医薬剤の胃腸吸収を増大するための製剤および方法
本発明は、BCRP/ABCG2の阻害剤と組み合わせて薬剤を投与することによって医薬剤の吸収を増大する方法であって、阻害剤の量が、阻害剤のほぼ臨界ミセル濃度、または臨界ミセル濃度未満である方法に関する。本発明はさらに、医薬剤の吸収を増大するための使用に適した製剤に関する。医薬剤は化学療法剤であることができる。本発明はさらに、その製剤を含有するカプセルに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動的排出トランスポーターBCRP/ABCG2を阻害することによって、医薬剤の胃腸吸収を増大するための製剤および方法を提供する。さらに本発明は、BCRP/ABCG2を阻害するための薬理学的に活性な賦形剤、およびそれらを用いる方法を提供する。本発明はさらに、本発明の賦形剤と共に用いるのに適した、化学療法剤などの医薬剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
ATP結合カセット(ABC)タンパク質は、約48のメンバーの大きなタンパク質ファミリーである。これらの「フルトランスポーター」は、1つのポリペプチド鎖に4つのドメイン(2つの膜貫通ドメインと2つのヌクレオチド結合ドメイン)を有する。膜貫通ドメインはそれぞれ、形質膜を6回貫通する。「ハーフトランスポーター」は、2つのドメイン(1つの膜貫通ドメインと1つのヌクレオチドドメイン)を有する。「ハーフトランスポーター」は、二量体化した後に活性となる。ABCタンパク質は、濃度勾配に逆らってそれらの基質を輸送するために、ABCヌクレオチドドメインによるATP加水分解によって放出されるエネルギーを用いる。
【0003】
乳癌耐性タンパク質(BCRP、系統的にABCG2として知られる)は、ABCファミリーの薬物ハーフトランスポーターに属する。近年、ABCG2が多くの正常組織、たとえば胎盤合胞体層の頂側膜、肝細胞の胆管側膜、ならびに小腸および結腸の絨毛上皮細胞の管腔膜に発現することが示された。ABCG2の局在は、頂側膜を通して生体異物を排出することによって、生体異物への暴露に対して組織を防御することにおいて、ABCG2が潜在的な役割を持ち得ることを示唆している。
【0004】
近年、いくつかの医薬賦形剤が腸においてP糖タンパク質(P−gp)の機能を阻害し、したがってP−gp基質の経口吸収を増大できることが報告された。Johnson等は、P糖タンパク質(P−gp/ABCB1)に対するポリエチレングリコール400、Pluronic P85、およびD−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシナート(TPGS)の阻害作用を報告している。Johnson、Charman、およびPorter、An In Vitro Examination of the Impact of Polyethylene Glycol 400,Pluronic P85,and Vitamin E d−α−Tocopheryl Polyethylene Glycol 1000 Succinate on P−Glycoprotein Efflux and Enterocyte−Based Metabolism in Excised Rat Intestine、AAPS PharmSci 2002:4、1。P−gpはフルトランスポーターである。Cornaire等は、Labrasol、Imwitor742、Acconon E、Softigen767、Cremophor EL、Miglyol、Solutol HS 15、スクロースモノラウラート、ポリソルベート20、TPGS、およびポリソルベート80を含むいくつかの賦形剤によるジゴキシンの吸収の増大を報告している。Cornaire、Woodley、Hermann、Cloarec、Arellano、およびHouin、Impact of excipients on the absorption of P−glycoprotein substrates in vitro and in vivo、Int.J.Pharm.2004、278、119。
【0005】
正常組織において、小腸および大腸両方の上皮細胞でABCG2の高発現が認められている。ABCG2の局在は、頂側膜を通して生体異物を排出することによって、生体異物への暴露に対して組織を防御することにおいて、ABCG2が潜在的な役割を持ち得ることを示唆している。ABCG2の基質となる薬物は、消化管において低吸収であり、これによりその薬物の低いバイオアベイラビリティをもたらし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ABCG2機能の阻害におけるある種の医薬賦形剤の役割を評価することによって、薬物投与および有用性の問題を扱う。ABCG2機能の阻害は、消化管からのABCG2基質薬物の吸収を向上する可能性がある。したがって、本出願人等は、現在用いられているいくつかの医薬賦形剤がABCG2機能を阻害するかどうかを調べた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ABCG2輸送系を阻害することによって、医薬活性剤の取り込みを増大するための製剤および方法に関する。本発明の製剤は、経腸使用、他の粘膜表面での使用に適している。一態様において、本発明は、ABCG2の有用な阻害剤およびそれらの使用方法を同定することによって、ABCG2輸送系によって排出されやすい薬物の有効な製剤および使用における利益を提供する。
【0008】
本発明の一態様は、医薬剤の吸収を増大する方法であって、ABCG2の阻害剤と組み合わせて、そのような治療を必要としている対象に前記薬剤を投与することを含み、特に賦形剤の量が、経腸的に送達されるとき、阻害剤の臨界ミセル濃度(cmc)以下の値であることができる方法である。特定の一態様において、賦形剤の量は、cmc未満の値であることができる。他の特定の態様において、賦形剤の量は、cmcを超える値であることができる。さらに他の態様において、賦形剤の量は、cmc以上の値であることができる。薬剤は対象の胃腸管に投与することができる。賦形剤は広範なABCG2阻害剤から選択することができ、これに限定されるものではないが、マクロゴールエステル(ポリオキシル35ヒマシ油)、マクロゴールソルビタンエステル(ポリソルベート20)、マクロゴールアルキルエーテル(ポリオキシル4ラウリルエーテル)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、Pluronic L81、マクロゴールソルビタンエステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、ラウリルマルトピラノシド(LM)、マクロゴールエステル(ポリオキシル40ステアラート)、マクロゴールエステル(ポリオキシル40水素添加ヒマシ油)、ビタミンE TPGS、ポロキサマー188、およびそれらの混合物が含まれ、ABCG2阻害剤の組み合わせを含むことができる。上記賦形剤の一般的な説明は表1に見出される。医薬剤は任意の医薬剤であることができ、これに限定されるものではないが、化学療法剤が含まれる。
【0009】
本発明の他の態様は、医薬剤の吸収を増大する方法であって、レセルピン、CI1033、GF120918、フミトレモルジンC(FTC)、Ko134、またはKo132、および賦形剤と組み合わせて前記薬剤を投与することを含み、特に前記賦形剤の結果としてもたらされる濃度が、臨界ミセル濃度以下である方法である。
【0010】
本発明の阻害剤は、ABCG2によって排出されやすい薬物の吸収を増大するのに有用である。特定の態様において、本発明の有益な賦形剤は、ABCG2の作用を打ち消す。これらの賦形剤はABCG2の基質であってよいが、本発明は特定の分子機序に依存しない。一態様において、本方法は、P−gp/ABCB1が実質的に阻害されるとき、医薬剤の吸収を増大することを対象とする。
【0011】
本発明はまた、医薬剤の吸収を増大する方法に関する。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、医薬剤の吸収を増大する方法であって、ABCG2機能の阻害をもたらすある量の賦形剤と組み合わせて前記薬剤を投与することを含む方法である。特定の一態様において、ABCG2の阻害は少なくとも約30%、より詳細には約40%、さらに詳細には約60%である。
【0013】
一態様において、本発明は、医薬剤、およびABCG2を阻害することのできる賦形剤を含む粘膜に投与するための組成物を含み、特に投与時の前記賦形剤の濃度は、前記賦形剤の臨界ミセル濃度未満であるか、または実質的に臨界ミセル濃度未満である。さらに他の態様において、投与時の賦形剤の濃度は、cmc以下である。他の態様において、投与時の賦形剤の濃度は、cmc以上である。さらに他の態様において、投与時の賦形剤の濃度は、実質的にcmcである。本組成物は、経口投与形態であることができる。さらなる一態様において、経口投与形態は、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約2分の1である前記賦形剤の投与時の濃度を有することができる。経口投与形態はまた、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約4分の1である前記賦形剤の投与時の濃度を有することができる。経口投与形態はまた、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1である前記賦形剤の投与時の濃度を有することができる。一実施形態において、経口投与形態は、cmcの約8分の1と約cmcの間である前記賦形剤の投与時の濃度を有する。他の実施形態において、経口投与形態は、cmcの約8分の1と2分の1の間である前記賦形剤の投与時の濃度を有する。特定の態様において、投与時の賦形剤の量は、cmcの約8分の1と約4分の1の間である。他の特定の態様において、投与時の賦形剤の量は、cmcの約4分の1と約2分の1の間である。他の特定の態様において、投与時の賦形剤の量は、cmcの約2分の1とcmcの間である。
【0014】
他の態様において、本発明は、有効量の医薬剤および賦形剤を含む、そのような治療を必要としている対象を治療するための医薬製剤を含み、特に賦形剤は、経腸的に送達されるとき、実質的に臨界ミセル濃度未満の量で存在する。本発明のさらに他の態様において、賦形剤は、cmcを超える量で存在する。本発明のさらに他の態様において、賦形剤は、cmc以上の量で存在する。本発明のさらに他の態様において、賦形剤は、cmc未満の量で存在する。本発明のさらに他の態様において、賦形剤は、cmc以下の量で存在する。本発明はさらに、その製剤を含むカプセルを含むことができる。製剤の薬剤は、化学療法剤であることができる。
【0015】
本発明はまた、医薬剤および賦形剤を含むカプセルを含むことができ、前記賦形剤の濃度は、前記賦形剤の臨界ミセル濃度である。
【0016】
一態様において、本発明は、医薬剤の吸収を増大する方法であって、ABCG2阻害剤と組み合わせて前記薬剤を対象に投与することを含み、阻害剤の量が、200mlの流体に希釈されると、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法を含む。臨界ミセル濃度は、表面張力によって測定することができる。流体は、水、緩衝液、天然または擬似胃液、および天然または擬似腸液からなる群から選択することができる。特定の一態様において、流体は水である。一態様において、阻害剤は、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、またはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0017】
カプセルは一般に、冷却剤、安定化剤、および唾液刺激材料を含むことができる任意の材料と共にフィルム形成材料を有することができる。
【0018】
本発明はさらに、半固体マトリックスにカプセル化された少なくとも1種の有効用量の化学療法剤を含み、阻害剤の量が阻害剤の臨界ミセル濃度未満、または臨界ミセル濃度、またはほぼ臨界ミセル濃度であるABCG2阻害剤、および投与レジメンを明示するラベルをさらに含むキットを含む。
【0019】
本発明はまた、そのような治療を必要としている対象を治療する方法であって、ABCG2阻害剤と組み合わせて、治療上有効量の医薬活性剤を前記対象に投与することを含み、阻害剤の量が、対象の胃腸管に送達されるとき、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
定義
本出願において、以下の用語は以下の意味に従って用いる。
【0021】
ABCG2の「基質」は、能動トランスポーターが輸送する分子である。いくつかの知られているABCG2の基質は、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ビサントレン、カンプトテシン(トポテカンおよび代謝産物SN−38を含む)、プラゾシン、ドキソルビシン、グルクロニドコンジュゲート(E217βG、4−メチルウンベリフェロングルクロニド、およびE3040グルクロニドを含む)、および硫酸コンジュゲート(エストロン硫酸、エストラジオール硫酸、DHEAS、4−メチルウンベリフェロン硫酸、およびE3040硫酸を含む)である。
【0022】
「生体異物」は、特定の生体の身体に異質である化学化合物または生体化合物である。殺虫剤、および合成または半合成薬物は、生体異物の例である。
【0023】
「活性賦形剤」は、薬物吸収に作用を及ぼすことのできるもの、特にABCG2機能を阻害するそのような賦形剤である。
【0024】
「不活性賦形剤」は、活性賦形剤以外の賦形剤である。
【0025】
「活性医薬剤」は、疾患を治療するために投与される主たる薬物である。
【0026】
賦形剤濃度を測定するための単位はモル(M)、および他の濃度での関連単位、たとえばマイクロモル(μMまたはuM)などである。
【0027】
臨界ミセル濃度は、たとえば張力計を用いて表面張力法によって、または当分野で知られている他の方法によって測定できる。当分野で知られている任意の適切な方法を用いて、cmcを測定することができる。特定の実施形態において、ASTM D971 REV Aが用いられる。
【0028】
遺伝子および遺伝子産物の命名は以下のとおりであり、非系統名の根強い使用を反映する。遺伝子名は、固有名詞に由来していないかぎり、小文字のイタリック体で表記し、遺伝子産物は多くの場合、すべて大文字であり、イタリック体を用いていない。したがって、ヒト乳癌耐性タンパク質をコードする遺伝子は『bcrp』(『abcg2』とも呼ばれる)であり、遺伝子発現産物はABCG2である。この遺伝子の染色体座は、4q22である。マウスでは、遺伝子『bcrp1』は、『bcrp1』をコードする。比較すると、ヒト多剤耐性遺伝子は『mdr1』(『abcb1』とも呼ばれる)であり、ABCB1とも呼ばれるP糖タンパク質(P−gp)をコードする。ABCG2および/またはマウス相同体の阻害剤には、レセルピン、CI1033、GF120918、フミトレモルジンC(FTC)、Ko134、およびKo132が含まれる。
【0029】
特定の態様において、本発明の方法および製剤は、特定の活性賦形剤を対象とする。本発明の特定の一態様において、活性賦形剤は、ポリオキシル35ヒマシ油(たとえば、Cremophor EL)である。本発明による他の特定の態様において、活性賦形剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(たとえば、Tween 20)である。本発明のさらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、ラウリルポリエチレングリコールエーテル(たとえば、Brij 30)である。本発明のさらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26(たとえば、Pluronic P85)である。本発明のさらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2(たとえば、Pluronic L81)である。特定の態様において、活性賦形剤は、ポリソルベート80(たとえば、Tween 80)である。他の特定の態様において、活性賦形剤は、LMである。さらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、ポリオキシル40ステアラート(たとえば、Myrj 52)である。さらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアラート(たとえば、Cremophor RH40)である。さらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、ビタミンE TPGSである。これらの賦形剤および他の賦形剤のさらなる化学的説明に関しては、表2を参照されたい。
【0030】
本発明の組成物および方法における活性賦形剤の量は多様であることができる。本発明の特定の態様において、賦形剤の量は、cmcの値に関連して検討される。たとえば、その量は、cmcの20分の1、cmcの10分の1、cmcの5分の1などであることができる。他の例として、その量は、cmcの2倍、5倍、10倍、30倍、もしくは100倍、または中間値であることができる。さらにより特定の値には、cmcの約20分の1から約5分の1、cmcの2〜100倍、cmcの10〜100倍、cmcの2〜30倍、cmcの5〜30倍、およびcmcの10〜30倍などの範囲を含むことができる。さらにその量は、消化管(gut)または当分野で知られている適切なモデル系での賦形剤の分散に関連させることができる。このように、たとえばカプセルに製剤化される量は、投与によって生じる、cmcに対する濃度に関連させることができる。特定の実施形態において、投与される賦形剤の量は、胃液または腸液に希釈されたとき、その濃度が賦形剤のcmc未満であるように決定される。上部胃腸管の容量は以下のように概算できる。絶食状態の胃、300〜500ml、摂食状態の胃、900ml、絶食状態の小腸、500ml、摂食状態の小腸、900〜1000ml、ならびに絶食状態の胃+併用投与流体、500ml。DressmanおよびReppas、2000、In Vitro−In Vivo Correlations for Lipophilic,Poorly Water−soluble Drugs、Eur.J.Pharm.Sci.11 Supp2、S73。通常の方法では、容量はグラス1杯の水、約200mlに対応すると見なされる。他の実施形態において、その量は十二指腸、および/または空腸、および/または回腸液の容量に基づく。
【0031】
投与される活性賦形剤の量は、臨界ミセル濃度の測定によって求めることができる。臨界ミセル濃度は、これに限定されるものではないが、水、重水、水性緩衝溶液、緩衝または非緩衝塩溶液、天然胃液、擬似胃液、天然腸液、または擬似腸液を含む、任意の適切な流体に活性賦形剤を希釈して測定することができる。天然および擬似胃液および腸液は、非摂食または摂食状態から得ることができる。例となる擬似媒質は、DressmanおよびReppas、同上、ならびにGalia等、1998、Evaluation of Various Dissolution Media for Predicting In Vivo Performance of Class I and II Drugs、Pharm.Res.15、698によって提供される。適切な流体は、絶食状態擬似腸液(FaSSIF)である。他の適切な流体は、摂食状態擬似腸液(FeSSIF)である。FaSSIFおよびFeSSIFの例となる配合を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
上述の要因に加えて、当業者はin vitroでの測定とin vivoでの作用との相関において、追加の要因を考慮することができる。そのような要因には、これに限定されるものではないが、温度、リパーゼなどの酵素の不在または存在、および対象の体の大きさを含むことができる。
【0034】
臨界ミセル濃度を測定するために、当分野で知られている任意の方法を用いることができ、これに限定されるものではないが、表面張力測定、蛍光測定、および近赤外測定が含まれる。たとえば、TranおよびYu、2005、Near Infrared Spectroscopic Method for the Sensitive and Direct Determination of Aggregations of Surfactants in Various Media、J.Colloid Interface Sci.283.613を参照されたい。
【0035】
適切な医薬組成物としての本発明による化合物の投与は、粘膜に許容される任意の投与様式によって行うことができる。したがって投与は、たとえば固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体投与形態、たとえば錠剤、坐剤、丸剤、軟弾性および硬ゼラチンカプセル、散剤、液剤、懸濁剤、またはエアロゾルなどの形態で、特定の態様では正確な用量の簡易投与に適した単位用量形態で、経口、経鼻、局所、経膣、口腔内、経腸的に、または肺もしくは気管支に行うことができる。これらの組成物は、通常の医薬担体、本発明の活性賦形剤、活性医薬剤を含むことになり、さらに他の医薬剤(medicinal agent)、医薬剤(Pharmaceutical agent)、担体、補助剤などを含むことができる。「非活性」賦形剤には、たとえば医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロースエーテル誘導体、グルコース、ゼラチン、スクロース、クエン酸塩、没食子酸プロピル、第二リン酸カルシウムなど、崩壊剤、たとえばクロスカルメロースナトリウム、またはその誘導体など、滑剤、たとえばステアリン酸マグネシウムなど、および結合剤、たとえばデンプン、アカシアガム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル誘導体などを含むことができる。そのような組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、持続放出性製剤の形態をとる。
【0036】
経口投与の場合、本発明の製剤は、カプセル、錠剤、または丸剤、軟性ジェルキャップ、散剤、液剤、懸濁剤、または液体など、経口摂取に栄養的に許容されるビヒクル中で投与することができる。経口投与形態の組成物の調製において、任意の通常の媒質を用いることができる。経口液体調剤(たとえば、懸濁剤、エリキシル、および液剤など)の場合、たとえば水、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤などを含有する媒質を用いることができる。経口固形剤(たとえば、散剤、カプセル、丸剤、錠剤、およびロゼンジ)を調製するために、デンプン、砂糖、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を用いることができる。制御放出形態も用いることができる。錠剤は、場合により1種または複数の補助成分と共に、圧縮または成形することによって製造できる。圧縮錠剤は、適切な機械で、場合により結合剤(たとえば、ポビドン(1−エテニルピロリジン−2−オンである)、ゼラチン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(たとえば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロールナトリウム)、界面活性剤、または分散剤と混合された流動形態、たとえば粉末または顆粒の活性成分を圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、適切な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって製造することができる。これらの錠剤は、場合によって被覆または分割されていてもよく、さらにたとえば所望の放出プロファイルを提供するために様々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロースを用い、錠剤の活性成分を制御放出するように製剤化することができる。軟性ジェルキャップは、トコフェロールおよび多価不飽和脂肪酸などの脂肪親和性物質を含有するための特に適切な例である。ジェルキャップを調製する方法は、当分野でよく知られている。たとえば、露出した円周帯を有するジェルキャップを開示している米国特許出願2005/0152971、軟性ゼラチンで被覆された錠剤核を開示している米国特許第5,317,849号、着色錠剤を被覆する透明ゼラチンに関する米国特許第5,089,270号および第5,213,738号、ならびにゼラチン被覆錠剤核に関する米国特許第4,820,524号、第4,966,771号、および第4,867,983号を参照されたい。
