説明

医療画像記録装置

【課題】短時間かつ簡単な操作で有益な動画を再生することができる医療画像記録装置を提供することにある。
【解決手段】医療用の動画を取得する動画取得部と、医療用の情報を取得する情報取得部と、動画取得部及び前記情報取得部の少なくとも一方で検出される情報から特徴点を検出する特徴点検出部と、取得した動画及び情報を同期させる同期部と、動画及び情報を記憶する記憶部と、同期部により、特徴点検出部で検出した特徴点の情報と取得した動画とを同期つけて、記憶部に記憶させる制御部とを有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像及び画像の被写体に関連する情報を記録する分野に属し、詳しくは、手術画像、生体データ及び手術情報を記録し、再生する医療画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡手術(ファイバースコープ内視鏡を用いた手術や、腹腔鏡手術)では、画像を撮影し、その画像をモニタに表示させ、モニタの画像を確認しつつ行う手術がある。また、これらのカメラで撮影した画像を記録する装置としては、カメラで撮影した画像と、他の機器で取得した患者の生体データ(脈拍や血圧)とを同時に記録する装置がある。また、内視鏡で撮影した画像以外にも、手術室をカメラ等で撮影した画像を記録する装置もある。
【0003】
例えば、特許文献1には医療用撮影装置によって撮影され電子情報化された動画を編集処理する医療画像作成装置において、前記医療用撮影装置によって撮影される該動画を入力する入力手段と、前記入力手段に入力された前記動画を一時的に保存する一時記憶手段と、前記一時記憶手段に保存される動画を再生可能に表示する表示部と該表示部で表示される動画を操作する操作部と該動画から所望する静止画を抽出する抽出部と前記抽出された静止画の一覧を表示する静止画表示部とを同一画面上で表示する出力手段と、からなることを特徴とする医療画像作成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−103030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように医療画像を記録することで、医療画像と複数の情報が表示された画像を再生することが可能となる。このように、医療画像と複数の情報を記録しておくことで、研修資料、研究資料として、有効に活用することができる。
【0006】
ここで、手術は、長い場合は、1つの手術で十数時間掛かるものもある。しかしながら、1つの手術でどのタイミングで何が行われているかは、手術を見ている人間でないとわからないため、不要な部分を飛ばし、必要な部分のみを効率よく視聴することが困難である。そのため、記録した医療画像を、再生し、視聴する場合は、手術と同様の長い時間を必要とする。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、短時間かつ簡単な操作で有益な動画を再生することができる医療画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、医療用の動画を取得する動画取得部と、医療用の情報を取得する情報取得部と、前記動画取得部及び前記情報取得部の少なくとも一方で検出される情報から特徴点を検出する特徴点検出部と、取得した動画及び情報を同期させる同期部と、動画及び情報を記憶する記憶部と、前記同期部により、前記特徴点検出部で検出した特徴点の情報と前記取得した動画とを同期つけて、前記記憶部に記憶させる制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記情報取得部は、手術具の操作を検出する検出機能を備え、前記特徴点検出部は、前記情報取得部により前記手術具が操作されたことを検出したら、該操作を特徴点として検出することが好ましい。
【0010】
また、前記情報取得部は、患者の生体情報を検出する検出機能を備え、前記特徴点検出部は、前記情報取得部により検出された生体情報が予め設定された範囲から外れた値となったら特徴点として検出することが好ましい。
【0011】
また、前記動画取得部は、内視鏡により取得した画像を取得することが好ましい。
【0012】
また、前記制御部は、前記特徴点を基準として設定された時間分の前記動画及び前記情報とを抽出して前記記憶部に記憶させることが好ましい。
【0013】
さらに、操作者により入力される前記動画の再生指示を検出する入力検出部を有し、前記制御部は、前記特徴点を再生の基準とした再生指示を入力可能とし、前記入力検出部で、前記特徴点を再生の基準とした前記再生指示が入力されたことを検出したら、前記特徴点を検出した時点を基準として、前記動画取得部で取得した動画を再生することが好ましい。
【0014】
また、前記制御部は、前記入力検出部で、前記特徴点を再生の基準とした前記再生指示が入力されたことを検出したら、前記特徴点よりも予め設定された時間分前の時点からの動画を再生することが好ましい。
【0015】
さらに、表示させる画像を生成する表示制御部を有し、前記表示制御部は、前記再生指示を検出する前は、再生を開始する前の画像と、前記動画取得部で取得した画像とを含む画像を表示させることが好ましい。
【0016】
また、前記入力検出部は、前記表示制御部により生成された画像を表示する表示部への接触を検出するタッチパネルであることが好ましい。
【0017】
また、前記動画取得部は、医療用の動画を撮影する画像撮影機器と電気的に非接触な状態で接続されていることが好ましい。
【0018】
また、前記情報取得部は、医療用の情報を生成する情報生成機器と電気的に非接触な状態で接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる医療画像記録装置は、有益である可能性が高い画像の開始点を特徴点として抽出することで、操作者は、簡単な操作で、有益な画像を視聴することが可能となるという効果を奏する。また、特徴点があることで、有益な画像の探索も簡単になり、画像の探索を行う場合も短時間で有益な画像を視聴することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明にかかる医療画像記録装置を備える医療システムの一例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す医療画像記録装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、画像および情報の記録方法の一例を説明するための説明図である。
【図4】図4は、ディスプレイに表示される画像の一例を示す画面図である。
【図5】図5は、医療画像記録装置による処理の一例を示すフロー図である。
【図6】図6は、医療画像記録装置によって検出された特徴点と記録データとの関係を示す説明図である。
【図7−1】図7−1は、医療画像記録装置による処理の一例を説明するための画面図である。
【図7−2】図7−2は、医療画像記録装置による処理の一例を説明するための画面図である。
【図7−3】図7−3は、医療画像記録装置による処理の一例を説明するための画面図である。
【図8】図8は、医療画像記録装置による処理の一例を示すフロー図である。
【図9】図9は、医療画像記録装置によって記録データと抽出された記録データとの関係を示す説明図である。
【図10】図10は、医療画像記録装置による処理の他の例を示すフロー図である。
