説明

医療用製品における使用のための酸素インジケーター

医療用容器における酸素の存在を検出するための酸素インジケーターが提供される。この酸素インジケーターは、a)6g/Lより多く、60g/L未満のインジゴカルミン;b)約9.0〜約9.75の範囲にpHを調整するための緩衝剤;c)セルロース;d)還元剤;e)水;およびf)該酸素インジケーターの還元形態の色とは異なる、該酸素インジケーターの酸化形態の色を含み、オートクレーブによる滅菌後に、この還元形態の色は、酸化形態の色とは異なっており、かつこの酸化形態の色は、40℃で少なくとも6ヶ月間、還元形態の色から異なったままである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年8月2日に出願された、米国仮特許出願第60/704,555号の利益を請求する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は一般的に、医療用溶液、医療用溶液を保存する容器、及び医療用容器における酸素の存在を検出するための酸素インジケーターを対象とする。より具体的には、本発明は、特定の患者集団、具体的には液体が制限されている集団用のすぐに使用可能な3成分非経口栄養配合物、このような配合物を長期間保存して選択的に投与するための容器システム、及びこのような容器システムの酸素インジケーターを対象とする。より具体的には、本発明は、このような配合物の種々の栄養成分を分離したまま長期間保存するためのマルチチャンバーを有するフレキシブル容器に保存されているこのような配合物、酸素が含まれている容器を医療専門家に警告するための酸素インジケーター、並びにすぐに注入可能な配合物への選択的な滅菌混和、及びこのような配合物の投与を容易にする容器を対象とする。更により具体的には、本発明は、脂質、炭化水素、アミノ酸及び電解質の栄養溶液等の、チャンバーに含まれる複数の溶液の選択的な混和を可能にするマルチチャンバー容器、並びに熱滅菌に耐えることができ、許容される保存特性を有する酸素インジケーターを対象とする。
【背景技術】
【0003】
非経口栄養溶液及び経腸栄養溶液、透析溶液、薬理学的溶液、並びに化学療法溶液等の医療用溶液は、ガラス又はプラスチック製の種々の容器に保存されるのが慣例となっている。ガラス容器には、気体不浸透性及び医療用溶液とのほぼ完全な適合性等の多くの利点があるが、ガラス容器は、重く、割れやすく、扱いづらく、容器中にアルミニウムを放出することがある。そのため、医療用溶液はプラスチック容器に保存されることが多くなってきている。プラスチックフィルム製バッグ等のフレキシブル容器も受け入れられることが多くなってきている。
【0004】
患者に投与する処方薬は、長期間の保存に対して適合性を有さない成分で構成されることが多い。この制限を克服する1つの方法は、投与直前に成分を組み合わせるか、又は混合することである。このような混合は、手作業で、又は自動混合装置で行われる場合がある。しかし、このような組み合わせ方法は、時間がかかり、配合に誤りを生じる場合があり、最終的な混合物を汚染する危険性を増大させる。
【0005】
長期間の不適合性の欠点を克服し、混合の危険性を低減するために、医療用溶液を個別に保存するための複数のチャンバーを有するフレキシブル容器を形成することができる。これらのバッグは、接続部又はシールを操作することによってチャンバーの全ての内容物を混合することを可能にする脆弱接続部又は剥離シールにより形成される。このようなマルチチャンバー容器を使用する欠点は、種々のチャンバーに収容される供給成分及び比例量により提供される配合物に限定されることである。種々の患者集団、特に液体が制限されている集団の要求に対処しようとすると、このような制限により、このような容器を使用できなくなり、このような容器の内容物の一部のみを使用することになるか、或いはこのような容器の複数バージョンを保管しなければならないことになる場合がある。
【0006】
前述の通り、マルチチャンバーバッグ等のマルチチャンバーを有するフレキシブル容器は、個別に保存されている成分又は容器の連絡及び混合を可能にする分離手段を有する。このようなマルチチャンバー容器の中には脆弱バルブを使用するものもあれば、個別に保存されている成分の混合を行うために、チャンバーを分離するバリアーにおいてスコア線又は脆弱な線を使用するものもある。更には、引裂きストリップ又は引裂きタブを使用するものもある。コスト及び操作性の観点から更に有利なマルチチャンバー容器は、複数の内部チャンバーを画定するためにフレキシブルバッグを含む熱可塑性材料の2枚のシートを熱又は無線周波数で封止することによって形成された剥離シールを含むタイプである。ヒートシールは、意図しない開封力に耐性を有するバリアーを提供するが、特定の力を加えることで開封が可能である。これらのタイプのマルチチャンバー容器については、参考として本明細書で援用されている米国特許第6319243号に開示されている。
【0007】
しかし、直前に考察したようなプラスチック容器も、対処しなければならない固有の問題を提示する可能性がある。1つの起こり得る問題には、オートクレーブ等の熱滅菌により、容器の形成に使用した特定のプラスチック材料、及び/又はチャンバーを分離するヒートシールに影響を及ぼす可能性がある。別の起こり得る問題としては、特定のプラスチック材料が大気酸素に対して浸透性を有しており、酸素感受性の溶液又は成分の保護が不適切になる場合がある点である。更に別の問題としては、特定の脂溶性又は親油性の溶液又は成分が、特定のプラスチック材料に適合しない場合がある点である。例えば、非経口栄養物に使用される液体エマルジョン等の脂質配合物は、容器から特定のプラスチック材料を浸出させる可能性があるため、特定のプラスチックに保存することができない。脂質エマルジョンは汚染され、プラスチック容器の完全性が損なわれる可能性がある。
【0008】
脂質エマルジョンは一般的に、非経口栄養溶液(PN)の1つの成分である。患者に必要とされる全ての栄養成分を提供するに当たっては、3成分非経口栄養配合物が使用される。これらのPN配合物は又、炭水化物成分、アミノ酸成分、ビタミン、微量元素、及び電解質成分も含む。種々の不適合性があるために、PN配合物の栄養成分は、すぐに使用可能な状態の混合物として長期間保存することができない医療用溶液の主な例となっている。これらは、投与前の比較的短い期間に混合することしかできない。
【0009】
各成分の個々の構成要素は、処置する特定の患者集団に推奨される栄養必要量によって決定することが必要となる。例えば、成人患者用のPN配合物は、幼児用のPN配合物とは異なる構成要素を各成分において有する場合もあれば、各構成要素を少なくとも異なる量有する場合もある。更に、未熟児、新生児又は小児用のPN配合物の個別の成分を調製するに当たっては、固有の問題がある。1つには、このような患者に注入する場合がある液体の容量が比較的少ない点がある。所望の成分全てをこのように少ない容量だけ提供しようとするには、かなりの困難を伴う。例えば、特定の成分溶液の個々の構成要素の濃度範囲は、限りなく制限しなければならない。更に、個々の構成要素の中には、特定の形態及び濃度で存在する場合に、互いに依存するものもあれば、不適合となるものもある。例えば、未熟児に許容されるマグネシウムの濃度幅は、約0.2mmolである。即ち、マグネシウムの最低許容濃度とマグネシウムの最高許容濃度の差は、0.2mmolである。更に、未熟児が許容することができる塩化物の量にも限界がある。そのため、塩化物としてマグネシウム及びカルシウム等の特定の電解質の必要量を提供しようとすると、塩化物の最大量を超えてしまう場合がある。更には、カルシウム及びリン酸塩等の電解質は、特定の濃度レベルで不適合となる場合がある。
【0010】
又、PN配合物を形成するに当たって、PN配合物の成分を滅菌混合用の単一チャンバー又はマルチチャンバーのプラスチック容器に保存しても、固有の問題が生じる。既に上で考察した通り、脂質成分は、特定のプラスチック材料とは不適合である。更に、成分の幾つかは、特定のプラスチックを介して浸透する可能性がある酸素に対して感受性を有する。オーバーラップ又はオーバーパウチは一般的に、酸素がマルチチャンバー容器に到達する能力を制限するために使用される。しかし、オーバーラップは更に、少量の酸素が拡散することを可能にする場合もある。更に、オーバーラップは漏れを生じ、過剰な量の酸素が容器に曝露されてしまうことがある。このような漏れは目視で確認できない場合があることから、このような酸素の存在を、医療従事者に示す必要がある。そこで酸素インジケーターがあるものの、これは熱滅菌に耐え、長期保存後に適切に機能することができないと考えられている。即ち、酸素インジケーターは、酸素の存在の欠如(還元形態又は陰性結果)を示す条件と区別することができる色変化等で、酸素の存在(酸化形態又は陽性結果)を示すことができなければならない。更に、インジケーターの酸化色及び還元色は、長期保存後に退色又は変色して、結果に不確実性を生じるものであってはならない。
【0011】
更に、システイン又はアセチルシステイン等のチオール官能基を有する特定のアミノ酸は、滅菌中に分解産物として硫化水素を形成することがある。過剰なレベルの硫化水素は、栄養成分の幾つかに負の影響を及ぼす場合がある。更には、個別に保存されている成分は全て、投与前に最終的なPN配合物を形成するように混合されるが、最終溶液においてチャンバーの1つに存在する成分の1つ以上を含むことが望ましくない場合がある。例えば、敗血症の症状、凝固異常、高ビリルビンレベルの下では、又はその他の理由により、乳児用の最終溶液には脂質成分を含まないことが望ましい場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、1つであって別のものではない脆弱バリアーを選択的に開放するか、全てではない脆弱バリアーを選択的に開放するか、或いは脆弱バリアーを順次選択的に開放することを容易にするフレキシブルマルチチャンバー容器が必要とされている。
【0013】
又、特定の患者集団、具体的には異なる成長段階にある乳児又は小児に推奨される容量及び必要とされる栄養量を満たすPN配合物の個々の成分も必要とされている。
【0014】
更には、大気酸素が容器の内容物を汚染した可能性があることを示す信頼性のあるインジケーター、配合物がシステイン又はアミノ酸誘導体を含む場合の低レベルの硫化水素、並びにオーバーパウチの残留酸素を排除する酸素吸収剤を提供する手段も必要とされている。熱滅菌及び長期保存に耐えることができ、許容されない量の酸素が容器に曝露されたことも示すことができる吸収剤及び/又はインジケーターを提供することも望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明の第一態様において、医療用容器における酸素の存在を検出するための酸素インジケーターが提供される。この酸素インジケーターは、a)6g/Lより多く、60g/L未満のインジゴカルミン;b)約9.0〜約9.75の範囲にpHを調整するための緩衝剤;c)セルロース;d)還元剤;e)水;およびf)該酸素インジケーターの還元形態の色とは異なる、該酸素インジケーターの酸化形態の色を含み、オートクレーブによる滅菌後に、この還元形態の色は、酸化形態の色とは異なっており、かつこの酸化形態の色は、40℃で少なくとも6ヶ月間、還元形態の色から異なったままである。
【0016】
本発明の上記第一態様において開示される酸素インジケーターは、約10g/L〜約40g/Lのインジゴカルミンを含み得、上記緩衝剤はリン酸緩衝剤であり得、そして上記還元剤は還元糖であり得る。
【0017】
本発明の上記第一態様において開示される酸素インジケーターは、約14g/L〜約20g/Lのインジゴカルミンを含み得、上記緩衝剤はピロリン酸四ナトリウムであり得、そして上記還元剤はデキストロースであり得る。
【0018】
本発明の上記第一態様において開示される酸素インジケーターは、約14g/L〜約20g/Lのインジゴカルミン、上記緩衝剤として約50g/L〜約80g/Lのピロリン酸四ナトリウム、および上記還元剤として約1g/L〜約5g/Lのデキストロースを含み得る。
【0019】
本発明の上記第一態様において開示される酸素インジケーターは、約14g/L〜約20g/Lのインジゴカルミン、緩衝剤として約60g/L〜約75g/Lのピロリン酸四ナトリウム、還元剤として約2.5g/L〜約4g/Lのデキストロース、およびセルロースとして約180g/Lの水不溶性セルロースを含み得る。
【0020】
本発明の上記第一態様において開示される酸素インジケーターは、この酸素インジケーターのある量を収容する酸素透過性のパケットをさらに含み得、この酸素インジケーターは約14g/Lのインジゴカルミン、緩衝剤として約60g/Lのピロリン酸四ナトリウム、還元剤として約2.5g/Lのデキストロース、セルロースとして約180g/Lの水不溶性セルロース、及び水を含み得る。
【0021】
本発明の上記第一態様において開示された酸素インジケーターは、この酸素インジケーターのある量を収容する酸素透過性のパケットをさらに含み得、この酸素インジケーターは約20g/Lのインジゴカルミン、緩衝剤として約75g/Lのピロリン酸四ナトリウム、還元剤として約4g/Lのデキストロース、セルロースとして約180g/Lの水不溶性セルロース、及び水を含み得る。
【0022】
本発明の上記第一態様において開示される酸素インジケーターは、酸素インジケーターを収容し、多数チャンバーを分離する脆弱バリアーを有する多数チャンバー容器に接着された酸素透過性パケットをさらに含み得、各チャンバーは流体が制限されている患者のための栄養配合物の構成要素を収容し、この構成要素のうちの1つはシステインを含み、そしてこの酸素インジケーターは、約20g/Lのインジゴカルミン、緩衝剤として約75g/Lのピロリン酸四ナトリウム、還元剤として約4g/Lのデキストロース、セルロースとして約180g/Lの水不溶性セルロース、及び水を含み得る。
【0023】
本発明の第二態様において、医療用容器における酸素の存在を検出するための酸素指示パケットが提供される。この酸素指示パケットは、i)酸化された色は還元色とは異なる、酸化色及び還元色;ii)約6g/Lよりも大きく、約40g/L未満の、インジゴカルミン;iii)緩衝剤;iv)還元剤;v)セルロース;及びvi)水を含み、オートクレーブによる滅菌後、この還元色は実質的に視覚的に変化しないままであり、この酸化色は40℃で少なくとも6ヶ月後に実質的に視覚的に変化しないままである。
【0024】
本発明の上記第二態様において開示される酸素指示パケットでは、酸素インジケーターは、約9g/L〜約30g/Lのインジゴカルミン、上記緩衝剤としてリン酸緩衝剤、上記還元剤として還元糖を含み得る。
【0025】
本発明の上記第二態様において開示される酸素指示パケットでは、酸素インジケーターは、約14g/L〜約20g/Lのインジゴカルミン、上記緩衝剤としてピロリン酸四ナトリウム、上記還元剤としてデキストロース、および上記セルロースとして水不溶性セルロースを含み得る。
【0026】
本発明の上記第二態様において開示される酸素指示パケットでは、酸素インジケーターは、約14g/L〜約20g/Lのインジゴカルミン、上記緩衝剤として約50g/L〜約80g/Lのピロリン酸四ナトリウム、上記還元剤として約1g/L〜約5g/Lのデキストロース、及び上記セルロースとして約150g/L〜約210g/Lの水不溶性セルロースを含み得る。
【0027】
