説明

医療用繊維および織物

【課題】医療用繊維および医療用織物として使用するシンコン繊維およびシリコン織物、これらの適用、ならびにこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】医療用繊維または織物として使用するためのシリコンを含む繊維または織物。前記シリコンは生体適合性、生物活性、または再吸収性であり得、また、電導体としても作用し得る。さらに、多孔性シリコンは、例えば薬剤または芳香剤のための徐放手段として、または、例えば汗の捕集体として使用し得る。新規の繊維、織物およびこれらの製造法もまた、記載され、特許請求の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用繊維および織物として使用するためのシリコン含有の医療用繊維および織物、ならびにこれらの適用その他に好適な新規の繊維および織物および、それらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維や織物の製造は古くからの技術である。布地使用に好適な繊維は、紡績糸形成や織物構成のための十分な長さ、細さ、強さおよ可撓性を有している。織物使用に利用できる最初の繊維は、動物源と植物源から得られた。綿、羊毛、ジュート、絹および亜麻は、今日最も一般的な天然繊維である。ナイロン、レーヨンおよびポリエステルは一般的な合成繊維である。
【0003】
現在では、例えば金属性の織り合わせ装身具やデニールグレードのストッキングの製造に用いられる技術を用いて、超微細な繊維を織物へと操作することが可能である。例えば、スピナレットで製造されたナイロン繊維は、約25ミクロンの直径を有する。
【0004】
生体材料としての織物や他の繊維状形態の使用は、初期エジプト人やインディアン人にさかのぼる。亜麻の細片や縫合糸が、エジプト人によって天然接着剤と共に傷の端を寄り合わせるために用いられた。アメリカインディアンは、同様な目的のために馬の毛、綿および革の薄片を用いた。最初は、生体材料として織物を使用することは、最初は従来の織り布や編み布の新しい適用と考えられた。この数十年間、高度のポリマーや繊維の加工技術の発達で、従来にない織物形態や繊維製品も用いられている。
【0005】
これらの製品は、まさにそれらの性質と形態に依存して、様々な適用を有し得る。例えば、繊維や織物は、例えば、縫合糸、織り糸、またはメッシュとして、一般的な外科的適用を有し得る。心血管分野において、それらは、例えば人工心臓弁に組み込むことができる。整形外科の腱や靭帯などの人工補てつ物は、繊維や織物形態での製品を利用し、また、それらはシャントや人工皮膚におけるなど、経皮/皮膚適用をも有し得る。
【0006】
現在、医療用織物に用いられる具体的に材料としては、修飾天然ポリマー、合成非吸収性ポリマーおよび合成吸収性ポリマーが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ポリマー織物繊維商品の多くは、種々の添加物(染料、帯電防止剤、つや消し剤、光安定剤など)を有し、これらがそれらの生体適合性を低下させ、したがって医療適用におけるこれらの使用に対する任意選択を制限していることがある。いくつかは、生体分解性であり得るが、組織交換過程における非常に初期の段階で、その繊維が機械的強さを失わないことを保証することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、新規の医療用繊維および織物を開発した。
【0009】
本発明によって、医療用繊維および織物として使用するためのシリコン含有繊維または織物が提供される。
【0010】
本明細書で用いられる用語「シリコン」とは、半導体である元素シリコン材料を言う。疑問を避けるために言うと、これは医療グレードのポリマー、セラミックまたは金属相と組合わせた半導体シリコンの複合体を含むことはあっても、シリカ、ケイ酸塩類またはシリコン類などのシリコン含有化学化合物を含まない。それは、電導性を高めるために、シリコン格子内へ、原子のパーセントレベルまでの濃度のホウ素またはリンなどの元素を組み込んだ、ドープ処理半導体シリコンも含み得る。多孔性シリコンを「pSi」、結晶性シリコンを「c−Si」、非晶質シリコンを「a−Si」と言うこともある。
【0011】
シリコンは、この方法での使用に、いくつかの特別な利点を有している。特に生体適合性、再吸収性または生体分解性または生物活性など広範囲の望ましい性質を有する繊維および織物を製造することができる。
【0012】
さらに、このような繊維または織物は、半導性を有することができるが、このことは、ある一定の適用状況、例えば、移植および人工補てつ物などにおいて、制御されたレベルの電流を適用して体内への組み込みを促進する状況では、特に有用であり得る。
【0013】
本明細書中に用いられている用語の「繊維」とは、それらの直径または幅の少なくとも100倍の長さを有する物質の単位を言う。
【0014】
用語の「織物」とは、布、繊維またはポリマーのいずれかの組合わせから製造される薄く、可撓性の多孔性物質を言う。布は、紡績糸から製造される薄く、可撓性の物質であり、紡績糸は、連続的な繊維の撚糸を含む。
【0015】
用語の「生物活性」とは、インビボで用いられた際に生体組織とその物質との間の結合形成をもたらす特定の生物学的応答を引き出す物質を言う。
【0016】
本明細書中に用いられている用語の「生体適合性」とは、薄膜形態において、少なくともいくつかの生物学的適用における使用に許容し得る物質を言う。
【0017】
本明細書中に用いられている用語の「再吸収性」とは、ある期間、例えば8週間までに、一般には2週間未満に、通常の生理的温度(37℃±1℃)で、人工体液中に再吸収される物質を言う。この場合の人工体液は以下の表1に示すように、イオン濃度がヒト血漿中に見られるイオン濃度を反映するような脱イオン化水中試薬特級の塩を含み得るか、または人工の関節液、汗、尿または他の体液を含み得る。人工ヒト血漿中で、混合物は生理的pH液(7.3±0.05)に、好ましくは、例えばトリヒドロキシメチルアミノメタンおよび塩酸を用いて有機的に緩衝化される。
【0018】
【表1】

【0019】
WO 97/06101は、生体適合性、生物活性、および/または再吸収性である形態でのシリコンの形成を開示している。特に好ましい実施形態において、本発明に用いられるシリコンは多孔性シリコンである。多孔性シリコンは、多孔度性に応じて分類できる。ミクロ多孔性シリコンは、20Å未満の直径を有する細孔を含有し、メソ多孔性シリコンは、20Åから500Åの範囲の直径を有する細孔を含有し、マクロ多孔性シリコンは、500Å以上の直径を有する細孔を含有する。本発明に用いられるシリコンの微粒子または繊維の多孔度性は、使用の意図に応じて変わる。生体適合性、再吸収性および生物活性に必要であるような要因と、以下により詳細に考察される機械的強さや他の物理的要因に関する必要とでバランスをとる必要がある。
【0020】
特に医療用の繊維および織物として使用される繊維および織物に用いられるシリコンは、メソ多孔性シリコンであり、これは再吸収性である。
【0021】
本発明の課題であるシリコン繊維または織物は、種々の形態をとることができ、そのうちのいくつかは新規のものであり、これは本発明のさらなる態様を形成している。
【0022】
次に、本発明を例示によって具体的に記載し、参照として図面が添付される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
一実施形態において、本発明で使用するためのシリコン含有繊維は、シリコン微粒子、好ましくは多孔性シリコン微粒子を、予備形成された織物へと組み込むことによって調製される。これは任意の知られた織物を含み得るが、特に綿、亜麻または生体適合性の合成織物などの生体適合性織物である。
【0024】
シリコン微粒子は、共有結合によって織物表面に結合していることが好ましい。これは種々の方法によって達成できる。例えば、ヒドロキシ基を、例えばU.V.光の存在下、オゾン処理によってシリコン表面に形成することができる。次にこれらを直接、織物上の表面基と反応させ得るか、またはより好ましくは、それらをまず、反応性の基によって官能基化できる。このような官能基化反応の例は、WO 00/66190およびWO 00/26019に記載されている。
【0025】
