説明

医療用酸素濃縮器

【課題】 小型で軽いPSA式医療用酸素濃縮器を提供する。
【解決手段】 PSA式医療用酸素濃縮器において、製品タンク9の出口に酸素ガスの酸素濃度を検出する濃度検出手段16を接続し、その出力信号を制御部B18に伝えると共に、指示部17で指示した1分間当りの流量値(純酸素)と、該酸素ガス中に含まれる酸素の濃度とを比較演算して、この酸素ガス中の酸素の量が前記の指示部で指示した値(処方値)と実質的に同等量となる1分間当りの流量値になるような制御信号を供給弁21へ出力する。さらに、呼吸センサー22によってこの制御信号が断続して呼吸同調式の酸素濃縮器となるように構成することで一層小型化できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】 在宅酸素療法に使用する圧力変動吸着型の酸素濃縮器の改良に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】 在宅酸素療法に使用する酸素濃縮器は空気を原料にして、その中に含まれる酸素(約21%)を濃縮して使用するものである。その方法は酸素を選択的に透過する膜を使用する膜型の酸素濃縮器と、窒素を選択的に吸着する吸着剤を用いてこれを充填した吸着筒に原料である空気を加圧して加えて窒素を吸着分離除去する圧力変動吸着型(PSA方式)の酸素濃縮器がある。前者の酸素濃縮器で濃縮される酸素濃度は約40%で後者が約90%であり現在では主に後者が用いられる。本発明は後者の改良に関するものである。在宅酸素療法を行っている患者はそのほとんどが一生酸素濃縮器を手放すことなく、暮らさなくてはならない人々である。そのためベッドに寝たきりの生活ではなく外出,旅行,買物等を行い、その生活の質〔クオリティオブライフ(QOL)〕を上げる事が重要である。従来、この場合、ボンベに充填した酸素を使用している。しかし、そのガス量は有限なものであり数時間の使用で空になるため度々の充填が必要である。このため多くの人の手助けが必要となるので、外出や旅行にも簡単には出られないのが現実である。このため小型の携帯型医療用酸素濃縮器に対する要求が強いが今まで実用になる携帯型が出来なかった。それには次のような理由が上げられる。
1.消費電力が大きい(1)バッテリーに大きい容量が必要となり、大きく重くなる。
(2)自動車のシガーライター部より取出せる電力容量以上になる。
(3)バッテリーでの使用時間が短い。(行動範囲が制限される。)
2.重く,大きい(1)バッテリーが重い。
(2)濃縮器が大きい。
3.騒音が大きい騒音については携帯型は装置を防音BOXに入れる等、その可搬性,小型,軽量を損なう方法は採用できないので発音量の少ない部品、特に空気圧縮器の騒音の低い種類を使用する必要がある。本発明では小型,軽量化を図る点で酸素濃縮器の小型化に重要な低消費電力化に重点を置いた。通常、在宅医療用として一般的に使用されている装置の消費電力は250W〜500W/Hである。普通自動車用のバッテリーは12Vでその容量は通常55AHのものが使用され、その重さは15kg〜18kgである。その使用効率80%としても前記酸素濃縮器が250Wであれば、約2時間程しか連続して使用できない。更にこのようなバッテリーのみで15〜18kgもあるものは携帯型としては大きすぎる。このことからみても実用化できる小型軽量を進めるためには低消費電力化が如何に重要であるかが判る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 小型,軽量のPSA式医療用酸素濃縮器を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】 酸素濃縮効率の向上を図る手段のひとつにPSA方式において使用する吸着剤にリチウム等を用いた高分離効率のものを用いることがある。この技術ももちろん使用するが、この事は公知であり、記述は省略する。ガス濃縮技術により混合ガス中の一成分を濃縮する場合、濃縮したその製品ガスの量を増加していくと一定値以上になると、取出量の増加に伴ってガス濃度が低下してくる。在宅酸素療法に使用する医療用の酸素濃縮器の場合は90%以上の安定した濃度のガスを使用しており、患者は通常そのガスを1L/分又は2L/分と医師の処方する流量を連続的に流しながら吸入している。