【0037】
経口投与形態は、場合によりさらにレシチンを含む、半固体マトリックスを含むことができる。経口投与形態はまた、ポリグリコール化グリセリドを含み、場合によりさらにレシチンを含む半固体マトリックスであることもできる。
【0038】
錠剤は、たとえば「不活性」賦形剤(たとえば、ラクトース、スクロース、デンプン、D−マンニトールなど)、崩壊剤(たとえば、カルボキシメチルセルロースカルシウムなど)、結合剤(たとえば、アルファ化デンプン、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)、滑剤(たとえば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)、「活性」賦形剤(たとえば、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル4ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラートなど)などを活性成分に添加し、圧縮成形し、さらに必要に応じて、味マスキング、腸溶性、または持続放出を達成するためにそれ自体が知られているコーティング基剤を用いて、それ自体が知られている方法によって被覆することによって製造できる。
【0039】
カプセルは、ゼラチンカプセル、またはセルロースカプセルなどの多糖カプセルであることができる。カプセルの調製に適していることが当業者に知られている任意のゼラチンを用いてゼラチンカプセルを形成することができ、これに限定されるものではないが、ウシゼラチン、ブタゼラチン、魚ゼラチン、および純アイシングラスが含まれる。セルロースカプセルでは、フィルム形成材料はセルロースポリマーであることができ、これに限定されるものではないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの混合物が含まれる。カプセルはまた、プルラン、または他のグルカン、たとえばスクレログルカン、ポリビニルアルコール、ペクチン、変性デンプン、アルギン酸ナトリウム、アンモニウム、カリウム、もしくはカルシウムを含むアルギン酸塩、またはアルギン酸プロピレン、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ゾリゲル(soligel)、キチン、キトサン、レバン、エルシナン、ゼラチン、コラーゲン、ゼイン、グルテン、分離大豆タンパク質、分離乳漿タンパク質、カゼイン、またはキサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、およびガティガムを含むガムなどから形成することもできる。変性デンプンは、特にデンプンエーテル、または酸化デンプン、より詳細にはヒドロキシプロピル化デンプン、またはヒドロキシエチル化デンプンであることができる。カプセルは、薬理学分野で知られている任意の適切な形態をとることができる。たとえば、カプセルは硬質シェルカプセル、または軟質シェルカプセルであることができる。特定の一態様において、カプセルは、プルランを含むことができる。一形態において、カプセルは、腸溶的に被覆されていることができる。カプセルはまた、フィルムの約0から約10重量%、好ましくは約0.1から約2重量%の範囲の量で、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、およびカラギーナンを含む安定化剤を含むことができる。そのようなカプセル剤および腸溶性コーティングには、プルランカプセルに関する米国特許第6,887,307号、プロリポソーム送達系に関する米国特許第6,849,269号および第6,761,901号、非ゼラチン硬医薬カプセルに関する米国特許第6,752,953号、油性カプセルに関する米国特許第6,627,219号、特定の胃腸部位で即時放出するためのカプセルに関する米国特許第6,531,152号、カプセルに適したポリマーフィルムに関する米国特許第6,517,865号、カプセルおよび錠剤を被覆するアルギン酸に関する米国特許第6,455,052号、酸感受性薬物に適した腸溶性錠剤コーティングに関する米国特許第6,331,316号、カチオン性ポリマーコーティングと外側のアニオン性ポリマーコーティングを有するカプセルに関する米国特許第6,214,378号、ならびに多重層薬物送達系に関する米国特許第5,447,729号に記載されているものなど、当分野で知られているものを含むことができる。
【0040】
カプセルは、粉末または顆粒医薬剤を充填した硬カプセルとして、または液体もしくは懸濁液、または半固体マトリックスを充填した軟カプセルとして作ることができる。硬カプセルは、活性成分を、たとえば賦形剤(たとえば、ラクトース、スクロース、デンプン、結晶セルロース、D−マンニトールなど)、崩壊剤(たとえば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン、クロスカルメロースナトリウムなど)、「活性」賦形剤(たとえば、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル4ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラートなど)、結合剤(たとえば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウムなど)などと混合および/または顆粒化し、前述のゼラチン、プルランなどから形成したカプセルにその混合物または顆粒を充填することによって製造される。セルロースは、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または当分野で知られている他の任意の形態のセルロースであることができる。軟カプセルは、活性成分を基剤(たとえば、「活性」賦形剤(たとえば、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル4ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラートなど)を含む大豆油、綿実油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、蜜ロウなど)に溶解または懸濁し、たとえば回転充填機などを用いて、ゼラチンシートに調製した溶液または懸濁液を密封することによって製造される。
【0041】
通常の硬カプセルは、浸漬成形法によってゼラチンから作られる。この浸漬成形法は、熱ゼラチン溶液が冷却によって硬化する能力に基づいている。医薬カプセルを工業的に製造する場合、そのゲル化、フィルム形成、および表面活性特性のため、ゼラチンが好ましい。典型的な浸漬成形法は、成形ピンをゼラチンの熱溶液に浸漬するステップ、ピンをゼラチン溶液から取り出すステップ、ピンに付着したゼラチン溶液を冷却によって硬化させるステップ、乾燥するステップ、そのように形成されたシェルをピンから剥がすステップを含む。浸漬後、成形ピン上で溶液を硬化することは、均一な厚さのカプセルシェルを得るために重要なステップである。全自動化工業用硬ゼラチンカプセル製造機では、ピンに付着したゼラチン溶液を乾燥するために、ゼラチン被覆を有するピンが下向きから上向きに回転される。ゼラチンが冷却され、硬化すると、カプセルシェルはピンから剥がされ、その後切断され、キャップと本体が連結される。浸漬後、浸漬されたピン上でゼラチン溶液が迅速に硬化することが、均一な壁厚を維持するのに重要である。
【0042】
Murphyの米国特許第2,526,683号は、浸漬被覆または浸漬成形法によって、メチルセルロース薬用カプセルを調製する方法を最初に記載した。この方法は、予め40〜85℃に加熱したカプセル形成ピンを、ゲル化開始温度未満の温度に保ったセルロースエーテル溶液に浸漬し、所定の取り出し速度でピンを取り出し、次いで、ゲル化温度を超える温度に保ったオーブンにピンを入れ、ピンを最初は低温に暴露し、その後フィルムが乾燥するまで徐々により高い温度に暴露することからなる。その後、乾燥カプセルを剥がし、適切な大きさに切断し、本体とキャップを組み合わせる。しかしながら、これらのメチルセルロースカプセルは、許容時間に体温で胃腸液に溶解されない。
【0043】
Sarkarの米国特許第4,001,211号は、メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの、熱ゲル化セルロースエーテルを用いる薬用カプセルを記載している。Sarkarのカプセルは、水溶性メチルとC2〜C3ヒドロキシアルキルセルロースエーテルを配合して、本質的にニュートン性の浸漬被覆溶液を得ることによるピン浸漬被覆法によって調製される。低粘度のメチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの配合物は、特に適切な浸漬溶液特性、ゲル降伏強度、およびカプセル溶解速度を提供する。
【0044】
Mutoの米国特許第4,993,137号は、Sarkarの改良されたメチルセルロースエーテルから作られるカプセルの製造に関する。Mutoは、溶液被覆ピンを熱的に制御された水に浸漬することによって、溶液をゲル化する方法を開示している。
【0045】
Grosswald等の米国特許第5,698,155号は、医薬カプセルを製造する方法および装置を記載している。この方法は、鋳型としてカプセル本体ピンとカプセルキャップピンと共に、熱ゲル化セルロースエーテル組成物の水溶液を用いる。この方法はさらに、ピンを加熱すること、ピンの表面で溶液を硬化させるためにピンをセルロース含有水溶液に浸漬すること、ピンを取り出すこと、さらに被覆したピンを乾燥して、カプセル本体とカプセルキャップを形成することを含む。
【0046】
カプセルおよび他の用量送達デバイスは、プルランから作ることができる。プルランは天然の粘性水溶性多糖であり、ある種の酵母をデンプンシロップで増殖させることによって細胞外で産生される。プルランは良好なフィルム形成特性、特に低い酸素透過性を有し、相対湿度50%で水分含量約12%を有する。米国特許第4,623,394号は、本質的にプルランとヘテロマンナンの組み合わせからなり、含水条件下で制御された崩壊速度を有する成形カプセルを記載している。JP5−65222−Aは、カプセルに封入された迅速に酸化される物質を安定化することができ、易溶解性を示し、打ち抜き製法に耐えることのできる軟カプセルを記載している。この軟カプセルは、ゼラチン、寒天、またはカラギーナンなどのカプセルフィルム基剤をプルランと配合することによって得られる。米国特許第3,784,390号は、プルランと、アミロース、ポリビニルアルコール、またはゼラチンとのある種の混合物が、高温での押し出しもしくは圧縮成形によって、またはその水溶液から水を蒸発させて、フィルムまたはコーティングなどの成形体を形成することによって形状化できることを開示している。米国特許第4,562,020号は、コロナ処理したエンドレス耐熱性プラスチックベルトの表面にグルカン水溶液を流し込み、ベルト上でグルカン溶液を乾燥し、得られた自己支持グルカンフィルムを剥離することを含む、プルランまたはエルシナンなどの自己支持グルカンフィルムを製造する連続法を開示している。JP−60084215−A2は、固形剤に対して改善された接着特性を有する、固形医薬品のためのフィルムコーティング組成物を開示している。このフィルムは、プルランとメチルセルロースなどのフィルムコーティング基材を組み合わせることによって得られる。JP−2000205−A2は、軟カプセルのための香料含有コーティングを開示している。このコーティングは、油性香料、および高いHLBを有する糖エステルなどの界面活性剤を含有するプルラン溶液に、多価アルコールを添加することによって得られる。米国特許第3,871,892号は、適切な溶媒および/または触媒の存在下、プルランを脂肪族もしくは芳香族脂肪酸、またはそれらの誘導体と反応させることによる、プルランエステルの調製を記載している。このプルランエステルは、高温での押し出しもしくは圧縮成形によって、またはそれらの溶液から溶媒を蒸発させて、フィルムまたはコーティングなどの成形体を形成することによって形状化できる。米国特許第3,873,333号は、プルランエステルおよび/またはエーテルを水または水とアセトンの混合物に、溶媒の5パーセントから40パーセントの量で均一に溶解または分散することによって調製される接着剤またはペーストを開示している。米国特許第3,997,703号は、プルラン層、ならびにオレフィンおよび/またはビニル化合物のホモポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、セルロース、ポリビニルアルコール、塩酸ゴム、紙、またはアルミホイルからなる層を有する多層成形プラスチックを開示している。英国特許第1,533,301号は、水溶性ジアルデヒド多糖類をプルランに添加することによって、プルランの耐水性を改善する方法を記載している。英国特許第1,559,644号も、プルラン製品の耐水性を改善する方法を記載している。これらの改良された製品は、(a)プルランまたはその水溶性誘導体と(b)ポリウロニドまたはその水溶性塩との混合物または成形組成物を、二価または多価金属イオンの水溶液および/またはアルコール溶液と接触させることを含む方法によって製造される。WO01/07507は一般にプルランフィルム組成物および硬化系を記載している。米国特許出願2005/0249676は、浸漬成形法を用いる硬カプセルの製造を促進するために、プルラン溶液に硬化系を加えることを開示している。
【0047】
Yamamoto等の米国特許第5,756,123号は、水溶性セルロース誘導体基剤として79.6〜98.7重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ゲル化剤として0.03〜0.5重量%のカラギーナン、ならびに共ゲル化剤として0.14〜3.19重量%のカリウムイオンおよび/またはカルシウムを含有するカプセルシェルを開示している。このカプセルシェルは、HPMCをカラギーナンと水中で配合して水溶液を形成し、その水溶液を乾燥し、通常の浸漬成形法を用いてカプセルシェルを形成することによって調製される。
【0048】
米国特許出願2003/0104047は、鋳型でカプセル形成組成物を融解する加熱融解法によって非ゼラチン硬カプセルを製造する方法を開示している。このカプセルシェルは、予め加熱した乳棒(pestle)を鋳型に挿入した後に形成される。乳棒によって加えられる圧力によって確実に、融解したカプセル形成組成物が均一に乳棒に被覆する。次いで被覆したカプセル形成組成物と共に乳棒を鋳型から取り出し、続けて組成物を乾燥し、乳棒から取り外し、それがカプセルシェルとなる。この方法は、水性カプセル形成組成物の調製を必要とせず、それにより時間が節約され、浸漬成形法に比べて費用効果が高い可能性がある。
【0049】
米国特許出願2004/0265384は、Rhizobium Leguninasorum由来の部分的に加水分解されたエキソ多糖YAS34を含む可溶性フィルムを形成するための組成物を開示している。この多糖はSoligelとしても知られている。384号出願は、製造中の作業温度を改善するために、YAS34に追加の硬化剤を加えている。
【0050】
米国特許出願2005/0196437は、ゼラチンを含まない硬カプセルを製造するための、高い弾性および優れた靭性を備えたフィルムを有する、物理的に誘発されたデンプン加水分解物、可塑剤、およびゲル化剤の配合物を開示している。
【0051】
対象となる製剤は、摂取することのできる生理的に許容できる材料と化合することができ、それらの材料には、これに限定されるものではないが食品バー、飲料、粉末、シリアル、調理済み食品、食品添加物、キャンディーを含む食品が含まれるが、これに限定されるものではない。本組成物が食品などの種々の媒質に組み入れられる場合、簡単に口から摂取することができる。食品は栄養補助食品(スナックまたは健康栄養補助食品)であることができるか、または特に動物の場合、栄養バルク(たとえば、一次動物飼料に組み込まれる場合)を含むことができる。医薬剤を投与する対象はヒトとすることができるが、獣医での使用も特に企図される。
【0052】
直腸投与の場合、対象となる組成物は、坐剤、注腸用の液剤、または他の好都合な適用例として提供することができる。坐剤は、たとえばカカオ脂またはサリチラートを含む適切な基剤を含むことができる。膣内投与用の製剤は、活性成分に加えて当分野で適切であることが知られている担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供することができる。
【0053】
一般に、意図される投与様式に応じて、薬学的に許容できる組成物は、約1重量%から約99重量%のABCG2阻害剤、1重量%から約99重量%の活性医薬剤、および99重量%から1重量%の適切な「不活性」医薬賦形剤を含有する。特定の例において、組成物は、約5重量%から75重量%が活性医薬剤、または薬学的に許容できるその塩であり、残りは、ABCG2を阻害する活性賦形剤を含む適切な医薬賦形剤である。他の特定の例において、活性賦形剤は、組成物の50重量%未満であり、その重量は組成物の総重量に基づく。
【0054】
薬学的に投与可能な液体組成物は、たとえば、活性医薬剤(約0.5%から約20%)、または薬学的に許容できるその塩、および本発明の活性賦形剤を含む医薬補助剤を、たとえば水、食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール、エタノールなどの担体にたとえば溶解、分散して、それによって溶液または懸濁液を形成することによって調製することができる。
【0055】
所望であれば、本発明の医薬組成物はまた、少量の補助物質、たとえば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、抗酸化剤など、たとえばクエン酸、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、ブチル化ヒドロキシトルエンなどを含有することができる。
【0056】
そのような投与形態を調製する実際の方法は、当業者に知られているか、または明らかであり、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版(Mack Publishing Company、Easton、Pa.2000)を参照されたい。投与される組成物はいずれにしても、ある疾患を治療するために、治療上有効量の活性剤もしくはプロドラッグ、または薬学的に許容できるその塩を含有する。
【0057】
本明細書では、薬理学的に許容できる担体として、調剤の材料として好都合に用いられる種々の有機または無機担体物質を用いることができる。たとえば、固体調剤では賦形剤、滑剤、結合剤、および崩壊剤、液体調剤では溶媒、溶解助剤、懸濁化剤、等張化剤、および緩衝剤などを挙げることができる。必要であれば、調剤の添加剤、たとえば保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤なども用いることができる。
【0058】
「不活性」賦形剤の特定の例には、ラクトース、スクロース、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアガム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが含まれる。
【0059】
滑剤の特定の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイダルシリカなどが含まれる。
【0060】
結合剤の特定の例には、アルファ化デンプン、スクロース、ゼラチン、アラビアガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、スクロース、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。
【0061】
崩壊剤の特定の例には、ラクトース、スクロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが含まれる。
【0062】
溶媒の特定の例には、注射用水、生理食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油などが含まれる。
【0063】
溶解助剤の特定の例には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが含まれる。
【0064】
懸濁化剤の特定の例には、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセロールなどの界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性ポリマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレン水素添加ヒマシ油などが含まれる。
【0065】
等張化剤の特定の例には、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、グルコースなどが含まれる。
【0066】
緩衝剤の特定の例には、リン酸、酢酸、炭酸、クエン酸などの緩衝液などが含まれる。
【0067】
保存剤の特定の例には、p−オキシ安息香酸、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが含まれる。
【0068】
抗酸化剤の特定の例には、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが含まれる。
【0069】
着色剤の特定の例には、水溶性食用タール染料(たとえば、食用色素、たとえば食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号など)、水不溶性レーキ染料(たとえば、前述の水溶性食用タール染料のアルミニウム塩など)、天然色素(たとえば、β−カロテン、クロロフィル、酸化鉄赤色)などが含まれる。
【0070】
甘味剤の特定の例には、サッカリンナトリウム、グリシルリジン酸二カリウム、アスパルテーム、アセスルファームカリウム、スクラロース、ステビアなどが含まれる。
【0071】
活性医薬化合物が塩であり、塩の形態である化合物と水との接触を回避することが好ましいとき、化合物を活性賦形剤などと乾燥混合して、硬カプセルを得ることができる。
【0072】
本明細書では、「腸溶性コーティング」は、薬剤核を包む1種または複数のポリマー材料を含む。本発明の適切な腸溶性コーティングは、pHレベル4.5未満で著しい溶解を示さないものである。本発明に適切な腸溶性コーティングには、当分野で知られている腸溶性コーティングポリマー、たとえばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP−HP50、USP/NF 220824 HPMCP−HP55、USP/NFタイプ200731、およびHP55S、Shin Etsu Chemical)、酢酸フタル酸ポリビニル(Coateric(商標)、Colorcon Ltd.)、酢酸フタル酸ポリビニル(Sureteric(商標)、Colorcon Ltd.)、および酢酸フタル酸セルロース(Aquateric(商標)、FMC Corp.)が含まれる。一態様では、腸溶性コーティングはメタクリル酸コポリマーを使用する。
【0073】
活性医薬化合物の用量は、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、クリアランス速度、薬物の組み合わせ、患者が治療を受けている疾患の程度、および他の要因を考慮して決定される。
【0074】
用量は標的疾患、状態、投与の対象、投与方法などに応じて変化するが、成人の本態性高血圧の治療剤として経口投与される場合、特定の例において、日用量0.1〜100mgを単回用量または2もしくは3分割量で投与する。
【0075】
さらに、本発明の「活性」賦形剤は安全性が優れているため、長期間投与することができる。
【0076】