特に、前記微粒子は、式(I)
X−R−Y(I)
の化合物との反応によって結合し、式中、Yはトリメトキシシランなどの遊離基であり、RはC1〜6アルキレン、特にプロピレンなどのC2〜4アルキレンなどの連結基であり、Xはハロ特にクロロなどの反応性官能基である。前記反応は、熱エネルギー、または光エネルギーの適切なインプットによって好適に実施される。
【0026】
この反応により、表面のヒドロキシル基は、式−O−R−Xの基に変換され、式中、XおよびRは上記に定義された通りである。引き続いて、例えば織物上の表面ヒドロキシ基との反応により、シリコン微粒子はアルキルエーテル結合によって、表面に共有結合されることになる。この引き続いての反応は、トルエン、またはC1〜4アルキルアルコールなどのアルコールなどの有機溶媒中、昇温で、例えば溶媒の還流温度で好適に実施される。
【0027】
このように、本発明のさらなる態様は、中にシリコン微粒子を組み込んだ織物を含む。特に、シリコン微粒子は織物に共有結合される。
【0028】
シリコン微粒子、特に多孔性シリコン微粒子を含むことにより、織物の生物活性が増大する。さらに、シリコン微粒子は、電気的に連続的な通路を提供することのできる粒子−粒子接触をもたらす十分な密度で添加し得る。この方法において、織物は、それが供される医療適用において使用し得る半導性を獲得し得る。
【0029】
好適な織物としては、吸収性、または非吸収性であり得る綿、亜麻または合成ポリマー類まどの生物医療織物が挙げられる。
【0030】
代わりの実施形態において、シリコンが織物に組み込まれてから、単独でまたは、他のタイプの繊維と組合わせて織物へと加工できる。
【0031】
使用されるシリコン繊維は、シリコンだけを含み得るか、またはシリコンと他の繊維との複合体の形態であり得る。
【0032】
いくつかのシリコン繊維およびシリコン複合体繊維の調製が知られている。例えば、日本国特許JA9296366A2号は、ポリエステル繊維上への薄いSi/SiOx薄膜の蒸着、またはポリエステル/シリコン混合物の紡績のいずれかによって製織された複合体繊維の調製を記載している。
【0033】
結晶仕上げを変化させる純粋シリコン繊維もまた、多数の方法によって実現されている。
【0034】
単一結晶シリコン繊維とそれらの調製が、例えば、B.M.Epelbaumらにより、Cryst.Res.Technol.31、1077〜1084頁(1996)に記載されている。この方法では、溶解シリコンを含有したるつぼが、形状を規定する鋳型として働く黒鉛ノズルに連結される。溶解シリコンが、低粘度、高表面張力および高化学的反応性を有するため単一結晶繊維を引き出すことは困難である。るつぼ鋳型の3種の配置が設計され、試験された。100〜150ミクロ範囲の直径と80mmまでの長さの単一結晶繊維が首尾よく得られた。得られた最高引き出し温度は1mm/分であった。
【0035】
レーザアシスト化学的蒸着(LCVD)は、シリコンなどの種々の無機繊維に対する高伸長率の合成経路を提供することが示されている。LCVD法では、反応器内の一点にレーザ光線を集中させ、レーザの方向に化学的蒸着を開始させる。堆積速度と同じ速度で基質を移動させることによって、連続的な線維が実現する。例えば、P.C.Nordineら、Appl.Phys.A57、97〜100頁(1993)に記載された方法によれば、3.4バールのシランガス圧および200mWまでのNd:YAGレーザ出力を用いて、30mm/分までのシリコン繊維伸長率が達成された。525〜1412℃の繊維先端温度で、様々な結晶化度を有する直径26〜93ミクロンのポリSi繊維が実現した。
【0036】
Appl.Phys.Lett.4、89〜90頁におけるR.S.WagnerおよびW.C.Ellisの初期の論文において開示されているように、シリコン繊維は、VLS法によっても実現されている。ここで、Vは蒸気原料ガス、またはガス混合ガスを表し、Lは液体触媒、Sは固体繊維生成物を表している。この方法で、生成される繊維の直径を主に決定するものは、金属触媒小滴のサイズである。双方の結晶シリコンミクロ繊維、そして最近では、ナノワイヤ類が、例えば触媒として金、蒸気相反応物としてシランを用いて例証されている。また、Whisker Technology(John Wiley & Sons 1970)、A.P.Levitt編集で調査されているように、比較的短い長さ(10cm以下)のシリコン「ひげ」、シリコン「針」およびシリコン「フィラメント」に関する多数の関連した初期の報告もある。
【0037】
VLS法は、エアレイ、またはウェットレイ用の短いシリコン繊維の大量生産に適している。先に存在している繊維/撚糸上または内へのシリコンの組み込みは、多くのメーター長構造の織り、編みおよび刺しゅうにとって最も好適のはずである。
【0038】
シリコンミクロワイヤ類とその調製は、例えば、J.J.Petrovicらにより、J.Mater.Res.2001年10月発行に記載されている。この方法では、「テーラーミクロワイヤ法」によって、ミクロワイヤ類を生成させるために光学的FZSi伸長システムが改良された。加工予定の材料をガラス管の中で溶融し、軟化したガラスを溶融材料と共に光学がガラス繊維を引き出す方法と同様の方法で、微細なワイヤへと機械的に引き出す。ガラスの作業温度は、この方法が純粋シリコンに適用された場合、シリコン融点の1410℃を超える必要がある。この研究には、1530℃の軟化点と1900℃の作業温度を有するバイコールガラス(Corninng7913)が用いられた。純粋Siを空の管に充填してから、ハロゲンランプを用いて1900℃に加熱し、機械的に引き出した。この方法によって、可撓性の直径10ミクロン〜25ミクロンのポリSiミクロワイヤ類が、46cmまでの連続長で合成された。
【0039】
J.F.Hetkeら、IEEE Trans.Biomed.Engn.41、314〜321頁(1994)は、CNSミクロプローブ類と共に使用するための「超可撓性」リボンケーブル類の設計、製作および試験を記載している。標準的なSiウェーハを光リソグラフィ、ホウ素深ドーピングおよび多誘電堆積に供して、ケーブルを規定し、引き続いてそれをホウ素エッチストップと急速ウェットエッチを用いて浮かせ、基部のウェーハを溶解させる。2〜3ミクロンの薄さ、および20ミクロンの厚さのケーブルが、ホウ素拡散温度と時間を変えることによって実現した。
【0040】
20ミクロン〜30ミクロンの撚糸を含有する複合撚糸ケーブル類もまたここに記載されており、これらは、「放射方向および横方向における可撓性の増大」を提供した。結び目を作った5本撚糸リボンの図が示され、可撓性が例示された。このようなデザインは、1cm〜5cmの長さおよび60ミクロン〜ミクロンの範囲の合計幅を有した。この方法で製造された繊維は、J.F.Hetkeら、Sensors and Actuators A21〜23、999〜1002頁(1990)に例示されているように、良好な可撓性を有し、15ミクロンの厚さの単一撚糸が180度にわたって屈曲することが示されている。
【0041】
シリコン繊維のこのような例はあるが、医療用織物の構成に適切な形態と構造の繊維配列は新規であり、そのような形態は、本発明のさらなる態様である。
【0042】
本出願人は、十分に小さな刃と勾配、例えば、75ミクロンの刃と225ミクロンの勾配を有する鋸を用いてシリコンウェーハを切断することによっても繊維を製造し得ることを見出した。複数繊維の製造を可能にする櫛状構造を形成するために複数の平行切断が、1つのウェーハの中に形成されることが好ましい。特に好ましい実施形態では、そのような2つの櫛状構造が作られ、その後垂直に織り込まれる。この方法では、1つの櫛の繊維がワフトを形成し、他のウェーハの繊維が織物状構造の撚糸を形成する。切断繊維は、クリーニング、例えば、超音波クリーニング、および/またはエッチング、例えば異方性ウェットエッチに供して、鋸損傷を除去し、および/または繊維の切断面を形づくる。
【0043】
しかし、シリコン繊維またはシリコン複合繊維を製造する他の方法を使用できる。例えば、中空非晶質シリコンミクロ繊維は、好ましくは中空のコアを有するポリマー繊維、金属繊維、セラミック(ガラスを含む)繊維などの繊維をシリコン、特に非晶質シリコン、またはポリシリコンで被覆することによって得ることができる。これは、例えばスパッタリングまたは連続蒸着(CVD)によって達成できる。続いて、最初の繊維を溶解することができ、中空の非晶質シリコンまたはポリシリコンのミクロ繊維が残る。次に所望の場合は、これを多孔化できる。最初の繊維が生体適合性材料、例えば生分解性縫合糸である場合、溶解は必要でないか、または望ましくない場合がある。
