説明

医療用縫合装置

【課題】縫合器を小型化することが可能な医療用縫合装置を提供する。
【解決手段】軟性挿入部17の先端部に設けた縫合器30が、ステープルを収納する収納空間50、及び該収納空間と連通するステープルの出口用開口を有する本体部31と、スライド可能として本体部に支持した上記出口用開口に近づくことによりステープルを出口用開口を通して本体部の外部に押し、出口用開口から離れることにより一部が本体部の外部に突出する押出部材71と、本体部の周面から離れることにより本体部との間で対象部位Aを挟み込み、かつ対象部位を貫通したステープルの先端部を閉じる方向に変形させる受け部材40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステープルを用いて対象部位を縫合する医療用縫合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステープルを用いて臓器などの対象部位を縫合する医療用縫合装置の従来技術としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。
この医療用縫合装置は、軟性内視鏡の可撓性を有する挿入部の先端部にステープル(針)を収納し、かつ先端面からステープルを外部に排出可能な縫合器を設け、かつ挿入部の中間部に排出されたステープルを受けるアンビル部を設けたものである。
この縫合器付内視鏡は、その挿入部を患者の口から食道に通し、例えば挿入部の先端部を胃の内部に位置させて用いる。具体的には、湾曲した胃壁の表裏両面の一方にアンビル部を接触させ、さらに挿入部を湾曲操作することにより挿入部の先端面(縫合器の先端面)を胃壁の他方の面に接触させ、アンビル部と挿入部の先端面で該胃壁を挟み込む。そして、縫合器内のステープルを挿入部の先端面から胃壁側に排出し、胃壁を貫通したステープルをアンビル部に接触させる。すると、ステープルがアンビル部によって変形させられて閉じるので、ステープルによって当該胃壁が縫合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−522473号公報
【特許文献2】特開平8−238255号公報
【特許文献3】特開平8−33639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の医療用縫合装置は、挿入部を正確に曲げて挿入部の先端面とアンビル部を正確に対向させないと、挿入部の先端面とアンビル部で対象部位(胃壁)を正確に挟み込めない。しかも、対象部位にステープルを正確に打ち込めなくなるので、患者の体に無用のダメージを与えてしまう。しかしながら、挿入部の湾曲操作を正確に行うのは容易ではないので、このような問題が発生するおそれが高い。
【0005】
これに対して特許文献2、3には別タイプの医療用縫合装置が開示されている。特許文献2、3のものは、硬性挿入部の先端部に一対の開閉部材からなる縫合器を設けたものである。一方の開閉部材の内部には、多数のステープルを収納した収納空間と、該開閉部材内を開閉部材(挿入部)の軸線に対して略直交する方向に移動することによりステープルを他方の開閉部材に向けて排出するステープルドライバと、が設けてあり、他方の開閉部材には排出されたステープルと接触するアンビル部が設けてある。従って、一対の開閉部材で患者の対象部位を挟み込んだ状態で一方の開閉部材からステープルを排出すれば、ステープルがアンビル部によって閉じられることにより該対象部位が縫合される。
しかし、この縫合器は一方の開閉部材の内部に上記方向に移動するステープルドライバを収納しているので、一方の開閉部材が大型化(特に該開閉部材の軸線直交方向に)してしまう。さらに、他方の開閉部材も、一方の開閉部材に合わせて大型になってしまう。そのため、特許文献2、3の構造の縫合器を特許文献1の軟性内視鏡の挿入部の先端部に設けることは技術的には可能ではあるが、これでは縫合器を患者の口から食道や胃に挿入できなくなってしまう。
【0006】
また、この種の医療用縫合装置において、挿入部の内部に処置具挿通路を形成し、かつ挿入部の先端面に該通路の出口開口を形成すれば、ステープルによる縫合作業だけでなく処置具による処置をも行えるので便利である。
しかし、挿入部の先端部にまで延びる処置具挿通路を形成すると、縫合器が軸線直交方向に大型化してしまう。
【0007】
本発明は、縫合器を小型化することが可能な医療用縫合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の医療用縫合装置は、対象物に挿入可能で可撓性を有する挿入部と、該挿入部の先端部に接続する、ステープルを上記対象物内の対象部位に打ち込むことが可能な縫合器と、を備え、上記縫合器が、一対の先端部が開放状態にある略コの字形状の上記ステープルを収納する収納空間、及び、該収納空間と連通するステープルの出口用開口を有する本体部と、上記出口用開口と対向する状態で上記収納空間内を上記挿入部の軸線に対して略直交する方向にスライド可能として上記本体部に支持した、上記出口用開口に近づくことにより上記収納空間内に位置する上記ステープルを上記出口用開口を通して本体部の外部に押し、該出口用開口から離れることにより一部が上記本体部の外部に突出する押出部材と、上記本体部の周面から離れることにより該本体部との間で上記対象部位を挟み込み、かつ、上記出口用開口から排出されて該対象部位を貫通したステープルの先端部と接触することにより、該ステープルの一対の先端部を閉じる方向に変形させる受け部材と、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記挿入部の基端部が接続する操作部に、上記押出部材を上記本体部に対してスライド操作するための押出部材操作手段を設けるのが好ましい。