活性医薬剤と本発明の「活性」賦形剤の組み合わせは、糖尿病の治療剤、糖尿病合併症の治療剤、抗高脂血症剤、抗動脈硬化症剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、抗痛風剤、抗血栓剤、抗炎症剤、化学療法剤、免疫療法剤、骨粗鬆症の治療剤、抗認知症剤、勃起不全改善薬、尿失禁/頻尿などの医薬剤と併用することができる(以下、併用薬と略記する)。そのような場合、本発明の組成物と併用薬が併用されているかぎり、本発明の組成物を投与するタイミングと併用薬を投与するタイミングは限定されない。そのような投与の様式として、たとえば(1)本発明の組成物と併用薬の同時調剤化によって得られた単一調剤の投与、(2)本発明の組成物と併用薬の個別調剤化によって得られた2種の調剤の単一投与経路による同時投与、(3)本発明の組成物と併用薬の個別調剤化によって得られた2種の調剤の同一投与経路による時間差投与、(4)本発明の組成物と併用薬の個別調剤化によって得られた2種の調剤の異なる投与経路による同時投与、(5)本発明の組成物と併用薬の個別調剤化によって得られた2種の調剤の異なる投与経路による時間差投与(たとえば本発明の組成物、次いで併用薬の順序での投与、または逆の順序での投与)を挙げることができる。併用薬の用量は、臨床的に用いられる用量に基づいて適切に決定することができる。本発明の組成物と併用薬の混合比は、投与対象、投与経路、標的疾患、状態、組み合わせ、および他の要因に従って適切に選択することができる。投与対象がヒトである場合、たとえば、併用薬は、本発明の化合物の重量部当たり、0.01から100重量部の量で用いることができる。
【0077】
本発明の「活性」賦形剤は、既知の抗癌剤と組み合わせて投与できる。そのような既知の抗癌剤には、以下のエストロゲン受容体調整剤、アンドロゲン受容体調整剤、アロマターゼ阻害剤、レチノイド受容体調整剤、細胞毒性剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、および他の血管新生阻害剤が含まれる。特定の血管新生阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、表皮由来増殖因子の阻害剤、線維芽細胞由来増殖因子の阻害剤、血小板由来増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ポリ硫酸ペントサン、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−(クロロアセチル−カルバモイル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対する抗体からなる群から選択される。
【0078】
特定のエストロゲン受容体調整剤は、タモキシフェンおよびラロキシフェンである。
【0079】
「エストロゲン受容体調整剤」とは、機序に関わらず、エストロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体調整剤の例には、これに限定されるものではないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルリドラゾン、およびSH646が含まれる。
【0080】
「アンドロゲン受容体調整剤」とは、機序に関わらず、アンドロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体調整剤の例には、フィナステリド、および他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、および酢酸アビラテロンが含まれる。
【0081】
「レチノイド受容体調整剤」とは、機序に関わらず、レチノイドの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。そのようなレチノイド受容体調整剤の例には、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、およびN−4−カルボキシフェニルレチンアミドが含まれる。
【0082】
「細胞毒性剤」とは、主として細胞の機能を直接妨げることによって細胞死を引き起こすか、あるいは細胞減数分裂を阻害または妨げる化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレータ、ミクロチューブリン阻害剤、およびトポイソメラーゼ阻害剤が含まれる。
【0083】
細胞毒性剤の例には、これに限定されるものではないが、チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス,トランス,トランス)−ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]−テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビスアントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド、MEN10755、および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシンが含まれる(WO00/50032を参照されたい)。
【0084】
ミクロチューブリン阻害剤の例には、プラゾシン、ビンデシン硫酸塩、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン(norvincaleukoblastine)、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オーリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(−3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、およびBMS188797が含まれる。
【0085】
トポイソメラーゼ阻害剤のいくつかの例は、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデンシャールトルーシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H−,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)コルヒチ(colchic)(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナンスリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン(isoguinoline)−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、およびジメスナである。
【0086】
「抗増殖剤」には、アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、たとえばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、およびINX3001など、ならびに代謝拮抗剤、たとえばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスフェート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシ−シチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシディン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,1−1−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、および3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどが含まれる。
【0087】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」とは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。HMG−CoAレダクターゼの阻害活性を有する化合物は、当分野でよく知られているアッセイを用いて用意に同定することができる。たとえば、米国特許第4,231,938号の第6欄、およびWO84/02131の30〜33頁に記載または引用されたアッセイを参照されたい。「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」、および「HMG−CoAレダクターゼの阻害剤」という用語は、本明細書で使用されるとき、同一の意味を有する。ロバスタチン(HMG−CoAレダクターゼ阻害剤)と酪酸塩(アポトーシスの誘導因子)との組み合わせは、抗腫瘍作用のために用いることができる。
【0088】
用いることのできるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例には、これに限定されるものではないが、ロバスタチン(MEVACOR(商標)、米国特許第4,231,938号、第4,294,926号、第4,319,039号参照)、シンバスタチン(ZOCOR(商標)、米国特許第4,444,784号、第4,820,850号、第4,916,239号参照)、プラバスタチン(PRAVACHOL(商標)、米国特許第4,346,227号、第4,537,859号、第4,410,629号、第5,030,447号、および第5,180,589号参照)、フルバスタチン(LESCOL(商標)、米国特許第5,354,772号、第4,911,165号、第4,929,437号、第5,189,164号、第5,118,853号、第5,290,946号、第5,356,896号参照)、アトルバスタチン(LIPITOR(商標)、米国特許第5,273,995号、第4,681,893号、第5,489,691号、第5,342,952号参照)、ならびにセリバスタチン(リバスタチンおよびBAYCHOL(商標)としても知られる。米国特許第5,177,080号参照)が含まれる。本明細書では、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤という用語は、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の薬学的に許容できるすべてのラクトンおよび開環酸形態(すなわち、ラクトン環が開いて遊離酸を形成している)、ならびに塩およびエステル形態を含む。そのような塩、エステル、開環酸、およびラクトン形態の使用は、本発明の範囲に含まれる。
【0089】
開環酸形態が存在できるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤では、特定の例において、塩およびエステル形態を開環酸から形成することができ、そのような形態はすべて、本明細書で用いられる用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」の意味の範囲内に含まれる。特に、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチンおよびシンバスタチンから選択することができる。
【実施例】
【0090】
以下の実施例は本発明の例として示すものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例および本発明の他の説明において、化学記号および用語は通常かつ慣例的な意味を有する。含む(comprising)という用語は、それを構成するおよび本質的に構成するサブグループを含むものとして解される。本出願の他の部分と同様に、実施例において、式の値、分子量、およびエトキシル化またはプロポキシル化度は平均である。別段の指示がないかぎり、温度は℃である。成分の量は記載された標準に基づく重量パーセントであり、他に標準が記載されていない場合、組成物の総重量が推論される。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数のさらなる製剤が調製できることが理解されるであろう。
【0091】
(実施例1)
ABCG2形質導入細胞における賦形剤の作用
方法:ヒトABCG2または緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するMDCK−II細胞を作製するために、実験の48時間前にヒトABCG2またはGFPcDNAを含有する組換えアデノウイルスでMDCK−II細胞を感染させた。ABCG2またはGFP形質導入細胞を、予め温めた移動緩衝液で15分間プレインキュベートした。続いて、移動緩衝液中、頂端区画に[3H]−ミトキサントロン(MTX)を添加した。適切な濃度の医薬賦形剤、20μMのGF120918または5μMのPSC833を用いてまたは用いずに、37℃で2時間、放射性標識基質を蓄積させた。氷冷移動緩衝液で細胞を洗浄して、反応を停止した。細胞を溶解し、その後、放射能を測定するために液体シンチレーションカウンタに溶解産物を移した。
【0092】
結果:GFPおよびABCG2形質導入MDCK−II細胞におけるMTXの蓄積に対する、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシル35ヒマシ油、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26などの医薬賦形剤の作用を、図1に示す。内因性P−gpの作用を取り除くために、2時間のインキュベーション中にPSC833(P−gp阻害剤)添加したが、ただしGF120918(ABCG2およびP−gp共通阻害剤)で処理した試料にはPSC833を添加しなかった。
【0093】
GF120918は、ABCG2形質導入細胞においてMTXの蓄積を著しく増大したが(コントロールと比較して1.4倍)、GFP形質導入細胞では、一貫した作用は観察されなかった。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートは、いずれの濃度でもABCG2形質導入細胞においてMTXの蓄積を増大しなかった。対照的に、ポリオキシル35ヒマシ油は、50μMで、ABCG2形質導入細胞においてコントロールと比べて蓄積を1.3倍増大した。さらに、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26も、20μMおよび100μMで、ABCG2形質導入細胞においてコントロールと比べて蓄積を1.9倍有意に増大した。したがってこれらの結果は、ポリオキシル35ヒマシ油とエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26がABCG2機能を有意に阻害することを明らかに示している。
【0094】
(実施例2)
ABCG2機能に対する医薬賦形剤の阻害作用
ABCG2発現膜ベシクルを用い、11種の医薬賦形剤に関して、報告されているそれらの臨界ミセル濃度、または臨界ミセル濃度に近い濃度で、[3H]−エストロン−3−硫酸(E1S)の取り込みの測定を行った。
【0095】
表2の11種の医薬賦形剤を、それらのcmcでABCG2機能に対する作用に関して調べた。医薬賦形剤によるABCG2阻害の阻害機序も調べた。膜ベシクルは、高度のABCG2発現を有したHEK293細胞から調製した。表2の先頭から11種の賦形剤の存在下および不在下、これらの膜ベシクルへのE1Sの取り込みを調べた。
【0096】
【表2】
【0097】
「活性」賦形剤のABCG2阻害作用を、cmcに近い濃度で観察した。表3は、各賦形剤の報告されているcmcの値とcmc測定値を示すものである。実験結果を図2に示す。ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシル4ラウリルエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2は、ABCG2に媒介されるE1Sの取り込みをコントロールの40%未満に低減した。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシル40ステアラート、ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアラート、およびビタミンE TPGSは、40〜70%阻害した。LMとポロキサマー188は、作用が低いか、作用を示さなかった。これらの結果は、試験を行ったほとんどすべての賦形剤がABCG2に対して阻害作用を有したことを示唆している。ポロキサマー188は、P−gpおよびABCG2トランスポーターいずれの機能にも影響を及ぼさなかった。このスクリーニング試験の結果に基づいて、本出願人等は、賦形剤を弱い阻害(取り込み>40%)と強い阻害(取り込み<40%)に分類した。
【0098】
このように、ABCG2発現膜ベシクルを用いて、11種の医薬賦形剤の存在下、それらの報告されている臨界ミセル濃度(cmc)に近い濃度で、[3H]−エストロン−3−硫酸(E1S)の取り込みを測定した。11種の賦形剤のうち10種、すなわちポロキサマー188を除くすべてが、E1Sの取り込みを低減した。この低減は特に、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシル4ラウリルエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2に関して顕著であった(取り込みは40%以下となった)。
【0099】
(実施例3)
医薬賦形剤のcmcの測定
ベシクルの研究により、cmcが重要な要素であることが明らかになった。したがって、本出願人等は、移動緩衝液で表面張力を測定することによって、上で用いた11種の賦形剤と他の賦形剤のcmcを求めた。図3は、様々な濃度のポリオキシル4ラウリルエーテルの表面張力に対する代表的な作用を示すものである。その濃度を超えたところで表面張力がさらに変化することのない濃度をcmcとした。表3に、図3のように表面張力を測定することによって求めた賦形剤のcmc、および参考値として用いた文献に報告されているcmcを示す。
【0100】
【表3】
【0101】
表中、n.d.は未判定を意味する。
【0102】
わずかな相違はあるが、測定したcmcの値は、文献に報告されている参考値と全般的に一致した。しかしながらLMでは、本出願人等は文献に報告されている値よりかなり高い値を見出した。
【0103】
(実施例4)
選択された賦形剤のIC50およびヒル係数
実施例2で得られた結果に基づいて、IC50および阻害の協同性を求めるために6種の賦形剤を選択した。これらの賦形剤のIC50値、およびABCG2機能に対するそれらの阻害作用様式を評価し、判定した。
【0104】
図4は、E1Sのベシクルへの取り込みに対する、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、およびポリオキシル4ラウリルエーテルの用量反応作用を示すものである。結果は平均±標準誤差(n=3)で表す。これらのシグモイド曲線は、ヒル係数n=1で良好な適合を示さなかった。このように本出願人等はヒル係数を求めたが、それをIC50値と共に表4に示す。
【0105】
表4は、特にABCG2に媒介されるE1Sの取り込みに対するポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、およびポリオキシル4ラウリルエーテルのIC50値が、それぞれ14.4±1.9、47.6±2.0、および77.5±4.1μMであったことを示している。これらのヒル係数は、それぞれ2.0±0.6、5.8±1.3、および3.1±0.6であり、これらの賦形剤によるABCG2機能の阻害における正の協同性を示唆している。そのような協同性は、賦形剤の溶液挙動と一致する。
【0106】
【表4】
【0107】
(実施例5)
選択された賦形剤によるABCG2機能の阻害作用様式
本出願人等は、実施例4で得られた結果から、実施例4の賦形剤による阻害様式を評価した。IC50値に近い濃度での賦形剤によるABCG2阻害に関してKmおよびVmaxを算出した。次いで、それらの値を、賦形剤不在下で得られた値と比較した。結果を図5および表5に示す。表5において、括弧内の値は賦形剤なしのコントロールである。結果は平均±標準誤差(n=3)である。Vmaxは各賦形剤の使用により低下したが、Km値はほとんど変化がなかった。これは、ポリオキシル35ヒマシ油および他の試験賦形剤の阻害様式が非競合型であることを示している。
【0108】
【表5】
【0109】
(実施例6)
in vitroでの細胞におけるミトキサントロン蓄積
ABCG2に対する賦形剤の阻害作用の特徴を細胞内蓄積研究においてさらに明らかにした。ABCG2を過剰発現するMDCK−II細胞(BCRP MDCK−II)、およびコントロールとして、緑色蛍光タンパク質(GFP)を過剰発現するMDCK−II細胞(GFP MDCK−II)を調製した。基質としてミトキサントロンを用いた。賦形剤の存在下または不在下での細胞内ミトキサントロン蓄積を求めた。2時間後、PSC833、P−gp阻害剤の存在下で測定したとき、GFP MDCK−IIと比較してBCRP MDCK−II細胞は、ミトキサントロン蓄積を大きく低減した。この低減された蓄積は、GF120918処理によって著しく反転した。
【0110】
図6は、細胞内ミトキサントロン蓄積に対する、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートの作用を示すものである。これらの賦形剤はすべて、ベシクル研究でABCG2を有意に阻害した。エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26およびポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35は、BCRP MDCK−IIでミトキサントロン蓄積を増加し、これはこれらの賦形剤がABCG2機能を阻害できたことを示唆している。これに反して、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートで処理した後、BCRP MDCK−IIのミトキサントロン蓄積に有意な差はなく、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートはBCRP MDCK−IIでABCG2を阻害しなかった。このように、いくつかの賦形剤は、ベシクル研究および細胞研究において、ABCG2阻害に示差的作用を有し得る。
【0111】
(実施例7)
細胞内蓄積
ABCG2を阻害することのできる賦形剤を見出すために、本出願人等は、賦形剤の不在下または存在下、BCRP MDCK−IIおよびGFP MDCK−II細胞を用いて、細胞内蓄積研究を行った。ミトキサントロンを基質として用いた。内因性P−gpの作用を取り除くために、この実験はPSC833の存在下で行った。図7は、BCRP MDCK−IIおよびGFP MDCK−II細胞におけるミトキサントロン蓄積に対する15種の賦形剤の作用を示すものである。賦形剤のcmcを超えると、賦形剤はミセルを形成し、それが基質と相互作用する可能性があり、結果として実験媒質でのミトキサントロンの有効濃度が低下する可能性があるため、賦形剤はすべてcmc未満で用いた。プロピレングリコール、グリセリルトリアセタート、およびオレイン酸エチルなど、ミセルを形成しない賦形剤は、500μM未満の濃度で用いた。5種の賦形剤、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノラウラート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびラウリルポリエチレングリコールエーテルは、BCRP MDCK−II細胞においてミトキサントロン蓄積を有意に増大した。ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびラウリルポリエチレングリコールエーテルは特に有効であり、GF120918と同様に蓄積を増大した。これらの結果は、これらの5種の賦形剤がABCG2を阻害できることを示唆している。
【0112】