【0005】 その使用流量範囲(処方範囲)では医師の処方の上からガスの濃度が一定値で変動しない範囲が医療用酸素濃縮器として使われてきた。そして濃度が変化し、下がってくると医師の処方値を満足しなくなるので、装置に濃度検出手段をつけてその酸素ガスの濃度が一定値以下になると警報を出すようにISO000−8359等に決められるようになった。一般に82%以下になると警報を出すようになっている。またガス濃縮技術としては取出ガスの濃度をいかようにも設定した装置を設計し、製作する事は可能である。濃度がD1 で1分間に発生する流量がQ1 の装置Aと濃度がD1 より低いD2 であって発生流量がQ2 である装置BのそのA,B各々の純酸素量の等しい装置の場合、すなわち、D1 ×Q1 =D2 ×Q2 となるような2つの装置を製作した場合、原料ガスの量はD2 ×Q2 のガスを製造するBの方が少なくて良いという重要なことが判った。言いかえると、こちらの方が原料ガスから取出せる収率が高いということである。すなわち、流量の増加が濃度低下による全体の純酸素の低下分より大きいのでこの収率の高い範囲を使用すること、更に加えて今まで使用されなかった濃度の低下する流量範囲まで有効に使用できるようにすることができる。
【0006】 在宅医療法において患者への酸素ガスを供給する供給手段としてはカニューラが使用される。これは濃縮された酸素ガスを鼻孔に挿入された2本のホースから医師が処方したガス量を吐出させながら患者は該ホースの周囲より外気(空気)とともに吸入し、外気と濃縮した酸素ガスが混じり合って肺内に於いて患者に適した酸素濃度のガス量になり、肺胞より体内に取り入れられるようになっている。すなわち、医師の処方する流量は薬用純酸素かもしくは濃度が90%以上で常に一定濃度のガスであるという前提の処方流量であった。このため膜式酸素濃縮器の場合はその能力から制約されて濃度が40%で一定値である条件の下での処方であったが、PSA式の酸素濃縮器においては、90%以下という濃度の低い濃縮ガスを使用することは考えられないことであった。患者には濃縮器から入る濃縮ガス中の純酸素の量が重要である。すなわち濃度D1 と流量Q1 の積である純酸素の量であるD1 ×Q1 が医師の処方値として重要となる。
【0007】 故に医師の処方値、例えば1L/分又は2L/分等の値が判れば、その中に含まれる純酸素量が決まるので濃度が90%以下の濃縮ガスであってもその濃度を濃度検出手段で測定し濃度D2 が判れば0.9×Q1 =D2×Q2 の式により濃度D2 のガスの流量Q2 を決めることが出来るので、その流量を患者に供給すれば、医師の処方値を満たすことになる。
【0008】 空気中の酸素を濃縮する酸素濃縮手段と濃縮した酸素ガスの濃度を検出する濃度検出手段16と濃縮した該酸素ガスを患者に供給する流量を制御する流量制御弁10と患者への処方流量を指示する指示部17と該流量制御弁への出力を制御する制御部A18′を有する医療用酸素濃縮器において、該濃度検出手段の信号により、該指示部で指示する純酸素量に相当する酸素ガスの量となるよう該制御部Aで計算し、該酸素ガスの流量を流すのに必要な信号を該流量制御弁10に出力するようにした医療用酸素濃縮器を提供するものである。
