説明

医療針用安全シールド

医療針シールド装置は、例えば、医療針デバイスの針の遠位端を取り囲むための、後退位置から突出した位置まで伸長可能であるシールドのような第1シリンダーを含む。シールドは、医療針デバイスに取り付けられるカラーを含む。シールドは、更に、カラーから延びる近位部分と、近位部分から延びる遠位部分と、を含む。遠位部分は、針の遠位端を突出位置で取り囲むように形成されている。近位部分は、シールドを後退位置から突出位置まで押すのに係合可能である係合面を含む。カラーは、そこからの延びるガードを含み、後退位置のシールドの遠位部分に隣接して配置され、シールドの不注意な伸長が、遠位部分の係合により阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療針用安全シールドに係り、特に、後退位置から突出位置に安全シールドを形成する手動アクチュエータを採用する伸長可能な安全シールドに関する。
【背景技術】
【0002】
不注意な針棒に関連した問題は、血液サンプリング、経皮投薬注射、医療針の使用を含む他の医療処置の技術において周知である。エイズ、肝炎、他の深刻な血液に生ずる病原体に対する曝露に最近過敏となっているため、針棒の問題に重大な関心が集められている。
【0003】
患者から針を取り除くための処置は、一般には、針が引き抜かれている負傷部位に一方の手を使って圧力をかけて、その間に他方の手で針デバイスを除去することを臨床家に要求する。臨床家が、針の処理に向けられる注意よりも負傷に関する注意をより優先するのは普通の行為である。安全シールドがない典型的な針デバイスの場合、このような優先は、患者の側に置き去りにすることなく、一工程内で利用可能な針容器の利便性や安全処置のための他の手段を要求する。したがって、安全操作を行いながら十分な注意をはらう困難性は、やけど箇所と精神医学用語のような、しばしば患者の体調と精神状態によって倍加される。このような状況下では、患者を看護している間、使用される針の正しい処置は、従来技術の状態に対する技術的な挑戦である。
【0004】
針の配慮と処置問題に関連する広範な知識と歴史は、不測の針棒を阻止するための多数のデバイスに帰する。あるデバイスは、使用後、針に取り付けられる別個のシース又はキャップを利用する。しかしながら、これらのデバイスは、実施者による2つの手の操作を要する。
【0005】
他の周知のデバイスは、ばね作動したり、入れ子式にはまり込んだり、回動したり等するシースを採用している。しかしながら、これらのデバイスは、不都合にも期待はずれのものであったり、不注意に作動したり、作動させるのに扱いにくかったりする。さらに、最新のデバイスの欠点は、複雑性と多部品による高い製造コストを含む。したがって、これらのタイプの従来のデバイスは、危険な曝露を阻止するのに十分にかつ確実なシールド針注入及び/又は流体収集装置ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、従来技術の不利な点と欠点を克服することによって安全針デバイスについて満足な解決手段を提供する必要がある。したがって、針に対して危険な曝露を阻止する伸長可能な安全シールドを採用する信頼性のある医療針シールド装置を提供することが望まれる。このような針シールド装置は、針カニューレの針先を保護するのに簡単かつ確実に伸長可能であるべきである。針シールド装置が1つの手の操作で作動される場合が望ましい。医療針シールド装置が効率のよい組み立てとそれらの製造を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、使用後の医療針の先端を効果的に且つ安価に保護する医療針シールド装置に関するの要求を扱う。本発明は、従来技術で経験した不利な点と欠点を解決する。特に、本発明の装置及び方法は、安全針デバイスの従来技術において重大な進歩を構成する。
【0008】
1つの特定の実施形態では、医療針シールド装置が本発明の原理によって提供される。医療針シールド装置は、例えば、医療針デバイスの針の遠位端を取り囲むための、後退位置から突出位置まで伸長可能であるシールドのような第1シリンダーを含む。シールドは、医療針デバイスに取り付けられているカラーを含む。シールドは、さらに、カラーから延びる近位部分と、この近位部分から延びる遠位部分とを含む。遠位部分は、突出位置の針の遠位端を取り囲むように形成されている。近位部分は、シールドを後退位置から突出位置まで押すのに係合可能である係合面を含む。カラーは、そこから延びるガードを含み、後退位置でシールドの遠位部分に隣接して配置され、遠位部分の係合により、シールドの不注意な伸長が阻止される。