さらに、P−gpに対する賦形剤の阻害作用を調べるために、P−gp MDCK−II細胞を用いて、15種の賦形剤の細胞内蓄積研究も行った。ここでもミトキサントロンを基質として用いた。P−gp MDCK−II細胞は、GFP MDCK−II細胞と比べてミトキサントロン蓄積を大きく低減し、これはPSC833処理によって著しく反転した。PSC833は、MDCK−IIの内因性P−gp機能を阻害するため、GFP MDCK−IIにおいてもミトキサントロン蓄積を反転した。図8は、P−gpおよびGFP MDCK−IIにおけるミトキサントロン蓄積に対する15種の賦形剤の作用を示すものである。15種の賦形剤のうち、10種の賦形剤、すなわちポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウラート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、ビタミンE TPGS、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレン40ステアラート、およびPEG−32グリセリルラウラートは、P−gp MDCK−II細胞でミトキサントロン蓄積を増大し、これはこれら10種の賦形剤がP−gp機能を阻害できることを示唆している。これらの賦形剤はまた、内因性P−gpを阻害するため、GFP MDCK−II細胞でもミトキサントロン蓄積を増大した。これらのデータは、一部の賦形剤はABCG2とP−gpの両方を阻害することができ、一部の賦形剤はP−gpのみを阻害することを示唆している。
【0113】
任意の特定の機序に縛られることなく、ABCG2およびP−gpに対する賦形剤の異なる効果は、2種のトランスポーターの排出機序に差異をもたらす可能性がある。P−gpによる基質の排出は脂質二重層から起こることが報告されている。Shapiro AB、Ling V、(1995)Reconstitution of drug transport by purified P−glycoprotein、J Biol Chem:270、16167;Shapiro AB、Corder AB、Ling V、(1997)P−glycoprotein−mediated Hoechst 33342 transport out of the lipid bilayer、Eur J Biochem:250、115。ABCG2による排出は別の機序を有する可能性がある。特に、ABCG2に媒介される排出が細胞質から起こるという仮説は、2つの実験によって支持されている。第1に、いくつかの賦形剤、特にポリオキシエチレン40ステアラート、ビタミンE TPGS、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、およびポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアラートは、ベシクルアッセイでABCG2を阻害したが、これらの賦形剤は無傷細胞アッセイでABCG2を阻害しなかった。したがって、これらの賦形剤は、充分に高い賦形剤レベルでは、ABCG2とP−gpの両方を阻害できる。脂質二重層に到達するのに、すなわちP−gpを阻害するのに充分な賦形剤の濃度レベルを得ているかもしれないが、同時に細胞質ではレベルが低いままであり、ABCG2を阻害するには不充分であることを、本出願人等は提言する。第2に、P−gpおよびBCRP MDCK−II細胞におけるミトキサントロンの初期蓄積の時間経過において、PSC833は、最初の5分間、P−gp MDCK−II細胞でミトキサントロン蓄積を有意に増大した。PSC833はまた、GFP MDCK−II細胞で蓄積をわずかに増大したが、これはおそらく内因性P−gpの阻害に起因するものである。対照的に、GF120918処理によるミトキサントロンの初期蓄積に関してBCRRとGFP MDCK−II細胞の間に有意差はなかった。PSC833およびGF120918は、1時間、ミトキサントロンの蓄積を著しく増大し、それぞれP−gpとBCRP MDCK−IIを阻害する。これらのデータは、P−gpがABCG2より速い動態を有することを示唆している。代案として、ABCG2に媒介されるミトキサントロン排出の機序は、P−gpに媒介される排出とは異なる可能性がある。
【0114】
(実施例8)
ATPレベルに対する賦形剤の作用
ABCG2を阻害するいくつかの賦形剤、特にエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ソルビタンモノラウラート、およびラウリルポリエチレングリコールエーテルの細胞内ATPレベルに対する作用を、ルシフェリン/ルシフェラーゼアッセイを用いて、BCRP、P−gp、およびGFP MDCK−II細胞で測定した。これらのデータを表6に示す(平均±5.0(n=3)を示す)。陽性コントロールとして用いたアジ化ナトリウムは、すべての細胞系において、細胞内ATPを著しく低減した。他方、いずれの細胞系においても、細胞内ATPレベルに対する5種の賦形剤による有意な作用はなかった。
【0115】
【表6】
【0116】
(実施例9)
in vivo投与時の血漿レベル、AUC、およびクリアランス
トポテカン(1mg/kg)を、野生型および雌『bcrp1』 KOマウスに経口投与した。本出願人等は次いで、時間の関数としてトポテカンの血漿濃度を求めた(図9)。結果は測定値の平均である。血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)によって測定した、経口投与したトポテカンのバイオアベイラビリティは、『bcrp1』 KOマウスにおいて野生型マウスより5倍超高く、これはトポテカンが良好なABCG2基質であることを示唆している。
【0117】
薬物蓄積研究から、本出願人等は、3種の賦形剤、すなわちエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、およびラウリルポリエチレングリコールエーテルが、ABCG2を強く阻害したことを見出した。本研究では、試験賦形剤としてエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26を選択した。トポテカン(1mg/kg)経口投与の15分前、野生型および『bcrp1』 KOマウスに、試験賦形剤またはビヒクル(リン酸緩衝溶液)を経口で投与した。次いで、時間の関数としてトポテカンの血漿濃度を求めた。その結果を図10に示し、血漿トポテカンのAUCを表7に示す(n=3の平均±標準偏差を示す)。コントロールと比較して有意な変化(p<0.05)は星印を付け、n.s.は有意差なしを意味する。野生型マウスにおいて、試験賦形剤はトポテカンの血漿濃度を有意に増大したが、『bcrp1』 KOマウスに影響を及ぼさなかった(図10および表7)。このように、野生型マウスにおいて、試験賦形剤はコントロールと比べてAUCを約2倍増大し(表7)、これはエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26がABCG2の阻害によるトポテカン経口吸収を改善することを示唆している。
【0118】
【表7】
【0119】
比較のため、トポテカンを静脈内でも投与した。トポテカン(1mg/kg)静脈内投与の15分前、野生型および『bcrp1』 KOマウスに、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26を経口で投与した。次いで、時間の関数としてトポテカンの血漿濃度を求めた。それらの結果を図11に示し、血漿トポテカンのAUCを表8に示す。この賦形剤では、これらの条件下でトポテカンの血漿レベルに有意な差はなかった。これらの結果は、経口で投与されたエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26は、静脈内投与後のトポテカンの全身動態に影響を及ぼさないことを示唆している。
【0120】
【表8】
【0121】
クリアランス値を表9に示す。トポテカンの用量は体重1kg当たり1000μgであった。値CL総血液=CL総血漿/RBトポテカンであり、式中、RBは、マウスにおいて1.2として測定された、血液と血漿のトポテカン濃度の比である。
【0122】
【表9】
【0123】
さらに、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26処理による腸ABCG2阻害を評価するために、本出願人等は、量Fa*Fg(Faは腸吸収であり、Fgは腸代謝である)を算出した。FaとFgの積は、肝臓でそれ以上代謝されない薬物の前全身的(presystemic)バイオアベイラビリティである。表10に、表7および8のデータから算出したクリアランス値を示す。Eh=CL総血液/Qh(式中、Qhは5.4(L/時間/kg)である)を用いて、Fa*Fgを求めた。野生型コントロールに対する倍率変化も示す。これらのデータは、経口投与されたエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26が野生型マウスにおいてFa*Fgを著しく増大したことを示している。他方、『bcrp1』 KOマウスのFa*Fgは影響を受けなかった。これらの結果は、経口投与されたエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26による腸ABCG2の阻害を支持している。
【0124】
【表10】
【0125】
(実施例10)
イリノテカンを用いたマトリックスカプセルの調製方法
各調剤用に、適切な量の選択された賦形剤、たとえばポリオキシル35ヒマシ油を、磁気攪拌しながら60℃で融解する。必要量の融解した賦形剤(30mg)を手動ピペット(たとえばBrand−Transferpettorなど)で取り、必要量のイリノテカン(500mg)に添加する。磁気攪拌しながら60℃で2時間、融解したマトリックスに薬物を分散する。場合によって、分散を助けるために、ポリエチレングリコールなどを加えることができる。上記工程によって得られた分散液を、次いで、手動ピペットを用いて、サイズ00硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0126】
(実施例11)
プラゾシンおよびABCG2阻害剤を含むカプセルの調製
プラゾシンおよびABCG2の阻害剤を含有するカプセルを、阻害剤の臨界ミセル濃度の知識に基づいて、以下のとおり調製する。プラゾシンは、LC Laboratories(Woburn、MA)から購入し、活性3000GBq/mmolを有する[3H]−プラゾシンは、Perkin−Elmer Life and Analytical Sciencesから購入する。ヒト対象の使用の承認は、臨床試験委員会(clinical trial committee)に求める。
【0127】
プラゾシン(18g、6μCi)をポリオキシル4ラウリルエーテル(2.16g)と合わせ、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。同じ量および活性のプラゾシンを別に、ポリオキシル4ラウリルエーテル1.02g、ポリオキシル4ラウリルエーテル0.46g、およびポリオキシル4ラウリルエーテル0.27gと合わせる。各製剤を、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。
【0128】
プラゾシン(18g、6μCi)をポリオキシル35ヒマシ油(2.94g)と合わせ、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。同じ量および活性のプラゾシンを別に、ポリオキシル35ヒマシ油1.47g、ポリオキシル35ヒマシ油0.75g、およびポリオキシル35ヒマシ油0.36gと合わせる。各製剤を、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。
【0129】
プラゾシン(18g、6μCi)をポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(1.81g)と合わせ、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。同じ量および活性のプラゾシンを別に、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート0.9g、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート0.45g、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート0.22gと合わせる。各製剤を、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。
【0130】
表面張力法によってABCG2阻害剤の臨界ミセル濃度を測定するために、各種および製剤の代表的カプセルの内容物を、それぞれ50、100、200、300、および400mlの絶食状態擬似腸液に懸濁する。臨界ミセル濃度を測定した後、各試料の10mlアリコートを10分間10000×gで遠心分離し、可溶性と不溶性標識プラゾシンの比を測定する。ヒト血清におけるプラゾシンレベルの時間的経過を測定するために、志願者当たり1回の経口ボーラス投与として、各種の代表となる別の3つのカプセルを成人志願者に投与する。それによって、プラゾシンの血清レベルと臨界ミセル濃度のin vitro測定値の相関を求める。
【0131】
(実施例12)
他の有用な賦形剤
これに限定されるものではないが、表11に挙げるものを含む本発明の他の有用な賦形剤は当業者には明らかであろう。
【0132】
【表11】
【0133】
引用したすべての文献はすべての目的でその全体を本明細書に組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】コントロール(GFP、緑色蛍光タンパク質)およびABCG2形質導入MDCK−II細胞における[3H]−ミトキサントロン取り込みに対する、GF120918または用量範囲の賦形剤3種の作用を例示する図である。
【図2】HEKベシクルにおける[3H]−エストロン−3−硫酸(E1S)取り込みに対する、種々の医薬賦形剤の作用を例示する図である。
【図3】ラウリルポリエチレングリコールエーテルの臨界ミセル濃度の測定値を例示する図である。
【図4】HEKベシクルにおけるE1S取り込みに対する賦形剤6種の用量反応を例示する図である。
【図5】E1S取り込みに対する賦形剤6種の用量反応のデータ変換を例示する図である。
【図6】BCRP MDCK−II細胞におけるミトキサントロン蓄積に対する選択された賦形剤の作用を例示する図である。結果はn=6の平均±標準誤差で表す。
【図7】GFP MDCKIIおよびBCRP MDCKII細胞におけるミトキサントロン蓄積に対する15種の選択された賦形剤の作用を例示する図である。結果は平均±標準誤差で表し、nは3〜6である。コントロールと比較した統計的有意差は、*(p<0.05)または**(p<0.01)で示す。
【図8】GFP MDCKIIおよびP−gp MDCKII細胞におけるミトキサントロン蓄積に対する15種の選択された賦形剤の作用を例示する図である。結果は平均±標準誤差で表し、nは3〜6である。コントロールと比較した統計的有意差は、*(p<0.05)または**(p<0.01)で示す。
【図9】トポテカン投与後の血漿薬物濃度の経時変化に対する『bcrp1』遺伝子のノックアウト(KO)、すなわち遺伝子欠失の作用を例示する図である。結果はn=2の平均で表す。
【図10】経口で与えられたトポテカンの血漿濃度の経時変化に対する賦形剤の作用を例示する図である。結果はn=3の平均±標準偏差で表す。コントロールと有意差である平均は、n=3に関して*で示す。マウスは、a)『bcrp1』 KOおよびb)野生型である。
【図11】静脈内投与後のトポテカン血漿濃度の経時変化に対する賦形剤の作用を例示する図である。結果はn=3の平均±標準偏差で表す。パネルa)は『bcrp1』 KOマウスへのトポテカンの投与を示す。パネルb)は野生型マウスへのトポテカンの投与を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動的排出トランスポーターBCRP/ABCG2を阻害することによって、医薬剤の胃腸吸収を増大するための製剤および方法を提供する。さらに本発明は、BCRP/ABCG2を阻害するための薬理学的に活性な賦形剤、およびそれらを用いる方法を提供する。本発明はさらに、本発明の賦形剤と共に用いるのに適した、化学療法剤などの医薬剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
ATP結合カセット(ABC)タンパク質は、約48のメンバーの大きなタンパク質ファミリーである。これらの「フルトランスポーター」は、1つのポリペプチド鎖に4つのドメイン(2つの膜貫通ドメインと2つのヌクレオチド結合ドメイン)を有する。膜貫通ドメインはそれぞれ、形質膜を6回貫通する。「ハーフトランスポーター」は、2つのドメイン(1つの膜貫通ドメインと1つのヌクレオチドドメイン)を有する。「ハーフトランスポーター」は、二量体化した後に活性となる。ABCタンパク質は、濃度勾配に逆らってそれらの基質を輸送するために、ABCヌクレオチドドメインによるATP加水分解によって放出されるエネルギーを用いる。
【0003】
乳癌耐性タンパク質(BCRP、系統的にABCG2として知られる)は、ABCファミリーの薬物ハーフトランスポーターに属する。近年、ABCG2が多くの正常組織、たとえば胎盤合胞体層の頂側膜、肝細胞の胆管側膜、ならびに小腸および結腸の絨毛上皮細胞の管腔膜に発現することが示された。ABCG2の局在は、頂側膜を通して生体異物を排出することによって、生体異物への暴露に対して組織を防御することにおいて、ABCG2が潜在的な役割を持ち得ることを示唆している。
【0004】
近年、いくつかの医薬賦形剤が腸においてP糖タンパク質(P−gp)の機能を阻害し、したがってP−gp基質の経口吸収を増大できることが報告された。Johnson等は、P糖タンパク質(P−gp/ABCB1)に対するポリエチレングリコール400、Pluronic P85、およびD−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシナート(TPGS)の阻害作用を報告している。Johnson、Charman、およびPorter、An In Vitro Examination of the Impact of Polyethylene Glycol 400,Pluronic P85,and Vitamin E d−α−Tocopheryl Polyethylene Glycol 1000 Succinate on P−Glycoprotein Efflux and Enterocyte−Based Metabolism in Excised Rat Intestine、AAPS PharmSci 2002:4、1。P−gpはフルトランスポーターである。Cornaire等は、Labrasol、Imwitor742、Acconon E、Softigen767、Cremophor EL、Miglyol、Solutol HS 15、スクロースモノラウラート、ポリソルベート20、TPGS、およびポリソルベート80を含むいくつかの賦形剤によるジゴキシンの吸収の増大を報告している。Cornaire、Woodley、Hermann、Cloarec、Arellano、およびHouin、Impact of excipients on the absorption of P−glycoprotein substrates in vitro and in vivo、Int.J.Pharm.2004、278、119。
【0005】
正常組織において、小腸および大腸両方の上皮細胞でABCG2の高発現が認められている。ABCG2の局在は、頂側膜を通して生体異物を排出することによって、生体異物への暴露に対して組織を防御することにおいて、ABCG2が潜在的な役割を持ち得ることを示唆している。ABCG2の基質となる薬物は、消化管において低吸収であり、これによりその薬物の低いバイオアベイラビリティをもたらし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ABCG2機能の阻害におけるある種の医薬賦形剤の役割を評価することによって、薬物投与および有用性の問題を扱う。ABCG2機能の阻害は、消化管からのABCG2基質薬物の吸収を向上する可能性がある。したがって、本出願人等は、現在用いられているいくつかの医薬賦形剤がABCG2機能を阻害するかどうかを調べた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ABCG2輸送系を阻害することによって、医薬活性剤の取り込みを増大するための製剤および方法に関する。本発明の製剤は、経腸使用、他の粘膜表面での使用に適している。一態様において、本発明は、ABCG2の有用な阻害剤およびそれらの使用方法を同定することによって、ABCG2輸送系によって排出されやすい薬物の有効な製剤および使用における利益を提供する。
【0008】
本発明の一態様は、医薬剤の吸収を増大する方法であって、ABCG2の阻害剤と組み合わせて、そのような治療を必要としている対象に前記薬剤を投与することを含み、特に賦形剤の量が、経腸的に送達されるとき、阻害剤の臨界ミセル濃度(cmc)以下の値であることができる方法である。特定の一態様において、賦形剤の量は、cmc未満の値であることができる。他の特定の態様において、賦形剤の量は、cmcを超える値であることができる。さらに他の態様において、賦形剤の量は、cmc以上の値であることができる。薬剤は対象の胃腸管に投与することができる。賦形剤は広範なABCG2阻害剤から選択することができ、これに限定されるものではないが、マクロゴールエステル(ポリオキシル35ヒマシ油)、マクロゴールソルビタンエステル(ポリソルベート20)、マクロゴールアルキルエーテル(ポリオキシル4ラウリルエーテル)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、Pluronic L81、マクロゴールソルビタンエステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、ラウリルマルトピラノシド(LM)、マクロゴールエステル(ポリオキシル40ステアラート)、マクロゴールエステル(ポリオキシル40水素添加ヒマシ油)、ビタミンE TPGS、ポロキサマー188、およびそれらの混合物が含まれ、ABCG2阻害剤の組み合わせを含むことができる。上記賦形剤の一般的な説明は表1に見出される。医薬剤は任意の医薬剤であることができ、これに限定されるものではないが、化学療法剤が含まれる。
【0009】
本発明の他の態様は、医薬剤の吸収を増大する方法であって、レセルピン、CI1033、GF120918、フミトレモルジンC(FTC)、Ko134、またはKo132、および賦形剤と組み合わせて前記薬剤を投与することを含み、特に前記賦形剤の結果としてもたらされる濃度が、臨界ミセル濃度以下である方法である。
【0010】
本発明の阻害剤は、ABCG2によって排出されやすい薬物の吸収を増大するのに有用である。特定の態様において、本発明の有益な賦形剤は、ABCG2の作用を打ち消す。これらの賦形剤はABCG2の基質であってよいが、本発明は特定の分子機序に依存しない。一態様において、本方法は、P−gp/ABCB1が実質的に阻害されるとき、医薬剤の吸収を増大することを対象とする。
【0011】
本発明はまた、医薬剤の吸収を増大する方法に関する。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、医薬剤の吸収を増大する方法であって、ABCG2機能の阻害をもたらすある量の賦形剤と組み合わせて前記薬剤を投与することを含む方法である。特定の一態様において、ABCG2の阻害は少なくとも約30%、より詳細には約40%、さらに詳細には約60%である。
【0013】