【0044】
代わりの実施形態では、シリコンビーズを糸に通してつないで、好ましくは生体適合性または生分解性縫合糸である弾力性の糸またはワイヤ上に可撓性の鎖を形成することによってシリコン繊維が形成される。この結果生じた新規であり、本発明のさらなる態様を形成する。構造はしたがって、装身具類に見られるビーズのストリングに構造において同様である。個々のシリコンビーズのサイズは、またはそれから製造された織物の意図された性質によって様々であり得る。
【0045】
ビーズは、例えば直径が0.5mmから5mm、例えば、マクロのスケールであり得る。これらの場合、およそのサイズに作られたシリコン顆粒に孔を開け、続いて弾力性の糸またはワイヤに通すことによってビーズを形成し得る。
【0046】
ミクロのスケール、例えば直径10ミクロン〜500ミクロンのビーズが要求される場合、それは光リソグラフィと表面ミクロ機械加工によって、好適に調製される。例えば、シリコン膜がシリコン酸化物表面などの溶解性表面上に支持され得る。次に例えば、500ミクロンまでで、好ましくは深さが約50ミクロンのトレンチを、例えばドライエッチングにより、または光リソグラフィ法によって、膜の上面にエッチングし得る。次にトレンチが中央に孔を形成するように、さらなるシリコン膜を表面上に沈積し得る。次にこの構造を光リソグラフィで所望の深さにエッチングでき、所望のビーズの直径を示し、中央の孔の両側に実質的に平行なトレンチを形成する。さらに、このトレンチに実質的に垂直なチャネルをエッチングでき、所望のビーズ形状を形づくる。一旦、これがなされ、好適な糸または縫合糸を中央の孔に通すと、溶解性の表面は除去できる。
【0047】
これらの製造法は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0048】
上記方法のいずれかを用いて得られる繊維および複合繊維は、本発明における使用に好適であり得る。しかし、使用される繊維は多孔性であるか、または多孔性シリコンビーズを含有することが好ましく、これは例えば、米国特許5,348,618号および多孔性シリコン性質(IEE、L.T.Canhamにより1997年編集)を用いて、上記のように製造された繊維またはビーズのストリングを多孔化することに得ることができる。
【0049】
したがって、特別な実施形態において、本発明は多孔性シリコン繊維の調製法を提供し、この方法は、特に溶解引き出し、レーザーアシスト化学蒸着(LCVD)、VLS法、犠牲繊維物質の被覆または上記のミクロ機械加工のうちの1つによるシリコン繊維の形成、その後、例えば陽極処理またはステインエッチングによるシリコンの多孔化を含む。
【0050】
本出願人は、多孔性シリコン繊維は、シリコンウェーハ上のメソ多孔性薄膜の開裂により直接製造し得ることを見出した。前記薄膜は従来法を用いて、例えばフッ化水素酸(HF)の例えば40重量%HFおよびエタノールの好適には等容量におけるシリコンウェーハの陽極処理により形成し得る。繊維は、例えばフィルタ紙で被覆できるガラス表面、例えばガラススライドの堅い刃の上で、例えば切断することにより機械的に開裂できる。前記ウェーハは、切断が実施される前に、溝をつけるか、線を刻むことができる。
【0051】
繊維および織物を含有する多孔性または部分的多孔性のシリコンは新規であり、このようなものとして本発明のさらなる態様を形成する。
【0052】
実質的に純粋なシリコン繊維、例えば、100cm以上の長さのものも新規であり、これもまた本発明の態様を形成する。これらは上記の通り多孔化されることが好ましい。
【0053】
本明細書中に用いられる用語の「実質的に純粋」とは、シリコンが少なくとも98%純粋、より好適には、少なくとも99%純粋、好ましくは100%純粋であることを意味する。
【0054】
本発明の目的のために、シリコンから構成される、またはシリコンを含む繊維は、十分な可撓性および強度を有する場合、縫合糸として直接使用することができる。高レベルの可撓性を有する繊維を得るために必要とされる要因は、さらに以下で検討されている。
【0055】
あるいは、それらは、織物製造において一般的で主要な方法のいずれかのうちの1種以上を用いて織物または紡績糸へと変換し得る。これらには、紡績、刺しゅう、織り、編み、ブレーディング、繊維接着、エアレイ、ウェットレイおよびラミネート化が挙げられる。これらの種々の方法を、医療で使用するための織物の製造に適用する可能性によって、複合二元的および三元的なトポグラフィを達成する機会が提供される。これはある一定の適用、例えば、織物が骨内増殖補助のために用いられる場合、特に有用であり得、オープンメッシュが好ましい。
【0056】
シリコンは、堅いがもろい材料であり、多孔性シリコンは割れやすい。したがって、複雑なパターンへと織り込むための十分強くて可撓性のある多孔性繊維を製造できることは驚くべきことである。
【0057】
羊毛、綿、亜麻などの多くの天然繊維は、さらなる処理なしに布地に加工するのに十分な長さではない。それらは、繊維が先ず、互いに平行に広げられ(「梳かれる」)、そして、共に「撚糸」へと撚り合わされる(例えば、以下の図2に例示されるように)紡績として知られている工程によって、利用可能な糸へと変換される。このような工程は、シリコンを含む繊維にも適用できる。
【0058】
実質的に純粋なシリコンの撚糸もまた新規であり、やはり本発明のさらなる態様を形成する。
【0059】
刺しゅうは、基礎布地上への縫い目の形成を含み、これは、デザインに高い融通性があることを意味する。縫い取り工程の終了後、次に基礎布地を溶解させる。この方法は、靭帯などの自然の繊維配列を模造するためには特に良好であり得る。組織の内部増殖のため、荷重を担持する糸がオープンメッシュと共に最適に配置される骨折固定における可能性もある。
【0060】
織りの工程は、2つの別々の要素の組を織り合わせて織物を製造する必要がある。「縦糸」と呼ばれる要素を、通常平行な配置にまず規定し、次に「横糸」と呼ばれる第2の要素が、縦糸と連結して安定な平面構造を生み出す。織りはそれほど多くの繊維可撓性を必要としない。簡単な機械的織機においては、縦糸の糸は仕上げの布束の幅にローラーから流出する。糸は、上下に移動でき垂直に流出している1組のワイヤを通り抜ける。各ワイヤが、小さな目すなわち環を有し、その中を縦糸の撚糸が通る。簡単な機械的配置により、交互に各環を上げて横糸の通れる空間を作ることが可能である。横糸は「シャトル」または空気/水の噴射によって運搬される。横糸は縦糸を通り抜ける際、櫛状の枠によって、前の糸にしっかりと押し付けられる。ここで縦糸を運搬している環は押し下げられ、シャトルは回転して1組の糸の間に、第2の「通り抜け」がなされる。最も速い工業用織機は、1分間に約200回の通り抜けで作動する。
【0061】
織り布は通常、低伸長だが高切断力を示す。それらは、用いられる織りのタイプに応じて、種々の2Dおよび3Dトポグラフィを有することができ、典型的な例は、本明細書に後で図1に例示されている。必要な場合は、特別な織物の3Dトポグラフィは、例えば織り組立て中に、繊維の局所化溶融によって修飾できる。複合織物におけるシリコン繊維のネットワーク織物は電導性であり、それによって選択的加熱交差ポリマー繊維に用いられて、より堅く組合された格子を形成することができる。
【0062】
編みは、例えば本明細書の後の図3に例示されている連続的な単一要素の技法であり、ここでは、ある種の道具または枠に保持された編み目の反復によって、一連のループが垂直に連結される。編み織物の引張り強さは通常、織りのそれよりも劣るが、それらの可撓性と伸長性はより大きい。
【0063】
ブレーディングは、いずれのタイプの環、ループ、縦糸または結び目もなしに要素の1組の単純な織り交ぜを利用する方法である。それは縦糸が横糸として働くこと、また織り交ぜがあや織り、すなわち一般に斜角のパターンでなされることで織りと区別される。ブレーディングは、しばしばプレーティング、ウェビングまたは織り交ぜと呼ばれる。
【0064】
繊維接着は、繊維対繊維の組合わせが熱または溶媒によって生成される、一般的に大容量保健製品の製造に用いられる技法である。
