説明

医療通信機器設定システム及び医療通信機器設定方法

【課題】通信ネットワーク上において通信を希望する機器との間における通信設定情報の設定をより簡易な操作ではあるが確実に行うことのできる医療通信機器設定システム及び医療通信機器設定方法を提供する。
【解決手段】通信ネットワークNを介して通信を行う第1の医療通信機器1と、通信ネットワークNに接続され、医療通信機器ごとに設定されている通信設定情報を管理する通信管理サーバ2と、通信ネットワークNを介して通信管理サーバ2に対して自らの通信設定情報の設定を行い、第1の医療通信機器1または通信管理サーバ2と相互に通信を行う第2の医療通信機器3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークに接続される医療通信機器についての医療通信機器設定システム及び医療通信機器設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機関内に設置された医用診断装置を互いに通信ネットワークに接続し、一医用診断装置において取得された情報の共有や共通する情報についての有効利用が図られている。特に、例えば、病院情報管理システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった各種管理システムが医療機関内に構築されることによって、このような情報の取り扱い方法がますます盛んに利用されることとなっている。
【0003】
なお、ここで医用診断装置とは、例えば、X線診断装置やCT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置、超音波診断装置、磁気共鳴診断装置(MRI:magnetic resonance imaging)、ガンマカメラやPET(positron-emission tomography:ポジトロン放出断層撮影)、及び診断用ワークステーション等が該当する。
【0004】
ところで、これら通信ネットワークに接続された複数の医用診断装置において情報のやりとりを行う際には、互いに通信することができるように自機内部に通信対象となる医用診断装置に関する通信設定情報の設定がなされている必要がある。但し、通信設定情報の設定は医用診断装置ごとに行わなければならず、通信ネットワークに接続される医用診断装置の数が増えるに従って、その作業は煩雑であり膨大な量になる。また、入力作業中においてミスが発生したり、このミスによる操作遅延等も招来する。
【0005】
そこで、これら設定作業の煩雑さを解消するべく、ネットワーク機器と認証装置を備えるネットワークシステムにおいて、ネットワーク機器には記憶手段、送信手段及び判断手段を設け、認証装置には記憶手段及び送信手段を設けたネットワークシステムが開示されている(以下、特許文献1参照)。
【0006】
また、医用分野においてみれば、通信可能に接続された各コンピュータ装置は、操作部と表示部とを含むユーザインターフェースと、認証情報及び操作する範囲を定めた権限情報を含むアカウント情報を記憶する情報記憶部と、認証情報を基にインターフェースの操作者を認証する認証部と、いずれかのコンピュータ装置のユーザインターフェースから入力され情報記憶部にある新アカウント情報を他の各コンピュータ装置の情報記憶部に記憶させるために各コンピュータ装置間で送受信するための通信部とを備えた医用システムが提案されている(以下、特許文献2参照)。
【0007】
これら2つの特許文献に開示された発明によれば、いずれの発明においても多数のネットワーク機器を使用する場合でも容易に各ユーザの認証情報や権限情報を設定することが可能となる、とされる。
【特許文献1】特開2006−85641号公報
【特許文献2】特開2007−97744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したいずれの特許文献に開示された発明おいても各機器(認証サーバ、ネットワーク機器、或いは、コンピュータ装置)は通信ネットワークに接続されて、互いに通信可能な状態にあることが前提となっており、その上で各機器に対するアクセス権限への対処方法を示したに過ぎない。すなわち、通信ネットワーク上の各機器間における通信を行うための条件設定を行う際にも有効な発明であるかは不明である。
【0009】