【0010】
上記受け部材が、上記本体部の周面に対して接離可能であるのが好ましい。
この場合、上記挿入部の基端部が接続する操作部に、上記受け部材を上記本体部に対して移動操作するための受け部材操作手段を設けるのが好ましい。
【0011】
上記押出部材が、上記収納空間内に位置するステープルが位置する平面と略平行な板状をなし、かつ上記出口用開口と対向する押込板を備え、該押込板が上記出口用開口に最も近づく押込位置と出口用開口から最も離れる退避位置との間をスライド可能であり、上記収納空間内に、上記押込板が上記押込位置に移動したときに、収納空間内に位置する上記ステープルを上記押込板の側面に接触するまで付勢し、上記押込板が上記退避位置まで移動したときに、上記ステープルを上記収納空間の内壁に接触するまで付勢して該押込板の上記出口用開口側の端面と出口用開口の間に位置させる付勢手段を設けるのが好ましい。
【0012】
別の態様によると、本発明の医療用縫合装置は、対象物に挿入可能な挿入部と、該挿入部の先端部に接続する、ステープルを上記対象物内の対象部位に打ち込むことが可能な縫合器と、を備え、上記挿入部が、処置具を挿通可能で、その端部が上記縫合器と対向する先端面において開口する内部管路を具備し、上記縫合器を上記挿入部の先端部に、接続機構によって相対移動可能に接続したことを特徴としている。
【0013】
上記接続機構が、該挿入部の軸線と平行な対をなすリンク部材を有しており、対をなすリンク部材の両端部を上記縫合器と上記挿入部の先端部とに、該軸線に直交する回転軸回りに回転可能として接続するのが好ましい。
この場合は、対をなす上記リンク部材が平行リンク機構を構成するのが好ましい。
【0014】
さらに、上記挿入部の基端部が接続する操作部に、上記リンク部材の上記挿入部の軸線に対する傾斜角度を調整するためのリンク操作手段を設けるのが好ましい。
【0015】
また、外力が掛からないときは上記接続機構を上記縫合器の軸線が上記挿入部の軸線に対して側方にずれる状態にし、かつ外力が掛かることにより上記接続機構を上記縫合器の軸線が上記挿入部の軸線と一致する状態にする弾性制御部材を設けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、本体部と受け部材とで対象部位を挟み込んだ状態で、押出部材を本体部の出口用開口側に近づければ、収納空間に収納したステープルによって対象部位を縫合できる。
しかも、押出部材は本体部の内部に全体を収納しているわけではなく、押出部材を出口用開口から離したときに押出部材の一部が本体部の外部に突出するので、押出部材を出口用開口側に最も近づけた状態においては縫合器全体の寸法(特に挿入部の軸線に対して直交する方向の寸法)を小さくすることが可能である。そのため、縫合器を可撓性を有する挿入部と共に狭い対象物や、湾曲した対象物に円滑に挿入可能である。
【0017】
請求項2のように構成すれば、押出部材の操作性が向上する。
【0018】
請求項3のように構成すれば、受け部材を本体部の周面に対して接触させることにより縫合器全体の寸法(特に挿入部の軸線に対して直交する方向の寸法)が小さくなるので、対象物への挿入がさらに容易になる。
【0019】
請求項4のように構成すれば、受け部材の操作性が向上する。
【0020】
請求項5のように構成すれば、収納空間内に複数のステープルを収納した場合に、押出部材の押込板によってステープルを一つずつ確実に排出できるので、連続した縫合作業を確実に行えるようになる。
【0021】
請求項6の発明によれば、接続機構を利用して縫合器を挿入部の先端部の軸線上からずらすことにより、挿入部の先端面の開口から処置具を外部に排出可能になる。そのため、ステープルによる縫合作業だけでなく、処置具による対象部位の処置を行なうことが可能である。
【0022】
請求項7のように構成すれば、接続機構を簡単な構造により実現できる。
さらに請求項8のように構成すれば、縫合器を挿入部に対して、挿入部の軸線に対して平行状態を維持しながら移動させられる。そのため、縫合器の挿入部に対する移動量が変化する毎に縫合器の挿入部の軸線に対する傾斜角度が変わる場合に比べて、縫合器を挿入部に対して側方に微小移動させることが可能である。
【0023】
請求項9のように構成すれば、リンク部材の操作性が向上する。
【0024】
接続機構を請求項10のように構成すれば、接続機構を操作するための操作手段を設けなくても縫合器の軸線を挿入部の軸線に対して側方にずらすことができる。しかも、当該医療用縫合装置を狭い管路や湾曲した管路に挿入すると、弾性制御部材が弾性変形することにより縫合器が当該管路の形状に合わせて自動的に移動するので、当該管路に容易に挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の医療用縫合装置の全体を示す側面図である。
