説明

医薬の併用およびその用途

【課題】2型糖尿病の治療のための優れた医薬及びそれを使用した治療方法の提供。
【解決手段】(a)3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、(b)(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬、(iii)降圧薬、(iv)糖尿病性合併症治療薬、(v)抗肥満薬、(vi)抗血小板薬及び(vii)抗凝固薬から選ばれる医薬の有効成分とを組み合わせてなる同時的又は分離的な使用のための併用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a) 3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、 (b)(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬、(iii)降圧薬、(iv)糖尿病性合併症治療薬、(v)抗肥満薬、(vi)抗血小板薬及び(vii)抗凝固薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分とを組み合わせてなる同時的又は分離的な使用のための併用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、血液中のグルコース濃度(血糖値)が異常に上昇した状態であり、糖尿病性微小血管合併症に加え、虚血性心疾患等の動脈硬化性疾患の重要な危険因子の一つである。
したがって、生活習慣の改善に加え、抗糖尿病薬を服用することにより、血糖値を適切なレベルにコントロールすることが求められている。
【0003】
現在、種々の抗糖尿病薬が上市され臨床現場で使用されているが、いずれの薬剤も1剤のみでは複雑な糖尿病の病態を十分に改善できず、糖尿病治療には複数の薬剤の組み合わせが使用されている。
【0004】
糖尿病治療時の代表的な併用薬として、スルホニル尿素(以下、SUと記すこともある)剤があるが、SU剤は低血糖の危険があるので、複数の薬剤の併用時には、特に注意を要する。また長期間のSU剤使用により、β細胞の疲弊を招くことが懸念されている。
【0005】
近年、糖代謝異常、脂質代謝異常、肥満及び高血圧等の複数の危険因子を重複して発症することにより、動脈硬化性疾患のリスクが非常に高まることが注目されている。複数の危険因子を重複しているこの病態は、“メタボリックシンドローム”あるいは“マルチプルリスクファクター症候群”として注目されている。この病態では、血糖値のコントロールに加え、高脂血症、高血圧及び肥満を治療する必要がある。さらに、これらの病態では、血液粘度の増加により血栓が生じやすくなっているので、血栓形成を抑制する薬剤、すなわち、抗血小板薬や抗凝固薬も併用される場合がある。
【0006】
食事に伴い、消化管から分泌されるグルカゴン様ペプチド-1(以下、GLP-1と記すこともある)、及びグルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(以下、GIPと記すこともある)は、強力なインスリン分泌促進作用を有する。しかしながら、GLP-1及びGIPは、ジペプチジルペプチダーゼIV(以下、DPP-IVと記すこともある)により分解されるため、生体内においてその作用を十分に発揮できない可能性がある。
【0007】
DPP-IV阻害薬は、GLP-1及びGIPの分解を抑制することでインスリン分泌を促進し、血糖低下作用を示すことから、2型糖尿病治療薬として開発中である(非特許文献1参照)。
【0008】
また、DPP-IV阻害薬と他の抗糖尿病薬とを組み合わせて血糖制御を試みる治療方法が知られている(特許文献1,2参照)。さらに、最近、DPP-IV阻害薬LAF237とメトホルミンの組み合わせによる血糖制御を臨床において検討した成績が報告された(非特許文献2参照)。
【0009】
しかし、これらの組み合わせは、いずれもDPP-IV阻害作用を有する特定の化合物と他の抗糖尿病薬との組み合わせによるものであり、DPP-IV阻害薬として3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩、又はそれらの溶媒和物と他の抗糖尿病薬との併用についての具体的な記載は無く、その組み合わせによる糖尿病の治療効果についても一切知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開WO01/052825号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO01/097808号パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Drucker DJ、Expert Opin Investig Drugs 2003, 12: 87-100
【非特許文献2】Ahren B ら、Diabetes Care. 2004, 27:2874-80
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、未だ確立されていない2型糖尿病の治療のための優れた医薬及びそれを使用した治療方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者等は上記に鑑み研究を行った結果、3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、例えば、メトホルミン又はボグリボース等の抗糖尿病薬等とを併用することにより適切な血糖コントロールが可能になることを見出した。さらに、これを詳細に検討した結果、ボグリボース等のαグルコシダーゼ阻害薬との併用時には、インスリン分泌を殆ど誘発することなく、血糖低下作用を示すことも見出した。
【発明の効果】
【0014】
本発明の併用剤は、2型糖尿病、糖尿病性合併症等の治療及び/又は予防薬として有効であり、例えば、ヒトに代表される温血哺乳類における高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、糖尿病、インスリン抵抗性グルコース代謝障害、耐糖能異常(以下、IGTと記すこともある)状態、空腹時血漿グルコース障害状態、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー、糸球体硬化症、糖尿病性神経障害、メタボリックシンドローム、冠動脈心疾患、慢性及び急性腎不全又は高血圧症等の予防、進行遅延又は処置のために投与することが出来る。特に3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジンとαグルコシダーゼ阻害薬との組み合わせは、インスリン分泌を伴わずに血糖低下作用を示すことから、糖尿病に対する新しい治療方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ZFラットにおける経口糖負荷後の血漿中グルコース濃度上昇時間面積値に対する化合物3及びボグリボースの作用、並びに、化合物3及びボグリボースの併用時の作用を示す図である。各カラムは、平均値±標準誤差を示す。時間面積値は、糖負荷後60分間の血漿中グルコース濃度変化から算出した。* P<0.05:化合物3あるいはボグリボース単独(2又は3群)と併用(4群)の比較(Student’s t-test)
【図2】ZFラットにおける経口糖負荷後の血漿中インスリン濃度上昇時間面積値に対する化合物3及びボグリボースの作用、並びに、化合物3及びボグリボースの併用時の作用示す図である。各カラムは、平均値±標準誤差を示す。時間面積値は、糖負荷後60分間の血漿中インスリン濃度変化から算出した。* P<0.05:化合物3あるいはボグリボース単独(2又は3群)と併用(4群)の比較(Student’s t-test)
【図3】ZFラットにおける経口糖負荷後の血漿中グルコース濃度上昇時間面積値に対する化合物3及びメトホルミンの作用、並びに、化合物3及びメトホルミンの併用時の作用示す図である。各カラムは、平均値±標準誤差を示す。時間面積値は、糖負荷後120分間の血漿中グルコース濃度変化から算出した。* P<0.05:化合物3あるいはメトホルミン単独(2又は3群)と併用(4群)の比較(Student’s t-test)
【発明を実施するための形態】
【0016】
即ち、本発明は、以下の(1)ないし(12)に記載した併用剤及び(13)ないし(23)に記載したの予防及び/または治療方法に関する。
(1). (a) 3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、
(b)(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬、(iii)降圧薬、(iv)糖尿病性合併症治療薬、(v)抗肥満薬、(vi)抗血小板薬及び(vii)抗凝固薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分とを組み合わせてなる同時的又は分離的な使用のための併用剤。
(2). (a) 3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物;
(b)(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬、(iii)降圧薬、(iv)糖尿病性合併症治療薬、(v)抗肥満薬、(vi)抗血小板薬及び(vii)抗凝固薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分;並びに;
(c)医薬上許容される担体を含む、同時的又は分離的な使用のための併用剤。
(3). (b)が、(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬及び(iii)降圧薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である前記(1)又は(2)のいずれかに記載の併用剤。
(4). 有機もしくは無機の一ないし二塩基酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、メシル酸、トシル酸、ベシル酸、マレイン酸、ナフタレン-1-スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、没食子酸又はカンファースルホン酸である前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の併用剤。
(5). 有機もしくは無機の一ないし二塩基酸が、2.0臭化水素酸、2.5臭化水素酸、2マレイン酸、2トシル酸、2.5塩酸、2ナフタレン-1-スルホン酸、2メシル酸、3メシル酸又は2ナフタレン-2-スルホン酸である前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の併用剤。
(6). 抗糖尿病薬が、インスリン、インスリン分泌促進薬、インスリン感受性増強薬、インスリンシグナル伝達経路モジュレータ、肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬及び糖質吸収阻害薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の併用剤。
