説明

医療装置のための生体適合性重合体

本発明は、重合した際に、新規な生分解性および生体吸収性重合体および共重合体を形成する、新規な種類の単量体化合物に関する。これらの重合体および共重合体は、特に制限されないが、放射線不透過性に適合しうるものであり、医療装置用途および徐放性制御治療製剤に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)項およびパリ条約に基づき、2009年10月11日に出願された、米国特許出願第61/250,550号の優先権を主張するものであり、その全体の内容が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本出願は、また、2009年10月11日に出願された、米国特許出願第12/577,230号、および米国仮特許出願61/250,548に関連する。当該3つの出願の内容が本明細書に参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
発明の分野
本発明は、重合した際に、新規な生分解性および生体吸収性(bioresorble)重合体および共重合体を形成する、新規な種類の単量体化合物に関する。これらの重合体および共重合体は、特に制限されないが、放射線不透過性に適合しうるものであり、医療装置用途および徐放性制御治療製剤に有用である。
【0004】
本発明は、また、埋め込み医療装置およびそのような重合体に好適な生体適合性重合体、および当該重合体の単量体に関する。特に、本発明は、ヒトの体内で自然発生すると共に、調製される重合体に対し、合成、加工および材料特性に有益な寄与をもたらす化合物の単量体類縁体を重合して得られる重合体に関する。
【0005】
発明の背景
ジフェノール化合物は、ポリカーボネート、ポリイミノ−カーボネート、ポリアリレート、ポリウレタン等の出発物質となる単量体である。共有されている米国特許第5,099,060号には、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸およびL−チロシンアルキルエステル(デスアミノチロシル−チロシンアルキルエステル)に基づくジフェノール単量体が開示されている。これに続く関連特許は、米国特許出願公開第2006/0034769号に記載の3,5−ジ−ヨードデスアミノチロシル−チロシンエステル(I2DTX、ここで、Xはエステル基であり、例えば、Eはエチル、Hはヘキシル、Oはオクチル等である)といった、ハロゲン化された放射線不透過性のジフェノール単量体を含む、基本的な単量体構造の種類に関するものである。双方の公報の開示は、参照により組み込まれる。さまざまな生体工学用途に適した他の重合体の例としては、米国特許第5,665,831号;米国特許第5,916,998号および米国特許第6,475,477号に記載の重合体、ならびに米国特許出願公開第2006/0024266号に記載の重合体が挙げられ、これらすべての文献の開示もまた、参照により組み込まれる。
【0006】
これらの単量体は、多くの医療埋め込み用途に適した重合体の合成において有用であるが、生体工学の分野の急速な進化により、物理的および機械的性質のさまざまな選択肢を提示する、異なったタイプの重合体の種々のライブラリが求められるようになってきている。特定の重合体の特性を、開発中の特定用途に求められる必要条件に対し、最適に適合させることが可能となるように、多くの異なる材料のライブラリが利用可能となることが求められている。
【発明の概要】
【0007】
発明の要約
本発明は、これらのニーズに対応するものである。様々な実施形態によれば、新規な単量体から派生した重合体組成物、このような組成物を含む医療装置、ならびにこのような重合体組成物および装置を使用する方法が提供される。
【0008】
新規な種類の単量体化合物が提供され、当該単量体化合物は、重合して、新規な重合体および共重合体を形成するが、これらに限定されるものではなく、放射線不透過性に適しうるものであり、さらに、医療装置用途および徐放性制御治療製剤に有用であるが、これらに限定されるものではない。特に、本発明は新規な種類の単量体を提案するものであり、この単量体は、重合して、ヒトの体内で自然発生()する、チロシン、チロニン、トリプトファンおよび他の化合物の類縁体である、芳香族繰り返し単位を少なくとも1つ以上有する重合体および共重合体を形成する。
【0009】
本発明の一形態によれば、式Ia:
【0010】
【化1】

【0011】
の構造を有する単量体化合物が提供される。式中、fは0または1であり、XおよびXは、それぞれ独立して、O、S、およびNRから選択され、この際、Rは水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基から選択される。XおよびXは、独立して、−(C=O)−NR−(尿素)、−(C=O)−O−(カルバメート)、−(C=O)−S−(チオカルバメート)、および−(C=O)−(アミド)から選択される。Rは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルから選択され、この際、少なくともひとつのRは、ペンダント型カルボン酸もしくはカルボキシレート基、またはそれらのチオもしくはアミド類縁体(analog)を有する。ペンダント基における炭素原子数は、R基の炭素原子数に加える。RおよびRは、独立して、水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基から選択される。
【0012】
Bは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基から選択され、またはBは、HO−B−OHがヒドロキシ末端封止マクロマー(hydroxyl endcapped macromer)、HN−B−NHがアミノ末端封止マクロマー(amino endcapped macromer)、またはHS−B−SHがチオール末端封止マクロマー(thiol endcapped macromer)であるように選択される。
【0013】
R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rの少なくともひとつが、アミノ酸またはチオ、アミドもしくはエステル類縁体であるように選択される。ひとつの形態によれば、R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rのふたつの構造が、アミノ酸であるように選択される。一形態によれば、R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rのふたつの構造が、α−アミノ酸であるように選択される。他の形態によれば、R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rのふたつの構造が、自然発生α−アミノ酸(naturally- occurring alpha-amino acids)、すなわち、ヒトの体内で自然発生するアミノ酸であるように選択される。自然発生でないアミノ酸としては、反応性重合基を提供するための置換基を付与された、自然発生アミノ酸を含む。
【0014】
ひとつの形態によれば、少なくともひとつのRは、−R−Ar−または−Ar−R−であり、ならびにAr、R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rの少なくともひとつの構造が、それぞれ、R−X−Ar−R−NHまたはNH−R−Ar−X−Rであるように選択され;この際、Arは、独立して、フェニル環、
【0015】
【化2】

【0016】
からなる群より選択され、この際、ひとつの芳香環につき、独立して、ハロゲン、ハロメチル、ハロ−メトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシド、およびスルホニルからなる群より選択される1〜4の置換基で置換されていてもよい。少なくともひとつのRにおいては、ペンダント型カルボン酸もしくはカルボキシレート基、またはそれらのチオもしくはアミド類縁体を有し、およびRは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロ−アルケニルである。
【0017】
式Iaの化合物は、HX-B-XHの構造を有する化合物1モルが、ホスゲンまたはトリホスゲン、および式Ib(f=0)の化合物約1モルまたは式Ib(f=1)の化合物約2モルのどちらかと反応することによって得られ、この際、XおよびXは、独立して、O、S、およびNRから選択され、式Ibは、下記構造:
【0018】
【化3】

【0019】
式中、R、R、R、XおよびXは、上述した式Iaと同様である、
を有する。
【0020】
他の形態によれば、式IIaで表される構造を有する芳香族単量体化合物が提供される。
【0021】
【化4】

【0022】
式中、fは0または1であり、X、X、X、X、XおよびXは、独立して、O、S、およびNRから選択され、この際、Rは水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基から選択される。
【0023】
Rは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルから選択され、この際、少なくともひとつのRは、ペンダント型アミノ基またはイミン骨格(backbone imine)を有する。ペンダント基における炭素原子数は、R基の炭素原子数に加える。RおよびRは、独立して、水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基から選択される。
【0024】
Bは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基から選択され、またはB、XおよびXは、HX-B-XHが、ヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマー、またはアミン末端封止マクロマーで定義されるように選択される。
【0025】
R、R、X、X、X、XおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rの少なくともひとつが、アミノまたはイミノ酸であるように選択される。ひとつの形態によれば、R、R、X、X、X、XおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rのふたつが、アミノ酸であるように選択される。他の形態によれば、R、R、X、X、X、XおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rのふたつが、α−アミノ酸であるように選択される。他の形態によれば、R、R、X、X、X、XおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rのふたつが、自然発生α−アミノ酸、すなわち、ヒトの体内で自然発生するアミノ酸であるように選択される。自然発生でないアミノ酸としては、反応性重合基を提供するための置換基を付与された、自然発生アミノ酸を含む。
【0026】
ひとつの形態によれば、少なくともひとつのRは、−R−Ar−または−Ar−Rであり、ならびにAr、R、R、X、X、X、ΧおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rの少なくともひとつが、それぞれ、R−X−Ar−R−(C=X)OHまたはHO−(C=X)−R−Ar−X−Rとなるように選択され、この際、Arは、独立して、フェニル環、
【0027】
【化5】

【0028】
から選択され、この際、ひとつの芳香環につき、独立して、ハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシド、およびスルホニルからなる群より選択される1〜4の置換基で置換されていてもよい。少なくともひとつのRは、置換されていてもよいペンダント型アミノ基またはイミン骨格を有し、およびRは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルから選択される。RおよびRは、独立して、ハロゲンおよび1〜6の炭素原子を含むアルキル基から選択される。
【0029】
式IIaの化合物は、HX-B-XHの構造を有する化合物1モルが、式IIb(f=0)の化合物約1モルまたは式IIb(f=1)の化合物約2モルのどちらかと反応することによって得られ、この際、下記構造:
【0030】
【化6】

【0031】
式中、R、R、R、X、X、XおよびXは、上述した式IIaと同様である、
を有する。
【0032】
式Iaまたは式IIaのどちらかひとつの実施形態によれば、X、X、X、X、X、X、XおよびXは、酸素原子である。他の実施形態によれば、それぞれのRにおいては、−R−Ar−である。他の実施形態によれば、Ar環は、それぞれ独立して、少なくともひとつのハロゲン原子で置換される。他の実施形態によれば、Ar環は、ふたつのヨウ素原子でオルト位を置換される。さらに、それぞれのRは、1〜10の炭素原子を含むアルキル基であり、好ましくは、炭素原子は2である。式Iaの他の形態によれば、f=1およびふたつのR基がペンダント型カルボキシレート基またはカルボン酸基である。式IIaのさらに他の形態によれば、f=1およびふたつのR基が、ペンダント型アミノまたはイミン骨格基である。式IIaのペンダント型アミノ基は、非置換、モノ置換、またはジ置換でありうる。アミン置換の実施形態は、30までの炭素原子を含むアルキル基を含み、6〜30の炭素原子を含む結晶性基を含む。ペンダント基における炭素原子数は、R基の炭素原子数に加える。
【0033】
式Iaおよび式IIaの両方の他の実施形態において、Bは、メチレン基またはメチル置換メチレン基である。他の実施形態によれば、ヒドロキシ末端封止マクロマーブロックは、ヒドロキシ末端封止ポリカプロラクトン、ヒドロキシ末端封止ポリ乳酸、ヒドロキシ末端封止ポリグリコール酸、ヒドロキシ末端封止ポリ(乳酸−グリコール酸共重合体)、ヒドロキシ末端封止ポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキサイド)およびヒドロキシ末端封止ポリジオキサンから選択される少なくともひとつのマクロマーブロックを含む。さらに一形態において、アルキレンジオールは、ヘキサンジオールである。
【0034】
さらに、式Iaおよび式IIaの両方に関して、一実施形態において、マクロマージカルボキシレートブロック(macromer dicarboxylate block)は、ポリカプロラクトンジカルボキシレート、ポリ乳酸ジカルボキシレート、ポリグリコール酸ジカルボキシレート、ポリ(乳酸−グリコール酸共重合体)ジカルボキシレート、ポリ(アルキレンジオール)ジカルボキシレート、ポリ(アルキレンオキサイド)ジカルボキシレートおよびポリジオキサンジカルボキシレートから選択される少なくともひとつのマクロマーブロックを含む。さらに一形態において、アルキレンジオールは、ヘキサンジオールである。マクロマーブロックはホモポリマーであってもよく、またはマクロマーブロックは、例えば、ホスゲンと共重合され、カーボネートマクロマージカルボキシレート(carbonate macromer dicarboxylate)を形成してもよい。
【0035】
式Iaおよび式IIaの化合物のRおよびRがアルキルの場合、化合物は単量体ではなく、特に化合物が放射線不透過性であると、非反応性化合物が望まれるような他の潜在的最終用途に用いられうる。
【0036】
上述の式Iaおよび式IIaの化合物のそれぞれは、式Ibまたは式IIb:
【0037】
【化7】

【0038】
式中、fは0または1であり、X、X、X、X、X、X、X、X、RおよびB、ならびにそれらの好ましい種類は、上述した式Iaまたは式IIaと同様である、
の構造を有する重合体組成物における繰り返し単位として適応されうる。
【0039】
式Ibおよび式IIbの重合体は、ヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマーまたはアミノ末端封止マクロマーとのブロック共重合体を含む。ひとつの実施形態において、ヒドロキシ末端封止マクロマーブロックは、ヒドロキシ末端封止ポリカプロラクトン、ヒドロキシ末端封止ポリ乳酸、ヒドロキシ末端封止ポリグリコール酸、ヒドロキシ末端封止ポリ(乳酸−グリコール酸共重合体)、ヒドロキシ末端封止ポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキサイド)およびヒドロキシ末端封止ポリジオキサンから選択される少なくともひとつのマクロマーブロックを含む。さらに一形態において、アルキレンジオールは、ヘキサンジオールである。マクロマーブロックはホモポリマーであってもよく、またはマクロマーブロックは、例えば、ホスゲンと共重合され、ヒドロキシ末端封止マクロマーカーボネートを形成してもよい。
【0040】
式Ibおよび式IIbのマクロマーブロック共重合体は、これに制限されないが、約25〜約99重量%のマクロマーブロックを含む。
【0041】
当業者であれば、本明細書に開示された技術から、記載されたサブユニット(subunit)が、それ自体が単位(unit)を反復(recur)するものではなく、付加的な結合が存在するものとして理解されうるものであり、それゆえに、本明細書中、サブユニットとの記載は、末端間の形式において、本明細書に開示された他の結合なしで、他と結合する記載として解釈されうる。たとえば、式Ibまたは式IIbの化合物は、また、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリホスファジン、ポリホスホエステル、およびポリイミノカーボネートを含む。この目的を達成するために、式Ibまたは式IIbの構造を有する重合体は、式Icおよび式IIc:
【0042】
【化8】