【図2】医療用縫合装置の要部の平面図である。
【図3】親内視鏡の内部管路に本発明の医療用縫合装置を挿入し、親内視鏡と医療用内視鏡の先端部を胃の内部に挿入したときの側面図である。
【図4】軟性挿入部の先端部と縫合器を拡大して示す底面図である。
【図5】受け部材を本体部から離間させたときの軟性挿入部の先端部と縫合器を拡大して示す側面図である。
【図6】縫合器を軟性挿入部に対して側方に移動させたときの図4と同様の底面図である。
【図7】縫合器の拡大分解斜視図である。
【図8】側部カバーを省略し、一部を断面視して示す縫合器の拡大側面図である。
【図9】図8と反対側から見たときの縫合器の拡大側面図である。
【図10】受け部材を省略して示す縫合器の拡大平面図である。
【図11】一部を断面視して示す縫合器の拡大側面図である。
【図12】受け部材を本体部から平行をなすように離間させたときの図11と同様の側面図である。
【図13】受け部材を本体部に対して回転させたときの図11と同様の側面図である。
【図14】ステープルの側面図である。
【図15】ステープルの正面図である。
【図16】ステープル収納枠にステープルを収納したときの側面図である。
【図17】本体部と受け部材で胃壁の一部を挟み込んだときの図8と同様の拡大側面図である。
【図18】図17のXVIII−XVIII矢線に沿って片側のみを断面視して示す図である。
【図19】押出部材を退避位置まで移動させたときの図17と同様の側面図である。
【図20】図19のXX−XX矢線に沿う図18と同様の断面図である。
【図21】押出部材を本体部側に戻したときの図17と同様の側面図である。
【図22】図21のXXII−XXII矢線に沿う図18と同様の断面図である。
【図23】押出部材を押込位置まで戻したときの図17と同様の側面図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV矢線に沿う図18と同様の断面図である。
【図25】本体部と受け部材で胃壁の一部を挟み込み、かつ処置具用開口から処置具を突出させたときの状態を示す側面図である。
【図26】処置具によって胃壁を切断するときの状態を示す平面図である。
【図27】ステープルによる縫合と処置具による処置が完了した後の胃を示す平面図である。
【図28】変形例の医療用縫合装置の要部を示す側面図である。
【図29】別の変形例の図6と同様の底面図である。
【図30】同じく図4と同様の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態の医療用縫合装置10は照明機能や観察機能は備えていないが、その基本構成は軟性内視鏡と同じである。即ち、操作部11と、操作部11から延びる可撓性材料からなる挿入部17と、挿入部17の先端部に設けた平行リンク機構23と、平行リンク機構23を介して挿入部17の先端部に接続する縫合器30と、を具備している。挿入部17の先端部近傍部は、操作部11に設けた湾曲操作レバー12の回転操作に応じて湾曲する湾曲部18となっている。挿入部17の先端部は硬質部材からなる(可撓性がない)先端硬質部19となっており、先端硬質部19の先端面には処置具出口用開口(図示略)が形成してある。さらに、挿入部17の内部には処置具を挿通するための処置具挿通路(内部管路)20(図25、図26参照)が設けてあり、処置具挿通路20の基端側端部は操作部11に形成した処置具挿入用突起13の開口に接続している。図2に示すように、処置具挿入用突起13の開口はゴム製の栓部材14によって水密状態で塞いであり、栓部材14にはスリットが形成してある。
【0027】
先端硬質部19の先端部には互いに平行をなす4本の金属からなるリンク部材22の一端が挿入部17の軸線に対して直交する方向の金属製の回転接続ピン(回転軸)24を介して回転可能に接続してある。各リンク部材22は同一仕様であり、上側のリンク部材22と下側のリンク部材22どうしがそれぞれ対をなしており、それぞれの対が平行リンク機構(接続機構)23を構成している。さらに、各リンク部材22の先端硬質部19と反対側の端部は縫合器30の端部に上記回転接続ピン24と平行な回転接続ピン24を介して回転可能に接続している。このように先端硬質部19と縫合器30を2つの平行リンク機構23によって接続しているので、図4に示すように各リンク部材22の軸線が挿入部17の軸線と平行をなすときは、縫合器30の軸線が挿入部17の軸線と一致する。一方、図6に示すように各リンク部材22の軸線が挿入部17の軸線に対して傾斜すると、縫合器30の軸線が挿入部17の軸線に対して平行をなしながら挿入部17の軸線に対して側方に移動する。
図1及び図2に示すように、操作部11の後端面には操作部11の軸線回りに回転可能なリンク操作部材(リンク操作手段)15が設けてある。さらに、リンク操作部材15と一つのリンク部材22の中間部とには操作部11及び挿入部17の内部を相対移動可能に貫通する金属製の連係ワイヤ26の両端がそれぞれ固着してある。そのため、リンク操作部材15を操作部11に対して回転させると、連係ワイヤ26が操作部11側に引かれたり縫合器30側に押し出されることにより、各リンク部材22の挿入部17の軸線に対する傾斜角度が変化する。