(7). インスリン分泌促進薬が、スルホニル尿素剤、非スルホニル尿素系インスリン分泌促進薬、インクレチンホルモン又はナトリウムイオン−グルコース共輸送体阻害薬であり、
インスリン感受性増強薬が、チアゾリジンジオン誘導体、非グリタゾン型PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、レチノイドX受容体アゴニスト又は11βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1阻害薬であり、
インスリンシグナル伝達経路モジュレータが、プロテインチロシンホスファターゼ阻害薬、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ阻害薬、抗糖尿病性非小分子偽化合物、GSK-3阻害薬、JNK阻害薬又はIKβ阻害薬であり、
肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬が、ビグアナイド薬、グルコース-6-ホスファターゼ阻害薬、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、グルカゴン受容体拮抗薬、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ阻害薬又はピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害薬であり、
糖質吸収阻害薬が、胃内容物排泄阻害薬又はαグルコシダーゼ阻害薬である前記(6)記載の併用剤。
(8). 脂質低下薬が、ミクロソームトリグリセリド転送蛋白阻害薬、HMG CoA還元酵素阻害薬、陰イオン交換樹脂、コレステロール吸収阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、コレステリルエステル転送蛋白阻害薬、フィブリン酸誘導体、LDL受容体活性の上昇制御薬、リポキシゲナーゼ阻害薬及びACAT阻害薬から成る群から選択される、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の併用剤。
(9). 降圧薬が、ACE阻害薬、AT1受容体拮抗薬、レニン阻害薬、NEP/ACE阻害薬、カルシウムチャンネル拮抗薬、α1アドレナリン受容体遮断薬、βアドレナリン受容体遮断薬、利尿薬、エンドセリン変換酵素阻害薬及びエンドセリン受容体拮抗薬から成る群から選択される、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の併用剤。
(10). 抗糖尿病薬が、グリメピリド、グリピジド、トルブタミド、クロロプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリブリド、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド、エクセナチド、NN-2211、CJC-1131、ZP-10、LY315902、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、MCC-555、Gl-262570、JTT-501、ムラグリタザール、テサグリタザル、LY-465608、LG100268、LGD1069、BVT-3498、BVT-2773、BVT-14225、L-783281、メトホルミン、CS-917、BAY27-9955、インスリン、アミリン、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール、T-1095及びKGA2727、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
脂質低下薬が、インプリタピド、JTT-130、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、セリバスタチン、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、コレスチミド(コレスチラン)、コレスチラミンレジン、コレスチポール、塩酸セベラマー、塩酸コレセベラム及びエゼチミブ、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
降圧薬が、カプトプリル、フォシノプリル、エナラプリル、リシノプリル、キナプリル、ベナゼプリル、フェンチアプリル、ラミプリル、オマパトリラート、ファシドトリル、イルベサルタン、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、アムロジピン ベシレート、ニフェジピン、フェロジピン、ニトレンジピン、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、カルベジロール、ベタキソロール、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、スピロノラクトン及びエプレレノン、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
糖尿病性合併症治療薬が、エパルレスタット、フィダレスタット、ゼナレスタット、AS-3201、ルボキシスタウリン、ALT-946、MCC-257、TAK-428及びTAK-128、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗肥満薬が、YM-178、CL-316243、オルリスタット、セチリスタット、シブトラミン、マジンドール及びリモナバン、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗血小板薬が、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、サルポグレラート、オザグレル及びプラスグレル、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗凝固薬が、ワーファリン、キシメラガトラン、アルガトロバン、低分子ヘパリン及びMCC-977、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の併用剤。
(11). (b)が、メトホルミン及びαグルコシダーゼ阻害薬、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の併用剤。
(12). 高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、糖尿病、インスリン抵抗性グルコース代謝障害、耐糖能異常状態、空腹時血漿グルコース障害状態、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー、糸球体硬化症、糖尿病性神経障害、メタボリックシンドローム、冠動脈心疾患、慢性及び急性腎不全もしくは高血圧症の予防、進行遅延又は処置のために、それらを予防、進行遅延又は処置を必要とする温血哺乳類に投与することを特徴とする前記(1)ないし(11)のいずれかに記載の併用剤。
(13). インスリン分泌を伴わずに温血哺乳類の高血糖値を低下させる治療のために投与することを特徴とする前記(1)ないし(11)のいずれかに記載の併用剤。
(14). (a) 3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、
(b)(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬、(iii)降圧薬、(iv)糖尿病性合併症治療薬、(v)抗肥満薬、(vi)抗血小板薬及び(vii)抗凝固薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分を投与することにより、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、糖尿病、インスリン抵抗性グルコース代謝障害、耐糖能異常状態、空腹時血漿グルコース障害状態、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー、糸球体硬化症、糖尿病性神経障害、メタボリックシンドローム、冠動脈心疾患、慢性及び急性腎不全又は高血圧症を予防及び/又は治療する方法。
(15). (b)が、(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬及び(iii)降圧薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である前記(14)に記載の方法。
(16). 有機もしくは無機の一ないし二塩基酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、メシル酸、トシル酸、ベシル酸、マレイン酸、ナフタレン-1-スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、没食子酸又はカンファースルホン酸である前記(14)または(15)に記載の方法。
(17). 有機もしくは無機の一ないし二塩基酸が、2.0臭化水素酸、2.5臭化水素酸、2マレイン酸、2トシル酸、2.5塩酸、2ナフタレン-1-スルホン酸、2メシル酸、3メシル酸又は2ナフタレン-2-スルホン酸である前記(14)ないし(16)のいずれかに記載の方法。
(18). 抗糖尿病薬が、インスリン、インスリン分泌促進薬、インスリン感受性増強薬、インスリンシグナル伝達経路モジュレータ、肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬及び糖質吸収阻害薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である前記(14)ないし(17)のいずれかに記載の方法。
(19). インスリン分泌促進薬が、スルホニル尿素剤、非スルホニル尿素系インスリン分泌促進薬、インクレチンホルモン又はナトリウムイオン−グルコース共輸送体阻害薬であり、
インスリン感受性増強薬が、チアゾリジンジオン誘導体、非グリタゾン型PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、レチノイドX受容体アゴニスト又は11βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1阻害薬であり、
インスリンシグナル伝達経路モジュレータが、プロテインチロシンホスファターゼ阻害薬、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ阻害薬、抗糖尿病性非小分子偽化合物、GSK-3阻害薬、JNK阻害薬又はIKβ阻害薬であり、
肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬が、ビグアナイド薬、グルコース-6-ホスファターゼ阻害薬、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、グルカゴン受容体拮抗薬、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ阻害薬又はピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害薬であり、
糖質吸収阻害薬が、胃内容物排泄阻害薬又はαグルコシダーゼ阻害薬である前記(18)の方法。