特に通信ネットワークに新たな機器を接続する際には、通信ネットワークに接続されてている既存の機器との間において、個別に通信設定情報の設定を行わなければならず、煩雑な作業が発生するという点についての解決を図るものではない。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、通信ネットワーク上において通信を希望する機器との間における通信設定情報の設定をより簡易な操作ではあるが確実に行うことのできる医療通信機器設定システム及び医療通信機器設定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明の特徴は、医療通信機器設定システムにおいて、通信ネットワークを介して通信を行う第1の医療通信機器と、通信ネットワークに接続され、医療通信機器ごとに設定されている通信設定情報を管理する通信管理サーバと、通信ネットワークを介して通信管理サーバに対して自らの通信設定情報の設定を行い、第1の医療通信機器または通信管理サーバと相互に通信を行う第2の医療通信機器とを備える。
【0012】
請求項5に記載の発明の特徴は、医療通信機器設定方法において、通信ネットワークに第2の医療通信機器を接続するステップと、第2の医療通信機器に関する通信設定情報を通信ネットワークに接続されている通信管理サーバへ送信するステップと、通信管理サーバは受信した第2の医療通信機器からの通信設定情報を新規設定登録、或いは、更新設定登録するステップと、通信管理サーバが設定登録された通信設定情報に対する識別子を生成することで通信設定情報にバージョン情報を付与するステップと、通信ネットワークに接続されている第1の医療通信機器が通信管理サーバへアクセスし、第2の医療通信機器についての通信設定情報に関する前記バージョン情報を取得するステップと、第1の医療通信機器は、取得されたバージョン情報が新規な、或いは更新されたバージョン情報と判断した場合に、通信管理サーバに対して取得されたバージョン情報に該当する通信設定情報を要求するステップと、要求に基づいて取得されたバージョン情報を用いて、第1の医療通信機器と第2の医療通信機器とが通信を行うステップとを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通信ネットワーク上において通信を希望する機器との間における通信設定情報の設定をより簡易な操作ではあるが確実に行うことのできる医療通信機器設定システム及び医療通信機器設定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、医療通信機器設定システムSの全体構成を示す構成図である。医療通信機器設定システムSは、通信ネットワークNを介して通信を行う第1の医療通信機器1と、通信ネットワークNに接続され、医療通信機器ごとに設定されている通信設定情報を管理する通信管理サーバ2と、通信ネットワークNを介して通信管理サーバ2に対して自らの通信設定情報の設定を行い、第1の医療通信機器1または通信管理サーバ2と相互に通信を行う第2の医療通信機器3とを備える。以下において、「医療通信機器」とは、通信ネットワークNを介して互いに通信可能な機能を備えている医用診断装置であり、例えば、X線診断装置やCT装置、超音波診断装置、磁気共鳴診断装置、ガンマカメラやPET及び診断用ワークステーション等が該当する。
【0016】
また、「第1の医療通信機器」と「第2の医療通信機器」とは、いずれも通信ネットワークNに接続される医療通信機器であることには違いないが、「第2の医療通信機器」は、新たに通信ネットワークNに接続され新たな通信設定情報の設定が必要となる医療通信機器、或いは、通信ネットワークNには接続されているがこれまでの通信設定情報を更新する医療通信機器を示している。これに対して「第1の医療通信機器」とは、特に通信設定情報の設定に関して更新する必要のない、もともと通信ネットワークNに接続されている既存の医療通信機器の総称である。
【0017】
なお、図1に示す医療通信機器設定システムSには、第1の医療通信機器1が通信ネットワークNに3つ(第1の医療通信機器1aないし1c)示されているが、通信ネットワークNに接続される第1の医療通信機器1の数はいくつであっても構わない。また、第2の医療通信機器3の通信ネットワークNへの接続台数も同様にいくつでも良い。
【0018】
さらに、通信ネットワークNの例としては、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。また、この通信ネットワークで使用される通信規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態における通信管理サーバ2の内部構成を示すブロック図である。通信管理サーバとしては、上述した医療通信機器のいずれであっても良いが、本発明の実施の形態においては、いわゆるパソコンといった情報端末を例に挙げて以下説明を行う。
【0020】
