説明

医療管理システムおよび医療管理システムサーバプログラム

【課題】 比較的高いセキュリティ設定された測定データ管理装置によって高い機密性を保ちながら測定データをスムーズに取得可能である医療管理システムおよび医療管理システムサーバプログラムを提供すること。
【解決手段】 医療管理システム101は、試料に含まれる特定成分に関する測定を行う測定手段、この測定手段によって測定された測定データを送信する第1データ送信手段、を具備する試料測定装置201と、インターネット600を介して上記測定データを受信する第1データ受信手段、上記測定データを記憶する第1測定データ記憶手段、および測定データ送信条件が成立したときに上記測定データの送信開始指令を出力するデータ送信指令手段、を具備するサーバ装置401と、上記データ送信指令手段の指令によって送信された上記測定データを記憶する第2測定データ記憶手段を有する測定データ管理装置501と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療管理システムおよび医療管理システムサーバプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
図17は、従来の医療管理システムの一例を示している。同図に示された医療管理システム900は、試料測定装置91、通信機器92、サーバ装置93、および測定データ管理装置94を備えている。試料測定装置91は、たとえば使用者が自己の血液を試料として血糖値測定を行う血糖自己測定装置(SMBG装置)である。通信機器92は、例えば携帯型電話機であり、ケーブルによって試料測定装置91と接続されている。サーバ装置93は、試料測定装置91の測定データを蓄積するためのものであり、通信機器92から公衆通信網を介して試料測定装置91の測定データを受信する。測定データ管理装置94は、たとえば医療機関において上記使用者の診察を行う医師が使用するパーソナルコンピュータである。上記医師は、たとえば測定データ管理装置94において、インターネットブラウザにサーバ装置93を特定するURLを入力し、表示される入力画面からIDおよびパスワードを入力することにより、上記使用者の血糖値測定データを取得できる。取得した血糖値測定データは、上記使用者の治療や投薬を判断するために用いられる。
【0003】
しかしながら、測定データ管理装置94は、医療機関に置かれる場合、比較的高いセキュリティ設定が施される。このため、測定データ管理装置94において、さまざまなHPにアクセス可能なインターネットブラウザを立ち上げることが好ましくない場合が多い。また、血糖値測定データは、個人情報として高い機密性が求められる。このため、ID、パスワードの入力といった人為的なミスが生じうる手法によって血糖値測定データを取得することは、好ましくない。さらに、上記使用者が血糖値測定データをサーバ装置93に送信することを怠ると、上記医師が十分な血糖値測定データを取得することができないこととなり、適切な治療や投薬が妨げられてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−62285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、比較的高いセキュリティ設定が施された測定データ管理装置によって高い機密性を保ちながら測定データをスムーズに取得可能である医療管理システムおよび医療管理システムサーバプログラムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される医療管理システムは、試料に含まれる特定成分に関する測定を行う測定手段、この測定手段によって測定された測定データを送信する第1データ送信手段、を具備する試料測定装置と、公衆通信網を介して上記測定データを受信する第1データ受信手段、上記測定データを記憶する第1測定データ記憶手段、および測定データ送信条件が成立したときに上記測定データの送信開始指令を出力するデータ送信指令手段、を具備するサーバ装置と、上記データ送信指令手段の指令によって送信された上記測定データを記憶する第2測定データ記憶手段を有する測定データ管理装置と、を備える。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記試料測定装置は、上記測定データとともに、測定日時を特定する測定日時データ、および測定対象者を特定する測定対象者データを上記第1データ送信手段によって送信し、上記サーバ装置は、同一の上記測定対象者データについて複数回の測定にかかる上記測定データおよび上記測定日時データからなる測定データ群を生成する第1測定データ群生成手段を有し、上記測定データ管理装置は、上記データ送信指令手段の指令によって送信された上記測定データ群を上記第2測定データ記憶手段に記憶する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記試料測定装置は、無線通信を介して、上記測定データとともに、測定日時を特定する測定日時データ、および測定対象者を特定する測定対象者データを、上記第1データ送信手段によって送信し、無線通信を介して上記第1データ送信手段から送信された上記測定データ、上記測定日時データ、および上記測定対象者データを受信する第2データ受信手段と、公衆通信網を介して上記測定日時データ、および上記測定対象者データを送信する第2データ送信手段と、を具備する通信機器を備える。