【図11】図11は、出血点の検出方法の一例を説明するための説明図である。
【図12】図12は、医療画像記録装置による処理の他の例を示すフロー図である。
【図13】図13は、医療画像記録装置によって検出された特徴点と記録データとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明にかかる医療画像記録装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。例えば、以下の実施形態では、医療画像記録装置を、内視鏡ユニットで撮影した画像を取得し、再生する装置として説明するが、取得し再生する画像の種類は限定されず、術野を撮影するカメラの画像を取得し再生してもよい。
【0022】
図1は、本発明にかかる医療画像記録装置を備える医療システムの一例の概略構成を示すブロック図である。医療システム10は、医療画像記録装置12と、ディスプレイ14と、内視鏡ユニット16と、生体モニタ18と、手術室撮影部20と、手術具22と、出力部24と、操作検出部26と、入力部28とを有する。
【0023】
医療画像記録装置12は、後述する各部から画像(動画)、生体情報、操作情報を取得し、取得した情報を記録する。また、医療画像記録装置12は、取得した情報に基づいて画像を生成し、再生する。なお、医療画像記録装置12については、後ほど詳細に説明する。
【0024】
ディスプレイ14は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)等の画像を表示させる装置であり、医療画像記録装置12で作製された画像を表示させる。
【0025】
内視鏡ユニット16は、手術を行う患者に挿入し、体内の映像を取得する装置である。内視鏡ユニット16は、患者に挿入され、先端に撮像機構が設けられた挿入部16aと、操作者(執刀者、つまり医者等)が操作する操作部16bと、挿入部16aの撮像機構により取得した画像情報を処理し、画像を生成する処理部16cとで構成されている。また、内視鏡ユニット16の内視鏡としては、挿入部がやわらかい材料で形成されたファイバースコープタイプの内視鏡以外にも、挿入部が硬い材料で形成された膀胱鏡、胸腔鏡、腹腔鏡等を用いることができる。また、内視鏡ユニット16は、医療画像記録装置12に取得した画像の情報を送る。なお、内視鏡ユニット16と医療画像記録装置12とは、電気的に絶縁されており、例えば光カプラを用いた光通信により情報の送受信を行っている。
【0026】
生体モニタ18は、患者の生体データを計測または検出し、ディスプレイに表示させる。ここで、生体モニタ18が計測または検出する生体データとしては、脈拍、心拍数、血圧、体温、脳波、血中酸素濃度、血中二酸化炭素濃度等が例示される。また、生体モニタ18は、内視鏡ユニット16と同様に、取得した生体データを医療画像記録装置12に送る。なお、生体モニタ18と医療画像記録装置12とも、電気的に絶縁されており、例えば光カプラを用いた光通信により情報の送受信を行っている。
【0027】
手術室撮影部20は、手術を行っている手術室を撮影するカメラである。手術室撮影部20は、手術室内にいる人物や、手術台、各種装置を撮影することができる。なお、手術室撮影部20は、固定式とし、同一領域の画像を撮影するようにしても、可動式とし、撮影領域を変更可能としてもよい。手術室撮影部20も、内視鏡ユニット16と同様に、医療画像記録装置12に取得した画像の情報を送る。
【0028】
手術具(手術器具)22は、電気メス、超音波メス等の手術に用いる器具である。なお、図1では、2つの手術具22を示しているが、手術具の数は限定されない。出力部24は、手術具22と接続しており、操作者の操作に基づいて手術具22を駆動させる。つまり、出力部24は、電気メスや超音波メス等の手術具22に電力を供給し、駆動させる。手術具22は、出力部24から電力を供給され、駆動されることで、患者の組織を切ったり、患者の組織を焼ききったりすることができる。
【0029】
操作検出部26は、手術具22と出力部24とを接続するコード部分に配置されており、手術具22と出力部24との間に流れる電流を検出し、手術具22が使用されているか否かを検出する。操作検出部26としては、例えば、電流が流れるコードを挟み込むだけで電流が流れているかを検出することができるクランプメータ(架線電流計)を用いることができる。なお、クランプメータは、電流が流れることでコードの周りに発生する磁界を検出することで電流の流れを検出する。操作検出部26は、検出した値を医療画像記録装置12に送る。医療画像記録装置12は、操作検出部26から送られた検出値に基づいて、手術具22が使用されたかを判定する。なお、操作検出部26は、検出した値から手術具22が使用されたかを検出し、その検出結果を医療画像記録装置12に送るようにしてもよい。
【0030】
入力部28は、操作者が医療画像記録装置12に指示を入力する入力端末である。入力部28は、操作者により入力された指示を医療画像記録装置12に送る。ここで、入力部28としては、キーボードや、マウス、フットスイッチ、また、タッチパネル等も用いることができる。入力部28としてタッチパネルを用いることで、操作者は操作を簡単に行うことができる。なお、タッチパネルは、ディスプレイの表面に配置し、ディスプレイに表示させている画面と操作者による接触位置との関係に基づいて入力指示を検出する。医療システム10は、以上のような構成である。
【0031】
次に、図2を用いて、医療画像記録装置12について説明する。図2は、図1に示す医療画像記録装置の概略構成を示すブロック図である。医療画像記録装置12は、上述したように、各部から供給された画像及びデータを記録し、再生させる装置であり、動画取得部40と、情報取得部42と、同期部44と、特徴点検出部46と、入力検出部48と、表示制御部50と、記憶部52と、送受信部54と、制御部56とを有する。
【0032】
動画取得部40は、医療システム10の各部から画像データを取得する。具体的には、内視鏡ユニット16から送られる画像データと、手術室撮影部20から送られる画像データを取得する。つまり、動画取得部40は、内視鏡ユニット16が取得した画像データを内視鏡ユニット16から取得し、手術室撮影部20が取得した画像データを手術室撮影部20から取得する。
【0033】
情報取得部42は、医療システム10の各部で取得した情報を取得する。具体的には、情報取得部42は、生体モニタ18から送られる生体データを取得する。つまり情報取得部42は、生体モニタ18が取得した生体データを生体モニタ18から取得する。また、情報取得部42は、操作検出部26で検出した値を取得し、取得した値に基づいて手術具22を操作したか否かの情報を取得する。
【0034】
同期部44は、動画取得部40で取得した画像データと、情報取得部42で取得した各種データとを同期させる。つまり、同期部44は、各画像データと各種データとの時間軸をあわせ、各画像データと各種データとを対応付ける。同期部44で、同期させることで、データの再生時に、各データの時間軸がずれることを防止できる。ここで、同期部44によって各データを同期させる方法は特に限定されず、例えば、各データにフラグデータを付加すればよい。また、一定時間ごとのデータをパケット化して記憶するようにしてもよい。同一時間のデータを1つのユニットとしてもよい。
【0035】