(20). 脂質低下薬が、ミクロソームトリグリセリド転送蛋白阻害薬、HMG CoA還元酵素阻害薬、陰イオン交換樹脂、コレステロール吸収阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、コレステリルエステル転送蛋白阻害薬、フィブリン酸誘導体、LDL受容体活性の上昇制御薬、リポキシゲナーゼ阻害薬及びACAT阻害薬から成る群から選択される、前記(14)ないし(17)のいずれかに記載の方法。
(21).降圧薬が、ACE阻害薬、AT1受容体拮抗薬、レニン阻害薬、NEP/ACE阻害薬、カルシウムチャンネル拮抗薬、α1アドレナリン受容体遮断薬、βアドレナリン受容体遮断薬、利尿薬、エンドセリン変換酵素阻害薬及びエンドセリン受容体拮抗薬から成る群から選択される、前記(14)ないし(17)のいずれかに記載の方法。
(22).抗糖尿病薬が、グリメピリド、グリピジド、トルブタミド、クロロプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリブリド、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド、エクセナチド、NN-2211、CJC-1131、ZP-10、LY315902、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、MCC-555、Gl-262570、JTT-501、ムラグリタザール、テサグリタザル、LY-465608、LG100268、LGD1069、BVT-3498、BVT-2773、BVT-14225、L-783281、メトホルミン、CS-917、BAY27-9955、インスリン、アミリン、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール、T-1095及びKGA2727、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
脂質低下薬が、インプリタピド、JTT-130、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、セリバスタチン、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、コレスチミド(コレスチラン)、コレスチラミンレジン、コレスチポール、塩酸セベラマー、塩酸コレセベラム及びエゼチミブ、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
降圧薬が、カプトプリル、フォシノプリル、エナラプリル、リシノプリル、キナプリル、ベナゼプリル、フェンチアプリル、ラミプリル、オマパトリラート、ファシドトリル、イルベサルタン、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、アムロジピン ベシレート、ニフェジピン、フェロジピン、ニトレンジピン、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、カルベジロール、ベタキソロール、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、スピロノラクトン及びエプレレノン、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
糖尿病性合併症治療薬が、エパルレスタット、フィダレスタット、ゼナレスタット、AS-3201、ルボキシスタウリン、ALT-946、MCC-257、TAK-428及びTAK-128、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗肥満薬が、YM-178、CL-316243、オルリスタット、セチリスタット、シブトラミン、マジンドール及びリモナバン、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗血小板薬が、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、サルポグレラート、オザグレル及びプラスグレル、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗凝固薬が、ワーファリン、キシメラガトラン、アルガトロバン、低分子ヘパリン及びMCC-977、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である、前記(14)ないし(17)のいずれかに記載の方法。
(23). (b)が、メトホルミン及びαグルコシダーゼ阻害薬、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である前記(14)ないし(17)のいずれかに記載の方法。
【0017】
本明細書における用語の定義を以下に記すが、以下の定義は本発明の範囲を限定するものではない。
「3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン(以下、化合物2と記す)」は下記化学式(2)で表される化合物である。
【0018】
【化1】

【0019】
化合物2の3塩酸塩は、国際公開WO02/14271号パンフレットの実施例222に記載されている合成方法に準じて製造することができる。また、このものは適当な塩基を用いて化合物2にすることができる。本発明の併用剤の有効成分である化合物2、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物は、化合物2を定法に従って種々の新規な塩形態としたものである。
「一ないし二塩基酸」とは、1ないし2つのプロトンを供与しうる酸であり、当該一ないし二塩基酸は有機酸であっても無機酸であってもよい。「有機もしくは無機の一ないし二塩基酸」としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、メシル酸、トシル酸、ベシル酸、マレイン酸、ナフタレン-1-スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、没食子酸、又はカンファースルホン酸等が挙げられ、好ましくは塩酸、臭化水素酸、マレイン酸、メシル酸、トシル酸、ナフタレン-1-スルホン酸、又は2-ナフタレン-2-スルホン酸等が挙げられる。
「溶媒和物」とは、溶媒の結合した化合物であり、溶媒が水の場合、特に水和物と記すこともある。本発明の併用剤における有効成分としての塩は、任意の溶媒和物として存在しても良く、水和物がより好ましい。
「抗糖尿病薬」とは、インスリン等の生体内物質そのものを有効成分とする薬剤、膵臓β細胞からのインスリン分泌を促すインスリン分泌促進薬、損なわれたインスリン反応性を回復させることによりインスリン感受性を向上させるインスリン感受性増強薬又はインスリンシグナル伝達経路モジュレータ、肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬及び消化管からの糖質の吸収を阻害する糖質吸収阻害薬等を意味する。
【0020】
具体的には、生体内物質そのものを有効成分とする薬剤[インスリン等]、インスリン分泌促進薬[スルホニル尿素剤、非スルホニル尿素系インスリン分泌促進薬、インクレチンホルモン、ナトリウムイオン−グルコース共輸送体(以下、SGLTと記すこともある)阻害薬等]、インスリン感受性増強薬[チアゾリジンジオン誘導体(以下、グリタゾンと記すこともある)、非グリタゾン型PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、レチノイドX受容体(以下、RXRと記すこともある)アゴニスト、11βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1(以下、11β-HSD1と記すこともある)阻害薬等]、インスリンシグナル伝達経路モジュレータ[プロテインチロシンホスファターゼ(以下、PRPaseと記すこともある)の阻害薬、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ(以下、GFATと記すこともある)の阻害薬、抗糖尿病性非小分子偽化合物、GSK-3の阻害薬、JNKの阻害薬、IKβの阻害薬等]、肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬[ビグアナイド薬、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)の阻害薬、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ(F-1,6-BPase)の阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ(以下、GPと記すこともある)の阻害薬、グルカゴン受容体拮抗薬、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(以下、PEPCKと記すこともある)の阻害薬、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(以下、PDHKと記すこともある)阻害薬等]、糖質吸収阻害薬[胃内容物排泄阻害薬、αグルコシダーゼ阻害薬等]等が挙げられる。
【0021】
生体内物質そのものを有効成分とする薬剤の具体的な例のうち、「インスリン等」としては、ベルリンスリン(Berlinsulin、ベルリン−ヘミー)、ハミンスリン(Huminsulin、イーライ・リリー)、インスリン・アクトラピッド(Insulin Actrapid、ノボ・ノルディスク)、又はインスマン(Insuman、アベンティス)等が挙げられる。
インスリン分泌促進薬の具体的な例として、下記の各薬物群が挙げられる。
「スルホニル尿素剤」としては、グリメピリド、グリピリド、トルブタミド、クロロプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、4-クロロ-N-[(1-ピロリジニルアミノ)カルボニル]-ベンゼンスルホンアミド(グリコピラミド)、グリベンクラミド(グリブリド)、グリクラジド、1-ブチル-3-メタニリル尿素、カルブタミド、グリボヌリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、フェンブタミド、トリルシクラミド等又はそれらの医薬上許容される塩類が挙げられる。
「非スルホニル尿素系インスリン分泌促進薬」としては、ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニド等又はそれらの医薬上許容される塩類が挙げられる。
「インクレチンホルモン」としては、GLP-1、及びGLP-1アゴニスト等が挙げられる。ここで、「GLP-1」とは、例えば米国特許第5705483号公報に記載されているインスリン分泌増強タンパク質である。また、「GLP-1アゴニスト」とは、特に米国特許第5120712号、米国特許第5118666号及び米国特許第5512549号各号公報及び国際公開WO91/11457号パンフレットに開示されているGLP-1(7-36)NH2の変異型及び類似体等を意味する。特にGLP-1(7-37)のような化合物であって、Arg36のカルボキシ末端アミド官能基がGLP-1(7-36)NH2分子の37位にあるGlyにより置換されている化合物、その変異型及びその類似体、例えばGLN9-GLP-1(7-37)、D-GLN9-GLP-1(7-37)、アセチルLYS9-GLP-1(7-37)、LYS18-GLP-1(7-37)及び、特にGLP-1(7-37)OH、VAL8-GLP-1(7-37)、GLY8-GLP-1(7-37)、THR8-GLP-1(7-37)、MET8-GLP-1(7-37)及び4-イミダゾプロピオニル-GLP-1を包含する。また、特に好ましくは、エクセナチド、NN-2211、CJC-1131、ZP-10又はLY315902等が挙げられる。