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記試料測定装置は、無線通信を介して、上記測定データとともに、測定日時を特定する測定日時データ、および測定対象者を特定する測定対象者データを、上記第1データ送信手段によって送信し、無線通信を介して上記第1データ送信手段から送信された上記測定データ、上記測定日時データ、および上記測定対象者データを受信する第2データ受信手段と、同一の上記測定対象者データについて複数回の測定にかかる上記測定データおよび上記測定日時データからなる測定データ群を生成する第2測定データ群生成手段と、公衆通信網を介して上記測定データ群を送信する第2データ送信手段と、を具備する通信機器を備える。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1データ送信手段および上記第2データ受信手段は、Bluetooth規格に準拠した無線通信を行う。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記サーバ装置において、上記データ送信指令手段は、所定の日時になったときに、上記送信開始指令を出力する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記通信機器は、位置情報取得手段を備えており、上記第2データ送信手段は、上記位置情報取得手段によって取得された位置情報を送信し、上記データ送信指令手段は、上記第1データ受信手段によって受信された上記位置情報と上記測定データ管理装置の位置との関係があらかじめ定められた近接条件を満たすときに近接信号を生成する位置判断手段を含んでおり、かつ、上記近接信号が生成されると、上記測定データ送信条件が成立したと判断して上記測定データの送信開始指令を出力する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記通信機器は、サーバデータ送信要求を生成するサーバデータ送信要求生成手段を備え、かつ上記第2データ送信手段が、上記サーバデータ送信要求を送信し、上記サーバ装置においては、上記第1データ受信手段が上記サーバデータ送信要求を受信すると、上記データ送信指令手段が上記測定データ送信条件が成立したと判断して送信開始指令を出力する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、第1データ送信手段は、公衆通信網にアクセス可能であり、上記第1データ受信手段は、公衆通信網を介して上記第1データ送信手段によって送信された上記測定データ、上記測定日時データ、および上記測定対象者データを受信する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記サーバ装置は、公衆通信網にアクセス可能な第3データ送信手段を備え、上記測定データ管理装置は、公衆通信網にアクセス可能な第3データ受信手段を備え、上記データ送信指令手段から上記送信開始指令が出力されると、上記第3データ送信手段から上記第3データ受信手段へと上記測定データ群が電子メール形式で送信される。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記測定データ群は、テキストデータ、編集不可処理が施されたデータ、または暗号化処理が施されたデータの少なくともいずれか一つで送信される。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記サーバ装置は、FAX通信網にアクセス可能な第3データ送信手段を備え、上記測定データ管理装置は、FAX通信網にアクセス可能な第3データ受信手段を備え、上記データ送信指令手段から上記送信開始指令が出力されると、上記第3データ送信手段から上記第3データ受信手段へと上記測定データ群がFAXで送信される。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記送信開始指令は、上記測定データ群を郵送によって上記測定データ管理装置の所在地に送付することを指示し、上記第2測定データ記憶手段には、郵送によって送られた上記測定データ群が入力される。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、本発明の第2の側面によって提供される医療管理システムサーバプログラムは、公衆通信網を介して試料測定装置から送信された測定データを受信する第1データ受信手段、測定データ送信条件が成立したときに上記測定データの送信開始指令を出力するデータ送信指令手段、としてサーバ装置を実行させる。
【0020】