本発明の上記第二態様において開示される酸素指示パケットでは、酸素インジケーターは、約14g/L〜約20g/Lのインジゴカルミン、緩衝剤として約60g/L〜約75g/Lのピロリン酸四ナトリウム、還元剤として約2.5g/L〜約4g/Lのデキストロース、およびセルロースとして約180g/Lの水不溶性セルロースを含み得る。
【0028】
本発明の上記第二態様において開示される酸素指示パケットでは、この酸素指示パケットは、透明部分を有し、ある量の酸素インジケーターを収容する酸素透過性ポリマーパウチをさらに備え、ここで、この酸素インジケーターは、約14g/Lのインジゴカルミン、緩衝剤として約60g/Lのピロリン酸四ナトリウム、還元剤として約2.5gのデキストロース、セルロースとして約180g/Lの水不溶性セルロース、及び水を含み得る。
【0029】
本発明の上記第二態様において開示される酸素指示パケットでは、この酸素指示パケットは、透明部分を有し、ある量の酸素インジケーターを収容する酸素透過性ポリマーパウチをさらに備え得、この酸素インジケーターは、約20g/Lのインジゴカルミン、緩衝剤として約75g/Lのピロリン酸四ナトリウム、還元剤として約4gのデキストロース、及びセルロースとして約180g/Lの水不溶性セルロースを含み得る。
【0030】
本発明の第三態様において、酸素インジケーターが提供される。この酸素インジケーターは、a)水;b)6g/Lより多く、60g/L未満のインジゴカルミン;c)緩衝剤;d)少なくとも1つの還元剤;e)酸素指示色及びこの酸素指示色とは異なる還元指示色を含み、このインジケーターは、オートクレーブによって還元され、このインジケーターのその後の酸化は、40℃で少なくとも6ヶ月間、この還元色から異なったままである酸化色を生じる。
【0031】
本発明の上記第三態様において開示される酸素インジケーターは、約9g/L〜約30g/Lのインジゴカルミン、上記緩衝剤としてリン酸緩衝剤、および上記少なくとも1つの還元剤としてデキストロース、及び上記少なくとも1つの還元剤としてセルロースを含み得る。
【0032】
本発明の上記第三態様において開示される酸素インジケーターは、約14g/L〜約20g/Lのインジゴカルミン、上記緩衝剤として約50g/L〜約80g/Lのピロリン酸四ナトリウム、上記少なくとも1つの還元剤として約1g/L〜約5g/Lのデキストロース、及び上記少なくとも1つの還元剤として約150g/L〜約210g/Lの水不溶性セルロースを含み得る。
【0033】
本発明の上記第三態様において開示される酸素インジケーターは、約14g/L〜約20g/Lのインジゴカルミン、緩衝剤として約60g/L〜約75g/Lのピロリン酸四ナトリウム、上記少なくとも1つの還元剤として約2.5g/L〜約4g/Lのデキストロース、および上記少なくとも1つの還元剤として約180g/Lの水不溶性セルロースを含み得る。
【0034】
本発明の上記第三態様において開示される酸素インジケーターは、透明部分を有し、ある量の酸素インジケーターを収容する酸素透過性ポリマーパウチをさらに備え、ここで、この酸素インジケーターは、約14g/Lのインジゴカルミン、上記緩衝剤として約60g/Lのピロリン酸四ナトリウム、上記少なくとも1つの還元剤として約2.5gのデキストロース、上記少なくとも1つの還元剤として約180g/Lの水不溶性セルロース、及び水を含み得る。
【0035】
本発明の上記第三態様において開示される酸素インジケーターは、透明部分を有し、ある量の酸素インジケーターを収容する酸素透過性ポリマーパウチをさらに備え得、この酸素インジケーターは、約20g/Lのインジゴカルミン、上記緩衝剤として約75g/Lのピロリン酸四ナトリウム、上記少なくとも1つの還元剤として約4gのデキストロース、上記少なくとも1つの還元剤として約180g/Lの水不溶性セルロース、及び水を含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(発明の詳細な説明)
本発明の一実施形態において、使用前に医療用溶液を個別に保存し、且つチャンバーを分離する脆弱バリアーの選択的な活性化を容易にするフレキシブルマルチチャンバー容器が提供される。この容器は、上で考察した漏れの問題がなく水性配合物又は脂質配合物を保存することを可能にし、且つチャンバーを分離する脆弱バリアーの選択的な開放を容易にするように構築されるのが好ましい。
【0037】
図1は、本発明のマルチチャンバー容器の一実施形態を示す。バッグとして構成される容器10は、3つの隣接するチャンバー、すなわちチャンバー12、14及び16を含む。チャンバー12は、横方向端部又は側方端部18に配置され、チャンバー16は、対向する横方向端部又は側方端部20に配置される。3つのチャンバー12、14及び16は、水溶液及び/又は脂質エマルジョンを保持するように設計されるのが好ましい。図1に示す通り、容器10は、300mLの全液体容量を有し、チャンバー12は、80mLの液体容量を有し、チャンバー14は、160の液体容量を有し、チャンバー16は、60mLの液体容量を有する。
【0038】
脆弱バリアー又は開放シール22及び24は、チャンバーを分離するために使用されるのが好ましい。図2は、容器10の断面図を示し、開放シール22、24がチャンバー12、14、16に含まれる配合物をどのように分離するかを示す。開放シールは、剥離シール又は脆弱シールの形態にあることが可能である。開放シールにより、配合物が個別に保存され、且つ投与直前に混和されることが可能になり、それにより、長時間の期間混和物として保存されるべきではない配合物を単一容器に保存することが可能になる。シールを開放することにより、チャンバー間の連絡及びそれぞれのチャンバーの内容物の混合が可能になる。脆弱シールを有する容器が既知であるが、マルチチャンバーバッグを丸める通常の方法を使用して1枚のシールのみ又は全てより少ないシールを選択的に開放することは、不可能ではないにせよ、非常に困難である。シールの選択的な活性化が望ましいが、その理由は、3配合物容器の配合物の1つが投与されるべきではない場合があるからである。シールの選択的な開放は、以下においてより詳細に考察される。
【0039】
容器10は又、それぞれチャンバー12、14及び16との連絡を提供するために、容器の下端部32においてポート26、28、30を含むのが好ましい。ポートの1つ以上は、微量養分等の材料の追加を可能にするために追加ポートとして使用されるように構築することができ、かつ/又は投与ポートとして構築することができる。ポート28は、投与ポートであり、内容物を患者に送達するために投与セットのカニューレ又はスパイクによって穿孔することができるフィルムを含み、ポート26は、追加用であるのが好ましい。代替の実施形態においては、2つの投与ポート28、30が存在し、それにより、アミノ酸とグルコース溶液の混和物等、チャンバー12、14に収容される配合物の混和物を個別に、又は所望であれば脂質エマルジョン等のチャンバー16に収容される配合物とは異なる率で投与することができる。当然、任意の数のポートを使用することができる。更に、ポートは、幾つかの方式で配置されることが可能である。しかし、より効率的な製造及びチャンバーの充填を可能にするために、アクセスポートは容器の同じ端部に配置されるのが好ましい。更なる実施形態においては、シール22、24の一方は開放可能又は剥離可能にされ、第2のシールは永久的なものとなる。これにより、チャンバーの2つが混合され、一方、チャンバーの1つが永久に分離されたままであることが可能になる。それにより、混和物及び分離されている溶液は、開放シールを選択的に活性化することを必要とせずに、個別に投与されることが可能になる。その場合、投与ポートが、その2つのチャンバーに提供され、1つの投与ポートは、永久シールによって分離されているチャンバーが投与されることが可能であるように提供され、一方、第2投与ポートが、混和物が投与されることを可能にするように提供される。
【0040】
容器10の上端部34において、好ましくは投与ポートが配置される端部32と対向して、ハンガー部36が提供され、これは、図1に示された実施形態では、容器を吊るすための中央に位置する穴38を有するフラップである。フラップ36は、全てのチャンバー12、14及び16の上端部の境界40を画定する。ハンガーフラップ36の中央部42は、好ましくは容器10の下端部32に向かう実質的な距離、より好ましくは容器10の長手軸方向の長さLの約4分の1、更により好ましくは容器10の長さLの約3分の1に延びる。フラップ36は、少なくとも中央チャンバー14において下端部32に向かってより長い距離延びることが好ましく、中央チャンバー14及び他のチャンバー12、16の一方において下端部32に向かってより長い距離延びることもできる。フラップ36が中央チャンバー14に関してこのように余分に延びることにより、チャンバー14は、横方向端部チャンバー又は側方端部チャンバー12、16の長手軸方向の長さより短い長手軸方向の長さを有することになる。中央チャンバーの長手軸方向の長さは、横方向端部チャンバーの少なくとも一方の長手軸方向の長さの約3分の2〜約4分の3であるべきである。この構成により、以下で考察する通り、シールの選択的な開放が可能になる。チャンバーの長手軸方向の長さは、それぞれの上部境界からそれぞれの下部境界まで測定される。湾曲した境界又は不規則な境界では、長手軸方向の長さは、境界を連続的に横断して取られた長手軸方向の長さの平均である。
【0041】
チャンバー12、14、16及び/又はハンガーフラップ36の構成が、シール22、24チャンバーの選択的な開放をどのように容易にするかに言及する前に、シール22、24を開放する通常の方法を記述することが有益である。
【0042】
図3は、チャンバー12、14及び16の内容物を混合するためにシール22、24を開放する通常の丸め方法を示す。ハンガーフラップ36又は上端部34は、圧迫運動においてそれ自体の上に丸める。全てのチャンバーがそれぞれの下部境界からそれぞれの上部境界までほぼ同じ距離を延びるマルチチャンバーバッグでは、バッグを丸めることにより、全てのチャンバーに過度に圧力がかかり、間違ったシールを意図せずに活性化させる危険性がある。又、他の横方向端部チャンバーより下部境界から上部境界まで長い距離を延びる中央チャンバーを有するマルチチャンバーバッグでは、バッグを丸めることにより、中央チャンバーに圧力がかかり、中央チャンバーの境界を画定する1つ以上のシールを無作為に活性化してしまう。しかし、本発明のマルチチャンバー容器は、シールの選択的な活性化を容易にするチャンバー構成を含む。
【0043】
容器10において、チャンバー14は、チャンバー12及び16のようには上端部34に向かって遠くまで延びない。即ち、チャンバー14は、他のチャンバー12、16の長手軸方向の長さの約4分の3である。従って、上端部34からバッグを丸めることにより、チャンバー12及び16のみに圧力がかかる。シール22、24の一方のみを選択的に活性化するために、活性化することが望ましいシールに隣接する端部チャンバーのみが、丸め運動を続けることで圧迫される。ハンガーフラップ36が延びているために、中央チャンバー14に圧力はかからず、第2剥離シールの活性化又は部分的活性化が防止される。対向する横方向端部チャンバーを更に丸めて圧迫することにより、他のシールが活性化される。このようにして、本発明の容器により、シールの順次活性化が可能である。従って、時には投与されない可能性がある配合物は、容器の横方向端部に配置されたチャンバーの1つに収容されるべきである。
【0044】
具体的には、使用者がシール24のみを活性化することを望む場合、使用者は、上端部34においてバッグ10の丸めを開始することが可能である。チャンバー14の圧力をかけずに、使用者は、チャンバー12の位置においてバッグを圧迫することができる。シール24が活性化すると、使用者は、丸め及び圧迫を停止することができる。使用者が、代わりにシール22、24を両方とも活性化することを望む場合、バッグ10は、端部チャンバー12、16を両方とも下方に圧迫しながら、上端部34において丸めを開始することができる。
【0045】
簡単に図4を参照すると、シール18及び20が開放された後、容器10の内容物は、容器を操作することによって混合され、次いでまず穴38を使用してバッグをフックから吊るすことによって、患者に投与されることが可能である。
【0046】
別の丸め方法も、マルチチャンバーバッグのシールを活性化するために使用される。図1を参照すると、この技法も、代わりに上端部34において開始することを除いて、丸め運動を使用し、容器10は、上端部の角44、46の一方において丸めを開始することができる。再び、全てのチャンバーが底部からほぼ同じ距離を延びるマルチチャンバーバッグ、即ちほぼ等しい長手軸方向の長さを有するマルチチャンバーバッグ、又は他の端部チャンバーより底部から上端部まで長い距離延びる中央チャンバーを有するバッグ、即ち他のチャンバーのどちらかより長い長手軸方向の長さを有する中央チャンバーを有するバッグでは、角から丸めることにより、中央チャンバーに対して過度の圧力が生成され、間違ったシールを意図せずに活性化する危険性がある。本発明の容器にこの角から丸める方法を使用することによっては、意図しないシールは活性化されず、又は少なくともそれほど頻繁には生じない。
【0047】
容器10のチャンバー構成において、角から丸める方法を使用するシール24の選択的な活性化は以下の通りである。容器10が、角44において丸めを開始する。丸めは、シール24を活性化させるようにチャンバー12に十分に圧力がかかるまで続行される。チャンバー12は、容器を過度に丸めることを防止するために、圧迫することもできる。チャンバー14は、チャンバー12と同程度に遠くまでは上端部34に向かって延びないので、丸めは、シール24が活性化される時間までにシール22を活性化させるのに必要な程度までチャンバー14に圧力をかけるほど十分ではない。従って、チャンバー14がチャンバー12と同程度まで容器の長さを延びる場合、チャンバー14に不注意に圧力をかけることが本当にあり得るならば、それを防止するために、はるかにより多くの注意及び配慮がなされなければならない。
【0048】
本発明の容器のその他2つの実施形態が、図5及び図6に示されている。図5及び6に示された容器110及び210はそれぞれ、3つのチャンバー112、114、116、並びに212、214、216もそれぞれ含む。容器110及び210は、容器10において使用されたものと同じ材料及び同様の方法を使用して構築される。唯一の大きな違いは、容器10、110及び210のサイズ及び容量である。図5に示すような好ましい実施形態において、容器110は、500mLの液体容量を有し、チャンバー112は、221mLの液体容量を有し、チャンバー114は、155mLの容量を有し、チャンバー116は、124mLの容量を有する。
【0049】
図6に示すような好ましい実施形態において、容器210は、1,000mLの液体容量を有し、チャンバー212は、392mLの液体容量を有し、チャンバー214は、383mLの液体容量を有し、チャンバー216は、225mLの液体容量を有する。
【0050】
容器110及び210は又、チャンバーを分離し、且つチャンバーを開放してチャンバー間の連絡及びそれぞれのチャンバーの内容物の混和を可能にする剥離シール122及び124、並びに222、224をもそれぞれ備えるのが好ましい。容器110及び210は両方とも、それぞれ、ハンガー穴138及び238を含むハンガーフラップ136及び236をも備える。
【0051】