「ナトリウムイオン−グルコース共輸送体(SGLT)阻害薬」としては、T-1095又はKGA2727等が挙げられる。
インスリン感受性増強薬のより具体的な例として、下記の各薬物群が挙げられる。
「チアゾリジンジオン誘導体(グリタゾン)」としては、イサグリタゾン、(S)-((3,4-ジヒドロ-2-(フェニル-メチル)-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)メチル-チアゾリジン-2,4-ジオン(エングリタゾン)、5-{[4-(3-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-1-オキソプロピル)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(ダルグリタゾン)、5-{[4-(1-メチル-シクロヘキシル)メトキシ]-フェニル}メチル)-チアゾリジン-2,4-ジオン(シグリタゾン)、5-{[4-(2-(1-インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(DRF2189)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-エトキシ]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(BM-13.1246)、5-(2-ナフチルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオン(AY-31637)、ビス{4-[(2,4-ジオキソ-5-チアゾリジニル)メチル]フェニル}メタン(YM268)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-2-ヒドロキシエトキシ]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(AD-5075)、5-[4-(1-フェニル-1-シクロプロパンカルボニルアミノ)-ベンジル]-チアゾリジン-2,4-ジオン(DN-108)、5-{[4-(2-(2,3-ジヒドロインドール-1-イル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロ-フェニル)]-2-プロピニル]-5-フェニルスルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロフェニル)]-2-プロピニル]-5-(4-フルオロフェニル-スルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-{[4-(2-(メチル-2-ピリジニル-アミノ)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(ロシグリタゾン)、5-{[4-(2-(5-エチル-2-ピリジル)エトキシ)フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(ピオグリタゾン)、5-{[4-((3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル-2H-1-ベンゾピラン-2-イル)メトキシ)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(トログリタゾン)、5-[6-(2-フルオロ-ベンジルオキシ)ナフタレン-2-イルメチル]-チアゾリジン-2,4-ジオン(MCC-555)、5-{[2-(2-ナフチル)-ベンゾオキサゾール-5-イル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン(T-174)又は5-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イルメチル)-2-メトキシ-N-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)ベンズアミド(KRP297)等が挙げられる。より好ましくは、例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン又はトログリタゾン等が挙げられる。
「非グリタゾン型PPARγアゴニスト」としては、N-(2-ベンゾイルフェニル)-L-チロシン類似体が挙げられ、より具体的には、GI-262570又はJTT501等が挙げられる。
「PPARα/γデュアルアゴニスト」とは、同時にPPARγ及びPPARαアゴニストである化合物を意味し、好ましいPPARγ/PPARαデュアルアゴニストとしては、ムラグリタザール、テサグリタザル、ナベグリタザル、LY-465608、ω-[(オキソキナゾリニルアルコキシ)フェニル]アルカノエート及びそれらの類似体、米国特許第6054453号公報の実施例22に記載された化合物NN622や、化合物DRF-554158(DRF4158とも称される)及び化合物NC-2100(Fukui、Diabetes 2000、49(5)、759-767)等が挙げられる。
「レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト」とは、当業者に公知の検定法(米国特許第4981784号、米国特許第5071773号、米国特許第5298429号及び米国特許第5506102号各号公報、国際公開WO89/05355号、国際公開WO91/06677号、国際公開WO92/05447号、国際公開WO93/11235号及び国際公開WO95/18380号各号パンフレット等に記載)や、「コトランスフェクション」又は「シス‐トランス」検定法等により測定されたところによると、RXRホモ二量体又はヘテロ二量体と組み合わせたとき、RXRの転写調節活性を増加させる化合物又は組成物をいう。それらには、RARよりもRXRを優先的に活性化する化合物(すなわち、RXR特異的アゴニスト)並びにRXR及びRARを両方とも活性化する化合物(すなわちパンアゴニスト)が含まれる。また、ある種の細胞状況で他のものではなくRXRを活性化する化合物(すなわち部分的アゴニスト)も含まれる。
「RXRアゴニスト」としては、米国特許第5399586号及び米国特許第5466861号各号公報、国際公開WO96/05165号、国際公開WO94/15901号、国際公開WO93/11755号、国際公開WO94/15902号及び国際公開WO93/21146号各号パンフレットに開示された化合物等が挙げられる。
【0022】
「RXR特異的アゴニスト」としては、2-[1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル)-シクロプロピル]ピリジン-5-カルボン酸(LG100268)、4-[(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル)-2-カルボニル]-安息香酸(LGD1069)、それらの類似体、それらの誘導体及びそれらの医薬上許容される塩類等が挙げられる。なお、LG100268およびLGD1069の構造及び合成は、Boehm et al., J.Med.Chem. 38, 3146-3155、1995に開示されている。
【0023】
「パンアゴニスト」としては、アリトレチノイン(パンレチン)、それらの類似体、それらの誘導体及びそれらの医薬上許容される塩類等が挙げられる。
【0024】
「11βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1阻害薬」としては、BVT-3498、BVT-2773、BVT-14225又は米国特許第6849636号公報、国際公開WO2003/65983号、国際公開WO2003/104208号、国際公開WO2004/106294号、国際公開WO2005/16877号、国際公開WO2004/11410号、国際公開WO2004/33427号、国際公開WO2004/41264号、国際公開WO2004/56745号、国際公開WO2004/65351号、国際公開WO2004/89471号、国際公開WO2004/89896号及び国際公開WO2005/44192号各号パンフレットに開示された化合物等が挙げられる。
インスリンシグナル伝達経路モジュレータの具体的な例として、下記の各薬物群が挙げられる。
【0025】
「プロテインチロシンホスファターゼ(PTPase)の阻害薬」としては、米国特許第6057316号及び米国特許第6001867号各号公報、国際公開WO99/58518号、国際公開WO99/58522号、国際公開WO99/46268号、国際公開WO99/46267号、国際公開WO99/46244号、国際公開WO99/46237号、国際公開WO99/46236号及び国際公開WO99/15529号各号パンフレットに開示された化合物等が挙げられる。
【0026】
「グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の阻害薬」としては、Mol.Cell.Endocrinol.1997, 135(1), 67-77に開示された化合物等が挙げられる。
【0027】
「抗糖尿病性非小分子偽化合物」としては、Science 1999, 284, 974-97、特にL-783281、CLX-901及び国際公開WO99/58127号パンフレットに開示された化合物等が挙げられる。
【0028】
「GSK-3の阻害薬」としては、国際公開WOO00/21927号及び国際公開WO97/41854号各号パンフレットに開示された化合物等が挙げられる。
肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬の具体的な例として、下記の各薬物群が挙げられる。
【0029】
「ビグアナイド薬」としては、メトホルミン、ブホルミン又はフェンホルミン等が挙げられる。
「グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)の阻害薬」としては、G6Paseの活性を低減化又は阻害することにより肝臓糖新生を低減化又は阻害する化合物又は組成物等をいう。好ましい化合物の例としては、国際公開WO00/14090号、国際公開WO99/40062号及び国際公開WO98/40385号各号パンフレット、欧州特許第682024号公報並びにDiabetes 1998, 47, 1630-1636に開示された化合物等が挙げられる。
「フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ(F-1,6-BPase)の阻害薬」としては、F-1,6-BPaseの活性を低減化又は阻害することにより肝臓糖新生を低減化又は阻害する化合物又は組成物等をいう。好ましい化合物の例としては、CS-917、国際公開WO00/14095号、国際公開WO99/47549号、国際公開WO98/39344号、国際公開WO98/39343号及び国際公開WO98/39342号各号パンフレットに開示された化合物等が挙げられる。
「グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)の阻害薬」としては、GPの活性を低減化又は阻害することにより肝臓糖新生を低減化又は阻害する化合物又は組成物等をいう。好ましい化合物の例としては、欧州特許第978279号、米国特許第5998463号及び欧州特許第846464号各号公報、国際公開WO99/26659号、国際公開WO97/31901号、国際公開WO96/39384号及び国際公開WO96/39385号各号パンフレット並びにProc. Natl. Acad. Sci USA1998, 95, 1776-1781に記載されたCP-91149等が挙げられる。
「グルカゴン受容体拮抗薬」としては、国際公開WO98/04528号パンフレットに記載された化合物等、特にBAY27-9955が挙げられ、また、Bioorg. Med. Chem. Lett. 1992, 2, 915-918に開示された化合物等が挙げられる。より具体的には、CP-99711、J. Med. Chem. 1998, 41, 5150-5157に記載された化合物、NNC92-1687、J. Biol. Chem. 1999, 274, 8694-8697に記載された化合物、L-168049、米国特許第5880139号及び米国特許第5776954号各号公報、国際公開WO99/01423号、国際公開第98/22109号、国際公開第98/22108号、国際公開第98/21957号及び国際公開第97/16442号各号パンフレットに開示された化合物等が挙げられる。
「ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)の阻害薬」としては、PEPCKの活性を低減化又は阻害することにより、肝臓糖新生を低減化又は阻害する化合物又は組成物等をいう。好ましい化合物としては、米国特許第6030837号各号公報及びMol. Biol. Diabetes 1994, 2, 283-99に開示された化合物等が挙げられる。
「ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDHK)阻害薬」としては、Aicher et al., J. Med. Chem. 1999, 42, 2741-2746により開示された化合物等が挙げられる。
糖質吸収阻害薬の具体的な例として、下記の各薬物群が挙げられる。
【0030】
「胃内容物排泄阻害薬」としては、CCK-8、及びDiabetes Care 1998, 21, 897-893に開示された化合物等が挙げられ、特にアミリン及びその類似体、例えば、プラムリンチド等が好ましい。アミリンは、例えばO. G. Kolterman et al., Diabetologia 1996, 3, 492-499に記載されている。
【0031】
「αグルコシダーゼ阻害薬」としては、ボグリボース、アカルボース又はミグリトール等が挙げられる。ミグリトールは、米国特許第4639436号公報に記載されている。ミグリトールは、例えば商標名ジアスタボール50(DIASTABOL、登録商標)で市販されている形態で投与され得る。
【0032】
「脂質低下薬」とは、血中におけるコレステロール(特に、LDL-コレステロール)及び中性脂肪を低下させ、及び/又は、血中HDLを上昇させる薬剤であり、具体的には、ミクロソームトリグリセリド転送蛋白(以下、MTPと記すこともある)阻害薬、HMG CoA還元酵素阻害薬、陰イオン交換樹脂、コレステロール吸収阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、コレステリルエステル転送蛋白阻害薬、フィブリン酸誘導体、LDL受容体活性の上昇制御薬、リポキシゲナーゼ阻害薬又はACAT阻害薬等が挙げられる。
脂質低下薬の具体的な例として、下記の各薬物群が挙げられる。
「MTP阻害薬」としては、インプリタピド(BAY-13-9952)、CP-346086、JTT-130、BMS-212122又はGR-328713等が挙げられる。
「HMG CoA還元酵素阻害薬」としては、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、セリバスタチン、イタバスタチン、ビサスタチンであり、好ましいのは、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン又はその医薬上許容される塩等が挙げられる。
「陰イオン交換樹脂」としては、コレスチミド(コレスチラン)、コレスチラミンレジン、コレスチポ―ル、塩酸セベラマー、塩酸コレセベラム等が挙げられる。
「コレステロール吸収阻害薬」としては、エゼチミブ等が挙げられる。
「スクアレン合成酵素阻害薬」としては、TAK-475等が挙げられる。
「コレステリルエステル転送蛋白阻害薬」としては、JTT-705等が挙げられる。
「フィブリン酸誘導体」としては、市販されている薬剤が好ましく、より好ましくは、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート等である。
「ACAT阻害」としては、パクチミベ、アバチミベ、エフルチミベ、CS-505、SR-45023A、SMP-797、K-604、TS-962等が挙げられる。
【0033】
「降圧薬」とは、血圧を上昇させる生体内物質(循環血液量を増加させるホルモンもしくはたんぱく質又は血管収縮もしくは心筋収縮を増強する作用を有するホルモンもしくはたんぱく質等)の生成を抑制するか、又は、該生体物質と競合することにより血圧を低下させる薬剤であり、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(以下、ACE阻害薬と記すこともある)、アンジオテンシンIIタイプ1(以下、AT1と記すこともある)受容体拮抗薬、レニン阻害薬、NEP/ACE阻害薬、カルシウムチャンネル拮抗薬、α1アドレナリン受容体遮断薬、β-アドレナリン受容体遮断薬又は利尿薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)等が挙げられる。
降圧薬の具体的な例として、下記の各薬物群が上げられる。
「ACE阻害薬」としては、アラセプリル(欧州特許第7477号公報)、ベナゼプリル(欧州特許第72352号公報)、ベナゼプリラット(欧州特許第72352号公報)、カプトプリル(米国特許第4105776号公報)、セロナプリル(欧州特許第229520号公報)、シラザプリル(欧州特許第94095号公報)、デラプリル(欧州特許第51391号公報)、エナラプリル(欧州特許第12401号公報)、エナプリラット(欧州特許第12401号公報)、フォシノプリル(欧州特許第53902号公報)、イミダプリル(欧州特許第95163号公報)、リシノプリル(欧州特許第12401号公報)、モベルチプリル(南アフリカ特許第82/3779号公報)、ペリンドプリル(欧州特許第49658号公報)、キナプリル(欧州特許第49605号公報)、ラミプリル(欧州特許第79022号公報)、スピラプリル(欧州特許第50800号参照)、テモカプリル(欧州特許第161801号)、及びトランドラプリル(欧州特許第551927号公報)から成る群から選択される化合物又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等が挙げられる。好ましいACE阻害薬は市販されている薬剤であり、より好ましくはベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル等である。これらに対応する有効成分又はそれぞれに対する医薬上許容される塩類は、結晶化に使用される溶媒和物、例えば水和物として使用され得る。
「AT1受容体拮抗薬」としては、バルサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、サプリサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、オルメサルタンから成る群から選択される化合物又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等が挙げられる。より好ましくは、バルサルタン、カンデサルタン又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等が挙げられる。
「レニン阻害薬」としては、特に非ペプチド系の対応する阻害薬、好ましくは2(S),4(S),5(S),7(S)-N-(3-アミノ-2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-2,7-ジ(1-メチルエチル)-4-ヒドロキシ-5-アミノ-8-[4-メトキシ-3-(3-メトキシ-プロポキシ)フェニル]-オクタンアミド(アリスキレン、欧州特許出願公開第678503号公報に具体的に開示されている)等であり、好ましくはそのヘミ‐フマル酸塩、デチキレン(欧州特許出願公開第173481号公報)、テルラキレン(欧州特許出願公開第266950号公報)、及びザンキレン(欧州特許出願第229667号公報)が挙げられ、特に好ましくは、アリスキレン又はそのヘミ‐フマル酸塩等が挙げられる。
「NEP/ACE阻害薬」としては、オマパトリラート、MDL100240、ファシドトリル、GW796406又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等が挙げられる。
「カルシウムチャネル拮抗薬」としては、ベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼム、アゼルニジピン、レルカニジピン、ニトレンジピンから成る群から選択される化合物又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等が挙げられる。好ましくは、アムロジピン ベシレート、ニフェジピン及びフェロジピン又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等である。
「α1アドレナリン受容体遮断薬」としては、プラゾシン及びテラゾシンから成る群から選択される化合物又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等が挙げられる。好ましくは、ドキサゾシン又はその医薬上許容される塩等である。
「βアドレナリン受容体遮断薬」としては、プロパノロール、ベタキソロール、アテノロールから成る群から選択される化合物又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等が挙げられる。好ましくは、メトプロロール、アテノロール及びカルベジロール又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等である。
「利尿薬」としては、スピロノラクトン、エプレレノン等のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬等が挙げられる。
「糖尿病性合併症治療薬」とは、糖尿病性網膜症、糖尿病性病腎症、糖尿病性神経障害、又は動脈硬化症等、糖尿病に合併する慢性疾患を治療する薬剤であり、糖尿病性神経障害及び糖尿病性網膜症治療薬としてプロテインキナーゼC-β(PKC-β)阻害薬等が、糖尿病性腎症治療薬として上述のAT1受容体拮抗薬等が、糖尿病性神経障害としてアルドース還元酵素阻害薬等が挙げられる。