このような構成によれば、上記サーバ装置に蓄積された上記測定データを取得するために、たとえば医師が上記測定データ管理装置でインターネットブラウザを開き、入力画面からIDおよびパスワードを入力するといった作業は不要である。このため、誤って異なる患者の測定データを取得してしまったり、意図しないコンピュータウイルスが侵入したりすることなどを防止することができる。したがって、比較的高いセキュリティ設定された測定データ管理装置によって高い機密性を保ちながら測定データをスムーズに取得することができる。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に基づく医療管理システムを示す全体概念図である。
【図2】図1の医療管理システムに用いられる試料測定装置を示すシステム構成図である。
【図3】図1の医療管理システムに用いられる通信機器を示すシステム構成図である。
【図4】図1の医療管理システムに用いられるサーバ装置を示すシステム構成図である。
【図5】図1の医療管理システムに用いられる測定データ管理装置を示すシステム構成図である。
【図6】図1の医療管理システムに用いられる試料測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1の医療管理システムに用いられる通信機器の動作を示すフローチャートである。
【図8】図1の医療管理システムに用いられるサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】図1の医療管理システムに用いられるサーバ装置のデータ送信指令部の動作を示すフローチャートである。
【図10】図1の医療管理システムに用いられる測定データ管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図1の医療管理システムに用いられるサーバ装置のデータ送信指令部の他の例を示すシステム構成図である。
【図12】図11のデータ送信指令部の動作を示すフローチャートである。
【図13】図1の医療管理システムに用いられる通信機器の他の例を示すシステム構成図である。
【図14】図13の通信機器の動作を示すフローチャートである。
【図15】図13の通信機器と組み合わされるサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2実施形態に基づく医療管理システムを示す全体概念図である。
【図17】従来の医療管理システムの一例を示す全体概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態に基づく医療管理システムを示している。本実施形態の医療管理システム101は、試料測定装置201、通信機器301、サーバ装置401、および測定データ管理装置501によって構成されている。
【0025】
試料測定装置201は、たとえば使用者が自身の血糖値を測定するために用いる血糖自己測定装置(SMBG装置)として構成されており、図1および図2に示すように、測定部220、測定データ記憶部230、ディスプレイ250、制御部260、通信部240を備えている。試料測定装置201による測定には、センサ片290が用いられる。センサ片290には、点着部291が形成されている。試料測定装置201による測定においては、試料測定装置201にセンサ片290が挿入される。点着部291には、使用者の血液が点着される。
【0026】
測定部220は、血糖値を測定する部位である。測定部220は、たとえば点着部291に血液が点着されたセンサ片290と導通する端子(図示略)を有しており、電気的手法により血糖値を測定する。測定データ記憶部230は、たとえばメモリであり、測定部220によって得られた測定データを記憶する。ディスプレイ250は、測定データなどを表示するための部位であり、たとえば液晶ディスプレイパネルである。
【0027】
制御部260は、試料測定装置201の測定動作において各部位を制御するものであり、たとえばCPUによって構成されている。通信部240は、本発明でいう第1データ送信手段の一例であり、無線通信を介してデータ送受信を行う。本実施形態においては、通信部240は、Bluetooth規格に準拠した無線通信を行う。これにより、通信部240は、双方向無線通信が可能である。本実施形態においては、測定データとともに、測定日時を特定する測定日時データ、および測定対象者を特定する測定対象者データが通信部240によって送信される。
【0028】
通信機器301は、たとえば携帯型電話機であり、図1および図3に示すように、試料測定装置201から送信された測定データを受信、記憶し、またこれをインターネット(公衆通信網)600を介してサーバ装置401に送信する機能を有する。通信機器301は、通信部310、通信部320、制御部330、測定データ記憶部340、ディスプレイ350、操作ボタン360、GPS回路380を備えている。
【0029】
通信部310は、本発明でいう第2データ受信手段の一例であり、無線通信を介してデータ送受信を行う。本実施形態においては、通信部310は、Bluetooth規格に準拠した無線通信を行う。これにより、通信部310は、試料測定装置201の通信部240と双方向無線通信が可能である。通信部320は、本発明でいう第2データ送信手段の一例であり、無線通信を介して携帯電話通信網にアクセスするための部位である。これにより、通信機器301は、携帯電話通信網、およびこれを介したインターネット600へのアクセスが可能となっている。
