医療装置のコーティング
医療装置の少なくとも一部分(例えばステント構造体)をコーティングするための方法及びシステムは、複数のコーティング粒子(例えば単分散コーティング粒子)を画定体積部内に用意するステップを含む。例えば、1つ以上のノズル構造体を用いて粒子を用意することが可能であり、この場合、各ノズル構造体は、供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を含む。供給端部と医療装置との間の不均一な電界を使用することにより、電荷が結合された複数の微小滴を1つ以上のノズル構造体の供給端部から供給することによって、複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意することが可能である。電荷は、微小滴が蒸発するときに粒子に集中される。複数のコーティング粒子が画定体積部内に用意されることにより、このような粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてその上にコーティングを形成できる(例えば、電界及び/又は伝熱効果を利用して)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2001年5月16日出願の特許出願番号第09/858,865号の利益を主張する、2002年11月21日出願の一部継続の米国特許出願番号第10/301,473号の利益を主張し、これらの両方は、参照することにより、それらの全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、医療装置のコーティングに関し、より詳しくは、本発明はエレクトロスプレイ、伝熱効果等のようなプロセスを用いて医療装置をコーティングすることに関する。
【背景技術】
【0003】
医療装置の表面が望ましい特性を有するか又は望ましい効果を提供するように、このような装置をコーティングすることがしばしば有益である。例えば、体内の目標位置への治療剤の局所的供給を可能にするために、例えば、局所的疾患(例えば心臓病)又は閉塞した身体管腔を治療するために、医療装置をコーティングすることが有用である。例えば、バルーンカテーテル、ステント等を局所的に供給すべき治療剤でコーティングすることによって、局所的薬剤供給を達成することが可能である。医療装置のコーティングは、生体活性材料の長期間又は持続する放出を含む、放出の制御を可能にし得る。
【0004】
医療装置は、局所的薬剤供給を容易にすることの他に、有益な表面特性を提供するための材料でコーティングされる。例えば、医療装置は放射線不透過性材料でしばしばコーティングされ、体内の配置中に蛍光透視法による視覚化を可能にする。同様に、生体適合性の向上を達成するため、また潤滑性のような表面特性を向上させるために、ある装置をコーティングすることが有用である。
【0005】
本明細書に示したように、例えば、薬剤の放出の制御、表面特性の制御及び効果等のために、ステントをコーティングすることが有益であることが多い。潰れを防止し及び/又は再狭窄を防止することによって血管開通性を維持するように試みようとして、ステントが血管内に移植される。例えば、バルーンカテーテルの拡張可能な部分にステントを装着し、ステントを身体管腔内の治療部位に位置決めするように血管系を通してカテーテルを操作し、また管腔壁に係合するようにバルーンを膨張させてステントを拡張することによって、ステントの移植が達成可能である。ステントは拡張構造で変形し、バルーンの空気抜きが可能になり、カテーテルを取り除いて、移植処置を完了する。さらに、例えば、自己拡張ステントを使用することにより、バルーン供給装置の必要性が排除される。代わりに、ステントの上方に当初取り付けられる拘束シースは、ステントが治療部位に隣接する所定位置にあると簡単に引っ込められる。ステント及びステント供給カテーテルは関連技術で周知であり、またそれらの構造は様々であり、すべてのステント構造体又は関連材料を説明することは不可能である。
【0006】
いくつかの要因、例えば、血栓症、新脈管内膜過形成、平滑筋細胞移動、及びステントの移植に続く増殖、動脈壁に対する損傷、管腔開通性の全損、生体内のステント直径、ステントの厚さ、及びステントされた動脈の管腔被膜に対する白血球接着を評価することによって、ステント配置の成功を判定できる。主な問題の範囲は、脈管内膜過形成による早期の亜急性血栓症及びその結果として生じる血管の再狭窄である。
【0007】
治療用薬剤は、ステントの配置と関連するいくつかの問題に対処するために開発されてきた。ステントによって支持される部位の血管の局所的な薬理学的治療を行うことがしばしば望ましい。このような目的のために移植ステントを利用することが好都合であると思われるので、ステントは管腔壁用の支持体ならびに薬剤用の供給ビークルの両方として機能し得る。
【0008】
従来、コーティングは、浸漬、噴霧、蒸着、プラズマ重合、ならびに電気めっき及び静電蒸着のようなプロセスによって、ステントを含む医療装置に適用されてきた。これらの多くのプロセスを利用して、満足のゆくコーティングが生産されてきたが、それらのプロセスに関連する多数の潜在的不都合が存在する。
【0009】
例えば、個別の部分及び部分のバッチの両方に、均一の厚さのコーティングを達成することはしばしば困難である。同様に、その他の点で、多くのコーティング材料は、非適合、不溶解性、非懸濁性であるか、あるいは不安定なコーティング溶液である材料のように使用困難である。
【0010】
さらに、例えば、多くのコーティングプロセスでは、医療装置毎に均一な薬剤用量を提供しないコーティングが生じる。さらに、このような従来の方法は、薬剤をステント上に用意する迅速、容易かつ廉価な方法を提供するのに概ね失敗してきた。例えば、このような従来の方法の短所は、少なくとも部分的に、コーティングプロセスの制御(例えば、コーティングの均一性及び厚さを制御する能力、装置のコーティングに使用される粒子サイズを制御する能力、ステントの移植時に薬剤の放出速度を制御するようなコーティングの制御等)に関連している。同様に、多くのプロセスでは、コーティング材料はかなり高価であり、また多くのコーティングプロセスでは、このようなコーティング材料は、使用されるコーティング方法の種類の故に無駄となる。
【0011】
したがって、医療装置をコーティングする有効な方法及びシステムに対する必要性(例えば、ステント構造体のような医療装置の均一なコーティングをもたらす必要性)が存在する。
【発明の開示】
【0012】
本発明による方法及びシステムは医療装置(例えば、ステント、カテーテル等)のコーティングを可能にする。本発明は、ステント構造体のコーティングの使用に特に有益である。
【0013】
本発明による医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法は、医療装置を画定体積部内に用意するステップを備えている。医療装置は、コーティングすべき少なくとも1つの表面を備えている。本方法は、複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に用意するステップをさらに備えている。複数の単分散コーティング粒子は、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する。複数のコーティング粒子は、医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動されてその上にコーティングを形成する。
【0014】
本発明による医療装置の少なくとも一部分をコーティングする他の方法は、医療装置(例えば、コーティングすべき少なくとも1つの表面を備えている医療装置)を画定体積部内に用意するステップと、供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を各々が備えている1つ以上のノズル構造体を用意するステップとを備えている。複数のコーティング粒子は、供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を用いて、電荷が結合された複数の微小滴を1つ以上のノズル構造体の供給端部から供給することによって、画定体積部内に用意される。微小滴の各々は少なくとも1つの粒子を備え、また電荷は、微小滴が蒸発するときに粒子に集中される。本方法は、複数のコーティング粒子が形成される供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を用いて、複数のコーティング粒子を医療装置に向かって移動させてコーティングを医療装置の少なくとも1つの表面に形成するステップをさらに備えている。
【0015】
ステント構造体をコーティングする方法も本明細書に記述されている。本方法は、ステント構造体をステント軸線に沿って画定体積部内に用意するステップを備え、この場合、ステント構造体は、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている。画定内部体積部に隣接するステント構造体の内面の少なくとも一部分は、少なくとも複数の第1のコーティング粒子(例えば抗凝固薬粒子)を用いてコーティングされ、またステント構造体の外面の少なくとも一部分は、少なくとも複数の第2のコーティング粒子(例えば抗炎症薬粒子)を用いてコーティングされ、この場合、複数の第1のコーティング粒子は複数の第2のコーティング粒子と異なる。
【0016】
上述の方法はまた、以下の1つ以上の特徴、すなわち、電荷を複数の単分散コーティング粒子に付与するステップ、電界を用いて複数の単分散コーティング粒子を医療装置に向かって移動させるステップ、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給することによって、複数の単分散コーティング粒子を用意するステップであって、微小滴の各々が粒子を備え、また微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中されるステップ、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな、粒子に集中される微小滴の電荷、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給することによって、複数の単分散コーティング粒子を用意するステップであって、微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中され、さらに、医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むステップ、単分散コーティング粒子が画定体積部内に用意された後に電極と医療装置との間に電界を形成するステップ、1つ以上のノズル構造体を用いて複数の単分散コーティング粒子を用意するステップであって、各ノズル構造体が、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給されるステップ、複数の単分散コーティング粒子が供給されるノズル構造体の供給端部と医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、複数の単分散コーティング粒子を複数のノズル構造体の各々から供給するステップ、複数の単分散コーティング粒子が供給される供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を用いて、複数の単分散コーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてその上にコーティングを形成するステップ、内部体積部を画定する構造体を備えている医療装置を用意するステップであって、構造体が、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備えているステップ、構造体によって画定された内部体積部内に配置された少なくとも1つのノズル構造体の供給端部に、少なくとも1つの開口部を有する少なくとも1つのノズル構造体を用意し、また少なくとも1つのノズルの供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を利用することにより、複数の単分散コーティング粒子を少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップ、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている、少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップ、コーティングプロセス中に医療装置を画定体積部内の固定位置に用意するステップ、及びコーティングプロセス中に移動可能な医療装置を画定体積部内に用意するステップを備えていることが可能である。
【0017】
本方法は、以下の追加の1つ以上の特徴、すなわち、ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を用意するステップであって、ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、画定内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備えているステップ、1つ以上のノズル構造体を用意するステップであって、各ノズル構造体が、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給されるステップ、不均一な電界強度を調整して、粒子がステント構造体の内面に達することを防止するステップ、少なくとも1つのノズル構造体の供給端部とステント構造体との間に形成される不均一な電界を用いて、複数の単分散コーティング粒子を少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップ、伝熱効果を用いて複数の単分散コーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップ、ステント軸線が、ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素の軸線と一致するように、ステント構造体を位置決めし、また伝熱効果によりコーティング粒子がステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動されるように、ステント構造体の外面に隣接する画定体積部の温度よりも低い温度に細長要素を保持するステップ、コーティングプロセス中にステント軸線を中心にステント構造体を回転させるステップ、ステント軸線に沿って線形にステント構造体を移動させるステップ、画定体積部内に用意された単分散コーティング粒子の量を制御するステップ、約1ナノメートルよりも大きくまた約100ナノメートルよりも小さな呼び径を有する複数のコーティング粒子を用意するステップであって、複数のコーティング粒子が、少なくとも1つの生物学的活性成分又はコーティングされた生物学的活性成分を含み、及び/又はDNA又はコーティングされたDNAの少なくとも1つを備えているステップ、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するステップ、及び各ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも第1及び第2の開口部を各々が備えている1つ以上のノズル構造体を用意するステップ(例えば、コーティング粒子の供給、噴霧困難な粒子の供給、空隙を画定する粒子の供給等のため)をさらに備えていることが可能である。
【0018】
本明細書に記述した方法、好ましくは、ステント構造体をコーティングするために使用される方法は、以下の1つ以上の特徴、すなわち、軸線に沿って内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を用意し、細長い筒状本体部材の軸線に沿ってステント構造体を位置決めし、また細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は細長い筒状本体部材の軸線の方向に細長い筒状本体部材に沿って線形に、複数のノズル構造体を位置決めするステップ、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を各々が備えているノズル構造体を用意するステップ、開口部を画定するために使用されるテーパ状部分を各々が備えているノズル構造体を用意するステップであって、複数のノズル構造体の各々の少なくとも一部分が、本体部材と関連付けられた導電性の一体部分から延在するステップ、供給端部の開口部を通して延在する中心軸線に沿って中実柱を各々が備えている複数のノズル構造体を用意するステップ、本体部材の細長い半径方向開口部、及び/又は1つ以上のノズル構造体の軸線に対し平行に位置する本体部材の細長い開口部を備え得る1つ以上のノズル構造体を用意するステップ、ステント軸線が細長要素の軸線と一致するようにステント構造体を位置決めし、また離間要素を使用して、ステント構造体と細長要素との間の距離を維持するステップ、ステント軸線が細長要素の軸線と一致するようにステント構造体を位置決めするステップであって、細長要素の表面がステント構造体の内面と直接接触するように、細長要素がステント構造体の画定内部体積部に基づき寸法決めされるステップ、複数のコーティング粒子がステント構造体の外面に向かって移動されてその上にコーティングを形成した後に、ステント構造体の内部体積部から細長要素を取り除くステップ、ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備えているステント構造体を用意するステップ、ステント構造体を通常状態から延伸させるように寸法決めされた細長要素を用意するステップ、複数のコーティング粒子がステント構造体の外面に向かって移動され、ステント材料の部分を分離する開口部を備えている開いた骨組の上方にシースを生じた後にステント構造体の内部体積部から細長要素を取り除くステップ、ステント構造体の軸線に沿って細長い導電性要素を用意するステップであって、ステント構造体及び細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップ、かつ細長い導電性要素とステント構造体との間に、ノズル構造体の供給端部とステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するステップ、ステント構造体の軸線に沿って細長要素を用意するステップであって、ステント構造体及び細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップ、かつ細長要素を用いてガス流をステント構造体の画定内部体積部に用意するステップ、及びステントがステント軸線に沿って弛まないようにステント構造体が鉛直位置にある間に、複数のコーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてその上にコーティングを形成するステップを備えていることが可能である。
【0019】
本発明による医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムは、粒子源と、医療装置を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具と、粒子源から源材料を受容しかつ複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に供給するように構成された供給装置とを備えている。供給装置は1つ以上のノズル構造体を備え、この場合、各ノズル構造体は、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される。システムは、1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を含む電極構造体をさらに備え、この場合、電極構造体は、複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に用意する際に使用するための1つ以上のノズル構造体の供給端部と医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である。複数の単分散コーティング粒子は、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する。さらに、不均一な電界は、複数のコーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてその上にコーティングを形成するのを支援するように動作可能である。
【0020】
本発明によるステント構造体の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するための他のシステムは、粒子源と、ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具とを備え、この場合、ステント構造体は、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを含む。本システムは、粒子源から源材料を受容し、かつ電荷が結合された複数の微小滴を1つ以上のノズル構造体の供給端部から画定体積部内に供給するように構成された供給装置をさらに備え、この場合、微小滴の各々は少なくとも1つの粒子を備え、さらに、微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中され、複数のコーティング粒子を生じる。なおさらに、本システムは、1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を含む電極構造体を含む。電極構造体は、複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意し、かつ複数のコーティング粒子をステント構造体に向かって移動させてその少なくとも1つの表面にコーティングを形成する際に使用するための1つ以上のノズル構造体の供給端部とステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である。
【0021】
本明細書に記述したシステムはまた、以下の1つ以上の特徴、すなわち、接地医療装置を含む電極構造体、1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされたリング電極を含む電極構造体、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するように構成された供給装置であって、粒子の蒸発時に集中される微小滴の電荷が、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きい供給装置、医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、本来供給される微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むように構成された供給装置、供給装置の少なくとも1つのノズル構造体が、医療装置構造体によって画定された内部体積部で動作可能であるように、医療装置を位置決めするように動作可能な保持取付具、複数の単分散コーティング粒子を医療装置の内部体積部に用意する際に使用するための少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能な電極構造体、医療装置の画定内部体積部内に位置決め又は移動されるように寸法決めされた細長要素、複数のノズル構造体を含む供給装置、医療装置を画定体積部内の固定位置に保持するように構成された保持取付具、画定体積部内の医療装置の移動のために構成された保持取付具、ステント構造体を受容するように構成された保持取付具であって、ステント構造体がステント軸線に沿って画定され、また画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを含む保持取付具、ステント軸線を中心にステント構造体を少なくとも回転させるように構成された保持取付具、ステント軸線に沿って線形にステント構造体を少なくとも移動させるように構成された保持取付具、画定体積部内に用意された単分散コーティング粒子の量を制御するように動作可能な制御システム、不均一な電界強度を調整するように動作可能な制御システム、及び複数のコーティング粒子を用意する際に使用するための源材料を含む粒子源であって、源材料が、少なくとも1つの生物学的活性成分又は少なくとも1つのコーティングされた生物学的活性成分を含む粒子源を含むことが可能である。
【0022】
医療装置をコーティングするための本明細書に記述したシステムはまた、ステント構造体を受容するための実質的に非導電性の細長い管と、細長い導電性要素とを含む保持取付具を含むことが可能である。細長い導電性要素の少なくとも一部分は、実質的に非導電性の細長い管を通して延在し、さらに、細長い導電性要素は導電性接触セクションを備えている。実質的に非導電性の細長い管の外面がステント構造体の内面の少なくとも一部分に接触するように、またステント構造体の部分が導電性接触セクションと電気接触するように、圧縮装置は、実質的に非導電性の細長い管の拡張を可能にすべく構成される。
【0023】
医療装置をコーティングするための本明細書に記述したシステムはまた、以下の1つ以上の特徴、すなわち、軸線に沿って供給装置の内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を含む供給装置であって、保持取付具が、細長い筒状本体部材の軸線に沿ってステント構造体を位置決めするように動作可能であり、さらに、1つ以上のノズル構造体が、細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、また細長い筒状本体部材の軸線の方向に細長い筒状本体部材に沿って線形に位置決めされる供給装置、本体部分と毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を各々が含む複数のノズル構造体、開口部を画定するために使用されるテーパ状部分を各々が含む複数のノズル構造体であって、複数のノズル構造体の各々の少なくとも一部分が、本体部材と関連付けられた導電性の一体部分から延在する複数のノズル構造体、供給端部の開口部を通して延在する中心軸線に沿って中実柱を各々が含む複数のノズル構造体、本体部材の細長い半径方向開口部を含む複数のノズル構造体、複数のノズル構造体の軸線に対し平行に位置する本体部材の細長い開口部を含む複数のノズル構造体、ステント構造体の軸線と一致する軸線に沿って延在する細長要素及びステント構造体と細長要素との間の距離を維持するように動作可能な離間要素、細長要素の表面がステント構造体の内面と直接接触するようにステント構造体の画定内部体積部に基づき寸法決めされた細長要素を含む保持取付具、細長い導電性要素とステント構造体との間に、ノズル構造体の供給端部とステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するように構成された電源、及びガス流をステント構造体の画定内部体積部に用意するように構成された細長要素を含むことが可能である。
【0024】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのさらに他のシステムは、複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するように動作可能な粒子発生装置と、ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具とを含む。ステント構造体は、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と外面とを含む。保持取付具は、ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素を含む。本システムは、伝熱効果によりコーティング粒子がステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動されるように、ステント構造体の外面に隣接する画定体積部の温度よりも低い温度に細長要素を保持するように動作可能な温度制御装置をさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1を参照して、本発明について全体的に説明する。次に、図2〜図16を参照して、本発明の様々な実施態様について説明する。1つの実施態様からの要素を他の実施態様の要素と組み合わせて使用し得ること、及び本発明は、本明細書に記述した特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に記述されているようにのみ限定されることが当業者に明白となるであろう。例えば、コーティング方法及びシステムに使用される粒子を用意するために、異なる1つ以上のノズル構造体を使用し得る。
【0026】
本発明は、コーティングされた装置(例えば、コーティングされたステント構造体)、同様に、医療装置のような対象物をコーティングするためのシステム及び方法を提供する。本発明を使用することにより、例えば、均一な特性を有するコーティングを達成できる。さらに、本発明は、コーティング材料の効率的かつ費用効果的な使用を可能にする。
【0027】
本発明は、対象物のコーティングに使用するための例えばナノ粒子のような粒子の発生を利用するコーティングシステム及び方法に関する。本発明は、医療装置のコーティング(例えば、DNA、RNA、コーティングされたDNA粒子等によるこのような装置のコーティング)に特に有利である。さらに以下に説明するように、本発明によるシステム及び方法は、2000年7月25日交付のPuiらへの米国特許第6,093,557号、表題「材料を細胞に導入するためのエレクトロスプレイ装置及び方法」(例えば、単一及び二重の毛細管構造)に以前に記述され、同様に、Chenらによる論文、表題「4nm〜1.8μmの直径範囲の分散エアロゾル発生のための導入液体のエレクトロスプレイ」、J.Aerosol Sci.、第26巻、第6号、963〜977ページ(1995年)、及びChenらによる論文、表題「エレクトロスプレイのスケーリング法の実験的研究:誘電率効果」、Aerosol Science and Technogy、第27巻、367〜380ページ(1997年)に以前に記述されているような1つ以上の単一のノズルエレクトロスプレイ装置を使用し得るか、あるいは2002年1月24日に公開された米国特許出願第2002−0007869号、表題「多ノズルスプレイを用いた大量処理能力の粒子発生」に記載されているような多ノズル構造体エレクトロスプレイ装置を使用することが可能であり、これらの装置のすべては、それらの全体が参考として本明細書に組み込まれている。さらに、例えば図8Aと図8Bを参照して記述したような粒子を発生するための他の装置も、本明細書に記述した1つ以上の実施態様に利用してもよい。
【0028】
図1に示したように、本発明は、供給装置15を使用して、1つ以上の粒子噴霧22(例えば、蒸発して粒子噴霧を形成する微小滴の噴霧)を形成する医療装置コーティングシステム10を提供する。供給装置15は、源材料17を受容して、1つ以上のノズル構造体20の前方に、例えば医療装置12の方向に粒子噴霧22を形成する1つ以上のノズル構造体20を含む。粒子22は医療装置12の少なくとも1つの表面13に向かって移動されて、その上にコーティング105を形成する。医療装置12は、粒子22が提供される画定体積部(概して破線11で図示)内に配置されることが好ましい。画定体積部は、例えば、反応器チャンバ、ステントコーティングシステムのチャンバ、本体部材によって形成された体積部(例えば図10を参照して説明したような)、真空チャンバ、加圧及び/又は加熱チャンバ、オープンエアスペースの体積部等であり得る。
【0029】
供給装置15は、制御機構14の制御、例えばハードウェア及び/又はソフトウェアの制御下で源材料17を複数のノズル構造体20に用意するための源保持装置16をさらに含む。1つ以上のノズル構造体20の各々は、医療装置が配置される画定体積部11に粒子噴霧22を用意するように構成される。一般に、例えば、1つ以上の実施態様では、このような粒子噴霧22は1つ以上のノズル構造体20の各々の前方に形成される。
【0030】
源保持装置16に保持された源材料17は、本発明に従って記述したような粒子形態で画定体積部内に用意できる任意の材料源であり得る。好ましくは、源材料17は、溶液、懸濁液、ミクロ懸濁液、乳濁液、ミクロ乳濁液、ゲル、ヒドロゾルを含み得る流体組成物であるか、又は本発明に従って用意された場合に粒子発生をもたらす他の任意の流体状組成物である。例えば、このような流体組成物は、本発明の一実施態様による溶解活性成分、例えば薬剤活性成分の溶液を含み得る。しかし、源材料はまた、乾燥材料、例えば、同様に乾燥材料に関連する溶剤又は液体成分を実質的に有しない材料であり得ることが考えられる。
【0031】
本明細書に使用されているように、活性成分は、粒子形態で提供される場合、特にナノ粒子として提供される場合に有用な機能を提供する任意の成分を指す。本発明は、ナノ粒子を噴霧するために特に有益であり、同様に、生物学的活性成分を含む粒子を噴霧するために特に有益である。
【0032】
したがって、「活性成分」という用語は、材料が共に使用される基材又は本体と適合できかつそれに対して効果を有する材料、例えば、薬剤活性成分、ナノ構造を形成するための化学元素、及びフィルムコーティング用の要素、例えばポリマー、賦形剤等を指す。「生物学的活性成分」又は「生物学的活性材料又は構成要素」という用語は活性成分の部分集合であり、当該成分が共に使用される動物又は植物と適合できかつそれに対して効果を有する(例えば、生物学的、化学的又は生化学的であり得る)材料を指し、また例えば、医薬品、製薬学的医薬品、及び獣医学的医薬品のような薬剤と、ワクチンと、多核酸のような遺伝物質と、細胞成分と、以下に記述するような他の治療剤とを含む。
【0033】
本明細書に使用されているように、粒子、したがってナノ粒子という用語は、固体、部分的に固体及びゲル状の小滴と、固体、部分的に固体及びゲル状又は液体状の物質を組み込んでいるマイクロカプセルとを含む。本明細書で用意かつ利用される粒子は、10マイクロメータの大きさの呼び径を有し得る。本明細書に使用されているように、ナノ粒子は、2000nm未満の呼び径を有する粒子を指す。本発明は、1ナノメートル(nm)よりも大きな呼び径を有するナノ粒子、さらに好ましくは、1000nm未満、より好ましくは100nm未満の呼び径を有するナノ粒子を噴霧する際に特に有益である。
【0034】
さらに、本明細書に記述した医療装置をコーティングするために使用される粒子は、単分散コーティング粒子であることが好ましい。本明細書に使用されているように、単分散コーティング粒子は、1.2未満の幾何学的標準偏差を有するコーティング粒子である。言い換えれば、本発明に従って用意される粒子の平均粒度に関する標準偏差は20%以下であることが好ましい。
【0035】
さらに図1を参照して、医療装置12の少なくとも一部分(例えば医療装置12の表面13)をコーティングする方法について説明する。一般に、医療装置12は、画定体積部11(例えば、医療装置コーティングシステム10の1つ以上の要素を取り囲むチャンバ又は他の構造体を表し得る破線で概して示した画定体積部11)内に位置決めされることが好ましい。画定体積部11に設けられた医療装置12から、その少なくとも1つの表面をコーティングする方法を開始することが可能である。
【0036】
複数のコーティング粒子22(例えば単分散コーティング粒子22)は画定体積部11内に用意される。次に、コーティング粒子22が医療装置12の少なくとも1つの表面13に向かって移動されて、その上にコーティングを形成する。コーティングは、概して破線の層105として表される。
【0037】
コーティング粒子22を医療装置12の少なくとも1つの表面13に向かって移動させるために使用される方法に応じて、コーティング粒子22は荷電粒子でも非荷電粒子でもよい。例えば、コーティング粒子22を医療装置12の表面13に向かって移動するために電界が使用されるならば、コーティング粒子22は荷電粒子、好ましくは、高荷電粒子である。他方、コーティング粒子を医療装置12の表面13に向かって移動させるために伝熱効果が使用されるならば、コーティング粒子は荷電粒子である必要はない。例えば、このような非荷電粒子は、図8Aと図8Bを参照して記述したような供給装置を用いて提供するか、あるいは、例えば、本発明に従ってエレクトロスプレイして中和することが可能である。
【0038】
本発明によるコーティング方法の異なる実施態様では、コーティング粒子22は、医療装置12の表面13に向かってコーティング粒子22を移動する前に又は移動と同時に画定体積部11内に用意してもよい。例えば、高荷電粒子は、コーティング粒子22を医療装置12の表面13に向かって移動させるために利用される電界を形成する前に、画定体積部11内に用意することが可能である。同様に、本明細書に記述したように、例えば、供給装置15の前方に粒子22を同時に発生して、このような荷電粒子22を医療装置12の表面13に向かって移動させるように、電界を医療装置12と供給装置15との間に形成し得る(例えば、電極を医療装置12の内部体積部に位置決めして、医療装置12と供給装置15との間に電界を形成することが可能であるか、又は医療装置12を接地してそれらの間にこのような電界を形成することが可能である)。
【0039】
さらに、医療装置12及び/又は供給装置15(あるいはそれらの任意の構成要素)は、特定の何らかの理由のために、コーティングプロセスの前に、その間に、又はその後に、水平/垂直移動矢印101及び半径方向移動矢印102で概して表したような任意の異なる1つ以上の方向に移動可能である。コーティングシステム10の医療装置12又は任意の要素のこのような運動は、所望の運動のために構成された任意の装置を用いて実行し得る。本発明は、このような運動を提供するための任意の特定の構造に限定されない。さらに、本発明は、コーティングプロセス中のコーティングシステム10又は医療装置12の任意の要素の運動に限定されない。言い換えれば、例えば、医療装置12は、コーティングプロセスが実行されるときに画定体積部11内の固定位置に留まってもよい。
【0040】
上述のように、1つ以上のノズル構造体20から用意される粒子噴霧22は、医療装置12の少なくとも1つの表面13に向かって移動される。このような粒子22は、コーティング目的のために表面13に堆積される。本明細書に使用されているように、コーティングは、層又は構造体を表面に形成することを指す。表面に形成されたコーティング層又は構造体は、下層又は表面13に接着するコーティング、あるいは表面又は下層に接着しないコーティングであり得る。本発明に従って、表面13又は下層に対する任意の接着レベルが考えられる。例えば、医療装置12の表面13に形成されたコーティングは、層と医療装置12との間の接着を必ずしも有することなく、構造体(例えばステント構造体)の周りにシースとして形成してもよい。
【0041】
同様に、より大きな接着力が達成されるように、コーティングを医療装置12に形成する前に接着層を医療装置12に堆積し得る。接着層はまた、本発明による方法及び/又はシステムを使用する医療装置12の表面13にコーティングすることが可能である。
【0042】
記述したコーティング方法及びシステムの様々な実施態様は、1つ以上の医療装置をバッチとしてコーティングすることを可能にするために適切である。しかし、本発明は、医療装置をバッチでコーティングすること、すなわち、1つのバッチプロセスで一群の1つ以上の装置をコーティングし、引き続き、第2の群の1つ以上の装置を第2のバッチプロセスでコーティングすることのみに限定されない。医療装置をバッチでコーティングするためにプロセスを開始また停止する必要がないように、本発明の方法及びシステムを利用して、医療装置をシステムにわたって連続操作することができる。言い換えれば、連続プロセスにわたって複数の医療装置をコーティングできる。
【0043】
本発明の1つ以上の実施態様では、別々に又は同時に、単一又は多数のコーティング材料を医療装置に適用できる。例えば、噴霧されるコーティングは多数のコーティング材料を含んでもよく、異なるコーティング材料を制御かつ噴霧するための異なる源材料を異なるノズル構造体に用意してもよく、異なるコーティング材料層を医療装置の少なくとも一部分に提供するように、異なる期間中の使用のために異なるノズル構造体を制御してもよく、同一又は異なる源材料を用いて多数の層を噴霧してもよく(例えば、幾分積層のコーティングを形成し)、医療装置全体又は医療装置のほんの一部分をコーティングしてもよく(例えば、荷電を表面の部分に印加して、噴霧粒子のすべて又は大部分を荷電部分に引き付けることが可能であり)、医療装置の異なる部分に医療装置の残部よりも多くのコーティング材料を噴霧してもよく、及び/又はマスキング材料を使用して、医療装置のある部分へのコーティングの適用を防止することが可能である。
【0044】
上に示したように、本発明は、同一又は異なるコーティング材料の1つの層又は多数の層を適用することを考慮する。このように、層は同一又は異なる機能を実行し得る(例えば、生体適合性に対処して薬剤の放出を制御するため、等々)。
【0045】
本発明に関連して使用される医療装置は、本明細書に記述したコーティングプロセスに適応しやすい任意の装置を含む。医療装置、又はコーティング又は表面修正すべき医療装置の部分は、金属、ポリマー、セラミック、それらの複合物又は組み合わせから製造してもよく、また例えば、これらの材料の1つ以上でコーティングしてもよい。例えば、ガラス、プラスチック又はセラミックの表面をコーティングし得る。さらに、本発明を使用して、他の対象物、例えば、導電性にし得る金属基材又は他の任意の表面(例えば、平坦、湾曲又は他の任意の形状であるか否かにかかわらず)にコーティングを形成してもよい。
【0046】
本発明は特に血管ステントを参照して本明細書に記述されているが、本発明の範囲内の他の医療装置は、外科的処置によって患者の体内に移植されるそれらの装置のような、しかし明らかにそれらに限定されないような、例えば患者の体に切り込み及び/又はその中に位置決めされるために少なくとも部分的に使用されるような任意の医療装置を含む。このような医療装置の例は、関連技術で公知のようなカテーテル、針注射カテーテル、血栓フィルタ、血管グラフト、ステントグラフト、胆管ステント、結腸ステント、気管支/肺ステント、食道ステント、尿管ステント、動脈瘤充填コイル及び他の輪状コイル装置、トランス心筋血管再生(「TMR」)装置、経皮心筋血管再生(「PMR」)装置、リードワイヤ、移植可能な球体、ポンプ等のような移植可能な装置、ならびに皮下注射針、軟組織クリップ、保持装置、及び他のタイプの医学的に有用な注射針及びクロージャのような装置を含む。これらの医療装置の任意の露出面は、例えば、両端で開く管状医療装置、例えばステント構造体の内側露出面及び外側露出面を含めて、本発明の方法及びシステムでコーティングすることが可能である。
【0047】
本発明に関連して使用されるコーティング材料は、活性成分及び生物学的活性成分に関して上に規定したような任意の所望の適切な物質である。いくつかの実施態様では、コーティング材料は、単独で又は治療剤が少なくとも部分的に溶解可能又は分散可能又は乳状である溶剤と組み合わせて、及び/又は溶液、分散剤、懸濁液、格子等のようなポリマー材料と組み合わせて医療装置に適用される治療剤を含む。本明細書に記述した生物学的活性成分の分類内に含まれる「治療剤」及び「薬剤」は、交換可能に使用され、また製薬学的活性化合物、脂質のようなキャリアベクタを有するまた有しない核酸、圧縮剤(例えばヒストン)、標的配列を有するか又は有しないウイルス、ポリマー、タンパク質等を含む。医療装置上のコーティングは、生体活性材料の長期間又は持続する放出を含む放出の制御を可能にし得る。
【0048】
本発明に関連して使用される治療用又は生物学的活性成分の特定の例は、例えば、製薬学的活性化合物、タンパク質、オリゴヌクレオチド、リボザイム、アンチセンス遺伝子、DNA圧縮剤;遺伝子/ベクタ系(すなわち、核酸の取込み及び発現を可能にするもの)、核酸(例えば、組み換え核酸;ネイキッドDNA、cDNA、RNA;ペプチド標的配列が連結している非感染ベクタ又はウイルスベクタのゲノムDNA、cDNA又はRNA;アンチセンス核酸(RNA又はDNA);及び膜転位配列(「MTS」)及び単純ヘルペスウイルス−1(「VP22」)のようなフェリータンパク質用の遺伝子配列及びエンコーディングを含むDNAキメラを含む)、及び所望の用途に応じていくつかの種類から選択されるウイルス、リポソーム及びカチオンポリマーを含む。例えば、生物学的活性溶液は、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPACK(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)のような抗血栓剤;プロスタグランジン、プロスタサイクリン/プロスタサイクリンの類似物;プロブコール及びレチノイン酸のような酸化防止剤;血管形成剤及び抗血管形成剤;平滑筋細胞の増殖を阻止できるラパマイシン、アンジオペプチン、及びモノクローナル抗体のような平滑筋細胞増殖阻止剤;デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、アセチルサリチル酸、メサルアミン、及びリポキシゲナーゼ阻害剤のような抗炎症剤;ベラパミル、ジルチアゼム及びニフェジピンのようなカルシウム導入ブロッカ;パクリタキセル、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドキソルビシン、ダウノルビシン、サイクロ(登録商標)スポリン、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、エポシロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、スクアラミン、チミジンキナーゼ阻害剤のような抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤;L−アルギニン、その誘導体及び塩(例えば、塩酸アルギニン);トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド、及びニトルフイラントインのような抗菌薬;リドカイン、ブピバカイン、及びロピバカインのような麻酔剤;リシドミン、モルシドミン、NO−タンパク質アダクト、NO−ポリサッカライドアダクト、ポリマー又はオリゴマNOアダクトあるいは化学錯体のような酸化窒素(NO)ドナー;D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板レセプタ拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板レセプタ抗体、エノキサパリン、ヒルジン、塩化ワラフィン、ジクマロール、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びダニ抗血小板因子のような抗凝固薬;インターロイキン、インターフェロン及びフリーラジカル捕捉剤;成長因子、成長因子レセプタ拮抗薬、転写活性化剤、及び翻訳促進剤のような血管細胞成長促進剤;成長因子阻害剤(例えば、PDGF阻害剤のトラピジル)、成長因子レセプタ拮抗薬、転写リプレッサ、翻訳リプレッサ、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対抗する抗体、成長因子と細胞毒素とからなる二官能性分子、及び抗体と細胞毒素とからなる二官能性分子のような血管細胞成長阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤、キマーゼ阻害剤、例えばトラニラスト、ACE阻害剤、例えばエナラプリル、MMP阻害剤(例えばイロマスタット、メタスタット)、GPIIb/IIIa阻害剤(例えばインテグリリン、アブシキシマブ)、セラトニン拮抗薬、及び5−HT取込み防止剤;コレステロール低下剤;血管拡張剤;内因性血管活性機構干渉剤;抗アポトーシスBcl−2族因子及びAktキナーゼのような細胞死防御生存遺伝子;及びそれらの組み合わせ;及びベータブロッカを含む。これらの及び他の化合物は、ポリマーを含むコーティング溶液を含むコーティング溶液に添加してもよい。
【0049】
本発明による医療装置をコーティングする際に使用するためのコーティング材料及び/又は追加のコーティング材料に対する修正又はそれらの様々な形態は、当業者には明白であると本明細書では考えられる。例えば、このようなコーティング材料は、誘導形態で又は化合物塩として用意することが可能である。
【0050】
