構成することができる。
【0032】
液体をバイアル瓶に注入し、定常状態条件下にある容器および外部大気の間の気体置換を制御するために、上述した任意の搬送デバイスを、ガスを含むバイアル瓶とともに利用することができる。
【0033】
一例として、図4は、生理学的に受容可能なガスおよび凍結乾燥された残渣物(図示せず)を含むガラス製のバイアル瓶402を有し、図3に示す液体搬送デバイス401を備えたアセンブリを示すものである。搬送デバイスは、次に、接続部403を介して、凍結乾燥された残渣物を(ガス充填微小胞の懸濁液として)再生成するための液体を含むシリンジ(図示せず)と接続される。ガラス製のバイアル瓶は、通常、ゴム性ストッパ(図示せず)を有し、このストッパは、事前に充填されたシリンジに接続される搬送デバイスのスパイクにより孔が設けられて、バイアル瓶に対して液体を送出搬送することができる。搬送デバイスの上部は、螺旋状流路(図示せず)を介して、スパイクの底部にあるガス流路405の入口まで連通するガス通気孔404を有する。
【0034】
図5および図6は、本願発明に係る択一的な実施形態による液体搬送デバイスであって、ガス流路の断面積(または直径)が一定でないものを示すものである。当業者ならば理解されるように、狭窄部502,602をそれぞれのガス導管501,602に配設することにより、これに応じて導管の長さを短くすることができる。
【0035】
上述のように、本願発明に係る液体搬送デバイスを用いて、好適にも液体を容器に注入し、液体を容器から抽出することができる。
【0036】
上述のように、本願発明に係る液体搬送デバイスを有効に用いて、ガス状材料を含む薬理学的活性を有する薬剤を含有する容器に液体を注入し、その容器から液体を抽出することができる。ガス状材料が、超音波診断および/または治療方法において利用されているガス充填微小胞を生成するために用いられたガス状材料などの診断上および/または治療上有効な薬剤であるとき、この液体搬送デバイスを用いることは特に有用である。
【0037】
「薬理学的活性を有する薬剤」なる用語の意味するところは、有効量を服用したときに、診断上および/または治療上の効果を含む薬理学的効果が得られるような任意の薬剤またはその前駆物質を含むものである。薬理学的活性を有する薬剤の具体例として、診断用薬剤および/または生物活性剤が含まれる。
【0038】
「診断用薬剤」なる用語の意味するところは、患者の内部領域を画像化する方法、および患者の疾病の有無を診断する方法に関連して用いられる任意の化合物、組成物、または粒子を含むものである。診断用薬剤の具体例として、患者に対する超音波診断、磁気共鳴画像診断、X線画像診断、特にコンピュータ断層撮影診断、光学的画像診断、放射性画像診断、分子画像診断に際して利用されるマグネタイトナノ粒子などの造影剤が含まれる。
【0039】
「生物活性剤」なる用語の意味するところは、患者の疾病を治療するための方法などの治療用途において利用される任意の物質、組成物、または粒子を含むとともに、体内または体外で生物学的効果を与える、あるいは与え得る任意の物質を含むものである。生物活性剤の具体例として、薬物、薬剤、調合薬、蛋白質、オリゴペプチドおよびポリペプチドを含む天然または合成ペプチド、ビタミン、ステロイド剤、ヌクレオシド、ヌクレオチド、およびポリヌクレオチドなどの遺伝子物質が含まれる。
【0040】
とりわけ上記容器は、ここに参考として統合される米国特許第5,271,928号、第5,445,813号、第5,413,774号、第5,556,610号、第5,597,549号、第5,827,504号、国際特許公開97/29783号および国際特許公開04/069284号に記載されたようなガス充填微小胞の懸濁液を含有する(ガラス製などの)バイアル瓶であってもよい。好適な実施形態によれば、このバイアル瓶は、生理学的に受容可能なガスに接触した乾燥粉末状デポジット(堆積物)の形態を有する微小胞の前駆物質を有する。好適には、この微小胞およびその前駆物質は、両親媒性材料からなる層により安定化されたガス充填微小胞である。好適には、両親媒性材料は、ホズファチジルコリン、エチルホズファチジルコリン、ホズファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホズファチジルセリン、スフィンゴミエリンまたはこれらの混合物などの脂肪酸ジエステルなどのリン脂質を含む。