【0030】
制御部330は、通信機器301の通信動作において各部位を制御するものであり、たとえばCPUによって構成されている。制御部330は、サーバデータ送信要求生成部390を有する。サーバデータ送信要求生成部390は、サーバ装置401を対象とするサーバデータ送信要求を生成する。測定データ記憶部340は、試料測定装置201の測定データ、測定日時データ、測定対象者データを一時的に記憶するためのものであり、たとえばメモリによって構成されている。ディスプレイ350は、たとえば液晶ディスプレイパネルによって構成されている。操作ボタン360は、ダイヤルキーや方向キーなどである。GPS回路380は、上空にある衛星からの信号を受信することにより、現在位置を測定する回路であり、現在位置情報を出力する。通信機器301は、この現在位置情報を、通信部320からサーバ装置401へと送信することができる。
【0031】
サーバ装置401は、図1および図4に示すように、インターネット600にアクセス可能に構成されており、様々な使用者の測定データを記憶するためのものである。サーバ装置401は、通信部420、制御部410、および測定データ記憶部430を備えている。
【0032】
通信部420は、本発明でいう第1データ受信手段および第3データ送信手段を兼ねるものであり、インターネット600を介した双方向通信を行う。制御部410は、サーバ装置401の通信、記憶、データ操作、などの処理において各部位を制御するものであり、たとえばCPUによって構成されている。制御部410は、糖尿病手帳データ生成部440およびデータ送信指令部450を有する。糖尿病手帳データ生成部440は、通信部420が受信した測定データ、測定日時データ、測定対象者データを基に、糖尿病手帳データを生成する。糖尿病手帳データは、試料測定装置201のある使用者についての測定データが時系列に整理されたものであり、本発明でいう測定データ群の一例に相当する。また、糖尿病手帳データ生成部440は、本発明でいう第1測定データ群生成手段の一例に相当する。データ送信指令部450は、測定データ管理装置501に向けて糖尿病手帳データの送信開始を指令する送信開始指令を出力する。本実施形態においては、この送信開始指令が出力されると、制御部410が通信部420に糖尿病手帳データの送信を行わせる。
【0033】
測定データ記憶部430は、本発明でいう第1測定データ記憶手段の一例であり、たとえばメモリによって構成されている。測定データ記憶部430は、通信部420が受信した測定データ、測定日時データ、測定対象者データや、糖尿病手帳データ生成部440が生成した糖尿病手帳データを記憶する。
【0034】
測定データ管理装置501は、たとえば試料測定装置201の使用者が通院する医療機関におかれたパーソナルコンピュータである。図1および図5に示すように、測定データ管理装置501は、通信部520、制御部510、および測定データ記憶部530を備えている。
【0035】
通信部520は、本発明でいう第3データ受信手段の一例であり、インターネット600を介した双方向通信を行う。ただし、測定データ管理装置501は、患者にあたる試料測定装置201の使用者の糖尿病手帳データという極めて高い機密性が要求される個人データを取り扱う。このため、測定データ管理装置501は、インターネット600へのアクセスが制限されていることが一般的であり、たとえばインターネットブラウザによるインターネット600へのアクセスが禁止されている。制御部510は、測定データ管理装置501における通信およびデータ管理などの処理において各部位を制御するものであり、たとえばCPUからなる。測定データ記憶部530は、本発明でいう第2測定データ記憶手段の一例に相当する。測定データ記憶部530は、患者の糖尿病手帳データを記憶するためのものであり、たとえばメモリからなる。
【0036】
次に、医療管理システム101の動作について、以下に説明する。
【0037】
図6は、試料測定装置201の動作を示すフローチャートである。試料測定装置201においては、まず、ステップS21において、電源ONの状態とされる。この電源ONは、たとえば図示しないセンサ片検知手段によってセンサ片290の挿入を検知することによって行ってもよい。
【0038】
次いで、センサ片290が挿入されると、ステップS22において試料測定が実施される。本実施形態においては、点着部291に点着された血液を試料とした血糖値測定が測定部220によって行われる。この測定データは、測定データ記憶部230に記憶される。
【0039】
次いで、ステップS23において、測定データ記憶部230に記憶された測定データ、測定日時データ、測定対象者データが通信部240からBluetooth規格に準拠した無線通信を介して通信機器301の通信部310へと送信される。これらの試料測定(ステップS22)および測定データ送信(ステップS23)は、センサ290が挿入されたのちに、順次自動的に行われる。そして、たとえばセンサ片290を試料測定装置201から引き抜くことにより、ステップS24において試料測定装置201が電源OFFの状態とされる。