本発明の実施に有用なポリヌクレオチド配列は、セルによって吸収された後に治療効果を有するDNA又はRNA配列を含む。治療用ポリヌクレオチドの例は、アンチセンスDNA及びRNA、アンチセンスRNA用のDNAコーディング、又は欠陥があるか又は不完全な内因性分子を置換するためのtRNA又はrRNA用のDNAコーディングを含む。本発明のポリヌクレオチドはまた、治療用タンパク質又はポリペプチドのためにコード化できる。ポリペプチドは、サイズに関係なくまたグリコシル化されているか否かにかかわらず、ポリヌクレオチドの任意の翻訳生成物であると理解される。治療用タンパク質又はポリペプチドは、主な例として、動物の欠陥種又は欠損種を代償できる治療用タンパク質又はポリペプチド、又は中毒効果によって作用して、有害細胞を抑えるか又はそれを体から除去する治療用タンパク質又はポリペプチドを含む。さらに、ポリマーコーティング内に組み込むことができるかあるいはそのDNAを組み込むことができるポリペプチド又はタンパク質は、血管形成を誘導するために有能な血管形成因子及び他の分子を限定なしに含み、これらは、酸性かつ基底の繊維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、hif−1、上皮成長因子、形質転換成長因子αとβ、血小板由来内皮成長因子、血小板由来成長因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞成長因子及びインシュリンのような成長因子;成長因子;CDK阻害剤を含む細胞周期阻害剤;p15、p16、p18、p19、p21、p27、p53、p57、Rb、nFkBとE2Fのデコイ、チミジンキナーゼ(「TK」)及びそれらの組み合わせを含む抗再狭窄剤、及び悪性腫瘍を治療するための剤を含む細胞増殖に干渉するために有用な他の剤;及びそれらの組み合わせを含む。なお、ポリペプチドとして又はこれらのポリペプチドをエンコーディングするDNAとして提供できる他の有用な因子は、単球走化性タンパク質(「MCP−1」)及び骨形態形成タンパク質(「BMP」)の族を含む。公知のタンパク質は、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6(Vgr−1)、BMP−7(OP−1)、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、及びBMP−16を含む。現在好ましいBMPは、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6及びBMP−7のいずれかである。これらの二量体タンパク質は、単独で又は他の分子と共に、ホモダイマー、ヘテロダイマー、又はそれらの組み合わせとして提供できる。代わりに又は追加して、BMPの上流又は下流作用を誘導できる分子を提供できる。このような分子は、「ヘッジホッグ」タンパク質、又はそれらをエンコーディングするDNAのいずれかを含む。
【0051】
治療剤以外のコーティング材料は、例えば、単独で又は治療剤と組み合わせて適用されるポリマー材料、糖、ワックス、及び脂肪と、架橋又は重合されるモノマとを含む。このようなコーティング材料は、例えば、粉末、溶液、分散剤、懸濁液、及び/又は1つ以上のポリマーの乳濁液の形態で、選択的に水性及び/又は有機溶剤及びそれらの組み合わせで、あるいは選択的に溶剤を含まない溶融液として適用される。治療剤と共に使用される場合、ポリマー材料は、治療剤と同時に又はそれに連続して(前又は後に)選択的に適用される。このようなポリマー材料は、例えば、引き続くコーティング適用(例えば、引き続く層の接着を強化するために、金めっきされた装置へのアルカンチオール又はスルフヒドリル基含有のコーティング溶液の適用)を強化するためのプライマ層、治療剤の放出を制御するための層(例えば、疎水性ポリマーのような治療剤の放出を持続させるためのバリヤ拡散ポリマー;熱反応ポリマー;セルロースアセテートフタレート又はアクリレートベースのポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びポリビニルアセテートフタレートのようなpH反応ポリマー)、下に位置する薬剤層の保護層(例えば、エチルセルロースのような不透過性シーラントポリマー)、生体分解層、生体適合層(例えば、デキストラン、シクロデキストリン、ポリエチレンオキシド、及びポリビニルピロリドンのような合成又は自然発生の他の親水性生体適合材料を有するか又は有しない、血液適合性のバイオポリマーとしてアルブミン又はヘパリンを含む層)、装置供給を容易にするための層(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(すなわち、例えばポリエチレングリコール)のような親水性ポリマー、又は滑らかな親水性表面を提供するためのアクリレートベースのポリマー/コポリマー組成物)、薬剤マトリックス層(すなわち、医療装置に接着し、かつ体内への引き続く放出のために前記層内に又はその上に組み込まれた治療剤を有する層)、及びエポキシとして使用される。
【0052】
局所的薬剤供給のために薬剤マトリックス層として使用される場合、ポリマーコーティングは、供給すべき治療剤を吸収、吸着、捕捉、さもなければ保持できる任意の材料を含み得る。材料は、例えば、親水性、疎水性、及び/又は生体分解性であり、またポリカルボン酸、セルロースポリマー、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸ポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、グリコサミノグリカン、ポリサッカライド、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリウレア、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及びコポリマー、ポリオルトエステル、無水マレイン酸のようなポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリスチレン、天然及び合成ゴム、及びポリイソブチレン、ポリイソプレン、クラトン(登録商標)のようなエラストマコポリマーを含むポリブタジエン、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIBS)コポリマーのようなエラストマ;ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートバレレート、ポリアクリルアミド、ポリエーテル、セルロースのようなポリサッカライド、スターチ、デキストラン及びアルギン酸塩;ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリンを含むポリペプチド及びタンパク質;エチレンビニルアセテート(EVA)のようなビニルモノマのコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリビニル芳香族化合物;シクロデキストリン、ヒアルロン酸及びホスホリルコリンのような他の材料;及びそれらの混合物及びコポリマーから成る群から選択されることが好ましい。ポリウレタン分散剤(BAYHDROL等)及びアクリルラテックス分散剤のようなポリマー分散剤からのコーティングも本発明の範囲内にある。好ましいポリマーは、ポリウレタン;米国特許第5,091,205号に記述されているようなポリアクリル酸;及び米国特許第5,702,754号に記述されているような、有機酸官能基を有するポリマーと、有機酸基と反応できる官能基を有する多官能性架橋剤との水性分散剤又は乳濁液を含む水性コーティング組成物を含む。
【0053】
薬剤マトリックス層からの薬剤の放出速度は、例えば、ポリマー構造及び配合、マトリックスの拡散係数、溶剤組成、薬剤対ポリマー比、すなわち、薬剤とポリマーとの間の潜在的な化学反応及び相互作用、薬剤接着層及び任意のバリヤ層の厚さ、及びプロセスパラメータ、例えば乾燥等を変更することによって大部分制御される。本発明の方法及び装置によって適用される1つ又は複数のコーティングは、コーティング物質の放出速度の制御を可能にし、放出速度の制御は長期間の放出及び/又は持続する放出の両方を含む。
【0054】
コーティング材料は、懸濁粒子、例えば粉末を含み得る。例えば、懸濁粒子は、接着コーティング、又は静電現象のような他のある技術によって医療装置の表面に融合することが可能である。
【0055】
本発明のコーティングは、コーティング材料に応じて及び1つ又は複数のコーティングが適用される目的に応じて、適切な厚さが得られるように適用される。例えば、局所的薬剤供給に適用されるコーティングは、典型的に、少なくとも約1ミクロン〜30ミクロン未満の厚さに適用される。厚さは2ミクロンよりも大きいことが好ましい。さらに、厚さは20ミクロン未満であることが好ましい。さらに、100オングストロームの厚さの非常に薄いコーティングを提供し得る。30ミクロン以上のはるかに厚いコーティングも可能である。
【0056】
本発明によれば、医療装置12はステント構造体であることが好ましい。図2は、ステント構造体13の模範的な例示的一実施態様を示している。ステント構造体13は、一般に、軸線25に沿って延在する開いた骨組材料21の筒状本体を含む。言い換えれば、ステント構造体13を形成する材料は、構造体13を形成するステント材料36の部分の間に画定された開口部19を有する。このような開いた骨組材料21は図2に概して示され、また典型的なステント構造体が、ステント材料と構造体を形成する開口部とを含むことを示しているに過ぎない。本発明は任意の特定のステント構造体に限定されない。一般に、ステント構造体13は、第1の開口端27から軸線25に沿って第2の開口端29に延在する。ステント構造体13は、一般に、ステント構造体13の内面31の反対側に概して面するステント材料36の外面33を備え、内面31はステント構造体の第1の開口端27と第2の開口端29との間の内部体積部を画定する。
【0057】
図3は、一般に、本発明を用いてコーティングされるような図2のステント構造体13の部分の例示目的の図面を示している。例えば、ステント構造体13の外面33に1つ以上の層37をコーティングし得る。同様に、ステント構造体13の内部体積部に隣接する内面31を1つ以上のコーティング23でコーティングしてもよい。例えば、外面33を接着層及び1つ以上の治療剤でコーティングし得る。例えば、抗炎症治療剤は、ステント構造体13の外面に形成される最終層であってもよい。
【0058】
さらに、例えば、1つ以上の層23を内面31に形成してもよく、かつ層23は、例えば、接着層隣接面31を含むことが可能であり、最終コーティングは抗凝固薬の生物学的活性成分の形態である。
【0059】
当業者は、図2と図3が、本発明に従ってコーティングし得るステント構造体の例示的かつ概略的な一例に過ぎないことを認識するであろう。異なるステント構造体の多様性は大きく、またあらゆるこのような構造体のコーティングが本発明に従って考えられる(例えば、自己拡張構造体、開いた骨組材料の形態ではない材料から形成された構造体等)。さらに、ステント構造体13の任意の1つの表面にコーティングし得る層の数も例示目的に過ぎない。例えば、本発明によって適用された実際のコーティングは、接着層なしのステント構造体13の1つ以上の表面に接着する多層の積層タイプ構造の形態をとることが可能である。
【0060】
さらに図1を参照すると、供給装置15のノズル構造体20は、様々な構造の任意の構造を有しかつ任意の数の異なる構成要素、例えば、単一及び二重の毛細管電極、ミクロ加工のテーパ状開口部等を使用するノズル構造体を備え得る。例えば、以前に示したように、このようなノズル構造体は、米国特許第6,093,557号又は米国特許出願第2002−0007869号に記述されている1つ以上のノズル構造体を含むことが可能である。様々な種類のノズル構造体、及びそれらが使用可能である供給装置が、本明細書に図示かつ説明されている。しかし、本明細書に組み込まれている文献に記述されたノズル構造体は、本発明に従って使用可能である別のノズル構造体を提供することが可能であり、及び/又は同様に概して本明細書に記述されているノズル構造体に関する追加の説明を提供し得る。
【0061】
例えば、図4は、図1に概して示したような医療装置コーティングシステム10に使用可能なエレクトロスプレイ供給装置52の例示的一実施態様を示している。エレクトロスプレイ供給装置52は、各ノズル構造体54からの荷電粒子68の噴霧を形成するために1つ以上のノズル構造体54を含む。エレクトロスプレイ供給装置52は、例えば、同時に荷電粒子噴霧68の形成に使用するために、源材料77をノズル構造体54の各々に用意するための源材料保持装置60を含む。
【0062】
単一のエレクトロスプレイノズル構造体は、ノズル構造体の外被内で粒子噴霧68を形成する際に制御された送り速度の源材料を供給できる。源材料のこの送り速度は、1つ以上の様々な構造で共に束ねられた多ノズル構造体54を用いることによって増すことができる。例えば、「n」個のノズル構造体により「n」倍だけ送り速度を増大し得る。本発明は、さらに以下に記述するように、小さな領域、例えば直径7又は10センチメートル以内で、わずか1つのノズル構造体及び例えば1000ものノズル構造体、例えば毛細管の使用を可能にする。
【0063】
緊密に詰め込まれた束のノズル構造体から高荷電ナノ粒子を噴霧する様々な試みの1つは、1つのノズル構造体から隣接する他のノズル構造体へのナノ粒子の空間電荷効果を克服することである。様々な構造の多ノズル構造体に関して、一般に、ノズル構造体54の円錐状噴出モードの形成に必要な電圧は、ノズル間の距離が小さくなるにつれ増加する。しかし、より高い電圧は、ノズル構造体と、電界を形成するために使用される第2の電極との間にアーキングを引き起こす可能性があり、このようなアーキングは問題となるので、より低い電圧で操作することが好ましい。したがって、ノズル間の距離が小さくなるにつれノズル構造体を共に近接させることができるが、円錐状噴出を形成するために高電圧を必要としない多ノズル構造体の構成を有することが望ましいかもしれない。
【0064】
図4に示したように、各ノズル構造体54、例えば毛細管59は、軸線51に沿って延在して供給端部69に終端する開口部53を画定する。開口部53は、軸線51に対し直交しかつそこでセンタリングされた断面を有する。本明細書に使用されているように、ノズル間の距離(L)は、ノズル構造体54の中心軸線51の間の距離として規定される。
【0065】
円錐状噴出動作を獲得するために必要な電圧は、ノズル間の距離に基づき異なる。一般に、一実施態様では、単一毛細管59の円錐状噴出動作を獲得するために必要な電圧は、約7500ボルトである。ノズル間の距離(L)が小さくなるにつれ、高荷電ナノ粒子をノズル構造体54から「追い出して」、ナノ粒子の噴霧に必要な円錐状噴出モードを形成するためにより高い電圧が必要とされる。最終的に、必要な電圧は破壊電界(約18,000ボルト)に達し、これにより、ノズル間の間隔の最も近い距離が画定される。
【0066】
ノズル間の距離(L)はまた、開口部53の臨界寸法(CD)、例えば、ノズル構造体54の軸線51に対し直交した開口部53の断面直径による影響を受ける。例えば、図4に示したように、毛細管59はノズル構造体54の軸線51に沿って設けられ、各毛細管は供給端部69に終端する。ノズル構造体54のCDは開口部53の直径、すなわち、噴霧が供給端部69で形成される開口部の断面直径である。
【0067】
本発明によれば、多ノズル構造体54が単一電極になること、例えば、ノズル構造体から第2の電極へのアーキングを回避するために、あるノズル間の距離(L)をノズル構造体54の間に設けなければならない。本発明によれば、ノズル間の距離(L)対CD、すなわちL/CDの比率は、2以上であることが好ましい。言い換えれば、図4に示したように、軸線51に対し直交した開口部53の直径に対するノズル間の距離(L)の比率は、2以上であることが好ましい。
【0068】
エレクトロスプレイ供給装置52のノズル構造体54の各々は、高濃度の荷電粒子を有する荷電噴霧を用意する。一般に、噴霧の荷電粒子の濃度は、1立方センチメートル当たり約105の粒子(1cc当たりの粒子)〜約1012の粒子/ccの範囲にある。空間電荷効果、すなわち、荷電粒子の電荷反発作用によって形成される効果の故に、同一極性の電荷を有する実質的に分散された粒子の噴霧には、図4に示したように、噴霧領域にわたって実質的に均一に分布された粒子が提供される。
【0069】
本明細書に使用されているように、実質的に分散された粒子という用語は、印加された静電斥力によって分離される均一に及び/又は非均一に寸法決めされた粒子を指す。したがって、エレクトロスプレイプロセスは一貫しかつ再現可能な移送プロセスである。さらに、噴霧の荷電粒子は互いに反発するので、粒子の凝集が回避される。これにより、より均一な粒度が得られる。「実質的に分散された」粒子は、噴霧された粒子の一般的な均一度、例えば呼び径からの粒子の標準偏差を含む単分散粒子と混同すべきではない。
【0070】
一般に、図4に示したような構造によれば、電荷は、形成された電界79において、材料、例えば活性成分を含む溶液の蒸発によって粒子噴霧に電荷を集中させることにより印加される。言い換えれば、例えば、源材料77は、活性成分の懸濁液又は溶解活性成分を含む溶液であり得る。次に、懸濁液又は溶液は、エレクトロスプレイ供給装置52から供給され、例えば、微小滴の活性成分が供給される。言い換えれば、一般に、噴霧された液体が蒸発して、噴霧される流体組成物又は懸濁液内の粒子、例えば活性成分粒子に液体部分の電荷を集中させる。このことにより、さらに以下に記述するように荷電粒子噴霧68が得られる。
【0071】
図4は、一般に、ノズル構造体54の各々からの荷電噴霧68を形成するためのエレクトロスプレイ供給装置52の動作の概略図を示している。ノズル構造体54の各々は、材料源保持装置60からの流体組成物の流れを受容する。例えば、材料源保持装置60は、薬剤活性成分を懸濁するか又は溶解活性成分を有する流体組成物77を含むことが可能である。
【0072】
一般に、導電性材料56、例えば導電性プレートは、ノズル構造体54の各々を特定の構造に位置決めする。導電性材料56は、高電圧源73に接続するように適合される。ノズル構造体54の各々は、流体組成物77の流れを受容するためのオリフィス、例えば開口部53(例えば、溢流式チャンバ内に画定された毛細管開口部又はオリフィス等)を画定する図4に例示的に示したような導電性構造体、例えば毛細管59を含む。
【0073】
源材料保持装置60用の様々な構造を本発明に従って使用可能であるが、流体組成物77を1つ以上のノズル構造体54に送るために、単一の保持装置を使用することが好ましい。当業者は、異なる様々な流体組成物を保持し、かつ異なる組成物を異なるノズル構造体54に用意するために、任意の数の異なる及び別個の保持装置を使用し得ることを認識するであろう。
【0074】
好ましくは、流体組成物77は、開口部53を通して押し出すか又は引き出して、ノズル構造体54の供給端部69に用意、例えばポンプによって押し出すことが可能である。矢印64で概して示した圧縮ガス源、例えば、流体組成物77と反応しない不活性ガス源は、流体組成物77を圧縮して、ノズル構造体54の開口部53を通して流れるように流体を強制するために設けられることが好ましい。このような流体組成物流を用意するために圧縮ガス源64を使用することが好ましいが、このような流れを提供する他の方法も使用し得る。例えば、力、例えば空圧力が印加される流体組成物77の上方のプレートを使用し得るか、又は各ノズル構造体用のシリンジポンプを使用することが可能である。
【0075】
導電性構造体56によって位置決めされかつそれに電気的に結合されたノズル構造体54は、エレクトロスプレイ供給装置52の第1の電極として機能し、各ノズル構造体の供給端部69は、医療装置12又はその表面13に向かって荷電微小滴を供給するために位置決めされる。図4の模範的な実施態様では、電界79を形成するために、医療装置12は、第2の電極構造体、例えば、接地81で示したような接地医療装置12として機能する。第1の電極の導電性構造体56と、第1の電極から電気絶縁される第2の電極又は接地医療装置12との間に、電位差が印加される。当業者は、1つ以上の導電性要素を用いて電極を形成することが可能であり、このような電極が異なる様々な構造の1つをとり得ることを認識するであろう。
【0076】
一般に、操作中、流体組成物77の流れは、ノズル構造体54の開口部53を通して用意され、例えば、開口部53を通して押し出され及び/又は引き出される。メニスカスは供給端部69に形成され、ここでは、開口部53は約6ミクロン〜約2ミリメートルの好ましい範囲の直径を有する。ノズル構造体54に電気的に結合された第1の電極の導電性構造体56と、接地81に接続された第2の電極(例えば医療装置12)との間に不均一な電界79を形成するために、電位差が印加される。例えば、第2の電極の医療装置12を接地した状態で、高い正電圧を第1の電極の導電性構造体56に印加してもよい。さらに、例えば、4kV/cmよりも大きな電界強度を提供する電圧差が使用されることが好ましい。
【0077】
本明細書に使用されているように、不均一な電界は、2つの電極の間の電位差によって形成された電界を指す。不均一な電界は、他方の電極に対して一方の電極に、より局所的に集中される電界線、例えば、第2の電極又は接地医療装置12に対して供給端部69に一層集中される少なくともいくつかの電界線を含む。言い換えれば、例えば、電界線の少なくともいくつかは、開口部53の中心を通る長手方向軸線51に対して軸線がずれている。さらに、例えば、接地医療装置12は供給端部69の前方に位置決めされ、また長手方向軸線51から離れた位置に配置される部分のサイズであるか及び/又は少なくともその部分を含む。様々な実施態様では、第2の電極は、1つ以上のリング電極、プレート電極、接地医療装置の表面等であり得る。異なる電極構造体が荷電粒子を発生するために使用されるとしても、医療装置12をなおコーティングすることが可能である。
【0078】
例えば、リング電極を供給端部69の前方に位置決めして、医療装置が位置決めされる画定体積部内に高荷電粒子を用意するための電界を形成し得る。画定体積部内に用意された粒子により、他の電界を形成して、高荷電粒子を接地医療装置に向かって移動させることが可能である。したがって、概して図1に示したコーティングシステム10を用いて医療装置12をコーティングすることは、医療装置が用意される画定体積部内に粒子を用意すること、その後、コーティングを医療装置に形成するために粒子を医療装置に向かって移動させることを含み得ることが認識される。さらに、代わりに、粒子を形成し、それらの形成と同時にコーティングするための医療装置に向かって移動させてもよい。例えば、荷電粒子を画定体積部内に発生するために医療装置を接地して均一な電界を形成することが可能であり、前記画定体積部内において、コーティングを医療装置12に形成するように医療装置に向かうこのような荷電粒子の移動も可能にする電界が医療装置に付与される。
【0079】
流体組成物が活性成分を含む模範的な一実施態様では、流体組成物77はノズル構造体54の開口部53を通して流れる。一般に、開口部53に用意される流体組成物77は導電性を有する。流体組成物77が開口部又はオリフィス53を通って前進するとき、第1及び第2の電極の間の電位差はそれらの間に電界を形成して、液体から一方の電荷極性を除去し、すなわち、高い正電圧が電極56に印加されるときに負電荷が除去され、正電荷された微小滴が供給端部69から供給されるようにする。例えば、供給端部69のメニスカスは、不均一な電界力がメニスカスの表面張力を均衡させるときに、活性成分を含む微小滴の噴霧を供給するための円錐状噴出を形成し得る。微小滴の噴霧は、さらに、不均一な電界でより能動的になる。
【0080】
微小滴が蒸発するとき、微小滴の電荷は活性成分に集中し、荷電粒子噴霧を生じる。微小滴の電荷量、したがって、蒸発後の粒子の電荷量は、微小滴を噴霧するために使用される流体組成物の導電率、流体組成物の表面張力、流体組成物の誘電率、及び流体組成物の送り流量に少なくとも基づいている。特定の粒子に集中される電荷は、微小滴が粉砕又は引き裂かれることなく微小滴によって保持できる最大電荷の約30%よりも大きく、すなわち、レイリー電荷リミットの約30%よりも大きいことが好ましい。電荷はレイリー電荷リミットの50%よりも大きいことが好ましい。100%では、微小滴の表面張力が電気力によって克服され、小滴の崩壊を引き起こす。不均一な電界は、粒子の閉じ込め及び/又は粒子の方向付けも可能にし、さもなければ、粒子は、空間電荷効果の故に不規則な方向に進む。
【0081】
当業者は、印加電圧を反対にし得ることを認識するであろう。例えば、第2の電極に印加された高い正電圧で、第1の電極を接地することが可能である。このような場合、粒子は、それに集中される負電荷を有するであろう。さらに、不均一な電界を付与して、荷電粒子噴霧を形成する他の任意の印加電圧構造を使用してもよい。
【0082】
様々な構造によって、不均一な電界を付与することができる。例えば、第2の電極は、ノズル構造体54の供給端部69から噴霧68の形成を確立するために接地かつ位置決めされる任意の導電性材料であってもよく、例えば、第2の電極は、接地リング電極、ステント構造体の内部体積部に位置決めされた接地細長要素等であり得る。第2の電極はまた、様々な位置、例えばノズル構造体54のすぐ前方に配置するか、又はノズル構造体54からより遠くにまた医療装置12により近くに配置することが可能である。
【0083】
第1及び第2の電極の間の距離を調整することによって、電界強度を調整し得る。異なる電界強度により、部分的に少なくとも粒子噴霧68の空間電荷効果のため、粒子噴霧が用意される比較的異なる領域Dが生じるかもしれない。当業者は、供給装置52の1つ以上の構成要素を他の構成要素に対して移動させて、例えば、医療装置を1つ以上のノズル構造体54に対して又はその逆に移動させて、電界強度の調整を実施し得ることを認識するであろう。
【0084】
保持装置60からの流体組成物77は、動作可能なとき、好ましくは圧縮ガス源64の制御下でノズル構造体54に用意される。上述のように、流れはまた、液体ポンプ(例えば、シリンジポンプ、重力送りポンプ、圧力調整式液体リザーバ等)、質量流量制御器、又は源材料、例えば流体組成物77を、当業者に知られているような1つ以上のノズル構造体54に送るために適切な他の任意の流量制御装置を使用することにより制御可能である。
【0085】
流体組成物の流れは、供給装置52によって微小滴に霧化される。霧化は、微小滴を生成するための任意の公知の技術によって行うことが可能であり、当該微小滴は、好ましくは約10ナノメートル以上、より好ましくは約20ナノメートル〜約10マイクロメートル、さらにより好ましくは約30ナノメートル〜約1マイクロメートルの呼び径を有する。好ましくは、静電霧化が使用される。しかし、他の霧化装置(例えば、圧力調整式霧化器、超音波噴霧器、油圧ノズル等)により、充分な霧化を行うことが可能である。本明細書に前述したように、約10ナノメートル〜約2ミクロンの範囲の呼び径を有する微小滴は、エレクトロスプレイによって生成できる。このような引例に記述したような様々な要因が、生成される小滴サイズに影響を及ぼす。これらの要因は、例えば、毛細管サイズ、液体送り速度、供給装置、周囲ガスの性質等である。当業者は、様々な所望のサイズの微小滴を制御かつ生成するために、このような要因及び他のものが変更可能であることを認識するであろう。
【0086】
多ノズル構造体54、例えば毛細管電極59と第2の電極との間に異なる電位差を印加することによって、異なる操作モードを確立できる。例えば、第2の電極医療装置12を接地した状態で導電性構造体56を介して毛細管電極に印加される高い正電圧73は、比較的高い正電荷を噴霧68に付与する。このような場合の第2の電極12は接地81に設けてもよく、それに接続された負電圧を有してもよい。例えば、印加電圧は、電界が形成される媒体に許容される最大電界強度によって制限される。例えば、アーキングは、約30kV/cmよりも大きな電界強度で空気中に生じる。しかし、CO2、SF6等のようなシースガスをノズル構造体の周りに使用することにより、許容電界強度を向上できる。
【0087】
本明細書に記述したようにまたそれに引用した他の文献において、比較的大きな電位差が印加された状態で、脈動モード又は円錐状噴出の操作モードが達成される。円錐状噴出の操作モードでは、円錐状液体メニスカスが供給端部69で形成され、これに対し、脈動モードでは、液体メニスカスの形状は円錐状と丸形との間で交替する。他方、比較的小さな電位差が毛細管電極59と第2の電極12との間に印加された状態では、供給先端からの滴下が生じる。本発明によれば、毛細管59のオリフィス又は開口部53で形成される円錐状噴出83からの噴霧が好ましい。
【0088】
さらに以下に記述するようなエレクトロスプレイ供給装置用の様々な構造が適切であり得るが、供給装置52は、ノズル構造体54、例えばその毛細管59の各々から噴霧68を用意するために、例えばプラチナ、シリカ等のような適切な材料から製造された毛細管59を含むことが好ましい。例えば、毛細管は、約6マイクロメートル〜約2.5ミリメートルの好ましい範囲の外径と、約6マイクロメートル〜約2ミリメートルの好ましい範囲の内径とを有し得る。
【0089】
さらに、供給装置52は、各毛細管、例えば同心管の周りに、又は供給装置52、例えば、装置52の噴霧部分を囲むハウジングの周りにケーシングを含むことが可能であり、このケーシングを使用して、シースガス、例えばCO2、SF6等を毛細管59の周りに用意し、毛細管の静電破壊電圧を増加すること、例えば、コロナ放電を防止することが可能である。このようなシースガスの使用は、表面張力の高い液体、例えば脱イオン水を用いて噴霧が形成される場合に特に有益である。
【0090】
前述のように、不均一な電界は、粒子の閉じ込め及び/又は粒子の方向付けを可能にし、さもなければ、粒子は空間電荷効果の故に不規則な方向に進む。空間電荷効果は単分散及び非集塊状粒子の提供に必要である。空間電荷効果は、一般に、粒子のサイズ及び粒子電荷に左右される。電界を利用して粒子を医療装置12に向かって移動させ、また他の位置への散乱を防止することにより、医療装置のコーティングに必要なコーティング材料の量が実質的に低減される。
【0091】
例えば、コーティング材料の量のこのような低減は、本発明によるコーティングと医療装置の浸漬とを比較することにより明確に理解できる。浸漬プロセスでは、装置の浸漬を可能にするために、コーティング材料を有する容器を用意しなければならない。浸漬に必要な材料の量は非常に多い。
【0092】
本発明によれば、浸漬プロセスとは反対に、例えば、画定体積部内の粒子の濃度は、医療装置に堆積される充分なコーティング材料が存在する状態でのみ制御できる。したがって、必要なコーティング材料(例えばDNA又はRNA)の量は、浸漬に必要な量よりも実質的に小さい。さらに、電界は、粒子を医療装置12に向かって方向付けて、医療装置を囲む構造体、例えば、医療装置が位置決めされるチャンバの壁部、及び例えば長手方向に又は半径方向の医療装置12の移動と関連付けられた装置のような医療装置のコーティングに使用し得る他の構造体に粒子が堆積することを防止する。
【0093】
さらに、上述のように、微小滴が蒸発するときに、微小滴の電荷は活性成分に集中し、荷電粒子噴霧を生じる。医療装置12の少なくとも1つの表面13と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、供給装置から噴霧された微小滴の溶剤成分の約20%未満を含むように、コーティング材料システム10が構成されることが好ましい。しかし、ある溶剤成分は、粒子が医療装置12の表面13に接触するときに残りの粒子体積の部分を形成することが好ましい。ある溶剤成分が、蒸発した微小滴によって占められた残りの粒子体積の部分である状態で、微小滴(粒子を含む)と医療装置12の表面13との接着を強化し得る。本来噴霧された微小滴の溶剤成分の約20%未満を含む微小滴が、医療装置の表面13に接触した後、溶剤の残部が蒸発し、粒子が医療装置12の表面13にコーティングされたままにする。言い換えれば、医療装置12の少なくとも1つの表面13と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められた残りの粒子体積は、ある溶剤成分、しかし本来噴霧された微小滴に含有された溶剤成分の約20%未満を含む。
【0094】
微小滴/粒子が医療装置12の表面13に接触する前の蒸発量は、任意の数の異なる方法で制御可能である。例えば、使用する溶剤の種類、供給装置と医療装置との間の距離、医療装置が用意されるチャンバの温度及び圧力、微小滴のサイズ等によって蒸発を制御してもよい。本発明は、このような蒸発を制御する任意の特定の方法に限定されず、また他の様々な方法が当業者には明白であろう。
【0095】
1つ以上のノズル構造体54の様々な構造を使用することが可能である。例えば、様々な構造は、単一毛細管、例えば五角形、六角形のような異なる1つ以上の構造に束ねられた多数の毛細管、又は2002年1月24日に公開された米国特許出願第2002−0007869号に記述されているような他の空間構造の使用を含み得る。
【0096】
さらに、例えばプラチナ、シリコン等のような適切な材料から製造された毛細管は、例えば、本明細書に記述したような粒子噴霧を提供するために使用し得る。好ましくは、このような毛細管は、電界を各毛細管の先端に集中するように毛細管の先端で先細りにされる。
【0097】
毛細管の使用は、単一毛細管、ならびに前述の米国特許出願第2002−0007869号に記述されているような同心の二重毛細管の使用を含み得る。例えば、供給装置から噴霧を形成するために、二重の液体流れを同心の二重開口毛細管の供給端部から用意してもよい。二重毛細管構造を使用して、活性成分のコーティング粒子を噴霧するか、又は1つ以上の成分を有する粒子を形成することが可能である。例えば、第1の開口部を通した第1の流体組成物によって活性成分を用意してもよく、また第2の開口部を通した第2の流体組成物によって、コーティング材料、例えば時限解放ポリマーを用意してもよい。例えば、噴霧時、コーティング材料は、少なくとも部分的に活性成分を封入してもよく、次に、層を医療装置12に形成するために、コーティング粒子が移送される。
【0098】
さらに、このような二重毛細管構造を使用して、噴霧される液体の1つ以上の導電率を変更することによって、噴霧される粒子の導電率を制御し得る(例えば、より高い電荷が蒸発中に粒子に集中されるように、噴霧される組成物の1つの導電率を高める)。
【0099】
異なる導電率を有する流体の使用に加えて、流体はまた、異なる表面張力を有してもよい。例えば、流体は中心毛細管を通して流れることが可能であり、他の流体は、中心毛細管と、米国特許出願第2002−0007869号に記述されているような同心毛細管との間の空間に用意される。異なる導電率及び表面張力を有する2つの異なる流体を使用することにより、中心毛細管を通した噴霧困難な流体を中心及び同心の毛細管の供給端部に用意できる。このような噴霧は、追加の電荷が中心毛細管を通して噴霧された粒子に集中されるように、中心毛細管を囲む空間内の例えば流体(例えばアルコール)の追加の導電性によって促進される。この噴霧はまた、流体が二重毛細管構造の供給端部に当たって、流体を中心毛細管を通して噴霧するための円錐状噴出を形成するときに、流体間の表面張力差によって支援される。
【0100】
二重毛細管構造は任意の種類の源材料に使用可能である。例えば、流体は、活性成分、生物学的活性成分、賦形剤、又は本明細書に記述したような他の任意の源材料でもよい。
【0101】
さらに、外側流体は、円錐状噴出の形成、又は中心毛細管からの材料の噴霧に使用するための成分の用意を支援するために、ガス形態であり得る。このようなガスはまた、中心及び同心の毛細管の間の空間に用意された流体を有する中心毛細管によって用意し得る。このように、中心に空隙を有する粒子を形成することが可能である。空隙、例えば泡を画定するこのような粒子は、例えば、ある表面積が望まれるが、より大きな表面積を形成する成分量が最小に保持されるべきである状態において有益であり得る。
【0102】
本発明は、様々な適切なノズル構造体が使用可能であるので、毛細管型のノズル構造体の使用に限定されないことが明らかである。例えば、他の様々なノズル構造体が概して本明細書に記述されている。本明細書に記述した原理に従って、粒子噴霧を用意するために適切な任意のノズル構造体、例えば、様々な円錐状噴出を提供し得るスリット(例えば、本明細書に記述したような柱付き又は柱なし)、他のノズル構造体の部分と一体の部分を有するノズル構造体、医療装置が位置決めされるチャンバ壁の一部を形成するノズル構造体、図11〜図13に示したようなステント構造体のコーティングを特に参照して本明細書に記述したような半径方向に又は長手方向に構成されたスロット、開口の多ノズル構造体(例えば、二重毛細管構造のような二重開口部を各々が有するミクロ加工ノズル構造体)等を使用することが可能である。
【0103】
可能な多くの異なるノズル構造体の実装の1つにおいて、図5Aと図5Bに示した構成を用いて、ノズル構造体を提供することが可能である。図1の医療装置コーティングシステムに使用可能であるエレクトロスプレイ供給装置502は、1つ以上のノズル構造体506を含む。ノズル構造体506は、単一の一体導電性材料504、例えばミクロ加工プレートによって設けられることが好ましい。導電性材料又はミクロ加工プレート504は、流体組成物524を収容しかつ流体組成物524の流れをノズル構造体506の各々に用意するための流体組成物保持装置522の一部、例えば底面523を形成し得る。例えば、本明細書に前述したように、圧縮ガス源526を使用して、流体組成物524をノズル構造体506の各オリフィス又は開口部525に供給することが可能である。多ノズル構造体506が形成される導電性材料504と医療装置520との間に、電位差が与えられることにより、円錐状噴出517(図5B参照)が1つ以上のノズル構造体506の供給端部513に設けられ、粒子噴霧519(例えば、蒸発させて、医療装置をコーティングするために使用される閉じ込め粒子に電荷を集中する微小滴)を提供する。
【0104】
図5Bは、図5Aのノズル構造体506の1つをさらに詳細に示している。ノズル構造体506は、オリフィス又は開口部525を画定するテーパ状部分516を含む。ノズル構造体506の開口部525は軸線501に沿って延在する。テーパ状部分516は、流体組成物524を受容しかつ十分な流れを開口部525内に用意するために、すなわち流体組成物に対して内側のテーパ状内面509を含む。テーパ状部分516はテーパ状外面508をさらに含む。テーパ状外面508及びテーパ状内面509は、略平行の構造を有する反対面であることが好ましい。言い換えれば、このようなテーパ部は、軸線501に対し直交して位置する一般にプレート状の導電性材料504に対して同一の角度にある。テーパ状外面508はターゲット520に向かって延在し、また電位差の印加の下で動作するときに円錐状噴出が形成される供給端部513に終端する。
【0105】
図6Aと図6Bは、図5Aと図5Bに示したのと同様であるが、二重開口構造を有する1つ以上のノズル構造体556を含むエレクトロスプレイ供給装置552の他の代替実施態様の概略図を示している。このように、この装置は、同心毛細管に関し本明細書に記述したのと同様の方法で、同様に米国特許出願第2002−0007869号に記述されているように使用することが可能である。
【0106】
図6Aに示したように、供給装置552は、一般に、その第1の電極として機能する2つの導電性プレート状構造体584と585を含む。導電性プレート状構造体584と585は分離されて、流体組成物573を流体組成物源572から前記構造体の間に用意することを可能にする。プレート状構造体584と585は、二重の開口ノズル構造体556を用意するために形成される。ノズル構造体556の各々は、第1の電極、すなわち導電性プレート構造体584及び/又は585と医療装置554との間に適切な電位差を印加すると円錐状噴出560を形成する。したがって、粒子噴霧562は、各ノズル構造体556の供給端部582(図6B参照)で用意又は形成される。
【0107】
再度、圧縮ガス568を適用すると、保持装置564に保持された流体組成物566は、ノズル構造体556の各々を通して流れることができる。流体組成物566は流体組成物573と同一でも異なってもよい。流体組成物566は、流体組成物573と異なることが好ましい。例えば、本明細書に前述したように、流体組成物566は、医療目的用の活性成分を含んでもよく、また流体組成物573は、時限解放材料、例えばポリマーのような賦形剤又はコーティング材料を含んでもよい。このような流体組成物を使用することにより、医療装置554のコーティングに使用するための各ノズル構造体556からコーティング粒子を噴霧できる。
【0108】
図6Bは、供給装置552に使用される1つのノズル構造体556のより詳細な図面を示している。図6Bに示したように、第1の導電性プレート構造体584は、第1の流体組成物566が用意される開口部596の画定を可能にする。第1の導電性プレート構造体584及び第2のプレート構造体585は、第2の流体組成物573を受容するために、前記2つの構造体の間に空間又はチャネル570を提供する。第2の流体組成物573は、第2の導電性プレート構造体585によって画定された開口部594で第1の流体組成物566に出会う。開口部594、596及びチャネル570を画定する構造に応じて、2つの流体組成物はチャネル570又は開口部594のいずれかで互いに接触することが可能である。
【0109】
第1の導電性プレート構造体584は、軸線553に沿って開口部596を画定するテーパ状部分586を含む。テーパ状部分586は、流体組成物566を受容する、すなわち流体組成物566に対して内側のテーパ状内面598と、好ましくは内面598と同様に先細りにした外面597とを含む。外面597は医療装置554に向かって延在し、チャネル570内への出口574に終端する。
【0110】
同様に、導電性プレート構造体585は、軸線553に沿って開口部594を画定するテーパ状部分588を含む。テーパ状部分588は、出口574を介して用意される第2の流体組成物573及び第1の流体組成物566を受容する内面591を含む。テーパ状部分588は、電位差が導電性プレート構造体585、588と医療装置554との間に印加されたときに、円錐状噴出560が供給端部582で形成されるように供給端部582に終端するテーパ状外面590をさらに含む。
【0111】
導電性プレートに単一の孔を開けることでは、導電性プレートのオリフィスにおける円錐状噴出の形成は行われないことが認識される。図5と図6に示したように、本図に示したノズル構造体の供給端部に円錐状噴出を形成するために、ノズル構造体の各々はプレート状構造体からの突出部を含まなければならない。言い換えれば、このようなプレートからの突出部又は延長部を提供する図5と図6に示したノズル構造体のテーパ状部分は、このような突出構造体の先端における円錐状噴出の形成を可能にするために必要とされる。
【0112】
図5と図6に示したように、開口部は小さな毛細管型開口部の形態をとってもよく、細長い開口部(すなわちスロット)の形態をとってもよい。例えば、図5Aと図5Bを参照すると、開口部506と556は、ステント構造体をコーティングするための実施態様に示したような細長い開口部の形態をとることが可能である。例えば、図11に示した一実施態様は、ステント構造体が配置される軸線に対し平行に位置決めされる細長い長手方向スロットを使用する。複数の長手方向スロットは軸線を中心に半径方向に配置される。半径方向に構成されたスロットが図12に示されている。半径方向に構成されたこのようなスロットは、ステント構造体が配置される軸線から半径方向のある距離に形成される。半径方向に構成された複数のスロット(例えば円弧)は軸線に沿って離間する。
【0113】
本明細書に前述したように、ノズル構造体の供給端部で形成された噴霧の粒子、例えばナノ粒子は概して高荷電であり、この高荷電は、円錐状噴出モードで動作するノズル構造体に印加される電圧電位の上昇のため生じる。電圧電位の上昇のため、場合によっては、コロナ放電及び電圧破壊が生じ、円錐状噴出を破壊する可能性がある。図6Aに示したように、各ノズル構造体を隣接するノズル構造体から絶縁して、高荷電ナノ粒子によって引き起こされる空間電荷効果を低減するために、分離構造体、例えば構造体558を使用することが可能である。この分離構造体の技術は、ノズル構造体を小領域に高度に詰め込むことを可能にする1つの方法を提供する。
【0114】
分離構造体558用の様々な構造が使用可能である。例えば、毛細管が使用される場合、プレートから延在する分離構造体は毛細管の各々の間に設けられ、また米国特許出願第2002−0007869号に記述されているように使用することが可能である。当業者は、供給端部の適切な相互の絶縁が行われる限り、このような分離構造体の任意の形態又はサイズを使用し得ることを認識するであろう。一般にまた好ましくは、分離構造体は、供給端部よりも低い点、又は毛細管の使用と関連して、毛細管の先端よりも低い点に延在する。このように、各ノズル構造体の供給端部における円錐状噴出の形成が可能である。
【0115】
分離構造体は、ポリテトラフルオロエチレン、プラスチック等のような任意の絶縁材料から製造することが可能である。空間電荷効果、すなわちノズル構造体の間の空間電荷効果は、分離構造体によって低減されるので、より均一に分散された粒子噴霧が提供される。このことは、このような分離構造体の使用により可能となる低電圧動作に部分的に起因する。
【0116】
分離構造体の構成は、少なくとも部分的に、ノズル構造体の構造又は構成に左右されることが当業者によって認識されるであろう。言い換えれば、ノズル構造体の長方形パターンが利用されるならば、線型の分離器を使用し得る。同様に、円形構造のノズル構造体が使用されるならば、このような分離器は、ある種類の円形構造である必要があるかもしれない。
【0117】
分離構造体が図6Aに示されている。このような分離延長部558は、導電性プレート構造体585から延在して、ノズル構造体556を分離するものとして示されている。同様に、図5Aに示したように、分離延長部512は導電性プレート構造体504から延在して、ノズル構造体506を分離する。
【0118】
他の代わりの供給装置700が図7Aと図7Bに示されている。この代替構造では、液体流を案内するために軸方向の柱716が使用される。円錐状噴出の形成は、円錐状噴出720の中心に案内柱716を有することによって容易になる。図7Aは供給装置700の模範的な側面図を示し、また図7Bは線7B−7Bの図7Aの断面図を示している。
【0119】
図7Aと図7Bに示したように、供給装置700は、多ノズル構造体708の提供に使用するために形成された多数の開口部712、例えば円形開口部を有する導電性プレート706を含む。各開口部712及び導電性プレート706は、一般に、ノズル構造体708の軸線701に対し直交して位置する。加工目的のため、このような開口部をチャネル部分714によって接続し得る。
【0120】
ノズル構造体708の各々は、開口部712の1つを用いて、開口部712の中心を通る軸線701に沿って柱部材716、例えば中実柱を設けることによって形成される。柱部材716は、導電性プレート706を通過してまた開口部712を通して所定距離だけ延在して、ノズル構造体708を形成する先端721を含む。
【0121】
プレート構造体706は、流体組成物702が収容される流体組成物保持装置704の一部を形成し得る。流体組成物702が、例えば圧縮ガス源730を制御することによって又はその制御下で、ノズル構造体708の部分を形成する開口部712を通して押し出されるとき、流体組成物702は柱716に従う。ガス源730によって印加される適切な圧力、及びプレート706と医療装置710との間に印加される電位差により、円錐状噴出720が柱部材716の先端721で形成される。次に、円錐状噴出の結果、粒子噴霧722が用意される。
【0122】
本発明による医療装置コーティングシステム10の1つ以上の実施態様の粒子は、本発明による異なる1つ以上の方法で用意し得る。例えば、多くの実施態様に前述したように、荷電粒子がエレクトロスプレイ装置によって用意される。しかし、いくつかの実施態様では、粒子は荷電粒子である必要はない。
【0123】
例えば、さらに以下に記述するように、医療装置12の表面13をコーティングするために、伝熱効果を利用して、コーティング粒子を医療装置に向かって移動させてもよい。このような場合、静電力によって円錐状噴出を提供する代わりの方法を使用して、円錐状噴出を形成してもよい。代替技術は、空気力学的な力を利用して、粒子を噴霧するための円錐状噴出を提供する。図8Aと図8Bは、図1に示した医療装置コーティングシステムの一般的な実施態様に使用可能な円錐状噴出の形成に空気力学的な力を利用する空気供給装置800を示している。
【0124】
空気供給装置800は、多ノズル構造体806の提供に使用するために形成された開口部842を有するプレート840を含む。空気供給装置800の多ノズル構造体806は、プレート840の開口部842に密接して、端部815を有する毛細管812を位置決めすることによって設けられる。毛細管812は、一般に、プレート840に対し直交して位置する。このような構造において、また図8Bを参照してさらに以下に記述するように、円錐状噴出831をノズル構造体806の供給端部810に形成して、コーティングを医療装置804に形成するために医療装置に向かって移動できる各ノズル構造体806から粒子噴霧808を用意できる。
【0125】