リン脂質の好適な具体例として、ジラウロイル-ホズファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイル-ホズファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイル-ホズファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイル-ホズファチジルコリン(DAPC)、ジステアロイル-ホズファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイル-ホズファチジルコリン(DOPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPC)、ジペンタデカノイル-ホズファチジルコリン(DPDPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-ホズファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイル-ホズファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-ホズファチジルコリン(PSPC)、l-ステアロイル-2-パルミトイル-ホズファチジルコリン(SPPC)、1-パルミトイル-2-オレイル-ホズファチジルコリン(POPC)、1-オレイル-2-パルミトイル-ホズファチジルコリン(OPPC)、ジラウロイル-ホズファチジルグリセロール(DLPG)とそのアルカリ金属塩、ジアラキドイル-ホズファチジルグリセロール(DAPG) とそのアルカリ金属塩、ジミリストイル-ホズファチジルグリセロール(DMPG)とそのアルカリ金属塩、ジパルミトイル-ホズファチジルグリセロール(DPPG)とそのアルカリ金属塩、ジステアロイル-ホズファチジルグリセロール(DSPG)とそのアルカリ金属塩、ジオレオイル-ホズファチジルグリセロール(DOPG)のそのアルカリ金属塩、ジミリストイル-ホスファチジン酸(DMPA)とそのアルカリ金属塩、ジパルミトイル-ホスファチジン酸(DPPA)とそのアルカリ金属塩、ジステアロイル-ホスファチジン酸(DSPA)、ジアラキドイル-ホスファチジン酸(DAPA)とそのアルカリ金属塩、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジアラキドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DAPE)、ジリノレイル-ホスファチジルエタノールアミン(DLPE)、ジミリストイル-ホズファチジルセリン(DMPS)、ジアラキドイル-ホズファチジルセリン(DAPS)、ジパルミトイル-ホズファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイル-ホズファチジルセリン(DSPS)、ジオレオイル-ホズファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイル-スフィンゴミエリン(DPSP)、およびジステアロイル-スフィンゴミエリン(DSSP)が含まれる。
【0041】
リン脂質なる用語は、親水基が別の親水基に順次結合する場合のリン脂質などのさらなる変性リン脂質を含む。変性リン脂質の具体例は、ポリエチレングリコール(PEG)変性ホズファチジルエタノールアミンを含み、すなわち親水エタノールアミン部分が300〜5000ダルトンのさまざまな分子量を有するポリエチレングリコール分子と結合した場合のDPPE-PEGまたはDSPE-PEG、すなわちポリエチレングリコールポリマを有するDPPE(またはDSPE)などのホズファチジルエタノールアミンを含む。
【0042】
たとえばDPPE-PEG2000は、平均分子量が約2000のポリエチレングリコールポリマが結合したDPPEをいう。任意的には、リン脂質は、コレステロール、エルゴステロール、植物ステロール、シトステロール、ラノステロール、トコフェロール、没食子酸プロピルまたはアスコルビン酸パルミテート、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステリアン酸、アラキジン酸、およびこれらの派生物などの他の脂質と混合させてもよい。
【0043】
グリシンなどのアミノ酸、蔗糖、マンニトール、麦芽糖、トレハロース、ブドウ糖、乳糖またはサイクロデキストリンなどの多糖類、またはポリエチレン・グリコールなどのポリグリコールなどの凍結防止効果を有する充填剤を混合物に添加することができる。
【0044】
ガス前駆物質またはその混合物などの任意の生体適合性ガスを用いて、上記微小胞を充填することができる。
【0045】
本願明細書およびクレームにおいて、「生体適合性」または「生理的に受容可能な」なる用語は、副作用を与えず、あるいは組織の健康および正常な機能を害することなく(すなわち、許容できない毒性を呈することなく、顕著または制御できないアレルギ性反応を引き起こすことなく、あるいは病的症状または疾病状態を呈することなく)、患者に選択量を投与可能な(固体、液体、または気体の形態を有する)任意の化合物、材料および薬剤を意味する。
