説明

医療画像処理装置、方法、及びプログラム

【課題】非造影断層画像から精度良く対象部位を抽出して、3次元表示する。
【解決手段】3次元画像生成部20で、造影剤を用いずに対象部位を含む身体を撮影した複数の非造影断層画像を積層して3次元画像を生成する。処理領域設定部22で、3次元画像から骨領域を抽出し、所定枚数毎の骨領域にMIPを適用した骨領域投影画像に基づいて、処理領域を設定する。画素値補正部24で、処理領域内の画素値のヒストグラムから、先見情報に基づいて対象部位を示す画素値の範囲WIDEを設定し、WIDE内の画素値を、高輝度側へシフトさせると共に、補正後の画素値の範囲が拡大するような透過関数を適用して補正する。ラベリング処理部26で、対象部位を示す補正後の画素値を有する画素を連結した領域毎にラベリングし、画素数最大となるラベルが付与された領域を、対象部位を示す領域として抽出し、表示制御部28で、抽出した領域を3次元表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像処理装置、方法、及びプログラムに係り、特に、造影剤を用いずに撮影された非造影画像から対象部位を抽出する医療画像処理装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場においては、X線CT(Computed Tomography)画像、MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像等に代表される医療画像を用いた医療画像診断技術が導入されている。
【0003】
現在、これらの医療画像から対象部位を抽出するために、MRIやCTなどの撮影機器に応じて撮影時に高い反応性を示す造影剤を予め対象部位に注入し、画像上に対象部位が明瞭に写るようにすることが行われている。また、このような造影画像から対象部位を精度良く抽出するための画像処理が提案されている。
【0004】
例えば、原画像の画素値から投影像の各画素への投影線近傍に位置する複数の画素値を取り出し、これら取り出された各画素値よりスプライン関数による補間計算によって投影像の各画素位置に投影されるべき画素値を補間し、その同一画素位置に投影されるべき画素値として求めた値のうちの最大値を選ぶ画像投影装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、ユーザにより指定された指定点群を含む曲面を生成し、その曲面に対して陰面処理を行って得た描画対象領域に対して厚みTを設定し、関心領域を確定し、この関心領域に対してMIP処理を行う関心領域指定方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
また、被写体を撮影して得た三次元医用画像を構成する第1のボクセルデータを用いて心臓の各位置における機能を表した機能画像を生成し、被写体を撮影して得た三次元医用画像を構成する第2のボクセルデータのうち心臓の心筋外壁に沿う血管を含む領域のボクセルデータを用いて、血管の形態を描画した形態画像を生成し、機能画像の心臓の各位置と形態画像の心臓の各位置とを対応させて、機能画像と形態画像とを重ねて表示する心機能表示装置が提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
また、心機能の評価指標データを表す三次元機能画像から心腔領域を抽出し、心腔の機能を表す心機能ブルズアイ画像を生成し、心臓および冠動脈の構造を表す三次元形態画像から、冠動脈像データを抽出するとともに、抽出された冠動脈像データを含む冠動脈閉曲面を算出し、抽出された冠動脈像データから冠動脈像ブルズアイ画像を生成するとともに、冠動脈閉曲面に基づいて、心腔領域の境界面から冠動脈閉曲面までの距離を算出する診断支援装置が提案されている(特許文献4参照)。
【0008】
また、観察対象の厚さを含んだ領域のボリュームデータに対して、最大値法あるいは平均値法などの描画方法を決定し、表示面となる任意面を作成し、任意面に対応する画像領域を作成し、この画像領域上の各ピクセル毎に対応する任意面上の位置(例えばxy座標)を求め、任意面11上の位置(x,y)における厚さdを計算する画像処理方法が提案されている(特許文献5参照)。
【0009】
また、3次元画像データを投影してMIP画像等を得る場合に、3次元空間の3軸x,y,zのうち実在する画像データの密度が最も低いz軸方向についてはBスプラインを用いて補間する画像処理装置が提案されている(特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平05−207990号公報
【特許文献2】特開2006−187531号公報
【特許文献3】特開2008−253753号公報
【特許文献4】特開2010−246776号公報
【特許文献5】特開2006−263078号公報
【特許文献6】特開2004−173847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1〜6の技術は、造影剤を用いて撮影された造影画像を対象としており、造影剤を用いずに撮影された非造影画像では、対象部位のコントラストが低いため、適用するのが困難である、という問題がある。
【0012】