円錐状噴出831を形成するために、保持装置820に保持された流体組成物822は、例えば圧縮ガス源824の制御下で毛細管812内に用意される。流体組成物822が毛細管812を通して押し出されるとき、ガス源830、例えば、好ましくは圧縮ガス源は、毛細管812の供給先端815の周りにまた各ノズル構造体806の開口部842を通して圧縮ガス830を用意する。少なくとも部分的に、円錐状噴出モードは、図8Bを参照してさらに以下に記述するように、開口部842を通してまた毛細管先端815の周りに流れる圧縮ガス830によってノズル構造体の各々の供給端部810に提供される。
【0126】
図8Bは、空気供給装置800の各ノズル構造体806のより詳細な図面を示している。本図に示したように、毛細管812は本体部813と先端815とを含む。先端815は僅かに先細りにすることが好ましい。内部に画定された開口部842を有するプレート840は、各開口部842を画定するテーパ状領域839を含む。すなわち圧縮ガス830に対して内側の内面841を含むテーパ状領域839は、圧縮ガス830を受容し、かつ毛細管先端815に形成された流体組成物822のメニスカス上に空気力学的な力を印加することを可能にする。円錐状噴出831が形成され、これによって、粒子噴霧808が用意される。テーパ状部分839は様々な構造の1つをとり得ることが認識されるであろう。例えば、このようなテーパ状表面841は多数のテーパ部を含んでもよく、円弧状であってもよく、あるいはさらに、図5と図6を参照して本明細書に前述したように、先細りにした多数の内面及び外面を含むことさえも可能である。
【0127】
さらに、毛細管に加え他の構造体を使用して、開口部842に密接して流体組成物を用意し得る。しかし、上面837の下方に、かつプレート840に画定された開口部842に位置決めされた先端815を有する毛細管812が、使用されることが好ましい。
【0128】
70ミクロン程度のサイズを有する粒子を発生するための空気力学的な円錐状噴出が示されている。例えば、このような円錐状噴出は、Afonso M.Ganan−Calvoによる論文、表題「医療用途の呼吸可能なエアロゾルを発生するための新しいマイクロ流体技術」、Journal of Aerosol Science、第30巻、付録1、541〜542ページに記述されている。
【0129】
図6に示したような二重構造体は、同様に、図8Aと図8Bに示した空気力学的構造体を用いて実装し得る。例えば、図8Aと図8Bに示したのと同様の方法で、各ノズル構造体のために多数の開口部を設けてもよい。したがって、例えば、これによってコーティング粒子を発生することが可能である。
【0130】
本明細書に記述したように、本発明は、ステント構造体(例えば、図2に概略的に示したようなステント構造体)のような医療装置をコーティングする際に特に有利である。図9A〜図9Eは、このようなステント構造体のコーティングに使用するための保持取付具を示している。さらに、図10〜図16を参照して、コーティングシステムの少なくとも部分の様々な実施態様について説明する。このようなシステムは、ステント構造体のコーティングに特に有益であるが、本明細書に前述したような他の医療装置のコーティングに使用することも可能である。
【0131】
図9Aは、ステント204を供給装置202(例えば、単一又は多数の毛細管エレクトロスプレイ装置)に隣接して保持するための保持取付具200の頂面図を示している。図9Aに示したように、ステント204は保持取付具200から分離されるが、コーティング方法の実行時に領域203の保持取付具200上に配置される。保持取付具200は、ステント構造体204を保持するのみでなく、ステント構造体204を接地するようにも機能する。図9Bは、保持取付具200の側面図を示しており、ステント構造体204は装置200から離れている。
【0132】
保持取付具200は、細長い保持構造体206を含む。保持構造体206は、図9Cの詳細側面図により詳細にさらに示したようなピン保持スピンドル要素220を含む。スピンドル要素220、例えばステンレス鋼スピンドルは、第1のねじ付き端部223から軸線211に沿って第2の端部225に延在する本体部材205を含む。スピンドル要素220の第1のねじ付き端部223は、プラットフォーム201に取り付けられる対応するねじ付き要素210に結合される。保持取付具200のすべての要素は、プラットフォーム201に直接的又は間接的に装着される。
【0133】
スピンドル要素220は、移動可能な保持要素208(例えば軸受構造体)によって移動可能に装着されて、スピンドル保持要素220の回転を可能にする。スピンドル要素220の回転は、スピンドル要素220をモータ212に結合する結合要素216によって実行される。モータ212は、ベルト又は歯車(図示せず)を介してノッチ227(図9C参照)でスピンドル要素220に接続されるシャフト217を駆動する。したがって、シャフト217を回転すると、スピンドル要素220の半径方向運動が行われる。スピンドル要素220は保持要素208内で回転する。回転は、プラットフォーム201に装着されたねじ付き要素210内の第1のねじ付き端部223の回転によって許容される。
【0134】
さらに、シャフト217は軸線250に沿って長手方向に移動可能である。軸線250は軸線211に対し略平行に位置する。軸線250に沿ったこのような長手方向運動は、結合構造体216を通して、スピンドル要素220の軸線211に沿った運動に変換される。スピンドル要素220は、保持要素208の開口部を通してこのように長手方向に移動することが可能である。
【0135】
したがって、また当業者によって認識されるように、スピンドル要素220を回転し(すなわち、軸線211を中心とする半径方向運動)ならびに軸線211に沿った運動をスピンドル要素に付与することができる。このような回転及び長手方向運動の速度も制御できる。当業者は、このような長手方向及び/又は半径方向運動を行う任意の種類の構造体が本発明に従って使用可能であること、及び本発明がこの特定の構造体に限定されないことを認識するであろう。
【0136】
図9Dと図9Eにさらに詳細に示したように、細長い開口部243はスピンドル要素220の第2の端部225で画定される。開口部243は、ピン保持構造体230を受容するために寸法決めされる。ピン保持構造体230は図9Dにさらに詳細に示され、一般に、第1の端部241から軸線211に沿って(装着時)第2の端部257に延在する細長いピン本体部材263を含む。細長いピン本体部材263は、導電性の細長い本体部材(例えばタングステンピン部材)である。細長いピン本体部材263を導電性又は非導電性材料の幅狭の円周方向リングで修正して、増大した長さのステント用の水平支持を提供し得る。さらに、細長いピン本体部材263も非導電性にすることが可能であり、この結果、ステントそれ自体が噴霧経路の唯一の接地特徴部である。
【0137】
スピンドル要素220の細長い開口部243は軸線211に沿って位置し、またピン保持構造体230の第1の端部241を受容しかつピン保持構造体230を細長い開口部243に保持するように構成される。スピンドル要素220の第2の端部225でピン保持構造体230を細長い開口部243内に保持するためのクリップを受け入れるために、スロット245が設けられる。
【0138】
さらに、ピン保持構造体230は、細長いピン本体部材263にわたって受容されるように寸法決めされた管要素261を含む。管要素261(例えば非導電性管要素)はまた、ステント構造体204を管要素に配置することを可能にするように寸法決めされる。例えば、一実施態様では、管261はピン保持構造体230の細長いピン本体部材263にわたって挿入され、その後、ステント構造体204の内面が管要素261に隣接して位置決めされるように細長いピン本体部材263及び管要素261がステント構造体204の内部体積部を通して挿入される。
【0139】
ピン保持構造体230は、その第2の端部257に保持構造体253をさらに含む。保持構造体253は、さらに以下に記述するように、ステントに係合するための及びその接地に使用するためのテーパ状領域267(例えば導電性部分)を含む。一般に、保持構造体253は、ステント構造体をピン保持構造体230に保持するためにステント構造体204よりも大きければよく、ステント構造体204を接地するために使用できる導電性部分を少なくとも含む。
【0140】
上述のように、細長いピン本体部材263及び細長い管要素261がステント構造体204に挿入された状態で、ステント構造体204の内面は細長い非導電性管261に隣接する。ピン保持構造体230が端部241を介して細長い開口部243に挿入されると、スピンドル要素220の開口端269(例えばテーパ状端部)が非導電性管261(例えば、細長いポリテトラフルオロエチレン管)に接触して、ステント構造体204が安定して位置保持されるように管要素261を強制して僅かに拡張させる。言い換えれば、細長いチューブ要素261はステント構造体204の内面と接触するように強制される。
【0141】
さらに、同様に、ステント構造体204の少なくとも一部分は保持構造体253のテーパ状表面267と接触するように強制される。ステント構造体204が保持構造体253の導電性材料と接触し、また保持構造体253が導電性の細長いピン本体要素263と電気接触した状態で、ステント構造体204が容易に接地される。
【0142】
ステント構造体204が所定位置にある状態で、供給装置202は、ステント構造体204をコーティングするための複数の粒子を用意し得る。このようなコーティングプロセス中、ステント構造体204を半径方向にまた長手方向に回転かつ移動させるために、スピンドル要素220の長手方向及び半径方向運動を行うことができる。好ましい一実施態様では、軸線211を中心とするステント構造体204の回転と、軸線211に沿ったステント構造体204の長手方向運動とのタイミングを制御して、ステント構造体204を単一パスでコーティングできる。領域203のコーティング粒子の濃度を制御して、このような単一パスコーティングを達成することもできる。同様に、1つ以上のパスを利用して、ステント構造体204に1つ以上のコーティング層を用意し及び/又は積層タイプのコーティングを用意することが可能である。
【0143】
当業者は、保持取付具200が、本発明によるコーティングプロセス中にステント構造体を特定位置に配置するために使用できる保持取付具の模範的な一実施態様に過ぎないことを認識するであろう。本発明の他の様々な保持構造体又は構成要素が本明細書に記述されている。しかし、本発明は、具体的に記述した構造の任意のものに限定されると理解されるべきでなく、添付の特許請求の範囲に記述されているとのみ理解すべきである。
【0144】
図10Aは、1つ以上のステント構造体340をコーティングするためのステントコーティングシステム350の斜視図を例示的に示している。図10Bは、システム350の部分の断面図を示している。一般に、コーティングシステム350は、本体部材358、好ましくは、軸線345に沿ってコーティングシステムを通して延在する筒状本体部材を含む。筒状本体部材358の内部に、軸線345を中心に半径方向に同様にそれに沿って長手方向に位置決めされたノズル構造体362が設けられる。ノズル構造体362は毛細管として構成してもよく、あるいは本明細書に記述したようなミクロ加工の開口部であってもよく、あるいは本発明による粒子を用意するために適切な他の任意のタイプのノズル構造体を含んでもよい。ノズル構造体362は、本体部材358の内面359に構成されることが好ましい。
【0145】
操作中、ステント構造体340は、ステント構造体340の軸線と一致する軸線345を有する本体部材358内に保持される。いくつかの異なるタイプの保持構造体又は技術の任意の1つを使用し得る。様々な保持構造体及び技術が本明細書に記述されている。しかし、本発明は、特定の任意の保持構造体に限定されず、添付の特許請求の範囲に記述されているようにのみ限定される。一般に、ステント構造体340は、本明細書に前述したように、開いた骨組のステント材料341を含む。言い換えれば、ステント材料341はその1つ以上の部分の間に開口部342を含む。
【0146】
ステント構造体340が本体部材358内に位置決めされた状態で、ステント構造体340は、図10Bの例示的な接地記号373で示したように接地される。ステント構造体340が接地され、また高電圧353がノズル構造体362に印加された状態で、粒子のエレクトロスプレイが本体部材358の内部体積部内に形成されるように、コーティング材料源(例えばコーティング材料容器357)からのコーティング材料を用意し得る。用意されたこのような粒子により、ノズル構造体362とステント構造体340との間の電界は、荷電粒子の運動を可能にし、コーティングをステント構造体340に形成する。
【0147】
荷電粒子噴霧及びステント構造体に向かうこのような粒子の運動については、本明細書に前述している。したがって、荷電粒子の提供及びその運動に関するさらなる詳細については、さらに説明しない。
【0148】
当業者は、ノズル構造体362及び次の実施態様の他のノズル構造体が、本明細書に記述した異なる様々なタイプのノズル構造体構造の任意の1つ以上の形態をとり得ることを以前の説明から容易に確認するであろう。さらに、このようなノズル構造体は、本明細書に記述した任意の方法で操作することが可能である。
【0149】
本明細書の様々な実施態様のコーティング材料を保持するための容器は、異なる様々なタイプの構造の1つをとり得る。例えば、容器は、源材料用の同心の筒状保持チャンバ、ならびに1つ以上のノズル構造体に源材料の送りを行うための操作要素を有する他の任意の異なるタイプの構造であり得る。例えば、圧力を源材料に印加することが可能であり、様々なガス流を使用してこのような源材料の用意を支援することが可能である、等々。
【0150】
図11Aと図11Bは、本発明による他のステントコーティングシステム450の斜視図及び断面図を示している。コーティングシステム450は、本体部材458、好ましくは、軸線445に沿って延在する筒状本体部材を含む。筒状本体部材458は、軸線445に対し平行に延在する本体部材458の長手方向スロットを含む。長手方向スロットは軸線445を中心に半径方向に配置され、筒状本体部材458の内部体積部459内に粒子を用意する。ステント構造体440は、軸線445と一致する軸線を有する本体部材458内に位置決めされる。
【0151】
ステント構造体440は、各端部475において、プラグを有する細長要素446(例えばワイヤ)によって位置保持され、ステント構造体440を位置保持する。長手方向スロット470は、本体部材458を中心に等間隔であることが好ましい。したがって、長手方向スロット470の各供給端部は、ステント構造体440に対し略等距離である。
【0152】
図11Bは、線11B−11Bに沿った図11Aの例示的な断面図を示している。断面図は、コーティングシステム450の長手方向スロット470を通した粒子噴霧のために用意されるコーティング材料を保持するための容器457を示している。ステント構造体440は、接地473によって概略的に示されているように接地され、ノズルは高電圧471に保持されて、ノズル構造体470とステント構造体440との間に電界を形成する。当業者は、本明細書に前述したように、本発明による粒子噴霧に適切な円錐状噴出を提供するために、長手方向スロット構造470にいくつかの突出部がなければならないことを認識するであろう。
【0153】
図12は、軸線645に沿って延在する筒状本体部材658を有する、図11Aと図11Bに示したのと実質的に同様である医療装置コーティングシステム650のさらに他の代わりの部分を示している。しかし、図11Aと図11Bを参照して記述したようなノズル構造体の部分として使用される長手方向スロットの代わりに、ステントコーティングシステム650は、半径方向に構成されたスロット670を含む。半径方向スロット670は、軸線645を中心に半径方向距離に構成される。複数の半径方向スロット670は軸線645に沿った方向に位置決めされる。ステント構造体640の軸線が軸線645と一致するように位置決めされたステント構造体では、半径方向スロット670によって形成されたノズル構造体の開口部は、ステント構造体640から等距離である。
【0154】
半径方向に構成されたスロット構造は、本体部材658の内面659の円周全体に沿って実質的に延在する多数の円弧セクションのノズル構造体を備え得るか、あるいは代わりに、このような円弧セクションは内面659の半径方向円周に沿って部分的にのみ延在してもよい。図12に示したように、2つの円弧セクションは本体部材658の内面659の内周に沿って構成される。
【0155】
図13A〜図13Cは、本発明によるステント構造体コーティングシステム850のさらに他の模範的な部分を示している。本質的に、本体部材858は、軸線845に対し平行に配置されかつ軸線845を中心に半径方向に離間した長手方向スロット870を含む。この構造は、図11Aと図11Bを参照して記述したのと本質的に同一である。しかし、軸線845と一致する軸線に配置されたコーティングすべきステント構造体840を保持する様々な実施態様が図13A〜図13Cに示されている。
【0156】
図13Aを参照すると、本体部材858の1つのタイプの粒子及び本体部材880のさらに他のタイプの粒子でステント構造体840をコーティングし得るように、1つ以上の追加の本体部材880を軸線845に沿って位置決めし得る。本体部材880は、本明細書に記述したような任意の方法で構成されたノズル構造体(例えば、本体部材858のために使用されるのと同一又は異なるノズル構造体)(図示せず)で構成することが可能である。
【0157】
さらに、図13Aに示したように、コーティングプロセスを支援しかつステント構造体840を位置保持するために、細長い支持要素857が使用される。図13Bに示したように、ステント840は、その軸線が軸線845と一致して位置決めされ、細長い本体部材858は軸線845に沿って延在する。同様に、細長い支持要素857は軸線845に沿って延在し、その軸線はステント構造体840の軸線845と一致する。細長い支持要素857はステント構造体840の内部に位置決めされる。
【0158】
高電圧853がノズル構造体870に印加され、またステント構造体が接地された状態で(接地873によって概略的に図示)、図13Cに示したように粒子をステント構造体840に向かって移動させるために電界891が存在する。さらに、追加の高電圧863が導電性の細長い支持体ワイヤ857に印加された状態で、電界891の力と反対の力を付与する追加の電界893が生成される。したがって、ステント構造体840は特定位置に保持される。さらに、電界強度の適切な調整により、ステント構造体840にコーティングすべき粒子がステント構造体840の外面に実質的に維持されてその上にコーティング861を形成するように、コーティングプロセスを制御することが可能である。
【0159】
上に示したように、対向する電界のこの構成により、細長い支持ワイヤ857に沿った安定位置にステント構造体840を維持することを可能にするのみでなく、コーティング粒子をステント構造体840の外面の周りに用意するように動作する。したがって、ステント構造体840の内面は、コーティング材料を実質的に含まずに維持される。ある状況では、シースをステント構造体の上方に設けることさえも可能である。言い換えれば、開いた骨組材料のステント構造体材料がコーティング材料でコーティングされるのみならず、開いた骨組材料の開口部も、それらの上方にコーティング材料を形成して、シースを形成することが可能である。図14Aと図14Bを参照して、追加のシースの形成についてさらに説明する。
【0160】
他の機械的な力の技術を用いて、対向する電界によって発生される力を提供してもよい。例えば、細長い支持要素857は、本体部材858内に空気流を提供する多孔質毛細管であり得る。空気流は、粒子をステント構造体840に向かって移動させるために使用される電界の力と対向する力を提供する。さらに、空気流を使用して、ステント構造体を安定位置に維持することが可能である。
【0161】
前述の技術の各々を使用して、ステント構造体840を固定位置になお維持しつつ、ステント構造体840を支持ワイヤ857から浮揚させることが可能である。このような浮揚は、他の保持タイプの取付具を省略し得るので、より均一なコーティングを可能にし得る。当業者は、2002年4月9日に交付されたSchwartzらへの米国特許第6,368,658号、表題「エアサスペンションを用いたコーティング医療装置」に記述されているエアサスペンション技術を使用して、本発明によるコーティングのためにステント構造体を所定位置に保持することも可能であることを認識するであろう。
【0162】
図14Aと図14Bは、コーティングプロセス中にステントを保持するための保持構造体をさらに示している。図14Aに示したように、ステント構造体940の内面と接触するために寸法決めされた細長要素935(例えばワイヤ又は管)が設けられる。細長要素935は、ポリテトラフルオロエチレンのような非導電性材料から製造されることが好ましい。したがって、ステント構造体940を接地した状態で、コーティング粒子はステント構造体940のステント材料941に接触して、その上方にコーティング938を形成する。コーティング938はステント材料941に形成可能であるだけでなく、開いた骨組のステント材料941の開口部942を覆うことも可能である。コーティング938を適用した後、要素935を取り除いて、部分的に切り取られまた図14Bに示したようにコーティングされたステント構造体を残すことが可能である。
【0163】
細長要素935の一実施態様では、ステント構造体940(例えば、図9の実施態様に示したようなポリテトラフルオロエチレン管)の内部体積部内に位置決めされたときに、要素935を拡張してステント材料の延伸を可能にし得る。その後、コーティング938を延伸ステント構造体948に適用した後、細長要素935を拡張する力を解放して、要素935を取り除くことが可能である。次に、ステント構造体940は僅かに潰れる可能性がある。
【0164】
コーティングシステムの軸線に沿ってステント構造体を位置保持する方法の各々は、ステント構造体940の弛みを防止するように構成される。例えば、支持されない場合、ステント構造体の中央(すなわち、ステント構造体の第1及び第2の端部の間の中心点)は、ステント構造体のすべての領域が、それを通して延在する軸線から等距離ではないほどに弛む可能性がある。本明細書に記述した多くの保持構造により、このような弛みが排除されるか、あるいは少なくとも実質的に低減される。さらに、本発明の1つ以上の様々な実施態様では、ステント構造体が鉛直位置でコーティングされるならば、重力が弛みを防止することも可能である。
【0165】
本発明は、ステント構造体の外面をコーティングするために有利であるのみならず、ステント構造体の内部体積部を画定する内面も本発明に従って有利にコーティングすることが可能である。図15に示したように、ステント構造体940の内部体積部を画定するステント構造体の内面939をコーティングするためのコーティングシステムが例示されている。
【0166】
一般に、図15に示したコーティングシステムは、ステント構造体440の外面をコーティングするための図11Aと図11Bに示したコーティングシステムと本質的に同一である。しかし、さらに、細長いノズル構造体(例えば毛細管900)を使用して、ステント構造体440の内面939をコーティングしてもよい。ステント構造体440は、接地要素473によって概略的に示したように接地される。高電圧が毛細管900に印加された状態で、電界はステント構造体440の内面939と毛細管900との間に形成され、円錐状噴出を形成しかつ粒子噴霧910をステント構造体440の内部体積部内に用意する。
【0167】
図15に示したように、毛細管900はステント構造体440に挿入可能であるように寸法決めされることが好ましい。さらに、毛細管900及び/又はステント構造体440を軸線445に沿って移動させて、均一な噴霧を毛細管の内面939に用意できる。図15は、粒子噴霧910を用意して内面939をコーティングする毛細管900の形態の単一ノズル構造体を示しているが、当業者は、ステント構造体内に受容されるようにさらに寸法決めされた多ノズルを有する細長い構造体も使用可能であることを認識するであろう。さらに、本明細書に記述した任意のノズル構造体を使用して、内面939をコーティングすることも可能である。
【0168】
さらに、図15に示した内面コーティングプロセス中に、要素(例えば管要素)をステント構造体の外面の周りに位置決めして、ステント構造体440を位置保持し得る。したがって、図14Aと図14Bを参照して記述したような細長要素935が内面のコーティングを防止するのと同様に、このような要素を使用して、外面へのコーティング堆積を防止することが可能である。このように、例えば、内側シースを内面に形成し得る。
【0169】
電界を用いてコーティング粒子をステント構造体に向かって移動させることに加えて、図16Aと図16Bに図示かつ例示したように、伝熱効果を利用して、このような粒子をステント構造体940に向かって移動させることも可能である。本図に示したように、本体部材958の内部体積部959に用意された粒子962をステント構造体940に向かって移動させるために、伝熱力が利用される。
【0170】
本明細書に使用されているように、伝熱力という用語は、周囲環境と関連する温度勾配の結果として粒子に作用する熱的な力を意味する。所定の粒子に対するこの温度勾配の効果は、粒子に衝突する分子力を考慮することによって理解可能である。高温から粒子に衝突するそれらの分子は、低温側から粒子に衝突するそれらの分子よりも大きな衝撃を粒子に与える。さらに、当業者は、随伴放射効果がこれらの分子力を増大させ得ることを認識するであろう。これらの及び同様の効果の結果、粒子は、それをより高温の温度帯からより低温の温度帯に導く正味の力を受ける。このことが、本明細書に言及した伝熱効果である。
【0171】
図16Aに示したように、コーティングシステム950は、軸線955に沿って延在する本体部材958を備え、またステント構造体940を通して延在する細長要素980(例えば、ステント構造体940の内面と接触してもしなくてもよい要素)よりも高い温度に保持される。ステント構造体940は、その軸線が軸線955と一致するように保持される。したがって、温度勾配が形成され、また粒子は、図16Bの断面図に示したようなより低温の細長要素980に向かって移動される。粒子がより低温の要素980に向かって移動しつつある状態で、コーティング982がステント構造体940の外面に形成される。本明細書に前述した任意の手段、又は本体部材958の加熱部分から等距離にステント構造体を保持することが好ましい他の任意の構造を用いて、ステント構造体940を本体部材958内に保持し得る。言い換えれば、温度勾配は、ステント構造体940を中心に半径方向に等しく保持することが好ましい。
【0172】
図16Aと図16Bに示したように、細長要素980は、ステント構造体940の内面と接触するように寸法決めされることが好ましい。このように、有効な温度勾配を形成でき、また粒子がステント構造体の内面に堆積することが妨げられる。さらに、本明細書に前述したように、細長要素がステント構造体の内面に接触している状態で、ステント構造体の弛みを低減できる。
【0173】
本明細書に引用したすべての特許、特許文献及び引例は、あたかも各々が別々に組み込まれたものとしてそれらの全体が組み込まれている。本発明は、例示的実施態様を参照して説明されてきたが、限定的に解釈されるようには意図されない。前述のように、当業者は、他の様々な例示的用途が本明細書に記述したような技術を使用して、本明細書によって発生される粒子の有利な特性を利用し得ることを認識するであろう。例示的実施態様の様々な変更、ならびに本発明の追加の実施態様は、本記述を参照すれば当業者には明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明による医療装置コーティングシステム、例えば、表面をコーティングするためのエレクトロスプレイ技術を用いたナノ粒子発生器システムの概略図である。
【図2】本発明に従ってコーティングできるステント構造体の例示的実施態様の概略図である。
【図3】本発明の1つ以上の実施態様に従ってコーティングされた図2のステント構造体の詳細部分の図面である。
【図4】概して図1に示したコーティングシステムに使用するための多ノズル構造体を含むエレクトロスプレイ供給装置の一実施態様の全体概略図である。
【図5A】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得る本発明によるエレクトロスプレイ多ノズル構造体を提供する構造の全体概略図である。
【図5B】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得る本発明によるエレクトロスプレイ多ノズル構造体を提供する構造の一部分のより詳細な図面である。
【図6A】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得るエレクトロスプレイ多ノズル構造体を提供するための構造の他の代替実施態様の全体概略図である。
【図6B】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得るエレクトロスプレイ多ノズル構造体を提供するための構造の他の代替実施態様のその一部分のより詳細な図面である。
【図7A】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得るさらに他の代わりのエレクトロスプレイ多ノズル構造体の全体概略図である。
【図7B】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得るさらに他の代わりのエレクトロスプレイ多ノズル構造体の一部分のより詳細な図面である。
【図8A】エレクトロスプレイ技術と対照的に空気を用いて粒子を噴霧するために円錐状噴出を形成しかつ本発明による図1の医療装置コーティングシステムに使用し得る多ノズル構造体のさらに他の代替構造の全体概略図である。
【図8B】エレクトロスプレイ技術と対照的に空気を用いて粒子を噴霧するために円錐状噴出を形成しかつ本発明による図1の医療装置コーティングシステムに使用し得る多ノズル構造体のさらに他の代替構造の一部分のより詳細な図面である。
【図9A】頂面図である。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図9B】側面図である。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図9C】頂面図及び側面図に示した部分の追加のより詳細な3つの図面の中の1つである。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図9D】頂面図及び側面図に示した部分の追加のより詳細な3つの図面の中の1つである。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図9E】頂面図及び側面図に示した部分の追加のより詳細な3つの図面の中の1つである。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図10A】本発明による多ノズル構造体を使用する医療装置コーティングシステムの例示的一実施態様の部分斜視図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有益である。
【図10B】本発明による多ノズル構造体を使用する医療装置コーティングシステムの例示的一実施態様の部分断面図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有益である。
【図11A】本発明による長手方向に構成された多ノズル構造体を使用するコーティングシステムの他の例示的実施態様の部分斜視図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有利である。
【図11B】本発明による長手方向に構成された多ノズル構造体を使用するコーティングシステムの他の例示的実施態様の部分断面図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有利である。
【図12】本発明による半径方向に構成された多ノズル構造体を使用するコーティングシステムのさらに他の例示的な代替実施態様の斜視図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有利である。
【図13A】本発明による医療装置コーティングシステムのさらに他の代替構造の図面であり、医療装置コーティングシステムの斜視図である。
【図13B】本発明による医療装置コーティングシステムのさらに他の代替構造の図面であり、図13Aに示した医療装置コーティングシステムの部分断面図である。
【図13C】本発明による医療装置コーティングシステムのさらに他の代替構造の図面であり、電界力及び/又は空気流によって提供されるような機械的な力を含むコーティングプロセス中に使用される技術のより詳細な図面である。
【図14A】本発明による医療装置、特にステント構造体のコーティング中に使用される保持構造体を例示するために使用される斜視図である。
【図14B】本発明による医療装置、特にステント構造体のコーティング中に使用される保持構造体を例示するために使用される斜視図である。
【図15】本発明による医療装置の内部体積部(例えばステント構造体のコーティング内面)にコーティングするために使用し得る医療装置コーティングシステムのさらに他の代替構造の斜視図である。
【図16A】本発明による医療装置をコーティングする際に伝熱効果を利用する医療装置コーティングシステムの他の例示目的の構造の部分斜視図である。
【図16B】本発明による医療装置をコーティングする際に伝熱効果を利用する医療装置コーティングシステムの他の例示目的の構造の部分断面図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2001年5月16日出願の特許出願番号第09/858,865号の利益を主張する、2002年11月21日出願の一部継続の米国特許出願番号第10/301,473号の利益を主張し、これらの両方は、参照することにより、それらの全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、医療装置のコーティングに関し、より詳しくは、本発明はエレクトロスプレイ、伝熱効果等のようなプロセスを用いて医療装置をコーティングすることに関する。
【背景技術】
【0003】
医療装置の表面が望ましい特性を有するか又は望ましい効果を提供するように、このような装置をコーティングすることがしばしば有益である。例えば、体内の目標位置への治療剤の局所的供給を可能にするために、例えば、局所的疾患(例えば心臓病)又は閉塞した身体管腔を治療するために、医療装置をコーティングすることが有用である。例えば、バルーンカテーテル、ステント等を局所的に供給すべき治療剤でコーティングすることによって、局所的薬剤供給を達成することが可能である。医療装置のコーティングは、生体活性材料の長期間又は持続する放出を含む、放出の制御を可能にし得る。
【0004】
医療装置は、局所的薬剤供給を容易にすることの他に、有益な表面特性を提供するための材料でコーティングされる。例えば、医療装置は放射線不透過性材料でしばしばコーティングされ、体内の配置中に蛍光透視法による視覚化を可能にする。同様に、生体適合性の向上を達成するため、また潤滑性のような表面特性を向上させるために、ある装置をコーティングすることが有用である。
【0005】
本明細書に示したように、例えば、薬剤の放出の制御、表面特性の制御及び効果等のために、ステントをコーティングすることが有益であることが多い。潰れを防止し及び/又は再狭窄を防止することによって血管開通性を維持するように試みようとして、ステントが血管内に移植される。例えば、バルーンカテーテルの拡張可能な部分にステントを装着し、ステントを身体管腔内の治療部位に位置決めするように血管系を通してカテーテルを操作し、また管腔壁に係合するようにバルーンを膨張させてステントを拡張することによって、ステントの移植が達成可能である。ステントは拡張構造で変形し、バルーンの空気抜きが可能になり、カテーテルを取り除いて、移植処置を完了する。さらに、例えば、自己拡張ステントを使用することにより、バルーン供給装置の必要性が排除される。代わりに、ステントの上方に当初取り付けられる拘束シースは、ステントが治療部位に隣接する所定位置にあると簡単に引っ込められる。ステント及びステント供給カテーテルは関連技術で周知であり、またそれらの構造は様々であり、すべてのステント構造体又は関連材料を説明することは不可能である。
【0006】
いくつかの要因、例えば、血栓症、新脈管内膜過形成、平滑筋細胞移動、及びステントの移植に続く増殖、動脈壁に対する損傷、管腔開通性の全損、生体内のステント直径、ステントの厚さ、及びステントされた動脈の管腔被膜に対する白血球接着を評価することによって、ステント配置の成功を判定できる。主な問題の範囲は、脈管内膜過形成による早期の亜急性血栓症及びその結果として生じる血管の再狭窄である。
【0007】
治療用薬剤は、ステントの配置と関連するいくつかの問題に対処するために開発されてきた。ステントによって支持される部位の血管の局所的な薬理学的治療を行うことがしばしば望ましい。このような目的のために移植ステントを利用することが好都合であると思われるので、ステントは管腔壁用の支持体ならびに薬剤用の供給ビークルの両方として機能し得る。
【0008】
従来、コーティングは、浸漬、噴霧、蒸着、プラズマ重合、ならびに電気めっき及び静電蒸着のようなプロセスによって、ステントを含む医療装置に適用されてきた。これらの多くのプロセスを利用して、満足のゆくコーティングが生産されてきたが、それらのプロセスに関連する多数の潜在的不都合が存在する。
【0009】
例えば、個別の部分及び部分のバッチの両方に、均一の厚さのコーティングを達成することはしばしば困難である。同様に、その他の点で、多くのコーティング材料は、非適合、不溶解性、非懸濁性であるか、あるいは不安定なコーティング溶液である材料のように使用困難である。
【0010】
さらに、例えば、多くのコーティングプロセスでは、医療装置毎に均一な薬剤用量を提供しないコーティングが生じる。さらに、このような従来の方法は、薬剤をステント上に用意する迅速、容易かつ廉価な方法を提供するのに概ね失敗してきた。例えば、このような従来の方法の短所は、少なくとも部分的に、コーティングプロセスの制御(例えば、コーティングの均一性及び厚さを制御する能力、装置のコーティングに使用される粒子サイズを制御する能力、ステントの移植時に薬剤の放出速度を制御するようなコーティングの制御等)に関連している。同様に、多くのプロセスでは、コーティング材料はかなり高価であり、また多くのコーティングプロセスでは、このようなコーティング材料は、使用されるコーティング方法の種類の故に無駄となる。
【0011】
したがって、医療装置をコーティングする有効な方法及びシステムに対する必要性(例えば、ステント構造体のような医療装置の均一なコーティングをもたらす必要性)が存在する。
【発明の開示】
【0012】
本発明による方法及びシステムは医療装置(例えば、ステント、カテーテル等)のコーティングを可能にする。本発明は、ステント構造体のコーティングの使用に特に有益である。
【0013】
本発明による医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法は、医療装置を画定体積部内に用意するステップを備えている。医療装置は、コーティングすべき少なくとも1つの表面を備えている。本方法は、複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に用意するステップをさらに備えている。複数の単分散コーティング粒子は、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する。複数のコーティング粒子は、医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動されてその上にコーティングを形成する。
【0014】
本発明による医療装置の少なくとも一部分をコーティングする他の方法は、医療装置(例えば、コーティングすべき少なくとも1つの表面を備えている医療装置)を画定体積部内に用意するステップと、供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を各々が備えている1つ以上のノズル構造体を用意するステップとを備えている。複数のコーティング粒子は、供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を用いて、電荷が結合された複数の微小滴を1つ以上のノズル構造体の供給端部から供給することによって、画定体積部内に用意される。微小滴の各々は少なくとも1つの粒子を備え、また電荷は、微小滴が蒸発するときに粒子に集中される。本方法は、複数のコーティング粒子が形成される供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を用いて、複数のコーティング粒子を医療装置に向かって移動させてコーティングを医療装置の少なくとも1つの表面に形成するステップをさらに備えている。
【0015】
ステント構造体をコーティングする方法も本明細書に記述されている。本方法は、ステント構造体をステント軸線に沿って画定体積部内に用意するステップを備え、この場合、ステント構造体は、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている。画定内部体積部に隣接するステント構造体の内面の少なくとも一部分は、少なくとも複数の第1のコーティング粒子(例えば抗凝固薬粒子)を用いてコーティングされ、またステント構造体の外面の少なくとも一部分は、少なくとも複数の第2のコーティング粒子(例えば抗炎症薬粒子)を用いてコーティングされ、この場合、複数の第1のコーティング粒子は複数の第2のコーティング粒子と異なる。
【0016】
上述の方法はまた、以下の1つ以上の特徴、すなわち、電荷を複数の単分散コーティング粒子に付与するステップ、電界を用いて複数の単分散コーティング粒子を医療装置に向かって移動させるステップ、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給することによって、複数の単分散コーティング粒子を用意するステップであって、微小滴の各々が粒子を備え、また微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中されるステップ、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな、粒子に集中される微小滴の電荷、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給することによって、複数の単分散コーティング粒子を用意するステップであって、微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中され、さらに、医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むステップ、単分散コーティング粒子が画定体積部内に用意された後に電極と医療装置との間に電界を形成するステップ、1つ以上のノズル構造体を用いて複数の単分散コーティング粒子を用意するステップであって、各ノズル構造体が、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給されるステップ、複数の単分散コーティング粒子が供給されるノズル構造体の供給端部と医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、複数の単分散コーティング粒子を複数のノズル構造体の各々から供給するステップ、複数の単分散コーティング粒子が供給される供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を用いて、複数の単分散コーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてその上にコーティングを形成するステップ、内部体積部を画定する構造体を備えている医療装置を用意するステップであって、構造体が、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備えているステップ、構造体によって画定された内部体積部内に配置された少なくとも1つのノズル構造体の供給端部に、少なくとも1つの開口部を有する少なくとも1つのノズル構造体を用意し、また少なくとも1つのノズルの供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を利用することにより、複数の単分散コーティング粒子を少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップ、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている、少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップ、コーティングプロセス中に医療装置を画定体積部内の固定位置に用意するステップ、及びコーティングプロセス中に移動可能な医療装置を画定体積部内に用意するステップを備えていることが可能である。
【0017】
本方法は、以下の追加の1つ以上の特徴、すなわち、ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を用意するステップであって、ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、画定内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備えているステップ、1つ以上のノズル構造体を用意するステップであって、各ノズル構造体が、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給されるステップ、不均一な電界強度を調整して、粒子がステント構造体の内面に達することを防止するステップ、少なくとも1つのノズル構造体の供給端部とステント構造体との間に形成される不均一な電界を用いて、複数の単分散コーティング粒子を少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップ、伝熱効果を用いて複数の単分散コーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップ、ステント軸線が、ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素の軸線と一致するように、ステント構造体を位置決めし、また伝熱効果によりコーティング粒子がステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動されるように、ステント構造体の外面に隣接する画定体積部の温度よりも低い温度に細長要素を保持するステップ、コーティングプロセス中にステント軸線を中心にステント構造体を回転させるステップ、ステント軸線に沿って線形にステント構造体を移動させるステップ、画定体積部内に用意された単分散コーティング粒子の量を制御するステップ、約1ナノメートルよりも大きくまた約100ナノメートルよりも小さな呼び径を有する複数のコーティング粒子を用意するステップであって、複数のコーティング粒子が、少なくとも1つの生物学的活性成分又はコーティングされた生物学的活性成分を含み、及び/又はDNA又はコーティングされたDNAの少なくとも1つを備えているステップ、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するステップ、及び各ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも第1及び第2の開口部を各々が備えている1つ以上のノズル構造体を用意するステップ(例えば、コーティング粒子の供給、噴霧困難な粒子の供給、空隙を画定する粒子の供給等のため)をさらに備えていることが可能である。
【0018】
