説明

医療監視方法

本発明は、医療監視の方法、医療監視システム及び医療監視システムを制御するプログラムに関する。監視されるデータの一層効率的な理解を可能にする改善された医療監視技術を提供するために、医療監視の方法が提案される。その方法は、多数のセンサ2により収集されるデータを用いる。センサ2が所定の配置を形成し、かつその収集されるデータが患者におけるセンサ2の位置に依存する態様で、そのセンサ2は患者に配置される。本発明によれば、その方法は、軸8,10の位置が所定の配置にあるセンサ2の位置に関連付けられ、かつ各軸8,10においてその関連付けられるセンサ2からのデータが表示されるような複数の多軸ダイアグラム6,7を用いてデータを表示するステップを有する。知られた監視技術は、多かれ少なかれ任意な方法で規定される軸上に医療データを単に表示するだけであるのに対し、本発明は、各軸8,10がデータの1つの特定の次元を表す態様で多軸ダイアグラム6,7を用いることを提案する。言い換えると、純粋な値だけでなく追加的な空間情報12,13,18が、例えば医師のようなユーザに対して表示及び提供される。この追加的な情報と共に、データの2次元更には3次元表現、及びデータの局所的な状況が与えられる。従って本発明による監視技術は、監視データのより効率的な認識を可能にする。医師は、患者の状態をより迅速かつより効率的な態様で理解し評価するため、高速なパターン認識を実行することが可能にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療監視方法、医療監視システム及び医療監視システムを制御するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者モニタは、患者の状態を観察するのに使用される。今日、こうしたモニタは、百を超える異なったパラメタを表示し、そのパラメタの1つ又は幾つかが望ましくない挙動を示す場合に、アラーム信号を発することができる。表示されるパラメタの数が多いため、医師が患者の致命的又は望ましくない状態を迅速に認識することが困難な場合がある。人間の知覚能力の限界は、例えば、処置手順(operation procedure)といった外部の医療状態から生じるストレスにより悪化し、斯かるモニタにより提供されるすべての情報を完全に認識することを妨げる。この問題を避けるため、医療データのグラフィカルな表現の分野における改良が探索されている。知られた方法は、患者の状態の迅速な理解及び評価を実現するため、意味のある態様で医療情報を表示しようと試みる。例えば、米国特許第3,811,040号において一つの方法が開示され、そこでは、等角度に間隔を空けられたベクトルが表示され、そのベクトルが心拍、血圧その他の生理学的なパラメタにそれぞれ対応し、そのベクトルの終端はディスプレイ画面において等高線を形成するよう接続される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、監視データの一層効率的な理解を可能にする改良された監視技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は、多数のセンサにより収集されるデータを用いて医療監視を行う本発明による方法により達成される。センサが所定の配置を形成し、かつその収集されるデータが患者におけるセンサの位置に依存する態様で、そのセンサは患者に配置される。その方法は、軸の位置が所定の配置にあるセンサの位置に関連付けられ、かつ各軸においてその関連付けられるセンサからのデータが表示されるような多数の多軸ダイアグラムを用いてデータを表示するステップを有する。表示されるデータは、例えば、電位といったセンサから直接得られるデータ、又はそれらに基づく計算から得られるデータを含むことができる。従って、「表示する」という用語は、例えば医療モニタといったディスプレイ画面の使用、プリントを生成するプリンタの使用などを含む。
【0005】
本発明の目的は、医療監視システムによっても達成される。そのシステムは、センサが所定の配置を形成する態様で、患者に配置されることができる多数のセンサを有する。そのセンサは、患者におけるセンサの位置に基づき、データを収集するよう構成される。そのシステムは更に、軸の位置が所定の配置にあるセンサの位置に関連付けられ、かつ各軸においてその関連付けられるセンサからのデータが表示されるような多数の多軸ダイアグラムを用いてデータを表示するデバイスを有する。
【0006】