糖尿病性合併症治療薬の具体的な例として、下記の各薬物群が挙げられる。
「PKC-β阻害薬」としては、ルボキシスタウリン(LY-333531)等が挙げられる。
「アルドース還元酵素阻害薬」としては、エパルレスタット、フィダレスタット、ゼナレスタット、AS-3201、NA-314又はそれぞれに対する医薬上許容される塩等が挙げられる。
その他の糖尿病性合併症治療薬としてはALT-946、MCC-257、TAK-428、TAK-128等が挙げられる。
【0034】
「抗肥満薬」とは、不適切な体重の増加、又は、内蔵脂肪の増加を抑制する薬剤であり、β3アドレナリン作動性アゴニスト、リパーゼ阻害薬、セロトニン再取り込み阻害薬(本明細書においてセロトニン再取り込み阻害薬はドパミン再取り込み阻害薬を包含する)、甲状腺受容体アゴニスト、aP2阻害薬又は摂食抑制薬等が挙げられる。
抗肥満薬の具体的として、下記の各薬物群が挙げられる。
「β3アドレナリン作動性アゴニスト」としては、YM-178、CL-316243(リデール・ラボラトリーズ)、国際公開WO99/29672号、国際公開WO98/32753号、国際公開WO98/20005号、国際公開WO98/09625号、国際公開WO97/46556号及び国際公開WO97/37646号各号公報並びに米国特許第5705515号公報に開示された化合物等が挙げられる。
「リパーゼ阻害薬」としては、オルリスタット、セチリスタット(cetilistat、ATL-962)等が挙げられる。
摂食抑制薬とは、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害するか、又は、カンナビノイド受容体を拮抗することにより食欲を抑制する薬剤であり、具体的には、シブトラミン(中枢性食欲抑制作用)、マジンドール (商品名:サノレックス)又はリモナバン等が挙げられる。
【0035】
「抗血小板薬」とは、血小板の凝集能を抑制し、血小板による血栓の形成を抑制する薬剤であり、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、サルポグレラート、オザグレル、プラスグレル等が挙げられる。
【0036】
「抗凝固薬」とは、凝固因子の働きを抑制し、血栓の形成を抑制する薬剤であり、ワーファリン、キシメラガトラン、アルガトロバン、低分子ヘパリン、MCC-977等が挙げられる。上記に例示した有効成分はそれぞれの場合において遊離形態及び医薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物として存在しうる。
【0037】
「少なくとも1種の有効成分」とは、化合物2以外の、他の有効成分の1又はそれ以上、好ましくは2又は3群からの1種又はそれ以上、好ましくは2種又は3種の有効成分を意味する。
【0038】
本願の特許請求の範囲における「併用剤」とは、化合物2、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、上記「少なくとも1種の有効成分」を含むことを特徴とする。特に好ましくは、化合物2と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、メトホルミン又はボグリボースとの組み合わせが挙げられる。
本願発明の併用剤において、その有効成分は、複数の製剤として別々の製剤に含まれるものであっても、1つの製剤として同一の製剤に含まれるものであっても良い。
「同時的な使用」とは、複数の医薬又はその有効成分が実質的に同時に患者に投与される状態を示し、好ましくは、複数の医薬又はその有効成分を1つの製剤とするか、又は2以上の製剤を少なくとも実質的に同時に、例えば、互いに約1時間以内に投与される状態である。
「分離的な使用」とは、複数の医薬又はその有効成分が任意の順番で患者に投与される状態を示し、複数の医薬又はその有効成分はそれらの投与が同一回数でも、異なる回数でも良い。具体的には、一方を先に投与した後、一定間隔で他方のみを複数回患者に投与する場合等が挙げられる。
【0039】
本発明の併用剤の投与により発揮される医薬活性は、例えば医薬業界で公知の対応する薬理学的モデルを用いることにより立証され得る。当業者であれば、関連性のある動物試験モデルを選択することにより、前記および後記で示した治療適応症および有益な効果を十分に証明できるはずである。
したがって、本発明による併用剤は、例えば、前記及び後記で名前を挙げたものから選択される疾患、症状及び障害の予防、進行の遅延又は処置に使用され得る。
【0040】
すなわち、高血圧症、うっ血性心不全、糖尿病、糸球体硬化症、慢性及び急性腎不全、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、血管再狭窄、内皮機能障害、血管コンプライアンスの低下並びにうっ血性心不全等の「心臓血管疾患又は障害」が挙げられる。特にJ. Hypertension 1999, 17, 151-183、特に162頁で定義されている、軽度、中度及び重度の「高血圧症」が好ましく、特に優先されるのは、「収縮期高血圧」(ISH)である。
【0041】
その他、高血糖症、高インスリン血症、糖尿病、インスリン抵抗性グルコース代謝障害、IGT状態、空腹時血漿グルコース障害状態、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー、糸球体硬化症、糖尿病性神経障害及びメタボリックシンドローム等の「糖尿病又は障害」や、高脂血症、高トリグリセリド血症、冠動脈心疾患、血管再狭窄、内皮機能障害、肥満及び血管コンプライアンスの低下等の「高脂血疾患又は障害」が挙げられる。
【0042】
本発明の併用剤においては、化合物2の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、その他の抗糖尿病薬、HMG-Co A還元酵素阻害薬及び降圧薬から成る群から選ばれる医薬の有効成分並びにそれぞれに対する医薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物とを組み合わせて投与することにより、上記で挙げた疾患等に対して、有益な、特に、増強作用的又は相乗作用的な治療効果が得られる。
【0043】
本発明の併用剤のさらなる利点は、組み合わせる個々の薬剤を低用量で使用することにより、投薬量を低減し得ることが挙げられる。例えば、投薬量が少量ですむことだけでなく、適用頻度も少なくてすむこと及び副作用の発生を減らし得ること等が利点として挙げられる。なお、この利点は、処置される患者の希望及び必要条件等に左右される。
【0044】
本発明の併用剤は、温血哺乳類への経口投与用であって、上記で挙げた薬理学的活性化合物を単独又は製剤用担体等と一緒に含むことが可能である。例えば、本発明の併用剤は、は、約0.1%〜約90%、好ましくは約1%〜約80%の割合で活性化合物を含む。これらは、それ自体公知の方法で、例えば慣用的な混合、造粒、コーティング、可溶化又は凍結乾燥工程を用いて製造される。
例えば、経口用医薬組成物は、活性化合物を固体賦形剤と合わせ、所望ならば得られた混合物を造粒し、必要に応じて適切な補助物質を加えた後、混合物又は顆粒を錠剤又は糖衣錠コア等に加工することにより得られる。
【0045】
本発明の併用剤を対象となる温血哺乳類に投与する際の用量は、様々な因子、例えば投与方式、温血哺乳類の種、年齢及び/又は個々の状態により異なるが、当業者であれば適宜選択可能である。なお、本発明の併用剤の有効成分について、好ましい用量は、治療有効量、特に市販されている用量である。
【0046】
通常、本発明の併用剤を経口投与する場合、おおよその日用量は、例えば体重75kgの患者の場合、化合物2の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物を約1mg〜約360mg、好ましくは約1mg〜約100mgの日用量、さらに好ましくは約1mg〜約50mgの日用量で使用し、他の薬剤を同時に、又は任意の間隔をおいて投与することが出来る。
化合物2と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と代表的な他の医薬との組み合わせについて具体例を以下に記す。
インスリン分泌促進薬との組み合わせの場合、インスリン分泌促進薬は、約0.01mg〜約8mg、好ましくは約0.5〜約6mgの用量範囲で投与される。
【0047】
HMG-CoA還元酵素阻害薬との組み合わせの場合、その好ましい用量単位形態は、例えばHMG-CoA還元酵素阻害薬を約5mg〜約120mg含有する錠剤又はカプセル剤であり、好ましくはフルバスタチンを使用する場合、例えば20mg、40mg又は80mg(遊離酸に相当する)のフルバスタチンを含有した組み合わせを、例えば1日1回投与する。
【0048】
ACE阻害薬との組み合わせの場合、その好ましい用量単位形態としては、例えば、ベナゼプリルを約5mg〜約20mg、好ましくは5mg、10mg、20mg、さらに好ましくは40mg含有する錠剤又はカプセル剤が、カプトプリルを約6.5mg〜約100mg、好ましくは6.25mg、12.5mg、25mg、50mg、75mg又は100mg含有する錠剤又はカプセル剤が、エナラプリルを約2.5mg〜約20mg、好ましくは2.5mg、5mg、10mg又は20mg含有する錠剤又はカプセル剤が、フォシノプリルを約10mg〜約20mg、好ましくは10mg又は20mg含有する錠剤又はカプセル剤が、ペリンドプリルを約2.5mg〜約4mg、好ましくは2mg又は4mg含有する錠剤又はカプセル剤が、キナプリルを約5mg〜約20mg、好ましくは5mg、10mg又は20mg含有する錠剤又はカプセル剤が、ラミプリルを約1.25mg〜約5mg、好ましくは1.25mg、2.5mg又は5mg含む錠剤又はカプセル剤が挙げられる。
【0049】
AT1受容体拮抗薬類の代表例であるバルサルタンとの組み合わせの場合、適切な用量単位形態(例えばカプセル剤又は錠剤)で、患者に投与され得るバルサルタンの治療有効量(例えば約20mg〜約320mg、好ましくは約80mg〜約320mg)を含むものとして供給される。
【0050】
なお、上記は併用剤を例に本願発明を説明したが、本願発明の予防及び/または治療方法の場合にも、上記はそのまま援用される。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において「化合物3」は、国際公開WO02/14271号パンフレットに記載された実施例222の製造法に準じて合成した化合物2を、定法により2.5臭化水素酸塩の水和物としたものを使用した。
また、ボグリボースはベイスン錠(武田薬品工業(株))を、メトホルミンはシグマアルドリッチ社より購入たものを、実験に使用した。
試験例1: Zucker fatty(以下、ZFと記す)ラットの経口糖負荷試験における化合物3、ボグリボース(αグルコシダーゼ阻害薬)及びその併用時の血糖値とインスリン濃度への影響
(試験方法)
本試験には、一晩絶食させた雄性ZFラットを用いた。各群5例ずつ4群を設定した。各群の動物には、下表に示す投与物質を投与した。すなわち、1群には、化合物3とボグリボースの調製に使用した媒体である0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液、2群には、化合物3を0.1 mg/kg、3群には、ボグリボースを0.1 mg/kg、4群には、化合物3を0.1 mg/kgとボグリボースを0.1 mg/kgを併用させた。なお、投与容量は、いずれも、2 mL/kgとした。その15分後に、スターチ、スクロース、ラクトースを混合した糖液(混合比率は、6:3:1)を3.5 g/kgの割合で経口投与した。糖液の投与容量は、10 mL/kgとした。経時的に採血し、血漿中グルコース濃度及びインスリン濃度を測定した。測定結果をそれぞれ図1、2に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