本明細書に記述した方法、好ましくは、ステント構造体をコーティングするために使用される方法は、以下の1つ以上の特徴、すなわち、軸線に沿って内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を用意し、細長い筒状本体部材の軸線に沿ってステント構造体を位置決めし、また細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は細長い筒状本体部材の軸線の方向に細長い筒状本体部材に沿って線形に、複数のノズル構造体を位置決めするステップ、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を各々が備えているノズル構造体を用意するステップ、開口部を画定するために使用されるテーパ状部分を各々が備えているノズル構造体を用意するステップであって、複数のノズル構造体の各々の少なくとも一部分が、本体部材と関連付けられた導電性の一体部分から延在するステップ、供給端部の開口部を通して延在する中心軸線に沿って中実柱を各々が備えている複数のノズル構造体を用意するステップ、本体部材の細長い半径方向開口部、及び/又は1つ以上のノズル構造体の軸線に対し平行に位置する本体部材の細長い開口部を備え得る1つ以上のノズル構造体を用意するステップ、ステント軸線が細長要素の軸線と一致するようにステント構造体を位置決めし、また離間要素を使用して、ステント構造体と細長要素との間の距離を維持するステップ、ステント軸線が細長要素の軸線と一致するようにステント構造体を位置決めするステップであって、細長要素の表面がステント構造体の内面と直接接触するように、細長要素がステント構造体の画定内部体積部に基づき寸法決めされるステップ、複数のコーティング粒子がステント構造体の外面に向かって移動されてその上にコーティングを形成した後に、ステント構造体の内部体積部から細長要素を取り除くステップ、ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備えているステント構造体を用意するステップ、ステント構造体を通常状態から延伸させるように寸法決めされた細長要素を用意するステップ、複数のコーティング粒子がステント構造体の外面に向かって移動され、ステント材料の部分を分離する開口部を備えている開いた骨組の上方にシースを生じた後にステント構造体の内部体積部から細長要素を取り除くステップ、ステント構造体の軸線に沿って細長い導電性要素を用意するステップであって、ステント構造体及び細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップ、かつ細長い導電性要素とステント構造体との間に、ノズル構造体の供給端部とステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するステップ、ステント構造体の軸線に沿って細長要素を用意するステップであって、ステント構造体及び細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップ、かつ細長要素を用いてガス流をステント構造体の画定内部体積部に用意するステップ、及びステントがステント軸線に沿って弛まないようにステント構造体が鉛直位置にある間に、複数のコーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてその上にコーティングを形成するステップを備えていることが可能である。
【0019】
本発明による医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムは、粒子源と、医療装置を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具と、粒子源から源材料を受容しかつ複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に供給するように構成された供給装置とを備えている。供給装置は1つ以上のノズル構造体を備え、この場合、各ノズル構造体は、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される。システムは、1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を含む電極構造体をさらに備え、この場合、電極構造体は、複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に用意する際に使用するための1つ以上のノズル構造体の供給端部と医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である。複数の単分散コーティング粒子は、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する。さらに、不均一な電界は、複数のコーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてその上にコーティングを形成するのを支援するように動作可能である。
【0020】
本発明によるステント構造体の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するための他のシステムは、粒子源と、ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具とを備え、この場合、ステント構造体は、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを含む。本システムは、粒子源から源材料を受容し、かつ電荷が結合された複数の微小滴を1つ以上のノズル構造体の供給端部から画定体積部内に供給するように構成された供給装置をさらに備え、この場合、微小滴の各々は少なくとも1つの粒子を備え、さらに、微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中され、複数のコーティング粒子を生じる。なおさらに、本システムは、1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を含む電極構造体を含む。電極構造体は、複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意し、かつ複数のコーティング粒子をステント構造体に向かって移動させてその少なくとも1つの表面にコーティングを形成する際に使用するための1つ以上のノズル構造体の供給端部とステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である。
【0021】
本明細書に記述したシステムはまた、以下の1つ以上の特徴、すなわち、接地医療装置を含む電極構造体、1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされたリング電極を含む電極構造体、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するように構成された供給装置であって、粒子の蒸発時に集中される微小滴の電荷が、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きい供給装置、医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、本来供給される微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むように構成された供給装置、供給装置の少なくとも1つのノズル構造体が、医療装置構造体によって画定された内部体積部で動作可能であるように、医療装置を位置決めするように動作可能な保持取付具、複数の単分散コーティング粒子を医療装置の内部体積部に用意する際に使用するための少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能な電極構造体、医療装置の画定内部体積部内に位置決め又は移動されるように寸法決めされた細長要素、複数のノズル構造体を含む供給装置、医療装置を画定体積部内の固定位置に保持するように構成された保持取付具、画定体積部内の医療装置の移動のために構成された保持取付具、ステント構造体を受容するように構成された保持取付具であって、ステント構造体がステント軸線に沿って画定され、また画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを含む保持取付具、ステント軸線を中心にステント構造体を少なくとも回転させるように構成された保持取付具、ステント軸線に沿って線形にステント構造体を少なくとも移動させるように構成された保持取付具、画定体積部内に用意された単分散コーティング粒子の量を制御するように動作可能な制御システム、不均一な電界強度を調整するように動作可能な制御システム、及び複数のコーティング粒子を用意する際に使用するための源材料を含む粒子源であって、源材料が、少なくとも1つの生物学的活性成分又は少なくとも1つのコーティングされた生物学的活性成分を含む粒子源を含むことが可能である。
【0022】
医療装置をコーティングするための本明細書に記述したシステムはまた、ステント構造体を受容するための実質的に非導電性の細長い管と、細長い導電性要素とを含む保持取付具を含むことが可能である。細長い導電性要素の少なくとも一部分は、実質的に非導電性の細長い管を通して延在し、さらに、細長い導電性要素は導電性接触セクションを備えている。実質的に非導電性の細長い管の外面がステント構造体の内面の少なくとも一部分に接触するように、またステント構造体の部分が導電性接触セクションと電気接触するように、圧縮装置は、実質的に非導電性の細長い管の拡張を可能にすべく構成される。
【0023】
医療装置をコーティングするための本明細書に記述したシステムはまた、以下の1つ以上の特徴、すなわち、軸線に沿って供給装置の内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を含む供給装置であって、保持取付具が、細長い筒状本体部材の軸線に沿ってステント構造体を位置決めするように動作可能であり、さらに、1つ以上のノズル構造体が、細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、また細長い筒状本体部材の軸線の方向に細長い筒状本体部材に沿って線形に位置決めされる供給装置、本体部分と毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を各々が含む複数のノズル構造体、開口部を画定するために使用されるテーパ状部分を各々が含む複数のノズル構造体であって、複数のノズル構造体の各々の少なくとも一部分が、本体部材と関連付けられた導電性の一体部分から延在する複数のノズル構造体、供給端部の開口部を通して延在する中心軸線に沿って中実柱を各々が含む複数のノズル構造体、本体部材の細長い半径方向開口部を含む複数のノズル構造体、複数のノズル構造体の軸線に対し平行に位置する本体部材の細長い開口部を含む複数のノズル構造体、ステント構造体の軸線と一致する軸線に沿って延在する細長要素及びステント構造体と細長要素との間の距離を維持するように動作可能な離間要素、細長要素の表面がステント構造体の内面と直接接触するようにステント構造体の画定内部体積部に基づき寸法決めされた細長要素を含む保持取付具、細長い導電性要素とステント構造体との間に、ノズル構造体の供給端部とステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するように構成された電源、及びガス流をステント構造体の画定内部体積部に用意するように構成された細長要素を含むことが可能である。
【0024】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのさらに他のシステムは、複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するように動作可能な粒子発生装置と、ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具とを含む。ステント構造体は、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と外面とを含む。保持取付具は、ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素を含む。本システムは、伝熱効果によりコーティング粒子がステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動されるように、ステント構造体の外面に隣接する画定体積部の温度よりも低い温度に細長要素を保持するように動作可能な温度制御装置をさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1を参照して、本発明について全体的に説明する。次に、図2〜図16を参照して、本発明の様々な実施態様について説明する。1つの実施態様からの要素を他の実施態様の要素と組み合わせて使用し得ること、及び本発明は、本明細書に記述した特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に記述されているようにのみ限定されることが当業者に明白となるであろう。例えば、コーティング方法及びシステムに使用される粒子を用意するために、異なる1つ以上のノズル構造体を使用し得る。
【0026】
本発明は、コーティングされた装置(例えば、コーティングされたステント構造体)、同様に、医療装置のような対象物をコーティングするためのシステム及び方法を提供する。本発明を使用することにより、例えば、均一な特性を有するコーティングを達成できる。さらに、本発明は、コーティング材料の効率的かつ費用効果的な使用を可能にする。
【0027】
本発明は、対象物のコーティングに使用するための例えばナノ粒子のような粒子の発生を利用するコーティングシステム及び方法に関する。本発明は、医療装置のコーティング(例えば、DNA、RNA、コーティングされたDNA粒子等によるこのような装置のコーティング)に特に有利である。さらに以下に説明するように、本発明によるシステム及び方法は、2000年7月25日交付のPuiらへの米国特許第6,093,557号、表題「材料を細胞に導入するためのエレクトロスプレイ装置及び方法」(例えば、単一及び二重の毛細管構造)に以前に記述され、同様に、Chenらによる論文、表題「4nm〜1.8μmの直径範囲の分散エアロゾル発生のための導入液体のエレクトロスプレイ」、J.Aerosol Sci.、第26巻、第6号、963〜977ページ(1995年)、及びChenらによる論文、表題「エレクトロスプレイのスケーリング法の実験的研究:誘電率効果」、Aerosol Science and Technogy、第27巻、367〜380ページ(1997年)に以前に記述されているような1つ以上の単一のノズルエレクトロスプレイ装置を使用し得るか、あるいは2002年1月24日に公開された米国特許出願第2002−0007869号、表題「多ノズルスプレイを用いた大量処理能力の粒子発生」に記載されているような多ノズル構造体エレクトロスプレイ装置を使用することが可能であり、これらの装置のすべては、それらの全体が参考として本明細書に組み込まれている。さらに、例えば図8Aと図8Bを参照して記述したような粒子を発生するための他の装置も、本明細書に記述した1つ以上の実施態様に利用してもよい。
【0028】
図1に示したように、本発明は、供給装置15を使用して、1つ以上の粒子噴霧22(例えば、蒸発して粒子噴霧を形成する微小滴の噴霧)を形成する医療装置コーティングシステム10を提供する。供給装置15は、源材料17を受容して、1つ以上のノズル構造体20の前方に、例えば医療装置12の方向に粒子噴霧22を形成する1つ以上のノズル構造体20を含む。粒子22は医療装置12の少なくとも1つの表面13に向かって移動されて、その上にコーティング105を形成する。医療装置12は、粒子22が提供される画定体積部(概して破線11で図示)内に配置されることが好ましい。画定体積部は、例えば、反応器チャンバ、ステントコーティングシステムのチャンバ、本体部材によって形成された体積部(例えば図10を参照して説明したような)、真空チャンバ、加圧及び/又は加熱チャンバ、オープンエアスペースの体積部等であり得る。
【0029】
供給装置15は、制御機構14の制御、例えばハードウェア及び/又はソフトウェアの制御下で源材料17を複数のノズル構造体20に用意するための源保持装置16をさらに含む。1つ以上のノズル構造体20の各々は、医療装置が配置される画定体積部11に粒子噴霧22を用意するように構成される。一般に、例えば、1つ以上の実施態様では、このような粒子噴霧22は1つ以上のノズル構造体20の各々の前方に形成される。
【0030】
源保持装置16に保持された源材料17は、本発明に従って記述したような粒子形態で画定体積部内に用意できる任意の材料源であり得る。好ましくは、源材料17は、溶液、懸濁液、ミクロ懸濁液、乳濁液、ミクロ乳濁液、ゲル、ヒドロゾルを含み得る流体組成物であるか、又は本発明に従って用意された場合に粒子発生をもたらす他の任意の流体状組成物である。例えば、このような流体組成物は、本発明の一実施態様による溶解活性成分、例えば薬剤活性成分の溶液を含み得る。しかし、源材料はまた、乾燥材料、例えば、同様に乾燥材料に関連する溶剤又は液体成分を実質的に有しない材料であり得ることが考えられる。
【0031】
本明細書に使用されているように、活性成分は、粒子形態で提供される場合、特にナノ粒子として提供される場合に有用な機能を提供する任意の成分を指す。本発明は、ナノ粒子を噴霧するために特に有益であり、同様に、生物学的活性成分を含む粒子を噴霧するために特に有益である。
【0032】
したがって、「活性成分」という用語は、材料が共に使用される基材又は本体と適合できかつそれに対して効果を有する材料、例えば、薬剤活性成分、ナノ構造を形成するための化学元素、及びフィルムコーティング用の要素、例えばポリマー、賦形剤等を指す。「生物学的活性成分」又は「生物学的活性材料又は構成要素」という用語は活性成分の部分集合であり、当該成分が共に使用される動物又は植物と適合できかつそれに対して効果を有する(例えば、生物学的、化学的又は生化学的であり得る)材料を指し、また例えば、医薬品、製薬学的医薬品、及び獣医学的医薬品のような薬剤と、ワクチンと、多核酸のような遺伝物質と、細胞成分と、以下に記述するような他の治療剤とを含む。
【0033】
本明細書に使用されているように、粒子、したがってナノ粒子という用語は、固体、部分的に固体及びゲル状の小滴と、固体、部分的に固体及びゲル状又は液体状の物質を組み込んでいるマイクロカプセルとを含む。本明細書で用意かつ利用される粒子は、10マイクロメータの大きさの呼び径を有し得る。本明細書に使用されているように、ナノ粒子は、2000nm未満の呼び径を有する粒子を指す。本発明は、1ナノメートル(nm)よりも大きな呼び径を有するナノ粒子、さらに好ましくは、1000nm未満、より好ましくは100nm未満の呼び径を有するナノ粒子を噴霧する際に特に有益である。
【0034】
さらに、本明細書に記述した医療装置をコーティングするために使用される粒子は、単分散コーティング粒子であることが好ましい。本明細書に使用されているように、単分散コーティング粒子は、1.2未満の幾何学的標準偏差を有するコーティング粒子である。言い換えれば、本発明に従って用意される粒子の平均粒度に関する標準偏差は20%以下であることが好ましい。
【0035】
さらに図1を参照して、医療装置12の少なくとも一部分(例えば医療装置12の表面13)をコーティングする方法について説明する。一般に、医療装置12は、画定体積部11(例えば、医療装置コーティングシステム10の1つ以上の要素を取り囲むチャンバ又は他の構造体を表し得る破線で概して示した画定体積部11)内に位置決めされることが好ましい。画定体積部11に設けられた医療装置12から、その少なくとも1つの表面をコーティングする方法を開始することが可能である。
【0036】
複数のコーティング粒子22(例えば単分散コーティング粒子22)は画定体積部11内に用意される。次に、コーティング粒子22が医療装置12の少なくとも1つの表面13に向かって移動されて、その上にコーティングを形成する。コーティングは、概して破線の層105として表される。
【0037】
コーティング粒子22を医療装置12の少なくとも1つの表面13に向かって移動させるために使用される方法に応じて、コーティング粒子22は荷電粒子でも非荷電粒子でもよい。例えば、コーティング粒子22を医療装置12の表面13に向かって移動するために電界が使用されるならば、コーティング粒子22は荷電粒子、好ましくは、高荷電粒子である。他方、コーティング粒子を医療装置12の表面13に向かって移動させるために伝熱効果が使用されるならば、コーティング粒子は荷電粒子である必要はない。例えば、このような非荷電粒子は、図8Aと図8Bを参照して記述したような供給装置を用いて提供するか、あるいは、例えば、本発明に従ってエレクトロスプレイして中和することが可能である。
【0038】
本発明によるコーティング方法の異なる実施態様では、コーティング粒子22は、医療装置12の表面13に向かってコーティング粒子22を移動する前に又は移動と同時に画定体積部11内に用意してもよい。例えば、高荷電粒子は、コーティング粒子22を医療装置12の表面13に向かって移動させるために利用される電界を形成する前に、画定体積部11内に用意することが可能である。同様に、本明細書に記述したように、例えば、供給装置15の前方に粒子22を同時に発生して、このような荷電粒子22を医療装置12の表面13に向かって移動させるように、電界を医療装置12と供給装置15との間に形成し得る(例えば、電極を医療装置12の内部体積部に位置決めして、医療装置12と供給装置15との間に電界を形成することが可能であるか、又は医療装置12を接地してそれらの間にこのような電界を形成することが可能である)。
【0039】
さらに、医療装置12及び/又は供給装置15(あるいはそれらの任意の構成要素)は、特定の何らかの理由のために、コーティングプロセスの前に、その間に、又はその後に、水平/垂直移動矢印101及び半径方向移動矢印102で概して表したような任意の異なる1つ以上の方向に移動可能である。コーティングシステム10の医療装置12又は任意の要素のこのような運動は、所望の運動のために構成された任意の装置を用いて実行し得る。本発明は、このような運動を提供するための任意の特定の構造に限定されない。さらに、本発明は、コーティングプロセス中のコーティングシステム10又は医療装置12の任意の要素の運動に限定されない。言い換えれば、例えば、医療装置12は、コーティングプロセスが実行されるときに画定体積部11内の固定位置に留まってもよい。
【0040】
上述のように、1つ以上のノズル構造体20から用意される粒子噴霧22は、医療装置12の少なくとも1つの表面13に向かって移動される。このような粒子22は、コーティング目的のために表面13に堆積される。本明細書に使用されているように、コーティングは、層又は構造体を表面に形成することを指す。表面に形成されたコーティング層又は構造体は、下層又は表面13に接着するコーティング、あるいは表面又は下層に接着しないコーティングであり得る。本発明に従って、表面13又は下層に対する任意の接着レベルが考えられる。例えば、医療装置12の表面13に形成されたコーティングは、層と医療装置12との間の接着を必ずしも有することなく、構造体(例えばステント構造体)の周りにシースとして形成してもよい。
【0041】
同様に、より大きな接着力が達成されるように、コーティングを医療装置12に形成する前に接着層を医療装置12に堆積し得る。接着層はまた、本発明による方法及び/又はシステムを使用する医療装置12の表面13にコーティングすることが可能である。
【0042】
記述したコーティング方法及びシステムの様々な実施態様は、1つ以上の医療装置をバッチとしてコーティングすることを可能にするために適切である。しかし、本発明は、医療装置をバッチでコーティングすること、すなわち、1つのバッチプロセスで一群の1つ以上の装置をコーティングし、引き続き、第2の群の1つ以上の装置を第2のバッチプロセスでコーティングすることのみに限定されない。医療装置をバッチでコーティングするためにプロセスを開始また停止する必要がないように、本発明の方法及びシステムを利用して、医療装置をシステムにわたって連続操作することができる。言い換えれば、連続プロセスにわたって複数の医療装置をコーティングできる。
【0043】
本発明の1つ以上の実施態様では、別々に又は同時に、単一又は多数のコーティング材料を医療装置に適用できる。例えば、噴霧されるコーティングは多数のコーティング材料を含んでもよく、異なるコーティング材料を制御かつ噴霧するための異なる源材料を異なるノズル構造体に用意してもよく、異なるコーティング材料層を医療装置の少なくとも一部分に提供するように、異なる期間中の使用のために異なるノズル構造体を制御してもよく、同一又は異なる源材料を用いて多数の層を噴霧してもよく(例えば、幾分積層のコーティングを形成し)、医療装置全体又は医療装置のほんの一部分をコーティングしてもよく(例えば、荷電を表面の部分に印加して、噴霧粒子のすべて又は大部分を荷電部分に引き付けることが可能であり)、医療装置の異なる部分に医療装置の残部よりも多くのコーティング材料を噴霧してもよく、及び/又はマスキング材料を使用して、医療装置のある部分へのコーティングの適用を防止することが可能である。
【0044】
上に示したように、本発明は、同一又は異なるコーティング材料の1つの層又は多数の層を適用することを考慮する。このように、層は同一又は異なる機能を実行し得る(例えば、生体適合性に対処して薬剤の放出を制御するため、等々)。
【0045】
本発明に関連して使用される医療装置は、本明細書に記述したコーティングプロセスに適応しやすい任意の装置を含む。医療装置、又はコーティング又は表面修正すべき医療装置の部分は、金属、ポリマー、セラミック、それらの複合物又は組み合わせから製造してもよく、また例えば、これらの材料の1つ以上でコーティングしてもよい。例えば、ガラス、プラスチック又はセラミックの表面をコーティングし得る。さらに、本発明を使用して、他の対象物、例えば、導電性にし得る金属基材又は他の任意の表面(例えば、平坦、湾曲又は他の任意の形状であるか否かにかかわらず)にコーティングを形成してもよい。
【0046】
本発明は特に血管ステントを参照して本明細書に記述されているが、本発明の範囲内の他の医療装置は、外科的処置によって患者の体内に移植されるそれらの装置のような、しかし明らかにそれらに限定されないような、例えば患者の体に切り込み及び/又はその中に位置決めされるために少なくとも部分的に使用されるような任意の医療装置を含む。このような医療装置の例は、関連技術で公知のようなカテーテル、針注射カテーテル、血栓フィルタ、血管グラフト、ステントグラフト、胆管ステント、結腸ステント、気管支/肺ステント、食道ステント、尿管ステント、動脈瘤充填コイル及び他の輪状コイル装置、トランス心筋血管再生(「TMR」)装置、経皮心筋血管再生(「PMR」)装置、リードワイヤ、移植可能な球体、ポンプ等のような移植可能な装置、ならびに皮下注射針、軟組織クリップ、保持装置、及び他のタイプの医学的に有用な注射針及びクロージャのような装置を含む。これらの医療装置の任意の露出面は、例えば、両端で開く管状医療装置、例えばステント構造体の内側露出面及び外側露出面を含めて、本発明の方法及びシステムでコーティングすることが可能である。
【0047】
本発明に関連して使用されるコーティング材料は、活性成分及び生物学的活性成分に関して上に規定したような任意の所望の適切な物質である。いくつかの実施態様では、コーティング材料は、単独で又は治療剤が少なくとも部分的に溶解可能又は分散可能又は乳状である溶剤と組み合わせて、及び/又は溶液、分散剤、懸濁液、格子等のようなポリマー材料と組み合わせて医療装置に適用される治療剤を含む。本明細書に記述した生物学的活性成分の分類内に含まれる「治療剤」及び「薬剤」は、交換可能に使用され、また製薬学的活性化合物、脂質のようなキャリアベクタを有するまた有しない核酸、圧縮剤(例えばヒストン)、標的配列を有するか又は有しないウイルス、ポリマー、タンパク質等を含む。医療装置上のコーティングは、生体活性材料の長期間又は持続する放出を含む放出の制御を可能にし得る。
【0048】
本発明に関連して使用される治療用又は生物学的活性成分の特定の例は、例えば、製薬学的活性化合物、タンパク質、オリゴヌクレオチド、リボザイム、アンチセンス遺伝子、DNA圧縮剤;遺伝子/ベクタ系(すなわち、核酸の取込み及び発現を可能にするもの)、核酸(例えば、組み換え核酸;ネイキッドDNA、cDNA、RNA;ペプチド標的配列が連結している非感染ベクタ又はウイルスベクタのゲノムDNA、cDNA又はRNA;アンチセンス核酸(RNA又はDNA);及び膜転位配列(「MTS」)及び単純ヘルペスウイルス−1(「VP22」)のようなフェリータンパク質用の遺伝子配列及びエンコーディングを含むDNAキメラを含む)、及び所望の用途に応じていくつかの種類から選択されるウイルス、リポソーム及びカチオンポリマーを含む。例えば、生物学的活性溶液は、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPACK(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)のような抗血栓剤;プロスタグランジン、プロスタサイクリン/プロスタサイクリンの類似物;プロブコール及びレチノイン酸のような酸化防止剤;血管形成剤及び抗血管形成剤;平滑筋細胞の増殖を阻止できるラパマイシン、アンジオペプチン、及びモノクローナル抗体のような平滑筋細胞増殖阻止剤;デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、アセチルサリチル酸、メサルアミン、及びリポキシゲナーゼ阻害剤のような抗炎症剤;ベラパミル、ジルチアゼム及びニフェジピンのようなカルシウム導入ブロッカ;パクリタキセル、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドキソルビシン、ダウノルビシン、サイクロ(登録商標)スポリン、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、エポシロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、スクアラミン、チミジンキナーゼ阻害剤のような抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤;L−アルギニン、その誘導体及び塩(例えば、塩酸アルギニン);トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド、及びニトルフイラントインのような抗菌薬;リドカイン、ブピバカイン、及びロピバカインのような麻酔剤;リシドミン、モルシドミン、NO−タンパク質アダクト、NO−ポリサッカライドアダクト、ポリマー又はオリゴマNOアダクトあるいは化学錯体のような酸化窒素(NO)ドナー;D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板レセプタ拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板レセプタ抗体、エノキサパリン、ヒルジン、塩化ワラフィン、ジクマロール、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びダニ抗血小板因子のような抗凝固薬;インターロイキン、インターフェロン及びフリーラジカル捕捉剤;成長因子、成長因子レセプタ拮抗薬、転写活性化剤、及び翻訳促進剤のような血管細胞成長促進剤;成長因子阻害剤(例えば、PDGF阻害剤のトラピジル)、成長因子レセプタ拮抗薬、転写リプレッサ、翻訳リプレッサ、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対抗する抗体、成長因子と細胞毒素とからなる二官能性分子、及び抗体と細胞毒素とからなる二官能性分子のような血管細胞成長阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤、キマーゼ阻害剤、例えばトラニラスト、ACE阻害剤、例えばエナラプリル、MMP阻害剤(例えばイロマスタット、メタスタット)、GPIIb/IIIa阻害剤(例えばインテグリリン、アブシキシマブ)、セラトニン拮抗薬、及び5−HT取込み防止剤;コレステロール低下剤;血管拡張剤;内因性血管活性機構干渉剤;抗アポトーシスBcl−2族因子及びAktキナーゼのような細胞死防御生存遺伝子;及びそれらの組み合わせ;及びベータブロッカを含む。これらの及び他の化合物は、ポリマーを含むコーティング溶液を含むコーティング溶液に添加してもよい。
【0049】
本発明による医療装置をコーティングする際に使用するためのコーティング材料及び/又は追加のコーティング材料に対する修正又はそれらの様々な形態は、当業者には明白であると本明細書では考えられる。例えば、このようなコーティング材料は、誘導形態で又は化合物塩として用意することが可能である。
【0050】
本発明の実施に有用なポリヌクレオチド配列は、セルによって吸収された後に治療効果を有するDNA又はRNA配列を含む。治療用ポリヌクレオチドの例は、アンチセンスDNA及びRNA、アンチセンスRNA用のDNAコーディング、又は欠陥があるか又は不完全な内因性分子を置換するためのtRNA又はrRNA用のDNAコーディングを含む。本発明のポリヌクレオチドはまた、治療用タンパク質又はポリペプチドのためにコード化できる。ポリペプチドは、サイズに関係なくまたグリコシル化されているか否かにかかわらず、ポリヌクレオチドの任意の翻訳生成物であると理解される。治療用タンパク質又はポリペプチドは、主な例として、動物の欠陥種又は欠損種を代償できる治療用タンパク質又はポリペプチド、又は中毒効果によって作用して、有害細胞を抑えるか又はそれを体から除去する治療用タンパク質又はポリペプチドを含む。さらに、ポリマーコーティング内に組み込むことができるかあるいはそのDNAを組み込むことができるポリペプチド又はタンパク質は、血管形成を誘導するために有能な血管形成因子及び他の分子を限定なしに含み、これらは、酸性かつ基底の繊維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、hif−1、上皮成長因子、形質転換成長因子αとβ、血小板由来内皮成長因子、血小板由来成長因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞成長因子及びインシュリンのような成長因子;成長因子;CDK阻害剤を含む細胞周期阻害剤;p15、p16、p18、p19、p21、p27、p53、p57、Rb、nFkBとE2Fのデコイ、チミジンキナーゼ(「TK」)及びそれらの組み合わせを含む抗再狭窄剤、及び悪性腫瘍を治療するための剤を含む細胞増殖に干渉するために有用な他の剤;及びそれらの組み合わせを含む。なお、ポリペプチドとして又はこれらのポリペプチドをエンコーディングするDNAとして提供できる他の有用な因子は、単球走化性タンパク質(「MCP−1」)及び骨形態形成タンパク質(「BMP」)の族を含む。公知のタンパク質は、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6(Vgr−1)、BMP−7(OP−1)、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、及びBMP−16を含む。現在好ましいBMPは、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6及びBMP−7のいずれかである。これらの二量体タンパク質は、単独で又は他の分子と共に、ホモダイマー、ヘテロダイマー、又はそれらの組み合わせとして提供できる。代わりに又は追加して、BMPの上流又は下流作用を誘導できる分子を提供できる。このような分子は、「ヘッジホッグ」タンパク質、又はそれらをエンコーディングするDNAのいずれかを含む。
【0051】
治療剤以外のコーティング材料は、例えば、単独で又は治療剤と組み合わせて適用されるポリマー材料、糖、ワックス、及び脂肪と、架橋又は重合されるモノマとを含む。このようなコーティング材料は、例えば、粉末、溶液、分散剤、懸濁液、及び/又は1つ以上のポリマーの乳濁液の形態で、選択的に水性及び/又は有機溶剤及びそれらの組み合わせで、あるいは選択的に溶剤を含まない溶融液として適用される。治療剤と共に使用される場合、ポリマー材料は、治療剤と同時に又はそれに連続して(前又は後に)選択的に適用される。このようなポリマー材料は、例えば、引き続くコーティング適用(例えば、引き続く層の接着を強化するために、金めっきされた装置へのアルカンチオール又はスルフヒドリル基含有のコーティング溶液の適用)を強化するためのプライマ層、治療剤の放出を制御するための層(例えば、疎水性ポリマーのような治療剤の放出を持続させるためのバリヤ拡散ポリマー;熱反応ポリマー;セルロースアセテートフタレート又はアクリレートベースのポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びポリビニルアセテートフタレートのようなpH反応ポリマー)、下に位置する薬剤層の保護層(例えば、エチルセルロースのような不透過性シーラントポリマー)、生体分解層、生体適合層(例えば、デキストラン、シクロデキストリン、ポリエチレンオキシド、及びポリビニルピロリドンのような合成又は自然発生の他の親水性生体適合材料を有するか又は有しない、血液適合性のバイオポリマーとしてアルブミン又はヘパリンを含む層)、装置供給を容易にするための層(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(すなわち、例えばポリエチレングリコール)のような親水性ポリマー、又は滑らかな親水性表面を提供するためのアクリレートベースのポリマー/コポリマー組成物)、薬剤マトリックス層(すなわち、医療装置に接着し、かつ体内への引き続く放出のために前記層内に又はその上に組み込まれた治療剤を有する層)、及びエポキシとして使用される。
【0052】
局所的薬剤供給のために薬剤マトリックス層として使用される場合、ポリマーコーティングは、供給すべき治療剤を吸収、吸着、捕捉、さもなければ保持できる任意の材料を含み得る。材料は、例えば、親水性、疎水性、及び/又は生体分解性であり、またポリカルボン酸、セルロースポリマー、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸ポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、グリコサミノグリカン、ポリサッカライド、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリウレア、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及びコポリマー、ポリオルトエステル、無水マレイン酸のようなポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリスチレン、天然及び合成ゴム、及びポリイソブチレン、ポリイソプレン、クラトン(登録商標)のようなエラストマコポリマーを含むポリブタジエン、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIBS)コポリマーのようなエラストマ;ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートバレレート、ポリアクリルアミド、ポリエーテル、セルロースのようなポリサッカライド、スターチ、デキストラン及びアルギン酸塩;ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリンを含むポリペプチド及びタンパク質;エチレンビニルアセテート(EVA)のようなビニルモノマのコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリビニル芳香族化合物;シクロデキストリン、ヒアルロン酸及びホスホリルコリンのような他の材料;及びそれらの混合物及びコポリマーから成る群から選択されることが好ましい。ポリウレタン分散剤(BAYHDROL等)及びアクリルラテックス分散剤のようなポリマー分散剤からのコーティングも本発明の範囲内にある。好ましいポリマーは、ポリウレタン;米国特許第5,091,205号に記述されているようなポリアクリル酸;及び米国特許第5,702,754号に記述されているような、有機酸官能基を有するポリマーと、有機酸基と反応できる官能基を有する多官能性架橋剤との水性分散剤又は乳濁液を含む水性コーティング組成物を含む。
【0053】
薬剤マトリックス層からの薬剤の放出速度は、例えば、ポリマー構造及び配合、マトリックスの拡散係数、溶剤組成、薬剤対ポリマー比、すなわち、薬剤とポリマーとの間の潜在的な化学反応及び相互作用、薬剤接着層及び任意のバリヤ層の厚さ、及びプロセスパラメータ、例えば乾燥等を変更することによって大部分制御される。本発明の方法及び装置によって適用される1つ又は複数のコーティングは、コーティング物質の放出速度の制御を可能にし、放出速度の制御は長期間の放出及び/又は持続する放出の両方を含む。
【0054】
コーティング材料は、懸濁粒子、例えば粉末を含み得る。例えば、懸濁粒子は、接着コーティング、又は静電現象のような他のある技術によって医療装置の表面に融合することが可能である。
【0055】
本発明のコーティングは、コーティング材料に応じて及び1つ又は複数のコーティングが適用される目的に応じて、適切な厚さが得られるように適用される。例えば、局所的薬剤供給に適用されるコーティングは、典型的に、少なくとも約1ミクロン〜30ミクロン未満の厚さに適用される。厚さは2ミクロンよりも大きいことが好ましい。さらに、厚さは20ミクロン未満であることが好ましい。さらに、100オングストロームの厚さの非常に薄いコーティングを提供し得る。30ミクロン以上のはるかに厚いコーティングも可能である。
【0056】
本発明によれば、医療装置12はステント構造体であることが好ましい。図2は、ステント構造体13の模範的な例示的一実施態様を示している。ステント構造体13は、一般に、軸線25に沿って延在する開いた骨組材料21の筒状本体を含む。言い換えれば、ステント構造体13を形成する材料は、構造体13を形成するステント材料36の部分の間に画定された開口部19を有する。このような開いた骨組材料21は図2に概して示され、また典型的なステント構造体が、ステント材料と構造体を形成する開口部とを含むことを示しているに過ぎない。本発明は任意の特定のステント構造体に限定されない。一般に、ステント構造体13は、第1の開口端27から軸線25に沿って第2の開口端29に延在する。ステント構造体13は、一般に、ステント構造体13の内面31の反対側に概して面するステント材料36の外面33を備え、内面31はステント構造体の第1の開口端27と第2の開口端29との間の内部体積部を画定する。
【0057】
図3は、一般に、本発明を用いてコーティングされるような図2のステント構造体13の部分の例示目的の図面を示している。例えば、ステント構造体13の外面33に1つ以上の層37をコーティングし得る。同様に、ステント構造体13の内部体積部に隣接する内面31を1つ以上のコーティング23でコーティングしてもよい。例えば、外面33を接着層及び1つ以上の治療剤でコーティングし得る。例えば、抗炎症治療剤は、ステント構造体13の外面に形成される最終層であってもよい。
【0058】
さらに、例えば、1つ以上の層23を内面31に形成してもよく、かつ層23は、例えば、接着層隣接面31を含むことが可能であり、最終コーティングは抗凝固薬の生物学的活性成分の形態である。
【0059】
当業者は、図2と図3が、本発明に従ってコーティングし得るステント構造体の例示的かつ概略的な一例に過ぎないことを認識するであろう。異なるステント構造体の多様性は大きく、またあらゆるこのような構造体のコーティングが本発明に従って考えられる(例えば、自己拡張構造体、開いた骨組材料の形態ではない材料から形成された構造体等)。さらに、ステント構造体13の任意の1つの表面にコーティングし得る層の数も例示目的に過ぎない。例えば、本発明によって適用された実際のコーティングは、接着層なしのステント構造体13の1つ以上の表面に接着する多層の積層タイプ構造の形態をとることが可能である。
【0060】
さらに図1を参照すると、供給装置15のノズル構造体20は、様々な構造の任意の構造を有しかつ任意の数の異なる構成要素、例えば、単一及び二重の毛細管電極、ミクロ加工のテーパ状開口部等を使用するノズル構造体を備え得る。例えば、以前に示したように、このようなノズル構造体は、米国特許第6,093,557号又は米国特許出願第2002−0007869号に記述されている1つ以上のノズル構造体を含むことが可能である。様々な種類のノズル構造体、及びそれらが使用可能である供給装置が、本明細書に図示かつ説明されている。しかし、本明細書に組み込まれている文献に記述されたノズル構造体は、本発明に従って使用可能である別のノズル構造体を提供することが可能であり、及び/又は同様に概して本明細書に記述されているノズル構造体に関する追加の説明を提供し得る。
【0061】
例えば、図4は、図1に概して示したような医療装置コーティングシステム10に使用可能なエレクトロスプレイ供給装置52の例示的一実施態様を示している。エレクトロスプレイ供給装置52は、各ノズル構造体54からの荷電粒子68の噴霧を形成するために1つ以上のノズル構造体54を含む。エレクトロスプレイ供給装置52は、例えば、同時に荷電粒子噴霧68の形成に使用するために、源材料77をノズル構造体54の各々に用意するための源材料保持装置60を含む。
【0062】
単一のエレクトロスプレイノズル構造体は、ノズル構造体の外被内で粒子噴霧68を形成する際に制御された送り速度の源材料を供給できる。源材料のこの送り速度は、1つ以上の様々な構造で共に束ねられた多ノズル構造体54を用いることによって増すことができる。例えば、「n」個のノズル構造体により「n」倍だけ送り速度を増大し得る。本発明は、さらに以下に記述するように、小さな領域、例えば直径7又は10センチメートル以内で、わずか1つのノズル構造体及び例えば1000ものノズル構造体、例えば毛細管の使用を可能にする。
【0063】
緊密に詰め込まれた束のノズル構造体から高荷電ナノ粒子を噴霧する様々な試みの1つは、1つのノズル構造体から隣接する他のノズル構造体へのナノ粒子の空間電荷効果を克服することである。様々な構造の多ノズル構造体に関して、一般に、ノズル構造体54の円錐状噴出モードの形成に必要な電圧は、ノズル間の距離が小さくなるにつれ増加する。しかし、より高い電圧は、ノズル構造体と、電界を形成するために使用される第2の電極との間にアーキングを引き起こす可能性があり、このようなアーキングは問題となるので、より低い電圧で操作することが好ましい。したがって、ノズル間の距離が小さくなるにつれノズル構造体を共に近接させることができるが、円錐状噴出を形成するために高電圧を必要としない多ノズル構造体の構成を有することが望ましいかもしれない。
【0064】
図4に示したように、各ノズル構造体54、例えば毛細管59は、軸線51に沿って延在して供給端部69に終端する開口部53を画定する。開口部53は、軸線51に対し直交しかつそこでセンタリングされた断面を有する。本明細書に使用されているように、ノズル間の距離(L)は、ノズル構造体54の中心軸線51の間の距離として規定される。
【0065】
円錐状噴出動作を獲得するために必要な電圧は、ノズル間の距離に基づき異なる。一般に、一実施態様では、単一毛細管59の円錐状噴出動作を獲得するために必要な電圧は、約7500ボルトである。ノズル間の距離(L)が小さくなるにつれ、高荷電ナノ粒子をノズル構造体54から「追い出して」、ナノ粒子の噴霧に必要な円錐状噴出モードを形成するためにより高い電圧が必要とされる。最終的に、必要な電圧は破壊電界(約18,000ボルト)に達し、これにより、ノズル間の間隔の最も近い距離が画定される。
【0066】
ノズル間の距離(L)はまた、開口部53の臨界寸法(CD)、例えば、ノズル構造体54の軸線51に対し直交した開口部53の断面直径による影響を受ける。例えば、図4に示したように、毛細管59はノズル構造体54の軸線51に沿って設けられ、各毛細管は供給端部69に終端する。ノズル構造体54のCDは開口部53の直径、すなわち、噴霧が供給端部69で形成される開口部の断面直径である。
【0067】
本発明によれば、多ノズル構造体54が単一電極になること、例えば、ノズル構造体から第2の電極へのアーキングを回避するために、あるノズル間の距離(L)をノズル構造体54の間に設けなければならない。本発明によれば、ノズル間の距離(L)対CD、すなわちL/CDの比率は、2以上であることが好ましい。言い換えれば、図4に示したように、軸線51に対し直交した開口部53の直径に対するノズル間の距離(L)の比率は、2以上であることが好ましい。
【0068】
エレクトロスプレイ供給装置52のノズル構造体54の各々は、高濃度の荷電粒子を有する荷電噴霧を用意する。一般に、噴霧の荷電粒子の濃度は、1立方センチメートル当たり約105の粒子(1cc当たりの粒子)〜約1012の粒子/ccの範囲にある。空間電荷効果、すなわち、荷電粒子の電荷反発作用によって形成される効果の故に、同一極性の電荷を有する実質的に分散された粒子の噴霧には、図4に示したように、噴霧領域にわたって実質的に均一に分布された粒子が提供される。
【0069】
本明細書に使用されているように、実質的に分散された粒子という用語は、印加された静電斥力によって分離される均一に及び/又は非均一に寸法決めされた粒子を指す。したがって、エレクトロスプレイプロセスは一貫しかつ再現可能な移送プロセスである。さらに、噴霧の荷電粒子は互いに反発するので、粒子の凝集が回避される。これにより、より均一な粒度が得られる。「実質的に分散された」粒子は、噴霧された粒子の一般的な均一度、例えば呼び径からの粒子の標準偏差を含む単分散粒子と混同すべきではない。
【0070】