容器10と全く同様に、容器110及び210は、シールの選択的な活性化を容易にするように構成されるハンガー部又はフラップ及びチャンバーを有する。例えば、容器110、210は両方とも、下端部132、232に向かって延びる(容器110、210の長手軸方向の長さの約4分の1〜約3分の1)ハンガーフラップ136、236を有し、それぞれ中央チャンバー114、214に関して更に同様である。その結果、チャンバー114、214の領域の大部分は、それぞれの横方向端部チャンバー112、116及び212、214の領域の大部分の長手軸方向の長さよりも短い約3分の2〜約4分の3である長手軸方向の長さを有する。それぞれ、上端部134、234、又は角114、146、244、246の1つにおいて容器110、210の丸めを開始することにより、他のシールを意図せずに活性化させることがある不適切な圧力を中央チャンバー114、214に及ぼすことなく、容器110、210を丸め、選択的に活性化されることが望ましいシールに隣接するチャンバーを圧迫することが可能になる。
【0052】
容器110及び210は又、それぞれ、アクセスポート126、128及び130、並びに226、228及び230をも備える。これらのポートは、アクセスポート26、28及び30と同じ材料及び同じ方式で構築される。同じ機器が容器10、110及び210を充填することを可能にするために、互いに同じ距離であるように配置するのが好ましい。図7、図8及び図9は、本発明のマルチチャンバー容器の他の実施形態を示す。容器310、410、510は全て、3つの隣接するチャンバー312、314、316及び412、414、416、並びに512、514、516をそれぞれ備える。チャンバー312、412、512は、それぞれ、横方向端部又は側方端部318、418、518に配置され、チャンバー316、416、516は、反対側の横方向端部又は側方端部320、420、520に配置される。ハンガー部336が、上端部334に配置され、容器を吊るすための穴338を含む。ハンガー部336は、チャンバー312、314、316の上部境界340を画定する。チャンバー312は、剥離シール324によってチャンバー314から分離され、剥離シール326は、チャンバー314を316から分離する。容器410も、それぞれチャンバー412をチャンバー414から分離し、チャンバー414をチャンバー416から分離する剥離シール424、426を含む。剥離シール524は、チャンバー512をチャンバー514から分離し、剥離シール526は、チャンバー514を516から分離する。剥離シールにより、投与前に後で混和するように、別個の配合物をチャンバーにおいて分離したまま保存することが可能になる。
【0053】
チャンバー314は、両方の横方向端部チャンバー312、316の長手軸方向の長さの約3分の2〜約4分の3である長手軸方向の長さを有する。チャンバー312、316の長手軸方向の長さは等しいが、異なる長さを使用することができる。剥離シール324、326いずれかの選択的な活性化は、上端部334において容器310の丸めを開始し、どちらの剥離シール324、326が活性化されるかに応じてチャンバー312又はチャンバー316を圧迫する時であり得る。
【0054】
図8に示す通り、容器410の横方向端部チャンバー416は、対向する横方向端部418に配置されたチャンバー412の長手軸方向の長さよりも短い約3分の2〜約4分の3であり、且つ横方向端部チャンバー416の長手軸方向の長さに等しい長手軸方向の長さを有する。チャンバー414より長い長手軸方向の長さを有するチャンバー412により、容器410の丸めを上端部434において開始する時、剥離シール426を不注意に活性化せずに、剥離シール424を活性化することが可能になる。
【0055】
図9に示された容器510は、全てが互いに異なる長手軸方向の長さを有するチャンバー512、514、516を含む。横方向端部チャンバー512は、チャンバー514の長手軸方向の長さより約25パーセント〜約33パーセント長い長手軸方向の長さを有し、チャンバー514は、チャンバー516の長手軸方向の長さより約25パーセント〜約33パーセント長い長手軸方向の長さを有する。上端部534において容器510の丸めを開始することにより、シール524が活性化されるまで、まずチャンバー512に圧力をかけることによって、剥離シール524、526を選択的に活性化することが可能になる。更に丸めることにより、シール526が活性化されるまで、チャンバー514に圧力をかけることが開始される。チャンバー512と514の間に含まれ、且つチャンバー512の長手軸方向の長さよりも短いが、チャンバー514の長手軸方向の長さより長い長手軸方向の長さを有する任意の追加のチャンバー、又はチャンバー514と516の間にあり、且つチャンバー514の長手軸方向の長さよりも短いが、チャンバー516の長手軸方向の長さより長い長手軸方向の長さを有する任意の追加のチャンバーにより、上端部534において容器の丸めを開始する時、シール境界チャンバー512で開始して、シール境界チャンバー516で終了するシールの順次活性化を可能にすることができる。
【0056】
チャンバーの1つ以上が、粉末又は結晶の形態の固体等、非液体を保存することができ、少なくとも1つのチャンバーが、連絡がチャンバー間において確立された後に固体を溶解させるための液体を保持することが考慮される。
【0057】
図10は、容器10を構築するために使用されるフィルム又はシート48の一実施形態の断面図である。シート48は、4つの層50、52、54及び56から構成されるのが好ましい。外部層50は、好ましくは高融点フレキシブル材料、より好ましくはPCCEコポリエステル等のポリエステル材料から形成される。このようなPCCEコポリエステルは、商品名Ecdel9965でEastman Kodakによって販売されている。外部層50の通常の厚さは、約0.39ミル〜約0.71ミルであり、図3に示された外部層の実際の厚さは、0.55ミルである。
【0058】
結束層52は、第1層50を第3層54に固着するために提供される。結束層は、マレイン酸で化学修飾されたEVAコポリマー等、高度に反応性のポリマー接着剤であるのが好ましい。このような材料は、名称Bynel E−361でDuPontから入手可能である。結束層52は、0.40ミル等、例えば0.20ミルから0.60ミルの多様な厚さを有することが可能である。
【0059】
第3層54は、EVAコポリマー等、無線周波数(RF)応答ポリマーであるのが好ましい。このような材料は、名称Elvax3182−2で、DuPontから入手可能である。第3層は、6.20ミル等、約5.56ミル〜約6.84ミルの厚さを有するのが好ましい。
【0060】
このフィルムは又、1)熱滅菌温度において熱安定性であるが、外部層の融点以下において融解するバルクポリオレフィン;及び2)より柔軟で、遊離基耐性密封剤層を生成し、且つ密封剤層に2つの融点を与え、下限値を有する熱可塑性エラストマー、で構築された密封剤層56をも含む。1)のようなポリマーは、TotalのグレードZ9450又は8650等、ポリプロピレン−エチレンコポリマーであるのが好ましい。2)のようなポリマーは、KratonポリマーのKraton G−1652等、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロックコポリマーであるのが好ましい。密封剤層は、1.60ミル等、約1.28ミル〜約1.92ミルの厚さを有するのが好ましい。密封剤層56は、シールが破られるときに連絡がチャンバー間において提供されるように、容器10(図1)の内部側面に隣接する。
【0061】
容器10は、2枚のシートを1枚の他の上に重ねることによって、又は1枚のシートをそれ自体の上に折りたたむことによって、或いは管状突出部が使用される場合は押出し管を平らにすることによって構築される。図10は、2枚のシート48及び48aを示し、層56が、シート48aの対応する層56aに接触する。シート48及び48aは、アクセスポートの配置を考慮して容器を形成するように、周囲において永久に共に結合又は溶接される。シートは又、後に形成されるチャンバーの外部輪郭を形成するように、他の領域においても共に結合される。ヒートシールが、複数のチャンバーを創出するように形成される。
【0062】
剥離シールは、層56を加熱して柔らかくはするが層を液化まではしないように、加熱シールバーを使用して形成されるのが好ましい。結果として得られる凝集結合が、シート48とシート48aとの間の接触から展開するが、永久的結合を生じ得るシート間の融合は生じない。剥離シールは、剥離シールを開放又は活性化するのに約16〜約21ニュートン、好ましくは約19Nの力を必要とするように形成することができる。このような活性化力を得るために、シールバーの温度は、容器を構築するのに使用される材料に応じて変化する。フィルム48について、シールバーは、約116〜約122℃、好ましくは約118℃に加熱することができる。この温度は、同じフィルム材料の異なるロット間において大きく変化することがあり、剥離シールの凝集結合は、熱滅菌によってわずかに増強又は強化されることに留意されたい。
【0063】
剥離シールを形成するより詳細な説明については、参考として本明細書で援用されている米国特許第6,319,243号に示されている。
【0064】
図1を参照すると、ポート26、28及び30は、任意の数の方法によって、及び種々の材料によって構築することができる。ポートは、規則的なPVC密封システムへの溶媒結合を可能にするように、クリアなPVC材料を内部に有する同時押出し管により構成させることができる。或いは、非PVC管を使用することができる。しかし、チャンバーの1つが、例えばチャンバー16において脂質を含む場合、ポート30は、非PVC包含材料から構築されるのが好ましい。脂質を含むチャンバーのポートには加えられていない場合、ポートは、以下の好ましい配合物の単層押出し管で形成されることがより好ましい:
60%Polypropylene Total 8473
40%スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン・コポリマーKaton G1652
次いで、このポートは、充填後に密封される。
【0065】
脂質を含むチャンバーのポートに投与部位が加えられる場合、ポートは、以下の好ましい配合物の3層同時押出し管で形成されることがより好ましい。
【0066】
外部層(+/−330μm):
100%Polypropylene Solvay Eltex PKS490
又は
60%Polypropylene Total 8473
40%スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン・コポリマーKraton G1652
中間層(+/−170μm):
35%Polypropylene Fortilene 4265
25%Polyethylene Tafmer A4085
10%スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン・コポリマーKraton FG1924
10%Polyamide Macromelt TPX16−159
20%EVA Escorene UL00328)
又は
50%スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン・コポリマーKraton G1660
38%Polyester Dupont Hytrel 4056
10%EVA AT Plastic Ateva 2803G
2%Polypropylene Total 6232
内部層(+/−330μm):
50%EVA Escorene UL00119
50%EVA Escorene UL00328
又は
50%EVA Ateva 2803G
50%EVA Ateva 1807G。
【0067】
好ましい実施形態において、ポート22、24及び26の幾つか又は全ては、上述の配合物等、非PVC材料から構築することができる。
【実施例】
【0068】
(実施例1)
容器10によって最適に例示される本発明の300mLマルチチャンバー容器を、ハンガーフラップ36がチャンバー14の中に延びる距離の約半分まで中央チャンバーの中に延び、それによりこのバッグの中央チャンバーの容量をわずかに大きくしていることを除いて、容器10に関して全て同じである現在利用可能なマルチチャンバー容器と比較した。同じ中央チャンバー及び横方向端部チャンバーを水で充填し、一方、他の横方向チャンバー端部チャンバーを着色溶液で充填した。追加容量を補償するために、追加の水を中央チャンバーに追加した。言い換えると、容器10の中央チャンバーは、他の容器の中央チャンバーよりわずかに小さい容量を有するが、これらは同様に水で膨らんでいた。
【0069】
20人のオペレーターを選択した(10人の男性及び10人の女性)。各オペレーターは、5ユニットの各設計及び以下の指示を受けた:
指示:10個の容器について、無色の水が充填された2つの区画を分離する剥離シールのみを開放するために、容器のハンガー端部から丸め手順を開始してください。青色の水で充填された区画を分離する剥離シールは、開放してはいけません。
【0070】
「どの設計が、バッグの1つの剥離シールのみをより容易且つより効率的に活性化することが可能ですか」という質問をオペレーターに行った。20人全てが、本発明の容器10を選択した。
【0071】
本発明の種々の実施形態においては、6つの非経口栄養(PN)配合物が、3つの患者集団に提供される。患者集団は、早産の幼児(PT)、満期産児から2歳児(TT)、及び2歳を超える小児(OT)である。このPN配合物は、個別に保存され、且つ投与前に混合される3つの成分を有することができる。この3つの成分は、炭水化物成分、アミノ酸(AA)成分、及び脂質成分であり得る。1つ以上の電解質も、PN配合物に含むことができるのが好ましい。電解質は、1つ以上の成分に含むこともできるし、或いは、成分が組み合わされる前又は組み合わされた後、医療専門家によって追加することもできる。1つ以上の電解質を炭水化物成分に含むことができるのが好ましいが、1つ以上の電解質がアミノ酸成分に含まれることがより好ましい。
【0072】
早産児のPN配合物の3つの成分は、脆弱シール又は剥離シール等の開放シールによって分離された3つのチャンバーを有し、約300mLの全容量を有し、且つシールを選択的に開放する能力を有する容器、より好ましくは上述の容器10(図1)に保存されるのが好ましい。満期産児から2歳児のPN配合物の3つの成分は、容器が約500mLの全容量を有することを除いて、同様の3チャンバー容器、より好ましくは上述の容器110(図5)に保存されるのが好ましい。2歳を超える小児のPN配合物の3つの成分は、容器が約1000mLの全容量を有することを除いて、同様の3チャンバー容器、より好ましくは上述の容器210(図6)に保存されるのが好ましい。
【0073】
炭水化物成分は、グルコース、フルクトース、及び又はスクロース等、約10%〜約70%の1つ以上の炭水化物を含む水溶液を含むことができる。アミノ酸成分は、約3%〜約10%の1つ以上のアミノ酸を含むことができる。脂質成分は、非限定的にオリーブ油、中鎖トリグリセリド油、大豆油、及び魚油等、植物、動物、又は合成源の脂肪酸並びに/或いはトリグリセリド等の約10%〜約30%の脂質を含むエマルジョンを含む水溶液を含むことができる。全ての割合は、特に断りのない限り、重量対容量(w/v)で表される。
【0074】
科学コミュニティの幾つかのメンバーが、アミノ酸、炭水化物、及び脂質成分の平均栄養推奨ガイドライン(MNRG)、並びに電解質の適当な最大最小栄養ガイドライン(MMNG)を決定しており、以下の表に示されるように3つの患者集団について1日当たりキログラムについて以下で参照される。
【0075】
【表1】