一態様において、本発明は、医薬剤、およびABCG2を阻害することのできる賦形剤を含む粘膜に投与するための組成物を含み、特に投与時の前記賦形剤の濃度は、前記賦形剤の臨界ミセル濃度未満であるか、または実質的に臨界ミセル濃度未満である。さらに他の態様において、投与時の賦形剤の濃度は、cmc以下である。他の態様において、投与時の賦形剤の濃度は、cmc以上である。さらに他の態様において、投与時の賦形剤の濃度は、実質的にcmcである。本組成物は、経口投与形態であることができる。さらなる一態様において、経口投与形態は、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約2分の1である前記賦形剤の投与時の濃度を有することができる。経口投与形態はまた、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約4分の1である前記賦形剤の投与時の濃度を有することができる。経口投与形態はまた、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1である前記賦形剤の投与時の濃度を有することができる。一実施形態において、経口投与形態は、cmcの約8分の1と約cmcの間である前記賦形剤の投与時の濃度を有する。他の実施形態において、経口投与形態は、cmcの約8分の1と2分の1の間である前記賦形剤の投与時の濃度を有する。特定の態様において、投与時の賦形剤の量は、cmcの約8分の1と約4分の1の間である。他の特定の態様において、投与時の賦形剤の量は、cmcの約4分の1と約2分の1の間である。他の特定の態様において、投与時の賦形剤の量は、cmcの約2分の1とcmcの間である。
【0014】
他の態様において、本発明は、有効量の医薬剤および賦形剤を含む、そのような治療を必要としている対象を治療するための医薬製剤を含み、特に賦形剤は、経腸的に送達されるとき、実質的に臨界ミセル濃度未満の量で存在する。本発明のさらに他の態様において、賦形剤は、cmcを超える量で存在する。本発明のさらに他の態様において、賦形剤は、cmc以上の量で存在する。本発明のさらに他の態様において、賦形剤は、cmc未満の量で存在する。本発明のさらに他の態様において、賦形剤は、cmc以下の量で存在する。本発明はさらに、その製剤を含むカプセルを含むことができる。製剤の薬剤は、化学療法剤であることができる。
【0015】
本発明はまた、医薬剤および賦形剤を含むカプセルを含むことができ、前記賦形剤の濃度は、前記賦形剤の臨界ミセル濃度である。
【0016】
一態様において、本発明は、医薬剤の吸収を増大する方法であって、ABCG2阻害剤と組み合わせて前記薬剤を対象に投与することを含み、阻害剤の量が、200mlの流体に希釈されると、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法を含む。臨界ミセル濃度は、表面張力によって測定することができる。流体は、水、緩衝液、天然または擬似胃液、および天然または擬似腸液からなる群から選択することができる。特定の一態様において、流体は水である。一態様において、阻害剤は、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、またはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0017】
カプセルは一般に、冷却剤、安定化剤、および唾液刺激材料を含むことができる任意の材料と共にフィルム形成材料を有することができる。
【0018】
本発明はさらに、半固体マトリックスにカプセル化された少なくとも1種の有効用量の化学療法剤を含み、阻害剤の量が阻害剤の臨界ミセル濃度未満、または臨界ミセル濃度、またはほぼ臨界ミセル濃度であるABCG2阻害剤、および投与レジメンを明示するラベルをさらに含むキットを含む。
【0019】
本発明はまた、そのような治療を必要としている対象を治療する方法であって、ABCG2阻害剤と組み合わせて、治療上有効量の医薬活性剤を前記対象に投与することを含み、阻害剤の量が、対象の胃腸管に送達されるとき、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
定義
本出願において、以下の用語は以下の意味に従って用いる。
【0021】
ABCG2の「基質」は、能動トランスポーターが輸送する分子である。いくつかの知られているABCG2の基質は、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ビサントレン、カンプトテシン(トポテカンおよび代謝産物SN−38を含む)、プラゾシン、ドキソルビシン、グルクロニドコンジュゲート(E217βG、4−メチルウンベリフェロングルクロニド、およびE3040グルクロニドを含む)、および硫酸コンジュゲート(エストロン硫酸、エストラジオール硫酸、DHEAS、4−メチルウンベリフェロン硫酸、およびE3040硫酸を含む)である。
【0022】
「生体異物」は、特定の生体の身体に異質である化学化合物または生体化合物である。殺虫剤、および合成または半合成薬物は、生体異物の例である。
【0023】
「活性賦形剤」は、薬物吸収に作用を及ぼすことのできるもの、特にABCG2機能を阻害するそのような賦形剤である。
【0024】
「不活性賦形剤」は、活性賦形剤以外の賦形剤である。
【0025】
「活性医薬剤」は、疾患を治療するために投与される主たる薬物である。
【0026】
賦形剤濃度を測定するための単位はモル(M)、および他の濃度での関連単位、たとえばマイクロモル(μMまたはuM)などである。
【0027】
臨界ミセル濃度は、たとえば張力計を用いて表面張力法によって、または当分野で知られている他の方法によって測定できる。当分野で知られている任意の適切な方法を用いて、cmcを測定することができる。特定の実施形態において、ASTM D971 REV Aが用いられる。
【0028】
遺伝子および遺伝子産物の命名は以下のとおりであり、非系統名の根強い使用を反映する。遺伝子名は、固有名詞に由来していないかぎり、小文字のイタリック体で表記し、遺伝子産物は多くの場合、すべて大文字であり、イタリック体を用いていない。したがって、ヒト乳癌耐性タンパク質をコードする遺伝子は『bcrp』(『abcg2』とも呼ばれる)であり、遺伝子発現産物はABCG2である。この遺伝子の染色体座は、4q22である。マウスでは、遺伝子『bcrp1』は、『bcrp1』をコードする。比較すると、ヒト多剤耐性遺伝子は『mdr1』(『abcb1』とも呼ばれる)であり、ABCB1とも呼ばれるP糖タンパク質(P−gp)をコードする。ABCG2および/またはマウス相同体の阻害剤には、レセルピン、CI1033、GF120918、フミトレモルジンC(FTC)、Ko134、およびKo132が含まれる。
【0029】
特定の態様において、本発明の方法および製剤は、特定の活性賦形剤を対象とする。本発明の特定の一態様において、活性賦形剤は、ポリオキシル35ヒマシ油(たとえば、Cremophor EL)である。本発明による他の特定の態様において、活性賦形剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(たとえば、Tween 20)である。本発明のさらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、ラウリルポリエチレングリコールエーテル(たとえば、Brij 30)である。本発明のさらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26(たとえば、Pluronic P85)である。本発明のさらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2(たとえば、Pluronic L81)である。特定の態様において、活性賦形剤は、ポリソルベート80(たとえば、Tween 80)である。他の特定の態様において、活性賦形剤は、LMである。さらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、ポリオキシル40ステアラート(たとえば、Myrj 52)である。さらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアラート(たとえば、Cremophor RH40)である。さらに他の特定の態様において、活性賦形剤は、ビタミンE TPGSである。これらの賦形剤および他の賦形剤のさらなる化学的説明に関しては、表2を参照されたい。
【0030】
本発明の組成物および方法における活性賦形剤の量は多様であることができる。本発明の特定の態様において、賦形剤の量は、cmcの値に関連して検討される。たとえば、その量は、cmcの20分の1、cmcの10分の1、cmcの5分の1などであることができる。他の例として、その量は、cmcの2倍、5倍、10倍、30倍、もしくは100倍、または中間値であることができる。さらにより特定の値には、cmcの約20分の1から約5分の1、cmcの2〜100倍、cmcの10〜100倍、cmcの2〜30倍、cmcの5〜30倍、およびcmcの10〜30倍などの範囲を含むことができる。さらにその量は、消化管(gut)または当分野で知られている適切なモデル系での賦形剤の分散に関連させることができる。このように、たとえばカプセルに製剤化される量は、投与によって生じる、cmcに対する濃度に関連させることができる。特定の実施形態において、投与される賦形剤の量は、胃液または腸液に希釈されたとき、その濃度が賦形剤のcmc未満であるように決定される。上部胃腸管の容量は以下のように概算できる。絶食状態の胃、300〜500ml、摂食状態の胃、900ml、絶食状態の小腸、500ml、摂食状態の小腸、900〜1000ml、ならびに絶食状態の胃+併用投与流体、500ml。DressmanおよびReppas、2000、In Vitro−In Vivo Correlations for Lipophilic,Poorly Water−soluble Drugs、Eur.J.Pharm.Sci.11 Supp2、S73。通常の方法では、容量はグラス1杯の水、約200mlに対応すると見なされる。他の実施形態において、その量は十二指腸、および/または空腸、および/または回腸液の容量に基づく。
【0031】
投与される活性賦形剤の量は、臨界ミセル濃度の測定によって求めることができる。臨界ミセル濃度は、これに限定されるものではないが、水、重水、水性緩衝溶液、緩衝または非緩衝塩溶液、天然胃液、擬似胃液、天然腸液、または擬似腸液を含む、任意の適切な流体に活性賦形剤を希釈して測定することができる。天然および擬似胃液および腸液は、非摂食または摂食状態から得ることができる。例となる擬似媒質は、DressmanおよびReppas、同上、ならびにGalia等、1998、Evaluation of Various Dissolution Media for Predicting In Vivo Performance of Class I and II Drugs、Pharm.Res.15、698によって提供される。適切な流体は、絶食状態擬似腸液(FaSSIF)である。他の適切な流体は、摂食状態擬似腸液(FeSSIF)である。FaSSIFおよびFeSSIFの例となる配合を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
上述の要因に加えて、当業者はin vitroでの測定とin vivoでの作用との相関において、追加の要因を考慮することができる。そのような要因には、これに限定されるものではないが、温度、リパーゼなどの酵素の不在または存在、および対象の体の大きさを含むことができる。
【0034】
臨界ミセル濃度を測定するために、当分野で知られている任意の方法を用いることができ、これに限定されるものではないが、表面張力測定、蛍光測定、および近赤外測定が含まれる。たとえば、TranおよびYu、2005、Near Infrared Spectroscopic Method for the Sensitive and Direct Determination of Aggregations of Surfactants in Various Media、J.Colloid Interface Sci.283.613を参照されたい。
【0035】
適切な医薬組成物としての本発明による化合物の投与は、粘膜に許容される任意の投与様式によって行うことができる。したがって投与は、たとえば固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体投与形態、たとえば錠剤、坐剤、丸剤、軟弾性および硬ゼラチンカプセル、散剤、液剤、懸濁剤、またはエアロゾルなどの形態で、特定の態様では正確な用量の簡易投与に適した単位用量形態で、経口、経鼻、局所、経膣、口腔内、経腸的に、または肺もしくは気管支に行うことができる。これらの組成物は、通常の医薬担体、本発明の活性賦形剤、活性医薬剤を含むことになり、さらに他の医薬剤(medicinal agent)、医薬剤(Pharmaceutical agent)、担体、補助剤などを含むことができる。「非活性」賦形剤には、たとえば医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロースエーテル誘導体、グルコース、ゼラチン、スクロース、クエン酸塩、没食子酸プロピル、第二リン酸カルシウムなど、崩壊剤、たとえばクロスカルメロースナトリウム、またはその誘導体など、滑剤、たとえばステアリン酸マグネシウムなど、および結合剤、たとえばデンプン、アカシアガム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル誘導体などを含むことができる。そのような組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、持続放出性製剤の形態をとる。
【0036】
経口投与の場合、本発明の製剤は、カプセル、錠剤、または丸剤、軟性ジェルキャップ、散剤、液剤、懸濁剤、または液体など、経口摂取に栄養的に許容されるビヒクル中で投与することができる。経口投与形態の組成物の調製において、任意の通常の媒質を用いることができる。経口液体調剤(たとえば、懸濁剤、エリキシル、および液剤など)の場合、たとえば水、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤などを含有する媒質を用いることができる。経口固形剤(たとえば、散剤、カプセル、丸剤、錠剤、およびロゼンジ)を調製するために、デンプン、砂糖、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を用いることができる。制御放出形態も用いることができる。錠剤は、場合により1種または複数の補助成分と共に、圧縮または成形することによって製造できる。圧縮錠剤は、適切な機械で、場合により結合剤(たとえば、ポビドン(1−エテニルピロリジン−2−オンである)、ゼラチン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(たとえば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロールナトリウム)、界面活性剤、または分散剤と混合された流動形態、たとえば粉末または顆粒の活性成分を圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、適切な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって製造することができる。これらの錠剤は、場合によって被覆または分割されていてもよく、さらにたとえば所望の放出プロファイルを提供するために様々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロースを用い、錠剤の活性成分を制御放出するように製剤化することができる。軟性ジェルキャップは、トコフェロールおよび多価不飽和脂肪酸などの脂肪親和性物質を含有するための特に適切な例である。ジェルキャップを調製する方法は、当分野でよく知られている。たとえば、露出した円周帯を有するジェルキャップを開示している米国特許出願2005/0152971、軟性ゼラチンで被覆された錠剤核を開示している米国特許第5,317,849号、着色錠剤を被覆する透明ゼラチンに関する米国特許第5,089,270号および第5,213,738号、ならびにゼラチン被覆錠剤核に関する米国特許第4,820,524号、第4,966,771号、および第4,867,983号を参照されたい。
【0037】
経口投与形態は、場合によりさらにレシチンを含む、半固体マトリックスを含むことができる。経口投与形態はまた、ポリグリコール化グリセリドを含み、場合によりさらにレシチンを含む半固体マトリックスであることもできる。
【0038】
錠剤は、たとえば「不活性」賦形剤(たとえば、ラクトース、スクロース、デンプン、D−マンニトールなど)、崩壊剤(たとえば、カルボキシメチルセルロースカルシウムなど)、結合剤(たとえば、アルファ化デンプン、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)、滑剤(たとえば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)、「活性」賦形剤(たとえば、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル4ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラートなど)などを活性成分に添加し、圧縮成形し、さらに必要に応じて、味マスキング、腸溶性、または持続放出を達成するためにそれ自体が知られているコーティング基剤を用いて、それ自体が知られている方法によって被覆することによって製造できる。
【0039】
カプセルは、ゼラチンカプセル、またはセルロースカプセルなどの多糖カプセルであることができる。カプセルの調製に適していることが当業者に知られている任意のゼラチンを用いてゼラチンカプセルを形成することができ、これに限定されるものではないが、ウシゼラチン、ブタゼラチン、魚ゼラチン、および純アイシングラスが含まれる。セルロースカプセルでは、フィルム形成材料はセルロースポリマーであることができ、これに限定されるものではないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの混合物が含まれる。カプセルはまた、プルラン、または他のグルカン、たとえばスクレログルカン、ポリビニルアルコール、ペクチン、変性デンプン、アルギン酸ナトリウム、アンモニウム、カリウム、もしくはカルシウムを含むアルギン酸塩、またはアルギン酸プロピレン、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ゾリゲル(soligel)、キチン、キトサン、レバン、エルシナン、ゼラチン、コラーゲン、ゼイン、グルテン、分離大豆タンパク質、分離乳漿タンパク質、カゼイン、またはキサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、およびガティガムを含むガムなどから形成することもできる。変性デンプンは、特にデンプンエーテル、または酸化デンプン、より詳細にはヒドロキシプロピル化デンプン、またはヒドロキシエチル化デンプンであることができる。カプセルは、薬理学分野で知られている任意の適切な形態をとることができる。たとえば、カプセルは硬質シェルカプセル、または軟質シェルカプセルであることができる。特定の一態様において、カプセルは、プルランを含むことができる。一形態において、カプセルは、腸溶的に被覆されていることができる。カプセルはまた、フィルムの約0から約10重量%、好ましくは約0.1から約2重量%の範囲の量で、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、およびカラギーナンを含む安定化剤を含むことができる。そのようなカプセル剤および腸溶性コーティングには、プルランカプセルに関する米国特許第6,887,307号、プロリポソーム送達系に関する米国特許第6,849,269号および第6,761,901号、非ゼラチン硬医薬カプセルに関する米国特許第6,752,953号、油性カプセルに関する米国特許第6,627,219号、特定の胃腸部位で即時放出するためのカプセルに関する米国特許第6,531,152号、カプセルに適したポリマーフィルムに関する米国特許第6,517,865号、カプセルおよび錠剤を被覆するアルギン酸に関する米国特許第6,455,052号、酸感受性薬物に適した腸溶性錠剤コーティングに関する米国特許第6,331,316号、カチオン性ポリマーコーティングと外側のアニオン性ポリマーコーティングを有するカプセルに関する米国特許第6,214,378号、ならびに多重層薬物送達系に関する米国特許第5,447,729号に記載されているものなど、当分野で知られているものを含むことができる。
【0040】
カプセルは、粉末または顆粒医薬剤を充填した硬カプセルとして、または液体もしくは懸濁液、または半固体マトリックスを充填した軟カプセルとして作ることができる。硬カプセルは、活性成分を、たとえば賦形剤(たとえば、ラクトース、スクロース、デンプン、結晶セルロース、D−マンニトールなど)、崩壊剤(たとえば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン、クロスカルメロースナトリウムなど)、「活性」賦形剤(たとえば、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル4ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラートなど)、結合剤(たとえば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウムなど)などと混合および/または顆粒化し、前述のゼラチン、プルランなどから形成したカプセルにその混合物または顆粒を充填することによって製造される。セルロースは、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または当分野で知られている他の任意の形態のセルロースであることができる。軟カプセルは、活性成分を基剤(たとえば、「活性」賦形剤(たとえば、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル4ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラートなど)を含む大豆油、綿実油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、蜜ロウなど)に溶解または懸濁し、たとえば回転充填機などを用いて、ゼラチンシートに調製した溶液または懸濁液を密封することによって製造される。
【0041】
通常の硬カプセルは、浸漬成形法によってゼラチンから作られる。この浸漬成形法は、熱ゼラチン溶液が冷却によって硬化する能力に基づいている。医薬カプセルを工業的に製造する場合、そのゲル化、フィルム形成、および表面活性特性のため、ゼラチンが好ましい。典型的な浸漬成形法は、成形ピンをゼラチンの熱溶液に浸漬するステップ、ピンをゼラチン溶液から取り出すステップ、ピンに付着したゼラチン溶液を冷却によって硬化させるステップ、乾燥するステップ、そのように形成されたシェルをピンから剥がすステップを含む。浸漬後、成形ピン上で溶液を硬化することは、均一な厚さのカプセルシェルを得るために重要なステップである。全自動化工業用硬ゼラチンカプセル製造機では、ピンに付着したゼラチン溶液を乾燥するために、ゼラチン被覆を有するピンが下向きから上向きに回転される。ゼラチンが冷却され、硬化すると、カプセルシェルはピンから剥がされ、その後切断され、キャップと本体が連結される。浸漬後、浸漬されたピン上でゼラチン溶液が迅速に硬化することが、均一な壁厚を維持するのに重要である。
【0042】
Murphyの米国特許第2,526,683号は、浸漬被覆または浸漬成形法によって、メチルセルロース薬用カプセルを調製する方法を最初に記載した。この方法は、予め40〜85℃に加熱したカプセル形成ピンを、ゲル化開始温度未満の温度に保ったセルロースエーテル溶液に浸漬し、所定の取り出し速度でピンを取り出し、次いで、ゲル化温度を超える温度に保ったオーブンにピンを入れ、ピンを最初は低温に暴露し、その後フィルムが乾燥するまで徐々により高い温度に暴露することからなる。その後、乾燥カプセルを剥がし、適切な大きさに切断し、本体とキャップを組み合わせる。しかしながら、これらのメチルセルロースカプセルは、許容時間に体温で胃腸液に溶解されない。
【0043】
Sarkarの米国特許第4,001,211号は、メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの、熱ゲル化セルロースエーテルを用いる薬用カプセルを記載している。Sarkarのカプセルは、水溶性メチルとC2〜C3ヒドロキシアルキルセルロースエーテルを配合して、本質的にニュートン性の浸漬被覆溶液を得ることによるピン浸漬被覆法によって調製される。低粘度のメチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの配合物は、特に適切な浸漬溶液特性、ゲル降伏強度、およびカプセル溶解速度を提供する。