特徴点検出部46は、動画取得部40で取得した画像データと、情報取得部42で取得した各種データから、一定以上の変化が生じた時間を検出し、その変化が生じた時点を特徴点とする。本実施形態では、手術具22の使用を特徴点として検出する設定とし、情報取得部42で取得した情報に基づいて、手術具22が使用されたと判定された時点を特徴点として検出する。
【0036】
入力検出部48は、操作検出部26から送られる信号を検出する。つまり、入力検出部48は、操作者が操作検出部26を操作することで入力される信号を検出する。
【0037】
表示制御部50は、制御部56から送られるデータに基づいて、ディスプレイ14に表示させる画像を生成する。記憶部52は、制御部56から送られるデータを記憶させる。なお、記憶部52としては、キャッシュメモリを用いることができる。記憶部52として、キャッシュメモリを用いることで、データを短時間で読み出すことができる。なお、記憶部52として、ハードディスク等の読み出しに時間がかかるが大容量のデータを記憶できる記憶手段を用いてもよい。また、取得した動画情報を記録する(符号化する)フォーマットの一例としては、MPEG(Moving Picture Experts Group)−1、MPEG−2、MPEG−4(主に移動通信の場合、H.261(国際電気通信連合勧告の規格)などを挙げることができる。例えば、MPEG−2では、符号化された情報は適当な長さの単位のパケットであるPES(Packetized Elementary Stream)パケット(可変長)によって構成され、動画情報は、複数のPESパケットからなるストリームとして取得される。
【0038】
送受信部54は、外部のネットワークや、外部の記憶装置とデータの送受信を行う。送受信部54は、各部で生成されたデータ(再生する画像データ)や、記憶部52に記憶されているデータを外部のネットワークや、外部の記憶装置に送り、外部装置に保存させる。また、外部装置に保存されているデータを読み出す。
【0039】
制御部56は、上述した医療画像記録装置12の各部の動作を制御し、取得した画像データ及び各種データから作成した画像の再生、保存、読み出し等を行う。医療画像記録装置12は、以上のような構成である。
【0040】
次に、医療システム10及び医療画像記録装置12の動作を説明する。まず、図3を用いて、取得したデータの記録方法(記憶させる方法)について説明する。図3は、画像および情報の記録方法の一例を説明するための説明図である。ここで、図3に示す図において、「映像情報1」は、内視鏡ユニット16で取得した画像データであり、「映像情報2」は、手術室撮影部20で取得した画像データである。また、「生体情報」は、生体モニタ18で取得したデータであり、「操作情報」は、操作検出部26の信号に基づいて取得した、手術具22の操作のデータである。
【0041】
図3に示すように、「映像情報1」、「映像情報2」、「生体情報」、「操作情報」のそれぞれのデータは、上述した各部から医療画像記録装置12に送られ、各部で処理されることで、データとなる。また、同期部44により同期されることで、図3に示すように、同一の時間軸で対応付けられる。各データは、対応付けされた状態で、一定時間区分毎に切り出される。具体的には、一定時間範囲のデータが、切出部分1、切出部分2、切出部分3の3つに切り出される。なお、切り出す場合は、各切出部分は、隣接した切出部分と一部同じ時間帯のデータも切り出す。例えば、0秒から始まるデータを、20秒毎に切り出す場合は、切出部分1は0秒から20秒までのデータを切り出し、切出部分2は、18秒から38秒までのデータを切り出し、切出部分3は、36秒から56秒までのデータを切り出すようにする。これにより、切り出したデータ同士を再度繋げる場合に、一部の画像が同一データとなるため、照合しやすくなり、データを正確に繋げることができる。
【0042】
このようにして、切り出されたデータには、同一時間帯の「映像情報1」、「映像情報2」、「生体情報」、「操作情報」のデータが含まれる。例えば、切出部分1には、「映像情報1−1」、「映像情報2−1」、「生体情報−1」、「操作情報−1」が含まれ、このデータの集合体がデータユニット1として生成される。なお、このデータユニット1には、同期データ、つまり時間軸のフラグや、後述する特徴点のデータも含めるようにしてもよい。このようにして生成されたデータユニットは、記憶部52に記憶されたり、送受信部54から外部の記憶装置に記憶されたりする。また、制御部56によりデータユニットを読み出し、再生することで、ディスプレイ14に画像を再生することができる。また、複数のデータユニットを時間軸に沿って連続的に再生することで、一定時間以上再生することができる。
【0043】
次に、図4を用いて、医療画像記録装置12により作製され、ディスプレイ14に表示される画像の一例を説明する。図4は、ディスプレイに表示される画像の一例を示す画面図である。図4に示すように、ディスプレイ14の画面102には、画像104と、画像106と、グラフ108、グラフ110と、操作キー112が表示されている。なお、この画面102に表示された画像は、動画取得部40、情報取得部42、入力検出部48から取得したデータ、情報、指示に基づいて制御部56と表示制御部50により生成される。
【0044】
画像104は、内視鏡ユニット16で取得した画像であり、操作者が処理を行っている領域、つまり手術対象の臓器等がある手術野の画像(動画)が表示されている。画像106は、手術室撮影部20で取得した画像であり、手術室内の操作者や、患者、手術具等の画像(動画)が表示されている。
【0045】
グラフ108及びグラフ110は、生体モニタ18で取得した生体データである。図4に示す画面102では、グラフ108として血圧の検出結果が表示され、グラフ110として、脈拍の検出結果が表示されている。なお、画像104、画像106、グラフ108及びグラフ110に表示されている画像、データは、同期部44で同期された同一時間におけるデータである。
【0046】
次に、操作キー112は、医療画像記録装置12を操作するためのキーが表示されている。例えば、再生、停止、早送り、巻き戻し、録画開始、特徴点移動等の指示を入力するキーが表示されている。操作キー112は、入力部28による入力に基づいて、選択されているキーが確認できるように表示される。例えば、選択されているキーの表示のみ異なる色となる。このように、選択されているキーの表示を変化させることで、入力部28への入力によりどのキーが選択されている状態かを操作者が確認できる。
【0047】
医療画像記録装置12は、このように、同期した各種画像及びデータから画像を作成し、ディスプレイ14に表示させる。ここで、医療画像記録装置12は、画面102に、記憶したデータを再生させた画像以外にも、現在各部で取得したデータを表示させるようにしてもよい。つまり、リアルタイムの画像(記録の対象となる画像)を表示させるようにしてもよい。また、画面102には、操作者が特徴点の検出タイミングを認識できるように横軸を時間軸として、特徴点の検出時を表示させたグラフも表示させることが好ましい。
【0048】
次に、図5、図6を用いて、医療画像記録装置12の処理の一例を説明する。ここで、図5は、医療画像記録装置による処理の一例を示すフロー図である。また、図6は、医療画像記録装置によって検出された特徴点と記録データとの関係を示す説明図である。なお、図5に示す処理は、記録動作の一例である。
【0049】