本発明の目的は、コンピュータで実行されるとき、医療監視システムを制御するよう構成されるコンピュータ命令を有するコンピュータプログラムによっても達成される。そのコンピュータプログラムは、ダイアグラムにおける軸の位置が所定の配置にあるセンサの位置に関連付けられ、かつ各軸においてその関連付けられるセンサからのデータが表示されるような多数の多軸ダイアグラムを用いてデータを表示するコンピュータ命令を有する。こうして、本発明による必要な技術的効果は、本発明によるコンピュータプログラムの命令に基づき実現されることができる。斯かるコンピュータプログラムは、例えばCD-ROMのような担体に格納されることができるか、又はインターネット若しくは別のコンピュータネットワークを介して利用可能にされることができる。実行に先立ち、例えばCD-ROMプレイヤを用いて担体から又はインターネットからコンピュータプログラムを読み出し、それをコンピュータのメモリに格納することにより、コンピュータプログラムがコンピュータにロードされる。コンピュータは、特に中央処理ユニット(CPU)、バスシステム、RAM又はROM等のメモリ手段、フロッピディスク又はハードディスクユニットといった格納手段、及び入力/出力ユニットを含む。
【0007】
本発明の核となるアイデアは、その空間的な状態でデータを高速に検出することを可能にする態様でデータを提示することにある。このため、データは、そのデータが得られるセンサの空間的な位置を考慮して表示される。
【0008】
知られた監視技術は、多かれ少なかれ任意な方法で規定される軸上に医療データを単に表示するだけであるのに対し、本発明は、各軸がデータの特定の空間方向を表す態様で多軸ダイアグラムを用いることを提案する。言い換えると、純粋な値だけでなく追加的な空間情報が、例えば医師のようなユーザに対して表示及び提供される。この追加的な情報と共に、データの2次元更には3次元表現、及びデータの局所的な状況(localization)が与えられる。従って本発明による監視技術は、監視データのより効率的な認識を可能にする。医師は、患者の状態をより迅速かつより効率的な態様で理解し評価するため、高速なパターン認識を実行することが可能にされる。
【0009】
本発明のこれら及び他の側面は、従属項に規定される以下の実施形態に基づき、更に説明されることになる。
【0010】
本発明は、多数のセンサにより収集されるデータを用いるいかなる医療監視技術に対しても使用されることができる。そのセンサは、センサが所定の配置を形成し、かつ収集されるデータが患者におけるセンサの位置に依存する態様で患者に配置される。本発明の好ましい実施形態においては、本発明は心電図(ECG)で採用される。従って、センサはECG電極であり、収集されるデータはECGデータである。例えば、3つの「Einthoven」先端リード、3つの「Goldberger」先端リード及び6つの「Wilson」チェストリードを得る連続的な12リード(lead:誘導)のECG監視を提供するよう、電極が特定の配置に位置される。本発明は、患者の皮膚に適用される電極を介して、脳の電気的な活動を監視するため、脳電図(EEG)で用いられることもできる。本発明がECG監視に使用される場合、好ましくはST上昇値が表示される。これらのST値は、心臓の電気的なベクトルのリード軸のそれぞれの一つへの投影から生じる。医師は、心筋虚血を検出するためSTセグメント偏差を用いることができる。表示に使用されることができる他の値は、例えば:P点値、Q点値、R点値等である。
【0011】
ECGは、2次元直交表面、つまり水平面及び垂直面への3次元の電気的な値の投影を用いて、心臓の電気的活動を分析する。電極により得られるECGデータは、心臓の電場の2次元サブスペースへの投影を表す。この領域的又は空間的情報を表示するために、本発明の更なる実施形態よれば、データが2つの多軸ダイアグラムを用いて表示され、その第1のダイアグラムは、垂直リードに関連付けられる軸を有し、第2のダイアグラムは、水平リードに関連付けられる軸を有する。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、データの多次元表現が表示され、その表現は、多数の軸に表示される値を結合して得られる。言い換えると、グラフィカルオブジェクトが、多数の軸に表示される現在の値を結合することにより形成される。このグラフィカルオブジェクトは、病気の認識に対する基礎として使用されることができる像(figure)又はパターンとして機能する。連続する領域として、好ましくは派手な色を用いて、グラフィカルオブジェクトが表示されるという様にして、そのパターンがグラフィカル的に減衰される場合、そのパターンの形状及び大きさは非常に短時間で認識されることができる。
【0013】