【0028】
続いて縫合器30の詳しい構造について説明する。縫合器30は以下に説明する複数の部材からなるものである。
縫合器30の金属からなる本体部31は回転接続ピン24によってリンク部材22が接続する部材であり、その上面のほぼ全体は上部平坦面32となっており、下面の前半部は上部平坦面32と平行な下部平坦面33となっている。また、本体部31の前半部の左右両側部は上部平坦面32及び下部平坦面33に対して直交する側部平坦面34となっている。また本体部31には、本体部31を上下方向に貫通する断面円形の案内孔36が計4つ形成してある。
上部平坦面32の後端部近傍には、下端が半円形状をなす左右一対の上下方向溝37が下方に向けて凹設してあり、左右の上下方向溝37の直後には対応する上下方向溝37と連通すると共に後面が傾斜面となっている回転許容溝38が凹設してある。左右の上下方向溝37の一対の側壁間には左右方向に延びる回転支持軸39が一体的に設けてある。そして、左右の上下方向溝37には金属製の受け部材40が相対移動可能に取り付けてある。受け部材40は上部平坦面32を覆う受け板41と、受け板41の下面の後端部から下方に向かって延びかつ側面形状が上下方向溝37と略同一である左右一対の挿入片42と、を具備しており、左右の挿入片42は左右の上下方向溝37内に挿入してあり、かつ挿入片42に穿設した貫通長孔43が対応する回転支持軸39に相対移動可能に嵌合している。受け板41の下面の前部の幅方向の中央部にはステープル受け溝44が凹設してある。さらに、受け板41の下面には本体部31、挿入部17及び操作部11の内部を相対移動可能に通る金属製の連係ワイヤ46の一端が固着してあり、連係ワイヤ46の他端は操作部11の側面に回転可能に設けたレバー(受け部材操作手段)L1に接続している。図11〜図13に示すように、本体部31の内部には連係ワイヤ46を移動案内するためのワイヤ案内溝47が貫通溝として形成してある。従って、レバーL1が図1に示す初期位置に位置するとき、挿入片42の下端部が上下方向溝37の下端部内に位置するので、受け板41はその下面の前部が上部平坦面32に接触する接触位置(図11の位置)に位置する。一方、レバーL1を図1の位置から回転させると、図12に示すように連係ワイヤ46の前端部が上部平坦面32から上方に突出し、かつ左右の挿入片42が上下方向溝37に沿って貫通長孔43の下端が回転支持軸39に接触するまで上方にスライドするので、受け板41は上部平坦面32と平行状態を維持しながら上部平坦面32から上方に離間する。そしてレバーL1をさらに回転させると、連係ワイヤ46の端部がさらに上方に移動するので、左右の挿入片42が回転支持軸39回りに後方に回転し、受け板41が図13に示す全開位置まで回転する。この後にレバーL1を図1の初期位置まで戻せば、受け板41は図11に示す接触位置に復帰する。
【0029】
図7に示すように、本体部31の左右の側部平坦面34には互いに前後位置をずらして同一形状のステープル収納凹部(収納空間)50が凹設してある。左右のステープル収納凹部50の底面50aの4隅(角部)にはそれぞれストッパ51が突設してある。
左右のステープル収納凹部50には金属製のステープル収納枠52がそれぞれ着脱可能に嵌合してある。ステープル収納枠52は、矩形枠状の枠部53と、枠部53の前後2箇所から前方に向かって突出する枠部53に比べて上下寸法が短い突片54と、を有している。ステープル収納枠52をステープル収納凹部50に嵌合すると、ステープル収納枠52の上縁部と下縁部が上部のストッパ51と下部のストッパ51にそれぞれ接触し、前後の突片54とステープル収納凹部50の底面50aとの間には隙間が形成される(図10参照)。
ステープル収納枠52の内部には、金属からなるステープル55が3つ並べた状態で着脱可能として収納してある。ステープル55は略コ字形状をなすものであり、被押圧部56と、被押圧部56の両端部から被押圧部56に対して略直交する方向に延びる一対の針部57と、を有している。ステープル55の上下寸法と前後寸法は枠部53の内面の対応寸法と略同一であり、3つのステープル55の左右寸法の合計値はステープル収納枠52の左右寸法(枠部53と突片54を合わせた寸法)より短い。また、一対の針部57の先端部57aは内側方向にわずかに曲げてあり、かつ先端部57aの先端面はそれぞれ外側に下がる傾斜面としてある。
左右のステープル収納枠52には、外側からステープル55を内側に向かって押圧するための金属板である受圧板60が挿入してある。受圧板60はステープル収納枠52及びステープル55と略平行な板材であり、その上下寸法と前後寸法は枠部53の内面の対応寸法と略同一である。
さらに、左右の側部平坦面34には金属製の側部押さえ板62が、左右の側部平坦面34に接触した状態で被せてある。左右の側部押さえ板62の内面には前後一対の板ばね(付勢手段)63が一体的に形成してあり、この板ばね63が対応する受圧板60を他方の側部押さえ板62側に向けて付勢(押圧)している。