【0040】
図7は、通信機器301の動作を示すフローチャートである。通信機器301においては、ステップS31において通信可能な状態にされると、ステップS32において試料測定装置201からの測定データ、測定日時データ、測定対象者データを通信部310が受信したかを判断する。通信部310が試料測定装置201の通信部240からBluetooth規格に準拠した無線通信を介して測定データ、測定日時データ、測定対象者データを受信すると、これらのデータを測定データ記憶部340に記憶する。そして、ステップS33において測定データ記憶部340に記憶された測定データ、測定日時データ、測定対象者データを、通信部320からインターネット600を介してサーバ装置401へと送信する。
【0041】
図8は、サーバ装置401の動作を示すフローチャートである。サーバ装置401においては、ステップS42において、通信機器301からの測定データ、測定日時データ、測定対象者データを通信部420が受信したかを判断する。通信部420が測定データ、測定日時データ、測定対象者データを受信すると、これらのデータを測定データ記憶部430に記憶する。
【0042】
次いで、ステップS43において、測定データ記憶部430に記憶された測定データ、測定日時データ、測定対象者データを用いて、糖尿病手帳データ生成部440が糖尿病手帳データを生成する。この糖尿病手帳データの作成は、測定対象者データに基づいて同一の使用者の複数の測定データを測定日時によって時系列に整理したものである。
【0043】
次いで、ステップS44においてデータ送信指令部450から送信開始指令が出力されたかを判断する。図9は、データ送信指令部450における送信開始指令の出力処理の一例を示すフローチャートである。S441において判断処理が開始すると、ステップS442において、現在日時が所定の日時になったかを判断する。現在日時は、制御部410が備える時計機能によって取得する。所定の日時は、たとえば使用者の次回通院日時の数時間前、あるいは一日前などに適宜設定され、あらかじめ糖尿病手帳データとともに記憶されている。現在日時が所定日時になると、データ送信指令部450は、ステップS443において送信開始指令を出力する。そして、ステップS444において出力処理が完了する。
【0044】
なお、図3に示す通信機器301のサーバデータ送信要求生成部390によって生成されたサーバデータ送信要求が、通信部320から発信され、図4に示すサーバ装置401の通信部420によって受信されることを、図8に示すステップS44におけるデータ送信指令手段450による送信開始指令出力の条件としてもよい。通信機器301においては、たとえば操作ボタン360による所定操作を使用者が行うと、サーバデータ送信要求生成部390がサーバデータ送信要求を生成し、サーバ装置401へと送信される。これにより、使用者が意図したタイミングで、サーバ装置401にデータ送信処理を行わせることができる。
【0045】
送信開始指令が出力されると、図8に示すように、ステップS45において糖尿病手帳データが測定データ管理装置501へと送信される。本実施形態においては、サーバ装置401から測定データ管理装置501への送信は、電子メール形式で送信される。具体的には、糖尿病手帳データは、電子メールのテキスト部分に記載された形式で送信される。あるいは、糖尿病手帳データは、たとえばPDFデータなど編集不可処理が施されたデータとして電子メールに添付されて送信されてもよい。さらに、糖尿病手帳データは、暗号が付与された圧縮データなどの暗号化処理が施されたデータとして電子メールに添付されて送信されてもよい。電子メールの形式で送付された糖尿病手帳データは、図示しないメールサーバに蓄えられる。
【0046】
図10は、測定データ管理装置501の動作を示すフローチャートである。測定データ管理装置501においては、ステップS51において通信可能な状態にされると、ステップS52において糖尿病手帳データの受信を試みる。具体的には、通信部520を介して制御部510が上記メールサーバにアクセスする。測定データ管理装置501には、あらかじめ上記メールサーバのアドレスおよび測定データ管理装置501ごとに付与されたID、パスワードが記憶設定されている。そして、上記メールサーバへのアクセスは、測定データ管理装置501にインストールされたメールソフトが定められたスケジュールに従って自動的に行う。糖尿病手帳データを含む電子メールを受信すると、ステップS53において糖尿病手帳データが測定データ記憶部530に記憶される。この後は、測定データ記憶部530に記憶された糖尿病手帳データを医師が閲覧することにより、この糖尿病手帳データに対応する使用者(患者)の治療や投薬を検討する。
【0047】
次に、医療管理システム101の作用について説明する。
【0048】