【0009】 小型軽量化する手段として患者の呼吸サイクルの吸気相のみに同調して供給し、あるいは吸気相の一部のみに酸素ガスを供給することによって、呼気相の期間に無駄に散逸することを無くする方法があり特開昭59−8972号公報や特開平1−221170号公報により提案されている。これをPSA法による酸素濃縮器と組合せたものが特公昭62−54023号公報に開示されている。呼吸の吸気,呼気を弁別するセンサーとして呼気,吸気で生ずる圧力差を検出する方法が米国特許第4462398号に開示されており、呼気,吸気の温度差すなわち呼気は体内で体温とほぼ等しい温度に温められた呼気と外気を吸い込む吸気の温度差を検出する方法が特開昭59−8972号公報に開示されている。
【0010】 小型携帯型とするためには呼吸に同調させ、吸気時にのみ酸素ガスを吹送し、呼気時には無駄な散逸をやめることが有効である。すなわち本発明の別の実施例として前記の流量制御弁にかえて呼吸に同調させて吸気に開とする供給弁の開になる時間長を制御することによりQ2 の量を変えるものである。すなわち、前述の実施例では流れる量を制御するようにし、今度は流れる時間を制御してQ2 を制御し、濃縮した酸素ガス中に含まれる純酸素の量を医師の処方に合わせようとするものである。
【0011】 すなわち、空気中の酸素を濃縮する酸素濃縮手段と、濃縮した酸素ガスの濃度を検出する濃度検出手段16と濃縮した該酸素ガスを患者に供給する供給手段と該供給手段により患者に濃縮した酸素ガスを供給する段階で、患者の呼吸の呼気と吸気を弁別するための呼吸センサー22と、濃縮した該酸素ガスを患者に間歇的に供給するための供給弁21と患者への処方流量を指示する指示部17と制御部B18とで構成する医療用酸素濃縮器において、該制御部Bは該呼吸センサーの出力信号と該濃度検出手段の信号と該指示部の信号により、呼気,吸気を弁別し、吸気の始めに同調させて、該供給弁21を開とし、該濃度と指示部で指示した処方流量とにより算出される純酸素量に相当する酸素ガスの量となるひと吸気分の酸素量を与える一定時間長を該供給弁に出力するようにした医療用酸素濃縮器を提供することができる。
【0012】 これ等の呼気時に使用(消費)する酸素ガス量の無駄を省く技術に加えて酸素濃縮効率の向上を図ることが空気圧縮器のより小型化を図ることとなり重量,寸法の他に消費電力の低下、バッテリーの小型化につながり、装置全体の小型化に大きな効果を与える。更に酸素濃縮器の濃度も指示部で指定する流量範囲において90%以上の一定濃度にする必要はなく、原料ガスが少なくて良い40%以上(95〜40%)の濃度の酸素収率の良いところで設計することが出来るし、言いかえれば吐出する酸素ガスの流量の増加に伴ってその濃度低下(変動)が生ずる範囲でも使用できる。
【0013】 指示部の指示値の範囲において酸素濃縮手段において濃縮する酸素ガスの濃度が95%から40%(VOL%)の範囲である医療用酸素濃縮器が提供できることになる。詳述すると吸着筒の入口側にアルミナを次にゼオライトを吸着剤として2層に充填した2本の吸着筒と、製品タンクと空気圧縮器と、2個の3方電磁弁で構成し、それぞれの吸着筒の入口端に該3方電磁弁のコモン側を接続し、同じくそれぞれの該3方電磁弁の一方の口を該空気圧縮器の吐出口へ接続し、該3方電磁弁のそれぞれの他方の口をサイレンサーを介して大気に開放するようにし、該2つの吸着筒のそれぞれの出口端をオリフィスを介して導管にて製品タンク9に接続し、該製品タンクより製品ガスをオリフィス8″を介して取り出すようにした酸素濃縮手段と、該酸素濃縮手段の酸素取出口の手前に酸素ガスの吐出を制御する供給弁21を介して患者に供給する供給手段19を接続し、該供給弁の上流側に酸素ガスの濃度検出手段16を接続し、該供給弁21と供給手段19の間に患者の呼吸の呼気と吸気を弁別する呼吸センサー22を接続し、これらセンサー等の出力信号を得て、供給弁等の出力を制御する制御部B18を有する医療用酸素濃縮器において、本装置の使用流量範囲における酸素濃縮手段で発生する酸素ガスの酸素濃度が95〜40%(VOL%)の範囲であって、患者の呼吸を呼吸センサーにより吸気を検出し、吸気の始めに該供給弁を一定時間開にして濃縮した酸素ガスをパルス状に供給するとき、その濃度によりその開にする時間長を1呼吸内に吐出する酸素ガスの量が指示部で指示する純酸素に相当する所定量になるよう制御するものである。しかし、装置の性能劣化や故障が生じ酸素濃度が一定値以下に性能が低下した場合は患者に処方酸素量を出せないので警報を出して修理を依頼する必要がある。1つの濃度検出手段による濃度検出値により、医療用酸素濃縮器のガス供給量を決定する第1の機能とともに酸素ガスの濃度が一定値以下に下がったときに警報を発生する第2の機能との2つの機能を兼務させることができる。