さらに本体部31の前部には、左右の側部押さえ板62の外側面に接触する左右一対の側片66と、左右の側片66の前端同士を接続する前部連結片67と、を備えるカバー部材65が被せてあり、左右の側片66が左右の側部押さえ板62の本体部31の側面からの脱落するのを規制している。前部連結片67には方形の貫通孔68が穿設してあり、この貫通孔68を本体部31の先端面に固定したねじ部35が貫通している。そして、ねじ部35の先端部にナット69を螺合しナット69の後面を前部連結片67の前面に接触させることにより、カバー部材65を本体部31に固定している。
【0030】
本体部31の下部平坦面33には金属からなる押出部材71のベース板72が被せてある。ベース板72の内面は下部平坦面33に接触する平面であり、ベース板72の外面は本体部31の後半部の外周面と連続する形状の湾曲面である。ベース板72の上面には、本体部31の前後のストッパ51の対向面間寸法と略同じ前後寸法かつステープル収納凹部50と略同一の上下寸法である押込板73と押込板74が互いの左右位置及び前後位置をずらして上向きに突設してある(押込板73と押込板74はステープル55が位置する平面と略平行である)。さらに、ベース板72の上面の4隅近傍には円柱形状の案内ロッド75が上向きに突設してある。押込板73と押込板74は対応するステープル収納凹部50の底面50aに接触しかつ前後のストッパ51の間に位置する状態で対応するステープル収納凹部50内に上下方向にスライド可能に挿入してあり、4本の案内ロッド75は本体部31の対応する案内孔36にスライド可能に挿入してある。そのため押出部材71は、押込板73及び押込板74の上端面が本体部31の上部平坦面32と連続する押込位置(図11〜図13、図17、図18、図23、図24の位置)と、側面視において押込板73及び押込板74の上端面がステープル55の被押圧部56より下方に位置する退避位置(図19及び図20参照)との間を本体部31に対してスライド可能であり、押込位置に位置するときにベース板72の上面は本体部31の下部平坦面33に接触し、退避位置に位置するときベース板72の上面は下部平坦面33から下方に離間する。
さらに、ベース板72の上面には本体部31、挿入部17及び操作部11の内部を相対移動可能に通る金属製の連係ワイヤ77の一端が固着してあり、連係ワイヤ77の他端は操作部11の上面に回転可能に設けたレバー(押出部材操作手段)L2に接続している。図8及び図9に示すように、本体部31の内部には連係ワイヤ77を案内するためのワイヤ案内溝78が貫通溝として形成してある。レバーL2が図2に示す初期位置に位置するときは押出部材71は押込位置に位置し、レバーL2を図2の位置から回転させると連係ワイヤ77の前端部が下部平坦面33から下方に突出するのでベース板72が下部平坦面33から下方に離間する。そして、レバーL2を限界位置まで回転させると、押出部材71は図19及び図20に示す退避位置に到達する。レバーL2を図2の初期位置まで戻せば押出部材71は押込位置に復帰する。
そして、押出部材71が押込位置に位置するときは、板ばね63によって押圧された最も内側に位置するステープル55が押込板73と押込板74の外側面にそれぞれ接触する(図18参照。押込板74についての図示は省略。図17、図21〜24も同様)。一方、押出部材71が退避位置に位置するときは、板ばね63によって押圧された最も内側に位置するステープル55が対応するステープル収納凹部50の底面50aに接触する(図20参照。押込板74については図示せず)。
【0031】
続いて、医療用縫合装置10を利用した縫合と処置具を利用した処置の実施要領について説明する。
医療用縫合装置10を患者(対象物)の体内に挿入する際には図3に示す親内視鏡100を利用する。この親内視鏡100は、医療用縫合装置10より大型の軟性内視鏡であり、操作部(図示略)と、該操作部から延びる可撓性を有する挿入部101と、操作部から挿入部101と反対側に延びプロセッサ(光源装置兼画像処理装置)に接続するユニバーサルチューブ(図示略)と、を具備している。操作部及び挿入部の内部には内部管路が形成してあり、該内部管路の両端部は操作部と挿入部の先端面において開口している。また、挿入部の先端面には照明レンズと対物レンズが設けてあり、挿入部の先端部内には対物レンズの直後に位置する撮像素子が設けてある。従って、親内視鏡100の挿入部101を患者の口から食道を通して体内に挿入すると、プロセッサ内部の光源が発した光が照明レンズを通して外部に射出されることにより体内が照明され、かつ対物レンズで観察された像が撮像素子によって撮像され、撮像された画像が上記プロセッサに接続したテレビモニタ(図示略)に表示される。
例えば、図3に示すように医療用縫合装置10によって胃(対象部位)Aを縫合及び処置する場合は、挿入部101の先端部を胃Aの内部に位置させた後に、医療用縫合装置10の操作部11を親内視鏡100の操作部の外部(患者の体外)に位置させた上で挿入部17を親内視鏡100の操作部の開口から上記内部管路に通し、挿入部101の先端面に形成した開口から挿入部101の外部(胃Aの内部)に突出させる。この際、平行リンク機構23は先端硬質部19(挿入部17)の軸線と平行な状態にしておき、さらに受け板41とベース板72を本体部31に接触させておく。そして、上記テレビモニタの画像を見ながら挿入部17の挿入部101からの突出量を調整したり、湾曲操作レバー12を回転操作して湾曲部18を湾曲することにより、縫合器30を胃Aの内壁に出来た患部Bに接近させる。
【0032】