【0046】
適当なガスには、窒素、酸素、二酸化炭素、水素、亜酸化窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノンまたはクリプトンなどの希ガスまたは不活性ガス、Xe133またはKr81などの放射性ガス、過分極ヘリウム、過分極キセノンまたは過分極ネオンなどの過分極希ガス、低分子量炭化水素(たとえば、最大7つの炭素原子を含むもの)、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタンまたはイソペンタンなどのアルカン、シクロブタンまたはシクロペンタンなどのシクロアルカン、プロペン、ブテンまたはイソブテンなどのアルケン、アセチレンなどのアルキン、エーテル、ケトン、エステル、ハロゲン化され、フッ化され、あるいはパーフルオロ化された低分子量炭化水素(たとえば、最大7つの炭素原子を含むもの)、およびこれらの混合物を含むものであってもよい。ハロゲン化された炭化水素を用いる場合、好適には少なくともいくつかの、より好適にはすべてのハロゲン原子がフッ素原子である。
【0047】
ハロゲン化されたガスが好適であり、とりわけパーフルオロ化されたガスは超音波画像診断の分野において特に好適である。好適な化合物は、SF6またはパーフルオロカーボン(パーフルオロ化されたカーボン)、すなわちすべての水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素などのパーフルオロ化されたガスである。パーフルオロカーボンなる用語は、飽和パーフルオロカーボン、不飽和パーフルオロカーボン、および環状パーフルオロカーボンを含む。好適なパーフルオロカーボンには、たとえばCF4、C2F6、C3F8、C4F10、C5F12、C6F14、C7F14、C8F16、C9F18を含み、好適にはC3F8、C4F10、C5F12であって、任意的には空気または窒素を混合させる。
【0048】
ガスは、通常、たとえば欧州特許第1228770号で教示されているように、ほぼ大気圧(1020ミリバールプラスマイナス5%)または大気圧より低い圧力(900ミリバール以下)のもとで、凍結乾燥させた微小胞の前駆物質を含む容器の中に導入される。その後容器は、好適にはエラストマ製化合物またはポリイソブチレンまたはブチル製ゴムなどのエラストマ系の複数成分化合物で形成されたガスシールストッパを用いて封止される。便宜上、(日本のDaikyo Seikoから市販されている)ブチル製ゴムストッパを利用することかできる。
【0049】
その後、好適な生理学的に受容可能な液体キャリアを容器内に注入し、混合物を撹拌して注入可能な化合物を再生成することにより、微小胞懸濁液を生成することができる。微小胞に含まれるガスは、薬剤の薬理学的に活性を有する成分であって、とりわけ診断に有効に成分として機能する。
【0050】
好適な生理学的に受容可能な液体キャリアは滅菌水であって、生理食塩水(注入される最終的な製品が低張性でないように好適に調製してもよい)、あるいは塩、糖、糖アルコール、グリコール、または他の非イオン性ポリオール材料(ブドウ糖、蔗糖、ソルビット、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールなど)などの1つまたはそれ以上の張性制御物質の水溶液である。
【0051】
上記説明した液体搬送デバイスは、好都合にも、上記デバイスと、薬理学的活性を有する成分であるガス状材料を含む薬理学的活性を有する薬剤を有する容器とを備えたキットに包含することができる。このキットは、ガス充填微小胞の懸濁液を再生成するための生理学的に受容可能な液体キャリアをさらに有する。液体キャリアは、好適には別個の容器(通常シリンジの形態)に収容され、この別個の容器を用いて、液体搬送装置を介して、液体キャリアが容器内に注入され、再生成された懸濁液が抽出される。一般には、容器を手で振ることにより、懸濁液を再構成するため必要なエネルギを得ることができるが、懸濁液の適正な再生成を確実なものとするために、容器に十分なエネルギを与え、付加するための手段(渦流撹拌器)を設けることができる。
【0052】
すなわち、シリンジを上記説明した液体搬送デバイスに接続し、シリンジ内の生理学的に受容可能な液体キャリアを(所望のガスに接触させた状態で)ガス充填微小胞の乾燥粉末の前駆物質を含むバイアル瓶に案内し、バイアル瓶の内容物を撹拌し、得られた懸濁液を抽出することにより、液体搬送デバイスを用いて、ガス充填微小胞の懸濁液を再生成することができる。
【0053】