【0009】
カラーは、そこから延び、かつガードに支持的に関連するガード支持体を含むのがよい。遠位部分は、遠位部分の近位側に配置され、かつガードに保護的に隣接した平らな部分を含むのがよい。ガードは、平らな部分がシールドを突出位置に延ばすように使用されるのを阻止する。ガードは、遠位部分によるシールドの軸線方向と垂直方向の移動を阻止するように遠位部分に隣接して保護的に配置されている。ガードは遠位部分との係合を阻止するように遠位部分に対して寸法決めされ、形成されている。
【0010】
変形例として、係合面は、シールドを突出位置まで操作するための手動アクチュエータを含む。カラーは、シールドを後退位置に解除可能に係止するために遠位部分の止めに係合するラッチを含むのがよい。遠位部分は、後退位置から突出位置までのシールドの伸長を容易にするために針に係合するように形成された支点を含むのがよい。遠位部分は、平面と、ノーズ部分と、を有するのがよい。ノーズ部分は、平面の少なくとも一部分を含む。ノーズ部分は、針の配置のためのキャビティを構成する。キャビティは、側壁と平面によって構成されている。遠位部分は、シールドを突出位置に固定するために針に係合するロックを含む。近位部分はロックを含むのがよく、遠位部分は、シールドを突出位置に固定するのに協働するロックを含むのがよい。
【0011】
他の実施形態では、医療針シールド装置は、カラーを含む第1シリンダーを含む。カラーは、キャビティを構成する内面を有する。内面は、少なくとも1つの半径方向内方に突出するカラー停止体を含む。第2シリンダーは、医療針デバイスに取り付け可能に形成される。第2シリンダーは、少なくとも1つの半径方向外方に突出する近位停止体と、少なくとも1つの半径方向に突出する遠位停止体と、を含む外面を有する。カラーは、第2シリンダーの外面がカラーのキャビティ内に配置されるように第2シリンダーに対して相対回転運動可能に取り付けられる。少なくとも1つのカラー停止体は、第2シリンダーの外面に隣接して配置され、少なくとも1つの近位停止体は、医療針デバイスの長手方向軸線に対して、カラーの遠位軸線方向の移動を阻止し、少なくとも1つの遠位停止体は、カラーの近位軸線方向の移動を阻止する。
【0012】
第1シリンダーは、医療針デバイスの針の遠位端を取り囲むための、後退位置から突出位置まで伸長可能なシールドを含むのがよい。シールドは、更に、カラーから延びる近位部分と、近位部分から延びる遠位部分と、を含むのがよい。遠位部分は、針の遠位端を取り囲むように形成される。
【0013】
カラーは、複数のカラー停止体を含むのがよく、第2シリンダーは、複数の近位停止体と、複数の遠位停止体と、を含むのがよい。複数のカラー停止体は、カラーの内面のまわりに等間隔に配置されるのがよく、複数の遠位停止体は、第2シリンダーの外面のまわりに等間隔に配置されるのがよい。
【0014】
変形例として、第2シリンダーは、医療針デバイスに第2シリンダーを固定的に取り付けるためにプレス嵌め係合で第2シリンダーのまわりに取り付けられるプレスリングを含むのがよい。第2シリンダーは、接着剤によって医療針デバイスに取り付けられる。変形例として、第2シリンダーは、医療針デバイスを支持するように協働する第2カバー部分に取り付けられる第1カバー部分を有するカバーを含む。第2シリンダーは、さらに、プランジャーに係合するグリップ溝を有するカバーベースを含む。第1カバー部分は、第2カバー部分に係止的に係合する。グリップ溝は、医療針デバイスの近位端に隣接して配置されているのがよい。第1カバー部分は、第2カバー部分に枢着されているのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここに開示された医療針シールド装置の代表的な実施形態と操作方法が、静脈内の液体の注入、薬剤注入、液体収集に関する医療針について説明され、特に、例えば、不注意な針棒による針に対する損傷と針カニューレへの起こりうる危険な曝露を防ぐために、針カニューレと関連する針シールド装置が採用された医療針シールドデバイスについて説明されている。針カニューレは、貯蔵、搬送、液体注入、及び/又は収集、それらの後の行為等に使用中、シールドされているのがよいと考えられる。しかしながら、本発明は、被験者への予防的な医薬と薬剤の注入、治療等に関する広範囲な多様性のあるカニューレ針とデバイスの用途を見出すことが予想される。また、本発明は、静脈切開、消化器、腸、尿、獣医等に関する処置中に採用されることを含む体液の収集に採用されるのがよいことが予想される。医療針シールドデバイスは、供給用デバイス、静脈切開用デバイス、カテーテル、カテーテル導入器、ガイドワイヤ導入器、脊髄、硬膜、生検、アフェリシス(aphaeresis)、透析、血液ドナー、べレス針、フーバー(Huber)針等を含む他の医療針の用途に利用されてもよいことが考えられる。