一般に、図4に示したような構造によれば、電荷は、形成された電界79において、材料、例えば活性成分を含む溶液の蒸発によって粒子噴霧に電荷を集中させることにより印加される。言い換えれば、例えば、源材料77は、活性成分の懸濁液又は溶解活性成分を含む溶液であり得る。次に、懸濁液又は溶液は、エレクトロスプレイ供給装置52から供給され、例えば、微小滴の活性成分が供給される。言い換えれば、一般に、噴霧された液体が蒸発して、噴霧される流体組成物又は懸濁液内の粒子、例えば活性成分粒子に液体部分の電荷を集中させる。このことにより、さらに以下に記述するように荷電粒子噴霧68が得られる。
【0071】
図4は、一般に、ノズル構造体54の各々からの荷電噴霧68を形成するためのエレクトロスプレイ供給装置52の動作の概略図を示している。ノズル構造体54の各々は、材料源保持装置60からの流体組成物の流れを受容する。例えば、材料源保持装置60は、薬剤活性成分を懸濁するか又は溶解活性成分を有する流体組成物77を含むことが可能である。
【0072】
一般に、導電性材料56、例えば導電性プレートは、ノズル構造体54の各々を特定の構造に位置決めする。導電性材料56は、高電圧源73に接続するように適合される。ノズル構造体54の各々は、流体組成物77の流れを受容するためのオリフィス、例えば開口部53(例えば、溢流式チャンバ内に画定された毛細管開口部又はオリフィス等)を画定する図4に例示的に示したような導電性構造体、例えば毛細管59を含む。
【0073】
源材料保持装置60用の様々な構造を本発明に従って使用可能であるが、流体組成物77を1つ以上のノズル構造体54に送るために、単一の保持装置を使用することが好ましい。当業者は、異なる様々な流体組成物を保持し、かつ異なる組成物を異なるノズル構造体54に用意するために、任意の数の異なる及び別個の保持装置を使用し得ることを認識するであろう。
【0074】
好ましくは、流体組成物77は、開口部53を通して押し出すか又は引き出して、ノズル構造体54の供給端部69に用意、例えばポンプによって押し出すことが可能である。矢印64で概して示した圧縮ガス源、例えば、流体組成物77と反応しない不活性ガス源は、流体組成物77を圧縮して、ノズル構造体54の開口部53を通して流れるように流体を強制するために設けられることが好ましい。このような流体組成物流を用意するために圧縮ガス源64を使用することが好ましいが、このような流れを提供する他の方法も使用し得る。例えば、力、例えば空圧力が印加される流体組成物77の上方のプレートを使用し得るか、又は各ノズル構造体用のシリンジポンプを使用することが可能である。
【0075】
導電性構造体56によって位置決めされかつそれに電気的に結合されたノズル構造体54は、エレクトロスプレイ供給装置52の第1の電極として機能し、各ノズル構造体の供給端部69は、医療装置12又はその表面13に向かって荷電微小滴を供給するために位置決めされる。図4の模範的な実施態様では、電界79を形成するために、医療装置12は、第2の電極構造体、例えば、接地81で示したような接地医療装置12として機能する。第1の電極の導電性構造体56と、第1の電極から電気絶縁される第2の電極又は接地医療装置12との間に、電位差が印加される。当業者は、1つ以上の導電性要素を用いて電極を形成することが可能であり、このような電極が異なる様々な構造の1つをとり得ることを認識するであろう。
【0076】
一般に、操作中、流体組成物77の流れは、ノズル構造体54の開口部53を通して用意され、例えば、開口部53を通して押し出され及び/又は引き出される。メニスカスは供給端部69に形成され、ここでは、開口部53は約6ミクロン〜約2ミリメートルの好ましい範囲の直径を有する。ノズル構造体54に電気的に結合された第1の電極の導電性構造体56と、接地81に接続された第2の電極(例えば医療装置12)との間に不均一な電界79を形成するために、電位差が印加される。例えば、第2の電極の医療装置12を接地した状態で、高い正電圧を第1の電極の導電性構造体56に印加してもよい。さらに、例えば、4kV/cmよりも大きな電界強度を提供する電圧差が使用されることが好ましい。
【0077】
本明細書に使用されているように、不均一な電界は、2つの電極の間の電位差によって形成された電界を指す。不均一な電界は、他方の電極に対して一方の電極に、より局所的に集中される電界線、例えば、第2の電極又は接地医療装置12に対して供給端部69に一層集中される少なくともいくつかの電界線を含む。言い換えれば、例えば、電界線の少なくともいくつかは、開口部53の中心を通る長手方向軸線51に対して軸線がずれている。さらに、例えば、接地医療装置12は供給端部69の前方に位置決めされ、また長手方向軸線51から離れた位置に配置される部分のサイズであるか及び/又は少なくともその部分を含む。様々な実施態様では、第2の電極は、1つ以上のリング電極、プレート電極、接地医療装置の表面等であり得る。異なる電極構造体が荷電粒子を発生するために使用されるとしても、医療装置12をなおコーティングすることが可能である。
【0078】
例えば、リング電極を供給端部69の前方に位置決めして、医療装置が位置決めされる画定体積部内に高荷電粒子を用意するための電界を形成し得る。画定体積部内に用意された粒子により、他の電界を形成して、高荷電粒子を接地医療装置に向かって移動させることが可能である。したがって、概して図1に示したコーティングシステム10を用いて医療装置12をコーティングすることは、医療装置が用意される画定体積部内に粒子を用意すること、その後、コーティングを医療装置に形成するために粒子を医療装置に向かって移動させることを含み得ることが認識される。さらに、代わりに、粒子を形成し、それらの形成と同時にコーティングするための医療装置に向かって移動させてもよい。例えば、荷電粒子を画定体積部内に発生するために医療装置を接地して均一な電界を形成することが可能であり、前記画定体積部内において、コーティングを医療装置12に形成するように医療装置に向かうこのような荷電粒子の移動も可能にする電界が医療装置に付与される。
【0079】
流体組成物が活性成分を含む模範的な一実施態様では、流体組成物77はノズル構造体54の開口部53を通して流れる。一般に、開口部53に用意される流体組成物77は導電性を有する。流体組成物77が開口部又はオリフィス53を通って前進するとき、第1及び第2の電極の間の電位差はそれらの間に電界を形成して、液体から一方の電荷極性を除去し、すなわち、高い正電圧が電極56に印加されるときに負電荷が除去され、正電荷された微小滴が供給端部69から供給されるようにする。例えば、供給端部69のメニスカスは、不均一な電界力がメニスカスの表面張力を均衡させるときに、活性成分を含む微小滴の噴霧を供給するための円錐状噴出を形成し得る。微小滴の噴霧は、さらに、不均一な電界でより能動的になる。
【0080】
微小滴が蒸発するとき、微小滴の電荷は活性成分に集中し、荷電粒子噴霧を生じる。微小滴の電荷量、したがって、蒸発後の粒子の電荷量は、微小滴を噴霧するために使用される流体組成物の導電率、流体組成物の表面張力、流体組成物の誘電率、及び流体組成物の送り流量に少なくとも基づいている。特定の粒子に集中される電荷は、微小滴が粉砕又は引き裂かれることなく微小滴によって保持できる最大電荷の約30%よりも大きく、すなわち、レイリー電荷リミットの約30%よりも大きいことが好ましい。電荷はレイリー電荷リミットの50%よりも大きいことが好ましい。100%では、微小滴の表面張力が電気力によって克服され、小滴の崩壊を引き起こす。不均一な電界は、粒子の閉じ込め及び/又は粒子の方向付けも可能にし、さもなければ、粒子は、空間電荷効果の故に不規則な方向に進む。
【0081】
当業者は、印加電圧を反対にし得ることを認識するであろう。例えば、第2の電極に印加された高い正電圧で、第1の電極を接地することが可能である。このような場合、粒子は、それに集中される負電荷を有するであろう。さらに、不均一な電界を付与して、荷電粒子噴霧を形成する他の任意の印加電圧構造を使用してもよい。
【0082】
様々な構造によって、不均一な電界を付与することができる。例えば、第2の電極は、ノズル構造体54の供給端部69から噴霧68の形成を確立するために接地かつ位置決めされる任意の導電性材料であってもよく、例えば、第2の電極は、接地リング電極、ステント構造体の内部体積部に位置決めされた接地細長要素等であり得る。第2の電極はまた、様々な位置、例えばノズル構造体54のすぐ前方に配置するか、又はノズル構造体54からより遠くにまた医療装置12により近くに配置することが可能である。
【0083】
第1及び第2の電極の間の距離を調整することによって、電界強度を調整し得る。異なる電界強度により、部分的に少なくとも粒子噴霧68の空間電荷効果のため、粒子噴霧が用意される比較的異なる領域Dが生じるかもしれない。当業者は、供給装置52の1つ以上の構成要素を他の構成要素に対して移動させて、例えば、医療装置を1つ以上のノズル構造体54に対して又はその逆に移動させて、電界強度の調整を実施し得ることを認識するであろう。
【0084】
保持装置60からの流体組成物77は、動作可能なとき、好ましくは圧縮ガス源64の制御下でノズル構造体54に用意される。上述のように、流れはまた、液体ポンプ(例えば、シリンジポンプ、重力送りポンプ、圧力調整式液体リザーバ等)、質量流量制御器、又は源材料、例えば流体組成物77を、当業者に知られているような1つ以上のノズル構造体54に送るために適切な他の任意の流量制御装置を使用することにより制御可能である。
【0085】
流体組成物の流れは、供給装置52によって微小滴に霧化される。霧化は、微小滴を生成するための任意の公知の技術によって行うことが可能であり、当該微小滴は、好ましくは約10ナノメートル以上、より好ましくは約20ナノメートル〜約10マイクロメートル、さらにより好ましくは約30ナノメートル〜約1マイクロメートルの呼び径を有する。好ましくは、静電霧化が使用される。しかし、他の霧化装置(例えば、圧力調整式霧化器、超音波噴霧器、油圧ノズル等)により、充分な霧化を行うことが可能である。本明細書に前述したように、約10ナノメートル〜約2ミクロンの範囲の呼び径を有する微小滴は、エレクトロスプレイによって生成できる。このような引例に記述したような様々な要因が、生成される小滴サイズに影響を及ぼす。これらの要因は、例えば、毛細管サイズ、液体送り速度、供給装置、周囲ガスの性質等である。当業者は、様々な所望のサイズの微小滴を制御かつ生成するために、このような要因及び他のものが変更可能であることを認識するであろう。
【0086】
多ノズル構造体54、例えば毛細管電極59と第2の電極との間に異なる電位差を印加することによって、異なる操作モードを確立できる。例えば、第2の電極医療装置12を接地した状態で導電性構造体56を介して毛細管電極に印加される高い正電圧73は、比較的高い正電荷を噴霧68に付与する。このような場合の第2の電極12は接地81に設けてもよく、それに接続された負電圧を有してもよい。例えば、印加電圧は、電界が形成される媒体に許容される最大電界強度によって制限される。例えば、アーキングは、約30kV/cmよりも大きな電界強度で空気中に生じる。しかし、CO2、SF6等のようなシースガスをノズル構造体の周りに使用することにより、許容電界強度を向上できる。
【0087】
本明細書に記述したようにまたそれに引用した他の文献において、比較的大きな電位差が印加された状態で、脈動モード又は円錐状噴出の操作モードが達成される。円錐状噴出の操作モードでは、円錐状液体メニスカスが供給端部69で形成され、これに対し、脈動モードでは、液体メニスカスの形状は円錐状と丸形との間で交替する。他方、比較的小さな電位差が毛細管電極59と第2の電極12との間に印加された状態では、供給先端からの滴下が生じる。本発明によれば、毛細管59のオリフィス又は開口部53で形成される円錐状噴出83からの噴霧が好ましい。
【0088】
さらに以下に記述するようなエレクトロスプレイ供給装置用の様々な構造が適切であり得るが、供給装置52は、ノズル構造体54、例えばその毛細管59の各々から噴霧68を用意するために、例えばプラチナ、シリカ等のような適切な材料から製造された毛細管59を含むことが好ましい。例えば、毛細管は、約6マイクロメートル〜約2.5ミリメートルの好ましい範囲の外径と、約6マイクロメートル〜約2ミリメートルの好ましい範囲の内径とを有し得る。
【0089】
さらに、供給装置52は、各毛細管、例えば同心管の周りに、又は供給装置52、例えば、装置52の噴霧部分を囲むハウジングの周りにケーシングを含むことが可能であり、このケーシングを使用して、シースガス、例えばCO2、SF6等を毛細管59の周りに用意し、毛細管の静電破壊電圧を増加すること、例えば、コロナ放電を防止することが可能である。このようなシースガスの使用は、表面張力の高い液体、例えば脱イオン水を用いて噴霧が形成される場合に特に有益である。
【0090】
前述のように、不均一な電界は、粒子の閉じ込め及び/又は粒子の方向付けを可能にし、さもなければ、粒子は空間電荷効果の故に不規則な方向に進む。空間電荷効果は単分散及び非集塊状粒子の提供に必要である。空間電荷効果は、一般に、粒子のサイズ及び粒子電荷に左右される。電界を利用して粒子を医療装置12に向かって移動させ、また他の位置への散乱を防止することにより、医療装置のコーティングに必要なコーティング材料の量が実質的に低減される。
【0091】
例えば、コーティング材料の量のこのような低減は、本発明によるコーティングと医療装置の浸漬とを比較することにより明確に理解できる。浸漬プロセスでは、装置の浸漬を可能にするために、コーティング材料を有する容器を用意しなければならない。浸漬に必要な材料の量は非常に多い。
【0092】
本発明によれば、浸漬プロセスとは反対に、例えば、画定体積部内の粒子の濃度は、医療装置に堆積される充分なコーティング材料が存在する状態でのみ制御できる。したがって、必要なコーティング材料(例えばDNA又はRNA)の量は、浸漬に必要な量よりも実質的に小さい。さらに、電界は、粒子を医療装置12に向かって方向付けて、医療装置を囲む構造体、例えば、医療装置が位置決めされるチャンバの壁部、及び例えば長手方向に又は半径方向の医療装置12の移動と関連付けられた装置のような医療装置のコーティングに使用し得る他の構造体に粒子が堆積することを防止する。
【0093】
さらに、上述のように、微小滴が蒸発するときに、微小滴の電荷は活性成分に集中し、荷電粒子噴霧を生じる。医療装置12の少なくとも1つの表面13と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、供給装置から噴霧された微小滴の溶剤成分の約20%未満を含むように、コーティング材料システム10が構成されることが好ましい。しかし、ある溶剤成分は、粒子が医療装置12の表面13に接触するときに残りの粒子体積の部分を形成することが好ましい。ある溶剤成分が、蒸発した微小滴によって占められた残りの粒子体積の部分である状態で、微小滴(粒子を含む)と医療装置12の表面13との接着を強化し得る。本来噴霧された微小滴の溶剤成分の約20%未満を含む微小滴が、医療装置の表面13に接触した後、溶剤の残部が蒸発し、粒子が医療装置12の表面13にコーティングされたままにする。言い換えれば、医療装置12の少なくとも1つの表面13と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められた残りの粒子体積は、ある溶剤成分、しかし本来噴霧された微小滴に含有された溶剤成分の約20%未満を含む。
【0094】
微小滴/粒子が医療装置12の表面13に接触する前の蒸発量は、任意の数の異なる方法で制御可能である。例えば、使用する溶剤の種類、供給装置と医療装置との間の距離、医療装置が用意されるチャンバの温度及び圧力、微小滴のサイズ等によって蒸発を制御してもよい。本発明は、このような蒸発を制御する任意の特定の方法に限定されず、また他の様々な方法が当業者には明白であろう。
【0095】
1つ以上のノズル構造体54の様々な構造を使用することが可能である。例えば、様々な構造は、単一毛細管、例えば五角形、六角形のような異なる1つ以上の構造に束ねられた多数の毛細管、又は2002年1月24日に公開された米国特許出願第2002−0007869号に記述されているような他の空間構造の使用を含み得る。
【0096】
さらに、例えばプラチナ、シリコン等のような適切な材料から製造された毛細管は、例えば、本明細書に記述したような粒子噴霧を提供するために使用し得る。好ましくは、このような毛細管は、電界を各毛細管の先端に集中するように毛細管の先端で先細りにされる。
【0097】
毛細管の使用は、単一毛細管、ならびに前述の米国特許出願第2002−0007869号に記述されているような同心の二重毛細管の使用を含み得る。例えば、供給装置から噴霧を形成するために、二重の液体流れを同心の二重開口毛細管の供給端部から用意してもよい。二重毛細管構造を使用して、活性成分のコーティング粒子を噴霧するか、又は1つ以上の成分を有する粒子を形成することが可能である。例えば、第1の開口部を通した第1の流体組成物によって活性成分を用意してもよく、また第2の開口部を通した第2の流体組成物によって、コーティング材料、例えば時限解放ポリマーを用意してもよい。例えば、噴霧時、コーティング材料は、少なくとも部分的に活性成分を封入してもよく、次に、層を医療装置12に形成するために、コーティング粒子が移送される。
【0098】
さらに、このような二重毛細管構造を使用して、噴霧される液体の1つ以上の導電率を変更することによって、噴霧される粒子の導電率を制御し得る(例えば、より高い電荷が蒸発中に粒子に集中されるように、噴霧される組成物の1つの導電率を高める)。
【0099】
異なる導電率を有する流体の使用に加えて、流体はまた、異なる表面張力を有してもよい。例えば、流体は中心毛細管を通して流れることが可能であり、他の流体は、中心毛細管と、米国特許出願第2002−0007869号に記述されているような同心毛細管との間の空間に用意される。異なる導電率及び表面張力を有する2つの異なる流体を使用することにより、中心毛細管を通した噴霧困難な流体を中心及び同心の毛細管の供給端部に用意できる。このような噴霧は、追加の電荷が中心毛細管を通して噴霧された粒子に集中されるように、中心毛細管を囲む空間内の例えば流体(例えばアルコール)の追加の導電性によって促進される。この噴霧はまた、流体が二重毛細管構造の供給端部に当たって、流体を中心毛細管を通して噴霧するための円錐状噴出を形成するときに、流体間の表面張力差によって支援される。
【0100】
二重毛細管構造は任意の種類の源材料に使用可能である。例えば、流体は、活性成分、生物学的活性成分、賦形剤、又は本明細書に記述したような他の任意の源材料でもよい。
【0101】
さらに、外側流体は、円錐状噴出の形成、又は中心毛細管からの材料の噴霧に使用するための成分の用意を支援するために、ガス形態であり得る。このようなガスはまた、中心及び同心の毛細管の間の空間に用意された流体を有する中心毛細管によって用意し得る。このように、中心に空隙を有する粒子を形成することが可能である。空隙、例えば泡を画定するこのような粒子は、例えば、ある表面積が望まれるが、より大きな表面積を形成する成分量が最小に保持されるべきである状態において有益であり得る。
【0102】
本発明は、様々な適切なノズル構造体が使用可能であるので、毛細管型のノズル構造体の使用に限定されないことが明らかである。例えば、他の様々なノズル構造体が概して本明細書に記述されている。本明細書に記述した原理に従って、粒子噴霧を用意するために適切な任意のノズル構造体、例えば、様々な円錐状噴出を提供し得るスリット(例えば、本明細書に記述したような柱付き又は柱なし)、他のノズル構造体の部分と一体の部分を有するノズル構造体、医療装置が位置決めされるチャンバ壁の一部を形成するノズル構造体、図11〜図13に示したようなステント構造体のコーティングを特に参照して本明細書に記述したような半径方向に又は長手方向に構成されたスロット、開口の多ノズル構造体(例えば、二重毛細管構造のような二重開口部を各々が有するミクロ加工ノズル構造体)等を使用することが可能である。
【0103】
可能な多くの異なるノズル構造体の実装の1つにおいて、図5Aと図5Bに示した構成を用いて、ノズル構造体を提供することが可能である。図1の医療装置コーティングシステムに使用可能であるエレクトロスプレイ供給装置502は、1つ以上のノズル構造体506を含む。ノズル構造体506は、単一の一体導電性材料504、例えばミクロ加工プレートによって設けられることが好ましい。導電性材料又はミクロ加工プレート504は、流体組成物524を収容しかつ流体組成物524の流れをノズル構造体506の各々に用意するための流体組成物保持装置522の一部、例えば底面523を形成し得る。例えば、本明細書に前述したように、圧縮ガス源526を使用して、流体組成物524をノズル構造体506の各オリフィス又は開口部525に供給することが可能である。多ノズル構造体506が形成される導電性材料504と医療装置520との間に、電位差が与えられることにより、円錐状噴出517(図5B参照)が1つ以上のノズル構造体506の供給端部513に設けられ、粒子噴霧519(例えば、蒸発させて、医療装置をコーティングするために使用される閉じ込め粒子に電荷を集中する微小滴)を提供する。
【0104】
図5Bは、図5Aのノズル構造体506の1つをさらに詳細に示している。ノズル構造体506は、オリフィス又は開口部525を画定するテーパ状部分516を含む。ノズル構造体506の開口部525は軸線501に沿って延在する。テーパ状部分516は、流体組成物524を受容しかつ十分な流れを開口部525内に用意するために、すなわち流体組成物に対して内側のテーパ状内面509を含む。テーパ状部分516はテーパ状外面508をさらに含む。テーパ状外面508及びテーパ状内面509は、略平行の構造を有する反対面であることが好ましい。言い換えれば、このようなテーパ部は、軸線501に対し直交して位置する一般にプレート状の導電性材料504に対して同一の角度にある。テーパ状外面508はターゲット520に向かって延在し、また電位差の印加の下で動作するときに円錐状噴出が形成される供給端部513に終端する。
【0105】
図6Aと図6Bは、図5Aと図5Bに示したのと同様であるが、二重開口構造を有する1つ以上のノズル構造体556を含むエレクトロスプレイ供給装置552の他の代替実施態様の概略図を示している。このように、この装置は、同心毛細管に関し本明細書に記述したのと同様の方法で、同様に米国特許出願第2002−0007869号に記述されているように使用することが可能である。
【0106】
図6Aに示したように、供給装置552は、一般に、その第1の電極として機能する2つの導電性プレート状構造体584と585を含む。導電性プレート状構造体584と585は分離されて、流体組成物573を流体組成物源572から前記構造体の間に用意することを可能にする。プレート状構造体584と585は、二重の開口ノズル構造体556を用意するために形成される。ノズル構造体556の各々は、第1の電極、すなわち導電性プレート構造体584及び/又は585と医療装置554との間に適切な電位差を印加すると円錐状噴出560を形成する。したがって、粒子噴霧562は、各ノズル構造体556の供給端部582(図6B参照)で用意又は形成される。
【0107】
再度、圧縮ガス568を適用すると、保持装置564に保持された流体組成物566は、ノズル構造体556の各々を通して流れることができる。流体組成物566は流体組成物573と同一でも異なってもよい。流体組成物566は、流体組成物573と異なることが好ましい。例えば、本明細書に前述したように、流体組成物566は、医療目的用の活性成分を含んでもよく、また流体組成物573は、時限解放材料、例えばポリマーのような賦形剤又はコーティング材料を含んでもよい。このような流体組成物を使用することにより、医療装置554のコーティングに使用するための各ノズル構造体556からコーティング粒子を噴霧できる。
【0108】
図6Bは、供給装置552に使用される1つのノズル構造体556のより詳細な図面を示している。図6Bに示したように、第1の導電性プレート構造体584は、第1の流体組成物566が用意される開口部596の画定を可能にする。第1の導電性プレート構造体584及び第2のプレート構造体585は、第2の流体組成物573を受容するために、前記2つの構造体の間に空間又はチャネル570を提供する。第2の流体組成物573は、第2の導電性プレート構造体585によって画定された開口部594で第1の流体組成物566に出会う。開口部594、596及びチャネル570を画定する構造に応じて、2つの流体組成物はチャネル570又は開口部594のいずれかで互いに接触することが可能である。
【0109】
第1の導電性プレート構造体584は、軸線553に沿って開口部596を画定するテーパ状部分586を含む。テーパ状部分586は、流体組成物566を受容する、すなわち流体組成物566に対して内側のテーパ状内面598と、好ましくは内面598と同様に先細りにした外面597とを含む。外面597は医療装置554に向かって延在し、チャネル570内への出口574に終端する。
【0110】
同様に、導電性プレート構造体585は、軸線553に沿って開口部594を画定するテーパ状部分588を含む。テーパ状部分588は、出口574を介して用意される第2の流体組成物573及び第1の流体組成物566を受容する内面591を含む。テーパ状部分588は、電位差が導電性プレート構造体585、588と医療装置554との間に印加されたときに、円錐状噴出560が供給端部582で形成されるように供給端部582に終端するテーパ状外面590をさらに含む。
【0111】
導電性プレートに単一の孔を開けることでは、導電性プレートのオリフィスにおける円錐状噴出の形成は行われないことが認識される。図5と図6に示したように、本図に示したノズル構造体の供給端部に円錐状噴出を形成するために、ノズル構造体の各々はプレート状構造体からの突出部を含まなければならない。言い換えれば、このようなプレートからの突出部又は延長部を提供する図5と図6に示したノズル構造体のテーパ状部分は、このような突出構造体の先端における円錐状噴出の形成を可能にするために必要とされる。
【0112】
図5と図6に示したように、開口部は小さな毛細管型開口部の形態をとってもよく、細長い開口部(すなわちスロット)の形態をとってもよい。例えば、図5Aと図5Bを参照すると、開口部506と556は、ステント構造体をコーティングするための実施態様に示したような細長い開口部の形態をとることが可能である。例えば、図11に示した一実施態様は、ステント構造体が配置される軸線に対し平行に位置決めされる細長い長手方向スロットを使用する。複数の長手方向スロットは軸線を中心に半径方向に配置される。半径方向に構成されたスロットが図12に示されている。半径方向に構成されたこのようなスロットは、ステント構造体が配置される軸線から半径方向のある距離に形成される。半径方向に構成された複数のスロット(例えば円弧)は軸線に沿って離間する。
【0113】
本明細書に前述したように、ノズル構造体の供給端部で形成された噴霧の粒子、例えばナノ粒子は概して高荷電であり、この高荷電は、円錐状噴出モードで動作するノズル構造体に印加される電圧電位の上昇のため生じる。電圧電位の上昇のため、場合によっては、コロナ放電及び電圧破壊が生じ、円錐状噴出を破壊する可能性がある。図6Aに示したように、各ノズル構造体を隣接するノズル構造体から絶縁して、高荷電ナノ粒子によって引き起こされる空間電荷効果を低減するために、分離構造体、例えば構造体558を使用することが可能である。この分離構造体の技術は、ノズル構造体を小領域に高度に詰め込むことを可能にする1つの方法を提供する。
【0114】
分離構造体558用の様々な構造が使用可能である。例えば、毛細管が使用される場合、プレートから延在する分離構造体は毛細管の各々の間に設けられ、また米国特許出願第2002−0007869号に記述されているように使用することが可能である。当業者は、供給端部の適切な相互の絶縁が行われる限り、このような分離構造体の任意の形態又はサイズを使用し得ることを認識するであろう。一般にまた好ましくは、分離構造体は、供給端部よりも低い点、又は毛細管の使用と関連して、毛細管の先端よりも低い点に延在する。このように、各ノズル構造体の供給端部における円錐状噴出の形成が可能である。
【0115】
分離構造体は、ポリテトラフルオロエチレン、プラスチック等のような任意の絶縁材料から製造することが可能である。空間電荷効果、すなわちノズル構造体の間の空間電荷効果は、分離構造体によって低減されるので、より均一に分散された粒子噴霧が提供される。このことは、このような分離構造体の使用により可能となる低電圧動作に部分的に起因する。
【0116】
分離構造体の構成は、少なくとも部分的に、ノズル構造体の構造又は構成に左右されることが当業者によって認識されるであろう。言い換えれば、ノズル構造体の長方形パターンが利用されるならば、線型の分離器を使用し得る。同様に、円形構造のノズル構造体が使用されるならば、このような分離器は、ある種類の円形構造である必要があるかもしれない。
【0117】
分離構造体が図6Aに示されている。このような分離延長部558は、導電性プレート構造体585から延在して、ノズル構造体556を分離するものとして示されている。同様に、図5Aに示したように、分離延長部512は導電性プレート構造体504から延在して、ノズル構造体506を分離する。
【0118】
他の代わりの供給装置700が図7Aと図7Bに示されている。この代替構造では、液体流を案内するために軸方向の柱716が使用される。円錐状噴出の形成は、円錐状噴出720の中心に案内柱716を有することによって容易になる。図7Aは供給装置700の模範的な側面図を示し、また図7Bは線7B−7Bの図7Aの断面図を示している。
【0119】
図7Aと図7Bに示したように、供給装置700は、多ノズル構造体708の提供に使用するために形成された多数の開口部712、例えば円形開口部を有する導電性プレート706を含む。各開口部712及び導電性プレート706は、一般に、ノズル構造体708の軸線701に対し直交して位置する。加工目的のため、このような開口部をチャネル部分714によって接続し得る。
【0120】
ノズル構造体708の各々は、開口部712の1つを用いて、開口部712の中心を通る軸線701に沿って柱部材716、例えば中実柱を設けることによって形成される。柱部材716は、導電性プレート706を通過してまた開口部712を通して所定距離だけ延在して、ノズル構造体708を形成する先端721を含む。
【0121】
プレート構造体706は、流体組成物702が収容される流体組成物保持装置704の一部を形成し得る。流体組成物702が、例えば圧縮ガス源730を制御することによって又はその制御下で、ノズル構造体708の部分を形成する開口部712を通して押し出されるとき、流体組成物702は柱716に従う。ガス源730によって印加される適切な圧力、及びプレート706と医療装置710との間に印加される電位差により、円錐状噴出720が柱部材716の先端721で形成される。次に、円錐状噴出の結果、粒子噴霧722が用意される。
【0122】
本発明による医療装置コーティングシステム10の1つ以上の実施態様の粒子は、本発明による異なる1つ以上の方法で用意し得る。例えば、多くの実施態様に前述したように、荷電粒子がエレクトロスプレイ装置によって用意される。しかし、いくつかの実施態様では、粒子は荷電粒子である必要はない。
【0123】
例えば、さらに以下に記述するように、医療装置12の表面13をコーティングするために、伝熱効果を利用して、コーティング粒子を医療装置に向かって移動させてもよい。このような場合、静電力によって円錐状噴出を提供する代わりの方法を使用して、円錐状噴出を形成してもよい。代替技術は、空気力学的な力を利用して、粒子を噴霧するための円錐状噴出を提供する。図8Aと図8Bは、図1に示した医療装置コーティングシステムの一般的な実施態様に使用可能な円錐状噴出の形成に空気力学的な力を利用する空気供給装置800を示している。
【0124】
空気供給装置800は、多ノズル構造体806の提供に使用するために形成された開口部842を有するプレート840を含む。空気供給装置800の多ノズル構造体806は、プレート840の開口部842に密接して、端部815を有する毛細管812を位置決めすることによって設けられる。毛細管812は、一般に、プレート840に対し直交して位置する。このような構造において、また図8Bを参照してさらに以下に記述するように、円錐状噴出831をノズル構造体806の供給端部810に形成して、コーティングを医療装置804に形成するために医療装置に向かって移動できる各ノズル構造体806から粒子噴霧808を用意できる。
【0125】
円錐状噴出831を形成するために、保持装置820に保持された流体組成物822は、例えば圧縮ガス源824の制御下で毛細管812内に用意される。流体組成物822が毛細管812を通して押し出されるとき、ガス源830、例えば、好ましくは圧縮ガス源は、毛細管812の供給先端815の周りにまた各ノズル構造体806の開口部842を通して圧縮ガス830を用意する。少なくとも部分的に、円錐状噴出モードは、図8Bを参照してさらに以下に記述するように、開口部842を通してまた毛細管先端815の周りに流れる圧縮ガス830によってノズル構造体の各々の供給端部810に提供される。
【0126】
図8Bは、空気供給装置800の各ノズル構造体806のより詳細な図面を示している。本図に示したように、毛細管812は本体部813と先端815とを含む。先端815は僅かに先細りにすることが好ましい。内部に画定された開口部842を有するプレート840は、各開口部842を画定するテーパ状領域839を含む。すなわち圧縮ガス830に対して内側の内面841を含むテーパ状領域839は、圧縮ガス830を受容し、かつ毛細管先端815に形成された流体組成物822のメニスカス上に空気力学的な力を印加することを可能にする。円錐状噴出831が形成され、これによって、粒子噴霧808が用意される。テーパ状部分839は様々な構造の1つをとり得ることが認識されるであろう。例えば、このようなテーパ状表面841は多数のテーパ部を含んでもよく、円弧状であってもよく、あるいはさらに、図5と図6を参照して本明細書に前述したように、先細りにした多数の内面及び外面を含むことさえも可能である。
【0127】
さらに、毛細管に加え他の構造体を使用して、開口部842に密接して流体組成物を用意し得る。しかし、上面837の下方に、かつプレート840に画定された開口部842に位置決めされた先端815を有する毛細管812が、使用されることが好ましい。
【0128】
70ミクロン程度のサイズを有する粒子を発生するための空気力学的な円錐状噴出が示されている。例えば、このような円錐状噴出は、Afonso M.Ganan−Calvoによる論文、表題「医療用途の呼吸可能なエアロゾルを発生するための新しいマイクロ流体技術」、Journal of Aerosol Science、第30巻、付録1、541〜542ページに記述されている。
【0129】
図6に示したような二重構造体は、同様に、図8Aと図8Bに示した空気力学的構造体を用いて実装し得る。例えば、図8Aと図8Bに示したのと同様の方法で、各ノズル構造体のために多数の開口部を設けてもよい。したがって、例えば、これによってコーティング粒子を発生することが可能である。
【0130】
本明細書に記述したように、本発明は、ステント構造体(例えば、図2に概略的に示したようなステント構造体)のような医療装置をコーティングする際に特に有利である。図9A〜図9Eは、このようなステント構造体のコーティングに使用するための保持取付具を示している。さらに、図10〜図16を参照して、コーティングシステムの少なくとも部分の様々な実施態様について説明する。このようなシステムは、ステント構造体のコーティングに特に有益であるが、本明細書に前述したような他の医療装置のコーティングに使用することも可能である。
【0131】
図9Aは、ステント204を供給装置202(例えば、単一又は多数の毛細管エレクトロスプレイ装置)に隣接して保持するための保持取付具200の頂面図を示している。図9Aに示したように、ステント204は保持取付具200から分離されるが、コーティング方法の実行時に領域203の保持取付具200上に配置される。保持取付具200は、ステント構造体204を保持するのみでなく、ステント構造体204を接地するようにも機能する。図9Bは、保持取付具200の側面図を示しており、ステント構造体204は装置200から離れている。
【0132】
保持取付具200は、細長い保持構造体206を含む。保持構造体206は、図9Cの詳細側面図により詳細にさらに示したようなピン保持スピンドル要素220を含む。スピンドル要素220、例えばステンレス鋼スピンドルは、第1のねじ付き端部223から軸線211に沿って第2の端部225に延在する本体部材205を含む。スピンドル要素220の第1のねじ付き端部223は、プラットフォーム201に取り付けられる対応するねじ付き要素210に結合される。保持取付具200のすべての要素は、プラットフォーム201に直接的又は間接的に装着される。
【0133】
スピンドル要素220は、移動可能な保持要素208(例えば軸受構造体)によって移動可能に装着されて、スピンドル保持要素220の回転を可能にする。スピンドル要素220の回転は、スピンドル要素220をモータ212に結合する結合要素216によって実行される。モータ212は、ベルト又は歯車(図示せず)を介してノッチ227(図9C参照)でスピンドル要素220に接続されるシャフト217を駆動する。したがって、シャフト217を回転すると、スピンドル要素220の半径方向運動が行われる。スピンドル要素220は保持要素208内で回転する。回転は、プラットフォーム201に装着されたねじ付き要素210内の第1のねじ付き端部223の回転によって許容される。
【0134】
さらに、シャフト217は軸線250に沿って長手方向に移動可能である。軸線250は軸線211に対し略平行に位置する。軸線250に沿ったこのような長手方向運動は、結合構造体216を通して、スピンドル要素220の軸線211に沿った運動に変換される。スピンドル要素220は、保持要素208の開口部を通してこのように長手方向に移動することが可能である。
【0135】
したがって、また当業者によって認識されるように、スピンドル要素220を回転し(すなわち、軸線211を中心とする半径方向運動)ならびに軸線211に沿った運動をスピンドル要素に付与することができる。このような回転及び長手方向運動の速度も制御できる。当業者は、このような長手方向及び/又は半径方向運動を行う任意の種類の構造体が本発明に従って使用可能であること、及び本発明がこの特定の構造体に限定されないことを認識するであろう。
【0136】
図9Dと図9Eにさらに詳細に示したように、細長い開口部243はスピンドル要素220の第2の端部225で画定される。開口部243は、ピン保持構造体230を受容するために寸法決めされる。ピン保持構造体230は図9Dにさらに詳細に示され、一般に、第1の端部241から軸線211に沿って(装着時)第2の端部257に延在する細長いピン本体部材263を含む。細長いピン本体部材263は、導電性の細長い本体部材(例えばタングステンピン部材)である。細長いピン本体部材263を導電性又は非導電性材料の幅狭の円周方向リングで修正して、増大した長さのステント用の水平支持を提供し得る。さらに、細長いピン本体部材263も非導電性にすることが可能であり、この結果、ステントそれ自体が噴霧経路の唯一の接地特徴部である。
【0137】
スピンドル要素220の細長い開口部243は軸線211に沿って位置し、またピン保持構造体230の第1の端部241を受容しかつピン保持構造体230を細長い開口部243に保持するように構成される。スピンドル要素220の第2の端部225でピン保持構造体230を細長い開口部243内に保持するためのクリップを受け入れるために、スロット245が設けられる。
【0138】
さらに、ピン保持構造体230は、細長いピン本体部材263にわたって受容されるように寸法決めされた管要素261を含む。管要素261(例えば非導電性管要素)はまた、ステント構造体204を管要素に配置することを可能にするように寸法決めされる。例えば、一実施態様では、管261はピン保持構造体230の細長いピン本体部材263にわたって挿入され、その後、ステント構造体204の内面が管要素261に隣接して位置決めされるように細長いピン本体部材263及び管要素261がステント構造体204の内部体積部を通して挿入される。
【0139】
ピン保持構造体230は、その第2の端部257に保持構造体253をさらに含む。保持構造体253は、さらに以下に記述するように、ステントに係合するための及びその接地に使用するためのテーパ状領域267(例えば導電性部分)を含む。一般に、保持構造体253は、ステント構造体をピン保持構造体230に保持するためにステント構造体204よりも大きければよく、ステント構造体204を接地するために使用できる導電性部分を少なくとも含む。
【0140】
上述のように、細長いピン本体部材263及び細長い管要素261がステント構造体204に挿入された状態で、ステント構造体204の内面は細長い非導電性管261に隣接する。ピン保持構造体230が端部241を介して細長い開口部243に挿入されると、スピンドル要素220の開口端269(例えばテーパ状端部)が非導電性管261(例えば、細長いポリテトラフルオロエチレン管)に接触して、ステント構造体204が安定して位置保持されるように管要素261を強制して僅かに拡張させる。言い換えれば、細長いチューブ要素261はステント構造体204の内面と接触するように強制される。
【0141】
さらに、同様に、ステント構造体204の少なくとも一部分は保持構造体253のテーパ状表面267と接触するように強制される。ステント構造体204が保持構造体253の導電性材料と接触し、また保持構造体253が導電性の細長いピン本体要素263と電気接触した状態で、ステント構造体204が容易に接地される。
【0142】
ステント構造体204が所定位置にある状態で、供給装置202は、ステント構造体204をコーティングするための複数の粒子を用意し得る。このようなコーティングプロセス中、ステント構造体204を半径方向にまた長手方向に回転かつ移動させるために、スピンドル要素220の長手方向及び半径方向運動を行うことができる。好ましい一実施態様では、軸線211を中心とするステント構造体204の回転と、軸線211に沿ったステント構造体204の長手方向運動とのタイミングを制御して、ステント構造体204を単一パスでコーティングできる。領域203のコーティング粒子の濃度を制御して、このような単一パスコーティングを達成することもできる。同様に、1つ以上のパスを利用して、ステント構造体204に1つ以上のコーティング層を用意し及び/又は積層タイプのコーティングを用意することが可能である。
【0143】
当業者は、保持取付具200が、本発明によるコーティングプロセス中にステント構造体を特定位置に配置するために使用できる保持取付具の模範的な一実施態様に過ぎないことを認識するであろう。本発明の他の様々な保持構造体又は構成要素が本明細書に記述されている。しかし、本発明は、具体的に記述した構造の任意のものに限定されると理解されるべきでなく、添付の特許請求の範囲に記述されているとのみ理解すべきである。
【0144】
図10Aは、1つ以上のステント構造体340をコーティングするためのステントコーティングシステム350の斜視図を例示的に示している。図10Bは、システム350の部分の断面図を示している。一般に、コーティングシステム350は、本体部材358、好ましくは、軸線345に沿ってコーティングシステムを通して延在する筒状本体部材を含む。筒状本体部材358の内部に、軸線345を中心に半径方向に同様にそれに沿って長手方向に位置決めされたノズル構造体362が設けられる。ノズル構造体362は毛細管として構成してもよく、あるいは本明細書に記述したようなミクロ加工の開口部であってもよく、あるいは本発明による粒子を用意するために適切な他の任意のタイプのノズル構造体を含んでもよい。ノズル構造体362は、本体部材358の内面359に構成されることが好ましい。
【0145】
操作中、ステント構造体340は、ステント構造体340の軸線と一致する軸線345を有する本体部材358内に保持される。いくつかの異なるタイプの保持構造体又は技術の任意の1つを使用し得る。様々な保持構造体及び技術が本明細書に記述されている。しかし、本発明は、特定の任意の保持構造体に限定されず、添付の特許請求の範囲に記述されているようにのみ限定される。一般に、ステント構造体340は、本明細書に前述したように、開いた骨組のステント材料341を含む。言い換えれば、ステント材料341はその1つ以上の部分の間に開口部342を含む。
【0146】
ステント構造体340が本体部材358内に位置決めされた状態で、ステント構造体340は、図10Bの例示的な接地記号373で示したように接地される。ステント構造体340が接地され、また高電圧353がノズル構造体362に印加された状態で、粒子のエレクトロスプレイが本体部材358の内部体積部内に形成されるように、コーティング材料源(例えばコーティング材料容器357)からのコーティング材料を用意し得る。用意されたこのような粒子により、ノズル構造体362とステント構造体340との間の電界は、荷電粒子の運動を可能にし、コーティングをステント構造体340に形成する。
【0147】
荷電粒子噴霧及びステント構造体に向かうこのような粒子の運動については、本明細書に前述している。したがって、荷電粒子の提供及びその運動に関するさらなる詳細については、さらに説明しない。
【0148】
当業者は、ノズル構造体362及び次の実施態様の他のノズル構造体が、本明細書に記述した異なる様々なタイプのノズル構造体構造の任意の1つ以上の形態をとり得ることを以前の説明から容易に確認するであろう。さらに、このようなノズル構造体は、本明細書に記述した任意の方法で操作することが可能である。
【0149】
本明細書の様々な実施態様のコーティング材料を保持するための容器は、異なる様々なタイプの構造の1つをとり得る。例えば、容器は、源材料用の同心の筒状保持チャンバ、ならびに1つ以上のノズル構造体に源材料の送りを行うための操作要素を有する他の任意の異なるタイプの構造であり得る。例えば、圧力を源材料に印加することが可能であり、様々なガス流を使用してこのような源材料の用意を支援することが可能である、等々。
【0150】
図11Aと図11Bは、本発明による他のステントコーティングシステム450の斜視図及び断面図を示している。コーティングシステム450は、本体部材458、好ましくは、軸線445に沿って延在する筒状本体部材を含む。筒状本体部材458は、軸線445に対し平行に延在する本体部材458の長手方向スロットを含む。長手方向スロットは軸線445を中心に半径方向に配置され、筒状本体部材458の内部体積部459内に粒子を用意する。ステント構造体440は、軸線445と一致する軸線を有する本体部材458内に位置決めされる。
【0151】
ステント構造体440は、各端部475において、プラグを有する細長要素446(例えばワイヤ)によって位置保持され、ステント構造体440を位置保持する。長手方向スロット470は、本体部材458を中心に等間隔であることが好ましい。したがって、長手方向スロット470の各供給端部は、ステント構造体440に対し略等距離である。
【0152】
図11Bは、線11B−11Bに沿った図11Aの例示的な断面図を示している。断面図は、コーティングシステム450の長手方向スロット470を通した粒子噴霧のために用意されるコーティング材料を保持するための容器457を示している。ステント構造体440は、接地473によって概略的に示されているように接地され、ノズルは高電圧471に保持されて、ノズル構造体470とステント構造体440との間に電界を形成する。当業者は、本明細書に前述したように、本発明による粒子噴霧に適切な円錐状噴出を提供するために、長手方向スロット構造470にいくつかの突出部がなければならないことを認識するであろう。
【0153】
図12は、軸線645に沿って延在する筒状本体部材658を有する、図11Aと図11Bに示したのと実質的に同様である医療装置コーティングシステム650のさらに他の代わりの部分を示している。しかし、図11Aと図11Bを参照して記述したようなノズル構造体の部分として使用される長手方向スロットの代わりに、ステントコーティングシステム650は、半径方向に構成されたスロット670を含む。半径方向スロット670は、軸線645を中心に半径方向距離に構成される。複数の半径方向スロット670は軸線645に沿った方向に位置決めされる。ステント構造体640の軸線が軸線645と一致するように位置決めされたステント構造体では、半径方向スロット670によって形成されたノズル構造体の開口部は、ステント構造体640から等距離である。
【0154】
半径方向に構成されたスロット構造は、本体部材658の内面659の円周全体に沿って実質的に延在する多数の円弧セクションのノズル構造体を備え得るか、あるいは代わりに、このような円弧セクションは内面659の半径方向円周に沿って部分的にのみ延在してもよい。図12に示したように、2つの円弧セクションは本体部材658の内面659の内周に沿って構成される。
【0155】