液体搬送デバイスの改善された特徴に起因して、再生成された薬剤のガス/空気の内容物を実質的に変質させることなく、薬理学的活性を有する薬剤を再生成した後、数時間または数日間、懸濁液を抽出することができる。
【実施例1】
【0054】
(異なるバルブを用いたときのガス置換の測定)
150個のバイアル瓶(それぞれの内容量が約11cm3)に、室温大気圧下でSF6ガスを充填し、ゴム製ストッパで封止する。
3つのバイアル瓶を50グループに分割し、以下に示す液体搬送デバイスを用いて、バイアル瓶のストッパのそれぞれに孔を開ける。
【0055】
デバイスD1(比較例)
デバイスD1は(ドイツのMelsungenにあるB. Braun Melsungen AG)から市販されているミニスパイク(Mini-spike、登録商標)の投薬ピンDP-1000である。
このデバイスは、図2に示すデバイスに対応し、管状シート部202において樹脂が欠落して、ガス導管201を構成する。すなわち管状シート部202は、長さが17mm、直径が1.10mmの(スパイク軸に平行な)第1の部分と、長さが11mmで、直径が4.25mmの(スパイク軸から半径方向外側に延びる)第2の部分とを有してなる、全体の長さが28mmで、平均直径が2.3mmのガス流路を有する。
【0056】
他の液体搬送デバイスの実施例(D2-D10)は、直径が異なり(0.17mm、0.28mm、0.58mm)、長さが異なる(2.5cm、5cm、10cm)さまざまなポリマ管を、上記ミニスパイク(登録商標)の投薬ピンの管状流路内に挿入し、樹脂(ドイツのデュッセルドルフにあるDegussa AGから市販されているカタリゾル20とともにアゴヴィット1900(登録商標))を用いて封止することにより作製した。0.17mmの直径を有するポリマ管に対しては、PEEKキャピラリ(スイスのウォーレンにあるFischer Scientific SA)を用いた。0.28mmおよび0.58mmの直径を有するポリマ管に対しては、ポリエチレン管(イギリスのハイズにあるSims Portex Ltd)を用いた。合計で9種類のデバイスを用い、それぞれのガス導管は以下の通りである。
デバイスD2:直径が0.17mm、長さが2.5cm
デバイスD3:直径が0.17mm、長さが5.0cm
デバイスD4:直径が0.17mm、長さが10cm
デバイスD5:直径が0.28mm、長さが2.5cm
デバイスD6:直径が0.28mm、長さが5.0cm
デバイスD7:直径が0.28mm、長さが10cm
デバイスD8:直径が0.58mm、長さが2.5cm
デバイスD9:直径が0.58mm、長さが5.5cm
デバイスD10:直径が0.58mm、長さが10cm
【0057】
3つのデバイスからなる各タイプのグループについて、それぞれの3つのバイアル瓶に孔を開ける。各グループの3つのバイアル瓶を用いて、穿孔された容器の中の空気の平均的な含有量を時間の関数として特定し、0分後、30分後、60分後、180分後、および360分後にそれぞれバイアル瓶から抽出し、米国のウィルミントンにあるヒューレッドパッカード社のヘッドスペース注入器と、TCD検出器(キャピラリコラム、オランダのベルゲンにあるChrompack International BVのクロムパック・プロット溶融シリカ25mm×0.32mmコーティングPoraplot Q)とを設けたヒューレッドパッカード社のガスクロマトグラフGC6890を用いて、SF6の残余濃度を測定する。100%に至る差異がバイアル瓶内に侵入した空気の容量を示す。図9〜図11は、上記実験結果を示し、搬送デバイスの排気設計(内径および長さ)を変更することにより、従来式の通気孔を有するデバイスに対して、空気の侵入を実質的に抑制できることを示すものである。
【実施例2】
【0058】
(注入時の過剰圧力の測定)
実施例1の液体搬送デバイス(D2-D10)を用いて、液体注入時のバイアル瓶内の圧力変化を測定するために、以下の装置を用いた。
較正差動圧力トランスデューサ(米国のレイクウッドにあるCOBE社から市販されたCOBE(登録商標)圧力センサ、品番:#041-500-5003)を20G11/2ニードルに取り付けた後、ゴム製ストッパに穿孔することによりバイアル瓶に挿入する。2mlの生理食塩水を充填したシリンジを実施例1のデバイスの液体導管に取り付けた後、実施例1で説明したようにバイアル瓶内に挿入する。シリンジプランジャを一定速度で移動させて、全体容量2mlの液体を実質的に同一の注入速度(2ml/秒)でバイアル瓶に注入する。図10〜図12は、異なる搬送デバイスD2〜D10を用いたときの、時間の関数としてバイアル瓶内の圧力変化を示すものである。これらの図面から明らかなように、直径が小さく、長い導管を有するデバイスほど、内部圧力は過剰に高くなる。
【実施例3】
【0059】
(択一的な排気管を有するデバイスに関するガス置換の測定)