通信管理サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)2aと、ROM(Read Only Memory)2bと、RAM(Random Access Memory)2c及び入出力インターフェイス2dがバス2eを介して接続されている。入出力インターフェイス2dには、入力手段2fと、表示手段2gと、通信制御手段2hと、記憶手段2iと、リムーバブルディスク2jと、駆動部制御手段2kとが接続されている。駆動部制御手段2kは、例えばリムーバブルディスク2jの駆動ドライブ等の駆動部2lの駆動制御を行う。さらに、入出力インターフェイス2dを介して識別子生成手段2mも接続されている。
【0021】
CPU2aは、入力手段2fからの入力信号に基づいてROM2bから通信管理サーバ2を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶手段2iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU2aは、入力手段2fや入出力インターフェイス2dを介して、図2において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU2aは、RAM2cや記憶手段2i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM2cにロードするとともに、RAM2cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、バージョン情報の生成やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0022】
入力手段2fは、通信管理サーバ2の操作者(例えば、医師や検査技師)が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス2eを介してCPU2aに送信される。また、通信管理サーバ2には、キーボード等だけでなく専用の操作パネルが設けられており、その操作パネル上の入力デバイスを介して操作画面に対する操作を行うこともできる。表示手段2gは、例えば液晶ディスプレイである。この表示手段2gは、CPU2aからバス2eを介して出力信号を受信しCPU2aの処理結果等を表示する。
【0023】
通信制御手段2hは、LANカードやモデム等の手段であり、通信管理サーバ2をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御手段2hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス2d及びバス2eを介してCPU2aに送受信される。
【0024】
記憶手段2iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU2aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
【0025】
リムーバブルディスク2jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス2d及びバス2eを介してCPU2aに送受信される。
【0026】
識別子生成手段2mは、後述するように医療通信機器から送信された通信設定情報についての識別子を生成し、その通信設定情報に関するバージョン情報を生成する。なお、本発明の実施の形態では、識別子生成手段2mを通信管理サーバ2に搭載した例を挙げて以下、説明を行うが、記憶手段2i、或いはリムーバブルディスク2jに格納されている識別子生成プログラムを利用することでバージョン情報の生成を行うこともできる。この場合は、これらに格納されているプログラムがCPU2aに読み込まれ実行されることにより、識別子生成手段が通信管理サーバ2に実装されることになる。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態において、通信ネットワークNへ接続された第2の医療通信機器に関する通信設定情報に対するバージョン情報の生成から第1及び第2の医療通信機器相互間における通信開始までの流れを示すフローチャートである。以下、このフローチャートを使用してバージョン情報の作成から第1及び第2の医療通信機器相互間における通信開始までの流れを説明する。
【0028】
まず通信ネットワークNに第2の医療通信機器を接続する(ST1)。ここにいう「接続」については、医療通信機器を通信ケーブルを介して通信ネットワークNへ接続するという意味はもちろんのこと、その他に、通信管理サーバ2に対して医療通信機器の通信設定情報を設定するために医療通信機器に設けられている医療通信機器設定手段を介して接続することをも意味する。
【0029】