また、医療画像の撮影に造影剤を使用する場合には、被撮影者である患者に悪影響を及ぼす場合がある、という問題がある。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、非造影断層画像から精度良く対象部位を抽出して、3次元表示することができる医療画像処理装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の医療画像処理装置は、造影剤を用いずに対象部位を含む身体を撮影した複数の非造影断層画像を積層して3次元画像を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された3次元画像から画素値が所定値以上の領域を骨領域として抽出し、前記複数の非造影断層画像内の連続する所定枚数に対応する前記骨領域を積層方向に投影した際に投影線上で最大となる画素値により構成される骨領域投影画像に基づいて、前記所定枚数毎に前記対象部位を含む処理領域を設定する設定手段と、前記3次元画像において前記設定手段により設定された処理領域内の画素値の分布、及び予め求めた対象部位と画素値の分布との関係に基づいて、前記対象部位を示す画素値の所定範囲を設定し、該所定範囲に含まれる画素値をシフトさせると共に、該所定範囲の幅が拡大するように補正する補正手段と、前記補正手段により画素値が補正された前記3次元画像において、前記対象部位を示す補正後の画素値を有する画素を連結した領域であって、該領域内の画素数が最大となる領域を抽出する対象部位抽出手段と、前記対象部位抽出手段により抽出された領域が3次元画像として表示されるように表示手段を制御する表示制御手段と、を含んで構成されている。
【0015】
本発明の医療画像処理装置によれば、生成手段が、造影剤を用いずに対象部位を含む身体を撮影した複数の非造影断層画像を積層して3次元画像を生成する。そして、設定手段が、生成手段により生成された3次元画像から画素値が所定値以上の領域を骨領域として抽出し、複数の非造影断層画像内の連続する所定枚数に対応する骨領域を積層方向に投影した際に投影線上で最大となる画素値により構成される骨領域投影画像に基づいて、所定枚数毎に対象部位を含む処理領域を設定する。非造影断層画像において、骨領域は臓器や筋肉を示す領域と比較して画素値が高く、明確に識別することができる。このような骨領域を利用して、処理領域を設定するものである。また、複数の非造影断層画像内の連続する所定枚数毎に処理領域を設定するため、人体構造に沿った処理領域を設定することができる。
【0016】
そして、補正手段が、3次元画像において設定手段により設定された領域内の画素値の分布、及び予め求めた対象部位と画素値の分布との関係に基づいて、対象部位を示す画素値の所定範囲を設定し、その所定範囲に含まれる画素値をシフトさせると共に、所定範囲の幅が拡大するように補正する。予め求めた対象部位と画素値の分布との関係、すなわち先見情報に基づいて、3次元画像から得られた画素値の分布のどの範囲が対象部位を示す画素値かを判定することができる。その範囲の画素値をシフト及び範囲を拡大することにより、周辺画素との差別化を図るものである。
【0017】
そして、対象部位抽出手段が、補正手段により画素値が補正された3次元画像において、対象部位を示す補正後の画素値を有する画素を連結した領域であって、その領域内の画素数が最大となる領域を抽出する。対象部位を示す領域はある程度の大きさを持っており、領域が小さい場合、すなわち画素数の少ない領域は、陰影の影響等により抽出された誤差やノイズ等に相当する領域であり、対象部位を示す領域ではないと判定することができる。そして、表示制御手段が、対象部位抽出手段により抽出された領域が3次元画像として表示されるように表示手段を制御する。
【0018】
このように、骨領域に基づいて処理領域を設定し、処理領域内の対象部位を示す画素値をシフト及び範囲を拡大するように補正し、対象部位を示す補正後の画素値を有する画素を連結した領域で画素数最大の領域を対象部位を示す領域として抽出するため、非造影断層画像から精度良く対象部位を抽出して、3次元表示することができる。
【0019】
また、前記設定手段は、前記骨領域投影画像において骨領域を示す画素が離散的な箇所を、スプライン曲線により補間することができる。複数の非造影断層画像内の連続する所定枚数に対応する骨領域投影画像では、所定枚数が少ない場合に骨領域を示す画素が離散的になる可能性もあるが、スプライン曲線により補間することで、精度良く処理領域を設定することができる。
【0020】
また、前記補正手段は、造影剤を用いて対象部位を含む身体を撮影した複数の造影断層画像に基づく3次元画像の画素値の分布と、前記複数の非造影断層画像に基づく3次元画像の画素値の分布との比較により予め求めた前記関係に基づいて、前記対象部位を示す画素値の所定範囲を設定することができる。このような先見情報を用いることで、精度良く対象部位を示す画素値の所定範囲を設定することができる。
【0021】
また、本発明の医療画像処理装置は、前記3次元画像から、領域拡張法により拡張された領域を抽出し、該拡張された領域に含まれる画素の画素値を、該拡張された領域と背景との最短距離を示す距離値に変換し、該距離値に基づいて、前記拡張された領域を該領域のくびれ箇所で分離し、分離された領域毎のサイズ及び形状の少なくとも一方に基づいて、前記対象部位とは異なる他部位を示す領域を抽出する他部位抽出手段を含んで構成することができ、前記表示制御手段は、前記対象部位抽出手段により抽出された領域と、前記他部位抽出手段により抽出された領域との差分領域が3次元画像として表示されるように表示手段を制御することができる。これにより、対象部位と他部位とが密接した領域として抽出された場合でも、他部位を除去して精度良く対象部位を抽出することができる。