【0065】
エアレイおよびウェットレイは、非常に短い繊維から織物を形成するのに好適な技法である。エアレイにおいては、繊維は空気の流れに供されてから移動ベルト、または穿孔ドラム上に堆積してランダムに配向した繊維の可撓性の織布構造を形成する。同様に、ウェットレイは、繊維と水との混合物を用い、それを移動スクリーン上に堆積させてから排水して織布を形成し、ローラーの間で固めて乾燥する。
【0066】
最後に、ラミネート化は、接着剤を用いて1つの織物を他の織物に結合する方法である。
【0067】
あるいはシリコン、特に非晶質シリコン、またはポリシリコンを、例えばスパッタリングまたは連続的に蒸着(CVD)によって、既に存在している織物上に被覆できる。好適な織物は、任意の知られている織物を含み得るが、特に綿、亜麻または上記のポリエステル薄織りなどの生体適合性合成織物などの生体適合性織物である。一旦、このように被覆されると、得られたシリコン被覆は当業界に知られており、上述されたステインエッチングによって、場合によっては多孔化し得る。
【0068】
これらの技法のいずれか、または全てが本発明に用いられる織物の製造に適用できる。いずれかの具体的な場合におけるそれらの適用性は使用されるシリコン繊維の性質および最終繊維製品または織物製品に必要な性質に依存する。
【0069】
いずれかの具体的な場合に必要とされる種類の繊維を選択する際に考慮に入れる必要のある要因、およびこれを織物へ変換するための方法には、応力、ひずみ、引張り破砕強さ、展性および破壊の仕事が含まれる。
【0070】
応力は、単に単位面積当たり(N/mまたはPaの単位)の負荷である。ひずみは、単に単位長当たりの負荷下の伸びの量(比)である。種々の材料によって、拡張/圧縮力による伸長/圧縮される度合いが非常に大きく異なる。したがって、それに相当する応力/ひずみの比、すなわちヤング率(N/mまたはPaの単位)が「剛性」または弾性的可撓性を示す。それは、ゴムでの7Pa、多くのプレスチックでの1.4kPa、鋼での2MPaからダイヤモンドでの1.2GPaまで変化する。
【0071】
引張り破壊強度は、引張ることによって材料を切断/破壊するために必要とされる応力(N/m2またはPa)である。これもまた、通常のコンクリートでの約4MPa、
プレスチックでの50MPaから、鋼での2GPaと相当に変化する。織物に使用される材料での値には、40MPa(革)、350MPa(綿および絹)がある。もろい材料では、破壊強度、FSは臨界流によって制御され、Griffith等式;
FS=(2VE/^c)^0.5
によって与えられ、
式中、Eは、ヤング率、2Vは、2つの新たな表面を形成するのに必要とされる破壊エネルギーであり、cは臨界流の大きさである。
【0072】
展性とは、金属が切断する前に操作できる程度を言う。
【0073】
破壊の仕事とは、破壊構造を生成させるために必要な総エネルギー(J/m^2)である。銅やアルミニウムなどの展性材料では、値は10^4J/m^2と10^6J/m^2の間の範囲であり、自由表面エネルギーよりもはるかに高い。
【0074】
多孔性の導入は、材料をより可撓性にする(ヤング率の低下)が、より弱くもする(破壊強度の低下)。もろい材料における強度は、ひび割れの伝播と破壊を開始させる臨界表面流によって限定される。織物材料は、一般に非多孔性繊維を含むが、ナノメートルサイズの孔を含有する織物の例がある。そのような材料の1つは、HPZセラミック繊維で、ここでの多孔度は、20%、平均孔幅は1.4mmである。単一の結晶質「バルク」シリコンは、162GPaのヤング率を有し、7GPaの破壊強度を有する。p+シリコンにおけるメソ多孔性の導入は、以下の等式:
E=(120×p^2)GPa
によりヤング率を著しく低下させることを示した。
式中、pは、90%から30%の多孔性に対応して0.1から0.7の範囲にある相対密度である。1GPaという低い値が高多孔性材料において達成できる。
【0075】
ミクロ機械加工されたシリコン構造は、それらの多孔化以前のバルクシリコンの機械的性質を一般に有する。しかし、グラスファイバーなどのシリコン繊維は、直径が5ミクロン以下に下がると著しく強くなる。
【0076】
ガラスでの、重要な欠点は通常、表面のひび割れである。しかし、シリコンのようなもろいクリスタルガラスでは、表面処置が局所的な応力増大によるひび割れ伝播を開始する作用をすることがある。したがって、本発明に使用されるシリコン繊維表面を、例えば樹脂接着によって補強することが好ましいことがあり得る。
【0077】
ポリ結晶質シリコンを本発明に使用でき、したがって本明細書中に用語「シリコン」が用いられる時はいつでも、この形態を含み得る。粒子境界の表面エネルギーが結晶の破壊面の表面エネルギーを超えているという条件でポリ結晶質性は強度を低下させない。
【0078】
同様に、非晶質シリコンは生物学的に許容できるか、または生物活性であり得、したがって本明細書中に用語「シリコン」が用いられる場合、他に特記しない限り、この形態を含み得る。
【0079】
医療用繊維および織物における使用のための十分な可撓性を達成するためには、非多孔性シリコン繊維は、直径が50ミクロン未満であることが好適である。繊維の多孔化部分は、所与の直径における可撓性を向上させるが、強度は低下させる。
【0080】
部分的に多孔性のシリコン繊維は、十分に生分解性ではないが、実質的により大きな強度を有し得、したがってある一定の状況においては好ましい。
【0081】
上記に検討した表面不首尾の機構を避けるために、多孔性を表面被覆部ではなく、繊維のコアに導入して強度を向上させることが好ましいと思われる。これはp++/n−繊維の選択的陽極処理または全体的多孔性繊維のポリSi被覆、または全体的多孔性繊維の部分的焼固により実現し得ると思われる。
【0082】
実質的に純粋なシリコン繊維から調製された織物は新規であり、本発明のさらなる態様を形成する。
【0083】
また、さらなる態様において、本発明は医療用織物を調製する方法を提供し、この方法は、実質的に純粋なシリコンの織り、編み、刺しゅうまたは繊維接着を含む。
【0084】
シリコンまたはシリコン複合体から構成された繊維および織物は半導性であり得る。したがって、本発明はさらに、電導性シリコンまたはシリコン複合繊維または織物を提供する。このような繊維および織物は療法に用いられる場合、半導性によって電荷の良好な分布が可能になるため、医療適用において特に有用である。このような織物の特別な形態は、絹の縦糸と低抵抗率のシリコン含有横糸を含む絹基材の織物である。
【0085】
このようにさらなる態様において、本発明は、組織増殖を増加させる方法を提供し、この方法はそれを必要とする患者に、シリコンを含む半導性織物を適用すること、および前記織物に制御されたレベルの電流を通すことを含む。
【0086】
上記の繊維および織物は種々の医療適用を有する。例えば、細胞浸潤用に大きな孔(>100ミクロン)を有する織物が、組織工学技術の足場として使用できる。上記に挙げた種々の織り技法の使用によって、2Dトポグラフィの並外れた可撓性が提供される。
【0087】
それらはまた、整形外科の人工補てつにおいても使用でき、ここで繊維のメソ多孔性が生物活性を提供する一方、織物パターンのマクロ多孔性は骨内増殖を指示し可能にする。
【0088】
前記織物の電導性はまた、骨形成が、分布した電荷の適用によって制御される整形外科適用において有利である。ワイヤメッシュ陰極を利用する侵襲性骨増殖刺激剤が現在、脊椎固定において用いられている。
【0089】
ステントは、血管の管腔を維持、または増加させるために、一時的または永久的な内部の足場として役立つように設計されたメッシュ状の環である。本質的なステント特性としては、放射およびねじれ可撓性、生体適合性、X線による可視性および信頼できる拡張性が含まれる。これは現在、金属などの展性はあるが、非生分解性材料から、設計される広く用いられている移植の一例である。上記のシリコン織物またはシリコン含有織物は、これらのステントの基部を形成し得る。特に好ましい織物は、生分解性形態、および薬剤を局所的に溶出させるための部分的多孔性形態を含むことになるであろう。これらの形態は、ステントの製造において、上記の多孔性シリコン繊維を全体的にまたは部分的に用いて可能になると考えられる。
【0090】