【0016】
以下の説明では、用語「近位」は、臨床家の近くにある構造物の一部分に言及し、用語「遠位」は、臨床家からさらに遠くにある一部分に言及している。ここに用いられているように、用語「本人」は、点滴を受ける患者か、医療針シールド装置を用いて収集される血液及び/又は体液を有する患者に言及している。本発明によれば、用語「臨床家」は、注入を行う人、液体収集を行う人、医療針シールド装置から針カニューレを取り外しする人に言及し、援助要員を含む。
【0017】
以下の説明は、本発明による医療針シールド装置の説明を含む。添付図面に示された本発明の例示的な実施形態についての詳細を参照する。
【0018】
いくつかの図面にわたって同一の構成部分が同一の参照番号で指示されている図について着目する。まず、図1〜図4を参照すると、医療針シールド装置100が図示されており、この医療針シールド装置100は、例えば、後退位置から突出位置まで伸長可能であり、医療針デバイス106の針104の遠位端を取り囲むためのシールド102のような第1シリンダーを含む。シールド102は、医療針デバイス106に取り付けられたカラー108を含む。近位セグメント110のような近位部分は、例えば、カラー108から延びる。遠位セグメント112のような遠位部分は、例えば、近位セグメント110から延びる。遠位セグメント112は、針104の遠位端を取り囲むように形成されている。
【0019】
シールド102は1つ又は複数のセグメントを含んでもよいことが考えられる。近位部分110は、シールド102を後退位置から突出位置まで押し付けるのに係合可能である係合面114を含む。カラー108は、そこから延びるガード116を含み、シールド102が後退位置にあるとき、遠位セグメント112に隣接して配置されている。この形態は、有利にも、遠位部分112の係合によって、シールド102の不注意な伸長を阻止する。
【0020】
医療針シールド装置の構成部品は、特殊な医療用途及び/又は臨床家の好みに応じて、例えば、高分子材料、又はステンレス鋼のような金属等の医療用途に適した材料から作られる。半硬質及び硬質高分子は、医療グレードの成形ポリプロピレンのような弾性材料と同様に、組み立てを考慮している。しかしながら、当業者は、本発明による、組み立てと製造に適した他の材料と組立方法がふさわしいことを十分に理解する。
【0021】
カラー108は、医療針デバイス106を中心に円周方向に配置されている。カラー108が、医療針デバイス106の形状と一致する種々の断面形状を有するのがよいことが予想される。ガード116は、カラー108から半径方向外方に延び、ノーズ部分130と一致する形状を有する。この隣接した形状は、遠位セグメント112との軸方向の係合を阻止し、シールド102の不注意な作動を防ぐ。ガード116は、シールド102の不注意な作動を防ぐように多様に形成され、寸法決めされていることが予想される。
【0022】
ガード116は、不注意な係合に抵抗するためのガード116に強度を増大させるガード支持体136を含むのがよい。ガード支持体136は、傾斜した支持体形状を有し、特殊な針の用途の要求に応じて種々に寸法決めされ、幾何学的に形成されている。ガード116は、カラー108と共に一体的に形成されてもよいし、スナップ嵌め、接着剤等によって一体的に組み付けられてもよい。
【0023】
医療針デバイス106は、例えば、注射器118を含む。注射器118は、針取付け台120から延びる針カニューレ104を有する。
【0024】
遠位セグメント112は、シールド102の伸長に関する近位セグメント110から突出位置まで連結している。近位セグメント110の係合面114は、手動アクチュエータ128を含むのがよい。シールド102を後退位置から突出位置まで押し付けるための手動アクチュエータ128は、臨床家によって係合可能である。手動アクチュエータ128は、カラー108から連結されている。手動アクチュエータ128が係合されるとき、近位セグメント110は遠位セグメント112をほぼ軸線方向に遠位方向に移動させ、遠位セグメント112は、針カニューレ104に係合し、シールド102の伸長を容易にする。遠位セグメント112は、平面132を有するノーズ部分130を含む。シールド102の突出位置では、ノーズ部分130は、平面132と協力して、針104の遠位端をほぼ取り囲む。
【0025】