6個のバイアル瓶(内容量が約11cm3)に、室温でほぼ大気圧下でSF6ガスを充填し、ゴム製ストッパで封止する。
3つのバイアル瓶からなる2つのグループに分割し、以下に示す液体搬送デバイスを用いて、それぞれのバイアル瓶のストッパに孔を開ける。
デバイスD1は上述のとおりである。
デバイスD11:図2に示すデバイスに基づき、デバイスD1のガス導管の半径方向外側に延びる部分に、直径が0.17mmで、長さが0.5mmのガス導管を形成することによりデバイスD1を変形したものである。
【0060】
分析的動作手順は実施例1で説明したものと同じである。ガス置換の度合いについて360分間測定される。下記の表1は、実験結果を示すものであり、搬送デバイスの排気設計を変更することにより、通常の通気孔を有するデバイスに対して、空気のバイアル瓶への侵入を実質的に抑制できることを示すものである。
【0061】
【表1】
【0062】
(注入時の過剰圧力の測定)
実施例2で行った動作手順を実施例3の排気管を有するデバイスに対して実施する。図15は、時間の関数としてバイアル瓶内の圧力変化を示すものである。
【実施例4】
【0063】
(択一的な排気管を有するデバイスに関するガス置換の測定)
12個のバイアル瓶(内容量が約11cm3)に、室温でほぼ大気圧下でC4F10ガスを充填し、ゴム製ストッパで封止する。
3つのバイアル瓶からなる4つのグループに分割し、以下に示す液体搬送デバイスを用いて、それぞれのバイアル瓶のストッパに孔を開ける。デバイスD1、デバイスD5、デバイスD6、デバイスD7。
分析的動作手順は実施例1で説明したものと同じである。ガス置換の度合いについて180分間測定される。
下記の表2は、実験結果を示すものであり、搬送デバイスの排気設計を変更することにより、通常の通気孔を有するデバイスに対して、空気のバイアル瓶への侵入を実質的に抑制できることを示すものである。
【0064】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本願発明に係る3つの実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図2】本願発明に係る3つの実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図3】本願発明に係る3つの実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図4】医療用投薬容器を備えた図3に示す液体搬送デバイスを示す。
【図5】本願発明に係る2つのさらなる実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図6】本願発明に係る2つのさらなる実施形態による液体搬送デバイスの断面図である。
【図7】本願発明に係る液体搬送デバイスを用いて薬剤を調製する際の工程を概略的に示す。
【図8】図7に示す調製ステップA〜Dにおける対応する圧力を示すグラフである。
【図9】異なる液体搬送デバイスを用いて測定された時間の関数としての空気拡散のグラフである。
【図10】異なる液体搬送デバイスを用いて測定された時間の関数としての空気拡散のグラフである。
【図11】異なる液体搬送デバイスを用いて測定された時間の関数としての空気拡散のグラフである。
【図12】さまざまな液体搬送デバイスを用いて液体を注入および抽出する際の圧力を示すグラフである。
【図13】さまざまな液体搬送デバイスを用いて液体を注入および抽出する際の圧力を示すグラフである。
【図14】さまざまな液体搬送デバイスを用いて液体を注入および抽出する際の圧力を示すグラフである。
【図15】本願発明に係るさらなる液体搬送デバイスを用いて液体を注入および抽出する際の圧力を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
101.スパイク、103.液体流体通路、104.ガス流路、105.上側本体部、106.ハンドル、107.接続部品、108.疎水性フィルタ、201.導管、202.管状シート部、301.上側部品、302.下側部品、303.液体流路、304.ガス流路、305.接続部品、401.液体搬送デバイス、402.バイアル瓶、403.接続部、404.ガス通気孔、405.ガス流路、502,602.狭窄部、501,602.ガス導管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を調製するための製薬キットであって、
a)内側空間を形成し、生理学的に受容可能なガスを含む医療用投薬容器(402)と、
b)液体を容器に搬送し、かつ液体を容器から搬送するために容器に接続される液体搬送デバイス(401)とを備え、