図4は、第2の医療通信機器3の内部構成を示すブロック図である。ここでは第2の医療通信機器を例に挙げてその内部構成を説明するが、上述したように通信設定情報の設定の有無によって第1の医療通信機器、第2の医療通信機器を分けていることからすれば、第1の医療通信機器の内部構成も図4に示す第2の医療通信機器の内部構成と同一である。
【0030】
第2の医療通信機器3の内部構成は、図2に示す通信管理サーバ2の内部構成と略同一である。相違する点は、識別子生成手段2mではなく、医療通信機器設定手段3mが設けられている点である。
【0031】
医療通信機器設定手段3mは、第2の医療通信機器3を新たに通信ネットワークNに接続し、この通信ネットワークNに既に接続されている第1の医療通信機器1との間で通信を行うために通信設定情報を設定する際に使用する手段として機能する。さらには、通信管理サーバ2内の記憶手段2iに格納されている第2の医療通信機器3についての通信設定情報に関する情報を更新(追加、修正、削除)するための設定手段として機能する。操作者は医療通信機器設定手段3mを利用して第2の医療通信機器の通信設定情報を新規登録、或いは、更新する。なお、ここではこの「医療通信機器設定手段」を第2の医療通信機器3内にあることを前提として説明するが、通信管理サーバ2内に設けられていても構わない。
【0032】
例えば、第2の医療通信機器が新規の機器であって初めて通信ネットワークNへ接続される場合には、操作者はまずその機器のネットワーク情報を登録する(ST2)。図5は、ネットワーク情報を登録する際に医療通信機器設定手段3mを利用する際に第2の医療通信機器3の表示手段3gに表示される画面例を表わした模式図である。
【0033】
図5の画面例には、上述したような医療機関内に構築されているシステムの通信ネットワークN上に接続可能な機器の一覧が示されている。新規の医療通信機器を通信ネットワークNへ接続する場合には、操作者は「追加」のボタンを押し下げることによって図6の画面例に示すような登録画面が現われる。そこで、「IP Address」や「HOST NAME」といった必要事項を入力する。
【0034】
一方、既存の医療通信機器がその通信設定情報を更新する場合には、登録されている「ホスト名」を選択した上で、図5の画面例右下に示されている「編集」ボタンを押し下げて編集画面へと遷移させて必要な事項を入力する。
【0035】
ところで、医療通信機器が通信ネットワークN上の他の医療通信機器との間で通信するために登録する通信設定情報には、「装置識別情報」、「利用サービス情報」及び「提供サービス情報」の3つの情報が含まれる。「装置識別情報」とは、図6の画面例にも示されているように通信ネットワークN上においてその医療通信機器を特定するための識別情報である。この「装置識別情報」には、例えば、図6に示されているような「IP Address」や「HOST NAME」等が含まれる。
【0036】
「利用サービス情報」とは、通信ネットワークN上に接続されている他の医療通信機器が持つ各種提供サービスのうちその医療通信機器が利用したいサービスの情報を示すものである。例えば、通信ネットワークNに画像保存サーバが接続されていた場合に、その画像保存サーバに撮影した画像を保存したい、といったことを表わす情報である。「提供サービス情報」とは、その医療通信機器の通信ネットワークN上における役割、すなわち、他の医療通信機器に対してその医療通信機器が提供することのできるサービスに関する情報を示すものである。第2の医療通信機器3が、例えば、検査予約機器である場合には、入力された検査予約を他の医療通信機器に対してその検査予約情報を提供する、といったサービスが可能であることを示す情報である。
【0037】
図6の画面例には、「利用サービス」と「提供サービス」という、それぞれ「利用サービス情報」と「提供サービス情報」を登録するためのボタンが設けられている。これらのボタンを押し下げて画面を遷移させると、例えば、図7のような画面例が表示手段3g上に表示される。図7に示す画面例は「利用サービス情報」を入力するための画面例である。画面に示される予め定められた項目に入力することによって、該当するサービスに関する情報を入力することが可能となる。入力された情報は、第2の医療通信機器から通信管理サーバ2へと送信されて、記憶手段2i内のそれぞれ「装置識別情報テーブル」、「利用サービス情報テーブル」、「提供サービス情報テーブル」に登録(記憶)される。
【0038】
通信管理サーバ2が第2の医療通信機器から通信設定情報にを受信すると、上述したように記憶手段2iに記憶されるとともに、識別子生成手段2mが呼び出されて受信した通信設定情報のバージョン情報が作成される(ST3)。このバージョン情報作成は、以下の流れに沿って行われる(図8に示すフローチャートを参照)。なお、本発明の実施の形態においては、バージョン情報は「装置識別情報」、「利用サービス情報」及び「提供サービス情報」それぞれについて作成されるが、以下では「装置識別情報」を例に挙げて説明を行う。