(結果)
ZFラットにおいて、経口糖負荷後の血糖上昇を化合物3およびボグリボースは、媒体群に比べ、それぞれ、33%および34%抑制した。化合物3およびボグリボースを併用した場合には、血糖上昇抑制作用は、さらに、強力であり、71%の抑制となり、それぞれの薬剤を単独で使用した場合に比べ、有意差を認めた。また、血漿インスリン濃度は、化合物3単独では、媒体群に比べ、およそ3倍の増加作用を示したが、ボグリボースとの併用により、総インスリン分泌作用は減弱した。この成績は、化合物3は、ボグリボースとの併用により、より少ないインスリン分泌量により、血糖コントロールが可能になることを示している。
【0054】
試験例2: ZFラットの経口糖負荷試験における化合物3とメトホルミンの併用効果
(試験方法)
本試験には、一晩絶食させた雄性ZFラットを用いた。各群8例ずつ4群を設定した。各群の動物には、下表に示す投与物質を投与した。すなわち、1群には、化合物3とボグリボースの調製に使用した媒体である0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液、2群には、化合物3を0.3 mg/kg、3群には、メトホルミンを50 mg/kg、4群には、化合物3を0.3 mg/kgとメトホルミンを50 mg/kgを併用させた。なお、投与容量は、いずれも、2 mL/kgとした。その15分後に、スターチ、スクロース、ラクトースを混合した糖液(混合比率は、6:3:1)を3.5 g/kgの割合で経口投与した。糖液の投与容量は、10 mL/kgとした。経時的に採血し、血漿中グルコース濃度を測定した。測定結果を図3に示した。
【0055】
【表2】

【0056】
(結果)
ZFラットにおいて、経口糖負荷後の血糖上昇を化合物3及びメトホルミンは、媒体群に比べ、それぞれ、33%及び13%抑制した。化合物3及びメトホルミンを併用した場合には、血糖上昇抑制作用は、さらに、強力であり、70%の抑制となり、それぞれの薬剤を単独で使用した場合に比べ、有意差を認めた。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の併用剤は、2型糖尿病及び糖尿病性合併症等の治療及び/又は予防薬として有効であり医薬品としての開発を促進する。
【0058】
なお、本出願は日本で出願された特願2005-164213号を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、
(b)(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬、(iii)降圧薬、(iv)糖尿病性合併症治療薬、(v)抗肥満薬、(vi)抗血小板薬及び(vii)抗凝固薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分とを組み合わせてなる同時的又は分離的な使用のための併用剤。
【請求項2】
(a) 3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物;
(b)(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬、(iii)降圧薬、(iv)糖尿病性合併症治療薬、(v)抗肥満薬、(vi)抗血小板薬及び(vii)抗凝固薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分;並びに;
(c)医薬上許容される担体を含む、同時的又は分離的な使用のための併用剤。
【請求項3】
(b)が、(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬及び(iii)降圧薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である請求項1又は2のいずれかに記載の併用剤。
【請求項4】
有機もしくは無機の一ないし二塩基酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、メシル酸、トシル酸、ベシル酸、マレイン酸、ナフタレン-1-スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、没食子酸又はカンファースルホン酸である請求項1ないし3のいずれかに記載の併用剤。
【請求項5】
有機もしくは無機の一ないし二塩基酸が、2.0臭化水素酸、2.5臭化水素酸、2マレイン酸、2トシル酸、2.5塩酸、2ナフタレン-1-スルホン酸、2メシル酸、3メシル酸又は2ナフタレン-2-スルホン酸である請求項1ないし4のいずれかに記載の併用剤。
【請求項6】
抗糖尿病薬が、インスリン、インスリン分泌促進薬、インスリン感受性増強薬、インスリンシグナル伝達経路モジュレータ、肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬及び糖質吸収阻害薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である請求項1ないし5のいずれかに記載の併用剤。
【請求項7】
インスリン分泌促進薬が、スルホニル尿素剤、非スルホニル尿素系インスリン分泌促進薬、インクレチンホルモン又はナトリウムイオン−グルコース共輸送体阻害薬であり、
インスリン感受性増強薬が、チアゾリジンジオン誘導体、非グリタゾン型PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、レチノイドX受容体アゴニスト又は11βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1阻害薬であり、
インスリンシグナル伝達経路モジュレータが、プロテインチロシンホスファターゼ阻害薬、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ阻害薬、抗糖尿病性非小分子偽化合物、GSK-3阻害薬、JNK阻害薬又はIKβ阻害薬であり、
肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬が、ビグアナイド薬、グルコース-6-ホスファターゼ阻害薬、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、グルカゴン受容体拮抗薬、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ阻害薬又はピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害薬であり、
糖質吸収阻害薬が、胃内容物排泄阻害薬又はαグルコシダーゼ阻害薬である請求項6記載の併用剤。
【請求項8】
脂質低下薬が、ミクロソームトリグリセリド転送蛋白阻害薬、HMG CoA還元酵素阻害薬、陰イオン交換樹脂、コレステロール吸収阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、コレステリルエステル転送蛋白阻害薬、フィブリン酸誘導体、LDL受容体活性の上昇制御薬、リポキシゲナーゼ阻害薬及びACAT阻害薬から成る群から選択される、請求項1ないし5のいずれかに記載の併用剤。
【請求項9】
降圧薬が、ACE阻害薬、AT1受容体拮抗薬、レニン阻害薬、NEP/ACE阻害薬、カルシウムチャンネル拮抗薬、α1アドレナリン受容体遮断薬、βアドレナリン受容体遮断薬、利尿薬、エンドセリン変換酵素阻害薬及びエンドセリン受容体拮抗薬から成る群から選択される、請求項1ないし5のいずれかに記載の併用剤。
【請求項10】
抗糖尿病薬が、グリメピリド、グリピジド、トルブタミド、クロロプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリブリド、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド、エクセナチド、NN-2211、CJC-1131、ZP-10、LY315902、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、MCC-555、Gl-262570、JTT-501、ムラグリタザール、テサグリタザル、LY-465608、LG100268、LGD1069、BVT-3498、BVT-2773、BVT-14225、L-783281、メトホルミン、CS-917、BAY27-9955、インスリン、アミリン、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール、T-1095及びKGA2727、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
脂質低下薬が、インプリタピド、JTT-130、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、セリバスタチン、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、コレスチミド(コレスチラン)、コレスチラミンレジン、コレスチポール、塩酸セベラマー、塩酸コレセベラム及びエゼチミブ、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
降圧薬が、カプトプリル、フォシノプリル、エナラプリル、リシノプリル、キナプリル、ベナゼプリル、フェンチアプリル、ラミプリル、オマパトリラート、ファシドトリル、イルベサルタン、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、アムロジピン ベシレート、ニフェジピン、フェロジピン、ニトレンジピン、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、カルベジロール、ベタキソロール、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、スピロノラクトン及びエプレレノン、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
糖尿病性合併症治療薬が、エパルレスタット、フィダレスタット、ゼナレスタット、AS-3201、ルボキシスタウリン、ALT-946、MCC-257、TAK-428及びTAK-128、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗肥満薬が、YM-178、CL-316243、オルリスタット、セチリスタット、シブトラミン、マジンドール及びリモナバン、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗血小板薬が、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、サルポグレラート、オザグレル及びプラスグレル、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗凝固薬が、ワーファリン、キシメラガトラン、アルガトロバン、低分子ヘパリン及びMCC-977、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である、請求項1ないし5のいずれかに記載の併用剤。