前記デバイスは、第1の導管(103,303)と、第2の導管(104,201,304)とを有し、
第1の導管および第2の導管は、前記デバイスが容器に接続されたとき、内側空間と外側大気との間の流体接触を可能にし、
前記デバイスが容器に接続されて、液体フローが容器に出入りするとき、液体フローが第1の導管を介して流れ、第2の導管が容器と外側大気との間のガスフローを可能にし、
前記デバイスが容器に接続されて、定常状態条件下にあるとき、容器に含まれるガスの全体量の20%容量比未満のガスが、6時間にわたって外側大気と置換され、
第2の導管は、容器と外側大気との間のガスフローを遮断する手段を実質的に有さないことを特徴とする製薬キット。
【請求項2】
請求項1に記載の製薬キットであって、
容器が乾燥堆積物の形態を有するガス充填微小胞の懸濁液の前駆物質を含むことを特徴とする製薬キット。
【請求項3】
請求項1に記載の製薬キットであって、
10%容量比未満のガスが置換されることを特徴とする製薬キット。
【請求項4】
請求項1に記載の製薬キットであって、
5%容量比未満のガスが置換されることを特徴とする製薬キット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の製薬キットであって、
前記デバイスが容器に接続されて、液体フローが容器に出入りするとき、容器の内側空間と外側大気との間の圧力差が約300ミリバール未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項6】
請求項5に記載の製薬キットであって、
圧力差が約200ミリバール未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項7】
請求項5に記載の製薬キットであって、
圧力差が約100ミリバール未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1に記載の製薬キットであって、
第2の導管は、液体抽出の際、バイアル瓶の内容物が微生物による汚染から保護するためのフィルタ手段ことを特徴とする製薬キット。
【請求項9】
請求項8に記載の製薬キットであって、
フィルタ手段は、疎水性フィルタを有することを特徴とする製薬キット。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1に記載の製薬キットであって、
第1の導管は、搬送すべき液体を含む外部デバイスに搬送デバイスを接続するための接続手段を有することを特徴とする製薬キット。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管は0.7mm未満の直径を有することを特徴とする製薬キット。
【請求項12】
請求項11に記載の製薬キットであって、
前記直径は0.5mm未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項13】
請求項11に記載の製薬キットであって、
前記直径は0.4mm未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管は約2.5mm〜約400mmの長さを有することを特徴とする製薬キット。
【請求項15】
請求項14に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管は約5mm〜約250mmの長さを有することを特徴とする製薬キット。
【請求項16】
請求項14に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管は約10mm〜約150mmの長さを有することを特徴とする製薬キット。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管が長さ(l)および直径(d)を有するとき、比(l/d)が25〜600の範囲にあることを特徴とする製薬キット。
【請求項18】
請求項17に記載の製薬キットであって、
前記比(l/d)が50〜500の範囲にあることを特徴とする製薬キット。
【請求項19】
請求項17に記載の製薬キットであって、
前記比(l/d)が150〜400の範囲にあることを特徴とする製薬キット。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1に記載の製薬キットであって、
第1の導管は、流体注入器が取り外されたとき、第1の導管を閉じるためのシャッタ手段を有することを特徴とする製薬キット。
【請求項21】
請求項20に記載の製薬キットであって、
前記接続手段はルアコネクタであることを特徴とする製薬キット。
【請求項22】
請求項20に記載の製薬キットであって、