まず、準備として、操作者が、医療画像記録装置12と、医療システム10の他の各部とを接続し、画像データ及び各種データを取得可能な状態とする。また、医療画像記録装置12と、ディスプレイ14とを接続し、医療画像記録装置12で生成した画像をディスプレイ14に表示できるようにする。その後、医療画像記録装置12を起動する。なお、準備の順序は特に限定されず、医療画像記録装置12を起動した後、各部を接続するようにしてもよい。
【0050】
準備が完了したら、医療画像記録装置12は、ステップS12として記録開始指示があるかを判定する。ここで、記録開始指示とは、操作者が入力部28を操作することで入力される指示である。医療画像記録装置12は、ステップS12で記録開始指示がない(No)と判定したら、再びステップS12の判定を行う。つまり、医療画像記録装置12は、記録開始指示があるまで、ステップS12の判定を繰り返す。
【0051】
医療画像記録装置12は、ステップS12で記録開始指示あり(Yes)と判定したら、ステップS14として、記録を開始する。つまり、各部から取得した画像、情報を同期させて、記憶部52に記憶させる。また、必要に応じて、送受信部54を介して外部の記憶装置に記憶させる。
【0052】
医療画像記録装置12は、ステップS14で記録を開始したら、ステップS16として、手術具22が使用されたかを判定する。つまり、画像、各種データの記録中に操作検出部26からの信号に基づいて手術具22の使用が検出されたかを判定する。なお、手術具22の使用は、操作検出部26により、手術具22と出力部24との間に流れる電流を検出することで、検出することができる。つまり、本実施形態では、手術具22に電流を流し、患者の対象部が切開されたり止血されたりした可能性が高い時を、手術具22が使用されたと判定する。医療画像記録装置12は、ステップS16で手術具22が使用されていない(No)と判定したら、ステップS26に進む。
【0053】
また、医療画像記録装置12は、ステップS16で手術具22が使用された(Yes)と判定したら、ステップS18として、使用直前の時点を特徴点とする。つまり、手術具22が使用されて、切開が行われたり、止血が行われたりする直前の時点を特徴点として設定する。なお、使用直前の設定は特に限定されず、どのように設定してもよい。例えば、使用されたと判定した時点の一定時間前(0.5秒前、1秒前、5秒前)を直前と設定すればよい。医療画像記録装置12は、再生時に基準(頭だしの基準)となるように、特徴点として設定した時点にフラグデータを付する。なお、特徴点を識別できればよく、フラグデータを付する以外に、同期された時間軸と対応した時間と特徴点との対応関係の表(テーブル)を作製してもよい。
【0054】
医療画像記録装置12は、ステップS18で特徴点を設定したら、また、ステップS16でNoと判定されたら、ステップS26として記録終了指示があるかを判定する。記録終了指示は、記録開始指示と同様に、操作者が入力部28を操作することで入力され、医療画像記録装置12は、この指示が入力されているか否かを判定する。また、記録終了指示とは、各部で取得した画像、データの記録を終了する指示である。
【0055】
医療画像記録装置12は、ステップS26で画像終了指示なし(No)と判定したら、ステップS16に進み、上記操作を繰り返す。つまり、医療画像記録装置12は、記録終了指示が入力されるまで、ステップS16、ステップ18の処理を繰り返す。また、医療画像記録装置12は、ステップS26で記録終了指示あり(Yes)と判定したら、ステップS28として、記録終了の処理を行い、処理を終了する。医療画像記録装置12は、以上のようにして画像(動画)と各種情報と特徴点とを同期させつつ、記録データとして記録する。
【0056】
これにより、図6に示すように、手術開始から手術終了までの記録データには、手術具(器具)を使用した時点(特徴点データ)が記録される。具体的には、記録データには、器具Aを用いた(使用した)時点、器具Bを用いた時点、器具Cを使用した時点が記録される。また、特徴点データとして、その器具が使用されたかを記憶しており、ディスプレイに表示する場合は、図6に示すように、各特徴点の検出要因が対応付けられてコメントとして表示される。なお、この検出要因は、表示させなくてもよい。
【0057】
次に、図6と図7−1から図7−3を用いて、記録した記録データの再生方法を説明する。また、図7−1から図7−3は、それぞれ医療画像記録装置による処理の一例を説明するための画面図である。
【0058】
医療画像記録装置12は、図6に示すように記録データ内に特徴点のデータが記録されており、再生時の基点として設定している。つまり、特徴点の時点が再生の頭出しの時点として設定されている。これにより、操作者は、特徴点を基点として画像を再生することができる。一例としては、操作者は、画像再生中にスキップを入力すると、次の特徴点からの画像を再生することができる。また、入力部としてマウスを備える場合は、特徴点をクリックすることで特徴点からの画像を再生することができる。
【0059】
より具体的には、まず、画像記録時に、手術具22が使用されると、図7−1に示すように、手術具22により対象部の切開(切除)を開始する直前の時点が特徴点として設定される。これにより、操作者が特徴点からの再生する指示を入力すると、図7−1に示す画面の時点から動画が再生され、対象部を切除する画像104aが表示される。その後、画像の再生を続けることで、図7−2に示すように、画像104aの時点から一定時間経過後の、対象部の切除が完了された画像104bが表示される。なお、この時、画面102の他の画像、データも画像104bの時点の画像、データが表示される。なお、医療画像記録装置12は、画像を再生させる場合、予め設定された時間分の画像を再生するようにしても、操作者により停止の指示が入力されるまで画像を再生するようにしてもよい。
【0060】
なお、再生時の画像の表示方法として、同一時間(同期された)画像を表示させることに限定されず、1つの画面に異なる時間の画像を表示させるようにしてもよい。例えば、図7−3に示すように、特徴点の時点で内視鏡ユニット16により取得した画像104aは、静止画像として表示させ、他の領域(図7−3中画像104bが表示されている部分)に内視鏡ユニット16により取得した動画、つまり特徴点以降に取得した画像を表示させるようにしてもよい。このように、異なる時間帯の画像を並列して表示させることで、画像の比較を行うことができる。
【0061】
このように、医療画像記録装置12は、特徴点を検出し、特徴点のデータを記録データの中に含めることで、特徴点を基点として画像を再生することができる。これにより、操作者が再生をスタートさせる地点(時間)を検索することなく、手術中に処理が行われている時間帯の画像(動画)を再生することができる。また、手術の中でも重要な行為である手術具の使用を検出し、手術具を使用している画像(動画)が確認できることで、操作者は、手術中に発生した問題や、技術を把握することができる。つまり、画像での確認を必要とする可能性が高い、手術具の使用時を簡単に再生できることで、操作者が求める画像を簡単に再生することができる。
【0062】
例えば、高度医療技術、特に内視鏡外科手術は、習得が困難であるため、指導者(熟練度の高い医者)が、未熟な医者(つまり、執刀医、操作者)に指導を行うことがある。このような場合に、本発明の装置を用いることで、指導者が、手術具による操作を行う直前から操作を行っている間の映像を簡単に視聴することができる。これにより、指導者は、直前の状態、処理を把握することができ、効果的、かつ短時間で問題点を把握することができ、未熟な医者を指導することが可能となる。また、逆に、指導者が執刀した手術画像を未熟な医者が視聴し研究を行う場合も、指導者が操作を行った画像部分のみを視聴することが可能となる。これにより、短時間で必要な画像を視聴することができ、短時間で手術を把握することができる。これにより、効率よく、有効な画像を視聴することが可能となる。