図1を参照すると、本発明の一実施形態においては、早産児用のPN配合物が、容器10において提供される。PN配合物は、アミノ酸成分を含むことができ、このアミノ酸成分は、注射用水、pHを約5.5に調整するためのリンゴ酸、及び以下のアミノ酸を含む溶液を含むことができる。
【0076】
【表2−1】

【0077】
【表2−2】

それぞれの量における上述のアミノ酸が好ましいが、異なる量及び組み合わせの他のアミノ酸を使用することが可能である。それにもかかわらず、システイン、特に早産児に投与されるシステインは、アミノ酸溶液に存在するべきである。なぜなら、システインは、条件付き必須アミノ酸であり、早産児は、システテインを合成する能力が限定されるからである。
【0078】
PN配合物は又、注射用水において12.5%の脂質エマルジョンを含むことができる脂質成分を含むこともできる。
【0079】
【表3−1】

【0080】
【表3−2】

オリーブ油は、その望ましい免疫中立性のために好ましい脂質である。上述の組み合わせが好ましい。なぜなら、この組み合わせは、より軽度の過酸化しか誘発せず、且つ追加の酸化ストレスを誘発しないからである。これらは、好ましい脂質及び脂質濃度であるが、動物、植物、又は合成源からの他の脂質源を使用することも可能である。
【0081】
PNは又、以下の表に示されるように50%の水性グルコース及び電解質溶液を含むことができる炭水化物成分を含むこともできる。
【0082】
【表4】

電解質及び炭水化物について他の供給源及び量を使用することが可能である。リンは有機源に由来することが好ましく、上述の表は、最も好ましい栄養素源を示す。又、pHが約4.0に調整されることも好ましく、好ましい実施形態において、調整は、やはり所望のレベルの塩化物を達成するために、リンゴ酸又は酢酸等、他のpH調整剤と共に塩酸を使用して達成される。
【0083】
図1を参照すると、容器10の各チャンバーは、PN配合物の成分の1つで充填される。具体的には、早産児用のPN配合物の容器は、チャンバー12において約80mLの炭化水素成分、チャンバー14において約160mLのアミノ酸成分、及びチャンバー16において約60mLの脂質成分を含むことが可能である。第1日目である場合、患者が、敗血症性ショック、凝固異常、高ビリルビンレベル、又はその他の理由で苦しんでいる等、場合により脂質成分の投与が推奨されない場合がある。この場合、容器10により、シール24の選択的な開放が可能になる。
【0084】
MNRG(すなわち、MMNGの少なくとも最少量における栄養)を提供するためには、約120mLのPN配合物を、1日当たり患者の1キログラムにつき注入しなければならない。その場合、300mLの容器が、24時間の期間にわたり、2.5kgの新生児(PT)に十分なPNを提供する。以下の表は、3チャンバー容器におけるPN配合物のおよその値を示す。
【0085】
【表5】

一実施形態においては、早産児患者について上述のPN配合物の約120mL/kg/日を投与することにより、以下の栄養素及び電解質が提供される。
【0086】
【表6】

平均推奨必要量の下限より高いカルシウム及びリン酸塩のレベルを提供することが望ましい。しかし、グリセロリン酸ナトリウムを増大させることにより、ナトリウムレベルは、平均推奨必要量範囲の上限範囲を超える。カルシウムは、塩化カルシウムを追加することによって容易に増大させることができるが、このことは、1:1又は1:1.1の推奨されるカルシウム対リンの比を変化させる。一実施形態においては、無機形態のリンが、平均推奨必要量を満たすようにアミノ酸成分に追加される。この追加と関連して、適切な比を維持するために、カルシウムを更に追加するのが好ましい。
【0087】
他の輸液療法を医療専門家によって提供することができるように、平均推奨必要量より少ない液体を提供することが望ましい可能性がある。このような輸液療法は、しばしば、PNを必要とする患者において必要である。他の液体の投与を可能にするために、120mL/kg/日が栄養容量において供給されるように選択され、一方、早産新生児の必要な全液体レベル摂取量は、150〜170mL/kg/日である。
【0088】
図5を参照すると、本発明の別の実施形態においては、満期産児から2歳の子供のPN配合物は、3つのチャンバーを有する500mL容器、好ましくは容器110において提供される。PN配合物は、炭水化物成分を含むことができ、約155mLの容量を有し、且つ中央チャンバー114の長手軸方向の長さよりよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバー112に収容することができる。これにより、チャンバー116に隣接するシール122を開放せずに、炭水化物を含むチャンバー112に隣接するシール124を選択的に開放することが可能になる。アミノ酸成分もPN配合物に含み、約221mLの容量を有する中央チャンバー114に収容することができる。又、脂質配合物をPN配合物に含み、約124mLの容量を有する端部チャンバー116に収容することができる。脂質成分及びアミノ酸成分は、上述の通り配合することができる。炭水化物成分は、以下の表に示されるように、50%の水性グルコース及び電解質溶液を含むことができる。
【0089】
【表7】

電解質及び炭水化物の他の供給源、量、及び組み合わせを使用することが可能である。炭水化物成分のリンは、有機源に由来することが好ましく、上述の表は、栄養素の最も好ましい源を示す。
【0090】
各チャンバーは、成分の1つで充填される。具体的には、約155mLの炭水化物成分が、上述の通り端部チャンバー112を充填することができ、約221mLのアミノ酸成分が、上述の通り中央チャンバー114を充填することができ、約124mLの脂質成分が、上述の通り端部チャンバー116を充填することができる。上述の剥離シール124により、炭水化物成分とアミノ酸成分を混合することが可能になり、又は、全てのシール122、124は、3成分PN配合物を作り出すように開放されることが可能である。従って、誕生第1日目である場合、患者が、敗血症性ショック、凝固異常、高ビリルビンレベル、又はその他の理由等で苦しんでいる場合等、脂質成分を投与することが推奨されない可能性がある幾つかの場合、容器により、上で考察した通り脂質チャンバーに隣接するシールを開放せずに、中央チャンバーの長手軸方向の長さよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバーに隣接するシールのみを選択的に開放することが可能になる。
【0091】
MNRG及び少なくとも最小限のMMNGを提供するためには、約96.7mL/kg/日のPN配合物を、1日当たり患者の1キログラムにつき注入しなければならない。この場合、500mL容器は、24時間の期間にわたり約5kgの小児に十分なPNを提供する。以下の表は、3チャンバー容器におけるPN配合物のおよその値を示す。
【0092】
【表8】