本実施形態によれば、サーバ装置401に蓄積された糖尿病手帳データを取得するために、医師が測定データ管理装置501でインターネットブラウザを開き、入力画面からIDおよびパスワードを入力するといった作業は不要である。このため、誤って異なる患者の糖尿病手帳データを取得してしまったり、意図しないコンピュータウイルスが侵入したりすることなどを防止することができる。したがって、比較的高いセキュリティ設定された測定データ管理装置501によって高い機密性を保ちながら糖尿病手帳データをスムーズに取得することができる。
【0049】
電子メールによる糖尿病手帳データの送信は、取得の都度に医師がIDやパスワードを入力することを省略するのに適している。PDFデータなどの編集不可処理が施されたデータ形式で糖尿病手帳データを送信すれば、意図しない内容書き換えを未然に防ぐことができる。また、暗号化処理が施されたデータ形式で糖尿病手帳をデータ送信すれば、送信されたデータファイルが万が一第三者の手にわたっても、不当に閲覧されることを防止することができる。
【0050】
通院予定日時に基づく所定日時と現在日時とを比較することにより、サーバ装置401のデータ送信指令部450においてデータ送信開始指令を生成することは、使用者が通院する際に、糖尿病手帳データが医療機関に送信されている状態とするのに適している。使用者は、糖尿病手帳データの送信を意識する必要がなく、便利である。
【0051】
試料測定装置201と通信機器301とをBluetooth規格に準じた無線通信を介して送受信可能とすることにより、試料測定装置201が通信機器301に対してBluetooth規格に準じた無線通信が可能な距離にあれば試料測定装置201から通信機器301へのデータ送信が自動的に行われる。このため、使用者は、試料測定装置201による測定を行えば、測定データの送信のための特別な操作をする必要はない。特に、試料測定装置201は、センサ片290の抜き差しによって電源ON/OFFが切り替えられる構成であるため、使用者は、測定のための操作であるセンサ片290の抜き差しだけをすれば、一連の医療管理システム101の動作が達成される。
【0052】
測定データ管理装置501への糖尿病手帳データの送信は、電子メール形式に限定されない。たとえば、図8に示すステップS44において送信開始指令が出力されると、通信部420がいわゆるインターネットFAXサービスを利用して、測定データ管理装置501が置かれたたとえば医療機関に糖尿病手帳データがFAXで送信される構成であってもよい。この場合、たとえば上記医療機関の職員が、FAX送信された糖尿病手帳データを測定データ管理装置501に入力する。このような構成であっても、比較的高いセキュリティ設定された測定データ管理装置501によって高い機密性を保ちながら糖尿病手帳データをスムーズに取得することができる。
【0053】
また、測定データ管理装置501への糖尿病手帳データの送信は、図8に示すステップS44において送信開始指令が出力されると、郵送によって測定データ管理装置501が置かれたたとえば医療機関に糖尿病手帳データが送信される構成であってもよい。この場合、たとえば上記医療機関の職員が、郵送された糖尿病手帳データを測定データ管理装置501に入力する。このような構成であっても、比較的高いセキュリティ設定された測定データ管理装置501によって高い機密性を保ちながら糖尿病手帳データをスムーズに取得することができる。
【0054】
図11〜図16は、本発明にかかる医療管理システムの変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0055】
図11は、サーバ装置401のデータ送信指令部450の変形例を示している。本変形例においては、データ送信指令部450は、位置判断部451を備えている。本変形例においては、図8のステップS44は、図12に示すフローチャートにしたがって処理される。
【0056】
ステップS441において処理が開始すると、ステップS445において位置情報が受信されたかを判断する。本変形例の場合、通信機器301は、GPS回路380によって出力された現在位置情報を送信する状態が選択されており、定められたスケジュールにしたがって、現在位置情報を通信部320から送信している。
【0057】
サーバ装置401の通信部420が現在位置情報を受信すると、位置判断部451は、ステップS446において通信機器301の現在位置と特定位置との相対関係を算出する。特定位置は、たとえばこの使用者が通院する医療機関の位置であり、相対関係の算出は、たとえば現在位置と特定位置との距離である。この距離があらかじめ定められた基準距離以下となった場合、近接条件が成立する。この近接条件の成立は、使用者が診療を受けるため医療機関に向かっていると判断したことを意味する。そして、ステップ443において、データ送信指令部450は、送信開始指令を出力する。
【0058】
このような変形例によっても、比較的高いセキュリティ設定された測定データ管理装置501によって高い機密性を保ちながら糖尿病手帳データをスムーズに取得することができる。また、位置情報を利用したデータ送信開始指令の生成は、たとえば使用者が予定していなかった日時に通院することになった場合であっても、糖尿病手帳データを通院する医療機関に置かれた測定データ管理装置501に確実に送信することができる。
【0059】