【0063】
また、特徴点の基点の画像を表示させつつ、動画の再生を行うことで、視聴者は、処置前の状況と処理中の映像とを比較しつつ、問題点、処理方法を解析することができる。また、特徴点の基点の画像を表示させつつ、動画の再生を行うことで、操作者は、処理対象部(患部)の変化を把握することができる。これにより、手術中に操作者が手術具(電気メスや超音波メスなど)での処理を行ったことで生じる対象部位の変化を把握することができ、処置内容、つまり切開した領域の大きさの出血の変化等を容易に確認することができる。これにより、手術をより正確に把握することができる。
【0064】
また、特徴点を自動的に抽出することで、操作者が手術中や、手術後に画像を確認しながら、コメント(どの手術具を使用したか)を挿入したり、タグ(頭だしとなる)設定を入力したりすることなく、必要なコメントや、タグ設定をすることができる。これにより、操作者の負担を軽くすることができる。なお、コメントの挿入の手間を省略できるため、医療画像記録装置は、特徴点を検出した要因(何を検出して特徴点として設定したか)を特徴点ともに記憶させることが好ましい。また、特徴点を表示させ、図6に示すように、各特徴点の検出要因(どの手術具が使用されたか)を表示させることで、手術中で使用される手術具の流れや、使用するタイミングも把握することができる。これにより、手術全体の流れも把握しやすくなる。
【0065】
なお、上記実施形態では、特徴点を基点としてデータを簡単な操作で再生できるため、特徴点からデータを頭だし再生する場合を説明したが、頭だし再生機能は必ずしも必要なく、医療画像記録装置12は、手術画像を最初から再生することもできる。この場合でも、特徴点のデータが予め取得されていることで、手術の流れを把握することができ、視聴者の操作により特徴点からのデータを再生することが可能となる。
【0066】
また、図3に示すように、複数のデータをデータユニットとし、分離して記憶させることで、記録中でも一部の画像およびデータを再生することができる。また、再生と平行して記憶も行うことができる。また、同期した同一時間軸のデータを取り出すことができるので、データの読み出しも簡単になる。なお、本実施形態のようにデータユニットで記録することで、上記種々の効果を得ることができるが、これに限定されず、データの記録方法は特に限定されない。例えば、夫々のデータを別々に記憶させるようにしてもよい。また、複数の記録装置を用意し、再生指示が入力されたら、複数の記録装置のうち1つの記録装置で画像の再生を行うようにしてもよい。
【0067】
ここで、医療画像記録装置12は、画像記録時も取得している画像をディスプレイに表示させることが好ましい。これにより、手術の状況、および、録画するデータをより正確に把握できる。なお、再生指示があった場合のみ画像を表示させるようにしてもよい。また、医療画像記録装置12は、画像記録時に取得した画像を表示させる場合は、ディスプレイ14に特徴点の画像(内視鏡ユニット16により取得した画像)を表示することが好ましい。これにより、特徴点として検出した画面を録画時に把握することができる。
【0068】
また、医療画像記録装置12は、図6に示すように、横軸を時間としたグラフ上に特徴点を表示させるようにしてもよいが、特徴点の画像をサムネール画像として表示させて、再生する特徴点の画像を選択できるようにしてもよい。このように時間軸や、このように基準に基づいて、特徴点を表示し、各時点での画像から選択することで、必要な画像、再生したい画像を短時間で選択することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、特徴点を基点として画像を再生したが、特徴点よりも予め設定された時間分前の時点から画像を再生するようにしてもよい。このように設定することで、特徴点と設定した時点を動画として確認することができる。これにより、特徴点を手術具の使用を検出した時点としても、手術具を使用する前から画像を再生することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、手術具の使用を正確かつ簡単に検出することができ、かつ、切開、止血等の処理には電気を使用する手術具が用いられることが多いため、操作検出部26を用い、電流の流れを検出したが、手術具の使用の検出方法はこれに限定されない。内視鏡ユニットや、手術室撮影部で撮影された画像に画像処理を行い、手術具の動きを検出することで、手術具の使用を検出してもよい。このように画像解析を用いる場合は、画像処理が必要となるが、電気を使わない手術具の使用も検出することができる。また、手術具の形状から、手術具を検出してもよいが、手術具にバーコード、QR(登録商標、Quick Response)コード等の識別表示を付し、その識別表示を読み取るようにしてもよい。
【0071】
また、医療画像記録装置12は、取得したデータから特徴点に関連するデータを抽出するようにしてもよい。以下、図8及び図9を用いて説明する。ここで、図8は、医療画像記録装置による処理の一例を示すフロー図であり、図9は、医療画像記録装置によって記録データと抽出された記録データとの関係を示す説明図である。なお、医療画像記録装置12は、各部から取得したデータを記憶(保存)させる際に、抽出して記憶するようにしても、一旦記憶(保存)させたデータを読み出し、一部のデータのみを抽出して記憶するようにしてもよい。
【0072】
まず、医療画像記録装置12は、図8に示すように、ステップS102として、データから特徴点を検出する。なお、このデータは、一旦記録している(記憶されている)場合は、記録データに含まれる特徴点のデータとなり、各部から取得したデータ(情報、画像)である場合は、データを解析することで検出される特徴点である。
【0073】
医療画像記録装置12は、ステップS102で特徴点を検出したら、ステップS104として、特徴点を基準として、データを抽出する。具体的には、特徴点を始点とし、設定時間分の記録データを抽出する。ここで、設定時間は、予め設定された時間であり、例えば、30秒、1分、3分等である。医療画像記録装置12は、ステップS102で検出した各特徴点について記録データの抽出を行う。なお、各部からデータを取得しながら、つまり、現在行われている手術のデータを取得しながら処理を行っている場合は、ステップS102とステップS104の処理を繰り返し行う。
【0074】
医療画像記録装置12は、ステップS104でデータを抽出したら、ステップS106として、抽出したデータを時間軸に基づいて連結(結合)する。つまり、ステップS104で抽出したデータを時間順に並べて、隣接する時間データと結合する。例えば、データを図3に示すようにデータユニットとしている場合は、時間軸にそって再生する順番を設定したフラグ等を付与する。
【0075】
医療画像記録装置12は、ステップS106でデータを連結したら、ステップS108として、連結したデータを保存する。なお、データは、記憶部52に保存しても(記憶させても)、送受信部54を介して外部の記憶装置に保存してもよい。
【0076】