満期産児から2歳児について上述のPN配合物の96.7mL/kg/日を投与することにより、ほぼ以下の栄養素及び電解質が提供される。
【0093】
【表9】

全ての脂質が追加されると、リンの摂取はより多くなり、P/Ca比は増大するが、この患者集団は、このような少量の過剰なリンに対応することができる。液体量の減少により、医療専門家は、ある環境において有利な可能性がある他の輸液療法を必要に応じて投与することが可能になる。
【0094】
図6を参照すると、本発明の別の実施形態においては、2歳を超える小児のPN配合物は、3つのチャンバーを有する1,000mL容器、好ましくは容器210において提供される。PN配合物は、炭水化物成分を含むことができ、約383mLの容量を有し、且つ中央チャンバー214の長手軸方向の長さよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバー212に収容することができる。これにより、チャンバー216に隣接するシール222を開放せずに、炭水化物を含むチャンバー212に隣接するシール224を選択的に開放することが可能になる。アミノ酸成分をPN配合物に含み、約392mLの容量を有する中央チャンバー214に収容することができる。更に、脂質配合物をPN配合物に含み、約225mLの容量を有する端部チャンバー216に収容することができる。脂質成分及びアミノ酸成分は、上述の通り配合することができる。炭水化物成分は、以下の表に示されるように、50%の水性グルコース及び電解質溶液を含むことができる。
【0095】
【表10】

電解質及び炭水化物のその他の供給源、量、及び組み合わせを使用することが可能である。炭水化物成分のリンは、有機源に由来することが好ましく、上述の表は、栄養素の最も好ましい源を示す。
【0096】
各チャンバーは、成分の1つで充填される。具体的には、約383mLの炭水化物成分が、上述の通り端部チャンバー212を充填することができ、約392mLのアミノ酸成分が、上述の通り中央チャンバー214を充填することができ、約225mLの脂質成分が、上述の通り端部チャンバー216を充填することができる。各成分は、個別に患者に投与することができ、又は、全てのシール222、224が、PN配合物を創出するように開放されることが可能である。しかし、第1日目である場合、患者が、敗血症性ショック、凝固異常、高ビリルビンレベル、又はその他の理由等で苦しんでいる等、場合により脂質成分を投与することが推奨されない場合がある。この場合、容器により、上で考察した通り脂質チャンバーに隣接するシールを開放せずに、中央チャンバーの長手軸方向の長さよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバーに隣接するシールを選択的に開放することが可能になる。
【0097】
MNRG及び少なくとも最小限のMMNGを提供するためには、約78.3mL/kg/日のPN配合物を、1日当たり患者の1キログラムにつき注入しなければならない。この場合、1,000mL容器が、24時間の期間にわたり約12.5kgの小児に十分なPNを提供する。以下の表は、3チャンバー容器におけるPN配合物のおよその値を示す。
【0098】
【表11】

2歳を超える小児について上述の配合物の78.3mL/kg/日を投与することにより、ほぼ以下の栄養素及び電解質が提供される。
【0099】
【表12】

液体レベルの低下により、医療専門家は、ある環境において望ましい可能性がある他の輸液療法を投与することが可能になる。
【0100】
本発明の別の実施形態においては、2歳を超える小児のPN配合物は、3つのチャンバーを有する1000mL容器、好ましくは容器210において提供される。PN配合物は、炭水化物成分を含むことができ、約332mLの容量を有し、且つ中央チャンバー214の長手軸方向の長さよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバー212に収容することができる。これにより、チャンバー216に隣接するシール222を開放せずに、炭水化物を含むチャンバー212に隣接するシール224を選択的に開放することが可能になる。アミノ酸成分をPN配合物に含み、約425mLの容量を有する中央チャンバー214に収容することができる。脂質配合物もPN配合物に含み、約243mLの容量を有する端部チャンバー216に収容することができる。脂質成分及びアミノ酸成分は、上述の通り配合することができる。好ましい実施形態において、炭水化物成分は、以下の表に示されるように、62.5%の水性グルコース及び電解質溶液を含むことができる。
【0101】
【表13】

電解質及び炭水化物の他の源、量、及び組み合わせを使用することが可能である。炭水化物成分のリンは、有機源に由来することが好ましく、上述の表は、栄養素の最も好ましい源を示す。
【0102】
各チャンバーは、成分の1つで充填される。具体的には、約332mLの炭水化物成分が、上述の通り端部チャンバー212を充填することができ、約425mLのアミノ酸成分が、上述の通り中央チャンバー214を充填することができ、約243mLの脂質成分が、上述の通り端部チャンバー216を充填することができる。各成分は、個別に患者に投与することができ、又は、全てのシール222、224が、PN配合物を創出するように開放されることが可能である。しかし、患者が、敗血症性ショック、凝固異常、高ビリルビンレベル、又はその他の理由等で苦しんでいる場合等、場合により脂質成分を投与することが推奨されない場合がある。この場合、容器により、上で考察した通り脂質区画216に隣接するシール222を開放せずに、中央チャンバー214の長手軸方向の長さよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバー212に隣接するシール224を選択的に開放することが可能になる。
【0103】
MNRG及び少なくとも最小限のMMNGを提供するためには、約72.3mL/kg/日の上述のPN配合物を、1日当たり患者の1キログラムにつき注入しなければならない。この場合、1000mL容器が、24時間の期間にわたり約13.5kgの小児に1日あたり十分なPNを提供する。従って、この容器は、前述の1000mLチャンバーの実施形態より大きな小児について24時間の期間にわたって提供する。以下の表は、3チャンバー容器におけるPN配合物のおよその値を示す。
【0104】
【表14】

2歳を超える小児について約72.3mL/kg/日の上述のPN配合物を投与することにより、以下の栄養素及び電解質が提供される。
【0105】
【表15】

液体レベルの低下により、医療専門家は、ある環境において望ましい可能性がある他の輸液療法を投与することが可能になる。
【0106】
場合により、電解質の濃度を最小レベルより大きくすることにより、炭水化物成分(水性グルコース及び電解質の溶液)の緩衝能力が増大することが実証されている。この緩衝能力の増大により、混和PN配合物のpHは、対象小児集団について潜在的に不適合であるレベルまで低下する。
【0107】
その結果、上に示した最小濃度を超えて電解質を含まないか、製造されたPN配合物において上に示した最小濃度を超えて電解質を含まない(が、投与前に医療専門家による電解質の追加を可能にする)か、又は別の成分において最小基本レベルを超える濃度においてであっても電解質を含むかのいずれかが好ましい場合がある。
【0108】
従って、これらの場合、本発明のより好ましい実施形態においては、3つの非経口栄養(PN)配合物が、上述の患者集団、即ち早産児(PT)、満期産児から2歳児(TT)、及び2歳を超える小児(OT)に提供される。より好ましいpN配合物は、個別に保存されて、投与前に混合される3つの成分を有することができる。3つの成分は、炭水化物成分、アミノ酸(AA)成分、及び脂質成分とすることができる。1つ以上の電解質も、PN配合物に含むことができ、幾つかの電解質は、アミノ酸成分に含まれることがより好ましい。
【0109】
早産児PN配合物の3つの成分は、脆弱シール又は剥離シール等の開放シールによって分離された3つのチャンバーを有し、約300mLの全容量を有し、且つシールを選択的に開放する能力を有する容器、より好ましくは上述の容器10(図1)に保存されることがより好ましい。早産児から2歳児のPN配合物の3つの成分は、容器が500mLの全容量を有することを除いて、同様の3チャンバー容器、より好ましくは上述の容器110(図5)に保存されるのが好ましい。2歳を超える小児のPN配合物の3成分は、容器が1,000mLの全容量を有することを除いて、同様の3チャンバー容器、より好ましくは上述の容器210(図6)に保存されるのが好ましい。
【0110】
炭水化物成分は、グルコース、フルクトース、及び/又はスクロース等、約10%〜約70%の1つ以上の炭水化物を含む水溶液を含むことができる。アミノ酸成分は、約3%〜約10%の1つ以上のアミノ酸を含む水溶液を含むことができる。脂質成分は、非限定的にオリーブ油、中鎖トリグリセリド油、大豆油、及び魚油等、植物、動物、又は合成源の脂肪酸並びに/或いはトリグリセリド等の約10%〜約30%の脂質を含むエマルジョンを含むことができる。全ての割合は、特に断りのない限り、重量対容量(w/v)で表される。
【0111】
全ての3つの患者集団(PT、TT、及びOT)のPN配合物の好ましい脂質成分は、前述の通り、注射用水において12.5%の脂質エマルジョンを含む。
【0112】
オリーブ油は、その望ましい免疫中立性のために好ましい脂質である。上述の組み合わせが好ましい。なぜなら、この組み合わせは、より軽度の過酸化しか誘発せず、且つ追加の酸化ストレスを誘発しないからである。これらは、好ましい脂質及び脂質濃度であるが、動物、植物、又は合成源からの他の脂質源を使用することも可能である。
【0113】
全ての3つの患者集団(PT、TT、及びOT)のPN配合物の好ましい炭水化物成分は、注射用水において50.0%のグルコースを含むことができる。1つ以上の炭水化物が、グルコースの代わりに使用されることが可能である。pHは、約4.0に調整されるべきであり、好ましい実施形態において、調整は、塩酸で達成されることが可能である。
【0114】
3つの患者集団(PT、TT、及びOT)のPN配合物の好ましいアミノ酸成分は、アミノ酸及び電解質の溶液を含むことができる。各患者集団のアミノ酸成分の構成要素のおよその量を、以下の表Aに示す。
【0115】
【表16−1】

【0116】
【表16−2】

電解質及びアミノ酸の他の供給源、組み合わせ、及び量を使用することが可能である。リンは、有機源に由来することが好ましく、上述の表は、最も好ましい栄養源を示す。
【0117】
図1を参照すると、容器10の各チャンバーは、PN配合物の構成要素の1つで充填される。具体的には、早産児のPN配合物の容器は、約80mLの炭水化物構成要素をチャンバー12に含み、PT集団のための約160mLアミノ酸構成要素をチャンバー14に含み、約60mLの脂質構成要素をチャンバー16に含むことが可能である。第1日目である場合、患者が、敗血症性ショック、凝固異常、高ビリルビンレベル、又はその他の理由で苦しんでいる等、場合により脂質成分の投与は推奨されない場合がある。この場合、容器10により、シールの選択的な開放が可能になる。
【0118】
アミノ酸、脂質及び電解質のMNRGを提供するためには、約120mLのPN配合物を、1日当たり患者の1キログラムにつき注入しなければならない。その場合、300mLの容器が、24時間の期間にわたり、2.5kgの新生児(PT)に十分なPNを提供する。以下の表は、3チャンバー容器におけるPN配合物のおよその値を示す。
【0119】
【表17】

一実施形態においては、早産児患者について約120mL/kg/日の上述のPN配合物を投与することにより、以下の栄養及び電解質が提供される。
【0120】
【表18】

平均推奨必要量の下限より高いカルシウム及びカリウムのレベルを提供することが望ましい。しかし、グリセロリン酸ナトリウムを増大させることにより、ナトリウムのレベルは、平均推奨必要量の範囲の上限を超える。カルシウムは、塩化カルシウムを更に追加することによって容易に増大させることができるが、このことは、1:1又は1:1.1の推奨されるカルシウム対リンの比を変化させる。一実施形態においては、無機形態のリンが、平均推奨必要量を満たすようにアミノ酸成分に追加される。この追加と関連して、適切な比を維持するために、カルシウムを更に追加するのが好ましい。
【0121】
他の輸液療法を医療専門家によって提供することができるように、平均推奨必要量より少ない液体を提供することが望ましい可能性がある。このような輸液療法は、しばしば、PNを必要とする患者において必要である。他の液体の投与を可能にするために、120mL/kg/日が栄養容量において供給されるように選択され、一方、早産新生児の必要な全液体レベル摂取量は、150〜170mL/kg/日である。
【0122】
図5を参照すると、本発明の別の実施形態において、満期産児から2歳児のPN配合物は、3つのチャンバーを有する500mL容器、好ましくは容器110において提供される。PN配合物は、炭水化物成分を含むことができ、約155mLの容量を有し、且つ中央チャンバー114の長手軸方向の長さよりよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバー112に収容することができる。これにより、チャンバー116に隣接するシール122を開放せずに、炭水化物を含むチャンバー112に隣接するシール124を選択的に開放することが可能になる。アミノ酸成分もPN配合物に含み、約221mLの容量を有する中央チャンバー114に収容することができる。又、脂質配合物をPN配合物に含み、約124mLの容量を有する端部チャンバー116に収容することができる。
【0123】
脂質成分は、上述の通り配合することができ、アミノ酸成分は、上述の表Aに示す通りTT集団について配合することができる。
【0124】
全ての3つの患者集団(PT、TT、及びOT)のPN配合物の好ましい炭水化物成分は、注射用水において50.0%グルコースを含むことができる。1つ以上の炭水化物が、グルコースの代わりに使用されることが可能である。好ましい実施形態において、pHは塩酸で4.0前後に調整することが可能である。
【0125】
各チャンバーは、成分の1つで充填される。特に約155mLの炭水化物成分が、上述の通り端部チャンバー112を充填することができ、約221mLのアミノ酸成分が、上述の通り中央チャンバー114を充填することができ、約124mLの脂質成分が、上述の通り端部チャンバー116を充填することができる。上述のオプションの剥離シール124により、炭水化物成分とアミノ酸成分を混合することが可能になり、又は、全てのシール122、124が、3成分PN配合物を創出するように開放されることが可能である。従って、生命の第1日目である場合、患者が、敗血症性ショック、凝固異常、高ビリルビンレベル、又はその他の理由等で苦しんでいる場合等、脂質成分を投与することが推奨されない可能性がある幾つかの場合、容器により、上で考察した通り脂質チャンバーに隣接するシールを開放せずに、中央チャンバーの長手軸方向の長さよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバーに隣接するシールのみを選択的に開放することが可能になる。
【0126】
アミノ酸、炭水化物、脂質及び電解質のMNRGを提供するためには、約96.7mL/kg/日のPN配合物を、1日当たり患者の1キログラムにつき注入しなければならない。この場合、500mL容器が、24時間の期間にわたり約5kgの小児に十分なPNを提供する。以下の表は、3チャンバー容器におけるPN配合物のおよその値を示す。
【0127】
【表19】