バイアル瓶の内容物は、生理学的に受容なガスと接触した、乾燥堆積物の形態を有するガス充填微小胞の懸濁液の前駆物質を含むことを特徴とする製薬キット。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1に記載の製薬キットであって、
生理食塩水が事前に充填されたシリンジをさらに有することを特徴とする製薬キット。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1に記載の製薬キットであって、
生理学的に受容なガスは、診断上および/または治療上有効な薬剤であることを特徴とする製薬キット。
【請求項25】
ガスを含む容器に液体を搬送し、かつ容器から液体を抽出するための液体搬送デバイス(401)であって、
液体が流れるように構成された第1の導管(103,303)と、
ガスが流れるように構成された第2の導管(104,201,304)と備え、
第2の導管が長さ(l)および直径(d)を有するとき、比(l/d)が25〜600の範囲にあることを特徴とする液体搬送デバイス。
【請求項26】
請求項25に記載の液体搬送デバイスであって、
前記比(l/d)が50〜500の範囲にあることを特徴とする液体搬送デバイス。
【請求項27】
請求項25に記載の液体搬送デバイスであって、
前記比(l/d)が150〜400の範囲にあることを特徴とする液体搬送デバイス。
【請求項1】
薬剤を調製するための製薬キットであって、
a)内側空間を形成し、生理学的に受容可能なガスを含む医療用投薬容器(402)と、
b)液体を容器に搬送し、かつ液体を容器から搬送するために容器に接続される液体搬送デバイス(401)とを備え、
前記デバイスは、第1の導管(103,303)と、第2の導管(104,201,304)とを有し、
第1の導管および第2の導管は、前記デバイスが容器に接続されたとき、内側空間と外側大気との間の流体接触を可能にし、
前記デバイスが容器に接続されて、液体フローが容器に出入りするとき、液体フローが第1の導管を介して流れ、第2の導管が容器と外側大気との間のガスフローを可能にし、
前記デバイスが容器に接続されて、定常状態条件下にあるとき、容器に含まれるガスの全体量の20%容量比未満のガスが、6時間にわたって外側大気と置換され、
第2の導管は、容器と外側大気との間のガスフローを遮断する手段を実質的に有さないことを特徴とする製薬キット。
【請求項2】
請求項1に記載の製薬キットであって、
容器が乾燥堆積物の形態を有するガス充填微小胞の懸濁液の前駆物質を含むことを特徴とする製薬キット。
【請求項3】
請求項1に記載の製薬キットであって、
10%容量比未満のガスが置換されることを特徴とする製薬キット。
【請求項4】
請求項1に記載の製薬キットであって、
5%容量比未満のガスが置換されることを特徴とする製薬キット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の製薬キットであって、
前記デバイスが容器に接続されて、液体フローが容器に出入りするとき、容器の内側空間と外側大気との間の圧力差が約300ミリバール未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項6】
請求項5に記載の製薬キットであって、
圧力差が約200ミリバール未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項7】
請求項5に記載の製薬キットであって、
圧力差が約100ミリバール未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1に記載の製薬キットであって、
第2の導管は、液体抽出の際、バイアル瓶の内容物が微生物による汚染から保護するためのフィルタ手段ことを特徴とする製薬キット。
【請求項9】
請求項8に記載の製薬キットであって、
フィルタ手段は、疎水性フィルタを有することを特徴とする製薬キット。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1に記載の製薬キットであって、
第1の導管は、搬送すべき液体を含む外部デバイスに搬送デバイスを接続するための接続手段を有することを特徴とする製薬キット。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管は0.7mm未満の直径を有することを特徴とする製薬キット。
【請求項12】
請求項11に記載の製薬キットであって、
前記直径は0.5mm未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項13】
請求項11に記載の製薬キットであって、