【0043】
の構造を有する重合体を含む。
【0044】
式中、Dは、
【0045】
【化9】

【0046】
から選択され、その際、R10は、H、それぞれ結晶性基を有してもよい、1〜30の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、および置換されていてもよいヘテロアルケニル基から選択され、ならびにR12は、単結合、それぞれ1〜18の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、および置換されていてもよいヘテロアルケニル基、ならびにそれぞれ3〜12の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキルアリール基、置換されていてもよいヘテロアルキルアリール基、置換されていてもよいアルケニルアリール基、および置換されていてもよいヘテロアルケニルアリール基から選択される。
【0047】
Dは、HX-D-XHが、上述したように、24までの炭素原子を含むアルキレンジオール、24までの炭素原子を含むアルキレンジアミン、24までの炭素原子を含むアルキレンジメルカプタン;またはヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマーもしくはアミン末端封止マクロマーであるようにさらに定義される。
【0048】
他の実施形態にしたがって、前述の単量体化合物は、重合体またはそれらの単量体の1以上の繰り返し単位との共重合体を形成するために重合されうる。重合の後、本発明の好ましい実施形態にしたがって、重合体の適当な処理(work up)は、組織適合の単量体由来の価値のある物性および化学特性を有する種々の有用な製品を製造するために、合成重合体の分野において一般的に適用される種々の公知の方法を適用して達成しえる。有用な製品は、重合体の分解温度が上記ガラス転移または結晶溶融温度であるとき、押し出しや射出し成型などの一般的な重合体の熱成形技術により成形されうり、または圧縮成型、射出し成型、溶剤キャスト、スピンキャスト、ウェットスピンのような一般的な非加熱技術も用いられうる。2以上の方法を組み合わせて用いることもできる。重合体から得られた成形製品は、特に、医療埋め込み用途の生分解性材料として有用である。
【0049】
上述したように、本明細書中に開示された、多様な吸収性医療装置または他の埋め込み可能な装置の製造において好適に用いられる重合体を含む医療装置が提供される。装置の代表的な実施形態としては、ステント、ディスク、プラグ、縫合糸、ステープル、クリップ、外科用接着剤、ネジ、アンカー等が挙げられる。これらの装置や、他の類似した埋め込み可能な医療装置は、好ましくは放射線不透過性、生体適合性であり、多様な生体吸収の時間を有している。この目的を達成するために、この重合体は、治療剤を伴うまたは伴わない吸収性埋め込み装置、他の医療システムにおける使用のための治療剤を伴うまたは伴わない装置構成および/またはコーティングへの使用に対してさらに適したものであってもよい。
【0050】
本明細書中に開示された重合体から有利に形成することが可能であり、有用な医療装置の代表的な実施形態としての機能を果たす、他の吸収性装置としては、本明細書中で考察されるような、組織工学に用いられる装置、歯科用途に用いられる装置、腫瘍や血管奇形を治療するための一時的および治療的な血液供給の制限または阻害のための塞栓術用製品、および徐放性制御治療剤の運搬装置(delivery devices)が挙げられる。
【0051】
本発明の他の形態としては、本発明の医療装置としての実施形態によるステントを、身体の内腔内に配置することにより身体の内腔の治療方法が提供される。
【0052】
上記に基づいて、本明細書中において、本発明の化合物、単量体、および重合体のさらに他の実施形態が考察されると共に、本発明の他の実施形態は、当業者にとって明確となるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0053】
発明の詳細な説明
新しい種類の化合物、単量体、ヒトの体内で自然発生する、少なくとも1以上の繰り返し可能な単位の化合物および該化合物の類縁体から重合される重合体および共重合体が提供される。
【0054】
略語および名称
以下の項は、本明細書中で使用されるさまざまな用語の定義を与えるものである。
【0055】
本明細書中、「マクロマー」、「マクロマー(性)の」の用語および同様の用語は当業者に公知の通常の意味を有し、したがって前記マクロマーが他の単量体と共重合しうるように選択される末端基で官能基化されたオリゴマーおよび重合体材料を指して用いられうる。広範な様々なマクロマーおよびこれらを作製する方法は当業者に公知である。好適なマクロマーの例としては、ヒドロキシ末端封止ポリ乳酸マクロマー、ヒドロキシ末端封止ポリグリコール酸マクロマー、ヒドロキシ末端封止ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)マクロマー、ヒドロキシ末端封止ポリカプロラクトンマクロマー、ポリ(アルキレンジオール)マクロマー、ヒドロキシ末端封止ポリ(アルキレンオキシド)マクロマー、およびヒドロキシ末端封止ポリジオキサノンマクロマーが挙げられる。
【0056】
本明細書中、「重合体」、「重合体の」の用語および同様の用語は当業者に公知の通常の意味を有し、したがってホモポリマー、共重合体(例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)およびこれらの混合物を指して用いられうる。
【0057】
「熱転移温度(thermal transition temperature)」の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって1次熱転移および2次熱転移の両方を意味して用いられうる。重合体またはその相の1次熱転移は、本明細書中で「融点」または「Tm」と表され、重合体またはその相の2次熱転移は、本明細書中で「ガラス転移温度」または「Tg」と表されうる。当業者であれば、重合体材料またはその相がいずれか、または両方の型の熱転移およびさらに高次の熱転移を示しうることを理解するであろう。熱転移温度はDSC、DMA、DEAおよびTMAなどの当業者に公知の方法によって決定されうる。
【0058】
本明細書中、「破壊靱性」の用語は、静的または動的荷重(またはひずみ)下でのガラスまたは半結晶相中の亀裂伝播からの脆性破壊に対する重合体の耐性を指すものである。
「放射線不透過性の」、「放射線−不透過性の」、「放射線不透過性」、「放射線−不透過性」、「放射線不透過化」の用語および同様の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって重合体組成物中に重原子が組み込まれ、医療用イメージング技術(例えばX線によって、および/または蛍光透視中に)を用いてより検出しやすくなった重合体組成物を意味して用いられうる。このような組み込みは混合による;例えば、有効量のバリウム塩または錯体などの放射線不透過化添加剤の混合による、および/または有効量の重原子の重合体組成物中の1以上の重合体への結合による。例えば、重原子を十分な量で重合体に結合させると、重合体を多様な医療用イメージング技術によって有利により検出しやすくすることができる。本明細書中、「重原子」の用語は、原子番号が17以上の原子を意味して用いられる。好ましい重原子は原子番号が35以上であり、臭素、ヨウ素、ビスマス、金、白金、タンタル、タングステン、およびバリウムを含む。特定の形態においては、前記重合体組成物は本質的に放射線不透過性でありうる。本明細書中、「本質的に放射線不透過性」の用語は、十分な数の重原子が共有結合またはイオン結合によって結合し、放射線不透過性にした重合体を意味して用いられる。この意味は、当業者の理解と一致する。例えば、特に放射線不透過性重合体材料を記載する目的を含むすべての目的で参照により本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0024266号を参照。
【0059】
「アルキル」、「アルキレン」の用語および同様の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって、直鎖または分岐の完全に飽和した(二重結合または三重結合を有さない)炭化水素基を指して用いられうる。例えば一般式−C2n+1の末端アルキル基は、本明細書中で「アルキル」基と表され、例えば一般式−(CH−の連結アルキル基は、本明細書中で「アルキレン」基と表されうる。アルキル基は、1〜50の炭素原子を有しうる(本明細書中で記載される場合、「1〜50」のような数値範囲は、与えられた範囲のそれぞれの整数を意味する;例えば「1〜50の炭素原子」は、前記アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、50個までの炭素原子を含んで構成されてもよいことを意味するが、本発明での定義は数値範囲の示されていない「アルキル」の用語の存在も包含する)。前記アルキル基は、1〜30の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。前記アルキル基は、1〜5の炭素原子を有する低分子アルキルであってもよい。化合物のアルキル基は、「C−Cアルキル」または同様の表記で表されうる。例えば、「C−Cアルキル」はアルキル鎖に1〜4の炭素原子があることを意味する、すなわち、前記アルキル鎖はメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、およびt−ブチルからなる群から選択される。典型的なアルキル基としては、いかようにも制限されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0060】
前記アルキル基は置換されていても非置換であってもよい。置換されている場合、置換基はそれぞれ独立して、低級アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヒドロキシアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、カルボキシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護誘導体から選択される1以上の基である。
【0061】
「アルケニル」、「アルケニレン」の用語および同様の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって直鎖または分岐の炭化水素鎖中に1以上の二重結合を有するアルキルまたはアルキレン基を指して用いられうる。アルケニル基は置換されていても非置換であってもよい。置換されている場合、特にことわりのない限り置換基はアルキル基の置換に関して上に開示された同様の基から選択されうる。
【0062】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルキレン」の用語および同様の用語は当業者に公知の通常の意味を有し、したがって本明細書中に記載のアルキル基またはアルキレン基であって、アルキル基またはアルキレン基の骨格中の1以上の炭素原子が窒素、硫黄、および/または酸素などのヘテロ原子に置き換えられたものを指して用いられうる。同様に、「ヘテロアルケニレン」の用語は、アルキル基またはアルキレン基の骨格中の1以上の炭素原子が窒素、硫黄、および/または酸素などのヘテロ原子に置き換えられた、アルケニル基またはアルケニレン基を指して用いられうる。
【0063】
「アリール」の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって完全に非局在化されたπ電子系を有する炭素環式(すべて炭素)単環式または多環式芳香族環系を指して用いられうる。アリール基の例としては、特に制限されないが、ベンゼン、ナフタレンおよびアズレンが挙げられる。前記アリール基の環は、5〜50の炭素原子を有しうる。アリール基は置換されていても非置換であってもよい。置換される場合、置換基が特に示されていない限り、水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護誘導体から独立して選択される1以上の基である置換基で置き換えられる。本明細書中、アルキルで置換されたアリール基は「アルキルアリール」と表されうる。
【0064】
「ヘテロアリール」の用語は、当業者に公知の通常の意味を有し、したがって1以上のヘテロ原子(すなわち炭素以外の元素であり、特に制限されないが窒素、酸素、および硫黄などが挙げられる)を含む、単環式または多環式芳香族環系(完全に非局在化されたπ電子系を有する環系)を指して用いられうる。前記ヘテロアリール基の環は5〜50の原子を有しうる。前記ヘテロアリール基は置換されていても非置換であってもよい。ヘテロアリール環の例としては、特に制限されないが、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、ベンゾ−チアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、およびトリアジンが挙げられる。ヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。置換される場合、水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護誘導体から独立して選択される1以上の基である置換基で置き換えられる。
【0065】
「結晶性(crystallizable)」の用語は当業者に公知の通常の意味を有する。すべての目的で、特に結晶性基を記載する目的で参照により本明細書中に援用される米国特許出願公開第20060024266号を参照。重合体の側鎖に結合した結晶性基を含む重合体は、側鎖結晶性(SCC)ポリマーまたは「くし状」ポリマーとして知られ、公知である。その開示が参照により本明細書中に組み込まれる、N.A.Plate and V.P.Shibaev,J.Polymer Sci:Macromol.Rev.8:117−253(1974)を参照。
【0066】
一実施形態においては、本明細書中に記載の重合体は結晶性側基を含み、したがってSCCポリマーと考えられうる。SCCポリマーの結晶性側鎖は、好ましくは互いに結晶化し結晶質領域を形成するように選択され、例えば、−(CH−および/または−((CH−O−)x基を含みうることが理解されるであろう。前記側鎖は、好ましくは、結晶化を容易にするように直鎖である。結晶性側鎖に−(CH−基を含むSCCポリマーでは、xは好ましくは約6約30であり、より好ましくは約20〜約30である。結晶性側鎖に−((CH−O−)x基を含むSCCポリマーでは、xは好ましくは約6〜約30であり、yは好ましくは約1〜約8である。より好ましくは、xおよびyは、((CH−O−)x基が、約6〜約30の炭素原子、さらにより好ましくは約20〜約30の炭素原子を有するように選択される。側鎖間の間隔ならびに側鎖の長さおよび型は、好ましくは、生成されるSCCポリマーが所望の融点を与えるように選択される。側鎖間の間隔が増加するにしたがって、側鎖が結晶性になる傾向が減少する傾向にある。同様に、側鎖の柔軟性が増加するにしたがって、側鎖が結晶性になる傾向が減少する傾向にある。一方、側鎖の長さが増加するにしたがって、側鎖が結晶性になる傾向が増加する傾向にある。多くの場合において、結晶性側鎖の長さは、SCCポリマーの結晶性側鎖間の平均距離の約2倍〜約10倍の範囲でありうる。
【0067】
基が「置換されていてもよい」と記載される場合、基は非置換であるか、または1以上の表示された置換基で置換されうる。同様に、基が「非置換または置換」と記載される場合、置換されていれば、置換基は1以上の表示された置換基から選択されうる。
【0068】
特にことわりのないかぎり、置換基が「置換されていてもよい」または「置換された」とみなされる場合、前記置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、保護C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、ならびにモノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護誘導体からそれぞれ独立して選択される1以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。同様に、「環ハロゲン化されていてもよい」の用語は、任意で1以上(例えば1、2、3、または4)のハロゲン置換基をアリールおよび/またはヘテロアリール環上に含む基を意味して用いられうる。上記の置換基の保護誘導体を形成しうる保護基は、当業者に公知であり、Greene and Wuts,Protective groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,1999などの文献に記載されており、全体として参照により本明細書中に組み込まれる。
【0069】
本明細書中に記載の1以上のキラル中心を有する任意の化合物は、絶対立体化学が明確に示されていない場合、各中心は独立してR−立体配置またはS−立体配置またはこれらの混合物でありうると理解される。したがって、本明細書中に与えられる化合物は光学異性体として純粋であってもよく、立体異性体の混合物であってもよい。加えて、EまたはZとして定義されうる幾何異性体を生成する1以上の二重結合を有する任意の化合物において、各二重結合は独立してEまたはZまたはこれらの混合物でありうると理解される。同様に、すべての互変異性型(tautomeric form)もまた含まれることを意図する。
【0070】
本明細書中、任意の保護基、アミノ酸および他の化合物についての略語は特にことわりのない限り、一般的な用法、認識された略語、または生化学命名法に関するIUPAC−IUPコミッション(Biochem.11:942−944(1972)を参照)に従う。
【0071】
重合体組成物および方法
X 本発明の単量体および重合体は、アミノ酸およびそれらの類縁体の誘導体である。それらの化合物の例としては、2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−プロペン酸(桂皮酸誘導体)、2,2−アミノ−(4−ヒドロキシ−フェニル)エタン酸、2−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)プロパン酸(チロシン)、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン酸、2,2−アミノ−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)エタン酸、2−アミノ−3−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)プロパン酸(5−ヒドロキシ−トリプトファン)、2−アミノ−4−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)ブタン酸、2,2−アミノ−(4−ヒドロキシフェノキシ−フェニル)エタン酸、2−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ−フェニル)プロパン酸(チロニン)、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−フェノキシ−フェニル)ブタン酸などが挙げられる。“X”基はすべて酸素である単量体および重合体から導き出されるアミノ酸は、下記構造:
【0072】
【化10】

【0073】
式中、Rおよびそれらの好ましい種類は、上述した式IIaと同様である、
を有する。
【0074】
システイン、セリン、セレオニン、チロシン、チロニン、ヒドロキシ−トリプトファンなど、およびチロニン、チロキシンのヨウ素化体から導かれる単量体および重合体が好ましいが、本発明では必ずしもこれに制限されない。上記にしたがって、チロシンおよびヒドロキシ−トリプトファンは、また、臭素もしくはヨウ素、または他の類似の元素もしくは放射線不透過性を提供するのに適した化合物で芳香環位を置換されうる。セリン、チロシン、チロニン、チロキシンおよびヒドロキシ−トリプトファン実施形態は、分解して、体内で自然に生じる化合物またはそれらの非常に関連した類縁体を形成する。非毒性に加えて、チロシン、チロニン、チロキシンおよびヒドロキシ−トリプトファンの芳香環が、重合体の良好な機械特性を付与する。
【0075】
式Iaの化合物は、式Id:
【0076】
【化11】

【0077】
の構造を有する1以上のカルボキシ保護された化合物の約1モル(f=0)または約2モル(f=1)のどちらかと、ホスゲンまたはトリホスゲンと、式Ie:
【0078】
【化12】

【0079】
式中、X、X、X、XおよびBならびにこれらの好ましい種類は、上述したものと同様であり、Rは、式Ibに関して述べたものと同様である、
の構造を有する化合物約1モルと、反応することによって得られる。
【0080】
式IIaの化合物は、式Idのアミン保護された化合物が、1〜2モルの式Icの化合物と反応して得られる。式Idの化合物が、チロシン、チロニンチロキシンまたはヒドロキシ−トリプトファンのような芳香族アミノ酸であり、式Ieの化合物がジオールである場合、ふたつの化合物は、下記のような酸触媒フィッシャーのエステル化反応:
【0081】
【化13】

【0082】
において反応する。当該反応は可逆的であり、反応混合物から水を除去することで、平衡が右にシフトする。水の除去は、通常、共沸蒸留(azeotropic distillation)により実施されるが、しかしながら当分野で公知の技術を適用してもよい。特に、共沸蒸留が好ましく、反応に用いられる溶媒は、水と共沸混合物を形成するような溶媒を考慮して選択する。一般的には、トルエン、ヘプタン、クロロホルム、テトラクロエチレンのような溶媒が好ましい。
【0083】
当該反応の主な利点は、第1級および第2級アルコールが、酸触媒下、カルボン酸とエステルを形成することであり、芳香環ヒドロキシ基は、これらの条件では反応しない。式Idのカルボン酸基は第1級または第2級アルコールと反応し、フェノール基はそのまま残存する。
【0084】
式Iaまたは式IIaの化合物は、チロシン、チロニン、チロキシンまたはヒドロキシ−トリプトファンである場合、式Iaおよび式IIaの化合物は、たとえば、ホスゲンとの反応によりポリカーボネートを組み込むような、重合可能なジフェノールおよび他の芳香族ヒドロキシ基を含む。放射線不透過の実施形態としては、PLA、PGAまたはPLGAと反応し、得られる重合体は、PLA、PGAまたはPLGAの放射線不透過性共重合体である。
【0085】
一実施形態において、ヒドロキシ末端封止ポリカプロラクタン−ジオールおよびポリ(エチレングリコール)のようないくつかのマクロマー−ジオールは、市販されている。ポリ(乳酸)−ジオールなどのマクロマージオールのいくつかの場合は、市販されておらず、アルカンジオールを開始剤として用いて合成した。
【0086】
さらに他の実施形態では、式IIaのBは、1〜18の炭素原子を含む直鎖または分岐のアルキル基のマクロマー性アルキル(macromeric alkyl)基を含む。さらに具体的な実施形態においては、nは3、4、5または6である。
【0087】
新たな式IbおよびIIbの重合体は、上述したデスアミノチロシル−チロシンアルキルエステルから誘導される重合体(desaminotyrosyl-tyrosine alkyl ester-derived polymers)と同様にして、本発明の式IaおよびIIa単量体から形成することができる。他の実施形態において、式IIaのジフェノール単量体は、重合してポリカーボネート、ポリエステル、ポリ(ホスファジン)、ポリ(ホスホエステル)またはポリ(イミノカーボネート)を形成する。この実施形態は、式Icおよび式IIcで表されうる。
【0088】
【化14】