【0014】
【実施例】 本発明の1実施例を図1のフローシートにより説明する。吸着筒3,4の入口端14,14′にアルミナ13,13′を入れ次にゼオライト12,12′を吸着剤として2層に充填した2本の吸着筒と、製品タンク9と空気圧縮器2と、2個の3方電磁弁5,6とで構成し、それぞれの吸着筒3,4の入口端14,14′に3方電磁弁5及び6のコモン側を接続し、該3方電磁弁の一方の口を該空気圧縮器2の吐出口へ接続し、該3方電磁弁の他方の口をサイレンサー7を介して大気に開放し、該2つの吸着筒3,4の出口端15,15′をオリフィス8,8′を介して導管にて製品タンク9に接続し、該空気圧縮器2は大気を吸入フィルター1より取込み、0.5kgf/cm2 G〜1.5kgf/cm2 Gに圧縮し、吸着筒3,4に3方電磁弁5,6を交互に切替えて導入し、空気中の水分を入口側の吸着剤アルミナ13又は13′に吸着させて除去し、乾いた空気中の窒素ガス(約300ppm〜400ppmあり)をゼオライト12,12′で吸着除去する。
【0015】 いま3方電磁弁5を空気圧縮器2と吸着筒3の入口端14に切替えて圧縮空気を導入しているとすると、吸着筒3の出口端15より窒素ガスが除去された製品ガスが得られオリフィス8を通って製品タンク9に入ってくる。その間、他方の吸着筒4は電磁弁6が吸着筒4の入口端14′とサイレンサー7側と導通するよう切替わっており、吸着筒4は大気圧状態にあり、製品タンク9よりオリフィス8′を通してパージガスが流入し、水分や炭酸ガス,窒素ガスなどの強吸着性ガスを脱着して吸着剤を再生している。脱着ガスはサイレンサー7を通して大気に放出される。吸着筒3が強吸着性ガスの吸着がほぼ吸着飽和直前で加圧吸着工程が終了する頃、吸着筒4の脱着再生も同時に終了するので均圧工程に入る。これは3方電磁弁5は空気圧縮器2の吐出口と吸着筒3の入口端14との導通を維持したまま吸着筒4の3方電磁弁6を吸着筒4の入口端14′を空気圧縮器2の吐出口に切替える。吸着筒4の圧力は大気圧状態であり、吸着筒3内の加圧状態の圧力ガスが電磁弁5,6 を通って吸着筒4に流入する。勿論、空気圧縮器2の吐出口からの加圧空気も圧力の低い吸着筒4の方に流れて吸着筒3,4は均圧化される。その間、0.4〜2秒程である。
【0016】 均圧工程が終わると3方電磁弁5は吸着筒の入口端14とサイレンサー7側に切替え脱着再生工程に入る。脱着再生工程に入ると、アルミナに主に吸着している水分,ゼオライトに吸着している水分の一部,炭酸ガス,窒素ガス等が脱着し、吸着剤が再生される。その再生を促すのが製品タンク9よりオリフィス8を通り流入してくるパージガスとしての製品ガスである。
【0017】 このように加圧工程,均圧工程,脱着再生工程を繰り返しながら、製品ガスを分離精製する。この実施例の場合、加圧工程の1.2kgf/cm2 G,流量2L/分で酸素ガス濃度70%の製品ガスが得られている。酸素濃縮手段20によって製品タンク9に得られた製品ガス(酸素ガス)をその出口で濃度検出手段16に接続して濃度を検出し、その信号を制御部B18に接続し、更にこの製品ガスを供給弁21を介して取出口11に接続された患者への供給手段であるカニューラ19へ接続し、供給する患者の呼吸を呼吸センサー22で検出(この場合は呼気,吸気の圧力変化)するよう呼吸センサー22が供給弁21の下流に接続されている。