満期産児から2歳児について上述のPN配合物の96.7mL/kg/日を投与することにより、ほぼ以下の栄養素及び電解質が提供される。
【0128】
【表20】

全ての脂質が追加されると、リンの摂取はより多くなり、P/Ca比は増大するが、この患者集団は、このような少量の過剰なリンに対応することができる。液体量の減少により、医療専門家は、ある環境において有利な可能性がある他の輸液療法を必要に応じて投与することが可能になる。図6を参照すると、本発明の別の実施形態において、2歳を超える小児のPN配合物は、3つのチャンバーを有する1,000mL容器、好ましくは容器210において提供される。PN配合物は、炭水化物成分を含むことができ、約383mLの容量を有し、且つ中央チャンバー214の長手軸方向の長さよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバー212に収容することができる。これにより、チャンバー216に隣接するシール222を開放せずに、炭水化物を含むチャンバー212に隣接するシール224を選択的に開放することが可能になる。アミノ酸成分をPN配合物に含み、約392mLの容量を有する中央チャンバー114に収容することができる。更に、脂質配合物をPN配合物に含み、約225mLの容量を有する端部チャンバー216に収容することができる。
【0129】
脂質成分は、上述の通り配合することができ、アミノ酸成分は、上述の表Aに示す通りTT集団について配合することができる。
【0130】
全ての3つの患者集団(PT、TT、及びOT)のPN配合物の好ましい炭水化物成分は、注射用水において50.0%グルコースを含むことができる。1つ以上の炭水化物を、グルコースの代わりに使用することが可能である。好ましい実施形態において、PHは塩酸で4.0前後に調整することが可能である。
【0131】
各チャンバーは、成分の1つで充填される。約383mLの炭水化物成分が、上述の通り端部チャンバー212を充填することができ、約392mLのアミノ酸成分が、上述の通り中央チャンバー214を充填することができ、約225mLの脂質成分が、上述の通り端部チャンバー216を充填することができる。各成分を個別の患者に投与することができ、又は、全てのシール222、224が、PN配合物を作り出すために開放されることが可能である。しかし、第1日目である場合、患者が、敗血症性ショック、凝固異常、高ビリルビンレベル、又はその他の理由等で苦しんでいる等、場合により脂質成分を投与することは推奨されない場合がある。この場合、容器により、上で考察した通り脂質チャンバーに隣接するシールを開放せずに、中央チャンバーの長手軸方向の長さよりも実質的に長い長手軸方向の長さを有する端部チャンバーに隣接するシールのみを選択的に開放することが可能になる。
【0132】
アミノ酸、炭水化物、脂質及び電解質のMNRGを提供するためには、約78.3mL/kg/日のPN配合物を、1日当たり患者の1キログラムにつき注入しなければならない。この場合、1,000mL容器が、24時間の期間にわたり約12.5kgの小児に十分なPNを提供する。以下の表は、3チャンバー容器におけるPN配合物のおよその値を示す。
【0133】
【表21】

2歳を超える小児について約78.3mL/kg/日の上述のPN配合物を投与することにより、ほぼ以下の栄養素及び電解質が提供される。
【0134】
【表22】

液体レベルの低下により、医療専門家が、ある状況において望ましい可能性がある他の輸液療法を投与することが可能になる。
【0135】
図11を参照すると、本発明によるTPN配合物の容器は、溶液の実現可能性を保持し、且つ溶液を劣化から保護するために選択されたパウチに配置されることが可能である。本発明の一実施形態においては、TPN配合物の炭水化物成分、脂質成分、及びアミノ酸成分を含むマルチチャンバーを有する容器10、110、210、310、410、510を収容するために、オーバーパウチが提供される。オーバーパウチは、多層プラスチックフィルム又はシートで構築され、酸素がオーバーパウチの内部に入るのを防止するのが好ましい。又、オーバーパウチは、オートクレーブ等の滅菌に耐えることができることも好ましい。
【0136】
オーバーパウチを構築するために使用されるフィルムの層の1つ以上は、酸素排除ポリマーを含むこともできるし、或いは、層は、酸素の浸透を防止するために物理的なバリアーを提供することもできる。
【0137】
図11は、オーバーパウチを構築するために使用されるフィルム310の一実施形態の断面図を示す。好ましいフィルム58は、4つの層60、62、64及び66を含む。層60は、フィルムの最外層であり、酸素バリアーコーティングを有する高融点ポリマーであるのが好ましい。示されたように、層60は、酸化アルミニウム・コーティング68を有するポリエステル材料である。層60の厚さは、約6〜約18μm、好ましくは約10〜約14μm、最も好ましくは約12μmとすることができる。コーティング68は、約400オングストロームからの厚さの範囲とすることができる。層312は、酸化アルミニウム・コーティングがオーバーパウチの内部を向くように配向される。
【0138】
内部に向かって移動する次の層62は、コーティング70が外部を向くことを除いて、層60と同じであるのが好ましい。酸素排除ポリマー等、酸素不浸透性を有する異なるポリマーを使用することができる。
【0139】
2つの層60及び62は、種々の方式で共に結合又は溶接される。図111に示す通り、接着剤72が、層60と62の間に配置される。接着剤は、約1.5〜約5.5μmの範囲の厚さ、好ましくは約3.5μmで加えることができる。多くの異なる接着剤を使用することが可能であるが、好ましい接着剤は、ポリウレタン−ポリエステル樹脂接着剤である。
【0140】
層64は、好ましくはナイロン材料、より好ましくはナイロン−6である。層64の厚さは、約10〜約20μmとすることができ、好ましい厚さは、約15μmである。層64は、この実施形態においては接着剤72と同じ接着剤であり、且つ同じ厚さを有する接着剤74で層62に結合される。
【0141】
層66は、最内層であり、好ましくはポリプロピレン材料、より好ましくは鋳造ポリプロピレンである。層66の厚さは、約30〜約70μmの範囲、より好ましくは約50μmとすることができる。
【0142】
層64及び66も、この実施形態においては接着剤72と同じ接着剤であり、且つ同じ厚さを有する接着剤76で共に結合される。
【0143】
別の実施形態においては、異なる構造を有する2つのウエブからオーバーパウチを作成することができる。上部ウエブは、上述の構造とすることができるが、底部ウエブは、熱形成構造又は不透明構造とすることができ、或いは、剥離可能な開放を可能にする密封剤層を有することができる。
【0144】
次いで、TPN配合物を保存するマルチチャンバー容器10(図1)が、オーバーパウチに配置される。オーバーパウチのヘッドスペースは、大気酸素を除去するために、窒素等の不活性気体で充填され、次いで、オーバーパウチを封止することができるのが好ましい。オーバーパウチは、接着剤を使用して、又はヒートシールによって、閉じることができる。オーバーパウチシールして閉じられた後、パッケージ全体を滅菌することができる。
【0145】
アミノ酸を有するアミノ酸溶液をシステイン又はN−アセチル−システイン等のチオール官能基と共に熱滅菌することにより、分解産物として硫化水素気体が生成されることがあり、又最も可能性が高いのは、臭いによって気づくことができる他の識別されていないppbレベルの揮発性有機硫黄化合物が生成されることがあることである。硫化水素は、存在するとすれば、液相と気相又はヘッドスペースの間で均衡する。水性相における硫化水素の1ppmの限界は、静脈内経路による患者について無毒であると評価されている。しかし、水性相におけるこの限界が適用される場合でも、気相におけるある程度の硫化水素及び関連する硫黄化合物が、非常に低いレベルであるが、快適ではない臭いを生成するのに十分なレベルで依然として存在することがある(硫化水素は、気相では0.1ppmのレベルから臭うことがある)。この不快な臭いは、その場の患者及び他者を混乱させ、TPN配合物は新鮮ではない、又は汚染されているという印象を創出することがある。
【0146】
これに関して、気相における非常に低レベルの硫化水素及び/又は関連する硫黄化合物に関連する不快な臭いを除去するために、オーバーパウチをシールして閉じる前に、臭い吸収剤(図示なし)をオーバーパウチに配置することができる。使用できる吸収剤には多くのタイプがあり、それらの殆どは、ファン・デル・ワールス力の機構で分子を引き付けて、孔の表面に分子を吸着させる活性炭素を含む。更に、オーバーパウチの内部に依然として残されている可能性があり、又は製品の使用寿命中にオーバーパウチ材料を介して拡散する可能性がある酸素を吸収するために、酸素吸収剤をオーバーパウチに配置することもできる。酸素吸収剤は、鉄硫黄を形成するように鉄と共有結合を確立することによって、HSを吸収する能力をも有する。又、組み合わされた酸素及び臭いスカベンジャーを使用することが可能であることも考慮される。
【0147】
硫化水素を吸収又は排除することができる場合、硫化水素がオーバーパウチの内部に入ることができるように、TPN配合物を含むシステインを収容する容器は、硫化水素に対して浸透性であるべきであることに留意されたい。
【0148】
本発明の更なる実施形態においては、業界標準の摂氏121度よりわずかに高い温度での滅菌が、硫化水素のレベルを下げるために実施されることが可能である。例えば、摂氏125度におけるより短時間の期間又は滅菌周期の滅菌は、硫化水素のレベルを下げ、且つアミノ酸の幾らかの分解を低減することが判明している。分解がより軽度であるので、配合されたアミノ酸レベルは、滅菌後に望ましいレベルにより近くなることができ、それにより、アミノ酸レベルを厳密に制御する能力が促進される。
【0149】
本発明の別の実施形態においては、酸素インジケーターが提供される。酸素インジケーターは、脂質エマルジョン等のTPN配合物の酸素選択成分が輸送及び/又は保存中に望ましくない酸素レベルに曝露されないことを実証するために使用される。好ましい酸素インジケーターは、進行中の熱滅菌後でも酸素が存在することを示すために、特異的で目立つ色変化を提供する。更に、色変化が生じた後、酸化された色は、インジケーターが延長保存中等のある時間観察されない環境において、観察者に対して視覚的に依然として大きく変化しない状態でなければならない。
【0150】
インジケーターの実施形態において、本発明のインジケーターは、オーバーパウチに配置され、滅菌前に医療用容器に接着されることが可能である。従って、インジケーターは、蒸気滅菌に耐えることができなければならない。即ち、インジケーターの還元された色、即ちインジケーターを酸化するのに十分な酸素に曝露される前のインジケーターの色は、酸化された時(十分な量の酸素に曝露された時)、依然として色を変化させ、酸化された色は、視覚的に大きく変化せず、且つ還元された色とは別個でなければならない。好ましい実施形態において、インジケーターは、酸化形態において製造され、蒸気滅菌時に還元される。更に、還元形態の色及び酸化形態の色の両方とも、40℃で最高3ヶ月、より好ましくは40℃で最高6ヶ月の保存中に退色してはならず、又は著しく変化してはならない。更に、還元形態の色及び酸化形態の色の両方とも、25℃及び30℃で最高2年の保存中に退色してはならず、又は著しく変化してはならない。
【0151】
通常、酸素インジケーターは、インジケーター溶液を含む小さいパウチに入る。パウチは、通常、シールパウチを創出するように互いに縁の周りに封止される上部ウエブ及び底部ウエブ又はベース・ウエブからなる。両面テープ等の接着剤をベース・ウエブの上に配置して、医療用配合物を収容する2次パッケージ又は容器の内側にインジケーターパウチを固定することができる。好ましい実施形態において、インジケーターは、酸素吸収剤の表面上に固定される。パウチを形成する材料は、色変化要件の動態に準拠するように選択することができる。幾つかのこのような材料は、以下とすることができる。
上部ウエブ:配向ポリプロピレン(OPP)25μ/鋳造ポリプロピレン(CCP)40μ。多色印刷をOPP層とCPP層の間に加えることができる。
ベース・ウエブ:ポリエチレンテレフタレート(PET)12μ/配向ポリプロピレン(OPP)20μ/鋳造ポリプロピレン30μ。白色不透明印刷等の任意の印刷をPET層とOPP層の間に配置することができる。
【0152】
上述のフィルムを使用する一実施形態において、酸素環境にピンホール曝露することにより、インジケーターの色は、3日未満で変化して、酸素の存在を示した。インジケーター溶液は、酸素の欠如を示す還元形態にある時の黄色から、酸素の存在によって酸化された時の青に変化するインジゴカルミンを含む。
【0153】
パウチは、指示溶液の色を見るために透明な部分を有して構築されるのが好ましい。インジケーター溶液は、インジケーターが酸化形態にあり、且つ色が青であることを意味する大気条件下で調製される。製造中、インジケーター溶液の酸化形態を含むパウチは、TPN配合物を収容する容器と共にオーバーパウチに配置され、オーバーパウチは、封止されて滅菌される。滅菌周期中、インジケーター溶液は還元され、溶液は黄になる。酸化還元反応を以下に示す。
【0154】
【化1】