次いで、レバーL1を操作することにより受け部材40を全開位置まで移動させ、本体部31の上部平坦面32と受け板41の間に胃Aの縫合対象部分(胃Aの患部Bの周囲に位置する部分)を位置させ、さらにレバーL1を操作することにより受け部材40を接触位置側に戻す。すると、図17及び図18に示すように上部平坦面32と受け板41によって胃Aの縫合対象部分が挟持される。次いで、図19及び図20に示すように、レバーL2を操作することによりベース板72を退避位置まで移動させる。すると図20に示すように、押込板73及び押込板74の上端面がステープル55の被押圧部56より低い位置まで移動するので、板ばね63及び受圧板60によって押圧された各ステープル55がステープル収納凹部50の底面50a側に移動し、ステープル収納凹部50の底面50aと対向するステープル55が該底面50aに接触する。このようにステープル55が押込板73及び押込板74と収納凹部50の上部開口(出口用開口。押込板73及び押込板74と対向する開口部)の間に位置する状態でレバーL2を操作することによりベース板72を押込位置側に移動させると、押込板73及び押込板74の上端面がステープル収納凹部50の底面50aに接触しているステープル55の被押圧部56を上方に押圧するので、該ステープル55の前後の針部57が収納凹部50の上部出口用開口を通って上部平坦面32の上部に突出し、先端面が傾斜面となっている先端部57aが上部平坦面32と受け板41によって挟持された胃Aの縫合対象部分を円滑に貫通する(図21及び図22参照)。そして、図23及び図24に示すようにベース板72が押込位置に達すると、押込板73によって受け板41側に押圧されたステープル55の前後の針部57の先端部57aが対応するステープル受け溝44に接触する。すると、内側にわずかに曲げてある前後の先端部57aは、ステープル受け溝44によって内側に円滑かつ確実に曲げられ(閉じ)る。さらに、一対の針部57の先端部57aが互いに重なるので、当該ステープル55によって胃Aの縫合対象部分が確実に縫合される。
本体部31の左右のステープル収納凹部50には予め3本のステープル55をそれぞれ収納してあるので、縫合器30を胃Aの縫合対象部分に対して縫合器30の軸線方向に位置をずらした上で押出部材71の上記スライド動作をあと2回行えば、図27に示すように胃Aの縫合対象部分を6本のステープル55によって2列に渡って縫合できる。この際、図27に示すように一方の列の隣り合うステープル55の間に形成される隙間と他方の列のステープル55を対向させれば、該隙間部分において対向する胃Aの縫合対象部分の内壁同士が離間するのが防止されるので好ましい。
【0033】
このようにしてステープル55を胃Aの縫合対象部分に打ち込んだら、図25及び図26に示すようにリンク操作部材15を回転操作することにより各リンク部材22の軸線を挿入部17の軸線に対して傾斜させ、縫合器30の軸線を挿入部17の軸線に対して側方にずらす。この状態で栓部材14に形成したスリットから可撓性を有する長尺状の処置具80を処置具挿通路20に挿入し、処置具80の先端部を先端硬質部19の先端面に形成した上記処置具出口用開口から突出させると、処置具80の先端部に形成した一対の開閉刃81が本体部31に接触することなく患部Bに接近する。そして、患者の体外に位置する処置具80の基端部に設けた操作レバーを操作することにより一対の開閉刃81を開き、一対の開閉刃81の間に胃Aの縫合対象部分を位置させた上で該操作レバーにより一対の開閉刃81を閉じれば、一対の開閉刃81によって胃Aの縫合対象部分を切断できる。従って、レバーL1を操作して受け板41と上部平坦面32による胃Aの縫合対象部分の挟持を解除した上で処置具80の代わりに把持鉗子等を挿入し、胃Aから切り取られた患部Bを該把持鉗子等で摘みながら、親内視鏡100の挿入部101を医療用縫合装置10及び把持鉗子等と共に患者の体外に引き抜けば、切り取った患部Bを体外に取り出すことができる。
【0034】
以上説明したように本実施形態の医療用縫合装置10は、本体部31の内部に収納したステープル55によって患者の対象部位(胃Aの上記縫合対象部分)を自動的に縫合できる。
しかも、押出部材71を本体部31の内部に完全に収納するのではなく、押出部材71のベース板72を本体部31の外部に位置させ、さらに押出部材71を退避位置に移動させた際には押出部材71の本体部31からの突出量が増大するようにしているので、ベース板72及び受け板41を本体部31に接触させた状態においては縫合器30全体の寸法(特に挿入部17及び縫合器30の軸線に対して直交する方向の寸法)を小さくすることが可能である。そのため、縫合器30を挿入部17と共に狭い対象物(例えば食道)や、湾曲した対象物(例えば食道)に円滑に挿入できる。
さらに、患者の体外に位置するレバーL1とレバーL2によって受け部材40と押出部材71を遠隔操作可能なので、受け部材40と押出部材71の操作性は良好である。しかも、板ばね63及び受圧板60によってステープル収納凹部50のステープル55をステープル収納凹部50の底面50a側に押圧することにより押込板73、押込板74によるステープル55の確実な排出を可能にしているので、各ステープル55を利用した連続的な縫合作業を確実に行える。