【0018】 カニューラ19で患者が酸素ガスを吸入すると呼吸センサー22でこれを検出し、その信号を制御部B18に伝えこの制御部Bは吸気の始めに供給弁21を開にし、制御部B18に接続されている指示部17で指示される医師の処方流量をこの制御部Bが受取って濃度検出手段16の出力信号でその濃度D1 を得て1呼吸で吐出すべきD1 1 を出力して該供給弁が開になる時間を計算し、供給弁21に出力する。通常、人の呼吸回数は1分間に15回であるが、患者の場合、30回/分くらいになることもある。そして人の呼気の期間と吸気の期間の比は通常2:1である。吸気期間は2/3秒以下で酸素濃度が規定範囲の最低であっても所定の酸素量(指示値)が得られるような流量Qを供給するよう設計しておく。流れるガスの量は配管の径とガスの圧力によって変わるので、これ等を実務上一定値に定めた後、上記一定時間の供給弁の開が必要となる。すなわち安定的に指定値の量が供給されるためには製品タンクから供給弁の間に圧力を一定にする定圧弁を入れるが、供給弁の上流側の圧力を圧力センサーにより検出し、圧力と流量に関する公知関係式があるので、これを用いて制御部B内のCPUで計算して、上記定圧弁を省いてこれにかえる方法であってもよい。
【0019】 図2に別の実施例のフローシートを示す。なお、この図において図1と類似機能及び部品には同じ符号を付した。図2における酸素濃縮手段20は図1R>1の同機能と同じであるので記述を省略する。酸素濃縮手段20によって製品タンク9に得られた酸素ガスをその出口で濃度検出手段16に接続して、濃度を検出してその信号を制御部18′に接続し、更に該製品ガスを流量制御弁10を介して該酸素ガスの取出口11に接続された患者への供給手段であるカニューラ19へ接続し、供給する。
【0020】 酸素濃縮手段20は従来の医療用酸素濃縮器のように90%以上の濃度をその使用流量(指示部で指定できる流量の範囲)範囲で保持する機能は必要なく、原料空気からの収率の高い濃度の低い70%程度で良く、更に流量の増大(指示範囲内)に伴い、該濃度の低下、例えば65%〜50%等、その低下があってもその濃度を濃度検出手段16によって検出し、その濃度D2 の出力信号を制御部18′に与え、この制御部18′に接続されている指示部17によって90%の濃度で必要とする流量Q1 の値(これは通常医師が処方する値)で示される純酸素量に等しい、すなわち90%×Q1 =D2 ×Q2 の流量値になるよう制御部18′内のCPUで計算し、その流量値Q2 が流れる信号を流量制御弁10に出力し、該流量が患者に供給手段19を通じて供給されるようにするものである。
【0021】 尚、電気信号により指定の流量に制御し供給するためには通常マスフローコントローラと称される流量制御弁が使われる。更にオリフィスとニードルで構成し、ニードルの制御を電気的に行う等の手法が使用できるし、更に別の手段であってもよい。尚、実際に医療用に使用するものは騒音の低いものが要求されるので、騒音の源である空気圧縮器の騒音の低いものを使用することが重要であり、通常はロッキングピストン式のものが多いが、スクロール型,電磁弁ピストン方式(リニヤーコンプレッサー)のものが騒音が低いので好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例のフローシートである。
【図2】 別の実施例のフローシートである。
【符号の説明】
1 吸入フィルタ
2 空気圧縮器
3,4 吸着筒
5,6 三方電磁弁
7 サイレンサー
8,8′,8″ オリフィス
9 製品タンク
10 流量制御弁
11 取出口
12,12′ ゼオライト
13,13′ アルミナ
14,14′ 入口端
15,15′ 出口端
16 濃度検出手段
17 指示部
18 制御部B
18′ 制御部A
19 カニューラ
20 酸素濃縮手段
21 供給弁