【0089】
式中、f、X、X、X、X、X、X、X、X、RおよびBならびにこれらの好ましい実施形態は、上記と同様であり、Dは、
【0090】
【化15】

【0091】
式中、R10は、H、それぞれ結晶性であってもよい、1〜30の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群より選択され、R12は、単結合、それぞれ1〜18の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、および置換されていてもよいヘテロアルケニル基、ならびにそれぞれ3〜12の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキルアリール基、置換されていてもよいヘテロアルキルアリール基、置換されていてもよいアルケニルアリール基、および置換されていてもよいヘテロ−アルケニルアリール基から選択される、
から選択される。Xに隣接するDの配置は、本発明では特に制限されず、Dはまた、本明細書で述べた同様の効果を得るために、Xに隣接して配置されてもよいことは当業者であれば理解されるであろう。
【0092】
上述に基づき、式IIcの一実施形態において、Dは、下記構造:
【0093】
【化16】

【0094】
式中、カルボキシ基は、出発原料であるホスゲンから導かれる、
を有するカルボキシ基である。当該方法は、基本的に、ジオールを重合化してポリカーボネートにする一般的な方法である。好適なプロセス、関連の触媒および溶媒は、公知であり、Schnell, Chemistry and Physics of Polycarbonates, (Interscience, New York 1964)に記載されており、これらの内容もまた、参照により本明細書に組み込まれる。XおよびXは、独立して、O、SおよびNRから選択され、式IIIの単量体とホスゲンとの反応は、尿素結合(−NR−(C=O)−NR−)、カーボノジチオエート(carbonodithioate)結合(−S−(C=O)−S−)、カルバーメート(carbamate)結合(−O−(C=O)−NR−)、チオカーボネート(thiocarbonate)結合(−S−(C=O)−O−)およびチオカルバメート(thiocarbamate)結合(−S−(C=O)−NR−)を産生する。本発明のポリカーボネートおよび他のホスゲン由来の重合体を作製するために用いられる他の適用可能な方法としては、米国特許第6,120,491号、および第6,475,477号に開示されており、当該開示内容は参照により組み込まれる。
【0095】
他の実施形態において、式IIcのDは、カルボン酸出発原料から導かれる、下記構造:
【0096】
【化17】

【0097】
を有する基である。式IIaの単量体がジフェノールである場合、式IIcの重合体は、米国特許第5,216,115号に開示されたカルボジイミド媒介プロセスにおいて、4−(ジメチルアミノ)ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸塩(DPTS)を触媒として用いて、ジフェノールが脂肪族または芳香族ジカルボン酸と反応して得られる。米国特許第5,216,115号の開示内容は、参照により組み込まれる。
【0098】
上述のプロセスは、−O−C(=O)−R12−C(=O)−O−結合を有する重合体を形成する。R12は、出発原料として用いられるジカルボン酸が、重要な自然発生代謝体(metabolite)または高い生体適合性化合物のどちらか一方であるように選択されうる。そのため、出発原料である脂肪族ジカルボン酸としては、クレブス回路(Krebs Cycle)として知られる細胞呼吸経路を仲介するジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸は、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸およびオキサロ酢酸(oxaloacetic acid)(R12は、それぞれ、−CH−CH−C(=O)−、−CH−CH−、−CH=CH−および−CH−C(=O)−である)を含む。
【0099】
また、他の自然発生脂肪族ジカルボン酸は、ビートジュース(beet juice)中に発見された、アジピン酸(R12は、−(CH−)である)である。さらに、生体適合性脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸(R12は、−(CH−)である)である。当該化合物は、広範囲にわたって研究され、Laurencin et al., J. Biomed. Mater. Res., 24, 1463−81 (1990)によるポリ(ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン−セバシン酸無水物−共重合体)の臨床評価の一部として非毒性であることがわかっている。
【0100】
他の生体適合性脂肪族ジカルボン酸はシュウ酸である。シュウ酸は、COを失い、ホスゲンと同様にして、ふたつのアルコール基との反応に伴い、“CO”基、またはカルバメートを脱離して効果的に反応することが知られており、この際、R12は単結合、
【0101】
【化18】

【0102】
マロン酸(R12は−CH−)、グルタル酸(R12は(−CH−))、ピメリン酸((−CH−))、すべリン酸(R12は(−CH−))およびアゼライン酸(R12は(−CH−))である。よって、R12は、(−CH−)で表され、Qは0〜8である。好適な芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびビス(p−カルボキシ−フェノキシ)プロパンのようなビス(p−カルボキシ−フェノキシ)アルカンである。
【0103】
12は、また、下記構造を有する。
【0104】
【化19】

【0105】
式中、aは1、2または3であり、nは1〜500,000であり、およびR13は水素または1〜4の炭素原子を含む低級アルキル基である。R13は、好ましくは水素であり、aは好ましくは1であり、mは好ましくは約10〜約100の間であり、より好ましくは約10〜約50の間である。
【0106】
12は、また、下記構造を有する。
【0107】
【化20】

【0108】
式中、a、mおよびR14ならびにこれらの好ましい種類は、上述したものと同様である。R15は、単結合または18までの炭素原子を含む直鎖および分岐のアルキルおよびアルキルアリール基から選択される。
【0109】
式IdおよびIeの化合物は、アミノ、カルボキシレートおよび他の反応性基であるRが適当に保護される場合、ホスゲンまたはトリホスゲンと反応し、式IIIaの化合物を形成する。
【0110】
【化21】

【0111】
式中、X、X、X、X、XおよびXは、独立して、O、S、およびNRから選択され、この際、Rは水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択される。Rは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルから選択される。Rのペンダント基における炭素原子数は、R基の炭素原子数に加える。RおよびRは、独立して、水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基から選択される。
【0112】
一実施形態において、少なくともひとつのRは、−R−Ar−または−Ar−R−であり、ならびにAr、R、R、X、X、X、XおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rによって定義される少なくともひとつの構造が、それぞれ、R−X−Ar−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−Ar−X−Rであるように選択され、この際、Arは、それぞれ独立して、フェニル環、
【0113】
【化22】

【0114】
からなる群より選択され、ひとつの芳香環につき、独立して、ハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシド、およびスルホニルからなる群より選択される1〜4の置換基で置換されていてもよい。
【0115】
は、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルから選択され;およびBはカルボキシ基である。
【0116】
式IIIaの単量体は、公知のジカルボン酸重合プロセス(dicarboxylate polymerization processes)に従って重合し、式IIIbの構造を有するポリエステル、ポリアミド等およびそれらの硫黄およびアミノ類縁体を形成する。
【0117】
【化23】