図13A〜図13Cは、本発明によるステント構造体コーティングシステム850のさらに他の模範的な部分を示している。本質的に、本体部材858は、軸線845に対し平行に配置されかつ軸線845を中心に半径方向に離間した長手方向スロット870を含む。この構造は、図11Aと図11Bを参照して記述したのと本質的に同一である。しかし、軸線845と一致する軸線に配置されたコーティングすべきステント構造体840を保持する様々な実施態様が図13A〜図13Cに示されている。
【0156】
図13Aを参照すると、本体部材858の1つのタイプの粒子及び本体部材880のさらに他のタイプの粒子でステント構造体840をコーティングし得るように、1つ以上の追加の本体部材880を軸線845に沿って位置決めし得る。本体部材880は、本明細書に記述したような任意の方法で構成されたノズル構造体(例えば、本体部材858のために使用されるのと同一又は異なるノズル構造体)(図示せず)で構成することが可能である。
【0157】
さらに、図13Aに示したように、コーティングプロセスを支援しかつステント構造体840を位置保持するために、細長い支持要素857が使用される。図13Bに示したように、ステント840は、その軸線が軸線845と一致して位置決めされ、細長い本体部材858は軸線845に沿って延在する。同様に、細長い支持要素857は軸線845に沿って延在し、その軸線はステント構造体840の軸線845と一致する。細長い支持要素857はステント構造体840の内部に位置決めされる。
【0158】
高電圧853がノズル構造体870に印加され、またステント構造体が接地された状態で(接地873によって概略的に図示)、図13Cに示したように粒子をステント構造体840に向かって移動させるために電界891が存在する。さらに、追加の高電圧863が導電性の細長い支持体ワイヤ857に印加された状態で、電界891の力と反対の力を付与する追加の電界893が生成される。したがって、ステント構造体840は特定位置に保持される。さらに、電界強度の適切な調整により、ステント構造体840にコーティングすべき粒子がステント構造体840の外面に実質的に維持されてその上にコーティング861を形成するように、コーティングプロセスを制御することが可能である。
【0159】
上に示したように、対向する電界のこの構成により、細長い支持ワイヤ857に沿った安定位置にステント構造体840を維持することを可能にするのみでなく、コーティング粒子をステント構造体840の外面の周りに用意するように動作する。したがって、ステント構造体840の内面は、コーティング材料を実質的に含まずに維持される。ある状況では、シースをステント構造体の上方に設けることさえも可能である。言い換えれば、開いた骨組材料のステント構造体材料がコーティング材料でコーティングされるのみならず、開いた骨組材料の開口部も、それらの上方にコーティング材料を形成して、シースを形成することが可能である。図14Aと図14Bを参照して、追加のシースの形成についてさらに説明する。
【0160】
他の機械的な力の技術を用いて、対向する電界によって発生される力を提供してもよい。例えば、細長い支持要素857は、本体部材858内に空気流を提供する多孔質毛細管であり得る。空気流は、粒子をステント構造体840に向かって移動させるために使用される電界の力と対向する力を提供する。さらに、空気流を使用して、ステント構造体を安定位置に維持することが可能である。
【0161】
前述の技術の各々を使用して、ステント構造体840を固定位置になお維持しつつ、ステント構造体840を支持ワイヤ857から浮揚させることが可能である。このような浮揚は、他の保持タイプの取付具を省略し得るので、より均一なコーティングを可能にし得る。当業者は、2002年4月9日に交付されたSchwartzらへの米国特許第6,368,658号、表題「エアサスペンションを用いたコーティング医療装置」に記述されているエアサスペンション技術を使用して、本発明によるコーティングのためにステント構造体を所定位置に保持することも可能であることを認識するであろう。
【0162】
図14Aと図14Bは、コーティングプロセス中にステントを保持するための保持構造体をさらに示している。図14Aに示したように、ステント構造体940の内面と接触するために寸法決めされた細長要素935(例えばワイヤ又は管)が設けられる。細長要素935は、ポリテトラフルオロエチレンのような非導電性材料から製造されることが好ましい。したがって、ステント構造体940を接地した状態で、コーティング粒子はステント構造体940のステント材料941に接触して、その上方にコーティング938を形成する。コーティング938はステント材料941に形成可能であるだけでなく、開いた骨組のステント材料941の開口部942を覆うことも可能である。コーティング938を適用した後、要素935を取り除いて、部分的に切り取られまた図14Bに示したようにコーティングされたステント構造体を残すことが可能である。
【0163】
細長要素935の一実施態様では、ステント構造体940(例えば、図9の実施態様に示したようなポリテトラフルオロエチレン管)の内部体積部内に位置決めされたときに、要素935を拡張してステント材料の延伸を可能にし得る。その後、コーティング938を延伸ステント構造体948に適用した後、細長要素935を拡張する力を解放して、要素935を取り除くことが可能である。次に、ステント構造体940は僅かに潰れる可能性がある。
【0164】
コーティングシステムの軸線に沿ってステント構造体を位置保持する方法の各々は、ステント構造体940の弛みを防止するように構成される。例えば、支持されない場合、ステント構造体の中央(すなわち、ステント構造体の第1及び第2の端部の間の中心点)は、ステント構造体のすべての領域が、それを通して延在する軸線から等距離ではないほどに弛む可能性がある。本明細書に記述した多くの保持構造により、このような弛みが排除されるか、あるいは少なくとも実質的に低減される。さらに、本発明の1つ以上の様々な実施態様では、ステント構造体が鉛直位置でコーティングされるならば、重力が弛みを防止することも可能である。
【0165】
本発明は、ステント構造体の外面をコーティングするために有利であるのみならず、ステント構造体の内部体積部を画定する内面も本発明に従って有利にコーティングすることが可能である。図15に示したように、ステント構造体940の内部体積部を画定するステント構造体の内面939をコーティングするためのコーティングシステムが例示されている。
【0166】
一般に、図15に示したコーティングシステムは、ステント構造体440の外面をコーティングするための図11Aと図11Bに示したコーティングシステムと本質的に同一である。しかし、さらに、細長いノズル構造体(例えば毛細管900)を使用して、ステント構造体440の内面939をコーティングしてもよい。ステント構造体440は、接地要素473によって概略的に示したように接地される。高電圧が毛細管900に印加された状態で、電界はステント構造体440の内面939と毛細管900との間に形成され、円錐状噴出を形成しかつ粒子噴霧910をステント構造体440の内部体積部内に用意する。
【0167】
図15に示したように、毛細管900はステント構造体440に挿入可能であるように寸法決めされることが好ましい。さらに、毛細管900及び/又はステント構造体440を軸線445に沿って移動させて、均一な噴霧を毛細管の内面939に用意できる。図15は、粒子噴霧910を用意して内面939をコーティングする毛細管900の形態の単一ノズル構造体を示しているが、当業者は、ステント構造体内に受容されるようにさらに寸法決めされた多ノズルを有する細長い構造体も使用可能であることを認識するであろう。さらに、本明細書に記述した任意のノズル構造体を使用して、内面939をコーティングすることも可能である。
【0168】
さらに、図15に示した内面コーティングプロセス中に、要素(例えば管要素)をステント構造体の外面の周りに位置決めして、ステント構造体440を位置保持し得る。したがって、図14Aと図14Bを参照して記述したような細長要素935が内面のコーティングを防止するのと同様に、このような要素を使用して、外面へのコーティング堆積を防止することが可能である。このように、例えば、内側シースを内面に形成し得る。
【0169】
電界を用いてコーティング粒子をステント構造体に向かって移動させることに加えて、図16Aと図16Bに図示かつ例示したように、伝熱効果を利用して、このような粒子をステント構造体940に向かって移動させることも可能である。本図に示したように、本体部材958の内部体積部959に用意された粒子962をステント構造体940に向かって移動させるために、伝熱力が利用される。
【0170】
本明細書に使用されているように、伝熱力という用語は、周囲環境と関連する温度勾配の結果として粒子に作用する熱的な力を意味する。所定の粒子に対するこの温度勾配の効果は、粒子に衝突する分子力を考慮することによって理解可能である。高温から粒子に衝突するそれらの分子は、低温側から粒子に衝突するそれらの分子よりも大きな衝撃を粒子に与える。さらに、当業者は、随伴放射効果がこれらの分子力を増大させ得ることを認識するであろう。これらの及び同様の効果の結果、粒子は、それをより高温の温度帯からより低温の温度帯に導く正味の力を受ける。このことが、本明細書に言及した伝熱効果である。
【0171】
図16Aに示したように、コーティングシステム950は、軸線955に沿って延在する本体部材958を備え、またステント構造体940を通して延在する細長要素980(例えば、ステント構造体940の内面と接触してもしなくてもよい要素)よりも高い温度に保持される。ステント構造体940は、その軸線が軸線955と一致するように保持される。したがって、温度勾配が形成され、また粒子は、図16Bの断面図に示したようなより低温の細長要素980に向かって移動される。粒子がより低温の要素980に向かって移動しつつある状態で、コーティング982がステント構造体940の外面に形成される。本明細書に前述した任意の手段、又は本体部材958の加熱部分から等距離にステント構造体を保持することが好ましい他の任意の構造を用いて、ステント構造体940を本体部材958内に保持し得る。言い換えれば、温度勾配は、ステント構造体940を中心に半径方向に等しく保持することが好ましい。
【0172】
図16Aと図16Bに示したように、細長要素980は、ステント構造体940の内面と接触するように寸法決めされることが好ましい。このように、有効な温度勾配を形成でき、また粒子がステント構造体の内面に堆積することが妨げられる。さらに、本明細書に前述したように、細長要素がステント構造体の内面に接触している状態で、ステント構造体の弛みを低減できる。
【0173】
本明細書に引用したすべての特許、特許文献及び引例は、あたかも各々が別々に組み込まれたものとしてそれらの全体が組み込まれている。本発明は、例示的実施態様を参照して説明されてきたが、限定的に解釈されるようには意図されない。前述のように、当業者は、他の様々な例示的用途が本明細書に記述したような技術を使用して、本明細書によって発生される粒子の有利な特性を利用し得ることを認識するであろう。例示的実施態様の様々な変更、ならびに本発明の追加の実施態様は、本記述を参照すれば当業者には明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明による医療装置コーティングシステム、例えば、表面をコーティングするためのエレクトロスプレイ技術を用いたナノ粒子発生器システムの概略図である。
【図2】本発明に従ってコーティングできるステント構造体の例示的実施態様の概略図である。
【図3】本発明の1つ以上の実施態様に従ってコーティングされた図2のステント構造体の詳細部分の図面である。
【図4】概して図1に示したコーティングシステムに使用するための多ノズル構造体を含むエレクトロスプレイ供給装置の一実施態様の全体概略図である。
【図5A】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得る本発明によるエレクトロスプレイ多ノズル構造体を提供する構造の全体概略図である。
【図5B】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得る本発明によるエレクトロスプレイ多ノズル構造体を提供する構造の一部分のより詳細な図面である。
【図6A】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得るエレクトロスプレイ多ノズル構造体を提供するための構造の他の代替実施態様の全体概略図である。
【図6B】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得るエレクトロスプレイ多ノズル構造体を提供するための構造の他の代替実施態様のその一部分のより詳細な図面である。
【図7A】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得るさらに他の代わりのエレクトロスプレイ多ノズル構造体の全体概略図である。
【図7B】概して図1に示した本発明によるコーティングシステムに使用し得るさらに他の代わりのエレクトロスプレイ多ノズル構造体の一部分のより詳細な図面である。
【図8A】エレクトロスプレイ技術と対照的に空気を用いて粒子を噴霧するために円錐状噴出を形成しかつ本発明による図1の医療装置コーティングシステムに使用し得る多ノズル構造体のさらに他の代替構造の全体概略図である。
【図8B】エレクトロスプレイ技術と対照的に空気を用いて粒子を噴霧するために円錐状噴出を形成しかつ本発明による図1の医療装置コーティングシステムに使用し得る多ノズル構造体のさらに他の代替構造の一部分のより詳細な図面である。
【図9A】頂面図である。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図9B】側面図である。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図9C】頂面図及び側面図に示した部分の追加のより詳細な3つの図面の中の1つである。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図9D】頂面図及び側面図に示した部分の追加のより詳細な3つの図面の中の1つである。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図9E】頂面図及び側面図に示した部分の追加のより詳細な3つの図面の中の1つである。この図は、概して図1に示した本発明による医療装置コーティングシステムに使用し得る保持取付具を示しており、特に、保持構造体は、コーティングすべきステント構造体を保持する際に有益である。
【図10A】本発明による多ノズル構造体を使用する医療装置コーティングシステムの例示的一実施態様の部分斜視図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有益である。
【図10B】本発明による多ノズル構造体を使用する医療装置コーティングシステムの例示的一実施態様の部分断面図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有益である。
【図11A】本発明による長手方向に構成された多ノズル構造体を使用するコーティングシステムの他の例示的実施態様の部分斜視図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有利である。
【図11B】本発明による長手方向に構成された多ノズル構造体を使用するコーティングシステムの他の例示的実施態様の部分断面図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有利である。
【図12】本発明による半径方向に構成された多ノズル構造体を使用するコーティングシステムのさらに他の例示的な代替実施態様の斜視図であり、本システムは、ステント構造体をコーティングする際に特に有利である。
【図13A】本発明による医療装置コーティングシステムのさらに他の代替構造の図面であり、医療装置コーティングシステムの斜視図である。
【図13B】本発明による医療装置コーティングシステムのさらに他の代替構造の図面であり、図13Aに示した医療装置コーティングシステムの部分断面図である。
【図13C】本発明による医療装置コーティングシステムのさらに他の代替構造の図面であり、電界力及び/又は空気流によって提供されるような機械的な力を含むコーティングプロセス中に使用される技術のより詳細な図面である。
【図14A】本発明による医療装置、特にステント構造体のコーティング中に使用される保持構造体を例示するために使用される斜視図である。
【図14B】本発明による医療装置、特にステント構造体のコーティング中に使用される保持構造体を例示するために使用される斜視図である。
【図15】本発明による医療装置の内部体積部(例えばステント構造体のコーティング内面)にコーティングするために使用し得る医療装置コーティングシステムのさらに他の代替構造の斜視図である。
【図16A】本発明による医療装置をコーティングする際に伝熱効果を利用する医療装置コーティングシステムの他の例示目的の構造の部分斜視図である。
【図16B】本発明による医療装置をコーティングする際に伝熱効果を利用する医療装置コーティングシステムの他の例示目的の構造の部分断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法において、
少なくとも1つの表面を備えている医療装置を画定体積部内に用意するステップと、
供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備えている1つ以上のノズル構造体を用意するステップと、
複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するステップであって、前記複数のコーティング粒子を用意するステップが、前記供給端部と前記医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、電荷が結合された複数の微小滴を前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から供給するステップを備え、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、さらに、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中されるステップと、
前記複数のコーティング粒子が形成される前記供給端部と前記医療装置との間に形成される前記不均一な電界を用いて、前記複数のコーティング粒子を前記医療装置に向かって移動させてコーティングを前記医療装置の少なくとも1つの表面に形成するステップとを備えている方法。
【請求項2】
前記画定体積部内の前記複数のコーティング粒子が、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の微小滴を用意するステップが、前記微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな電荷が結合された複数の微小滴を用意するステップを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、前記蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積部が、前記微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のノズル構造体を用意するステップが、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形配列に複数のノズル構造体を位置決めするステップを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記医療装置を用意するステップが、ステント軸線に沿って画定されるステント構造体を用意するステップを備え、前記ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記不均一な電界強度を調整して、粒子が前記ステント構造体の内面に達することを防止するステップをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のノズル構造体を用意するステップが、前記ステント構造体の画定内部体積部内に配置された少なくとも1つのノズル構造体の前記供給端部に、少なくとも1つの開口部を有する前記少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップを備え、さらに、前記複数の単分散コーティング粒子を前記少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップが、前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に不均一な電界を形成するステップを備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のノズル構造体は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させて前記少なくとも1つの表面にコーティングを形成するステップが、
前記ステント構造体を前記1つ以上のノズル構造体に対して前記ステント軸線を中心に回転させるステップを備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させて前記少なくとも1つの表面にコーティングを形成するステップが、前記ステント構造体を前記1つ以上のノズル構造体に対して前記ステント軸線に沿って線形に移動させるステップの少なくとも一方を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記画定体積部内に用意された複数のコーティング粒子の量を制御するステップをさらに備えている請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のコーティング粒子が約1ナノメートルよりも大きくまた約100ナノメートルよりも小さな呼び径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のコーティング粒子が、少なくとも1つの生物学的活性成分又はコーティングされた生物学的活性成分を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記ステント構造体を用意するステップは、前記ステント構造体のコーティングプロセス中に医療装置を前記画定体積部内の固定位置に用意するステップを備えている請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記ノズル構造体の各々が、前記ノズル構造体の各々の供給端部に終端する少なくとも第1及び第2の開口部を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、
軸線に沿って内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を用意するステップと、
前記細長い筒状本体部材の軸線に沿って前記ステント構造体を位置決めするステップと、
前記細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記細長い筒状本体部材の軸線の方向に前記細長い筒状本体部材に沿って線形に、複数のノズル構造体を位置決めするステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のノズル構造体の各々は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のノズル構造体の各々は、開口部を形成するために使用されているテーパ状部分を備え、前記複数のノズル構造体の各々の少なくとも一部分は、前記本体部材と関連付けられた導電性の一体部分から延在している請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のノズル構造体の各々は、前記本体部材の細長い半径方向開口部、及び/又は前記軸線に対して平行に位置する本体部材の細長い開口部を備えている請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、
前記ステント軸線が細長要素の軸線と一致するように前記ステント構造体を位置決めするステップと、
離間要素を使用して、前記ステント構造体と前記細長要素との間の距離を維持するステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、
前記ステント軸線が細長要素の軸線と一致するように前記ステント構造体を位置決めするステップであって、前記細長要素の表面が前記ステント構造体の内面と直接接触するように、前記細長要素が、前記ステント構造体の画定内部体積部に基づき寸法決めされるステップと、
複数のコーティング粒子が前記ステント構造体の外面に向かって移動されてコーティングを前記外面に形成した後に、前記ステント構造体の内部体積部から前記細長要素を取り除くステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項23】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記細長要素が、前記ステント構造体を通常状態から延伸させるように寸法決めされる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、さらに、複数のコーティング粒子が前記ステント構造体の外面に向かって移動され、前記ステント材料の部分を分離する前記開口部を備えている前記開いた骨組の上方にシースを生じた後に、前記細長要素が前記ステント構造体の内部体積部から取り除かれる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記方法が、
前記ステント構造体の軸線に沿って細長い導電性要素を用意するステップであって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップと、
前記細長い導電性要素と前記ステント構造体との間に、前記ノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項26】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記方法が、
前記ステント構造体の軸線に沿って細長要素を用意するステップであって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップと、
細長要素を用いて、ガス流を前記ステント構造体の画定内部体積部内に用意するステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項27】
前記医療装置を用意するステップが、ステント軸線に沿って画定される筒状ステント構造体を用意するステップを備え、前記ステント構造体が、前記画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、前記画定内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備え、複数のコーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップが、前記ステントがそのステント軸線に沿って弛まないように鉛直位置の前記ステント構造体により実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法において、
少なくとも1つの表面を備えている医療装置を画定体積部内に用意するステップと、
10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に用意するステップと、
複数の前記コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップとを備えている方法。
【請求項29】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップが、電荷を前記複数の単分散コーティング粒子に付与するステップを備え、さらに、前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップが、電界を用いて前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置に向かって移動させるステップを備えている、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するステップを備え、微小滴の各々が粒子を備え、微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中され、粒子に集中される微小滴の電荷は、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きい、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記粒子に集中される微小滴の電荷は、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約50パーセントよりも大きい、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するステップを備え、微小滴の各々が粒子を備え、微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中され、医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、前記単分散コーティング粒子が前記画定体積部内に用意された後に電極と前記医療装置との間に前記電界を形成するステップをさらに備えている、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、
各ノズル構造体が、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される、1つ以上のノズル構造体を用意するステップと、
複数の単分散コーティング粒子が供給されるノズル構造体の供給端部と医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、複数の単分散コーティング粒子を複数のノズル構造体の各々から供給するステップとを備えている、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の単分散コーティング粒子を医療装置に向かって移動させてその上にコーティングを形成するステップは、前記複数の単分散コーティング粒子が供給される供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を用いて、複数の単分散コーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてその上にコーティングを形成するステップを備えている、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記医療装置は、内部体積部を画定する構造体を備え、前記構造体が、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備え、前記少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップは、前記構造体によって画定された内部体積部内に配置された少なくとも1つのノズル構造体の供給端部に、少なくとも1つの開口部を有する少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップを備え、前記複数の単分散コーティング粒子を少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップは、前記少なくとも1つのノズルの供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を利用するステップを備えている、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上のノズル構造体は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップは、複数のノズル構造体を用意するステップを備え、前記複数のノズル構造体から前記複数の単分散コーティング粒子を供給するステップは、前記供給端部と前記医療装置との間に不均一な電界を形成するステップを備えている請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記医療装置を用意するステップは、前記画定体積部内で固定位置で医療装置を用意するステップを備えている請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記医療装置を用意するステップは、前記画定体積部内で移動可能な医療装置を用意するステップを備えている請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記医療装置を用意するステップは、ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、画定内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備えている、ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を用意するステップとを備えている、請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、
各ノズル構造体が、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される、1つ以上のノズル構造体を用意するステップと、
複数の単分散コーティング粒子が供給されるノズル構造体の供給端部と医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、複数の単分散コーティング粒子を複数のノズル構造体の各々から供給するステップとを備えている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
不均一な電界強度を調整して、粒子がステント構造体の内面に達することを防止するステップをさらに備えている請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップは、前記ステント構造体によって画定される前記内部体積部内に位置する、前記供給端部において少なくとも1つの開口部を有する少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップを備え、前記複数の単分散コーティング粒子を少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップは、前記供給端部とステント構造体との間に不均一な電界を形成するステップを備えている請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップが、伝熱効果を用いて前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップを備えている、請求項28に記載の方法。
【請求項46】
前記医療装置を用意するステップは、内部体積部に隣接した内面と、外面とを少なくとも備えた、ステント軸線に沿って画定された、ステント構造体を用意するステップを備え、前記方法は、ステント軸線が、ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素の軸線と一致するように、ステント構造体を位置決めするステップを備え、複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向けて移動させてその表面上にコーティングを形成するステップは、伝熱効果によりコーティング粒子がステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動されるように、ステント構造体の外面に隣接する画定体積部の温度よりも低い温度に細長要素を保持するステップを備えている請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記医療装置を用意するステップは、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、画定内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備えている、筒状ステント構造体を用意するステップを備え、前記複数の単分散コーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向けて移動させてその表面上にコーティングを形成するステップは、前記ステント軸線回りに前記ステント構造体を少なくとも回転させるステップを備えている請求項28に記載の方法。
【請求項48】
前記複数の単分散コーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向けて移動させてその表面上にコーティングを形成するステップは、ステント軸線に沿って線形にステント構造体を移動させるステップを備えている、請求項28に記載の方法。
【請求項49】
前記画定体積部内に用意された単分散コーティング粒子の量を制御するステップをさらに備えている請求項28に記載の方法。
【請求項50】
前記複数のコーティング粒子が約1ナノメートルよりも大きくまた約100ナノメートルよりも小さな呼び径を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項51】
前記複数のコーティング粒子が、少なくとも1つの生物学的活性成分又はコーティングされた生物学的活性成分を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項52】
前記複数のコーティング粒子は、DNA又はコーティングされたDNAの少なくとも1つを備えている請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、複数のノズル構造体を用意するステップを備え、各ノズル構造体が供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を各々が備え、そこから、それに当てられる電荷を有する複数の単分散コーティング粒子が分散され、前記一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップは、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形に、複数のノズル構造体を位置決めするステップを備えている請求項28に記載の方法。
【請求項54】
画定内部体積部に隣接した内面と、外面とを少なくとも備えている、ステント軸線に沿った画定体積部内でステント構造体を用意するステップと、
少なくとも複数の第一コーティング粒子を使用して、画定内部体積部に隣接してステント構造体の内面の一部を少なくともコーティングするステップと、
前記少なくとも複数の第一コーティング粒子と異なる少なくとも複数の第二コーティング粒子を使用して、ステント構造体の外面の一部を少なくともコーティングするステップとを備えている、ステント構造体をコーティングする方法。
【請求項55】
前記少なくとも複数の第一コーティング粒子を使用して、画定内部体積部に隣接してステント構造体の内面の一部を少なくともコーティングするステップは、
供給端部において終端している少なくとも1つの開口部を各々が備えている、一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップとを備え、少なくとも1つのノズル構造体は、前記ステント構造体の画定内部体積部内に位置する、供給端部において少なくとも1つの開口部を有し、
前記画定内部体積部内で複数の第一コーティング粒子を用意するステップとを備え、前記複数の第一コーティング粒子を用意するステップは、前記供給端部と前記ステント構造体との間で不均一な電界を形成することによって、前記少なくとも1つのノズル構造体の前記供給端部から、電荷が結合した複数の微小滴を供給するステップを備え、前記微小滴の各々は、少なくとも1つの粒子を備え、前記電荷は前記微小滴が蒸発する時に前記粒子に集中し、
前記複数の第一コーティング粒子を前記内面に向けて移動させて、前記供給端部と前記ステント構造体の間で形成された不均一な電界を使用して、それ上にコーティングを形成するステップとを備えている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記1つ以上のノズル構造体は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項55に記載の方法。
【請求項57】
少なくとも複数の第二コーティング粒子を使用して前記ステント構造体の前記外面の一部をコーティングするステップは、
供給端部において終端している少なくとも1つの開口部を各々が備えている、一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップとを備え、
前記画定体積部内で複数の第二コーティング粒子を用意するステップとを備え、前記複数の第二コーティング粒子を用意するステップは、前記供給端部と前記ステント構造体との間で不均一な電界を形成することによって、前記少なくとも1つのノズル構造体の前記供給端部から、それと関連した電荷を有している複数の微小滴を供給するステップを備え、前記微小滴の各々は、少なくとも1つの粒子を備え、前記電荷は前記微小滴が蒸発する時に前記粒子に集中し、
前記複数の第二コーティング粒子を前記医療装置に向けて移動させて、そこから前記複数のコーティング粒子が形成されている前記供給端部と前記医療装置との間で形成された不均一な電界を使用して、前記医療装置の前記少なくとも1つの表面上にコーティングを形成するステップとを備えている、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の第一コーティング粒子と前記複数の第二コーティング粒子の中の少なくとも1つの粒子は、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記内部体積部又は前記画定体積部内に用意された前記複数の第一コーティング粒子と前記複数の第二コーティング粒子の中の少なくとも1つの粒子の量を制御するステップをさらに備えている請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記複数の第1のコーティング粒子は抗凝固薬粒子を備えている請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記複数の第2のコーティング粒子は抗炎症薬粒子を備えている請求項54に記載の方法。
【請求項62】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
粒子源と、
医療装置を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具と、
前記粒子源から源材料を受容しかつ複数の単分散コーティング粒子を前記画定体積部内に供給するように構成された供給装置であって、前記供給装置が1つ以上のノズル構造体を備え、各ノズル構造体が、前記ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、前記供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される供給装置と、
前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を備えている電極構造体であって、前記複数の単分散コーティング粒子を前記画定体積部内に用意する際に使用するための前記1つ以上のノズル構造体の供給端部と前記医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能であり、前記複数の単分散コーティング粒子が10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有し、さらに、前記不均一な電界が、複数の前記コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するのを支援するように動作可能である電極構造体とを備えているシステム。
【請求項63】
前記電極は接地医療装置である、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記電極が、前記1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされた接地医療装置又はリング電極を備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項65】
前記供給装置は、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するように構成されており、前記微小滴の各々は、少なくとも1つの粒子を備え、粒子の蒸発時に微小滴の電荷が粒子に集中され、粒子の蒸発時に集中される微小滴の電荷が、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きい、請求項62に記載のシステム。
【請求項66】
前記供給装置が、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するように構成され、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中され、医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、本来供給される微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むように、前記医療装置に関する前記供給端部の位置が決められている、請求項62に記載のシステム。
【請求項67】
前記医療装置が、内部体積部を画定する構造体を備え、該構造体が、前記内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備え、前記供給装置の少なくとも1つのノズル構造体が、前記構造体によって画定された内部体積部内で動作可能であるように、前記保持取付具が医療装置を位置決めするように動作可能である、請求項62に記載のシステム。
【請求項68】
前記電極構造体が、前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の内部体積部に用意する際に使用するための前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記少なくとも一つのノズル構造体は、前記医療装置の画定内部体積部内に位置決め又は移動されるように寸法決めされた細長要素を備えている、請求項67に記載のシステム。
【請求項70】
前記供給装置は複数のノズル構造体を備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項71】
前記複数のノズル構造体が、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形配列に位置決めされる、請求項70に記載のシステム。
【請求項72】
前記保持取付具は、医療装置を画定体積部内の固定位置に保持するように構成されている、請求項62に記載のシステム。
【請求項73】
前記保持取付具は、画定体積部内の医療装置の移動のために構成されている、請求項62に記載のシステム。
【請求項74】
前記保持取付具は、ステント構造体を受容するように構成され、前記ステント構造体がステント軸線に沿って画定され、前記ステント構造体は、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項75】
前記保持取付具が、前記ステント軸線を中心に前記ステント構造体を回転させるように構成される、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項76】
前記保持取付具が、前記ステント軸線に沿って線形に前記ステント構造体を移動させるように構成される、請求項74に記載のシステム。
【請求項77】
前記システムは、画定体積部内に用意された単分散コーティング粒子の量を制御するように動作可能な制御システムをさらに備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項78】
前記システムは、不均一な電界強度を調整するように動作可能な制御システムをさらに備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項79】