【0022】
また、本発明の医療画像処理方法は、造影剤を用いずに対象部位を含む身体を撮影した複数の非造影断層画像を積層して3次元画像を生成し、生成された3次元画像から画素値が所定値以上の領域を骨領域として抽出し、前記複数の非造影断層画像内の連続する所定枚数に対応する前記骨領域を積層方向に投影した際に投影線上で最大となる画素値により構成される骨領域投影画像に基づいて、前記所定枚数毎に前記対象部位を含む処理領域を設定し、前記3次元画像において設定された処理領域内の画素値の分布、及び予め求めた対象部位と画素値の分布との関係に基づいて、前記対象部位を示す画素値の所定範囲を設定し、該所定範囲に含まれる画素値をシフトさせると共に、該所定範囲の幅が拡大するように補正し、画素値が補正された前記3次元画像において、前記対象部位を示す補正後の画素値を有する画素を連結した領域であって、該領域内の画素数が最大となる領域を抽出し、抽出された領域が3次元画像として表示されるように表示手段を制御する方法である。
【0023】
また、本発明の医療画像処理プログラムは、コンピュータを、上記の医療画像処理装置を構成する各手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の医療画像処理装置、方法、及びプログラムによれば、骨領域に基づいて処理領域を設定し、処理領域内の対象部位を示す画素値をシフト及び範囲を拡大するように補正し、対象部位を示す補正後の画素値を有する画素を連結した領域で画素数最大の領域を対象部位を示す領域として抽出するため、非造影断層画像から精度良く対象部位を抽出して、3次元表示することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施の形態に係る医療画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】画素値補正部の処理を説明するための図である。
【図3】ラベリング処理を説明するための図である。
【図4】連結性の判定基準である近傍数の一例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態における医療画像処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図6】3次元画像の生成を説明するための図である。
【図7】処理領域設定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】骨領域の3次元画像を示す図である。
【図9】骨領域投影画像を示す図である。
【図10】骨領域投影画像のスプライン補間を説明するための図である。
【図11】処理領域の設定を示す図である。
【図12】画素値補正処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図13】解析用の画素値のヒストグラムを示す図である。
【図14】画素値のヒストグラムにおける変曲点の算出を説明するための図である。
【図15】補正対象の画素値を定める処理幅WIDEの設定を説明するための図である。
【図16】画素値補正処理の処理結果の一例を示す図である。
【図17】ラベリング処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図18】ラベリング処理の対象となる画素値の設定を説明するための図である。
【図19】ラベル値別画素数ヒストグラムを示す図である。
【図20】ラベリング処理後の領域からの対象部位を示す領域の抽出を説明するための図である。
【図21】第1の実施の形態に係る医療画像処理装置の処理結果の一例を示す図である。
【図22】第1の実施の形態に係る医療画像処理装置の処理結果の一例を示す図である。
【図23】第1の実施の形態に係る医療画像処理装置の処理結果の一例を示す図である。
【図24】第2の実施の形態に係る医療画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図25】第2の実施の形態における医療画像処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図26】他部位除去処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図27】領域拡張法を説明するための図である。
【図28】領域拡張法を説明するための図である。
【図29】くびれ箇所による領域の分割を説明するための図である。
【図30】第2の実施の形態に係る医療画像処理装置の処理結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、胸部及び腹部の血管を対象部位として抽出して3次元表示するための医療画像処理装置に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0027】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る医療画像処理装置10は、医療画像から抽出された対象部位を3次元表示するための画像処理を行うコンピュータ12と、画像処理結果を表示するための表示装置14とを備えている。