【0039】
まず、記憶手段2i内に記憶されている対象情報(ここでは「装置識別情報」である)を抽出する(ST21)。具体的には、識別子生成手段2mが記憶手段2i内の装置識別情報テーブルから「装置識別情報」を医療通信機器において処理可能な情報として読み出してオブジェクトに格納する。そして、格納された当該オブジェクトに対してシリアライズが行われる(ST22)。
【0040】
「シリアライズ」とは、複数の並列データを直列化して送信することである。具体的には、記憶手段2i上にある上記3つの情報を通信ネットワークNを介して医療通信機器相互間において送受信することができるように変換することを意味する。本発明の実施の形態においては、ステップ21で抽出された対象情報をXML形式に変換する。なお、シリアライズの方法については、本発明の実施の形態において採用した方法以外にも既に開示されている様々な方法を採用することができる。
【0041】
変換された情報を基にハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する(ST23)。使用されるハッシュ関数は、既存の関数を利用するものであり、同様の効果を奏するのであればどのようなハッシュ関数を用いても良い。
【0042】
なお、ここでハッシュ関数を用いてハッシュ値を求めることとしているのは、ハッシュ値は(アルゴリズムによって異なるものの)固定長となるため、基の情報の大きさを考慮することなくいずれの情報も基の情報よりも少なく、しかも同じ情報量へと変換することが可能となるからである。医療通信機器の通信設定情報をこのようなハッシュ値へと変換することによって、後述する第1の医療通信機器1における比較を容易にすることが可能となる。
【0043】
一方、識別子生成手段2mは、受信した第2の医療通信機器からの装置識別情報を基に、記憶手段2i内にその装置識別情報を送信してきた第2の医療通信機器に関する情報が既に記憶されていないか否かを検索する(ST24)。記憶手段2i内に既に各情報が記憶されている場合には(ST24のYES)、例えば、「バージョン1.0」を「バージョン1.1」とするように、既に付与されているバージョン情報の変数を更新する(ST25)。記憶手段2i内にその第2の医療通信機器に関する各情報が記憶されていない場合には(ST24のNO)、新たにバージョン情報の変数を付与する(ST26)。
【0044】
新規に付与された、或いは、更新されたバージョン情報の変数に算出されたハッシュ値を追加する(ST27)。その上で、「装置識別情報」、「利用サービス情報」及び「提供サービス情報」の全てについてハッシュ値が算出されたか否かを確認して(ST28)、算出されていない場合にはステップ12に戻って改めてハッシュ値を算出する。一方、全ての情報に対してハッシュ値が算出された場合には、バージョン情報の変数及びこの変数に追加された上記3つの情報に関するハッシュ値を、第2の医療通信機器から送信された通信設定情報に関するバージョン情報として記憶手段2iの該当する第2の医療通信機器についてのファイルに登録される(ST29)。
【0045】
図9は、作成されたバージョン情報のハッシュ値の部分のみを便宜的に表わした説明図である。図9によれば、左から「装置識別情報」についてのハッシュ値、「利用サービス情報」についてのハッシュ値、及び「提供サービス情報」についての各ハッシュ値を示している。これに図示しないバージョン情報の変数が付いて第2の医療通信機器からの通信設定情報(新規、或いは、更新)を示す識別子とされる。
【0046】
このような処理を経て作成された第2の医療通信機器の通信設定情報を表わす識別子は、通信管理サーバ2の記憶手段2i内に記憶される。そして記憶される識別子は常に最新の情報を示す識別子である。なお、上記では示さなかったが、最新の識別子が記憶されることによって、特に既存の通信設定情報に関する情報を表わす識別子は削除、或いは上書きされて消滅する。
【0047】
次に、第1の医療通信機器が第2の医療通信機器との間で通信回線を開く場合について説明する。上述したように、通信ネットワークNを介して医療通信機器相互間において通信を行うには、双方が他方の通信設定情報を認識していなければならない。本発明の実施の形態においては、医療通信機器の通信設定情報に関する情報は全て通信管理サーバ2の記憶手段2i内に記憶されていることから、第2の医療通信機器との間で通信回線を開く際には、第1の医療通信機器1は、まず通信管理サーバ2に対して通信対象となる第2の医療通信機器の通信設定情報に関する情報について確認の問い合わせを行う(ST4)。なお、第1の医療通信機器1が通信管理サーバ2へ行う問い合わせの間隔は任意に設定することができる。例えば、起動時、或いは、予め定められた一定時間ごと、である。