この反応は可逆的である。即ち、溶液は、酸素に曝露される際に再び青になる。好ましい実施形態において、インジケーターは、容器の内容物、及びフィルムの裂け目を通って漏れる場合にインジケーター溶液に曝露される可能性がある製品の使用者に対して無毒である成分を使用して形成されるべきである。より好ましい実施形態において、成分は、無毒であると周知である食品添加物からなる。
【0155】
酸素インジケーターの実施形態は、3g/Lのインジゴカルミン濃度に基づく。特有の配合物は、20mLの1.5%インジゴカルミン、80mLの0.13Mのピロリン酸ナトリウム、及び18gの微結晶セルロースの混合物であり、pHは、HClで8.75に調整される。この現在利用可能な酸素インジケーターの酸化された色は、酸化される時に青色を生成するが、この色は、比較的迅速に退色する。40℃で3ヶ月保存した後、青色は、黄色とは十分に別個ではない皮膚の色又はインジケーターの還元形態に退色する。この退色した色は、酸素に曝露された明瞭な識別を提供することができない。同様の結果が、30℃にて8ヶ月及び25℃にて12ヶ月維持された試料について観察された。
【0156】
この欠点を克服する1つの試行において、インジゴカルミン濃度を6g/Lの濃度に上げ、現在利用可能なインジケーター(基準)と比較した。以下の表は、各配合物の詳細を提供する。
【0157】
【表23】

セルロースは還元剤として作用するために提供されているので、セルロース含有量は、インジゴカルミンの増大を補償するために、インジケーターのこの第2実施形態(代替1)において増大された。即ち、より多くのセルロースが、インジケーターが滅菌中に還元されることを確実にするために必要である。
【0158】
インジケーターのそれぞれの試料を610nmにおいて光学濃度について吸光単位(AU)で分析した。これは、配合、滅菌、及び数度に保存した後の経時的な青酸化色の吸光度範囲である。結果を以下の表において示す。
【0159】
【表24】

第0日は、滅菌前の溶液を意味し、第1日は、滅菌後の溶液を意味する。
【0160】
上述の日のグラフ表示を図12に示す。
【0161】
滅菌後の初期吸光度は、第1反復の0.8AUに対して、代替1配合物では約1.4AUである。図9に示す通り、減少の傾向は、両方の反復について同様である。酸化色のより長い安定性が予測されるが、予測された24ヶ月の安定性が、この配合物での境界線となる可能性がある。
【0162】
他のタイプのセルロースも、基準インジケーター配合物を使用して調査し、具体的には、DS−0 TLCセルロース、コロイド状微結晶セルロース、クロマトグラフィ用粉末セルロース、クロマトグラフィ用粉末酸洗浄セルロース、低粘性及び高粘性のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、酢酸セルロース、並びにメチルセルロースである。他の不溶性セルロース化合物を含めて、配合物間に主な違いは観察されなかった。試験は、不溶性セルロースを可溶性グラフト・セルロースによって置き換えることはできないことを示した。更に、安定剤として既知の添加剤としてEDTAを調査した。再び、EDTAは、インジケーターの酸化色の退色に対して有意な効果を有していなかった。
【0163】
インジゴカルミンの濃度を更に上げることにより、セルロースの含有量を増大させることによって製造は複雑になり、代替1インジケーターにおいて使用される300g/Lのセルロースよりレベルを増大させることにより、指示パウチの製造が阻害され、望ましくないペースト状の混合物を創出することが示された。更に増大させることにより、これらの問題は更に悪化し、更に、セルロースのレベルを増大させることができないことにより、滅菌中のより高いレベルのインジゴカルミンを適切に下げることができなくなる。
【0164】
適切な量の還元剤、好ましい例ではデキストロース等のより強い還元糖を追加することにより、インジゴカルミンの濃度を6g/Lの濃度を超えて増大させ、一方、180g/Lのより好ましいレベルでセルロース含有量を維持することが可能になることが判明している。
【0165】
一実施形態において、指示溶液は、インジゴカルミンの他に、滅菌前に約9.0〜約9.75、及び滅菌後に約7.0〜約9.0の範囲においてpH調整するための緩衝剤、セルロース、及び還元剤を含む。
【0166】
インジゴカルミンは、European Community Directive67/548/EECの下では有害物質と見なされていない。インジゴカルミンの濃度は、6g/Lより大きく、約60g/Lより小さく、好ましくは約10〜約40g/L、より好ましくは約14〜約20g/Lとすることができ、より低い濃度により、より視的に快適なインジケーターが生成される。20g/Lより高いインジゴカルミンの濃度により、溶解度の限界を更に超え、暗色のスポット又は塊等、色の均一性の欠如が観察される。
【0167】
緩衝剤は、リン酸緩衝剤及び酢酸緩衝剤を含むことができる。特有の緩衝剤には、リン酸ナトリウム緩衝剤及び酢酸ナトリウム緩衝剤があり、ピロリン酸ナトリウム緩衝剤が好ましい。ピロリン酸ナトリウム緩衝剤は、European Community Directive67/548/EECの下では有害物質と見なされていない。ピロリン酸ナトリウム緩衝剤の濃度は、約0.11M〜約0.18M、好ましくは約0.13M〜約0.17Mとすることができる。他の緩衝剤が、滅菌後に7〜9の所望のpHに到達するのに適切である可能性がある。このような栄養産物について使用される滅菌周期について、滅菌前の9.0〜10.0のpHが、所望の滅菌後pHになることが観察された。
【0168】
着色剤及び/又は増粘剤は、不溶性セルロース成分を含むことができるが、その理由は、ある程度の還元能力をも有し、且つ認可された食品添加物であるからである。好ましいセルロースは、約150〜約210g/L、より好ましくは約180g/Lに含まれる微結晶セルロースである。微結晶セルロースは、European Community Directive 67/548/EECの下では有害物質として見なされていない。最高300g/Lのセルロースのレベルを使用したが、混合物は、ペースト状の混合物になり、これにより、好ましい機器を使用する製造で問題が生じる。インジケーターを生成するのに他の製造技法を使用して、より大きな濃度が実現可能であると考慮される。
【0169】
1つ以上の還元糖等、追加の還元剤が含まれる。好ましい還元糖は、デキストロースとすることができるが、他の還元剤及び還元糖を使用することが可能である。しかし、前述の通り、好ましい実施形態においては、認可された食品添加物である還元糖が使用される。例えば、デキストロースは、浸剤液において使用される一般的な材料である。デキストロースの濃度は、インジゴカルミン濃度の機能で調整されなければならない。これは、約1g/Lと約5g/Lとの間の無水デキストロース、好ましくは約2〜約4g/L、より好ましくは約2.5〜約4g/Lの間とすることができる。より高レベルのデキストロースにより、滅菌後、結果として得られる混合物のpHは下がり、これは、インジケーターの性能に負の影響を与える。
【0170】
本発明のインジケーターの一実施形態において、インジゴカルミン混合物は、黄色を維持し、機能し続ける。即ち、40℃にて少なくとも3ヶ月保存された後、より好ましくは40℃にて最高6ヶ月保存された後、酸素に曝露される際、黄から青に変化する。更に、酸素に曝露された後、酸化形態は、40℃にて少なくとも3ヶ月、より好ましくは40℃にて最高6ヶ月、青色を保持する。
【0171】
一実施形態において、インジケーター混合物は、約14〜約20グラムのインジゴカルミンを1リットルの水に溶解させることによって作成される。水は、蒸留されるのが好ましい。混合物は又、約2.5〜約4.0グラム/Lのデキストロース及び約60グラム/L〜約75グラム/Lのピロリン酸四ナトリウムをも含む。約180グラム/Lで追加された微結晶セルロース等、カラーエンハンサーとして作用し、且つ還元能力を有する増粘剤が、混合物に含まれる。
【0172】
(実施例2)
インジゴカルミンインジケーター混合物を以下のように作成した。
【0173】
14gのインジゴカルミン、60gのピロリン酸四ナトリウム、2.75gの無水デキストロース、及び180gの微結晶セルロースを1リットルの蒸留水に追加した。
【0174】
この混合物を小さいパウチに配置し、酸素吸収剤と共に酸素バリアーオーバーパウチにおいて実装し、121℃で蒸気滅菌に曝露した。次いで、試料を還元形態で保存し、還元形態、即ちインジケーター混合物の黄色は、50℃にて112日間ほぼ酸素がない環境で保存した後でも、依然として黄であった。
【0175】
同様のパッケージを上述の通りまず還元状態に置いた後に酸素に曝露する時、混合物は、酸化形態、即ち暗い青色に変化した。混合物は、50℃にて112日保存した後も、依然として暗い青であった。
【0176】
(実施例3)
インジゴカルミンインジケーター混合物を以下のように作成した。14gのインジゴカルミン、60gのピロリン酸四ナトリウム、2.00gの無水デキストロース、及び180gの微結晶セルロースを1リットルの蒸留水に追加した。結果は、上記の実施例2で認められた結果と同様であった。
【0177】
(実施例4)
数ヶ月の保存中に青色又は酸化形態の退色動態を判定するために、14g/Lのインジゴカルミン溶液を作成した。インジケーターは、14gのインジゴカルミン、60gのピロリン酸四ナトリウム、2.5gの無水デキストロース、及び180gのセルロースを1リットルの蒸留水で混合することにより作成した。
【0178】
公称容量50mLの空のバッグにこの14g/Lのインジケーター配合物を充填し、酸素吸収剤と共にオーバーパウチし、滅菌した。滅菌中、インジケーター混合物の色は、青色(酸化形態)から黄色(還元形態)に変化する。
【0179】
次いで、オーバーパウチに孔を開け、指示混合物の周囲条件下における大気酸素との反応を可能にした。これにより、指示混合物の色は、再び青色(酸化形態)になる。針付きの注射器を使用して、1.0mLの指示混合物を容器の投薬ポートを介して引き出した。このアリコートを50mLの水で希釈し、濾過又は遠心分離によってセルロースを除去した。最後に、200μlの溶液をポリスチレン微量滴定プレートのウェルに分注し、610nmで、即ち酸化形態のインジゴカルミンのピーク光学濃度における最大波長において、吸光度を記録した。350〜750nmで測定した光学濃度(O.D.)のグラフを図13に示す。
【0180】
次いで、試験ユニットを25℃、30℃、及び40℃にて保存した。ある時間間隔で試料を数回取り入れ、分光測定を実施した。以下の表は、結果を示す。
【0181】
【表25−1】

【0182】
【表25−2】

これらのデータは、図14に示される指数曲線に当てはまる。
【0183】
最大130日まで報告された値は、酸化色が3つの温度で3ヶ月後に許容可能であり、酸化された青色の6ヶ月の安定性は、3つの保存温度において到達される可能性が最も高いことを示す。
【0184】
(実施例5)
インジゴカルミン混合物を以下のように作成した。
【0185】
20gのインジゴカルミン、75gのピロリン酸ナトリウム、4.0gの無水デキストロース、及び180gの微結晶セルロースを1リットルの水に追加した。この混合物を、酸素バリアーオーバーパウチにおいて酸素吸収剤と共に実装した小さいパウチに配置して、121℃で蒸気滅菌に曝露した。次いで、試料を還元形態で保存し、還元形態、即ちインジケーター混合物の黄色は、50℃にて112日間ほぼ酸素がない環境において保存した後、依然として黄であった。
【0186】
同様のパッケージを上述の通りまず還元状態に置いた後に酸素に曝露する時、混合物は、酸化形態、即ち暗い青色に変化した。混合物は、50℃にて112日保存した後、依然として暗い青であった。
【0187】
14g/Lのインジゴカルミンを有する配合物に関して記述されたのと同じ方式で、この指示混合物(20g/L)の酸化形態について分光写真分析を実施し、結果を以下の表に示す。
【0188】
【表26】