しかも、接触位置に位置する受け板41を上部平坦面32に対して一端平行移動させた後に全開位置まで回転させているので、全開位置まで移動させたときの受け板41の上部平坦面32に対する角度が小さくなる。そのため、受け板41を平行移動させずに回転させる場合に比べて、ステープル受け溝44によるステープル55(針部57)の曲げ効果を確実に得ることができる。
【0035】
また、患者の体外に位置するリンク操作部材15によってリンク部材22(平行リンク機構23)を先端硬質部19の軸線に対して傾斜させることにより、縫合器30の軸線を挿入部17(先端硬質部19)の軸線に対して側方にずらせるようにしているので、先端硬質部19の上記処置具出口用開口から突出させた処置具80を縫合器30に接触させることなく円滑に操作可能である。しかも、縫合器30を先端硬質部19に対して平行状態を維持したまま移動させられるので、縫合器30の先端硬質部19に対する移動量が変化する毎に縫合器30の先端硬質部19の軸線に対する傾斜角度が変わる場合に比べて、縫合器30を先端硬質部19に対して側方に微小移動させることが可能である。
【0036】
以上、上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は様々な変更を施しながら実施可能である。
例えば、図28に示すように、医療用縫合装置10からリンク操作部材15、レバーL1、レバーL2を省略した医療用縫合装置10’に3つの操作具90を接続してもよい。操作部11の後端部に接続する各操作具90は、基部91と、基部91に対して基部91の軸線方向にスライド可能なスライダ92と、基部91から延びて操作部11に接続する可撓性チューブ93と、を具備している。一つの操作具90の可撓性チューブ93の内部には連係ワイヤ26が移動自在に設けてあり、別の操作具90の可撓性チューブ93の内部には連係ワイヤ46が移動自在に設けてあり、さらに別の操作具90の可撓性チューブ93の内部には連係ワイヤ77が移動自在に設けてあり、連係ワイヤ26、連係ワイヤ46、連係ワイヤ77は対応するスライダ92に接続している。さらに、基部91の端部には指掛け孔94が形成してあり、スライダ92には一対の指掛け孔95が形成してある。この変形例では、術者が一方の手での指を指掛け孔94と指掛け孔95に掛けた上でスライダ92を基部91に対してスライドさせると、当該スライダ92に接続する連係ワイヤ26、連係ワイヤ46または連係ワイヤ77がその軸線方向に移動するのでリンク部材22(平行リンク機構23)、受け部材40、押出部材71が作動する。
【0037】
また、例えば図29及び図30に示す医療用縫合装置10’’のように、リンク操作部材15及び連係ワイヤ26を省略した上で、後部が先端硬質部19の内部に相対移動可能に固着されると共に前部が一つのリンク部材22の中間部に固着された弾性制御部材97によって先端硬質部19と一つのリンク部材22を接続してもよい。この変形例では、縫合器30に外力が及ばない場合は図29に示すように、緊張状態にある弾性制御部材97の張力によってリンク部材22は図示の状態となる(リンク部材22の先端硬質部19に対する傾斜角度はこれ以上大きくならない)。従って、先端硬質部19の上記処置具出口用開口から突出させた処置具80(図29では図示略)を縫合器30に接触させることなく円滑に操作可能である。一方、医療用縫合装置10’’の挿入部17を、挿入部17の側面と縫合器30の該側面と反対側の側面の間の幅(図29のWの距離)より狭くかつ挿入部17及び縫合器30の幅より広い体腔(例えば食道)に通すと、該体腔の内壁によって縫合器30が押圧され弾性制御部材97がさらに伸びることにより、縫合器30は図30に示すように挿入部17と同軸状態になる。このように体腔の形状に合わせてリンク部材22が自動的に移動するので、挿入部17及び縫合器30を体腔に容易に挿入できる。
【0038】
また、医療用縫合装置10、10’、10’’のリンク部材22を非平行のリンク機構としたり、レンズや撮像素子を内蔵させることにより観察機能や撮像機能をもたせてもよい。
さらに、リンク部材22を利用したリンク機構とは別の接続機構(例えば、上記処置具出口用開口が外周側に位置する蛇腹など)によって医療用縫合装置10、10’、10’’の先端硬質部19と縫合器30を接続してもよい。
さらに、押出部材71が押込位置に位置するときにベース板72を本体部31の内部に位置させる収納凹部を本体部31に形成してもよい。
また、板ばね63の変わりに他の付勢手段(例えば圧縮コイルばね)を用いても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 10’ 10’’ 医療用縫合装置
11 操作部
12 湾曲操作レバー
13 処置具挿入用突起
14 栓部材
15 リンク操作部材(リンク操作手段)
17 挿入部
18 湾曲部
19 先端硬質部
20 処置具挿通路(内部管路)
22 リンク部材
23 平行リンク機構(接続機構)
24 回転接続ピン(回転軸)
26 連係ワイヤ
30 縫合器
31 本体部
32 上部平坦面
33 下部平坦面
34 側部平坦面
35 ねじ部
36 案内孔
37 上下方向溝
38 回転許容溝
39 回転支持軸
40 受け部材
41 受け板
42 挿入片
43 貫通長孔
44 ステープル受け溝
46 連係ワイヤ