【請求項11】
(b)が、メトホルミン及びαグルコシダーゼ阻害薬、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である請求項1ないし5のいずれかに記載の併用剤。
【請求項12】
高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、糖尿病、インスリン抵抗性グルコース代謝障害、耐糖能異常状態、空腹時血漿グルコース障害状態、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー、糸球体硬化症、糖尿病性神経障害、メタボリックシンドローム、冠動脈心疾患、慢性及び急性腎不全もしくは高血圧症の予防、進行遅延又は処置のために、それらを予防、進行遅延又は処置を必要とする温血哺乳類に投与することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の併用剤。
【請求項13】
インスリン分泌を伴わずに温血哺乳類の高血糖値を低下させる治療のために投与することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の併用剤。
【請求項14】
(a) 3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、該化合物と有機もしくは無機の一ないし二塩基酸との塩又はそれらの溶媒和物と、
(b)(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬、(iii)降圧薬、(iv)糖尿病性合併症治療薬、(v)抗肥満薬、(vi)抗血小板薬及び(vii)抗凝固薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分を投与することにより、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、糖尿病、インスリン抵抗性グルコース代謝障害、耐糖能異常状態、空腹時血漿グルコース障害状態、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー、糸球体硬化症、糖尿病性神経障害、メタボリックシンドローム、冠動脈心疾患、慢性及び急性腎不全又は高血圧症を予防及び/又は治療する方法。
【請求項15】
(b)が、(i)抗糖尿病薬、(ii)脂質低下薬及び(iii)降圧薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
有機もしくは無機の一ないし二塩基酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、メシル酸、トシル酸、ベシル酸、マレイン酸、ナフタレン-1-スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、没食子酸又はカンファースルホン酸である請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
有機もしくは無機の一ないし二塩基酸が、2.0臭化水素酸、2.5臭化水素酸、2マレイン酸、2トシル酸、2.5塩酸、2ナフタレン-1-スルホン酸、2メシル酸、3メシル酸又は2ナフタレン-2-スルホン酸である請求項14ないし16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
抗糖尿病薬が、インスリン、インスリン分泌促進薬、インスリン感受性増強薬、インスリンシグナル伝達経路モジュレータ、肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬及び糖質吸収阻害薬から選ばれる医薬の有効成分、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である請求項14ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
インスリン分泌促進薬が、スルホニル尿素剤、非スルホニル尿素系インスリン分泌促進薬、インクレチンホルモン又はナトリウムイオン−グルコース共輸送体阻害薬であり、
インスリン感受性増強薬が、チアゾリジンジオン誘導体、非グリタゾン型PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、レチノイドX受容体アゴニスト又は11βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1阻害薬であり、
インスリンシグナル伝達経路モジュレータが、プロテインチロシンホスファターゼ阻害薬、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ阻害薬、抗糖尿病性非小分子偽化合物、GSK-3阻害薬、JNK阻害薬又はIKβ阻害薬であり、
肝臓グルコース生産調節異常に影響する化合物を有効成分とする医薬が、ビグアナイド薬、グルコース-6-ホスファターゼ阻害薬、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、グルカゴン受容体拮抗薬、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ阻害薬又はピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害薬であり、
糖質吸収阻害薬が、胃内容物排泄阻害薬又はαグルコシダーゼ阻害薬である請求項18記載の方法。
【請求項20】
脂質低下薬が、ミクロソームトリグリセリド転送蛋白阻害薬、HMG CoA還元酵素阻害薬、陰イオン交換樹脂、コレステロール吸収阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、コレステリルエステル転送蛋白阻害薬、フィブリン酸誘導体、LDL受容体活性の上昇制御薬、リポキシゲナーゼ阻害薬及びACAT阻害薬から成る群から選択される、請求項14ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
降圧薬が、ACE阻害薬、AT1受容体拮抗薬、レニン阻害薬、NEP/ACE阻害薬、カルシウムチャンネル拮抗薬、α1アドレナリン受容体遮断薬、βアドレナリン受容体遮断薬、利尿薬、エンドセリン変換酵素阻害薬及びエンドセリン受容体拮抗薬から成る群から選択される、請求項14ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
抗糖尿病薬が、グリメピリド、グリピジド、トルブタミド、クロロプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリブリド、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド、エクセナチド、NN-2211、CJC-1131、ZP-10、LY315902、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、MCC-555、Gl-262570、JTT-501、ムラグリタザール、テサグリタザル、LY-465608、LG100268、LGD1069、BVT-3498、BVT-2773、BVT-14225、L-783281、メトホルミン、CS-917、BAY27-9955、インスリン、アミリン、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール、T-1095及びKGA2727、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
脂質低下薬が、インプリタピド、JTT-130、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、セリバスタチン、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、コレスチミド(コレスチラン)、コレスチラミンレジン、コレスチポール、塩酸セベラマー、塩酸コレセベラム及びエゼチミブ、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
降圧薬が、カプトプリル、フォシノプリル、エナラプリル、リシノプリル、キナプリル、ベナゼプリル、フェンチアプリル、ラミプリル、オマパトリラート、ファシドトリル、イルベサルタン、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、アムロジピン ベシレート、ニフェジピン、フェロジピン、ニトレンジピン、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、カルベジロール、ベタキソロール、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、スピロノラクトン及びエプレレノン、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
糖尿病性合併症治療薬が、エパルレスタット、フィダレスタット、ゼナレスタット、AS-3201、ルボキシスタウリン、ALT-946、MCC-257、TAK-428及びTAK-128、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗肥満薬が、YM-178、CL-316243、オルリスタット、セチリスタット、シブトラミン、マジンドール及びリモナバン、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗血小板薬が、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、サルポグレラート、オザグレル及びプラスグレル、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分であり、
抗凝固薬が、ワーファリン、キシメラガトラン、アルガトロバン、低分子ヘパリン及びMCC-977、それらの医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である、請求項14ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
(b)が、メトホルミン及びαグルコシダーゼ阻害薬、それぞれに対する医薬上許容される塩並びにそれらの溶媒和物から成る群から選択される少なくとも1種の有効成分である請求項14ないし17のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−32359(P2013−32359A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−201011(P2012−201011)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【分割の表示】特願2007−519080(P2007−519080)の分割
【原出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】