【0028】
コンピュータ12は、CPU、ROM、RAM、及びHDDを備え、HDDには、後述する医療画像処理ルーチンに対するプログラムが記憶されている。このコンピュータ12は、機能的には、3次元画像生成部20と、処理領域設定部22と、画素値補正部24と、ラベリング処理部26と、表示制御部28とを含んだ構成で表すことができる。
【0029】
3次元画像生成部20は、CTやMRIなどの医療画像撮影装置において、造影剤を使用することなく対象部位を含む人体の部位(ここでは胸部及び腹部)を所定間隔毎に断層撮影した複数の非造影断層画像を、断層方向と直交する方向に積層することにより3次元画像を生成する。
【0030】
処理領域設定部22は、3次元画像生成部20で生成された3次元画像から画素値が所定値以上の領域を骨領域として抽出する。また、3次元画像を生成する際に積層した複数の非造影断層画像内の連続する所定枚数に対応する骨領域の3次元画像にMIP(MaximumIntensityProjection)を適用して得られる骨領域投影画像に基づいて、非造影断層画像の所定枚数毎に処理領域を設定する。処理領域とは、後述する画素値補正処理及びラベリング処理の対象となる領域である。ここでの処理領域設定は、胸部及び腹部の筋肉や脂肪などの領域を臓器領域から分離することを目的としている。内部臓器と筋肉とは画像中において非常に近い画素値によって構成されるため、画素値情報を基とした分離が非常に難しい。よってここでは、脊椎、肋骨、胸骨による環状構造の外に存在する画素は脂肪や筋肉を構成するもので、本実施の形態での対象部位である血管は含まれていないという臨床的特性に基づいて、処理領域の設定を行うものである。なお、3次元画像に対して、任意方向からの投影線上の最大値を画素値とする処理をMIPといい、従来では主に造影血管の可視化に用いられ、最大値を持たない画素は抽出されない。
【0031】
画素値補正部24は、3次元画像生成部20で生成された3次元画像において、処理領域設定部22により設定された処理領域内の画素の画素値のヒストグラムを作成する。また、予め求めた対象部位と画素値のヒストグラムとの関係に基づいて、作成したヒストグラムにおいて、対象部位を示す画素値の所定範囲を設定する。その所定範囲に含まれる画素値に透過関数を適用して補正する。ここで、画素値補正部24で用いる透過関数について説明する。ここでは、抽出する対象部位である血管を示す画素とその周辺の画素との差別化を行うために、透過関数を適用した画素値の補正を行う。これは、図2に示すような画素値のヒストグラムに対して、血管を示す画素の画素値周辺のヒストグラムを変形させるような関数式を掛け合わせて画素値を補正することを表す。透過関数は、対象部位を示す画素の画素値を、高輝度側へシフトさせると共に、補正された画素値の範囲が補正前に設定された所定範囲より拡大するように定義された関数であり、この関数を適用することにより、対象部位を示す画素と周辺画素との差別化を図る。
【0032】
このような画素値の補正を行うための透過関数の概念について説明する。3次元画像INの各座標(i,j,k)における画素値を、IN(i,j,k)と表記する。ここで、画素値IN(i,j,k)についての透過関数を考えると、処理幅をWIDE、処理幅中心をCENTERとしたとき、処理幅始点α及び処理幅終点βは、下記(1)式となり、補正後の3次元画像OUT(i,j,k)は、下記(2)式となる。
【0033】
【数1】

【0034】
この処理は、処理幅WIDEの大きさ、及び処理幅中心CENTERの設定に依存する。WIDE及びCENTERの設定は、画素値のヒストグラムにおいて、対象部位を示す画素値がどの範囲に表れるかという先見情報に基づいて定める。この先見情報は、例えば、同一の対象部位を、造影剤を使用して撮影した造影画像と、造影剤を使用しないで撮影した非造影画像とを用いて、造影画像から得られる画素値のヒストグラムと、非造影画像から得られる画素値のヒストグラムとの差分から得ることができる。
【0035】
本実施の形態では、後述する画素値補正処理において、上記のような画素値の補正を行う範囲(WIDE)を自動的に設定する。
【0036】
ラベリング処理部26は、画素値補正部24により画素値が補正された3次元画像において、対象部位を示す補正後の画素値を有する画素を連結した領域毎にラベルを付与する(ラベリング処理)。ラベル毎の領域内の画素数が最大となる領域を、対象部位を示す領域として抽出する。ラベリング処理とは、画像内で独立した構造体に対してグループ属性を持たせるための処理であり、単一画像内に複数の構造体が存在する場合に、各々が持つ領域を識別するための処理である。領域毎のラベリング処理及びグループ属性のイメージを図3に示す。図3上図において、網掛けした画素が対象部位を示す補正後の画素値を有する画素である。そして図3下図に示すように、この網掛けした画素が連結している領域毎に異なるラベルが付与される。なお、図3では、説明の簡単のため、2次元画像でラベリング処理を示しているが、本実施の形態では、3次元画像に対してラベリング処理を行う。3次元画像に対するラベリング処理では、例えば、図4に示すような連結性の判定基準が用いられる。図4の例では、縦横上下方向のみを考えた6近傍処理、3次元の軸毎の平面の連結性を重視した18近傍処理、及び対角方向を含む全方向の連結性を重視した26近傍処理を示している。特に、18近傍処理では斜め方向に連続した画素に対しても同値のラベルを付加されるのに対して、6近傍処理では斜め方向の連続画素には異なるラベルが付加されるように、連結判定を行う近傍数は、ラベリング処理において重要である。連結判定の近傍数の増加に伴い演算量も増加するため、ラベルを付加したい対象部位の形状に応じて、使用する連結判定の種類を選択するとよい。本実施の形態では、18近傍処理と26近傍処理とで得られる結果の差が少ないことから、演算量の削減及び演算時間の短縮という観点から18近傍処理を用いる。