図13は、通信機器301の変形例を示している。本変形例においては、制御部330に糖尿病手帳データ生成部370が設けられている。図14は、本変形例における通信機器301の動作を示すフローチャートである。ステップS32において、測定データ、測定日時データ、測定対象者データを受信すると、ステップS34において糖尿病手帳データ生成部370は、上述した糖尿病手帳データを生成する。そして、ステップS35において、この糖尿病手帳データを通信部320からサーバ装置401へと送信する。
【0060】
図15は、本変形例におけるサーバ装置401の動作を示すフローチャートである。本変形例においては、ステップS46において通信部420が糖尿病手帳データを受信すると、ステップS44の送信開始指令の出力を経て、ステップS45において糖尿病手帳データが測定データ管理装置501へと送信される。なお、サーバ装置401は、図8に示す動作と図15に示す動作との双方を実行可能に構成されてもよい。
【0061】
このような変形例によっても、比較的高いセキュリティ設定された測定データ管理装置501によって高い機密性を保ちながら糖尿病手帳データをスムーズに取得することができる。
【0062】
図16は、本発明の第2実施形態に基づく医療管理システムを示している。本実施形態の医療管理システム102は、上述した通信機器301を介することなく、試料測定装置201からサーバ装置401へと測定データ、測定日時データ、測定対象者データがインターネット600を経由して送信される。試料測定装置201の通信部240は、たとえば携帯電話通信網を介してインターネット600にアクセス可能に構成されている。このような構成であっても、比較的高いセキュリティ設定された測定データ管理装置501によって高い機密性を保ちながら糖尿病手帳データをスムーズに取得することができる。
【0063】
本発明に係る医療管理システムおよび医療管理システムサーバプログラムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る医療管理システムおよび医療管理システムサーバプログラムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0064】
本発明でいう通信機器は、携帯型電話機に限定されず、試料測定装置と無線通信を介して可能な機器であればよく、たとえばBluetooth規格に準拠した無線通信を介したデータ送受信が可能に構成されたパーソナルコンピュータであってもよい。本発明でいう試料測定装置は、SMBG機器に限定されず、測定データを通信機器に、または通信機器を介して、収集することが好ましい様々な測定に供されるものに適用可能である。本発明でいう無線通信は、Bluetooth規格に準拠した無線通信機に限定されず、試料測定装置と通信機器とのデータ送受信を実現可能なものであればよい。
【符号の説明】
【0065】
101,102 医療管理システム
201 試料測定装置
220 測定部(測定手段)
230 測定データ記憶部(測定データ記憶手段)
240 通信部(第1データ送信手段)
250 ディスプレイ
260 制御部
290 センサ片
291 点着部
301 通信機器
310 通信部(第2データ受信手段)
320 通信部(第2データ送信手段)
330 制御部
340 測定データ記憶部
350 ディスプレイ
360 操作ボタン
370 糖尿病手帳データ生成部(第2測定データ群生成手段)
380 GPS回路
390 サーバデータ送信要求生成部
401 サーバ装置
410 制御部
420 通信部(第1データ受信手段、第3データ送信手段)
430 測定データ記憶部(第1測定データ記憶手段)
440 糖尿病手帳データ生成部(第1測定データ群生成手段)
450 データ送信指令部(データ送信指令手段)
501 測定データ管理装置
510 制御部
520 通信部(第3測定データ受信部)
530 測定データ記憶部(第2測定データ記憶手段)
600 インターネット(公衆通信網)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に含まれる特定成分に関する測定を行う測定手段、この測定手段によって測定された測定データを送信する第1データ送信手段、を具備する試料測定装置と、
公衆通信網を介して上記測定データを受信する第1データ受信手段、上記測定データを記憶する第1測定データ記憶手段、および測定データ送信条件が成立したときに上記測定データの送信開始指令を出力するデータ送信指令手段、を具備するサーバ装置と、
上記データ送信指令手段の指令によって送信された上記測定データを記憶する第2測定データ記憶手段を有する測定データ管理装置と、
を備える、医療管理システム。
【請求項2】
上記試料測定装置は、上記測定データとともに、測定日時を特定する測定日時データ、および測定対象者を特定する測定対象者データを上記第1データ送信手段によって送信し、
上記サーバ装置は、同一の上記測定対象者データについて複数回の測定にかかる上記測定データおよび上記測定日時データからなる測定データ群を生成する第1測定データ群生成手段を有し、
上記測定データ管理装置は、上記データ送信指令手段の指令によって送信された上記測定データ群を上記第2測定データ記憶手段に記憶する、請求項1に記載の医療管理システム。