47 ワイヤ案内溝
50 ステープル収納凹部(収納空間)
50a 底面
51 ストッパ
52 ステープル収納枠
53 枠部
54 突片
55 ステープル
56 被押圧部
57 針部
60 受圧板
62 側部押さえ板
63 板ばね(付勢手段)
65 カバー部材
66 側片
67 前部連結片
68 貫通孔
69 ナット
71 押出部材
72 ベース板
73 74 押込板
75 案内ロッド
77 連係ワイヤ
78 ワイヤ案内溝
80 処置具
81 開閉刃
90 操作具
91 基部
92 スライダ
93 可撓性チューブ
94 95 指掛け孔
97 弾性制御部材
100 親内視鏡
101 挿入部
A 胃(対象部位)
B 患部
L1 レバー(受け部材操作手段)
L2 レバー(押出部材操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に挿入可能で可撓性を有する挿入部と、
該挿入部の先端部に接続する、ステープルを上記対象物内の対象部位に打ち込むことが可能な縫合器と、
を備え、
上記縫合器が、
一対の先端部が開放状態にある略コの字形状の上記ステープルを収納する収納空間、及び、該収納空間と連通するステープルの出口用開口を有する本体部と、
上記出口用開口と対向する状態で上記収納空間内を上記挿入部の軸線に対して略直交する方向にスライド可能として上記本体部に支持した、上記出口用開口に近づくことにより上記収納空間内に位置する上記ステープルを、上記出口用開口を通して本体部の外部に押し、該出口用開口から離れることにより一部が上記本体部の外部に突出する押出部材と、
上記本体部の周面から離れることにより該本体部との間で上記対象部位を挟み込み、かつ、上記出口用開口から排出されて該対象部位を貫通したステープルの先端部と接触することにより、該ステープルの一対の先端部を閉じる方向に変形させる受け部材と、
を備えることを特徴とする医療用縫合装置。
【請求項2】
請求項1記載の医療用縫合装置において、
上記挿入部の基端部が接続する操作部に、上記押出部材を上記本体部に対してスライド操作するための押出部材操作手段を設けた医療用縫合装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の医療用縫合装置において、
上記受け部材が、上記本体部の周面に対して接離可能である医療用縫合装置。
【請求項4】
請求項3記載の医療用縫合装置において、
上記挿入部の基端部が接続する操作部に、上記受け部材を上記本体部に対して移動操作するための受け部材操作手段を設けた医療用縫合装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の医療用縫合装置において、
上記押出部材が、上記収納空間内に位置するステープルが位置する平面と略平行な板状をなし、かつ上記出口用開口と対向する押込板を備え、該押込板が上記出口用開口に最も近づく押込位置と出口用開口から最も離れる退避位置との間をスライド可能であり、
上記収納空間内に、上記押込板が上記押込位置に移動したときに、収納空間内に位置する上記ステープルを上記押込板の側面に接触するまで付勢し、上記押込板が上記退避位置まで移動したときに、上記ステープルを上記収納空間の内壁に接触するまで付勢して該押込板の上記出口用開口側の端面と出口用開口の間に位置させる付勢手段を設けた医療用縫合装置。
【請求項6】
対象物に挿入可能な挿入部と、
該挿入部の先端部に接続する、ステープルを上記対象物内の対象部位に打ち込むことが可能な縫合器と、
を備え、
上記挿入部が、処置具を挿通可能で、その端部が上記縫合器と対向する先端面において開口する内部管路を具備し、
上記縫合器を上記挿入部の先端部に、接続機構によって相対移動可能に接続したことを特徴とする医療用縫合装置。
【請求項7】
請求項6記載の医療用縫合装置において、
上記接続機構が、該挿入部の軸線と平行な対をなすリンク部材を有しており、
対をなすリンク部材の両端部を上記縫合器と上記挿入部の先端部とに、該軸線に直交する回転軸回りに回転可能として接続した医療用縫合装置。
【請求項8】
請求項7記載の医療用縫合装置において、
対をなす上記リンク部材が平行リンク機構を構成する医療用縫合装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の医療用縫合装置において、
上記挿入部の基端部が接続する操作部に、上記リンク部材の上記挿入部の軸線に対する傾斜角度を調整するためのリンク操作手段を設けた医療用縫合装置。
【請求項10】
請求項6記載の医療用縫合装置において、
外力が掛からないときは上記接続機構を上記縫合器の軸線が上記挿入部の軸線に対して側方にずれる状態にし、かつ外力が掛かることにより上記接続機構を上記縫合器の軸線が上記挿入部の軸線と一致する状態にする弾性制御部材を設けた医療用縫合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−193971(P2010−193971A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39773(P2009−39773)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】