上記織物に関するさらに可能な適用は、神経界面連結のための可撓性電極である。織物のマクロ多孔性は、組織の内増殖を可能にする。また、使用される繊維は、少なくとも部分的にメソ多孔性であることが好ましいが、これは、それらがより低いインピーダンスを提供することを意味する。このような機器において重要な、非常に高い電導性と安定性を保証するため、この場合、白金またはイリジウムなどの金属の超薄型等角被覆によって電気メッキされた多孔性シリコン層を有する非多孔性の大量にドープ処理されたシリコンコアを含む繊維を使用することが好ましいと考えられる。
【0091】
上記織物はまた、「ラップ」インビボ薬物送達系を製造するためにも使用できると考えられる。例えば、それらは、器官の曲折領域への局所化送達において、または薬剤溶出セルのカプセル化のために使用し得る。これらの場合、複合製剤の生体適合性が必須である。
【0092】
この適用の変法において、それらは「ラップ」エックスビボ薬物送達系において使用し得る。この場合、汗に溶解する薬剤溶出PSi粒子で増大させた織物を用いることが好ましいと考えられる。このような場合、コアの織物は、生分解性である必要はなく、皮膚を刺激しないという限りでのみ、医療用織物である。
【0093】
このような適用の拡張として、皮膚科疾患に関して皮膚を治療するために、繊維または織物内のシリコンが薬剤に含浸されている織物を挙げることができ、それは皮膚に直接適用される包帯の中に組み込まれ得るか、または含まれ得る。また、このような繊維および織物は、例えば関節炎の関節を治療するために用いられる抗炎症剤など、疾患の治療に用いられる薬剤の局所化された局所送達のために使用できる。
【0094】
皮膚を通した受動的薬剤拡散が、特にケイ酸などの低分子が拡散されている場合に使用できると考えられる。上記の半導性織物は、大型の生体分子の経皮送達のためのイオン泳動タイプのデザインにおいて使用できると考えられる。
【0095】
上記織物の電導性は、それらを電気刺激の分布ネットワークにとって好適である。これらの適用では、織物が標的領域周辺に包含され、部位の配列を同時に電気刺激するために使用できる。
【0096】
汗診断用の非閉塞性衣類またはパッチもしくは包帯などの他の装着可能構造物もまた、上記の織物に含めることができる。ここで特に、非閉塞性衣類のために使用される織物は、皮膚の正常なレベルの水和作用の維持を補助する比較的開いた格子と、この方法のために現在使用されているシリコンチップに比して可撓性を有するものであり得る。また、それは被覆領域を非常に増大できる。多孔性分布の広いSi成分は、排泄された生化学的マーカー採集のための清潔な大型貯蔵部として働く。
【0097】
比較的安価な衣類(例えば、ティーシャツプラス多孔化精錬グレード粒子ポリシリコン)が、激しい身体運動後の分析用ワンショット汗採集用具として使用し得る。
【0098】
貯蔵粒子は、着用および汗の組入れ後、拡張音波処理により衣類などの織物から除去できる。次にメソ孔内に採集されたマーカーを溶媒抽出後、標準的な分析法に供する。好ましくは、WO 00/006190に記載された方法により誘導された生化学的に安定なシリコン粒子を衣類に含めることが好適である。
【0099】
前記織物の半導性はまた、皮膚温度の電気的上昇により発汗の増加を促進する。特に、包帯またはパッチ状構造において、シリコンミクロ繊維のジュール熱は、汗の産生と採集を促進するのに十分なレベルへ局所的に温度を上昇させることができる。これもやはり、引き続き多孔性シリコンの貯蔵粒子から再生できる。しかし、これは皮膚の局所化加熱が必要な場合、より広く適用し得る。その場合、織物が本質的に半導性であるという条件で、使用されるシリコンは多孔性であってもなくてもよい。
【0100】
この方法を用いる汗の採集方法、ならびに皮膚の局所的加熱方法は、本発明の特定の実施態様を形成する。
【0101】
上記の中空シリコン含有繊維は、可撓性の免疫分離ネットワークで使用するための織物を形成するのに好適に使用し得る。この場合、使用される外来細胞は中空メソ多孔性繊維の中央チャネル内に収容される。前記織物は好適にも比較的開放的な構造を有し、各繊維の周辺の血管新生を促進する。
【0102】
上記シリコン含有織物の多孔性(マクロ多孔性およびメソ多孔性の双方)は傷の修復、例えば抗生物質などの薬剤の送達に利用し得る。このように、これらの織物は吸着性包帯に使用し得る。ポリ結晶質シリコンはまた、傷の修復を促進するために用いられる織物において特に有用であり得る。
【0103】
上記シリコン含有繊維のさらなる特定の適用は、X線に不透明な紡績糸の製造にある。シリコンはX線に対し比較的不透明であり、したがって、手術用綿棒やスポンジにおけるマーカーとして使用するために少なくとも50重量%の硫酸バリウムを含有させて、それらを十分不透明にしなければならない現行のポリマーの代わりに使用できると考えられる。
【0104】
上記に検討した繊維または織物が多孔性または非多孔性シリコンを含む場合、これによって、それらが種々の物質の徐放に使用し得るという可能性が開かれる。製薬または薬剤と同様に、それらは芳香剤などを含み得る。そのような物質の特定の例は精油であり、これらは芳香剤のこともあり、および/または治療効果を有することもある。
【0105】
このように本発明は、多種多様な適用にとって所望の生分解性と機械的性質とを組合わせた繊維および織物の製造を可能にするため、特に有利である。使用されるシリコンの半導性は、医療関係において、電荷分布の可能性を与える。さらに、織物の場合、2つの多孔性(すなわち、例えば、電気化学的エッチングにより製造される繊維自体のミクロ多孔性またはメソ多孔性、ならびに織りデザインの選択によって決定されるマクロ多孔性)の望ましい効果が達成でき、例えば生物活性オープンメッシュは骨内増殖のために製造され、他の複合2Dおよび3Dトポグラフィは意図された最終利用に応じて達成される。
【0106】
(実施例1)
押し出しポリSi繊維の調製およびそれから得られた織物
直径が5〜25ミクロン直径のポリSiミクロワイヤを、「Taylorのミクロワイヤ法」により最初に作製する。ここで、ポリまたは製錬グレードシリコン充填は、局所加熱源によりガラス管内で溶融され、細いワイヤが機械的引張りにより開口部から引き出される。このように製造されたワイヤを、シリカの鞘に入れ、HF基剤処理により除去する。
【0107】
次に、HF基剤溶液における多孔化前に、適切なデザインにワイヤを織り、編み、またはブレードする。直径が5〜10ミクロンのワイヤに関して、十分な多孔化がステインエッチング法により成し遂げられる。あるいは、低抵抗率のポリ/単結晶性シリコンから作製された織物の陽極処理が、特により厚い繊維ネットワークに関して使用できる。
【0108】
(実施例2)
強化シリコン繊維の調製
例えば、実施例1に記載された通りに調製されたシリコン複合体繊維束を、極めてもろいガラスを非常に頑丈なファイバーグラスに変換させるために用いられる樹脂結合法を用いて、はるかに頑丈な形態に加工できる。ファイバーグラスに使用される樹脂はそれ自体もろいと考えられるが、シリコンと樹脂との間の境界面(ガラス樹脂境界面でのように)は、束でのひび割れ伝播に対して有効な障壁として作用する。
【0109】
(実施例3)
押し出しポリマー/Si粉末繊維の調製
押し出し容易なポリマーを、最初に多孔性シリコン粉末と混合して、適度の温度でまだ繊維に加工できる複合体を形成する。シリコン組み込みレベルは、例えば、生物活性誘導のためには1〜10重量%、降伏強度を向上させるためには10〜60重量%、絶縁ポリマーに電導性を与えるためには60〜90%の間である。ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)などの生分解性ポリマーが使用される場合、複合体織物は、生分解性を保持している。Dacron(商標)などの確立された織物材料が使用される場合、pSi粉末の含有物を、工業用配列における追加ステップの1つとして組み込むことができる。ポリアニリンまたはポリアセチレンなどの電導性ポリマーが使用される場合、得られた織物は、生分解性ではないが、低レベルのシリコン添加により表面を生物活性にさせることができると考えられる。
【0110】
(実施例4)
中空非晶質/ポリシリコンミクロ繊維の調製