【0118】
式中、X、X、X、X、X、X、RおよびBならびにこれらの実施形態は上述の式IIIaと同様である。
【0119】
式Ib、式IIbおよび式IIIbの重合体としては、ヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマーまたはアミノ末端封止マクロマーとのブロック共重合体が含まれる。マクロマーブロックは、式Ia、式IIaおよび式IIIaの単量体が共重合されうるコモノマー(co-monomer)と反応しうるものから選択される。たとえば、ヒドロキシ末端封止マクロマーが式Iaまたは式IIaのジフェノールおよびホスゲン間の反応に添加され、ポリカーボネートマクロマーブロック共重合体を形成し、または式IIaのジフェノールおよびジカルボン酸間の反応に添加され、ポリアリール化された(polyarylate)マクロマーブロック共重合体を形成する。
【0120】
マクロマー単位(unit)のモル分率は、0より大きく、1より小さく、通常は、0より大きく、約0.5までである。実施形態としては、約0.10〜約0.25間のマクロマーモル分率を含む。
【0121】
式Iaとしては、本明細書中に開示された実施形態のペンダントのないカルボン酸基を有する重合体を提供するのに適したカルボン酸単量体化合物を含む。しかしながら、ペンダントのないカルボン酸基を有する重合体を、対応するペンダント基のないカルボン酸基を有する単量体を、コモノマーと遊離カルボン酸基との交差反応をせずに重合により作製することは難しい。したがって、ペンダントのないカルボン酸基を有する重合体は、好ましくは、対応するベンジルおよびtert−ブチルエステル重合体から作製される。
【0122】
ベンジルエステル重合体は、米国特許第6,120,491号(その開示は、特にこのような方法を記載する目的で参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されたパラジウム触媒下の水素化分解法によりベンジル基の選択的除去を通して、対応する遊離のカルボン酸重合体へと変換される。tert−ブチルエステル重合体は、米国特許出願公開第20060034769号(その開示は、特にこのような方法を記載する目的で参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されたパラジウム触媒下の酸分解法によりtert−ブチル基の選択的除去を通して、対応する遊離のカルボン酸重合体へと変換される。重合体骨格の不安定性が、厳しい加水分解技術の適用を妨げる傾向にあるため、触媒的水素化分解または酸分解は、好ましい。
【0123】
本明細書中に記載の重合体の遊離カルボン酸単位(unit)のモル分率は、このような重合体から作製される装置の分解(degradation)を修正するように調整されうる。例えば、遊離カルボン酸の量のより少ない重合体は、体内でより長い寿命を有する傾向がある。さらに、好ましいモル分率の範囲にわたって重合体中の遊離カルボン酸の量を調整することによって、得られる重合体は異なる装置の寿命を要求する多様な用途における使用に適しうる。一般に、遊離カルボン酸単位(unit)のモル分率が高いほど、体内での装置の寿命は短くなり、このような装置は、より短い寿命が望ましい、または要求される用途により適している。
【0124】
式IaおよびIIa単量体ならびに式Ib、Ic、IIbおよびIIcの重合体のペンダントアミノおよびカルボン酸基は、治療剤の共有結合によって誘導体化されうる。誘導体化されていない治療剤上に存在する部分に依存して、前記共有結合は、アミドまたはエステル結合でありうる。典型的には、前記治療剤は、第1級もしくは第2級アミン、ヒドロキシ、ケトン、アルデヒド、またはカルボン酸基で誘導体化されうる。化学結合の手順は、米国特許第5,219,564号および第5,660,822号;Nathan et al.,Bio.Cong.Chem.,4,54−62(1993)およびNathan,Macromol.,25,4476(1992)(これらのすべては特にこのような手順を記載する目的で参照により組み込まれる)に記載されている。
【0125】
前記治療剤は、始めに単量体に共有結合し、次いでこれが重合するか、または重合が始めに行われ、その後治療剤の共有結合が行われる。加水分解に安定な複合体は、治療剤が複合体の形態で活性な場合に用いられる。加水分解性の複合体は、治療剤が複合体の形態で不活性な場合に用いられる。
【0126】
治療剤運搬化合物はまた、当業者に公知の通常の方法を用いて、運搬される治療剤を本明細書中に記載の重合体と物理的に混合することによって形成されうる。この治療剤運搬実施形態においては、前記重合体が治療剤の共有結合のためのペンダント基を有することは本質的ではない。
【0127】
臭素またはヨウ素に十分に置換された十分な数の芳香族環を有する重合体は、本質的に放射線不透過性である。第1重合段階および第2重合段階のどちらにおいても、さまざまな芳香族環がヨウ素または臭素置換されうる。たとえば、特定の重合体の実施形態とは無関係に、式(I)の繰り返し単位の芳香環は、少なくともひとつまたは好ましくは両方の環上で、少なくともひとつのヨウ素または臭素原子と置換されうる。一実施形態では、重合体組成物中の、式(I)の繰り返し単位の芳香環の少なくとも50%が2〜4のヨウ素または臭素原子と置換される。
【0128】
放射線不透過性の単量体は、米国特許第6,475,477号の開示、または米国特許出願公開第2006/0034769号の開示(これらのすべては特にこのような単量体およびそれらの作製方法を記載する目的で参照により組み込まれる)に従って作製されうる。本明細書中に記載のヨウ素化または臭素化されたフェノール系単量体は、また、本明細書により提供される生体適合性重合体組成物のための放射線不透過性化(radiopacify)、生体適合性非毒性添加剤として適用されうる。ヨウ素化もしくは臭素化された重合体は、ヨウ素化もしくは臭素化単量体から重合されるか、または重合体が、重合後にヨウ素化または臭素化されうる。
【0129】
他の放射線不透過性重合体の実施形態では、メチレン水素が、臭素またはヨウ素と置換され、重合体の放射線不透過性が増加する。このような置換は、本明細書に記載されたように、ハロゲン置換フェニル基に、またはその位置で生じうる。したがって、放射線不透過性のポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリ乳酸−グリコール酸共重合体は、臭素、ヨウ素、またはその両方と、十分な量のメチレン水素が置換することによって提供される。好ましい放射線不透過性ポリ乳酸は、ペンダント型トリヨウ素メチル基(pendant tri-iodomethyl group)を有する乳酸単位(unit)を含む。
【0130】
イミノ骨格を有する重合体および単量体は、本出願と同日に出願され、その開示が、特にこのような方法を記載する目的で本明細書中に参照により組み込まれる、米国特許仮出願第61/250,545に開示されている方法によって調製されうる。より詳細には、α−アミノ酸から導き出される重合体および単量体は、ホスゲンまたはトリホスゲンとピリジン中で反応し、イミノ基を生成する。ホスゲンまたはトリホスゲンを適用する単量体調製および重合反応において、これは反応中に過剰のホスゲンまたはトリホスゲンを用いて、イミノ基を生成する簡単な反応である。しかしながら、他の重合体の調製のためには、イミノ基をあらかじめ単量体上に形成しなければならない。
【0131】
前記化合物または単量体の重合後、本発明の好ましい実施形態に従って、価値ある物性および化学特性を有する種々の有用な製品を生産するために、重合体の適当な処理は、合成重合体の分野に一般的に適用される種々の公知の方法によって達成することができる。
【0132】
医療用途
本明細書中に記載される重合体組成物の多様な実施形態、好ましくは組織適合性単量体から誘導されるものは、有益な物理的および化学的特性を有する多様な有用な製品の製造に用いられうる。前記有用な製品は、前記重合体の分解温度がガラス転移温度または結晶溶融温度よりも高い場合、押出および射出成形などの通常の重合体熱形成技術によって成形されうる。または、圧縮成形、射出成形、溶媒キャスティング、スピンキャスティング、湿式紡糸などの通常の非熱的技術が用いられうる。2以上の方法の組み合わせが用いられうる。前記重合体から調製される成形品は、とりわけ医療用埋め込みの応用のための生体適合性、生分解性および/または生体吸収性の生体材料に有用である。
【0133】
一実施形態において、前記医療装置はステントである。ステントが多くの異なる型の形態を含みうることが考慮される。例えば、前記ステントは、拡張型ステントでありうる。他の実施形態において、前記ステントは、シートステント、ブレードステント、自己拡張型ステント、織布ステント、変形可能ステント、またはスライドアンドロックステントの形態を有するように構成されうる。ステント製造工程は、レーザー切断、エッチング、機械的切断、または他の方法によって重合体の押し出しシートを切断するなどの二次元的製造方法および得られた切断部分をステントに組み立てること、または、固体形態から装置を製造する同様の三次元的製造方法をさらに含みうる。
【0134】
他の特定の実施形態において、前記重合体は、本明細書中に記載の重合体または金属などの他の材料で作製される埋め込み型装置、特にステントの表面のコーティングに形成される。このようなコーティングは、ディッピング、スプレーコーティング、これらの組み合わせなどの技術によってステント上に形成されうる。さらに、ステントは、少なくとも1種の繊維材料、硬化性材料、積層材料および/または織布材料から形成されうる。前記医療装置はまた、塞栓治療に用いられるステントグラフトまたは装置でありうる。
【0135】
本明細書中に記載の重合体が採用されうるステント製品および製造の詳細は、米国特許出願公開第2006/0034769号(その開示は、特にこのようなステント製品および製造方法を記載する目的で参照により組み込まれる)に開示されている。ステントは、好ましくは本明細書中に記載の放射線不透過性重合体から製造され、装置の蛍光透視ポジショニングを可能にする。
【0136】
本明細書中に記載の重合体の好ましい実施形態に関連する特性の非常に有益な組み合わせは、これらの重合体が、ステントに加えて多様な吸収性医療装置、特に、好ましくは放射線不透過性、生体適合性であり多様な回数の生体吸収を有する埋め込み型医療装置の製造における使用に非常に適していることを意味する。例えば、前記重合体は、他の医療系、例えば、筋骨格または整形外科系(例えば、腱、靭帯、骨、骨格軟骨、平滑筋);神経系(例えば、脊髄、脳、目、内耳);呼吸器系(例えば、鼻腔および副鼻腔、気管、咽頭、肺);生殖器系(例えば、男性または女性生殖器);泌尿系(例えば、腎臓、膀胱、尿道、尿管);消化器系(例えば、口腔、歯、唾液腺、咽頭、食道、胃、小腸、結腸);外分泌機能(胆道、胆嚢、肝臓、虫垂、直腸−肛門管);内分泌系(例えば、膵臓/膵島、下垂体、副甲状腺、甲状腺、副腎および松果体);造血系(例えば、血液および骨髄、リンパ節、脾臓、胸腺、リンパ管);ならびに、外皮系(例えば、皮膚、毛髪、爪、汗腺、皮脂腺)において使用するための、治療剤を含む、もしくは含まない吸収性埋め込み型装置;治療剤を含む、もしくは含まない装置の部品および/またはコーティングにおける使用に適する。
【0137】
したがって、本明細書中に記載される重合体は、創傷閉鎖装置、ヘルニア修復メッシュ、胃のラップバンド、薬剤運搬埋め込み、心臓装置の埋め込みのためのエンベロープ、他の心臓血管用途の装置;胆管ステント、食道ステント、膣ステント、肺−気管/気管支ステントなどの非心臓血管ステントの製造に用いられうる。
【0138】
加えて、前記吸収性重合体は、埋め込み型の放射線不透過性ディスク、プラグ、および組織除去(例えば、癌組織の除去および器官除去における)の領域をトラックするために用いられる他の装置、ならびに創傷の閉鎖、組織を骨および/または軟骨に接着させること、出血停止(ホメオスタシス)、卵管結紮、外科接着防止などにおける使用に適したステープルおよびクリップの製造における使用に適する。出願人はまた、本明細書中に記載される重合体の好ましい実施形態は、医療装置、特に埋め込み型医療装置の多様なコーティングの製造における使用に適していることを認識した。
【0139】
さらに、いくつかの好ましい実施形態において、本発明の重合体は、例えば、前十字靭帯(ACL)、回旋筋腱板/回旋筋カップ、および他の骨格の変形の矯正、防止、再建ならびに修復を含む用途において使用される、放射線不透過性生分解性ねじ(締まりねじ)、放射線不透過性生分解性縫合糸アンカーなどを含む多様な吸収性整形外科用装置の作製に有利に使用されうる。
【0140】
本明細書中に記載される重合体の好ましい実施形態から有利に形成されうる他の装置としては、組織工学(tissue engineering)において使用される装置が挙げられる。適当な吸収性装置の例としては、組織工学の足場およびグラフト(例えば血管グラフト、神経再生に用いられるグラフトまたは埋め込みなど)が挙げられる。前記吸収性重合体はまた、内部創傷の閉鎖における使用に有効な多様な装置の形成に用いられうる。例えば、多様な外科手術、化粧品用途、および心創傷の閉鎖において使用される、生分解性吸収性の縫合糸、クリップ、ステープル、有刺またはメッシュの縫合糸、埋め込み型器官支持体などが形成されうる。
【0141】
歯科用途に有用な多様な装置が、本明細書中に記載の実施形態に従って有利に形成されうる。例えば、組織再生誘導のための装置、義歯装着者のための歯茎差し替え、および上顎の顔面の骨の再生のための装置は、放射線不透過性であることから、外科医または歯科医が簡単なX線イメージングによってこのような埋め込みの配置および連続的な機能を確かめることができるという利益が得られうる。
【0142】
本明細書中に記載される重合体の好ましい実施形態はまた、腫瘍および血管奇形、例えば、子宮筋腫、腫瘍(すなわち、化学塞栓術)、出血(例えば、出血を伴う外傷の間)および動静脈奇形、ろう管および動脈瘤の治療のための、血液供給の一時的なおよび治療上の制限または遮断のための、カテーテルまたはシリンジによって運搬される生体吸収性、本質的に放射線不透過性の重合体塞栓治療製品の製造に有用である。本明細書中に記載される重合体が採用されうる塞栓治療製品および製造方法の詳細は、米国特許出願公開第2005/0106119Al号(その開示は、特にこのような製品および方法を記載する目的で参照により組み込まれる)に開示されている。塞栓治療の治療方法は、その全身よりも局所的な性質によるものであり、前記製品は、運搬および治療の蛍光透視モニタリングを可能にするように、好ましくは本明細書中に記載される放射線不透過性重合体から作製される。
【0143】
本明細書中に記載される重合体は、幅広い治療剤運搬装置の製造にさらに有用である。このような装置は、多様な治療剤;例えば、医薬品(すなわち、薬剤)および/または生物学的因子(上記で定義され、生体分子、遺伝物質および処理生体物質などを含む)を含む;を含む使用に適しうる。癌、血管内の問題、歯科的な問題、肥満、感染などの治療における治療剤運搬のための装置を含む、治療剤を身体に運搬することができるいくつもの輸送システムが作製されうる。
【0144】
重合体材料を含む医療装置は、意図する用途に応じて、1以上のさらなる成分、例えば、可塑剤、充填剤、結晶化核形成剤、保存料、安定剤、光活性化剤などを含みうる。例えば、一実施形態においては、医療装置は、少なくとも1つの治療剤および/または磁気共鳴増強剤の有効量を含む。好ましい治療剤の非制限的な例としては、化学療法剤、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、および創傷治癒剤が挙げられる。治療剤は重合体材料と共に投与されうる。好ましい実施形態においては、治療剤の少なくとも一部が重合体材料中に含まれる。他の実施形態においては、治療剤の少なくとも一部が医療装置の表面上のコーティング中に含まれる。
【0145】
好ましい化学療法剤の非制限的な例としては、タキサン類、タキシニン類、タキソール類、パクリタキセル、ドキソルビシン、cis−プラチン、アドリアマイシン、およびブレオマイシンが挙げられる。好ましい非ステロイド性抗炎症化合物の非制限的な例としては、アスピリン、デキサメタゾン、イブプロフェン、ナプロキセン、およびCox−2阻害剤(例えば、Rofexcoxib、CelecoxibおよびValdecoxib)が挙げられる。好ましいステロイド性抗炎症化合物の非制限的な例としては、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、ヒドロコルチゾンおよびプレドニゾンが挙げられる。1以上の治療剤を含む混合物を用いてもよい。好ましい磁気共鳴増強剤の非制限的な例としては、炭酸ガドリニウム、酸化ガドリニウム、塩化ガドリニウムなどのガドリニウム塩およびこれらの混合物が挙げられる。
【0146】
前記医療装置中に存在するさらなる成分の量は、好ましくは、意図する用途に有効であるように選択される。例えば、治療剤は、好ましくは、前記医療装置が投与された、または埋め込まれた患者において所望の治療効果を達成するために有効な量で、前記医療装置中に存在する。このような量は通常の実験によって決定されうる。特定の実施形態においては、所望の治療効果は、生物学的応答である。一実施形態において、前記医療装置中の治療剤は、少なくとも1つの生物学的応答、好ましくは、血栓症、細胞接着、細胞増殖、炎症細胞の誘引、マトリックスタンパク質の沈着、血栓形成の阻害、細胞接着の阻害、細胞増殖の阻害、炎症細胞の阻害、およびマトリックスタンパク質の沈着の阻害からなる群から選択される生物学的応答を促進するように選択される。医療装置中の磁気共鳴増強剤の量は、好ましくは、放射線学的イメージングを容易にするために有効な量であり、通常の実験によって決定されうる。
【0147】
本明細書中、「医薬品(pharmaceutical agent)」の用語は、特定の生理的(代謝)応答を刺激する疾患の緩和、治療または予防を意図した物質を含む。本明細書中、「生物学的因子(biological agent)」の用語は、生体系において構造的および/または機能的活性を有する任意の物質を含み、特に制限されないが、器官、組織または細胞ベースの誘導体、細胞、ウイルス、ベクター、天然、組み換え、および合成起源であり、任意の配列およびサイズの核酸(動物、植物、微生物、およびウイルス)、抗体、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、cDNA、癌遺伝子、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、リポタンパク質、糖タンパク質、脂質、炭水化物、多糖、脂質、リポソーム、または、例えば受容体およびリガンドなどの他の細胞成分もしくは細胞小器官が挙げられる。さらに、本明細書中、「生物学的因子(biological agent)」の用語は、人の疾患もしくは損傷の予防、治療、または治癒に適用可能な、ウイルス、血清、毒素、抗毒素、ワクチン、血液、血液成分、または誘導体、アレルギー産物または類似体産物、あるいはアルスフェナミンまたはその誘導体(または任意の三価の有機ヒ素化合物)を含む(公衆衛生法(42U.S.C.262(a)のセクション351(a))。さらに、「生物学的因子」の用語は、1)「生体分子」;本明細書中で用いられる場合、天然もしくは組み換え生物、抗体、組織もしくは細胞株またはこのような分子の合成類似体から製造されるおよび精製される、生物活性ペプチド、タンパク質、炭水化物、ビタミン、脂質、または核酸を含む;2)「遺伝物質」;本明細書中で用いられる場合、核酸(デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA))、遺伝要素、遺伝子、因子、対立遺伝子、オペロン、構造遺伝子、調節遺伝子、オペレーター遺伝子、遺伝子相補体、ゲノム、遺伝子コード、コドン、アンチコドン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソーム染色体外遺伝要素、細胞質遺伝子、プラスミド、トランスポゾン、遺伝子突然変異、遺伝子配列、エクソン、イントロンを含む;および3)「処理生体物質」;本明細書中で用いられる場合、マニピュレーションを受けた細胞、組織または器官などを含む;を含みうる。前記治療剤はまた、ビタミンまたは無機物、または他の天然要素を含みうる。
【0148】
例えばステントなどの血管系に設置される装置では、治療剤の量は、好ましくは、再狭窄もしくは血栓症を阻害する、またはステント装着組織の他のいくつかの状態に影響を与える(例えば不安定プラークを治す、および/または破裂を防ぐ、または内皮形成を刺激する)のに十分な量である。本発明の好ましい実施形態によれば、前記薬剤は、抗増殖剤、抗炎症剤、抗マトリックスメタロプロテイナーゼ、脂質低下、コレステロール調節、抗血栓症および抗血小板剤からなる群から選択されうる。ステントのいくつかの好ましい実施形態においては、前記治療剤は、重合体と混合されるか、当業者に公知の他の手段によって混合されてステント中に含まれる。ステントの他の好ましい実施形態においては、前記治療剤は、ステント表面の重合体コーティングから運搬される。他の好ましい変形において、前記治療剤は重合体コーティングを用いずに運搬される。ステントの他の好ましい実施形態においては、前記治療剤は、前記ステントの少なくとも1つの部分または1つの表面から運搬される。前記治療剤は、ステントの少なくとも一部の、前記治療剤の運搬に用いられる重合体または担体に化学的に結合されうる、および/または前記治療剤は、ステント本体の少なくとも一部を含む重合体に化学的に結合されうる。好ましい実施形態においては、1以上の治療剤が運搬されうる。
【0149】
特定の実施形態において、本明細書中に記載の上記の任意の装置は治療剤運搬装置(その他の機能に加えて)としての使用に適しうる。生物学的にまたは医薬的に活性な薬剤および/または不活性な(受動的な)薬剤などの治療剤が、重合体マトリックス中に物理的に埋め込まれている、もしくは分散されている、または本明細書中に記載の重合体と物理的に混合されている、制御された治療剤運搬システムが調製されうる。制御された治療剤運搬システムは、治療剤を生体吸収性ステント装置(本明細書中に記載の重合体の少なくとも1つを含む)などの埋め込み型医療装置の表面に、これらの重合体をコーティングとして用いることなく直接塗布することによって、または他の重合体もしくは物質をコーティングに用いることによっても調製されうる。
【0150】
特定の実施形態において、本明細書中に記載の上記の任意の装置は治療剤運搬装置(その他の機能に加えて)としての使用に適しうる。生物学的にまたは医薬的に活性な薬剤および/または不活性な(受動的な)薬剤などの治療剤が、重合体マトリックス中に物理的に埋め込まれている、もしくは分散されている、または本明細書中に記載の重合体と物理的に混合されている、制御された治療剤運搬システムが調製されうる。制御された治療剤運搬システムは、治療剤を生体吸収性ステント装置(本明細書中に記載の重合体の少なくとも1つを含む)などの埋め込み型医療装置の表面に、これらの重合体をコーティングとして用いることなく直接塗布することによって、または他の重合体もしくは物質をコーティングに用いることによっても調製されうる。
【0151】
前記治療剤は、始めに単量体に共有結合し、次いでこれが重合するか、または重合が始めに行われ、その後治療剤の共有結合が行われる。加水分解に安定な複合体は、治療剤が複合体の形態で活性な場合に用いられる。加水分解性の複合体は、治療剤が複合体の形態で不活性な場合に用いられる。
【0152】
治療剤運搬化合物はまた、当業者に公知の通常の方法を用いて、運搬される治療剤を本明細書中に記載の重合体と物理的に混合することによって形成されうる。この治療剤運搬実施形態においては、前記重合体が治療剤の共有結合のためのペンダント基を有することは本質的ではない。
【0153】
治療剤を含む本明細書中に記載される重合体組成物は、重合体複合体(polymer conjugate)の形態であっても重合体と治療剤との物理的混合物であっても、局所的な運搬が求められる用途に、および全身への運搬が求められる状況においても適している。前記重合体複合体および物理的混合物は、本質的に従来の、当業者に公知の手順によって、必要とする患者の体内に埋め込まれうる。
【0154】
したがって、埋め込み型医療装置は、重合体がこれに物理的に混合された、またはこれに共有結合した治療剤を有する、本明細書中に記載の治療剤運搬システム(例えば薬剤溶出ステント)から作製される、またはこれでコートされることによって、治療剤を埋め込みの部位に運搬する働きもするように作製されうる。塞栓治療粒子もまた治療剤の運搬のために作製されうる。
【0155】
本明細書中に記載される重合体に共有結合しうる生物学的にまたは医薬的に活性な治療剤の例としては、アシクロビル、セフラジン、マルファレン、プロカイン、エフェドリン、アドリアマイシン、ダウノマイシン、プラムバジン、アトロピン、キニーネ、ジゴキシン、キニジン、生物活性ペプチド、クロリンe6、セフラジン、セファロチン、プロリンおよびcis−ヒドロキシ−L−プロリンなどのプロリン類似体、マルファレン、ペニシリンVおよび他の抗生物質、アスピリンおよび他の非ステロイド性抗炎症剤、ニコチン酸、ケモデオキシコール酸、クロラムブシル、抗腫瘍および抗増殖剤(再狭窄を防ぐ抗増殖剤など)、エストロゲンなどのホルモンなどが挙げられる。本発明の目的のためには、生物活性化合物は、細胞接着メディエータ、生物活性リガンドなどを含むものとしてさらに定義される。
【0156】
本明細書中に記載される本発明はまた、本明細書中に記載される重合体−治療剤の組み合わせを含む多様な医薬的な投与形態を含む。前記組み合わせは、埋め込みのためのバルクマトリックスまたは通常の手段による投与のための微粒子であってよく、いずれの場合も投与形態は従来認識されているもの、例えば、錠剤、カプセル、経口用液体および溶液、液滴、非経口用溶液および懸濁液、エマルション、経口用パウダー、吸入可能溶液または粉末、エアロゾル、局所用溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ローション、軟膏、経皮用液などを含む。
【0157】
投与形態は、1以上の医薬的に(製薬上)許容される担体を含みうる。このような材料は、採用される投与量および濃度で受容者に対して無毒であり、希釈剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、封入材料、浸透促進剤、溶媒、軟化剤、増粘剤、分散剤、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩および他の有機酸塩などの緩衝液、アスコルビン酸などの抗酸化剤、防腐剤、ポリアルギニンなどの低分子量(約10残基未満)ペプチド、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリ(ビニルピロリドン)などの他の親水性重合体、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニンなどのアミノ酸、単糖、二糖、およびセルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリンなどの他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの対イオンおよび/またはトゥイーン、プルロニクスまたはPEGなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0158】
本明細書中に記載される重合体組成物および物理的混合物に組み込まれる治療剤は、生理的に許容される担体、賦形剤、安定剤などの中に提供されてもよく、本明細書中に記載される重合体組成物に追加される持続放出または除放の製剤中に提供されてもよい。水分散液のための液体の担体および希釈剤もまた重合体組成物および物理的混合物と共に用いるのに適する。
【0159】
治療を必要とする患者、典型的には哺乳類の患者は、本明細書中に記載される重合体−治療剤の組み合わせを用いて、最適な効果を与える投与量が投与されうる。投与量および投与方法は患者によって変化し、治療を受ける哺乳類の種類、性別、体重、食事、併用投薬、全体的な臨床状態、採用される特定の化合物、これらの化合物が採用される特定の使用などの因子、および医療分野における通常の知識を有する者が認識するであろう他の因子に依存するであろう。本明細書中に記載される重合体−治療剤の組み合わせは、治療剤の活性の保持、および重合体の完全性の維持に適した条件下で貯蔵されるように調製されうる。典型的には、常温または冷蔵温度での貯蔵に適する。
【0160】
選択される特定の化合物に依存して、経皮デリバリーは選択肢でありうる;薬剤の相対的に安定した運搬を提供し、これは状況次第で好ましい。経皮デリバリーは、典型的には、アルコールビヒクル、任意で界面活性剤などの浸透促進剤および他の任意の成分を含む溶液中での化合物の使用を含む。マトリックスおよびリザーバー型経皮デリバリーシステムは、適切な経皮システムの例である。経皮デリバリーは、投与形態が患者に対して治療剤の全身的投与量を運搬する点で通常の局所的治療と異なる。
【0161】
本明細書中に記載される重合体−薬剤製剤はまた、小型単ラメラ小胞、大型単ラメラ小胞、および多重ラメラ小胞などのリポソーム運搬システムの形態で投与されうる。リポソームは、本明細書中に記載の任意の適当な投与経路で用いられうる。例えば、リポソームは、経口、非経口、経皮または吸入を介して投与されうるように製剤されうる。したがって治療剤の毒性は、患部への選択的な運搬によって低減されうる。例えば、前記治療剤がリポソーム封入されており、静脈注射される場合、用いられるリポソームは、血管細胞によって取り込まれ、局所的に高い濃度の治療剤が血管壁の内部で時間とともに放出され、治療剤の作用の改善がもたらされる。リポソーム封入治療剤は、好ましくは非経口で、特には静脈注射によって投与される。
【0162】
リポソームは、治療剤の放出のための特定の部位に標的化されうる。これは、活性部位での治療剤の治療に有用な投与量を提供するためにしばしば必要な過剰の投与量を、そして結果として、より高い投与量に伴う毒性および副作用を未然に防ぐ。
【0163】
本明細書中に記載の重合体中に組み込まれる治療剤は、望ましくは、その所望の標的への全身的な運搬を促進する薬剤を、運搬剤が上述の治療剤と同じ適格基準に合致するかぎり、さらに含みうる。運搬される活性な治療剤は、このように治療剤分子が結合する抗体、抗体フラグメント、成長因子、ホルモン、または他の標的部分とともに組み込まれうる。
【0164】
本明細書中に記載される重合体−治療剤の組み合わせはまた、バルブ、ステント、チューブ、プロテーゼなどの成形品に形成されうる。心臓血管ステントは、再狭窄を防ぐ治療剤と組み合わせられうる。埋め込み型医療装置は、感染を防ぐ治療剤と組み合わせられうる。
【0165】
治療上有効な投与量は、インビトロまたはインビボの方法によって決定されうる。それぞれの特定の薬剤について、必要な最適な投与量の個別の決定が行なわれうる。治療上有効な投与量の範囲は、投与経路、治療目的、および患者の状態によって当然影響されうる。多様な適切な投与経路において、吸収効率は、薬理学において公知の方法によって各薬剤について個々に決定されなければならない。したがって、最適な治療効果を得るために、治療者は必要に応じて投与量を調節し、投与経路を修正することが必要である。
【0166】
有効な投与量レベル、すなわち、所望の結果を達成するために必要な投与レベルの決定は、当業者の範囲内であろう。典型的には、化合物の適用は、より低い投与量レベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投与量レベルを増加させる。本明細書中に記載の製剤からの放出速度もまた、治療される状態に応じて有利なプロファイルを決定するために当業者の範囲内で変化される。
【0167】
典型的な投与量は、約0.001mg/k/g〜約1,000mg/k/g、好ましくは約0.01mg/k/g〜約100mg/k/g、より好ましくは約0.10mg/k/g〜約20mg/k/gの範囲でありうる。有利には、本明細書中に記載の重合体−治療剤の組み合わせは一日数回で投与され、他の投薬計画もまた有用でありうる。
【0168】
本明細書中に記載の方法を実行する際、前記重合体−治療剤の組み合わせは単独で、または他の治療剤もしくは診断剤と組み合わせて用いられうる。本明細書中に記載の重合体−治療剤の組み合わせは、インビボで、通常は人、羊、馬、牛、豚、犬、猫、ラット、およびマウスなどの霊長類などの哺乳類において、あるいはインビトロで利用されうる。
【0169】
本明細書中に記載される放射線不透過性生体吸収性重合体を治療剤運搬用途に用いる利点は、治療剤の放出および埋め込み型治療剤運搬システムの存在のモニタリングの容易さである。重合体マトリックスの放射線不透過性は、共有結合したハロゲン置換基によるものであるため、放射線不透過性のレベルは、埋め込み後任意の時間に埋め込み部位に依然として存在する分解性治療剤運搬マトリックスの残量に直接的に関連する。好ましい実施形態においては、分解性治療剤運搬システムからの治療剤の放出速度は、重合体の吸収速度と関連付けられるであろう。このような好ましい実施形態においては、放射線不透過性の残りの程度の直接的、定量的な測定によって、主治医が埋め込み型治療剤運搬システムからの治療剤の放出のレベルをモニターする方法が提供されるであろう。
【0170】
後述する以下の非制限的な例を用いて本発明の特定の形態を説明する。特にことわりのない限り、部および百分率はすべてモル百分率であり、特にことわりのない限り、温度はすべて摂氏温度である。特にことわりのない限り、溶媒はすべてHPLCグレードであり、他の試薬はすべて分析グレードであり、市販のものをそのまま用いた。
【実施例】
【0171】
実施例
実施例1:アジピン酸を用いたチロシンエチルエステルジアミドの調製(TE−AA−TE)
オーバーヘッドスターラー(overhead stirrer)を備えた2Lの丸底フラスコの中に、アジピン酸 14.6g(10.0mmol)、チロシンエチルエステルハイドロ−クロリド(tyrosine ethyl ester hydro-chloride) 51.6g(21.0mmol)(TE.HCl)、ヒドロキシベンゾトリアゾール 2.84g(21mmol)、およびジメチルホルムアミド(DMF) 600mLを添加した。フラスコの内容物を撹拌し、フラスコをca5℃まで氷浴で冷却した。トリエチルアミン(21.2g、210mmol)を、側管付き滴下ロート(addition funnel)を用いて5分かけて添加した。滴下ロートを用いて、EDCI(44.3g、231mmol)をフラスコに添加し、50mLのDMFを用いて滴下ロートを洗浄しフラスコに入れた。反応混合物は1時間<10℃で撹拌し、氷浴を除去した後、5時間大気中で撹拌した。その後、生成物をオイル状として分離し、フラスコに0.2MHCl 1200mLおよび塩化ナトリウム 400gを添加した。これに酢酸エチル 500mLを添加し、オイル状生成物が全て溶解するまで再び撹拌した。有機層を分液ロートに移し、0.2MHCl 500mL(3回)、5%重炭酸ナトリウム溶液 500mL、および脱イオン水 500mLで連続して洗浄した。その後、それを減圧して乾燥し、残存物を、オーバーヘッドスターラーを用いて、ヘキサン 110mLで撹拌した。生成物は白色粉末へと固体化した。生成物をろ過およびヘキサンで洗浄し、40℃の真空オーブンで乾燥させて、分離した。これをH NHR、HPLCおよび元素分析を用いて分析した。
【0172】
実施例2:アジピン酸を用いた3,5−ジヨードチロシンエチルエステルジアミドの調製(ITE−AA−ITE)
上記の手順で、TE.HClをITE.HClに置き換えて、対応するヨウ素化された単量体ITE−AA−ITEを作製した。
【0173】
実施例3:TE−AA−TEの重合
オーバーヘッドスターラーおよびシリンジポンプを備えた250mLの丸底フラスコの中に、TE−AA−TE(10g、19mmol)、塩化メチレン 40mL、およびピリジン 5.9mL(74mmol)を添加した。6mLの塩化メチレンに溶解したトリホスゲン(ホスゲンの20.4mmol)を、シリンジポンプを用いて、フラスコに2時間をかけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した後、50mLの脱イオン水を10分撹拌した。層を分離させた後、上の水層を分離し、廃棄した。さらに50mLの脱イオン水を2回用いて、洗浄を繰り返した。その後反応混合物を、実験用ブレンダー中で、2−プロパノール70mLを用いて沈殿させた。2−プロパノールを用いた紛体化を繰り返すことで、初期に形成されたオイル状の沈殿物が硬化した。
【0174】
重合体のGPC分析により、Mw99,000Kda、多分散度1.55であることが示された。DSCにより、ガラス転移温度(Tg)が81℃であることが分かった。
【0175】
実施例4:SE−アジピン酸−SEジアミド(SE−AA−SE)の調製
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコの中に、セリン(SE)(13.3g、0.10mol)、アジピン酸(7.16g、0.049mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.35g、0.010mol)およびテトラヒドロフラン(THF) 100mLを添加した。フラスコは窒素で陽圧下に維持し、氷浴を用いて5℃に冷却した。その後、冷却された溶液にEDCI(23g、0.12mol)を添加し、その温度で1時間撹拌した。その後冷却バスを除去し、反応混合物を室温まで温め、終夜で撹拌した。反応混合物を減圧して乾燥した後、酢酸エチル 150mLおよび0.2MHCl 150mLで撹拌した。その後、内容物を分液ロートに移し、層を分離させた。下の水層を除去し廃棄した。有機層を、0.2MHCl 50mL×2、5%NaHCO3溶液 50mL、および飽和NaCl溶液 50mLで連続して洗浄した。その後MgSO4で乾燥し、減圧して乾燥させた。残存物を、窒素蒸気下で乾燥し、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物をH NHR、HPLCおよび元素分析を用いて分析した。
【0176】
実施例5:セリンオクタデシルエステル(SBzOd)の調製
セリンの側鎖ヒドロキシ基がこの反応を妨げるため、ベンジルエーテルとして保護されたヒドロキシ基を有するセリン(SBz)を用いた。オーバーヘッドスターラー、ディーン−スタークトラップ、および温度計を備えた500mLの3つ口フラスコの中に、SBz 19.5g(0.10mol)、オクタデカノール(Od) 27g(0.10mol)、4−トルエンスルホン酸(PTSA)一水和物 21g(0.11mol)およびヘプタン 300mLを添加した。フラスコの内容物を撹拌し、溶媒が蒸留するまでマントルヒーターを用いて加熱した。蒸留により、ディーン−スタークトラップのサイドアームに約3.5mLの水が回収され、さらに水の回収が発生しなくなるまで継続した。反応を停止し、室温まで冷却した。別の容器に移して溶剤層を除去し、残存物は200mLのヘキサンで撹拌し、ろ過した。フィルターロート上の残存物を、いくらかの量のヘキサンで洗浄し、真空オーブン中で、40℃で乾燥した。
【0177】
4Lのビーカー内でオーバーヘッドスターラーを用いて、上記で得られたSBzOd.PTSAを、95%エタノール 400mLを用いて撹拌した。これに、5M炭酸カルシウム溶液(0.22molのKCO) 44mLを撹拌しながら添加した。30分間の撹拌の後、脱イオン水 1Lを加え、固体が分散するよう激しく撹拌した後、フリットガラスロート(fritted glass funnel)を用いてろ過した。フィルターロート上の残存物を、いくらかの量のDI水で洗浄した。生成物を、窒素蒸気下で乾燥し、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物(SBzOd)をH NHR、HPLCおよび元素分析を用いて分析した。
【0178】
実施例6:SBzOd−アジピン酸−SBzOdジアミド(SBzOd−AA−SBzOd)の調製
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた250mLの丸底フラスコの中に、SBzOd(10.5g、20mmol)、アジピン酸(1.43g、9.8mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.27g、2.0mol)およびテトラヒドロフラン(THF)100mLを添加した。フラスコは窒素で陽圧下に維持し、氷浴を用いて5℃に冷却した。その後、冷却された溶液にEDCI(14.8g、0.077mol)を添加し、その温度で1時間撹拌した。その後冷却バスを除去し、反応混合物を室温まで温め、終夜で撹拌した。その後、反応混合物に0.2MHCl 300mLを加え、5分撹拌した後、層が分離するまで静置した。水層を除去し廃棄した。有機層を、0.2MHCl 2×50mLで、続いて、5%NaHCO3溶液100mLおよびDI水100mLで洗浄した。生成物は、ろ過により分離され、水で洗浄した。生成物は、窒素蒸気下、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物はH NHR、HPLCおよび元素分析を用いて分析した。
【0179】
実施例7:SOd−AA−Sodを得るための水素化によるSZbOd−AA−SZbOdの脱保護