結果を図15にグラフでも示す。
【0189】
吸光度のデータによれば、この20g/Lの配合物は、124日後に酸化色の退色を示さなかったが、これは、幾らかの水の損失と関連して吸光度の値が4A.U.に近づく際の検出器の飽和による可能性がある。試料を10倍に希釈した時、吸光度のわずかな減少傾向が40℃にて観察されるが、再び、結果は、40℃における酸化された青色の6ヶ月の安定性にこの配合物で到達することを示す。
【0190】
(実施例6)
次いで、インジケーターを使用する製品の望ましい製品寿命にわたってインジケーターが機能することを示すために、長期安定性試験を実施した。インジケーターの安定性及び色の劣化を測定するために、2リットルの14g/Lのインジゴカルミンインジケーター及び20g/Lのインジゴカルミンインジケーター配合物を作成した。120gのピロリン酸ナトリウムを2,000mLの水に溶解させることによって、14g/L配合物を作成した。この溶液に28gのインジゴカルミンを追加し、続いて5gの無水デキストロースを追加した。インジゴカルミンの溶解を最大にするために溶液を数分撹拌した。次いで、360gのセルロースを追加した。pHを測定したが、調整しなかった。pHは9.4を超えるべきである。150gのピロリン酸ナトリウムを2,000mLの水に溶解させることによって、20g/L配合物を作成した。この溶液に、40gのインジゴカルミンを追加し、続いて8gの無水デキストロースを追加した。インジゴカルミンの溶解を最大にするために溶液を数分間撹拌した。次いで、360gのセルロースを追加した。pHを測定したが、調整しなかった。pHは9.4を超えるべきである。
【0191】
多数の小さいパウチを生成し、その半分を約0.2mLの14g/Lインジケーター配合物で充填し、あとの半分を20g/Lのインジケーター配合物で充填した。次いで、これらのインジケーターパウチを、水のマルチチャンバーバッグを含む個別のオーバーパウチに配置した。インジケーターが酸化形態(青色)から還元形態(黄色)に変化するかを判定するために、14g/Lのインジケーターを含むオーバーパウチの半分を、短時間熱滅菌手順を使用して、具体的には121℃にて27分曝露することによって熱滅菌し、インジケーターが酸化形態(青色)から還元形態(黄色)に変化するかを判定した。一方、14g/Lインジケーターの他の半分を、長時間熱滅菌手順を使用して、具体的には122℃にて+42分曝露することによって熱滅菌し、還元色及び酸化色の両方の安定性を試験した。同じことを20g/Lインジケーターを含むオーバーパウチにても実施した。
【0192】
ピンホールを創出するために21Gの針を使用してオーバーパウチを穿孔することによって、試料の半分又は各ロットを酸素に曝露した。その後、これらの曝露された試料における全てのこれらのインジケーターは青に変わった。
【0193】
全試料を分割し、温度と湿度が調節された部屋に保存した。部屋の1つを25℃、40%相対湿度に維持し、第2部屋を30℃、35%相対湿度に維持し、第3部屋を40℃、25%相対湿度に維持した。温度について±2℃及び相対湿度について±5%の許容差で、これらの部屋をこれらの条件にて維持した。40℃にて維持した試料を0ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月に試験し、25℃及び30℃の部屋の試料を各保存条件について0ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月で試験した。試料を視覚的に検査し、各期間及び各温度について、Pantone(登録商標)フォーミュラガイド−コーティングされた固体(第2版2004)により最も近いPantone(登録商標)基準で分類した。各試験期間において、各チャンバーの曝露されたロット及び曝露されていないロットから、保存試料のサブセットを選択した。曝露されたロットからのインジケーターを調査して、インジケーターが青色を表示することによって酸素の存在を依然として示すかを判定した。曝露されていない試料を、インジケーターが酸素の欠如を依然として示すかを判定するためにまず調査し、次いでオーバーパウチを21G針で穿孔して、酸素がオーバーパウチ製品に流れ込むことを可能にし、酸素の存在を示すのに十分な色の変化についてインジケーターを観察した。
【0194】
まとめると、40℃及び6ヶ月において、酸素インジケーターの全ての試料が所望通りに機能した。曝露された全ての試料が、酸素の存在を示すのに十分な青色を表示し続けた。曝露されていない全ての試料が、酸素の欠如を示す黄色を表示した。オーバーパウチを穿孔した時、全てのその段階で曝露された曝露されていない試料は、酸素の存在を示すのに十分な青色に変化した。6ヶ月後、40℃における試験を終了した。
【0195】
同様の結果が、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月の間隔で25℃及び30℃に維持された試料に見られた。曝露された試料は、酸素の存在を示す色を表示し続け、曝露されていない試料は、酸素の欠如を示す色を表示し続けた。次いで、針でオーバーパウチを穿孔することによって曝露されていない試料を酸素に曝露させた時、試料は、67時間以内に酸素の存在を示すように色を変化させた。
【0196】
結果を図16、17及び18に示し、これらは、酸素単位の還元色を示し、試験された保存条件の何れかの下でも6ヶ月の保存後にさほど変化しなかった。
【0197】
滅菌後、滅菌周期当たり配合物につき2ユニット(全部で8ユニット)を、光ボックスを使用して25℃にて30日間TL管(管昼光)で2,000ルクスの一定照明に曝露した。Pantone(登録商標)基準を図20に示し、これは、配合物が光曝露によって退色しなかったことを示す。
【0198】
21G針を使用して、照明されたユニットを含む全てのユニットのオーバーパウチにおいて、ピンホールを穿孔した。全てのユニットは、穿孔後1〜67時間以内に青になった。最も近いPantone(登録商標)基準を各温度及び各期間において推定し、各温度及び各期間についての結果を図20、21、22に示す。これは、酸素ユニットの酸化色が、試験された保存条件の何れかの下でも6ヶ月の保存後に非常にさほど変化しなかったことを示す。
【0199】
以上から、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、数多くの変更及び改変が行われる場合があることが認められるであろう。又、本明細書に例示する特定の装置に関する限定が意図されることはなく、限定が推測されるべきでもないことが理解されるであろう。当然ながら、本発明の適用範囲内に含まれる改変全ては、添付の特許請求の範囲により網羅されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】図1は、本発明の300mL容器の一実施形態の平面図である。
【図2】図2は、図1の容器の断面図である。
【図3】図3は、複数のチャンバーを有する容器の全てのシールを開放する一般的な丸め方法を示す図である。
【図4】図4は、剥離シールを活性化させた後の図1の容器の平面図である。
【図5】図5は、本発明の500mL容器の一実施形態の平面図である。
【図6】図6は、本発明の1,000mL容器の一実施形態の平面図である。
【図7】図7は、本発明の容器の別の実施形態の平面図である。
【図8】図8は、本発明の容器の別の実施形態の平面図である。
【図9】図9は、本発明の容器の別の実施形態の平面図である。
【図10】図10は、本発明の容器を構築するために使用されるフレキシブルフィルム材料の一実施形態の断面図である。
【図11】図11は、本発明のオーバーパウチを構築するために使用されるフレキシブルフィルム材料の一実施形態の断面図である。
【図12】図12は、3種類の温度条件にて保存されている酸素インジケーターの第1及び第2実施形態の経時的な吸光度単位を表すグラフである。
【図13】図13は、本発明の酸素インジケーターの一実施形態の光学濃度のグラフである。
【図14】図14は、指数曲線にフィッティングさせた本発明の酸素インジケーターの一実施形態の経時的な吸光度単位を表すグラフである。
【図15】図15は、3種類の温度条件にて保存されている本発明の酸素インジケーターの一実施形態の経時的な吸光度単位を表すグラフである。
【図16】図16は、25℃/40%RHにて保存され、Pantone(登録商標)基準によって分類された本発明の酸素インジケーターの試料の還元形態の色を示す図である。
【図17】図17は、30℃/35%RHにて保存され、Pantone(登録商標)基準によって分類された本発明の酸素インジケーターの試料の還元形態の色を示す図である。
【図18】図18は、40℃/25%RHにて保存され、Pantone(登録商標)基準によって分類された本発明の酸素インジケーターの試料の還元形態の色を示す図である。
【図19】図19は、25℃にて30日間昼光管で2,000ルクスを照明した後であり、Pantone(登録商標)基準によって分類された本発明の酸素インジケーターの試料の還元形態の色を示す図である。
【図20】25℃/40%RHにて保存され、Pantone(登録商標)基準によって分類された本発明の酸素インジケーターの試料の酸化形態の色を示す図である。
【図21】30℃/35%RHにて保存され、Pantone(登録商標)基準によって分類された本発明の酸素インジケーターの試料の酸化形態の色を示す図である。
【図22】40℃/25%RHにて保存され、Pantone(登録商標)基準によって分類された本発明の酸素インジケーターの試料の酸化形態の色を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用容器における酸素の存在を検出するための酸素インジケーターであって、該酸素インジケーターは、
a)6g/Lより多く、60g/L未満のインジゴカルミン、
b)約9.0〜約9.75の範囲にpHを調整するための緩衝剤、
c)セルロース、
d)還元剤、
e)水、および
f)該酸素インジケーターの還元形態の色とは異なる、該酸素インジケーターの酸化形態の色、
を含み、オートクレーブによる滅菌後に、該還元形態の色は、該酸化形態の色とは異なっており、かつ該酸化形態の色は、40℃で少なくとも6ヶ月間、該還元形態の色から異なったままである、
酸素インジケーター。
【請求項2】
前記インジゴカルミンは、約10g/L〜約40g/Lで存在し、前記緩衝剤はリン酸緩衝剤であり、そして前記還元剤は還元糖である、請求項1に記載の酸素インジケーター。
【請求項3】
前記インジゴカルミンは、約14g/L〜約20g/Lで存在し、前記緩衝剤はピロリン酸四ナトリウムであり、そして前記還元剤はデキストロースである、請求項2に記載の酸素インジケーター。
【請求項4】
さらにセルロースを含み、前記ピロリン酸四ナトリウムは約50g/L〜約80g/Lで存在し、そしてデキストロースは約1g/L〜約5g/Lで存在する、請求項3に記載の酸素インジケーター。
【請求項5】
前記ピロリン酸四ナトリウムは約60g/L〜約75g/Lで存在し、前記デキストロースは約2.5g/L〜約4g/Lで存在し、そして前記セルロースは、約180g/Lで存在する水不溶性セルロースである、請求項4に記載の酸素インジケーター。
【請求項6】
前記酸素インジケーターのある量を収容する酸素透過性のパケットをさらに含み、該酸素インジケーターは約14g/Lのインジゴカルミン、約60g/Lのピロリン酸四ナトリウム、約2.5g/Lのデキストロース、約180g/Lの水不溶性セルロース及び水を含む、請求項5に記載の酸素インジケーター。
【請求項7】
前記酸素インジケーターのある量を収容する酸素透過性のパケットをさらに含み、該酸素インジケーターは約20g/Lのインジゴカルミン、約75g/Lのピロリン酸四ナトリウム、約4g/Lのデキストロース、約180g/Lの水不溶性セルロース及び水を含む、請求項5に記載の酸素インジケーター。
【請求項8】
前記酸素透過性パケットは多数チャンバーを分離する脆弱バリアーを有する多数チャンバー容器に接着され、各チャンバーは流体が制限されている患者のための栄養配合物の構成要素を収容し、該構成要素のうちの1つはシステインを含む、請求項7に記載の酸素インジケーター。
【請求項9】
医療用容器における酸素の存在を検出するための酸素指示パケットであって、
a)酸素インジケーターであって、
i)酸化された色は還元色とは異なる、酸化色及び還元色;
ii)約6g/Lよりも大きく、約40g/L未満の、インジゴカルミン;
iii)緩衝剤;
iv)還元剤;
v)セルロース;及び
vi)水、
を含み、オートクレーブによる滅菌後、該還元色は実質的に視覚的に変化しないままであり、該酸化色は40℃で少なくとも6ヶ月後に実質的に視覚的に変化しないままである、酸素指示パケット。
【請求項10】
前記インジゴカルミンは、約9g/L〜約30g/Lで存在し、前記緩衝剤はリン酸緩衝剤であり、前記還元剤は還元糖であり、そして前記結合剤はセルロースである、請求項9に記載の酸素指示パケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2009−503549(P2009−503549A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525142(P2008−525142)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030051
【国際公開番号】WO2007/016611
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】