【請求項3】
上記試料測定装置は、無線通信を介して、上記測定データとともに、測定日時を特定する測定日時データ、および測定対象者を特定する測定対象者データを、上記第1データ送信手段によって送信し、
無線通信を介して上記第1データ送信手段から送信された上記測定データ、上記測定日時データ、および上記測定対象者データを受信する第2データ受信手段と、公衆通信網を介して上記測定日時データ、および上記測定対象者データを送信する第2データ送信手段と、を具備する通信機器を備える、請求項2に記載の医療管理システム。
【請求項4】
上記試料測定装置は、無線通信を介して、上記測定データとともに、測定日時を特定する測定日時データ、および測定対象者を特定する測定対象者データを、上記第1データ送信手段によって送信し、
無線通信を介して上記第1データ送信手段から送信された上記測定データ、上記測定日時データ、および上記測定対象者データを受信する第2データ受信手段と、同一の上記測定対象者データについて複数回の測定にかかる上記測定データおよび上記測定日時データからなる測定データ群を生成する第2測定データ群生成手段と、公衆通信網を介して上記測定データ群を送信する第2データ送信手段と、を具備する通信機器を備える、請求項1に記載の医療管理システム。
【請求項5】
上記第1データ送信手段および上記第2データ受信手段は、Bluetooth規格に準拠した無線通信を行う、請求項3または4に記載の医療管理システム。
【請求項6】
上記サーバ装置において、上記データ送信指令手段は、所定の日時となったときに、上記送信開始指令を出力する、請求項2ないし5のいずれかに記載の医療管理システム。
【請求項7】
上記通信機器は、位置情報取得手段を備えており、
上記第2データ送信手段は、上記位置情報取得手段によって取得された位置情報を送信し、
上記データ送信指令手段は、上記第1データ受信手段によって受信された上記位置情報と上記測定データ管理装置の位置との関係があらかじめ定められた近接条件を満たすときに近接信号を生成する位置判断手段を含んでおり、かつ、上記近接信号が生成されると、上記測定データ送信条件が成立したと判断して上記測定データの送信開始指令を出力する、請求項3ないし5のいずれかに記載の医療管理システム。
【請求項8】
上記通信機器は、サーバデータ送信要求を生成するサーバデータ送信要求生成手段を備え、かつ上記第2データ送信手段が、上記サーバデータ送信要求を送信し、
上記サーバ装置においては、上記第1データ受信手段が上記サーバデータ送信要求を受信すると、上記データ送信指令手段が上記測定データ送信条件が成立したと判断して送信開始指令を出力する、請求項3ないし5のいずれかに記載の医療管理システム。
【請求項9】
第1データ送信手段は、公衆通信網にアクセス可能であり、
上記第1データ受信手段は、公衆通信網を介して上記第1データ送信手段によって送信された上記測定データ、上記測定日時データ、および上記測定対象者データを受信する、請求項2に記載の医療管理システム。
【請求項10】
上記サーバ装置は、公衆通信網にアクセス可能な第3データ送信手段を備え、
上記測定データ管理装置は、公衆通信網にアクセス可能な第3データ受信手段を備え、
上記データ送信指令手段から上記送信開始指令が出力されると、上記第3データ送信手段から上記第3データ受信手段へと上記測定データ群が電子メール形式で送信される、請求項2ないし9のいずれかに記載の医療管理システム。
【請求項11】
上記測定データ群は、テキストデータ、編集不可処理が施されたデータ、または暗号化処理が施されたデータの少なくともいずれか一つで送信される、請求項10に記載の医療管理システム。
【請求項12】
上記サーバ装置は、FAX通信網にアクセス可能な第3データ送信手段を備え、
上記測定データ管理装置は、FAX通信網にアクセス可能な第3データ受信手段を備え、
上記データ送信指令手段から上記送信開始指令が出力されると、上記第3データ送信手段から上記第3データ受信手段へと上記測定データ群がFAXで送信される、請求項2ないし9のいずれかに記載の医療管理システム。
【請求項13】
上記送信開始指令は、上記測定データ群を郵送によって上記測定データ管理装置の所在地に送付することを指示し、
上記第2測定データ記憶手段には、郵送によって送られた上記測定データ群が入力される、請求項2ないし9のいずれかに記載の医療管理システム。
【請求項14】
公衆通信網を介して試料測定装置から送信された測定データを受信する第1データ受信手段、
測定データ送信条件が成立したときに上記測定データの送信開始指令を出力するデータ送信指令手段、
としてサーバ装置を実行させる、医療管理システムサーバプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−230521(P2012−230521A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97930(P2011−97930)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)