この反応ではパーシェーカー(parr shaker)を用いた。パーシェーカーボトルの中に、SZbOd−AA−SZbOd 20g(20mmol)、DMF 100mL、およびレーニ―ニッケル(Raney-Nickel) 1gを加えた。ボトルをパー発生器(Parr generator)に固定し、60psiの水素下に維持した。ボトルを2時間振盪した。触媒をろ過により除去し、ろ液に500mLのDI水を加え、激しく撹拌した。層を分離させ、水層を除去し廃棄した。有機層を、白色固体として生成物が沈殿するまでさらに200mLの水で洗浄し、白色固体をろ過により分離し、40℃の真空オーブンで24時間乾燥し、H NHRおよび元素分析により分析した。
【0180】
実施例8:ホスゲン化(phosgenation)によるSOd−AA−SOdの重合
オーバーヘッドスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコの中に、SOd−AA−SOd 10g(10mmol)、乾燥塩化メチレン 100mLおよびピリジン 3.7g(47mmol)を加えて、15分撹拌した。20mLの試料ボトルの中に、1.1gのトリホスゲン(11meqのホスゲン)を8mLの乾燥塩化メチレンに溶解し、反応フラスコにシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した後、100mLの水を用いて撹拌した。層を分離させ、上の水層を除去し廃棄した。水でさらに2回洗浄した後、反応混合物をビーカー内でオーバーヘッドスターラーを用いて150mLの2−プロパノールで沈殿させた。得られた生成物は、PTFEデッシュに移され、真空下、50℃で24時間乾燥させた。重合体を、GPC、H NHR分析およびDSCにより分析した。
【0181】
実施例9:ThyE−アジピン酸−ThyEジアミド(ThyE−AA−ThyE)の調製
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコの中に、チロニン(ThyE)(15.4g、mol)、アジピン酸(3.7g、0.025mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.80g、0.0059mol)およびTHF 150mLを添加した。フラスコは窒素で陽圧下に維持し、氷浴を用いて5℃に冷却した。その後、冷却された溶液にEDCI(14.8g、0.077mol)を添加し、その温度で1時間撹拌した。その後冷却バスを除去し、反応混合物を室温まで温め、終夜で撹拌した。その後、反応混合物に、0.2MHCl 300mLを加え、5分撹拌した後、静置した。水層を除去し廃棄した。有機層を、0.2MHCl 100mL×2で洗浄し、続いて、5%NaHCO溶液 100mL×2およびDI水 100mLで洗浄した。生成物を、窒素蒸気下で乾燥し、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物をH NHR分析とHPLCと元素分析とにより分析した。
【0182】
実施例10:ホスゲン化によるThyE−AA−ThyEの重合
オーバーヘッドスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコの中に、ThyE−AA−ThyE 7.13g(10.8mmol)、塩化メチレン 100mLおよびピリジン 3.7g(47mmol)を加えた。20mLの試料ボトルの中に、0.87gのトリホスゲン(11meqのホスゲン)を8mLの塩化メチレンに溶解し、反応フラスコにシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した後、100mLの水を用いて撹拌した。層を分離させ、上の水層を除去し廃棄した。水でさらに2回洗浄した後、反応混合物をビーカー内でオーバーヘッドスターラーを用いて120mLの2−プロパノールで沈殿させた。生成物を、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。
【0183】
実施例11:アジピン酸を用いたポリエステル重縮合(polyesterification)によるThyE−AA−ThyEの重合
20mLのシンチレーションバイアル中に、ThyE−AA−ThyE 1.31g(2.00mmol)、塩化メチレン 15mLおよびアジピン酸(AA) 0.293g(2.00mmol)、4−ジメチルアミノピリジン−4−トルエンスルホン酸(DPTS) 0.059g(0.20mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン 0.061g(0.50mmol)を添加した。内容物をマグネティックスターラで30分撹拌し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド 0.76g(6.00mmol)を加えて撹拌した。Mwは種々の間隔で測定し、反応は所望のMWに達するまで続けた。次いで、反応混合物を、IPAで沈殿させ、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。得られた生成物を、デッシュに移し、真空下、40℃で24時間乾燥した。重合体を、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0184】
実施例12:TE−PLLA−TEジアミド(TE−PLLA−TE)の調製
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコの中に、TE(10.7g、0.051mol)、分子量2000の両末端COOHのPLLA(50g、0.025mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.80g、0.0059mol)およびTHF 250mLを加えた。フラスコは窒素で陽圧下に維持し、氷浴を用いて5℃に冷却した。その後、冷却された溶液にEDCI(14.8g、0.077mol)を添加し、その温度で1時間撹拌した。その後冷却バスを除去し、反応混合物を室温まで温め、終夜で撹拌した。その後、反応混合物に、0.2MHCl 500mLを加え、5分撹拌した後、静置した。水層を除去し廃棄した。有機層を、0.2MHCl 100mL×2で洗浄し、続いて、5%NaHCO溶液 100mL×2およびDI水100mLで洗浄した。生成物(TE−PLLA−TE)を、窒素蒸気下で乾燥し、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物をH NHR分析、HPLC、GPC、元素分析により分析した。
【0185】
実施例13:ホスゲン化によるTE−PLLA−TEの重合
オーバーヘッドスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコの中に、TE−PLLA−TE 24g(10.0mmol)、塩化メチレン 200mLおよびピリジン 3.7g(47mmol)を加えた。20mLの試料ボトルの中に、0.87gのトリホスゲン(11meqのホスゲン)を8mLの塩化メチレンに溶解し、反応フラスコにシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した後、200mLの水を用いて撹拌した。層を分離させ、上の水層を除去し廃棄した。水でさらに2回洗浄した後、反応混合物をビーカー内でオーバーヘッドスターラーを用いて120mLの2−プロパノールで沈殿させた。生成物を、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。生成物を、H NHR分析、HPLC、GPC、DSCにより分析した。
【0186】
実施例14:アジピン酸を用いたポリエステル重縮合によるTE−PLLA−TEの重合
50mLの丸底フラスコの中に、TE−PLLA−TE 4.8g(2.00mmol)、塩化メチレン 25mLおよびアジピン酸(AA) 0.293g(2.00mmol)、DPTS 0.059g(0.20mmol)および4−ジメチルアミノピリジン 0.061g(0.50mmol)を添加した。内容物をマグネティックスターラで30分撹拌し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド 0.76g(6.00mmol)を加えて撹拌した。Mwは種々の間隔で測定し、反応は所望のMWに達するまで続けた。次いで、反応混合物を、IPAで沈殿させ、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。得られた生成物を、デッシュに移し、真空下、40℃で24時間乾燥した。重合体を、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0187】
実施例15:Ztyr−PLLA−Ztyrの調製
250mLの3つ口フラスコの中に、Z−チロシン(Ztyr) 7.9g(25mmol)、PLLA2000−ジオール 20g(12mmol)、PTSA 0.47g(2.5mmol)およびヘプタン 250mLを添加した。フラスコは、ディーン−スタークトラップ、オーバーヘッドスターラーおよび温度計を備えている。フラスコの内容物を撹拌し、マントルヒーターを用いて4時間加熱した。ディーン−スタークトラップ内に約0.7mLの水が回収された。さらに還流しても水は発生しなかった。溶媒を別の容器に移し、残存物を30mLのTHFに溶解させた。溶液は5%NaHCO溶液 100mLを用いて撹拌した。水層を除去し廃棄した。残存物を、50mLの5%NaHCO溶液で2回洗浄した。これを50mLのDI水を用いて撹拌した後、真空下で乾燥した。生成物を、H NHRおよびHPLCにより分析した。
【0188】
実施例16:ホスゲン化によるZtyr−PLLA−Ztyrの重合
オーバーヘッドスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコの中に、Ztyr−PLLA−Ztyr 26g(10.0mmol)、塩化メチレン 200mLおよびピリジン 3.7g(47mmol)を加えた。20mLの試料ボトルの中に、0.87gのトリホスゲン(11meqのホスゲン)を8mLの塩化メチレンに溶解し、反応フラスコにシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した後、200mLの水を用いて撹拌した。層を分離させ、上の水層を除去し廃棄した。水でさらに2回洗浄した後、反応混合物をビーカー内でオーバーヘッドスターラーを用いて120mLの2−プロパノールで沈殿させた。生成物を、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。生成物を、H NHR、HPLC、GPCおよびDSCにより分析した。
【0189】
実施例17:アジピン酸を用いたポリエステル重縮合によるZtyr−PLLA−Ztyrの重合
50mLの丸底フラスコの中に、Ztyr−PLLA−Ztyr 5.2g(2.00mmol)、塩化メチレン 25mLおよびアジピン酸(AA) 0.293g(2.00mmol)、DPTS 0.059g(0.20mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン 0.061g(0.50mmol)を添加した。内容物をマグネティックスターラで30分撹拌し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド 0.76g(6.00mmol)を加えて撹拌した。Mwは種々の間隔で測定し、反応は所望のMWに達するまで続けた。次いで、反応混合物を、IPAで沈殿させ、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。得られた生成物を、デッシュに移し、真空下、40℃で24時間乾燥した。重合体を、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0190】
実施例18:TBz−アジピン酸−TBzジアミド(TBz−AA−TBz)の調製
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコの中に、チロシンベンジルエステル(TBz)(13.8g、0.051mol)、アジピン酸(3.7g、0.025mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.80g、0.0059mol)およびTHF 150mLを加えた。フラスコは窒素で陽圧下に維持し、氷浴を用いて5℃に冷却した。その後、冷却された溶液にEDCI(14.8g、0.077mol)を添加し、その温度で1時間撹拌した。その後冷却バスを除去し、反応混合物を室温まで温め、終夜で撹拌した。その後、反応混合物に、0.2M HCl 300mLを加え、5分撹拌した後、静置した。水層を除去し廃棄した。有機層を、100mLの0.2M HClで2回洗浄し、水層はそれぞれ廃棄した。さらに、5%NaHCO溶液 100mL×2およびDI水50mLで洗浄した。生成物を、窒素蒸気下で乾燥し、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物をH NHRおよびHPLCにより分析した。
【0191】
実施例19:ホスゲン化によるTBz−AA−TBzの重合
オーバーヘッドスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコの中に、TBz−AA−TBz 9.8g(15mmol)、塩化メチレン 100mLおよびピリジン 3.7g(47mmol)を加えた。20mLの試料ボトルの中に、1.57gのトリホスゲン(16meqのホスゲン)を8mLの塩化メチレンに溶解し、反応フラスコにシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した後、100mLの水を用いて撹拌した。層を分離させ、上の水層を除去し廃棄した。水でさらに2回洗浄した後、反応混合物をビーカー内でオーバーヘッドスターラーを用いて120mLの2−プロパノールで沈殿させた。得られた生成物を、PTFEデッシュに移し、真空下、50℃で24時間乾燥し、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0192】
実施例20:アジピン酸を用いたTBz−AA−TBzのポリエステル重縮合(ポリ(TBz−AA−TBzアジピン酸塩)
20mLのシンチレーションバイアル中に、TBz−AA−TBz 1.3g(2.00mmol)、塩化メチレン 15mL、およびアジピン酸(AA) 0.293g(2.00mmol)、DPTS 0.059g(0.20mmol)および4−ジメチルアミノピリジン 0.061g(0.50mmol)を添加した。内容物をマグネティックスターラで30分撹拌し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド 0.76g(6.00mmol)を加えて撹拌した。Mwは種々の間隔で測定し、反応は所望のMWに達するまで続けた。次いで、反応混合物を、IPAで沈殿させ、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。得られた生成物を、デッシュに移し、真空下、40℃で24時間乾燥した。重合体は、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0193】
実施例21:ポリ(TBz−AA−TBz炭酸塩)の脱保護
250mLのパーシェーカーボトルの中で、(TBz−AA−TBz炭酸塩) 10gを100mLのDMFを用いて撹拌した。これに、硫酸バリウムに担持されたパラジウム(Pd/BaS0) 1gを添加し、ボトルをパーシェーカーに固定し、水素ガス圧力を60psiに維持した。4時間振盪した後、ボトルの内容物を目の細かいフリットガラスロートを用いてろ過した。ろ液を、500mLのDI水を用いて激しく撹拌させて沈殿させ、得られた沈殿物をDI水3 100mLで撹拌した。生成物をろ過により分離し、水で洗浄した。生成物を40℃の真空オーブンで24時間乾燥した。重合体を、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0194】
実施例22:ポリ(TBz−AA−TBzアジピン酸塩)の脱保護
250mLのパーシェーカーボトルの中で、(TBz−AA−TBz炭酸塩) 10gを100mLのDMFを用いて撹拌した。これに、硫酸バリウムに担持されたパラジウム(Pd/BaS0) 1gを添加し、ボトルをパーシェーカーに固定し、水素ガス圧力を60psiに維持した。4時間振盪した後、ボトルの内容物を目の細かいフリットガラスロートを用いてろ過した。ろ液を、500mLのDI水を用いて激しく撹拌させて沈殿させ、得られた沈殿物をDI水3 100mLで撹拌した。生成物をろ過により分離し、水で洗浄した。生成物を40℃の真空オーブンで24時間乾燥した。重合体を、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0195】
実施例23:TtBu−アジピン酸−TtBuジアミド(TtBu−AA−TtBu)の調製
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコの中に、チロシンt−ブチルエステル(TtBu)(12.9g、0.051mol)、アジピン酸(3.7g、0.025mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.80g、0.0059mol)およびTHF 150mLを加えた。フラスコは窒素で陽圧下に維持し、氷浴を用いて5℃に冷却した。その後、冷却された溶液にEDCI(14.8g、0.077mol)を添加し、その温度で1時間撹拌した。その後冷却バスを除去し、反応混合物を室温まで温め、終夜で撹拌した。その後、反応混合物に、0.2M HCl 300mLを加え、5分撹拌した後、静置した。水層を除去し廃棄した。有機層を、100mLの0.2M HClで2回洗浄し、水層はそれぞれ廃棄した。さらに、5%NaHCO溶液100mL×2およびDI水50mLで洗浄した。生成物を、窒素蒸気下で乾燥し、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物をH NHRおよびHPLCにより分析した。
【0196】
実施例24:ホスゲン化によるTtBu−AA−TtBuの重合
オーバーヘッドスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコの中に、TtBu−AA−TtBu 8.8g(15mmol)、塩化メチレン 100mLおよびピリジン 3.7g(47mmol)を加えた。20mLの試料ボトルの中に、1.57gのトリホスゲン(16meqのホスゲン)を8mLの塩化メチレンに溶解し、反応フラスコにシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した後、100mLの水を用いて撹拌した。層を分離させ、上の水層を除去し廃棄した。水でさらに2回洗浄した後、反応混合物をビーカー内でオーバーヘッドスターラーを用いて120mLの2−プロパノールで沈殿させた。得られた生成物を、PTFEデッシュに移し、真空下、50℃で24時間乾燥し、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0197】
実施例25:アジピン酸を用いたTtBu−AA−TtBuのポリエステル重縮合(ポリ(TtBu−AA−TtBuアジピン酸塩)
20mLのシンチレーションバイアル中に、TtBu−AA−TtBu 1.3g(2.00mmol)、塩化メチレン 15 mL、アジピン酸(AA) 0.293 g (2.00 mmol)、DPTS 0.059g(0.20mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン 0.061g (0.50mmol)を添加した。内容物をマグネティックスターラで30分撹拌し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド 0.76g(6.00mmol)を加えて撹拌した。Mwは種々の間隔で測定し、反応は所望のMWに達するまで続けた。次いで、反応混合物を、IPAで沈殿させ、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。得られた生成物を、デッシュに移し、真空下、40℃で24時間乾燥した。重合体を、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0198】
実施例26:ポリ(TtBu−AA−TtBu炭酸酸塩)の脱保護
50mLの丸底フラスコの中で、ポリ(TtBu−AA−TtBu炭酸塩) 5gを26mLの塩化メチレンを用いて撹拌した。これに、8mLトリフルオロ酢酸を添加し、大気中で16時間撹拌した。反応混合物を、IPA 100mLを添加することにより沈殿させた。得られた沈殿物を、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。生成物をろ過により分離し、IPAで洗浄した。生成物を、真空オーブンで、40℃で24時間乾燥し、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0199】
実施例27:ポリ(TBz−AA−TBzアジピン酸塩)の脱保護
50mLの丸底フラスコの中で、ポリ(TBz−AA−TBzアジピン酸塩) 5gを26mLの塩化メチレンを用いて撹拌した。これに、8mLトリフルオロ酢酸を添加し、大気中で16時間撹拌した。反応混合物を、IPA 100mLを添加することにより沈殿させた。得られた沈殿物を、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。生成物をろ過により分離し、IPAで洗浄した。生成物を、真空オーブンで、40℃で24時間乾燥し、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0200】
実施例28:セレオニンオクタデシルエステル(ThBzOd)の調製
セレオニンの側鎖ヒドロキシ基がこの反応を妨げるため、ベンジルエーテルとして保護されたヒドロキシ基を有するセレオニン(ThBz)を用いた。オーバーヘッドスターラー、ディーン−スタークトラップ、および温度計を備えた500mLの3つ口フラスコの中に、ThBz 13.3g(0.10mol)、オクタデカノール(Od) 27g(0.10mol)、PTSA一水和物 21g(0.11mol)およびヘプタン 300mLを添加した。フラスコの内容物を撹拌し、溶媒が蒸留されるまでマントルヒーターを用いて加熱した。蒸留により、ディーン−スタークトラップのサイドアームに約3.5mLの水が回収され、さらに水の回収が発生しなくなるまで継続した。反応を停止し、室温まで冷却した。別の容器に移して溶剤層を除去し、残存物を200mLのヘキサンで撹拌し、ろ過した。フィルターロート上の残存物を、いくらかの量のヘキサンで洗浄し、真空オーブン中で、40℃で乾燥した。
【0201】
実施例29:ThE−アジピン酸−ThEジアミド(ThE−AA−ThE)の調製
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた500mLの丸底フラスコの中に、ThE(14.7g、0.10mol)、アジピン酸(7.16g、0.049mol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.35g、0.010mol)およびTHF 100mLを加えた。フラスコは窒素で陽圧下に維持し、氷浴を用いて5℃に冷却した。その後、冷却された溶液にEDCI(23g、0.12mol)を添加し、その温度で1時間撹拌した。その後冷却バスを除去し、反応混合物を室温まで温め、終夜で撹拌した。反応混合物を減圧して乾燥した後、酢酸エチル 150mLおよび0.2M HCl 150mLで撹拌した。次いで内容物を分液ロートに移し、層を分離させた。下の水層を除去し廃棄した。有機層を、250mLの0.2M HCl、50mLの5%NaHCO溶液および50mLの飽和NaCl水で洗浄した。その後、MgSO4を用いて乾燥させ、減圧して乾燥させた。残存物は、窒素蒸気下で乾燥させ、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物をH NHR、HPLCおよび元素分析により分析した。
【0202】
実施例30:アジピン酸を用いたポリエステル重縮合によるThE−AA−ThEの重合
50mLの丸底フラスコの中に、ThE−AA−ThE 2.5g(4.0mmol)、塩化メチレン 15mLおよびアジピン酸(AA) 0.585g(4.00mmol)、DPTS 0.12g(0.40mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン 0.061g(0.50mmol)を添加した。内容物をマグネティックスターラで30分撹拌し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド 1.51g(12.0mmol)を加えて撹拌した。MwはGPCにより測定し、反応は所望のMWに達するまで続けた。次いで、おビーカー内で、ゲルに100mLのIPAを加えて撹拌した。ろ過によりフリットガラスロート上に膨潤したゲルが分離して得られた。フィルターロートを20mL×2のIPAで洗浄した。得られた生成物を、デッシュに移し、真空下、40℃で24時間乾燥し、GPC、DSCおよびH NHRにより分析した。
【0203】
実施例31:1,12−ドデカンジオール酸を用いたThE−AA−ThEのポリエステル重縮合
50mLの丸底フラスコに、ThE−AA−ThE 2.5g(4.0mmol)、塩化メチレン 25mL、1,12−ドデカンジオール酸(DD) 0.92g(4.0mmol)、DPTS 0.74g(2.5mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン 0.061g(0.50mmol)を添加した。内容物をマグネティックスターラで30分撹拌し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド 1.51g(12mmol)を加えて撹拌した。約1時間攪拌した後、MWはGPCにより測定し、反応は所望のMWに達するまで続けた。次いで、反応混合物を、IPAで沈殿させ、実験用ブレンダー中で、IPAによる紛体化によりさらに精製した。生成物を、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。
【0204】
実施例32:セレオニンオクタデシルエステル(ThBzOd)の調製
セレオニンの側鎖ヒドロキシ基がこの反応を妨げるため、ベンジルエーテルとして保護されたヒドロキシ基を有するセレオニン(ThBz)を用いた。オーバーヘッドスターラー、ディーン−スタークトラップ、および温度計を備えた500mLの3つ口フラスコの中に、ThBz 13.3g(0.10mol)、オクタデカノール(Od) 27g(0.10mol)、PTSA一水和物 21g(0.11mol)およびヘプタン 300mLを添加した。フラスコの内容物を撹拌し、溶媒が蒸留されるまでマントルヒーターを用いて加熱した。蒸留により、ディーン−スタークトラップのサイドアームに約3.5mLの水が回収され、さらに水の回収が発生しなくなるまで継続した。反応を停止し、室温まで冷却した。別の容器に移して溶剤層を除去し、残存物を200mLのヘキサンで撹拌し、ろ過した。フィルターロート上の残存物を、いくらかの量のヘキサンで洗浄し、真空オーブン中で、40℃で乾燥した。
【0205】
上記で得られたBzThOd.PTSAを、オーバーヘッドスターラーを用いて、4Lビーカー内で、1時間400mLの95%エタノールで撹拌した。これに、44mLの5M炭酸カルシウム溶液(0.22molのKC0)を撹拌しながら添加した。30分の撹拌の後、1Lの脱イオン水を加えて、固体が分散するよう激しく撹拌し、次いで、フリットガラスロートを用いてろ過した。フィルター上の残存物を、いくらかのDI水で洗浄した。生成物を、窒素蒸気下で乾燥し、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物をH NHR、HPLCおよび元素分析により分析した。
【0206】
実施例33:ThBzOd−アジピン酸−ThBzOdジアミド(ThBzOd−AA−ThBzOd)の調製
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた250mLの丸底フラスコの中に、ThBzOd(9.23g、20mmol)、アジピン酸(1.25g、9.8mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.27g、2.0mol)およびTHF 100mLを加えた。フラスコは窒素で陽圧下に維持し、氷浴を用いて5℃に冷却した。その後、冷却された溶液にEDCI(14.8g、0.077mol)を添加し、その温度で1時間撹拌した。その後冷却バスを除去し、反応混合物を室温まで温め、終夜で撹拌した。その後、反応混合物に、0.2MHCl 300mLを加え、5分撹拌した後、層が分離するまで静置した。水層を除去し廃棄した。有機層を、0.2MHCl 100mLで洗浄し、続いて、5%NaHCO溶液100mLおよびDI水100mLで洗浄した。生成物をろ過により分離し、水で洗浄した。生成物を、窒素蒸気下で乾燥し、続いて、真空オーブンで、40℃24時間乾燥した。生成物をH NHR、HPLCおよび元素分析により分析した。
【0207】
実施例34:ThOd−AA−ThOdを得るための水素化によるThZbOd−AA−ThZbOdの脱保護
この反応ではパーシェーカー(parr shaker)を用いた。パーシェーカーボトルの中に、ThZbOd−AA−ThZbOd 20.7g(20mmol)、DMF 100mL、およびレーニ―ニッケル(Raney−Nickel) 1gを加えた。ボトルは、パー発生器(Parr generator)に固定し、水素60psiに維持した。ボトルを2時間振盪した。触媒をろ過により除去し、ろ液に500mLのDI水を加え、激しく撹拌した。層を分離させ、水層を除去し廃棄した。有機層を、白色固体として生成物が沈殿するまでさらに200mLの水で洗浄し、白色固体をろ過により分離し、40℃の真空オーブンで24時間乾燥し、H NHRおよび元素分析により分析した。
【0208】
実施例35:ホスゲン化によるThOd−AA−ThOdの重合
オーバーヘッドスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコの中に、ThOd−AA−ThOd 8.53g(10mmol)、乾燥塩化メチレン 100mLおよびピリジン 3.7g(47mmol)を加えて、15分撹拌した。20mLの試料ボトルの中に、1.1gのトリホスゲン(11meqのホスゲン)を8mLの乾燥塩化メチレンに溶解し、反応フラスコにシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した(注意:所望のMWを得るために追加のトリホスゲンが必要になりうる)後、100mLの水を用いて撹拌した。層を分離させ、上の水層を除去し廃棄した。水でさらに2回洗浄した後、反応混合物をビーカー内でオーバーヘッドスターラーを用いて150mLの2−プロパノールで沈殿させた。得られた生成物を、実験用ブレンダー中で、50mLのIPAにより紛体化した。得られた生成物を、PTFEデッシュに移し、真空下、50℃で24時間乾燥した。重合体を、GPC、H NHR分析およびDSCにより分析した。
【0209】
実施例36:1,12−ドデカンジオール酸を用いたThOd−AA−ThOdのポリエステル重縮合
50mLの丸底フラスコに、ThOd−AA−ThOd 2.13g(2.50mmol)、塩化メチレン 25mL、1,12−ドデカンジオール酸(DD) 0.576g(2.50mmol)、DPTS 0.44g(1.5mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン 0.061g(0.50mmol)を添加した。内容物をマグネティックスターラで30分撹拌し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド 0.95g(7.5mmol)を加えて撹拌した。分子量を定期的にGPCにより測定し、所望のMWに達してから反応を停止した。生成物を、100mLのIPAを添加して沈殿させ、続いて、実験用ブレンダー中で、IPAを用いての沈殿により紛体化した。重合体を、窒素蒸気下で乾燥し、続いて、真空オーブンで、40℃で乾燥した。重合体を、GPC、H NHRおよびDSCにより分析した。
【0210】
実施例37:XTh−PrD−XThの調製
250mLの3つ口フラスコの中に、アセチル基によるN−保護およびベンジルエーテルによるO−保護されたセレオニン(XTh) 6.3g(25mmol)、1,3−プロパンジオール 0.91g(12mmol)、PTSA 0.48g(2.5mmol)およびヘプタン 150mLを添加した。フラスコは、ディーン−スタークトラップ、オーバーヘッドスターラーおよび温度計を備えている。フラスコの内容物を撹拌し、マントルヒーターを用いて4時間加熱し、ディーン−スタークトラップ内に約0.4mLの水が回収された。さらに還流しても水は発生しなかった。反応混合物を冷却し、生成物は半固体になった。溶媒を別の容器に移し、残存物を30mLのTHFで撹拌したところ、大部分は溶解したが、少量の不溶残存物が残り、これらはろ過により除去した。ろ液を5%NaHCO溶液 100mLを用いて撹拌し、オイル状層を分離した。このオイルを、50mLの5%NaHCO溶液で2回洗浄し、半固体とした。これを50mLのDI水を用いて撹拌した後、真空下で乾燥した。得られた生成物は半固体であり、H NHR分析およびHPLCにより分析し、生成物、原料およびモノ付加体以外の数種の不純物が見られた。生成物を、溶離液として酢酸エチル−ヘプタンの好適な混合物を、勾配をかけて用いて、シリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィにより精製した。精製した材料を、LC/MS(ネガティブイオンモード)、H NHRおよびTLCにより分析した。
【0211】
実施例38:AcTh−PrD−ACThを得るための水素化によるXTh−PrD−XThの脱保護
この反応ではパーシェーカー(parr shaker)を用いた。パーシェーカーボトルの中に、XTh−PrD−XTh 10.9g(20mmol)、DMF 100mL、およびレーニ―ニッケル 1gを加えた。ボトルは、パー発生器に固定し、60psiの水素下に維持した。ボトルを2時間振盪した。触媒をろ過により除去し、ろ液に500mLのDI水を加え、激しく撹拌した。層を分離させ、水層を除去し廃棄した。有機層を、白色固体として生成物が沈殿するまでさらに200mLの水で洗浄し、白色固体をろ過により分離し、40℃の真空オーブンで24時間乾燥し、H NHRおよび元素分析により分析した。
【0212】
実施例39:ホスゲン化によるAcTh−PrD−ACThの重合
オーバーヘッドスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコの中に、AcTh−PrD−ACTh 8.53g(10mmol)、乾燥塩化メチレン 100mLおよびピリジン 3.7g(47mmol)を加えて、15分撹拌した。20mLの試料ボトルの中に、1.1gのトリホスゲン(11meqのホスゲン)を8mLの乾燥塩化メチレンに溶解し、反応フラスコにシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した(注意:所望のMWを得るために追加のトリホスゲンが必要になりうる)後、100mLの水を用いて撹拌した。層を分離させ、上の水層を除去し廃棄した。水でさらに2回洗浄した後、反応混合物をビーカー内でオーバーヘッドスターラーを用いて150mLの2−プロパノールで沈殿させた。得られた生成物を、実験用ブレンダー中で、50mLのIPAにより紛体化した。得られた生成物を、PTFEデッシュに移し、真空下、50℃で24時間乾燥した。重合体を、GPC、H NHR分析およびDSCにより分析した。
【0213】
実施例40:1,12−ドデカンジオール酸を用いたAcTh−PrD−ACThのポリエステル重縮合
50mLの丸底フラスコに、AcTh−PrD−ACTh 2.2g(4.0mmol)、塩化メチレン 25mL、1,12−ドデカンジオール酸(DD) 0.92g(4.0mmol)、DPTS 0.74g(2.5mmol)および4−ジメチルアミノピリジン 0.061g(0.50mmol)を添加した。内容物をマグネティックスターラで30分撹拌し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド 1.51g(12mmol)を加えて撹拌した。約1時間の反応の後、MWをGPCにより測定し、所望のMWに達するまで反応を継続した。生成物を、100mLのIPAを添加して沈殿させ、続いて、実験用ブレンダー中で、IPAを用いての沈殿により重合体を紛体化した。生成物を、真空オーブンで、40℃で24時間乾燥した。
【0214】
実施例41:AcTyr−PrD−AcTyrの調製
250mLの3つ口フラスコの中に、N−アセチルーチロシン(AcTyr) 5.6g(25mmol)、1,3−プロパンジオール 0.91g(12mmol)、PTSA 0.47g(2.5mmol)およびヘプタン 150mLを添加した。フラスコは、ディーン−スタークトラップ、オーバーヘッドスターラーおよび温度計を備えている。フラスコの内容物を撹拌し、マントルヒーターを用いて、ディーン−スタークトラップのサイドアーム内に水が回収されるまで4時間加熱した。反応混合物を冷却し、溶媒を別の容器に移した。残存物はTHFに溶解した。ろ液を5%NaHCO溶液 100mLを用いて撹拌し、分離されたオイル状層を、50mLの5%NaHCO溶液を用いて2回撹拌した。得られた残存物を50mLのDI水を用いて撹拌した後、真空下で乾燥した。得られた生成物を、H NHR分析およびHPLCにより分析した。生成物を、溶離液として酢酸エチル−ヘプタンの40:60から50:50を用いて勾配をかけて、シリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィにより精製した。精製した材料を、LC/MS(ネガティブイオンモード)、H NHRおよびTLCにより分析した。
【0215】
実施例42:ホスゲン化によるAcTyr−PrD−AcTyrの重合
オーバーヘッドスターラーを備えた500mLの4つ口フラスコの中に、AcTyr−PrD−AcTyr 3.1g(6mmol)、塩化メチレン 25mLおよびピリジン 1.9g(24mmol)を加えた。撹拌して透明な溶液を形成した。20mLの試料ボトルの中に、0.61gのトリホスゲン(6.2meqのホスゲン)を10mLの塩化メチレンに溶解し、反応フラスコにシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。反応混合物を15分間撹拌した後、50mLの水を用いて撹拌した。層を分離させ、上の水層を除去し廃棄した。水でさらに2回洗浄した後、反応混合物をビーカー内でマグネティックスターラーを用いて30mLの2−プロパノールで沈殿させた。1時間静置した後、浮遊物(supernatant)を別の容器に移して廃棄した。沈殿物を、ビーカー中で、20mLのIPAで2回撹拌した。重合体が湿塊として得られた。生成物を、PTFEデッシュに移し、真空下、50℃で24時間乾燥した。重合体を、GPC、H NHR分析およびDSCにより分析した。
【0216】
実施例43:I2TE−AA−I2TEの調製
250mLのErlenmeyerフラスコ内で、TE−AA−TE(5g、9mmol)をエタノール 50mLおよびピリジン 7mLに溶解した。これに、19.4mLの2M KIC1溶液(39mmol)を激しく撹拌しながら10分かけて添加した。内容物を、続けて2時間撹拌した。この反応混合物に、200mLのDI水を添加し、次いで沈殿物をろ過により分離し、フィルターロート中で、水で洗浄した。生成物を、真空オーブンで、40℃で24時間乾燥した。生成物を、H NHRおよびHPLCにより分析した。
【0217】
実施例44:I2TOd−AA−I2TOdの調製
250mLのErlenmeyerフラスコ内で、TOd−AA−TOd(4.9g、5mmol)をエタノール 50mLおよびピリジン 3.5mL(44mmol)に溶解した。これに、10.3mLの2M KIC1溶液(21mmol)を激しく撹拌しながら10分かけて添加した。内容物を、続けて2時間撹拌した。この反応混合物に、200mLのDI水を添加し、次いで沈殿物をろ過により分離し、フィルターロート中で、水で洗浄した。生成物を、真空オーブンで、40℃で24時間乾燥した。生成物を、H NHRおよびHPLCにより分析した。
【0218】
実施例45:I2AcTyr−PrD−I2AcTyrの調製
250mLのErlenmeyerフラスコ内で、AcTyr−PrD−AcTyr(45.1g、10mmol)をエタノール 50mLおよびピリジン 8mL(21mmol)に溶解した。これに、19.4mLの2M KIC1溶液(39mmol)を激しく撹拌しながら10分かけて添加した。内容物を、続けて2時間撹拌した。この反応混合物に、200mLのDI水を添加し、次いで沈殿物をろ過により分離し、フィルターロート中で、水で洗浄した。生成物を、真空オーブンで、40℃で24時間乾燥した。生成物を、H NHRおよびHPLCにより分析した。
【0219】
当業者であれば、本発明の精神を逸脱することなく多くのおよび多様な修正がなされうることが理解できるであろう。したがって、本明細書中に記載された本発明の多様な実施形態は、説明のためだけのものであって本発明の技術的範囲を制限しようとするものではないことは明確に理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Ia:
【化1】