【0048】
問い合わせを受けた通信管理サーバ2は、記憶手段2i内において問い合わせのあった医療通信機器についてのバージョン情報を検索する(ST5)。検索されたバージョン情報は、通信管理サーバ2から問い合わせを発した第1の医療通信機器1へと回答される(ST6)。
【0049】
問い合わせを発した第1の医療通信機器1では、医療通信機器設定手段3mにおいて回答されたバージョン情報と、記憶手段1i内に記憶されている通信対象となる第2の医療通信機器に関するバージョン情報とを比較して、新規なバージョン情報であるか否かが判断される(ST7)。比較の結果、新規なバージョン情報である場合には(ST8のYES)、回答されたバージョン情報を基に通信管理サーバ2に対して該当するバージョン情報が付与されている第2の医療通信機器についての通信設定情報を取得する旨の要求を発する(ST9)。
【0050】
このような要求を受信した通信管理サーバ2は、要求に該当するバージョン情報が付与された第2の医療通信機器についての通信設定情報を記憶手段2iから検索して、要求を発した第1の医療通信機器1に対して回答する(ST10)。この回答を受信した第1の医療通信機器1は、医療通信機器設定手段3mを介して自機の記憶手段1iに記憶する(ST11)。
【0051】
一方、医療通信機器設定手段3mにおいて比較した結果、自機の記憶手段1i内に記憶されているバージョン情報と通信管理サーバ2から送信されたバージョン情報との相違がない、すなわち、新たにバージョン情報が作成されておらず、或いは、バージョン情報の更新がなされていない場合には(ST8のNO)、通信管理サーバ2から取得したバージョン情報を破棄する(ST12)。なお、この破棄はあくまでも直近に通信管理サーバ2から取得したバージョン情報のみの破棄であり、自機の記憶手段1i内に記憶されている通信対象となる医療通信機器についてのバージョン情報及び通信設定情報までもを破棄するわけではない。
【0052】
以上のようにして、通信対象となる医療通信機器についての通信設定情報を取得した第1の医療通信機器1は、通信ネットワークNを介して通信を行う(ST13)。
【0053】
このように、本発明の実施の形態においては、通信ネットワークに新たに接続される医療通信機器についての通信設定情報を含め、通信ネットワークに接続される全ての医療通信機器についての通信設定情報を通信管理サーバ内に一括して保管することとしている。このことによって、新規、或いは更新された通信設定情報が発生するたびに個々の医療通信機器ごとに通信設定情報の設定を行う必要がなくなり、必要な通信設定情報については個々の医療通信機器が通信管理サーバから取得することになるので、通信ネットワーク上において通信を希望する機器との間における通信設定情報の設定をより簡易な操作ではあるが確実に行うことのできる医療通信機器設定システム及び医療通信機器設定方法を提供することができる。
【0054】
また、医療通信機器が通信管理サーバ内の通信を希望する医療通信機器の通信設定情報が新規な、或いは、更新された情報であるか否かを判断する際も、その通信設定情報の全ての情報を比較する必要はなく、通信設定情報を基に作成された情報量の小さなバージョン情報のみを比較するだけで済む。従って、通信対象となる医療通信機器との間に通信回線を開設する際にも煩雑な比較手順を踏む必要がなく、通信ネットワーク上において通信を希望する機器との間における通信設定情報の設定をより簡易な操作によって行うことのできる医療通信機器設定システム及び医療通信機器設定方法を提供することができる。
【0055】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態における医療通信機器設定システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における通信管理サーバの内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態において、通信ネットワークへ接続された第2の医療通信機器に関する通信設定情報に対するバージョン情報の生成から第1及び第2の医療通信機器相互間における通信開始までの流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における第2の医療通信機器の内部構成を示すブロック図である。
【図5】ネットワーク情報の登録の際に第2の医療通信機器の表示手段に表示される画面例を表わした模式図である。
【図6】ネットワーク情報の登録の際に第2の医療通信機器の表示手段に表示される画面例を表わした模式図である。