カラー108は、カラーキャビティ126を構成する内面142を有する。内面142は、半径方向内方に突出したカラー停止体146のような、少なくとも1つの第1インターロックを含む。カラー停止体146は、例えば、取付用リング148のような第2の円筒体と係合可能にカラーキャビティ126内に一様に隆起している。この形状は、シールド102を注射器118に取り付けるのを容易にする。1つ又は複数のカラー停止体146を用いてもよいことがわかる。さらに、カラー停止体146は、環状リングを含むように、例えば、時差、オフセット、波形等、非一様な方法で隆起していてもよいし、突き出してもよいことが明らかである。
【0026】
取付用リング148は、注射器118に取付け可能に形成されている。この形状は、有利にも、シールド102を注射器118に取り付けるのを容易にする。取付用リング148は、複数の半径方向外方に突出している近位停止体162と複数の半径方向外方に突出している遠位停止体160のような、少なくとも1つの第2インターロックを含む外面150を有する。近位停止体162と遠位停止体160は、外面150のまわりに円周方向に等間隔に配置されている。近位停止体162と遠位停止体160は、カラーキャビティ126内に配置可能に外面150から一様に隆起している。1つ又は複数の停止体160,162が採用されてもよいことが考えられる。停止体162,160は、環状リングを含むように、例えば、食い違い状のオフセット、波形等の非一様な方法で隆起してもよいし、突き出してもよい。第1及び第2のインターロックは、近位方向と軸線方向双方への移動を阻止する。回転運動を阻止するように第3のインターロックを加えてもよい。
【0027】
取付用リング148は、例えば、感圧性接着剤、紫外光活性接着剤、熱接着剤、1部及び/又は2部接着剤、ゴムセメント、「スーパーグルー」タイプ接着剤、グルースティックタイプ接着剤、自然乾燥接着剤、プレス嵌め等の接着剤によって注射器118に取り付けられるのがよい。取付用リングを用いなくてもよいことが予想される。カラー108は、注射器118に同様に取り付けられてもよい。
【0028】
カラー108は、外面150がカラーキャビティ126に配置されるように、取付用リング148に対して相対回転運動可能に取り付けられている。カラー停止体146は、外面150に隣接して配置されている。カラー108は、カラー停止体146が近位停止体162及び遠位停止体160と互いにかみ合い配置に向けられるように、取付用リング148に対して回転される。したがって、近位停止体162はカラー停止体146と整列し、注射器118の長手方向軸線に対するカラー108の遠位軸線方向の移動を阻止する。遠位停止体160は、カラー停止体146と整列し、カラー108の近位軸線方向の移動を阻止する。
【0029】
本実施形態は、有利にも注射器118からのシールド102の移動を阻止する。さらに、本実施形態は、例えば、低角度の皮下注射等の間、医療針デバイス106による液体の投与の障害を回避する。したがって、カラー108は、注射器118に取り付けられた取付用リング148に対して回転可能であり、針カニューレ104の針先斜面の方向付けを容易にする。このことにより、シールド102に対する針先斜面の選択的な方向付けが可能となり、注射器118を採用する投与操作中、シールド102が位置決めの障害とならない。第1シリンダーは針102や取付用リング148を含んでもよく、第2シリンダーは針102や取付用リング148を含んでもよいことが考えられる。
【0030】
図4及び図5を参照し、取付用リング148の変形実施形態を上述と同様に示す。取付用リング148の外面150は、カラー部分170と、そこから延びる締め付け可能な部分172を有する。近位停止体162と遠位停止体160は、外面150に形成されている。締め付け可能な部分172は、クランプリング166との係合を受け入れ可能に形成されている。したがって、クランプリング166は、締め付け可能な部分172を配置可能なクランプキャビティ168を構成する。取付用リング148は、上述と同様に、カラーキャビティ126内に配置されている。クランプリング166は、2つのイヤクリンプキャップとして形成されている。クランプリング166は、変形例として、1つのイヤクリンプクランプ、無段イヤクランプ、スプリングクランプ、プッシュ保持子、プッシュキャップ等として構成されてもよい。
【0031】