【0037】
表示制御部28は、抽出された対象部位を示す領域が表示装置14に3次元表示されるように制御する。
【0038】
次に、第1の実施の形態の医療画像処理装置10の作用について説明する。CTやMRIなどの医療画像撮影装置において、造影剤を使用することなく対象部位を含む人体の部位(ここでは胸部及び腹部)が所定間隔毎に断層撮影され、複数の非造影断層画像(2次元画像)が得られると、医療画像処理装置10において、図5に示す医療画像処理ルーチンが実行される。
【0039】
ステップ100で、撮影された複数の非造影断層画像を取得する。
【0040】
次に、ステップ110で、上記ステップ100で取得した複数の非造影断層画像を、図6(a)に示すように、断層方向と直交する方向に積層し、同図(b)に示すような3次元画像を生成する。
【0041】
次に、ステップ120で、処理領域設定処理を実行する。ここで、図7を参照して、処理領域設定処理ルーチンについて説明する。
【0042】
ステップ122で、上記ステップ110で生成された3次元画像において、予め定めた閾値以上の画素値の画素を骨領域として抽出する。非造影断層画像のCT値が−2000(HU)〜+2000(HU)の間で分布している場合には、110(HU)以上のCT値を持つ領域はほぼ全てが骨領域と見なすことができる。よってこの値を閾値として、図8に示すような骨領域のみを抽出した3次元画像を作成する。
【0043】
次に、ステップ124で、上記ステップ122で作成された骨領域の3次元画像に、画像積層方向からのMIPを適応する。ここでは、人体の腹部から胸部にかけての断層面積が逐次異なることを考慮して、積層方向に連続する所定枚数(例えば、5枚)の非造影断層画像に対応する骨領域の部分毎にMIPを適用する。これにより、可能な限り身体構造に近い処理領域を設定することができる。非造影断層画像の所定枚数分に対応する骨領域の3次元画像にMIPを適用すると、図9に示すような2次元画像(骨領域投影画像)が作成される。このように少ない枚数の画像に対してMIPを適用するため、同図に示すように、骨領域投影画像上で骨領域が離散的になる箇所が存在する。
【0044】
そこで、ステップ126で、上記ステップ124で作成した骨領域投影画像に対して、図10に示すように、離散的な箇所をスプライン曲線で補間する。同図において、黒丸が既知の点であり、網掛けの丸が既知の点に基づいてスプライン曲線で補間された点である。
【0045】
次に、ステップ128で、図11に示すように、補間後の骨領域投影画像の骨領域を結んだ環状構造の内部を、後述する画素値補正処理及びラベリング処理の処理領域として設定して、図5の医療画像処理ルーチンにリターンする。
【0046】
次に、ステップ140で、画素値補正処理を実行する。ここで、図12を参照して、画素値補正処理ルーチンについて説明する。
【0047】
ステップ142で、上記ステップ110で生成された3次元画像において、上記ステップ128で設定された処理領域内の画素の画素値のヒストグラムを作成する。本実施の形態のように対象部位が血管の場合には、図13に示すように、画素値のヒストグラムの最も右のピーク周辺(図中網掛け部)の画素値が、血管を示す画素の画素値に対応することが分かっている。これは、例えば、造影画像に基づく画素値のヒストグラムと、非造影画像に基づく画素値のヒストグラムとを複数の患者を撮影することにより得て、これらを比較したデータにより得られる。そこで、以下のステップでは、この範囲を自動的に抽出して、透過関数を設定する。
【0048】
次に、ステップ144で、上記ステップ142で作成した画素値のヒストグラムに対して前処理を施す。ここでの前処理とは、不要な範囲の画素値を削除すること、及びローパスフィルタを適用することである。まず、画素値0[HU]周辺の画素は、空気や寝台などの機器を映す領域であることが分かっているため、例えば、500[HU]以下の情報を削除する。削除する範囲は、対象部位に応じて適宜設定するとよい。また、ローパスフィルタは、ヒストグラム中で微少な変動を繰り返す部分(高周波成分)の除去を行い、後述する変曲点の算出を容易にするためのものである。例えば、正規化角周波数ω=0.05[rad/s]のローパスフィルタを適応することができる。
【0049】
次に、ステップ146で、上記ステップ144で前処理を施したヒストグラムから、図14に示すように、全ての変曲点(図中●印)を算出する。そして、これらの変曲点から、最右ピークを探索し、最右ピークを示す変曲点をCENTERとして設定する。また、図15に示すように、CENTERよりマイナス方向へ最初の変曲点を点P1、プラス方向へ最初の変曲点をP2とし、この2点間の所定幅(例えば、2点間の幅の1/2)を、WIDEとして設定する。所定幅は、2点間の全幅としてもよいし、2点間の1/3、3/4等としてもよく、対象部位に応じて適宜設定しておく。