医療画像記録装置12は、特徴点を基準としてデータを抽出することで、図9に示すように、特徴点を基準とした一定時間分のデータのみを抽出したデータを作成することができる。具体的には、図9中上段に示す記録データから特徴点を基準としたデータ140a、140b、140c、140dを抽出し、図9中下段に示すように連結することで、特徴点のデータのみを抽出したデータを作成することができる。なお、データ140dは、特徴点から特徴点までの時間間隔が短いため、1つのデータ区分として抽出している。
【0077】
これにより、本実施形態では、手術具を使用していない時間帯のデータは、取り除き、手術具を使用している時間帯のデータのみを抽出したデータを作成することができる。つまり、視聴者が視聴したい可能性が高い時間帯を抽出した、ダイジェスト版となるデータを作成することができる。また、このダイジェスト版となるデータを自動で作成することができる。また、このようにダイジェスト版のデータを作成することで、視聴者は、スキップ等の操作をすることなく、特徴点のデータ(映像、生体データ)のみを視聴することができ、短時間、かつ、簡単な操作で有効な資料を視聴することができる。
【0078】
なお、特徴点に基づいた抽出条件は、種々の設定とすることができ、例えば、特徴点と特徴点との時間間隔が一定以下の場合は、連続した処理として、特徴点と特徴点の間のデータは、分断することなく抽出するようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、手術具の使用を特徴点として検出したが、本発明はこれに限定されない。特徴点としては、生体データ(生体情報)も用いることができる。以下、図10を用いて、特徴点として生体データを用いる場合を説明する。ここで、図10は、医療画像記録装置による処理の他の例を示すフロー図である。なお、図10に示す処理は、特徴点の検出処理を除いて他の処理は、図5に示す処理と同様であるので、同様の処理には同一のステップの符号を付し、詳細な説明は省略し、以下、図10の処理に特有の点を重点的に説明する。
【0080】
まず、上記処理と同様の準備を行う。準備が完了したら、医療画像記録装置12は、ステップS12として記録開始指示があるかを判定する。医療画像記録装置12は、ステップS12で記録開始指示がない(No)と判定したら、再びステップS12の判定を行う。医療画像記録装置12は、ステップS12で記録開始指示あり(Yes)と判定したら、ステップS14として、記録を開始する。
【0081】
医療画像記録装置12は、ステップS14で記録を開始したら、ステップS40として、生体データに異常があるか判定する。ここで、生体データとは、上述したように、脈拍、心拍数、血圧、体温、脳波、血中酸素濃度、血中二酸化炭素濃度等である。また、生体データに異常があるか否かは、生体データの数値(検出値)が所定の範囲内にあるか否かで判定する。なお、異常であるか否かの判定は、一瞬でも所定の範囲から外れたら異常があると判定してもよいが、生体データの数値が、設定された時間以上、または、設定された回数以上、所定の範囲から外れたら、生体データが異常であると判定するようにしてもよい。医療画像記録装置12は、ステップS40で生体データが異常ではない(No)と判定したら、ステップS26に進む。
【0082】
また、医療画像記録装置12は、ステップS40で生体データが異常である(Yes)と判定したら、ステップS42として、異常と判定する直前の時点を特徴点とする。つまり、生体データが所定の範囲から外れる直前の時点を特徴点として設定する。なお、本実施形態の場合も直前の設定は特に限定されず、どのように設定してもよい。例えば、生体データが異常と判定した時点の一定時間前(0.5秒前、1秒前、5秒前)を直前と設定すればよい。なお、生体データの数値が、設定された時間以上、または、設定された回数以上、所定の範囲から外れたら、生体データが異常であると判定する場合は、最初に所定の範囲から外れた時点を特徴点としても、最初に所定の範囲から外れた時点の直前を特徴点としてもよい。医療画像記録装置12は、ステップ42で直前の時点を特徴点としたら、ステップS26に進む。なお、ステップS26以降の処理は、図5に示すフロー図の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0083】
このように、生体データに基づいて特徴点を検出するようにすることで、患者の変化が発生した時点からの画像を再生することができる。これにより、問題が発生した場合に問題の原因をより短時間に把握することができる。また、上記と同様の種々の効果を得ることができる。
【0084】
また、特徴点としては、出血を検出してもよい。以下、医療画像記録装置12による出血点の検出方法について説明する。
【0085】
医療画像記録装置12の制御部56は、内視鏡ユニット16により取得した動画情報の画像中から、検出対象となる所定の特徴を有する動き領域(動きのある領域)を検出し、この動き領域の変化量に基づいて当該動き領域の状態を判定する。ここで、「動き領域」とは、一連の動画中において面積が変化する領域、あるいは、動きのある(つまり移動する)領域である。具体的には、手術に使用する手術具、臓器、患部における出血である。本実施の形態では、これらの複数の動き領域から、患部における出血領域を特定するとともに、出血領域の状態、具体的には出血領域の面積の変化及び出血量を把握する。以下、出血の検出方法を具体的に説明する。
【0086】
まず、医療画像記録装置12の制御部56は、内視鏡ユニット16により取得した動画情報の画像として、ある時点での画像と、所定時間(予め設定されている時間)前の画像の2つの画像を取得し、取得した画像同士を比較し、画像の一致度を判定する。つまり、ある時点での画像と、所定時間前の画像とで、患者の同じ部分を撮影している領域(共通している領域)がどの程度であるかを判定する。画像の一致度が一定以上(例えば2つの画像の80%以上が一致)の場合は、患者の同じ部分を撮影していると判定して、動き判定を行う。また、画像の一致度が一定未満の場合は、撮影場面が切り替えられていると判定し動き判定を行わない。なお、画像の一致度は、画像処理で被写体の輪郭、色等を抽出して、画像全体同士を比較することで、両画像の対応する部分を検出し、その対応する部分として検出できた領域の割合から算出する
【0087】
次に、制御部56は、内視鏡ユニット16により取得した動画情報の画像から、所定の大きさ以上の動き領域をすべて検出し、これら動き領域の変化量を算出する。ここで、「動き領域の変化量」とは、動き領域の面積の変化量あるいは変化率(変化速度)である。なお、動き領域の面積の変化量は、ある時刻tにおける領域の面積と微小時間後の時刻t+Δtにおける領域の面積の差であり、動き領域の面積の変化率は、上記変化量を時間差Δtで割ることにより算出される。なお、以下の説明では、便宜上、2つの時刻における画像から面積の変化量を算出する場合について説明する比較する画像の数は限定されない。また、比較する画像の数を多くする、例えば、3つ以上の時刻における画像を用い、統計平均を用いて、動き領域の変化量を求めることで、動き領域の変化量の検出精度をより向上させることができる。
【0088】
まず、画像に映されている被写体の各領域(の大きさ)を検出する。例えば、ある時点での画像と、所定時間前の画像の2つの画像のそれぞれについて、画像を複数の画素に分解し、各画素の色度を求め、類似の色度を持つ画素からなる部分を領域として検出する。なお、領域の検出方法は、これに限定されず、画像処理により被写体の輪郭を検出し、その輪郭から、描く領域を検出するようにしてもよい。このように、各画像の被写体の領域を検出したら、ある時点での画像の領域と、所定時間前の画像の領域とを比較する。比較した結果、領域の位置(画像内における相対的な位置)が移動している、または、領域の大きさが変化している領域を動き領域として検出する。