【0044】
Mutoの米国特許第4,993,137号は、Sarkarの改良されたメチルセルロースエーテルから作られるカプセルの製造に関する。Mutoは、溶液被覆ピンを熱的に制御された水に浸漬することによって、溶液をゲル化する方法を開示している。
【0045】
Grosswald等の米国特許第5,698,155号は、医薬カプセルを製造する方法および装置を記載している。この方法は、鋳型としてカプセル本体ピンとカプセルキャップピンと共に、熱ゲル化セルロースエーテル組成物の水溶液を用いる。この方法はさらに、ピンを加熱すること、ピンの表面で溶液を硬化させるためにピンをセルロース含有水溶液に浸漬すること、ピンを取り出すこと、さらに被覆したピンを乾燥して、カプセル本体とカプセルキャップを形成することを含む。
【0046】
カプセルおよび他の用量送達デバイスは、プルランから作ることができる。プルランは天然の粘性水溶性多糖であり、ある種の酵母をデンプンシロップで増殖させることによって細胞外で産生される。プルランは良好なフィルム形成特性、特に低い酸素透過性を有し、相対湿度50%で水分含量約12%を有する。米国特許第4,623,394号は、本質的にプルランとヘテロマンナンの組み合わせからなり、含水条件下で制御された崩壊速度を有する成形カプセルを記載している。JP5−65222−Aは、カプセルに封入された迅速に酸化される物質を安定化することができ、易溶解性を示し、打ち抜き製法に耐えることのできる軟カプセルを記載している。この軟カプセルは、ゼラチン、寒天、またはカラギーナンなどのカプセルフィルム基剤をプルランと配合することによって得られる。米国特許第3,784,390号は、プルランと、アミロース、ポリビニルアルコール、またはゼラチンとのある種の混合物が、高温での押し出しもしくは圧縮成形によって、またはその水溶液から水を蒸発させて、フィルムまたはコーティングなどの成形体を形成することによって形状化できることを開示している。米国特許第4,562,020号は、コロナ処理したエンドレス耐熱性プラスチックベルトの表面にグルカン水溶液を流し込み、ベルト上でグルカン溶液を乾燥し、得られた自己支持グルカンフィルムを剥離することを含む、プルランまたはエルシナンなどの自己支持グルカンフィルムを製造する連続法を開示している。JP−60084215−A2は、固形剤に対して改善された接着特性を有する、固形医薬品のためのフィルムコーティング組成物を開示している。このフィルムは、プルランとメチルセルロースなどのフィルムコーティング基材を組み合わせることによって得られる。JP−2000205−A2は、軟カプセルのための香料含有コーティングを開示している。このコーティングは、油性香料、および高いHLBを有する糖エステルなどの界面活性剤を含有するプルラン溶液に、多価アルコールを添加することによって得られる。米国特許第3,871,892号は、適切な溶媒および/または触媒の存在下、プルランを脂肪族もしくは芳香族脂肪酸、またはそれらの誘導体と反応させることによる、プルランエステルの調製を記載している。このプルランエステルは、高温での押し出しもしくは圧縮成形によって、またはそれらの溶液から溶媒を蒸発させて、フィルムまたはコーティングなどの成形体を形成することによって形状化できる。米国特許第3,873,333号は、プルランエステルおよび/またはエーテルを水または水とアセトンの混合物に、溶媒の5パーセントから40パーセントの量で均一に溶解または分散することによって調製される接着剤またはペーストを開示している。米国特許第3,997,703号は、プルラン層、ならびにオレフィンおよび/またはビニル化合物のホモポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、セルロース、ポリビニルアルコール、塩酸ゴム、紙、またはアルミホイルからなる層を有する多層成形プラスチックを開示している。英国特許第1,533,301号は、水溶性ジアルデヒド多糖類をプルランに添加することによって、プルランの耐水性を改善する方法を記載している。英国特許第1,559,644号も、プルラン製品の耐水性を改善する方法を記載している。これらの改良された製品は、(a)プルランまたはその水溶性誘導体と(b)ポリウロニドまたはその水溶性塩との混合物または成形組成物を、二価または多価金属イオンの水溶液および/またはアルコール溶液と接触させることを含む方法によって製造される。WO01/07507は一般にプルランフィルム組成物および硬化系を記載している。米国特許出願2005/0249676は、浸漬成形法を用いる硬カプセルの製造を促進するために、プルラン溶液に硬化系を加えることを開示している。
【0047】
Yamamoto等の米国特許第5,756,123号は、水溶性セルロース誘導体基剤として79.6〜98.7重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ゲル化剤として0.03〜0.5重量%のカラギーナン、ならびに共ゲル化剤として0.14〜3.19重量%のカリウムイオンおよび/またはカルシウムを含有するカプセルシェルを開示している。このカプセルシェルは、HPMCをカラギーナンと水中で配合して水溶液を形成し、その水溶液を乾燥し、通常の浸漬成形法を用いてカプセルシェルを形成することによって調製される。
【0048】
米国特許出願2003/0104047は、鋳型でカプセル形成組成物を融解する加熱融解法によって非ゼラチン硬カプセルを製造する方法を開示している。このカプセルシェルは、予め加熱した乳棒(pestle)を鋳型に挿入した後に形成される。乳棒によって加えられる圧力によって確実に、融解したカプセル形成組成物が均一に乳棒に被覆する。次いで被覆したカプセル形成組成物と共に乳棒を鋳型から取り出し、続けて組成物を乾燥し、乳棒から取り外し、それがカプセルシェルとなる。この方法は、水性カプセル形成組成物の調製を必要とせず、それにより時間が節約され、浸漬成形法に比べて費用効果が高い可能性がある。
【0049】
米国特許出願2004/0265384は、Rhizobium Leguninasorum由来の部分的に加水分解されたエキソ多糖YAS34を含む可溶性フィルムを形成するための組成物を開示している。この多糖はSoligelとしても知られている。384号出願は、製造中の作業温度を改善するために、YAS34に追加の硬化剤を加えている。
【0050】
米国特許出願2005/0196437は、ゼラチンを含まない硬カプセルを製造するための、高い弾性および優れた靭性を備えたフィルムを有する、物理的に誘発されたデンプン加水分解物、可塑剤、およびゲル化剤の配合物を開示している。
【0051】
対象となる製剤は、摂取することのできる生理的に許容できる材料と化合することができ、それらの材料には、これに限定されるものではないが食品バー、飲料、粉末、シリアル、調理済み食品、食品添加物、キャンディーを含む食品が含まれるが、これに限定されるものではない。本組成物が食品などの種々の媒質に組み入れられる場合、簡単に口から摂取することができる。食品は栄養補助食品(スナックまたは健康栄養補助食品)であることができるか、または特に動物の場合、栄養バルク(たとえば、一次動物飼料に組み込まれる場合)を含むことができる。医薬剤を投与する対象はヒトとすることができるが、獣医での使用も特に企図される。
【0052】
直腸投与の場合、対象となる組成物は、坐剤、注腸用の液剤、または他の好都合な適用例として提供することができる。坐剤は、たとえばカカオ脂またはサリチラートを含む適切な基剤を含むことができる。膣内投与用の製剤は、活性成分に加えて当分野で適切であることが知られている担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供することができる。
【0053】
一般に、意図される投与様式に応じて、薬学的に許容できる組成物は、約1重量%から約99重量%のABCG2阻害剤、1重量%から約99重量%の活性医薬剤、および99重量%から1重量%の適切な「不活性」医薬賦形剤を含有する。特定の例において、組成物は、約5重量%から75重量%が活性医薬剤、または薬学的に許容できるその塩であり、残りは、ABCG2を阻害する活性賦形剤を含む適切な医薬賦形剤である。他の特定の例において、活性賦形剤は、組成物の50重量%未満であり、その重量は組成物の総重量に基づく。
【0054】
薬学的に投与可能な液体組成物は、たとえば、活性医薬剤(約0.5%から約20%)、または薬学的に許容できるその塩、および本発明の活性賦形剤を含む医薬補助剤を、たとえば水、食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール、エタノールなどの担体にたとえば溶解、分散して、それによって溶液または懸濁液を形成することによって調製することができる。
【0055】
所望であれば、本発明の医薬組成物はまた、少量の補助物質、たとえば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、抗酸化剤など、たとえばクエン酸、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、ブチル化ヒドロキシトルエンなどを含有することができる。
【0056】
そのような投与形態を調製する実際の方法は、当業者に知られているか、または明らかであり、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版(Mack Publishing Company、Easton、Pa.2000)を参照されたい。投与される組成物はいずれにしても、ある疾患を治療するために、治療上有効量の活性剤もしくはプロドラッグ、または薬学的に許容できるその塩を含有する。
【0057】
本明細書では、薬理学的に許容できる担体として、調剤の材料として好都合に用いられる種々の有機または無機担体物質を用いることができる。たとえば、固体調剤では賦形剤、滑剤、結合剤、および崩壊剤、液体調剤では溶媒、溶解助剤、懸濁化剤、等張化剤、および緩衝剤などを挙げることができる。必要であれば、調剤の添加剤、たとえば保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤なども用いることができる。
【0058】
「不活性」賦形剤の特定の例には、ラクトース、スクロース、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアガム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが含まれる。
【0059】
滑剤の特定の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイダルシリカなどが含まれる。
【0060】
結合剤の特定の例には、アルファ化デンプン、スクロース、ゼラチン、アラビアガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、スクロース、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。
【0061】
崩壊剤の特定の例には、ラクトース、スクロース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが含まれる。
【0062】
溶媒の特定の例には、注射用水、生理食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油などが含まれる。
【0063】
溶解助剤の特定の例には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが含まれる。
【0064】
懸濁化剤の特定の例には、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセロールなどの界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性ポリマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレン水素添加ヒマシ油などが含まれる。
【0065】
等張化剤の特定の例には、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、グルコースなどが含まれる。
【0066】
緩衝剤の特定の例には、リン酸、酢酸、炭酸、クエン酸などの緩衝液などが含まれる。
【0067】
保存剤の特定の例には、p−オキシ安息香酸、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが含まれる。
【0068】
抗酸化剤の特定の例には、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが含まれる。
【0069】
着色剤の特定の例には、水溶性食用タール染料(たとえば、食用色素、たとえば食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号など)、水不溶性レーキ染料(たとえば、前述の水溶性食用タール染料のアルミニウム塩など)、天然色素(たとえば、β−カロテン、クロロフィル、酸化鉄赤色)などが含まれる。
【0070】
甘味剤の特定の例には、サッカリンナトリウム、グリシルリジン酸二カリウム、アスパルテーム、アセスルファームカリウム、スクラロース、ステビアなどが含まれる。
【0071】
活性医薬化合物が塩であり、塩の形態である化合物と水との接触を回避することが好ましいとき、化合物を活性賦形剤などと乾燥混合して、硬カプセルを得ることができる。
【0072】
本明細書では、「腸溶性コーティング」は、薬剤核を包む1種または複数のポリマー材料を含む。本発明の適切な腸溶性コーティングは、pHレベル4.5未満で著しい溶解を示さないものである。本発明に適切な腸溶性コーティングには、当分野で知られている腸溶性コーティングポリマー、たとえばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP−HP50、USP/NF 220824 HPMCP−HP55、USP/NFタイプ200731、およびHP55S、Shin Etsu Chemical)、酢酸フタル酸ポリビニル(Coateric(商標)、Colorcon Ltd.)、酢酸フタル酸ポリビニル(Sureteric(商標)、Colorcon Ltd.)、および酢酸フタル酸セルロース(Aquateric(商標)、FMC Corp.)が含まれる。一態様では、腸溶性コーティングはメタクリル酸コポリマーを使用する。
【0073】
活性医薬化合物の用量は、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、クリアランス速度、薬物の組み合わせ、患者が治療を受けている疾患の程度、および他の要因を考慮して決定される。
【0074】
用量は標的疾患、状態、投与の対象、投与方法などに応じて変化するが、成人の本態性高血圧の治療剤として経口投与される場合、特定の例において、日用量0.1〜100mgを単回用量または2もしくは3分割量で投与する。
【0075】
さらに、本発明の「活性」賦形剤は安全性が優れているため、長期間投与することができる。
【0076】
活性医薬剤と本発明の「活性」賦形剤の組み合わせは、糖尿病の治療剤、糖尿病合併症の治療剤、抗高脂血症剤、抗動脈硬化症剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、抗痛風剤、抗血栓剤、抗炎症剤、化学療法剤、免疫療法剤、骨粗鬆症の治療剤、抗認知症剤、勃起不全改善薬、尿失禁/頻尿などの医薬剤と併用することができる(以下、併用薬と略記する)。そのような場合、本発明の組成物と併用薬が併用されているかぎり、本発明の組成物を投与するタイミングと併用薬を投与するタイミングは限定されない。そのような投与の様式として、たとえば(1)本発明の組成物と併用薬の同時調剤化によって得られた単一調剤の投与、(2)本発明の組成物と併用薬の個別調剤化によって得られた2種の調剤の単一投与経路による同時投与、(3)本発明の組成物と併用薬の個別調剤化によって得られた2種の調剤の同一投与経路による時間差投与、(4)本発明の組成物と併用薬の個別調剤化によって得られた2種の調剤の異なる投与経路による同時投与、(5)本発明の組成物と併用薬の個別調剤化によって得られた2種の調剤の異なる投与経路による時間差投与(たとえば本発明の組成物、次いで併用薬の順序での投与、または逆の順序での投与)を挙げることができる。併用薬の用量は、臨床的に用いられる用量に基づいて適切に決定することができる。本発明の組成物と併用薬の混合比は、投与対象、投与経路、標的疾患、状態、組み合わせ、および他の要因に従って適切に選択することができる。投与対象がヒトである場合、たとえば、併用薬は、本発明の化合物の重量部当たり、0.01から100重量部の量で用いることができる。
【0077】
本発明の「活性」賦形剤は、既知の抗癌剤と組み合わせて投与できる。そのような既知の抗癌剤には、以下のエストロゲン受容体調整剤、アンドロゲン受容体調整剤、アロマターゼ阻害剤、レチノイド受容体調整剤、細胞毒性剤、抗増殖剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、および他の血管新生阻害剤が含まれる。特定の血管新生阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、表皮由来増殖因子の阻害剤、線維芽細胞由来増殖因子の阻害剤、血小板由来増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ポリ硫酸ペントサン、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−(クロロアセチル−カルバモイル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対する抗体からなる群から選択される。
【0078】
特定のエストロゲン受容体調整剤は、タモキシフェンおよびラロキシフェンである。
【0079】
「エストロゲン受容体調整剤」とは、機序に関わらず、エストロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体調整剤の例には、これに限定されるものではないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルリドラゾン、およびSH646が含まれる。
【0080】
「アンドロゲン受容体調整剤」とは、機序に関わらず、アンドロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体調整剤の例には、フィナステリド、および他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、および酢酸アビラテロンが含まれる。
【0081】
「レチノイド受容体調整剤」とは、機序に関わらず、レチノイドの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を指す。そのようなレチノイド受容体調整剤の例には、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、およびN−4−カルボキシフェニルレチンアミドが含まれる。
【0082】
「細胞毒性剤」とは、主として細胞の機能を直接妨げることによって細胞死を引き起こすか、あるいは細胞減数分裂を阻害または妨げる化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレータ、ミクロチューブリン阻害剤、およびトポイソメラーゼ阻害剤が含まれる。
【0083】
細胞毒性剤の例には、これに限定されるものではないが、チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス,トランス,トランス)−ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]−テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビスアントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド、MEN10755、および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシンが含まれる(WO00/50032を参照されたい)。
【0084】
ミクロチューブリン阻害剤の例には、プラゾシン、ビンデシン硫酸塩、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン(norvincaleukoblastine)、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オーリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(−3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、およびBMS188797が含まれる。
【0085】
トポイソメラーゼ阻害剤のいくつかの例は、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデンシャールトルーシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H−,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)コルヒチ(colchic)(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナンスリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン(isoguinoline)−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、およびジメスナである。
【0086】
「抗増殖剤」には、アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、たとえばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、およびINX3001など、ならびに代謝拮抗剤、たとえばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスフェート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシ−シチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシディン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,1−1−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、および3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどが含まれる。
【0087】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」とは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。HMG−CoAレダクターゼの阻害活性を有する化合物は、当分野でよく知られているアッセイを用いて用意に同定することができる。たとえば、米国特許第4,231,938号の第6欄、およびWO84/02131の30〜33頁に記載または引用されたアッセイを参照されたい。「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」、および「HMG−CoAレダクターゼの阻害剤」という用語は、本明細書で使用されるとき、同一の意味を有する。ロバスタチン(HMG−CoAレダクターゼ阻害剤)と酪酸塩(アポトーシスの誘導因子)との組み合わせは、抗腫瘍作用のために用いることができる。
【0088】
用いることのできるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例には、これに限定されるものではないが、ロバスタチン(MEVACOR(商標)、米国特許第4,231,938号、第4,294,926号、第4,319,039号参照)、シンバスタチン(ZOCOR(商標)、米国特許第4,444,784号、第4,820,850号、第4,916,239号参照)、プラバスタチン(PRAVACHOL(商標)、米国特許第4,346,227号、第4,537,859号、第4,410,629号、第5,030,447号、および第5,180,589号参照)、フルバスタチン(LESCOL(商標)、米国特許第5,354,772号、第4,911,165号、第4,929,437号、第5,189,164号、第5,118,853号、第5,290,946号、第5,356,896号参照)、アトルバスタチン(LIPITOR(商標)、米国特許第5,273,995号、第4,681,893号、第5,489,691号、第5,342,952号参照)、ならびにセリバスタチン(リバスタチンおよびBAYCHOL(商標)としても知られる。米国特許第5,177,080号参照)が含まれる。本明細書では、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤という用語は、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の薬学的に許容できるすべてのラクトンおよび開環酸形態(すなわち、ラクトン環が開いて遊離酸を形成している)、ならびに塩およびエステル形態を含む。そのような塩、エステル、開環酸、およびラクトン形態の使用は、本発明の範囲に含まれる。
【0089】
開環酸形態が存在できるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤では、特定の例において、塩およびエステル形態を開環酸から形成することができ、そのような形態はすべて、本明細書で用いられる用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」の意味の範囲内に含まれる。特に、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチンおよびシンバスタチンから選択することができる。
【実施例】
【0090】
以下の実施例は本発明の例として示すものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例および本発明の他の説明において、化学記号および用語は通常かつ慣例的な意味を有する。含む(comprising)という用語は、それを構成するおよび本質的に構成するサブグループを含むものとして解される。本出願の他の部分と同様に、実施例において、式の値、分子量、およびエトキシル化またはプロポキシル化度は平均である。別段の指示がないかぎり、温度は℃である。成分の量は記載された標準に基づく重量パーセントであり、他に標準が記載されていない場合、組成物の総重量が推論される。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数のさらなる製剤が調製できることが理解されるであろう。
【0091】
(実施例1)
ABCG2形質導入細胞における賦形剤の作用
方法:ヒトABCG2または緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するMDCK−II細胞を作製するために、実験の48時間前にヒトABCG2またはGFPcDNAを含有する組換えアデノウイルスでMDCK−II細胞を感染させた。ABCG2またはGFP形質導入細胞を、予め温めた移動緩衝液で15分間プレインキュベートした。続いて、移動緩衝液中、頂端区画に[3H]−ミトキサントロン(MTX)を添加した。適切な濃度の医薬賦形剤、20μMのGF120918または5μMのPSC833を用いてまたは用いずに、37℃で2時間、放射性標識基質を蓄積させた。氷冷移動緩衝液で細胞を洗浄して、反応を停止した。細胞を溶解し、その後、放射能を測定するために液体シンチレーションカウンタに溶解産物を移した。
【0092】
結果:GFPおよびABCG2形質導入MDCK−II細胞におけるMTXの蓄積に対する、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシル35ヒマシ油、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26などの医薬賦形剤の作用を、図1に示す。内因性P−gpの作用を取り除くために、2時間のインキュベーション中にPSC833(P−gp阻害剤)添加したが、ただしGF120918(ABCG2およびP−gp共通阻害剤)で処理した試料にはPSC833を添加しなかった。
【0093】
GF120918は、ABCG2形質導入細胞においてMTXの蓄積を著しく増大したが(コントロールと比較して1.4倍)、GFP形質導入細胞では、一貫した作用は観察されなかった。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートは、いずれの濃度でもABCG2形質導入細胞においてMTXの蓄積を増大しなかった。対照的に、ポリオキシル35ヒマシ油は、50μMで、ABCG2形質導入細胞においてコントロールと比べて蓄積を1.3倍増大した。さらに、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26も、20μMおよび100μMで、ABCG2形質導入細胞においてコントロールと比べて蓄積を1.9倍有意に増大した。したがってこれらの結果は、ポリオキシル35ヒマシ油とエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26がABCG2機能を有意に阻害することを明らかに示している。
【0094】
(実施例2)
ABCG2機能に対する医薬賦形剤の阻害作用
ABCG2発現膜ベシクルを用い、11種の医薬賦形剤に関して、報告されているそれらの臨界ミセル濃度、または臨界ミセル濃度に近い濃度で、[3H]−エストロン−3−硫酸(E1S)の取り込みの測定を行った。
【0095】
表2の11種の医薬賦形剤を、それらのcmcでABCG2機能に対する作用に関して調べた。医薬賦形剤によるABCG2阻害の阻害機序も調べた。膜ベシクルは、高度のABCG2発現を有したHEK293細胞から調製した。表2の先頭から11種の賦形剤の存在下および不在下、これらの膜ベシクルへのE1Sの取り込みを調べた。
【0096】
【表2】
【0097】
「活性」賦形剤のABCG2阻害作用を、cmcに近い濃度で観察した。表3は、各賦形剤の報告されているcmcの値とcmc測定値を示すものである。実験結果を図2に示す。ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシル4ラウリルエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2は、ABCG2に媒介されるE1Sの取り込みをコントロールの40%未満に低減した。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシル40ステアラート、ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアラート、およびビタミンE TPGSは、40〜70%阻害した。LMとポロキサマー188は、作用が低いか、作用を示さなかった。これらの結果は、試験を行ったほとんどすべての賦形剤がABCG2に対して阻害作用を有したことを示唆している。ポロキサマー188は、P−gpおよびABCG2トランスポーターいずれの機能にも影響を及ぼさなかった。このスクリーニング試験の結果に基づいて、本出願人等は、賦形剤を弱い阻害(取り込み>40%)と強い阻害(取り込み<40%)に分類した。
【0098】
このように、ABCG2発現膜ベシクルを用いて、11種の医薬賦形剤の存在下、それらの報告されている臨界ミセル濃度(cmc)に近い濃度で、[3H]−エストロン−3−硫酸(E1S)の取り込みを測定した。11種の賦形剤のうち10種、すなわちポロキサマー188を除くすべてが、E1Sの取り込みを低減した。この低減は特に、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシル4ラウリルエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2に関して顕著であった(取り込みは40%以下となった)。
【0099】
(実施例3)
医薬賦形剤のcmcの測定
ベシクルの研究により、cmcが重要な要素であることが明らかになった。したがって、本出願人等は、移動緩衝液で表面張力を測定することによって、上で用いた11種の賦形剤と他の賦形剤のcmcを求めた。図3は、様々な濃度のポリオキシル4ラウリルエーテルの表面張力に対する代表的な作用を示すものである。その濃度を超えたところで表面張力がさらに変化することのない濃度をcmcとした。表3に、図3のように表面張力を測定することによって求めた賦形剤のcmc、および参考値として用いた文献に報告されているcmcを示す。
【0100】
【表3】
【0101】
表中、n.d.は未判定を意味する。
【0102】
わずかな相違はあるが、測定したcmcの値は、文献に報告されている参考値と全般的に一致した。しかしながらLMでは、本出願人等は文献に報告されている値よりかなり高い値を見出した。
【0103】
(実施例4)
選択された賦形剤のIC50およびヒル係数
実施例2で得られた結果に基づいて、IC50および阻害の協同性を求めるために6種の賦形剤を選択した。これらの賦形剤のIC50値、およびABCG2機能に対するそれらの阻害作用様式を評価し、判定した。
【0104】
図4は、E1Sのベシクルへの取り込みに対する、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、およびポリオキシル4ラウリルエーテルの用量反応作用を示すものである。結果は平均±標準誤差(n=3)で表す。これらのシグモイド曲線は、ヒル係数n=1で良好な適合を示さなかった。このように本出願人等はヒル係数を求めたが、それをIC50値と共に表4に示す。
【0105】
表4は、特にABCG2に媒介されるE1Sの取り込みに対するポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、およびポリオキシル4ラウリルエーテルのIC50値が、それぞれ14.4±1.9、47.6±2.0、および77.5±4.1μMであったことを示している。これらのヒル係数は、それぞれ2.0±0.6、5.8±1.3、および3.1±0.6であり、これらの賦形剤によるABCG2機能の阻害における正の協同性を示唆している。そのような協同性は、賦形剤の溶液挙動と一致する。
【0106】
【表4】
【0107】
(実施例5)
選択された賦形剤によるABCG2機能の阻害作用様式
本出願人等は、実施例4で得られた結果から、実施例4の賦形剤による阻害様式を評価した。IC50値に近い濃度での賦形剤によるABCG2阻害に関してKmおよびVmaxを算出した。次いで、それらの値を、賦形剤不在下で得られた値と比較した。結果を図5および表5に示す。表5において、括弧内の値は賦形剤なしのコントロールである。結果は平均±標準誤差(n=3)である。Vmaxは各賦形剤の使用により低下したが、Km値はほとんど変化がなかった。これは、ポリオキシル35ヒマシ油および他の試験賦形剤の阻害様式が非競合型であることを示している。
【0108】
【表5】
【0109】
(実施例6)
in vitroでの細胞におけるミトキサントロン蓄積
ABCG2に対する賦形剤の阻害作用の特徴を細胞内蓄積研究においてさらに明らかにした。ABCG2を過剰発現するMDCK−II細胞(BCRP MDCK−II)、およびコントロールとして、緑色蛍光タンパク質(GFP)を過剰発現するMDCK−II細胞(GFP MDCK−II)を調製した。基質としてミトキサントロンを用いた。賦形剤の存在下または不在下での細胞内ミトキサントロン蓄積を求めた。2時間後、PSC833、P−gp阻害剤の存在下で測定したとき、GFP MDCK−IIと比較してBCRP MDCK−II細胞は、ミトキサントロン蓄積を大きく低減した。この低減された蓄積は、GF120918処理によって著しく反転した。
【0110】
図6は、細胞内ミトキサントロン蓄積に対する、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートの作用を示すものである。これらの賦形剤はすべて、ベシクル研究でABCG2を有意に阻害した。エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26およびポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35は、BCRP MDCK−IIでミトキサントロン蓄積を増加し、これはこれらの賦形剤がABCG2機能を阻害できたことを示唆している。これに反して、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートで処理した後、BCRP MDCK−IIのミトキサントロン蓄積に有意な差はなく、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートはBCRP MDCK−IIでABCG2を阻害しなかった。このように、いくつかの賦形剤は、ベシクル研究および細胞研究において、ABCG2阻害に示差的作用を有し得る。
【0111】
(実施例7)
細胞内蓄積
ABCG2を阻害することのできる賦形剤を見出すために、本出願人等は、賦形剤の不在下または存在下、BCRP MDCK−IIおよびGFP MDCK−II細胞を用いて、細胞内蓄積研究を行った。ミトキサントロンを基質として用いた。内因性P−gpの作用を取り除くために、この実験はPSC833の存在下で行った。図7は、BCRP MDCK−IIおよびGFP MDCK−II細胞におけるミトキサントロン蓄積に対する15種の賦形剤の作用を示すものである。賦形剤のcmcを超えると、賦形剤はミセルを形成し、それが基質と相互作用する可能性があり、結果として実験媒質でのミトキサントロンの有効濃度が低下する可能性があるため、賦形剤はすべてcmc未満で用いた。プロピレングリコール、グリセリルトリアセタート、およびオレイン酸エチルなど、ミセルを形成しない賦形剤は、500μM未満の濃度で用いた。5種の賦形剤、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノラウラート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびラウリルポリエチレングリコールエーテルは、BCRP MDCK−II細胞においてミトキサントロン蓄積を有意に増大した。ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびラウリルポリエチレングリコールエーテルは特に有効であり、GF120918と同様に蓄積を増大した。これらの結果は、これらの5種の賦形剤がABCG2を阻害できることを示唆している。
【0112】
さらに、P−gpに対する賦形剤の阻害作用を調べるために、P−gp MDCK−II細胞を用いて、15種の賦形剤の細胞内蓄積研究も行った。ここでもミトキサントロンを基質として用いた。P−gp MDCK−II細胞は、GFP MDCK−II細胞と比べてミトキサントロン蓄積を大きく低減し、これはPSC833処理によって著しく反転した。PSC833は、MDCK−IIの内因性P−gp機能を阻害するため、GFP MDCK−IIにおいてもミトキサントロン蓄積を反転した。図8は、P−gpおよびGFP MDCK−IIにおけるミトキサントロン蓄積に対する15種の賦形剤の作用を示すものである。15種の賦形剤のうち、10種の賦形剤、すなわちポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウラート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、ビタミンE TPGS、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレン40ステアラート、およびPEG−32グリセリルラウラートは、P−gp MDCK−II細胞でミトキサントロン蓄積を増大し、これはこれら10種の賦形剤がP−gp機能を阻害できることを示唆している。これらの賦形剤はまた、内因性P−gpを阻害するため、GFP MDCK−II細胞でもミトキサントロン蓄積を増大した。これらのデータは、一部の賦形剤はABCG2とP−gpの両方を阻害することができ、一部の賦形剤はP−gpのみを阻害することを示唆している。
【0113】
任意の特定の機序に縛られることなく、ABCG2およびP−gpに対する賦形剤の異なる効果は、2種のトランスポーターの排出機序に差異をもたらす可能性がある。P−gpによる基質の排出は脂質二重層から起こることが報告されている。Shapiro AB、Ling V、(1995)Reconstitution of drug transport by purified P−glycoprotein、J Biol Chem:270、16167;Shapiro AB、Corder AB、Ling V、(1997)P−glycoprotein−mediated Hoechst 33342 transport out of the lipid bilayer、Eur J Biochem:250、115。ABCG2による排出は別の機序を有する可能性がある。特に、ABCG2に媒介される排出が細胞質から起こるという仮説は、2つの実験によって支持されている。第1に、いくつかの賦形剤、特にポリオキシエチレン40ステアラート、ビタミンE TPGS、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、およびポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアラートは、ベシクルアッセイでABCG2を阻害したが、これらの賦形剤は無傷細胞アッセイでABCG2を阻害しなかった。したがって、これらの賦形剤は、充分に高い賦形剤レベルでは、ABCG2とP−gpの両方を阻害できる。脂質二重層に到達するのに、すなわちP−gpを阻害するのに充分な賦形剤の濃度レベルを得ているかもしれないが、同時に細胞質ではレベルが低いままであり、ABCG2を阻害するには不充分であることを、本出願人等は提言する。第2に、P−gpおよびBCRP MDCK−II細胞におけるミトキサントロンの初期蓄積の時間経過において、PSC833は、最初の5分間、P−gp MDCK−II細胞でミトキサントロン蓄積を有意に増大した。PSC833はまた、GFP MDCK−II細胞で蓄積をわずかに増大したが、これはおそらく内因性P−gpの阻害に起因するものである。対照的に、GF120918処理によるミトキサントロンの初期蓄積に関してBCRRとGFP MDCK−II細胞の間に有意差はなかった。PSC833およびGF120918は、1時間、ミトキサントロンの蓄積を著しく増大し、それぞれP−gpとBCRP MDCK−IIを阻害する。これらのデータは、P−gpがABCG2より速い動態を有することを示唆している。代案として、ABCG2に媒介されるミトキサントロン排出の機序は、P−gpに媒介される排出とは異なる可能性がある。
【0114】
(実施例8)
ATPレベルに対する賦形剤の作用
ABCG2を阻害するいくつかの賦形剤、特にエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ソルビタンモノラウラート、およびラウリルポリエチレングリコールエーテルの細胞内ATPレベルに対する作用を、ルシフェリン/ルシフェラーゼアッセイを用いて、BCRP、P−gp、およびGFP MDCK−II細胞で測定した。これらのデータを表6に示す(平均±5.0(n=3)を示す)。陽性コントロールとして用いたアジ化ナトリウムは、すべての細胞系において、細胞内ATPを著しく低減した。他方、いずれの細胞系においても、細胞内ATPレベルに対する5種の賦形剤による有意な作用はなかった。
【0115】
【表6】
【0116】
(実施例9)
in vivo投与時の血漿レベル、AUC、およびクリアランス
トポテカン(1mg/kg)を、野生型および雌『bcrp1』 KOマウスに経口投与した。本出願人等は次いで、時間の関数としてトポテカンの血漿濃度を求めた(図9)。結果は測定値の平均である。血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)によって測定した、経口投与したトポテカンのバイオアベイラビリティは、『bcrp1』 KOマウスにおいて野生型マウスより5倍超高く、これはトポテカンが良好なABCG2基質であることを示唆している。
【0117】
薬物蓄積研究から、本出願人等は、3種の賦形剤、すなわちエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、およびラウリルポリエチレングリコールエーテルが、ABCG2を強く阻害したことを見出した。本研究では、試験賦形剤としてエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26を選択した。トポテカン(1mg/kg)経口投与の15分前、野生型および『bcrp1』 KOマウスに、試験賦形剤またはビヒクル(リン酸緩衝溶液)を経口で投与した。次いで、時間の関数としてトポテカンの血漿濃度を求めた。その結果を図10に示し、血漿トポテカンのAUCを表7に示す(n=3の平均±標準偏差を示す)。コントロールと比較して有意な変化(p<0.05)は星印を付け、n.s.は有意差なしを意味する。野生型マウスにおいて、試験賦形剤はトポテカンの血漿濃度を有意に増大したが、『bcrp1』 KOマウスに影響を及ぼさなかった(図10および表7)。このように、野生型マウスにおいて、試験賦形剤はコントロールと比べてAUCを約2倍増大し(表7)、これはエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26がABCG2の阻害によるトポテカン経口吸収を改善することを示唆している。
【0118】
【表7】
【0119】
比較のため、トポテカンを静脈内でも投与した。トポテカン(1mg/kg)静脈内投与の15分前、野生型および『bcrp1』 KOマウスに、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26を経口で投与した。次いで、時間の関数としてトポテカンの血漿濃度を求めた。それらの結果を図11に示し、血漿トポテカンのAUCを表8に示す。この賦形剤では、これらの条件下でトポテカンの血漿レベルに有意な差はなかった。これらの結果は、経口で投与されたエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26は、静脈内投与後のトポテカンの全身動態に影響を及ぼさないことを示唆している。
【0120】
【表8】
【0121】
クリアランス値を表9に示す。トポテカンの用量は体重1kg当たり1000μgであった。値CL総血液=CL総血漿/RBトポテカンであり、式中、RBは、マウスにおいて1.2として測定された、血液と血漿のトポテカン濃度の比である。
【0122】
【表9】
【0123】
さらに、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26処理による腸ABCG2阻害を評価するために、本出願人等は、量Fa*Fg(Faは腸吸収であり、Fgは腸代謝である)を算出した。FaとFgの積は、肝臓でそれ以上代謝されない薬物の前全身的(presystemic)バイオアベイラビリティである。表10に、表7および8のデータから算出したクリアランス値を示す。Eh=CL総血液/Qh(式中、Qhは5.4(L/時間/kg)である)を用いて、Fa*Fgを求めた。野生型コントロールに対する倍率変化も示す。これらのデータは、経口投与されたエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26が野生型マウスにおいてFa*Fgを著しく増大したことを示している。他方、『bcrp1』 KOマウスのFa*Fgは影響を受けなかった。これらの結果は、経口投与されたエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26による腸ABCG2の阻害を支持している。
【0124】
【表10】
【0125】
(実施例10)
イリノテカンを用いたマトリックスカプセルの調製方法