クランプリング166は、注射器118に対して方向付け可能に操作される。取付用リング148は、上述と同様に、注射器118に取り付けられる。クランプリング166は、取付用リング148の締め付け可能な部分172に嵌められ、取付用リング148は、注射器118にしっかりと固定される。クランプリング166が取付用リング148の内面又は外面150に取り付けられるのがよいことがわかる。さらに、クランプリング166は針102のカラー108と共に直接的に採用されてもよいし、カラー108の内面又は外面に同様に取り付けられてもよい。クランプリング166とカラー108は、クランプリング166とカラー108が1つのユニットとして注射器118に締め付けられるプレス嵌めを形成するように構成されてもよい。
【0032】
図6〜図8を参照し、取付用リング148の他の変形実施形態を上述と同様に示す。取付用リング148は、第2カバー部分178に取付け可能な第1カバー部分176を有するカバー174を含む。カバー174は、カバーキャビティ182を構成し、その近位端にカバーベース180を含む。カバー174、及び同じカバーキャビティ182は、注射器118に取り付け可能に構成されている。取付用リング148は、上述と同様に、近位停止体162と遠位停止体160を含み、これらは、上述したように、シールド102を注射器118に取り付けるのを容易にするカラー108と協働する。
【0033】
カバーベース180は、ベース開口部184とグリップ溝186を含む。グリップ溝186は、注射器118のフィンガーグリップを受け入れ可能に形成されたグリップ溝開口部190を構成するグリップ溝リップ188を含む。グリップ溝リップ188は、フィンガーグリップを支持し、取付用リング148への注射器118の取付けを容易にし、カバー174に対する注射器118の回転を阻止する。グリップ溝リップ188は、例えば、図14に示すように、種々のフィンガグリップ形態を支持するように形成され、寸法決めされるのがよいことが予想される。また、フィンガーグリップ形態は、図14に示すように注射器バレル内でプランジャーを保持するように形成されるのがよいことが考えられる。さらに、グリップ溝186は、注射器118への取り付けを容易にするクリップ、クランプ等を含んでもよいことが予想される。
【0034】
第1カバー部分176と第2カバー部分178は、同様に注射器118に取り付け可能に形成され、寸法決めされる。部分176,178は、遠位端から近位端まで延びる細長い半円筒である。カバー174は、例えば、多角形、楕円等の種々の横断面形状を有するのがよいことが考えられる。さらに、第1カバー部分176は、第2カバー部分178よりも異なる形状と寸法であるのがよいことがと考えられる。複数のカバー部分が使用されてもよいし、変形例として、各カバー部分が複数の部分から組み立てられてもよい。変形実施形態では、図9に示すように、取付用リング148は、注射器118に滑動するモノリシックチューブタイプの針形態を有するカバー174を含む。他の変形実施形態では、図10に示すように、取付用リング148は、長手方向に沿ってヒンジ結合した第1カバー部分176と第2カバー部分178を有するカバー174を含む。このワンピースのクラムシェルタイプの形態は、雄タブ192と雌スロット194を採用する係止係合で注射器118のまわりに支持可能に取り付けられている。
【0035】
第1カバー部分176は、例えば、雄タブ192のような第1部分結合具と、例えば、雌スロット194のような第2部分結合具を含み、これらの結合具は、いずれかの側に交互に、かつ近位端と遠位端に配置されている。第1カバー部分176に対して相互関係にある第2カバー部分178は、雄タブ192と雌スロット194を含む。第1カバー部分176のタブ192とスロット194は、第1カバー部分176を第2カバー部分178と共に組み立てて、係止することができるように、第2カバー部分178の対応するスロット194とタブ192と共にそれぞれ配置されている。第1カバー部分176と第2カバー部分178を組み立てると、雄タブ192は雌スロット194とかみ合って係止する。1つ又は複数の雄タブ192/雌スロット194の組み合わせを採用してもよいことが予想される。さらに、雄タブ192/雌スロット194の組み合わせをカバー174のまわりに様々に配置してもよいことが予想される。カバー部分は、例えば、音波、高周波、熱等の接着剤、溶接によって接合することができると考えられる。
【0036】
注射器118は、針カニューレ104がカバー174の遠位端から突出し、注射器118のフィンガーグリップが近位端カバー174から突出するように、カバーキャビティ182内に配置されている。この形態により、有利にも、注射器118と注射器カバー174がカラー108に対して回転可能となる。ゴムシースは針カニューレ104のまわりに、かつ針取付け台120に取り付けられ、針カニューレ104の遠位端に対する危険な曝露を防ぐ。
【0037】