式中、
fは0または1であり;
およびXは、それぞれ独立して、O、S、およびNRからなる群より選択され、この際、Rは水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択され;
およびXは、独立して、−(C=O)−NR−(尿素)、−(C=O)−O−(カルバメート)、−(C=O)−S−(チオカルバメート)、および−(C=O)−(アミド)からなる群より選択され;
Rは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルからなる群より選択され、この際、少なくともひとつのRは、ペンダント型カルボン酸もしくはカルボキシレート基、またはそれらのチオもしくはアミド類縁体を有し;
およびRは、独立して、水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択され;ならびに
Bは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群より選択され、またはBは、HO−B−OHがヒドロキシ末端封止マクロマー、HN−B−NHがアミノ末端封止マクロマー、もしくはHS−B−SHがチオール末端封止マクロマーであるように選択される、
で表される構造を有する単量体化合物。
【請求項2】
R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rによって定義される少なくともひとつの構造が、アミノ酸またはチオ、アミドもしくはエステル類縁体であるように選択される、請求項1に記載の単量体。
【請求項3】
R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rによって定義されるふたつの構造が、アミノ酸であるように選択される、請求項2に記載の単量体。
【請求項4】
R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rによって定義されるふたつの構造が、α−アミノ酸であるように選択される、請求項2または3に記載の単量体。
【請求項5】
R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rによって定義されるふたつの構造が、自然発生α−アミノ酸であるように選択される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項6】
少なくともひとつのRは、−R−Ar−または−Ar−R−であり、ならびにAr、R、R、X、XおよびRは、R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rによって定義される少なくともひとつの構造が、それぞれ、R−X−Ar−R−NHまたはNH−R−Ar−X−Rであるように選択され;
この際、Arは、独立して、フェニル環、
【化2】