【図7】ネットワーク情報の登録の際に第2の医療通信機器の表示手段に表示される画面例を表わした模式図である。
【図8】バージョン情報作成の流れを示すフローチャートである。
【図9】作成されたバージョン情報のハッシュ値の部分のみを便宜的に表わした説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 第1の医療通信機器
2 通信管理サーバ
3 第2の医療通信機器
N 通信ネットワーク
S 医療通信機器設定システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して通信を行う第1の医療通信機器と、
前記通信ネットワークに接続され、医療通信機器ごとに設定されている通信設定情報を管理する通信管理サーバと、
前記通信ネットワークを介して前記通信管理サーバに対して自らの通信設定情報の設定を行い、前記第1の医療通信機器または前記通信管理サーバと相互に通信を行う第2の医療通信機器と、
を備えることを特徴とする医療通信機器設定システム。
【請求項2】
前記通信管理サーバは、前記第2の医療通信機器からの通信設定情報の設定に関する情報を取得すると、前記通信設定情報に関する識別子を生成することで前記通信設定情報に対して適切なバージョン情報を付与する識別子生成手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の医療通信機器設定システム。
【請求項3】
前記識別子生成手段は、前記第2の医療通信機器から送信された前記通信設定情報を基にハッシュ関数を用いることによってバージョン情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の医療通信機器設定システム。
【請求項4】
前記第2の医療通信機器は、自らの通信設定情報を設定するための医療通信機器設定手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の医療通信機器設定システム。
【請求項5】
通信ネットワークに第2の医療通信機器を接続するステップと、
前記第2の医療通信機器に関する通信設定情報を前記通信ネットワークに接続されている通信管理サーバへ送信するステップと、
前記通信管理サーバは受信した前記第2の医療通信機器からの通信設定情報を新規設定登録、或いは、更新設定登録するステップと、
前記通信管理サーバが前記設定登録された通信設定情報に対する識別子を生成することで前記通信設定情報にバージョン情報を付与するステップと、
前記通信ネットワークに接続されている第1の医療通信機器が前記通信管理サーバへアクセスし、前記第2の医療通信機器についての通信設定情報に関する前記バージョン情報を取得するステップと、
前記第1の医療通信機器は、前記取得されたバージョン情報が新規な、或いは更新されたバージョン情報と判断した場合に、前記通信管理サーバに対して前記取得された前記バージョン情報に該当する前記通信設定情報を要求するステップと、
前記要求に基づいて取得された前記バージョン情報を用いて、前記第1の医療通信機器と前記第2の医療通信機器とが通信を行うステップと、
を備えることを特徴とする医療通信機器設定方法。
【請求項6】
前記ネットワークに第2の医療通信機器を接続するステップは、前記第2の医療通信機器に設けられている通信設定情報を設定するための医療通信機器設定手段を利用して接続するステップであることを特徴とする請求項5に記載の医療通信機器設定方法。
【請求項7】
前記通信管理サーバが前記設定登録された通信設定情報に対してバージョン情報を付与するステップは、前記通信管理サーバ内の識別子生成手段において
前記第2の医療通信機器から送信された通信設定情報から装置識別情報、利用サービス情報及び提供サービス情報を抽出するステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出された前記各情報についてハッシュ値を算出するステップと、
前記算出ステップにより算出された前記各情報に関するハッシュ値とバージョン情報の変数とををつなぎ合わせてバージョン情報とするステップと、
を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の医療通信機器設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−35837(P2010−35837A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202707(P2008−202707)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】