【0089】
次に、制御部56は、検出した複数の動き領域から、出血点(出血領域)と関係のない動き領域をノイズ成分として除去する。ここで、ノイズ成分としては、例えば、手術中に用いる手術具の動きや、臓器の動き等がある。ノイズ除去処理方法は、検出したすべての動き領域について、時間の経過に伴い領域の面積が増加しない、一定時間以上面積の増加が継続しない、予め設定された血液の色度と類似していない、という3つの条件に該当するか否かを判定する。そして、これらの3つの条件のうち一つでも該当した動き領域は、ノイズと判定し、検出した動き領域から削除(除外)する。これにより、上記3つの条件すべてに該当しない場合、すなわち、時間の経過に伴い領域の面積が増加し、且つ、一定時間以上面積の増加が継続し、且つ、予め設定された血液の色度と類似するという条件を満たす動き領域のみが抽出され、抽出された動き領域が「出血点」として検出される。
【0090】
なお、ノイズ除去で、手術具の領域を除去する場合は、手術で使用する手術具の形状データを予め記憶部52に記憶しておき、上記画像処理によって検出した動き領域の形状を、記憶部52に記憶された手術具の形状と比較し、両者が一致した場合にその動き領域を削除することが好ましい。これにより、ノイズの除去をより効率的に行うことができる。また、領域の面積の増加割合、領域の面積の増加の継続時間、血液の色度の範囲は、種々の範囲とすることができ、操作者により設定することができる。なお、増加割合は大きく、継続時間は長く、色度の範囲は狭くすることで、出血点の検出条件は厳しくなり、より重大な出血のみを検出することができる。また、増加割合は小さく、継続時間は短く、色度の範囲は広くすることでより細かい出血点を検出することができる。なお、この場合は、誤検出、つまり出血していない部分を出血点として検出する可能性は高くなる。
【0091】
また、制御部56は、出血領域の面積の変化量から出血量も推定する。具体的には、制御部56は、出血領域の面積の変化率と、患部から出血する血液の単位時間あたりの流量との関係を示すデータを予め記憶しておく。そして、上述した手順で算出した出血領域の面積の変化率を、記憶したデータと比較することにより、出血量を推定する。
【0092】
また、制御部56は、出血点として検出した領域を囲うように、目印(マーク)を表示させることが好ましい。このようにマークを表示させることで出血点を認識することが可能となる。また、マークは、動画の再生時に出血が始まる前から表示させることが好ましい。
【0093】
以下、図11を用いて、検出方法と表示方法の一例を具体的に説明する。ここで、図11は、出血点の検出方法の一例を説明するための説明図である。なお、図11は、時刻T1から時刻T4までの画像を表示させており、1箇所から出血している場合を示している。まず、時刻T1の画像と時刻T2の画像とを比較すると、面積に変化がある領域が検出される。その後、時間が経過し時刻T3では、出血している部分の面積がより大きくなり、このように時刻T1から時刻T3の間、出血している領域の面積が一定時間大きくなり続けると、制御部56は、この出血している領域を出血点として検出する。制御部56は、以上のようにして出血点を検出する。また、この時、出血を最初に確認した時点(時刻T1)を出血開始時刻とし、出血点であると決定した時点(時刻T3)を出血確認時刻とする。
【0094】
また、画像再生時は、出血確認時刻より前の時刻T1からT2の間は、出血点を点線の円のマークで囲い、出血確認時刻以降のT3からT4の間は、出血点を実線の円のマークで囲う。このように、マークを表示させることで、出血点を認識しやすくすることができる。また、マークの表示方法を切り替えることで、出血確認時刻を明確に知ることができる。
【0095】
次に、図12を用いて、特徴点として出血の検出を用いる場合を説明する。ここで、図12は、医療画像記録装置による処理の他の例を示すフロー図である。なお、図12に示す処理は、特徴点の検出処理を除いて他の処理は、図5に示す処理と同様であるので、同様の処理には同一のステップの符号を付し、詳細な説明は省略し、以下、図12の処理に特有の点を重点的に説明する。
【0096】
まず、上記処理と同様の準備を行う。準備が完了したら、医療画像記録装置12は、ステップS12として記録開始指示があるかを判定する。医療画像記録装置12は、ステップS12で記録開始指示がない(No)と判定したら、再びステップS12の判定を行う。医療画像記録装置12は、ステップS12で記録開始指示あり(Yes)と判定したら、ステップS14として、記録を開始する。
【0097】
医療画像記録装置12は、ステップS14で記録を開始したら、ステップS50として、出血があるか判定する。出血があるか否かは、図11で説明したように、取得した画像の解析結果に基づいて判定する。医療画像記録装置12は、ステップS50で出血はない(No)と判定したら、ステップS26に進む。
【0098】
また、医療画像記録装置12は、ステップS50で出血がある(Yes)と判定したら、ステップS52として、出血前の時点を特徴点とする。なお、本実施形態の場合も出血前とする時点の設定は特に限定されず、どのように設定してもよい。例えば、出血と判定した時点の一定時間前(0.5秒前、1秒前、5秒前)を出血前と設定すればよい。また、出血しているか否かの判定を開始した時点(つまり、面積の比較を開始した時点)を出血前としてもよい。医療画像記録装置12は、ステップ52で出血前の時点を特徴点としたら、ステップS26に進む。なお、ステップS26以降の処理は、図5に示すフロー図の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0099】
このように、出血の発生(出血の有無)に基づいて特徴点を検出するようにすることで、患部の変化が発生した時点からの画像を再生することができる。これにより、出血(つまり、問題)が発生した場合に出血前からの画像を再生することで、出血の原因をより短時間に把握することができる。また、上記と同様の種々の効果を得ることができる。
【0100】
ここで、上記実施形態では、特徴点を手術具の使用、生体データの異常、出血の発生のいずれか1つとしたが、これらの複数の要因を特徴点として検出するようにしてもよい。つまり、手術具の使用、または、生体データの異常があったら特徴点として検出するようにしてもよいし、手術具の使用、生体データの異常、または、出血の発生があったら特徴点として検出するようにしてもよい。
【0101】
このように複数の要因を特徴点として検出することで、医療画像記録装置12は、手術中に、操作者が再生を希望する可能性のある画像(動画)の頭出し点の設定、コメントの記入をより漏れなく自動的に行うことができ、複数の特徴点から選択した特徴点を基点として再生することで、必要な画像を短時間で再生することができる。以下、図13を用いて説明する。ここで、図13は、医療画像記録装置によって検出された特徴点と記録データとの関係を示す説明図である。なお、図13は、手術具の使用、生体データの異常、または、出血の発生があったら特徴点として検出した場合である。
【0102】