商品として入手できる、直径が5〜100ミクロン範囲の中空コアを有する直径が20〜200ミクロン範囲のポリマー/シリカ繊維を、非晶質/ポリシリコンによりその長さに沿って最初に被覆する。これは、繊維を真空スパッタリング/CCDチャンバによって引張り、室温/昇温それぞれにおける堆積により達成できる。ポリマーの熱安定性の低さによって、室温で実施できる非晶質薄膜への被覆を限定される。次いで繊維のコアを、好適な溶媒/HF基剤溶液中に浸すことにより除去する。
【0111】
ステインエッチング法または陽極処理により再度多孔化できる。ミクロのひび割れが繊維強度を限定することから、超臨界加工のような改良乾燥法が有利となる。
【0112】
(実施例5)
ミクロ機械加工ポリSi繊維の調製
超細繊維は、表面酸化、ポリSi堆積、ミクロ機械加工およびHF誘導放出に反復的に供される標準的シリコンウェーハの反復使用により実行できる。多孔化は、HF放出ステップの前後のいずれかにおけるステインエッチングにより実施される。最大繊維長は、ウェーハの直径、繊維断面ポリSi層の厚さおよびマスクデザインにより定義される。
【0113】
(実施例6)
前形成繊維へのシリコンの組み込み
商品として入手できるシリコン粉末(製錬グレードまたは太陽光線グレード純度)を、サブミクロン粒径まで機械的に製粉してから、HF基剤溶液中でステインエッチングにより多孔化する。次に多孔性粉末をUVオゾン処理に供して、表面にヒドロキシル基を生成する。次いで3−クロロプロピル(CP)基による置換を、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン(CP−TMS)を用いることにより達成する。次に、綿、亜麻糸、または合成繊維などの商品として入手できる織物に対しプロピルエーテル結合による共有結合は、沸騰トルエン中での共温置により達成される。十分な反応時間後(例えば、110℃で2時間)、物理吸着のpSi粉末を除去するために超音波処理を使用でき、織物表面に結合された共有結合シリコン粉末だけを残す。
【0114】
(実施例7)
前形成紡績糸へのシリコン組み込み
実施例1または5に記載された方法により調製された非多孔性または多孔性シリコン繊維を、既に紡績糸に紡がれた織物繊維の周囲にラップする。これにより、主として標準的織物材料の繊維内に電導経路を提供できる。
【0115】
(実施例8)
絹オルガンザ中のシリコンによる金属置換
絹オルガンザは、インド起源の微細に製織された絹織物であり、これは、金、銀また銅を絹糸に結合し、異方的伝導性である織物にする。この縦糸は、平行な絹糸からなる。この縦糸を通して、横糸が、金属箔へリックスにラップされた絹糸で編まれる。
【0116】
しかしながら、この実施態様において、低抵抗率シリコン繊維が、金属箔ラップ繊維の代わりに用いられる。繊維間の間隔によって、繊維の正しく配向されたストリップとなり、リボンケーブルのように機能化する。
【0117】
(実施例9)
多孔性シリコン繊維の調製
多孔性シリコン繊維は、フィルタ紙に覆われたガラススライド上でウェーハ上のメソ多孔性薄膜を開裂させることにより得られた。80%多孔度で64ミクロンの厚さの薄膜を、同量の40重量%のHFおよび純粋エタノール中、1平方センチメートル当たり100ミリアンプで20分間の陽極処理により作製された(100)配向p+ウェーハ(0.005±−20%オームcm)から作製された。「ウェーハ平面」に対して平行または垂直方向に沿ってウェーハの背面に線を刻みつけガラススライドの直線端上で切断すると、何本かの短繊維(1〜10mm)がダイスチップから切断された。例を図4に示すが、それは長方形の断面(a)95〜100ミクロン幅(b)25〜30ミクロン幅の繊維の200倍率の光学顕微鏡画像を示している。繊維構造は十分に多孔性(80%多孔度)であり、それらは褐色に見える。図4(c)は、その可撓性を説明するために炭素パッド上で屈曲したより大きな繊維の別の光学顕微鏡画像である。
【0118】
(実施例10)
多孔性シリコン繊維の調製
代わりの方法において、多孔性シリコン繊維は、図5(a)に示されるような鋸切断されたシリコン櫛状構造のエッチングおよび陽極処理により得られた。3インチ直径のウェーハの端に75ミクロン幅の刃を用いて225ミクロンのピッチで一連の45の切断がなされた。これを、約12mmの長さで150×380ミクロンの長方形断面の支持単結晶ビーム配列を創製した。
【0119】
次にこれらのビームを、アセトン中での超音波洗浄に次いで、70%硝酸、氷酢酸および40%HF水の5:1:1の容量比で等方性ウェットエッチングに供した。このステップは、鋸損傷を取り去り、次のステップで生じる繊維の断面積プロフィルを規定するために用いられる。エッチング溶液を連続して攪拌し、エッチング時間は、ここに示されたデータについては7.5分であった。図5(b、c)は、幅を145+/−5ミクロンから25+/−5ミクロンに減じたエッチング前後の平面図におけるビーム配列を示している。次にウェーハセグメントをさらに、陽極処理に関する調製において、押し出しビームの端に隣接したバルクシリコンのないより狭い櫛状構造へと開裂させた。1.0ボルトの陽極電位を、40%HF水/エタノール(1:1容量)中、懸濁構造と陰極として作用する円形白金るつぼとの間に印加した。ビームの下半分だけを、電極に浸した。生じた高電流密度により、ビーム寸法と陽極処理時間により規定された均一な幅の繊維としてpSi薄膜を脱積層化した。
【0120】
代わりとして、最初に低電流密度を印加し、次いで十分な高電流密度を印加してウェーハ全体からpSi膜の生成においてよく知られている「リフト−オフ」を引き起こすことが可能であると考えられる。
【0121】
図6(a〜c)は、この方法を用いて得られた、それぞれ20ミクロン幅、4ミクロン幅、および複数撚糸繊維の端を示している。用いた陽極処理条件の結果、これら多孔性構造全体の多孔度は、60%過剰である。
【0122】
(実施例11)
製織シリコン構造の調製
上記の鋸で切り取りかつエッチングする工程を、より大きな構造を用いて純粋シリコン繊維を製織できることを実証するために使用した。ウェーハの正方形断片を、櫛様構造切り取り、300、200、100ミクロンの厚さに減じて、またより大きな長さでエッチング処理に供した。
【0123】
図7(a)は、縦および横繊維が200ミクロンの厚さを有する純粋な単結晶Si製織の例を示す。図7(b、c)は、300ミクロンの厚さの横繊維および100ミクロンの厚さの縦繊維を含有するSi製織を示している。後者は、後の実施例12に記載されるステインエッチングにより誘導されるpSi被覆を有し、それらは褐色に見える。
【0124】
(実施例12)
Siおよび多孔性Si被覆織物、縫合糸および糸の調製
中央の基質回転台周辺に同心円状に配置した4つの400mm×125mm平面マグネトロンで装備した修飾Blazers Bakボックス内で繊維材料のある範囲をスパッタリングした非晶質シリコンによって被覆した。500wに設定した標的電力、10^−8トルの基礎圧、5×10^〜3トルのアルゴンイオン化大気および50℃の基質温度で5×10^18/cm^3におけるホウ素ドーピングした99.999%純粋なSi標的からのスパッタリングによって被覆を行った。基質は0.0025mm/秒と0.126mm/秒の間の速度で回転させ、従来法で構築された枠組み上に支持して被覆の均一性を向上させ、厚さを制御した。
【0125】
商品として入手できるポリエステルの薄織(デニール100、メッシュ156)を、200nmで1ミクロンおよび10ミクロンのシリコンによって被覆した。図8(a、b)は最も厚く被覆され、しかも可撓性を保持していることを示す薄織の部分を示している。示されているように被覆物は、結び目にされている場合でも十分に接着していることが判明した。図9(a、b)は、被覆薄織の一部のSEM画像を、図9(c)は、被覆中低レベルの酸素を示している対応するEDXスペクトルを示す。
【0126】
複数束繊維ネットワークの暴露表面は全てこのようなSi被覆を有していることが判明した。図10(a、b、c)は、ステインエッチングによる被覆の部分的多孔化後における同一の薄膜の対応する画像およびスペクトルを示している。これは、40%HFの100容量部に対し、70%硝酸の1容量部を含有する従来のステインエッチング溶液中、織物を60秒間液浸することによって達成される。90秒のエッチングでは、pSi被覆の部分的脱ラミネートを生じさせることが判った。被覆物の多孔性は、図10(c)において、酸素とフッ素の濃度が上昇したこと、また、図10(b)におけるいくつかのひび割れの存在によって明らかである。