【0050】
次に、ステップ148で、上記ステップ146の設定に基づいて、下記(3)式に示す透過関数を設定する。
【0051】
【数2】

【0052】
(3)式に示す透過関数は、CENTER周辺の画素値をより高輝度側へシフトさせると共に、WIDE範囲内の画素値の補正後の範囲を拡大する特性を持つ。どの程度まで高輝度化するかはRATEの値によって定まる。RATEの値を高くするほど、補正対象となった画素とその周辺画素との差別化は容易となる。その一方で、RATE=10以上の値では16bitのダイナミックレンジを越える画素値をとる可能性があるため、対象部位に応じて適切な値を予め定めておく。ここでは、例えば、RATE=1.5とすることができる。
【0053】
次に、ステップ150で、上記ステップ146で設定したWIDE範囲内の画素値を持つ画素について、上記ステップ148で設定した透過関数を用いて、画素値を補正して、図5の医療画像処理ルーチンにリターンする。
【0054】
図16に、透過関数を適用した段階での処理結果の一例を示す。同図(a)は本実施の形態の透過関数非適用の単純非造影CT画像、(b)は非造影画像に本実施の形態の透過関数を適用した結果、及び(c)はほぼ同等の部位を撮影した造影画像である。(a)と(b)とを比較した場合、大動脈、大静脈を初めとした血管部分の画素値が補正されたことにより(a)では不明瞭であった部分のコントラストが(b)では明瞭化されていることがわかる。また、腹部外縁部の筋肉や脂肪部分の画素値については、処理領域外となるため、画素値の補正が行われておらず、他領域との差別化を図りながら対象部位の画素値が補正されている。同図(b)と(c)とを比較すると、造影によってコントラストが明瞭化されている部分と同等の領域が補正対象となっていることが確認できる。
【0055】
次に、ステップ160で、ラベリング処理を実行する。ここで、図17を参照して、ラベリング処理ルーチンについて説明する。
【0056】
ステップ162で、ラベリング処理の対象となる画素値を設定する。ここでは、図18に示すように、上記ステップ150による補正後の画素値を用いて作成されたヒストグラムにおいて、新しく発生した変曲点P3をCENTERとして、上記ステップ146で設定したWIDEと同幅のWIDEを設定し、このWIDE範囲内の画素値を持つ画素をラベリング対象として設定する。なお、補正前のWIDEの開始点画素値の補正後の画素値から、補正前のWIDEの終了点画素値の補正後の画素値までを、新たなWIDEとして設定してもよい。
【0057】
次に、ステップ164で、3次元画像の処理領域内の画素であって、上記ステップ162で設定した画素値を持つ連結した画素に対して同値のラベルを付加する。連結性の判定条件は、例えば18近傍処理とすることができる。
【0058】
次に、ステップ166で、図19に示すように、同値のラベルが付与された画素の画素数を表すラベル値別画素数ヒストグラムを作成し、画素数が最大となるラベル値を選択する。同値のラベルが付与された画素数が多いということは、その領域が1つの構造体を表している確率が高く、同値のラベルが付与された画素数が少ない場合には、陰影の影響など、その領域が構造体を表しているわけではない可能性が高い。特に、本実施の形態の対象部位である血管は、上下に伸びる構造であるため、3次元的に見ると画素数が多くなる。そこで、画素数に基づいて領域を抽出するものである。
【0059】
次に、ステップ168で、上記ステップ166で選択されたラベル値が付与された領域を抽出して、図5の医療画像処理ルーチンにリターンする。
【0060】
例えば、図20(a)に示すようにラベルが付与され、ラベル1の画素数が最大であった場合には、同図(b)に示すような領域が抽出される。なお、図20では、説明の簡単のため、2次元画像で表示しているが、実際の処理は3次元画像に対して行う。このため、同図(a)において、ラベル1の領域が複数存在するように見えるが、3次元的に見るとこれらの領域はいずれかの箇所で連結されていることを表している。
【0061】
次に、ステップ180で、上記ステップ168で抽出した領域を、表示装置14に3次元表示して、処理を終了する。
【0062】
第1の実施の形態の医療画像処理層による処理結果を、図21〜23に示す。各図において(a)は本実施の形態による処理結果、及び(b)は参考として造影画像からの抽出結果を示している。(a)は画像入力から出力までを全自動的に行い、(b)の造影画像については手作業でのレタリングを交えながらの抽出作業を行い参考資料とした。この結果より心臓、並びに周辺の弓部大動脈及び腹部大動脈については、造影画像と同等の抽出が確認でき、本実施の形態の有効性が確認できた。
【0063】
以上説明したように、第1の実施の形態の医療画像処理装置によれば、骨領域に基づいて処理領域を設定し、処理領域内の対象部位を示す画素値を、高輝度側へシフトすると共に範囲を拡大するような透過関数を用いて補正し、補正後の処理領域内の画素値を用いてラベリング処理を行うことにより、対象部位を示す領域を抽出するため、非造影断層画像から精度良く対象部位を抽出して、3次元表示することができる。
【0064】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態の医療画像処理装置について、第1の実施の形態の医療画像処理装置10と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