種々の要因を検出したら、特徴点として検出することで、図13に示すように、手術中に複数の特徴点を検出することができる。図13は、14時(PM2時)から16時(PM4時)まで行われた手術の記録データと、特徴点データを示している。図13に示す手術では、医療画像記録装置12は、14時10分に器具(手術具)Aを用いたことを特徴点として検出し、14時40分に器具(手術具)Bを用いたことを特徴点として検出している。また、14時20分に出血をしたことを特徴点として検出している。また、15時00分に血圧が上昇したこと(つまり生体データとして血圧が所定の範囲以上となったこと)を特徴点として検出している。
【0103】
このように、複数の要因を特徴点として検出することで、手術時に各要因が発生した時点からの画像を再生することができ、問題をより簡単に把握すること、また、問題の解決方法をより簡単に把握することが可能となる。また、このように複数の要因を特徴点として検出することで、これらの特徴点の表示から、手術の流れを把握することができる。
【0104】
なお、上記実施形態では、手術具の使用、生体データの異常、出血の発生を特徴点として検出したが、本発明はこれに限定されず、患者に問題が発生する起因となり得る解析結果を特徴点とすればよい。
【0105】
また、特徴点の検出条件は、操作者によって設定できるようにすればよく、また、不要な特徴点は、操作により設定を解除できるようにしてもよい。また、特徴点の検出、設定は、記録データの記録後に行うようにしてもよい。つまり、手術中は、記録データの取得のみを行い、手術終了後、例えば処理能力に余裕があるときに解析を行い特徴点の検出を行うようにしてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、医療画像記録装置12は、医療システム10の他の機器に影響を与える可能性を少なくすることができ、他の機器を円滑に利用できるため、他の機器と電気的に絶縁した状態で、情報を取得する構成としたが、本発明はこれに限定されない。上記効果をえることはできないが、電気的に繋がった状態で接続され、例えば電気信号の送受信で情報の授受を行うようにしてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、情報としての価値、有効性をより高くすることができるため、内視鏡の画像、手術室の画像、生体情報、手術具の使用の情報を用いるようにしたが、少なくとも1つの動画と特徴点を検出できる情報とを得ることができれば、取得する画像の数と、情報の種類は、特に限定されない。また、動画から特徴点を検出できる場合は、医療画像記録装置12は、1つの動画のみを取得する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明にかかる医療画像記録装置は、医療用動画の記録、再生に有用であり、特に、手術画像を再生することに適している。
【符号の説明】
【0109】
10 医療システム
12 医療画像記録装置
14 ディスプレイ
16 内視鏡ユニット
18 生体モニタ
20 手術室撮影部
22 手術具
24 出力部
26 操作検出部
28 入力部
40 動画取得部
42 情報取得部
44 同期部
46 特徴点検出部
48 入力検出部
50 表示制御部
52 記憶部
54 送受信部
56 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用の動画を取得する動画取得部と、
医療用の情報を取得する情報取得部と、
前記動画取得部及び前記情報取得部の少なくとも一方で検出される情報から特徴点を検出する特徴点検出部と、
取得した動画及び情報を同期させる同期部と、
動画及び情報を記憶する記憶部と、
前記同期部により、前記特徴点検出部で検出した特徴点の情報と前記取得した動画とを同期つけて、前記記憶部に記憶させる制御部とを有することを特徴とする医療画像記録装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、手術具の操作を検出する検出機能を備え、
前記特徴点検出部は、前記情報取得部により前記手術具が操作されたことを検出したら、該操作を特徴点として検出することを特徴とする請求項1に記載の医療画像記録装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、患者の生体情報を検出する検出機能を備え、
前記特徴点検出部は、前記情報取得部により検出された生体情報が予め設定された範囲から外れた値となったら特徴点として検出することを特徴とする請求項1または2に記載の医療画像記録装置。
【請求項4】
前記動画取得部は、内視鏡により取得した画像を取得することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の医療画像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記特徴点を基準として設定された時間分の前記動画及び前記情報とを抽出して前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の医療画像記録装置。
【請求項6】
さらに、操作者により入力される前記動画の再生指示を検出する入力検出部を有し、
前記制御部は、前記特徴点を再生の基準とした再生指示を入力可能とし、
前記入力検出部で、前記特徴点を再生の基準とした前記再生指示が入力されたことを検出したら、前記特徴点を検出した時点を基準として、前記動画取得部で取得した動画を再生することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の医療画像記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記入力検出部で、前記特徴点を再生の基準とした前記再生指示が入力されたことを検出したら、前記特徴点よりも予め設定された時間分前の時点からの動画を再生することを特徴とする請求項6に記載の医療画像記録装置。
【請求項8】
さらに、表示させる画像を生成する表示制御部を有し、
前記表示制御部は、前記再生指示を検出する前は、再生を開始する前の画像と、前記動画取得部で取得した画像とを含む画像を表示させることを特徴とする請求項6または7に記載の医療画像記録装置。
【請求項9】
前記入力検出部は、前記表示制御部により生成された画像を表示する表示部への接触を検出するタッチパネルであることを特徴とする請求項8に記載の医療画像記録装置。
【請求項10】
前記動画取得部は、医療用の動画を撮影する画像撮影機器と電気的に非接触な状態で接続されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の医療画像記録装置。
【請求項11】
前記情報取得部は、医療用の情報を生成する情報生成機器と電気的に非接触な状態で接続されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の医療画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−36372(P2011−36372A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185949(P2009−185949)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(392022651)東北オータス株式会社 (8)
【出願人】(302048371)株式会社エクシオン (8)
【Fターム(参考)】