本発明の更に別の実施形態において、例えば、患者の状態のより現実的な印象を得るため、2次元又は3次元のスキーム(scheme:図式、計画)を提供することが有利である。この場合、2次元又は3次元の画像、好ましくは、センサが配置される患者の体の一部(例えば、患者の心臓)の画像が、多数のセンサにより得られるデータの2次元又は3次元表現と共に表示される。言い換えると、ダイアグラムにおいて表される値の2次元又は3次元再構成をより正確に観察するために、多かれ少なかれ現実的な画像が使用される。ECGの場合、再構成は好ましくは、すべての軸における値間の空間的な補間を用いて計算される。例えば、超音波デバイス等を用いて、患者の体又はその一部の画像が、監視される患者から撮影される現実の画像とすることができる。また、患者に依存しない図式的なモデルが使用される。
【0014】
本発明の更に別の実施形態において、例えば、多次元表現又はパターンといったデータのみが表示される。一方、多軸ダイアグラムは表示されない。言い換えると、ダイアグラムは、ユーザに対して見えない状態のままである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のこれら及び他の側面が、以下の実施形態及び対応する図面を参照して、例示を介して以下詳細に説明されることになる。
【0016】
以下の実施形態において、心電図監視システムが本発明を説明するのに使用される。監視システム1は、患者(図示省略)に配置される多数のECG電極2と、例えばデジタルストレージ・オスロスコープ又はLEDフラットスクリーン・モニタといった患者モニタ3とを有する。システム1は、センサにより測定された(sensed)データを読み出し、規定されたECG制御及び分析アルゴリズムに基づき計算を行い、並びにモニタ3及び表示される情報を制御するよう構成される制御デバイス4を更に有する。制御デバイス4は、コンピュータで実行されるとき医療監視システム1を制御するよう構成されるコンピュータ命令を有するコンピュータプログラムを実行するプロセッサ5を備えるコンピュータを有する。
【0017】
日課である(routine)ECG監視は、冠疾患集中治療ユニット、緊急室、緊急監視設定及び処置室における標準的な実務である。本発明の実施形態において、虚血性発作を示すことができるST変化を検出するために、連続的なSTセグメント監視が実行される。斯かる監視から得られるデータは、医師に患者の状態を示すモニタ3に自動的に表示される。ECG検査を実行するため、様々な数のECG電極2が、例えば、「Einthoven」、「Goldberger」、「Wilson」、EASI、「Frank」その他等に基づき、その電極が所定の配置を形成する態様で、患者に配置される。本発明によれば、監視されるデータのグラフィカル表現のために多軸ダイアグラムが使用される。
【0018】
図2において、斯かる2つの多軸ダイアグラム6、7が、モニタ3に表示されるものとして表される。ダイアグラム6、7は、ありふれた12リードのECGのSTリード値を3次元表示として表現するのに使用される。その表現は、これら12のECGリードに限定されるものではない。いずれのECGリード又は他のECG関連パラメタが使用されることができる。
【0019】
左側にあるダイアグラム6は、心臓の心臓電場が投影される2次元サブスペースの垂直平面を表す。従って、このダイアグラム6は、12リードのECGのうち6つの垂直なSTリードを表す6つの軸8から作られる。つまり、aVF、III、aVL、I、aVR及びII(時計回りに)である。そこで、双極性の「Einthoven」リードI、II及びIII並びに単極性の「Goldberger」リードaVR、aVL及びaVFが使用される。表示される値は、上述されたECG電極2から得られる電圧(electrical tension)の値の数学的な線形結合から得られる。軸8の位置及びその角度は、ECG検査の間、患者の体にある対応するECG電極2の位置を表す。従って、以下のスキーム(scheme:計画、図式)が適用される:
【表1】

【0020】
右側にあるダイヤグラム7は、水平面を表し、従って、12リードのECGにおける6つの水平な「Wilson」STリードに関連する6つの軸10から作られる。つまり、V6、V5、...、V1(時計回りに)が使用される。再度、これらの軸10も位置及びその角度は、ECG検査の間、患者の体にある対応するECG電極2の位置を表す。従って、以下のスキームが適用される:
【表2】

【0021】
言い換えると、12のECGリードの実際の位置が表示モデルに伝えられる。ダイヤグラム6、7における各軸8、10は、1つのパラメタに割り当てられる。ダイヤグラム6、7の両方において、すべての軸8、10は、負値から正値へと(またはその逆に)ゼロ点11を通り伸びる。軸8、10の方向は、軸の近くの「+」符号及び「-」符号を用いて示される。例えば、ダイヤグラム6の中心から下方に導くaVF軸は、正値を表し、一方、ダイヤグラム6の左下隅に導くaVL軸は負値を表す。