図24に示すように、第2の実施の形態の医療画像処理装置210は、コンピュータ212と表示装置14とを備えている。コンピュータ212は、機能的には、3次元画像生成部20と、処理領域設定部22と、画素値補正部24と、ラベリング処理部26と、他部位抽出部30と、表示制御部228とを含んだ構成で表すことができる。
【0066】
図21〜23に示したように、第1の実施の形態における医療画像処理では、対象部位を精度良く抽出できているものの、対象部位とは異なる他部位もあわせて抽出されている。第2の実施の形態では、このような他部位の除去を目的とする。
【0067】
他部位抽出部30は、3次元画像生成部20で生成された3次元画像から、領域拡張法により、除去対象の他部位を示す領域を大まかに抽出し、抽出した領域の各画素の距離値に基づいて領域を分離することにより、他部位を示す領域を抽出する。
【0068】
表示制御部228は、ラベリング処理部26で抽出された領域と、他部位抽出部30で抽出された領域との差分領域をとることにより、ラベリング処理部26で抽出された領域から他部位を示す領域を除去して、対象部位を示す領域を抽出して、その領域を表示装置14に3次元表示するように制御する。
【0069】
次に、第2の実施の形態の医療画像処理装置210の作用について説明する。第2の実施の形態では、図25に示すように、第1の実施の形態における医療画像処理ルーチンに、他部位除去処理のステップ(ステップ200)を加えただけであるため、図26を参照して、他部位除去処理ルーチンについて説明する。
【0070】
ステップ202で、上記ステップ110で生成した3次元画像に対して、領域拡張法を適用して、大まかな他部位領域を抽出する。具体的には、図27(a)に示すように、3次元画像上にシードポイントを設定し、同図(b)に示すように、シードポイントを中心とした所定領域の窓(例えば、64×64画素)を設定し、窓内の画素値の平均値μ及び標準偏差σを計算する。そして、図28(a)に示すように、シードポイントから所定の拡張方向に隣接する画素(例えば、6近傍の画素)について、下記(4)式の条件を満たすか否かを判定し、条件を満たす場合には領域を拡張する。
【0071】
【数3】

【0072】
次に、同図(b)に示すように、拡張された画素について新たに探索画素として設定し、探索画素を中心とする窓を設定して処理を繰り返し、条件を満たす画素が存在しなくなった段階での拡張済みの画素群を拡張された領域として抽出する(同図(c))。なお、図27及び28は、説明の簡単のため、2次元画像で示している。
【0073】
次に、ステップ204で、上記ステップ202で抽出された大まかな他部位を示す拡張領域に含まれる各画素の画素値を、その画素と背景(抽出された拡張領域以外の領域)との最短距離を示す距離値に変換する。
【0074】
次に、ステップ206で、上記ステップ204で変換した距離値に基づいて、図29に示すように、領域のくびれ箇所で領域を分割する。異なる部位同士が密接することにより1つの拡張領域として抽出されている場合には、その密接箇所にはくびれが生じる、すなわち領域内で経路が細くなっている箇所が存在する。このくびれ箇所により分割することで、異なる部位同士を分割することができる。分割した領域毎にラベルを付与する。
【0075】
次に、ステップ208で、ラベルが付与された領域毎に、その領域の大きさ及び形状等に基づいて、その領域が除去対象の他部位を示す領域か否かを判定する。他部位ではないと判定された領域は削除して、他部位を示す領域を抽出する。
【0076】
次に、ステップ209で、上記ステップ168で抽出された領域から、上記ステップ208で抽出された領域を除去して、すなわち、ラベリング処理後の画像と他部位を抽出した画像との差分画像を生成して、図25の医療画像処理ルーチンにリターンする。
【0077】
第2の実施の形態の医療画像処理装置210による処理結果を、図30に示す。同図(a)は、ラベリング処理部26による抽出結果、(b)は第2の実施の形態における他部位除去処理後の処理結果、及び(c)は参考例としての造影画像からの抽出結果である。
【0078】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、密接する他部位と共に対象部位が抽出された場合でも、他部位と対象部位との密接箇所にくびれが生じる点を利用して、他部位を抽出して除去することができるため、より精度良く非造影断層画像から対象部位を抽出することができる。
【0079】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、胸部及び腹部内の血管を対象部位として抽出する場合について説明したが、その他の臓器や腫瘍等を対象部位としてもよい。また、上記実施の形態では、骨領域により得られる環状構造に基づいて処理領域を設定する場合について説明したが、これに限定されない。骨領域と対象部位との大まかな位置関係が既知であれば、これに基づいて処理領域を設定することができる。例えば、腕や足などでは、骨領域を中心とした所定範囲を処理領域として設定することができる。
【0080】