22 呼吸センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気中の酸素を濃縮する酸素濃縮手段と、濃縮した酸素ガスの濃度を検出する濃度検出手段(16)と濃縮した該酸素ガスを患者に供給する流量を制御する流量制御弁(10)と患者への処方流量を指示する指示部(17)と該流量制御弁への出力を制御する制御部A(18′)を有する医療用酸素濃縮器において、該濃度検出手段の信号により、該指示部で指示する純酸素量に相当する酸素ガスの量となるよう該制御部Aで計算し、該酸素ガスの流量を決め、必要な信号を該流量制御弁に出力するようにした医療用酸素濃縮器。
【請求項2】 空気中の酸素を濃縮する酸素濃縮手段と、濃縮した酸素ガスの濃度を検出する濃度検出手段(16)と濃縮した該酸素ガスを患者に供給する供給手段と該供給手段により患者に濃縮した酸素ガスを供給する段階で、患者の呼吸の呼気と吸気を弁別するための呼吸センサー(22)と、濃縮した該酸素ガスを患者に間歇的に供給するための供給弁(21)と患者への処方流量を指示する指示部と制御部B(18)とで構成する医療用酸素濃縮器において、該制御部Bは該呼吸センサーの出力信号と該濃度検出手段の信号と該指示部の信号により呼気,吸気を弁別し、吸気の始めに同調させて、該供給弁を開とし、該濃度と指示部で指示した処方流量とにより、純酸素量に相当する酸素ガスの量となるひと吸気分の酸素量を与える一定時間長を該供給弁に出力するようにした医療用酸素濃縮器。
【請求項3】 指示部の指示値の範囲において酸素濃縮手段において濃縮する酸素ガスの濃度が95〜40%(VOL%)の範囲である請求項1及び請求項2記載の医療用酸素濃縮器。
【請求項4】 濃縮した酸素ガスの濃度検出手段によって濃度検出値による医療用酸素濃縮器の酸素ガスの供給量を決定するとともに、その酸素ガスの濃度が一定値以下に下がったときに警報を発生するようにした請求項1及び請求項2記載の医療用酸素濃縮器。
【請求項5】 酸素濃縮手段が圧力変動吸着方式である請求項1及び請求項2記載の医療用酸素濃縮器。
【請求項6】 吸着筒の入口側にアルミナを次にゼオライトを吸着剤として2層に充填した2本の吸着筒と、製品タンクと空気圧縮器と、2個の3方電磁弁で構成し、それぞれの吸着筒の入口端に該3方電磁弁のコモン側を接続し、同じくそれぞれの該3方電磁弁の一方の口を該空気圧縮器の吐出口へ接続し、該3方電磁弁のそれぞれの他方の口をサイレンサーを介して大気に開放するようにし、該2つの吸着筒のそれぞれの出口端をオリフィスを介して導管にて製品タンク(9)に接続し、該製品タンクより製品ガスをオリフィス(8″)を介して取り出すようにした酸素濃縮手段と、該酸素濃縮手段の酸素取出口の手前に酸素ガスの吐出を制御する供給弁(21)を介して患者に供給する供給手段を接続し、該供給弁の上流側に酸素ガスの濃度検出手段(10)を接続し、該供給弁と供給手段の間に患者の呼吸の呼気と吸気を弁別する呼吸センサー(22)を接続し、これらセンサー等の出力信号を得て、供給弁等の出力を制御する制御部B(18)を有する医療用酸素濃縮器において、本装置の使用流量範囲における酸素濃縮手段で発生する酸素ガスの酸素濃度が95〜40%(VOL%)の範囲であって、患者の呼吸を呼吸センサーにより吸気を検出し、吸気の始めに該供給弁を一定時間開にして濃縮した酸素ガスをパルス状に供給するとき、その濃度によりその開にする時間長を1呼吸内に吐出する酸素ガスの量が医師の処方する純酸素量に相当する所定量になるよう制御することを特徴とする医療用酸素濃縮器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2000−37458(P2000−37458A)
【公開日】平成12年2月8日(2000.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−222375
【出願日】平成10年7月21日(1998.7.21)
【出願人】(000180069)山陽電子工業株式会社 (21)
【Fターム(参考)】