【0127】
シリコン被覆構造物の例としては、生分解性縫合糸(図11(a)の複数繊維糸)、金属(アルミニウム)ワイヤ(図11(b))、中空ガラス繊維および管(図11(c))および他の単一束ポリマー繊維が挙げられる。所望の場合、ガラスまたは金属の内部構造物は引き続き、ガラスには、フッ化水素酸、アルミニウムには塩酸などの適切な溶媒を用いて溶解できる。
【0128】
図12は、縫合糸およびポリマー繊維の可撓性がSi被覆後に維持されていることを示す光学画像がある。
【0129】
(実施例12)
シリコン含有医療用織物の半導性の例示
図7(a)の製織化純粋シリコン構造物を当量の40%HFおよびエタノール中、陽極電気バイアスの適用により、部分的にメソ多孔性にした。この過程の間および後に多孔性シリコン自体が半導性であることから、前記構造物は、半導性のままであった。
【0130】
図10の多孔性シリコンで被覆された薄織を、人工体液中、陰極バイアスとした。被覆前に前記薄織を電気的に絶縁した。したがって、表面被覆に対する電流は制限されている。このことと、結晶質シリコンの抵抗性に比して、非晶質シリコンの高い抵抗性により、この織物に1mAの電流を維持するためにあ、30ボルトのバイアスが必要であるという結果になった。
【0131】
前記薄織の伝導性は、スパッタリング工程において大量にドーピングした(10^20B/cm^3)Si標的を用いることによって、またはレーザアニーリングによりSi被覆を多結晶質にすることによって増加させることができる。
【0132】
(実施例13)
ビーズの可撓性Si鎖の調製
球状多結晶質の直径1〜5mmのSi顆粒は、米国MEMC社からkg量で商品として入手できる。機械的篩い後、これらを例えば、1.0mm直径のサイズに分離する。次にそれぞれに500ミクロン直径孔をあけて、バッチは、ドリル損傷を取り除くために、等方性の化学的エッチングに供する。引き続いて孔を一直線にして、医療用結合繊維に結合されたリードワイヤを用いて糸を通す。部分的多孔化は、相互に連結した球体の鎖を結合させるために電導性Ptワイヤを用いてステインエッチングまたは陽極処理により達成される。
【0133】
(実施例14)
ミクロビーズの可撓性Si鎖の調製
シリコンウェーハを熱的に酸化し、150ミクロン厚さSi膜を酸化物表面に結合させる。次いで線形配列の長方形トレンチを、そのSi被覆物内へ50ミクロンの深さまで深くドライエッチングし、紡績抵抗で内充填する。このステップは、各ビーズの何が中空コアになるかを規定する。
【0134】
表面平面化および洗浄後、別の100ミクロン厚さのSi膜を、この配列にウェーハ結合させる。次に、光リソグラフィに規定された、250ミクロンの深さまでのSi−抵抗−Si構造を通しての深いドライエッチングを、抵抗チャネル方向と直交する線形配列パターンで実施する。このステップは、線形Siカラムを整列粒子の列に分割する。次に抵抗チャネルは、溶媒によってこし取られ、ウェーハ直径を通って整列している粒子の少なくとも1本の鎖を通って、好適なミクロワイヤ(<50ミクロン直径)が通される。
【0135】
全配列が、好適にワイヤを通したら、ウェーハをHFに浸漬させて下の酸化物を溶解させて粒子鎖を遊離させる。引き続き鋭い粒子端を取り除くために等方性エッチングを、そして鎖中の各粒子の表面をも多孔化するためにステインエッチングを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】製織織物の構造を図式的に例示する図である。
【図2】紡績糸の構造を図式的に例示する図である。
【図3a】ニット繊維の構造を図式的に例示する図である。
【図3b】ニット繊維の構造を図式的に例示する図である。
【図4a】最小幅が約100ミクロン(×200)の多孔性C−Siミクロ繊維の顕微鏡画像を示す図である。
【図4b】最小幅が約25ミクロン(×200)の多孔性C−Siミクロ繊維の顕微鏡画像を示す図である。
【図4c】最小幅が弾性的に屈曲した100ミクロン幅の繊維(×20)の多孔性C−Siミクロ繊維の顕微鏡画像を示す図である。
【図5a】部分的に鋸切断したウェーハ(×3)の顕微鏡画像を示す図である。
【図5b】鋸切断されたシリコンビーム配列(×32)の顕微鏡画像を示す図である。
【図5c】エッチングされたシリコンビーム配列(×100)の顕微鏡画像を示す図である。
【図6a】最小幅が(a)20ミクロンの多孔性C−Siミクロ繊維の顕微鏡画像を示す図である(拡大比と倍率は示されている)。
【図6b】最小幅が(b)4ミクロンの多孔性C−Siミクロ繊維の顕微鏡画像を示す図である(拡大比と倍率は示されている)。
【図6c】最小幅が(c)複数撚糸繊維の多孔性C−Siミクロ繊維の顕微鏡画像を示す図である(拡大比と倍率は示されている)。
【図7a】厚さ200ミクロンの縦糸と横糸を有する製織C−Si構造の顕微鏡画像を示す図である(拡大比は示されている)。
【図7b】厚さ100ミクロンの縦糸と厚さ300ミクロンの横糸を有する製織C−Si構造の顕微鏡画像を示す図である(拡大比は示されている)。
【図7c】厚さ100ミクロンの縦糸と厚さ300ミクロンの横糸を有する製織C−Si構造の顕微鏡画像を示す図である(拡大比は示されている)。
【図8a】厚さ10ミクロンの半導性シリコンで被覆されたポリエステル薄織の顕微鏡画像を示す図である(拡大比は示されている)。
【図8b】厚さ10ミクロンの半導性シリコンで被覆されたポリエステル薄織の顕微鏡画像を示す図である(拡大比は示されている)。
【図9a】被覆後のポリエステル薄織表面図のSEM画像、および対応するエネルギー分散X線(EDX)スペクトルを示す図である(拡大比は示されている)。
【図9b】被覆後のポリエステル薄織表面図のSEM画像、および対応するエネルギー分散X線(EDX)スペクトルを示す図である(拡大比は示されている)。
【図9c】被覆後のポリエステル薄織表面図のSEM画像、および対応するエネルギー分散X線(EDX)スペクトルを示す図である(拡大比は示されている)。
【図10a】ステインエッチング後のポリエステル薄織繊維の拡大図(拡大比は示されている)
【図10b】ステインエッチング後のポリエステル薄織繊維の拡大図(拡大比は示されている)
【図10c】前記繊維のEDXスペクトルを示す図である。
【図11a】シリコン被覆された(a)生分解性縫合糸(拡大比は示されている)を示す図である。
【図11b】シリコン被覆された(b)アルミニウムワイヤ(拡大比は示されている)を示す図である。
【図11c】シリコン被覆された(c)中空ガラス繊維の走査電子顕微鏡画像(拡大比は示されている)を示す図である。
【図12】構造の可撓性を示している被覆縫合糸、および繊維の拡大図を示す図である(拡大比は示されている)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用繊維または医療用織物として使用するためのシリコンを含む繊維または織物。
【請求項2】
前記シリコンが、生物活性シリコンである請求項1に記載の繊維または織物。
【請求項3】
前記シリコンが、再吸収性シリコンである請求項1に記載の繊維または織物。
【請求項4】
前記シリコンが、生体適合性である請求項1に記載の繊維または織物。
【請求項5】
前記繊維または織物が、半導体である請求項1から4のいずれか一項に記載の繊維または織物。
【請求項6】
前記シリコンが、多孔性シリコンである請求項1から5のいずれか一項に記載の繊維または織物。
【請求項7】
前記シリコンが、メソ多孔性シリコンである請求項6に記載の繊維または織物。
【請求項8】
前記織物が、その中に組み込まれたシリコン微粒子を有する請求項1から7のいずれか一項に記載の繊維または織物。
【請求項9】
前記シリコン微粒子が、織物の繊維に共有結合している請求項8に記載の織物。
【請求項10】
1種の繊維がシリコンで形成されている請求項1から7のいずれか一項に記載の繊維または織物。
【請求項11】
1種の繊維が他の材料との複合体を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の繊維または織物。
【請求項12】
前記繊維が、織物に形成される請求項10または請求項11に記載の繊維または織物。
【請求項13】
シリコン含有繊維のみを含む請求項12に記載の織物。
【請求項14】