図11〜図13に示すように、他の実施形態では、注射器118はプランジャー198を含み、このプランジャー198は、プランジャーヘッド200まで延びるプランジャーロッド196を有する。プランジャー198は、注射器118のバレルと組み立てられ、プランジャー198を操作すると、液体が注射器118から放出される。
【0038】
グリップ溝リップ188は、注射器118の長手方向軸線に対して直交し、かつ半径方向内方に延びる。グリップ溝リップ188は、プランジャーロッド196を滑動可能に受け入れる開口部を構成するように互いに近づく。しかしながら、開口部はグリップ溝186を超えたプランジャーヘッド200の近位方向への移動を阻止するように十分に寸法決めされている。この形態は、有利にも、プランジャーヘッド200が注射器118のバレルから引き抜かれるのを阻止し、注射器118からのプランジャー198の不注意な移動を阻止する。
【0039】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態において具体化される。したがって、本実施形態は、例示されたようなあらゆる面において考慮されるべきであり、限定的なものであってはならず、本発明の範囲は、上述した説明によってよりもむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、したがって、特許請求範囲の同義語の意味及び範囲で生ずるすべて変更は、そこに含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の医療針シールド装置の一部破断した斜視図である。
【図2】図1に示す医療針シールド装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示す医療針シールド装置の部分分解斜視図である。
【図4】図1に示す医療針シールド装置の他の実施形態の一部破断した斜視図である。
【図5】図4に示す医療針シールド装置の分解斜視図である。
【図6】図1に示す医療針安全シールド装置の他の変形実施形態の斜視図である。
【図7】図6に示す医療針シールド装置の部分分解斜視図である。
【図8】図6に示す医療針シールド装置の分解斜視図である。
【図9】図6に示す医療針シールド装置の他の実施形態の分解斜視図である。
【図10】図6に示す医療針シールド装置の他の変形実施形態の分解斜視図である。
【図11】図6に示す医療針シールド装置の他の変形実施形態の斜視図である。
【図12】図11に示す医療針シールド装置の部分分解斜視図である。
【図13】図11に示す医療針シールド装置の分解斜視図である。
【図14】図6に示す医療針シールド装置の他の変形実施形態の分解斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療針シールド装置であって、
医療針デバイスの針の遠位端を取り囲むための、後退位置から突出位置まで伸長可能であるシールドを有し、このシールドは、上記医療針デバイスに取り付けられているカラーを含み、さらに、上記カラーから延びる近位部分と、近位部分から延びる遠位部分と、を含み、上記遠位部分が突出位置の上記針の遠位端を取り囲むように形成されており、
上記近位部分は、上記シールドを上記後退位置から上記突出位置まで押すのに係合可能である係合面を含み、上記カラーは、そこから延びるガードを含み、上記後退位置の上記シールドの上記遠位部分に隣接して配置され、上記遠位部分の係合により、上記シールドの不注意な伸長が阻止されることを特徴とする医療針シールド装置。
【請求項2】
上記カラーは、更に、そこから延び、かつ上記ガードに支持的に関連するガード支持体を含む請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項3】
上記遠位部分は、上記遠位部分の近位側に配置され、かつ後退位置にあるとき上記ガードに保護的に隣接した平らな部分を含み、それによって、ガードは、上記平らな部分が上記シールドを上記突出位置に延ばすように使用されるのを阻止する請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項4】
上記ガードは、上記遠位部分による上記シールドの軸線方向と垂直方向の移動を阻止するように、上記遠位部分に隣接して保護的に配置されている請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項5】
上記ガードは、上記遠位部分との係合を阻止するように上記遠位部分に対して寸法決めされ、形成されている請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項6】