【0022】
各ダイヤグラム6、7において6つの軸8、10に表示される値は、色付きの多角形パターン12、13を形成するために接続される。それは、患者の状態の容易な理解のために使用されることができる。そのグラフィカル表示は、パターン12、13の領域を区切る厚い色付き線14により強調される。パターン12、13の形状は、STリードの現在の値に関する情報だけでなく、ECGデータの空間的な配置に関する情報をも与える。例えば、水平面を表す図2の右側のダイヤグラム7からは、虚血性の可能性のある病気が、心臓の前面側面内に配置されることができることがわかる。垂直面を図示する左側のダイヤグラム6からは、病気の可能性のあるものが心臓の下部領域に位置されることができることがわかる。両方のダイヤグラム6、7は共に、病気が患者の心臓の前面側面下部領域に最も位置しそうであるという、フル3次元情報を与える。これらの表示機能及び本明細書で説明されるすべての表示機能は、制御デバイス4を用いて制御される。モニタ上のデータを表すために使用される軸は、必ずしも表示される必要はない。好ましい実施形態においては、パターンのみが表示され、一方、軸は「見えない」ままである。
【0023】
更に、表示される値に関する追加的な情報が、軸8、10の端に表示される。これは、それらが与える情報の理解を分類し拡張しようとする。図2において、すべての軸8、10の近くに、対応するリードのPQRST複合15(いわゆるSTスニップノット)が配置される。それは、軸に表示されるST値に関する追加的な情報を提供することを意味する。各STスニップノット15の上にST上昇又は下降の値が表示される。
【0024】
連続的なSTセグメント監視は、日課となるECGの非常に重要な部分であるので、本発明は、例えば、虚血性心疾患、急性心嚢炎、左室肥大、左脚ブロック、進行した高カリウム血症、低体温症、僧帽弁逸脱における幾つかのケース等のような、STセグメントにおける変動に反映される病気の可能性のあるものを検出するのに特に役に立つ。虚血性心疾患は、深刻な死亡率と発生頻度との観点からは最も致命的な病の1つであるので、STセグメントから得られるデータをサポートし、改善し、及び正確に表すことの重要性は、近代監視においては非常に重要になっている。STセグメント偏差に対するECGを監視することは、心筋虚血検出にとって最も気にしなければならないもの(sensitive)というわけではないが、いまだに虚血性発作の連続的な非侵襲監視のための唯一の実践的な技術である。
【0025】
本発明の別の実施形態において、患者の状態のより現実的な印象を得るため3次元スキームが提供される。図3に示されるように、概略的な3次元の心臓モデル17の3次元画像が表示される。好ましくは、心臓モデル17が2つの多軸ダイアグラム6、7と共に同じモニタ3に表示される。心臓モデル17において、好ましくは、幾つか選択されたリード、すべてのリード又は多数のリードの線形結合の値の3次元再構成18が表示される。別の実施形態(図示省略)においては、この3次元再構成18の質量中心へのポインティングとなるベクトルが表示される。楕円に似た形状のこの3次元再構成18は、平面に投影される値の補間を用いて計算されることが好ましい。3次元軸は、所与のデカルト座標系の3つの直交空間次元を反映する。ダイアグラムの中心19は、病気の可能性のあるものの位置を好適に認識するため、心臓モデル17の中央にセットされる。
【0026】
表示の好適な理解を可能にするために、心臓モデル17は、医師の希望に応じて、異なる観点から見ることができるような態様で回転されることができる。この好ましい実施形態は、水平及び垂直両方の平面における多軸ダイアグラムに基づき、患者モニタ3においてECGの結果をその3次元再構成と共にグラフィカルに表す方法を説明し、データ認識の非常に効率的な方法を提供する。
【0027】