各調剤用に、適切な量の選択された賦形剤、たとえばポリオキシル35ヒマシ油を、磁気攪拌しながら60℃で融解する。必要量の融解した賦形剤(30mg)を手動ピペット(たとえばBrand−Transferpettorなど)で取り、必要量のイリノテカン(500mg)に添加する。磁気攪拌しながら60℃で2時間、融解したマトリックスに薬物を分散する。場合によって、分散を助けるために、ポリエチレングリコールなどを加えることができる。上記工程によって得られた分散液を、次いで、手動ピペットを用いて、サイズ00硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0126】
(実施例11)
プラゾシンおよびABCG2阻害剤を含むカプセルの調製
プラゾシンおよびABCG2の阻害剤を含有するカプセルを、阻害剤の臨界ミセル濃度の知識に基づいて、以下のとおり調製する。プラゾシンは、LC Laboratories(Woburn、MA)から購入し、活性3000GBq/mmolを有する[3H]−プラゾシンは、Perkin−Elmer Life and Analytical Sciencesから購入する。ヒト対象の使用の承認は、臨床試験委員会(clinical trial committee)に求める。
【0127】
プラゾシン(18g、6μCi)をポリオキシル4ラウリルエーテル(2.16g)と合わせ、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。同じ量および活性のプラゾシンを別に、ポリオキシル4ラウリルエーテル1.02g、ポリオキシル4ラウリルエーテル0.46g、およびポリオキシル4ラウリルエーテル0.27gと合わせる。各製剤を、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。
【0128】
プラゾシン(18g、6μCi)をポリオキシル35ヒマシ油(2.94g)と合わせ、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。同じ量および活性のプラゾシンを別に、ポリオキシル35ヒマシ油1.47g、ポリオキシル35ヒマシ油0.75g、およびポリオキシル35ヒマシ油0.36gと合わせる。各製剤を、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。
【0129】
プラゾシン(18g、6μCi)をポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(1.81g)と合わせ、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。同じ量および活性のプラゾシンを別に、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート0.9g、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート0.45g、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート0.22gと合わせる。各製剤を、カプセル当たりプラゾシン0.6gで、ウシゼラチンカプセル、プルランカプセル、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分割する。
【0130】
表面張力法によってABCG2阻害剤の臨界ミセル濃度を測定するために、各種および製剤の代表的カプセルの内容物を、それぞれ50、100、200、300、および400mlの絶食状態擬似腸液に懸濁する。臨界ミセル濃度を測定した後、各試料の10mlアリコートを10分間10000×gで遠心分離し、可溶性と不溶性標識プラゾシンの比を測定する。ヒト血清におけるプラゾシンレベルの時間的経過を測定するために、志願者当たり1回の経口ボーラス投与として、各種の代表となる別の3つのカプセルを成人志願者に投与する。それによって、プラゾシンの血清レベルと臨界ミセル濃度のin vitro測定値の相関を求める。
【0131】
(実施例12)
他の有用な賦形剤
これに限定されるものではないが、表11に挙げるものを含む本発明の他の有用な賦形剤は当業者には明らかであろう。
【0132】
【表11】
【0133】
引用したすべての文献はすべての目的でその全体を本明細書に組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】コントロール(GFP、緑色蛍光タンパク質)およびABCG2形質導入MDCK−II細胞における[3H]−ミトキサントロン取り込みに対する、GF120918または用量範囲の賦形剤3種の作用を例示する図である。
【図2】HEKベシクルにおける[3H]−エストロン−3−硫酸(E1S)取り込みに対する、種々の医薬賦形剤の作用を例示する図である。
【図3】ラウリルポリエチレングリコールエーテルの臨界ミセル濃度の測定値を例示する図である。
【図4】HEKベシクルにおけるE1S取り込みに対する賦形剤6種の用量反応を例示する図である。
【図5】E1S取り込みに対する賦形剤6種の用量反応のデータ変換を例示する図である。
【図6】BCRP MDCK−II細胞におけるミトキサントロン蓄積に対する選択された賦形剤の作用を例示する図である。結果はn=6の平均±標準誤差で表す。
【図7】GFP MDCKIIおよびBCRP MDCKII細胞におけるミトキサントロン蓄積に対する15種の選択された賦形剤の作用を例示する図である。結果は平均±標準誤差で表し、nは3〜6である。コントロールと比較した統計的有意差は、*(p<0.05)または**(p<0.01)で示す。
【図8】GFP MDCKIIおよびP−gp MDCKII細胞におけるミトキサントロン蓄積に対する15種の選択された賦形剤の作用を例示する図である。結果は平均±標準誤差で表し、nは3〜6である。コントロールと比較した統計的有意差は、*(p<0.05)または**(p<0.01)で示す。
【図9】トポテカン投与後の血漿薬物濃度の経時変化に対する『bcrp1』遺伝子のノックアウト(KO)、すなわち遺伝子欠失の作用を例示する図である。結果はn=2の平均で表す。
【図10】経口で与えられたトポテカンの血漿濃度の経時変化に対する賦形剤の作用を例示する図である。結果はn=3の平均±標準偏差で表す。コントロールと有意差である平均は、n=3に関して*で示す。マウスは、a)『bcrp1』 KOおよびb)野生型である。
【図11】静脈内投与後のトポテカン血漿濃度の経時変化に対する賦形剤の作用を例示する図である。結果はn=3の平均±標準偏差で表す。パネルa)は『bcrp1』 KOマウスへのトポテカンの投与を示す。パネルb)は野生型マウスへのトポテカンの投与を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬剤の吸収を増大する方法であって、前記薬剤をABCG2阻害剤と組み合わせて対象に投与することを含み、阻害剤の量が、対象の粘膜表面に送達されるとき、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法。
【請求項2】
薬剤が、対象の胃腸管に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
阻害剤が、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
薬剤が、化学療法剤である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記薬剤を有効量のレセルピン、CI1033、GF120918、フミトレモルジンC、Ko134、またはKo132と組み合わせて投与することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
医薬剤の吸収を増大する方法であって、前記薬剤を、少なくとも約60%のABCG2阻害をもたらすある量の賦形剤と組み合わせて投与することを含む方法。
【請求項7】
医薬剤、およびABCG2を阻害することのできる賦形剤を含み、前記賦形剤の濃度が、経腸的に送達されるとき、前記賦形剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である、粘膜に投与するための経口投与組成物。
【請求項8】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約2分の1である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項9】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約4分の1である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項10】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項11】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約20分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約5分の1の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項12】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項13】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の2分の1の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項14】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の4分の1の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項15】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約4分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の2分の1の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項16】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約2分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項17】
レシチンを含む半固体マトリックスをさらに含む請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項18】
ポリグリコール化グリセリドを含む半固体マトリックスをさらに含む請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項19】
半固体マトリックスが、レシチンをさらに含む請求項18に記載の経口投与組成物。
【請求項20】
併用薬物の吸収を増大する方法であって、前記併用薬物を、臨界ミセル濃度を有するABCG2阻害剤とさらに組み合わせて対象に投与することを含み、阻害剤の量が、経腸的に投与されるとき、臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法。
【請求項21】
有効量の医薬剤および賦形剤を含む、そのような治療を必要としている対象を治療するための医薬製剤であって、賦形剤が、ABCG2を阻害することができ、経腸的に投与されるとき、前記賦形剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である量で存在する医薬製剤。
【請求項22】
薬剤が、化学療法剤である請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
請求項21に記載の製剤を含むカプセル。
【請求項24】
前記カプセルが、硬質シェルカプセルである請求項23に記載のカプセル。
【請求項25】
前記カプセルが、軟質シェルカプセルである請求項23に記載のカプセル。
【請求項26】
前記カプセルが、ゼラチンを含む請求項23に記載のカプセル。
【請求項27】
前記カプセルが、プルランを含む請求項23に記載のカプセル。
【請求項28】
前記カプセルが、セルロースポリマーを含む請求項23に記載のカプセル。
【請求項29】
セルロースポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項28に記載のカプセル。
【請求項30】
前記カプセルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む請求項28に記載のカプセル。
【請求項31】
前記カプセルが腸溶的に被覆されている請求項23に記載のカプセル。
【請求項32】
医薬剤および有効量のABCG2阻害剤を含むカプセルであって、経腸的に投与されたとき、前記阻害剤の濃度が、前記阻害剤のほぼ臨界ミセル濃度であるカプセル。
【請求項33】
半固体マトリックスにカプセル化された少なくとも1種の有効用量の化学療法剤を含み、(a)阻害剤の量が、阻害剤の臨界ミセル濃度未満、または臨界ミセル濃度、またはほぼ臨界ミセル濃度であるABCG2阻害剤、および(b)投与レジメンを明示するラベルをさらに含むキット。
【請求項34】
そのような治療を必要としている対象を治療する方法であって、ABCG2阻害剤と組み合わせた治療上有効量の医薬活性剤を前記対象に投与することを含み、阻害剤の量が、対象の胃腸管に送達されるとき、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法。
【請求項35】
医薬活性剤が、化学療法剤である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ABCG2阻害剤が、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項37】
医薬剤の吸収を増大する方法であって、前記薬剤をABCG2阻害剤と組み合わせて対象に投与することを含み、阻害剤の量が、200mlの流体に希釈されると、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法。
【請求項38】
前記臨界ミセル濃度が、表面張力によって測定される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
流体が、水、緩衝液、天然または擬似胃液、および天然または擬似腸液からなる群から選択される請求項37に記載の方法。
【請求項40】
流体が水である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
阻害剤が、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項37に記載の方法。
【請求項1】
医薬剤の吸収を増大する方法であって、前記薬剤をABCG2阻害剤と組み合わせて対象に投与することを含み、阻害剤の量が、対象の粘膜表面に送達されるとき、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法。
【請求項2】
薬剤が、対象の胃腸管に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
阻害剤が、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
薬剤が、化学療法剤である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記薬剤を有効量のレセルピン、CI1033、GF120918、フミトレモルジンC、Ko134、またはKo132と組み合わせて投与することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
医薬剤の吸収を増大する方法であって、前記薬剤を、少なくとも約60%のABCG2阻害をもたらすある量の賦形剤と組み合わせて投与することを含む方法。
【請求項7】
医薬剤、およびABCG2を阻害することのできる賦形剤を含み、前記賦形剤の濃度が、経腸的に送達されるとき、前記賦形剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である、粘膜に投与するための経口投与組成物。
【請求項8】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約2分の1である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項9】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約4分の1である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項10】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項11】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約20分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約5分の1の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項12】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項13】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の2分の1の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項14】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約8分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の4分の1の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項15】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約4分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の2分の1の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項16】
前記賦形剤の濃度が、前記賦形剤の臨界ミセル濃度の約2分の1から前記賦形剤の臨界ミセル濃度の間である請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項17】
レシチンを含む半固体マトリックスをさらに含む請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項18】
ポリグリコール化グリセリドを含む半固体マトリックスをさらに含む請求項7に記載の経口投与組成物。
【請求項19】
半固体マトリックスが、レシチンをさらに含む請求項18に記載の経口投与組成物。
【請求項20】
併用薬物の吸収を増大する方法であって、前記併用薬物を、臨界ミセル濃度を有するABCG2阻害剤とさらに組み合わせて対象に投与することを含み、阻害剤の量が、経腸的に投与されるとき、臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法。
【請求項21】
有効量の医薬剤および賦形剤を含む、そのような治療を必要としている対象を治療するための医薬製剤であって、賦形剤が、ABCG2を阻害することができ、経腸的に投与されるとき、前記賦形剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である量で存在する医薬製剤。
【請求項22】
薬剤が、化学療法剤である請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
請求項21に記載の製剤を含むカプセル。
【請求項24】
前記カプセルが、硬質シェルカプセルである請求項23に記載のカプセル。
【請求項25】
前記カプセルが、軟質シェルカプセルである請求項23に記載のカプセル。
【請求項26】
前記カプセルが、ゼラチンを含む請求項23に記載のカプセル。
【請求項27】
前記カプセルが、プルランを含む請求項23に記載のカプセル。
【請求項28】
前記カプセルが、セルロースポリマーを含む請求項23に記載のカプセル。
【請求項29】
セルロースポリマーが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項28に記載のカプセル。
【請求項30】
前記カプセルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む請求項28に記載のカプセル。
【請求項31】
前記カプセルが腸溶的に被覆されている請求項23に記載のカプセル。
【請求項32】
医薬剤および有効量のABCG2阻害剤を含むカプセルであって、経腸的に投与されたとき、前記阻害剤の濃度が、前記阻害剤のほぼ臨界ミセル濃度であるカプセル。
【請求項33】
半固体マトリックスにカプセル化された少なくとも1種の有効用量の化学療法剤を含み、(a)阻害剤の量が、阻害剤の臨界ミセル濃度未満、または臨界ミセル濃度、またはほぼ臨界ミセル濃度であるABCG2阻害剤、および(b)投与レジメンを明示するラベルをさらに含むキット。
【請求項34】
そのような治療を必要としている対象を治療する方法であって、ABCG2阻害剤と組み合わせた治療上有効量の医薬活性剤を前記対象に投与することを含み、阻害剤の量が、対象の胃腸管に送達されるとき、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法。
【請求項35】
医薬活性剤が、化学療法剤である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ABCG2阻害剤が、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項37】
医薬剤の吸収を増大する方法であって、前記薬剤をABCG2阻害剤と組み合わせて対象に投与することを含み、阻害剤の量が、200mlの流体に希釈されると、阻害剤の臨界ミセル濃度未満またはほぼ臨界ミセル濃度である方法。
【請求項38】
前記臨界ミセル濃度が、表面張力によって測定される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
流体が、水、緩衝液、天然または擬似胃液、および天然または擬似腸液からなる群から選択される請求項37に記載の方法。
【請求項40】
流体が水である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
阻害剤が、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレアート35、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)26(PPO)39.5(PEO)26、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(PEO)2(PPO)40(PEO)2、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項37に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−514793(P2009−514793A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529145(P2008−529145)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/033423
【国際公開番号】WO2007/027560
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/033423
【国際公開番号】WO2007/027560
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】
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