また、上記実施の形態では、透過関数により、WIDE範囲内の画素を高輝度側へシフトする場合について説明したが、対象部位以外の画素との差別化を図ることができればよいため、低輝度側へシフトしてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、画素値のヒストグラムにおける所定範囲の画素値を補正する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、生成した3次元画像における対象部位を示す画素の分布パターンを先見情報として求めておき、パターンが適合する箇所の画素を補正対象の画素としてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、プログラムが予め装置にインストールされている場合について説明したが、本実施の形態の医療画像処理プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供してもよいし、ネットワークを介して提供してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10、210 医療画像処理装置
12、212 コンピュータ
14 表示装置
20 3次元画像生成部
22 処理領域設定部
24 画素値補正部
26 ラベリング処理部
28、228 表示制御部
30 他部位抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤を用いずに対象部位を含む身体を撮影した複数の非造影断層画像を積層して3次元画像を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された3次元画像から画素値が所定値以上の領域を骨領域として抽出し、前記複数の非造影断層画像内の連続する所定枚数に対応する前記骨領域を積層方向に投影した際に投影線上で最大となる画素値により構成される骨領域投影画像に基づいて、前記所定枚数毎に前記対象部位を含む処理領域を設定する設定手段と、
前記3次元画像において前記設定手段により設定された処理領域内の画素値の分布、及び予め求めた対象部位と画素値の分布との関係に基づいて、前記対象部位を示す画素値の所定範囲を設定し、該所定範囲に含まれる画素値をシフトさせると共に、該所定範囲の幅が拡大するように補正する補正手段と、
前記補正手段により画素値が補正された前記3次元画像において、前記対象部位を示す補正後の画素値を有する画素を連結した領域であって、該領域内の画素数が最大となる領域を抽出する対象部位抽出手段と、
前記対象部位抽出手段により抽出された領域が3次元画像として表示されるように表示手段を制御する表示制御手段と、
を含む医療画像処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記骨領域投影画像において骨領域を示す画素が離散的な箇所を、スプライン曲線により補間する請求項1記載の医療画像処理装置。
【請求項3】
前記補正手段は、造影剤を用いて対象部位を含む身体を撮影した複数の造影断層画像に基づく3次元画像の画素値の分布と、前記複数の非造影断層画像に基づく3次元画像の画素値の分布との比較により予め求めた前記関係に基づいて、前記対象部位を示す画素値の所定範囲を設定する請求項1または請求項2記載の医療画像処理装置。
【請求項4】
前記3次元画像から、領域拡張法により拡張された領域を抽出し、該拡張された領域に含まれる画素の画素値を、該拡張された領域と背景との最短距離を示す距離値に変換し、該距離値に基づいて、前記拡張された領域を該領域のくびれ箇所で分離し、分離された領域毎のサイズ及び形状の少なくとも一方に基づいて、前記対象部位とは異なる他部位を示す領域を抽出する他部位抽出手段を含み、
前記表示制御手段は、前記対象部位抽出手段により抽出された領域と、前記他部位抽出手段により抽出された領域との差分領域が3次元画像として表示されるように表示手段を制御する
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の医療画像処理装置。
【請求項5】
造影剤を用いずに対象部位を含む身体を撮影した複数の非造影断層画像を積層して3次元画像を生成し、
生成された3次元画像から画素値が所定値以上の領域を骨領域として抽出し、前記複数の非造影断層画像内の連続する所定枚数に対応する前記骨領域を積層方向に投影した際に投影線上で最大となる画素値により構成される骨領域投影画像に基づいて、前記所定枚数毎に前記対象部位を含む処理領域を設定し、
前記3次元画像において設定された処理領域内の画素値の分布、及び予め求めた対象部位と画素値の分布との関係に基づいて、前記対象部位を示す画素値の所定範囲を設定し、該所定範囲に含まれる画素値をシフトさせると共に、該所定範囲の幅が拡大するように補正し、
画素値が補正された前記3次元画像において、前記対象部位を示す補正後の画素値を有する画素を連結した領域であって、該領域内の画素数が最大となる領域を抽出し、
抽出された領域が3次元画像として表示されるように表示手段を制御する
医療画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の医療画像処理装置を構成する各手段として機能させるための医療画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図16】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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