からなる群より選択され、この際、ひとつの芳香環につき、独立して、ハロゲン、ハロメチル、ハロ−メトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシド、およびスルホニルからなる群より選択される1〜4の置換基で置換されていてもよく;
ならびに、少なくともひとつのRは、ペンダント型カルボン酸もしくはカルボキシレート基、またはそれらのチオもしくはアミド類縁体を有し、およびRは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロ−アルケニルである、請求項2〜5のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項7】
前記R−X−R−NHおよびNH−R−X−Rによって定義される少なくともひとつの構造が、システイン、セリン、セレオニン、チロシン、チロニン、およびヒドロキシ−トリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項8】
下記化学式IIa:
【化3】

式中、
fは0または1であり;
、X、X、X、XおよびXは、独立して、O、S、およびNRからなる群より選択され、この際、Rは水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択され;
Rは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルからなる群より選択され、この際、少なくともひとつのRは、ペンダント型アミノ基またはイミン骨格を有し;
およびRは、独立して、水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択され;ならびに
Bは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群より選択され、またはB、XおよびXは、HX-B-XHが、ヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマー、またはアミン末端封止マクロマーで定義されるように選択される、
で表される構造を有する単量体化合物。
【請求項9】
R、R、X、X、X、XおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rによって定義される少なくともひとつの構造が、アミノまたはイミノ酸であるように選択される、請求項8に記載の単量体。
【請求項10】
R、R、X、X、X、XおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rによって定義されるふたつの構造が、アミノ酸であるように選択される、請求項9に記載の単量体化合物。
【請求項11】
R、R、X、X、X、XおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rによって定義されるふたつの構造が、α−アミノ酸であるように選択される、請求項9または10に記載の単量体。
【請求項12】
R、R、X、X、X、XおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rによって定義されるふたつの構造が、自然発生α−アミノ酸であるように選択される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項13】
少なくともひとつのRは、−R−Ar−または−Ar−Rであり、ならびにAr、R、R、X、X、X、ΧおよびRは、R−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rによって定義される少なくともひとつの構造が、それぞれ、R−X−Ar−R−(C=X)OHまたはHO−(C=X)−R−Ar−X−Rとなるように選択され:
この際、Arは、独立して、フェニル環、
【化4】