前記粒子源は、複数のコーティング粒子を用意する際に使用するための源材料を備え、源材料が、少なくとも1つの生物学的活性成分又は少なくとも1つのコーティングされた生物学的活性成分を含む、請求項62に記載のシステム。
【請求項80】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するように動作可能な粒子発生装置と、
ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具であって、前記ステント構造体が、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と外面とを備え、前記保持取付具が、前記ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素を備えている保持取付具と、
伝熱効果が前記コーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させるように、前記ステント構造体の外面に隣接する前記画定体積部の温度よりも低い温度に前記細長要素を保持するように動作可能な温度制御装置とを備えているシステム。
【請求項81】
ステント構造体の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
粒子源と、
ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具であって、前記ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている保持取付具と、
前記粒子源から源材料を受容し、かつ電荷が結合された複数の微小滴を前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から前記画定体積部内に供給するように構成された供給装置であって、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、さらに、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中され、複数のコーティング粒子を生じる供給装置と、
前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を備えている電極構造体であって、前記複数のコーティング粒子を前記画定体積部内に用意し、かつ前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体に向かって移動させてコーティングを前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に形成する際に使用するための前記1つ以上のノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である電極構造体とを備えているシステム。
【請求項82】
前記電極は接地ステント構造体である請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
前記電極が、前記1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされたリング電極である、請求項81に記載のシステム。
【請求項84】
前記画定体積部内の前記複数のコーティング粒子が、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項81に記載のシステム。
【請求項85】
前記複数の微小滴が、前記微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな電荷を各々が有する複数の微小滴を備えている、請求項81に記載のシステム。
【請求項86】
前記ステント構造体に対する前記供給端部の位置が、前記ステント構造体の少なくとも1つの表面と接触する前に、前記蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積部が、前記微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むような位置である、請求項81に記載のシステム。
【請求項87】
前記保持取付具が、
前記ステント構造体を受容するための実質的に非導電性の細長い管と、
細長い導電性要素であって、該細長い導電性要素の少なくとも一部分が実質的に非導電性の細長い管を通して延在し、さらに、前記細長い導電性要素が導電性接触セクションを備えている細長い導電性要素と、
前記実質的に非導電性の細長い管の外面が前記ステント構造体の内面の少なくとも一部分に接触するように、また前記ステント構造体の部分が前記導電性接触セクションと電気接触するように、前記実質的に非導電性の細長い管の拡張を可能にすべく構成された圧縮装置とを備えている、請求項81に記載のシステム。
【請求項88】
前記保持取付具が、前記ステント軸線を中心に前記ステント構造体を回転させるように構成される、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記保持取付具が、前記ステント軸線に沿って線形に前記ステント構造体を移動させるように構成される、請求項87に記載のシステム。
【請求項90】
前記保持取付具は、前記ステント構造体によって画定された内部体積部内で、前記供給装置の少なくとも1つのノズル構造体を動作可能とする、請求項81に記載のシステム。
【請求項91】
前記電極構造体が、前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の内部体積部に用意する際に使用するための前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である、請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
前記1つ以上のノズル構造体は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項90に記載のシステム。
【請求項93】
前記保持取付具は、前記ステント構造体を画定体積部内の固定位置に保持するように構成されている、請求項81に記載のシステム。
【請求項94】
前記保持取付具は、画定体積部内の医療装置の移動のために構成されている、請求項81に記載のシステム。
【請求項95】
前記保持取付具が、前記ステント軸線を中心に前記ステント構造体を回転させるように構成される、請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記保持取付具が、前記ステント軸線に沿って線形に前記ステント構造体を移動させるように構成される、請求項94に記載のシステム。
【請求項97】
前記供給装置は複数のノズル構造体を備えている請求項81に記載のシステム。
【請求項98】
前記供給装置は、軸線に沿って供給装置の内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を備え、前記保持取付具が、細長い筒状本体部材の軸線に沿ってステント構造体を位置決めするように動作可能であり、1つ以上のノズル構造体が、細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は、細長い筒状本体部材の軸線の方向に細長い筒状本体部材に沿って線形に位置決めされる、請求項97に記載のシステム。
【請求項99】
前記複数のノズル構造体の各々は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項98に記載のシステム。
【請求項100】
複数のノズル構造体の各々は、開口部を画定するために使用されるテーパ状部分を各々が備え、複数のノズル構造体の各々の少なくとも一部分が、本体部材と関連付けられた導電性の一体部分から延在している、請求項98に記載のシステム。
【請求項101】
複数のノズル構造体の各々は、本体部材の細長い半径方向開口部を備えている、請求項98に記載のシステム。
【請求項102】
複数のノズル構造体の各々は、複数のノズル構造体の軸線に対し平行に位置する本体部材の細長い開口部を備えている、請求項98に記載のシステム。
【請求項103】
前記保持取付具が、
軸線に沿って延在する細長要素であって、前記ステント構造体の軸線が、前記細長要素に受容されるときに前記細長要素の軸線と一致する細長要素と、
前記ステント構造体と前記細長要素との間の距離を維持するように動作可能な離間要素とを備えている、請求項81に記載のシステム。
【請求項104】
前記保持取付具が細長要素を備え、該細長要素の表面が前記ステント構造体の内面と直接接触するように、前記細長要素が前記ステント構造体の前記画定内部体積部に基づき寸法決めされる、請求項81に記載のシステム。
【請求項105】
前記保持取付具が、
前記ステント構造体の軸線に沿った細長い導電性要素であって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間される細長い導電性要素と、
前記細長い導電性要素と前記ステント構造体との間に、前記ノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するように構成された電源とを備えている、請求項81に記載のシステム。
【請求項106】
前記保持取付具が、前記ステント構造体の軸線に沿った細長要素を備え、前記ステント構造体及び前記細長要素がある距離だけ離間され、前記細長要素が、ガス流を前記ステント構造体の画定内部体積部に用意するように構成される、請求項81に記載のシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法において、
少なくとも1つの表面を備えている医療装置を画定体積部内に用意するステップと、
供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備えている1つ以上のノズル構造体を用意するステップと、
複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するステップであって、前記複数のコーティング粒子を用意するステップが、前記供給端部と前記医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、電荷が結合された複数の微小滴を前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から供給するステップを備え、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、さらに、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中されるステップと、
前記複数のコーティング粒子が形成される前記供給端部と前記医療装置との間に形成される前記不均一な電界を用いて、前記複数のコーティング粒子を前記医療装置に向かって移動させてコーティングを前記医療装置の少なくとも1つの表面に形成するステップとを備えている方法。
【請求項2】
前記医療装置を用意するステップが、ステント軸線に沿って画定されるステント構造体を用意するステップを備え、前記ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも複数の第1のコーティング粒子を用いて、前記画定内部体積部に隣接する前記ステント構造体の内面の少なくとも一部分をコーティングするステップと、
少なくとも複数の第2のコーティング粒子を用いて、前記ステント構造体の外面の少なくとも一部分をコーティングするステップとを備え、前記複数の第1のコーティング粒子が前記複数の第2のコーティング粒子と異なる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記不均一な電界強度を調整して、粒子が前記ステント構造体の内面に達することを防止するステップをさらに備えている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のノズル構造体を用意するステップが、前記ステント構造体の画定内部体積部内に配置された少なくとも1つのノズル構造体の前記供給端部に、少なくとも1つの開口部を有する前記少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップを備え、さらに、前記複数の単分散コーティング粒子を前記少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップが、前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に不均一な電界を形成するステップを備えている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させて前記少なくとも1つの表面にコーティングを形成するステップが、前記ステント構造体を前記1つ以上のノズル構造体に対して前記ステント軸線を中心に回転させるステップ、及び/又は前記ステント構造体を前記1つ以上のノズル構造体に対して前記ステント軸線に沿って線形に移動させるステップの少なくとも一方を備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、
軸線に沿って内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を用意するステップと、
前記細長い筒状本体部材の軸線に沿って前記ステント構造体を位置決めするステップと、
前記細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記細長い筒状本体部材の軸線の方向に前記細長い筒状本体部材に沿って線形に、複数のノズル構造体を位置決めするステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、
前記ステント軸線が細長要素の軸線と一致するように前記ステント構造体を位置決めするステップと、
離間要素を使用して、前記ステント構造体と前記細長要素との間の距離を維持するステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、
前記ステント軸線が細長要素の軸線と一致するように前記ステント構造体を位置決めするステップであって、前記細長要素の表面が前記ステント構造体の内面と直接接触するように、前記細長要素が、前記ステント構造体の画定内部体積部に基づき寸法決めされるステップと、
複数のコーティング粒子が前記ステント構造体の外面に向かって移動されてコーティングを前記外面に形成した後に、前記ステント構造体の内部体積部から前記細長要素を取り除くステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記細長要素が、前記ステント構造体を通常状態から延伸させるように寸法決めされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、さらに、複数のコーティング粒子が前記ステント構造体の外面に向かって移動され、前記ステント材料の部分を分離する前記開口部を備えている前記開いた骨組の上方にシースを生じた後に、前記細長要素が前記ステント構造体の内部体積部から取り除かれる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記方法が、
前記ステント構造体の軸線に沿って細長い導電性要素を用意するステップであって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップと、
前記細長い導電性要素と前記ステント構造体との間に、前記ノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記方法が、
前記ステント構造体の軸線に沿って細長要素を用意するステップであって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップと、
細長要素を用いて、ガス流を前記ステント構造体の画定内部体積部内に用意するステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
複数のコーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップが、前記ステントがそのステント軸線に沿って弛まないように鉛直位置の前記ステント構造体により実行される、請求項2〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記画定体積部内の前記複数のコーティング粒子が、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の微小滴を用意するステップが、前記微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな電荷が結合された複数の微小滴を用意するステップを備えている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、前記蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積部が、前記微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のノズル構造体を用意するステップが、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形配列に複数のノズル構造体を位置決めするステップを備えている、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ノズル構造体の各々が、各ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも第1及び第2の開口部を備えている、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、
第1の流体組成物の第1の流れを前記第1の開口部に用意するステップと、
第2の流体組成物の第2の流れを前記第2の開口部に用意するステップとをさらに備えている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法において、
少なくとも1つの表面を備えている医療装置を画定体積部内に用意するステップと、
10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に用意するステップと、
複数の前記コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップとを備えている方法。
【請求項22】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップが、電荷を前記複数の単分散コーティング粒子に付与するステップを備え、さらに、前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップが、電界を用いて前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置に向かって移動させるステップを備えている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、前記単分散コーティング粒子が前記画定体積部内に用意された後に電極と前記医療装置との間に前記電界を形成するステップをさらに備えている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップが、伝熱効果を用いて前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップを備えている、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のコーティング粒子が約1ナノメートルよりも大きくまた約100ナノメートルよりも小さな呼び径を有する、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のコーティング粒子が、少なくとも1つの生物学的活性成分又はコーティングされた生物学的活性成分を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
粒子源と、
医療装置を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具と、
前記粒子源から源材料を受容しかつ複数の単分散コーティング粒子を前記画定体積部内に供給するように構成された供給装置であって、前記供給装置が1つ以上のノズル構造体を備え、各ノズル構造体が、前記ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、前記供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される供給装置と、
前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を備えている電極構造体であって、前記複数の単分散コーティング粒子を前記画定体積部内に用意する際に使用するための前記1つ以上のノズル構造体の供給端部と前記医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能であり、前記複数の単分散コーティング粒子が10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有し、さらに、前記不均一な電界が、複数の前記コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するのを支援するように動作可能である電極構造体とを備えているシステム。
【請求項28】
前記電極が、前記1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされた接地医療装置又はリング電極を備えている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記供給装置が、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するように構成され、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中される、請求項27又は28に記載のシステム。
【請求項30】
前記医療装置が、内部体積部を画定する構造体を備え、該構造体が、前記内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備え、前記供給装置の少なくとも1つのノズル構造体が、前記構造体によって画定された内部体積部内で動作可能であるように、前記保持取付具が医療装置を位置決めするように動作可能であり、前記電極構造体が、前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の内部体積部に用意する際に使用するための前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である、請求項27〜29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記供給装置が複数のノズル構造体を備え、さらに、該複数のノズル構造体が、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形配列に位置決めされる、請求項27〜29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
ステント構造体の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
粒子源と、
ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具であって、前記ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている保持取付具と、
前記粒子源から源材料を受容し、かつ電荷が結合された複数の微小滴を前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から前記画定体積部内に供給するように構成された供給装置であって、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、さらに、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中され、複数のコーティング粒子を生じる供給装置と、
前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を備えている電極構造体であって、前記複数のコーティング粒子を前記画定体積部内に用意し、かつ前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体に向かって移動させてコーティングを前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に形成する際に使用するための前記1つ以上のノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である電極構造体とを備えているシステム。
【請求項33】
前記電極が、前記1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされた接地ステント構造体又はリング電極である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記画定体積部内の前記複数のコーティング粒子が、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項32又は33に記載のシステム。
【請求項35】
前記保持取付具が、
前記ステント構造体を受容するための実質的に非導電性の細長い管と、
細長い導電性要素であって、該細長い導電性要素の少なくとも一部分が実質的に非導電性の細長い管を通して延在し、さらに、前記細長い導電性要素が導電性接触セクションを備えている細長い導電性要素と、
前記実質的に非導電性の細長い管の外面が前記ステント構造体の内面の少なくとも一部分に接触するように、また前記ステント構造体の部分が前記導電性接触セクションと電気接触するように、前記実質的に非導電性の細長い管の拡張を可能にすべく構成された圧縮装置とを備えている、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記保持取付具が、前記ステント軸線を中心に前記ステント構造体を回転させ及び/又は前記ステント軸線に沿って線形に前記ステント構造体を移動させるように構成される、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記ステント構造体によって画定された前記内部体積部内で前記供給装置の少なくとも1つのノズル構造体が動作可能であることを許容するように、前記保持取付具が構成され、前記電極構造体が、前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の内部体積部に用意する際に使用するための前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記供給装置が複数のノズル構造体を備え、前記供給装置が、軸線に沿って前記供給装置の内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を備え、前記保持取付具が、前記細長い筒状本体部材の軸線に沿って前記ステント構造体を位置決めするように動作可能であり、さらに、前記1つ以上の複数のノズル構造体が、前記細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記細長い筒状本体部材の軸線の方向に前記細長い筒状本体部材に沿って線形に位置決めされる、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記保持取付具が、
軸線に沿って延在する細長要素であって、前記ステント構造体の軸線が、前記細長要素に受容されるときに前記細長要素の軸線と一致する細長要素と、
前記ステント構造体と前記細長要素との間の距離を維持するように動作可能な離間要素とを備えている、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
前記保持取付具が細長要素を備え、該細長要素の表面が前記ステント構造体の内面と直接接触するように、前記細長要素が前記ステント構造体の前記画定内部体積部に基づき寸法決めされる、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記保持取付具が、
前記ステント構造体の軸線に沿った細長い導電性要素であって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間される細長い導電性要素と、
前記細長い導電性要素と前記ステント構造体との間に、前記ノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するように構成された電源とを備えている、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項42】
前記保持取付具が、前記ステント構造体の軸線に沿った細長要素を備え、前記ステント構造体及び前記細長要素がある距離だけ離間され、前記細長要素が、ガス流を前記ステント構造体の画定内部体積部に用意するように構成される、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項43】
前記システムが、前記不均一な電界強度を調整するように動作可能な制御システムをさらに備えている、請求項27〜42のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項44】
前記粒子源が、少なくとも1つの生物学的活性成分又は少なくとも1つのコーティングされた生物学的活性成分を含む複数のコーティング粒子を用意する際に使用するための源材料を備えている、請求項27〜43のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項45】
前記複数の微小滴が、前記微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな電荷を各々が有する複数の微小滴を備えている、請求項29と請求項32〜44のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項46】
前記ステント構造体に対する前記供給端部の位置が、前記ステント構造体の少なくとも1つの表面と接触する前に、前記蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積部が、前記微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むような位置である、請求項29と請求項32〜45のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項47】
前記ノズル構造体の少なくとも1つが、前記ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも第1及び第2の開口部を備えている、請求項27〜46のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項48】
前記粒子源が、第1の流体組成物の第1の流れを前記第1の開口部にまた第2の流体組成物の第2の流れを前記第2の開口部に用意するように構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するように動作可能な粒子発生装置と、
ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具であって、前記ステント構造体が、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と外面とを備え、前記保持取付具が、前記ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素を備えている保持取付具と、
伝熱効果が前記コーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させるように、前記ステント構造体の外面に隣接する前記画定体積部の温度よりも低い温度に前記細長要素を保持するように動作可能な温度制御装置とを備えているシステム。
【請求項1】
医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法において、
少なくとも1つの表面を備えている医療装置を画定体積部内に用意するステップと、
供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備えている1つ以上のノズル構造体を用意するステップと、
複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するステップであって、前記複数のコーティング粒子を用意するステップが、前記供給端部と前記医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、電荷が結合された複数の微小滴を前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から供給するステップを備え、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、さらに、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中されるステップと、
前記複数のコーティング粒子が形成される前記供給端部と前記医療装置との間に形成される前記不均一な電界を用いて、前記複数のコーティング粒子を前記医療装置に向かって移動させてコーティングを前記医療装置の少なくとも1つの表面に形成するステップとを備えている方法。
【請求項2】
前記画定体積部内の前記複数のコーティング粒子が、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の微小滴を用意するステップが、前記微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな電荷が結合された複数の微小滴を用意するステップを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、前記蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積部が、前記微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のノズル構造体を用意するステップが、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形配列に複数のノズル構造体を位置決めするステップを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記医療装置を用意するステップが、ステント軸線に沿って画定されるステント構造体を用意するステップを備え、前記ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記不均一な電界強度を調整して、粒子が前記ステント構造体の内面に達することを防止するステップをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のノズル構造体を用意するステップが、前記ステント構造体の画定内部体積部内に配置された少なくとも1つのノズル構造体の前記供給端部に、少なくとも1つの開口部を有する前記少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップを備え、さらに、前記複数の単分散コーティング粒子を前記少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップが、前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に不均一な電界を形成するステップを備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のノズル構造体は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させて前記少なくとも1つの表面にコーティングを形成するステップが、
前記ステント構造体を前記1つ以上のノズル構造体に対して前記ステント軸線を中心に回転させるステップを備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させて前記少なくとも1つの表面にコーティングを形成するステップが、前記ステント構造体を前記1つ以上のノズル構造体に対して前記ステント軸線に沿って線形に移動させるステップの少なくとも一方を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記画定体積部内に用意された複数のコーティング粒子の量を制御するステップをさらに備えている請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のコーティング粒子が約1ナノメートルよりも大きくまた約100ナノメートルよりも小さな呼び径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のコーティング粒子が、少なくとも1つの生物学的活性成分又はコーティングされた生物学的活性成分を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記ステント構造体を用意するステップは、前記ステント構造体のコーティングプロセス中に医療装置を前記画定体積部内の固定位置に用意するステップを備えている請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記ノズル構造体の各々が、前記ノズル構造体の各々の供給端部に終端する少なくとも第1及び第2の開口部を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、
軸線に沿って内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を用意するステップと、
前記細長い筒状本体部材の軸線に沿って前記ステント構造体を位置決めするステップと、
前記細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記細長い筒状本体部材の軸線の方向に前記細長い筒状本体部材に沿って線形に、複数のノズル構造体を位置決めするステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のノズル構造体の各々は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のノズル構造体の各々は、開口部を形成するために使用されているテーパ状部分を備え、前記複数のノズル構造体の各々の少なくとも一部分は、前記本体部材と関連付けられた導電性の一体部分から延在している請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のノズル構造体の各々は、前記本体部材の細長い半径方向開口部、及び/又は前記軸線に対して平行に位置する本体部材の細長い開口部を備えている請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、
前記ステント軸線が細長要素の軸線と一致するように前記ステント構造体を位置決めするステップと、
離間要素を使用して、前記ステント構造体と前記細長要素との間の距離を維持するステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、
前記ステント軸線が細長要素の軸線と一致するように前記ステント構造体を位置決めするステップであって、前記細長要素の表面が前記ステント構造体の内面と直接接触するように、前記細長要素が、前記ステント構造体の画定内部体積部に基づき寸法決めされるステップと、
複数のコーティング粒子が前記ステント構造体の外面に向かって移動されてコーティングを前記外面に形成した後に、前記ステント構造体の内部体積部から前記細長要素を取り除くステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項23】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記細長要素が、前記ステント構造体を通常状態から延伸させるように寸法決めされる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、さらに、複数のコーティング粒子が前記ステント構造体の外面に向かって移動され、前記ステント材料の部分を分離する前記開口部を備えている前記開いた骨組の上方にシースを生じた後に、前記細長要素が前記ステント構造体の内部体積部から取り除かれる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記方法が、
前記ステント構造体の軸線に沿って細長い導電性要素を用意するステップであって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップと、
前記細長い導電性要素と前記ステント構造体との間に、前記ノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項26】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記方法が、
前記ステント構造体の軸線に沿って細長要素を用意するステップであって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップと、
細長要素を用いて、ガス流を前記ステント構造体の画定内部体積部内に用意するステップとをさらに備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項27】
前記医療装置を用意するステップが、ステント軸線に沿って画定される筒状ステント構造体を用意するステップを備え、前記ステント構造体が、前記画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、前記画定内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備え、複数のコーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップが、前記ステントがそのステント軸線に沿って弛まないように鉛直位置の前記ステント構造体により実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法において、
少なくとも1つの表面を備えている医療装置を画定体積部内に用意するステップと、
10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に用意するステップと、
複数の前記コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップとを備えている方法。
【請求項29】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップが、電荷を前記複数の単分散コーティング粒子に付与するステップを備え、さらに、前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップが、電界を用いて前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置に向かって移動させるステップを備えている、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するステップを備え、微小滴の各々が粒子を備え、微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中され、粒子に集中される微小滴の電荷は、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きい、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記粒子に集中される微小滴の電荷は、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約50パーセントよりも大きい、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するステップを備え、微小滴の各々が粒子を備え、微小滴が蒸発するときに電荷が粒子に集中され、医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、前記単分散コーティング粒子が前記画定体積部内に用意された後に電極と前記医療装置との間に前記電界を形成するステップをさらに備えている、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、
各ノズル構造体が、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される、1つ以上のノズル構造体を用意するステップと、
複数の単分散コーティング粒子が供給されるノズル構造体の供給端部と医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、複数の単分散コーティング粒子を複数のノズル構造体の各々から供給するステップとを備えている、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の単分散コーティング粒子を医療装置に向かって移動させてその上にコーティングを形成するステップは、前記複数の単分散コーティング粒子が供給される供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を用いて、複数の単分散コーティング粒子を医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてその上にコーティングを形成するステップを備えている、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記医療装置は、内部体積部を画定する構造体を備え、前記構造体が、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備え、前記少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップは、前記構造体によって画定された内部体積部内に配置された少なくとも1つのノズル構造体の供給端部に、少なくとも1つの開口部を有する少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップを備え、前記複数の単分散コーティング粒子を少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップは、前記少なくとも1つのノズルの供給端部と医療装置との間に形成される不均一な電界を利用するステップを備えている、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上のノズル構造体は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップは、複数のノズル構造体を用意するステップを備え、前記複数のノズル構造体から前記複数の単分散コーティング粒子を供給するステップは、前記供給端部と前記医療装置との間に不均一な電界を形成するステップを備えている請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記医療装置を用意するステップは、前記画定体積部内で固定位置で医療装置を用意するステップを備えている請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記医療装置を用意するステップは、前記画定体積部内で移動可能な医療装置を用意するステップを備えている請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記医療装置を用意するステップは、ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、画定内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備えている、ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を用意するステップとを備えている、請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、