上記係合面は、上記シールドを上記突出位置まで操作するための手動アクチュエータを含む請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項7】
上記カラーは、上記シールドを上記後退位置に解除可能に係止するするために上記遠位部分の止めに係合するラッチを含む請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項8】
遠位部分は、上記後退位置から上記突出位置までの上記シールドの伸長を容易にするために上記針に係合するように形成された支点を含む請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項9】
上記遠位部分は、平面と、ノーズ部分と、を有し、上記ノーズ部分は、上記平面の少なくとも一部分を含み、上記ノーズ部分は、上記針の配置のためのキャビティを構成し、上記キャビティは、上記側壁と上記平面によって構成されている請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項10】
上記遠位部分は、上記シールドを上記突出位置に固定するために上記針に係合するロックを含む請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項11】
近位部分はロックを含み、上記遠位部分は、上記シールドを上記突出位置に固定するのに協働するロックを含む請求項1記載の医療針シールド装置。
【請求項12】
医療針シールド装置であって、
カラーを含む第1シリンダーを有し、上記カラーは、キャビティを構成する内面を有し、この内面は、少なくとも1つの第1インターロックを含み、
上記医療針シールド装置は、医療針デバイスに取り付け可能に形成された第2シリンダを有し、この第2シリンダーは、少なくとも1つの第2インターロックを含む外面を有し、上記カラーは、上記第2シリンダーに対して相対回転運動可能に取り付けられ、上記第2シリンダーの外面は、上記カラーの上記キャビティ内に配置され、上記少なくとも1つの第1インターロックは、第2シリンダーの外面に隣接して配置され、上記少なくとも1つの第2インターロックは、医療針デバイスの長手方向軸線に対するカラーの近位かつ軸線方向の移動を阻止することを特徴とする医療針シールド装置。
【請求項13】
上記第1インターロックは、少なくとも1つの半径方向内方に突出したカラー停止体を含む請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項14】
上記第2インターロックは、少なくとも1つの半径方向外方に突出する近位停止体と、少なくとも1つの半径方向に突出する遠位停止体と、を含み、少なくとも1つの近位停止体は、医療針デバイスの長手方向軸線に対し、カラーの遠位軸線方向の移動を阻止し、少なくとも1つの遠位停止体は、カラーの近位軸線方向の移動を阻止する請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項15】
回転運動を阻止するための第3インターロックを含む請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項16】
上記第1シリンダーは、医療針デバイスの針の遠位端を取り囲むための、後退位置から突出位置まで伸長可能なシールドを含み、このシールドは、更に、上記カラーから延びる近位部分と、上記近位部分から延びる遠位部分と、を含み、上記遠位部分は、上記針の遠位端を取り囲むように形成されている請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項17】
上記カラーは、更に、上記シールドを後退位置に解除可能に係止するために上記シールドの遠位部分の止めに係合するラッチを含む請求項16記載の医療針シールド装置。
【請求項18】
上記カラーは、複数のカラー停止体を含み、上記第2シリンダーは、複数の近位停止体と、複数の遠位停止体と、を含む請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項19】
上記複数のカラー停止体は、カラーの内面のまわりに等間隔に配置され、複数の近位停止体は、第2シリンダーの外面のまわりに等間隔に配置され、複数の遠位停止体は、第2シリンダーの外面のまわりに等間隔に配置されている請求項18記載の医療針シールド装置。
【請求項20】
更に、医療針デバイスに第2シリンダーを固定的に取り付けるためにプレス嵌め係合で第2シリンダーのまわりに取り付けられるクランプリングを含む、請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項21】