通常の方法において、ダイアグラム6、7及び心臓モデルスキーム17に含まれる情報は、リアルタイムに更新されることができ、患者の状態の永久的な評価を医師に提供する。追加的な実施形態においては、過去のデータのレビュー(review:検証)が提供される。過去の方法においては、医師は、追加的な軸情報15(スニップノット)及び概略的な心臓モデル17と共に、パターン12、13の過去の表現をレビューすることができる。更に別の実施形態においては、グラフィカル表現が、別の種類の過去の分析を含む。そこには、多数の過去のパターン12、13の表現が同時に表示される。この場合、所与の時間点へのその対応を説明する態様で、表示されるパターンが各繰り返しにおいて修正される。開始時間及び終了時間を用いて時間窓が規定され、この範囲に含まれる情報が共に表示される。ユーザは、ユーザインタフェース(図示省略)を介してこの時間窓を設定することができる。図4において、そのコンセプトの可能な実現が示される。この実施形態において、パターン12、13の領域は満たされていない。例えば明るい黄色から暗い黄色といったパターン12、13に対するフェードアウト(色あせ)効果を用いて、時間見込み(perspective)が表示される。すべてのパターンの特定の色付けは、そのデータが属する時間点を示す。パターンが明るくなればなるほど、現在の時間に近くなる。実施例においては、初期のパターン12'、13'と後期のパターン12''、13''とが、他の「中間的な」パターンと共に同時に表示される。好ましくは、モニタ3の下の異なるスクリーンボタンが、時間次元(図示省略)に沿った閲覧操作を容易にする。
【0028】
図5に示される追加的な実施形態において、基準情報はユーザにより又は自動的にセットされ、時間をまたぐ値の比較又は進行に対する基礎として表示される。この基準情報は、通常のパターン12、13からはっきり識別されるために、より明るい色で表示される目立つパターン21、22でグラフィカルに表示される。基準パターン21、22は、例えば、特定の時間点での値のスナップショットに対応することができる。統計値及び時間をまたぐ差の進行が共に病気の状態又は発生を示すものである可能性があるので、両方の表現が利用可能である。
【0029】
本発明の別の実施形態において、2つのパラメタQ及びCは、以下の式により規定される:

【0030】
これらのパラメタは、ECGリード又はそれらの任意の線形結合からの値の二次(第1式)及び三次(第2式)順列のすべてのいかなる可能な線形結合をも含む。係数「aij」及び「aijk」の値は、順列のそれぞれの1つにおける重みを表し、ゼロに等しくすることもできる。その場合、対応する係数をキャンセルすることになる。Mは、心電図からの(測定又は計算による)リードの総数に等しい自然数に対応する。好ましい実施形態において、これらのECG値は、ST上昇であるだろう。これは、以下の式を生じさせる:

【0031】
これらの式は、(上述のパターン12、13のような)任意の可能性のある領域を表すか、又はSTパラメタの空間分布により表される任意の可能性のあるボリュームを表す。好ましい実施形態において、この領域は、最初の場合におけるパターンの領域(「AreaSt」)及び第2の場合における3次元ボリューム(「VolumeST」)となるであろう。ダイアグラム6、7におけるパターン12、13の領域に対応するAreaST23、24が、図6に示され、3D再構成18のボリュームに対応するVolumeSTが図3に示される。すると、係数「aij」は、そのパターン領域の計算を可能にするものであり、「aijk」は、3次元表現のボリュームを計算するのに使用されるものとなるであろう。
【0032】
本実施形態によれば、パラメタ23、24が相対偏差若しくは所与の閾値を超えるか又は下回る場合に、又は一般的に所与の時間の間パラメタが所定の挙動に従う場合に毎回、モニタにおけるアラームが起動されることができる。
【0033】
本発明による医療監視システム1は、上述されたような本発明による実施形態の方法におけるECGデータを表示するためだけに適合されるものではない。そのシステムは、グラフィカル情報のプリント及び記録をも可能にする。数字の画像に加えて、例えば、パターン、軸追加情報及び概略的な心臓といったすべてのグラフィカル表現が、更に、モニタ3のプリントアウトに表されることができる。このため、システム1は、入力/出力デバイス25を有する。デバイス25は、更に、例えばCD-ROMデバイス又はパーソナルコンピュータといった外部ソースからシステム1へECG及び制御アルゴリズムを転送するよう構成される。
【0034】
本発明は、電気的な関連性のある心臓病の理解の速度、信頼性及び効率性を改善する。パターン認識技術を用いて、心臓病の迅速な認識を可能にし、ケア提供者からの早期応答を助成する。言い換えると、上述された新しいタイプの表現が、心臓の電気的な異常の理解に対する精度と速度とを向上させる。
【0035】