前記織物が、シリコン含有繊維以外の繊維を含む請求項12に記載の繊維または織物。
【請求項15】
織物が、紡糸繊維、刺しゅう繊維、製織繊維、ニット繊維、ブレード繊維、繊維結合繊維、エアレイ繊維、ウェットレイ繊維、および/またはラミネート繊維により得られる請求項12から14のいずれか一項に記載の繊維または織物。
【請求項16】
織物に組み込まれたシリコン微粒子を有する織物。
【請求項17】
前記シリコン微粒子が、前記織物に共有結合している請求項16に記載の織物。
【請求項18】
多孔性または部分多孔性シリコン含有繊維。
【請求項19】
多孔性シリコン繊維である請求項18に記載の繊維。
【請求項20】
シリコンウェーハ上のメソ多孔性薄膜を機械的に切断することを含む請求項19に記載の繊維を調製する方法。
【請求項21】
シリコン繊維を形成し、その後シリコンを多孔化することを含む請求項19に記載の繊維を調製する方法。
【請求項22】
前記シリコン繊維が、溶融引張り、レーザ−アシスト化学蒸気堆積(LCVD)、VLS法、犠牲繊維物質被覆または微小機械加工によって形成される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記シリコン繊維が、陽極処理またはステインエッチングにより多孔化される請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項18または請求項19に記載の繊維を含む織物。
【請求項25】
請求項18または請求項19に記載の紡糸繊維、刺しゅう繊維、製織繊維、ニット繊維、ブレード繊維、繊維結合繊維、エアレイ繊維、ウェットレイ繊維、および/またはラミネート繊維を含む請求項24に記載の織物を調製する方法。
【請求項26】
長さが少なくとも100cmの実質的に純粋なシリコン繊維。
【請求項27】
請求項26に記載の繊維を含む織物。
【請求項28】
前記シリコンが、多孔性シリコンである請求項26に記載の繊維または請求項27に記載の織物。
【請求項29】
請求項18、請求項19または請求項26に記載の紡糸繊維、刺しゅう繊維、製織繊維、ニット繊維、ブレード繊維、繊維結合繊維、エアレイ繊維、ウェットレイ繊維、および/またはラミネート繊維を含む請求項27に記載の織物を調製する方法。
【請求項30】
微小繊維をシリコンまたはシリコン複合体により被覆することを含むシリコン含有繊維を製造する方法。
【請求項31】
前記微小繊維が、生分解性である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記微小繊維が、溶解性であり、引き続くステップにおいて、前記微小繊維が、全体的にまたは部分的に溶解されて中空非晶質シリコンまたはシリコン複合体微小繊維を製造する請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記溶解性微小繊維が、中空である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記の得られたシリコン微小繊維が、多孔化される請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記シリコン含有繊維が、樹脂結合により補強される請求項1から17のいずれか一項に記載の繊維または織物。
【請求項36】
前記繊維または前記織物に使用される繊維は、直径が50ミクロン未満である請求項1から17のいずれか一項または請求項35に記載の繊維または織物。
【請求項37】
多孔性コアおよび非多孔性被覆を有するシリコン含有繊維。
【請求項38】
純粋なシリコン繊維である請求項37に記載の繊維。
【請求項39】
製織繊維、ニット繊維、刺しゅう繊維、または繊維結合純粋シリコン繊維を含む医療用織物を調製する方法。
【請求項40】
第1の、および第2のシリコンウェーハを切断してその中に一連の平行切断を形成すること、および生じたシリコン織り糸を、実質的に垂直方向に織り込むことを含むシリコン織物を調製する方法。
【請求項41】
前記切断繊維を、織り込み前または後にクリーニングおよび/またはエッチングに供する請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記シリコン織り糸が、織り込み前または後に多孔化される請求項40または請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記シリコン織り糸が、織り込み後に多孔化される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
繊維をシリコンで被覆することを含むシリコン被覆織物を調製する方法。
【請求項45】
前記被覆が、スパッタリングまたは連続蒸気堆積により実行される請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記の生じたシリコン被覆を多孔化する請求項44または請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項44から46のいずれか一項に記載の方法により得ることのできるシリコン被覆織物。
【請求項48】
電導性シリコンまたはシリコン複合体繊維または織物。
【請求項49】
絹縦糸および低抵抗率のシリコン含有横糸を含む請求項48に記載の繊維または織物。
【請求項50】
弾力性糸またはワイヤにより一緒に結合されているシリコンビーズを含むシリコン繊維。
【請求項51】
前記弾力性糸またはワイヤが、生分解性縫合糸である請求項50に記載のシリコン繊維。
【請求項52】
前記シリコンビーズが、0.5mmから5mmの直径である請求項50または51に記載のシリコン繊維。
【請求項53】
前記シリコンビーズが、10〜500ミクロンの直径である請求項50または51に記載のシリコン繊維。
【請求項54】
前記シリコンビーズが、多孔性である請求項50から51のいずれか一項に記載のシリコン繊維。
【請求項55】
シリコン顆粒に孔をあけること、および複数の顆粒内に形成された孔を通して弾力性糸またはワイヤを通すことを含む請求項50、請求項51または請求項52に記載のシリコン繊維を調製する方法。
【請求項56】
光リソグラフィにより中心に孔を有する複数のビーズを溶解性表面上に形成すること、前記複数のビーズの孔を通して弾力性糸またはワイヤを導入すること、およびその後前記表面を溶解させることを含む請求項50、請求項51または請求項53に記載のシリコン繊維を調製する方法。
【請求項57】
前記溶解性表面が、シリコンウェーハ上に形成された酸化シリコン面である請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記複数のビーズが、シリコン膜を前記溶解性表面上に堆積させ、長いトレンチを前記表面内にエッチングすること、さらにシリコン膜を前記表面に塗布すること、次いで前記トレンチに対して垂直かつ平行の双方にチャネルをエッチングすることによって形成される請求項56または請求項57に記載の方法。
【請求項59】
それを必要とする患者にシリコン含有半導性織物を適用すること、および制御されたレベルの電流を前記織物に通すことを含む組織増殖を増大させる方法。
【請求項60】
シリコン含有繊維または織物を含む医療用具。
【請求項61】
組織工学用足場、整形外科用人工補てつ、ステント、神経界面接続用電極、「ラップ」インビボ薬物送達系、「ラップ」エックスビボ薬物送達系、医療用電気刺激分布ネットワーク、非閉塞性衣類、汗診断用パッチまたは包帯、場合によっては吸収性の包帯、またはX線不透明紡績糸から選択される請求項60に記載の医療用具。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−266876(P2008−266876A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112623(P2008−112623)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【分割の表示】特願2003−556109(P2003−556109)の分割
【原出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【出願人】(504235883)サイメデイカ リミテツド (16)
【Fターム(参考)】