第2シリンダーは、接着剤によって医療針デバイスに取り付けられる請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項22】
第2シリンダーは、プレス嵌めによって医療針デバイスに取り付けられる請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項23】
第2シリンダーは、医療針デバイスを支持するように協働する第2カバー部分に取り付けられた第1カバー部分を有するカバーを含み、第2シリンダーは、更に、グリップ溝を有するカバーベースを含む請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項24】
第2シリンダーは、医療針デバイスを支持するように協働する第2カバー部分に取り付けられた第1カバー部分を有するカバーを含み、第2シリンダーは、更に、プランジャーに係合するグリップ溝を有するカバーベースを含む請求項12記載の医療針シールド装置。
【請求項25】
上記第1カバー部分は、第2カバー部分に係止的に係合する請求項24記載の医療針シールド装置。
【請求項26】
上記第1カバーは、接着剤によって第2カバー部分に係合する請求項24記載の医療針シールド装置。
【請求項27】
上記グリップ溝は、医療針デバイスの近位端に隣接して配置されている請求項24記載の医療針シールド装置。
【請求項28】
上記第1カバー部分は、上記第2カバー部分に枢着されている請求項24記載の医療針シールド装置。
【請求項29】
上記第1カバー部分と上記第2カバー部分は、一体的に形成されている請求項24記載の医療針シールド装置。
【請求項30】
医療針シールド装置であって、
医療針デバイスの針の遠位端を取り囲むための、後退位置から突出位置まで伸長可能であるシールドを有し、このシールドは、上記医療針デバイスに取り付けられるカラーを含み、上記シールドは、更に、上記カラーから延びる近位部分と、近位部分から延びる遠位部分と、を含み、上記遠位部分は、上記針の遠位端を取り囲むように形成され、
上記近位部分は、上記シールドを上記後退位置から上記突出位置まで押すのに係合可能である係合面を含み、上記カラーは、そこから延びるガードを含み、上記後退位置で上記シールドの上記遠位部分に隣接して配置され、上記遠位部分の係合による上記シールドの不注意な伸長が阻止され、
シールドは、更に、カラーを含み、このカラーは、キャビティを構成する内面を有し、上記内面は、少なくとも1つの第1インターロックを含み、
上記医療針シールド装置は、医療針デバイスに取り付け可能に形成された取付用リングを有し、この取付用リングは、少なくとも1つの第2インターロックを含む外面を有し、上記カラーは、上記取付用リングと共に相対回転運動可能に取り付けられ、上記取付用リングの外面は、上記カラーの上記キャビティ内に配置され、上記少なくとも1つの第1インターロックは、取付用リングの外面に隣接して配置され、少なくとも1つの第2インターロックは、医療針デバイスの長手方向軸線に対する近位かつ軸線方向の移動を阻止することを特徴とする医療針シールド装置。
【請求項31】
上記第1インターロックは、少なくとも1つの半径方向内方に突出しているカラー停止体を含む請求項30記載の医療針シールド装置。
【請求項32】
上記第2インターロックは、少なくとも1つの半径方向外方に突出している近位停止体と、少なくとも1つの半径方向に突出している遠位停止体と、を含み、少なくとも1つの近位停止体は、医療針デバイスの長手方向軸線に対するカラーの遠位軸線方向の移動を阻止し、少なくとも1つの遠位停止体は、カラーの近位軸線方向の移動を阻止する請求項30記載の医療針シールド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−507903(P2006−507903A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557413(P2004−557413)
【出願日】平成15年12月1日(2003.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2003/038080
【国際公開番号】WO2004/050150
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(501289751)タイコ・ヘルスケア・グループ・リミテッド・パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】