本発明は、上述された説明的な実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形式において実現されることができることは当業者には明らかであろう。従って本実施形態は、すべての側面において説明目的であると考えられものであり、限定するものではなく、本発明の範囲は、上記説明ではなく添付された特許請求の範囲により示されるものである。従って、特許請求の範囲と均等な意味及び範囲に含まれるすべての変更は、そこに包含されることになると意図するものである。更に、単語「comprising(有する)」は、他の構成要素又はステップの存在を排除するものではないこと、単語「a」又は「an」は、複数性を排除するものではないこと、及びコンピュータシステム又は別のユニットといった単一の要素が、特許請求の範囲に記載される複数の手段の機能を実現することができることも明らかであろう。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も関連する請求項を限定するものとして解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】監視システムの概略的なブロック図を示す図である。
【図2】ST値を表す多軸ダイアグラムを示す図である。
【図3】2次元投影値の3次元再構成の結果と共に概略的な3次元の心臓を示す図である。
【図4】過去の分析に対する過去データと共に多軸ダイアグラムを示す図である。
【図5】基準情報と共に多軸ダイアグラムを示す図である。
【図6】アラーム情報と共に多軸ダイアグラムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のセンサにより収集されるデータを用いる医療監視の方法において、前記センサが所定の配置を形成し、かつ、前記収集されるデータが前記患者における前記センサの位置に依存する態様で、前記センサが患者に配置されており、
− 多数の多軸ダイアグラムを用いてデータを表示するステップを有し、前記軸の位置が前記所定の配置にある前記センサの位置に関連付けられ、各軸において前記関連付けられるセンサからのデータが表示される、方法。
【請求項2】
前記センサがECG電極であり、前記収集されるデータはECGデータである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表示されるデータがST値である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
データが表示され、一方前記多軸ダイアグラムは表示されない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
データの3次元表現の空間的な2次元投影が表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
−多数の軸に表示される値の結合により得られるデータの多次元表現を表示するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
−前記患者の体又は前記体の一部の多次元画像を表示するステップと、
−前記画像において、多数のセンサにより得られるデータの多次元表現を表示するステップとを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
患者に配置されることができる多数のセンサであって、前記センサが所定の配置を形成し、かつ、前記センサが前記患者における前記センサの位置に基づきデータを収集する態様で配置されることができる、多数のセンサと、
多数の多軸ダイアグラムを用いてデータを表示するデバイスとを有し、前記軸の位置が前記所定の配置にある前記センサの位置に関連付けられ、各軸において前記関連付けられるセンサからのデータが表示される、医療監視システム。
【請求項9】
患者に配置されることができる多数のセンサを有する医療監視システムを制御するコンピュータプログラムであって、前記センサが所定の配置を形成し、かつ、前記センサが前記患者における前記センサの位置に基づきデータを収集する態様で前記センサが配置されることができ、
−多数の多軸ダイアグラムを用いてデータを表示するコンピュータ命令を有し、前記ダイアグラムにおける前記軸の位置が前記所定の配置にある前記センサの位置に関連付けられ、各軸において前記関連付けられるセンサからのデータが表示される、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−514258(P2008−514258A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533012(P2007−533012)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052948
【国際公開番号】WO2006/033038
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】