からなる群より選択され、この際、ひとつの芳香環につき、独立して、ハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシド、およびスルホニルからなる群より選択される1〜4の置換基で置換されていてもよく;
少なくともひとつのRは、置換されていてもよいペンダント型アミノ基またはイミン骨格を有し、およびRは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルからなる群より選択され、
およびRは、独立して、水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択される、請求項9〜12のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項14】
−X−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−X−Rによって定義される少なくともひとつの構造が、システイン、セリン、セレオニン、チロシン、チロニン、およびヒドロキシ−トリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸である、請求項9〜13のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項15】
存在するX、X、X、X、XおよびXは、酸素原子である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項16】
存在するRのそれぞれは、−R−Ar−または−Ar−R−である、請求項6、7、13、または14に記載の単量体。
【請求項17】
Ar環は、それぞれ独立して、少なくともひとつのハロゲン原子で置換される、請求項16に記載の単量体。
【請求項18】
それぞれのAr環は、ふたつのヨウ素原子で置換される、請求項17に記載の単量体。
【請求項19】
は、1〜10の炭素原子を含むアルキル基である、請求項16〜18のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項20】
は、2の炭素原子を含む、請求項19に記載の単量体化合物。
【請求項21】
f=1およびふたつのR基が、ペンダント型カルボキシレート基またはカルボン酸基を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項22】
少なくともひとつのR基は、前記Rで定義された炭素原子数に加えて、30までの炭素原子を含むアルキルエステル基を有するペンダント型カルボキシレート基を有する、請求項22に記載の単量体。
【請求項23】
f=1およびふたつのR基は、ペンダント型アミノまたはイミン骨格基を有する、請求項8〜14のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項24】
少なくともひとつのR基は、前記Rで定義された炭素原子数に加えて、30まで炭素原子を含むアルキル基を有するモノ置換またはジ置換されたペンダント型アミノを有する、請求項23に記載の単量体。
【請求項25】
前記アルキル基は、6〜10の炭素原子を含む結晶性基(crystallizable group)である、請求項24に記載の単量体。
【請求項26】
Bは、メチレン基またはメチル置換メチレン基である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項27】
Bは、ヒドロキシ末端封止ポリカプロラクトン、ヒドロキシ末端封止ポリ乳酸、ヒドロキシ末端封止ポリグリコール酸、ヒドロキシ末端封止ポリ(乳酸−グリコール酸共重合体)、ヒドロキシ末端封止ポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキサイド)およびヒドロキシ末端封止ポリジオキサンからなる群より選択される少なくともひとつのマクロマーブロックを含む、ヒドロキシ末端封止マクロマーブロックである、請求項1〜25のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項28】
前記アルキレンジオールが、ヘキサンジオールである、請求項27に記載の単量体。
【請求項29】
Bは、ポリカプロラクトンジカルボキシレート、ポリ乳酸ジカルボキシレート、ポリグリコール酸ジカルボキシレート、ポリ(乳酸−グリコール酸共重合体)ジカルボキシレート、ポリ(アルキレンジオール)ジカルボキシレート、ポリ(アルキレンオキサイド)ジカルボキシレートおよびポリジオキサンジカルボキシレートからなる群より選択される少なくともひとつのマクロマーブロックを含む、マクロマージカルボキシレートブロックである、請求項1〜25のいずれか1項に記載の単量体。
【請求項30】
前記マクロマーブロックは、ホモポリマーまたはホスゲンと共重合し形成されたカーボネートマクロマージカルボキシレートである、請求項27または29に記載の単量体。
【請求項31】
下記構造:
【化5】

式中、
fは0または1であり;
、XおよびXは、独立して、O、S、およびNRからなる群より選択され、この際、Rは水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択され;
およびXは、独立して、−(C=O)−NR−(尿素)、−(C=O)−O−(カルバメート)、−(C=O)−S−(チオカルバメート)、および−(C=O)−(アミド)からなる群より選択され;
Rは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルからなる群より選択され、この際、少なくともひとつのRは、ペンダント型カルボン酸もしくはカルボキシレート基、またはそれらのチオもしくはアミド類縁体を有し;ならびに
Bは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群より選択され、またはBは、HO−B−OHがヒドロキシ末端封止マクロマー、HN−B−NHがアミノ末端封止マクロマー、もしくはHS−B−SHがチオール末端封止マクロマーであるように選択される、
で表される少なくともひとつの繰り返し単位を含む、重合体。
【請求項32】
R、XおよびXは、HX−R−NHおよびNH−R−XHによって定義される少なくともひとつの構造が、アミノ酸またはそれらのチオ、アミドもしくはエステル類縁体であるように選択される、請求項31に記載の重合体。
【請求項33】
R、XおよびXは、HX−R−NHおよびNH−R−XHによって定義されるふたつの構造が、アミノ酸であるように選択される、請求項32に記載の重合体。
【請求項34】
R、XおよびXは、HX−R−NHおよびNH−R−XHによって定義されるふたつの構造が、α−アミノ酸であるように選択される、請求項32または33に記載の重合体。
【請求項35】
R、XおよびXは、HX−R−NHおよびNH−R−XHによって定義されるふたつの構造が、自然発生α−アミノ酸であるように選択される、請求項32〜34のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項36】
少なくともひとつのRは、−R−Ar−または−Ar−R−であり、ならびにAr、R、XおよびXは、HX−R−NHおよびNH−R−XHによって定義される少なくともひとつの構造が、それぞれ、HX−Ar−R−NHまたはNH−R−Ar−XHであるように選択され;
この際、Arは、独立して、フェニル環、
【化6】

からなる群より選択され、ひとつの芳香環につき、独立して、ハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシド、およびスルホニルからなる群より選択される1〜4の置換基で置換されていてもよく;ならびに
少なくともひとつのRは、ペンダント型カルボン酸もしくはカルボキシレート基、またはそれらのチオ、もしくはアミド類縁体を有し、およびRは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロ−アルケニルである、請求項32〜35のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項37】
HX−R−NHおよびNH−R−XHによって定義される少なくともひとつの構造が、システイン、セリン、セレオニン、チロシン、チロニン、およびヒドロキシ−トリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸である、請求項32〜36のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項38】
下記構造:
【化7】

式中、
fは0または1であり;
、X、X、X、X、XおよびXは、独立して、O、S、およびNRからなる群より選択され、この際、Rは水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択され;
Rは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルからなる群より選択され、この際、少なくともひとつのRは、ペンダント型アミノ基またはイミン骨格を有し;ならびに
Bは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群より選択され、またはB、XおよびXは、HX−B−XHが、ヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマー、またはアミン末端封止マクロマーであるように選択される、
で表される少なくともひとつの繰り返し単位を含む、重合体。
【請求項39】
R、X、X、XおよびXは、HX−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−XHによって定義される少なくともひとつの構造が、アミノまたはイミノ酸であるように選択される、請求項38に記載の重合体。
【請求項40】
R、X、X、XおよびXは、HX−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−XHによって定義されるふたつの構造が、アミノ酸であるように選択される、請求項39に記載の重合体。
【請求項41】
R、X、X、XおよびXは、HX−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−XHによって定義されるふたつの構造が、α−アミノ酸であるように選択される、請求項39または40に記載の重合体。
【請求項42】
R、X、X、XおよびXは、HX−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−XHによって定義されるふたつの構造が、自然発生α−アミノ酸であるように選択される、請求項39〜41のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項43】
少なくともひとつのRは、−R−Ar−または−Ar−R−であり、ならびにAr、R、R、X、X、X、XおよびRは、HX−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−XHによって定義される少なくともひとつの構造が、それぞれ、HX−Ar−R−(C=X)OHまたはHO−(C=X)−R−Ar−X−Hであるように選択され;
この際、Arは、独立して、フェニル環、
【化8】

からなる群より選択され、この際、ひとつの芳香環につき、独立して、ハロゲン、ハロメチル、ハロメトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシド、およびスルホニルからなる群より選択される1〜4の置換基で置換されていてもよく;ならびに
少なくともひとつのRは、置換されていてもよいペンダント型アミノ基またはイミン骨格を有し、およびRは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルである、請求項39〜42のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項44】
前記HX−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−XHによって定義される少なくともひとつの構造が、システイン、セリン、セレオニン、チロシン、チロニン、およびヒドロキシ−トリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸である、請求項39〜42に記載の重合体。
【請求項45】
ヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマー、またはアミン末端封止マクロマーとブロック共重合される、請求項31〜44のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項46】
ヒドロキシ末端封止マクロマーブロックは、ヒドロキシ末端封止ポリカプロラクトン、ヒドロキシ末端封止ポリ乳酸、ヒドロキシ末端封止ポリグリコール酸、ヒドロキシ末端封止ポリ(乳酸−グリコール酸共重合体)、ヒドロキシ末端封止ポリ(アルキレンジオール)、ポリ(アルキレンオキサイド)およびヒドロキシ末端封止ポリジオキサンからなる群より選択される少なくともひとつのマクロマーブロックを含む、ヒドロキシ末端封止マクロマーブロックである、請求項45に記載の重合体。
【請求項47】
前記アルキレンジオールが、ヘキサンジオールである、請求項46に記載の重合体。
【請求項48】
前記マクロマーブロックは、ホモポリマーまたはホスゲンと共重合し形成されたヒドロキシ末端封止マクロマーカーボネートである、請求項45に記載の単量体。
【請求項49】
約25〜99重量%のマクロマーブロックを含む、請求項45〜48のいずれか1項に記載の重合体。
【請求項50】
下記構造:
【化9】

式中、
fは0または1であり;
、XおよびXは、独立して、O、S、およびNRからなる群より選択され、この際、Rは水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択され;
およびXは、独立して、−(C=O)−NR−(尿素)、−(C=O)−O−(カルバメート)、−(C=O)−S−(チオカルバメート)、および−(C=O)−(アミド)からなる群より選択され;
Rは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルからなる群より選択され、この際、少なくともひとつのRは、ペンダント型カルボン酸もしくはカルボキシレート基、またはそれらのチオもしくはアミド類縁体を有し;
Bは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群より選択され、またはBは、HO−B−OHがヒドロキシ末端封止マクロマー、HN−B−NHがアミノ末端封止マクロマー、もしくはHS−B−SHがチオール末端封止マクロマーであるように選択され;ならびに
Dは、
【化10】

からなる群より選択され;
その際、R10は、H、それぞれ結晶性であってもよい、それぞれ1〜30の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群より選択され;R12は、単結合、それぞれ1〜18の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、および置換されていてもよいヘテロ−アルケニル基、ならびにそれぞれ3〜12の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキルアリール基、置換されていてもよいヘテロアルキルアリール基、置換されていてもよいアルケニルアリール基、および置換されていてもよいヘテロ−アルケニルアリール基からなる群より選択され;
Dは、HX-D-XHが、24までの炭素原子を含むアルキレンジオール、24までの炭素原子を含むアルキレンジアミン、24までの炭素原子を含むアルキレンジメルカプタン;またはヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマーもしくはアミン末端封止マクロマーであるようにさらに定義される、
で表される少なくともひとつの繰り返し単位を含む、重合体。
【請求項51】
R、XおよびXは、HX−R−NHおよびNH−R−XHによって定義される少なくともひとつの構造が、アミノ酸またはそれらのチオ、アミドもしくはエステル類縁体であるように選択される、請求項50に記載の重合体。
【請求項52】
少なくともひとつのRは、−R−Ar−または−Ar−Rであり、ならびにAr、R、XおよびXは、HX−R−NHおよびNH−R−XHによって定義される少なくともひとつの構造が、それぞれ、HX−Ar−R−NHまたはNH−R−Ar−XHとなるように選択され:
この際、Arは、独立して、フェニル環、
【化11】

からなる群より選択され、この際、ひとつの芳香環につき、独立して、ハロゲン、ハロメチル、ハロ−メトキシ、メチル、メトキシ、チオメチル、ニトロ、スルホキシド、およびスルホニルからなる群より選択される1〜4の置換基で置換されていてもよく;
少なくともひとつのRは、ペンダント型カルボン酸もしくはカルボキシレート基、またはそれらのチオ、もしくはアミド類縁体を有し、およびRは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロ−アルケニルである、請求項50または51に記載の重合体。
【請求項53】
下記構造:
【化12】

式中、
fは0または1であり;
、X、X、X、X、XおよびXは、独立して、O、S、およびNRからなる群より選択され、この際、Rは水素および1〜6の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選択され;
Rは、それぞれ独立して、それぞれ1〜10の炭素原子を含む、置換されていてもよい芳香族、ヘテロ芳香族、アリールエーテル、ハロ芳香族アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルおよびヘテロアルケニルからなる群より選択され、この際、少なくともひとつのRは、ペンダント型アミノ基またはイミン骨格を有し;
Bは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群より選択され、またはB、XおよびXは、HX−B−XHが、ヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマー、またはアミン末端封止マクロマーであるように選択され;ならびに
Dは、
【化13】

からなる群より選択され;
その際、R10は、H、それぞれ、結晶性であってもよい、1〜30の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、および置換されていてもよいヘテロアルケニル基からなる群より選択され、R12は、それぞれ1〜18の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいヘテロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、および置換されていてもよいヘテロアルケニル基、ならびにそれぞれ3〜12の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキルアリール基、置換されていてもよいヘテロアルキルアリール基、置換されていてもよいアルケニルアリール基、および置換されていてもよいヘテロアルケニルアリール基からなる群より選択され;ならびに
Dは、HX-D-XHが、24までの炭素原子を含むアルキレンジオール、24までの炭素原子を含むアルキレンジアミン、24までの炭素原子を含むアルキレンジメルカプタン;またはヒドロキシ末端封止マクロマー、メルカプト末端封止マクロマーもしくはアミン末端封止マクロマーであるようにさらに定義される、
で表される少なくともひとつの繰り返し単位を含む、重合体。
【請求項54】
R、X、X、XおよびXは、HX−R−(C=X)OHおよびHO−(C=X)−R−XHによって定義される少なくともひとつの構造が、アミノまたはイミノ酸であるように選択される、請求項53に記載の重合体。
【請求項55】
存在するX、X、X、X、XおよびXは、酸素原子である、請求項31〜54のいずれか1項に記載の重合体。

【公表番号】特表2013−507398(P2013−507398A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533386(P2012−533386)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/052208
【国際公開番号】WO2011/044567
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(510144959)ラトガース,ザ ステート ユニバーシティ オブ ニュー ジャージー (6)
【Fターム(参考)】