各ノズル構造体が、その供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、この供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される、1つ以上のノズル構造体を用意するステップと、
複数の単分散コーティング粒子が供給されるノズル構造体の供給端部と医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、複数の単分散コーティング粒子を複数のノズル構造体の各々から供給するステップとを備えている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
不均一な電界強度を調整して、粒子がステント構造体の内面に達することを防止するステップをさらに備えている請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップは、前記ステント構造体によって画定される前記内部体積部内に位置する、前記供給端部において少なくとも1つの開口部を有する少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップを備え、前記複数の単分散コーティング粒子を少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップは、前記供給端部とステント構造体との間に不均一な電界を形成するステップを備えている請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップが、伝熱効果を用いて前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップを備えている、請求項28に記載の方法。
【請求項46】
前記医療装置を用意するステップは、内部体積部に隣接した内面と、外面とを少なくとも備えた、ステント軸線に沿って画定された、ステント構造体を用意するステップを備え、前記方法は、ステント軸線が、ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素の軸線と一致するように、ステント構造体を位置決めするステップを備え、複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向けて移動させてその表面上にコーティングを形成するステップは、伝熱効果によりコーティング粒子がステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動されるように、ステント構造体の外面に隣接する画定体積部の温度よりも低い温度に細長要素を保持するステップを備えている請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記医療装置を用意するステップは、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と、画定内部体積部に隣接しない少なくとも1つの外面とを備えている、筒状ステント構造体を用意するステップを備え、前記複数の単分散コーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向けて移動させてその表面上にコーティングを形成するステップは、前記ステント軸線回りに前記ステント構造体を少なくとも回転させるステップを備えている請求項28に記載の方法。
【請求項48】
前記複数の単分散コーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向けて移動させてその表面上にコーティングを形成するステップは、ステント軸線に沿って線形にステント構造体を移動させるステップを備えている、請求項28に記載の方法。
【請求項49】
前記画定体積部内に用意された単分散コーティング粒子の量を制御するステップをさらに備えている請求項28に記載の方法。
【請求項50】
前記複数のコーティング粒子が約1ナノメートルよりも大きくまた約100ナノメートルよりも小さな呼び径を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項51】
前記複数のコーティング粒子が、少なくとも1つの生物学的活性成分又はコーティングされた生物学的活性成分を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項52】
前記複数のコーティング粒子は、DNA又はコーティングされたDNAの少なくとも1つを備えている請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップは、複数のノズル構造体を用意するステップを備え、各ノズル構造体が供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を各々が備え、そこから、それに当てられる電荷を有する複数の単分散コーティング粒子が分散され、前記一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップは、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形に、複数のノズル構造体を位置決めするステップを備えている請求項28に記載の方法。
【請求項54】
画定内部体積部に隣接した内面と、外面とを少なくとも備えている、ステント軸線に沿った画定体積部内でステント構造体を用意するステップと、
少なくとも複数の第一コーティング粒子を使用して、画定内部体積部に隣接してステント構造体の内面の一部を少なくともコーティングするステップと、
前記少なくとも複数の第一コーティング粒子と異なる少なくとも複数の第二コーティング粒子を使用して、ステント構造体の外面の一部を少なくともコーティングするステップとを備えている、ステント構造体をコーティングする方法。
【請求項55】
前記少なくとも複数の第一コーティング粒子を使用して、画定内部体積部に隣接してステント構造体の内面の一部を少なくともコーティングするステップは、
供給端部において終端している少なくとも1つの開口部を各々が備えている、一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップとを備え、少なくとも1つのノズル構造体は、前記ステント構造体の画定内部体積部内に位置する、供給端部において少なくとも1つの開口部を有し、
前記画定内部体積部内で複数の第一コーティング粒子を用意するステップとを備え、前記複数の第一コーティング粒子を用意するステップは、前記供給端部と前記ステント構造体との間で不均一な電界を形成することによって、前記少なくとも1つのノズル構造体の前記供給端部から、電荷が結合した複数の微小滴を供給するステップを備え、前記微小滴の各々は、少なくとも1つの粒子を備え、前記電荷は前記微小滴が蒸発する時に前記粒子に集中し、
前記複数の第一コーティング粒子を前記内面に向けて移動させて、前記供給端部と前記ステント構造体の間で形成された不均一な電界を使用して、それ上にコーティングを形成するステップとを備えている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記1つ以上のノズル構造体は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項55に記載の方法。
【請求項57】
少なくとも複数の第二コーティング粒子を使用して前記ステント構造体の前記外面の一部をコーティングするステップは、
供給端部において終端している少なくとも1つの開口部を各々が備えている、一つ又はそれ以上のノズル構造体を用意するステップとを備え、
前記画定体積部内で複数の第二コーティング粒子を用意するステップとを備え、前記複数の第二コーティング粒子を用意するステップは、前記供給端部と前記ステント構造体との間で不均一な電界を形成することによって、前記少なくとも1つのノズル構造体の前記供給端部から、それと関連した電荷を有している複数の微小滴を供給するステップを備え、前記微小滴の各々は、少なくとも1つの粒子を備え、前記電荷は前記微小滴が蒸発する時に前記粒子に集中し、
前記複数の第二コーティング粒子を前記医療装置に向けて移動させて、そこから前記複数のコーティング粒子が形成されている前記供給端部と前記医療装置との間で形成された不均一な電界を使用して、前記医療装置の前記少なくとも1つの表面上にコーティングを形成するステップとを備えている、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の第一コーティング粒子と前記複数の第二コーティング粒子の中の少なくとも1つの粒子は、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記内部体積部又は前記画定体積部内に用意された前記複数の第一コーティング粒子と前記複数の第二コーティング粒子の中の少なくとも1つの粒子の量を制御するステップをさらに備えている請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記複数の第1のコーティング粒子は抗凝固薬粒子を備えている請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記複数の第2のコーティング粒子は抗炎症薬粒子を備えている請求項54に記載の方法。
【請求項62】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
粒子源と、
医療装置を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具と、
前記粒子源から源材料を受容しかつ複数の単分散コーティング粒子を前記画定体積部内に供給するように構成された供給装置であって、前記供給装置が1つ以上のノズル構造体を備え、各ノズル構造体が、前記ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、前記供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される供給装置と、
前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を備えている電極構造体であって、前記複数の単分散コーティング粒子を前記画定体積部内に用意する際に使用するための前記1つ以上のノズル構造体の供給端部と前記医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能であり、前記複数の単分散コーティング粒子が10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有し、さらに、前記不均一な電界が、複数の前記コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するのを支援するように動作可能である電極構造体とを備えているシステム。
【請求項63】
前記電極は接地医療装置である、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記電極が、前記1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされた接地医療装置又はリング電極を備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項65】
前記供給装置は、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するように構成されており、前記微小滴の各々は、少なくとも1つの粒子を備え、粒子の蒸発時に微小滴の電荷が粒子に集中され、粒子の蒸発時に集中される微小滴の電荷が、微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きい、請求項62に記載のシステム。
【請求項66】
前記供給装置が、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するように構成され、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中され、医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積が、本来供給される微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むように、前記医療装置に関する前記供給端部の位置が決められている、請求項62に記載のシステム。
【請求項67】
前記医療装置が、内部体積部を画定する構造体を備え、該構造体が、前記内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備え、前記供給装置の少なくとも1つのノズル構造体が、前記構造体によって画定された内部体積部内で動作可能であるように、前記保持取付具が医療装置を位置決めするように動作可能である、請求項62に記載のシステム。
【請求項68】
前記電極構造体が、前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の内部体積部に用意する際に使用するための前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記少なくとも一つのノズル構造体は、前記医療装置の画定内部体積部内に位置決め又は移動されるように寸法決めされた細長要素を備えている、請求項67に記載のシステム。
【請求項70】
前記供給装置は複数のノズル構造体を備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項71】
前記複数のノズル構造体が、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形配列に位置決めされる、請求項70に記載のシステム。
【請求項72】
前記保持取付具は、医療装置を画定体積部内の固定位置に保持するように構成されている、請求項62に記載のシステム。
【請求項73】
前記保持取付具は、画定体積部内の医療装置の移動のために構成されている、請求項62に記載のシステム。
【請求項74】
前記保持取付具は、ステント構造体を受容するように構成され、前記ステント構造体がステント軸線に沿って画定され、前記ステント構造体は、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項75】
前記保持取付具が、前記ステント軸線を中心に前記ステント構造体を回転させるように構成される、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項76】
前記保持取付具が、前記ステント軸線に沿って線形に前記ステント構造体を移動させるように構成される、請求項74に記載のシステム。
【請求項77】
前記システムは、画定体積部内に用意された単分散コーティング粒子の量を制御するように動作可能な制御システムをさらに備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項78】
前記システムは、不均一な電界強度を調整するように動作可能な制御システムをさらに備えている、請求項62に記載のシステム。
【請求項79】
前記粒子源は、複数のコーティング粒子を用意する際に使用するための源材料を備え、源材料が、少なくとも1つの生物学的活性成分又は少なくとも1つのコーティングされた生物学的活性成分を含む、請求項62に記載のシステム。
【請求項80】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するように動作可能な粒子発生装置と、
ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具であって、前記ステント構造体が、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と外面とを備え、前記保持取付具が、前記ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素を備えている保持取付具と、
伝熱効果が前記コーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させるように、前記ステント構造体の外面に隣接する前記画定体積部の温度よりも低い温度に前記細長要素を保持するように動作可能な温度制御装置とを備えているシステム。
【請求項81】
ステント構造体の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
粒子源と、
ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具であって、前記ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている保持取付具と、
前記粒子源から源材料を受容し、かつ電荷が結合された複数の微小滴を前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から前記画定体積部内に供給するように構成された供給装置であって、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、さらに、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中され、複数のコーティング粒子を生じる供給装置と、
前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を備えている電極構造体であって、前記複数のコーティング粒子を前記画定体積部内に用意し、かつ前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体に向かって移動させてコーティングを前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に形成する際に使用するための前記1つ以上のノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である電極構造体とを備えているシステム。
【請求項82】
前記電極は接地ステント構造体である請求項81に記載のシステム。
【請求項83】
前記電極が、前記1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされたリング電極である、請求項81に記載のシステム。
【請求項84】
前記画定体積部内の前記複数のコーティング粒子が、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項81に記載のシステム。
【請求項85】
前記複数の微小滴が、前記微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな電荷を各々が有する複数の微小滴を備えている、請求項81に記載のシステム。
【請求項86】
前記ステント構造体に対する前記供給端部の位置が、前記ステント構造体の少なくとも1つの表面と接触する前に、前記蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積部が、前記微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むような位置である、請求項81に記載のシステム。
【請求項87】
前記保持取付具が、
前記ステント構造体を受容するための実質的に非導電性の細長い管と、
細長い導電性要素であって、該細長い導電性要素の少なくとも一部分が実質的に非導電性の細長い管を通して延在し、さらに、前記細長い導電性要素が導電性接触セクションを備えている細長い導電性要素と、
前記実質的に非導電性の細長い管の外面が前記ステント構造体の内面の少なくとも一部分に接触するように、また前記ステント構造体の部分が前記導電性接触セクションと電気接触するように、前記実質的に非導電性の細長い管の拡張を可能にすべく構成された圧縮装置とを備えている、請求項81に記載のシステム。
【請求項88】
前記保持取付具が、前記ステント軸線を中心に前記ステント構造体を回転させるように構成される、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記保持取付具が、前記ステント軸線に沿って線形に前記ステント構造体を移動させるように構成される、請求項87に記載のシステム。
【請求項90】
前記保持取付具は、前記ステント構造体によって画定された内部体積部内で、前記供給装置の少なくとも1つのノズル構造体を動作可能とする、請求項81に記載のシステム。
【請求項91】
前記電極構造体が、前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の内部体積部に用意する際に使用するための前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である、請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
前記1つ以上のノズル構造体は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項90に記載のシステム。
【請求項93】
前記保持取付具は、前記ステント構造体を画定体積部内の固定位置に保持するように構成されている、請求項81に記載のシステム。
【請求項94】
前記保持取付具は、画定体積部内の医療装置の移動のために構成されている、請求項81に記載のシステム。
【請求項95】
前記保持取付具が、前記ステント軸線を中心に前記ステント構造体を回転させるように構成される、請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記保持取付具が、前記ステント軸線に沿って線形に前記ステント構造体を移動させるように構成される、請求項94に記載のシステム。
【請求項97】
前記供給装置は複数のノズル構造体を備えている請求項81に記載のシステム。
【請求項98】
前記供給装置は、軸線に沿って供給装置の内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を備え、前記保持取付具が、細長い筒状本体部材の軸線に沿ってステント構造体を位置決めするように動作可能であり、1つ以上のノズル構造体が、細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は、細長い筒状本体部材の軸線の方向に細長い筒状本体部材に沿って線形に位置決めされる、請求項97に記載のシステム。
【請求項99】
前記複数のノズル構造体の各々は、本体部分と、毛細管の供給端部のテーパ状毛細管先端とからなる毛細管を備えている請求項98に記載のシステム。
【請求項100】
複数のノズル構造体の各々は、開口部を画定するために使用されるテーパ状部分を各々が備え、複数のノズル構造体の各々の少なくとも一部分が、本体部材と関連付けられた導電性の一体部分から延在している、請求項98に記載のシステム。
【請求項101】
複数のノズル構造体の各々は、本体部材の細長い半径方向開口部を備えている、請求項98に記載のシステム。
【請求項102】
複数のノズル構造体の各々は、複数のノズル構造体の軸線に対し平行に位置する本体部材の細長い開口部を備えている、請求項98に記載のシステム。
【請求項103】
前記保持取付具が、
軸線に沿って延在する細長要素であって、前記ステント構造体の軸線が、前記細長要素に受容されるときに前記細長要素の軸線と一致する細長要素と、
前記ステント構造体と前記細長要素との間の距離を維持するように動作可能な離間要素とを備えている、請求項81に記載のシステム。
【請求項104】
前記保持取付具が細長要素を備え、該細長要素の表面が前記ステント構造体の内面と直接接触するように、前記細長要素が前記ステント構造体の前記画定内部体積部に基づき寸法決めされる、請求項81に記載のシステム。
【請求項105】
前記保持取付具が、
前記ステント構造体の軸線に沿った細長い導電性要素であって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間される細長い導電性要素と、
前記細長い導電性要素と前記ステント構造体との間に、前記ノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するように構成された電源とを備えている、請求項81に記載のシステム。
【請求項106】
前記保持取付具が、前記ステント構造体の軸線に沿った細長要素を備え、前記ステント構造体及び前記細長要素がある距離だけ離間され、前記細長要素が、ガス流を前記ステント構造体の画定内部体積部に用意するように構成される、請求項81に記載のシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法において、
少なくとも1つの表面を備えている医療装置を画定体積部内に用意するステップと、
供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備えている1つ以上のノズル構造体を用意するステップと、
複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するステップであって、前記複数のコーティング粒子を用意するステップが、前記供給端部と前記医療装置との間に不均一な電界を形成することによって、電荷が結合された複数の微小滴を前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から供給するステップを備え、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、さらに、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中されるステップと、
前記複数のコーティング粒子が形成される前記供給端部と前記医療装置との間に形成される前記不均一な電界を用いて、前記複数のコーティング粒子を前記医療装置に向かって移動させてコーティングを前記医療装置の少なくとも1つの表面に形成するステップとを備えている方法。
【請求項2】
前記医療装置を用意するステップが、ステント軸線に沿って画定されるステント構造体を用意するステップを備え、前記ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも複数の第1のコーティング粒子を用いて、前記画定内部体積部に隣接する前記ステント構造体の内面の少なくとも一部分をコーティングするステップと、
少なくとも複数の第2のコーティング粒子を用いて、前記ステント構造体の外面の少なくとも一部分をコーティングするステップとを備え、前記複数の第1のコーティング粒子が前記複数の第2のコーティング粒子と異なる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記不均一な電界強度を調整して、粒子が前記ステント構造体の内面に達することを防止するステップをさらに備えている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のノズル構造体を用意するステップが、前記ステント構造体の画定内部体積部内に配置された少なくとも1つのノズル構造体の前記供給端部に、少なくとも1つの開口部を有する前記少なくとも1つのノズル構造体を用意するステップを備え、さらに、前記複数の単分散コーティング粒子を前記少なくとも1つのノズル構造体から供給するステップが、前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に不均一な電界を形成するステップを備えている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させて前記少なくとも1つの表面にコーティングを形成するステップが、前記ステント構造体を前記1つ以上のノズル構造体に対して前記ステント軸線を中心に回転させるステップ、及び/又は前記ステント構造体を前記1つ以上のノズル構造体に対して前記ステント軸線に沿って線形に移動させるステップの少なくとも一方を備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、
軸線に沿って内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を用意するステップと、
前記細長い筒状本体部材の軸線に沿って前記ステント構造体を位置決めするステップと、
前記細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記細長い筒状本体部材の軸線の方向に前記細長い筒状本体部材に沿って線形に、複数のノズル構造体を位置決めするステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、
前記ステント軸線が細長要素の軸線と一致するように前記ステント構造体を位置決めするステップと、
離間要素を使用して、前記ステント構造体と前記細長要素との間の距離を維持するステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、
前記ステント軸線が細長要素の軸線と一致するように前記ステント構造体を位置決めするステップであって、前記細長要素の表面が前記ステント構造体の内面と直接接触するように、前記細長要素が、前記ステント構造体の画定内部体積部に基づき寸法決めされるステップと、
複数のコーティング粒子が前記ステント構造体の外面に向かって移動されてコーティングを前記外面に形成した後に、前記ステント構造体の内部体積部から前記細長要素を取り除くステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記細長要素が、前記ステント構造体を通常状態から延伸させるように寸法決めされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、さらに、複数のコーティング粒子が前記ステント構造体の外面に向かって移動され、前記ステント材料の部分を分離する前記開口部を備えている前記開いた骨組の上方にシースを生じた後に、前記細長要素が前記ステント構造体の内部体積部から取り除かれる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記方法が、
前記ステント構造体の軸線に沿って細長い導電性要素を用意するステップであって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップと、
前記細長い導電性要素と前記ステント構造体との間に、前記ノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ステント構造体が、前記ステント軸線から半径方向に位置するステント材料を備えている開いた骨組と、前記ステント材料の部分を分離する開口部構造とを備え、前記方法が、
前記ステント構造体の軸線に沿って細長要素を用意するステップであって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間されるステップと、
細長要素を用いて、ガス流を前記ステント構造体の画定内部体積部内に用意するステップとをさらに備えている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
複数のコーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップが、前記ステントがそのステント軸線に沿って弛まないように鉛直位置の前記ステント構造体により実行される、請求項2〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記画定体積部内の前記複数のコーティング粒子が、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の微小滴を用意するステップが、前記微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな電荷が結合された複数の微小滴を用意するステップを備えている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記医療装置の少なくとも1つの表面と接触する前に、前記蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積部が、前記微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のノズル構造体を用意するステップが、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形配列に複数のノズル構造体を位置決めするステップを備えている、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ノズル構造体の各々が、各ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも第1及び第2の開口部を備えている、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、
第1の流体組成物の第1の流れを前記第1の開口部に用意するステップと、
第2の流体組成物の第2の流れを前記第2の開口部に用意するステップとをさらに備えている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
医療装置の少なくとも一部分をコーティングする方法において、
少なくとも1つの表面を備えている医療装置を画定体積部内に用意するステップと、
10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する複数の単分散コーティング粒子を画定体積部内に用意するステップと、
複数の前記コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップとを備えている方法。
【請求項22】
前記複数の単分散コーティング粒子を用意するステップが、電荷を前記複数の単分散コーティング粒子に付与するステップを備え、さらに、前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するステップが、電界を用いて前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置に向かって移動させるステップを備えている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、前記単分散コーティング粒子が前記画定体積部内に用意された後に電極と前記医療装置との間に前記電界を形成するステップをさらに備えている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップが、伝熱効果を用いて前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させるステップを備えている、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のコーティング粒子が約1ナノメートルよりも大きくまた約100ナノメートルよりも小さな呼び径を有する、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のコーティング粒子が、少なくとも1つの生物学的活性成分又はコーティングされた生物学的活性成分を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
粒子源と、
医療装置を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具と、
前記粒子源から源材料を受容しかつ複数の単分散コーティング粒子を前記画定体積部内に供給するように構成された供給装置であって、前記供給装置が1つ以上のノズル構造体を備え、各ノズル構造体が、前記ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも1つの開口部を備え、前記供給端部から、電荷が印加された複数の単分散コーティング粒子が供給される供給装置と、
前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を備えている電極構造体であって、前記複数の単分散コーティング粒子を前記画定体積部内に用意する際に使用するための前記1つ以上のノズル構造体の供給端部と前記医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能であり、前記複数の単分散コーティング粒子が10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有し、さらに、前記不均一な電界が、複数の前記コーティング粒子を前記医療装置の少なくとも1つの表面に向かって移動させてコーティングを前記少なくとも1つの表面に形成するのを支援するように動作可能である電極構造体とを備えているシステム。
【請求項28】
前記電極が、前記1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされた接地医療装置又はリング電極を備えている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記供給装置が、電荷が結合された微小滴の噴霧を供給するように構成され、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中される、請求項27又は28に記載のシステム。
【請求項30】
前記医療装置が、内部体積部を画定する構造体を備え、該構造体が、前記内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備え、前記供給装置の少なくとも1つのノズル構造体が、前記構造体によって画定された内部体積部内で動作可能であるように、前記保持取付具が医療装置を位置決めするように動作可能であり、前記電極構造体が、前記複数の単分散コーティング粒子を前記医療装置の内部体積部に用意する際に使用するための前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記医療装置との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である、請求項27〜29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記供給装置が複数のノズル構造体を備え、さらに、該複数のノズル構造体が、前記医療装置の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記医療装置の軸線の方向に線形配列に位置決めされる、請求項27〜29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
ステント構造体の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
粒子源と、
ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具であって、前記ステント構造体が、画定内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と少なくとも1つの外面とを備えている保持取付具と、
前記粒子源から源材料を受容し、かつ電荷が結合された複数の微小滴を前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から前記画定体積部内に供給するように構成された供給装置であって、前記微小滴の各々が少なくとも1つの粒子を備え、さらに、前記微小滴が蒸発するときに前記電荷が前記粒子に集中され、複数のコーティング粒子を生じる供給装置と、
前記1つ以上のノズル構造体の供給端部から絶縁された電極を備えている電極構造体であって、前記複数のコーティング粒子を前記画定体積部内に用意し、かつ前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体に向かって移動させてコーティングを前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に形成する際に使用するための前記1つ以上のノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である電極構造体とを備えているシステム。
【請求項33】
前記電極が、前記1つ以上のノズル構造体の前方に位置決めされた接地ステント構造体又はリング電極である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記画定体積部内の前記複数のコーティング粒子が、10マイクロメータ未満の呼び径と1.2未満の幾何学的標準偏差とを有する、請求項32又は33に記載のシステム。
【請求項35】
前記保持取付具が、
前記ステント構造体を受容するための実質的に非導電性の細長い管と、
細長い導電性要素であって、該細長い導電性要素の少なくとも一部分が実質的に非導電性の細長い管を通して延在し、さらに、前記細長い導電性要素が導電性接触セクションを備えている細長い導電性要素と、
前記実質的に非導電性の細長い管の外面が前記ステント構造体の内面の少なくとも一部分に接触するように、また前記ステント構造体の部分が前記導電性接触セクションと電気接触するように、前記実質的に非導電性の細長い管の拡張を可能にすべく構成された圧縮装置とを備えている、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記保持取付具が、前記ステント軸線を中心に前記ステント構造体を回転させ及び/又は前記ステント軸線に沿って線形に前記ステント構造体を移動させるように構成される、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記ステント構造体によって画定された前記内部体積部内で前記供給装置の少なくとも1つのノズル構造体が動作可能であることを許容するように、前記保持取付具が構成され、前記電極構造体が、前記複数のコーティング粒子を前記ステント構造体の内部体積部に用意する際に使用するための前記少なくとも1つのノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に、不均一な電界を形成するように動作可能である、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記供給装置が複数のノズル構造体を備え、前記供給装置が、軸線に沿って前記供給装置の内部体積部を画定する細長い筒状本体部材を備え、前記保持取付具が、前記細長い筒状本体部材の軸線に沿って前記ステント構造体を位置決めするように動作可能であり、さらに、前記1つ以上の複数のノズル構造体が、前記細長い筒状本体部材の軸線を中心に半径方向に、及び/又は前記細長い筒状本体部材の軸線の方向に前記細長い筒状本体部材に沿って線形に位置決めされる、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記保持取付具が、
軸線に沿って延在する細長要素であって、前記ステント構造体の軸線が、前記細長要素に受容されるときに前記細長要素の軸線と一致する細長要素と、
前記ステント構造体と前記細長要素との間の距離を維持するように動作可能な離間要素とを備えている、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
前記保持取付具が細長要素を備え、該細長要素の表面が前記ステント構造体の内面と直接接触するように、前記細長要素が前記ステント構造体の前記画定内部体積部に基づき寸法決めされる、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記保持取付具が、
前記ステント構造体の軸線に沿った細長い導電性要素であって、前記ステント構造体及び前記細長い導電性要素がある距離だけ離間される細長い導電性要素と、
前記細長い導電性要素と前記ステント構造体との間に、前記ノズル構造体の供給端部と前記ステント構造体との間に形成される不均一な電界と反対の電界を形成するように構成された電源とを備えている、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項42】
前記保持取付具が、前記ステント構造体の軸線に沿った細長要素を備え、前記ステント構造体及び前記細長要素がある距離だけ離間され、前記細長要素が、ガス流を前記ステント構造体の画定内部体積部に用意するように構成される、請求項32〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項43】
前記システムが、前記不均一な電界強度を調整するように動作可能な制御システムをさらに備えている、請求項27〜42のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項44】
前記粒子源が、少なくとも1つの生物学的活性成分又は少なくとも1つのコーティングされた生物学的活性成分を含む複数のコーティング粒子を用意する際に使用するための源材料を備えている、請求項27〜43のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項45】
前記複数の微小滴が、前記微小滴に対するレイリー電荷リミットの約30パーセントよりも大きな電荷を各々が有する複数の微小滴を備えている、請求項29と請求項32〜44のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項46】
前記ステント構造体に対する前記供給端部の位置が、前記ステント構造体の少なくとも1つの表面と接触する前に、前記蒸発した微小滴によって占められる残りの粒子体積部が、前記微小滴の溶剤成分の約20パーセント未満を含むような位置である、請求項29と請求項32〜45のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項47】
前記ノズル構造体の少なくとも1つが、前記ノズル構造体の供給端部に終端する少なくとも第1及び第2の開口部を備えている、請求項27〜46のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項48】
前記粒子源が、第1の流体組成物の第1の流れを前記第1の開口部にまた第2の流体組成物の第2の流れを前記第2の開口部に用意するように構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
医療装置の少なくとも1つの表面をコーティングする際に使用するためのシステムにおいて、
複数のコーティング粒子を画定体積部内に用意するように動作可能な粒子発生装置と、
ステント軸線に沿って画定されたステント構造体を画定体積部内に位置決めするように動作可能な保持取付具であって、前記ステント構造体が、内部体積部に隣接する少なくとも1つの内面と外面とを備え、前記保持取付具が、前記ステント構造体の内部体積部に配置された細長要素を備えている保持取付具と、
伝熱効果が前記コーティング粒子を前記ステント構造体の少なくとも1つの表面に向かって移動させるように、前記ステント構造体の外面に隣接する前記画定体積部の温度よりも低い温度に前記細長要素を保持するように動作可能な温度制御装置とを備えているシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図12】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図12】
【図15】
【公表番号】特表2006−511259(P2006−511259A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555473(P2004−555473)
【出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/036717
【国際公開番号】WO2004/047882
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(301078489)リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/036717
【国際公開番号】WO2004/047882
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(301078489)リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ (24)
【Fターム(参考)】
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