前記直径は0.4mm未満であることを特徴とする製薬キット。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管は約2.5mm〜約400mmの長さを有することを特徴とする製薬キット。
【請求項15】
請求項14に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管は約5mm〜約250mmの長さを有することを特徴とする製薬キット。
【請求項16】
請求項14に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管は約10mm〜約150mmの長さを有することを特徴とする製薬キット。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1に記載の製薬キットであって、
搬送デバイスの第2の導管が長さ(l)および直径(d)を有するとき、比(l/d)が25〜600の範囲にあることを特徴とする製薬キット。
【請求項18】
請求項17に記載の製薬キットであって、
前記比(l/d)が50〜500の範囲にあることを特徴とする製薬キット。
【請求項19】
請求項17に記載の製薬キットであって、
前記比(l/d)が150〜400の範囲にあることを特徴とする製薬キット。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1に記載の製薬キットであって、
第1の導管は、流体注入器が取り外されたとき、第1の導管を閉じるためのシャッタ手段を有することを特徴とする製薬キット。
【請求項21】
請求項20に記載の製薬キットであって、
前記接続手段はルアコネクタであることを特徴とする製薬キット。
【請求項22】
請求項20に記載の製薬キットであって、
バイアル瓶の内容物は、生理学的に受容なガスと接触した、乾燥堆積物の形態を有するガス充填微小胞の懸濁液の前駆物質を含むことを特徴とする製薬キット。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1に記載の製薬キットであって、
生理食塩水が事前に充填されたシリンジをさらに有することを特徴とする製薬キット。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1に記載の製薬キットであって、
生理学的に受容なガスは、診断上および/または治療上有効な薬剤であることを特徴とする製薬キット。
【請求項25】
ガスを含む容器に液体を搬送し、かつ容器から液体を抽出するための液体搬送デバイス(401)であって、
液体が流れるように構成された第1の導管(103,303)と、
ガスが流れるように構成された第2の導管(104,201,304)と備え、
第2の導管が長さ(l)および直径(d)を有するとき、比(l/d)が25〜600の範囲にあることを特徴とする液体搬送デバイス。
【請求項26】
請求項25に記載の液体搬送デバイスであって、
前記比(l/d)が50〜500の範囲にあることを特徴とする液体搬送デバイス。
【請求項27】
請求項25に記載の液体搬送デバイスであって、
前記比(l/d)が150〜400の範囲にあることを特徴とする液体搬送デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−519068(P2009−519068A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544964(P2008−544964)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069336
【国際公開番号】WO2007/068633
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(398063065)ブラッコ・リサーチ・ソシエテ・アノニム (13)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO RESEARCH S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069336
【国際公開番号】WO2007/068633
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(398063065)ブラッコ・リサーチ・ソシエテ・アノニム (13)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO RESEARCH S.A.
【Fターム(参考)】
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